(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(54)【発明の名称】計量装置を使用した呼気試料の採取装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/02 20060101AFI20230410BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20230410BHJP
A61B 5/091 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
G01N1/02 W
A61B5/08
A61B5/091
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552153
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 CA2021050088
(87)【国際公開番号】W WO2021168541
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521441618
【氏名又は名称】ピコモル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・クエンティン・パーヴス
【テーマコード(参考)】
2G052
4C038
【Fターム(参考)】
2G052AA34
2G052AB06
2G052AD02
2G052BA14
2G052CA02
2G052CA13
2G052EA03
2G052ED06
2G052FC04
2G052FC11
2G052GA11
2G052HA15
2G052HC08
2G052HC09
2G052HC24
2G052HC28
4C038SS04
4C038SU11
4C038SU19
4C038SX01
(57)【要約】
呼気試料の採取装置および方法が提供される。装置は、吐出された呼気を受けるように構成された呼気入力インターフェースと、受けられている呼気中の成分レベルを測定するように構成された計量装置と、呼気入力インターフェースから延び、少なくとも1つの呼気試料貯留装置に接続されている第1の導管系統と、第1の導管系統に沿って配置されて少なくとも1つの呼気試料貯留装置に向かう吐出された呼気の流れを制御するバルブと、成分レベルが成分レベル目標範囲内にあるかどうかを判断し、成分レベルの変化率が成分レベル変化率目標範囲内にあるかどうかを判断し、これらの条件に少なくとも部分的に基づいてバルブを開くように制御するように構成された少なくとも1つのコントローラとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気試料の採取装置であって、
吐出された呼気を受けるように構成された呼気入力インターフェースと、
受けられている前記呼気中の成分レベルを測定するように構成された計量装置と、
前記呼気入力インターフェースから延び、少なくとも1つの呼気試料貯留装置に接続される第1の導管系統と、
前記第1の導管系統に沿って配置され、前記少なくとも1つの呼気試料貯留装置へ向かう前記吐出された呼気の流れを制御するバルブと、
前記成分レベルが成分レベル目標範囲内にあるかどうかを判断し、前記成分レベルの変化率が成分レベル変化率目標範囲内にあるかどうかを判断し、前記成分レベルが前記成分レベル目標範囲内にあるかどうか、および前記変化率が前記成分レベル変化率目標範囲内にあるかどうかに少なくとも部分的に基づいて、前記バルブを開くように制御するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
を備えた装置。
【請求項2】
前記計量装置がカプノメータであり、前記成分レベルが二酸化炭素レベルであり、前記成分レベル目標範囲が二酸化炭素レベル目標範囲であり、前記成分レベル変化率目標範囲が二酸化炭素レベル変化率目標範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
さらに、受けられている前記吐出された呼気の流量を測定するように構成された流量計を備え、前記少なくとも1つのコントローラは、前記測定された流量が流量目標範囲内であることに少なくとも部分的に基づいて前記バルブを開くように制御するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
ディスプレイをさらに備え、前記少なくとも1つのコントローラは、前記ディスプレイを制御して、前記ディスプレイに流量通知を提示させるように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの光学素子をさらに備え、前記少なくとも1つのコントローラは、前記少なくとも1つの光学素子を制御して、前記少なくとも1つの光学素子で流量通知を提示させるように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
スピーカーをさらに備え、前記少なくとも1つのコントローラは、前記スピーカーを制御して、前記スピーカーを介して可聴流量通知を再生させるように構成されている、請求項3記載の装置。
【請求項7】
前記成分レベル目標範囲は、成分レベル最小閾値と無限上限との間にわたる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記成分レベル変化率目標範囲は、無限下限と成分レベル変化率最大閾値の間にわたる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記流量目標範囲は、最小流量閾値と無限上限との間にわたる、請求項3に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記バルブを開いた後の前記成分レベルを監視するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
さらに、受けられている前記吐出された呼気の流量を測定するように構成された流量計
を含み、前記少なくとも1つのコントローラは、前記バルブを開いた後の前記流量を監視し、前記測定された流量が流量終端範囲内にあることに少なくとも部分的に基づいて前記バルブを閉じるように制御するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
呼気試料を採取する方法であって、
吐出された呼気を、第1の導管系統が少なくとも1つの呼気試料貯留装置に向かってそこから延びる呼気入力インターフェースを介して受けるステップを含み、前記第1の導管系統から前記少なくとも1つの呼気試料貯留装置に向かう前記吐出された呼気の移動を制御するためにバルブが配置されており、
少なくとも1つのコントローラを介して、受けられている前記吐出された呼気中の成分レベルが成分レベル目標範囲内であるかどうかを判断するステップと、
前記成分レベルの変化率が成分レベル目標範囲内であるかどうかを判断するステップと、
前記成分レベルが前記成分レベル目標範囲内にあるかどうか、および前記変化率が前記成分レベル変化率目標範囲内にあるかどうかに少なくとも部分的に基づいて、前記バルブを開くように制御するステップと、を含む方法。
【請求項13】
前記成分レベルが二酸化炭素レベルであり、前記成分レベル目標範囲が二酸化炭素レベル目標範囲であり、前記成分レベル変化率目標範囲が二酸化炭素レベル変化率目標範囲である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、受けられている前記吐出された呼気の流量を測定するステップを含み、捕捉することは、前記測定された流量が流量目標範囲内にあることに少なくとも部分的に基づいて実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
さらに、ディスプレイを制御して、前記ディスプレイに流量通知を提示させるステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
さらに、少なくとも1つの光学素子を制御して、前記少なくとも1つの光学素子で流量通知を提示させるステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
さらに、スピーカーを制御して、前記スピーカーを介して可聴流量通知を再生させるステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記二酸化炭素レベル目標範囲は、二酸化炭素レベル最小閾値と無限上限との間にわたる、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記二酸化炭素レベル変化率目標範囲は、無限下限と二酸化炭素レベル変化率最大閾値の間にわたる、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記流量目標範囲は、最小流量閾値と無限上限との間にわたる、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
さらに、前記バルブを開いた後に前記二酸化炭素レベルを監視するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
さらに、受けられている前記吐出された呼気の流量を測定するステップを含み、前記少なくとも1つのコントローラは、前記バルブを開いた後の前記流量を監視し、前記測定された流量が流量終端範囲内にあることに少なくとも部分的に基づいて前記バルブを閉じるように制御するように構成される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に試料採取システムに関し、より詳細には、呼気試料の採取装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
呼気試料採取は、従来、患者からの呼気を大型容器に採取することによって行われてきた。その後、呼気試料は、容器から抽出され、分析器に直接移される。
【0003】
より最近では、呼気試料は、吸着剤チューブまたは熱脱着チューブとして知られる呼気試料貯留装置に採取されている。吸着剤チューブは、大表面積を有する固体吸着材を含有したチューブである。気体試料を吸着剤チューブに通すと、酸素や二酸化炭素などの一部の成分が吸着剤チューブの反対側の端から流れ出す一方で、他の成分は吸着剤に吸着される。これにより、最も体積の大きい成分を流出させながら、呼気試料中の多くの成分が吸着剤に捕捉されることを可能にし、それによって呼気試料が濃縮される。その結果、呼気試料の成分の大部分は、より小さい体積内に採取され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの吸着剤チューブを人が直接充填できるようにする装置には多くの問題がある。人間の呼気中には、このモードでの呼気採取を妨げる可能性のある相当量の湿度が存在する。この湿度が、呼気を吸着剤チューブに導く導管の内側に結露を発生させることがある。この結露は、水分子に自由に付着する呼気の成分の多くを吸引する。その結果、呼気試料成分の多くは吸着剤チューブに到達せず、したがって分析される呼気試料の少なくとも一部には表れない。
【0005】
もう1つの問題は、吸着剤チューブが、呼気の成分を、吸着剤チューブを通る呼気の特定の流量において、より有効に捕捉することである。先行技術の装置において吸着剤チューブに呼気を流す速度は、人によってこれらの装置に呼気が吹き込まれる速度によって駆動される。これは、呼気試料の一部の損失につながる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、吐出された呼気を受けるように構成された呼気入力インターフェースと、前記呼気の少なくとも一部を貯留するために前記呼気入力インターフェースに接続された容器と、前記呼気を受けるときとは非同期に、前記容器から、前記容器に接続された少なくとも1本の吸着剤チューブへの、前記呼気の少なくとも一部の流れを制御するように構成された少なくとも1つのコントローラとを備えた、呼気試料の採取装置が提供される。
【0007】
前記容器は、前記呼気の少なくとも一部が貯留されるキャビティを有することができ、前記キャビティの容積は制御可能である。前記キャビティの前記容積は、前記少なくとも1つのコントローラによって制御可能であり得る。前記容器は、その中に配置されたピストンを有するピストン室を含み得、前記ピストンの位置が前記キャビティの前記容積を制御する。前記少なくとも1つのコントローラは、前記吐出された呼気の前記少なくとも一部が受けられるにつれ、前記ピストンを作動させて前記キャビティの前記容積を増加させるように構成され得る。
【0008】
前記装置はさらに、前記呼気入力インターフェースと前記容器の中間にあるバルブと、
前記呼気入力インターフェースと前記バルブとを接続する第1の導管系統と、前記容器を前記少なくとも1本の吸着剤チューブに接続する第2の導管系統とを含み得る。前記少なくとも1つのコントローラは、前記バルブを閉じるように制御するとともに、前記ピストンの作動を制御して、前記少なくとも1本の吸着剤チューブの部分集合を通して前記呼気の前記少なくとも一部を押し出すように構成され得る。前記容器と前記少なくとも1本の吸着剤チューブのそれぞれとの間にチューブインレットバルブが配置され得る。前記少なくとも1つのコントローラは、前記少なくとも1つのチューブインレットバルブのそれぞれを制御して、前記呼気の前記少なくとも一部が流される前記少なくとも1本の吸着剤チューブの前記部分集合を選択するように構成され得る。
【0009】
前記部分集合は第1の部分集合であり得、前記装置はさらに、インレットと前記容器との間に前記第2の導管系統に沿って配置されたインレットバルブをさらに含み得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記インレットバルブを開き、前記ピストンの作動を制御して空気を前記インレットを通して前記キャビティに引き込むように構成され得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記インレットバルブを閉じて、前記取り込んだ空気を前記第2の導管系統を通して前記キャビティから推進するように構成され得る。前記少なくとも1つのコントローラは、前記ピストンの作動を制御して、前記取り込んだ空気を前記少なくとも1本の吸着剤チューブの第2の部分集合を通して推進することができる。前記容器と前記少なくとも1本の吸着剤チューブのそれぞれとの間にチューブインレットバルブが配置され得る。前記少なくとも1つのコントローラは、前記少なくとも1つのチューブインレットバルブのそれぞれを制御して、前記取り込んだ空気が流される前記少なくとも1本の吸着剤チューブの前記第2の部分集合を選択するように構成され得る。
【0010】
前記容器は、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクルを含み得る。前記装置はさらに、前記呼気入力インターフェースと前記容器の中間のバルブと、前記呼気入力インターフェースと前記バルブを接続する第1の導管系統と、前記容器を前記少なくとも1本の吸着剤チューブに接続する第2の導管系統とを備え得る。前記装置はさらに、前記少なくとも1つのコントローラによって制御され、前記容器から前記少なくとも1本の吸着剤チューブの部分集合を通して前記呼気の前記少なくとも一部を推進することができるポンプを含む。前記容器と前記少なくとも1本の吸着剤チューブのそれぞれとの間にチューブインレットバルブが配置され得る。前記少なくとも1つのコントローラは、前記少なくとも1つのチューブインレットバルブのそれぞれを制御して、前記呼気の前記少なくとも一部が流される前記少なくとも1本の吸着剤チューブの前記部分集合を選択するように構成され得る。
【0011】
前記ポンプは、前記バルブと前記容器との間に配置され得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記ポンプを制御して前記吐出された呼気の前記少なくとも一部を前記容器に引き込むように構成され得る。
【0012】
前記部分集合は第1の部分集合であり得、前記装置はさらに、インレットと前記容器との間に前記第2の導管系統に沿って配置されたインレットバルブを含み得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記インレットバルブを閉じ、前記ポンプを制御して空気を前記容器から前記少なくとも1本の吸着剤チューブの第2の部分集合を通して流すように構成され得る。前記少なくとも1つのコントローラは、前記インレットバルブを開き、前記ポンプを制御して空気を前記インレットを通して前記キャビティに流すように構成され得る。前記容器と前記少なくとも1本の吸着剤チューブのそれぞれとの間にチューブインレットバルブが配置され得る。前記少なくとも1つのコントローラは、前記少なくとも1つのチューブインレットバルブのそれぞれを制御して、前記呼気の前記少なくとも一部が流される前記少なくとも1本の吸着剤チューブの前記第1の部分集合を選択するように構成され得る。
【0013】
前記装置はさらに、前記呼気入力インターフェースと前記容器の中間にあるバルブと、前記呼気入力インターフェースと前記バルブとを接続する第1の導管系統とを備え得る。前記少なくとも1つのコントローラは、前記容器内に前記呼気の目標体積を捕捉したときに、前記バルブを閉じるように制御して前記容器の前記容積を制御して、前記少なくとも1本の吸着剤チューブの部分集合を介して前記呼気の前記少なくとも一部を推進するように構成され得る。前記少なくとも1つのコントローラは、前記少なくとも1本の吸着剤チューブの前記部分集合を通して前記呼気を推進するために前記少なくとも1つのコントローラが前記容器の前記容積を制御できる少なくとも2つの呼気流量のうちの1つで、前記容器の前記容積を減少させるように制御するように構成され得る。
【0014】
別の態様では、呼気試料の採取方法が提供され、前記方法は、吐出された呼気を呼気入力インターフェースを介して受けるステップと、前記呼気入力インターフェースに接続された容器に前記呼気の少なくとも一部を貯留するステップと、前記吐出された呼気を受けるときとは非同期に、前記容器から前記容器に接続された少なくとも1本の吸着剤チューブへの前記呼気の前記少なくとも一部の流量を、少なくとも1つのコントローラを介して制御するステップとを含む。
【0015】
前記貯留するステップは、前記容器のキャビティに前記吐出された呼気の前記少なくとも一部を貯留することを含み得、前記キャビティの容積は制御可能であり得る。前記方法はさらに、前記少なくとも1つのコントローラを介して前記キャビティの容積を制御するステップを含み得る。前記方法はさらに、前記少なくとも1つのコントローラを介して、前記容器のピストン室内に配置されたピストンを作動させるステップを含み得、前記ピストンの位置が前記キャビティの前記容積を制御する。前記方法はさらに、前記吐出された呼気の前記少なくとも一部を受けているときに、前記キャビティの前記容積を増加させるように前記ピストンを作動させるステップを含み得る。前記方法はさらに、前記呼気入力インターフェースと前記容器の中間のバルブを介して前記吐出された呼気の前記少なくとも一部の流れを制御するステップを含み得、第1の導管系統が前記呼気入力インターフェースと前記バルブを接続し、第2の導管系統が前記容器を前記少なくとも1本の吸着剤チューブに接続する。前記方法はさらに、前記少なくとも1つのコントローラを介して前記バルブを閉じるように制御するステップと、前記ピストンの作動を制御して、前記少なくとも1本の吸着剤チューブの部分集合を通して前記呼気の前記少なくとも一部を推進するステップを含み得る。前記容器と前記少なくとも1本の吸着剤チューブのそれぞれとの間にチューブインレットバルブが配置され得、前記方法はさらに、前記少なくとも1つのチューブインレットバルブのそれぞれを制御して、前記呼気のうち前記少なくとも一部が流される前記少なくとも1本の吸着剤チューブの前記部分集合を選択するステップを含み得る。
【0016】
前記方法はさらに、前記少なくとも1つのコントローラを介して、前記バルブを閉じるように制御するステップと、前記容器をインレットから分離するインレットバルブを開くように制御するステップと、前記ピストンの作動を制御して空気を前記インレットを通して前記キャビティに引き込むステップと、前記インレットバルブを閉じるように制御するステップと、前記ピストンの作動を制御して前記取り込んだ空気を前記第2の導管系統を通して前記キャビティから推進するステップを含み得る。
【0017】
前記方法はさらに、前記ピストンの作動を制御して、前記取り込んだ空気を前記少なくとも1本の吸着剤チューブの第2の部分集合を通して推進するステップを含み得る。前記容器と前記少なくとも1本の吸着剤チューブのそれぞれとの間にチューブインレットバルブが配置され得る。前記方法はさらに、前記少なくとも1つのチューブインレットバルブのそれぞれを制御して、前記取り込んだ空気が流される前記少なくとも1本の吸着剤チュ
ーブの前記第2の部分集合を選択するステップを含み得る。
【0018】
前記容器は、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクルを含み得る。前記方法はさらに、前記呼気入力インターフェースと前記容器の中間のバルブを介して前記呼気の前記少なくとも一部の流れを制御するステップ含み得、第1の導管系統は前記呼気入力インターフェースと前記バルブを接続し、第2の導管系統は前記容器を前記少なくとも1本の吸着剤チューブに接続する。前記方法はさらに、ポンプを制御して、前記容器からの前記呼気の少なくとも一部を前記少なくとも1本の吸着剤チューブの部分集合を通して流すステップを含み得る。前記容器と前記少なくとも1本の吸着剤チューブのそれぞれとの間にチューブインレットバルブが配置され得る。前記方法はさらに、前記少なくとも1つのチューブインレットバルブのそれぞれを制御して、前記呼気のうち前記少なくとも一部が流される前記少なくとも1本の吸着剤チューブの前記部分集合を選択するステップを含み得る。
【0019】
前記ポンプは、前記バルブと前記容器との間に配置され得、前記方法はさらに、前記ポンプを制御して前記吐出された呼気の前記少なくとも一部を前記容器内に引き込むステップを含み得る。
【0020】
前記部分集合は第1の部分集合であり得、前記方法はさらに、前記バルブを閉じるステップと、インレットと前記容器の中間のインレットバルブを開くステップと、前記ポンプを制御して、前記少なくとも1本の吸着剤チューブの第2の部分集合を通して空気を流すステップを含み得る。前記方法はさらに、インレットバルブを開くステップと、前記ポンプを制御して、空気を前記インレットを通して前記キャビティに流すステップを含み得る。前記容器と前記少なくとも1本の吸着剤チューブのそれぞれとの間にチューブインレットバルブが配置され得る。前記方法はさらに、前記少なくとも1つのチューブインレットバルブのそれぞれを制御して、前記呼気の前記少なくとも一部が流される前記少なくとも1本の吸着剤チューブの前記部分集合を選択するステップを含み得る。
【0021】
前記方法はさらに、前記呼気入力インターフェースが接続されている第1の導管系統から、バルブを介して前記容器に通じる前記吐出された呼気の流れを制御するステップを含み得る。前記方法はさらに、前記バルブを閉じるように制御するステップと、前記容器内に前記呼気の目標体積を捕捉したときに、前記少なくとも1本の吸着剤チューブの部分集合を通して前記呼気の前記少なくとも一部を流すように前記容器の前記容積を制御するステップを含み得る。前記容積の前記制御ステップ中に、前記容積は、前記少なくとも1本の吸着剤チューブの前記部分集合を通して前記呼気を推進するために前記容積が減少するように制御され得る少なくとも2つの呼気流量のうちの1つで減少するように制御され得る。
【0022】
さらなる態様では、呼気試料の採取装置が提供され、前記装置は、吐出された呼気を受けるように構成された呼気入力インターフェースと、受けられている前記呼気中の成分レベルを測定するように構成された計量装置と、前記呼気入力インターフェースから延び、少なくとも1つの呼気試料貯留装置に接続された第1の導管系統と、前記第1の導管系統に沿って配置され、前記少なくとも1つの呼気試料貯留装置に向かって前記吐出された呼気の流れを制御するバルブと、前記成分レベルが成分レベル目標範囲内にあるかどうかを判断し、成分レベルの変化率が成分レベル変化率目標範囲内にあるかどうかを判断し、前記成分レベルが前記成分レベル目標範囲内にあるかどうか、および前記変化率が前記成分レベル変化率目標範囲内にあるかどうかに少なくとも部分的に基づいて前記バルブを開くように制御するように構成された少なくとも1つのコントローラとを備えている。
【0023】
前記計量装置はカプノメータであり得、前記成分レベルは二酸化炭素レベルであり得、
前記成分レベル目標範囲は二酸化炭素レベル目標範囲であり得、前記成分レベル変化率目標範囲は二酸化炭素レベル変化率目標範囲であり得る。前記装置はさらに、受けられている前記吐出された呼気の流量を測定するように構成された流量計を含み得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記測定された流量が流量目標範囲内にあることに少なくとも部分的に基づいて前記バルブを開くように制御するように構成される。前記装置はさらにディスプレイを含み得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記ディスプレイを制御して、前記ディスプレイに流量通知を提示させるように構成されている。
【0024】
前記装置はさらに、少なくとも1つの光学素子を含み得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記少なくとも1つの光学素子を制御して、前記少なくとも1つの光学素子で流量通知を提示させるように構成されている。
【0025】
前記装置はさらにスピーカーを含み得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記スピーカーを制御して、前記スピーカーを介して可聴流量通知を再生させるように構成されている。
【0026】
前記成分レベル目標範囲は、成分レベル最小閾値と無限上限との間にわたり得る。
【0027】
前記成分レベル変化率目標範囲は、無限下限と成分レベル変化率最大閾値の間にわたり得る。
【0028】
前記流量目標範囲は、最小流量閾値と無限上限との間にわたり得る。
【0029】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記バルブを開いた後に前記成分レベルを監視するように構成され得る。
【0030】
前記装置はさらに、受けられている前記吐出された呼気の流量を測定するように構成された流量計を含み得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記バルブを開いた後の前記流量を監視し、前記測定された流量が流量終端範囲内にあることに少なくとも部分的に基づいて前記バルブを閉じるように制御するように構成される。
【0031】
さらに別の態様では、呼気試料の採取方法が提供され、前記方法は、吐出された呼気を、第1の導管系統が少なくとも1つの呼気試料貯留装置に向かってそこから延びる呼気入力インターフェースを介して受けるステップを含み、前記第1の導管系統から前記少なくとも1つの呼気試料貯留装置への前記吐出された呼気の移動を制御するようにバルブが配置されており、少なくとも1つのコントローラを介して、受けられている前記吐出された呼気中の前記成分レベルが成分レベル目標範囲内にあるかどうかを判断するステップと、前記成分レベルの変化率が成分レベル変化率目標範囲内であることを判断するステップと、前記成分レベルが前記成分レベル目標範囲内であるかどうか、および前記変化率が前記成分レベル変化率目標範囲内であるかどうかに少なくとも部分的に基づいて前記バルブを開くように制御するステップとを含む。
【0032】
前記成分レベルは二酸化炭素レベルであり得、前記成分レベル目標範囲は二酸化炭素レベル目標範囲であり得、前記成分レベル変化率目標範囲は二酸化炭素レベル変化率目標範囲であり得る。
【0033】
前記方法はさらに、受けられている前記吐出された呼気の流量を測定するステップを含み得、捕捉することは、前記測定された流量が流量目標範囲内にあることに少なくとも部分的に基づいて実行される。前記方法はさらに、ディスプレイを制御して、前記ディスプレイに流量通知を提示させるステップを含み得る。前記方法はさらに、少なくとも1つの
光学素子を制御して、前記少なくとも1つの光学素子で流量通知を提示させるステップを含み得る。
【0034】
前記方法はさらに、スピーカーを制御して、前記スピーカーを介して可聴流量通知を再生させるステップを含み得る。
【0035】
前記二酸化炭素レベル目標範囲は、二酸化炭素レベル最小閾値と無限上限との間にわたり得る。
【0036】
前記二酸化炭素レベル変化率目標範囲は、無限下限と二酸化炭素レベル変化率最大閾値の間にわたり得る。
【0037】
前記流量目標範囲は、最小流量閾値と無限上限との間にわたり得る。
【0038】
前記方法はさらに、前記バルブを開いた後に前記二酸化炭素レベルを監視するステップを含み得る。
【0039】
前記方法はさらに、受けられている前記吐出された呼気の流量を測定するステップを含み得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記バルブを開いた後の前記流量を監視し、前記測定された流量が流量終端範囲内にあることに少なくとも部分的に基づいて前記バルブを閉じるように制御するように構成される。
【0040】
さらに別の態様では、呼気試料の採取装置が提供され、前記装置は、吐出された呼気を受けるように構成された呼気入力インターフェースと、前記呼気入力インターフェースに接続された第1の導管系統と、前記第1の導管系統と呼気試料を貯留するように構成された少なくとも1つの呼気試料貯留装置との間の流体連通を制御するように構成されたバルブと、最初に受けた吐出された呼気の完了時に前記第1の導管系統を通して空気を循環させるように構成された空気循環システムと、前記第1の導管系統内の湿度レベルに少なくとも部分的に基づいて、前記最初に受けた呼気の完了時に前記バルブを制御するように構成された少なくとも1つのコントローラとを備える。
【0041】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記湿度レベルの変化率が湿度レベル変化率目標範囲内であるかどうかに少なくとも部分的に基づいて前記バルブを制御するように構成され得る。前記少なくとも1つのコントローラは、前記第1の導管系統内の前記湿度レベルの前記変化率が前記湿度レベル変化率目標範囲内になるまで、前記バルブを閉じて前記第1の導管系統から前記少なくとも1つの呼気試料貯留装置への後続の吐出された呼気の通過を抑制するように構成され得る。前記装置はさらに、前記第1の導管系統に接続され、前記第1の導管系統内の前記湿度レベルを測定するように構成された湿度計を含み得る。前記装置はさらに、前記第1の導管系統内の前記湿度レベルの前記変化率が前記湿度レベル変化率目標範囲内にあるときにそれを示すための通知システムを含み得る。
【0042】
前記第1の導管系統は、前記呼気入力インターフェースと前記バルブとの間に延在する呼気吸込導管を含み得、前記湿度計は、前記呼気吸込導管から分岐する前記第1の導管系統の排気導管に接続され得る。前記流体循環システムは前記排気導管に直接接続され得る。前記排気導管は、前記排気導管に沿った流量を測定するように構成された流量計を含み得る。
【0043】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記湿度レベルが湿度レベル目標範囲内にあるかどうかに少なくとも部分的に基づいて前記バルブを制御するように構成され得る。前記少なくとも1つのコントローラは、前記第1の導管系統内の前記湿度レベルが前記湿度レ
ベル目標範囲内になるまで、前記バルブを閉じて前記第1の導管系統から前記少なくとも1つの呼気試料貯留装置への後続の吐出された呼気の通過を抑制するように構成され得る。
【0044】
別の態様では、呼気試料の採取方法が提供され、前記方法は、吐出された呼気を、第1の導管系統に接続された呼気入力インターフェースを介して受けるステップと、前記第1の導管系統に接続された少なくとも1つの呼気試料貯留装置を介して前記吐出された呼気の少なくとも一部を採取するステップと、前記吐出された呼気の完了を検出するステップと、前記吐出された呼気の前記完了の検出時に前記第1の導管系統と前記少なくとも1本の吸着剤チューブの間のバルブを閉じるステップと、前記吐出された呼気の前記完了を検出した後に、前記呼気入力インターフェースに接続された第1の導管系統を通して空気を循環させるステップと、前記第1の導管系統内の湿度レベルを監視するステップと、少なくとも1つのコントローラを介して、前記第1の導管系統内の前記湿度レベルに少なくとも部分的に基づいて、前記バルブを制御するステップとを含む。
【0045】
前記制御するステップは、前記湿度レベルの変化率が湿度レベル変化率目標範囲内であるかどうかを判断することを含み得る。前記方法はさらに、前記第1の導管系統内の前記湿度レベルの変化率が前記湿度レベル変化率目標範囲内になるまで、前記バルブを閉じて、前記第1の導管系統から前記少なくとも1つの呼気試料貯留装置への後続の吐出された呼気の通過を抑制するように制御するステップを含み得る。前記方法はさらに、前記第1の導管系統に接続された湿度計を介して前記第1の導管系統内の前記湿度レベルを測定するステップを含み得る。前記方法はさらに、前記湿度レベルの前記変化率が前記湿度レベル変化率目標範囲内にあるときにそれを示すステップを含み得る。
【0046】
前記第1の導管系統は、前記呼気入力インターフェースと前記バルブとの間に延在する呼気吸込導管を含み得、前記湿度レベルの前記測定ステップは、前記呼気吸込導管から分岐する前記第1の導管系統の排気導管に接続された湿度計によって実行される。前記流体循環システムは前記排気導管に直接接続され得る。前記方法はさらに、前記排気導管に沿った流量計を介して、前記排気導管に沿った流量を測定するステップを含み得る。
【0047】
前記制御するステップは、前記湿度レベルが湿度レベル目標範囲内であるかどうかを判断することを含み得る。前記方法はさらに、前記第1の導管系統内の前記湿度レベルが前記湿度レベル目標範囲内になるまで、前記バルブを閉じて、前記第1の導管系統から前記少なくとも1つの呼気試料貯留装置への後続の吐出された呼気の通過を抑制するように制御するステップを含み得る。
【0048】
さらなる態様では、呼気試料の採取装置が提供され、前記装置は、吐出された呼気を受けるように構成された呼気入力インターフェースと、前記呼気入力インターフェースに接続された第1の導管系統と、前記呼気入力インターフェースと前記呼気採取システムとの間に延在する前記第1の導管系統の呼気取込導管を介して呼気入力インターフェースに接続された少なくとも1つの呼気試料貯留装置とを備え、前記少なくとも1つの呼気試料貯留装置は、前記呼気の前記少なくとも一部を捕捉するように構成され、さらに、少なくとも1つの特性を測定するための少なくとも1つの計量装置を備え、前記少なくとも1つの計量装置は、前記呼気取込導管から分岐する前記第1の導管系統の前記排気導管に沿って配置されている。
【0049】
前記少なくとも1つの計量装置は、前記第1の導管系統の前記排気導管に沿った前記吐出された呼気の流量を測定する流量計を含み得る。前記少なくとも1つの計量装置は、前記第1の導管系統の前記排気導管に沿って配置され、前記吐出された呼気中の二酸化炭素レベルを測定するカプノメータを含み得る。
【0050】
前記少なくとも1つの計量装置は、吐出導管内の湿度レベルを測定するために、前記第1の導管系統の前記排気導管に沿って配置された湿度計を含み得る。前記装置はさらに、前記排気導管を通して空気を流すために、前記第1の導管系統の前記排気導管に沿って配置されたポンプを含み得る。
【0051】
さらに別の態様では、呼気試料の採取方法が提供され、前記方法は、吐出された呼気を呼気入力インターフェースを介して受けるステップと、呼気入力インターフェースに接続された第1の導管系統を含み、さらに、前記呼気入力インターフェースと呼気採取システムとの間に延在する第1の導管系統の呼気吸込導管を介して前記呼気入力インターフェースに接続されている前記呼気採取システムを介して呼気を捕捉するステップと、前記排気導管に沿って配置された少なくとも1つの計量装置を介して前記呼気吸込導管から分岐する前記第1の導管系統の排気導管に沿って少なくとも1つの特性を測定するステップを含む。
【0052】
前記少なくとも1つの計量装置は流量計を含み得、前記少なくとも1つの特性は、前記排気導管に沿った前記吐出された呼気の流量を含み得る。
【0053】
前記少なくとも1つの計量装置はカプノメータを含み得、前記少なくとも1つの特性は、前記吐出された呼気の二酸化炭素レベルを含み得る。
【0054】
前記方法はさらに、前記第1の導管系統の前記排気導管に沿って配置された湿度計を介して、前記排気導管に沿った湿度レベルを測定するステップを含み得る。前記方法はさらに、前記排気導管に沿って配置されたポンプを介して前記排気導管を通して空気を流すステップを含み得る。
【0055】
さらに別の態様では、呼気試料の採取装置が提供され、前記装置は、吐出された呼気を受けるように構成された呼気入力インターフェースと、前記吐出された呼気の少なくとも一部を受けるために前記呼気入力インターフェースに接続され、制御可能な容積のキャビティを有する容器と、前記呼気入力インターフェースによって受けた前記吐出された呼気の流量に最大限でも等しい容積増加率で増加するように前記キャビティの前記容積を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラとを備えている。
【0056】
第1の導管系統の呼気吸込導管は、前記呼気入力インターフェースから前記容器に向かって延びることができ、前記第1の導管系統の排気導管は、その第1の端部で前記呼気採取部から分岐し、その第2の端部にアウトレットを有する。前記装置はさらに、前記排気導管に沿った流量を測定するように配置された流量計を含み得る。前記容器の前記容積の容積増加率は、前記排気導管に沿った流量に比例し得る。前記容器の前記容積は、前記少なくとも1つのコントローラによって直接機械的に制御可能であり得る。前記容器は、その中に配置された作動可能なピストンを有するピストン室を含み得、前記ピストン室内の前記ピストンの位置が前記キャビティの前記容積を規定する。前記装置はさらに、前記ピストン室への前記吐出された呼気の移動を制御するように配置されたバルブを含み得る。前記装置はさらに、前記容器に接続された少なくとも1本の吸着剤チューブを含み得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記バルブを閉じるように制御し、前記ピストンの作動を制御して前記少なくとも1本の吸着剤チューブを通して前記キャビティ内の前記呼気を推進するように構成される。
【0057】
前記容器は、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクルを含み得、前記装置はさらに、前記呼気入力インターフェースと前記容器の中間に構成されて、前記少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル内に前記呼気を前記容積増加率で推進するこ
とができるポンプを含み得る。前記装置はさらに、前記少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクルに接続された少なくとも1本の吸着剤チューブを含み得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記少なくとも1本の吸着剤チューブの部分集合を介して前記キャビティ内の前記呼気を推進するように前記ポンプを制御するように構成されている。前記装置はさらに、前記ピストン室への前記吐出された呼気の移動を制御するように配置されたバルブを含み得る。
【0058】
前記装置はさらに、前記ピストン室への前記吐出された呼気の移動を制御するように配置されたバルブを含み得る。前記装置はさらに、前記排気導管内の成分レベルを測定するように配置された計量装置を含み得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記成分レベルが成分レベル目標範囲内にあるかどうかを判断し、前記成分レベルの変化率が成分レベル変化率目標範囲内にあるかどうかを判断し、前記成分レベルが前記成分レベル目標範囲内にあるかどうか、および前記変化率が前記成分レベル変化率目標範囲内にあるかどうかに少なくとも部分的に基づいて前記バルブを開くように制御するように構成され得る。前記計量装置はカプノメータであり得、前記成分レベルは二酸化炭素レベルであり得、前記成分レベル目標範囲は二酸化炭素レベル目標範囲であり得、前記成分レベル変化率目標範囲は二酸化炭素レベル変化率目標範囲であり得る。
【0059】
前記装置はさらに、前記呼気入力インターフェースから前記容器に向かって延びる第1の導管系統の呼気吸込導管と、前記呼気吸込導管に沿った前記吐出された呼気の流量を測定するように配置された流量計とを含み得る。前記容器の前記容積の前記容積増加率は、前記呼気吸込導管に沿った前記流量に比例させることができる。前記容器の前記容積は、前記少なくとも1つのコントローラによって直接機械的に制御可能であり得る。前記容器は、その中に配置された作動可能なピストンを有するピストン室を含み得、前記ピストン室内の前記ピストンの位置がキャビティの前記容積を規定する。前記装置はさらに、前記ピストン室への前記吐出された呼気の移動を制御するように配置されたバルブを含み得る。前記装置はさらに、前記容器に接続された少なくとも1本の吸着剤チューブを含み得、前記少なくとも1つのコントローラは、前記バルブを閉じるように制御し、前記ピストンの作動を制御して前記少なくとも1本の吸着剤チューブの部分集合を通して前記キャビティ内の前記呼気を推進するように構成される。
【0060】
前記容器は、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクルを含み得、前記装置はさらに、前記呼気入力インターフェースと前記容器の中間に構成され、前記容積増加率で前記呼気を前記少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル内へと推進するポンプを含み得る。
【0061】
さらに別の態様では、呼気試料の採取方法が提供され、前記方法は、吐出された呼気を呼気入力インターフェースを介して受けるステップと、前記呼気入力インターフェースに接続された容器に前記吐出された呼気の少なくとも一部を貯留するステップを含み、前記容器は制御可能な容積のキャビティを有し、さらに、少なくとも1つのコントローラを介して、前記呼気入力インターフェースによって受けた前記吐出された呼気の流量に最大限でも等しい容積増加率で前記容器の前記容積を増加するように制御するステップを含む。
【0062】
第1の導管系統の呼気吸込導管は、前記呼気入力インターフェースから前記容器に向かって延びることができ、前記第1の導管系統の排気導管は、その第1の端部で呼気採取部から分岐してよく、その第2の端部にアウトレットを有する。前記方法はさらに、流量計を介して前記排気導管に沿った流量を測定するステップを含み得る。前記容器の前記容積の前記容積増加率は前記流量に比例し得る。前記方法はさらに、前記容器の前記容積を直接機械的に制御するステップを含み得る。前記容器は、ピストンが配置されるピストン室を含み得、前記ピストンの位置がキャビティの前記容積を規定し、前記直接機械的に制御
するステップは前記ピストンを作動させることを含む。前記方法はさらに、前記呼気入力インターフェースと前記容器との間に配置されたバルブを介して、前記ピストン室に前記吐出された呼気を移動させるステップを含み得る。前記方法は、前記バルブを閉じるように制御するステップと、前記ピストンの作動を制御して、前記容器に接続された少なくとも1本の吸着剤チューブを通して前記キャビティ内の呼気を推進するステップを含み得る。
【0063】
前記容器は、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクルを含み得、前記方法はさらに、前記呼気入力インターフェースと前記容器の中間のポンプを介して、前記容積増加率で前記少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル内へと前記吐出された呼気を推進するステップを含み得る。
【0064】
前記方法はさらに、前記ポンプを制御して、前記少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクルに接続された前記少なくとも1本の吸着剤チューブの部分集合を通して前記キャビティ内の前記呼気を推進するステップを含み得る。前記方法は、バルブを介して前記ピストン室への前記吐出された呼気の移動を制御するステップを含み得る。
【0065】
前記方法はさらに、バルブを介して前記ピストン室への前記吐出された呼気の移動を制御するステップを含み得る。前記方法はさらに、前記排気導管内の成分レベルを測定するステップと、前記少なくとも1つのコントローラを介して、前記成分レベルを成分レベル目標範囲と比較するステップと、前記成分レベルの変化率を成分レベル変化率目標範囲と比較するステップと、前記成分レベルが前記成分レベル目標範囲内にあるかどうか、および前記変化率が前記成分レベル変化率目標範囲内にあるかどうかに少なくとも部分的に基づいて前記バルブを開くように制御するステップを含み得る。前記成分レベルは二酸化炭素レベルであってもよく、前記成分レベル目標範囲は二酸化炭素レベル目標範囲であってもよく、前記成分レベル変化率目標範囲は二酸化炭素レベル変化率目標範囲であってもよい。
【0066】
第1の導管系統の呼気吸込導管は、前記呼気入力インターフェースから前記容器に向かって延びることができ、前記方法はさらに、流量計を介して前記呼気吸込導管に沿った前記吐出された呼気の流量を測定するステップを含み得る。前記容器の前記容積の前記容積増加率は前記流量に比例し得る。前記方法はさらに、前記少なくとも1つのコントローラによって前記容器の前記容積を直接機械的に制御するステップを含み得る。前記容器は、その中に配置された作動可能なピストンを有するピストン室を含み得、前記方法はさらに、キャビティの前記容積を規定する前記ピストン室内の前記ピストンの位置を作動させるステップを含み得る。前記方法はさらに、バルブを介して前記ピストン室への前記吐出された呼気の移動を制御するステップを含み得る。前記方法はさらに、前記バルブを閉じるように制御するステップと、前記ピストンの作動を制御して、前記容器に接続された少なくとも1本の吸着剤チューブの部分集合を通して前記キャビティ内の前記呼気を推進するステップを含み得る。
【0067】
前記容器は、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクルを含み得、前記方法はさらに、前記呼気入力インターフェースと前記容器の中間に配置されたポンプを介して、前記少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクルへと前記容積増加率で前記呼気を推進するステップを含み得る。
【0068】
他の技術的利点は、以下の図および説明を検討すれば、当業者にとって容易に明らかになるであろう。
【0069】
本明細書に記載される実施形態(複数可)のより良い理解のために、および実施形態(
複数可)がどのように実施され得るかをより明確に示すために、次に、例示としてのみ、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】呼気試料採取装置を、その一実施形態に従って示す図である。
【
図2】
図1の装置と共に使用する吸着剤チューブを示す概略図である。
【
図3】
図1の装置を用いて呼気を採取する一般的な方法のフローチャートである。
【
図4A】周囲空気がピストン室に引き込まれている、
図1の呼気試料採取装置を示す図である。
【
図4B】周囲空気で装置をフラッシングしている間の、
図4Aの呼気試料採取装置を示す図である。
【
図4C】吸着剤チューブが
図4Aの呼気試料採取装置内に装着され、周囲空気が容器内に引き込まれているのを示す図である。
【
図4D】周囲空気が
図4Aの呼気試料採取装置内の吸着剤チューブの1つを通して押し出されているのを示す図である。
【
図4E】人が呼気試料採取装置への吹き込みを開始するときの
図4Aの呼気試料採取装置を示す図である。
【
図4F】呼気が肺胞呼気であると判断された後に呼気試料を採取する
図4Cの呼気試料採取装置を示す図である。
【
図4G】
図4Cの呼気試料採取装置を使用して呼気試料採取装置をプライミングする様子を示す図である。
【
図4H】吸着剤チューブが装填された後に呼気試料を採取している、
図4Cの呼気試料採取装置を示す図である。
【
図4I】吸着剤チューブのうちの1つを通して採取された呼気試料を流している、
図4Cの呼気試料採取装置を示す図である。
【
図5】呼気中の経時の二酸化炭素レベルを示すグラフである。
【
図6】ポンプによって湿気が除去されている間の、呼気試料採取装置内の湿度レベルを示す図である。
【
図7A】別の実施形態による、折り畳まれた袋を含む呼気試料の採取装置と、その動作環境を示す図である。
【
図8】さらなる実施形態に係る呼気試料採取装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
特に断らない限り、図面に描かれた物品は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【0072】
図示の単純化および明確化のために、適切と考えられる場合には、対応するまたは類似の要素を示すために、参照符号を図間で繰り返すことがある。さらに、多数の特定の詳細が、本明細書に記載された1つ以上の実施形態の徹底的な理解を提供するために規定される。しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者には理解されよう。他の例では、周知の方法、手順、および構成要素は、本明細書に記載される実施形態を不明瞭にしないように、詳細には記載されていない。典型的な実施形態が図に示され、以下に説明されるが、本開示の原理は、現在知られているか否かにかかわらず、任意の数の技術を使用して実施され得ることが最初に理解されるべきである。本開示は、図面に例示され、以下に説明される典型的な実施形態および技術に決して限定されるべきではない。
【0073】
本明細書全体を通して使用される様々な用語は、文脈が他に示す場合を除いて、以下のように読み解くことができる。全体を通して使用される「または」は、「および/または」と書かれたかのように包括的であり、全体を通して使用される単数形の冠詞および代名
詞は、それらの複数形を含み、逆に複数形は単数形を含み、同様に、性別の代名詞は、その対応する代名詞を含むので、代名詞は、本明細書に記載されるあらゆるものを単一の性別による使用、実施、性能などに制限するものとして理解すべきでなく、「典型的(exemplary)」は「例示(illustrative)」または「例示的(exemplifying)」として理解すべきであって、必ずしも他の実施形態よりも「好ましい」ものとは理解されない。用語の更なる定義が本明細書に記載され得るものであり、これらは、本明細書を読むことから理解されるように、それらの用語の先行および後続のインスタンスに適用され得る。
【0074】
本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されるシステム、装置、および方法に修正、追加、または省略を行ってもよい。例えば、システムおよび装置の構成要素は、統合されても分離されてもよい。さらに、本明細書に開示されるシステムおよび装置の動作は、より多数の、より少数の、または他の構成要素によって実行されてもよく、記載される方法は、より多数の、より少数の、または他のステップを含んでもよい。さらに、ステップは、任意の適切な順序で実行されてもよい。本書で使用される「各」は、集合の各構成要素または集合の部分集合の各構成要素を指す。
【0075】
命令を実行する本明細書に例示される任意のモジュール、ユニット、コンポーネント、サーバ、コンピュータ、端末、エンジンまたはデバイスは、例えば磁気ディスク、光ディスク、またはテープなどの記憶媒体、コンピュータ記憶媒体、またはデータ記憶デバイス(取り外し可能および/または取り外し不可能)などのコンピュータ可読媒体を含んでもよく、またはコンピュータ可読媒体にアクセスしてもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実装された揮発性および不揮発性、取り外し可能および取り出し不可能な媒体を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体の例は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、または所望の情報を記憶するために使用でき、アプリケーション、モジュールまたはその両方でアクセスできる他の任意の媒体を含む。そのようなコンピュータ記憶媒体はいずれも、デバイスの一部であってもよいし、それにアクセス可能または接続可能であってもよい。さらに、文脈上特に明記されていない限り、本明細書で規定される任意のプロセッサまたはコントローラは、単数のプロセッサとして実装されてもよく、複数のプロセッサとして実装されてもよい。複数のプロセッサは、配列されても分散されてもよく、単一のプロセッサが例示されてはいるが、本明細書で言及される任意の処理機能は、1つのプロセッサによって実行されても、複数のプロセッサによって実行されてもよい。本明細書に記載される任意の方法、アプリケーションまたはモジュールは、そのようなコンピュータ可読媒体によって記憶されるかまたは他の方法で保持され、1つ以上のプロセッサによって実行され得るコンピュータ可読/実行可能命令を使用して実装され得る。
【0076】
図1に、一実施形態に係る呼気試料採取装置20が示されている。呼気試料採取装置20は、吐出された呼気が提供されるときとは非同期に、吸着剤チューブ内に呼気試料を採取することを可能にする。呼気試料採取装置20は、吐出された呼気を受けるための容器を含む。呼気は、その後、呼気を受けるときとは非同期に、1本以上の吸着剤チューブを通して流される。呼気を1本以上の吸着剤チューブを通して流すことは、正の相対圧力差を生成して呼気を推進することによって、負の相対圧力差を生成して呼気を引き込むことによって、または他の任意の適切な方法で実行され得る。その結果、吸着剤チューブによる呼気の吸着がより厳密に制御され得る。
【0077】
呼気試料採取装置20は、人から吐出された呼気を受けるための呼気入力インターフェ
ース24を含む。呼気入力インターフェース24は、事前採取導管系統46の呼気吸込導管44の呼気吸込端40に固定されるマウスピース36を含む。
【0078】
マウスピース36は、使い捨て/交換できるように、好ましくは安価なポリプロピレンまたは他の好適に安全な材料製である。さらに好ましくは、マウスピース36は、揮発性有機化合物(「VOC」)をオフガスしないか、または呼気試料を著しく汚染しないように低速でVOCをオフガスする。マウスピース36は、バクテリアおよび微粒子を試料から排除するために、ウイルス/バクテリアフィルタを含み得る。マウスピース36を使い捨てにすることにより、各患者に新しいフィルタを提供して、試料の二次汚染およびウイルス、細菌等の伝播を回避することができる。
【0079】
マウスピース36のポリプロピレンは透明であり、湿度が高い場合にはわずかに曇る。呼気試料採取装置20内に結露があることは望ましくない場合があるので、この特徴を用いて、結露を可視検出できる。
【0080】
他の実施形態では、呼気入力インターフェースは、他の動物からの呼気を受けるように構成され得る。
【0081】
呼気試料採取装置20の導管は、不活性コーティングで被覆されたステンレス鋼製である。不活性コーティングは、シリカベースまたは石英材料などの任意の好適に不活性な物質製であり得る。
【0082】
排気導管48は、その第1の端部で呼気吸込導管44に接続され、そこから分岐している。排気導管48内の湿度を測定するための湿度計52を含む一組の計量装置が排気導管48に沿って配置されている。結露は、この結露によって人の呼気の成分が捕捉され、よって採取された呼気の試料に正確に表れないという点で、呼気試料採取装置20の機能を悪化させる可能性がある。さらに、あるレベルの湿度および/または結露は、呼気試料採取装置20の他の構成要素の機能に影響を与える可能性がある。排気導管48に沿ってカプノメータ56が配置され、患者の呼気の二酸化炭素含有量を測定する。同様に、排気導管48に沿って、排気導管48に沿った呼気の流量を測定する流量計60が配置されている。排気導管48に沿った低圧抵抗部分64は、排気導管48の第2の端部にある排気導管アウトレット68に向かう排気導管48に沿ったガスの流れに対して低い量の抵抗を与える。低圧抵抗部分64は、排気導管48上のキャップとして機能し、戻り拡散ガスが排気導管48に入るのを抑制する一方、必要に応じてガスが両方向に流れるのを許容する。可撓性のまたはヒンジ式フラップ、絞られた断面または方向の変化(複数可)を有する導管のセクションなど、任意の適切な構造を用いて、低圧抵抗部分64を提供してもよい。
【0083】
空気循環システムは、排気導管48から分岐し、モータによって駆動されるポンプ72で終端するポンプ導管76を含む。ポンプ72は、必要に応じて、マウスピース36を介するなどして、排気導管48および呼気吸込導管44を通して周囲空気を引き込み、周囲の環境に排出するように構成される。気体と共に使用するのに適した任意の流体ポンプが採用され得る。
【0084】
マウスピース36および導管部分44、48の内径サイズは、マウスピース36を通る呼気の吐出に対して軽微な抵抗しか与えないように選択される。さらに、導管部分44、48は、所望により加熱または冷却して、そこに沿って結露が形成されるのを制御することができる。これは、結露が吸着剤チューブなどの呼気試料採取装置に通過する可能性を低くするために望ましくあり得る。
【0085】
呼気採取バルブ80は、呼気吸込導管44に接続され、呼気吸込導管44の呼気入力イ
ンターフェース24から呼気捕捉導管系統82の呼気採取導管84への気体の流れを制御する。呼気吸込導管44は、呼気入力インターフェース24と呼気捕捉導管系統82との間の直接経路の一部を形成する。吸込バルブ88は、周囲空気インレット92を介して呼気採取導管84に出入りする気体の流れを制御する。エアフィルタ96は、周囲空気インレット92と吸込バルブ88との間に配置され、入ってくる周囲空気をフィルタリングして、その中への粒子状汚染の侵入を抑制する。
【0086】
容器は、呼気採取導管84と流体連通しており、呼気採取導管から受けた呼気を貯留するように構成される。この実施形態における容器は、ピストン室100の内壁によって少なくとも部分的に規定されたキャビティ104をその中に有するピストン室100を含む。ピストン室100は、2リットルの容量を有し、任意の適切な断面形状を有し得る。ピストン108は、ピストン室100に形状が対応し、ピストン室100内に配置され、ピストンモータ112によって駆動される。ピストン108は、ピストン室100の側面に対して密封して気密シールを提供する。ピストンモータ112は、ピストン室100内でピストン108を作動させる任意の適切なタイプのモータであり得る。
【0087】
キャビティ104の容積は、ピストンモータ112によるピストン室100内でのピストン108の位置決めによって直接機械的に制御可能である。さらに、キャビティ104の容積変化率は、対応する速度でピストン室100内でピストン108を作動させて、ピストン室100内へとさらに移動することによって、キャビティ104の容積を増加させて容積増加率を規定するか、またはピストン室100からさらに外に移動することによって、キャビティ104の容積を減少させて容積減少率を規定するかのいずれかによって制御可能である。
【0088】
別の実施形態では、ピストン室は内部空間を有するように構成され、ピストンは、ピストン室の内部空間を通って摺動可能に移動するための同様の断面形状を有している。
【0089】
呼気採取導管84はチューブマニホールド116に接続されている。チューブインレットマニホールド116は4つのチューブインレットバルブ120に分岐している。バイパス導管124は、呼気採取導管84から分岐し、バイパス導管124に沿って配置されたバイパスバルブ128を有し、そこに沿った気体の流れを防止または許容する。アウトレットバルブ132は、アウトレット136に向かって配置され、アウトレット136を通る気体の流れを制御する。チューブアウトレットマニホールド140は、バイパス導管124に接続され、4つのチューブアウトレットバルブ144に分岐する。チューブインレットバルブ120およびチューブアウトレットバルブ144は、吸着剤チューブを受容するためのコネクタを有する。他の実施形態では、呼気試料採取装置20は、任意の数の吸着剤チューブを受け入れ、使用するように構成され得る。
【0090】
コントローラ148は、呼気試料採取装置20の動作を制御する。コントローラ148は、バルブ80、88、120、128、132、および144に接続され、本明細書で後述するようにこれらのバルブを開閉させる。他の実施形態では、コントローラ148の機能は、2つ以上のコントローラによって実行され得る。
【0091】
ディスプレイ150は、コントローラ148によって制御され、人に指示や情報を提示するとともに、手順の完了度、残り時間の推定量など、呼気試料採取装置20によって採取された測度も提示する。
【0092】
呼気が接触する内部構成要素は、一般に不活性である。導管およびバルブは、ステンレス鋼製であり、不活性コーティングが施されている。バルブ内のシーリング要素は、フルオロエラストマー材料の族であるFKM、またはオフガスの割合が非常に低い他の適切な
弾性材料製である。ポリプロピレン製マウスピース36はオフガスすることがあるが、そのレベルは許容される公差レベル内である。
【0093】
ここで
図2を参照すると、例示的な吸着剤チューブ152が示されている。吸着剤チューブ152は、その各端部に開口部160を規定している、チューブ状のステンレス鋼ケーシング156を有している。吸着剤チューブ152の受端164は、吸着されるべき気体流体を受ける。典型的な記載された実施形態では、気体流体は、試験用にヒトから採取されたヒトの呼気である。泡沫分離器168が受端に向かって配置され、ステンレス鋼ケーシング156の断面にわたって流体圧力をより均一に分散させるように構成される。吸着材172は、泡沫分離器168および別の泡沫分離器110に隣接して配置される。分離器は、代替的に、金網または他の適切な材料で作製されてもよい。吸着材172は、非常に多孔質で、比較的高い表面積を有し、他の化合物の存在下でも目的の化合物を捕捉し保持するために、特定の化合物をサンプリングするために選択される。さらに、吸着材172は、採取された化合物を分析のために容易に脱着または抽出することを可能にする。さらに、選択される固体吸着材は試料と反応しない。特定の実施例では、固体吸着材はテナックス(Tenax)TAまたは炭素材料である。気体流体が受端164を介して受けられると、試料は、吸着剤チューブ152の受端164に向けてより濃縮される。他の実施形態では、吸着剤チューブの組成および構成は、当業者によって理解されるように、様々であり得る。
【0094】
次に、呼気試料採取装置20を使用して呼気試料の採取方法200を、
図1、3、および4A~4Gを参照しながら説明する。
【0095】
方法200は、システム内に周囲空気を引き込むことで開始する(210)。システムは、周囲空気を引き込み、次に導管44、48、68、76、84、および124を通して排出することによって、あらゆる淀んだ残留空気をフラッシングする。これは、現在採取されている呼気と前の人からの呼気との相互汚染がないことを確実にするために行われる。システム内の淀んだ室内空気は、このフラッシング中に新鮮な室内空気と入れ替わる。
【0096】
まず、バルブ80、120、および128が閉じていることが確認される。次に、コントローラ148は、吸込バルブ88を開くように指示し、ピストンモータ112を動作させて、ピストン室100内のピストン108を後退させるように指示する。ピストン室100内でピストン108が後退されると、ピストン室100の内壁と、そこに気密に封入されているピストン108とによって規定されるキャビティ104の容積が増加する。その結果、キャビティ104内の圧力は急速に低下する。周囲空気は、周囲空気インレットおよびエアフィルタ96を通って、キャビティ104内に引き込まれる。
【0097】
図4Aは、引き込まれた周囲空気で満たされたキャビティ104を示す。以下、説明のために、開いているバルブは点刻を含み、閉じているバルブには点刻がない。エアフィルタ96は、周囲空気が吸い込まれているとき、且つ呼気採取導管84に入る前に、周囲空気から微粒子を除去する。この周囲空気の吸入の間、呼気採取バルブ80は閉じているが、前の人の呼気の痕跡が、呼気吸込導管44に沿って、および排気導管48に沿って存在することがある。呼気採取バルブ80を閉じたままにして、周囲空気のみを取り込み、エアフィルタ96を介して濾過するようにすることが望ましい。
【0098】
周囲空気をピストン室100に引き込むと、その周囲空気はシステムをフラッシングするために使用される(208)。コントローラは、ピストン室100内のピストン108を後退させると、吸込バルブ88を閉じ、次に他の全てのバルブを開く。バルブ80、120、128、132、および144が開かれると、コントローラ148は、ピストンモ
ータ112に指示して、ピストン108をピストン室100内へと駆動し、そこにある周囲空気を、呼気吸込導管44を通ってマウスピース36を出るように、排気導管48を通って排気導管アウトレット68から出るように、呼気採取導管84およびチューブインレットマニホールド116を通ってチューブインレットバルブ120から出るように、また、バイパス導管124およびチューブアウトレットマニホールド140を通ってアウトレット136とチューブアウトレットバルブ144から出るように付勢する。その結果、システムの導管は、周囲空気で有効に満たされる。
【0099】
図4Bは、呼気試料採取装置20のフラッシングを示す。
【0100】
システムが周囲空気でフラッシングされた後で、バルブ80、120、132、および144は、再び閉じられる。
【0101】
フラッシングを完了すると、コントローラ148は、フラッシングを繰り返すかどうかを判断する(212)。フラッシングは、前の人の呼気が、採取する呼気の試料を汚染する確率を減らすために、約10~20リットルの空気で5~10回繰り返される。必要な回数のフラッシングがまだ完了していないと判断された場合、コントローラ148は、204で再び周囲空気を引き込むプロセスを開始する。
【0102】
代わりに、十分なフラッシングが行われたと判断された場合、1本以上の吸着剤チューブ152a~152d(或いは、以下、吸着剤チューブ152と総称する)が呼気試料採取装置20に装填される(213)。バイパスバルブ128とアウトレットバルブ132は閉じている。その後、1~4本の吸着剤チューブ152が呼気試料採取装置20に装填される。
【0103】
この実施形態では、呼気試料を比較することができる対照として、周囲空気の試料が使用される。呼気試料を提供する間に人が吸い込む周囲空気は、呼気試料の分析中に計量されるいくつかの化合物を含み得る。呼気試料採取装置20が位置する空間の周囲空気中のこれらの化合物を特定するために、周囲空気を、1本以上の吸着剤チューブ152に吸着させることができる。呼気試料採取装置20は、呼気の採取と幾分類似した方法で周囲空気の採取を行う。したがって、少なくとも2本の吸着剤チューブ152は、少なくとも1本が周囲空気を捕捉でき、少なくとももう1本が呼気を捕捉できるように装填される。
【0104】
吸着剤チューブが装填されると、
図4Cに示すように、周囲空気がピストン室100に引き込まれる(214)。ピストンモータ112を制御してピストン108を作動させることにより、呼気試料採取装置20がある部屋の周囲空気を引き込む。ピストン108がピストン室100内で後退されると、キャビティ104の大きさが増大し、周囲空気は、インレット92を介して、エアフィルタ96およびインレットバルブ88を通ってキャビティ104内に引き込まれる。
【0105】
周囲空気がピストン室100内に引き込まれると、周囲空気は、
図4Dに示すように、吸着剤チューブ152の部分集合を通して流される(215)。コントローラ148は、チューブインレットバルブ120のうち第1のチューブインレットバルブと、チューブアウトレットバルブ144のうち第1のチューブアウトレットバルブと、アウトレットバルブ132を開く。次に、コントローラ148は、ピストンモータ112に指示して、ピストン108を作動させ、ピストン室100内へと移動させてキャビティ104の容積を減少させる。キャビティ容積が減少するにつれ、キャビティ104内の周囲空気は、第1の吸着剤チューブ152aを通り、アウトレット136を通って外へ押し出される。周囲空気が吸着剤チューブ152aを通して流される速度は、時間効率的でありながら効果的な吸着を提供するように選択される。
【0106】
周囲空気試料を捕捉するために吸着剤チューブ152aを通して流すべき周囲空気の目標体積がピストン室の容量(約2リットル)を超えると判断される場合、周囲空気試料が吸着剤チューブ152aに捕捉されるまで、214および215が必要に応じて繰り返される。
【0107】
次に、呼気試料が採取される人180は、
図4Eに示されるように、「呼気事前採取」と呼ばれるプロセス中にマウスピース36に呼気を吐出するようにディスプレイ150を介して指示される(216)。「呼気事前採取」は、呼気試料採取装置20の動作のために定められた基準に従って、所定の方法で呼気試料採取装置20に呼気を吐出する感覚を人180に慣らすために使用される。ディスプレイ150は、毎分20リットルという目標呼気量に関する指示を人180に提示する。呼気試料採取装置20に呼気を吐出する方法について人180を慣らすことによって、人180は典型的には呼気がより安定するようになる。人は、典型的には、たった1回でも呼気吐出の訓練を行えば、自分の呼気量を制御することが格段にうまくなる。さらに、呼気事前採取段階中に提供された呼気を用いて、システムの導管をプライミングする。
【0108】
呼気採取バルブ80が閉じられると、人180によって吐出される呼気は、呼気吸込導管44を通り、排気導管48に沿って移動する。
【0109】
呼気事前採取段階中に、カプノメータ56は、空気をサンプリングして、その中の二酸化炭素のレベルを測定する。カプノメータ56は空気を頻繁にサンプリングしているので、カプノメータ56は二酸化炭素のレベルの変化率も測定することができる。流量計60は呼気の流量を測定する。低圧抵抗部分64は、人180による呼気に対して非常に低い流量制限を与え、呼気は排気導管アウトレット68を通って出る。
【0110】
コントローラ148は、カプノメータ56および流量計60からの信号を常に監視し、一組の呼気採取基準が満たされているかどうかを判断する。これらの呼気採取基準は、(a)カプノメータ56によって報告された二酸化炭素レベルが最小閾値と無限上限によって定義される目標範囲内にあり、(b)二酸化炭素レベルの変化率が無限下限と変化率最大閾値によって定義される変化率目標範囲内にあり、(c)呼気吐出の流量が最小流量閾値と最大流量閾値によって定義される目標範囲内にあることである。本実施形態では、最小流量閾値は20リットル/分であり、最大流量閾値は25リットル/分である。呼気の流量が目標範囲内であることは、人180によって提供される呼気に一貫性を与える。理解されるように、目標範囲は、目標範囲の一方の境界における閾値によって定義されると言えるが、それは、他方の境界は、無限またはゼロ境界等で論理的に充足され得るからである。
【0111】
人180の呼気の第1の部分は、肺での酸素/二酸化炭素交換が起こらなかった口または/および喉からの空気を含み、それによってより高い割合の酸素を与える。人180が呼気を吐出し続けるにつれ、呼気のより大きな部分は、酸素/二酸化炭素交換が起こる肺からのものである。その結果、血流から放出される二酸化炭素が呼気のより大きな付随部分(約3~7%)になる。そして、二酸化炭素の変化率が急激に減少したところで、二酸化炭素レベルはニー(knee)に当たる。これは、口や気管からの呼気ではなく、肺の中からの呼気であることを示している。このような呼気は肺胞呼気と呼ばれる。本実施形態では、二酸化炭素レベルの目標範囲は、呼気の3%から無限上限までであり、二酸化炭素レベルの変化率目標範囲は1秒間に呼気の0%~2%である。
【0112】
図5は、閾値Ωに対する前記吐出された呼気中の経時の二酸化炭素レベルを示す。肺胞呼気が吐出されるまで二酸化炭素レベルの変化率は概ね一貫して上昇し、その時点で二酸
化炭素レベルの変化率は大きく低下する。この変化率はニー(knee)Kとして反映される。その後、吐出された呼気中の二酸化炭素レベルは安定する。
【0113】
本構成において、呼気の採取基準は以下の通りである。二酸化炭素レベルが閾値の2%以上である。このレベルは、大気中のレベルを十分に上回っているが、人において見られると予想されるレベル(例えば、肺機能が低下している人からは3%が最低)より下である。二酸化炭素レベルの変化率は所定の閾値以下である。さらに、呼気吐出の流量が1分間に20リットルを超えている。
【0114】
この3つの基準により、多くの場合、理想的でない状況下での呼気採取の発動が防止される。
【0115】
3つの基準すべてが満たされると、
図4Fに示されるように、呼気採取が開始される(224)。3つの基準が満たされると、コントローラ148は、呼気採取バルブ80を開き、ピストンモータ112に指示してピストン108を駆動させ、呼気を受けるにつれてキャビティ104の容積を増加させるようにする。ピストン108は、キャビティ104の容積増加率を提供するために、流量計60によって報告される流量に依存する速度で作動するように制御される。この特定の実施形態では、ピストン108を作動させる結果として達成されるキャビティ104の容積増加率は、排気導管48に沿って流量計60によって検出される流量に比例する。他の実施形態では、キャビティ104の容積変化率は、流量計60によって報告される流量の関数として異なる方式で変更され得る。
【0116】
キャビティ104の容積が大きくなるにつれ、生じた圧力差のために、人180が呼気を吐出することがより容易になる。人180が毎分20リットルで吐出している場合、キャビティ104の容積が増加した結果、毎分16リットルがシステム内の圧力差によって引き出されるため、人180は毎分4リットルに必要な力で呼気を出しているだけである。これは、肺癌および呼気器系疾患の場合であり得るように、力強く吐出する能力が低下した人が呼気試料を提供することを可能にすることができる。
【0117】
前に示したように、流量計60は、流量計60に付着した以前の呼気試料提供者からの呼気で現在採取された呼気試料が汚染されるのを抑制するために、気流用の通常下流経路に沿って位置決めされる。ピストン108の作動速度、ひいてはキャビティ容積の増加速度が固定されていた場合、人180がより速く吐出したときに、多少の呼気が流量計60を介して排出されることになる。このため、吐出された呼気が排気導管48に沿って所望量よりも多く逸出してしまい、流量がキャビティ104の容積増加率を下回ると問題が発生することがある。
【0118】
本構成では、コントローラ148は、ピストン108を制御して、流量計60によって測定された流量に依存する速度でキャビティ104の容積を増加させる。特に、キャビティ104の容積は、流量計60によって測定される流量の4倍で増加される。すなわち、キャビティ104の容積の増加は、人180から受けた呼気の80%を捕捉する。
【0119】
湿度計52、カプノメータ56、および流量計60は、全て、呼気吸込導管44から離れた排気導管48に沿って配置される。これらの計量装置はVOCをオフガス化することができる。さらに、これらの計量装置は、以前に呼気を採取した人の呼気によって汚染される可能性がある。これらの計量装置を排気導管48に沿って配置し、排気導管48に沿って呼気が、呼気吸込導管44沿いの直接経路から離れて流れることで、他の呼気またはオフガス化したVOCによる汚染は抑制される。さらに、これらの計量装置および導管には、不活性内部コーティングが設けられて、呼気またはオフガス化VOCがそれらの内部表面に付着する確率を低減し、それによって、以前に受けた呼気およびオフガス化VOC
による呼気試料の汚染の確率をさらに低減する。
【0120】
受けた呼気の一部を、湿度計52、カプノメータ56、および流量計60がそれに沿って配置されている排気導管48に沿って移動させることによって、全体的に概ね制限のない呼気吐出量が測定され得る。この呼気吐出量は、流量計60によって測定された流量に、ピストン108の位置の作動速度に基づいて測定されたキャビティ104の容積増加率を加えたものに等しい。そして、この呼気吐出量を用いて、キャビティ104の容積をどの程度の速さで増加させるかを判断することができる。キャビティ104の容積の増加速度を測定された呼気吐出量未満に保つことによって、呼気の一部は常に排気導管48の下を移動し、総合的呼気吐出量の継続的な監視を可能にする。
【0121】
総合的呼気吐出量の80%というこの比率は、人の吐出量が急速に低下した場合、呼気吐出量を超える可能性がほとんどなく、キャビティ104の容積増加率をわずかなラグで調整できるように、反応時間バッファを余裕をもって選択された。キャビティ104の容積増加率が人の呼気吐出量を超える場合、システム内の圧力差は、人から不自然に呼気を引き込み、それは望ましくない結果となり得、排気導管アウトレット68を介して周囲空気を引き込む可能性がある。
【0122】
総合的吐出量に関する情報は、ディスプレイ150で人180に提示され、人180が目標範囲内または少なくとも閾値速度で吐出するように促すことができる。
【0123】
人180が、閾値25リットル/分まで吐出量を増加させた場合、ピストン108は、コントローラによって、吐出された呼気の80%がキャビティ104内に採取されるようにキャビティ104の容積を増加させるように移動するように作動される。
【0124】
人180が吐出量を減少させた場合、ピストン速度は、キャビティ104の容積変化が常に吐出量未満であるように調整され、流量計ルートを介して空気が引き込まれず、流量計60を介して呼気の流量を計量できることを確実にする。
【0125】
流量計60で検出された流量が流量終端範囲に入ると、ピストン108の移動が停止され、ピストン室100での呼気の採取が停止される。本実施形態における流量終端範囲は、無限下限から1分間に2リットルの呼気までである。
【0126】
人180は、ピストン室100の全体を満たすだけの呼気を有していない場合がある。したがって、吐出量がある値より低下したことを流量計60が報告すると、ピストン108の移動、ひいては呼気の採取が停止される。
【0127】
次に、コントローラ148は、システムをプライミングするための目標体積が採取されたかどうかを判断する(228)。呼気試料採取装置20は、システムをプライミングするために1リットルの呼気を採取する。目標体積である1リットルより少ない呼気が採取された場合、コントローラ147は、216において呼気試料採取装置20を制御して、呼気事前採取を実行する。
【0128】
代わりに、228において、システムをプライミングするのに十分な呼気が採取されたと判断された場合、
図4Gに示されるように、採取された呼気を使用してシステムをプライミングする(232)。コントローラ184は、呼気採取バルブ80を閉じるように指示し、バイパスバルブ128およびアウトレットバルブ132を開くように指示する。さらに、ピストンモータ112は、ピストン108をピストン室100内へと駆動するように指示し、それによってキャビティ104の容積を減少させる。キャビティ104の容積が減少するにつれて(すなわち、容積減少率)、キャビティ104に含まれる呼気は、呼
気採取導管84、チューブインレットマニホールド116、チューブアウトレットマニホールド140、バイパス導管124、およびアウトレット136を通って推進される。これにより、これらの導管は、人180の採取された呼気でプライミングされる。
【0129】
捕捉導管系統82をプライミングすると、216から228で同じ一般的なアプローチを用いて、呼気が再び採取される。すなわち、呼気事前採取が再び行われる(240)。呼気事前採取の間、コントローラ148は、呼気吐出基準が満たされているかどうかを判断する(244)。満たされていれば、
図4Hに示されるように、呼気が採取される(248)。
【0130】
次に、吸着のための呼気の目標体積が採取されたか、またはピストン室100が満杯であるかどうかが判断される(252)。吸着剤チューブ(複数可)152に吸着させるための呼気の目標体積がまだ採取されていない場合、およびピストン室100が満杯でない場合、240における呼気事前採取から開始して、さらなる呼気が再び採取される。人180は、もう一度呼吸を行うように指示される。
【0131】
代わりに、252において、呼気の目標体積が採取されたこと、またはピストン室100が満杯であることが判断された場合、呼気は、吸着剤チューブ152の第2の部分集合を通して流される(256)。
図4Iは、ピストン室100が呼気で満たされたことを示す。コントローラ148は、吐出された呼気を受けるときとは非同期に、容器から吸着剤チューブ152の部分集合への呼気の少なくとも一部の流れを制御するように構成される。すなわち、容器から吸着剤チューブ152の部分集合への呼気の流れは、呼気を受けた後に発生しなければならないこととは別に、吐出された呼気を受けるタイミングとは無関係に実行され得る。第2の部分集合は、呼気試料採取装置20に接続された吸着剤チューブ152のうち、周囲空気と吸着していない任意の数の吸着剤チューブ152であり得る。導管をプライミングした後で、機械が満杯ピストン室分の呼気を採取すると、コントローラ148は、呼気採取バルブ80を閉じ、チューブインレットバルブ120のそれぞれを制御して、チューブインレットバルブ120をそれらの以前に閉じた状態または開いた状態のままにするか、チューブインレットバルブ120のそれぞれを開閉して、呼気のうち少なくとも一部が流される吸着剤チューブ152の部分集合を選択する。本実施形態では、コントローラ148は、試料が吸着される吸着剤チューブ152について、チューブインレットバルブ120およびチューブアウトレットバルブ144のうちの対応する1つを開くとともに、アウトレットバルブ132を開く。ピストン108は、コントローラ148によって、選択された吸着剤チューブ152を通して呼気を押し出す所定の速度で、そこにある呼気を緩慢に移動させるように制御される。
【0132】
呼気が吸着剤チューブ152の第2の部分集合を通して流されているとき、空気は、内部の結露を減らすために、事前採取導管系統46を通して同時に流される(260)。特に、コントローラ148は、ポンプ72をオンにして、マウスピース36および排気導管アウトレット68から、排気導管48を通して周囲空気を引き込み、ラインからの結露を緩和するのを補助するよう制御する。計量装置は、非常に湿度の高い条件下では最適に機能しないので、ポンプ72は、排気導管48内の結露/湿度を下げるように作用する。ポンプ72が作動すると、湿度計52を介して湿度レベルが監視される。
【0133】
図6は、湿度計52によって検出される湿度レベルの典型的な経時的グラフを示す。ポンプ72がt
1でオンにされる前では、湿度は第1のレベルh
1にある。透明なマウスピース36に高レベルの結露が観察され得る。ポンプ72がオンにされた後は、湿度が経時的に低下するため、湿度の変化率は負である。時刻t
2において湿度レベルの変化率が変化率目標範囲内にあるとき、コントローラ148は、事前採取導管系統46に結露が比較的なく、ポンプ72の運転を継続しても比較的価値が少ないと判断されるため、ポンプ7
2の運転を終了させる。この湿度レベル変化率目標範囲は、本実施形態では、毎秒-0.05%相対湿度~毎秒0%相対湿度であるが、他のシナリオでは変化させることが可能である。このようにして、呼気試料採取装置20は、それ以外はアイドルな時間中にメンテナンスを行うことができる。他の実施形態では、この結露低減段階は、湿度レベルが、ゼロから周囲空気の湿度レベルまでの湿度レベル目標値範囲外にあることに基づいて二次外部湿度計の使用を介して実行され得る。
【0134】
呼気が吸着剤チューブ152を通して流される速度は、1分間に500ミリリットルである。吸着剤チューブ152の漏出容量は、吸着剤流量に影響されることが分かっている。漏出容量は、試料の半分が吸着剤チューブ152に捕捉され、残りの半分が吸着剤チューブ152の反対側に流れ込む容量である。漏出容量では、吸着剤チューブ152内の吸着剤は、分子が捕捉されるのと同様に分子が通過しやすいように、十分な表面が使用されている点にある。吸着剤チューブ152を通過する呼気の流量を増加させると、漏出容量が減少する。これにより、捕捉された試料は、より重い分子に偏り、より小さい分子は少なくなる。吸着剤チューブ152を通る呼気の流量を制御することにより、特定の分子に対する吸着率を制御することができる。
【0135】
次に、目標体積が吸着剤チューブ152の部分集合を通して流されたかどうかが判断される(264)。所望量の呼気が未だ吸着剤チューブ152の部分集合を通して流されていない場合、方法200は240に戻り、ここで、吸着剤チューブ152の部分集合を通して流すために、より多くの呼気が採取される。
【0136】
現在選択されている吸着剤チューブ152を通して目標体積が流されたと判断すると、コントローラ148は、チューブインレットおよびアウトレットバルブ120、144を介して吸着剤チューブ152を通して呼気を流すことを終了し、吸着剤チューブ152のうち別の吸着剤チューブを通して呼気を流すことを開始できる。
【0137】
呼気試料採取装置20は、周囲空気および呼気試料用の吸着剤チューブの異なるサイズの部分集合を選択するように構成され得る。好ましい一実施形態では、2本の吸着剤チューブ分の周囲空気試料および2本の吸着剤チューブ分の呼気試料が採取される。他の実施形態では、周囲空気は採取されなくてもよい。
【0138】
明示的に図示してはいないが、コントローラ148は、バルブ、湿度計52、カプノメータ56、流量計60、ポンプ72、ピストンモータ112、および呼気試料採取装置20の他の構成要素のそれぞれに接続されていることが理解されよう。
【0139】
他の実施形態では、制御可能な容積を有する容器は、制御可能な容積を有するキャビティを提供するための任意の他の構造であってもよい。例えば、1つの特定の実施形態では、容器は蛇腹状の構造を含み得る。
【0140】
図7Aは、別の実施形態による呼気試料採取装置300を示す。呼気試料採取装置300は、呼気試料採取装置300が、双方向ポンプ304と、ピストン室100およびピストン108の代わりに、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308を含む容器とを用いることを除いて、
図1および4A~4Iの呼気試料採取装置20と同様である。少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308は双方向ポンプ304に固定され、双方向ポンプ304のほうは呼気採取導管84に固定される。
【0141】
この実施形態では、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308は、高い引張特性を有する非常に可撓性の材料であるポリフッ化ビニル製の袋である。ポリフッ化ビニルは、不透過性ではないが、この用途では、その性能に大きな影響を与えない、好
適に低い透過性を有している。さらに、ポリフッ化ビニルは比較的不活性である。他の好適に可撓性の、比較的非多孔性の、比較的不活性な材料が、他の実施形態において追加的または代替的に使用され得る。さらに、レセプタクルは、非可撓性部分をも含み得る。
【0142】
少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308は、その中の流体の量によって規定される容積を有する内部キャビティを有する。
図7Aにおいて、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308は、内部に実質的に呼気または周囲空気を有さず、したがって、キャビティは実質的に容積を有さないことが示されている。この折り畳まれた状態において、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308は、梱包を容易にするために圧縮され得る。
【0143】
双方向ポンプ304は、制御可能な流量を有し、呼気および/または周囲空気を両方向に流す。双方向ポンプ304はコントローラ148によって制御可能であり、呼気採取導管系統82から少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308に呼気および/または周囲空気を引き込み、また、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308から呼気採取導管系統82に呼気および/または周囲空気を引き込む。したがって、コントローラ148は、双方向ポンプ304を制御することができ、その結果、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308を制御して、ピストン室100、ピストンモータ112、およびピストン108と同じ一般的な機能性を提供できる。すなわち、コントローラ148は、ポンプの操作を通じて、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308の容積を制御できる。
【0144】
図7Bは、双方向ポンプ304がそこに呼気および/または周囲空気を引き込み、したがって、少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308のキャビティおよび少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308自体を拡張した後の少なくとも部分的に可撓性の折り畳み式レセプタクル308を示す。
【0145】
呼気試料採取装置300は、ディスプレイの代わりに、LED312の形態の光学素子のアレイと、音声スピーカー316を有する点でも異なる。流量通知は、LED312を介してユーザに提示され得る。例えば、LED312のアレイは、赤色LED、黄色LED、緑色LED、黄色LED、および赤色LEDのシーケンスを含み得る。呼気入力インターフェース24を通る呼気の流量が低すぎる場合、対応する赤色または黄色LEDを点灯させることができる。呼気入力インターフェース24を通る呼気の流量が満足のいくものである場合、緑色LEDを点灯させることができる。同様に、呼気入力インターフェース24を通る呼気の流量が高すぎる場合、対応する第2の赤色または黄色のLEDを点灯させることができる。このようにして、人は、自分の呼気流量が目標流量とどのように比較されるかを視覚的に示され得る。他の実施形態では、他のタイプの光学素子が採用され得る。
【0146】
音声スピーカー316は、同様の方法で使用することができ、流量通知は、異なる周波数のクリック、異なる周波数の音、異なる音などによって提供される。
【0147】
図8は、さらなる実施形態に係る呼気試料採取装置400を示す。この実施形態では、流量計60は呼気取込導管44に沿って配置される。したがって、流量計60は、呼気吸込導管44に沿って、全吐出呼気量を測定する。呼気採取の間、コントローラ148は、キャビティ104の容積変化率が流量計60によって測定された流量の割合に設定されるように、ピストンモータ112を制御してピストン108を作動させることができる。好ましい実施形態では、キャビティ104の容積変化率は、呼気採取中に流量計60によって測定される流量の80%に設定される。余分な呼気は、排気導管48に沿って流れ、排気導管アウトレット68から出る。
【0148】
上述の実施形態では、呼気中の二酸化炭素のレベルを測定するためにカプノメータが採用されているが、他の実施形態では、肺胞呼気が検出されているときに示すことができるものなど、呼気中の他の成分のレベルを測定するために他のタイプの計量装置が採用され得る。これらの計量装置は、これらの他の成分のレベルおよびこれらのレベルの変化率を検出することで、肺胞呼気が検出されているときを判断できる。例えば、計量装置は、呼気中の酸素レベルを測定し、酸素レベルの変化が、変化率最大閾値を有する変化率目標範囲内に収まったことを検出すると、肺胞呼気が現在検出されていると判断できる。
【0149】
他の実施形態では、吸着剤チューブとは別に、他のタイプの呼気試料貯留装置が採用され得る。例えば、固相マイクロ抽出(「SPME」)繊維が、呼気試料を貯留するために代替的に使用され得る。他の例はシリカゲルである。さらに他の例は、可視表示をもたらす化学反応(例えば、ドライアライト(Drierite)は湿気の存在下で紫色に変わる)や、後でより簡単に分析できる副産物化学物質を生成する粉末である。当業者には、他のタイプの呼気試料貯留装置が思い浮かぶであろう。
【0150】
容器の容積は、他の方式で機械的に制御され得る。1つの特定の実施形態では、容器は、膨張および収縮するように作動され得る蛇腹を含み得る。
【0151】
上記で特定の利点を列挙したが、様々な実施形態は、列挙した利点のいくつかを含んでもよく、全く含まなくてもよく、またはすべてを含んでもよい。
【0152】
当業者は、さらに多くの代替的な実施および修正が可能であること、および上記の例は1つ以上の実施の例示に過ぎないことを理解するであろう。したがって、その範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0153】
20 呼気試料採取装置
24 呼気入力インターフェース
36 マウスピース
40 呼気吸込端
44 呼気吸込導管
46 事前採取導管系統
48 排気導管
52 湿度計
56 カプノメータ
60 流量計
64 低圧抵抗部
68 排気導管アウトレット
72 ポンプ
76 ポンプ導管
80 呼気採取バルブ
82 捕捉導管系統
84 呼気採取導管
88 吸込バルブ
92 周囲空気インレット
96 エアフィルタ
100 ピストン室
104 キャビティ
108 ピストン
112 ピストンモータ
116 チューブインレットマニホールド
120 チューブインレットバルブ
124 バイパス導管
128 バイパスバルブ
132 アウトレットバルブ
136 アウトレット
140 チューブアウトレットマニホールド
144 チューブアウトレットバルブ
148 コントローラ
150 ディスプレイ
152 吸着剤チューブ
156 ステンレス鋼ケーシング
160 開口部
164 受端
168 泡沫分離器
172 吸着材
176 泡沫分離器
180 人
200 方法
204 周囲空気を引き込む
208 フラッシング装置
212 フラッシングを繰り返すか?
213 吸着剤チューブを装填する
214 周囲空気を引き込む
215 吸着剤チューブの第1の部分集合を通して空気を流す
216 呼気事前採取
220 呼気吐出基準を満たしたか?
224 呼気を採取してシステムをプライミングする
228 目標体積?
232 採取した呼気でシステムをプライミングする
236 吸着剤チューブを装填する
240 呼気事前採取
244 呼気吐出基準を満たした
248 呼気を採取する
252 目標体積または容器が満杯であるか?
256 呼気を吸着剤チューブ(複数可)を通して流す
260 空気を事前採取導管系統を通して流して結露を減らす
264 目標体積?
300 呼気試料採取装置
304 双方向ポンプ
308 可撓性の折り畳み式レセプタクル
312 LED
316 スピーカー
【国際調査報告】