IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-516156熱伝導性かつ電気絶縁性の粉末コーティング組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-18
(54)【発明の名称】熱伝導性かつ電気絶縁性の粉末コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20230411BHJP
   C09D 5/03 20060101ALI20230411BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20230411BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20230411BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D5/03
C09D7/65
C09D7/61
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551300
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 US2021019831
(87)【国際公開番号】W WO2021173941
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/981,741
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マ, リアン
(72)【発明者】
【氏名】マンロ, カルム エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ポラム, マービン エム. ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】デイ, ダニエル ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ウッドワース, ブライアン イー.
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー, ジョン アール.
(72)【発明者】
【氏名】フレンチ, マリア エス.
(72)【発明者】
【氏名】コンディー, アリソン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴンダー-ジョーンズ, ホリー
(72)【発明者】
【氏名】アパニウス, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】バンクロフト, カサンドラ ノエル
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG001
4J038CP001
4J038DB001
4J038DD001
4J038DF062
4J038HA166
4J038HA186
4J038HA316
4J038KA08
4J038KA12
4J038MA02
4J038MA13
4J038NA01
4J038NA13
4J038NA21
4J038PA02
(57)【要約】
本発明は、結合剤、熱伝導性の電気絶縁性充填材材料、ならびに必要に応じて、熱可塑性材料および/またはコアシェルポリマーを含む粉末コーティング組成物に関する。本発明はまた、本発明の粉末コーティング組成物から堆積されたコーティング層を含む基材、および基材をコーティングする方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤と、
熱伝導性の電気絶縁性充填材材料と、
熱可塑性材料と、を含む、粉末コーティング組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性材料が、フェノキシ樹脂を含む、請求項1に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性材料が、少なくとも50℃、例えば少なくとも60℃、例えば少なくとも70℃、例えば少なくとも80℃、例えば少なくとも90℃、例えば少なくとも100℃、例えば少なくとも110℃、例えば少なくとも120℃、例えば少なくとも130℃、例えば少なくとも140℃、例えば少なくとも150℃、例えば少なくとも160℃、例えば120℃の溶融温度(Tm)を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性材料が、-30℃、例えば少なくとも-20℃、例えば少なくとも-10℃、例えば少なくとも0℃、例えば少なくとも10℃、例えば少なくとも20℃、例えば少なくとも30℃、例えば少なくとも40℃、例えば少なくとも50℃、例えば少なくとも60℃、例えば少なくとも70℃、例えば少なくとも75℃、例えば少なくとも80℃、例えば少なくとも84℃、例えば84℃のガラス転移温度(Tg)を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性材料が、少なくとも少なくとも40g/10分、例えば少なくとも45g/10分、例えば少なくとも50g/10分、例えば少なくとも55g/10分、例えば少なくとも60g/10分、例えば60g/10分の200℃でのメルトインデックスを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項6】
前記熱可塑性材料が、少なくとも90ポアズ、例えば少なくとも95ポアズ、例えば少なくとも100ポアズ、例えば少なくとも105ポアズ、例えば少なくとも110ポアズ、例えば少なくとも112ポアズ、例えば112ポアズの200℃での溶融粘度を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項7】
シクロヘキサノン中の前記熱可塑性材料の20重量%溶液が、25℃でブルックフィールド粘度計を使用して測定された場合、180~300cP、例えば180~280cPの粘度範囲を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項8】
前記熱可塑性材料が、15,000~1,000,000g/モル、例えば15,000~500,000g/モル、例えば15,000~100,000g/モル、例えば15,000~50,000g/モル、例えば15,000~40,000g/モル、例えば15,000~35,000g/モル、例えば20,000~1,000,000g/モル、例えば20,000~500,000g/モル、例えば20,000~100,000g/モル、例えば20,000~50,000g/モル、例えば20,000~40,000g/モル、例えば20,000~35,000g/モル、25,000~1,000,000g/モル、例えば25,000~500,000g/モル、例えば25,000~100,000g/モル、例えば25,000~50,000g/モル、例えば25,000~40,000g/モル、例えば25,000~35,000g/モル、30,000~1,000,000g/モル、例えば30,000~500,000g/モル、例えば30,000~100,000g/モル、例えば30,000~50,000g/モル、例えば30,000~40,000g/モル、例えば30,000~35,000g/モル、例えば32,000g/モルの重量平均分子量を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項9】
前記熱可塑性材料が、5,000~100,000g/モル、5,000~50,000g/モル、5,000~25,000g/モル、5,000~15,000g/モル、5,000~10,000g/モル、例えば8,000~100,000g/モル、8,000~50,000g/モル、例えば8,000~25,000g/モル、例えば8,000~15,000g/モル、例えば8,000~10,000g/モル、例えば9,000~100,000g/モル、9,000~50,000g/モル、例えば9,000~25,000g/モル、例えば9,000~15,000g/モル、例えば9,000~10,000g/モル、例えば9,500g/モルの数平均分子量を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項10】
前記熱可塑性材料が、官能基を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項11】
前記官能基が、ヒドロキシル官能基を含む、請求項10に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項12】
前記熱可塑性材料が、200~500,000g/当量、例えば200~250,000g/当量、例えば200~100,000g/当量、例えば200~50,000g/当量、例えば200~25,000g/当量、例えば200~10,000g/当量、例えば200~1,000g/当量、例えば200~500g/当量、例えば200~350g/当量、例えば240~350g/当量、例えば250~350g/当量、例えば260~300g/当量、例えば260~300g/当量、例えば200~300g/当量、例えば240~300g/当量、例えば250~300g/当量、例えば260~300g/当量、例えば260~300g/当量、例えば200~285g/当量、例えば240~285g/当量、例えば250~285g/当量、例えば260~285g/当量、例えば260~285g/当量、例えば277g/当量のヒドロキシル当量重量を有する、請求項11に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項13】
前記熱可塑性材料が、前記粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、0.5%~20重量%、例えば0.5%~10重量%、例えば0.5%~9重量%、例えば0.5%~8.5重量%、例えば1%~20重量%、例えば1%~10重量%、例えば1%~9重量%、例えば1%~8.5重量%、例えば3%~20重量%、例えば3%~10重量%、例えば3%~9重量%、例えば3%~8.5重量%、例えば6%~20重量%、例えば6%~10重量%、例えば6%~9重量%、例えば6%~8.5重量%、例えば7%~20重量%、例えば7%~10重量%、例えば7%~9重量%、例えば7%~8.5重量%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項14】
前記熱可塑性材料が、前記粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、1%~30体積%、例えば4%~15体積%、例えば6%~10体積%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項15】
コアシェルポリマーをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項16】
結合剤と、
熱伝導性の電気絶縁性充填材材料と、
コアシェルポリマーと、を含む、粉末コーティング組成物。
【請求項17】
前記コアシェルポリマーが、(a)ガラスポリマーで構成されたシェル層で被覆されたゴムポリマー、(b)ゴムポリマーを含むシェル層で被覆されたガラスポリマーを含むコア、ならびに/または(c)(a)および/もしくは(b)の2層構造が最外層で被覆されている3層構造を有する粒子のうちの少なくとも1つを含むコアを含む、請求項15または16に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項18】
前記コアが、ポリブタジエン、アクリルポリマー、および/またはポリイソプレンを含む、請求項17に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項19】
前記シェル層が、アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、アルキル(メタ)アクリレート-スチレンコポリマー、および/またはアルキル(メタ)アクリレートコポリマーのうちの少なくとも1つを含む、請求項17または18に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項20】
前記コアが、室温以下のガラス転移温度を有するゴムポリマーを含み、シェル層が、60℃以上のガラス転移温度を有するアルキル(メタ)アクリレートポリマーまたはコポリマーを含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項21】
前記コアシェルポリマーが、前記粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1%~35重量%、例えば1%~20重量%、例えば1%~10重量%、例えば1%~8重量%、例えば2%~35重量%、例えば2%~20重量%、例えば2%~10重量%、例えば2%~8重量%、例えば3%~35重量%、例えば3%~20重量%、例えば3%~10重量%、例えば3%~8重量%、例えば4%~35重量%、例えば4%~20重量%、例えば4%~10重量%、例えば4%~8重量%の量で存在する、請求項17~20のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項22】
前記コアシェルポリマーが、前記粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、1体積%~30体積%、例えば1体積%~25体積%、例えば5体積%~20体積%、例えば10体積%~15体積%の量で存在する、請求項17~21のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項23】
前記結合剤が、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、それらのコポリマー、および/もしくはそれらの組み合わせを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる膜形成樹脂を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項24】
前記結合剤が、エポキシ樹脂を含む、それから本質的になる、またはそれからなる膜形成樹脂を含む、先行請求項1~22のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項25】
前記結合剤が、エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる膜形成樹脂を含む、先行請求項1~22のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項26】
前記結合剤が、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ベータ-ヒドロキシ(アルキル)アミド、アルキル化カルバメート、(メタ)アクリレート、環状アミジンとのポリカルボン酸の塩、o-トリルビグアニド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、ポリ酸、無水物、有機金属酸官能性材料、ポリアミン、ポリアミド、アミノプラスト、カルボジイミド、オキサゾリン、および/もしくはそれらの組み合わせを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる架橋剤をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項27】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ヒ化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、高温か焼酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ヒ化ホウ素、炭化ケイ素、メノウ、エメリー、セラミック微小球、ダイヤモンド、もしくはそれらの任意の組み合わせを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項28】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、前記粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも40重量%の量で存在する水酸化アルミニウムを含む、それから本質的になる、またはそれからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項29】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、高温か焼された酸化マグネシウムを含む、それから本質的になる、またはそれからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項30】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、水酸化アルミニウムおよび高温か焼された酸化マグネシウムを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項31】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、前記粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、40重量%超かつ50重量%未満の量で存在する窒化ホウ素を含む、それから本質的になる、またはそれからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項32】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、水酸化アルミニウム、高温か焼された酸化マグネシウム、および窒化ホウ素のうちの少なくとも2つを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項33】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、少なくとも40重量%の合計量で存在する水酸化アルミニウムおよび/もしくは窒化ホウ素を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり、存在する窒化ホウ素の総量が、50重量%未満であり、前記重量%が前記粉末コーティング組成物の総重量に基づく、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項34】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、高温か焼された酸化マグネシウム、および窒化ホウ素を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる、請求項1~29および30~33のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項35】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、(ASTM D7984に従って測定された)25℃で5W/mK~3,000W/mK、例えば18W/mK~1,400W/mK、例えば55W/mK~450W/mKの熱伝導率を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項36】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、(ASTM D257、C611、またはB193に従って測定された)少なくとも10Ωm、例えば少なくとも20Ωm、例えば少なくとも30Ωm、例えば少なくとも40Ωm、例えば少なくとも50Ωm、例えば少なくとも60Ωm、例えば少なくとも60Ωm、例えば少なくとも70Ωm、例えば少なくとも80Ωm、例えば少なくとも80Ωm、例えば少なくとも90Ωm、例えば少なくとも100Ωmの体積抵抗率を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項37】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、規則的または不規則的な形状であり、球状、楕円体状、立方体状、板状、針状(細長いまたは繊維状)、ロッド状、円盤状、角柱状、フレーク状、岩石状、それらの凝集体、またはそれらの任意の組み合わせである、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項38】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、製造業者によって報告される場合、少なくとも1つの寸法で、0.01ミクロン~500ミクロン、例えば0.1ミクロン~300ミクロン、例えば2ミクロン~200ミクロン、例えば10ミクロン~150ミクロンの、報告された平均粒子サイズを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項39】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、1~10、例えば2~8、例えば3~7の報告されたモース硬度を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項40】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、前記粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1%~80重量%、例えば5%~80重量%、例えば10%~80重量%、例えば15%~80重量%、例えば20%~80重量%、例えば25%~80重量%、例えば30%~80重量%、例えば35%~80重量%、例えば40%~80重量%、例えば45%~80重量%、例えば50%~80重量%、例えば55%~80重量%、例えば60%~80重量%、例えば65%~80重量%、例えば70%~80重量%、例えば75%~80重量%、例えば1%~70重量%、例えば5%~70重量%、例えば10%~70重量%、例えば15%~70重量%、例えば20%~70重量%、例えば25%~70重量%、例えば30%~70重量%、例えば35%~70重量%、例えば40%~70重量%、例えば45%~70重量%、例えば50%~70重量%、例えば55%~70重量%、例えば60%~70重量%、例えば65%~70重量%、例えば1%~65重量%、例えば5%~65重量%、例えば10%~65重量%、例えば15%~65重量%、例えば20%~65重量%、例えば25%~65重量%、例えば30%~65重量%、例えば35%~65重量%、例えば40%~65重量%、例えば45%~65重量%、例えば50%~65重量%、例えば55%~65重量%、例えば1%~60重量%、例えば5%~60重量%、例えば10%~60重量%、例えば15%~60重量%、例えば20%~60重量%、例えば25%~60重量%、例えば25%~60重量%、例えば30%~60重量%、例えば35%~60重量%、例えば40%~60重量%、例えば45%~60重量%、例えば50%~60重量%、例えば55%~60重量%、例えば1%~55重量%、例えば5%~55重量%、例えば10%~55重量%、例えば15%~55重量%、例えば20%~55重量%、例えば25%~55重量%、例えば30%~55重量%、例えば35%~55重量%、例えば40%~55重量%、例えば45%~55重量%、例えば1%~50重量%、例えば5%~50重量%、例えば10%~50重量%、例えば15%~50重量%、例えば20%~50重量%、例えば25%~50重量%、例えば30%~50重量%、例えば35%~50重量%、例えば40%~50重量%、例えば45%~50重量%、例えば1%~45重量%、例えば5%~45重量%、例えば10%~45重量%、例えば15%~45重量%、例えば20%~45重量%、例えば25%~45重量%、例えば30%~45重量%、例えば35%~45重量%、例えば40%~45重量%、例えば1%~40重量%、例えば5%~40重量%、例えば10%~40重量%、例えば15%~40重量%、例えば20%~40重量%、例えば25%~40重量%、例えば30%~40重量%、例えば35%~40重量%、例えば1%~35重量%、例えば5%~35重量%、例えば10%~35重量%、例えば15%~35重量%、例えば20%~35重量%、例えば25%~35重量%、例えば30%~35重量%、例えば1%~25重量%、例えば5%~25重量%、例えば10%~25重量%、例えば15%~25重量%、例えば20%~25重量%、例えば1%~20重量%、例えば5%~20重量%、例えば10%~20重量%、例えば15%~20重量%、例えば1%~15重量%、例えば5%~15重量%、例えば10%~15重量%、例えば1%~10重量%、例えば5%~10重量%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項41】
前記熱伝導性の電気絶縁性充填材材料が、前記粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、1%~70体積%、例えば5%~50体積%、例えば30%~50体積%、例えば25%~50体積%、例えば30%~50体積%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項42】
前記結合剤が、前記粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、10%~97重量%、例えば10%~85重量%、例えば10%~75重量%、例えば10%~65重量%、例えば20%~97重量%、例えば20%~85重量%、例えば20%~75重量%、例えば20%~65重量%、例えば40%~97重量%、例えば40%~85重量%、例えば40%~75重量%、例えば40%~65重量%、50%~97重量%、例えば50%~85重量%、例えば50%~75重量%、例えば50%~65重量%、60%~97重量%、例えば60%~85重量%、例えば60%~75重量%、例えば60%~65重量%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項43】
前記結合剤が、前記粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、15%~96体積%、例えば25%~80体積%、例えば35%~60体積%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項44】
熱伝導性の電気伝導性充填材材料の粒子をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項45】
前記熱伝導性の電気伝導性充填材材料が、(ASTM D7984に従って測定された)25℃で5W/mK~3,000W/mK、例えば18W/mK~1,400W/mK、例えば55W/mK~450W/mKの熱伝導率、および(ASTM D257、C611、またはB193に従って測定された)10Ωm未満、例えば5Ωm未満、例えば1Ωm未満の体積抵抗率を有する、請求項44に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項46】
前記熱伝導性の電気伝導性充填材材料が、銀、亜鉛、銅、もしくは金などの金属、金属コーティングされた中空粒子、グラファイト、カーボンブラック、炭素繊維、グラフェン、およびグラフェン系炭素粒子などの炭素化合物、カルボニル鉄、またはそれらの任意の組み合わせを含む、それらから本質的になるか、もしくはそれらからなる、請求項44または45に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項47】
非熱伝導性の電気絶縁性充填材をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項48】
前記非熱伝導性の電気絶縁性充填材が、(ASTM D7984に従って測定された 25℃で5W/mK未満、例えば3W/mK以下、例えば1W/mK以下、例えば0.1W/mK以下、例えば0.05W/mK以下の熱伝導率、および(ASTM D257、C611、またはB193に従って測定された)少なくとも10Ωm、例えば少なくとも20Ωm、例えば少なくとも30Ωm、例えば少なくとも40Ωm、例えば少なくとも50Ωm、例えば少なくとも60Ωm、例えば少なくとも60Ωm、例えば少なくとも70Ωm、例えば少なくとも80Ωm、例えば少なくとも80Ωm、例えば少なくとも90Ωm、例えば少なくとも100Ωmの体積抵抗率を有する、請求項47に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項49】
前記非熱伝導性の電気絶縁性充填材が、雲母、シリカ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス微小球、粘土、もしくはそれらの任意の組み合わせを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる、請求項47または48に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項50】
前記粉末コーティング組成物が、シリコーンを実質的に含まない、それを本質的に含まない、またはそれを完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項51】
前記粉末コーティング組成物が、ベントナイトを実質的に含まない、それを本質的に含まない、またはそれを完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項52】
前記粉末コーティング組成物が、二酸化チタンを実質的に含まない、それを本質的に含まない、またはそれを完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項53】
前記粉末コーティング組成物が、40~110℃の融点を有するポリオールを実質的に含まない、それを本質的に含まない、またはそれを完全に含まない、先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項54】
基材をコーティングする方法であって、基材の少なくとも一部分を覆って先行請求項のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物を塗布するステップを含む、方法。
【請求項55】
前記コーティングを少なくとも部分的に硬化させるステップをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
請求項1~53のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物のいずれかから塗布されたコーティング層を含む、基材。
【請求項57】
前記基材が、請求項54または55に記載の方法によってコーティングされている、請求項56に記載の基材。
【請求項58】
前記コーティングが、Sefelec誘電率計RMG12AC-DCによって測定され、ASTM D149-09Hipot試験に従う場合、本明細書に記載の乾燥膜厚のいずれかで、少なくとも1kV、例えば少なくとも2kV、例えば少なくとも2.5kV、例えば少なくとも5kV、例えば少なくとも7kV、例えば少なくとも8kV、例えば少なくとも10kV、例えば少なくとも12kVの絶縁耐力を有する、請求項56または57に記載の基材。
【請求項59】
前記コーティングが、Sefelec誘電率計RMG12AC-DCによって測定され、ASTM D149-09Hipot試験に従う場合、38.1ミクロンもしくは38.1ミクロン未満の乾燥膜厚で、少なくとも1kV、例えば少なくとも2kV、例えば少なくとも2.5kV、例えば少なくとも5kV、例えば少なくとも7kV、例えば少なくとも8kV、例えば少なくとも10kV、例えば少なくとも12kVの絶縁耐力を有する、請求項56~58のいずれか一項に記載の基材。
【請求項60】
前記コーティングが、ASTM D7984に従って測定された場合、少なくとも0.3W/mK、例えば少なくとも0.5W/mK、例えば少なくとも0.7W/mK、例えば少なくとも0.9W/mK、例えば少なくとも1.5W/mKの熱伝導率を有する、請求項56~59のいずれか一項に記載の基材。
【請求項61】
前記基材が、自動車基材を含む車両、工業基材、船、大型船、ならびに陸上および海上設備などの海洋基材および構成要素、貯蔵タンク、包装基材、建築基材、航空機および航空宇宙構成要素、電池および電池部品、母線、金属ワイヤ、銅もしくはアルミニウム導体、ニッケル導体、木製フローリングおよび家具、締結具、コイル状金属、熱交換器、通気口、押出成形体、屋根材、車輪、格子、ベルト、コンベヤ、穀物もしくは種子サイロ、金網、ボルトもしくはナット、スクリーンもしくはグリッド、HVAC装置、フレーム、タンク、コード、ワイヤ、装飾、ハウジングおよび回路基板を含む電子機器ならびに電子部品、ガラス、ゴルフボールを含むスポーツ用品、スタジアム、建物、橋、食品および飲料容器などの容器、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項56~60のいずれか一項に記載の基材。
【請求項62】
前記基材が、電池または電池部品を含む、請求項56~61のいずれか一項に記載の基材。
【請求項63】
前記電池が、電気車両用電池を含む、請求項62に記載の基材。
【請求項64】
前記電池部品が、電気車両用電池部品を含む、請求項62に記載の基材。
【請求項65】
前記電池部品が、電池セル、電池シェル、電池モジュール、電池パック、電池ボックス、電池セルケーシング、パックシェル、電池蓋およびトレイ、熱管理システム、電池ハウジング、モジュールハウジング、モジュールラッキング、電池サイドプレート、電池セル筐体、冷却モジュール、冷却管、冷却フィン、冷却プレート、母線、電池フレーム、配線、金属ワイヤ、銅もしくはアルミニウムの導体もしくはケーブル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項62~64のいずれか一項に記載の基材。
【請求項66】
前記電池部品が、結合剤、および熱伝導性の電気絶縁充填材材料を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる熱伝導性の電気絶縁コーティングを含む、請求項62~65のいずれか一項に記載の基材。
【請求項67】
前記電池部品が、前記熱伝導性の電気絶縁コーティングの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の量で存在する結合剤および水酸化アルミニウムを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる熱伝導性の電気絶縁コーティングを含む、請求項62~66のいずれか一項に記載の基材。
【請求項68】
前記電池部品が、結合剤、および高温か焼された酸化マグネシウムを含む、それから本質的になる、またはそれからなる熱伝導性の電気絶縁充填材材料を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる熱伝導性の電気絶縁コーティングを含む、請求項62~67のいずれか一項に記載の基材。
【請求項69】
前記電池部品が、結合剤、熱可塑性材料、および熱伝導性の電気絶縁充填材材料を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる熱伝導性の電気絶縁コーティングを含む、請求項62~68のいずれか一項に記載の基材。
【請求項70】
前記電池部品が、結合剤、コアシェルポリマー、および熱伝導性の電気絶縁充填材材料を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる、熱伝導性の電気絶縁コーティングを含む、請求項62~69のいずれか一項に記載の基材。
【請求項71】
前記電池部品が、結合剤、および少なくとも2つの熱伝導性の電気絶縁充填材材料を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる熱伝導性の電気絶縁コーティングを含む、請求項62~70のいずれか一項に記載の基材。
【請求項72】
前記熱伝導性の電気絶縁充填材材料が、水酸化アルミニウム、高温か焼された酸化マグネシウム、および窒化ホウ素のうちの少なくとも2つを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる、請求項71に記載の基材。
【請求項73】
前記熱伝導性の電気絶縁充填材材料が、水酸化アルミニウムおよび高温か焼された酸化マグネシウムを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる、請求項71に記載の基材。
【請求項74】
前記熱伝導性の電気絶縁充填材材料が、水酸化アルミニウムおよび窒化ホウ素を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる、請求項71に記載の基材。
【請求項75】
前記熱伝導性の電気絶縁充填材材料が、高温か焼された酸化マグネシウムおよび窒化ホウ素を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる、請求項71に記載の基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性の電気絶縁粉末コーティング組成物、基材をコーティングする方法、およびコーティングされた基材に関する。
【背景技術】
【0002】
金属電気部品および電池を含む金属基材などの基材は、多くの場合、絶縁特性を提供するために高絶縁耐力材料で保護される。例えば、部品は、絶縁特性を提供するために誘電体テープおよびコーティングでコーティングされている。誘電体テープおよびコーティングは、絶縁特性を提供することができるが、基材に均一に塗布することは困難であり得る。加えて、低コーティング膜厚で良好な絶縁特性を得ることは困難であり得る。加えて、電池部品は、使用中に熱を生成する場合があり、絶縁テープおよびコーティングは、多くの場合、下地基材から熱を伝導することによってそのような熱を消散させることが困難である。したがって、良好な電気絶縁を提供し、改善された熱伝導率を提供する改善された誘電体コーティングを開発することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書には、結合剤、熱伝導性の電気絶縁性充填材材料、ならびに熱可塑性材料および/またはコアシェルポリマーを含む粉末コーティング組成物が開示される。
【0004】
また、本明細書には、結合剤、および少なくとも2つの熱伝導性の電気絶縁性充填材材料を含む粉末コーティング組成物が開示される。
【0005】
さらに、本明細書には、本発明の粉末コーティング組成物から堆積されたコーティング層を含む基材が開示される。
【0006】
なおさらに、本明細書では、結合剤、および熱伝導性の電気絶縁コーティングの総重量に基づいて、少なくとも40重量%の量で存在する水酸化アルミニウムを含む熱伝導性の電気絶縁コーティングを含む電池部品が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上述のように、本発明は、結合剤および熱伝導性の電気絶縁性充填材材料を含む粉末コーティング組成物に関する。本明細書で使用される場合、「粉末コーティング組成物」は、液体形態とは対照的に固体微粒子形態で具体化されたコーティング組成物を指す。
【0008】
本発明によれば、粉末コーティング組成物は、結合剤を含む。本明細書で使用される場合、「結合剤」は、硬化時にすべてのコーティング組成物成分をコーティング層中に一緒に保持する構成物、膜形成材料を指す。結合剤は、コーティング層を形成するために使用され得る1つまたは1つより多い膜形成樹脂を含む。本明細書で使用される場合、「膜形成樹脂」は、基材の少なくとも水平表面上に自己支持型連続膜を形成することができる樹脂を指す。「樹脂」という用語は、「ポリマー」と互換的に使用され、ポリマーという用語は、オリゴマー、ホモポリマー(例えば、単一のモノマー種から調製される)、コポリマー(例えば、少なくとも2つのモノマー種から調製される)、ターポリマー(例えば、少なくとも3つのモノマー種から調製される)、およびグラフトポリマーを指す。
【0009】
本発明とともに使用される粉末コーティング組成物は、当技術分野で公知である種々の熱硬化性粉末コーティング組成物のいずれかを含み得る。本明細書で使用される場合、「熱硬化性」という用語は、硬化または架橋時に不可逆的に「硬化」される組成物を指し、ポリマー成分のポリマー鎖は、共有結合によって一緒に結合される。この特性は、通常、例えば、熱または放射線によって多くの場合誘導される組成物構成成分の架橋反応に関連する。硬化または架橋すると、熱硬化性樹脂は、熱が加えられた時に溶融せず、ほとんどの溶媒中で不溶性である。
【0010】
本発明とともに使用される粉末コーティング組成物はまた、熱可塑性粉末コーティング組成物を含み得る。本明細書で使用される場合、「熱可塑性」という用語は、コーティングを形成するために焼成後に共有結合によって結合されず、それにより、架橋することなく加熱時に液体の流れを受けることができるポリマー成分を含む組成物を指す。
【0011】
粉末コーティング組成物の結合剤の少なくとも一部分を形成する好適な膜形成樹脂の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリレート」および同様の用語は、アクリレートおよび対応するメタクリレートの両方を指す。さらに、膜形成樹脂は、カルボン酸基、アミン基、エポキシド基、ヒドロキシル基、チオール基、カルバメート基、アミド基、尿素基、イソシアネート基(ブロック化イソシアネート基を含む)、エチレン性不飽和基、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、種々の官能基のいずれかを有し得る。本明細書で使用される場合、「エチレン性不飽和」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する基を指す。エチレン性不飽和基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート基、ビニル基、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
熱硬化性コーティング組成物は、典型的には、粉末コーティング組成物中に使用される1つまたは1つより多い膜形成樹脂の官能基と反応するために、当技術分野で公知である架橋剤のいずれかから選択され得る架橋剤を含む。本明細書で使用される場合、「架橋剤」という用語は、他の官能基と反応性であり、化学結合を通して2つまたは2つより多いモノマーまたはポリマーを連結することができる2つまたは2つより多い官能基を含む分子を指す。代替的に、粉末コーティング組成物の結合剤を形成する膜形成樹脂は、それら自体と反応性である官能基を有し得、このようにして、そのような樹脂は、自己架橋性である。
【0013】
架橋剤の非限定的な例としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ベータ-ヒドロキシ(アルキル)アミド、アルキル化カルバメート、(メタ)アクリレート、環状アミジンとのポリカルボン酸の塩、o-トリルビグアニド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、ポリ酸、無水物、有機金属酸官能性材料、ポリアミン、ポリアミド、アミノプラスト、カルボジイミド、オキサゾリン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0014】
上述のように、粉末コーティング組成物の結合剤は、1つまたは1つより多い膜形成樹脂および1つまたは1つより多い架橋剤を含み得る。2つまたは2つより多い膜形成樹脂を含む結合剤は、ハイブリッド結合剤と称され得る。例えば、結合剤の膜形成樹脂は、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、またはそれらのコポリマーのうちの少なくとも2つを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり得る。加えて、結合剤は、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ベータ-ヒドロキシ(アルキル)アミド、アルキル化カルバメート、(メタ)アクリレート、環状アミジンとのポリカルボン酸の塩、o-トリルビグアニドイソシアネート、ブロック化イソシアネート、ポリ酸、無水物、有機金属酸官能性材料、ポリアミン、ポリアミド、アミノプラスト、カルボジイミド、もしくはオキサゾリンのうちの1つもしくはそれらの組み合わせを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる架橋剤を含み得る。
【0015】
代替的に、粉末コーティング組成物の結合剤は、単一の膜形成樹脂を含む、それから本質的になる、またはそれからなり得る。例えば、結合剤の膜形成樹脂は、第1の樹脂とは異なる第2の樹脂の存在なしで、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、またはそれらのコポリマーのうちの1つを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり得る。加えて、結合剤は、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ベータ-ヒドロキシ(アルキル)アミド、アルキル化カルバメート、(メタ)アクリレート、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、ポリ酸、無水物、有機金属酸官能性材料、ポリアミン、ポリアミド、アミノプラスト、カルボジイミド、もしくはオキサゾリンのうちの1つもしくはそれらの組み合わせを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる架橋剤を含み得る。
【0016】
粉末コーティング組成物の結合剤は、同じ反応性官能基を有する膜形成樹脂を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり得る。例えば、膜形成樹脂は、2つまたは2つより多いエポキシ機能性膜形成樹脂を含み得る。
【0017】
膜形成樹脂は、結合剤の総重量に基づいて、少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%の量で、結合剤中に存在し得る。膜形成樹脂は、結合剤の総重量に基づいて、最大97重量%、例えば最大80重量%、例えば最大60重量%、例えば最大50重量%の量で、結合剤中に存在し得る。膜形成樹脂は、結合剤の総重量に基づいて、10%~97重量%、例えば10%~80重量%、例えば10%~60重量%、例えば10%~50重量%、例えば20%~97重量%、例えば20%~80重量%、例えば20%~60重量%、例えば20%~50重量%、例えば30%~97重量%、例えば30%~80重量%、例えば30%~60重量%、例えば30%~50重量%、例えば40%~97重量%、例えば40%~80重量%、例えば40%~60重量%、例えば40%~50重量%の量で、結合剤中に存在し得る。
【0018】
膜形成樹脂は、結合剤の総重量に基づいて、粉末コーティング組成物の少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%の量で、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、もしくはそれらのコポリマーのうちの1つを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり得る単一の膜形成樹脂を含み得る。膜形成樹脂は、結合剤の総重量に基づいて、粉末コーティング組成物の最大97重量%、例えば最大80重量%、例えば最大60重量%、例えば最大50重量%の量で、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、またはそれらのコポリマーのうちの1つを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり得る単一の膜形成樹脂を含み得る。膜形成樹脂は、結合剤の総重量に基づいて、10%~97重量%、例えば10%~80重量%、例えば10%~60重量%、例えば10%~50重量%、例えば20%~97重量%、例えば20%~80重量%、例えば20%~60重量%、例えば20%~50重量%、例えば30%~97重量%、例えば30%~80重量%、例えば30%~60重量%、例えば30%~50重量%、例えば40%~97重量%、例えば40%~80重量%、例えば40%~60重量%、例えば40%~50重量%の量で、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、またはそれらのコポリマーのうちの1つを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり得る単一の膜形成樹脂を含み得る。
【0019】
架橋剤は、結合剤の総重量に基づいて、少なくとも3重量%、例えば少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、例えば少なくとも30重量%、例えば少なくとも40重量%の量で、結合剤中に存在し得る。架橋剤は、結合剤の総重量に基づいて、最大70重量%、例えば最大60重量%、例えば最大50重量%、例えば最大40重量%の量で、結合剤中に存在し得る。架橋剤は、結合剤の総重量に基づいて、3%~70重量%、例えば3%~60重量%、例えば3%~50重量%、例えば3%~40重量%、例えば10%~70重量%、例えば10%~60重量%、例えば10%~50重量%、例えば10%~40重量%、例えば30%~70重量%、例えば30%~60重量%、例えば30%~50重量%、例えば30%~40重量%、例えば40%~70重量%、例えば40%~60重量%、例えば40%~50重量%の量で、結合剤中に存在し得る。
【0020】
粉末コーティング組成物のハイブリッド結合剤の非限定的な例は、(a)エポキシ官能性ポリマー、(b)エポキシ官能性ポリマーと反応性であり、かつ100mg KOH/g未満の酸価を含むポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマー、および(c)エポキシ官能性ポリマーと反応性であるポリ-カルボン酸官能性(メタ)アクリレートポリマー、を含む結合剤である。エポキシ官能性ポリマー、ポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマー、およびポリ-カルボン酸官能性(メタ)アクリレートポリマーは、反応して、ヒドロキシル官能性反応生成物を形成し得ると理解される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「ポリ-カルボン酸官能性ポリマー」は、2つまたは2つより多いカルボン酸官能基を有するポリマーを指す。本発明の粉末コーティング組成物に使用されるポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーは、100mg KOH/g未満または80mg KOH/g未満の酸価を有し得る。ポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーは、少なくとも60mg KOH/gの酸価をさらに有し得る。ポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーはまた、例えば、60mg KOH/g~100mg KOH/g、または60mg KOH/g~80mg KOH/gの酸価を有し得る。ポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーは、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)などの様々な材料から形成することができる。
【0022】
ポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーは、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、または少なくとも40重量%を構成し得る。ポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーは、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の最大97重量%、または最大60重量%、または最大50重量%を構成し得る。ポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーはまた、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の例えば20~97重量%、または20~60重量%、または30~50重量%の範囲内の量を構成し得る。
【0023】
示されるように、粉末コーティング組成物はまた、ポリ-カルボン酸官能性(メタ)アクリレートポリマーを含む。ポリ-カルボン酸官能性(メタ)アクリレートポリマーは、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の少なくとも0.05重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、または少なくとも2重量%を構成し得る。ポリ-カルボン酸官能性(メタ)アクリレートポリマーは、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の最大10重量%、最大5重量%、または最大3重量%を構成し得る。ポリ-カルボン酸官能性(メタ)アクリレートポリマーはまた、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の例えば0.05~10重量%、または0.1~5重量%、または1~3重量%の範囲内の量を構成し得る。
【0024】
ポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーおよびポリ-カルボン酸官能性(メタ)アクリレートポリマーを粉末コーティング組成物中で組み合わせて、望ましい重量比を提供することができる。例えば、ポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーおよびポリ-カルボン酸官能性(メタ)アクリレートポリマーを粉末コーティング組成物中で組み合わせて、1:1もしくは1:1を超える、または5:1もしくは5:1を超える、または10:1もしくは10:1を超える、または15:1もしくは15:1を超える、または20:1もしくは20:1を超えるポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーのポリ-カルボン酸官能性(メタ)アクリレートポリマーに対する重量比を提供することができる。
【0025】
粉末コーティング組成物はまた、カルボン酸官能性ポリウレタンポリマー、ポリアミドポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリシロキサンポリマー、ビニル樹脂、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、追加のカルボン酸官能性ポリマーを含み得る。さらに、前述のカルボン酸官能性ポリマーのいずれかは、アミン基、ヒドロキシル基、チオール基、カルバメート基、アミド基、尿素基、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、種々の追加の官能基のいずれかを有し得る。代替的に、本発明の粉末コーティング組成物は、そのような追加のポリ-カルボン酸官能性ポリマーを含まない場合がある。
【0026】
カルボン酸官能性ポリマーの総量は、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%を構成し得る。カルボン酸官能性ポリマーの総量は、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の最大70重量%、最大60重量%、または最大50重量%を構成し得る。カルボン酸官能性ポリマーの総量はまた、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の例えば20~70重量%、または30~60重量%、または40~50重量%の範囲内の量を構成し得る。
【0027】
カルボン酸官能性ポリマーはまた、リサイクル材料から形成することができる。例えば、本発明の粉末コーティング組成物は、少なくとも1つのリサイクル材料から調製されたポリ-カルボン酸官能性ポリエステルを含み得る。ポリ-カルボン酸官能性ポリエステルを形成するために使用され得るリサイクル材料の非限定的な例は、リサイクルポリ(エチレンテレフタレート)である。
【0028】
前述のように、本発明の例示的な粉末コーティング組成物はまた、少なくともポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーおよびポリ-カルボン酸官能性(メタ)アクリレートポリマーと反応性であるエポキシ官能性ポリマーを含む。エポキシ官能性ポリマーは、2つまたは2つより多いエポキシ官能基を含み、カルボン酸官能性ポリマーと反応したときに架橋剤として作用すると理解される。好適なエポキシ官能性ポリマーの非限定的な例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適なエポキシ樹脂の非限定的な例はまた、Nan Ya Plasticsから商品名NPES-903で、ならびにHexionから商品名EPON(商標)2002およびEPON 2004(商標)で市販されている。
【0029】
エポキシ官能性ポリマーは、少なくとも200、または少なくとも500、または少なくとも700の当量重量を有し得る。エポキシ官能性ポリマーはまた、最大1000または最大5100の当量重量を含み得る。エポキシ官能性ポリマーは、200~5100、または200~1000、または500~5100、または500~1000、または700~5100、または700~1000の範囲内の当量重量を含み得る。本明細書で使用される場合、「当量重量」は、樹脂の平均重量分子量を官能基の数で除算したものを指す。したがって、エポキシ官能性ポリマーの当量重量は、エポキシ樹脂の平均重量分子量を、エポキシド基およびエポキシドではない任意の他の必要に応じた官能基の総数で除算することによって決定される。さらに、平均重量分子量は、Waters 410示差屈折計(RI検出器)を備えたWaters 2695分離モジュールで測定された場合のゲル透過クロマトグラフィーによって、800~900,000ダルトンの直鎖ポリスチレン標準物質に対して決定される。テトラヒドロフラン(THF)は、1ml分-1の流速で溶出剤として使用され、2つのPLgel Mixed-C(300x7.5mm)カラムは、分離に使用される。
【0030】
エポキシ官能性ポリマーは、1つまたは複数のタイプのエポキシ官能性ポリマーを含み得ると理解される。複数のエポキシ官能性ポリマーが使用されるとき、複数のエポキシ官能性ポリマーは、同じまたは異なる当量重量を有し得る。例えば、第1のエポキシ官能性ポリマーは、第2のエポキシ官能性ポリマーの当量重量よりも大きい当量重量を有し得る。エポキシ官能性ポリマーはまた、前述の官能基のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない、エポキシ官能基以外の追加の官能基を含み得る。代替的に、エポキシ官能性ポリマーは、エポキシ官能基以外の前述の官能基のうちのいずれか1つまたはすべてを含まない場合がある。
【0031】
エポキシ官能性ポリマーは、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%を構成し得る。エポキシ官能性ポリマーは、コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の最大95重量%、または最大60重量%、または最大50重量%を構成し得る。エポキシ官能性ポリマーはまた、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の例えば10~95重量%、または20~60重量%、または30~50重量%、または40~50重量%の範囲内の量を構成し得る。
【0032】
ポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーおよびエポキシ官能性ポリマーも、粉末コーティング組成物中で組み合わせて、望ましい重量比を提供することができる。例えば、ポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーおよびエポキシ官能性ポリマーを粉末コーティング組成物中で組み合わせて、0.2:1~1:1、または0.5:1~1:0.5、または0.8:1~1:0.8、または0.9:1~1:0.9、または0.95:1~1:0.95、または1:1の比率のポリ-カルボン酸官能性ポリエステルポリマーのエポキシ官能性ポリマーに対する重量比を提供することができる。
【0033】
粉末コーティング組成物のカルボン酸官能性ポリマーおよびエポキシ官能性ポリマーを反応させて、ヒドロキシル官能基を含む反応生成物を形成する。反応生成物は、1個または複数個のヒドロキシル基を含み得る。例えば、反応生成物は、複数のペンダントヒドロキシル基、および必要に応じて、末端ヒドロキシル基を含み得る。
【0034】
本発明の粉末コーティング組成物はまた、上で考察したように、ヒドロキシル官能基を含む前述の反応生成物と反応性であるイソシアネート官能性架橋剤を含み得る。イソシアネート架橋剤は、例えば、耐化学性および耐摩耗性を増加させるためのより高い架橋密度を含む追加の特性を提供することができる。
【0035】
イソシアネート官能性架橋剤は、様々なタイプのポリイソシアネートを含み得る。使用することができるポリイソシアネートとしては、脂肪族および芳香族ジイソシアネート、ならびにより高い官能性ポリイソシアネートが挙げられる。好適なポリイソシアネートの非限定的な例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート(H12MDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CFIDI)、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(m-TMXDI)、p-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(p-TMXDI)、エチレンジイソシアネート、1,2-ジイソシアナトプロパン、1,3-ジイソシアナトプロパン、1,6-ジイソシアナトヘキサン(ヘキサムエチレンジイソシアネートまたはFIDI)、1,4-ブチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,4-メチレンビス-(シクロヘキシルイソシアネート)、トルエンジイソシアネート(TDI)、m-キシリレンジイソシアネート(MXDI)およびp-キシリレンジイソシアネート、4-クロロ-1,3-フェニレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロ-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、および1,2,4-ベンゼントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ならびにそれらの混合物または組み合わせが挙げられる。
【0036】
イソシアネート架橋剤は、ブロック化イソシアネート官能性架橋剤を含み得る。「ブロック化イソシアネート」は、ブロッキング剤とすでに反応しており、かつブロッキング剤が熱などの外部刺激への曝露時に除去されるまでイソシアネート官能基が反応することを阻止する、イソシアネート官能基を有する化合物を指す。ブロッキング剤の非限定的な例としては、フェノール、ピリジノール、チオフェノール、メチルエチルケトキシム、アミド、カプロラクタム、イミダゾール、およびピラゾールが挙げられる。イソシアネートはまた、ウレトジオン内部ブロック化イソシアネート付加物などのウレトジオンイソシアネートを含み得る。
【0037】
イソシアネート官能性架橋剤は、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の少なくとも0.1重量%、または少なくとも1重量%、または少なくとも3重量%を構成し得る。イソシアネート官能性架橋剤は、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、粉末コーティング組成物の最大50重量%、最大30重量%、最大20重量%、最大10重量%、最大8重量%、または最大5重量%を構成し得る。イソシアネート官能性架橋剤はまた、粉末コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、例えば0.1~50重量%、または0.1~30重量%、または0.1~20重量%、または0.1~10重量%、または0.1~8重量%、または0.1~5重量%、または1~50重量%、または1~30重量%、または1~20重量%、または1~10重量%、または1~8重量%、または1~5重量%、または3~50重量%、または3~30重量%、または3~20重量%、または3~10重量%、または3~8重量%、または3~5重量%の範囲内の量を構成し得る。
【0038】
粉末コーティング組成物の結合剤の非限定的な例は、(a)エポキシ官能性ポリマー、および(b)架橋剤を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる結合剤である。エポキシ官能性ポリマーは、結合剤の総重量に基づいて、少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%の量で存在し得る。エポキシ官能性ポリマーは、結合剤の総重量に基づいて、最大97重量%、例えば最大80重量%、例えば最大60重量%、例えば最大50重量%の量で、結合剤中に存在し得る。エポキシ官能性ポリマーは、結合剤の総重量に基づいて、10%~97重量%、例えば10%~80重量%、例えば10%~60重量%、例えば10%~50重量%、例えば20%~97重量%、例えば20%~80重量%、例えば20%~60重量%、例えば20%~50重量%、例えば30%~97重量%、例えば30%~80重量%、例えば30%~60重量%、例えば30%~50重量%、例えば40%~97重量%、例えば40%~80重量%、例えば40%~60重量%、例えば40%~50重量%の量で、結合剤中に存在し得る。架橋剤は、結合剤の総重量に基づいて、少なくとも3重量%、例えば少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、例えば少なくとも30重量%、例えば少なくとも40重量%の量で、結合剤中に存在し得る。架橋剤は、結合剤の総重量に基づいて、最大70重量%、例えば最大60重量%、例えば最大50重量%、例えば最大40重量%の量で、結合剤中に存在し得る。架橋剤は、結合剤の総重量に基づいて、3%~70重量%、例えば3%~60重量%、例えば3%~50重量%、例えば3%~40重量%、例えば10%~70重量%、例えば10%~60重量%、例えば10%~50重量%、例えば10%~40重量%、例えば30%~70重量%、例えば30%~60重量%、例えば30%~50重量%、例えば30%~40重量%、例えば40%~70重量%、例えば40%~60重量%、例えば40%~50重量%の量で、結合剤中に存在し得る。
【0039】
粉末コーティング組成物の結合剤の非限定的な例は、(a)ポリエステル樹脂、および(b)架橋剤を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる結合剤である。ポリエステル樹脂は、結合剤の総重量に基づいて、少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%の量で存在し得る。ポリエステル樹脂は、結合剤の総重量に基づいて、最大97重量%、例えば最大80重量%、例えば最大60重量%、例えば最大50重量%の量で、結合剤中に存在し得る。ポリエステル樹脂は、結合剤の総重量に基づいて、10%~97重量%、例えば10%~80重量%、例えば10%~60重量%、例えば10%~50重量%、例えば20%~97重量%、例えば20%~80重量%、例えば20%~60重量%、例えば20%~50重量%、例えば30%~97重量%、例えば30%~80重量%、例えば30%~60重量%、例えば30%~50重量%、例えば40%~97重量%、例えば40%~80重量%、例えば40%~60重量%、例えば40%~50重量%の量で、結合剤中に存在し得る。架橋剤は、結合剤の総重量に基づいて、少なくとも3重量%、例えば少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、例えば少なくとも30重量%、例えば少なくとも40重量%の量で、結合剤中に存在し得る。架橋剤は、結合剤の総重量に基づいて、最大70重量%、例えば最大60重量%、例えば最大50重量%、例えば最大40重量%の量で、結合剤中に存在し得る。架橋剤は、結合剤の総重量に基づいて、3%~70重量%、例えば3%~60重量%、例えば3%~50重量%、例えば3%~40重量%、例えば10%~70重量%、例えば10%~60重量%、例えば10%~50重量%、例えば10%~40重量%、例えば30%~70重量%、例えば30%~60重量%、例えば30%~50重量%、例えば30%~40重量%、例えば40%~70重量%、例えば40%~60重量%、例えば40%~50重量%の量で、結合剤中に存在し得る。
【0040】
粉末コーティング組成物の結合剤の非限定的な例は、(a)ポリエステル樹脂、および(b)ポリイソシアネートを含む架橋剤を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる結合剤である。ポリエステル樹脂は、結合剤の総重量に基づいて、少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%の量で存在し得る。ポリエステル樹脂は、結合剤の総重量に基づいて、最大97重量%、例えば最大80重量%、例えば最大60重量%、例えば最大50重量%の量で、結合剤中に存在し得る。ポリエステル樹脂は、結合剤の総重量に基づいて、10%~97重量%、例えば10%~80重量%、例えば10%~60重量%、例えば10%~50重量%、例えば20%~97重量%、例えば20%~80重量%、例えば20%~60重量%、例えば20%~50重量%、例えば30%~97重量%、例えば30%~80重量%、例えば30%~60重量%、例えば30%~50重量%、例えば40%~97重量%、例えば40%~80重量%、例えば40%~60重量%、例えば40%~50重量%の量で、結合剤中に存在し得る。ポリイソシアネートは、結合剤の総重量に基づいて、少なくとも3重量%、例えば少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、例えば少なくとも30重量%、例えば少なくとも40重量%の量で、結合剤中に存在し得る。ポリイソシアネートは、結合剤の総重量に基づいて、最大70重量%、例えば最大60重量%、例えば最大50重量%、例えば最大40重量%の量で、結合剤中に存在し得る。ポリイソシアネートは、結合剤の総重量に基づいて、3%~70重量%、例えば3%~60重量%、例えば3%~50重量%、例えば3%~40重量%、例えば10%~70重量%、例えば10%~60重量%、例えば10%~50重量%、例えば10%~40重量%、例えば30%~70重量%、例えば30%~60重量%、例えば30%~50重量%、例えば30%~40重量%、例えば40%~70重量%、例えば40%~60重量%、例えば40%~50重量%の量で、結合剤中に存在し得る。
【0041】
粉末コーティング組成物はまた、前述の膜形成樹脂および/または架橋剤のいずれも実質的に含まない、それらを本質的に含まない、またはそれらを完全に含まない場合がある。例えば、粉末コーティング組成物は、ヒドロキシル官能性膜形成樹脂および/またはイソシアネート官能性架橋剤を実質的に含まない、それらを本質的に含まない、またはそれらを完全に含まない場合がある。この文脈で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、粉末コーティング組成物が、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、ヒドロキシル官能性膜形成樹脂および/またはイソシアネート官能性架橋剤などのある特定の膜形成樹脂および/または架橋剤を1000百万分率(ppm)未満含有することを意味し、「本質的に含まない」は、100ppm未満含有することを意味し、「完全に含まない」は、20十億分率(ppb)未満含有することを意味する。
【0042】
本発明の硬化性粉末コーティング組成物は、熱、上昇または低下した圧力、水分などによって化学的に、または化学線などの他の手段、およびそれらの組み合わせを用いて硬化させることができる。「化学線」という用語は、化学反応を開始することができる電磁放射線を指す。化学線としては、可視光、紫外(UV)光、赤外放射線、X線、およびガンマ放射線が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「硬化性」、「硬化する」などの用語は、粉末コーティング組成物と関連して使用される場合、粉末コーティング組成物を構築する成分の少なくとも一部分が、自己架橋性ポリマーを含む重合性かつ/または架橋性であることを意味する。
【0043】
結合剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、例えば少なくとも40重量%、例えば少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。結合剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、97重量%以下、例えば85重量%以下、例えば75重量%以下、例えば65重量%以下の量で粉末コーティング組成物中に存在し得る。結合剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、10%~97重量%、例えば10%~85重量%、例えば10%~75重量%、例えば10%~65重量%、例えば20%~97重量%、例えば20%~85重量%、例えば20%~75重量%、例えば20%~65重量%、例えば40%~97重量%、例えば40%~85重量%、例えば40%~75重量%、例えば40%~65重量%、50%~97重量%、例えば50%~85重量%、例えば50%~75重量%、例えば50%~65重量%、60%~97重量%、例えば60%~85重量%、例えば60%~75重量%、例えば60%~65重量%の量で存在し得る。
【0044】
結合剤は、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、少なくとも15体積%、例えば少なくとも30体積%、例えば少なくとも50体積%の量で粉末コーティング組成物中に存在し得る。結合剤は、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、96体積%以下、例えば70体積%以下、例えば55体積%以下の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。結合剤は、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、15%~96体積%、例えば25%~80体積%、例えば35%~60体積%の量で存在し得る。
【0045】
本発明によれば、粉末コーティング組成物は、熱伝導性の電気絶縁性充填材材料を含む。本明細書で使用される場合、「熱伝導性の電気絶縁性充填材」または「TC/EI充填材」という用語は、(ASTM D7984に従って測定された)25℃で少なくとも5W/mKの熱伝導率、および(ASTM D257、C611、またはB193に従って測定された)少なくとも10Ωmの体積抵抗率を有する顔料、充填材、または無機粉末を意味する。TC/EI充填材材料は、有機材料または無機材料を含み得、単一のタイプの充填材材料の粒子を含み得るか、または2つもしくは2つより多いタイプのTC/EI充填材材料の粒子を含み得る。つまり、TC/EI充填材材料は、第1のTC/EI充填材材料の粒子を含み得、第1のTC/EI充填材材料とは異なる少なくとも第2(すなわち、第2、第3、第4など)のTC/EI充填材材料の粒子をさらに含み得る。充填材材料のタイプに関して本明細書で使用される場合、「第1の」、「第2の」などへの言及は、便宜のためだけであり、添加の順序などを指すものではない。
【0046】
TC/EI充填材材料は、(ASTM D7984に従って測定された)25℃で少なくとも5W/mK、例えば少なくとも18W/mK、例えば少なくとも55W/mKの熱伝導率を有し得る。TC/EI充填材材料は、(ASTM D7984に従って測定された)25℃で3,000W/mK以下、例えば1,400W/mK以下、例えば450W/mK以下の熱伝導率を有し得る。TC/EI充填材材料は、(ASTM D7984に従って測定された)25℃で5W/mK~3,000W/mK、例えば18W/mK~1,400W/mK、例えば55W/mK~450W/mKの熱伝導率を有し得る。
【0047】
TC/EI充填材材料は、(ASTM D257、C611、またはB193に従って測定された)少なくとも10Ωm、例えば少なくとも20Ωm、例えば少なくとも30Ωm、例えば少なくとも40Ωm、例えば少なくとも50Ωm、例えば少なくとも60Ωm、例えば少なくとも60Ωm、例えば少なくとも70Ωm、例えば少なくとも80Ωm、例えば少なくとも80Ωm、例えば少なくとも90Ωm、例えば少なくとも100Ωmの体積抵抗率を有し得る。
【0048】
TC/EI充填材材料の好適な非限定的な例としては、窒化物、金属酸化物、半金属酸化物、金属水酸化物、ヒ化物、炭化物、鉱物、セラミック、およびダイヤモンドが挙げられる。例えば、TC/EI充填材材料は、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ヒ化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、高温か焼された酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、水酸化アルミニウム(すなわち、アルミニウム三水和物)、水酸化マグネシウム、ヒ化ホウ素、炭化ケイ素、メノウ、エメリー、セラミック微小球、ダイヤモンド、もしくはそれらの任意の組み合わせを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり得る。窒化ホウ素の市販のTC/EI充填材材料の非限定的な例としては、例えば、Saint-GobainからのCarboTherm、MomentiveからのCoolFlowおよびPolarTherm、ならびにPanadyneから入手可能な六方晶窒化ホウ素粉末としてのものが挙げられ、窒化アルミニウムの例としては、例えば、Micron Metals Inc.から入手可能な窒化アルミニウム粉末、およびToyalからのToyalniteとしてのもの、酸化アルミニウムの例としては、例えば、Micro AbrasivesからのMicrogrit、NabaltecからのNabalox、EvonikからのAeroxide、およびImerysからのAlodurとしてのものが挙げられ、高温か焼された酸化マグネシウムの例としては、例えば、Martin Marietta Magnesia SpecialtiesからのMagChem(登録商標)P98が挙げられ、水酸化アルミニウムの例としては、例えば、Nabaltec GmbHからのAPYRALおよびSibelcoからの水酸化アルミニウムが挙げられ、セラミック微小球の例としては、例えば、Zeeospheres Ceramicsまたは3Mからのセラミック微小球が挙げられる。これらの充填材はまた、表面改質することができる。例えば、Kyowa Chemical Industry Co.,Ltd.からPYROKISUMA 5301Kとして入手可能な表面改質された酸化マグネシウム。代替的に、TC/EI充填材材料は、いかなる表面改質剤も含まない場合がある。
【0049】
本明細書で使用される場合、「高温か焼された酸化マグネシウム」という用語は、高温(例えば、高温溶鉱炉内で1500℃~2000℃の範囲)でか焼された酸化マグネシウムを指し、か焼されていない酸化マグネシウムと比べて、非常に低い反応性を有する材料をもたらす。
【0050】
TC/EI充填材材料は、任意の粒子形状または幾何学形状を有し得る。例えば、TC/EI充填材材料は、規則的または不規則的な形状であり得、球状、楕円体状、立方体状、板状、針状(細長いまたは繊維状)、ロッド状、円盤状、角柱状、フレーク状、岩石状など、それらの凝集体、およびそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0051】
TC/EI充填材材料の粒子は、製造業者によって報告される場合、少なくとも1つの寸法で、少なくとも0.01ミクロン、例えば少なくとも2ミクロン、例えば少なくとも10ミクロンの、報告された平均粒子サイズを有し得る。TC/EI充填材材料の粒子は、製造業者によって報告される場合、少なくとも1つの寸法で、500ミクロン以下、例えば300ミクロン以下、例えば200ミクロン以下、例えば150ミクロン以下の、報告された平均粒子サイズを有し得る。TC/EI充填材材料の粒子は、製造業者によって報告される場合、少なくとも1つの寸法で、0.01ミクロン~500ミクロン、例えば0.1ミクロン~300ミクロン、例えば2ミクロン~200ミクロン、例えば10ミクロン~150ミクロンの、報告された平均粒子サイズを有し得る。平均粒子サイズを測定する好適な方法としては、Quanta 250 FEG SEMなどの器具または同等の器具を使用した測定が挙げられる。
【0052】
粉末コーティング組成物のTC/EI充填材材料の粒子は、(モース硬度スケールに基づいて)少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3の報告されたモース硬度を有し得る。粉末コーティング組成物のTC/EI充填材材料の粒子は、10以下、例えば8以下、例えば7以下の報告されたモース硬度を有し得る。粉末コーティング組成物のTC/EI充填材材料の粒子は、1~10、例えば2~8、例えば3~7の報告されたモース硬度を有し得る。
【0053】
TC/EI充填材材料は、単一のTC/EI充填材材料として含まれ得るか、または上述のTC/EI充填材材料のうちの2つまたは2つより多い組み合わせとして含まれ得る。例えば、熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、水酸化アルミニウム、高温か焼された酸化マグネシウム、および窒化ホウ素のうちの少なくとも2つを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる。例えば、熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、水酸化アルミニウムおよび高温か焼された酸化マグネシウムを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる。例えば、熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、水酸化アルミニウムおよび窒化ホウ素を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる。2つより多くのTC/EI充填材材料が使用される場合、2つのTC/EI充填材材料間の重量比は、TC/EI充填材材料の総合計重量に基づいて、少なくとも1:30、例えば少なくとも1:25、例えば少なくとも1:20、例えば少なくとも1:15、例えば少なくとも1:10、例えば少なくとも1:8、例えば少なくとも1:7、例えば少なくとも1:5、例えば少なくとも1:4、例えば少なくとも1:3、例えば少なくとも1:2.5、例えば少なくとも1:2、例えば1:1.5、例えば少なくとも1:1.4、例えば少なくとも1:1.2、例えば1:1であり得る。2つより多くのTC/EI充填材材料が使用される場合、2つのTC/EI充填材材料間の重量比は、TC/EI充填材材料の総合計重量に基づいて、1:30~30:1、例えば1:25~25:1、例えば1:20~20:1、例えば1:15~15:1、例えば1:10~10:1、例えば1:8~8:1、例えば1:7~7:1、例えば1:5~5:1、例えば1:3~3:1、例えば1:2~2:1、例えば1:1.5~1.5:1、例えば1:1.4~1.4:1、例えば1:1.2~1.2:1、例えば1:2~1.4:1、例えば1:2~1.5:1であり得る。
【0054】
例えば、熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1%~80重量%、例えば10%~60重量%、例えば15%~50重量%、例えば20%~40重量%、例えば25%~35重量%、例えば27%~33重量%の量の水酸化アルミニウム、および1%~80重量%、例えば5%~60重量%、例えば7%~50重量%、例えば10%~40重量%、例えば12%~35重量%、例えば15%~30重量%、例えば17%~25重量%、例えば18%~22重量%の量の高温か焼された酸化マグネシウムを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる。
【0055】
例えば、熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1%~80重量%、例えば10%~60重量%、例えば15%~50重量%、例えば20%~40重量%、例えば25%~35重量%、例えば27%~33重量%の量の水酸化アルミニウム、および1%~80重量%、例えば5%~60重量%、例えば7%~50重量%、例えば10%~40重量%、例えば12%~35重量%、例えば15%~30重量%、例えば17%~25重量%、例えば18%~22重量%の量の窒化ホウ素を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる。
【0056】
例えば、粉末コーティング組成物の熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば少なくとも5重量%、例えば少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、例えば少なくとも25重量%、例えば少なくとも30重量%、例えば少なくとも35重量%、例えば少なくとも40重量%、例えば少なくとも45重量%、例えば少なくとも50重量%、例えば少なくとも55重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも65重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも75重量%の水酸化アルミニウムを含む、それから本質的になる、またはそれからなり得る。粉末コーティング組成物の熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、80重量%以下、例えば75重量%以下、例えば70重量%以下、例えば65重量%以下、例えば60重量%以下、例えば55重量%以下、例えば50重量%以下、例えば45重量%以下、例えば40重量%以下、例えば35重量%以下、例えば30重量%以下、例えば25重量%以下、例えば20重量%以下、例えば15重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下の量の水酸化アルミニウムを含む、それから本質的になる、またはそれからなり得る。粉末コーティング組成物の熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1%~80重量%、例えば5%~80重量%、例えば10%~80重量%、例えば15%~80重量%、例えば20%~80重量%、例えば25%~80重量%、例えば30%~80重量%、例えば35%~80重量%、例えば40%~80重量%、例えば45%~80重量%、例えば50%~80重量%、例えば55%~80重量%、例えば60%~80重量%、例えば65%~80重量%、例えば70%~80重量%、例えば75%~80重量%、例えば1%~70重量%、例えば5%~70重量%、例えば10%~70重量%、例えば15%~70重量%、例えば20%~70重量%、例えば25%~70重量%、例えば30%~70重量%、例えば35%~70重量%、例えば40%~70重量%、例えば45%~70重量%、例えば50%~70重量%、例えば55%~70重量%、例えば60%~70重量%、例えば65%~70重量%、例えば1%~65重量%、例えば5%~65重量%、例えば10%~65重量%、例えば15%~65重量%、例えば20%~65重量%、例えば25%~65重量%、例えば30%~65重量%、例えば35%~65重量%、例えば40%~65重量%、例えば45%~65重量%、例えば50%~65重量%、例えば55%~65重量%、例えば1%~60重量%、例えば5%~60重量%、例えば10%~60重量%、例えば15%~60重量%、例えば20%~60重量%、例えば25%~60重量%、例えば25%~60重量%、例えば30%~60重量%、例えば35%~60重量%、例えば40%~60重量%、例えば45%~60重量%、例えば50%~60重量%、例えば55%~60重量%、例えば1%~55重量%、例えば5%~55重量%、例えば10%~55重量%、例えば15%~55重量%、例えば20%~55重量%、例えば25%~55重量%、例えば30%~55重量%、例えば35%~55重量%、例えば40%~55重量%、例えば45%~55重量%、例えば1%~50重量%、例えば5%~50重量%、例えば10%~50重量%、例えば15%~50重量%、例えば20%~50重量%、例えば25%~50重量%、例えば30%~50重量%、例えば35%~50重量%、例えば40%~50重量%、例えば45%~50重量%、例えば1%~45重量%、例えば5%~45重量%、例えば10%~45重量%、例えば15%~45重量%、例えば20%~45重量%、例えば25%~45重量%、例えば30%~45重量%、例えば35%~45重量%、例えば40%~45重量%、例えば1%~40重量%、例えば5%~40重量%、例えば10%~40重量%、例えば15%~40重量%、例えば20%~40重量%、例えば25%~40重量%、例えば30%~40重量%、例えば35%~40重量%、例えば1%~35重量%、例えば5%~35重量%、例えば10%~35重量%、例えば15%~35重量%、例えば20%~35重量%、例えば25%~35重量%、例えば30%~35重量%、例えば1%~25重量%、例えば5%~25重量%、例えば10%~25重量%、例えば15%~25重量%、例えば20%~25重量%、例えば1%~20重量%、例えば5%~20重量%、例えば10%~20重量%、例えば15%~20重量%、例えば1%~15重量%、例えば5%~15重量%、例えば10%~15重量%、例えば1%~10重量%、例えば5%~10重量%の量の水酸化アルミニウムを含む、それから本質的になる、またはそれからなり得る。
【0057】
粉末コーティング組成物の熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば少なくとも5重量%、例えば少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%、例えば少なくとも25重量%、例えば少なくとも30重量%、例えば少なくとも35重量%、例えば少なくとも40重量%、例えば少なくとも45重量%、例えば少なくとも50重量%、例えば少なくとも55重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも65重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも75重量%の量で存在し得る。粉末コーティング組成物の熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、80重量%以下、例えば75重量%以下、例えば70重量%以下、例えば65重量%以下、例えば60重量%以下、例えば55重量%以下、例えば50重量%以下、例えば45重量%以下、例えば40重量%以下、例えば35重量%以下、例えば30重量%以下、例えば25重量%以下、例えば20重量%以下、例えば15重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下の量で存在し得る。粉末コーティング組成物の熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1%~80重量%、例えば5%~80重量%、例えば10%~80重量%、例えば15%~80重量%、例えば20%~80重量%、例えば25%~80重量%、例えば30%~80重量%、例えば35%~80重量%、例えば40%~80重量%、例えば45%~80重量%、例えば50%~80重量%、例えば55%~80重量%、例えば60%~80重量%、例えば65%~80重量%、例えば70%~80重量%、例えば75%~80重量%、例えば1%~70重量%、例えば5%~70重量%、例えば10%~70重量%、例えば15%~70重量%、例えば20%~70重量%、例えば25%~70重量%、例えば30%~70重量%、例えば35%~70重量%、例えば40%~70重量%、例えば45%~70重量%、例えば50%~70重量%、例えば55%~70重量%、例えば60%~70重量%、例えば65%~70重量%、例えば1%~65重量%、例えば5%~65重量%、例えば10%~65重量%、例えば15%~65重量%、例えば20%~65重量%、例えば25%~65重量%、例えば30%~65重量%、例えば35%~65重量%、例えば40%~65重量%、例えば45%~65重量%、例えば50%~65重量%、例えば55%~65重量%、例えば1%~60重量%、例えば5%~60重量%、例えば10%~60重量%、例えば15%~60重量%、例えば20%~60重量%、例えば25%~60重量%、例えば25%~60重量%、例えば30%~60重量%、例えば35%~60重量%、例えば40%~60重量%、例えば45%~60重量%、例えば50%~60重量%、例えば55%~60重量%、例えば1%~55重量%、例えば5%~55重量%、例えば10%~55重量%、例えば15%~55重量%、例えば20%~55重量%、例えば25%~55重量%、例えば30%~55重量%、例えば35%~55重量%、例えば40%~55重量%、例えば45%~55重量%、例えば1%~50重量%、例えば5%~50重量%、例えば10%~50重量%、例えば15%~50重量%、例えば20%~50重量%、例えば25%~50重量%、例えば30%~50重量%、例えば35%~50重量%、例えば40%~50重量%、例えば45%~50重量%、例えば1%~45重量%、例えば5%~45重量%、例えば10%~45重量%、例えば15%~45重量%、例えば20%~45重量%、例えば25%~45重量%、例えば30%~45重量%、例えば35%~45重量%、例えば40%~45重量%、例えば1%~40重量%、例えば5%~40重量%、例えば10%~40重量%、例えば15%~40重量%、例えば20%~40重量%、例えば25%~40重量%、例えば30%~40重量%、例えば35%~40重量%、例えば1%~35重量%、例えば5%~35重量%、例えば10%~35重量%、例えば15%~35重量%、例えば20%~35重量%、例えば25%~35重量%、例えば30%~35重量%、例えば1%~25重量%、例えば5%~25重量%、例えば10%~25重量%、例えば15%~25重量%、例えば20%~25重量%、例えば1%~20重量%、例えば5%~20重量%、例えば10%~20重量%、例えば15%~20重量%、例えば1%~15重量%、例えば5%~15重量%、例えば10%~15重量%、例えば1%~10重量%、例えば5%~10重量%の量で存在し得る。
【0058】
熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、少なくとも1体積%、例えば少なくとも5体積%、例えば少なくとも25体積%、例えば少なくとも30体積%の量で存在し得る。熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、70体積%以下、例えば50体積%以下、例えば30体積%以下の量で存在し得る。熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、1%~70体積%、例えば5%~50体積%、例えば25%~50体積%、例えば30%~50体積%の量で存在し得る。
【0059】
本発明によれば、粉末コーティング組成物および結合剤は、必要に応じて、熱可塑性材料を含み得る。本明細書で使用される場合、「熱可塑性材料」という用語は、粉末コーティング組成物の膜形成樹脂および架橋剤(存在する場合)よりも高い分子量を有する化合物を指す。熱可塑性材料は、必要に応じて、通常の硬化条件下で粉末コーティング組成物の架橋剤と反応する官能基を含まない場合がある。熱可塑性材料は、粉末コーティング組成物の結合剤の一部であり、上述の熱硬化性かつ熱可塑性の粉末コーティング組成物の結合剤の膜形成樹脂ならびに架橋剤(存在する場合)とは異なる。熱可塑性材料は、フェノキシ樹脂(ポリヒドロキシエーテル樹脂)を含み得る。
【0060】
熱可塑性材料は、少なくとも50℃、例えば少なくとも60℃、例えば少なくとも70℃、例えば少なくとも80℃、例えば少なくとも90℃、例えば少なくとも100℃、例えば少なくとも110℃、例えば少なくとも120℃、例えば少なくとも130℃、例えば少なくとも140℃、例えば少なくとも150℃、例えば少なくとも160℃、例えば120℃の溶融温度(Tm)を有し得る。
【0061】
熱可塑性材料は、少なくとも-30℃、例えば少なくとも-20℃、例えば少なくとも-10℃、例えば少なくとも0℃、例えば少なくとも10℃、例えば少なくとも20℃、例えば少なくとも30℃、例えば少なくとも40℃、例えば少なくとも50℃、例えば少なくとも60℃、例えば少なくとも70℃、例えば少なくとも75℃、例えば少なくとも80℃、例えば少なくとも84℃、例えば84℃のガラス転移温度(Tg)を有し得る。
【0062】
熱可塑性材料は、少なくとも少なくとも40g/10分、例えば少なくとも45g/10分、例えば少なくとも50g/10分、例えば少なくとも55g/10分、例えば少なくとも60g/10分、例えば60g/10分の200℃でのメルトインデックスを有し得る。
【0063】
熱可塑性材料は、少なくとも90ポアズ、例えば少なくとも95ポアズ、例えば少なくとも100ポアズ、例えば少なくとも105ポアズ、例えば少なくとも110ポアズ、例えば少なくとも112ポアズ、例えば112ポアズの200℃での溶融粘度を有し得る。
【0064】
シクロヘキサノン中の20重量%溶液中の熱可塑性材料は、25℃でブルックフィールド粘度計を使用して測定された場合、180~300cP、例えば180~280cPの粘度範囲を有し得る。
【0065】
熱可塑性材料は、少なくとも10,000g/モル、例えば少なくとも15,000g/モル、例えば少なくとも20,000g/モル、例えば少なくとも25,000g/モル、例えば少なくとも30,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。熱可塑性材料は、1,000,000g/モル以下、例えば500,000g/モル以下、例えば100,000g/モル以下、例えば50,000g/モル以下、例えば40,000g/モル以下、例えば35,000g/モル以下の重量平均分子量を有し得る。熱可塑性材料は、10,000~1,000,000g/モル、例えば15,000~500,000g/モル、例えば15,000~100,000g/モル、例えば15,000~50,000g/モル、例えば15,000~40,000g/モル、例えば15,000~35,000g/モル、例えば20,000~1,000,000g/モル、例えば20,000~500,000g/モル、例えば20,000~100,000g/モル、例えば20,000~50,000g/モル、例えば20,000~40,000g/モル、例えば20,000~35,000g/モル、例えば25,000~1,000,000g/モル、例えば25,000~500,000g/モル、例えば25,000~100,000g/モル、例えば25,000~50,000g/モル、例えば25,000~40,000g/モル、例えば25,000~35,000g/モル、30,000~1,000,000g/モル、例えば30,000~500,000g/モル、例えば30,000~100,000g/モル、例えば30,000~50,000g/モル、例えば30,000~40,000g/モル、例えば30,000~35,000g/モル、例えば32,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。
【0066】
熱可塑性材料は、少なくとも5,000g/モル、例えば少なくとも8,000g/モル、例えば少なくとも9,000g/モルの数平均分子量を有し得る。熱可塑性材料は、100,000g/モル以下、例えば50,000g/モル以下、例えば25,000g/モル以下、例えば15,000g/モル以下、例えば10,000g/モル以下の数平均分子量を有し得る。熱可塑性材料は、5,000~100,000g/モル、5,000~50,000g/モル、5,000~25,000g/モル、5,000~15,000g/モル、5,000~10,000g/モル、例えば8,000~100,000g/モル、8,000~50,000g/モル、例えば8,000~25,000g/モル、例えば8,000~15,000g/モル、例えば8,000~10,000g/モル、例えば9,000~100,000g/モル、9,000~50,000g/モル、例えば9,000~25,000g/モル、例えば9,000~15,000g/モル、例えば9,000~10,000g/モル、例えば9,500g/モルの数値平均分子量を有し得る。
【0067】
重量平均分子量(M)および数平均分子量(M)は、ASTM D6579-11に従って、ポリスチレン標準物質を使用するゲル透過クロマトグラフィーによって測定することができる。800~900,000Daの直鎖ポリスチレン標準物質に対するゲル透過クロマトグラフィーは、Waters 2414示差屈折計(RI検出器)を備えたWaters 2695分離モジュール、1mL/分の流速の溶出剤としてテトラヒドロフラン(THF)、室温で実行される分離のための2つのPLgel Mixed-C(300×7.5mm)カラムを使用して実行することができる。
【0068】
熱可塑性材料は、必要に応じて、官能基を含み得る。例えば、熱可塑性材料は、ヒドロキシル官能基を含み得る。ヒドロキシル官能基を含む熱可塑性材料は、少なくとも200g/当量、例えば少なくとも240g/当量、例えば少なくとも250g/当量、例えば少なくとも260g/当量、例えば少なくとも270g/当量のヒドロキシル当量重量を有し得る。ヒドロキシル官能基を含む熱可塑性材料は、500,000g/当量以下、例えば250,000g/当量以下、例えば100,000g/当量以下、例えば50,000g/当量以下、例えば25,000g/当量以下、例えば10,000g/当量以下、例えば1,000g/当量以下、例えば、500g/当量以下、例えば350g/当量以下、例えば300g/当量以下、例えば285g/当量以下のヒドロキシル当量重量を有し得る。ヒドロキシル官能基を含む熱可塑性材料は、200~500,000g/当量、例えば200~250,000g/当量、例えば200~100,000g/当量、例えば200~50,000g/当量、例えば200~25,000g/当量、例えば200~10,000g/当量、例えば200~1,000g/当量、例えば200~500g/当量、例えば200~350g/当量、例えば240~350g/当量、例えば250~350g/当量、例えば260~300g/当量、例えば260~300g/当量、例えば200~300g/当量、例えば240~300g/当量、例えば250~300g/当量、例えば260~300g/当量、例えば260~300g/当量、例えば200~285g/当量、例えば240~285g/当量、例えば250~285g/当量、例えば260~285g/当量、例えば260~285g/当量、例えば277g/当量のヒドロキシル当量重量を有し得る。
【0069】
熱可塑性材料は、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば少なくとも3重量%、例えば少なくとも6重量%、例えば少なくとも7重量%の量で粉末コーティング組成物中に存在し得る。熱可塑性材料は、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば9重量%以下、例えば8.5重量%以下の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。熱可塑性材料は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、0.5%~20重量%、例えば0.5%~10重量%、例えば0.5%~9重量%、例えば0.5%~8.5重量%、例えば1%~20重量%、例えば1%~10重量%、例えば1%~9重量%、例えば1%~8.5重量%、例えば3%~20重量%、例えば3%~10重量%、例えば3%~9重量%、例えば3%~8.5重量%、例えば6%~20重量%、例えば6%~10重量%、例えば6%~9重量%、例えば6%~8.5重量%、例えば7%~20重量%、例えば7%~10重量%、例えば7%~9重量%、例えば7%~8.5重量%の量で存在し得る。
【0070】
熱可塑性材料は、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、少なくとも1体積%、例えば少なくとも4体積%、例えば少なくとも7体積%の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。熱可塑性材料は、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、30体積%以下、例えば15体積%以下、例えば8体積%以下の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。熱可塑性材料は、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、1%~30体積%、例えば4%~15体積%、例えば6%~10体積%の量で存在し得る。
【0071】
本発明によれば、粉末コーティング組成物は、必要に応じて、熱伝導性の電気伝導性充填材材料(本明細書では、「TC/EC」充填材材料と称される)の粒子および/または非熱伝導性の電気絶縁性充填材材料(本明細書では、「NTC/EI」充填材材料と称される)の粒子を含み得る。TC/EC充填材材料および/またはNTC/EI充填材材料は、有機または無機であり得る。
【0072】
TC/EC充填材材料および/またはNTC/EI充填材材料は、任意の粒子形状または幾何学形状を有し得る。例えば、TC/EC充填材材料および/またはNTC/EI充填材材料は、規則的または不規則的な形状であり得、球状、楕円体状、立方体状、板状、針状(細長いまたは繊維状)、ロッド状、円盤状、角柱状、フレーク状、岩石状など、それらの凝集体、およびそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0073】
TC/EC充填材材料および/またはNTC/EI充填材材料の粒子は、製造業者によって報告される場合、少なくとも1つの寸法で、少なくとも0.01ミクロン、例えば少なくとも2ミクロン、例えば少なくとも10ミクロンの、報告された平均粒子サイズを有し得る。TC/EC充填材材料および/またはNTC/EI充填材材料の粒子は、製造業者によって報告される場合、少なくとも1つの寸法で、500ミクロン以下、例えば300ミクロン以下、例えば200ミクロン以下、例えば150ミクロン以下の、報告された平均粒子サイズを有し得る。TC/EC充填材材料および/またはNTC/EI充填材材料の粒子は、製造業者によって報告される場合、少なくとも1つの寸法で、0.01ミクロン~500ミクロン、例えば0.1ミクロン~300ミクロン、例えば2ミクロン~200ミクロン、例えば10ミクロン~150ミクロンの、報告された平均粒子サイズを有し得る。平均粒子サイズを測定する好適な方法は、Quanta 250 FEG SEMなどの器具または同等の器具を使用した測定を含む。
【0074】
粉末コーティング組成物のTC/EC充填材材料および/またはNTC/EI充填材材料の粒子は、(モース硬度スケールに基づいて)少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3の報告されたモース硬度を有し得る。粉末コーティング組成物のTC/EC充填材材料および/またはNTC/EI充填材材料の粒子は、10以下、例えば8以下、例えば7以下の報告されたモース硬度を有し得る。粉末コーティング組成物のTC/EC充填材材料および/またはNTC/EI充填材材料の粒子は、1~10、例えば2~8、例えば3~7の報告されたモース硬度を有し得る。
【0075】
本明細書で使用される場合、「熱伝導性の電気伝導性充填材」または「TC/EC充填材」という用語は、(ASTM D7984に従って測定された)25℃で少なくとも5W/mKの熱伝導率、および(ASTM D257、C611、またはB193に従って測定された)10Ωm未満の体積抵抗率を有する顔料、充填材、または無機粉末を意味する。例えば、TC/EC充填材材料は、(ASTM D7984に従って測定された)25℃で少なくとも5W/mK、例えば少なくとも18W/mK、例えば少なくとも55W/mKの熱伝導率を有し得る。TC/EC充填材材料は、(ASTM D7984に従って測定された)25℃で3,000W/mK以下、例えば1,400W/mK以下、例えば450W/mK以下の熱伝導率を有し得る。TC/EC充填材材料は、(ASTM D7984に従って測定された)25℃で5W/mK~3,000W/mK、例えば18W/mK~1,400W/mK、例えば55W/mK~450W/mKの熱伝導率を有し得る。例えば、TC/EC充填材は、(ASTM D257、C611、またはB193に従って測定された)10Ωm未満、例えば5Ωm未満、例えば1Ωm未満の体積抵抗率を有し得る。
【0076】
好適なTC/EC充填材材料としては、銀、亜鉛、銅、金、または金属コーティングされた中空粒子などの金属、グラファイト(Imerysから市販されているTimrexまたはAsbury Carbonsから市販されているThermoCarbなど)、カーボンブラック(例えば、Cabot CorporationからVulcanとして市販されている)、炭素繊維(例えば、Zoltekから粉砕された炭素繊維として市販されている)、グラフェンおよびグラフェン系炭素粒子(例えば、XG Sciencesから市販されているxGnPグラフェンナノプレートレット、および/または例えば、以下に記載のグラフェン粒子)などの炭素化合物、カルボニル鉄、銅(Sigma Aldrichから市販されている回転楕円体状粉末など)、亜鉛(Purity Zinc Metalsから市販されているUltrapure、ならびにUS Zincから入手可能なZinc Dust XLおよびXLPなど)などが挙げられる。
【0077】
「グラフェン系炭素粒子」の例としては、ハニカム結晶格子内に高密度に詰め込まれるsp2結合された炭素原子の1原子厚の平面シートの1つまたは1つより多い層を含む構造を有する炭素粒子が挙げられる。積層された層の平均数は、100未満、例えば、50未満であり得る。積層された層の平均数は、30もしくは30未満、例えば20もしくは20未満、例えば10もしくは10未満、例えば5もしくは5未満であり得る。グラフェン系炭素粒子は、実質的に平坦であり得るが、平面シートの少なくとも一部分は、実質的に湾曲する、丸まる、折り曲がる、または屈曲し得る。粒子は、典型的には、回転楕円体状または等軸状の形態を有しない。好適なグラフェン系炭素粒子は、米国公開第2012/0129980号、段落[0059]~[0065]に記載されており、この引用部分は、参照により本明細書に組み込まれる。他の好適なグラフェン系炭素粒子は、米国特許第9,562,175号、6:6~9:52に記載されており、この引用部分は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
TC/EC充填材材料は、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%、例えば少なくとも3重量%、例えば少なくとも4重量%の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。TC/EC充填材材料は、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、35重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば8重量%以下の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。TC/EC充填材材料は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1%~35重量%、例えば2%~20重量%、例えば3%~10重量%、例えば、4%~8重量%の量で存在し得る。
【0079】
TC/EC充填材材料は、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、少なくとも1体積%、例えば少なくとも5体積%、例えば少なくとも10体積%、例えば少なくとも20体積%の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。TC/EC充填材材料は、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、30体積%以下、例えば25体積%以下、例えば20体積%以下、例えば15体積%以下の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。TC/EC充填材材料は、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、1%~30体積%、例えば1%~25体積%、例えば5%~20体積%、例えば10%~15体積%の量で存在し得る。
【0080】
本明細書で使用される場合、「非熱伝導性の電気絶縁性充填材」または「NTC/EI充填材」という用語は、(ASTM D7984に従って測定された)25℃で5W/mK未満の熱伝導率、および(ASTM D257、C611、またはB193に従って測定された)少なくとも10Ωmの体積抵抗率を有する顔料、充填材、または無機粉末を意味する。例えば、NTC/EI充填材材料は、(ASTM D7984に従って測定された)25℃で5W/mK未満、例えば3W/mK以下、例えば1W/mK以下、例えば0.1W/mK以下、例えば0.05W/mK以下の熱伝導率を有し得る。例えば、NTC/EI充填材材料は、(ASTM D257、C611、またはB193に従って測定された)少なくとも10Ωm、例えば少なくとも20Ωm、例えば少なくとも30Ωm、例えば少なくとも40Ωm、例えば少なくとも50Ωm、例えば少なくとも60Ωm、例えば少なくとも60Ωm、例えば少なくとも70Ωm、例えば少なくとも80Ωm、例えば少なくとも80Ωm、例えば少なくとも90Ωm、例えば少なくとも100Ωmの体積抵抗率を有し得る。
【0081】
NTC/EI充填材材料の好適な非限定的な例としては、雲母、シリカ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス微小球、粘土、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
明細書で使用される場合、「雲母」という用語は、一般に、層状シリケート(フィロシリケート)鉱物を指す。雲母は、マスコバイト雲母を含み得る。マスコバイト雲母は、式KAl(AlSi10)(F,OH)または(KF)(Al(SiO(HO)を有するアルミニウムおよびカリウムのフィロシリケート鉱物を含む。例示的な非限定的な市販のマスコバイト雲母としては、Pacer Mineralsから入手可能な商品名DakotaPURE(商標)700、DakotaPURE(商標)1500、DakotaPURE(商標)2400、DakotaPURE(商標)3000、DakotaPURE(商標)3500、およびDakotaPURE(商標)4000などのDakotaPURE(商標)で販売されている製品が挙げられる。
【0083】
シリカ(SiO)は、三次元構造を形成するために火炎で処理されたシリカを含むヒュームドシリカを含み得る。ヒュームドシリカは、未処理であるか、または例えば、ポリジメチルシロキサンなどのシロキサンで表面処理することができる。例示的な非限定的な市販のヒュームドシリカとしては、Evonik Industriesから市販されているAEROSIL(登録商標)R104、AEROSIL(登録商標)R106、AEROSIL(登録商標)R202、AEROSIL(登録商標)R208、AEROSIL(登録商標)R972などの商品名AEROSIL(登録商標)での製品はんだ、およびWacker Chemie AGから市販されているHDK(登録商標)H17およびHDK(登録商標)H18などの商品名HDK(登録商標)で販売されている製品が挙げられる。
【0084】
ウォラストナイトは、少量の鉄、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、チタン、および/またはカリウムを含有し得るカルシウムイノシリケート鉱物(CaSiO)を含む。例えば、ウォラストナイトは、1.5~2.1m/g、例えば1.8m/gのB.E.T.表面積、および6ミクロン~10ミクロン、例えば8ミクロンの中央粒子サイズを有し得る。市販のウォラストナイトの非限定的な例としては、NYCO Minerals,Inc.から入手可能なNYAD400が挙げられる。
【0085】
炭酸カルシウム(CaCO)は、沈殿した炭酸カルシウムまたは重質炭酸カルシウムを含み得る。炭酸カルシウムは、ステアリン酸で表面処理されても、されなくてもよい。市販の沈殿炭酸カルシウムの非限定的な例としては、Specialty Mineralsから入手可能なUltra-Pflex(登録商標)、Albafil(登録商標)、およびAlbacar HO(登録商標)、ならびにSolvayから入手可能なWinnofil(登録商標)SPTが挙げられる。市販の重質炭酸カルシウムの非限定的な例としては、IMERYSから入手可能なDuramite(商標)およびSpecialty Mineralsから入手可能なMarblewhite(登録商標)が挙げられる。
【0086】
有用な粘土鉱物としては、タルク、パイロフィライト、クロライト、バーミキュライト、またはそれらの組み合わせなどの非イオン性板状充填材が挙げられる。
【0087】
ガラス微小球は、中空のボロシリケートガラスであり得る。市販のガラス微小球の非限定的な例としては、3Mから入手可能な3M Glass bubblesタイプVS、Kシリーズ、およびSシリーズが挙げられる。
【0088】
NTC/EI充填材材料は、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%、例えば少なくとも3重量%、例えば少なくとも4重量%の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。NTC/EI充填材材料は、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、40重量%以下、例えば35重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば8重量%以下の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。NTC/EI充填材材料は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、0.5%~40重量%、例えば1%~35重量%、例えば2%~20重量%、例えば3%~10重量%、例えば4%~8重量%の量で存在し得る。
【0089】
NTC/EI充填材材料は、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、少なくとも1体積%、例えば少なくとも10体積%、例えば少なくとも20体積%の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。NTC/EI充填材材料は、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、60体積%以下、例えば40体積%以下、例えば30体積%以下の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。NTC/EI充填材材料は、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、1体積%~60体積%、例えば5体積%~40体積%、例えば10体積%~30体積%の量で存在し得る。
【0090】
本発明によれば、粉末コーティング組成物は、必要に応じて、分散剤をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「分散剤」という用語は、粒子を湿潤させ、凝集体を分裂させることによって充填材粒子の分離を改善するために、組成物に添加され得る物質を指す。分散剤は、少しでも存在する場合、充填材の総体積に基づいて、少なくとも0.05体積%、例えば少なくとも0.2体積%の量で組成物中に存在し得、充填材の総体積に基づいて、20体積%以下、例えば10体積%以下、例えば3体積%以下、例えば1体積%以下の量で存在し得る。分散剤は、少しでも存在する場合、充填材の総体積に基づいて、0.05体積%~20体積%、例えば0.2体積%~10体積%、例えば0.2体積%~3体積%、例えば0.2体積%~1体積%の量で、組成物中に存在し得る。本明細書で使用される場合、充填材は、熱伝導性の電気絶縁性充填材材料、非熱伝導性の電気絶縁性充填材材料、非熱伝導性の電気伝導性充填材材料、および組成物中に含まれる任意の他の着色剤または顔料などの、粉末コーティング組成物中に含まれる非結合剤添加剤を指す。組成物中で使用するのに好適な分散剤としては、脂肪酸、リン酸エステル、ポリウレタン、ポリアミン、ポリアクリレート、ポリアルコキシレート、スルホネート、ポリエーテル、およびポリエステル、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。市販の分散剤の非限定的な例としては、BYK Companyから入手可能なANTI-TERRA-U100、DISPERBYK-102、DISPERBYK-103、DISPERBYK-111、DISPERBYK-171、DISPERBYK-2151、DISPERBYK-2059、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2117、およびDISPERBYK-2118、ならびにThe Lubrizol Corporationから入手可能なSOLSPERSE24000SC、SOLSPERSE16000、およびSOLSPERSE8000超分散剤が挙げられる。
【0091】
本発明によれば、粉末コーティング組成物は、必要に応じて、コアシェルポリマーをさらに含み得る。コアシェルポリマーの例としては、エラストマーポリマーで構成されたコアがガラス質ポリマーで構成されたシェル層で被覆されている粒子、ガラス質ポリマーで構成されたコアがエラストマーポリマーで構成されたシェル層で被覆されている粒子、および上記の2層構造が第3の最外層で被覆されている3層構造を有する粒子が挙げられる。必要であれば、シェル層または最外層は、カルボキシル基、エポキシ基、およびヒドロキシル基などの官能基をその中に導入して、熱硬化性樹脂との適合性および反応性を提供するように、改質することができる。コアの例としては、ポリブタジエン、アクリルポリマー、およびポリイソプレンが挙げられる。シェル層の例としては、アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、アルキル(メタ)アクリレート-スチレンコポリマー、およびアルキル(メタ)アクリレートコポリマーが挙げられる。例では、コアは、ポリブタジエンなどの室温以下のガラス転移温度を有するゴムポリマーで構成され得、シェル層は、60℃以上のガラス転移温度を有するアルキル(メタ)アクリレートポリマーまたはコポリマーで構成される。
【0092】
コアシェルポリマーの例としては、STAPHYLOID IM-101、STAPHYLOID IM-203、STAPHYLOID IM-301、STAPHYLOID IM-401、STAPHYLOID IM-601、STAPHYLOID AC3355、STAPHYLOID AC3816、STAPHYLOID AC3832、STAPHYLOID AC4030、STAPHYLOID AC3364(GANZ CHEMICAL CO.,LTD.製)、KUREHA BTA751、KUREHA BTA731、KUREHA PARALOID EXL2314、KUREHA PARALOID EXL2655(KUREHA CORPORATION製)、Albidur 2240、Albidur 5340、Albidur 5640(Hanse Chemie製)、PARALOID EXL2655、PARALOID EXL2605、PARALOID EXL2602、PARALOID EXL2311、PARALOID EXL2313、PARALOID EXL2314、PARALOID EXL2315、PARALOID BTA705、PARALOID BTA712、PARALOID BTA731、PARALOID BTA751、PARALOID KM357P、PARALOID KM336P、PARALOID HIA80およびPARALOID HIA28S(Rohm and Hass Company製)が挙げられる。
【0093】
コアシェルポリマーは、球状または実質的に球状の形状を有し得る。本明細書で使用される場合、「実質的に球状」という語句は、任意の楕円形断面における、長径/短径の比が1~10であることを意味する。コアシェルポリマーは、0.01~10μm、例えば0.1~5μmの平均粒子直径を有し得る。本発明では、平均粒子直径は、(長軸+短軸)/2で表される二軸平均粒子直径を示す。平均粒子直径は、レーザ回折粒子サイズ分布分析によって決定することができる。
【0094】
コアシェルポリマーは、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、例えば少なくとも2重量%、例えば少なくとも3重量%、例えば少なくとも4重量%の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。コアシェルポリマーは、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、35重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば8重量%以下の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。コアシェルポリマーは、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1%~35重量%、例えば1%~20重量%、例えば1%~10重量%、例えば1%~8重量%、例えば2%~35重量%、例えば2%~20重量%、例えば2%~10重量%、例えば2%~8重量%、例えば3%~35重量%、例えば3%~20重量%、例えば3%~10重量%、例えば3%~8重量%、例えば4%~35重量%、例えば4%~20重量%、例えば4%~10重量%、例えば4%~8重量%の量で存在し得る。
【0095】
コアシェルポリマーは、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、少なくとも1体積%、例えば少なくとも5体積%、例えば少なくとも10体積%、例えば少なくとも20体積%の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。コアシェルポリマーは、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、30体積%以下、例えば25体積%以下、例えば20体積%以下、例えば15体積%以下の量で、粉末コーティング組成物中に存在し得る。コアシェルポリマーは、粉末コーティング組成物の総体積に基づいて、1%~30体積%、例えば1%~25体積%、例えば5%~20体積%、例えば10%~15体積%の量で存在し得る。
【0096】
本発明の粉末コーティング組成物は、エポキシ樹脂、コア/シェルポリマー、および熱伝導性の電気絶縁性充填材材料を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる結合剤を含む、それから本質的になる、またはそれからなり得る。熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ヒ化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、高温か焼された酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、水酸化アルミニウム(すなわち、アルミニウム三水和物)、水酸化マグネシウム、ヒ化ホウ素、炭化ケイ素、メノウ、エメリー、セラミック微小球、ダイヤモンド、もしくはそれらの任意の組み合わせを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり得る。熱伝導性の電気絶縁性充填材材料は、水酸化アルミニウムおよび/または窒化ホウ素を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり得る。
【0097】
粉末コーティング組成物はまた、他の必要に応じた材料を含み得る。例えば、粉末コーティング組成物はまた、着色剤を含み得る。本明細書で使用される場合、「着色剤」は、組成物に色および/もしくは他の不透明性、ならびに/または他の視覚効果を付与する任意の物質を指す。着色剤は、個別の粒子、分散体、溶液、および/またはフレークなどの任意の好適な形態でコーティングに添加され得る。本発明のコーティング層には、単一の着色剤または2つもしくは2つより多い着色剤の混合物が使用され得る。
【0098】
着色剤の例としては、塗料業界で使用されるもの、および/またはDry Color Manufacturers Association(DCMA)に記載されるもの、ならびに特殊効果組成物などの顔料(有機または無機)、染料、およびチントが挙げられる。着色剤は、例えば、使用条件下で不溶性であるが、湿潤可能である、細かく分割された固体粉末を含み得る。着色剤は、有機または無機であることができ、凝集または非凝集であり得る。着色剤は、例えば、アクリル破砕媒剤などの粉砕媒剤の使用によって、コーティングに組み込むことができ、この使用は、当業者によく知られているであろう。
【0099】
顔料および/または顔料組成物の例としては、カルバゾールジオキサジン粗顔料、アゾ、モノアゾ、ジアゾ、ナフトールAS、ベンゾイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、および多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、アントラキノン、インダンスロン、アントラピリミジン、フラバンスロン、ピランスロン、アンタントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(「DPPBOレッド」)、ならびにそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
染料の例としては、フタログリーンもしくはブルー、酸化鉄、バナジン酸ビスマス、アントラキノン、およびペリレンおよびキナクリドンなどの溶媒ならびに/または水性系であるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
チントの例としては、Degussa,Inc.から市販されているAQUA-CHEM 896、Eastman Chemical,Inc.のAccurate Dispersions部門から市販されているCHARISMA COLORANTSおよびMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTSなどの水系または水混和性キャリア中に分散された顔料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
さらに、粉末コーティング組成物は、顔料などの着色剤を実質的に含まない、それを本質的に含まない、またはそれを完全に含まない場合がある。「着色剤を実質的に含まない」という用語は、コーティング組成物が、組成物の総固形分重量に基づいて、重量で1000百万分率(ppm)未満の着色剤を含有することを意味し、「着色剤を本質的に含まない」は、コーティング組成物が、組成物の総固形分重量に基づいて、100ppm未満の着色剤を含有することを意味し、「着色剤を完全に含まない」は、コーティング組成物が、組成物の総固形分重量に基づいて、重量で20十億分率(ppb)未満の着色剤を含有することを意味する。
【0103】
本発明の粉末コーティング組成物とともに使用することができる成分の他の非限定的な例としては、可塑剤、耐摩耗性粒子、酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、UV光吸収剤および安定剤、界面活性剤、流動および表面制御剤、チキソトロープ剤、触媒、反応抑制剤、腐食抑制剤、および他の慣習的な補助剤が挙げられる。粉末コーティング組成物はまた、前述の追加の成分のうちのいずれか1つを実質的に含まない、それを本質的に含まない、またはそれを完全に含まない場合がある。
【0104】
粉末コーティング組成物は、シリコーンを実質的に含まない、それを本質的に含まない、またはそれを完全に含まない場合がある。本明細書で使用される場合、粉末コーティング組成物は、シリコーンを実質的に含まず、シリコーンが存在する場合、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、5重量%未満の量である。本明細書で使用される場合、粉末コーティング組成物は、シリコーンを本質的に含まず、シリコーンが存在する場合、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1重量%未満の量である。
【0105】
粉末コーティング組成物は、ベントナイトを実質的に含まない、それを本質的に含まない、またはそれを完全に含まない場合がある。本明細書で使用される場合、粉末コーティング組成物は、ベントナイトを実質的に含まず、ベントナイトが存在する場合、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、0.5重量%未満の量である。本明細書で使用される場合、粉末コーティング組成物は、ベントナイトを本質的に含まず、ベントナイトが存在する場合、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、0.1重量%未満の量である。
【0106】
粉末コーティング組成物は、二酸化チタンを実質的に含まない、それを本質的に含まない、またはそれを完全に含まない場合がある。本明細書で使用される場合、粉末コーティング組成物は、二酸化チタンを実質的に含まず、二酸化チタンが存在する場合、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1重量%未満の量である。本明細書で使用される場合、粉末コーティング組成物は、二酸化チタンを本質的に含まず、二酸化チタンが存在する場合、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、0.1重量%未満の量である。
【0107】
粉末コーティング組成物は、40~110℃の融点を有するポリオールを実質的に含まない、それを本質的に含まない、またはそれを完全に含まない場合がある。例としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、直鎖ポリオール、およびポリシロキサンポリオールが挙げられ、これらのすべてが、40~110℃の融点を有する。本明細書で使用される場合、粉末コーティング組成物は、40~110℃の融点を有するポリオールを実質的に含まず、40~110℃の融点を有するポリオールが存在する場合、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、5重量%未満の量である。本明細書で使用される場合、粉末コーティング組成物は、40~110℃の融点を有するポリオールを本質的に含まず、40~110℃の融点を有するポリオールが存在する場合、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1重量%未満の量である。
【0108】
粉末コーティング組成物は、改善された縁被覆率を有する組成物を含み得る。例えば、いくつかの状況では、表面張力効果によって、流動/硬化中、コーティングが基材の鋭い縁(複数可)から引き離される場合がある。「鋭い縁(複数可)」は、刻印、剪断、機械切断、レーザ切断されたような縁部を指し得る。したがって、改善された縁被覆率を有する粉末コーティング組成物は、硬化中のコーティングの流動を低減し、縁部にわたって十分なコーティング被覆率を維持する組成物である。粉末コーティング組成物は、基材を覆って塗布されたコーティングの縁被覆率性能を改善する膜形成樹脂および/または添加剤を含む組成物を含み得る。これらの材料は、流動する傾向が低く、表面張力に効果的に抵抗し、所定の位置に留まることができる。
【0109】
粉末コーティング組成物は、前述の結合剤、熱伝導性の電気絶縁性充填材材料、および必要に応じた追加成分を混合することによって調製することができる。成分は、均質な混合物が形成されるように混合される。成分は、例えば、Prism高速ミキサーなどを用いた当技術分野で認識されている技法および装置を使用して混合することができる。固体コーティング組成物が形成されると、次に均質な混合物が溶融され、さらに混合される。混合物は、当技術分野で公知である二軸押出機、単軸押出機、または同様の装置で溶融することができる。溶融プロセス中、温度は、混合物を硬化させることなく均質な固体混合物を溶融混合するように選ばれるであろう。均質な混合物は、75℃~140℃、75℃~125℃、例えば85℃~115℃、または100℃の温度に設定された区間を有する二軸押出機内で溶融混合することができる。
【0110】
溶融混合後、混合物は、冷却および再固化することができる。次いで、再固化された混合物は、粉砕プロセスなどで破砕されて、固体微粒子硬化性粉末コーティング組成物を形成し得る。再固化混合物は、任意の望ましい粒子サイズに破砕することができる。例えば、静電コーティング用途では、再固化した混合物は、Beckman-Coulter LS(商標)13 320のマニュアルに記載された指示に従ってBeckman-Coulter LS(商標)13 320レーザ回折粒子サイズ分析器で決定される場合、少なくとも10ミクロンまたは少なくとも20ミクロン、および最大130ミクロンの平均粒子サイズに破砕することができる。さらに、平均粒子サイズを決定するために使用される試料中の粒子の総量の粒子サイズ範囲は、1ミクロン~200ミクロン、または5ミクロン~180ミクロン、または10ミクロン~150ミクロンの範囲を含み得、これはまた、Beckman-Coulter LS(商標)13 320のマニュアルに記載された指示に従ってBeckman-Coulter LS(商標)13 320レーザ回折粒子サイズ分析器で決定される。
【0111】
本発明はまた、基材の少なくとも一部分を覆って本発明の粉末コーティング組成物を塗布するステップを含む、基材をコーティングする方法に関する。この方法は、塗布されたコーティングを少なくとも部分的に硬化させるステップをさらに含み得る。
【0112】
本発明の粉末コーティング組成物は、スプレー塗布、静電スプレー塗布、流動床プロセスなどの、当技術分野における任意の標準的な手段によって塗布することができる。粉末コーティング組成物が基材に塗布された後、組成物は、熱、または化学線などの他の手段などで硬化または少なくとも部分的に硬化されて、少なくとも部分的に硬化したコーティングを形成することができる。
【0113】
いくつかの例では、本発明の粉末コーティング組成物は、250°F~500°Fの範囲内で2~40分間、または250°F~400°Fの範囲内で10~30分間、または300°F~400°Fの範囲内で10~30分間のそのような対流加熱の熱で硬化される。本発明の粉末コーティング組成物はまた、ピーク金属温度が約10秒で400°F~500°Fに到達し得る赤外線放射で硬化され得る。赤外線放射を用いた高温熱上昇により、硬化時間を早めることができる。いくつかの例では、本発明の粉末コーティング組成物を赤外線放射で硬化して、組成物を300°F~550°Fの範囲内で1~20分間、または350°F~525°Fの範囲内で2~10分間、または370°F~515°Fの範囲内で5~8分間加熱する。
【0114】
本発明の粉末コーティング組成物は、対流加熱および赤外線放射の両方などの複数のタイプの熱源で硬化することができると理解される。例えば、本発明の粉末コーティング組成物は、対流加熱または赤外線放射で部分的に硬化され、次いで、対流加熱および赤外線放射から選ばれる異なる熱源で完全に硬化され得る。
【0115】
本発明の粉末コーティング組成物はまた、基材を覆って、複数回の塗布で塗布することができる。例えば、本発明による第1の粉末コーティング組成物は、基材の少なくとも一部分を覆って塗布することができる。本発明による第2の粉末コーティング組成物は、第1のコーティング組成物の少なくとも一部分を覆って塗布することができる。第1の粉末コーティング組成物は、必要に応じて、第2の粉末コーティング組成物を塗布する前に硬化されるか、または少なくとも部分的に硬化され得る。代替的に、第2の粉末コーティング組成物は、第1のコーティング組成物の少なくとも一部分を覆って塗布することができる。次いで、第1および第2のコーティング組成物は、同時に一緒に硬化され得る。粉末コーティング組成物は、前述の方法のいずれかで硬化され得る。
【0116】
本発明による単一の粉末コーティング組成物から形成されたコーティングは、任意の望ましい乾燥膜厚で塗布することができる。例えば、乾燥膜厚は、少なくとも2ミル(50.8ミクロン)、例えば少なくとも3ミル(76.2ミクロン)、例えば少なくとも4ミル(101.6ミクロン)、例えば少なくとも5ミル(127ミクロン)、例えば少なくとも6ミル(152.4ミクロン)、例えば少なくとも8ミル(203.2ミクロン)、例えば少なくとも10ミル(254ミクロン)、例えば少なくとも12ミル(304.8ミクロン)、例えば少なくとも20ミル(508ミクロン)、例えば少なくとも40ミル(1,016ミクロン)であり得る。例えば、乾燥膜厚は、40ミル(1,016ミクロン)未満、例えば20ミル(508ミクロン)未満、例えば12ミル(304.8ミクロン)未満、10ミル(254ミクロン)未満、8ミル(203.2ミクロン)未満、または6ミル(152.4ミクロン)未満、またはより小さい5ミル(127ミクロン)、または4ミル(101.6ミクロン)未満、または3ミル(76.2ミクロン)未満、または2ミル(50.8ミクロン)未満であり得る。複数の粉末コーティング組成物が塗布されるとき、各組成物を塗布して、前述の乾燥膜厚のいずれかを別に提供することができると理解される。例えば、本発明の2つの別の粉末コーティング組成物が塗布されるとき、各個々の粉末コーティング組成物は、前述の乾燥膜厚のいずれかで塗布することができる。
【0117】
本発明はまた、本明細書に記載の粉末コーティング組成物のいずれかから塗布されたコーティング層を含む基材に関する。
【0118】
コーティングは、誘電体コーティング(すなわち、電気絶縁コーティング)であり得る。例えば、コーティングは、Sefelec誘電率計RMG12AC-DCによって測定され、ASTM D149-09Hipot試験に従う場合、本明細書に記載の乾燥膜厚のいずれかで、少なくとも1kV、例えば少なくとも2kV、例えば少なくとも2.5kV、例えば少なくとも5kV、例えば少なくとも7kV、例えば少なくとも8kV、例えば少なくとも10kV、例えば少なくとも12kVもしくは12kVを超える絶縁耐力を有し得る。例えば、コーティングは、Sefelec誘電率計RMG12AC-DCによって測定され、ASTM D149-09Hipot試験に従う場合、38.1ミクロンもしくは38.1ミクロン未満の乾燥膜厚で、少なくとも2kV、例えば少なくとも2.5kV、例えば少なくとも5kV、例えば少なくとも7kV、例えば少なくとも8kV、例えば少なくとも10kV、例えば少なくとも12kVもしくは12kVを超える絶縁耐力を有し得る。
【0119】
コーティングは、熱伝導性であり得る。例えば、コーティングは、ASTM D7984に従って測定された場合、少なくとも0.3W/mK、例えば少なくとも0.5W/mK、例えば少なくとも0.7W/mK、例えば少なくとも0.9W/mK、例えば少なくとも1.5W/mKもしくは1.5W/mKを超える熱伝導率を有し得る。
【0120】
粉末コーティング組成物でコーティングされた基材は、多種多様な基材およびそれらの組み合わせから選択され得る。基材の非限定的な例としては、自動車基材を含む車両、工業基材、船、大型船、ならびに陸上および海上設備などの海洋基材および構成要素、貯蔵タンク、包装基材、建築基材、航空機および航空宇宙構成要素、電池および電池部品、母線、金属ワイヤ、銅またはアルミニウム導体、ニッケル導体、木製フローリングおよび家具、締結具、コイル状金属、熱交換器、通気口、押出成形体、屋根材、車輪、格子、ベルト、コンベヤ、穀物または種子サイロ、金網、ボルトまたはナット、スクリーンまたはグリッド、HVAC装置、フレーム、タンク、コード、ワイヤ、装飾、ハウジングおよび回路基板を含む電子機器ならびに電子部品、ガラス、ゴルフボールを含むスポーツ用品、スタジアム、建物、橋、食品および飲料容器などの容器などが挙げられる。
【0121】
前述の基材のいずれかを含む基材は、金属性または非金属性であり得る。金属基材としては、スズ、鋼、冷間圧延鋼、熱間圧延鋼、亜鉛金属でコーティングされた鋼、亜鉛化合物、亜鉛合金、電気亜鉛めっきされた鋼、溶融亜鉛めっきされた鋼、亜鉛めっきされた鋼、ガルバリウム、亜鉛合金でめっきされた鋼、ステンレス鋼、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金コーティングされた鋼、亜鉛-アルミニウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウムめっきされた鋼、アルミニウム合金めっきされた鋼、亜鉛-アルミニウム合金でコーティングされた鋼、マグネシウム、マグネシウム合金、ニッケル、ニッケルめっき、青銅、ブリキ、クラッド、チタン、真ちゅう、銅、銀、金、3-D印刷された金属、鋳造もしくは鍛造された金属および合金、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
非金属基材としては、ポリマー、プラスチック、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、セルロース、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、EVOH、ポリ乳酸、他の「環境に優しい」ポリマー基材、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリカーボネート、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)などのエンジニアリングポリマー、ポリカーボネートアクリロブタジエンスチレン(PC/ABS)、ポリアミド、木材、ベニヤ板、木製複合材料、パーティクルボード、中密度ファイバーボード、セメント、石、ガラス、紙、段ボール、布、合成および天然の両方の皮革、ガラス繊維複合材料または炭素繊維複合材料などの複合基材、3-D印刷されたポリマーおよび複合材料などが挙げられる。
【0123】
本明細書で使用される場合、「車両」またはその変形形態としては、民間、商用、および軍用航空機、ならびに/または飛行機、ヘリコプター、車、バイク、および/もしくはトラックなどの陸上車両が挙げられるが、これらに限定されない。基材の形状は、シート、プレート、棒、ロッド、または望ましい任意の形状の形態であり得る。
【0124】
基材は、粉末コーティング組成物の塗布前に、様々な処理を受けることができる。例えば、基材は、粉末コーティング組成物の塗布前に、アルカリ洗浄、脱酸素、機械的洗浄、超音波洗浄、溶媒拭き取り、粗加工、プラズマ洗浄またはエッチング、化学気相成長への曝露、接着促進剤での処理、めっき、陽極酸化、アニーリング、クラッディング、またはそれらの任意の組み合わせで処理することができる。基材は、粉末コーティング組成物を塗布する前に基材を洗浄剤浴および/または脱酸化剤浴中に浸漬するなどによって、粉末コーティング組成物を塗布する前に前述の方法のいずれかを使用して処理することができる。基材はまた、粉末コーティング組成物を塗布する前にめっきすることができる。本明細書で使用される場合、「めっき」は、基材の表面を覆って金属を堆積させることを指す。基材はまた、3D印刷することができる。
【0125】
上で考察したように、基材は、電池または電池部品を含み得る。電池は、例えば、電気車両用電池であり得、電池部品は、電気車両用電池部品であり得る。電池部品には、電池セル、電池シェル、電池モジュール、電池パック、電池ボックス、電池セルケーシング、パックシェル、電池蓋およびトレイ、熱管理システム、インバータ、電池ハウジング、モジュールハウジング、モジュールラッキング、電池サイドプレート、電池セル筐体、冷却モジュール、冷却管、冷却フィン、冷却プレート、母線、電池フレーム、配線、金属ワイヤ、または銅もしくはアルミニウムの導体もしくはケーブル、あるいは定置型エネルギー貯蔵システムの任意の部分を含み得るが、これらに限定されない。粉末コーティング組成物をこれらの基材のいずれかを覆って塗布して、本明細書に記載されるように、電気絶縁コーティング(すなわち、誘電体コーティング)、熱伝導性コーティング、または電気絶縁性かつ熱伝導性のコーティングを形成することができる。
【0126】
コーティングされた基材は、結合剤および熱伝導性の電気絶縁充填材材料を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる熱伝導性の電気絶縁コーティングを含む電池部品を含み得る。熱伝導性の電気絶縁充填材材料は、本明細書で教示される量の水酸化アルミニウムを含む、それから本質的になる、またはそれからなり得る。例えば、コーティングされた基材は、熱伝導性の電気絶縁コーティングの総重量に基づいて、少なくとも20重量%、例えば少なくとも40重量%、例えば少なくとも45重量%、例えば少なくとも50重量%の量で存在する結合剤および水酸化アルミニウムを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる熱伝導性の電気絶縁コーティングを含む電池部品を含み得る。
【0127】
コーティングされた基材は、結合剤、および高温か焼された酸化マグネシウムを含む、それから本質的になる、またはそれからなる熱伝導性の電気絶縁充填材材料を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる熱伝導性の電気絶縁コーティングを含む電池部品を含み得る。
【0128】
コーティングされた基材は、結合剤、熱可塑性材料、および熱伝導性の電気絶縁充填材材料を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる熱伝導性の電気絶縁コーティングを含む電池部品を含み得る。
【0129】
コーティングされた基材は、結合剤、および少なくとも2つの熱伝導性の電気絶縁充填材材料を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる熱伝導性の電気絶縁コーティングを含む電池部品を含み得る。少なくとも2つの熱伝導性の電気絶縁充填材材料は、水酸化アルミニウム、高温か焼された酸化マグネシウム、および窒化ホウ素のうちの少なくとも2つを含む、それらから本質的になる、それらからなり得る。結合剤は、エポキシ樹脂および/もしくはポリエステル樹脂を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり得る。
【0130】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、広義には、オリゴマー、ならびにホモポリマーおよびコポリマーの両方を指す。「樹脂」という用語は、「ポリマー」と交換可能に使用される。
【0131】
「アクリル」および「アクリレート」という用語は、互換的に使用され(そうすることで意図された意味を変えることがない限り)、別途明確に示されない限り、それらのC-Cアルキルエステル、低級アルキル置換アクリル酸、例えば、メタクリル酸、2-エチルアクリル酸などのC-C置換アクリル酸、およびそれらのC-Cアルキルエステルなどのアクリル酸、無水物、ならびにそれらの誘導体を含む。「(メタ)アクリル」または「(メタ)アクリレート」という用語は、指示された材料、例えば、(メタ)アクリレートモノマーのアクリル/アクリレートおよびメタクリル/メタクリレート形態の両方をカバーすることが意図されている。「(メタ)アクリルポリマー」という用語は、1つまたは1つより多い(メタ)アクリルモノマーから調製されたポリマーを指す。
【0132】
本明細書で使用される場合、分子量は、ポリスチレン標準物質を使用するゲル透過クロマトグラフィーによって決定される。別途指示されない限り、分子量は、重量平均基準である。
【0133】
「ガラス転移温度」または「Tg」という用語は、ガラス転移、すなわち、硬質かつ比較的脆性のガラス質状態から粘性またはゴム状状態への可逆的転移が生じる温度である。ガラス転移温度は、測定された値または理論的な値であり得る。例えば、(メタ)アクリルポリマーの理論的ガラス転移温度は、T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.(Ser.II)1,123(1956)およびJ.Brandrup,E.H.Immergut,Polymer Handbook 3rd edition,John Wiley,New York,1989に従って、モノマー仕込み量のモノマー組成を基準にした、Foxの方法によって計算することができる。
【0134】
本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、実質的に含まないという用語は、組成物が、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、5重量%未満の量で存在することを意味する。
【0135】
本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、本質的に含まないという用語は、組成物が、少しでもある場合、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1重量%未満の量で存在することを意味する。
【0136】
本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、完全に含まないという用語は、組成物が、粉末コーティング組成物中に存在しない、すなわち、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、0.00重量%の量であることを意味する。
【0137】
詳細な説明の目的のために、本発明が、相反することが明示的に指定されている場合を除き、様々な代替的な変形およびステップシーケンスを想定し得ることが理解されるべきである。さらに、任意の動作例以外、または別途示される場合、値、量、パーセンテージ、範囲、部分範囲、および率を表すものなどのすべての数は、用語が明示的に現れなくても、「約」という言葉が前にあるかのように読むことができる。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数に照らし合わせて、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。クローズまたはオープンエンドの数値範囲が本明細書に記載される場合、数値範囲内または数値範囲に包含されるすべての数、値、量、パーセンテージ、部分範囲、および率は、これらの数、値、量、パーセンテージ、部分範囲、および率がそれらの全体が明示的に書き出されたかのように、本出願の元の開示に具体的に含まれ、かつそれに属するものとみなされるべきである。
【0138】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは、近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例において記載される数値は、できる限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に得られる特定の誤差を本質的に含有する。
【0139】
本明細書で使用される場合、別途示されない限り、複数の用語は、別途示されない限り、その単数の対応物を包含することができ、その逆もまた同様である。例えば、本明細書では、「ある(a)」熱可塑性材料、「ある(a)」熱伝導性の電気絶縁性充填材材料、「ある(a)」非熱伝導性の電気絶縁性充填材材料、「ある(an)」電気伝導性充填材材料、および「ある(a)」分散剤が言及されているが、これらの成分の組み合わせ(すなわち、複数種)を使用することができる。加えて、本明細書では、「および/または」がある特定の例で明示的に使用され得るが、別途明記されない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。
【0140】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する」、および同様の用語は、本出願の文脈において「含む(comprising)」と同義であることが理解され、したがって、オープンエンドであり、追加の非記載または非列挙の要素、材料、構成成分、または方法ステップの存在を除外しない。本明細書で使用される場合、「からなる」は、任意の特定されない要素、構成成分、または方法ステップの存在を除外することが、本出願の文脈において理解される。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、特定された要素、材料、構成成分、または方法ステップ、記載されているものの「基本的かつ新規の特徴(複数可)に顕著に影響を及ぼさないもの」を含むことが、本出願の文脈において理解される。
【0141】
本明細書で使用される場合、「上(on)」、「上に(onto)」、「上に塗布される(applied on)」、「上に塗布される(applied onto)」、「上に形成される(formed on)」、「上に堆積される(deposited on)」、「上に堆積される(deposited onto)」という用語は、表面上に形成される、重ねられる、堆積される、または提供されるが必ずしも表面と接触しないことを意味する。例えば、基材「上に堆積される」粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物と基材との間に位置する同じまたは異なる組成物の1つまたは1つより多い他の介在コーティング層の存在を排除しない。
【0142】
本発明の特定の実施形態は詳細に説明されているが、本開示の全体的な教示に照らして、それらの詳細に対する様々な修正および代替案が開発され得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、開示される特定の構成は、添付の特許請求の範囲の全容ならびにその任意のおよびすべての等価物を与える本発明の範囲についての例示のみであり、限定ではないことを意味する。
【0143】
本発明を例示することは、以下の実施例であるが、しかしながら、本発明をそれらの詳細に限定するとみなすべきではない。別途示されない限り、以下の実施例における、ならびに本明細書の全体を通して、すべての部およびパーセンテージは、重量によるものである。
【実施例
【0144】
実施例の組成物1~9の粉末コーティング組成物を、下記の手順に従って、以下の表1に記載した成分から調製した。
【表1-1】
【表1-2】
【0145】
各組成物について、表1に記載した成分の各々を容器内で秤量し、プリズム高速ミキサー内で15秒間、3500RPMで混合して、乾燥した均質な混合物を形成した。次いで、500RPMの速度の強いスクリュー構成を有するWerner Pfleiderer 19mm二軸押出機で、混合物を融解混合した。第1の区間を50℃に設定し、第2、第3、および第4の区間を110℃に設定した。実施例1について装置上で50%のトルクが得られるような供給速度であり、他の実施例でも同じ供給速度を維持した。押し出された材料を一組みの冷却ロール上に滴下して、混合物を固体チップに冷却および再固化させた。酸化アルミニウムとして表1に記載されたポスト添加剤の添加を、冷却したチップに組み込んだ。チップをMikro ACM(登録商標)-1気流式分級ミルで微粉末に粉砕して、粒子の大部分が30~52ミクロンである、5~150ミクロンの粒子サイズを得た。実施例1~11の各々について得られたコーティング組成物は、流動性の良い固体微粒子粉末コーティング組成物であった。
【0146】
誘電試験用の粉末コーティングの塗布:誘電試験のために、粉末コーティング組成物を、75kVの3mmフラットスプレーノズルを備えたEncore Nordson粉末コーティングカップガン、15~20mAで制限されたアンペア数、10psiの噴霧、および10psiの搬送流動空気で塗布した。初期層をACTからのB1000 P99X冷間圧延鋼パネル上に約100ミクロンで塗布し、350°Fで5分間焼成した。高温のパネルをオーブンから引き出し、最終コーティング厚が230~247ミクロンであるように、直ちにさらなる粉末コーティングをスプレー塗布した。パネル上で得られた最終膜構築物を350°Fで30分間焼成して、比較誘電試験のためのコーティング層を形成した。
【0147】
誘電破壊試験:実施例1~11の組成物から調製したコーティングの各々を、Sefelec絶縁耐力試験器RMG12AC-DCによって測定し、ASTM D149-09誘電破壊電圧および絶縁耐力試験に従って、絶縁耐力について評価した。試験のパラメータは以下のとおりであった:電圧限界12.0kV DC、I最大限界:0.5mA、20秒上昇、20秒滞留、および2秒降下。コーティング膜は、断裂することなく電圧限界(12kV)まで耐えた場合、合格とみなされる。膜が断裂した場合、断裂が生じた電圧を報告した。結果を、以下の表2に報告する。
【0148】
熱伝導率試験用の粉末コーティングの塗布:熱伝導率試験用の遊離膜を、幅76mm、高さ100mm、および厚さ15.3mmであるTeflon(登録商標)プレートを粉末コーティング組成物でコーティングすることによって調製した。Teflon(登録商標)プレートを350°Fで30分間予熱した後、粉末コーティングを、75kVの3mmフラットスプレーノズルを備えたEncore Nordson粉末コーティングカップガン、15~20mAで制限されたアンペア数、10psiの噴霧、および10psiの搬送流動空気で塗布した。目標の膜厚は、255ミクロン、510ミクロン、および765ミクロン+/-75ミクロンであった。塗布後、膜を350°Fで30分間硬化し、次いで冷却させた。膜の縁部を機能させるために、カミソリ刃を使用して膜をTeflon(登録商標)プレートから除去し、パネルからわずかに持ち上げ、次いで、コーティング膜の下にスパチュラ刃を挿入して、遊離膜を得た。熱伝導率試験用の試験ディスクを、各実施例について3つずつの膜厚の試験ディスクを型抜きするために、予熱した1~5/16インチのArch Punchを使用して調製した。木材の軟質ブロックを覆って膜を敷き、膜のディスク形状への簡易切断を容易にした。C-Therm Technologies Ltd.からのTCi熱伝導率分析器を用いた改良非定常平面熱源(MTPS)法(ASTM D7984に準拠)を使用して、熱伝導率測定を行った。熱伝導率試験の結果を以下の表2に報告する。
【表2】
【0149】
比較実施例1で実証されるように、ベースライン比較粉末組成物は、優れた誘電特性を有する比較的弱い熱伝導率を有する。実施例2は、水酸化アルミニウム充填材の30体積%の投入により、合格絶縁耐力を維持しながら、コーティングの熱伝導率が改善されることを実証している。実施例3は、30体積%の水酸化アルミニウムを有する組成物への熱可塑性材料の添加によっても、誘電性能を維持しながら、実施例2と比較してコーティングの熱伝導率がさらに改善されることを実証している。実施例4および5は、30体積%の水酸化アルミニウムのうちの10%を、高温か焼されたグレードの酸化マグネシウムまたは窒化アルミニウムで置き換えることにより、誘電性能を維持しながら、水酸化アルミニウム単独よりも相乗的に熱伝導率が改善されることを実証している。実施例6および7は各々、6体積%での窒化ホウ素の投入を含むが、異なる粒子サイズの窒化ホウ素を含む。大きい粒子サイズの窒化ホウ素を有する実施例7は、より小さい粒子サイズを有する実施例6よりも熱伝導率において良好である。より大きい粒子サイズの窒化ホウ素により、6体積%でのより小さい粒子サイズの窒化ホウ素の投入よりも改善された熱伝導率が得られることを再び示している。同様に、実施例8および9は、同じ量の水酸化アルミニウムを有するが、各組成物で使用される異なる粒子サイズを有する組成物を比較する。実施例8および9は、実施例9における、より大きい粒子サイズに対するより小さい粒子サイズの水酸化アルミニウムの実施例が、実施例8におけるより小さい粒子サイズよりも良好な熱伝導率性能を示すことを実証している。実施例10および11は、分散剤を20体積%の水酸化アルミニウム組成物に添加することにより、誘電性能に悪影響を及ぼすことなく、熱伝導率を改善することができることを実証している。実施例2~11の各々は、実施例1と比較して、誘電性能に悪影響を及ぼすことなく、改善された熱伝導率を実証している。
【0150】
実施例12~14
実施例の組成物12~14の粉末コーティング組成物を、下記の手順に従って、以下の表3に記載した成分から調製した:
【表3】
【0151】
AEROX.ALU C/SPECTRを除いて、実施例12~14について表3に記載した成分の各々を容器中で秤量し、Henschel高速ミキサー内で30~90秒間、1500RPMで混合して、乾燥した均質な混合物を形成した。次いで、425RPMの速度を有するWerner&Pfleiderer 30mm二軸押出機内で、混合物を溶融混合した。押出機区間を110℃に設定した。25%のトルクが装置上で観察されるような供給速度であった。混合物を一組みの冷却ロールに滴下して、混合物を固体チップに冷却および再固化させた。AEROX.ALU C/SPECTRの添加を冷却されたチップに組み込んだ。チップをBantam Mill内で粉砕して、粒子の体積で大部分が15~80ミクロンである、主に5~100ミクロンの粒子サイズを得た。実施例12~14の各々について得られたコーティング組成物は、流動性の良い固体微粒子粉末コーティング組成物であった。
【0152】
実施例12~14の固体微粒子粉末コーティング組成物の各々を、アルミニウム基材上で、15~20psiの流動空気を有する振動供給ディスペンサーを備えた45kV~90kVの電圧のNordson手動スプレーガンで静電的にスプレー塗布した。塗布中、2.5ミルの層を塗布し、次いで、375°Fで5分間、従来式のオーブンで焼成を行った。2.5ミルの第2の層を塗布し、次いで、375°Fで20分間、従来式のオーブンで焼成を行い、5.0ミルの最終膜厚を提供した。
【0153】
組成物から調製したコーティングの各々を、Sefelec絶縁耐力試験器RMG12AC-DCによって測定し、ASTM D149-09誘電破壊電圧および絶縁耐力試験に従って、絶縁耐力について評価した。試験のパラメータは以下のとおりであった:電圧限界12.0kV DC、I最大限界:0.5mA、20秒上昇、20秒滞留、および2秒降下。絶縁耐力試験の結果は、表4に含まれる。
【表4】
【0154】
熱伝導率試験用の膜を、幅4インチおよび高さ12インチであるプレートに粉末コーティング組成物をスプレーコーティングすることによって調製し、次いで、375°Fで20分間、従来式のオーブンで焼成を行い、4~12ミルの3つの異なる厚さのコーティングを提供した。コーティングをプレートから持ち上げて、膜を得た。ディスクを調製したが、各膜厚の試験ディスクを型抜きするために1-5/16インチのArch Punchを使用した。Thermal Interface Material Tester 1300/1400によって測定し、ASTM D7984に従って、異なる厚さの3つのディスクを熱伝導性について評価し、それが以下の表5にある。
【表5】
【0155】
表5の結果によって実証されるように、熱伝導性の電気絶縁性充填材材料の添加は、比較実施例13および実験実施例14の両方の熱伝導率を増加させたが、コアシェルポリマーを含む実験実施例14は、同じ充填材投入レベルで、比較実施例13と比較して熱伝導率の増加を実証した。
【0156】
実施例
実施例の組成物15~16の粉末コーティング組成物を、下記の手順に従って、以下の表6に記載した成分から調製した。
【表6】
【0157】
実施例15~16について表6に記載した成分の各々を容器中で秤量し、Henschel高速ミキサー内で30~90秒間、1500RPMで混合して、乾燥した均質な混合物を形成した。次いで、425RPMの速度を有するWerner&Pfleiderer 30mm二軸押出機内で、混合物を溶融混合した。押出機区間を110℃に設定した。25%のトルクが装置上で観察されるような供給速度であった。混合物を一組みの冷却ロールに滴下して、混合物を固体チップに冷却および再固化させた。酸化アルミニウムとして表1に記載したポスト添加剤の添加を、冷却したチップに組み込んだ。チップをBantam Mill内で粉砕して、粒子の体積で大部分が15~80ミクロンである、主に5~100ミクロンの粒子サイズを得た。実施例15~16の各々について得られたコーティング組成物は、流動性の良い固体微粒子粉末コーティング組成物であった。
【0158】
実施例15~16の固体微粒子粉末コーティング組成物の各々を、アルミニウム基材上に、15~20psiの流動空気を有する振動供給ディスペンサーを備えた45kV~90kVの電圧のNordson手動スプレーガンで静電的にスプレー塗布した。塗布中、2.5ミルの層を塗布し、次いで、375°Fで5分間、従来式のオーブンで焼成を行った。2.5ミルの第2の層を塗布し、次いで、375°Fで20分間、従来式のオーブンで焼成を行い、5.0ミルの最終膜厚を提供した。
【0159】
組成物から調製したコーティングの各々を、Sefelec絶縁耐力試験器RMG12AC-DCによって測定し、ASTM D149-09誘電破壊電圧および絶縁耐力試験に従って、絶縁耐力について評価した。試験のパラメータは以下のとおりであった:電圧限界12.0kV DC、I最大限界:0.5mA、20秒上昇、20秒滞留、および2秒降下。絶縁耐力試験の結果は、表7に含まれる。
【表7】
【0160】
熱伝導率試験用の膜を、幅4インチおよび高さ12インチであるプレートに粉末コーティング組成物をスプレーコーティングすることによって調製し、次いで、375°Fで20分間、従来式のオーブンで焼成を行い、4~12ミルの3つの異なる厚さのコーティングを提供した。コーティングをプレートから持ち上げて、膜を得た。ディスクを調製したが、各膜厚の試験ディスクを型抜きするために1-5/16インチのArch Punchを使用した。Thermal Interface Material Tester 1300/1400によって測定し、ASTM D7984に従って、異なる厚さの3つのディスクを熱伝導性について評価し、それが以下の表8にある。
【表8】
【0161】
熱および湿度ならびに誘電破壊試験のためのコーティングを、幅4インチおよび高さ12インチであるパネルを粉末コーティング組成物でスプレーコーティングすることによって調製した。最初に、2.5ミルの層をパネルの前面および背面に塗布し、次いで、375°Fで5分間、従来式のオーブンで焼成を行った。2.5ミルの第2の層をパネルの前面および背面に塗布し、次いで、375°Fで20分間、従来式のオーブンで焼成を行い、5.0ミルの最終膜厚を提供した。コーティングしたパネルを、熱および湿度、85℃および85%RHに1500時間曝露した。熱および湿度の曝露が完了した後、組成物から調製したコーティングの各々を絶縁耐力について評価した。熱および湿度後の絶縁耐力と、熱および湿度前の絶縁耐力との間のパーセンテージ基準での差は、以下の表9にある:
【表9】
【0162】
表9において実証されるように、フェノキシ樹脂を含めることにより、フェノキシ樹脂を含まない比較粉末コーティングと比較して、熱および湿度試験の後の粉末コーティングの誘電破壊性能の変化がかなり小さくなった。これは予想外の結果であった。
【0163】
本明細書に記載および例示される広範な本発明の概念から逸脱することなく、上述の開示に照らして、多数の修正および変形が可能であることが当業者によって理解されるであろう。したがって、前述の開示は、本出願の様々な例示的な態様の単なる例示であり、本出願および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にある多数の修正および変形が当業者によって容易に行われ得ることが理解されるべきである。
【国際調査報告】