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特表2023-516040超音波デバイスと治療される組織との間の音響結合の不良を検出するための方法およびシステム
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  • 特表-超音波デバイスと治療される組織との間の音響結合の不良を検出するための方法およびシステム 図1
  • 特表-超音波デバイスと治療される組織との間の音響結合の不良を検出するための方法およびシステム 図2
  • 特表-超音波デバイスと治療される組織との間の音響結合の不良を検出するための方法およびシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(54)【発明の名称】超音波デバイスと治療される組織との間の音響結合の不良を検出するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/00 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
A61N7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552371
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2021055140
(87)【国際公開番号】W WO2021175828
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】2002062
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518461997
【氏名又は名称】カルテラ
【氏名又は名称原語表記】CARTHERA
【住所又は居所原語表記】60 Avenue Rockefeller, Hotel d’Entreprises Laennec 69008 Lyon France
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】ブシュー、ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ショルヴィ、マチュー
(72)【発明者】
【氏名】マルタン、シリル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ22
(57)【要約】
本発明は、病状を治療するための装置であって、
- 超音波発生デバイス(1)と、
- 前記デバイス(1)に電気を供給するための遠隔制御ユニット(2)と、
- 前記デバイス(1)と前記制御ユニット(2)との間の電気接続手段(31、32)と
を備えてなり、
前記制御ユニット(2)が、前記超音波デバイス(1)と治療される組織との間の音響結合の品質を評価するようにプログラムされてなることを特徴とする、装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病状を治療するための装置であって、
- 超音波を発生させることができる少なくとも1つのトランスデューサ(12)を備える超音波デバイス(1)であって、前記トランスデューサが、標的媒体に対向して位置するように意図された前面を有する、超音波デバイス(1)と、
- 前記超音波デバイス(1)の操作パラメーターを決定およびモニタリングし、少なくとも1つの治療サイクル(50)の間にそれに電気を供給するための遠隔制御ユニット(2)であって、各治療サイクル(50)が待機サイクル(40)の後に置かれる、遠隔制御ユニット(2)と、
- 前記超音波デバイス(1)と前記制御ユニット(2)との間の電気接続手段(31、32)と
を備えてなり、
前記制御ユニット(2)が、前記超音波デバイスと前記標的媒体との間の音響結合の品質の推定フェーズを実施するようにプログラムされてなり、前記推定フェーズが:
- 前記制御ユニットによる、少なくとも1つのモニタリング信号の発信であって、各モニタリング信号が個々の周波数を有する、発信と、
- 前記制御ユニットによる、少なくとも1つの反射された信号の測定であって、各反射された信号が個々のモニタリング信号に相当する、測定と、
- 〇前記超音波デバイス中の液体の存在、または
〇前記および少なくとも1つのトランスデューサと前記標的媒体との間の気泡等の反射性材料の存在
のいずれかを検出するような前記反射された信号の処理と
を含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記推定フェーズが、前記超音波デバイス中の液体の存在を検出するステップを含み、前記ステップが、以下のサブステップ:
- 前記制御ユニットによる、リーク電流モニタリング周波数でのリーク電流モニタリング信号の発信と、
- 前記制御ユニットによる、前記超音波デバイスによって吸収されていない前記リーク電流モニタリング信号の一部に相当する反射されたリーク電流モニタリング信号の測定と、
- 前記超音波デバイス中の液体の存在を検出するような前記反射されたリーク電流モニタリング信号の処理と
を含む、請求項1に記載の治療装置。
【請求項3】
前記リーク電流モニタリング周波数が、前記トランスデューサの操作周波数範囲に属さない周波数、特に、その動作周波数が1MHzに等しいトランスデューサについて約600kHzの周波数である、請求項2に記載の治療装置。
【請求項4】
前記推定フェーズが、気泡の存在を検出するステップを含み、前記ステップが、以下のサブステップ:
- 前記制御ユニットによる、気体モニタリング周波数での気体モニタリング信号の発信と、
- 前記制御ユニットによる、前記超音波デバイスによって吸収されていない前記気体モニタリング信号の一部に相当する反射された気体モニタリング信号の測定と、
- 前記トランスデューサと前記標的媒体との間の気泡の存在を検出するような前記反射された気体モニタリング信号の処理と
を含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の治療装置。
【請求項5】
気泡モニタリング周波数が、前記トランスデューサの操作周波数範囲に属する周波数、より具体的には、前記トランスデューサの動作周波数の90%より大きい周波数、特に、その動作周波数が1MHzに等しいトランスデューサについて約962kHzの周波数である、請求項4に記載の治療装置。
【請求項6】
気泡の存在を検出する前記ステップが、少なくとも1つの待機サイクルの間に各トランスデューサについて実施され、前記ステップが:
- 気泡が検出されていない各トランスデューサを作動することであって、前記作動されたトランスデューサが、前記および少なくとも1つの待機サイクルの後の少なくとも1つの治療サイクルの間に、超音波治療波の発生のために電気エネルギーを供給することができることと、
- 気泡が検出された各トランスデューサを停止することであって、前記停止されたトランスデューサが、前記および少なくとも1つの待機サイクルの後の治療サイクルの間に、電気エネルギーを供給しないことと
からなるステップをさらに含む、
請求項4または5のいずれか一項に記載の治療装置。
【請求項7】
各治療セッションが、前記デバイスが治療される組織に向かって超音波治療波を発信する間に、複数の治療サイクルを含み、各治療サイクルが、待機サイクルの後に置かれ、前記制御ユニット(2)が:
- 各待機サイクルの間に気泡の存在を検出するステップと、
- 各治療サイクルの間に液体の存在を検出するステップと
を実施するようにプログラムされてなる、先行する請求項のいずれか一項に記載の治療装置。
【請求項8】
液体および気体の存在を検出する前記ステップが、連続して実施され、液体の存在を検出する前記ステップが、気泡の存在を検出する前記ステップの後に実施される、請求項2および請求項4の組み合わせに記載の治療装置。
【請求項9】
前記超音波デバイスが、各トランスデューサが収容されているケーシングを備え、前記ケーシングが、各トランスデューサの前面に対向する底部を備え、前記底部が、ポリ-エーテル-エーテル-ケトン製であり、前記底部の厚さが、1MHzに等しいトランスデューサの動作周波数について、0.3mm~0.8mmで構成され、好ましくは、0.3~0.6mmで構成され、さらにより好ましくは、0.4mm±0.05mmに実質的に等しい、先行する請求項のいずれか一項に記載の治療装置。
【請求項10】
前記超音波デバイスが、各トランスデューサが電気的に接続されている電子カードを備え、前記制御ユニット(2)が、前記超音波デバイスの各トランスデューサの操作不良の検出フェーズを実施するようにさらにプログラムされてなり、前記検出フェーズが:
- 前記制御ユニットによる、ゼロ周波数を有する少なくとも1つの試験信号の発信と、
- 前記制御ユニットによる、少なくとも1つの反射された試験信号の測定と、
- 〇前記電子カードとトランスデューサとの間の短絡、または
〇前記電子カードとトランスデューサとの間の電気接続不良
のいずれかを検出するような前記反射された試験信号の処理と
を含む、請求項1に記載の治療装置。
【請求項11】
病状を治療するための装置であって、
- 電子カードと、前記電子カードに電気的に接続された少なくとも1つのトランスデューサ(12)とを備える超音波デバイス(1)であって、前記トランスデューサが、超音波を発生させることができる、超音波デバイス(1)と、
- 前記超音波デバイス(1)の操作パラメーターを決定およびモニタリングし、そして、少なくとも1つの治療サイクル(50)の間にそれに電気を供給するための遠隔制御ユニット(2)であって、各治療サイクルが待機サイクル(40)の後に置かれる、遠隔制御ユニット(2)と、
- 前記超音波デバイスと前記制御ユニットとの間の電気接続手段と
を備えてなり、
前記制御ユニットが、前記超音波デバイスの各トランスデューサの操作不良の検出フェーズを実施するようにプログラムされてなり、前記検出フェーズが、
- 前記制御ユニットによる、少なくとも1つの試験信号の発信であって、各モニタリング信号がゼロ周波数を有する、発信と、
- 前記制御ユニットによる、少なくとも1つの反射された試験信号の測定と、
- 〇前記超音波デバイスの短絡、または
〇前記および少なくとも1つのトランスデューサと前記電子カードとの間の電気接続不良
のいずれかを検出するような前記反射された試験信号の処理と
を含むことを特徴とする、装置。
【請求項12】
各治療セッションが、前記デバイスが治療される組織に向かって超音波治療波を発信する間に、複数の治療サイクルを含み、各治療サイクルが、待機サイクルの後に置かれ、前記制御ユニット(2)が、各待機サイクルの間に操作不良を検出するステップを実施するようにプログラムされてなる、請求項11に記載の治療装置。
【請求項13】
前記制御ユニット(2)が、前記超音波デバイスの各トランスデューサについて、引き続いて、操作不良を検出するステップを実施するようにプログラムされてなる、請求項11または12に記載の治療装置。
【請求項14】
各トランスデューサが、標的媒体に対向して位置するように意図された前面を有し、前記制御ユニット(2)が、前記超音波デバイスと前記標的媒体との間の音響結合の品質の推定フェーズを実施するようにさらにプログラムされてなり、前記推定フェーズが:
- 前記制御ユニットによる、少なくとも1つのモニタリング信号の発信であって、各モニタリング信号が個々の周波数を有する、発信と、
- 前記制御ユニットによる、少なくとも1つの反射された信号の測定であって、各反射された信号が個々のモニタリング信号に相当する、測定と、
- 〇前記超音波デバイス中の液体の存在、または
〇前記および少なくとも1つのトランスデューサと前記標的媒体との間の気泡等の反射性材料の存在
のいずれかを検出するような前記反射された信号の処理と
を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔制御ユニットと電気的に接続するよう意図された超音波デバイス、例えば、体内または埋め込み型デバイスの一般的な技術分野に関する。
【0002】
そのようなデバイスは、特に、診断を確立するおよび/または、病状を治療する際に施術者を補助するために、ヒトおよび哺乳動物に埋め込むことができる。
【背景技術】
【0003】
脳障害を治療するための装置は、文献WO20158/007500により知られている。図1を参照すると、そのような装置は、
- 非強磁性材料製の超音波デバイス1と、
- 超音波デバイス1から離れた所にある制御ユニット2と、
- 超音波デバイス1と制御ユニット2との間の接続のための接続手段と
から構成されている。
【0004】
超音波デバイス1は、患者の頭蓋に形成された穿頭孔に配置されるよう意図されている。超音波デバイス1は、有利には、磁気共鳴イメージング(MRI)技術と適合性があり、
- 脳疾患を治療するための超音波の発生のための少なくとも1つのトランスデューサ12と、
- トランスデューサ12を患者の頭蓋に固定するための固定手段13と、
- 接続手段と協働するよう意図された1つ(またはそれ以上)の電気接続端子14とを備えている。
【0005】
制御ユニット2は、超音波デバイス1に電気エネルギーを供給し、その操作パラメーターを調整するよう意図されている。
【0006】
接続手段は、超音波デバイス1を制御ユニット2に電気的に連結するよう意図されている。接続手段は、一般に、
- その一端が制御ユニットに連結されてなる、1つ(またはそれ以上)の電気接続ケーブル31と、
- ケーブル31の他端に接続された1つ(またはそれ以上)の経皮針32と
を備えている。
【0007】
この装置の動作原理は以下の通りである。超音波デバイス1が患者の頭蓋に埋め込まれると、患者に影響を与える病状を治療するために、一連の治療セッションが後者に提供される。それぞれの新しい治療セッションで、超音波デバイス1は接続手段を介して制御ユニット2に連結される。
【0008】
施術者は、ケーブル31を制御ユニット2に連結し、次に針32を患者の皮膚を通して超音波デバイスの端子14まで挿入する。
【0009】
針32の端部が端子14に接続されると、制御ユニット2が作動され、超音波デバイス1に電気エネルギーを供給することができる。
【0010】
WO2018/007500に記載される検出方法は、治療の実施の前に、超音波デバイス1と制御ユニット2との間の電気接続の品質を確認することを提案する。
【0011】
より具体的には、WO2018/007500に記載されるシステムおよび方法は:
- ケーブル31と制御ユニット2との間の電気接続の非存在、
- 経皮針と端子14との間の電気接続の非存在
等の異なるタイプの欠陥がある電気接続を検出することを可能にする。
【0012】
治療の実施の前に超音波デバイス1と制御ユニット2との間の電気接続の品質を確認することにより、治療の無効の危険性を制限することを可能にする。
【0013】
しかしながら、他のパラメーターは、治療の有効性、特に、超音波デバイス1と治療される組織との間の音響結合の品質に影響を与え得る。
【0014】
本発明の1つの目的は:
- 超音波デバイスと、
- 治療される組織と
の間の音響結合の品質における可能性がある不良を施術者が検出することを可能にする方法およびシステムを提案することである。
【0015】
超音波デバイスは、経時的に劣化し得る。特に、デバイスの1つ(またはそれ以上)のトランスデューサの操作は、例えば、1つ(またはそれ以上)のトランスデューサからの1つ(またはそれ以上)の接続タブの開放の際に、例えば、1つ(またはそれ以上)のトランスデューサの電気接続が変更される(短絡または開回路)場合に、失敗し得る。
【0016】
本発明の別の目的は、超音波デバイスの1つ(またはそれ以上)のトランスデューサの操作不良を施術者が検出することを可能にする方法およびシステムを提案することである。
【発明の概要】
【0017】
この目的のため、本発明は、病状を治療するための装置であって、
- 超音波を発生させることができる少なくとも1つのトランスデューサを備える超音波デバイスであって、トランスデューサが、標的媒体に対向して位置するように意図された前面を有する、超音波デバイスと、
- 超音波デバイスの操作パラメーターを決定およびモニタリングし、そして、少なくとも1つの治療サイクルの間にそれに電気を供給するための遠隔制御ユニットであって、各治療サイクルが待機サイクルの後に置かれる、遠隔制御ユニットと、
- 超音波デバイスと制御ユニットとの間の電気接続手段と
を備えてなり、
制御ユニットが、超音波デバイスと標的媒体との間の音響結合の品質の推定フェーズを実施するようにプログラムされてなり、前記推定フェーズが:
- 制御ユニットによる、少なくとも1つのモニタリング信号の発信であって、各モニタリング信号が個々の周波数を有する、発信と、
- 制御ユニットによる、少なくとも1つの反射された信号の測定であって、各反射された信号が個々のモニタリング信号に相当する、測定と、
- 〇超音波デバイス中の液体の存在、または
〇および少なくとも1つのトランスデューサと標的媒体との間の気泡等の反射性材料の存在
のいずれかを検出するような反射された信号の処理と
を含むことを特徴とする、装置を提案する。
【0018】
本発明の好ましいが非限定的な態様は以下の通りである:
- 推定フェーズは、超音波デバイス中の液体の存在を検出するステップを含むことができ、このステップは、以下のサブステップ:
〇制御ユニットによる、リーク電流モニタリング周波数でのリーク電流モニタリング信号の発信と、
〇制御ユニットによる、超音波デバイスによって吸収されていないリーク電流モニタリング信号の一部に相当する反射されたリーク電流モニタリング信号の測定と、
〇超音波デバイス中の液体の存在を検出するような反射されたリーク電流モニタリング信号の処理と
を含み;
- リーク電流モニタリング周波数は、トランスデューサの操作周波数範囲に属さない周波数、特に、その動作周波数が1MHzに等しいトランスデューサについて約600kHzの周波数であり得;
- 推定フェーズは、気泡の存在を検出するステップを含むことができ、このステップは、以下のサブステップ:
〇制御ユニットによる、気体モニタリング周波数での気体モニタリング信号の発信と、
〇制御ユニットによる、超音波デバイスによって吸収されていない気体モニタリング信号の一部に相当する反射された気体モニタリング信号の測定と、
〇トランスデューサと標的媒体との間の気泡の存在を検出するような反射された気体モニタリング信号の処理と
を含み;
- 気泡モニタリング周波数は、トランスデューサの操作周波数範囲に属する周波数、より具体的には、トランスデューサの動作周波数の90%より大きい周波数、特に、その動作周波数が1MHzに等しいトランスデューサについて約962kHzの周波数であり得;
- 気泡の存在を検出するステップを、少なくとも1つの待機サイクルの間に各トランスデューサについて実施することができ、前記ステップが:
〇気泡が検出されていない各トランスデューサを作動することであって、作動されたトランスデューサが、前記および少なくとも1つの待機サイクルの後の少なくとも1つの治療サイクルの間に、超音波治療波の発生のために電気エネルギーを供給することができることと、
〇気泡が検出された各トランスデューサを停止することであって、停止されたトランスデューサが、前記および少なくとも1つの待機サイクルの後の治療サイクルの間に、電気エネルギーを供給しないことと
からなるステップをさらに含み;
- 各治療セッションが、デバイスが治療される組織に向かって超音波治療波を発信する間に、複数の治療サイクルを含むことができ、各治療サイクルが、待機サイクルの後に置かれ、制御ユニットが:
〇各待機サイクルの間に気泡の存在を検出するステップと、
〇各治療サイクルの間に液体の存在を検出するステップと
を実施するようにプログラムされてなり;
- 液体およびガスの存在を検出するステップが、連続して実施され得、液体の存在を検出するステップが、気泡の存在を検出するステップの後に実施され;
- 超音波デバイスが、各トランスデューサが収容されているケーシングを備えることができ、ケーシングが、各トランスデューサの前面に対向する底部を備え、底部が、ポリ-エーテル-エーテル-ケトン製であり、底部の厚さが、1MHzに等しいトランスデューサの動作周波数について、0.3mm~0.8mmで構成され、好ましくは、0.3~0.6mmで構成され、さらにより好ましくは、0.4mm±0.05mmに実質的に等しい。
【0019】
推定フェーズは、各トランスデューサの操作を検出するステップ、特に、短絡または開回路を検出するステップを含むことができる。このため、制御ユニットは、周波数Fで電圧を各トランスデューサに送信し、この周波数は、有利には、ゼロである(DC電圧)。
【0020】
本発明は、超音波を発生することができる少なくとも1つのトランスデューサを備えてなる埋め込み型超音波デバイスであって、トランスデューサが:
- 圧電材料製の少なくとも1つの電気音響素子と、
- 底部と、少なくとも1つの側壁と、1つの上部壁とを備えるケーシングであって、ケーシングが、前記および少なくとも1つの電気音響素子を含有するように意図された密閉されたハウジングを形成する、ケーシングと
を備えてなり、
ケーシングの底部を構成する材料が、ポリ-エーテル-エーテル-ケトン(PEEK)であることを特徴とする、埋め込み型超音波デバイスも提案する。
【0021】
本発明の好ましいが非限定的な態様は以下の通りである:
- 電気音響素子が、治療される組織に対向して位置するように意図された前面と、前面の反対側の後面とを備え、トランスデューサが、空気の層等の音響波を反射する層を備え、前記層が、電気音響素子の後面に広がっており;
本明細書の以下で、層Aが層B「に広がって」いると言及される場合、この後者が、直接層B上にあり得るか、または層Bの上に位置し、トランスデューサの動作周波数で無視できる音響的役割を果たす1つもしくはそれ以上の中間層によって前記層Bから分離され得ることが理解され;
- 電気音響素子の前面が、ケーシングの底部に接触しており;
下記で、層Aが層B「と接触して」いると言及される場合、この後者が、直接層Bと接触し得るか、またはトランスデューサの動作周波数で無視できる音響的役割を果たす1つもしくはそれ以上の中間層によって前記層Bから分離され得ることが理解され;
- ケーシングの前記および少なくとも1つ側壁とカバーを構成する材料も、ポリ-エーテル-エーテル-ケトン(PEEK)であり;
- ケーシングの底部の厚さが、以下の関係:
Bottom=(Vsound/4FWorking)×(0.8±0.4)
(式中、
- EBottomは、ケーシングの底部の厚さ(mm)に相当し、
- Vsoundは、ケーシングの底部を構成する材料中の音の速度に相当し、
- FWorkingは、トランスデューサ12の動作周波数(MHz)に相当し、前記動作周波数は、トランスデューサ12の通常の周波数帯において選択される)
を満足し、
- 約1MHzの動作周波数について、PEEK底部の厚さが、0.3mm~0.8mm、好ましくは、0.3mm~0.6mmで選択され、さらにより好ましくは、0.4mm(±0.05mm)に実質的に等しい。
【0022】
本発明は、病状を治療するための装置であって、
- 電子カードと、電子カードに電気的に接続された少なくとも1つのトランスデューサとを備える超音波デバイスであって、トランスデューサが、超音波を発生させることができる、超音波デバイスと、
- 超音波デバイスの操作パラメーターを決定およびモニタリングし、そして、少なくとも1つの治療サイクルの間にそれに電気を供給するための遠隔制御ユニットであって、各治療サイクルが待機サイクルの後に置かれる、遠隔制御ユニットと、
- 超音波デバイスと制御ユニットとの間の電気接続手段と
を備えてなり、
制御ユニットが、超音波デバイスの各トランスデューサの操作不良の検出フェーズを実施するようにプログラムされてなり、前記検出フェーズが、
- 制御ユニットによる、少なくとも1つの試験信号の発信であって、各モニタリング信号がゼロ周波数を有する、発信と、
- 制御ユニットによる、少なくとも1つの反射された試験信号の測定と、
- 〇超音波デバイスの短絡、または
〇前記および少なくとも1つのトランスデューサと電子カードとの間の電気接続不良
のいずれかを検出するような反射された試験信号の処理と
を含むことを特徴とする、装置を提案する。
【0023】
本発明による方法およびシステムの他の利点および特徴は、添付の図面から、非限定的な実施によって示される実施形態のいくつかの改変例の以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】接続手段(経皮針+ケーブル)により遠隔制御ユニットに電気的に接続された超音波デバイスを含む、脳の状態を治療するための装置の一例を概略的に示す。
図2】超音波デバイスのトランスデューサの1つの概略的な部分的表示である。
図3】治療トランスデューサの電力の吸収スペクトルを示す。
図4】音響結合の品質を推定するための方法の主なステップの概略図である。
図5】トランスデューサのバッチについて、適用された電気信号の周波数の関数として、各トランスデューサによって消費された電力を示す曲線である。
図6】音響結合の品質を推定するための方法の1つの代替実施形態の概略図である。
図7】トランスデューサの操作不良を検出するための方法の1つの代替実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図を参照して、音響結合の品質を推定するためのシステムおよび方法の異なる例を説明する。これらの異なる図において、同等の要素は、同じ参照番号によって示される。
【0026】
この推定システムおよび方法により、施術者は、患者の体内に埋め込まれた超音波デバイスと治療される組織との間の音響結合が正確に達成されているかどうかを確認することが可能になる。
【0027】
以下では、推定システムおよび方法は、国際出願WO2018/007500号を指す文献EP2539021号に示される装置を参照して説明する。
【0028】
しかしながら、本発明によるシステムおよび方法が、治療される組織に音響的に結合されている埋め込み型デバイスまたは非埋め込み型デバイスを含む任意のタイプの治療装置を用いて実施され得ることは、当業者にとって明らかである。
【0029】
1.一般概念
1.1.治療装置
前述のように、装置は:
- 超音波デバイス1と、
- 遠隔制御ユニット2と、
- 接続手段と
を備えてなる。
【0030】
超音波デバイス1は、患者の頭蓋骨に埋め込まれることが意図される。これは:
- 電力供給を交換し、遠隔制御ユニットで電気信号をモニタリングするのに好適な電子カードと、
- 超音波の発生のために電子カードに接続されたトランスデューサ12と、
- 電気接続手段の経皮針32を受け入れることが意図された接続端子14と
を備えてなる。
【0031】
以下では、超音波デバイス1は埋め込まれている、すなわち:
- 超音波デバイス1は、頭蓋開口部に挿入されて、その結果、トランスデューサが治療される組織に対向して広がっており、
- 超音波デバイス1は、当業者に公知の任意の手段(アンカースクリュー、接着等)によって頭蓋開口部の周囲に固定されており、次に、
- 患者の頭皮および頭部の筋肉は、超音波デバイス1を覆うように再配置されている
と考えられる。
【0032】
遠隔制御ユニット2は、超音波デバイス1に電気エネルギーを供給し、その操作パラメーターを調整し、デバイスによって反射された信号を受信することを可能にする。そのような制御ユニット2は、当業者に公知であるので、下記でより詳細に説明しない。
【0033】
接続手段は、超音波デバイス1と制御ユニット2とを電気的に連結することを可能にする。接続手段は、特に:
- 超音波デバイスの接続端子上に差し込むことができる経皮針32と、
- 導電性ケーブル31と、
- 制御ユニット2の相補的ソケットに差し込むことができる連結ソケット(図示せず)と
を備えてなる。
【0034】
1.2.装置を使用する原理
このような装置は、施術者によって指示されるいくつかの治療セッションを実施することによって脳疾患の治療を可能にする。
【0035】
それぞれの新しい治療セッションで、施術者は、接続手段を使用することによって、超音波デバイス1を遠隔制御ユニット2に電気的に接続する。
【0036】
より具体的には、施術者は、リンクソケットを遠隔制御ユニット2に接続する。次に、施術者は、経皮針32を患者の頭皮に挿入し、超音波デバイス1の遠隔制御ユニット2への電気接続を終えるために、針32の端部を接続端子14の止まり穴に導入する。
【0037】
超音波デバイス1が制御ユニット2に接続されたら、一連の治療サイクルが実行され、各治療サイクルは、待機サイクルの後に置かれている。
【0038】
待機サイクルの間、超音波デバイス1は、待機期間(約1秒)の間停止される。この停止は、超音波デバイス1に電気エネルギーを供給しないことによって行われる。
【0039】
待機期間が終了すると、治療サイクルが実施される。治療サイクルの間、超音波デバイス1は、治療期間(約25ミリ秒)の間に、接続端子での電気励起信号の適用によって電気エネルギーが供給される。
【0040】
この電気励起信号は、トランスデューサ12の動作周波数で制御ユニット2によって発信される。
【0041】
本発明において、「動作周波数」(または「治療周波数」)とは、トランスデューサ12によって発信された超音波治療波の発信周波数を意味し、この周波数は、電気エネルギーを超音波デバイスに供給することを可能にする電気励起信号の周波数にも相当する。
【0042】
この動作周波数は、トランスデューサ12の有用な周波数帯(すなわち、トランスデューサの操作周波数範囲)に含まれ、トランスデューサ12は、この有用な帯中に含まれない周波数の電気信号がそれに適用される場合、動かない(すなわち、超音波を発生しない)。
【0043】
有利には、トランスデューサ12は、動作周波数で最大効率を有するように選択され得る。このため、動作周波数は、治療される組織を治療するために使用される超音波の治療周波数に相当する。
【0044】
治療期間の間の電気励起信号の適用に応答して、トランスデューサ12は、治療される組織の方向に超音波を発生する。
【0045】
治療期間が終了すると、例えば、セッションの終了まで、新たな待機サイクルが実施される。
【0046】
2.トランスデューサ
図2を参照して、超音波デバイス1のトランスデューサ12の一例の部分断面図を示す。
【0047】
トランスデューサ12は:
- 治療のために意図される1つ(またはそれ以上)の電気音響素子121(パルス列は長く、固定周波数である)と、
- 電気音響素子を格納するケーシング122と
を備えてなる。
【0048】
2.1.電気音響素子
各電気音響治療素子121は、圧電材料、例えば、「複合材料」(少なくとも1種の圧電材料と、1種またはそれ以上の非圧電材料、例えばポリマーなどとの結合)製である。
【0049】
圧電素子121が「複合材料」タイプである場合、その音響インピーダンスは、組織のインピーダンスに近く、特にデバイスが治療のために意図される場合、4分の1波長プレートは必要ではない。
【0050】
各電気音響素子121は、例えば、薄い接着層(トランスデューサの動作周波数で無視できる音響的役割を果たす)を使用することにより接着させることによって、ケーシング122の底部1221に固定される。
【0051】
図2に示されるように、トランスデューサ12は、電気音響素子121の後面1212上に、反射層(またはバッキング)、例えば、空気123の1つ(またはそれ以上)の層も備え、空気123の層(またはそれぞれの層)は、電気音響素子121の後面1212の上に広がっている。
【0052】
そのため、各電気音響素子の後面がその励起後に長い間素子が反響するのを防ぐ吸収材料で被覆されている音響映像デバイス(「パルス-エコー」技法と呼ばれる技法を使用する)とは違って、トランスデューサ12は、電気音響素子121の後面1212上に吸収材料を有さない。
【0053】
最後に、治療トランスデューサは、高エネルギーを発信し(特に、発信の期間に起因して)、したがって、特に、これが患者において実施される場合に、温度が上昇してはならない。
【0054】
したがって、吸収材料の存在は、トランスデューサ12の電気音響素子121の後面において望ましくない。
【0055】
読者は、電気音響素子121の後面上に配置された空気の層が、その前面に向かって素子によって発生されたすべての音響エネルギーを反射することによって、トランスデューサのエネルギー効率を改善することを可能にすることも理解するであろう。
【0056】
実際に、圧電素子121は:
- 治療される組織の方に向けられた前面1211と、
- 前面1211の反対側の後面1212と
を備えてなる。
【0057】
素子121が電気エネルギーを供給すると、これは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、その振動は、素子の前方および後方に伝播し得る音響波を発生する。
【0058】
圧電素子の後面1212上の空気123の層は、鏡として作用し、その前面1211の方向の素子121の後方に向かった波を反射する。このようにして、素子121によって発生した機械エネルギーの一部の喪失が回避される。
【0059】
2.2.ケーシング
ケーシング122は、底部1221と、側壁と、カバー1222とを備えてなる。有利には、ケーシング122を構成する材料は、ポリ-エーテル-エーテル-ケトン(本明細書において以下、「PEEK」と称される)であり得る。PEEKは、その多くの性質に起因して、埋め込み型デバイスの製造に特に好適である。PEEKは、実際に:
- 高度に密封され、
- 生体適合性であり、
- 電気絶縁性であり、かつ
- 経時的に安定である(浸漬される場合)
材料である。
【0060】
図2に示される実施形態において、約1MHzの動作周波数について、(素子121(または各素子121)の前面に対向する)PEEKの底部1221の厚さは、0.3mm~0.8mm、好ましくは、0.3mm~0.6mmで選択され、さらにより好ましくは、0.4mm(±0.05mm)に実質的に等しい。
【0061】
当然ながら、底部の厚さの選択は、トランスデューサ12のために使用される動作周波数の関数である。このため、動作周波数の関数としての厚さの選択は、以下の関係:
Bottom=(Vsound/4FWorking)×(0.8±0.4)
(式中、
- EBottomは、ケーシングの底部の厚さ(mm)に相当し、
- Vsoundは、ケーシングの底部を構成する材料中の音の速度に相当し、
- FWorkingは、トランスデューサ12の動作周波数(MHz)に相当し、前記動作周波数は、トランスデューサ12の通常の周波数帯において選択される)
を満足する。
【0062】
ケーシング122の底部1221についての厚さのこのような選択は:
- ケーシング122の底部により、素子121によって発信された超音波エネルギーの吸収を制限するため、および
- 埋め込み型超音波デバイスの容積を低減するため
に可能な限り薄い底部の厚さ選択するであろう当業者の一般知識とは対照的である。
【0063】
それどころか、底部の厚さ1221のこの選択は(PEEK底部の場合において)、超音波デバイス1と治療される組織との間の不十分な音響結合の検出を容易にする。
【0064】
実際に、0.4mm(±0.05mm)に実質的に等しい厚さのPEEK底部1221の使用は、トランスデューサ12と治療される組織との間の気泡の検出を容易にし、電気吸収スペクトルは、底部が一方で気体と、または他方で伝播媒体(この場合において:硬膜)と、音響的に接触するかどうかに応じて非常に異なる。
【0065】
トランスデューサ12は、同じケーシング122に取り付けられたいくつかの圧電素子122を備えることができる。各ケーシングは密封される。
【0066】
指標として、図3は、異なる厚さの底部ケーシング1221に結合したトランスデューサの電力(有効電力)の吸収スペクトルを示す。グラフの縦軸Pa0は、250mWの入射電力に対してトランスデューサによって吸収された電力に相当する。電気インピーダンスの整合が、トランスデューサと発生器との間に挿入されることに留意されたい:
- 第1の吸収スペクトル(伝搬媒体との音響結合の場合は311で示され、気体との音響結合の場合は312で示される)は、0.4mmに等しい厚さのPEEK底部と結合したトランスデューサに相当する、
- 第2の吸収スペクトル(伝搬媒体との音響結合の場合は321で示され、気体との音響結合の場合は322で示される)は、0.2mmに等しい厚さのPEEK底部と結合したトランスデューサに相当する、
- 第3の吸収スペクトル(伝搬媒体との音響結合の場合は331で示され、気体との音響結合の場合は332で示される)は、底部を欠くケーシングと言われるゼロ厚さのPEEK底部と結合したトランスデューサに相当する(トランスデューサの前面はパリレンの層でのみ被覆されている)。
【0067】
この図3から明らかであるように、400μmのPEEK厚さで、トランスデューサ12と治療される組織との間の音響結合を確認するために異なる周波数での発信の利益を得ることが可能である。
【0068】
このため、約1MHzの動作周波数について、底部が、0.3mm~0.8mmで構成される厚さ、好ましくは、0.3mm~0.6mmで構成される厚さ、さらにより好ましくは、0.4mm(±0.05mm)に実質的に等しい厚さを有するPEEKケーシング122の選択は:
- 電気音響学的効率を低減することなく、治療のための帯域幅を増加させること(より広い周波数範囲を使用することができ、変動に対してより頑強である)、
- 超音波デバイスの電気絶縁性、生体適合性および寿命を増加させること;実際に、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックは生体適合性ではないこと(鉛の存在)、パリレン(各トランスデューサを被覆する保護フィルムとして使用され得る)は多孔性であること、およびPZTまたは「複合材料」タイプの材料は経時的に湿度により押し流されることが公知である
を可能にする。
【0069】
より一般に、反射された電力スペクトル(または電気インピーダンス測定値)を参照モデルまたはテンプレート(最小参照値曲線および最大参照値曲線で構成される)と比較することが可能である。測定された反射された電力スペクトルを表す曲線がテンプレートに含まれない場合、これは、不良を表す。どの周波数が、反射された電力スペクトルがテンプレートの外側にあるかを見ることによって、この不良(空気、接続、短絡、不良トランスデューサなど)を定義することが可能である。
【0070】
「入射電力」とは、制御ユニット2によってトランスデューサ12に伝達された電力を意味する。「有効電力」とは、トランスデューサ12によって消費された電力を意味する(入射電力-反射された電力:一部は熱に変換され、他は超音波に変換される)。「反射された電力」とは、トランスデューサ12から制御ユニット2に流れる電力を意味する。
【0071】
同様に、反射された電気信号(φ)および入射電気信号(φ)は、反射された電波および入射電波の振幅として定義される。
【0072】
読者は、いくつかの方法により、有効電力/反射された電力/インピーダンススペクトルを、例えば:
・ チャープタイプの周波数変調試験信号または非常に短い信号を発信し、フーリエ解析を行うことによって、継続的に(例えば、0.2~1.6MHzの範囲にわたって)、または
・ 異なる周波数の限定的な数のパルス(例えば、4つの異なる周波数で4つのパルス)からいくつかのタイプの不良を検出することを可能にするように賢明に選択された異なる周波数でいくつかの試験パルスを発信することによって、慎重に(関連する電子機器の費用を制限する)
取得することが可能であることを理解するであろう。
【0073】
2.3.上述の構成に関連する利点
上述のトランスデューサの構成(圧電素子の後面上の反射層、および圧電素子の前面上のPEEK層)は、トランスデューサの前面で空気の存在と水の存在との間を識別する能力を増加させること、すなわち、トランスデューサが埋め込まれる場合に、正しい結合の検証を可能にする。トランスデューサ(空気+圧電複合材料+1/4波)は、水に非常によく適合し、その後面で減衰されないので、超音波は、前面(水/脳結合)によってのみ減衰し得る。このため、前面上の水の存在または非存在は、トランスデューサの電気インピーダンスに対して非常に大きな影響を有する。
【0074】
トランスデューサの構成はまた:
- 電気音響学的効率を低減することなく、トランスデューサの帯域幅を改善すること、これは、使用のより高い柔軟性を可能にする;
- トランスデューサの電気絶縁性、生体適合性および寿命を増加させること
を可能にする。
【0075】
3.治療装置の使用に関連する問題
先に示したように、(超音波デバイスと治療される組織を含有する媒体との間の)音響結合の品質は、経時的に変化し得る。
【0076】
例えば、セッションの間、気泡が、トランスデューサ12(またはトランスデューサ12の1つ)と治療される組織との間で形成されることがある。同様に、気泡は、デバイスを埋め込む操作の間に、トランスデューサと治療される組織との間に閉じ込められることがある。また、骨石灰化が、トランスデューサと治療される組織との間で経時的に形成され得る。トランスデューサと組織との間のこのような反射性材料(気泡または骨成長)の存在は、治療される組織に向かってトランスデューサ12によって発生される超音波の伝播を制限し、これは、治療の有効性を制限する結果となる。
【0077】
加えて、例えば、経皮針32の接続端子14への挿入の間に、液体がデバイス1に侵入し得、この液体は、治療の有効性を制限する短絡(または、より具体的には、リーク電流の出現)を引き起こす可能性がある。
【0078】
これが、治療における無効の危険性を制限するために、超音波デバイス1と治療される組織との間の音響結合の品質を推定することが望ましい理由である。
【0079】
さらには、1つ(またはそれ以上)のトランスデューサは、短絡または開回路等の不良を有することがある(例えば、1つ(またはそれ以上)のトランスデューサからの1つ(またはそれ以上)の接続タブの開放後)。
【0080】
これが、治療における無効の危険性を制限するために、超音波デバイスの1つ(またはそれ以上)のトランスデューサの操作不良を検出することも望ましい理由である。
【0081】
読者は、これらの2つの試験フェーズ(すなわち、結合の品質の推定と、トランスデューサの操作不良の検出)を、互いに独立して、または一緒に行うことができることを理解するであろう。このため、いくつかの実施形態において、治療装置は:
- 音響結合の品質の推定のみを行う、あるいは
- 超音波デバイスの1つ(またはそれ以上)のトランスデューサの操作不良の検出のみを行う、あるいは
- 音響結合の品質の推定と、超音波デバイスの1つ(またはそれ以上)のトランスデューサの操作不良の検出の両方を行う
ように構成され得る。
【0082】
4.音響結合の品質を評価するための方法
図4を参照して、音響結合の品質を推定するための方法は、以下のステップ:
- 制御ユニット2による、少なくとも1つのモニタリング信号の発信411と、
- 制御ユニット2による、少なくとも1つのフィードバック信号の取得412と、
- 超音波デバイス1と治療される組織との間の音響結合の品質に対する情報を得るようなフィードバック信号の処理413であって、前記処理が:
■音響結合の品質が品質閾値を上回る各トランスデューサ12の作動と、
■音響結合の品質が品質閾値を下回る各トランスデューサ12の停止と
を可能にする、処理と
を含む。
【0083】
音響結合の品質の評価の後、作動されたトランスデューサは、(各治療サイクルの間に)電気エネルギーを供給することができ、その結果、トランスデューサは、治療される組織に向かって治療超音波を発生する。停止されたトランスデューサは、それらの一部に対して、制御デバイス2によって電気エネルギーを供給されない。
【0084】
各モニタリング信号は、励起信号と比較して、低い電気エネルギーで発信される(治療のために必要なエネルギーの約1%)。より具体的には、各モニタリング信号の電力は、(モニタリング信号に応答して)超音波デバイスによって発生された任意の超音波が任意の組織に効果を引き起こさないようなものである。
【0085】
これらの要因(すなわち、超音波デバイス中の流体、および/またはケーシングの底部と伝播媒体との間の気泡/骨、および/またはトランスデューサの操作不良)の1つの可能性のある存在を検出するために、いくつかのモニタリング信号は、1周波数でそれぞれ発信される。各信号について、制御ユニット2は、デバイス1に対して、公知の振幅および周波数の信号を発信する。この信号は、特に、トランスデューサ12と組織との間の不完全な音響整合に起因して、完全なインピーダンス整合ではなく、信号(フィードバック信号)の一部は、デバイスの後ろに反射される。制御ユニット2は、この反射された信号の振幅を測定し、それらからの反射率を推測する。制御ユニット2は、埋め込み型超音波デバイスのトランスデューサまでの回路のインピーダンスも測定することもできる。
【0086】
より具体的には、本方法は、超音波デバイス1の各トランスデューサ12について以下のステップ:
- いくつかの周波数のいくつかのモニタリング信号の適用であって、各モニタリング信号が個々の周波数を有する、適用と、
- モニタリング信号の複数の反射率の測定であって、各測定された反射率が、個々のモニタリング信号に相当する、測定と、
- 反射率と事前確立された閾値との比較、および考慮されるトランスデューサ12と組織との間の結合の品質の推定と
を含む。
【0087】
反射率は、トランスデューサ12によって反射されたモニタリング信号の割合に相当する。モニタリング信号の反射率(B)は、反射された電気信号(φ)と入射電気信号(φ)との間の比:
B=φ/φ
として定義することができる。
【0088】
実際のところ、モニタリング信号を適用するステップは、個々の周波数をそれぞれ有する2つ、3つ、または4つのモニタリング信号を連続して適用することからなる。
【0089】
モニタリング信号の周波数は、以下の4つの要因:
- WO2018/007500号で提案されている電気接続不良、
- トランスデューサ12と治療される組織との間の気泡の存在、
- 超音波デバイス中(例えば、経皮針32の端部を含む接続端子で)の流体の存在、
- トランスデューサの操作不良(短絡または開回路)
のそれぞれについての(問題のある検出感度の)識別が最大になるように選択される。
【0090】
周波数の選択は、製造されたトランスデューサの集団において:
- 吸収スペクトルと、
- 吸収スペクトルの標準偏差と
に基づいて行われる。
【0091】
特に、モニタリング信号の周波数は、以下の比が最大になるように選択される:
(平均water-Kσwater)/(平均air+Kσair
(ここで、
- 「平均」、考慮される周波数での試料集団における吸収測定値の平均、
- 「σ」、考慮される周波数での試料集団における吸収測定値の標準偏差(製造公差に起因するトランスデューサの操作のわずかな変動はこの標準偏差の存在を説明する)、
- 「K」、1~3で構成される整数)。
【0092】
個々の周波数(ケーシング底部の厚さの選択に関連する)をそれぞれ有する異なるモニタリング信号を使用する利点は、結合の品質を低下させ得る異なる要因に関して、評価方法が非常に識別するようにすることである。言い換えれば、本発明による方法は、不十分な結合品質が:
- 接続不良と、
- 気泡の存在、または
- 流体の存在と、
- トランスデューサの1つの操作不良と
に起因するかどうかを定義することを可能にする。
【0093】
このため、検出された問題の本質についてより正確に施術者に知らせることが可能であり、その結果、施術者は、検出された問題を解決するために最も好適な解決手段を実施することができる。
【0094】
4.1.周波数
治療を不可能または無効にする可能性がある結合不良を決定するために、異なる周波数の異なるモニタリング信号が発信され、各モニタリング信号は、治療周波数Fと(好ましくは)異なる周波数を有する。
【0095】
4.1.1.短絡の検出のためのモニタリング信号の周波数
特に、短絡または寄生抵抗(接続端子での液体の存在に起因する)の検出のためのモニタリング信号は、周波数Fで発信される。
【0096】
この周波数Fは、トランスデューサによって消費される電力が低くなる(入射電力の40%未満)ように、動作周波数Fよりも非常に低く選択される。
【0097】
より具体的には、周波数Fは、トランスデューサの有用な周波数帯(すなわち、トランスデューサの操作周波数範囲)の外側で選択され、このため、1よりも非常に低い(周波数Fで)測定された反射率(すなわち、非ゼロ電力消費)は、超音波デバイス中の液体の存在に起因する短絡の存在を示す。
【0098】
特に、本発明の1つの実施形態において、短絡または寄生抵抗の検出のために使用されるモニタリング信号の周波数Fは、0.6MHzに実質的に等しい。
【0099】
4.1.2.電気接続不良の検出のためのモニタリング信号の周波数
電気接続不良の検出のためのモニタリング信号の周波数(WO2018007500号を参照されたい)は、周波数Fとは異なる周波数Fで発信される。
【0100】
この周波数Fは、周波数Fと動作周波数Fとの間で選択される。特に、本発明の1つの実施形態において、電気接続不良の検出のために使用されるモニタリング信号の周波数Fは、850MHzに実質的に等しい。
【0101】
特に、周波数Fは、トランスデューサによって消費される電力が、トランスデューサの前面上に位置する媒体と無関係になるように選択される。言い換えれば、周波数Fは:
〇 一方では、トランスデューサによって消費される電力が最大である(特に、トランスデューサに適用されるモニタリング信号の入射電力の40%より大きい)、
〇 その前面が気体と接触している場合のトランスデューサによって消費される電力が、その前面が液体または組織と接触している場合のトランスデューサによって消費される電力と実質的に等しい
ように選択される。
【0102】
このため、1に実質的に等しい(周波数Fで)測定される反射率(すなわち、ゼロ作動(=消費)電力)は、超音波デバイス1(またはデバイス1のトランスデューサ12の1つ)と制御ユニット2との間の電気接続の非存在を示す。
【0103】
4.1.3.気泡を検出するためのモニタリング信号の周波数
トランスデューサと治療される組織との間の気泡の検出のためのモニタリング信号は、周波数FおよびFとは異なる周波数Fで発信される。
【0104】
特に、周波数Fは、トランスデューサによって消費される電力が:
- トランスデューサの前面が気泡に対向している場合に、最小(トランスデューサは、伝達される電力が入射電力の64%未満である場合、空気中にあり、逆の場合、水中にあると考えられる)、かつ
- トランスデューサの前面が硬膜、組織または液体などの伝播媒体に対向している場合に、最大
であるように選択される。
【0105】
この周波数Fは、周波数Fよりも高く、動作周波数Fよりもわずかに低く(すなわち、1%~10%低く、好ましくは、1%~5%低く)またはFと等しく、選択される。
【0106】
特に、本発明の1つの実施形態において、気泡の検出のために使用されるモニタリング信号の周波数Fは、960MHz(トランスデューサの動作周波数の96%)に実質的に等しい。
【0107】
このため、図5(適用される電気信号の周波数と250mWの電力との関数として、トランスデューサのバッチによって消費される電力を示す)に示されるように、異なるモニタリング信号のために使用される周波数は、治療の品質に影響を与え得る異なるタイプの不良の間の識別を最大にするように選択される。
【0108】
4.1.4.トランスデューサの操作不良の検出のためのモニタリング信号の周波数(DC電圧:F =0)
トランスデューサの操作不良の検出のためのモニタリング信号は、モニタリング信号がDC電圧を有するように、ゼロ周波数Fで発信される。
【0109】
このため、DC電圧モニタリング信号は、制御ユニットにより、埋め込み型超音波デバイスに適用され得る。このゼロ周波数Fのモニタリング信号は:
- トランスデューサの完全短絡(トランスデューサが作動された場合にゼロインピーダンス)、または
- 接続チャンバーの不良(液体が存在する場合に低すぎるインピーダンス、特に、トランスデューサが制御されているかどうかにかかわらず、または制御されたトランスデューサに関係なく、インピーダンスが低すぎる場合)
のいずれかを検出することを可能にする。
【0110】
この試験は、周波数F で発信されたモニタリング信号からの短絡の検出のために、4.1.1.項に記載される試験を完了することを可能にする。
【0111】
4.2.推定方法の実施の例
図6を参照して、推定方法の操作原理をより詳細に説明する。この推定方法は:
- エミッタの前面上の空気の存在と、
- エミッタが機能しているかどうかと、
- 流体(例えば、水)が超音波デバイスの内部に存在するかどうかと
を検出することを可能にする。
【0112】
この実施形態において、本方法のいくつかの検出ステップは、各待機サイクルの間に行われ、他は、各治療サイクルの間に行われる。
【0113】
4.2.1.待機サイクル
各待機サイクルの間、本方法は、:
- 電気接続不良を検出する第1のステップと、
- 気泡の存在を検出する第2のステップと
を含む。
【0114】
これらの第1のステップおよび第2のステップは、超音波デバイス1の各トランスデューサ12について、連続して実施される。
【0115】
4.2.1.1.電気接続不良
電気接続不良を検出する第1のステップは:
- 第1のモニタリング周波数Fで第1のモニタリング信号を発信すること401であって:
〇 第1のモニタリング信号が、例えば、250mWの電力のパルス信号と、1msに等しい期間とからなり、
〇 第1の周波数が、850kHzに等しく選択されることと、
- 超音波デバイスによって吸収されていない第1のモニタリング信号の一部に相当する第1の反射されたモニタリング信号を取得すること402であって:
〇 第1の反射された信号の取得が、反射された信号の電力を測定すること(例えば、方向性結合器を使用することによる)、またはトランスデューサによって消費される電力を表す任意の他の情報からなり得ることと、
- 接続不良を検出するように、第1の反射されたモニタリング信号を処理すること403であって:
〇 サブステップを処理する間、トランスデューサによって消費される電力を表す情報が、第1の反射された信号から抽出され、
〇 消費された電力を表すこの情報が、第1のモニタリング信号の電力の40%に相当する第1の所定の閾値(すなわち、250mWの第1のモニタリング信号の場合に100mW)と比較される:
■ 消費された電力を表す情報が第1の閾値を下回る場合に、トランスデューサ12は、遠隔制御ユニット2に正しく接続されていない(すなわち、トランスデューサと制御ユニットとの間の電気連結の非存在の検出)、
■ そうでない場合に、考慮されるトランスデューサと制御ユニットとの間の電気接続は機能している(すなわち、トランスデューサと制御ユニットとの間の電気接続の欠陥なし)
ことと
からなるサブステップを含む。
【0116】
4.2.1.2.気体の存在
気泡の存在を検出するステップは:
- 第2のモニタリング周波数で第2のモニタリング信号を発信すること404であって:
〇 第2のモニタリング信号が、例えば、250mWの電力のパルス信号と、1msに等しい期間とからなり、
〇 第2の周波数が、962kHzに等しく選択されることと、
- 第2の反射されたモニタリング信号を取得すること405であって:
〇 ここで再び、第2の反射された信号の取得が、トランスデューサによって「吸収された電力」、もしくは「反射率」、もしくは電気インピーダンスを測定すること、またはトランスデューサによって消費される電力を表す任意の他の情報からなり得ることと、
- 超音波デバイス中の液体の存在を検出するように、第2の反射されたモニタリング信号を処理すること406であって:、
〇 トランスデューサによって消費される電力を表す情報(第2の反射された信号から抽出される)が、第2のモニタリング信号の電力の64%に相当する第2の所定の閾値(すなわち、250mWの第2のモニタリング信号の場合に160mW)と比較される:
■ 消費された電力を表す情報が第2の閾値を下回る場合に、トランスデューサの前面に対向して存在する媒体は、気体である(すなわち、トランスデューサと治療される組織との間の気泡の検出)、
■ そうでなければ、トランスデューサの前面に対向して存在する媒体は、液体または組織である(気泡の非存在)
ことと
からなるサブステップを含む。
【0117】
4.2.1.3.トランスデューサの操作不良の検出
図7を参照して、操作不良を検出するステップは:
- ゼロモニタリング周波数で試験信号を発信すること407と、
- 反射された試験信号を取得すること408であって、この反射された信号の取得が、トランスデューサによって「吸収された電力」、もしくは「反射率」、もしくは電気インピーダンスを測定すること、またはトランスデューサによって消費される電力を表す任意の他の情報からなり得ることと、
- トランスデューサの操作不良を検出するように、反射された試験信号を処理すること409であって、トランスデューサによって消費される電力を表す情報(反射された試験信号から抽出される)が、第1および第2の所定の試験閾値と比較される:
■ 消費された電力を表す情報が第1の試験閾値を下回る場合(すなわち、ゼロまたは非常に低いインピーダンス)に、トランスデューサは、短絡を有する、
■ 消費された電力を表す情報が第2の試験閾値を上回る場合(すなわち、高すぎるまたは無限大のインピーダンス)に、トランスデューサと電子カードとの間の接続は、開回路を有する、
■ そうでなければ、トランスデューサは正確に動いている(操作不良の非存在)
ことと
からなるサブステップを含む。
【0118】
操作不良を検出するこのステップは、超音波デバイスの各トランスデューサにおいて、引き続いて行われる。操作不良が検出されたトランスデューサは、操作不良を有していないトランスデューサが作動している間、停止される。
【0119】
4.2.2.治療サイクル
各治療サイクルの間、本方法は、超音波デバイス中の流体の存在を検出する第3のステップを含む。
【0120】
この検出ステップは、超音波デバイスによって治療超音波を発信する各ステップの前に実施される。このため、治療超音波の発生を誘起するように、トランスデューサに電気エネルギーを供給することからなる各ステップの前に、流体の存在を検出するステップが実施される。
【0121】
流体の存在を検出する第3のステップは:
- 第3のモニタリング周波数Fで第3のモニタリング信号を発信すること501であって:
〇 第3のモニタリング信号が、例えば、500mWの電力のパルス信号と、100μsに等しい期間とからなり、
〇 第3の周波数が、600kHzに等しく選択されることと、
- 超音波デバイスによって吸収されていない第3のモニタリング信号の一部に相当する第3の反射されたモニタリング信号を測定すること502と、
- 超音波デバイス中の液体の存在を検出するように、第3の反射されたモニタリング信号を処理すること503であって、消費された電力を表す情報が、第3のモニタリング信号の電力の40%に相当する第3の所定の閾値(すなわち、500mWの第3のモニタリング信号の場合に200mW)と比較される:
〇 消費された電力を表す情報が第3の閾値を下回る場合に、超音波デバイスは、任意の流体を含有していない(すなわち、短絡の非存在)、
〇 そうでなければ、超音波デバイスは、短絡を引き起こす流体を含有する
ことと
からなるサブステップを含む。
【0122】
上述の異なる試験の結果に応じて、制御ユニット2は、超音波デバイス1に治療超音波の発信を命令する。
【0123】
特に、短絡が検出されていない場合、制御ユニット2は、結合不良が検出されていない超音波デバイス1の作動されたトランスデューサ12(正しく電気的に接続され、その前面が気泡に対向して広がっていないトランスデューサ)を供給する。この供給ステップは、24msの期間、7~8ワットで構成される電力を有する電力供給信号を、それぞれ作動されたトランスデューサに適用することからなる。
【0124】
指標として、結合品質の推定フェーズおよびトランスデューサの操作不良の検出フェーズの実施のために使用される異なる周波数をまとめる表を下記に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
読者は、音響結合の品質の推定のためおよびトランスデューサの操作不良の検出のために使用される周波数および閾値が:
- すべての超音波デバイスについて同一であり得る、または
- 各超音波デバイスについて個別化され得る
ことを理解するであろう。
【0127】
この個別化は、異なるトランスデューサの性能の間の任意に存在する変動を考慮することを可能にし、この変動は、トランスデューサの製造の公差に関連し得る(表面粗さまたは各トランスデューサの厚さの変動など)。
【0128】
5.結論
上述の方法は、超音波デバイスと治療される組織との間の音響結合の品質を評価することを可能にする。これは、トランスデューサの任意の操作不良を検出することも可能にする。
【0129】
このため、例えば:
- 1つ(またはそれ以上)のトランスデューサと治療される組織との間の気泡に、および/または
- その接続端子での液体漏出に起因する超音波デバイスの短絡に
関連する治療の無効の危険性を制限することが可能である。
【0130】
このような不良の検出は、施術者に警告され、その結果、施術者が、これらの不良を修正するための解決手段を実施することを可能にする。
【0131】
読者は、本明細書に記載の新しい教示および利点から物理的に逸脱することなく、上記の本発明に対して多くの改良を行うことができることを理解するであろう。
【0132】
したがって、このタイプの改良はすべて、添付の特許請求の範囲の範囲内に組み込まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】