(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-18
(54)【発明の名称】挟持ツール
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20230411BHJP
C21D 1/42 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B25J15/00 D
C21D1/42 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534208
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 CN2021082274
(87)【国際公開番号】W WO2021197120
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010235311.1
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522222009
【氏名又は名称】上海精智実業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI JINGZHI INDUSTRY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 101,Block D,Building 11,128 Xiangyin Road,Yangpu District Shanghai 200433,China
(74)【代理人】
【識別番号】100178434
【氏名又は名称】李 じゅん
(72)【発明者】
【氏名】梁 冰
(72)【発明者】
【氏名】孟 西陵
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲てい▼
(72)【発明者】
【氏名】周 偉
(72)【発明者】
【氏名】黄 敬偉
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707AS30
3C707BS10
3C707DS02
3C707DS10
3C707ES03
3C707ET03
3C707EV03
3C707HS12
3C707HS14
(57)【要約】
本発明は、挟持ツールを開示し、挟持装置の技術分野に属する。当該挟持ツールは、取付部と、前記取付部に固定的に取り付けられている第1の挟持部と、前記取付部に取り付けられ、且つ前記第1の挟持部に対する距離が調整可能な第2の挟持部と、を含み、前記第1の挟持部および第2の挟持部は、前記挟持ツールにワークを挟持するために使用される。本開示に提供する挟持ツールは、第2の挟持部の第1の挟持部に対する距離を調整可能に設定することにより、誘導焼入れ加工時のワーク変形量に適応し、誘導焼入れ時の加工品質を向上させ、加工過程におけるワークに対する挟持の安定性を向上させる。【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挟持ツールであって、
取付部(1)と、
前記取付部(1)に固定的に取り付けられている第1の挟持部(2)と、
前記取付部(1)に取り付けられ、且つ前記第1の挟持部(2)に対する距離が調整可能な第2の挟持部(6)と、を含み、
前記第1の挟持部(2)および前記第2の挟持部(6)は、前記挟持ツールにワーク(4)を挟持するために使用される、挟持ツール。
【請求項2】
前記挟持ツールは、浮動部(3)をさらに含み、前記第2の挟持部(6)は、前記浮動部(3)に固定的に取り付けられ、前記浮動部(3)は、前記取付部(1)に取り付けられ、且つ前記第2の挟持部(6)の前記第1の挟持部(2)に対する距離を調整するために、前記取付部(1)に対して浮動できる、請求項1に記載の挟持ツール。
【請求項3】
前記挟持ツールは、ゼロ復帰機構(5)をさらに含み、前記ゼロ復帰機構(5)は、前記取付部(1)に取り付けられ、前記ゼロ復帰機構(5)は、前記浮動部(3)を前記取付部(1)に固定することができる、請求項2に記載の挟持ツール。
【請求項4】
前記ゼロ復帰機構(5)はタイロッド(51)を含み、前記タイロッド(51)は、前記取付部(1)に当接して浮動部(3)を浮動できないように、または前記浮動部(3)から離脱して浮動部(3)を浮動可能となるように、浮動部(3)を選択的に引っ張ることができる、請求項3に記載の挟持ツール。
【請求項5】
前記タイロッド(51)は伸縮することができ、前記タイロッド(51)の端部に第1の当接フランジ(511)が設けられ、前記第1の当接フランジ(511)は、前記タイロッド(51)が後退すると、前記第1の当接フランジ(511)が前記浮動部(3)を前記取付部(1)に当接するまで引っ張って前記浮動部(3)を浮動できなくなり、前記タイロッド(51)が伸び出すと、前記第1の当接フランジ(511)が前記浮動部(3)から離脱し、前記浮動部(3)を浮動可能となるように配置される、請求項4に記載の挟持ツール。
【請求項6】
前記浮動部(3)に前記第1の当接フランジ(511)と係合する第1の制限ブロック(31)が固設され、前記第1の当接フランジ(511)は、前記浮動部(3)を前記取付部(1)に当接させ、または前記第1の制限ブロック(31)から離脱させて前記浮動部(3)を浮動させるように、前記第1の制限ブロック(31)を選択的に引っ張ることができる、請求項5に記載の挟持ツール。
【請求項7】
前記第1の制限ブロックは、第1の当接ブロック(311)を含み、前記第1の当接ブロック(311)に第1の逃げ溝(3111)が設けられ、前記タイロッド(51)は前記第1の逃げ溝(3111)を通過し、前記第1の当接フランジ(511)は選択的に前記第1の当接ブロック(311)にしっかりと当接し、または前記第1の当接ブロック(311)から離脱することができる、請求項6に記載の挟持ツール。
【請求項8】
前記取付部(1)に第2の制限ブロック(13)が設けられ、前記タイロッド(51)に前記第1の当接フランジ(511)と間隔で設けられた第2の当接フランジ(512)が設けられ、前記タイロッド(51)は前記第2の当接フランジ(512)が前記第2の制限ブロック(13)に当接するまで伸び出すことができることにより、前記第1の当接フランジ(511)を前記浮動部(3)から離脱させる、請求項5に記載の挟持ツール。
【請求項9】
前記取付部(1)にはガイドロッド(11)が設けられ、前記浮動部(3)が前記ガイドロッド(11)に穿設され、且つ前記ガイドロッド(11)に沿って往復浮動できる、請求項2~8のいずれ1項に記載の挟持ツール。
【請求項10】
前記ガイドロッド(11)は前記取付部(1)の端面から延び、前記ガイドロッド(11)の端部に制限板(12)が設けられる、請求項9に記載の挟持ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年3月30日に中国特許庁に出願され、出願番号CN202010235311.1の中国特許出願の優先権を主張し、その内容全体は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、挟持装置の技術分野に関し、例えば挟持ツールに関する。
【背景技術】
【0003】
誘導焼入れ(induction quenching)は、電磁誘導の原理を利用してワーク内に渦電流を発生させてワークを加熱する加工プロセスである。
【0004】
誘導焼入れプロセスにおいて、一般的に誘導コイルを採用してワークを通過してワークを加熱し、誘導コイルが通過したワークの局部領域は800℃を超えるまで加熱され、加熱後のワークは膨張変形を発生し、ワークが冷却された後にワークが元の状態に戻る。
【0005】
ワークに対して誘導焼入れを行う場合、一般的に挟持ツールでワークを挟持する。挟持ツールに少なくとも2つの挟持部が設けられ、2つの挟持部はそれぞれワーク上の2つの挟持点にクランプされる。しかし、ワークが熱膨張した後にその軸方向サイズが長くなるが、2つの挟持部の相対距離が変化せず、ワークが誘導焼入れ過程における熱膨張変形量に適応できず、焼入れ効果に影響を与える。
【0006】
そのため、上記の問題を解決するための挟持ツールが必要とする。
【発明の概要】
【0007】
本開示の目的は、ワークが誘導焼入れ時にワークの熱膨張による変形量に適応するために、挟持ツールを提供することである。
【0008】
上記構想により、本開示に採用する技術的解決手段は以下のとおりである。
挟持ツールであって、
取付部と、
前記取付部に固定的に取り付けられている第1の挟持部と、
前記取付部に取り付けられ、且つ前記第1の挟持部に対する距離が調整可能な第2の挟持部と、を含み、
前記第1の挟持部および第2の挟持部は、前記挟持ツールにワークを挟持するために使用される、挟持ツール。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施例に提供された挟持ツールの使用時の構造模式図である。
【
図2】本開示の実施例に提供された挟持ツールがワークを挟持する際の模式図である。
【
図3】本開示の実施例に提供された挟持ツールの構造模式図である。
【
図4】
図3の第2の挟持部を隠蔽した構造模式図である。
【
図5】本開示の実施例に提供された浮動部に取り付けた第2の挟持部の模式図である。
【
図6】本開示の実施例に提供された挟持ツールの一部の構造模式図である。
【
図7】本開示の実施例に提供された浮動部の構造模式図である。
【0010】
図面において、
1、取付部;11、ガイドロッド;12、制限板;13、第2の制限ブロック;131、第2の当接ブロック;
2、第1の挟持部;
3、浮動部;31、第1の制限ブロック;311、第1の当接ブロック;3111、第1の逃げ溝;312、接続ブロック;32、穿設部;321、ガイド孔;33、第1の制限ブロック取付部;
4、ワーク;
5、ゼロ復帰機構;51、タイロッド;511、第1の当接フランジ;512、第2の当接フランジ;
6、第2の挟持部;
7、マニピュレータ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
誘導コイルを使用してワークを焼入れする時、ワークが誘導焼入れ時の熱膨張変形量に適応するために、本実施例は挟持ツールを提供する。
【0012】
具体的には、
図1と
図2を参照するように、本実施例に提供された挟持ツールは、取付部1と、第1の挟持部2と、第2の挟持部6とを含み、第1の挟持部2および第2の挟持部6は、挟持ツールにワーク4を挟持するために使用される。具体的には、第1の挟持部2は取付部1に固定的に取り付けられ、第2の挟持部6は取付部1に取り付けられ、且つ誘導焼入れの時にワーク4の熱膨張変形量に適応するために、第2の挟持部6の第1の挟持部2に対する距離が調整可能である。
【0013】
挟持ツールが部品取り、焼入れ、部品放出等の工程における移動を実現しやすくするために、本実施例では、挟持ツールはさらにマニピュレータ7を含み、取付部1はマニピュレータ7の端部に固定的に取り付けられ、マニピュレータ7の移動により取付部1を移動するように駆動し、部品取り、焼入れ及び部品放出等の工程を実現する。
【0014】
本開示の一実施例において、第1の挟持部2と第2の挟持部6はいずれもエアクランプノズルである。エアクランプノズルは非常に成熟した関連技術であり、ここで説明を省略する。それがワーク4を把持する必要がある場合、エアクランプノズルの2つの挟持指が開いてワーク4を把持することができ、構造を把持した後に2つの挟持指が閉じてワーク4をクランプすることができる。
【0015】
ワーク4を把持する時、マニピュレータ7の移動により取付部1をワーク取り出し位置に移動させ、且つ第1の挟持部2と第2の挟持部6のクランプノズルを開いてワーク4を把持し、続いてマニピュレータ7は取付部1を駆動して加工位置に移動させ、誘導コイル(図示せず)によりワーク4に対して誘導焼入れを行う。
【0016】
誘導コイルはワーク4を焼入れする時、挟持ツールはワーク4を挟持しており、マニピュレータ7はワーク4を誘導コイルの中心位置に等速で通過させるように移動し、第1の挟持部2または第2の挟持部6は誘導コイルの位置に進行すると、その対応する挟持指が開かれ、誘導コイルを回避する。
【0017】
本開示の一つの実施例において、第1の挟持部2と第2の挟持部6のうちの一つの挟持指が開いた後、ワーク4は一つの挟持点のみが残り、ワーク4に対する挟持が不安定になることを回避するために、本実施例では、取付部2に少なくとも2つの第1の挟持部2が設けられる。
【0018】
誘導焼入れの過程中、誘導コイルは、ワーク4を加熱してワーク4を膨張変形させることにより、ワーク4のサイズを自身の延在方向に大きくし、ワーク4の温度が冷却されると、ワーク4のサイズは初期状態に復帰する。本実施例において、第2の挟持部6の第1の挟持部2に対する距離が調整可能であり、熱膨張によりワーク4のサイズが大きくなると、ワーク4の熱膨張変形量に適応するために、第2の挟持部6の第1の挟持部2に対する距離が大きくなり、ワーク4の温度が冷却されると、第2の挟持部6の第1の挟持部2に対する距離が小さくなり、ワーク4の変形に適応し、且つワーク4に安定したサポートを提供する。
【0019】
図3を参照するように、ワーク4の変形は、時間とともに直線的かつ連続的に変化する過程であり、その変化幅が小さいので、第2の挟持部6の第1の挟持部2に対する距離の調整をワーク4の変形に適合させるために、本実施例では、挟持ツールは浮動部3も含み、第2の挟持部6が浮動部3に固定的に取り付けられ、浮動部3が取付部1に取り付けられ、且つ第2の挟持部6の第1の挟持部2に対する距離調整のために、浮動部3が取付部1に対して浮動できるようにする。具体的には、本実施例では、浮動部3の浮動方向は、第1の挟持部2と第2の挟持部6とを結ぶ方向と一致している。
【0020】
浮動部3の設置により、第2の挟持部6の第1の挟持部2に対する距離は、第2の挟持部6の浮動により調整を実現し、さらに第2の挟持部6の第1の挟持部2に対する距離はワーク4の変形に伴って微調整することができ、挟持ツールはワーク4に安定したサポートを提供すると同時に、ワーク4の焼入れ加工過程における変形量に自己適応することができ、誘導焼入れの加工品質を向上させる。
【0021】
図4と
図5を参照するように、浮動過程に浮動部3が浮動方向にずれることなく、常にワーク4に安定したサポートを提供するために、取付部1にはガイドロッド11が設けられ、浮動部3がガイドロッド11に穿設され、且つガイドロッド11に沿って往復浮動できる。
【0022】
同時に、浮動部3に対して浮動限界位置を制限するために、浮動部3がワーク4の変形に伴って浮動する時に慣性による過剰に浮動することを防止し、ワーク4に対する挟持の安定性に影響を与え、本実施例では、ガイドロッド11は取付部1の端面から延び、浮動部3の一端は取付部1の端面に当接するまで浮動することができ、即ち取付部1の端面は浮動部3の第1の限界位置であると同時に、ガイドロッド11の端部、即ちガイドロッド11の取付部1から離れた端面の一端に制限板12が設けられ、浮動部3の他端は制限板12に当接するまで浮動することができ、即ちガイドロッド11の端部の制限板12は浮動部3の第2の限界位置である。浮動部3は、ガイドロッド11に沿って第1の限界位置と第2の限界位置との間で浮動可能であり、浮動部3が第2の限界位置に向かって浮動すると、第2の挟持部6の第1の挟持部2に対する距離が大きくなり、浮動部3が第1の限界位置に向けて浮動すると、第2の挟持部6の第1の挟持部2に対する距離が小さくなる。
【0023】
本開示の一つの実施例において、ガイドロッド11は、ガイド過程中の安定性を向上させるために、少なくとも2本設けられている。それに応じて、浮動部3には複数のガイドロッド11に1対1で対応するガイド孔321が設けられ、ガイドロッド11はそれに対応するガイド孔321内に穿設される。
【0024】
本開示の一つの実施例において、取付部1に第1の挟持部2と第2の挟持部6の接続方向と平行するガイドレールが設けられ、ガイドレールにガイドレールに沿って往復摺動可能なスライダが設けられ、浮動部3がスライダに固定的に取り付けられ、ガイドレールスライダ機構によって浮動部3の浮動を実現し、浮動部3の浮動をガイドする。浮動部3を制限するために、同時にガイドレールにそれぞれ第1の限界位置と第2の限界位置に対応する制限部が設けられる。ガイドレールスライダ機構は摺動過程における摩擦力が小さく、スライダは小さな作用力だけでガイドレールに対して摺動することができるため、浮動部3の感度が比較的高く、ワーク4の変形によりよく適応する。
【0025】
図6を参照するように、本実施例において、挟持ツールが毎回ワーク4を掴む時に掴み位置の一致性を保証するために、挟持ツールは取付部1に設けられるゼロ復帰機構5をさらに含み、ゼロ復帰機構5は、浮動部3が取付部1上の位置を変化できないように、浮動部3を取付部1に固定することができ、それにより第2の挟持部6が毎回ワーク4を掴む時の掴み位置の一致性を保証する。
【0026】
具体的には、ゼロ復帰機構5はタイロッド51を含み、タイロッド51は、取付部1に当接して浮動部3を浮動できないように、または浮動部3から離脱して浮動部3を浮動可能となるように、浮動部3を選択的に引っ張ることができる。
【0027】
本開示の一つの実施例において、タイロッド51は取付部1に対して伸縮することができ、タイロッド51の端部に第1の当接フランジ511が設けられ、第1の当接フランジ511は、タイロッド51が後退すると、第1の当接フランジ511が浮動部3を取付部1に当接するまで引っ張って浮動部3を浮動できなく、タイロッド51が伸び出すと、第1の当接フランジ511が浮動部3から離脱し、浮動部3を浮動可能となるように配置される。
【0028】
図6と
図7を参照するように、浮動部3に第1の当接フランジ511と係合する第1の制限ブロック31が固設され、第1の当接フランジ511は、浮動部3を取付部1に当接させ、または第1の制限ブロック31から離脱させて浮動部3を浮動させることができるように、第1の制限ブロック31を選択的に引っ張ることができてる。
【0029】
具体的には、浮動部3は、垂直に設けられた穿設部32と、第1の制限ブロック取付部33とを備えた「L」型の一体成形構造であり、ガイド孔321は、穿設部32に設けられ、穿設部32の一方側が取付部1の端面に当接することができ、他方側が制限板12に当接することができる。
【0030】
第1の制限ブロック31は、「L」型を呈し、垂直に接続された第1の当接ブロック311及び接続ブロック312を含み、接続ブロック312は第1の制限ブロック取付部33に垂直に設けられ、第1の当接ブロック311は接続ブロック312の第1の制限ブロック取付部33から離れた一端から接続ブロック312に垂直に延び、第1の当接ブロック311に第1の逃げ溝3111が設けられ、タイロッド51は第1の逃げ溝3111を通過し、このとき第1の当接フランジ511は第1の当接ブロック311と第1の制限ブロック取付部33との間に位置し、第1の当接フランジ511は選択的に第1の当接ブロック311にしっかりと当接し、または第1の当接ブロック311から離脱 することができる。
【0031】
第1の当接フランジ511が第1の当接ブロック311にしっかりと当接すると、第1の当接フランジ511は、タイロッド51の後退に伴って第1の当接ブロック311を引っ張ることができ、浮動部3を第1の限界位置まで移動させて、且つ穿設部32を取付部1の端面に当接させるため、浮動部3の浮動を防止する。タイロッド51が伸び出すと、第1の当接フランジ511は第1の当接ブロック311から離脱し、この時、第1の当接フランジ511は第1の当接ブロック311との間が一定の距離を有し、第1の制限ブロック取付部33との間も一定の距離を有し、即ち第1の当接フランジ511と浮動部3との間は接触せず、ワーク4の変形に適応するように、浮動部3はガイドロッド11に沿って往復浮動できる。
【0032】
本開示の一つの実施例において、
図6を参照するように、タイロッド51が過剰に伸び出して第1の当接フランジ511が第1の制限ブロック取付部33に当接するによって、浮動部3が一方向にのみ浮動できることを防止するために、本実施例では、取付部1に第2の制限ブロック13が設けられ、タイロッド51に第1の当接フランジ511と間隔で設けられた第2の当接フランジ512が設けられ、タイロッド51は第2の当接フランジ512が第2の制限ブロック13に当接するまで伸び出すことができるため、第1の当接フランジ511を浮動部3から離脱させ、さらに浮動部3を往復浮動させることができる。
【0033】
第2の当接フランジ512が第2の制限ブロック13に効果的に当接させるために、本実施例では、第2の制限ブロック13に2つの第2の当接ブロック131が間隔で設けられ、2つの第2の当接ブロック131の間にタイロッド51が通過する回避空間が形成され、第2の当接フランジ512が第2の制限ブロック13に当接すると、第2の当接フランジ512も同時に2つの第2の当接ブロック131に当接する。
【0034】
本開示の一つの実施例において、ゼロ復帰機構5はエアシリンダであり、タイロッド51はエアシリンダの出力ロッドである。
【0035】
本実施例に提供された挟持ツールの使用方法は、下記のとおりである。
【0036】
(1)ワーク4を把持する前に、ゼロ復帰機構5のタイロッド51がゼロ復帰状態にあることを確保する。ゼロ復帰状態は、タイロッド51が後退状態にあり、第1の当接フランジ511が第1の当接ブロック311に当接し且つ第1の当接ブロック311を引っ張って浮動部3を取付部1の端面に当接させ、それにより第1の挟持部2と第2の挟持部6との間の距離を固定させ、続いてマニピュレータ7は取付部1を駆動してワーク4を掴むように移動し、この時は、第2の当接フランジ512は、第2の制限ブロック13と接触していない状態である。
【0037】
(2)ゼロ復帰機構5を解放状態になるように調整する。解放状態は、タイロッド51は伸び出した状態にあり、第2の当接フランジ512は第2の制限ブロック13に当接し、第1の当接フランジ511は第1の当接ブロック311から離脱し、且つ第1の当接フランジ511と第1の当接ブロック311及び第1の制限ブロック取付部33のいずれかとの間にも距離を有し、それにより浮動部3はガイドロッド11に沿って往復浮動でき、焼入れ時のワーク4の変形に適応する状態である。
【0038】
(3)マニピュレータ7が移動してワーク4を駆動して誘導コイル部81を通過させ、ワーク4に対して誘導焼入れを行う。ワーク4が熱膨張量を有すると、浮動部3は、第2の挟持部6を第1の挟持部2から離れるように、制限板12に近づく方向に浮動し、ワーク4が徐々に冷却すると、浮動部3は、ワーク4の変形量に適応するように、取付部1の端部に浮動する。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挟持ツールであって、
取付部(1)と、
前記取付部(1)に固定的に取り付けられている第1の挟持部(2)と、
前記取付部(1)に取り付けられ、且つ前記第1の挟持部(2)に対する距離が調整可
能な第2の挟持部(6)と、を含み、
前記第1の挟持部(2)および前記第2の挟持部(6)は、前記挟持ツールにワーク(
4)を挟持するために使用され
、
前記挟持ツールは、浮動部(3)をさらに含み、前記第2の挟持部(6)は、前記浮動
部(3)に固定的に取り付けられ、前記浮動部(3)は、前記取付部(1)に取り付けら
れ、且つ前記第2の挟持部(6)の前記第1の挟持部(2)に対する距離を調整するため
に、前記取付部(1)に対して浮動でき、
前記挟持ツールは、ゼロ復帰機構(5)をさらに含み、前記ゼロ復帰機構(5)は、前
記取付部(1)に取り付けられ、前記ゼロ復帰機構(5)は、前記浮動部(3)を前記取
付部(1)に固定することができ、
前記ゼロ復帰機構(5)はタイロッド(51)を含み、前記タイロッド(51)は、前
記取付部(1)に当接して浮動部(3)を浮動できないように、または前記浮動部(3)
から離脱して浮動部(3)を浮動可能となるように、浮動部(3)を選択的に引っ張るこ
とができ、
前記ゼロ復帰機構(5)はエアシリンダであり、タイロッド(51)はエアシリンダの出力ロッドである、前記挟持ツール。
【請求項2】
前記タイロッド(51)は伸縮することができ、前記タイロッド(51)の端部に第1
の当接フランジ(511)が設けられ、前記第1の当接フランジ(511)は、前記タイ
ロッド(51)が後退すると、前記第1の当接フランジ(511)が前記浮動部(3)を
前記取付部(1)に当接するまで引っ張って前記浮動部(3)を浮動できなくなり、前記
タイロッド(51)が伸び出すと、前記第1の当接フランジ(511)が前記浮動部(3
)から離脱し、前記浮動部(3)を浮動可能となるように配置される、請求項
1に記載の
挟持ツール。
【請求項3】
前記浮動部(3)に前記第1の当接フランジ(511)と係合する第1の制限ブロック
(31)が固設され、前記第1の当接フランジ(511)は、前記浮動部(3)を前記取
付部(1)に当接させ、または前記第1の制限ブロック(31)から離脱させて前記浮動
部(3)を浮動させるように、前記第1の制限ブロック(31)を選択的に引っ張ること
ができる、請求項
2に記載の挟持ツール。
【請求項4】
前記第1の制限ブロックは、第1の当接ブロック(311)を含み、前記第1の当接ブ
ロック(311)に第1の逃げ溝(3111)が設けられ、前記タイロッド(51)は前
記第1の逃げ溝(3111)を通過し、前記第1の当接フランジ(511)は選択的に前
記第1の当接ブロック(311)にしっかりと当接し、または前記第1の当接ブロック(
311)から離脱することができる、請求項
3に記載の挟持ツール。
【請求項5】
前記取付部(1)に第2の制限ブロック(13)が設けられ、前記タイロッド(51)
に前記第1の当接フランジ(511)と間隔で設けられた第2の当接フランジ(512)
が設けられ、前記タイロッド(51)は前記第2の当接フランジ(512)が前記第2の
制限ブロック(13)に当接するまで伸び出すことができることにより、前記第1の当接
フランジ(511)を前記浮動部(3)から離脱させる、請求項
2に記載の挟持ツール。
【請求項6】
前記取付部(1)にはガイドロッド(11)が設けられ、前記浮動部(3)が前記ガイ
ドロッド(11)に穿設され、且つ前記ガイドロッド(11)に沿って往復浮動できる、
請求項1~5のいずれかに記載の挟持ツール。
【請求項7】
前記ガイドロッド(11)は前記取付部(1)の端面から延び、前記ガイドロッド(1
1)の端部に制限板(12)が設けられる、請求項
6に記載の挟持ツール。
【国際調査報告】