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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(54)【発明の名称】血管内補綴物送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552167
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 CA2021050258
(87)【国際公開番号】W WO2021168589
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】63/100,125
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516123790
【氏名又は名称】エバスク・ニューロバスキュラー・リミテッド・パートナーシップ
【氏名又は名称原語表記】Evasc Neurovascular Limited Partnership
【住所又は居所原語表記】107-1099 West 8th Avenue, Vancouver, British Columbia, V6H 1C3, Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】リッチ、ドナルド・アール.
(72)【発明者】
【氏名】ルオン、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】バリー、ケネス
(72)【発明者】
【氏名】タイナン、アダム
(72)【発明者】
【氏名】ケン、クリストファー・ジー.エム.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD53
4C160DD63
4C160MM33
(57)【要約】
血管内補綴物送達システムが開示される。本送達システムは、送達デバイス長手方向軸を備える細長い送達デバイスを備える。細長い送達デバイスは、接続部分を介して血管内補綴物に結合されている。接続部分は、送達デバイスに電流を印加すると、血管内補綴物又は送達デバイスから分離可能であるように構成されている。シースで覆われていない状態の血管内補綴物及び細長い送達デバイスは、送達デバイス長手方向軸を中心として互いに対して回転可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達デバイス長手方向軸を備える細長い送達デバイスを備える血管内補綴物送達システムであって、前記細長い送達デバイスは、接続部分を介して血管内補綴物に結合されており、前記接続部分は、前記送達デバイスに電流を印加すると前記血管内補綴物又は前記送達デバイスから分離可能であるように構成されており、シースで覆われていない状態の前記血管内補綴物と前記細長い送達デバイスとは、前記送達デバイス長手方向軸を中心として互いに対して回転可能である、血管内補綴物送達システム。
【請求項2】
前記血管内補綴物は、前記細長い送達デバイスの長手方向軸を中心として少なくとも180°前記細長い送達デバイスに対して回転可能であるように構成されている、請求項1に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項3】
前記血管内補綴物は、前記細長い送達デバイスの長手方向軸を中心として少なくとも360°前記細長い送達デバイスに対して回転可能であるように構成されている、請求項1に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項4】
前記血管内補綴物は細長く、補綴物長手方向軸を備える、請求項1に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項5】
前記血管内補綴物は、シースで覆われていない状態では、前記補綴物長手方向軸が送達デバイス長手方向軸を中心として回転可能であるように前記細長い送達デバイスに結合されている、請求項4に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項6】
前記血管内補綴物は、シースで覆われていない状態では、前記補綴物長手方向軸が送達デバイス長手方向軸を中心として少なくとも約180°回転可能であるように前記細長い送達デバイスに結合されている、請求項4に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項7】
前記血管内補綴物は、シースで覆われていない状態では、前記補綴物長手方向軸が送達デバイス長手方向軸を中心として少なくとも約360°回転可能であるように前記細長い送達デバイスに結合されている、請求項4に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項8】
前記接続部分は、その遠位部分が、送達デバイス長手方向軸に沿って前記血管内補綴物と前記細長い送達デバイスとの間の接続点に対して遠位に延在するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項9】
前記接続部分は、前記血管内補綴物の送達中、前記血管内補綴物を前記細長い送達デバイスに結合するように構成された保持部分を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項10】
前記保持部分の少なくとも一部分は、前記血管内補綴物が前記血管内補綴物から分離可能であることを可能にするために、前記送達デバイスに電流を印加すると腐食する、請求項9に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項11】
前記保持部分は、前記血管内補綴物と前記細長い送達デバイスとの間の接続点に対して遠位に配設される、請求項10に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項12】
前記保持部分は、その遠位端において実質的にT字形状である、請求項9に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項13】
前記保持部分は、その遠位端において実質的にボール形状である、請求項9に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項14】
前記保持部分は、その遠位端において実質的に翼形状である、請求項9に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項15】
前記保持部分は、前記血管内補綴物と前記細長い送達デバイスとの間の接続点と共通境界を有する、請求項10に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項16】
前記保持部分は、ワイヤ要素を備える、請求項15に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項17】
前記細長い送達デバイスの前記接続部分は、第1の保持要素と、第2の保持要素と、前記第1の保持要素及び前記第2の保持要素を離隔関係に維持するためのスペーサ要素とを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項18】
前記第1の保持要素及び前記第2の保持要素の一方又は両方は、実質的にボール形状である、請求項17に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項19】
前記血管内補綴物は、前記細長い送達デバイスの前記接続部分の前記スペーサ要素に結合された取付け部分を備える、請求項17又は18に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項20】
前記第1の保持要素及び前記第2の保持要素は、血管内補綴物の取付け部分を間に保持するように構成されている、請求項19に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項21】
前記接続部分は、前記送達デバイスに電流を印加すると、前記血管内補綴物から分離可能であるように構成されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項22】
前記接続部分は、前記細長い送達デバイスに電流を印加すると、前記細長い送達デバイスから分離可能であるように構成されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項23】
前記細長い送達デバイスの前記接続部分は、前記細長い送達デバイスから前記接続部分が分離した後、前記血管内補綴物に結合されたままであるように構成されている、請求項1~22のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項24】
前記接続部分は、前記血管内補綴物上に配設された雌部分に係合される雄部分を備える、請求項1~23のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項25】
前記雌部分は、前記雄部分を受容するためのループ部分を備える、請求項24に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項26】
前記接続部分は、前記血管内補綴物上に配設された雄部分に係合される雌部分を備える、請求項1~23のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項27】
前記接続部分の近位の前記細長い送達デバイスの中間部分は、前記細長い送達デバイスの前記接続部分に結合されたコアワイヤ要素を備える、請求項1~26のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項28】
前記コアワイヤ要素は、非環状(すなわち、中実)であるように構成されている、請求項27に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項29】
前記細長い送達デバイスの前記中間部分は、前記細長い送達デバイスの前記接続部分に向かう方向に増加する可撓性を有するように構成されている、請求項27又は28に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項30】
前記細長い送達デバイスの前記中間部分は、前記細長い送達デバイスの前記接続部分に向かう方向に減少する直径を備える、請求項27~29のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項31】
前記細長い送達デバイスの前記中間部分は、前記コアワイヤ要素の少なくとも一部分を取り囲む外側管状要素を更に備える、請求項27~29のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項32】
前記外側管状要素は多孔性である、請求項31に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項33】
前記外側管状要素は、第1のコイル要素の形態であるように構成されている、請求項31又は32に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項34】
前記外側管状要素は、放射線不透過性であるように構成されている、請求項31~33のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項35】
前記細長い送達デバイスの前記中間部分は、前記外側管状要素と前記コアワイヤ要素との間に介挿され、前記外側管状要素及び前記コアワイヤ要素に対して固定された内側管状要素を更に備える、請求項31~34のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項36】
前記内側管状要素は多孔性である、請求項35に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項37】
前記内側管状要素は、第2のコイル要素の形態であるように構成されている、請求項35又は36に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項38】
前記細長い送達デバイスの前記中間部分は、前記コアワイヤ要素の一部分を取り囲む前記外側管状要素に結合された細長い環状シール部分を更に備える、請求項31~37のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項39】
前記細長い環状シール部分は、前記細長い送達デバイスの前記接続部分の近位の前記コアワイヤ要素の一部分を露出させるように構成されている、請求項38に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項40】
前記細長い環状シール部分は、実質的に非導電性である、請求項38又は39に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項41】
前記中間部分の少なくとも遠位部分は、前記細長い送達デバイスの静止状態では、前記細長い送達デバイスの長手方向軸に対して湾曲している、請求項27~40のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項42】
前記細長い送達デバイスの前記中間部分は、ジャケット要素によって取り囲まれている、請求項27~41のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項43】
前記ジャケット要素はポリマーから構成されている、請求項42に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項44】
前記ジャケット要素は、実質的に非導電性である、請求項42又は43に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項45】
前記接続部分の少なくとも一部分は、放射線不透過性であるように構成されている、請求項1~44のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項46】
前記接続部分は、放射線不透過性であるように構成されている、請求項1~44のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項47】
前記血管内補綴物は、自己拡張するように構成されている、請求項1~46のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項48】
前記血管内補綴物は、アンカー部分と血液閉塞部分とを備える、請求項1~47のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項49】
前記血管内補綴物送達システムの外径は、約0.034インチ未満である、請求項1~48のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項50】
前記血管内補綴物送達システムの外径は、約0.010インチ~約0.030インチの範囲である、請求項1~48のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項51】
前記血管内補綴物送達システムの外径は、約0.014インチである、請求項1~48のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項52】
前記血管内補綴物送達システムの外径は、約0.018インチである、請求項1~48のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項53】
前記血管内補綴物送達システムの外径は、約0.024インチである、請求項1~48のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項54】
前記細長い送達デバイスは、コーティングを備える、請求項1~53のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項55】
前記細長い送達デバイスは、親水性コーティングを備える、請求項1~53のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項56】
前記細長い送達デバイスの少なくとも遠位部分及び前記血管内補綴物のすべてを取り囲むパッケージングシース要素を更に備える、請求項1~55のいずれか一項に記載の血管内補綴物送達システム。
【請求項57】
血管内補綴物を患者の分岐血管構造に送達するための方法であって、前記分岐血管構造は、動脈瘤開口部を有する動脈瘤が位置する交点を画定する一次通路及び少なくとも1つの二次通路を備え、前記方法は、
(a)ガイドワイヤを、前記一次通路に通し、前記二次通路内へと前進させることと、
(b)前記ガイドワイヤを取り囲むカテーテルを、前記一次通路に通し、前記二次通路内へと前進させることと、
(c)前記ガイドワイヤを前記患者から除去することと、
(d)請求項1~56のいずれか一項に記載の前記血管内補綴物送達システムを前記カテーテルの遠位部分に前進させることと、
(e)前記血管内補綴物のアンカー部分を露出させるように、前記血管内補綴物に対して前記カテーテルを後退させることと、
(f)前記血管内補綴物の前記アンカー部分を前記二次通路に埋め込むことと、
(g)前記血管内補綴物の血液閉塞部分を露出させるように、前記血管内補綴物に対して前記カテーテルを更に後退させることと、
(h)前記血管内補綴物の前記血液閉塞部分を前記動脈瘤開口部と位置合わせすることと、
(i)前記動脈瘤開口部を閉塞するように、前記血管内補綴物の前記血液閉塞部分を埋め込むことと、
(j)前記細長い送達デバイスに電流を印加することと、
(k)前記接続部分を前記血管内補綴物又は前記細長い送達デバイスから分離させることと、
(l)前記細長い送達デバイス及び前記カテーテルを前記患者から後退させることと、
を行うステップを備える、方法。
【請求項58】
ステップ(h)は、前記血管内補綴物を前記動脈瘤開口部と位置合わせするように、前記細長い送達デバイスを軸方向に回転させることを備える、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
ステップ(j)は、約12ボルトで約1mAの電流を約30秒~約120秒間続けて印加することを備える、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項60】
ステップ(j)は、約12ボルトで約1mAの電流を約30秒~約105秒間続けて印加することを備える、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項61】
ステップ(j)は、約12ボルトで約1mAの電流を約30秒~約75秒間続けて印加することを備える、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項62】
血管内補綴物を患者の分岐血管構造に送達するための方法であって、前記分岐血管構造は、動脈瘤開口部を有する動脈瘤が位置する交点を画定する一次通路及び少なくとも1つの二次通路を備え、前記方法は、
(a)ガイドワイヤを、前記一次通路に通し、前記二次通路内へと前進させることと、
(b)前記ガイドワイヤを取り囲むカテーテルを、前記一次通路に通し、前記二次通路内へと前進させることと、
(c)前記ガイドワイヤを前記患者から除去することと、
(d)請求項1~56のいずれか一項に記載の前記血管内補綴物送達システムの遠位端を前記カテーテルの近位端に当接させることと、
(e)パッケージングシース要素を前記患者の外部に維持しながら、前記細長い送達デバイス及び前記血管内補綴物を前記カテーテルの遠位部分に前進させることと、
(f)前記血管内補綴物のアンカー部分を露出させるように、前記血管内補綴物に対して前記カテーテルを後退させることと、
(g)前記血管内補綴物の前記アンカー部分を前記二次通路に埋め込むことと、
(h)前記血管内補綴物の血液閉塞部分を露出させるように、前記血管内補綴物に対して前記カテーテルを更に後退させることと、
(i)前記血管内補綴物の前記血液閉塞部分を前記動脈瘤開口部と位置合わせすることと、
(j)前記動脈瘤開口部を閉塞するように、前記血管内補綴物の前記血液閉塞部分を埋め込むことと、
(k)前記細長い送達デバイスに電流を印加することと、
(l)前記接続部分を前記血管内補綴物又は前記細長い送達デバイスから分離させることと、
(m)前記細長い送達デバイス及び前記カテーテルを前記患者から後退させることと、
を行うステップを備える、方法。
【請求項63】
ステップ(i)は、前記血管内補綴物を前記動脈瘤開口部と位置合わせするように、前記細長い送達デバイスを軸方向に回転させることを備える、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
ステップ(k)は、約12ボルトで約1mAの電流を約30秒~約120秒間続けて印加することを備える、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項65】
ステップ(k)は、約12ボルトで約1mAの電流を約30秒~約105秒間続けて印加することを備える、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項66】
ステップ(k)は、約12ボルトで約1mAの電流を約30秒~約75秒間続けて印加することを備える、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項67】
ステップ(a)及び(b)は連続して行われる、請求項57~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
ステップ(a)及び(b)は実質的に同時に行われる、請求項57~66のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001] 本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2020年2月28日に出願された仮特許出願番号第63/100,125の利益を主張し、該出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[0002] 1つの態様において、本発明は、血管内補綴物送達システム(endovascular prosthesis delivery system)に関する。別の態様において、本発明は、患者の動脈瘤を治療する方法に関する。本明細書を手にする当業者には、本発明の他の態様が明らかになる。
【背景技術】
【0003】
[0003] 当該技術分野において知られているように、動脈瘤とは、動脈壁の外への異常な膨らみである。いくつかの場合では、膨らみは、動脈から全方向に外へ滑らかに膨らんだ形態であり得、これは、「紡錘状動脈瘤」として知られている。他の場合では、膨らみは、動脈分岐点又は動脈の片側から生じる嚢の形態であり得、これは、「嚢状動脈瘤」として知られている。
【0004】
[0004] 動脈瘤は、身体のいずれの動脈にもできる可能性があるが、通常は脳にできるものであり、脳卒中の発症につながる。脳にできる嚢状動脈瘤のほとんどが、脳血管から延び、血管から突き出た袋へと広がる頚部を有する。
【0005】
[0005] このような動脈瘤に起因する問題は、いくつかの様々な形で生じ得る。例えば、動脈瘤が破裂した場合、血液が脳又はくも膜下腔(すなわち、脳を密接に取り囲む空間)に流入し、後者は、動脈瘤性くも膜下出血として知られている。これに続いて、頭痛、吐気、嘔吐、複視、頸部硬直、及び意識喪失といった症状の1つ又は複数が起こる。動脈瘤性くも膜下出血は、迅速な治療を必要とする緊急の医学的状態である。実際、この状態の患者の10~15%が、治療のために病院に到着する前に死亡する。この状態の患者の50%以上が、出血後30日以内に死亡する。助かった患者のうち、約半数が永続的な脳卒中を患う。これらの脳卒中の中には、くも膜下出血によって誘発された脳血管における血管痙攣により出血自体から1~2週間後に発症するものもある。
【0006】
[0006] また動脈瘤は、それほど一般的ではないが出血に関連しない問題を引き起こす可能性もある。例えば、動脈瘤は、それ自体の中に血餅を形成する可能性があり、この血餅が、動脈瘤から剥がれて下流に運ばれる可能性があり、そこで動脈枝を遮断し、脳卒中(例えば、虚血性脳卒中)を引き起こす可能性がある。更に、動脈瘤は、神経又は隣接する脳を圧迫する可能性もある(これは、片眼若しくは顔の麻痺若しくは異常感、発作、又は他の神経症状を引き起こす可能性がある)。
【0007】
[0007] 動脈瘤、特に脳動脈瘤が致命的な結果となる可能性を考慮して、当該技術分野では、様々なアプローチを使用した動脈瘤の治療に対応してきた。
【0008】
[0008] 一般に、動脈瘤は、外科的技法を使用して血管の外側から治療することもあるし、又は血管内技法を使用して内側から治療することもある(後者は、インターベンション(すなわち、非外科的)技法という広い項目に分類される)。
【0009】
[0009] 外科的技法には、通常、外科医が脳を直接手術するために器具を挿入することができる開口部を患者の頭蓋に形成する必要がある開頭術を伴う。1つのアプローチでは、脳は、動脈瘤が生じている血管を露出するために開創され、次いで、外科医は、動脈瘤の頚部を挟んでクリップを留置し、それによって、動脈血が動脈瘤に流入することを防止する。動脈瘤内に血餅がある場合、クリップはまた、血餅が動脈に流入することも防止し、脳卒中の発症を防ぐ。クリップを正しく留置すると、動脈瘤はわずか数分で消失する。外科的技法は、歴史的に動脈瘤の最も一般的な治療法であった。残念ながら、これらの状態を治療するための外科的技法は、患者への高いリスクを伴う大手術とされており、患者が処置に耐え抜く見込みがある状態であることまでも必要とする。
【0010】
[0010] 上述のように、血管内技法は、非外科的技法であり、典型的には、カテーテル送達システムを使用して血管造影室で行われる。具体的には、既知の血管内技法は、カテーテル送達システムを使用して、動脈血が動脈瘤に流入することを防止する材料を動脈瘤に詰め、動脈瘤を消失させることを伴い、この技法は、塞栓術として広く知られている。
【0011】
[0011] このようなアプローチの1つの例には、グリエルミ離脱式コイル(Guglielmi Detachable Coil)があり、これはステンレス鋼の送達ワイヤに取り付けられたプラチナコイル及び電解分離(electrolytic detachment)を利用するシステムによる動脈瘤の動脈瘤内閉塞を伴う。したがって、プラチナコイルが動脈瘤内に留置されると、プラチナコイルは、電解溶解によってステンレス鋼の送達ワイヤから分離される。具体的には、患者の血液及び生理食塩水注入液が導電性溶液として作用する。陽極はステンレス鋼の送達ワイヤであり、陰極は患者の鼠径部に留置された接地針である。電流をステンレス鋼の送達ワイヤを通じて送ると、プラチナコイルのごく近位にあるステンレス鋼分離ゾーンの非絶縁部で電解溶解が生じることになる(プラチナコイルは、当然ながら、電解によって影響を受けない)。
【0012】
[0012] 動脈瘤嚢を充填するための他のアプローチは、酢酸セルロースポリマーなどの材料の使用を伴う。
【0013】
[0013] これらの血管内アプローチは当該技術分野を進歩させてきたが、欠点がある。具体的には、これらの血管内アプローチのリスクは、処置中に動脈瘤を破裂させる、又はデバイスの遠位塞栓術若しくは動脈瘤からの血餅に起因する脳卒中(例えば、虚血性脳卒中)を引き起こすことを含む。更に、これらの技法を使用した血管内動脈瘤消失の長期にわたる結果に関する懸念がある。具体的には、フォローアップの血管造影で、充填材料の動脈瘤内転位及び動脈瘤の再発の兆候がある。
【0014】
[0014] 特に上述の外科的クリッピング又は血管内塞栓術の技法を使用した治療が非常に困難であることが証明されている1つの特定のタイプの脳動脈瘤は、親動脈がより細い2つの分岐動脈に分岐する分岐部にできるものである。このタイプの動脈瘤の例には、脳底動脈の末端分岐部にできるものがある。分岐部動脈瘤の(例えば、外科用クリップを使用した)治療を成功させることは、外科用クリップの留置中にすべての脳幹穿通血管を温存することが不可欠であることに少なくとも部分的に起因して、非常に困難である。
【0015】
[0015] 残念ながら、動脈瘤のサイズ、形状、及び/又は場所により、特定の患者にとっては外科的クリッピング及び血管内塞栓術の両方が不可能となる場合がある。一般に、このような患者の予後は良好でない。
【0016】
[0016] したがって、先行技術により動脈瘤の治療の技術分野に進歩があったが、特に血管内塞栓術においては大手術に対する魅力的な代替手段であることから、依然として改良の余地がある。
【先行技術の説明】
【0017】
[0017] 1999年8月19日に公開された国際公開番号WO99/40873[Marottaら(Marotta)]では、動脈瘤開口部、特に嚢状動脈瘤の開口部を塞いで、動脈瘤を消失させるのに有用な新規な血管内アプローチが教示されている。Marottaによって教示された血管内補綴物を用いると、動脈瘤嚢に材料(例えば、グリエルミ離脱式コイルで使用されるようなもの)を詰める必要がない点で、このアプローチは真に血管内である。むしろ、Marottaによって教示された血管内補綴物は、それが動脈瘤嚢への開口部を塞ぐ役割をすることによって充填材料の必要がなくなることに基づいて作用する。したがって、Marottaによって教示された血管内補綴物は、先行技術の欠点の多くをなくす又は軽減するので、当該技術分野における重要な進歩である。Marottaによって教示された血管内補綴物は、動脈瘤の開口部に対して付勢され、それによって動脈瘤を閉鎖することが可能なリーフ部分を備える。Marottaによって教示された血管内補綴物では、リーフ部分は、少なくとも1つの拡張可能部分を備える本体に取り付けられ、本体に対して独立して移動可能である。拡張可能部分は、半径方向外向きにかかる力によって、第1の非拡張状態から第2の拡張状態に拡張可能である。したがって、本体は、動脈瘤開口部が位置する近傍の標的身体通路又は血管管腔の適所に血管内補綴物を固定又は係留するという一般的目的を果たし、リーフ部分は、動脈瘤開口部を密閉し、それによって動脈瘤を消失させるという目的を果たす。したがって、Marottaによって教示されるように、リーフ部分は、血管内補綴物の本体とは独立して機能し、移動する。
【0018】
[0018] 国際公開番号WO2012/145823A1及びWO2012/145836[両方ともTippettらの名義(Tippett#1)]は、血管内補綴物及び血管内補綴物送達デバイスを教示している。Tippett#1によって開示された血管内補綴物は、Marottaによって開示された血管内デバイスを改良したものであり、前者は、医師がデバイスを取り戻せることを可能にするように設計されており、それにより送達システムから分離させる前に最適な留置のために配置し直すことができる。Tippettによって開示された血管内補綴物送達デバイスは、いくつかの異なる実施形態の形態をとることができる。
【0019】
[0019] 国際公開番号WO2018/058254A1[Fungら(Fung)]は、Tippett#1によって教示されたデバイスの改良である血管内補綴物送達デバイスを教示している。Fungによって教示された血管内補綴物送達デバイスは、第1の保持要素によって互いに固定される送達フレーム要素とハブ挿入要素との組合せを備える。送達フレーム要素の遠位部分には、血管内補綴物に結合するための補綴物取付けゾーンがある。血管内補綴物を分離させることが望まれるとき、第1の保持要素は、ハブ挿入要素と送達フレーム要素との間の相対移動を可能にするように機械的に破壊される。プルワイヤアセンブリが、ハブ挿入要素に対して固定されており、送達フレーム要素の補綴物取付けゾーンにおいて血管内補綴物に結合されたプルワイヤを備える。第1の保持要素が医師によって機械的に破壊されると(これは、血管内補綴物が分離のための正しい位置にあるときに行われる)、医師は、ハブ挿入部を後退させることができ、これには、送達フレーム要素の補綴物取付けゾーンからプルワイヤを後退させる効果がある。ここで、血管内補綴物及び血管内補綴物送達デバイスは互いに分離され、後者は、患者から抜去され得る。
【0020】
[0020] Fungによって教示されたデバイスは、当該技術分野の著しい向上であるが、改良の余地がある。
【0021】
[0021] 第1に、遠位端における要素の数(Fungの図7図8を参照)及びデバイスの例示された実施形態の環状設計に起因して、ロープロファイル(low profile)の送達デバイス(例えば、0.034インチ未満)を生産することは困難である。デバイスの外形が0.034インチであるとき、主に二次脳底動脈又は一次頸動脈などの大血管のみに用いられる。これは、動脈瘤ができ得る神経血管系の12~15%にしか相当しない。
【0022】
[0022] 第2に、国際公開番号WO2014/066982号[Tippett#2]によって教示された送達アプローチを使用したFungの送達デバイスを用いた臨床開発作業中(Fungの段落[0042]を参照)、Tippett#2の図11図16に例示されているような2本のガイドワイヤを使用する必要があった。これには次の2つの理由から問題がある。(i)医師が補綴物を送達するために行うべき余分なステップが加わり、(ii)分岐部の第2の二次通路に第2のガイドワイヤを送達することが、ハイポチューブ送達デバイスの遠位端から第2の二次通路の開口部までの距離が短い(3~4mm)ことに起因して困難である(Tippett#2の図14の送達デバイス200及び二次通路20を参照)。
【0023】
[0023] 第3に、Fungの図12を参照すると、取付けループ95を介したプルワイヤ45を中心とした細長い血管内補綴物100の軸方向回転移動が比較的制限されており、すなわち、プルワイヤ45の長手方向軸を中心とした細長い血管内補綴物100の長手方向軸の回転が約130°に制限されている。これにより、医師によって補綴物を配置する自由度が制限される。
【0024】
[0024] 補綴物の送達システムからの電解分離は一般に知られているが、本発明の知るところでは、上述の問題をなくす又は軽減しながら(電解分離又は他の方法を使用して)血管内補綴物を送達することができる既知の送達システムはない。
【0025】
[0025] したがって、当該技術分野においては、Fungの送達デバイスに関する上述の問題のすべてではないにしても少なくともいくつかを克服する血管内補綴物送達デバイスが依然として必要である。そのような血管内補綴物送達デバイスは、製造すること並びに血管内補綴物を送達及び埋め込むために使用することが比較的簡単であると更に望ましい。送達デバイスから血管内補綴物を分離させるために比較的簡単で信頼性のある機構が利用可能であれば、非常に有利である。
【発明の概要】
【0026】
[0026] 本発明の目的は、先行技術の上述の欠点のうちの少なくとも1つをなくす又は軽減することである。
【0027】
[0027] 本発明の別の目的は、新規な血管内補綴物送達システムを提供することである。
【0028】
[0028] したがって、1つの態様では、本発明は、送達デバイス長手方向軸を備える細長い送達デバイスを備える血管内補綴物送達システムに関し、細長い送達デバイスは、接続部分を介して血管内補綴物に結合されており、接続部分は、送達デバイスに電流を印加すると血管内補綴物又は送達デバイスから分離可能であるように構成されており、シースで覆われていない状態の血管内補綴物及び細長い送達デバイスは、送達デバイス長手方向軸を中心として互いに対して回転可能である。
【0029】
[0029] 別の態様では、本発明は、血管内補綴物を患者の分岐血管構造(bifurcated vasculature)に送達するための方法に関し、分岐血管構造は、動脈瘤開口部を有する動脈瘤が位置する交点を画定する一次通路及び少なくとも1つの二次通路を備え、本方法は、
(i)ガイドワイヤを、一次通路に通し、二次通路内へと前進させることと、
(ii)ガイドワイヤを取り囲むカテーテルを、一次通路に通し、二次通路内へと前進させることと、
(iii)ガイドワイヤを患者から除去することと、
(iv)(いずれかの実施形態における)本血管内送達システムをカテーテルの遠位部分に前進させることと、
(v)血管内補綴物のアンカー部分を露出させるように、血管内補綴物に対してカテーテルを後退させることと、
(vi)血管内補綴物のアンカー部分を二次通路に埋め込むことと、
(vii)血管内補綴物の血液閉塞部分(blood occlusion portion)を露出させるように、血管内補綴物に対してカテーテルを更に後退させることと、
(viii)血管内補綴物の血液閉塞部分を動脈瘤開口部と位置合わせすることと、
(ix)動脈瘤開口部を閉塞するように、血管内補綴物の血液閉塞部分を埋め込むことと、
(x)細長い送達デバイスに電流を印加することと、
(xi)接続部分を細長い送達デバイスから分離させることと、
(xii)細長い送達デバイス及びカテーテルを患者から後退させることと、
を行うステップを備える。
【0030】
[0030] 別の態様では、本発明は、血管内補綴物を患者の分岐血管構造に送達するための方法に関し、分岐血管構造は、動脈瘤開口部を有する動脈瘤が位置する交点を画定する一次通路及び少なくとも1つの二次通路を備え、本方法は、
(i)ガイドワイヤを、一次通路に通し、二次通路内へと前進させることと、
(ii)ガイドワイヤを取り囲むカテーテルを、一次通路に通し、二次通路内へと前進させることと、
(iii)ガイドワイヤを患者から除去することと、
(iv)パッケージングシース(packaging sheath)を含む(いずれかの実施形態における)本血管内補綴物送達システムの遠位端をカテーテルの近位端に当接させることと、
(v)パッケージングシースを患者の外部に維持しながら、細長い送達デバイス及び血管内補綴物をカテーテルの遠位部分に前進させることと、
(vi)血管内補綴物のアンカー部分を露出させるように、血管内補綴物に対してカテーテルを後退させることと、
(vii)血管内補綴物のアンカー部分を二次通路に埋め込むことと、
(viii)血管内補綴物の血液閉塞部分を露出させるように、血管内補綴物に対してカテーテルを更に後退させることと、
(ix)血管内補綴物の血液閉塞部分を動脈瘤開口部と位置合わせすることと、
(x)動脈瘤開口部を閉塞するように、血管内補綴物の血液閉塞部分を埋め込むことと、
(xi)細長い送達デバイスに電流を印加することと、
(xii)接続部分を細長い送達デバイスから分離させることと、
(xiii)細長い送達デバイス及びカテーテルを患者から後退させることと、
を行うステップを備える。
【0031】
[0031] 本明細書全体を通して使用される「閉塞する」という用語は、広い意味を有することを意図しており、遮断する、覆う、塞ぐ、及び/又は閉鎖することを含む。本願の血管内補綴物送達システムと共に使用される血管内補綴物は、典型的には、標的動脈瘤の動脈瘤開口部を最初に遮断するように構成される。これにより、血液が動脈瘤に流入するのを妨害し又は減少させ、動脈瘤嚢内の血液の血栓化、そして最終的には動脈瘤の消失をもたらす。
【0032】
[0032] したがって、本発明者らは、新規な血管内補綴物送達システムを開発した。本血管内補綴物送達システムは、送達デバイス長手方向軸を有する細長い送達デバイスの組合せを備える。送達システムは、その遠位端に接続部分と、接続部分に結合された血管内補綴物とを更に備える。接続部分は、送達デバイスに電流を印加すると、細長い血管内補綴物又は送達デバイスから分離可能であるように構成されている。重要なことに、シースで覆われていない状態では、血管内補綴物は、送達デバイス長手方向軸を中心として回転可能であるように構成されている。多くの利点が、本血管内補綴物送達システムからもたらされる。
【0033】
[0033] 第1に、従来の血管内補綴物送達デバイスとは異なり、本システムは、細長い送達デバイスにトルクをかけステアリングすることによって血管内補綴物を所望の場所に押し進めるために使用することができる。これは、送達デバイス/血管内補綴物を血管構造における正しい場所にガイドするためのガイドワイヤを必要とせずに行うことができる。本質的に、本システムの細長い送達デバイス自体が、ガイドワイヤとほぼ同じように機能する。
【0034】
[0034] 第2に、本血管内補綴物送達システムは、非常にロープロファイルである。例えば、本血管内補綴物送達システムの好ましい実施形態の外形は、0.034インチを大きく下回る。これにより、動脈瘤ができ得る神経血管系のほとんどすべてにアクセスすることが可能となる(少なくとも、上で参照したFungのデバイスを使用してアクセスすることができるよりも遥かに多い)。
【0035】
[0035] 第3に、上で参照したTippett#2によって教示された血管内補綴物の送達では2本のガイドワイヤを使用する必要があったのが回避される。したがって、医師が補綴物の送達を行うための余分なステップが回避され、分岐部の第2の二次通路に第2のガイドワイヤを送達することに関連する困難が回避される。
【0036】
[0036] 第4に、本血管内補綴物送達システムは、上で参照したFungによって教示された血管内補綴物送達デバイスを使用して達成することができる角度(約130°)よりも遥かに大きい角度までの血管内補綴物(シースで覆われていない状態)の軸回転を達成することができることによって特徴付けられる。好ましい実施形態では、血管内補綴物長手方向軸は、送達デバイス長手方向軸を中心として軸方向に完全に360°以上回転させることができる(例えば、720°及び1080°など複数回の完全な回転)。
【0037】
[0037] 第5に、好ましい特徴の組合せ、すなわち、(例えば、一次及び二次通路の範囲を定める角度が収まる特定の角度への)可撓性を有し及び/又は形状になる細長い送達デバイスの遠位部分と、細長い送達デバイスと補綴物との間のヒンジ接続(例えば、それらはジンバル関係にある)と、補綴物が脱出できることとにより、分岐血管構造の二次通路へのアクセスが容易になる。血管内補綴物と細長い送達デバイスとの間の動的ヒンジ(例えば、ジンバル)関係が、比較的鈍角の関係から、比較的垂直の関係、比較的鋭角の関係に移行する。これは、細長い送達デバイスに結合された血管内補綴物の端部の分岐通路における二次身体通路へのアクセスを依然として可能にしながらも、追加のガイドワイヤなしに達成可能な本血管内補綴物送達システムの特別な利点である。
【0038】
[0038] 第6に、段落[0029]に記載のステップ(xiii)及び段落[0030]に記載のステップ(ix)における位置合わせステップは、典型的には、直線面内にある。驚くべきことに、本血管内補綴物送達システムの好ましい実施形態では、第2の非常に有利な位置合わせが回転平面内にある。この好ましい実施形態は、本血管内補綴物送達システムが、上述のTippett#1及びTippett#2によって教示された血管内補綴物、すなわち、肋骨状物が接続した背骨状物を備える血液閉塞又は葉状部分を有する血管内補綴物などのデバイスを送達するために使用される状況に関連する。本血管内補綴物送達システムがそのような血管内補綴物を送達するために使用されると、背骨状物がマイクロカテーテルの外側湾曲部に自動的に位置が合うように血管内補綴物の回転位置合わせが起き、その結果、背骨状物が動脈瘤の頚部の下にくることが、本発明者らによって予想外に発見された。これは確実に起き、偶然の発見である。特定の理論又は作用様式に束縛されることは望まないが、本発明者らは、これが、血管内補綴物の非管状の性質と、デバイスの半周に沿った肋骨状物に対する背骨状物の非対称質量(例えば、Tippett#1及びTippett#2によって教示されるものなど)との組合せに起因して起き得ると考えている。
【0039】
[0039] 本血管内補綴物送達システムは、2つの一般的な実施形態を備える。
【0040】
[0040] 第1の一般的な実施形態では、接続部分(又は少なくともその一部分)は、細長い送達デバイスに電流を印加すると、細長い送達デバイスから分離可能であるように構成されている。この第1の一般的な実施形態では、細長い送達デバイスの接続部分(又は少なくともその一部分)は、細長い送達デバイスから接続部分(又は少なくともその一部分)が分離した後、血管内補綴物に結合されたままであるように構成されている。この第1の一般的な実施形態の好ましい実施形態は、図1図9に例示されており、以下で説明する。第1の一般的な実施形態の多くの好ましいバージョンでは、接続部分は、細長い送達デバイスに電流を印加すると細長い送達デバイスから完全に切断され、この一例が図9に示されている。
【0041】
[0041] 第2の一般的な実施形態では、接続部分(又は少なくともその一部分)は、送達デバイスに電流を印加すると、血管内補綴物から分離可能であるように構成されている。この第2の一般的な実施形態では、細長い送達デバイスの接続部分(又は少なくともその一部分)は、血管内補綴物から接続部分(又は少なくともその一部分)が分離した後、細長い送達デバイスに結合されたままであるように構成されている。この第2の一般的な実施形態の好ましい実施形態は、図18図21に例示されている。第2の一般的な実施形態の多くの好ましいバージョンでは、接続部分に含まれる保持部分(又は少なくともその一部分)が、細長い送達デバイスに電流を印加すると腐食する。いくつかの好ましいバージョンでは、腐食する保持部分は、接続部分の遠位端に、及び細長い血管内補綴物と接続部分の近位部分との間の接続点の遠位に配設され得る(例えば、図18図20、及び図21に示す)。他の好ましいバージョンでは、腐食する保持部分は、例えば、細長い血管内補綴物と接続部分との間の接続点と共通境界を有して(coterminously)接続部分の近位端と遠位端との間に配設され得る(例えば、図19に示す)。
【0042】
[0042] 上記の「位置合わせする」ステップ(段落[0029]に記載のステップ(viii)及び段落[0030]に記載のステップ(ix))は、独立して又はカテーテルと併せて、送達システムの細長い送達デバイスにトルクをかけることを含み得る。これは、例えば、血管内補綴物の血液閉塞部分の遠位部分を受容することになる、分岐血管構造のうちの別の二次通路を探すために行われ得る。
【0043】
[0043] 本発明の1つの態様は、血管内補綴物を患者の分岐血管構造に送達するための方法に関し、パッケージングシースを含む本願の血管内補綴物送達システムの遠位端をカテーテルの近位端に当接させることと、パッケージングシースを患者の外部に維持しながら、細長い送達デバイス及び血管内補綴物をカテーテルの遠位部分に前進させることと、を行うステップを含む。本発明のこの態様に関連する特別な利点は、血管内補綴物と細長い送達デバイスの組合せを(患者の外部の)パッケージングシースに後退させて戻すオプションが医師に提供されることである。これを行ったら、医師は次いで、細長い送達デバイスを(例えば、その遠位部分において)、好ましくは完全にシースで覆う前に、例えば、その長手方向軸に沿ったその全体的な湾曲を高めるように手動で変えて、分岐血管構造における別の二次通路への方向性アクセスを最適化し得る。
【0044】
[0044] 本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明し、ここにおいて、同様の参照番号は同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本願の血管内補綴物送達システムの第1の一般的な実施形態の好ましい実施形態の斜視図を例示する。
図2図1に例示された血管内補綴物送達システムの細長い送達デバイスの遠位部分の上面図を例示する。
図3図1に例示された血管内補綴物送達システムの細長い送達デバイスの遠位部分の側面図を例示する。
図4図2図3に例示される細長い送達デバイス内で使用されるコアワイヤ要素の近位部分の側面図を例示する。
図5図1に例示される細長い送達デバイスの遠位部分の分解図を例示する。
図6図1に例示される細長い送達デバイスの遠位部分の断面図を例示する。
図7図1に例示される細長い送達デバイスの遠位部分の断面図を例示する。
図8】分離前の、図1に示される細長い送達デバイスの遠位部分への血管内補綴物の接続の分解図を例示する。
図9】分離後の、図1に示される細長い送達デバイスの遠位部分への血管内補綴物の接続の分解図を例示する。
図10】分岐血管構造に血管内補綴物を埋め込むための、図1に例示される血管内補綴物送達システムの使用を連続的に例示する。
図11】分岐血管構造に血管内補綴物を埋め込むための、図1に例示される血管内補綴物送達システムの使用を連続的に例示する。
図12】分岐血管構造に血管内補綴物を埋め込むための、図1に例示される血管内補綴物送達システムの使用を連続的に例示する。
図13】分岐血管構造に血管内補綴物を埋め込むための、図1に例示される血管内補綴物送達システムの使用を連続的に例示する。
図14】分岐血管構造に血管内補綴物を埋め込むための、図1に例示される血管内補綴物送達システムの使用を連続的に例示する。
図15】分岐血管構造に血管内補綴物を埋め込むための、図1に例示される血管内補綴物送達システムの使用を連続的に例示する。
図16】分岐血管構造に血管内補綴物を埋め込むための、図1に例示される血管内補綴物送達システムの使用を連続的に例示する。
図17】分岐血管構造に血管内補綴物を埋め込むための、図1に例示される血管内補綴物送達システムの使用を連続的に例示する。
図18】本願の血管内補綴物送達システムの第2の一般的な実施形態の様々な好ましい実施形態の遠位領域を例示する。
図19】本願の血管内補綴物送達システムの第2の一般的な実施形態の様々な好ましい実施形態の遠位領域を例示する。
図20-20a】本願の血管内補綴物送達システムの第2の一般的な実施形態の様々な好ましい実施形態の遠位領域を例示する。
図21】本願の血管内補綴物送達システムの第2の一般的な実施形態の様々な好ましい実施形態の遠位領域を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0046】
[0045] 第1の態様では、本発明は、送達デバイス長手方向軸を備える細長い送達デバイスを備える血管内補綴物送達システムに関し、細長い送達デバイスは、接続部分を介して血管内補綴物に結合されており、接続部分は、送達デバイスに電流を印加すると血管内補綴物又は送達デバイスから分離可能であるように構成されており、シースで覆われていない状態の血管内補綴物及び細長い送達デバイスは、送達デバイス長手方向軸を中心として互いに対して回転可能である。
【0047】
[0046] 本発明のこの第1の態様の好ましい実施形態は、以下の特徴のうちのいずれか1つ又はいずれか2つ以上の組合せを含み得、
・血管内補綴物は、細長い送達デバイスの長手方向軸を中心として少なくとも180°細長い送達デバイスに対して回転可能であるように構成されており、
・血管内補綴物は、細長い送達デバイスの長手方向軸を中心として少なくとも360°細長い送達デバイスに対して回転可能であるように構成されており、
・血管内補綴物は細長く、補綴物長手方向軸を備え、
・血管内補綴物は、シースで覆われていない状態では、補綴物長手方向軸が送達デバイス長手方向軸を中心として回転可能であるように細長い送達デバイスに結合されており、
・血管内補綴物は、シースで覆われていない状態では、補綴物長手方向軸が送達デバイス長手方向軸を中心として少なくとも約180°回転可能であるように細長い送達デバイスに結合されており、
・血管内補綴物は、シースで覆われていない状態では、補綴物長手方向軸が送達デバイス長手方向軸を中心として少なくとも約360°回転可能であるように細長い送達デバイスに結合されており、
・接続部分は、その遠位部分が、送達デバイス長手方向軸に沿って血管内補綴物と細長い送達デバイスとの間の接続点に対して遠位に延在するように構成されており、
・接続部分は、血管内補綴物の送達中、血管内補綴物を細長い送達デバイスに結合するように構成された保持要素を備え、
・保持部分の少なくとも一部分は、血管内補綴物が血管内補綴物から分離可能であることを可能にするために、送達デバイスに電流を印加すると腐食し、
・保持部分は、血管内補綴物と細長い送達デバイスとの間の接続点に対して遠位に配設され、
・保持部分は、その遠位端において実質的にT字形状であり、
・保持部分は、その遠位端において実質的にボール形状であり、
・保持部分は、その遠位端において実質的に翼形状であり、
・保持部分は、血管内補綴物と細長い送達デバイスとの間の接続点と共通境界を有し、
・保持部分は、ワイヤ要素を備え、
・細長い送達デバイスの接続部分は、第1の保持要素と、第2の保持要素と、第1の保持要素及び第2の保持要素を離隔関係に維持するためのスペーサ要素とを備え、
・第1の保持要素及び第2の保持要素の一方又は両方は、実質的にボール形状であり、
・血管内補綴物は、細長い送達デバイスの接続部分のスペーサ要素に結合された取付け部分を備え、
・第1の保持要素及び第2の保持要素は、血管内補綴物の取付け部分を間に保持するように構成されており、
・接続部分は、送達デバイスに電流を印加すると、血管内補綴物から分離可能であるように構成されており、
・接続部分は、細長い送達デバイスに電流を印加すると、細長い送達デバイスから分離可能であるように構成されており、
・細長い送達デバイスの接続部分は、細長い送達デバイスから接続部分が分離した後、血管内補綴物に結合されたままであるように構成されており、
・接続部分は、血管内補綴物上に配設された雌部分に係合される雄部分を備え、
・雌部分は、雄部分を受容するためのループ部分を備え、
・接続部分は、血管内補綴物上に配設された雄部分に係合される雌部分を備え、
・接続部分の近位の細長い送達デバイスの中間部分は、細長い送達デバイスの接続部分に結合されたコアワイヤ要素を備え、
・コアワイヤ要素は、非環状(すなわち、中実)であるように構成されており、
・コアワイヤ要素は、管状であるように構成されており、
・コアワイヤ要素は、約0.0020インチ~約0.0140インチの範囲の外径を有し、
・コアワイヤ要素は、約0.0025インチ~約0.0135インチの範囲の外径を有し、
・コアワイヤ要素は、可変外径を有し、
・コアワイヤ要素は、細長い送達デバイスの近位端から遠位端に向かって減少する可変外径を有し、
・コアワイヤ要素は、実質的に一定の外径を有し、
・細長い送達デバイスの中間部分は、細長い送達デバイスの接続部分に向かう方向に増加する可撓性を有するように構成されており、
・細長い送達デバイスの中間部分は、細長い送達デバイスの接続部分に向かう方向に減少する直径を備え、
・細長い送達デバイスの中間部分は、コアワイヤ要素の少なくとも一部分を取り囲む外側管状要素を更に備え、
・外側管状要素は多孔性であり、
・外側管状要素は、第1のコイル要素の形態であるように構成されており、
・外側管状要素は、第1のメッシュ要素の形態であるように構成されており、
・外側管状要素は、放射線不透過性であるように構成されており、
・細長い送達デバイスの中間部分は、外側管状要素とコアワイヤ要素のコアとの間に介挿され、外側管状要素及びコアワイヤ要素に対して固定された内側管状要素を更に備え、
・内側管状要素は多孔性であり、
・内側管状要素は、第2のコイル要素の形態であるように構成されており、
・内側管状要素は、第2のメッシュ要素の形態であるように構成されており、
・細長い送達デバイスの中間部分は、コアワイヤの一部分を取り囲む外側管状要素に結合された細長い環状シール部分を更に備え、
・細長い環状シール部分は、細長い送達デバイスの接続部分の近位のコアワイヤ要素の一部分を露出させるように構成されており、
・細長い環状シール部分の遠位部分は、細長い送達デバイスの長手方向軸に沿って階段状断面を呈し(これにより、分離ゾーンが閉鎖することが防止され、電解分離が防止される)、
・細長い環状シール部分は、実質的に非導電性であり、
・細長い環状シール部分は、低摩擦であり、及び/又は潤滑性があり、
・中間部分の少なくとも遠位部分は、細長い送達デバイスの静止状態では、細長い送達デバイスの長手方向軸に対して湾曲しており、
・細長い送達デバイスの中間部分は、ジャケット要素によって取り囲まれており、
・ジャケット要素は、ポリマーから構成されており、
・ジャケット要素は、実質的に非導電性であり、
・細長い送達デバイスの接続部分は、細長い送達デバイスから接続部分が分離した後、血管内補綴物に結合されたままであるように構成されており、
・接続部分の少なくとも一部分は、放射線不透過性であるように構成されており、
・接続部分は、放射線不透過性であるように構成されており、
・血管内補綴物は、自己拡張するように構成されており、
・血管内補綴物は、アンカー部分と血液閉塞部分とを備え、
・送達システムの外径は、約0.2インチ未満であり、
・送達システムの外径は、約0.034インチ未満であり、
・送達システムの外径は、約0.010インチ~約0.030インチの範囲であり、
・送達システムの外径は、約0.014インチであり、
・送達システムの外径は、約0.018インチであり、
・送達システムの外径は、約0.024インチであり、
・細長い送達デバイスは、コーティングを備え、
・細長い送達デバイスは、親水性コーティングを備え、及び/又は、
・送達システムは、細長い送達デバイスの少なくとも遠位部分及び血管内補綴物のすべてを取り囲むパッケージングシース要素を更に備える。
【0048】
[0047] 第2の態様では、本発明は、血管内補綴物を患者の分岐血管構造に送達するための方法に関し、分岐血管構造は、動脈瘤開口部を有する動脈瘤が位置する交点を画定する一次通路及び少なくとも1つの二次通路を備え、本方法は、
(i)ガイドワイヤを、一次通路に通し、二次通路内へと前進させることと、
(ii)ガイドワイヤを取り囲むカテーテルを、一次通路に通し、二次通路内へと前進させることと、
(iii)ガイドワイヤを患者から除去することと、
(iv)(いずれかの実施形態における)本血管内送達システムをカテーテルの遠位部分に前進させることと、
(v)血管内補綴物のアンカー部分を露出させるように、血管内補綴物に対してカテーテルを後退させることと、
(vi)血管内補綴物のアンカー部分を二次通路に埋め込むことと、
(vii)血管内補綴物の血液閉塞部分を露出させるように、血管内補綴物に対してカテーテルを更に後退させることと、
(viii)血管内補綴物の血液閉塞部分を動脈瘤開口部と位置合わせすることと、
(ix)動脈瘤開口部を閉塞するように、血管内補綴物の血液閉塞部分を埋め込むことと、
(x)細長い送達デバイスに電流を印加することと、
(xi)接続部分を細長い送達デバイスから分離させることと、
(xii)細長い送達デバイス及びカテーテルを患者から後退させることと、を行うステップを備える。
【0049】
[0048] 本発明のこの第2の態様の好ましい実施形態は、以下の特徴のうちのいずれか1つ又はいずれか2つ以上の組合せを含み得、
・ステップ(viii)は、血管内補綴物を動脈瘤開口部と位置合わせするように、細長い送達デバイスを軸方向に回転させることを備え、
・ステップ(x)は、約12ボルトで約1mAの電流を約30秒~約120秒間続けて印加することを備え、
・ステップ(x)は、約12ボルトで約1mAの電流を約30秒~約105秒間続けて印加することを備え、
・ステップ(x)は、約12ボルトで約1mAの電流を約30秒~約75秒間続けて印加することを備え、
・ステップ(i)及び(ii)は、連続して行われ、及び/又は、
・ステップ(i)及び(ii)は実質的に同時に行われる。
【0050】
[0049] 第3の態様では、本発明は、血管内補綴物を患者の分岐血管構造に送達するための方法に関し、分岐血管構造は、動脈瘤開口部を有する動脈瘤が位置する交点を画定する一次通路及び少なくとも1つの二次通路を備え、本方法は、
(i)ガイドワイヤを、一次通路に通し、二次通路内へと前進させることと、
(ii)ガイドワイヤを取り囲むカテーテルを、一次通路に通し、二次通路内へと前進させることと、
(iii)ガイドワイヤを患者から除去することと、
(iv)パッケージングシースを含む(いずれかの実施形態における)本血管内補綴物送達システムの遠位端をカテーテルの近位端に当接させることと、
(v)パッケージングシースを患者の外部に維持しながら、細長い送達デバイス及び血管内補綴物をカテーテルの遠位部分に前進させることと、
(vi)血管内補綴物のアンカー部分を露出させるように、血管内補綴物に対してカテーテルを後退させることと、
(vii)血管内補綴物のアンカー部分を二次通路に埋め込むことと、
(viii)血管内補綴物の血液閉塞部分を露出させるように、血管内補綴物に対してカテーテルを更に後退させることと、
(ix)血管内補綴物の血液閉塞部分を動脈瘤開口部と位置合わせすることと、
(x)動脈瘤開口部を閉塞するように、血管内補綴物の血液閉塞部分を埋め込むことと、
(xi)細長い送達デバイスに電流を印加することと、
(xii)接続部分を細長い送達デバイスから分離させることと、
(xiii)細長い送達デバイス及びカテーテルを患者から後退させることと、を行うステップを備える。
【0051】
[0050] 本発明のこの第3の態様の好ましい実施形態は、以下の特徴のうちのいずれか1つ又はいずれか2つ以上の組合せを含み得、
・ステップ(ix)は、血管内補綴物を動脈瘤開口部と位置合わせするように、細長い送達デバイスを軸方向に回転させることを備え、
・ステップ(xi)は、約12ボルトで約1mAの電流を約30秒~約120秒間続けて印加することを備え、
・ステップ(xi)は、約12ボルトで約1mAの電流を約30秒~約105秒間続けて印加することを備え、
・ステップ(xi)は、約12ボルトで約1mAの電流を約30秒~約75秒間続けて印加することを備え、
・ステップ(i)及び(ii)は、連続して行われ、及び/又は、
・ステップ(i)及び(ii)は、実質的に同時に行われる。
【0052】
[0051] 図1図4を参照すると、本願の血管内補綴物送達システム100の好ましい実施形態の遠位部分が例示されている。
【0053】
[0052] 図1図4の構成要素は、血管内補綴物送達システム100の近位部分の長手方向軸に沿って相対的に位置合わせされた構成要素を分解図で例示する図5を参照して容易に理解することができる(いくつかの構成要素は図10図17に列挙されている)。
【表1】
【0054】
[0053] 図1を参照すると、血管内補綴物送達システム100が例示されている。
【0055】
[0054] 送達システム100は、細長い送達デバイス60及び血管内補綴物55を備える。好ましくは、血管内補綴物は一般に、互いに接続されたアンカー部分と血液閉塞部分とを備える。より好ましくは、血管内補綴物は、Tippett#1又はTippet#2のいずれか1つに開示されているものである。
【0056】
[0055] 本発明のすべての態様の好ましい実施形態では、送達システム100は、明確にするために図示しないがパッケージングシースを更に備える。パッケージングシースは、細長い送達デバイスの少なくとも遠位部分(例えば、遠位20cm~50cm遠位部分)と血管内補綴物のすべてとを取り囲むように構成される。パッケージングシースは従来のものである。
【0057】
[0056] 細長い送達デバイス60は、ボール先端ワイヤ要素10に接続されたボール要素5を備え、ボール先端ワイヤ要素10は、好ましくは近位ダンベルコイル要素15要素に接続されている。好ましい実施形態では、ボール要素5及びボール先端ワイヤ要素10は、単一部品であり得る。このような単一部品は、ボール先端ワイヤ要素10の溶融/ザッピングによってボール要素5をボール先端ワイヤ要素10の端部上に形成することによって生産することができる。代替的に、これらの要素は、独立して生産され、従来の方法で結合される。好ましくは、ボール要素5、ボール先端ワイヤ要素10、及び近位ダンベルコイル要素15のうちの1つ又は複数が、放射線不透過性材料(例えば、プラチナ-タングステンアマルガム)から作られている。
【0058】
[0057] 例示された実施形態では、ボール要素5、ボール先端ワイヤ要素10、及び近位ダンベルコイル要素15の組合せは、血管内補綴物55を細長い送達デバイス60に接続するための接続部分を画定する。好ましくは、本発明のすべての実施形態について、近位ダンベルコイル要素15は、はんだ付け、好ましくは金-スズはんだにより、ボール先端ワイヤ要素10をコアワイヤ要素35に接合して、放射線不透過性マーカを形成する。
【0059】
[0058] 図2図5を更に参照すると、細長い送達デバイス60は、好ましくは電気絶縁性材料、より好ましくは低摩擦で潤滑性のある絶縁材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン又はPTFE)から作られた遠位シール要素20を備える。
【0060】
[0059] 遠位シール要素20の近位部分は、外側コイル要素30内に配設されている。外側コイル要素30は、好ましくは、放射線不透過性材料(例えば、プラチナ-タングステンアマルガム)から作られている。例示された実施形態では、外側コイル要素30は名目上は多孔性である。他の多孔性構造(例えば、メッシュ)を使用してよいことが当業者には明らかであろう。
【0061】
[0060] 外側コイル要素30内には、コアワイヤ要素35が配設されている。好ましくは、外側コイル要素30は、細長い送達デバイス60が軸方向に回転されたときの、コアワイヤ要素35のキンクを防止し、及び/又はコアワイヤ要素35へのトルクの伝達を向上させる役割をする。本発明のすべての実施形態について、外側コイル要素30を、コアワイヤ要素35に対してこの機能性を付与することができる別の管状要素(多孔性又は非多孔性)、例えばハイポチューブと置き換えてもよい。
【0062】
[0061] 好ましくは、本発明のすべての実施形態について、コアワイヤ要素35は、304Vステンレス鋼から作られ、より好ましくは、絶縁及び潤滑性のためにPTFEコーティングによって被覆されている。好ましくは、本発明のすべての実施形態について、コアワイヤ要素の最近位端(約8cm)は露出しており、より好ましくは、遠位部分(約45cm)は、可撓性を増加させるためにテーパ状である(すなわち、このコアワイヤ要素の遠位部分の外径は、コアワイヤ要素の遠位端に向かう方向に減少する)。
【0063】
[0062] 好ましくは、本発明のすべての実施形態について、外側コイル要素30は、耐キンク性及び可視性のためにテーパの遠位端にはんだ付けされたプラチナコイル(約10cm)の形態である。好ましくは、本発明のすべての実施形態について、外側コイル要素30及びコアワイヤ要素35のテーパ状遠位部分(約45cm)は、絶縁のためにポリマージャケットで、かつ潤滑性のために親水性コーティングで被覆されている。
【0064】
[0063] 外側コイル要素30とコアワイヤ要素35との間には、内側コイル要素25が介挿されている。内側コイル要素25を配置することは、細長い送達デバイス60における複数のはんだ点50のうちの1つとしての役割をする。好ましくは、はんだ(明確にするために図示せず)は、例えば、金及び金-スズアマルガム等の放射線不透過性材料から作られている。
【0065】
[0064] 内側コイル要素25の場合、はんだが施されると、外側コイル要素30は、コアワイヤ要素35に対して固定される。外側コイル要素及び遠位シール要素20の上には、好ましくは親水性コーティング(明確にするために図示せず)が塗布されたポリマージャケット40が配設される。
【0066】
[0065] 図8は、細長い送達デバイス60に結合された血管内補綴物55を例示する。図9は、細長い送達デバイス60から分離された血管内補綴物55を例示する。分離は、コアワイヤ要素35に電流を印加することによって達成される。
【0067】
[0066] 当業者によって理解されるように、コアワイヤ要素35の短い露出部分が、遠位シール要素20の遠位端を越えて延在し、近位ダンベルコイル要素15の近位に分離ゾーンAを形成する(図2図3を参照)。
【0068】
[0067] 図8に例示するように、血管内補綴物55は、ボール先端ワイヤ要素10において細長い送達デバイス60に結合されており、ボール要素5及び近位ダンベルコイル要素15によってその位置に維持される。
【0069】
[0068] 図9に例示するように、好適な電流がコアワイヤ要素35に印加されたとき、コアワイヤ要素35のうちの分離ゾーンA内の部分が腐食し、血管内補綴物55に結合されたボール要素5、ボール先端ワイヤ要素10、及び近位ダンベルコイル要素15の組合せを細長い送達デバイス60の残りの部分から切り離す。
【0070】
[0069] 図9に示すような分離を達成するために、DC電源の正端子がコアワイヤ要素35の近位端に接続され、負端子が、患者の鼠径部又は肩に挿入された針に接続されると、回路が形成される。好ましくは、本発明のすべての実施形態について、分離は、DC電圧(約12~15V)がコアワイヤ要素35の近位端に印加され、小電流(約1mA)が流れると生じる。
【0071】
[0070] DC電力は、分離ゾーンを金属イオンに分解する分離ゾーンの腐食を駆動し、その結果、血管内補綴物55に結合されたボール要素5、ボール先端ワイヤ要素10、及び近位ダンベルコイル要素15の組合せが細長い送達デバイス60の残りの部分から分離することになる。好ましくは、本発明のすべての実施形態について、(i)金-スズはんだを使用して互いに固定されたボール要素5、ボール先端ワイヤ要素10、及び近位ダンベルコイル要素15の組合せ、並びに(ii)ボール要素5、ボール先端ワイヤ要素10、及び近位ダンベルコイル要素15を製造するためのプラチナを使用することによって、これらの要素の腐食を防ぎ、軽減する。コアワイヤ要素35及び外側コイル要素30にわたる絶縁により、腐食が、露出した分離ゾーンに隔離され、分離時間が短縮される。分離ゾーンのサイズが比較的小さいことによっても、分離時間が最小限に抑えられる。
【0072】
[0071] 電解分離に関する更なる一般的な詳細は、米国特許第5,122,136号[Guglielmiら]に見ることができる。
【0073】
[0072] 次に、図10図17を参照して、送達システム100を使用して血管内補綴物55を埋め込むための一連のステップについて説明する。
【0074】
[0073] よって図10を参照すると、一次通路110、二次通路115、及び二次通路120を備える分岐血管構造105が例示されている。一次通路110、二次通路115、及び二次通路120の交点には、動脈瘤開口部126を有する動脈瘤が配設されている。
【0075】
[0074] 例示されているように、ガイドワイヤ130及びマイクロカテーテル135は、一次通路110を通り、二次通路115内へと前進していく。ガイドワイヤ130及びマイクロカテーテル135は従来のものであり、二次通路115内へと前進させるためのそれらの使用法は、当業者の認識範囲内である。
【0076】
[0075] ガイドワイヤ130とマイクロカテーテル135の組合せが図10に示すように配置されると、ガイドワイヤ130は患者から抜去される。
【0077】
[0076] ガイドワイヤ130が患者から抜去されたら、上述の送達システム100の遠位端が、マイクロカテーテル135の近位端に当接される(図示せず)。これは、例えば、マイクロカテーテル135のハブに取り付けられた回転止血弁を使用して行うことができる。血管内補綴物送達システム100は、マイクロカテーテル135の近位端のこの部分に当接され、その結果、血管内補綴物55と細長い送達デバイス60の組合せのシースは、本質的に、パッケージングシースからマイクロカテーテル135に移される。
【0078】
[0077] 図11を参照すると、血管内補綴物55と細長い送達デバイス60の組合せは、マイクロカテーテル135の遠位端まで前進する。その後、血管内補綴物55のアンカー部分56がマイクロカテーテル135の遠位端において露出されるように、マイクロカテーテル135を後退させることができる。
【0079】
[0078] 図12を参照すると、アンカー部分56が適所に置かれたら、マイクロカテーテル135を継続して後退させて血管内補綴物55の血液閉塞要素57を露出させる。図12に示すように、遠位シール要素20の小部分が、マイクロカテーテル135の遠位端から出ている。
【0080】
[0079] 図13を参照すると、マイクロカテーテル135を更に後退させて、細長いデバイス60の更なる長さ、すなわち遠位シール要素20のすべて及び外側コイル要素30の大部分を露出させる(明確にするためにポリマージャケット40が図12及び図13には示されていないことが当業者には理解されるであろう)。
【0081】
[0080] 図13に示すように、マイクロカテーテル135を後退させて細長い送達デバイス60の更なる長さを露出させることによって、医師は次いで、図14及び図15の矢印Bによって示されるように、細長い送達デバイス60に軸方向にトルクをかけることができる。これは、一次通路110と二次通路120との間の血管構造肩部122(又は小さい分枝若しくは穿通枝血管若しくは管腔の一部分)をクリアにするように、血管内補綴物55と細長い送達デバイスとの間の接続部を上方向にずらすという例示の効果を生み出す。
【0082】
[0081] これにより、動脈瘤開口部126に対して血管内補綴物55の血液閉塞部分57を適切に位置合わせすることが達成される。この位置合わせが達成されると、細長い送達デバイス60の遠位端は、動脈瘤開口部126にわたって血管内補綴物55の血液閉塞部分57を留置するように前進し、その結果、血液閉塞部分57の遠位部分は、二次通路120内へと前進するようになる(図16を参照)。本発明のすべての実施形態において、血管内補綴物は、上記段落[0037]に記載されているように、(例えば、脱出することによって)第2の分岐アクセスを得るのに関与する。
【0083】
[0082] 図13図16は、比較的鈍角の関係(図13)から比較的垂直の関係(図14)、比較的鋭角の関係(図15図16)への、血管内補綴物55と細長い送達デバイス60との間の動的ヒンジ(例えば、ジンバル)関係を例示する。これは、細長い送達デバイス60に結合された血管内補綴物の端部の二次身体通路120へのアクセスを依然として可能にしながらも、追加のガイドワイヤなしに達成可能な本願の血管内補綴物送達システムのすべての実施形態の特別な利点である。
【0084】
[0083] この時点までの任意の時点で、医師は、血管内補綴物55をマイクロカテーテル135内に後退させて、Tippett#1及びTippett#2に詳述されているように、血管内補綴物55を分岐血管構造に配置し直してよい。
【0085】
[0084] 更に、この時点までの任意の時点で、医師は、血管内補綴物55と細長い送達デバイス60の組合せを(患者の外部の)パッケージングシース内に後退させて戻してよい。これを行ったら、医師は次いで、分岐血管構造105内の二次通路120への方向性アクセスを最適化するために、血管内補綴物55を、例えば、その長手方向軸に沿った全体的な湾曲を高めるように手動で変え得る。その後、図11図16に関して例示及び上述した一連のステップを繰り返し得る。
【0086】
[0085] 次に、上述したような電解分離が開始され、その結果、血管内補綴物55が(ボール要素5、ボール先端ワイヤ要素10、及び近位ダンベルコイル要素15の組合せが血管内補綴物55に取り付けられたままの状態で)分離する。分離が達成されると、細長い送達デバイス60をマイクロカテーテル135と共に後退させ、血管内補綴物55が埋め込まれたままにし、動脈瘤125の動脈瘤開口部126を閉塞する(図17を参照)。
【0087】
[0086] ここで血管内補綴物55を埋め込むために送達システム100を使用することを説明したが、当業者は、本発明の重要な利点が、ガイドワイヤを必要とせずに血管内補綴物を正しい場所に送達できることであることを容易に理解するであろう。上述のガイドワイヤは、マイクロカテーテル135を正しく配置するのを助けるためにのみ使用される。これが達成されると、ガイドワイヤ130は除去され、血管内補綴物55を送達するための更なるガイドワイヤは必要ない。これにより、上で参照したFungによって教示されたデバイスを使用してアクセスすることができるよりも遥かに多くの血管構造にアクセスすることを可能にする比較的ロープロファイルの送達システムの構築が可能となる。よって、細長い送達デバイス60は、多くの点でガイドワイヤとして機能する。
【0088】
[0087] 図18図21を参照すると、本願の血管内補綴物送達システムの第2の一般的な実施形態の遠位領域の様々な好ましい実施形態が例示されている。いずれの場合も、本血管内補綴物送達システムの第2の一般的な実施形態の近位部分は、図1図7(本血管内補綴物送達システムの第1の一般的な実施形態に関する)を参照して上述した詳細を使用して構築することができる。
【0089】
[0088] 図18において、接続部分200が、血管内補綴物送達システムの遠位端に配設されている。接続部分200は、ハウジング205を介して細長い送達デバイス260の遠位部分に結合されており、このハウジング205は、導電のため、及びプラチナボール先端ワイヤ要素210を固定するために、溶接又は圧着されていてよい。コイル要素215は、細長い送達デバイス260にはんだ付けされている。
【0090】
[0089] 接続部分200は、腐食する分離ワイヤ225を固定するために内側に曲げられる一対のタブを備える。接続部分200の遠位端230は、接続部分200の残りの部分に対して分離ワイヤ225を固定するように、曲げられ、丸くされ、ボール先端(明確にするために図示せず)が付けられ、又は別様に変えられる。
【0091】
[0090] 細長い血管内補綴物(明確にするために図示せず)に含まれる取付けループ235は、細長い血管内補綴物を細長い送達デバイス260に固定する分離ワイヤ225を受容する。
【0092】
[0091] 図18に示す血管内補綴物送達システムは、図10図17を参照して上述したものと同じ一般的アプローチを使用して細長い血管内補綴物を送達するために使用される。この場合、電流が細長い送達デバイス260に印加されると、分離ワイヤ225のうちの取付けループ235に接続された部分が腐食し、細長い血管内補綴物を分離ワイヤ225から分離させることを可能にする。
【0093】
[0092] 図19は、図18で使用されたアプローチと比較して修正された接続部分200aを例示しており、図19では、同様の要素は添え字「a」で示されている。図19では、一対のはんだコイル接続部220aが、送達ワイヤ260aに対してハンド部分225aを固定している。
【0094】
[0093] 図19に示す血管内補綴物送達システムは、図10図17を参照して上述したものと同じ一般的アプローチを使用して細長い血管内補綴物を送達するために使用される。この場合、電流が細長い送達デバイス260aに印加されると、ハンドル部分225aが腐食し、細長い血管内補綴物を分離ワイヤ260aから分離させることを可能にする。
【0095】
[0094] 図20は、図18で使用されたアプローチと比較して修正された接続部分200bを例示しており、図20では、同様の要素は添え字「b」で示されている。図20では、単一のはんだコイル接続部220bが細長い送達ワイヤ260bに対して固定されている。細長い送達ワイヤ260bの遠位先端部には、T字形状要素222がある。T字形状要素222は、その先端突出部を除いて絶縁されている。T字形状要素222の変形形態が図20aに例示されている。
【0096】
[0095] 図20に示す血管内補綴物送達システムは、図10図17を参照して上述したものと同じ一般的アプローチを使用して細長い血管内補綴物を送達するために使用される。この場合、電流が細長い送達デバイス260bに印加されると、T字形状要素222の先端突出部が腐食し、細長い血管内補綴物を分離ワイヤ260bから分離させることを可能にする。
【0097】
[0096] 図21は、図18で使用されたアプローチと比較して修正された接続部分200cを例示しており、図21では、同様の要素は添え字「c」で示されている。図21では、単一のはんだコイル接続部220cが細長い送達ワイヤ260cに対して固定されている。細長い送達ワイヤ260cの遠位先端部には、保持要素223がある。細長い送達ワイヤ260cの遠位先端部は、保持要素223を除いて、好適な絶縁スリーブによって絶縁されている。
【0098】
[0097] 図21に示す血管内補綴物送達システムは、図10図17を参照して上述したものと同じ一般的アプローチを使用して細長い血管内補綴物を送達するために使用される。この場合、電流が細長い送達デバイス260cに印加されると、保持要素223が腐食し、細長い血管内補綴物を分離ワイヤ260cから分離させることを可能にする。
【0099】
[0098] 図18図21は、電流が細長い送達デバイスに印加された後、接続部分(200等)の一部分が腐食し、細長い血管内補綴物を分離ワイヤから分離させることを可能にするという共通の特徴を共有する。接続部分の残りの部分は、細長い送達デバイスに結合されたままである。
【0100】
[0099] 本発明について例示的な実施形態及び例を参照して説明したが、本説明は、限定的な意味で解釈されることを意図していない。そのため、例示的な実施形態の様々な修正形態、及び本発明の他の実施形態が、本説明を参照することで当業者に明らかになる。したがって、添付の特許請求の範囲が、任意のそのような修正形態又は実施形態を網羅することが企図される。
【0101】
[00100] 本明細書で参照されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、各々の個別の刊行物、特許、又は特許出願が全体として参照により組み込まれることが具体的及び個別に指示されている場合と同じ範囲にわたって、全体が参照により組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図20a
図21
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【国際調査報告】