(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(54)【発明の名称】可変トルク発電電気機械のための冷却システム
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552520
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2021020558
(87)【国際公開番号】W WO2021178462
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518362856
【氏名又は名称】ファルコン・パワー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,ハーレー・シー
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー,ジェームズ・エル
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,マシュー・シー
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609BB11
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609QQ11
5H609RR35
5H609RR52
5H609RR65
(57)【要約】
固定子室を伴う収容部と、軸であって収容部に対して回転し得るように少なくとも1つの軸受組立体により支持される軸と、固定子組立体であって、固定子鉄心と、固定子鉄心の周りの複数の電線巻線とを伴う、固定子組立体と、固定子組立体において磁場を発生させるための磁石組立体を伴う回転子組立体であって、冷却剤が、熱を除去するために、固定子鉄心および複数の電線巻線を横切って、固定子室を通して循環させられる、回転子組立体と、複数の熱電素子とを有する電気機械。熱電素子は、冷却剤が複数の熱電素子を横切って循環させられるように、収容部の内方周縁部の周りに場所を定められる。複数の熱電は、ペルチェ効果を使用して、固定子室を通って流れる冷却剤を冷却し、または、電気機械により使用され得る電気電流を発生させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉固定子室を含む収容部と、
前記密閉固定子室の中に配される固定子組立体であって、前記固定子組立体が、固定子鉄心と、前記固定子鉄心により支持される複数の電線巻線とを含む、固定子組立体と、
を含み、
前記密閉固定子室は、前記固定子鉄心および前記複数の電線巻線から熱を除去するために、前記固定子鉄心および複数の電線巻線を横切って、前記密閉固定子室を通して循環させられる冷却剤を受けるように構成される、
電気機械。
【請求項2】
前記固定子鉄心は、
複数の固定子板と、
前記複数の固定子板の、各々の端部における端板と、
を含み、
前記固定子板および端板の各々は、複数の固定子歯を有する、
請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
外方表面を通して切削される長手方向グローブを伴う非磁性管をさらに含み、前記長手方向グローブは、前記固定子鉄心において前記複数の固定子歯と係合して、液密空洞を作成する、請求項2に記載の電気機械。
【請求項4】
前記密閉固定子室は、前記冷却剤から熱を除去するために、熱交換器組立体に流体的に結合される、入口ポートと、出口ポートとを含む、請求項1に記載の電気機械。
【請求項5】
前記冷却剤は、鉱油を含む、請求項4に記載の電気機械。
【請求項6】
前記冷却剤は、前記固定子組立体の温度が増大する際に第2の冷却剤により置換される、第1の冷却剤を含む、請求項4に記載の電気機械。
【請求項7】
前記密閉室の中に配置構成される複数の熱電素子を、前記冷却剤が前記複数の熱電素子を横切って循環させられるようにさらに含み、前記複数の熱電素子は、ペルチェ効果を使用して、前記冷却剤を冷却すること、および、電気の流れを発生させることのうちの少なくとも1つのために構成される、請求項1に記載の電気機械。
【請求項8】
前記複数の熱電素子は、前記密閉固定子室の周縁部の周りに配置構成される、請求項7に記載の電気機械。
【請求項9】
前記電気機械は、前記収容部の内方壁の周囲に配される流体循環管をさらに含む、請求項8に記載の電気機械。
【請求項10】
前記流体循環管は、水を循環させる、請求項9に記載の電気機械。
【請求項11】
前記複数の熱電素子は、前記固定子鉄心と前記流体循環管との間に配置される、請求項9に記載の電気機械。
【請求項12】
前記複数の熱電素子により生み出される前記電気は、前記電気機械を含むシステムにおいて使用される電動デバイスに動力を供給する、請求項9に記載の電気機械。
【請求項13】
前記冷却剤は、電子装置を通してさらに循環させられ、前記電子装置は、モータ制御器を含む、請求項1に記載の電気機械。
【請求項14】
密閉固定子室を含む収容部と、
前記密閉固定子室の中に配される固定子組立体であって、前記固定子組立体は、固定子鉄心と、前記固定子鉄心により支持される複数の電線巻線と、を含み、
前記密閉固定子室は、前記固定子鉄心および前記複数の電線巻線から熱を除去するために、前記固定子鉄心および複数の電線巻線を横切って、前記密閉固定子室を通して循環させられる冷却剤を受けるように構成される、固定子組立体と、
複数の熱電素子であって、前記冷却剤が前記複数の熱電素子を横切って循環させられるように前記収容部の内方壁の周囲に配され、前記複数の熱電素子は、ペルチェ効果を使用して、前記冷却剤を冷却すること、および、電気の流れを発生させることのうちの少なくとも1つのために構成される、複数の熱電素子と、
を含む、電気機械。
【請求項15】
前記固定子鉄心は、
複数の固定子板と、
前記複数の固定子板の、各々の端部における端板と
を含み、
前記固定子板および端板の各々は、複数の固定子歯を有する、請求項14に記載の電気機械。
【請求項16】
前記密閉固定子室は、前記冷却剤から熱を除去するために、熱交換器組立体に流体的に結合される、入口ポートと、出口ポートとを含む、請求項14に記載の電気機械。
【請求項17】
前記冷却剤は、鉱油を含む、請求項14に記載の電気機械。
【請求項18】
前記電気機械は、前記収容部の内方壁の周囲に配される流体循環管をさらに含む、請求項14に記載の電気機械。
【請求項19】
前記複数の熱電素子は、前記固定子鉄心と前記流体循環管との間に配置される、請求項18に記載の電気機械。
【請求項20】
前記複数の熱電素子により生み出される前記電気は、前記電気機械を含むシステムにおいて使用される電動デバイスに動力を供給する、請求項14に記載の電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2020年3月2日に出願され、「Variable Torque Generation Electric Machine Employing Tunable Halbach Magnet Array.」と題された、米国仮出願第62/984,270号の米国特許法第119(e)条のもとでの優先権を主張するものである。本出願は、2020年9月11日に出願され、「Cascade Mosfet Design for Variable Torque Generator/Motor Gear Switching.」と題された、米国仮出願第62/077,243号の米国特許法第119(e)条のもとでの優先権を主張するものである。2021年3月2日付けの、「Cascade Mosfet Design for Variable Torque Generator/Motor Gear Switching」と題された、同時係属非仮出願第XX/XXX,XXX号が、その全体において本明細書に参照により組み込まれる。さらにまた、2021年3月2日付けの、「Variable Torque Generation Electric Machine Employing Tunable Halbach Magnet Array」と題された、同時係属非仮出願第XX/XXX,XXX号が、その全体において本明細書に参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]電気機械は、電磁気力を使用して、電気エネルギーを機械エネルギーに、または、機械エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスである。一般に知られる電気機械は、電気発電機および電気モータを含む。
【0003】
[0003]電気発電機は、電力網、車両における電気システム等々などの外部回路における使用のために、機械エネルギーを電気エネルギーへと変換する。大半の発電機は、シャフトの回転などの回転式の力(トルク)の形式で原動力源を用いる。回転式の力は、1つまたは複数の電線巻線において、発電機の中の磁石により作成される磁場と、電線巻線との間の相互作用によって電気電流が発生させられることを引き起こす。原動力の一般に知られる源は、一定のトルク、および、毎分回転数(RPM)において表現される、連続的な回転速度を有する、蒸気タービン、ガスタービン、水力発電タービン、内燃機関、および類するものを含む。
【0004】
[0004]電気モータは、電気発電機と機械的に同一であるが、逆に動作する。電気モータは、モータのシャフトの回転の形式での原動力(すなわち、回転式の力またはトルク)を発生させるために、モータの中の磁石により作成される磁場と、1つまたは複数の電線巻線を通過する電気電流との間の相互作用によって、電気エネルギーを機械エネルギーへと変換する。この回転式の力(トルク)は、次いで、何らかの外部機構を推進するために使用される。電気モータは、一般的には、連続的な回転および一定のトルクをもたらすように設計される。牽引モータによる回生制動を用いる車両においてなど、ある決まった用途において、電気モータは、他のやり方では熱および摩擦として失われ得るエネルギーを回収するために、発電機として逆に使用され得る。
【0005】
[0005]ますます、再生可能エネルギー技術において用いられる電気発電機は、使用される動力源が可変であり不順でありおよびしばしば予測不可能であるので、広範に変動する、回転速度(RPM)およびトルクにおいて動作しなければならない。同様に、環境に優しい技術またはグリーン技術により用いられる電気モータは、所定の範囲の回転速度(RPM)およびトルクを生み出す能力をもたなければならない。しかしながら、従来の電気発電機およびモータが、それらの定格回転速度(RPM))およびトルクの付近で動作するとき、九十から九十八パーセント(90%~98%)の範囲に及ぶ効率をしばしば証明する一方で、これらの同じ発電機およびモータの効率は、それらがそれらの定格回転速度(RPM)および/またはトルクの外側で動作しているとき、しばしば三十から六十パーセント(30%~60%)と同じほど低く、劇的に減少する。
【0006】
[0006]詳細な説明が、付随する図を参照して説明される。説明および図における、異なる実例における同じ参照番号の使用は、同様または同一の項目を指示し得る。加えて、本明細書において開示される概念は、電気モータ、電気発電機、および/または電気機械式伝動装置システムを含む、ただしそれらに制限されない、様々な種類の電気機械に適用され得るということが、当業者により察知されることになる。かくして、本開示の全体を通して、および、後に続く特許請求の範囲において、用語、電気機械は、一般的には、本明細書において説明される概念を用いる能力をもつ任意の電気機械式デバイスを説明するために使用され、別段にそのように説述されない限り、そのこと、用語、電気機械が、電気モータ、電気発電機、リニアモータ、電気機械式伝動装置システム、または、それらの組合せ(例えば、回生制動を用いるハイブリッド車両における使用に適した電気機械)等々を指し得るということが察知されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0007]本開示の例実施形態による、電気機械を例示する側面視図である。
【
図2】[0008]本開示の例実施形態による、
図1において示される電気機械を例示する斜視図である。
【
図3】[0009]本開示の例実施形態による、固定子および回転子を示す、
図1において示される電気機械の断面斜視図である。
【
図4】[0010]本開示の例実施形態による、電気機械冷却システムを例示する、収容部が除去されて示される、電気機械の異なる実施形態を例示する断面斜視図である。
【
図5】[0011]本開示の例実施形態による、固定子および回転子をさらに示す、
図1において示される電気機械の断面斜視図である。
【
図6】[0012]本開示の例実施形態による、電気機械冷却システムの異なる実施形態によって、
図1において示される電気機械を示す図である。
【
図7】[0013]本開示の例実施形態による、
図3において示される固定子からの、固定子からの複数の固定子板を示す図である。
【
図8】[0014]本開示の例実施形態による、
図7において示される単一の固定子板を示す図である。
【
図9】[0015]本開示の例実施形態による、複数の固定子歯の詳細な視図を示す、
図8において示される固定子板の部分視図を示す図である。
【
図10】[0016]本開示の例実施形態による、
図7において示される複数の固定子板の断面視図である。
【
図11】[0017]本開示の例実施形態による、電気機械冷却システムを例示する、収容部が除去されて示される、
図4において示される固定子の断面斜視図である。
【
図12】[0018]本開示の例実施形態による、開口収容部を有する電気機械の代替的な実施形態の図である。
【
図13】[0019]本開示の例実施形態による、固定子および回転子を示す、
図12において示される電気機械の斜視断面視図である。
【
図14】[0020]本開示の例実施形態による、固定子および回転子を示す、
図12において示される収容部端部蓋の部分斜視図である。
【
図15】[0021]本開示の例実施形態による、固定子および回転子を示す、
図12において示される電気機械の断面斜視図である。
【
図16】[0022]本開示の例実施形態による、固定子歯が密閉帯により密閉される冷却システムを示す、
図12において示される電気機械の斜視図である。
【
図17】[0023]本開示の例実施形態による、
図16において示されるような複数の固定子板の斜視図である。
【
図18】[0024]本開示の例実施形態による、
図16において示される複数の固定子板の部分視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
概観
[0025]本主題は、構造的特徴および/または工程動作に固有の文言で説明されているが、添付される特許請求の範囲において定義される本主題は、必ずしも、上述で説明された特定の特徴または行為に制限されないということが理解されるべきである。むしろ、上述で説明された特定の特徴および行為は、請求項を実現することの例形式として開示される。
【0009】
[0026]モータおよび発電機は、非常に狭い範囲の最適効率を伴う、特定の速度およびトルクにおける動作のために設計され、モータまたは発電機における高トルク所要量は、高電圧および電流によって克服される大きい逆起電力(EMF)を作成する、より強力な永久磁石を求める。回転可能速度およびトルクが一定であるとき、モータまたは発電機は、最適効率のために設計され得る。しばしば、この効率は、九十パーセント(90%)より十分に上であり得る。かくして、そのようなモータおよび発電機の設計および製造において、固定子鉄心、鉄心巻線、および永久磁石は、すべて、最適またはしきい値効率における、要されるトルク、回転可能速度(RPM)、電圧、および電流比を生み出すように、一体で働くように選択される。一旦これらの主要な構成要素電流電気機械技術が、選択され、モータまたは発電機において配置されると、それらは変更され得ない。発電機における駆動力の動力および速度、または、モータ内への電気電流の電圧および電流量のみが変更され得る。しかしながら、そのようなモータまたは発電機が、陸上車両および/または風力もしくは水力発電機においてなど、速度およびトルクが広範に変動する場合に使われるとき、固定された磁石の逆起電力は、速度およびトルク所要量が、それに対して設計された最大値より少ないときに、それでもなお克服されなければならず、固定子配線は、速度およびトルクが、それに対して設計された最大値より大であるときに、それでもなお十分であり、適切にサイズ設定されなければならない。それらの固定された磁石の逆起電力および固定子配線がそうでないとき、モータまたは発電機の総体的な効率は、電気またはハイブリッド車両、風力または水力発電機、および類するものに対して、多くの事例において二十パーセント(20%)と同じほど低くまで、劇的に降下する。
【0010】
[0027]本開示は、広範な電圧および電流量動作範囲、ならびに/または、きわめて可変なトルクおよび回転可能速度(RPM)条件のもとで、高効率を伴って動作する能力をもつ、電気モータ、電気発電機、および/または伝動装置システム、特に、可変トルク発電(VTG)モータ、発電機、および/または伝動装置システムのための冷却システムに向けられるものである。本開示による電気モータは、モータが可変トルクおよび/または回転可能速度(RPM)を生み出す、技術における使用に良好に適する。同様に、本開示による電気発電機は、むらな風速度、不順な海洋波運動、ハイブリッド車両における可変制動エネルギー等々などの可変環境条件が頻繁に遭遇されるなど、可変トルクおよび回転可能速度(RPM)条件がよく起こる、技術における使用に良好に適する。例技術は、例えば、風力発電、水力発電、電気またはハイブリッド車両等々を含む、再生可能エネルギー源を用いる技術を含み得る。
【0011】
[0028]本明細書において説明される技法は、すべて直列に、すべて並列に、または、それらの組合せで接続されることの間で固定子における複数個の無撚並列コイル電線を切り替えることにより、固定子において誘導される磁場を変動させること、および、対応して、回転子における調節可能ハルバッハ磁石配置構成を使用して、固定子に作用する永久磁石の磁場を転回させる、変動させる、調整する、または集束させることのうちの1つまたは複数により、モータ、発電機、または伝動装置などの電気機械の出力「サイズ」を動的に変化させることができる。調節可能ハルバッハ磁石配置構成は、磁石配列の磁場強度を調節するために回転させられ得る、散在させられる固定された、および回転可能な磁石から構成されている。加えて、トルク/RPMまたは電流量/電圧所要量が変化する際、システムは、回転子/固定子集合の中の(一般のコンピュータプロセッサに接続される複数個の電気機械単位装置における)1つの固定子または別のものを活動化し、二(2)、四(4)、六(6)、またはより多くの並列3相無撚コイル巻線の集合によって、並列巻線から直列巻線に、または逆に変化させることができる。この様式において、システムは、効率を改善する(例えば、最適化する、または、ほぼ最適化する)ための、トルク/RPMまたは電流量/電圧所要量を満たすことができる。
【0012】
[0029]本開示の冷却システムは、相当量の損失を招くことなくコイルにおける電流量を増大するために、直列および並列切り替えを使用して固定子コイルの抵抗を徐々に低減することを可能とする。コイル抵抗が低減される高電流用途において、電線は、過熱し、それらの電線の絶縁物を焼き切り、短絡する傾向があり得る。電線を冷却することにより、電線がそれらの定格容量の5倍と同じほど多いより多くの電流量を搬送することが可能となる。相ごとに単一の導体を伴う従来のモータまたは発電機との比較において、冷却される従来の電気機械は、5倍と同じほど多いだけ冷却によって増大される、その電気機械の動力を有し得るものであり、その場合、本開示の電気機械は、30倍と同じほど多いだけ増大される、その電気機械の動力を有し得る。電気機械の温度が制御されるならば、温度は、直列/並列電線切り替えシステムを制御するための変数として使用され得る。
【0013】
[0030]本開示の冷却システムは、コイル巻線を伴う複数の固定子板を有する密閉固定子鉄心と、循環する冷却剤を伴う液密空洞と、流体空洞の中を循環させられる冷却剤の温度を低減するために、水または異なる冷却流体を循環させるための配管と、固定子鉄心の周縁部の周りに位置を定められ、冷却剤と接触している、ペルチェ素子などの熱電素子とを含む。
【0014】
[0031]本開示の冷却システムにおいて、熱電素子は、固定子鉄心からの廃熱を電気電流に変換するために使用され得るものであり、その電気電流は、電気機械の中の電気応用装置に動力を供給する、または、それらの電気応用装置を補うために使用され得る。熱電素子は、固体ヒートポンプである。それらを通過する電気電流の方向に基づいて、それらは、1つの側から別の側に熱を伝達する。あるいは、熱電素子の2つの側の間に温度差が存するとき、電圧差が、熱電素子の2つの側の間で高まることになる。
【0015】
例実施形態の詳細な説明
[0032]全体的に
図1ないし6を参照して、電気機械100が、本開示の異なる実施形態によって説明される。本明細書において使用される際、用語、電気機械は、電気モータ、電気発電機、伝動装置システム、その他を指し得る。
図2ないし5は、収容部102と、主軸104と、固定子組立体106と、回転子組立体108とを有する電気機械100を示す。収容部102は、固定子室103を含む。主軸104は、収容部102を通って延び、例えば、少なくとも1つの軸受により支持されることにより、電気機械収容部に回転可能に接続される。固定子組立体は、複数のコイル巻線112を支持する固定子鉄心110を含む。固定子鉄心110は、複数の固定子板174および端板172により構成されている。固定子板174は、軸方向において互いに積層され、複数の固定子板174の各々の端部に端板172が配置されている。端板172および固定子板174は、回転子に近接して固定子鉄心の内方縁部に場所を定められる固定子スロット204を作成する複数の固定子歯176を含む。電線が、複数の固定子コイル巻線112を形成するために、スロット204において複数の固定子歯176の周りに巻かれる。固定子板174は、
図7ないし10において詳細に示される。
【0016】
[0033]本開示の一実施形態による、設けられる液密空洞。液密空洞を示す実施形態において、密閉固定子室103が、固定子歯176の端部と、固定子鉄心110の外方周縁部と、固定子組立体106の両方の端部との間の空間を密閉することにより形成される。密閉固定子室103は、固定子鉄心の端板172を横切って広がる。固定子組立体106の端部は、軸に直交する板によって密閉される。固定子室は、非磁性であり、その固定子室の厚さは、固定子歯176の端部と、コイル巻線112と、回転子108との間の磁場に影響を及ぼさない。
【0017】
[0034]冷却剤が、対流によって固定子鉄心110から熱を除去するために、密閉固定子室103の全体を通して循環させられる。冷却剤は、複数のコイル巻線112を通過して、上記密閉固定子室103を通して循環させられる。冷却剤は、鉱油、液体窒素、または、他の冷却物質、液体、もしくは気体を含み得る。一部の実施形態において、冷却剤は、上述で述べられた冷却剤、または、これらの冷却剤の任意のものの組合せからの、第1の冷却剤および第2の冷却剤を含み得る。第1の冷却剤は、固定子組立体106の温度が所定の温度範囲より上に増大する際に第2の冷却剤により置換され得る。
【0018】
[0035]1つの実施形態において、密閉固定子室103の液密空洞は、固定子鉄心110の外方表面と、収容部102の内方表面との間の間隙を有する固定子鉄心を含み得る。この実施形態において、冷却剤は、固定子鉄心110の上部部分をわたって、ならびに、固定子コイル112を通って、および、固定子コイル端部を横切って循環し得る。別の実施形態において、電気機械収容部102は、固定子鉄心110の外方表面の続きである。この実施形態(示されない)において、冷却剤は、固定子コイル112を通って、および、固定子コイル端部を横切って流れる。
【0019】
[0036]
図4は、収容部102を伴わない固定子組立体106を示す。密閉固定子室103の液密空洞は、管107を使用して形成され得るものであり、その管107は、管107の外方表面にわたって切削される長手方向溝109を有する。長手方向溝109は、管が固定子106の軸中心を通して挿入されるとき、固定子歯176と係合して、液密密閉を作成する。密閉管107は、柔軟性液体エポキシグルーなどの耐熱性接着剤を使用して、固定子鉄心110と適所で接合され得る。他の耐熱性接着剤が、密閉管を適所で固着させるために使用され得るということが理解されるべきである。密閉管107は、耐熱性高分子、非磁性金属もしくは金属合金、または、それらの組合せを含む、ただしそれらに制限されない、非磁性材料から作製される。
【0020】
[0037]1つの実施形態において、収容部102の部分または全体は、フィン付き直径(finned-diameter)伝熱管からなり得る。この実施形態において、冷却剤および固定子鉄心110からの熱は、フィンによる、自然の、または強制される空気循環によって伝熱管収容部に伝達される。
【0021】
[0038]
図4において示されるように、固定子端板172の外方直径は、主固定子板174の外側直径より大きい。間隙188が、固定子190の外方周縁部と、固定子収容部102の内方表面との間に設けられる。間隙188は、冷却剤が、固定子端板172の外方表面を横切って循環することを可能とするために設けられる。異なる実施形態において、固定子端板172の外方直径は、主固定子板174の外方直径と同じである。
【0022】
[0039]電気機械100のための冷却システムの異なる実施形態において、密閉管が、固定子鉄心と収容部102との間で、固定子鉄心の周縁部の周りの、間隙188に対して設置され得る。これらの管は、固定子鉄心110および固定子コイル112を通って流れる冷却剤を冷却するために、水または別の流体を循環させ得る。この実施形態は、とりわけ、流水の入手機会が存する、または、別個の水冷放熱器が利用可能である、海事用途において有益であり得る。
【0023】
[0040]
図4において例示されるように、密閉室103は、冷却剤入口ポート166と、冷却剤出口ポート164とを含み、上記入口および出口ポートは、冷却剤から熱を除去するために、熱交換器(示されない)に流体的に結合される。移送ポンプ(示されない)が、密閉室103の中で冷却剤を循環させる。冷却剤入口ポート166から進入する後、冷却剤は、収容部102と固定子鉄心110との間の室間隙188に進入する。冷却剤は、スペーサ177により分離される固定子の集合どうしの間の空間に進入し、固定子歯176を通って軸方向に、および、端板172を通って固定子鉄心の外側に、間隙188に戻るように流れる。最終的には、冷却剤は、出口ポート164を通って収容部102の外側に流れる。
【0024】
[0041]収容部102は、本明細書において開示される冷却システムにおいて冷却剤が通って流れる、異なる細区分を含み得る。1つの実施形態において、冷却剤は、内部フィン付き管を通って流れ、その内部フィン付き管は、内部フィン付き管のいずれかの側に外部フィン付き伝熱板を伴う。後に続いて、冷却剤は、フィン付き伝熱板のいずれかの側に複数の熱電素子168を有する、別の内部フィン付き管を通って流れ得る。フィン付き伝熱板(示されない)は、熱電素子168の外側表面上に接続され得る。
【0025】
[0042]
図11は、密閉固定子室102の内側を示し、その密閉固定子室は、上記密閉室の中に配置構成される複数の熱電素子168を有する。冷却剤が熱電素子を横切って循環させられる際、熱電素子は、さらに、ペルチェ効果によって、冷却剤から熱を除去し、および/または、電気の流れを発生させ得る。熱電素子は、システム制御器によりあらかじめ決定されたように、伝達されることになる熱の水準により定められるように、断続的に通電され得る。
【0026】
[0043]熱電素子168は、さらには、固定子鉄心110と、間隙188に対して場所を定められる水循環密閉管との間の、固定子鉄心の周縁部の周りに配置され得る。この実施形態において、固定子鉄心110と水循環管との間の熱差異が、固定子鉄心110からの廃熱を電気電流へと変換するために、熱電素子168により使用され得る。この電流は、循環ポンプ、もしくは、電子スイッチ、モータ制御器、その他などの収容部102の中の電子装置に動力を供給すること、または、それらを補うことを含む、ただしそれらに制限されない、異なる用途を有し得る。
【0027】
[0044]収容部102が、フィン付き外方直径を伴う伝熱管からなる実施形態において、熱電素子168は、固定子鉄心110と収容部102との間に場所を定められるように、伝熱管の内側に直接的に接合され得る。
図11において示される実施形態などの、収容部102が固定子鉄心110の外方表面の拡張である、他の実施形態において、熱電素子168は、収容部102に接合され得る。
【0028】
[0045]端板172の外方直径が主固定子板174の外方直径と同じである実施形態において、熱電素子168は、固定子鉄心110の、2つ以上の異なる集合の間に、および、端板172の外方直径の隣に位置を定められ得る。これらの実施形態において、冷却剤は、巻線が複数の固定子歯の周りを回る際に、コイル巻線により、および、コイル巻線の端部の周囲に残される、固定子スロットにおける空間を通るのみで流れる。加えて、孔(示されない)が、固定子コイルを通して軸方向において穿孔され得るものであり、それらの孔において、冷却剤がさらには循環し得る。
【0029】
[0046]
図7および10は、各々が複数の主固定子板174を含む、固定子鉄心110のwo集合の例を、次に2つ互いに示す。固定子鉄心の、2つの異なる集合は、軸方向において一体に積層される複数のスペーサ177により分離される。
【0030】
[0047]冷却システムの異なる実施形態において、熱電素子168は、熱電冷却器(TEC)として働くように、電気電流によって別個に通電され得る。これらの実施形態において、熱電素子168は、冷却剤および/または固定子鉄心110からの熱の、水管、フィン付き外方管、または、両方の組合せへの伝達を加速し得る。熱電素子は、特に、高熱用途、または、温度が、あらかじめ決定された温度範囲を上回るときの状況において、熱電冷却器として使用され得る。
【0031】
[0048]
図12ないし18は、電気機械100の冷却システムの別の実施形態を示す。冷却システムは、固定子端板172と、主固定子歯176を有する主固定子板174と、固定子冷却プラグ178とを含む。固定子端板172は、外方直径182の周辺部の周りにスロット孔180を含む。
図16は、主固定子板174と、端板172と、固定子冷却プラグ178とを伴う固定子組立体106を例示する。
図10は、主固定子歯176をより詳細に示す。固定子冷却プラグ178は、固定子板184および186上の接触表面に固定子冷却プラグを接着するための耐熱性接着剤によって設置され得る。固定子冷却プラグ178は、
図5および15において示されるように、固定子空洞を密閉された様態に保つために、収容部102の長さを通して広がり、さらに、固定子端板から広がる。冷却プラグ178は、スロット端部179を含み、ゴムガスケット181が、
図17および18において示されるように、固定子鉄心110と固定子端板172との間の密閉を支援するために取り付けられ得る。
【0032】
[0049]電気機械100の一部の実施形態において、冷却剤は、収容部102において密閉槽(示されない)の中に場所を定められるシステム電子装置を通して循環させられ得る。冷却剤は、入口多岐管において場所を定められる第1の導管から密閉槽内へと流れ、出口多岐管において場所を定められる第2の導管を通って戻り得る。第1および第2の導管は、固定子106の運動および回転を可能とするように柔軟性があり得る。システム電子装置は、電子スイッチおよびモータ制御器を含み得る。
【0033】
[0050]ある決まった実施形態において、電気機械100の冷却システムは、冷却剤を循環させるための密閉固定子室103を含まない。これらの実施形態において、熱電素子168は、固定子鉄心110から廃エネルギーを収集するために、または、固定子鉄心110と収容部102との間の熱の伝達を加速するために、収容部102と固定子鉄心110との間の、収容部102の内方表面上に配され得る。
【0034】
[0051]固定子端板172は、アルミニウム、ステンレス鋼、または、当技術分野において知られる任意の他の金属材料であり得る。固定子端板172および主固定子板174は、異なる材料から作製されることがあり、または、同じ材料から作製されることがある。主固定子板174に対する材料は、磁鉄、非晶質鉄箔、それらの組合せを含み、ただしそれらに制限されない。固定子冷却プラグ178は、プラスチック、シリコーン、エポキシ炭素材料、または、他の多数性材料から作製され得る。固定子冷却プラグ178と固定子歯176との間の間隙196が、依然として固定子室103の液密密閉を維持しながら、本発明の異なる実施形態において含まれ得る。
【0035】
[0052]本主題は、構造的特徴および/または工程動作に固有の文言で説明されているが、添付される特許請求の範囲において定義される本主題は、必ずしも、上述で説明された特定の特徴または行為に制限されないということが理解されるべきである。むしろ、上述で説明された特定の特徴および行為は、請求項を実現することの例形式として開示される。
【国際調査報告】