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▶ セーホーエル.ハンセン アクティーゼルスカブの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-18
(54)【発明の名称】絶対嫌気性菌の噴霧凍結乾燥
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
C12N1/20 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551349
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2021054695
(87)【国際公開番号】W WO2021170724
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】20159471.0
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503260310
【氏名又は名称】セーホーエル.ハンセン アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】ミチェレ ミリング マスン
(72)【発明者】
【氏名】キム ニルスン
(72)【発明者】
【氏名】ジミ ケーアスゴー ペダソン
(72)【発明者】
【氏名】ベンディ オスィーア
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA23X
4B065AC01
4B065BD09
4B065BD10
(57)【要約】
本発明は、本質的に嫌気性の条件下等の酸素圧が非常に低い条件下で噴霧凍結又は噴霧凍結乾燥を行うためのプロセス、特に、絶対嫌気性微生物(細菌)を、酸素量が非常に少ないか又は本質的に嫌気性の条件下で噴霧凍結させるためのプロセスを提供する。更に本発明は、このプロセスにより得ることができる製品及びこのプロセスに使用可能な装置を提供する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁物中の絶対嫌気性菌を保存するためのプロセスであって、次に示す工程:
a)前記懸濁物を噴霧又は霧化することにより、前記絶対嫌気性菌を含む液体懸濁物の小滴を形成する工程と、
b)極低温材料を含む室内に前記小滴を吐出することにより、極低温材料中に凍結粒子を生成する工程と、
c)b)で得られた前記凍結粒子を前記極低温材料から分離することにより、精製された凍結粒子を得る工程と、
を含み、前記工程a)~c)は、2%未満の酸素の存在下に実施される、プロセス。
【請求項2】
前記精製された凍結粒子を、減圧下等で、乾燥工程d)、例えば凍結乾燥に付すことにより、乾燥粒子を生成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
工程b)における前記極低温材料の温度は、-50℃(-58°F)以下、より好ましくは-75℃(-103°F)以下、より更に好ましくは-100℃(-148°F)以下、一層好ましくは-125℃(-193°F)以下、最も好ましくは-150℃(-238°F)である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記極低温材料は、ヘリウム、水素、窒素、空気、フッ素、アルゴン、酸素、メタン、液化天然ガス、二酸化炭素、亜酸化窒素、及び/又は窒化炭素(nitrous carbon)の群から選択される、請求項1~3の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
工程c)から得られた前記凍結粒子又は工程d)で得られた乾燥粒子は、包装工程e)において気密性及び/又は湿密性包装体に包装される、請求項1~4の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記工程a)~c)は、約0.5%未満の酸素、例えば約0.25%未満の酸素、例えば約0.1%未満の酸素、例えば約0.05%(約5ppm)未満の酸素、例えば約0.02%未満の酸素、又は約0.03%未満の酸素、又は約0.04%未満の酸素の存在下に実施され、好ましくは、工程d)及びe)は、前記酸素濃度下で実施される、請求項1~5の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
工程a)~c)は、気体窒素、希ガス、気体二酸化炭素、又は気体アルカンの存在下に実施され、好ましくは、工程d)及びe)も前記気体の存在下に実施され、好ましくは、前記気体は窒素である、請求項1~6の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記懸濁物は、アドラークロイツィア属菌種(Adlercreutzia sp.)、アドラークロイツィア・エクオーリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)、アッカーマンシア属菌種(Akkermansia sp.)、アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)、アリスティペス属菌種(Alistipes sp.)、アリスティペス・ファインゴールディイ(Alistipes finegoldii)、アリスティペス・ハドラス(Alistipes hadrus)、アリスティペス・インディスティンクタス(Alistipes indistinctus)、アリスティペス・オンケルドンキイ(Alistipes onkerdonkii)、アリスティペス・ピュトレディニス(Alistipes putredinis)、アリスティペス・シャーヒイ(Alistipes shahii)、アナエロスティペス属菌種(Anaerostipes sp.)、アナエロスティペス・カカエ(Anaerostipes caccae)、アナエロスティペス・ハドラス(Anaerostipes hadrus)、アナエロツルンカス属菌種(Anaerotruncus sp.)、バクテロイデス目菌種(Bacteroidales)、バクテロイデス属菌種(Bacteroides sp.)、バクテロイデス・ドレイ(Bacteroides dorei)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・インテスティナーリス(Bacteroides intestinalis)、バクテロイデス・インテスティニホミニス(Bacteroides intestinihominis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・ピュトレディニス(Bacteroides putredinis)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、バクテロイデス・ブルガータス(Bacteroides vulgatus)、バクテロイデス・キシラニソルベンス(Bacteroides xylanisolvens)、ブラウティア属菌種(Blautia sp.)、ブラウティア・ルティ(Blautia luti)、ブラウティア・オベウム(Blautia obeum)、ブラウティア・ウェクスレラエ(Blautia wexlerae)、ブチリシコッカス属菌種(Butyricicoccus)、ブチリビブリオ・フィブリソルベンス(Butyrivibrio fibrisolvens)、ブチリビブリオ属菌種(Butyrivibrio sp.)、カタバクテリウム科菌種(Catabacteriaceae)、クリステンセネラ属菌種(Christensenella sp.)、クロストリジウム目菌種(Clostridiales)、クロストリジウム属菌種(Clostridium sp.)、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)、クロストリジウム・スパイロフォルメ(Clostridium spiroforme)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、コリンセラ属菌種(Collinsella sp.)、コリンセラ・アエロファシエンス(Collinsella aerofaciens)、コプロコッカス属菌種(Coprococcus sp.)、コプロコッカス・カツス(Coprococcus catus)、コプロコッカス・コメス(Coprococcus comes)、コプロコッカス・オイタクツス(Coprococcus eutactus)、コプロコッカス属菌種(Coprococcus sp.)、キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)、ディアリスター属菌種(Dialister sp.)、ディアリスター・インビサス(Dialister invisus)、ドレア属菌種(Dorea sp.)、ドレア・フォルミシゲネランス(Dorea formicigenerans)、ドレア・ロンギカテナ(Dorea longicatena)、エリシペロトリクス科菌種(Erysipelotrichaceae)、ユウバクテリウム属菌種(Eubacterium sp.)、ユウバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)、ユウバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)、ユウバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、ユウバクテリウム・ラムルス(Eubacterium ramulus)、ユウバクテリウム・レクターレ(Eubacterium rectale)、ユウバクテリウム・シラエウム(Eubacterium siraeum)、ユウバクテリウム・ベントリオサム(Eubacterium ventriosum)、フィーカリバクテリウム属菌種(Faecalibacterium sp.)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)、フラボニフラクター・プラウティ(Flavonifractor plautii)、フゾバクテリウム・プラウスニッツイ(Fusobacterium prausnitzii、ハフニア属菌種(Hafnia)、ホールディマニア属菌種(Holdemania)、フンガテラ・ハセワイイ(Hungatella hathewayi)、インテスティニバクター・バルトレッティ(Intestinibacter bartlettii)、ラクノバクテリウム属菌種(Lachnobacterium)、ラクノスピラ属菌種(Lachnospira)、ラクノスピラ・ペクチノスチザ(Lachnospira pectinoshiza)、ラクノスピラ科菌種(Lachnospiraceae)、ラクノスピラ科に属する新属新種(Lachnospiraceae gen.nov.sp.Nov)、ラクノスピラ科に属する新種(Lachnospiraceae sp.nov.)、メタノブレウィバクテル属菌種(Methanobrevibacter sp.)、メタノマッシリイコックス属菌種(Methanomassiliicoccus sp.)、メタノサルシナ属菌種(Methanosarcina)、ミツオケラ・マルチアシダス(Mitsuokella multiacidus)、オドリバクター属菌種(Odoribacter)、オシロスピラ属菌種(Oscillospira)、オキサロバクター・フォルミゲネス(Oxalobacter formigenes)、パラバクテロイデス属菌種(Parabacteroides sp.)、パラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)、ファスコラクトバクテリウム属菌種(Phascolarctobacterium)、ポルフィロモナス科菌種(Porphyromonadaceae)、プレボテラ属菌種(Prevotella sp.)、プレボテラ・アルベンシス(Prevotella albensis)、プレボテラ・アムニー(Prevotella amnii)、プレボテラ・バーゲンシス(Prevotella bergensis)、プレボテラ・ビビア(Prevotella bivia)、プレボテラ・ブレビス(Prevotella brevis)、プレボテラ・ブライアンティイ(Prevotella bryantii)、プレボテラ・ブッカエ(Prevotella buccae)、プレボテラ・ブッカリス(Prevotella buccalis)、プレボテラ・コプリ(Prevotella copri)、プレボテラ・デンターリス(Prevotella dentalis)、プレボテラ・デンティコラ(Prevotella denticola)、プレボテラ・ディシエンス(Prevotella disiens)、プレボテラ・ヒスチコラ(Prevotella histicola)、プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・マクロサ(Prevotella maculosa)、プレボテラ・マルシイ(Prevotella marshii)、プレボテラ・メラニノジェニカ(Prevotella melaninogenica)、プレボテラ・ミカンス(Prevotella micans)、プレボテラ・マルチフォルミス(Prevotella multiformis)、プレボテラ・ニグレッセンス(Prevotella nigrescens)、プレボテラ・オラリス(Prevotella oralis)、プレボテラ・オリス(Prevotella oris)、プレボテラ・オウロラム(Prevotella oulorum)、プレボテラ・パレンス(Prevotella pallens)、プレボテラ・サリバーエ(Prevotella salivae)、プレボテラ・ステルコレア(Prevotella stercorea)、プレボテラ・タンネラエ(Prevotella tannerae)、プレボテラ・チモネンシス(Prevotella timonensis)、プレボテラ・ベロラリス(Prevotella veroralis)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、リケネラ科菌種(Rikenellaceae)、ロゼブリア属菌種(Roseburia sp.)、ロゼブリア・ファエシス(Roseburia faecis)、ロゼブリア・ホミニス(Roseburia hominis)、ロゼブリア・インテスティナーリス(Roseburia intestinalis)、ロゼブリア・イヌリニボランス(Roseburia inulinivorans)、ルミノコッカス属菌種(Ruminococcus sp.)、ルミノコッカス・ビサーキュランス(Ruminococcus bicirculans)、ルミノコッカス・ガウブレアウイイ(Ruminococcus gauvreauii)、ルミノコッカス・グナバス(Ruminococcus gnavus)、ルミノコッカス・ラクタリス(Ruminococcus lactaris)、ルミノコッカス・オベウム(Ruminococcus obeum)、ルミノコッカス・トルキース(Ruminococcus torques)、ルミノコッカス・アルブス(Ruminococcus albus)、ルミノコッカス・ブローミイ(Ruminococcus bromii)、ルミノコッカス・カリダス(Ruminococcus callidus)、ルミノコッカス・フラベファシエンス(Ruminococcus flavefaciens)、ルミノコッカス・ガウブレアウイイ(Ruminococcus gauvreauii)、サブドリグラヌルム属菌種(Subdoligranulum)、ステレラ属菌種(Sutterella)、及びツリシバクター科菌種(Turicibacteraceae)からなる群から選択される少なくとも1種の絶対嫌気性菌を含む、請求項1~7の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
工程a)及びb)は、同一室内で、液体窒素等の極低温材料を含む室内に前記懸濁物を噴霧することにより実施される、請求項1~8の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
小滴の前記調製は、二流体ノズルを用いて実施される、請求項1~9の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
工程a)における小滴の前記形成は、噴霧用気体(霧化用気体)を用いて実施される、請求項1~10の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記噴霧用気体は、不活性気体(窒素等)、希ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン、又はネオン)、二酸化炭素、及び気体アルカン(メタン等)、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~11の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記懸濁物は、イノシトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、イヌリン、マルトデキストリン、デキストロース、アルギン酸(alginate)又はその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)、脱脂粉乳、酵母エキス、カゼインペプトン、加水分解タンパク質、例えば、加水分解カゼイン、カゼイン又はその塩(カゼインナトリウム等)、イノシン、イノシンモノホスペート(inosinemonophospate)及びその塩、グルタミン及びその塩(グルタミン酸ナトリウム等)、アスコルビン酸及びその塩(アスコルビン酸ナトリウム等)、クエン酸及びその塩、ポリソルベート、硫酸マグネシウムの水和物(例えば、七水和物)、硫酸マンガンの水和物(例えば、一水和物)、並びにリン酸水素二カリウム、没食子酸プロピル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される1種又は複数種の安定化剤を更に含む、請求項1~12の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記凍結粒子は、開口径が約800マイクロメートル未満、例えば約600マイクロメートル未満、例えば約500マイクロメートル未満、例えば約40マイクロメートル~約300マイクロメートルの範囲、例えば約50マイクロメートル~約250マイクロメートルの範囲、例えば約50マイクロメートル、例えば約100マイクロメートル、例えば約150マイクロメートル、例えば約200マイクロメートル、又は例えば約250マイクロメートルである篩等の篩を使用して、極低温材料から分離され、回収される、請求項1~13の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記精製された凍結粒子の水分含有量は、前記精製された凍結粒子の総重量に対し、約5重量%~約98重量%、例えば約10重量%~約95重量%(好ましくは約30重量%~約80重量%又は約40重量%~約75重量%パーセント)である、請求項1~14の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記精製された凍結粒子の前記乾燥は、水分活性(aw)が約0.8未満、例えば約0.6未満、例えば約0.01~0.8の範囲、例えば約0.05~約0.5の範囲、例えば約0.1、又は例えば約0.2、又は例えば約0.3、又は例えば約0.4となるまで実施される、請求項1~15の何れか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記乾燥粒子は、最確数(MPN)で定められる生存能力が1グラム当たり少なくとも1.0×10E4である微生物を含む、請求項1~16の何れか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本質的に嫌気性の条件下等の酸素が非常に少ない条件下で噴霧凍結又は噴霧凍結乾燥を行うためのプロセス、特に、酸素感受性微生物(例えば、絶対嫌気性菌)を酸素量が非常に少ないか又は本質的に嫌気性の条件下で噴霧凍結させるためのプロセスを提供する。更に本発明は、このプロセスにより得ることができる製品及びこのプロセスに使用可能な装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
乳酸菌スターター培養物の細菌を長期間安定化させることを目的とした冷凍保存は長年行われている。乳酸菌を液体窒素の容器に滴下することによって凍結したペレットを形成する方法が一般に用いられている。ペレットが大きいと都合の悪い用途、例えば、栄養補助食品や医薬品の製剤化等に乳酸菌を使用する場合は、通常、得られたペレットを続いて乾燥(例えば、凍結乾燥による)させた後、最終製品を製剤化する前に、例えば粉砕(milled、grinded)により大きさを機械的に小さくすることによってより細かい粒子にする。それにより製造工程が増え、これは、細菌の生存率が、例えば剪断力が加わることによって低下するため、不利である。
【0003】
噴霧凍結は、懸濁物を霧化(又は噴霧)した後、凍結させることによって凍結粒子を製造する技法である。噴霧凍結により得られた凍結粒子は、次いで、冷凍庫に保存するか又は例えば凍結乾燥により乾燥(噴霧凍結乾燥)させることができる。この種のプロセスの例が、例えば米国特許第7007406号明細書(Wang)に記載されており、当該明細書には、薬剤を含む液体を大気圧下に噴霧凍結乾燥させることにより医薬化合物の粉末を製造することが開示されている。食品又はバイオ製品を乾燥させるために噴霧凍結乾燥を用いる装置及び研究の他の例がIshwaryaら(2015)に開示されている。
【0004】
乳酸菌の凍結に噴霧凍結乾燥を用いることが提案されてきたが、商業的な成果は限られている。
【0005】
Volkertら(2008)には、原料懸濁物を氷点下の気体雰囲気中で霧化することによりラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)LGG(登録商標)を噴霧凍結させる研究が開示されており、噴霧設備は-30~35℃の温度を確保するために冷却室内に配置され、600kPaの気体圧が用いられていた。凍結した粉末は受け皿(pick-up dish)に集められた。ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)LGG(登録商標)は乳酸菌群に属し、酸素耐性細菌と見なされており、幅広い環境に適応するために必要な株特異的な遺伝子機能を有している。
【0006】
Semyonovら(2010)(Food Research International 43,193-202(2010))では、噴霧凍結乾燥によりマイクロカプセル化されたラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)細胞の生存率が調査されている。空気圧ノズルを通過した空気流を使用して、細菌の懸濁物を液体状態の窒素中に噴霧しているようである。ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)は乳酸菌群に属し、酸素耐性細菌と見なされている。
【0007】
Herら(2015)には、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)の懸濁物の噴霧凍結乾燥が開示されている。二流体ノズルを通過した空気流を使用して細菌の懸濁物を噴霧し、結果として得られた小滴を液体窒素に浸漬するようである。ラクトバチルス・カゼイ(L.casei)は乳酸菌群に属し、酸素耐性細菌と見なされている。
【0008】
上に述べた噴霧凍結プロセス及び乾燥プロセスはいずれも、保存すべき生産物が解凍又は再水和後に生存している必要がある細菌細胞である場合は特に、商業的な成果が限られている。通常、乾燥プロセス中の乳酸菌は、乾燥、再解凍、及び再水和の過程で受ける酸化、熱、脱水、剪断、及び浸透圧によるストレスの影響を受けやすい。
【0009】
国際公開第2016083617号パンフレットには、微生物を含有する水性懸濁物を噴霧室内で乾燥用気体中に噴霧し、続いて極低温ガス中に噴霧することを特徴とする、微生物を含有する懸濁物を乾燥させるためのプロセスが開示されている。凍結した粒子は回収され、水分活性が0.2未満になるまで凍結乾燥される。国際公開第2016083617号パンフレットは、絶対嫌気性菌を含む懸濁物を噴霧凍結乾燥させるためのプロセスを開示していない。
【0010】
絶対嫌気性菌(偏性嫌気性菌とも称される)は酸素感受性が非常に高い細菌群である。通常、この生物の代謝過程には、酸素分子による酸化又は不活性化を極端に受けやすい要素がある。また、この群の構成員には、スーパーオキシドアニオン、ヒドロキシラジカル、過酸化水素等の活性酸素の不活性化に関与するカタラーゼ等の重要な酵素を持たないものもある。そのため、周囲空気に由来する酸素への曝露及び他の種類の酸化条件が細菌に有害となり得ることから、この細菌群を特に工業規模で発酵及び保存することは乳酸菌よりも難しい。
【0011】
その一方で、絶対嫌気性菌群に属する菌種の多くは、例えば、酪酸(butyrate)及び他の抗炎症性化合物を多量に産生することによるプロバイオティクス効果を有することが示されている。したがって、絶対嫌気性菌を、例えば、医薬品又は栄養補助食品に使用するために安定化及び製剤化するための、工業規模に拡大可能な方法が必要とされている。
【0012】
Khanら(2014)は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)の保存に関するものであり、細菌を-20℃で凍結させ、3時間凍結乾燥させることにより、大きさが不揃いのペレット状の顆粒又は発泡体状のマトリックスを形成し、次いでこれを-20℃で保存する方法を開示している。
【0013】
上に述べたように、細菌をペレット又は発泡体状マトリックスの形態で凍結及び乾燥させることの欠点は、得られたマトリックスのペレット大きさを、医薬品に使用するために機械的に細かくする必要が生じるであろうことにある。絶対嫌気性菌の場合、この追加の工程は、酸化ストレスを防ぐ条件下、例えば嫌気性環境下で実施するか又は少なくとも存在する酸素の量を非常に少なくするなどして実施しなければならず、それにより、粉砕工程が更に複雑化することとなる。絶対嫌気性菌を含む製品の工業的製造の条件にこのような粉砕が含まれると、工程が更に複雑化すると共に、コストも高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、絶対嫌気性菌又は酸素感受性が非常に高い他の微生物に用いるための改良された製造プロセスが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
驚くべきことに、本発明者らは、酸素量が非常に少ない条件下で噴霧凍結させることを含むプロセスにより、絶対嫌気性菌細胞を有効に保存することができ、その結果として、驚くほど高い活力を有する細菌が内封された乾燥流動性粉末が得られることを見出した。
【0016】
本プロセスは、造粒、凍結、乾燥、及びペレットの粉砕を含む先行技術の方法と比較すると、必要な工程数がより少なく、工業用途においてより容易に取り扱うことができる自由流動性粉末が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一態様において、本発明は、絶対嫌気性菌を含む懸濁物中の細菌を保存するためのプロセスであって、次に示す工程:
a)懸濁物を噴霧又は霧化することにより、前記絶対嫌気性菌を含む液体懸濁物の小滴を形成する工程と、
b)極低温材料を含む室内に小滴を吐出することにより、凍結粒子を生成する工程と、
c)b)で得られた凍結粒子を極低温材料から分離することにより、精製された凍結粒子を得る工程と、
を含むプロセスに関する。
【0018】
このプロセスは、小滴を単純に極低温材料中に吐出して極低温材料中に凍結粒子の懸濁物を生成することで、乾燥用気体を用いる工程を回避するものであり、それにより先行技術の保存プロセスが簡素化する。
【0019】
一態様において、本発明は、絶対嫌気性菌を含む懸濁物中の細菌を保存するためのプロセスであって、次に示す工程:
a)懸濁物を噴霧又は霧化することにより、前記絶対嫌気性菌を含む液体懸濁物の小滴を形成する工程と;
b)小滴を極低温液体及び/又は極低温気体等の極低温材料と接触させることにより、凍結粒子を生成する工程と;
c)b)で得られた凍結粒子を極低温材料から分離することにより、精製された凍結粒子を得る工程と;を含み、
プロセス工程a)~c)は、約2%以下の酸素、例えば約1%未満の酸素、好ましくは約0.5%未満の酸素、例えば約0.05%未満の酸素の存在下に実施される、プロセスに関する。他の態様において、本発明は、このプロセスにより得られる乾燥粒子に関する。
【0020】
実施例に示すように、本プロセスにより凍結粒子を乾燥させると、良好な粒子特性を有すると共に、酸素感受性が非常に高い絶対嫌気性菌であってさえも許容できる生存率を示す生成物が得られる。
【0021】
定義
概して、本明細書において使用する用語及び語句は、当該技術分野において認識されている意味を有し、これは、標準的な教科書、雑誌の参考文献、及び当業者に知られている文脈を参照することにより見出すことができる。以下に示す定義は本開示に関連するそれらの具体的な用法を明確にするために提供するものである。
【0022】
本明細書において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに他を意味する場合を除き、複数形も包含することを意図している。
【0023】
本文脈における「霧化」という用語は、微生物を含む懸濁物又は濃縮物を非常に微細な小滴に変換する行為と解釈すべきであり、この小滴は、多くの場合、微生物(例えば、絶対嫌気性菌等の細菌)及び液体を含む。
【0024】
「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」という用語は、別段の指定がない限り、制約のない用語(open-ended term)(即ち、「含むが、これに限定されない」)と解釈すべきである。
【0025】
「押出(extrusion、extruding)」は、当業者によく知られている用語であり、本明細書に記載するように、組成物を加圧下に強制的に開口部を通過させるプロセスを指す。
【0026】
「微生物(microorganism、microbe)」という用語は、ある例においては、顕微鏡的大きさの生物、単細胞生物、及び/又は任意のウイルス粒子を指すこともある。本明細書において使用される微生物の定義には、細菌、古細菌、単細胞真核生物(原生動物、真菌、及び繊毛虫)、ウイルス(viral agent)が含まれる。「微生物の(microbial)」という用語は、ある例において、微生物のプロセス又は組成物を指し得、したがって、「微生物から作られた製品(microbial-based product)」は、微生物、微生物の細胞成分、及び/又は微生物が産生した代謝物を含む組成物である。
【0027】
本明細書において使用される「極低温材料」という用語は、沸点が-50℃(-58°F)未満の極低温液体及び極低温気体を指す。本明細書において、この用語は、単一種の極低温液体/極低温気体又は複数種の極低温液体及び/若しくは複数種の極低温気体を指す用語として互換的に使用される。したがってこの用語は、特定の数又は特定の種類の極低温材料に限定されない。典型的な極低温材料としては、ヘリウム、水素、窒素、空気、フッ素、アルゴン、酸素、メタン、液化天然ガス、二酸化炭素、亜酸化窒素、及び窒化炭素(nitrous carbon)が挙げられる。極低温材料に共通する特性は、これらが標準室温及び圧力下で気相にあり、1気圧での沸点が-50℃未満であることである。しかしながら、大部分の極低温材料は、1気圧での沸点が-150℃(-238°F)未満である。
【0028】
本明細書において使用される「極低温液体」という用語は、液体状態に維持された液化気体を指す。極低温液体の沸点は-50℃(-58°F)未満であり、典型的には-150℃(-238°F)未満である。
【0029】
本明細書において使用される「極低温気体」という用語は、気相にある極低温材料、例えば、気化した極低温液体を指す。
【0030】
本文脈における、乾燥した微生物の適切な包装体による「包装」(適量の)という用語は、顧客に輸送することが可能な製品を得るために最終的な包装を施すことに関する。したがって、適切な包装体は、容器、瓶、又は類似物であり得、適量は、例えば、0.1g~30000gであり得る。「包装体」という用語は、袋、箱、カプセル、パウチ、小袋、容器等を含む。
【0031】
「ペレット」:「ペレット」及び/又は「造粒(pelleting)」という用語は、丸みのある、球状の、及び/又は円筒状の固体の錠剤又はペレット並びにそのような固体形状を有する、特により大きな粒子を形成するためのプロセスを指す。
【0032】
本明細書において使用される「製品」という用語は、ある例において、他の構成成分と混ぜ合わせることができる、販売及び使用可能な規定の濃度の生細胞を含む微生物組成物を指すこともある。
【0033】
「絶対嫌気性菌」(偏性嫌気性菌とも称される)は、酸素感受性細菌群であり、特にカタラーゼを発現しない絶対嫌気性菌属である。
【0034】
「安定な」製剤又は組成物とは、その中に含まれる生物活性を有する材料が、保存中に、その物理的安定性、化学的安定性、及び/又は生物学的安定性を本質的に保持するものである。安定性は、選択された温度及び湿度条件下で選択された期間に亘り測定することができる。材料を実際にその期間保存する前に、予想される保存安定性を推定するために傾向分析を用いることができる。例えば、生菌の場合、安定性は、予め定められた温度、湿度、及び期間の条件下で、1log CFU/g乾燥製剤低下するまでに要する時間と定めることができる。
【0035】
細菌に関する「生存能力(viability)」という用語は、その細菌の増殖に適した栄養培地上にコロニー(CFU又はコロニー形成単位)を形成する能力を指す。或いは、生存能力は、最確数(MPN)として又はフローサイトメトリーを用いて測定することができる。ウイルスに関する生存能力は、適切な宿主細胞に感染してその中で繁殖する能力を指し、その結果として、宿主細胞叢(lawn of host cells)上に溶菌斑が形成される。
【0036】
「生細胞」という用語は、ある例において、植物状態、凍結状態、保存された状態、又は再構成された状態にありながら、生きており、再生及び/又は増殖が可能な微生物を意味することがある。
【0037】
「生細胞収量」又は「生細胞濃度」という用語は、ある例において、培養液、濃縮状態、又は保存状態における生細胞の、リットル、ミリリットル、キログラム、グラム、又はミリグラム等の測定単位当たりの個数を指すことがある。「細胞保存」という用語は、ある例において、栄養細胞を採取し、それを長時間に亘り生存能力を保持する代謝的に不活性な状態で保存するプロセスを指すことがある。
【0038】
発明の詳細な説明
本発明は、酸素感受性微生物、例えば、通性嫌気性菌の種、より好ましくは絶対嫌気性菌の種等の安定化に関する。このようなプロセスは、細菌を、例えば、医薬目的で投与及び製剤化することができる粉末形態として、高い生存率で安定化及び保存するのに有用である。
【0039】
本発明の態様のある例において、微生物は絶対嫌気性菌である。絶対嫌気性菌(偏性嫌気性菌とも称される)は、酸素感受性細菌群である。通常、この生物の代謝過程には、酸素分子による酸化又は不活性化に極端に敏感な要素がある。同様に、この群の構成員は、スーパーオキシドアニオン、ヒドロキシラジカル、過酸化水素等の活性酸素の不活性化に関与する重要な酵素、例えば、カタラーゼを持たないものもある。本発明の幾つかの例において、微生物は、絶対嫌気性菌の種である。
【0040】
したがって、微生物は、アドラークロイツィア属菌種(Adlercreutzia sp.)、アッカーマンシア属菌種(Akkermansia sp.)、アリスティペス属菌種(Alistipes sp.)、アナエロツルンカス属菌種(Anaerotruncus sp.)、バクテロイダレス綱菌種(Bacteroidales)、バクテロイデス属菌種(Bacteroides sp.)、ブラウティア属菌種(Blautia sp.)、ブチリシコッカス属菌種(Butyricicoccus sp.)、ブチリビブリオ属菌種(Butyrivibrio sp.)、カタバクテリウム科菌種(Catabacteriaceae sp.)、クリステンセネラ属菌種(Christensenella sp.)、クロストリジウム目菌種(Clostridiales sp.)、クロストリジウム属菌種(Clostridium sp.)、コリンゼラ属菌種(Collinsella sp.)、コプロコッカス属菌種(Coprococcus sp.)、キューティバクテリウム属菌種(Cutibacterium sp.)、ディアリスター属菌種(Dialister sp.)、ドレア属菌種(Dorea sp.)、エリュシペロトリクス科菌種(Erysipelotrichaceae sp.)、ユウバクテリウム属菌種(Eubacterium sp.)、フィーカリバクテリウム属菌種(Faecalibacterium sp.)、フラボニフラクター属菌種(Flavonifractor sp.)、フソバクテリウム属菌種(Fusobacterium sp.)、ハフニア属菌種(Hafnia sp.)、ホルデマニア属菌種(Holdemania sp.)、ハンガテラ属菌種(Hungatella sp.)、インテスティニバクター属菌種(Intestinibacter sp.)、ラクノバクテリウム属菌種(Lachnobacterium sp.)、ラクノスピラ属菌種(Lachnospira sp.)、ラクノスピラ科菌種(Lachnospiraceae sp.)、ラクノスピラ科に属する新属新種(Lachnospiraceae gen.nov.sp.Nov)、ラクノスピラ科に属する新種(Lachnospiraceae sp.nov.)、メタノブレウィバクテル属菌種(Methanobrevibacter sp.)、メタノマッシリイコックス属菌種(Methanomassiliicoccus sp.)、メタノサルキナ属菌種(Methanosarcina sp.)、ミツオケラ属菌種(Mitsuokella sp.)、オドリバクター属菌種(Odoribacter sp.)、オシロスピラ属菌種(Oscillospira sp.)、オキサロバクター属菌種(Oxalobacter sp.)、パラバクテロイデス属菌種(Parabacteroides sp.)、ファスコラークトバクテリウム属菌種(Phascolarctobacterium sp.)、ポルフィロモナス科菌種(Porphyromonadaceae sp.)、プレボテラ属菌種(Prevotella sp.)、プロピオニバクテリウム属菌種(Propionibacterium sp.)、リケネラ科菌種(Rikenellaceae sp.)、ロゼブリア属菌種(Roseburia sp.)、ルミノコッカス属菌種(Ruminococcus sp.)、サブドリグラヌルム属菌種(Subdoligranulum sp.)、サテレラ属菌種(Sutterella sp.)、及びツリシバクター科菌種(Turicibacteraceae sp.)からなる絶対嫌気性菌の群から選択される 少なくとも1種の微生物である。
【0041】
他の例において、微生物は、アドラークロイツィア属菌種(Adlercreutzia sp.)、アドラークロイツィア・エクオーリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)、アッカーマンシア属菌種(Akkermansia sp.)、アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)、アリスティペス属菌種(Alistipes sp.)、アリスティペス・ファインゴールディイ(Alistipes finegoldii)、アリスティペス・ハドラス(Alistipes hadrus)、アリスティペス・インディスティンクタス(Alistipes indistinctus)、アリスティペス・オンケルドンキイ(Alistipes onkerdonkii)、アリスティペス・ピュトレディニス(Alistipes putredinis)、アリスティペス・シャーヒイ(Alistipes shahii)、アナエロスティペス属菌種(Anaerostipes sp.)、アナエロスティペス・カカエ(Anaerostipes caccae)、アナエロスティペス・ハドラス(Anaerostipes hadrus)、アナエロツルンカス属菌種(Anaerotruncus sp.)、バクテロイデス目菌種(Bacteroidales)、バクテロイデス属菌種(Bacteroides sp.)、バクテロイデス・ドレイ(Bacteroides dorei)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・インテスティナーリス(Bacteroides intestinalis)、バクテロイデス・インテスティニホミニス(Bacteroides intestinihominis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・ピュトレディニス(Bacteroides putredinis)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、バクテロイデス・ブルガータス(Bacteroides vulgatus)、バクテロイデス・キシラニソルベンス(Bacteroides xylanisolvens)、ブラウティア属菌種(Blautia sp.)、ブラウティア・ルティ(Blautia luti)、ブラウティア・オベウム(Blautia obeum)、ブラウティア・ウェクスレラエ(Blautia wexlerae)、ブチリシコッカス属菌種(Butyricicoccus)、ブチリビブリオ・フィブリソルベンス(Butyrivibrio fibrisolvens)、ブチリビブリオ属菌種(Butyrivibrio sp.)、カタバクテリウム科菌種(Catabacteriaceae)、クリステンセネラ属菌種(Christensenella sp.)、クロストリジウム目菌種(Clostridiales)、クロストリジウム属菌種(Clostridium sp.)、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)、クロストリジウム・スパイロフォルメ(Clostridium spiroforme)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、コリンセラ属菌種(Collinsella sp.)、コリンセラ・アエロファシエンス(Collinsella aerofaciens)、コプロコッカス属菌種(Coprococcus sp.)、コプロコッカス・カツス(Coprococcus catus)、コプロコッカス・コメス(Coprococcus comes)、コプロコッカス・オイタクツス(Coprococcus eutactus)、コプロコッカス属菌種(Coprococcus sp.)、キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)、ディアリスター属菌種(Dialister sp.)、ディアリスター・インビサス(Dialister invisus)、ドレア属菌種(Dorea sp.)、ドレア・フォルミシゲネランス(Dorea formicigenerans)、ドレア・ロンギカテナ(Dorea longicatena)、エリシペロトリクス科菌種(Erysipelotrichaceae)、ユウバクテリウム属菌種(Eubacterium sp.)、ユウバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)、ユウバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)、ユウバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、ユウバクテリウム・ラムルス(Eubacterium ramulus)、ユウバクテリウム・レクターレ(Eubacterium rectale)、ユウバクテリウム・シラエウム(Eubacterium siraeum)、ユウバクテリウム・ベントリオサム(Eubacterium ventriosum)、フィーカリバクテリウム属菌種(Faecalibacterium sp.)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)、フラボニフラクター・プラウティ(Flavonifractor plautii)、フゾバクテリウム・プラウスニッツイ(Fusobacterium prausnitzii、ハフニア属菌種(Hafnia)、ホールディマニア属菌種(Holdemania)、フンガテラ・ハセワイイ(Hungatella hathewayi)、インテスティニバクター・バルトレッティ(Intestinibacter bartlettii)、ラクノバクテリウム属菌種(Lachnobacterium)、ラクノスピラ属菌種(Lachnospira)、ラクノスピラ・ペクチノスチザ(Lachnospira pectinoshiza)、ラクノスピラ科菌種(Lachnospiraceae)、ラクノスピラ科に属する新属新種(Lachnospiraceae gen.nov.sp.Nov)、ラクノスピラ科に属する新種(Lachnospiraceae sp.nov.)、メタノブレウィバクテル属菌種(Methanobrevibacter sp.)、メタノマッシリイコックス属菌種(Methanomassiliicoccus sp.)、メタノサルシナ属菌種(Methanosarcina)、ミツオケラ・マルチアシダス(Mitsuokella multiacidus)、オドリバクター属菌種(Odoribacter)、オシロスピラ属菌種(Oscillospira)、オキサロバクター・フォルミゲネス(Oxalobacter formigenes)、パラバクテロイデス属菌種(Parabacteroides sp.)、パラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)、ファスコラクトバクテリウム属菌種(Phascolarctobacterium)、ポルフィロモナス科菌種(Porphyromonadaceae)、プレボテラ属菌種(Prevotella sp.)、プレボテラ・アルベンシス(Prevotella albensis)、プレボテラ・アムニー(Prevotella amnii)、プレボテラ・バーゲンシス(Prevotella bergensis)、プレボテラ・ビビア(Prevotella bivia)、プレボテラ・ブレビス(Prevotella brevis)、プレボテラ・ブライアンティイ(Prevotella bryantii)、プレボテラ・ブッカエ(Prevotella buccae)、プレボテラ・ブッカリス(Prevotella buccalis)、プレボテラ・コプリ(Prevotella copri)、プレボテラ・デンターリス(Prevotella dentalis)、プレボテラ・デンティコラ(Prevotella denticola)、プレボテラ・ディシエンス(Prevotella disiens)、プレボテラ・ヒスチコラ(Prevotella histicola)、プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・マクロサ(Prevotella maculosa)、プレボテラ・マルシイ(Prevotella marshii)、プレボテラ・メラニノジェニカ(Prevotella melaninogenica)、プレボテラ・ミカンス(Prevotella micans)、プレボテラ・マルチフォルミス(Prevotella multiformis)、プレボテラ・ニグレッセンス(Prevotella nigrescens)、プレボテラ・オラリス(Prevotella oralis)、プレボテラ・オリス(Prevotella oris)、プレボテラ・オウロラム(Prevotella oulorum)、プレボテラ・パレンス(Prevotella pallens)、プレボテラ・サリバーエ(Prevotella salivae)、プレボテラ・ステルコレア(Prevotella stercorea)、プレボテラ・タンネラエ(Prevotella tannerae)、プレボテラ・チモネンシス(Prevotella timonensis)、プレボテラ・ベロラリス(Prevotella veroralis)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、リケネラ科菌種(Rikenellaceae)、ロゼブリア属菌種(Roseburia sp.)、ロゼブリア・ファエシス(Roseburia faecis)、ロゼブリア・ホミニス(Roseburia hominis)、ロゼブリア・インテスティナーリス(Roseburia intestinalis)、ロゼブリア・イヌリニボランス(Roseburia inulinivorans)、ルミノコッカス属菌種(Ruminococcus sp.)、ルミノコッカス・ビサーキュランス(Ruminococcus bicirculans)、ルミノコッカス・ガウブレアウイイ(Ruminococcus gauvreauii)、ルミノコッカス・グナバス(Ruminococcus gnavus)、ルミノコッカス・ラクタリス(Ruminococcus lactaris)、ルミノコッカス・オベウム(Ruminococcus obeum)、ルミノコッカス・トルキース(Ruminococcus torques)、ルミノコッカス・アルブス(Ruminococcus albus)、ルミノコッカス・ブローミイ(Ruminococcus bromii)、ルミノコッカス・カリダス(Ruminococcus callidus)、ルミノコッカス・フラベファシエンス(Ruminococcus flavefaciens)、ルミノコッカス・ガウブレアウイイ(Ruminococcus gauvreauii)、サブドリグラヌルム属菌種(Subdoligranulum)、ステレラ属菌種(Sutterella)、及びツリシバクター科菌種(Turicibacteraceae)からなる絶対嫌気性菌の群から選択される少なくとも1種の微生物である。
【0042】
本発明の他の例において、微生物は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)、ユウバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)からなる群から選択される少なくとも1種の絶対嫌気性菌である。
【0043】
本発明のある例において、微生物は、ビフィドバクテリウム属(genus Bifidobacterium)に属しない。本発明の他のある例において、微生物は、ビフィドバクテリウム・アニマーリス(Bifidobacterium animalis)の種ではない。
【0044】
酸素感受性微生物を安定化させるためのプロセス
一態様において、本発明は、絶対嫌気性菌を含む懸濁物中の細菌を保存するためのプロセスであって、次に示す工程:
a)懸濁物を噴霧又は霧化することにより、前記絶対嫌気性菌を含む液体懸濁物の小滴を形成する工程と、
b)極低温材料を含む室内に小滴を吐出することにより、凍結粒子を生成する工程と、
c)b)で得られた凍結粒子を極低温材料から分離することにより、精製された凍結粒子を得る工程と、を含むプロセスに関する。
【0045】
このプロセスにより、乾燥用気体を用いる工程を省くことで、先行技術の保存プロセスが簡素化される。
【0046】
一態様において、本発明は、絶対嫌気性菌を含む懸濁物中の細菌を保存するためのプロセスであって、次に示す工程:
a)懸濁物を噴霧又は霧化することにより、前記絶対嫌気性菌を含む液体懸濁物の小滴を形成する工程と、
b)小滴を極低温液体及び/又は極低温気体等の極低温材料と接触させることにより、凍結粒子を生成する工程と;
c)b)で得られた凍結粒子を極低温材料から分離することにより、精製された凍結粒子を得る工程と;
を含み、プロセス工程a)~c)は、約2%以下の酸素、例えば約1%未満の酸素、好ましくは約0.5%未満の酸素、例えば約0.05%未満の酸素の存在下に実施される、プロセスに関する。他の態様において、本発明は、このプロセスにより得られる乾燥粒子に関する。
【0047】
本プロセスの工程b)において、凍結粒子は、小滴を液体窒素及び/又は極低温気体等の極低温材料と接触させることにより形成される。小滴は、極低温気体の気相中又は液体窒素中に噴霧することができる。
【0048】
本開示の更なる例において、極低温材料は、ヘリウム、水素、窒素、空気、フッ素、アルゴン、酸素、メタン、二酸化炭素、亜酸化窒素、及び/又は窒化炭素(nitrous carbon)の群から選択される。極低温材料は気相及び/又は液相であってもよく、したがって、極低温材料は、1種若しくは複数種の極低温液体及び/又は1種若しくは複数種の極低温気体であってもよい。極低温材料の沸点は-50℃(-58°F)未満であり、典型的には1気圧で-150℃(-238°F)未満である。本開示の特定の例において、極低温材料は液体窒素である。
【0049】
本発明の幾つかの例において、プロセス工程b)は、小滴を極低温液体及び/又は極低温気体等の極低温材料と接触させることによって凍結粒子を生成することにより実施される。好ましくは、液体及び/又は極低温気体等の極低温材料の温度は-50℃(-58°F)以下、より好ましくは-75℃(-103°F)以下、更に好ましくは-100℃(-148°F)以下、一層好ましくは-125℃(-193°F)以下、最も好ましくは-150℃(-238°F)以下である。本発明の幾つかの例において、少なくともプロセス工程a)~c)、又は少なくともプロセス工程a)~d)、又は全てのプロセス工程a)~e)は、約0.5%未満の酸素、例えば約0.25%未満の酸素、例えば約0.1%未満の酸素、例えば約0.05%(約500ppm)未満の酸素、例えば、約0.02%未満の酸素、又は約0.03%未満の酸素、又は約0.04%未満の酸素の存在下に実施される。
【0050】
本発明の他の好ましい例において、少なくともプロセス工程a)~c)、又は少なくともプロセス工程a)~d)、又は全てのプロセス工程a)~e)は、約0.0001%~約2%の範囲の酸素、例えば約0.0001%~約0.5%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.025%の範囲の酸素、例えば、約0.01%、又は例えば約0.02%、又は約0.025%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.03%、又は例えば約0.04%の酸素の存在下に実施される。
【0051】
本発明の更なる他の好ましい例において、少なくともプロセス工程a)~c)、又は少なくともプロセス工程a)~d)、又は全てのプロセス工程a)~e)は、約0.0001%~約0.5%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.025%の範囲の酸素、例えば約0.01%、又は例えば約0.02%、又は約0.025%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.03%、又は例えば約0.04%の酸素の存在下に実施される。
【0052】
本発明の更なる他の好ましい例において、少なくともプロセス工程a)~c)、又は少なくともプロセス工程a)~d)、又は全てのプロセス工程a)~e)は、本質的に嫌気性の条件下で実施される。
【0053】
本発明の更なる他の好ましい例において、少なくともプロセス工程a)~c)、又は少なくともプロセス工程a)~d)、又は全てのプロセス工程a)~e)は、本質的に酸素を含まない環境下で、例えば、酸素以外の気体、例えば気体窒素等の存在下に実施される。
【0054】
霧化された懸濁物の周囲の圧力は、懸濁物の物理的性質、例えば、工程a)で形成される小滴中の水の蒸発又は昇華温度に影響する。
【0055】
本発明の幾つかの例において、プロセス工程a)は、圧力が約60kPa~約400kPaの範囲、例えば60kPa~200kPaの範囲、例えば80kPa~120kPaの範囲、好ましくは90kPa~約110kPaの範囲、例えば約101kPa(大気圧)に維持された室内で実施される。
【0056】
本発明の幾つかの例において、プロセス工程b)は、圧力が約60kPa~約400kPaの範囲、例えば約60kPa~200kPaの範囲、例えば80kPa~120kPaの範囲、好ましくは90kPa~約110kPaの範囲、例えば約101kPa(大気圧)に維持された室内で実施される。
【0057】
本発明の好ましい例において、工程a)、b)、及びc)は、圧力が約60kPa~約400kPaの範囲、例えば約60kPa~200kPaの範囲、例えば80kPa~120kPaの範囲、好ましくは90kPa~約110kPaの範囲、例えば約101kPa(大気圧)に維持された室内で実施される。この室は、極低温気体等の極低温材料を収容し、それと同時に、極低温液体等の極低温材料により外部と接触していてもよい。例えば、室は、極低温液体等の極低温材料に浸漬されていてもよい。それにより、室の外側の極低温材料は、収容されている極低温材料を含む室の内部を冷却することができる。好ましくは、室の外側にある極低温材料の温度は、-50℃(-58°F)以下、より好ましくは-75℃(-103°F)以下、より更に好ましくは-100℃(-148°F)以下、一層好ましくは-125℃(-193°F)以下、最も好ましくは-150℃(-238°F)以下である。同様に、好ましくは、室に収容されている極低温材料の温度は、-50℃(-58°F)以下、より好ましくは-75℃(-103°F)以下、より更に好ましくは-100℃(-148°F)以下、一層好ましくは-125℃(-193°F)以下、最も好ましくは-150℃(-238°F)以下である。
【0058】
本発明の幾つかの例において、工程a)及びb)は、同一室内で、例えば、懸濁物を、極低温材料、例えば液体窒素及び/又は極低温気体、例えば気体窒素を含む室内に噴霧することにより実施される。本発明のこのような例において、室の圧力は、90kPa~約110kPaの範囲、例えば約101kPa(大気圧)に維持することができる。
【0059】
本発明の他の例において、小滴は、極低温液体及び/又は極低温気体等の極低温材料中に直接噴霧され、前記極低温材料は、必ずしも密閉された室内に収容されている訳ではない。
【0060】
本発明のプロセスは、細菌を含む懸濁物の小滴を形成することを含む。本発明の好ましい例において、小滴は、液体懸濁物を噴霧することにより形成される。本発明のこのような例において、小滴の形成又は調製は、超音波ノズル;加圧ノズル;二流体ノズル(例えば、霧化用気体としてNを使用);振動ノズル;高周波ノズル(frequency nozzle)、静電ノズル;又は回転霧化装置等の噴霧ノズル(霧化装置)を用いて実施される。
【0061】
本発明の幾つかの実施形態において、小滴の形成又は調製は、典型的には、液体、例えば、細菌の懸濁物を、高速の気体及び液体を相互作用させることによって霧化させるように機能する二流体ノズルを用いて実施される。
【0062】
細菌(絶対嫌気性菌等)を含む懸濁物を霧化することにより、マイクロメートル単位で測定されたDv50値が、約5~約500マイクロメートル、例えば約5~約400マイクロメートルの範囲、例えば、約10~約350マイクロメートル、約10マイクロメートル~約300マイクロメートル、約10マイクロメートル~約200マイクロメートル、例えば約10マイクロメートル~約50マイクロメートル、又は例えば約50マイクロメートル~約200マイクロメートル、例えば約50マイクロメートル~約100マイクロメートル、例えば約75マイクロメートル、又は例えば約100マイクロメートル~約200マイクロメートル、例えば約150マイクロメートルとなるサイズを有する小滴が形成又は調製される。
【0063】
本発明の具体的な例において、小滴の形成は噴霧ノズル(霧化装置)を用いて実施され、調製された小滴は、マイクロメートル単位で測定されたDv50値が、5~800マイクロメートル、例えば5~600マイクロメートル、例えば5~400マイクロメートル、好ましくは10~250マイクロメートルとなるサイズを有する。
【0064】
本発明のある例において、工程a)における小滴の形成は、噴霧用気体(霧化用気体)を使用して、例えば、二流体ノズルを組み合わせて実施される。この種の噴霧用気体は、不活性気体(窒素等)、希ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン、又はネオン)、二酸化炭素、及び気体アルカン(メタン等)、極低温気体、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0065】
本発明のある例において、噴霧用気体は気体窒素を含むか又は気体窒素からなる。
【0066】
噴霧用気体は、小滴が形成される際に細菌の懸濁物と接触し、噴霧用気体の入口温度は、凍結前の小滴内で起こる乾燥の速度に影響を与える可能性がある。
【0067】
本発明のある例において、小滴形成工程a)(例えば、噴霧工程)は、噴霧用気体の入口温度を最大約80℃、例えば約0℃~約60℃の範囲、例えば約0℃~約15℃の範囲、又は例えば約15℃~約30℃の範囲、例えば約18℃~約25℃の範囲、例えば、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、又は約24℃、例えば約22℃(室温)として実施される。
【0068】
本発明のある例において、小滴形成工程a)(例えば、噴霧工程)は、噴霧用気体の入口温度を約15℃~約30℃の範囲、好ましくは約18℃~約25℃の範囲等、例えば約22℃として実施される。
【0069】
噴霧用気体の入口圧力は、ノズルを通過する流速に影響を与え、形成される小滴のサイズのみならず小滴形成時に細菌に加わるストレスにも影響し得る。
【0070】
本発明のある例において、噴霧用気体の入口圧力は、約1kPa~約500kPaの範囲、例えば約5kPa~約500kPaの範囲、例えば約5kPa~約300kPaの範囲、例えば約5kPa~約100kPaの範囲、例えば約60kPa、又は例えば約70kPa、又は例えば約80kPa、又は例えば約100kPa~約400kPaの範囲、例えば、約120kPa、又は約150kPa、又は約200kPa、又は約250kPa、又は約300kPa、又は約350kPaである。
【0071】
本発明のある例において、噴霧用気体の入口圧力は、約100kPa~約400kPaの範囲にある。
【0072】
液体懸濁物から形成された小滴を凍結させることにより、特定の水分含有量を有する凍結粒子が得られる。本プロセスの幾つかの例において、凍結前の懸濁物の水分含有量は、凍結粒子の総重量に対し、約5重量%~約98重量%、例えば約10重量%~約95重量%、好ましくは約30重量%~約80重量%、又は約40重量%~約75重量%パーセントである。
【0073】
多くの場合、微生物は、凍結、乾燥、解凍、及び再水和の過程にある微生物の安定化を様々な形で助けることにより微生物の生存率を高めることができる添加剤化合物を添加することによって保存される。このような添加剤は、例えば、抗凍結剤、乾燥保護剤、又は低温保護剤(cryoformulation)と称されることもある。
【0074】
したがって、本発明のある例において、絶対嫌気性菌等の微生物を含む懸濁物は、1種又は複数種の安定化剤を更に含む。したがって、本発明のある例において、1種又は複数種の添加剤は、工程a)で小滴を形成する前の細菌懸濁物に添加される。
【0075】
本発明の幾つかの例において、1種又は複数種の添加剤は、工程a)の前に、約5%未満の酸素、例えば約2%未満の酸素、好ましくは約1%未満の酸素、例えば0.5%未満の酸素、例えば約0.05%未満の酸素の存在下に懸濁物に添加される。
【0076】
本発明の他の例において、1種又は複数種の添加剤は、工程a)で小滴を形成する前に、約0.5%未満の酸素、例えば約0.25%未満の酸素、例えば約0.1%未満の酸素、例えば約0.05%(約5ppm)未満の酸素、例えば、約0.02%未満の酸素、又は約0.03%未満の酸素、又は約0.04%未満の酸素の存在下に懸濁物に添加される。
【0077】
本発明の他のある例において、1種又は複数種の添加剤は、工程a)を行う前に、約0.0001%~約2%の範囲の酸素、例えば約0.0001%~約0.5%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.025%の範囲の酸素、例えば約0.01%の酸素、又は例えば約0.02%の酸素、又は約0.025%~約0.05%の範囲の酸素、例えば、約0.03%の酸素、又は約0.04%の酸素の存在下に懸濁物に添加される。本発明の他の例において、1種又は複数種の添加剤は、工程a)で小滴を形成する前に、本質的に嫌気性の条件下で懸濁物に添加される。
【0078】
本発明のある例において、様々な添加剤を、微生物、例えば絶対嫌気性菌を含む懸濁物に添加又は混合することができる。したがって、本発明の幾つかの例において、この種の1種又は複数種の添加剤は、イノシトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、イヌリン、マルトデキストリン、デキストロース、アルギン酸(alginate)又はその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)、脱脂粉乳、酵母エキス、カゼインペプトン、加水分解カゼイン等の加水分解タンパク質、カゼイン又はその塩(カゼインナトリウム等)、イノシン、イノシンモノホスペート(inosinemonophospate)及びその塩、グルタミン及びその塩(グルタミン酸ナトリウム等)、アスコルビン酸及びその塩(アスコルビン酸ナトリウム等)、クエン酸及びその塩、没食子酸プロピル又はその塩、ポリソルベート、硫酸マグネシウムの水和物(例えば、七水和物)、硫酸マンガンの水和物(例えば、一水和物)、並びにリン酸水素二カリウム、没食子酸プロピル、並びにこれらの組合せからなる群から選択される。
【0079】
本発明の幾つかの例において、1種又は複数種の添加剤は、酵母エキス、デキストロース、ポリソルベート、リン酸水素二カリウム、硫酸マグネシウム七水和物、硫酸マンガン一水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0080】
本発明の幾つかの例において、1種又は複数種の添加剤は、酵母エキス、デキストロース、ポリソルベート、リン酸水素二カリウム、硫酸マグネシウム七水和物、硫酸マンガン一水和物、及び任意選択的なビタミンの混合物からなる群から選択される。
【0081】
工程c)
本プロセスの工程c)において、工程b)で得られた凍結粒子を液体窒素等の極低温材料から分離又は単離することにより、精製された凍結粒子が得られる。本プロセスの幾つかの例において、凍結粒子は、フィルタ(静電フィルタ等)又は篩を用いて液体窒素等の極低温材料から分離される。
【0082】
本プロセスのある例において、b)で得られた凍結粒子は液体窒素等の極低温材料から分離され、篩、例えば、開口径が約500マイクロメートル未満、例えば、約10~約400マイクロメートルの範囲、例えば約40マイクロメートル~約300マイクロメートルの範囲、例えば約50マイクロメートル~約250マイクロメートルの範囲、例えば約50マイクロメートル、例えば約100マイクロメートル、例えば約150マイクロメートル、例えば約200マイクロメートル、又は例えば約250マイクロメートルの篩等を使用して回収される。
【0083】
本プロセスのより具体的な例において、工程b)で得られた凍結粒子は、液体窒素等の極低温材料から、開口径が約40マイクロメートル~約300マイクロメートルの範囲にある篩等の篩を使用して分離される。
【0084】
液体懸濁物から形成された小滴を凍結させることにより、特定の水分含有量を有する凍結粒子が得られる。本プロセスの幾つかの例において、精製された凍結粒子の水分含有量は、精製された凍結粒子の総重量に対し、約5重量%~約98重量%の間、例えば10重量%~約95重量%の間、好ましくは約30重量%~約80重量%の間、又は約40重量%~約75重量%パーセントの間にある。
【0085】
工程d)
本発明の凍結粒子は、任意選択的に、例えば凍結乾燥又は流動床乾燥等の様々な技法を用いて更に乾燥することにより、乾燥した粒子を生成することができる。
【0086】
本発明のある例において、プロセスは、乾燥した粒子を生成するための乾燥工程を含む。このような乾燥工程を行う間、通常、粒子の水分含有量は、水分を蒸発又は昇華させることにより低減される。好ましくは、乾燥した粒子を生成するための精製された凍結粒子の乾燥は、減圧下で、凍結乾燥(freeze-drying、lyophilization)等により実施される。
【0087】
乾燥工程は、生成物の水分含有量及び/又は水分活性を低下させるために実施され、これは、絶対嫌気性菌等の微生物の安定化を促進するために低下させるものである。本プロセスの幾つかの例において、精製された凍結粒子の乾燥は、水分活性(aw)が約0.8未満、例えば0.6未満、例えば約0.01~約0.8の範囲、例えば約0.05~約0.5の範囲、例えば約0.1、又は例えば約0.2、又は例えば約0.3、又は例えば約0.4になるまで実施される。
【0088】
本プロセスの幾つかの例において、精製された凍結粒子の乾燥は、例えば、乾燥された粒子の水分含有量が、粒子の総重量に対し、約0.1重量%~約30重量%、例えば約1重量%~約15重量%の範囲、例えば約5重量%~約10重量%の範囲、又は約0.1重量%~約5重量%の範囲になるまで実施される。
【0089】
その結果として、本開示の一実施形態において、乾燥粒子は、最確数(MPN)、コロニー形成単位(CFU)数、又はフローサイトメトリー等の標準的な実験室用手段を使用して測定される生細胞数により定められるものなどの生存能力が、1グラム当たり少なくとも1.0×10E4である微生物を含む。
【0090】
本開示の一実施形態において、乾燥した粒子は、最確数(MPN)、コロニー形成単位(CFU)数、又はフローサイトメトリー等の標準的な実験室用手段を使用して測定された生細胞数により定められるものなどの生存能力が、1グラム当たり1.0×10E4を超える、例えば1.0×10E4~1.0×10E13の範囲、例えば1グラム当たり約1.0×10E4~約1.0×10E10の範囲、例えば1グラム当たり約1.0×10E5、約1×10E6、約1.0×10E7、約1×10E8、約1.0×10E9、約2.5×10E9、約5.0×10E9、又は約7.5×10E9である微生物を含む。
【0091】
本開示の一実施形態において、乾燥した粒子は、最確数(MPN)、コロニー形成単位(CFU)数、又はフローサイトメトリー等の標準的な実験室用手段を使用して測定された生細胞数により定められるものなどの生存能力が、1グラム当たり約1.0×10E4~約1.0×10E13の範囲、例えば、約10E6~約10E10の範囲にあり、例えば約10E7である微生物を含む。
【0092】
微生物(例えば、絶対嫌気性菌)を含む懸濁物は、小滴を形成する前に濃縮することができる。このような濃縮は、水分及び微生物を培養するために使用された培地の成分を除去する役割を果たす。したがって、本発明の幾つかの例において、プロセスは、工程a)で小滴を形成(霧化)する前に、微生物の懸濁物を、例えば遠心分離又は濾過によって懸濁物から流体を除去することにより濃縮する濃縮工程を更に含む。
【0093】
本発明の幾つかの例において、プロセスは、小滴形成(例えば、霧化)工程a)の前に、微生物(例えば、絶対嫌気性菌)の懸濁物を、約5%未満の酸素、例えば約2%未満の酸素、好ましくは約1%未満の酸素、例えば0.5%未満の酸素、例えば約0.05%未満の酸素の存在下に、例えば遠心分離又は濾過によって懸濁物から流体を除去することにより濃縮する濃縮工程を更に含む。
【0094】
本発明の幾つかのより具体的な例において、プロセスは、小滴形成(例えば、霧化)工程a)の前に、微生物又はタンパク質の懸濁物を、約0.0001%~約2%の範囲の酸素、例えば約0.0001%~約0.5%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.05%の範囲の酸素、例えば0.001%~約0.025%の範囲の酸素、例えば約0.01%、又は例えば約0.02%、又は約0.025%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.03%、又は例えば約0.04%の酸素の存在下に濃縮する濃縮工程を更に含む。
【0095】
本発明の幾つかのより具体的な例において、プロセスは、小滴形成(例えば、霧化)工程a)の前に、更に濃縮工程を含み、この濃縮工程は、本質的に嫌気性の条件下で実施される。
【0096】
工程a)で小滴を形成(霧化)する前に、濃縮された微生物の懸濁物等の微生物(例えば、絶対嫌気性菌)の懸濁物から、成分、例えば培地の成分を除去するために微生物の懸濁物を洗浄する、更なる洗浄工程も含まれていてもよい。
【0097】
本発明の幾つかの例において、プロセスは、小滴形成(例えば、霧化)工程a)の前に、微生物(例えば、絶対嫌気性菌)の懸濁物、例えば、濃縮された微生物の懸濁物を、懸濁物中の微生物(例えば、絶対嫌気性菌)を維持したまま、培地の成分を除去するために、約5%未満の酸素、例えば約2%未満の酸素、好ましくは約1%未満の酸素、例えば0.5%の酸素、例えば約0.05%未満の酸素の存在下に洗浄する、洗浄工程を更に含む。
【0098】
本発明の幾つかのより具体的な例において、プロセスは、小滴形成(例えば、霧化)工程a)の前に、濃縮された微生物の懸濁物等の微生物(例えば、絶対嫌気性菌)の懸濁物を、約0.0001%~約2%の範囲の酸素、例えば約0.0001%~約0.5%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.025%の範囲の酸素、例えば約0.01%、又は例えば約0.02%、又は約0.025%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.03%、又は例えば、約0.04%の酸素の存在下に洗浄する、洗浄工程を更に含む。
【0099】
本発明の幾つかのより具体的な例において、プロセスは、小滴形成(例えば、霧化)工程a)の前に、更に洗浄工程を含み、濃縮工程は、本質的に嫌気性の条件下で実施される。
【0100】
酸素感受性微生物(例えば、絶対嫌気性菌)を増殖させ、本発明の製造プロセスに用いられる生存可能な材料を提供するために、酸素感受性微生物(例えば、絶対嫌気性菌)を、例えば、濃縮及び/又は安定化する前に、培地で発酵させる。
【0101】
酸素感受性微生物(例えば、絶対嫌気性菌)を得るために、この種の発酵工程は、微生物を酸素から保護する形で実施することができる。したがって、本発明の幾つかの例において、プロセスは、工程a)の前に、懸濁物を、約5%未満の酸素、例えば約2%未満の酸素、好ましくは約1%未満の酸素、例えば約0.5%未満の酸素、例えば約0.05%未満の酸素の存在下に発酵させる発酵工程を更に含む。
【0102】
本発明の幾つかの例において、プロセスは、工程a)の前に、懸濁物を本質的に嫌気性の条件下で発酵させる発酵工程を更に含む。
【0103】
酸素感受性微生物(例えば、絶対嫌気性菌)の生存率を高めると共にストレスを減らすために、本発明のプロセスは、発酵工程、濃縮工程、及びプロセス工程a)~b)、又はプロセス工程a)~c)、又はプロセス工程a)~d)、又はプロセス工程a)~e)を含むことができ、これらは全て0.5%以下の酸素、例えば0.05%未満の酸素の存在下に実施される。
【0104】
本発明のより具体的な例において、本発明のプロセスは、発酵工程、濃縮工程、及びプロセス工程a)~b)、又はプロセス工程a)~c)、又はプロセス工程a)~d)、又はプロセス工程a)~e)を含むことができ、これらは全て、本質的に嫌気性の条件下で実施される。
【0105】
本プロセスに洗浄工程が更に含まれる場合、本発明のプロセスは、発酵工程、濃縮工程、洗浄工程、及びプロセス工程a)~b)、又はプロセス工程a)~c)、又はプロセス工程a)~d)、又はプロセス工程a)~e)を更に含むことができ、これらは全て、0.5%以下の酸素、例えば0.05%未満の酸素の存在下に実施される。
【0106】
本プロセスが洗浄工程を更に含む場合、本発明のプロセスは、発酵工程、濃縮工程、洗浄工程、及びプロセス工程a)~b)、又はプロセス工程a)~c)、又はプロセス工程a)~d)、又はプロセス工程a)~e)を更に含むことができ、これらは全て、本質的に嫌気性の条件下で実施される。
【0107】
本発明のプロセスにより得られる製品
本発明の更なる態様は、本明細書に記載する本発明のプロセスにより得ることができる粒子製品である。このような粒子は、絶対嫌気性菌等の酸素感受性微生物を含み、凍結又は乾燥されていても、単離されているか又は液体窒素等の極低温材料に含まれていてもよい。本発明のある例において、粒子は、凍結粒子又は乾燥粒子であり、より具体的には、粒子は乾燥粒子である。
【0108】
本発明の粒子は、単一種の微生物(例えば、単一種の絶対嫌気性菌)又は複数種の微生物(例えば、複数種の絶対嫌気性菌)を含むことができる。
【0109】
本発明による粒子は、少なくとも1種の絶対嫌気性菌を含むことができる。本発明のある例において、粒子(例えば、乾燥粒子)は、少なくとも1種の微生物(例えば、絶対嫌気性菌)及び1種又は複数種の添加剤からなる。
【0110】
本発明による粒子は、マイクロメートル単位で測定されたDv50値が、約5~約800ミクロン、例えば約5~約600ミクロン、例えば5~約500マイクロメートル、例えば約5~約400マイクロメートルの範囲、例えば約10~約350マイクロメートル、約10マイクロメートル~約300マイクロメートル、約10マイクロメートル~約250マイクロメートル、例えば約10マイクロメートル~約50マイクロメートル、又は例えば約50マイクロメートル~約200マイクロメートル、例えば約50マイクロメートル~約100マイクロメートル、例えば約75マイクロメートル、又は例えば約100マイクロメートル~約200マイクロメートル、例えば約150マイクロメートルとなるサイズを有することができる。
【0111】
本発明のある例において、粒子は、マイクロメートル単位で測定されたDv50値が、約5~約400マイクロメートル、好ましくは約10~約250マイクロメートルとなるサイズを有する。
【0112】
乾燥粒子の液体(例えば、水分)含有量は、細菌(例えば、絶対嫌気性菌)の安定性に影響を与える。したがって、本発明による乾燥粒子の液体(例えば、水分)含有量は、粒子の総重量に対し、約0.1重量%~約30重量%の間、例えば約1重量%~約15重量%の範囲、例えば約5重量%~約10重量%の範囲、又は例えば約0.1重量%~約5重量%の範囲とすることができる。
【0113】
したがって、本発明の一例において、乾燥粒子は、少なくとも1種の絶対嫌気性菌を含み、マイクロメートル単位で測定されたDv50値が、約5~約400マイクロメートル、好ましくは約10マイクロメートル~約200マイクロメートルとなるサイズを有することができ、更に液体(例えば、水分)含有量は、粒子の総重量に対し、約0.1重量%~約30重量%、例えば約1重量%~約15重量%の範囲、例えば約5重量%~約10重量%の範囲、又は例えば約0.1重量%~約5重量%の範囲にある。
【0114】
粉末の流動特性、密度、凝集力、及び壁面摩擦等の粉末特性は、本発明の絶対嫌気性菌等の微生物を含む乾燥粒子の取扱い及び加工に影響を与え得る。粒子の流動特性は、個々の粒子に作用する集合力(例えば、ファンデルワールス、静電、表面張力、咬み合い、及び摩擦)によって生じる。
【0115】
本発明の特定の例において、乾燥粒子は、凝集が低減されており、粒度分布(size distribution)が比較的狭い。
【0116】
本発明の幾つかの例において、本発明の複数の粒子は自由流動性粉末を形成する。
【0117】
本発明のプロセスに使用するための装置
本発明の更なる態様は、本発明のプロセスに使用可能な装置を提供する。この種の装置は、室を備えることができ、室は、i)懸濁物を噴霧又は霧化するための霧化手段と、ii)任意選択的な、噴霧用気体の入口と、iii)極低温材料、即ち、極低温液体及び/又は極低温気体の入口と、iv)凍結粒子の出口と、を備える。
【0118】
本発明のプロセス及び装置は、絶対嫌気性菌等の酸素感受性細菌用に特別に設計されている。したがって、工程a)~b)、又はa)~c)、又はa)~d)を実施するための手段は、微生物(例えば、絶対嫌気性菌)と接触する酸素の量を低減するのに適している。つまり、本発明のある例において、工程a)~b)、又はa)~c)、又はa)~d)は、約0.5%未満の酸素、例えば約0.25%未満の酸素、例えば約0.1%未満の酸素、例えば約0.05%(約500ppm)未満の酸素、例えば約0.02%未満の酸素、又は約0.03%未満の酸素、又は約0.04%未満の酸素の存在下に実施される。
【0119】
本発明のプロセスは、前記微生物を含む懸濁物の小滴を形成する工程a)を含む。したがって本発明の装置は、小滴を形成するための手段、より具体的には噴霧ノズル等の霧化装置を備える。本発明のある例において、霧化装置(噴霧ノズル)は、二流体ノズル(例えば、窒素又は希ガス等の他の不活性気体を霧化用気体として使用する)、超音波ノズル、加圧ノズル、振動ノズル、高周波ノズル(frequency nozzle)、静電ノズル、又は回転霧化装置からなる群から選択される。本発明のより具体的な例において、霧化装置(噴霧ノズル)は、二流体ノズル及び静電ノズルからなる群から選択される。
【0120】
本発明の幾つかの例において、霧化手段(例えば、二流体ノズル)は、噴霧用気体の入口と、任意選択的な、入口の噴霧用気体の圧力を制御するための手段と、を備える。
【0121】
プロセス工程d)は、極低温材料(例えば、液体窒素)から凍結粒子を分離することを含む。つまり、本発明の幾つかの例において、本装置は、これに従い、極低温材料(液体窒素等)から凍結粒子を回収するため又は凍結粒子を分離するための手段、例えば篩又はフィルタ(例えば、静電フィルタ)を備える。
【0122】
本発明の特定の例において、装置は、開口径が約500マイクロメートル未満、例えば約40マイクロメートル~約300マイクロメートル、例えば約50マイクロメートル~約250マイクロメートルの範囲、例えば約50マイクロメートル、例えば約100マイクロメートル、例えば約150マイクロメートル、例えば約200マイクロメートル、又は例えば約250マイクロメートルである篩等の篩を備える。
【0123】
本発明のより具体的な例において、凍結粒子を回収するための手段は、開口径が約40マイクロメートル~約300マイクロメートルの範囲にある篩等の篩である。
【0124】
本開示の更なる例において、極低温材料は、ヘリウム、水素、窒素、空気、フッ素、アルゴン、酸素、メタン、二酸化炭素、亜酸化窒素、及び/又は窒化炭素(nitrous carbon)の群から選択される。極低温材料は、気相及び/又は液相であってもよく、したがって、極低温材料は、1種若しくは複数種の極低温液体及び/又は1種若しくは複数種の極低温気体であってもよい。極低温材料の沸点は-50℃(-58°F)未満であり、典型的には1気圧で-150℃(-238°F)未満である。本開示の特定の例において、極低温材料は液体窒素である。本開示の幾つかの例において、極低温材料の温度は、-50℃(-58°F)以下、より好ましくは-75℃(-103°F)以下、より更に好ましくは-100℃(-148°F)以下、一層好ましくは-125℃(-193°F)以下、最も好ましくは-150℃(-238°F)以下である。
【0125】
本発明を更に説明する番号付けされた項目
1.絶対嫌気性菌を含む懸濁物中の細菌を保存するためのプロセスであって、次に示す工程:
a)懸濁物を噴霧又は霧化することにより、前記絶対嫌気性菌を含む液体懸濁物の小滴を形成する工程と、
b)液体窒素等の極低温材料を含む室内に小滴を吐出することにより、凍結粒子を生成する工程と、
c)b)で得られた凍結粒子を液体窒素等の極低温材料から分離することにより、精製された凍結粒子を得る工程と、
を含む、プロセス。
【0126】
2.絶対嫌気性菌を含む懸濁物中の細菌を保存するためのプロセスであって、次に示す工程:
a)懸濁物を噴霧又は霧化することにより、前記絶対嫌気性菌を含む液体懸濁物の小滴を形成する工程と、
b)小滴を、液体窒素等の極低温材料及び/又は極低温気体と接触させることにより、凍結粒子を生成する工程と;
c)b)で得られた凍結粒子を液体窒素等の極低温材料から分離することにより、精製された凍結粒子を得る工程と、
を含み、プロセス工程a)~c)は、約2%以下の酸素、例えば約1%未満の酸素、好ましくは約0.5%未満の酸素、例えば約0.05%未満の酸素の存在下に実施される、プロセス。
【0127】
3.精製された凍結粒子を、減圧下等で乾燥工程d)、例えば凍結乾燥に付すことにより、乾燥粒子を生成する、項目1又は2に記載のプロセス。
【0128】
4.工程c)から得られた凍結粒子又は工程d)で得られた乾燥粒子は、包装工程e)において気密性及び/又は湿密性包装体に包装される、項目1に記載のプロセス。
【0129】
5.工程a)~c)は、約0.5%未満の酸素、例えば約0.25%未満の酸素、例えば約0.1%未満の酸素、例えば約0.05%(約5ppm)未満の酸素、例えば約0.02%未満の酸素、又は約0.03%未満の酸素、又は約0.04%未満の酸素の存在下に実施され、好ましくは、工程d)及びe)は、前記酸素濃度下で実施される、項目1に記載のプロセス。
【0130】
6.プロセス工程a)~c)は、約0.0001%~約2%の範囲の酸素、例えば約0.0001%~約0.5%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.025%の範囲の酸素、例えば約0.01%、又は例えば約0.02%、又は約0.025%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.03%、又は例えば約0.04%の酸素の存在下に実施され、好ましくは、工程d)及びe)も、前記酸素濃度中で実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0131】
7.プロセス工程a)~c)は、約0.0001%~約0.5%酸素の範囲、例えば約0.001%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.025%の範囲の酸素、例えば約0.01%、又は例えば約0.02%、又は約0.025%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.03%、又は例えば約0.04%の酸素の存在下に実施され、好ましくは、工程d)及びe)も、前記酸素濃度中で実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0132】
8.工程a)~c)は、本質的に嫌気性の条件下で実施され、好ましくは、工程d)及びe)も、本質的に嫌気性の条件下で実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0133】
9.工程a)~c)は、例えば、気体窒素又は希ガス等の酸素以外の気体の存在下に実施され、好ましくは、工程d)及びe)も、前記気体条件下に実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0134】
10.懸濁物は、アドラークロイツィア属菌種(Adlercreutzia sp.)、アッカーマンシア属菌種(Akkermansia sp.)、アリスティペス属菌種(Alistipes sp.)、アナエロツルンカス属菌種(Anaerotruncus sp.)、バクテロイダレス綱菌種(Bacteroidales)、バクテロイデス属菌種(Bacteroides sp.)、ブラウティア属菌種(Blautia sp.)、ブチリシコッカス属菌種(Butyricicoccus sp.)、ブチリビブリオ属菌種(Butyrivibrio sp.)、カタバクテリウム科菌種(Catabacteriaceae sp.)、クリステンセネラ属菌種(Christensenella sp.)、クロストリジウム目菌種(Clostridiales sp.)、クロストリジウム属菌種(Clostridium sp.)、コリンゼラ属菌種(Collinsella sp.)、コプロコッカス属菌種(Coprococcus sp.)、キューティバクテリウム属菌種(Cutibacterium sp.)、ディアリスター属菌種(Dialister sp.)、ドレア属菌種(Dorea sp.)、エリュシペロトリクス科菌種(Erysipelotrichaceae sp.)、ユウバクテリウム属菌種(Eubacterium sp.)、フィーカリバクテリウム属菌種(Faecalibacterium sp.)、フラボニフラクター属菌種(Flavonifractor sp.)、フソバクテリウム属菌種(Fusobacterium sp.)、ハフニア属菌種(Hafnia sp.)、ホルデマニア属菌種(Holdemania sp.)、ハンガテラ属菌種(Hungatella sp.)、インテスティニバクター属菌種(Intestinibacter sp.)、ラクノバクテリウム属菌種(Lachnobacterium sp.)、ラクノスピラ属菌種(Lachnospira sp.)、ラクノスピラ科菌種(Lachnospiraceae sp,)、ラクノスピラ科に属する新属新種(Lachnospiraceae gen.nov.sp.Nov)、ラクノスピラ科に属する新種(Lachnospiraceae sp.nov.)、メタノブレウィバクテル属菌種(Methanobrevibacter sp.)、メタノマッシリイコックス属菌種(Methanomassiliicoccus sp.)、メタノサルキナ属菌種(Methanosarcina sp.)、ミツオケラ属菌種(Mitsuokella sp.)、オドリバクター属菌種(Odoribacter sp.)、オシロスピラ属菌種(Oscillospira sp.)、オキサロバクター属菌種(Oxalobacter sp.)、パラバクテロイデス属菌種(Parabacteroides sp.)、ファスコラークトバクテリウム属菌種(Phascolarctobacterium sp.)、ポルフィロモナス科菌種(Porphyromonadaceae sp.)、プレボテラ属菌種(Prevotella sp.)、プロピオニバクテリウム属菌種(Propionibacterium sp.)、リケネラ科菌種(Rikenellaceae sp.)、ロゼブリア属菌種(Roseburia sp.)、ルミノコッカス属菌種(Ruminococcus sp.)、サブドリグラヌルム属菌種(Subdoligranulum sp.)、サテレラ属菌種(Sutterella sp.)、ツリシバクター科菌種(Turicibacteraceae sp.)からなる群から選択される少なくとも1種の絶対嫌気性菌を含む、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0135】
11.懸濁物は、アドラークロイツィア属菌種(Adlercreutzia sp.)、アドラークロイツィア・エクオーリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)、アッカーマンシア属菌種(Akkermansia sp.)、アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)、アリスティペス属菌種(Alistipes sp.)、アリスティペス・ファインゴールディイ(Alistipes finegoldii)、アリスティペス・ハドラス(Alistipes hadrus)、アリスティペス・インディスティンクタス(Alistipes indistinctus)、アリスティペス・オンケルドンキイ(Alistipes onkerdonkii)、アリスティペス・ピュトレディニス(Alistipes putredinis)、アリスティペス・シャーヒイ(Alistipes shahii)、アナエロスティペス属菌種(Anaerostipes sp.)、アナエロスティペス・カカエ(Anaerostipes caccae)、アナエロスティペス・ハドラス(Anaerostipes hadrus)、アナエロツルンカス属菌種(Anaerotruncus sp.)、バクテロイデス目菌種(Bacteroidales)、バクテロイデス属菌種(Bacteroides sp.)、バクテロイデス・ドレイ(Bacteroides dorei)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・インテスティナーリス(Bacteroides intestinalis)、バクテロイデス・インテスティニホミニス(Bacteroides intestinihominis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・ピュトレディニス(Bacteroides putredinis)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、バクテロイデス・ブルガータス(Bacteroides vulgatus)、バクテロイデス・キシラニソルベンス(Bacteroides xylanisolvens)、ブラウティア属菌種(Blautia sp.)、ブラウティア・ルティ(Blautia luti)、ブラウティア・オベウム(Blautia obeum)、ブラウティア・ウェクスレラエ(Blautia wexlerae)、ブチリシコッカス属菌種(Butyricicoccus)、ブチリビブリオ・フィブリソルベンス(Butyrivibrio fibrisolvens)、ブチリビブリオ属菌種(Butyrivibrio sp.)、カタバクテリウム科菌種(Catabacteriaceae)、クリステンセネラ属菌種(Christensenella sp.)、クロストリジウム目菌種(Clostridiales)、クロストリジウム属菌種(Clostridium sp.)、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)、クロストリジウム・スパイロフォルメ(Clostridium spiroforme)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、コリンセラ属菌種(Collinsella sp.)、コリンセラ・アエロファシエンス(Collinsella aerofaciens)、コプロコッカス属菌種(Coprococcus sp.)、コプロコッカス・カツス(Coprococcus catus)、コプロコッカス・コメス(Coprococcus comes)、コプロコッカス・オイタクツス(Coprococcus eutactus)、コプロコッカス属菌種(Coprococcus sp.)、キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)、ディアリスター属菌種(Dialister sp.)、ディアリスター・インビサス(Dialister invisus)、ドレア属菌種(Dorea sp.)、ドレア・フォルミシゲネランス(Dorea formicigenerans)、ドレア・ロンギカテナ(Dorea longicatena)、エリシペロトリクス科菌種(Erysipelotrichaceae)、ユウバクテリウム属菌種(Eubacterium sp.)、ユウバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)、ユウバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)、ユウバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、ユウバクテリウム・ラムルス(Eubacterium ramulus)、ユウバクテリウム・レクターレ(Eubacterium rectale)、ユウバクテリウム・シラエウム(Eubacterium siraeum)、ユウバクテリウム・ベントリオサム(Eubacterium ventriosum)、フィーカリバクテリウム属菌種(Faecalibacterium sp.)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)、フラボニフラクター・プラウティ(Flavonifractor plautii)、フゾバクテリウム・プラウスニッツイ(Fusobacterium prausnitzii、ハフニア属菌種(Hafnia)、ホールディマニア属菌種(Holdemania)、フンガテラ・ハセワイイ(Hungatella hathewayi)、インテスティニバクター・バルトレッティ(Intestinibacter bartlettii)、ラクノバクテリウム属菌種(Lachnobacterium)、ラクノスピラ属菌種(Lachnospira)、ラクノスピラ・ペクチノスチザ(Lachnospira pectinoshiza)、ラクノスピラ科菌種(Lachnospiraceae)、ラクノスピラ科に属する新属新種(Lachnospiraceae gen.nov.sp.Nov)、ラクノスピラ科に属する新種(Lachnospiraceae sp.nov.)、メタノブレウィバクテル属菌種(Methanobrevibacter sp.)、メタノマッシリイコックス属菌種(Methanomassiliicoccus sp.)、メタノサルシナ属菌種(Methanosarcina)、ミツオケラ・マルチアシダス(Mitsuokella multiacidus)、オドリバクター属菌種(Odoribacter)、オシロスピラ属菌種(Oscillospira)、オキサロバクター・フォルミゲネス(Oxalobacter formigenes)、パラバクテロイデス属菌種(Parabacteroides sp.)、パラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)、ファスコラクトバクテリウム属菌種(Phascolarctobacterium)、ポルフィロモナス科菌種(Porphyromonadaceae)、プレボテラ属菌種(Prevotella sp.)、プレボテラ・アルベンシス(Prevotella albensis)、プレボテラ・アムニー(Prevotella amnii)、プレボテラ・バーゲンシス(Prevotella bergensis)、プレボテラ・ビビア(Prevotella bivia)、プレボテラ・ブレビス(Prevotella brevis)、プレボテラ・ブライアンティイ(Prevotella bryantii)、プレボテラ・ブッカエ(Prevotella buccae)、プレボテラ・ブッカリス(Prevotella buccalis)、プレボテラ・コプリ(Prevotella copri)、プレボテラ・デンターリス(Prevotella dentalis)、プレボテラ・デンティコラ(Prevotella denticola)、プレボテラ・ディシエンス(Prevotella disiens)、プレボテラ・ヒスチコラ(Prevotella histicola)、プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・マクロサ(Prevotella maculosa)、プレボテラ・マルシイ(Prevotella marshii)、プレボテラ・メラニノジェニカ(Prevotella melaninogenica)、プレボテラ・ミカンス(Prevotella micans)、プレボテラ・マルチフォルミス(Prevotella multiformis)、プレボテラ・ニグレッセンス(Prevotella nigrescens)、プレボテラ・オラリス(Prevotella oralis)、プレボテラ・オリス(Prevotella oris)、プレボテラ・オウロラム(Prevotella oulorum)、プレボテラ・パレンス(Prevotella pallens)、プレボテラ・サリバーエ(Prevotella salivae)、プレボテラ・ステルコレア(Prevotella stercorea)、プレボテラ・タンネラエ(Prevotella tannerae)、プレボテラ・チモネンシス(Prevotella timonensis)、プレボテラ・ベロラリス(Prevotella veroralis)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、リケネラ科菌種(Rikenellaceae)、ロゼブリア属菌種(Roseburia sp.)、ロゼブリア・ファエシス(Roseburia faecis)、ロゼブリア・ホミニス(Roseburia hominis)、ロゼブリア・インテスティナーリス(Roseburia intestinalis)、ロゼブリア・イヌリニボランス(Roseburia inulinivorans)、ルミノコッカス属菌種(Ruminococcus sp.)、ルミノコッカス・ビサーキュランス(Ruminococcus bicirculans)、ルミノコッカス・ガウブレアウイイ(Ruminococcus gauvreauii)、ルミノコッカス・グナバス(Ruminococcus gnavus)、ルミノコッカス・ラクタリス(Ruminococcus lactaris)、ルミノコッカス・オベウム(Ruminococcus obeum)、ルミノコッカス・トルキース(Ruminococcus torques)、ルミノコッカス・アルブス(Ruminococcus albus)、ルミノコッカス・ブローミイ(Ruminococcus bromii)、ルミノコッカス・カリダス(Ruminococcus callidus)、ルミノコッカス・フラベファシエンス(Ruminococcus flavefaciens)、ルミノコッカス・ガウブレアウイイ(Ruminococcus gauvreauii)、サブドリグラヌルム属菌種(Subdoligranulum)、ステレラ属菌種(Sutterella)、及びツリシバクター科菌種(Turicibacteraceae)からなる群から選択される少なくとも1種の絶対嫌気性菌を含む、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0136】
12.工程a)は、圧力が約60kPa~200kPaの範囲、例えば、80kPa~120kPaの範囲、好ましくは90kPa~約110kPaの範囲、例えば約101kPa(大気圧)に維持された室内で実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0137】
13.工程b)は、圧力が約60kPa~200kPaの範囲、例えば80kPa~120kPaの範囲、好ましくは90kPa~約110kPaの範囲、例えば約101kPa(大気圧)に維持された室内で実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0138】
14.工程a)、b)、及びc)は、圧力が約60kPa~200kPaの範囲、例えば、80kPa~120kPaの範囲、好ましくは90kPa~約110kPaの範囲、例えば約101kPa(大気圧)に維持された室内で実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0139】
15.工程a)及びb)は、同一室内で、例えば、液体窒素等の極低温材料を含む室内に懸濁物を噴霧することにより実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0140】
16.工程a)及びb)は、同一室内で、例えば、液体窒素及び/又は気相にある窒素等の極低温材料を含む室内に懸濁物を噴霧することにより実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0141】
17.工程a)及びb)は、同一室内で、例えば、液体窒素等の極低温材料を含む室内に懸濁物を噴霧することにより実施され、室の圧力は、90kPa~約110kPaの範囲、例えば約101kPa(大気圧)に維持される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0142】
18.小滴の調製は、超音波ノズル;加圧ノズル;二流体ノズル(例えば、霧化用気体としてN等の極低温気体を使用);振動ノズル;高周波ノズル(frequency nozzle)、静電ノズル;又は回転霧化装置等の噴霧ノズル(霧化装置)を用いて実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0143】
19.小滴の調製は、二流体ノズルを用いて実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0144】
20.小滴調製の結果として、マイクロメートル単位で測定されたDv50値が、約5~約800マイクロメートル、例えば約5~約600マイクロメートル、例えば約5~約500マイクロメートル、例えば約5~約400マイクロメートルの範囲、例えば約10~約350マイクロメートル、約10マイクロメートル~約300マイクロメートル、約10マイクロメートル~約200マイクロメートル、例えば約10マイクロメートル~約50マイクロメートル、又は例えば約50マイクロメートル~約200マイクロメートル、例えば約50マイクロメートル~約100マイクロメートル、例えば約75マイクロメートル、又は例えば約100マイクロメートル~約200マイクロメートル、例えば約150マイクロメートルとなるサイズを有する小滴が生成する、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0145】
21.小滴の調製は、噴霧ノズル(霧化装置)を用いて実施され、調製された小滴は、マイクロメートル単位で測定されたDv50値が、5~400マイクロメートル、好ましくは10~250マイクロメートルとなるサイズを有する、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0146】
22.工程a)における小滴の形成は、噴霧用気体(霧化用気体)を用いて実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0147】
23.噴霧用気体は、不活性気体(窒素等)、希ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン、又はネオン)、二酸化炭素、及び気体アルカン(メタン等)、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0148】
24.噴霧用気体は、窒素を含むか又は窒素からなる、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0149】
25.小滴形成工程(例えば、噴霧工程)は、噴霧用気体入口温度を、最大約80℃、例えば約70℃、例えば約60℃、例えば約0℃~約60℃の範囲、例えば約0℃~約15℃の範囲、又は例えば約15℃~約30℃の範囲、例えば約18℃~約25℃、例えば、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、又は約24℃、例えば約22℃(室温)として実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0150】
26.小滴形成工程(例えば、噴霧工程)は、噴霧用気体入口温度を、約15℃~約30℃の範囲、好ましくは、例えば約18℃~約25℃の範囲、例えば約22℃として実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0151】
27.噴霧用気体の入口圧力は、約1kPa~約500kPaの範囲、例えば約5kPa~約500kPaの範囲、例えば約5kPa~約300kPaの範囲、例えば約5kPa~約100kPaの範囲、例えば約60kPa、又は例えば約70kPa、又は例えば約80kPa、又は例えば約100kPa~約400kPaの範囲、例えば約120kPa、又は約150kPa、又は約200kPa、又は約250kPa、又は約300kPa、又は約350kPaである、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0152】
28.噴霧用気体の入口圧力は、約100kPa~約400kPaの範囲にある、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0153】
29.懸濁物は、1種又は複数種の安定化剤を更に含む、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0154】
30.工程a)の前に、1種又は複数種の添加剤が微生物の懸濁物に添加される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0155】
31.1種又は複数種の添加剤は、工程a)の前に、約5%未満の酸素、例えば約2%未満の酸素、好ましくは約1%未満の酸素、例えば0.5%未満の酸素、例えば約0.05%未満の酸素の存在下に懸濁物に添加される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0156】
32.1種又は複数種の添加剤は、工程a)において、約0.5%未満の酸素、例えば約0.25%未満の酸素、例えば約0.1%未満の酸素、例えば約0.05%(約5ppm)未満の酸素、例えば約0.02%未満の酸素、又は約0.03%未満の酸素、又は約0.04%未満の酸素の存在下に懸濁物に添加される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0157】
33.1種又は複数種の添加剤は、工程a)の前に、約0.0001%~約2%の範囲の酸素、例えば約0.0001%~約0.5%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.025%の範囲の酸素、例えば約0.01%の酸素、又は例えば約0.02%の酸素、又は約0.025%~約0.05%の範囲の酸素、例えば、約0.03%の酸素、又は約0.04%の酸素の存在下に懸濁物に添加される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0158】
34.1種又は複数種の添加剤は、工程a)の前に、本質的に嫌気性の条件下で懸濁物に添加される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0159】
35.1種又は複数種の添加剤は、イノシトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、イヌリン、マルトデキストリン、デキストロース、アルギン酸(alginate)又はその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)、脱脂粉乳、酵母エキス、カゼインペプトン、加水分解タンパク質、例えば、加水分解カゼイン、カゼイン又はその塩(カゼインナトリウム等)、イノシン、イノシンモノホスペート(inosinemonophospate)及びその塩、グルタミン及びその塩(グルタミン酸ナトリウム等)、アスコルビン酸及びその塩(アスコルビン酸ナトリウム等)、クエン酸及びその塩、ポリソルベート、硫酸マグネシウムの水和物(例えば、七水和物)、硫酸マンガンの水和物(例えば、一水和物)、並びにリン酸水素二カリウム、没食子酸プロピル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0160】
36.1種又は複数種の添加剤は、酵母エキス、デキストロース、ポリソルベート、リン酸水素二カリウム、硫酸マグネシウム七水和物、硫酸マンガン一水和物からなる群から選択される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0161】
37.1種又は複数種の添加剤は、酵母エキス、デキストロース、ポリソルベート、リン酸水素二カリウム、硫酸マグネシウム七水和物、硫酸マンガン一水和物、及び任意選択的なビタミン類の混合物からなる群から選択される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0162】
38.工程a)の前に、微生物(例えば、絶対嫌気性菌)の懸濁物から、例えば遠心分離又は濾過によって流体を除去することにより懸濁物を濃縮する濃縮工程を更に含む、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0163】
39.工程a)の前に、約5%未満の酸素、例えば約2%未満の酸素、好ましくは約1%未満の酸素、例えば0.5%未満の酸素、例えば約0.05%未満の酸素の存在下に、微生物(例えば、絶対嫌気性菌)の懸濁物から、例えば遠心分離又は濾過によって流体を除去することにより懸濁物を濃縮する濃縮工程を更に含む、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0164】
40.濃縮工程は、約0.0001%~約2%の範囲の酸素、例えば約0.0001%~約0.5%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.025%の範囲の酸素、例えば約0.01%、又は例えば約0.02%、又は約0.025%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.03%、又は例えば約0.04%の酸素の存在下に実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0165】
41.濃縮工程は、本質的に嫌気性の条件下で実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0166】
42.工程a)の前に、約5%未満の酸素、例えば約2%未満の酸素、好ましくは約1%未満の酸素、例えば約0.5%未満の酸素、例えば約0.05%未満の酸素の存在下に懸濁物を発酵させる発酵工程を更に含む、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0167】
43.工程a)の前に、本質的に嫌気性の条件下で懸濁物を発酵させる発酵工程を更に含む、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0168】
44.小滴形成工程a)の前に、微生物(例えば、絶対嫌気性菌)の懸濁物から、成分、例えば培地の成分を除去するために、微生物の懸濁物を洗浄する、洗浄工程を更に含む、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0169】
45.小滴形成工程a)の前に、洗浄工程を更に含み、前記洗浄工程は、約5%未満の酸素、例えば約2%未満の酸素、好ましくは約1%未満の酸素、例えば0.5%の酸素、例えば約0.05%未満の酸素の存在下に実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0170】
46.小滴形成工程a)の前に、洗浄工程を更に含み、前記洗浄工程は、約0.0001%~約2%の範囲の酸素、例えば約0.0001%~約0.5%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.05%の範囲の酸素、例えば約0.001%~約0.025%の範囲の酸素、例えば約0.01%、又は例えば約0.02%、又は約0.025%~約0.05%の範囲の酸素、例えば、約0.03%、又は例えば約0.04%の酸素の存在下に実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0171】
47.本質的に嫌気性の条件下における洗浄工程を更に含む、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0172】
48.発酵工程、濃縮工程、及びプロセス工程a)~b)、又はプロセス工程a)~c)、又はプロセス工程a)~d)、又はプロセス工程a)~e)を含み、これらは全て0.5%以下の酸素、例えば0.05%未満の酸素の存在下に実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0173】
49.発酵工程、濃縮工程、及びプロセス工程a)~b)、又はプロセス工程a)~c)、又はプロセス工程a)~d)、又はプロセス工程a)~e)を含み、これらは全て本質的に嫌気性の条件下で実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0174】
50.発酵工程、濃縮工程、洗浄工程、及びプロセス工程a)~b)、又はプロセス工程a)~c)、又はプロセス工程a)~d)、又はプロセス工程a)~e)を含み、これらは全て0.5%以下の酸素、例えば0.05%未満の酸素の存在下に実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0175】
51.発酵工程、濃縮工程、洗浄工程、及びプロセス工程a)~b)、又はプロセス工程a)~c)、又はプロセス工程a)~d)、又はプロセス工程a)~e)を含み、これらは全て本質的に嫌気性の条件下で実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0176】
52.凍結粒子は、液体窒素等の極低温材料からフィルタ(静電フィルタ等)又は篩を用いて分離される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0177】
53.凍結粒子は、開口径が約800マイクロメートル未満、例えば約600マイクロメートル未満、例えば約500マイクロメートル未満、例えば約40マイクロメートル~約300マイクロメートルの範囲、例えば約50マイクロメートル~約250マイクロメートルの範囲、例えば約50マイクロメートル、例えば約100マイクロメートル、例えば約150マイクロメートル、例えば約200マイクロメートル、又は例えば約250マイクロメートルである篩等の篩を使用して、液体窒素等の極低温材料から分離され、回収される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0178】
54.凍結粒子は、液体窒素等の極低温材料から、開口径が約40マイクロメートル~約300マイクロメートルの範囲にある篩等の篩を使用して分離される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0179】
55.精製された凍結粒子の水分含有量は、精製された凍結粒子の総重量に対し、約5重量%~約98重量%、例えば約10重量%~約95重量%(好ましくは約30重量%~約80重量%又は約40重量%~約75重量%パーセント)である、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0180】
56.乾燥粒子を生成するための凍結粒子の乾燥は、凍結乾燥等により減圧下で実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0181】

57.精製された凍結粒子の乾燥は、水分活性(aw)が約0.8未満、例えば約0.6未満、例えば約0.01~0.8の範囲、例えば約0.05~約0.5の範囲、例えば約0.1、又は例えば約0.2、又は例えば約0.3、又は例えば約0.4となるまで実施される、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0182】
58.乾燥粒子の液体(例えば、水分)含有量は、粒子の総重量に対し、約0.1重量%~約30重量%、例えば約1重量%~約15重量%の範囲、例えば、約5重量%~約10重量%の範囲、又は例えば約0.1重量%~約5重量%の範囲にある、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0183】
59.乾燥粒子は、最確数(MPN)で定められる生存能力が、1グラム当たり少なくとも1.0×10E4である微生物を含む、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0184】
60.乾燥粒子は、最確数(MPN)で定められる生存能力が、1グラム当たり1.0×10E4~1.0×10E13の範囲、例えば約1.0×10E4~約1.0×10E10の範囲、例えば約1.0×10E5、約1×10E6、約1.0×10E7、約1×10E8、約1.0×10E9、約2.5×10E9、約5.0×10E9、又は約7.5×10E9である微生物を含む、先行する項目の何れか一項に記載のプロセス。
【0185】
61.少なくとも1種の絶対嫌気性菌を含み、先行する項目1~60の何れか一項に記載のプロセスにより得ることができる、粒子生成物。
【0186】
62.1種又は複数種の添加剤を更に含む、項目61に記載の粒子。
【0187】
63.単一種の微生物(例えば、単一種の絶対嫌気性菌)又は複数種の微生物(例えば、複数種の絶対嫌気性菌)を含む、項目61又は62に記載の粒子。
【0188】
64.粒子は、アドラークロイツィア属菌種(Adlercreutzia sp.)、アッカーマンシア属菌種(Akkermansia sp.)、アリスティペス属菌種(Alistipes sp.)、アナエロツルンカス属菌種(Anaerotruncus sp.)、バクテロイダレス綱菌種(Bacteroidales)、バクテロイデス属菌種(Bacteroides sp.)、ブラウティア属菌種(Blautia sp.)、ブチリシコッカス属菌種(Butyricicoccus sp.)、ブチリビブリオ属菌種(Butyrivibrio sp.)、カタバクテリウム科菌種(Catabacteriaceae sp.)、クリステンセネラ属菌種(Christensenella sp.)、クロストリジウム目菌種(Clostridiales sp.)、クロストリジウム属菌種(Clostridium sp.)、コリンゼラ属菌種(Collinsella sp.)、コプロコッカス属菌種(Coprococcus sp.)、キューティバクテリウム属菌種(Cutibacterium sp.)、ディアリスター属菌種(Dialister sp.)、ドレア属菌種(Dorea sp.)、エリュシペロトリクス科菌種(Erysipelotrichaceae sp.)、ユウバクテリウム属菌種(Eubacterium sp.)、フィーカリバクテリウム属菌種(Faecalibacterium sp.)、フラボニフラクター属菌種(Flavonifractor sp.)、フソバクテリウム属菌種(Fusobacterium sp.)、ハフニア属菌種(Hafnia sp.)、ホルデマニア属菌種(Holdemania sp.)、ハンガテラ属菌種(Hungatella sp.)、インテスティニバクター属菌種(Intestinibacter sp.)、ラクノバクテリウム属菌種(Lachnobacterium sp.)、ラクノスピラ属菌種(Lachnospira sp.)、ラクノスピラ科菌種(Lachnospiraceae sp,)、ラクノスピラ科に属する新属新種(Lachnospiraceae gen.nov.sp.Nov)、ラクノスピラ科に属する新種(Lachnospiraceae sp.nov.)、メタノブレウィバクテル属菌種(Methanobrevibacter sp.)、メタノマッシリイコックス属菌種(Methanomassiliicoccus sp.)、メタノサルキナ属菌種(Methanosarcina sp.)、ミツオケラ属菌種(Mitsuokella sp.)、オドリバクター属菌種(Odoribacter sp.)、オシロスピラ属菌種(Oscillospira sp.)、オキサロバクター属菌種(Oxalobacter sp.)、パラバクテロイデス属菌種(Parabacteroides sp.)、ファスコラークトバクテリウム属菌種(Phascolarctobacterium sp.)、ポルフィロモナス科菌種(Porphyromonadaceae sp.)、プレボテラ属菌種(Prevotella sp.)、プロピオニバクテリウム属菌種(Propionibacterium sp.)、リケネラ科菌種(Rikenellaceae sp.)、ロゼブリア属菌種(Roseburia sp.)、ルミノコッカス属菌種(Ruminococcus sp.)、サブドリグラヌルム属菌種(Subdoligranulum sp.)、サテレラ属菌種(Sutterella sp.)、ツリシバクター科菌種(Turicibacteraceae sp.)からなる群から選択される少なくとも1種の絶対嫌気性菌を含む、項目61~63の何れか一項に記載の粒子。
【0189】
65.粒子は、アドラークロイツィア属菌種(Adlercreutzia sp.)、アドラークロイツィア・エクオーリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)、アッカーマンシア属菌種(Akkermansia sp.)、アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)、アリスティペス属菌種(Alistipes sp.)、アリスティペス・ファインゴールディイ(Alistipes finegoldii)、アリスティペス・ハドラス(Alistipes hadrus)、アリスティペス・インディスティンクタス(Alistipes indistinctus)、アリスティペス・オンケルドンキイ(Alistipes onkerdonkii)、アリスティペス・ピュトレディニス(Alistipes putredinis)、アリスティペス・シャーヒイ(Alistipes shahii)、アナエロスティペス属菌種(Anaerostipes sp.)、アナエロスティペス・カカエ(Anaerostipes caccae)、アナエロスティペス・ハドラス(Anaerostipes hadrus)、アナエロツルンカス属菌種(Anaerotruncus sp.)、バクテロイデス目菌種(Bacteroidales)、バクテロイデス属菌種(Bacteroides sp.)、バクテロイデス・ドレイ(Bacteroides dorei)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・インテスティナーリス(Bacteroides intestinalis)、バクテロイデス・インテスティニホミニス(Bacteroides intestinihominis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・ピュトレディニス(Bacteroides putredinis)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・ユニフォルミス(Bacteroides uniformis)、バクテロイデス・ブルガータス(Bacteroides vulgatus)、バクテロイデス・キシラニソルベンス(Bacteroides xylanisolvens)、ブラウティア属菌種(Blautia sp.)、ブラウティア・ルティ(Blautia luti)、ブラウティア・オベウム(Blautia obeum)、ブラウティア・ウェクスレラエ(Blautia wexlerae)、ブチリシコッカス属菌種(Butyricicoccus)、ブチリビブリオ・フィブリソルベンス(Butyrivibrio fibrisolvens)、ブチリビブリオ属菌種(Butyrivibrio sp.)、カタバクテリウム科菌種(Catabacteriaceae)、クリステンセネラ属菌種(Christensenella sp.)、クロストリジウム目菌種(Clostridiales)、クロストリジウム属菌種(Clostridium sp.)、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)、クロストリジウム・スパイロフォルメ(Clostridium spiroforme)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、コリンセラ属菌種(Collinsella sp.)、コリンセラ・アエロファシエンス(Collinsella aerofaciens)、コプロコッカス属菌種(Coprococcus sp.)、コプロコッカス・カツス(Coprococcus catus)、コプロコッカス・コメス(Coprococcus comes)、コプロコッカス・オイタクツス(Coprococcus eutactus)、コプロコッカス属菌種(Coprococcus sp.)、キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)、ディアリスター属菌種(Dialister sp.)、ディアリスター・インビサス(Dialister invisus)、ドレア属菌種(Dorea sp.)、ドレア・フォルミシゲネランス(Dorea formicigenerans)、ドレア・ロンギカテナ(Dorea longicatena)、エリシペロトリクス科菌種(Erysipelotrichaceae)、ユウバクテリウム属菌種(Eubacterium sp.)、ユウバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)、ユウバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)、ユウバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、ユウバクテリウム・ラムルス(Eubacterium ramulus)、ユウバクテリウム・レクターレ(Eubacterium rectale)、ユウバクテリウム・シラエウム(Eubacterium siraeum)、ユウバクテリウム・ベントリオサム(Eubacterium ventriosum)、フィーカリバクテリウム属菌種(Faecalibacterium sp.)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)、フラボニフラクター・プラウティ(Flavonifractor plautii)、フゾバクテリウム・プラウスニッツイ(Fusobacterium prausnitzii、ハフニア属菌種(Hafnia)、ホールディマニア属菌種(Holdemania)、フンガテラ・ハセワイイ(Hungatella hathewayi)、インテスティニバクター・バルトレッティ(Intestinibacter bartlettii)、ラクノバクテリウム属菌種(Lachnobacterium)、ラクノスピラ属菌種(Lachnospira)、ラクノスピラ・ペクチノスチザ(Lachnospira pectinoshiza)、ラクノスピラ科菌種(Lachnospiraceae)、ラクノスピラ科に属する新属新種(Lachnospiraceae gen.nov.sp.Nov)、ラクノスピラ科に属する新種(Lachnospiraceae sp.nov.)、メタノブレウィバクテル属菌種(Methanobrevibacter sp.)、メタノマッシリイコックス属菌種(Methanomassiliicoccus sp.)、メタノサルシナ属菌種(Methanosarcina)、ミツオケラ・マルチアシダス(Mitsuokella multiacidus)、オドリバクター属菌種(Odoribacter)、オシロスピラ属菌種(Oscillospira)、オキサロバクター・フォルミゲネス(Oxalobacter formigenes)、パラバクテロイデス属菌種(Parabacteroides sp.)、パラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)、ファスコラクトバクテリウム属菌種(Phascolarctobacterium)、ポルフィロモナス科菌種(Porphyromonadaceae)、プレボテラ属菌種(Prevotella sp.)、プレボテラ・アルベンシス(Prevotella albensis)、プレボテラ・アムニー(Prevotella amnii)、プレボテラ・バーゲンシス(Prevotella bergensis)、プレボテラ・ビビア(Prevotella bivia)、プレボテラ・ブレビス(Prevotella brevis)、プレボテラ・ブライアンティイ(Prevotella bryantii)、プレボテラ・ブッカエ(Prevotella buccae)、プレボテラ・ブッカリス(Prevotella buccalis)、プレボテラ・コプリ(Prevotella copri)、プレボテラ・デンターリス(Prevotella dentalis)、プレボテラ・デンティコラ(Prevotella denticola)、プレボテラ・ディシエンス(Prevotella disiens)、プレボテラ・ヒスチコラ(Prevotella histicola)、プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・マクロサ(Prevotella maculosa)、プレボテラ・マルシイ(Prevotella marshii)、プレボテラ・メラニノジェニカ(Prevotella melaninogenica)、プレボテラ・ミカンス(Prevotella micans)、プレボテラ・マルチフォルミス(Prevotella multiformis)、プレボテラ・ニグレッセンス(Prevotella nigrescens)、プレボテラ・オラリス(Prevotella oralis)、プレボテラ・オリス(Prevotella oris)、プレボテラ・オウロラム(Prevotella oulorum)、プレボテラ・パレンス(Prevotella pallens)、プレボテラ・サリバーエ(Prevotella salivae)、プレボテラ・ステルコレア(Prevotella stercorea)、プレボテラ・タンネラエ(Prevotella tannerae)、プレボテラ・チモネンシス(Prevotella timonensis)、プレボテラ・ベロラリス(Prevotella veroralis)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、リケネラ科菌種(Rikenellaceae)、ロゼブリア属菌種(Roseburia sp.)、ロゼブリア・ファエシス(Roseburia faecis)、ロゼブリア・ホミニス(Roseburia hominis)、ロゼブリア・インテスティナーリス(Roseburia intestinalis)、ロゼブリア・イヌリニボランス(Roseburia inulinivorans)、ルミノコッカス属菌種(Ruminococcus sp.)、ルミノコッカス・ビサーキュランス(Ruminococcus bicirculans)、ルミノコッカス・ガウブレアウイイ(Ruminococcus gauvreauii)、ルミノコッカス・グナバス(Ruminococcus gnavus)、ルミノコッカス・ラクタリス(Ruminococcus lactaris)、ルミノコッカス・オベウム(Ruminococcus obeum)、ルミノコッカス・トルキース(Ruminococcus torques)、ルミノコッカス・アルブス(Ruminococcus albus)、ルミノコッカス・ブローミイ(Ruminococcus bromii)、ルミノコッカス・カリダス(Ruminococcus callidus)、ルミノコッカス・フラベファシエンス(Ruminococcus flavefaciens)、ルミノコッカス・ガウブレアウイイ(Ruminococcus gauvreauii)、サブドリグラヌルム属菌種(Subdoligranulum)、ステレラ属菌種(Sutterella)、及びツリシバクター科菌種(Turicibacteraceae)からなる群から選択される少なくとも1種の絶対嫌気性菌を含む、項目61~64の何れか一項に記載の粒子。
【0190】
66.懸濁物は、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(F.prausnitzii)及びユウバクテリウム・ハリイ(E.hallii)からなる群から選択される絶対嫌気性菌を含む、項目61~65の何れか一項に記載の粒子。
【0191】
67.1種又は複数種の添加剤は:イノシトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、イヌリン、マルトデキストリン、アルギン酸塩(アルギン酸ナトリウム等)、脱脂粉乳、酵母エキス、カゼインペプトン、イノシン、イノシンモノホスペート(inosinemonophospate)、グルタミン及びその塩(グルタミン酸ナトリウム等)、カゼイン又はその塩(カゼインナトリウム等)、アスコルビン酸及びその塩(アスコルビン酸ナトリウム等)、没食子酸プロピル又はその塩、ポリソルベート、硫酸マグネシウムの水和物(例えば、七水和物)、硫酸マンガンの水和物(例えば、一水和物)、並びにリン酸水素二カリウムからなる群から選択される、項目61~66の何れか一項に記載の粒子。
【0192】
68.粒子は、マイクロメートル単位で測定されたDv50値が、約5~約800マイクロメートル、例えば約5~約600マイクロメートル、例えば約5~約500マイクロメートル、例えば約5~約400マイクロメートルの範囲、例えば約10~約350マイクロメートル、約10マイクロメートル~約300マイクロメートル、約10マイクロメートル~約250マイクロメートル、例えば約10マイクロメートル~約50マイクロメートル、又は例えば約50マイクロメートル~約200マイクロメートル、例えば約50マイクロメートル~約100マイクロメートル、例えば約75マイクロメートル、又は例えば約100マイクロメートル~約200マイクロメートル、例えば約150マイクロメートルとなるサイズを有する、項目61~67の何れか一項に記載の粒子。
【0193】
69.粒子は、マイクロメートル単位で測定されたDv50値が、約5~約400マイクロメートル、好ましくは約10~約250マイクロメートルとなるサイズを有する、項目61~68の何れか一項に記載の粒子。
【0194】
70.乾燥粒子は、最確数(MPN)により定められる生存能力が、1グラム当たり少なくとも110E6である微生物を含む、項目61~69の何れか一項に記載の粒子。
【0195】
71.乾燥粒子は、最確数(MPN)により定められる生存能力が、1グラム当たり1.0×10E7を超え、例えば、最確数(MPN)により定められる生存能力が、例えば1グラム当たり1.0×10E6~1.0×10E9の範囲、例えば1グラム当たり約1.0×10E6~約1.0×10E7の範囲にある微生物を含む、項目61~70の何れか一項に記載の粒子。
【0196】
72.粒子は、水分活性(aw)が、約0.8未満、例えば0.6未満、例えば約0.01~約0.8の範囲、例えば約0.05~約0.5の範囲、例えば約0.1、又は例えば約0.2、又は例えば約0.3、又は例えば約0.4である乾燥粒子であり、好ましくは、粒子は、水分活性(aw)が、約0.5未満、例えば約0.05~約0.5の範囲にある乾燥粒子である、項目59~69の何れか一項に記載の粒子。
【0197】
73.粒子は、少なくとも1種の絶対嫌気性菌を含み、マイクロメートル単位で測定されたDv50値が、約5~約400マイクロメートル、好ましくは約10~約200マイクロメートルとなるサイズを有し、更に水分活性(aw)が、約0.5未満、例えば約0.05~約0.5の範囲にある乾燥粒子である、項目61~72の何れか一項に記載の粒子。
【0198】
74.粒子(例えば、乾燥粒子)は、例えば、水分含有量が、粒子の総重量に対し、約0.1重量%~約30重量%、例えば約1重量%~約15重量%の範囲、例えば約5重量%~約10重量%の範囲、又は例えば約0.1%~約5重量%の範囲にある、項目61~73の何れか一項に記載の粒子。
【0199】
75.粒子は、少なくとも1種の絶対嫌気性菌を含み、マイクロメートル単位で測定されたDv50値が、約5~約400マイクロメートル、好ましくは約10マイクロメートル~約200マイクロメートルとなるサイズを有し、更に液体(例えば、水分)含有量が、粒子の総重量に対し、約0.1重量%~約30重量%、例えば約1重量%~約15重量%の範囲、例えば約5重量%~約10重量%の範囲、又は例えば約0.1重量%~約5重量%の範囲にある乾燥粒子である、項目61~74の何れか一項に記載の粒子。
【0200】
76.複数の前記乾燥粒子が自由流動性粉末を形成する、項目61~75の何れか一項に記載の粒子。
【0201】
77.絶対嫌気性菌を安定化させるための、噴霧凍結プロセスの使用。
【0202】
78.絶対嫌気性菌を安定化及び乾燥させるための、噴霧凍結乾燥プロセスの使用。
【0203】
図面の詳細な説明
添付の図面を参照しながら本発明を以下により詳細に説明する。図面は例示的なものであって、微生物及び乾燥粒子内に包埋された微生物を噴霧凍結及び凍結乾燥するための本開示方法の特徴の一部を説明することを意図するものであり、本開示方法を制限するものと解釈すべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0204】
図1図1は、噴霧凍結装置の構成の概略図を示すものである。
【0205】
図2図2は、凍結乾燥装置の概略図を示すものである。
【0206】
図3図3は、凍結ペレットの製造に使用される構成の概略図を示すものである。
【0207】
図4図4Aは、噴霧凍結(4a)又は造粒(4b)のいずれかを用いた場合の粒子形態の巨視的な違いを定量的に示すものである。図4Bは、噴霧凍結(4a)又は造粒(4b)のいずれかを用いた場合の粒子形態の巨視的な違いを定量的に示すものである。
【0208】
図5図5Aは、粉砕した凍結乾燥された凍結ペレットの拡大倍率50倍(5a)の走査型電子顕微鏡写真を示すものである。乾燥粒子は添加剤及び微生物を含む。図5Bは、粉砕した凍結乾燥された凍結ペレットの拡大倍率250倍(5b)の走査型電子顕微鏡写真を示すものである。乾燥粒子は添加剤及び微生物を含む。
【0209】
図6図6Aは、凍結乾燥された凍結ペレットの拡大倍率16倍(6a)の走査型電子顕微鏡写真を示すものである。乾燥粒子は添加剤及び微生物を含む。図6Bは、凍結乾燥された凍結ペレットの拡大倍率250倍(6b)の走査型電子顕微鏡写真を示すものである。乾燥粒子は添加剤及び微生物を含む。
【0210】
図7図7Aは、凍結乾燥された噴霧凍結粒子の拡大倍率25倍(7a)の走査型電子顕微鏡写真を示すものである。乾燥粒子は添加剤及び微生物を含む。図7Bは、凍結乾燥された噴霧凍結粒子の拡大倍率250倍(7b)の走査型電子顕微鏡写真を示すものである。乾燥粒子は添加剤及び微生物を含む。
【実施例
【0211】
実施例1:フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii、F.prausnitzii)を含む乾燥粒子の製造
フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(F.prausnitzii)の発酵及び高濃縮(up-concentration)を、当業者に知られている標準的なプロセスにより、10リットルのInfors(登録商標)発酵槽においてクロスフロー濾過を用いて実施した。結果として得られた濃縮物の総固形分含有量は12.55%であった。噴霧凍結及び造粒用として示した懸濁物に、スクロースを、低温凍結時の微生物を保護するのに適した乾燥保護剤として添加した。この添加剤は、濃縮物の総固形分含有量及びこの添加剤の総固形分含有量の比が1:4となるように添加した。
【0212】
噴霧凍結方法及びプロセスの説明
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、供給原料容器(図1参照)(1a)からWatson-Marlow(登録商標)蠕動ポンプ(1b)を介してSpraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(1c)にポンプで供給した。液体供給原料は、Spraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(1c)により、Spraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(1c)の出口に直接連続して配置された、液体窒素(LN)を満たした容器(1e)内に霧状に吹き付けられる。流量及び霧化圧力は、気体N供給装置(1d)の弁及び二流体ノズル入口手前の追加の弁(1f)により調整した。
【0213】
このようにして、供給原料をLNに霧状に吹き付け、その後、噴霧凍結物の懸濁物を、50μmのRetsch(登録商標)フィルタで濾過した。噴霧凍結された材料をLNから50μmのRetsch(登録商標)フィルタを用いて分離し、噴霧凍結された材料を、冷却コイルを有するプロセス冷却器(cooled coils process condenser)(2c)に接続されている真空室(2b)内に配置された凍結乾燥トレイ(図2参照)(2a)に載せ、続いて凍結乾燥させた。
【0214】
フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(F.prausnitzii)の噴霧凍結及び凍結乾燥
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、上に記載した手順で噴霧凍結及び凍結乾燥させた。
【0215】
液体供給原料を、Spraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(SU2 Fluid Cap(商標)2850+Air Cap(商標)70)を用いて噴霧凍結させた。ノズルオリフィスを0.71mmとし、エアキャップのオリフィスを1.78mmとした。このAir Cap(商標)及びFluid Cap(商標)の組合せにより、噴霧角度は約21~22°となった。
【0216】
霧化圧力を0.3bar(g)とし、供給速度をWatson-Marlow(登録商標)ポンプで制御して、約46.2ml/分に設定した。噴霧凍結された材料をRetsch(登録商標)からの50μmの篩で回収した。
【0217】
回収された噴霧凍結された材料(図4A参照)をプラスチック製容器に移し、嫌気性グローブボックスに移すまでドライアイス上で低温に維持し、その後、先に説明した凍結乾燥機(図2参照)に装入した。
【0218】
噴霧凍結された材料を、凍結乾燥機の棚の最下段に配置された金属製の凍結乾燥用トレイに均等に広げた。約46時間後に凍結乾燥を終了し、凍結乾燥された材料を凍結乾燥トレイから取り出した。凍結乾燥された材料を小型のアルミニウム袋に詰めて溶着した。
【0219】
造粒方法及びプロセスの説明
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、供給原料容器(図3参照)(3a)からWatson-Marlow(登録商標)蠕動ポンプ(3b)を介してノズル(3c)にポンプで供給した。液体供給原料を、ノズル(3c)から、ノズル出口の真下に配置された、液体窒素(LN)を満たした容器(3d)に滴下した。
【0220】
次いで、造粒された材料を50μmのRetsch(登録商標)フィルタで濾過し、凍結したペレットをここに回収した。造粒された材料をLNから50μmのRetsch(登録商標)フィルタで分離し、凍結したペレットを凍結乾燥トレイ(図2参照)に載せ、続いて先に記載したように凍結乾燥させた。
【0221】
フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(F.prausnitzii)の造粒及び凍結乾燥:
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、霧化気体を使用せずに、先に記載した手順を用いて造粒し、凍結乾燥させた。供給速度をWatson-Marlow(登録商標)ポンプで制御し、約13.86ml/分に設定した。
【0222】
造粒された材料(図4B参照)をRetsch(登録商標)からの50μmの篩で回収してプラスチック容器に移し、嫌気性グローブボックスに移すまでドライアイスで低温に維持し、その後、凍結乾燥機に装入した。
【0223】
造粒された材料を、凍結乾燥機の棚の中段に配置された金属製の凍結乾燥トレイに均等に広げた。約46時間後に凍結乾燥を終了し、凍結乾燥された材料を凍結乾燥トレイから取り出した。凍結乾燥された材料を小型のアルミニウム袋に詰めて溶着した。
【0224】
凍結乾燥された凍結ペレットはサイズが非常に不均一であり、粒度分布の測定ができなかった。したがって、凍結乾燥されたペレットを乳鉢を用いて約5分間手作業で粉砕した。
【0225】
分析及び結果
生成した全ての試料について、残留水分(RM%)、水分活性(aw)、並びにd50及びspanによる粒度分布を評価した(凍結乾燥ペレットについては粒度を評価しなかった)。
【0226】
生成した全ての試料の生存率についても同様に評価した。生存率を、MPN(最確数)、CFU(コロニー形成単位)、及びフローサイトメトリーにより測定した。報告する値は、各種類のプロセスにつき3つの試料の平均値である。
【0227】
粒度分布
Malvern Mastersizer(登録商標)3000分析装置を用いて測定した粒度分布。
【表1】
【0228】
最確数(MPN)
発酵物(FM)、濃縮物、濃縮物+抗凍結剤、凍結物(噴霧凍結物及びペレット)、及び凍結乾燥された材料について、増殖を測定した。
【0229】
試料1ml当たりの細胞数又は1グラム当たりの細胞数は全て6回の分析結果の平均値である。
【表2】
【0230】
MPNの結果から、噴霧凍結時に生存率が70%低下し、造粒時に生存率が87%低下することが分かる。
【0231】
MPNの結果から、粉砕工程で生存率が69%低下することが分かる。
【0232】
コロニー形成単位(CFU)
発酵物(FM)、濃縮物、濃縮物+抗凍結剤、凍結物(噴霧凍結物及びペレット)、及び凍結乾燥された材料について、CFUを測定した。
【表3】
【0233】
CFU結果から分かるように、1mL当たりのCFUは、それぞれ、噴霧凍結時に82%、造粒時に83%低下する。
【0234】
ペレットの粉砕時には、1mL当たりのCFUは63%低下し、これはMPN分析で確認された結果とも相関している。
【0235】
フローサイトメトリー
発酵物(FM)、凍結物(噴霧凍結物及びペレット)、及び凍結乾燥された材料について、フローサイトメトリーによる測定を行った。
【表4】
【0236】
フローサイトメトリーの結果から分かるように、分析した全ての試料に無傷のフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(F.prausnitzii)細胞が多数存在していた。
【0237】
上の表から、乾燥粉末中の1グラム当たりの総細胞数は、凍結乾燥及び粉砕された粉末と同程度であることが分かる。
【0238】
噴霧凍結乾燥された粉末中の1グラム当たりの無傷細胞数が最も多い。
【0239】
凍結乾燥ペレットを粉砕すると生存率は49%低下することが分かる。このことは、MPN及びCFU分析の観測とも相関している。
【0240】
SEM画像
図5~7は、本明細書の他の箇所に記載した実施例1の各プロセス工程から得られた乾燥粒子の走査型電子顕微鏡写真を示すものである。これに関する粒子は、乾燥保護剤としての添加剤(スクロース)及び微生物を含む。
【0241】
図5A~Bは、粉砕した凍結乾燥された凍結ペレットの拡大倍率50倍(5a)及び拡大倍率250倍の(5b)の走査型電子顕微鏡写真を例示するものである。乾燥粒子は添加剤(スクロース)及び微生物を含む。図6A~Bは、凍結乾燥された凍結ペレットの拡大倍率16倍(6a)及び拡大倍率250倍(6b)の走査型電子顕微鏡写真を示すものである。乾燥粒子は添加剤(スクロース)及び微生物を含む。図7A~Bは、凍結乾燥された噴霧凍結粒子の拡大倍率25倍(7a)及び拡大倍率250倍(7b)の走査型電子顕微鏡写真を示すものである。乾燥粒子は添加剤(スクロース)及び微生物を含む。
【0242】
図面の詳細な説明を参照すると、凍結乾燥された噴霧凍結粒子が平滑な表面を有する球体に最も近い類似性を示すことが明らかである。
【0243】
実施例2:アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila、A.muciniphila)を含む乾燥粒子の製造
アッカーマンシア・ムシニフィラ(A.muciniphila)の発酵及び高濃縮を、当業者に知られている標準的なプロセスにより、2つの別々の10リットルのInfors(登録商標)発酵槽でクロスフロー濾過を用いて実施した。生成物を混合したところ、得られた濃縮物の総固形分含有量は9.85%であった。低温凍結時に微生物を保護するための抗凍結剤としてスクロースを濃縮物に添加し、次いで、得られた溶液を噴霧凍結及び造粒に使用した。この添加剤は、濃縮物の総固形分含有量及びこの添加剤の総固形分含有量の比が1:4となるように添加した。
【0244】
噴霧凍結方法及びプロセスの説明
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、供給原料容器(図1参照)(1a)からWatson-Marlow(登録商標)蠕動ポンプ(1b)を介してSpraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(1c)にポンプ供給した。液体供給原料は、Spraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(1c)により、Spraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(1c)の出口に直接連続して配置された、液体窒素(LN)を満たした容器(1e)内に霧状に吹き付けられる。流量及び霧化圧力は、気体N供給装置(1d)の弁及び二流体ノズル入口手前の追加の弁(1f)により調整した。
【0245】
このようにして、供給原料をLNに霧状に吹き付け、その後、噴霧凍結物の懸濁物を、50μmのRetsch(登録商標)フィルタで濾過した。噴霧凍結された材料をLNから50μmのRetsch(登録商標)フィルタを用いて分離し、噴霧凍結された材料を、冷却コイルを有するプロセス冷却器(2c)に接続されている真空室(2b)内に配置された凍結乾燥トレイ(図2参照)(2a)に載せ、続いて凍結乾燥させた。
【0246】
アッカーマンシア・ムシニフィラ(A.muciniphila)の噴霧凍結及び凍結乾燥
上に述べたように調製した液体懸濁物(供給原料)を、上に記載した手順で噴霧凍結及び凍結乾燥させた。
【0247】
液体供給原料を、Spraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(SU2 Fluid Cap(商標)2850+Air Cap(商標)70)を用いて噴霧凍結させた。ノズルオリフィスを0.71mmとし、エアキャップのオリフィスを1.78mmとした。このAir Cap(商標)及びFluid Cap(商標)の組合せにより、噴霧角度は約21~22°となった。
【0248】
霧化圧力を0.3bar(g)とし、供給速度をWatson-Marlow(登録商標)ポンプで制御して、約46.2ml/分に設定した。噴霧凍結された材料をRetsch(登録商標)からの50μmの篩で回収した。
【0249】
回収された噴霧凍結された材料をプラスチック製容器に移し、嫌気性グローブボックスに移すまでドライアイスで低温に維持し、その後、先に説明した凍結乾燥機(図2参照)に装入した。
【0250】
噴霧凍結された材料を、凍結乾燥機の棚の最下段に配置された金属製の凍結乾燥用トレイに均等に広げた。約46時間後に凍結乾燥を終了し、凍結乾燥された材料を凍結乾燥トレイから取り出した。凍結乾燥された材料を小型のアルミニウム袋に詰めて溶着した。
【0251】
造粒方法及びプロセスの説明
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、供給原料容器(図3参照)(3a)からWatson-Marlow(登録商標)蠕動ポンプ(3b)を介してノズル(3c)にポンプで供給した。液体供給原料を、ノズル(3c)から、ノズル出口の真下に配置された、液体窒素(LN)を満たした容器(3d)に滴下した。
【0252】
次いで、造粒された材料を50μmのRetsch(登録商標)フィルタで濾過し、凍結したペレットをここに回収した。造粒された材料をLNから50μmのRetsch(登録商標)フィルタで分離し、凍結したペレットを凍結乾燥トレイ(図2参照)に載せ、続いて先に記載したように凍結乾燥させた。
【0253】
アッカーマンシア・ムシニフィラ(A.muciniphila)の造粒及び凍結乾燥:
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、霧化気体を使用せずに、先に記載した手順を用いて造粒し、凍結乾燥させた。供給速度をWatson-Marlow(登録商標)ポンプで制御し、約13.86ml/分に設定した。
【0254】
造粒された材料をRetsch(登録商標)からの50μmの篩で回収してプラスチック容器に移し、嫌気性グローブボックスに移すまでドライアイスで低温に維持し、その後、凍結乾燥機に装入した。
【0255】
造粒された材料を、凍結乾燥機の棚の中段に配置された金属製の凍結乾燥トレイに均等に広げた。約46時間後に凍結乾燥を終了し、凍結乾燥された材料を凍結乾燥トレイから取り出した。凍結乾燥された材料を小型のアルミニウム袋に詰めて溶着した。
【0256】
凍結乾燥された凍結ペレットはサイズが非常に不均一であり、粒度分布の測定ができなかった。したがって、凍結乾燥されたペレットを乳鉢を用いて約5分間手作業で粉砕した。
【0257】
分析及び結果
生成した全ての試料について、残留水分(RM%)、水分活性(aw)、並びにd50及びspanによる粒度分布を評価した(凍結乾燥ペレットについては粒度を評価しなかった)。
【0258】
生成した全ての試料の生存率についても同様に評価した。生存率はMPN(最確数)及びフローサイトメトリーにより測定した。報告する値は、各種類のプロセスにつき3つの試料の平均値である。
【0259】
粒度分布
Malvern Mastersizer(登録商標)3000分析装置を用いて測定した粒度分布。
【表5】
【0260】
最確数(MPN)
発酵物、濃縮物、濃縮物+抗凍結剤、凍結物(噴霧凍結物及びペレット)、及び凍結乾燥された材料について、増殖を測定した。
【0261】
試料1ml当たりの細胞数又は1グラム当たりの細胞数は全て6回の分析結果の平均値である。
【表6】
【0262】
MPNの結果から、高い生存率が達成されることと、凍結工程(噴霧凍結及び造粒)中に生存率は低下しないこととが分かる。
【0263】
乾燥粉末、例えば噴霧凍結乾燥されたもの、凍結乾燥ペレット、及び粉砕されたペレットの生存率は同じ範囲にあることも分かる。
【0264】
フローサイトメトリー
発酵物、濃縮物、凍結物(噴霧凍結物及びペレット)、及び凍結乾燥された材料について、フローサイトメトリーを測定した。
【表7】
【0265】
フローサイトメトリーの結果から、分析した全ての試料に無傷のアッカーマンシア・ムシニフィラ(A.muciniphila)細胞が多数存在することと、乾燥粉末中の1グラム当たりの総細胞数が高く、生成した全ての粉末で同程度の数であることが分かった。噴霧凍結時に無傷の細胞が僅かに減少したが、造粒時には減少しなかった。
【0266】
実施例3:ユウバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii、E.hallii)を含む乾燥粒子の製造
ユウバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)の発酵及び高濃縮を、当業者に知られている標準的なプロセスにより、2つの別々の10リットルのInfors(登録商標)発酵槽でクロスフロー濾過を用いて実施した。生成物を混合したところ、得られた濃縮物の総固形分含有量は8.03%であった。低温凍結時に微生物を保護するための抗凍結剤としてスクロースを濃縮物に添加し、次いで、得られた溶液を噴霧凍結及び造粒に使用した。この添加剤は、濃縮物の総固形分含有量及びこの添加剤の総固形分含有量の比が1:4となるように添加した。
【0267】
噴霧凍結方法及びプロセスの説明
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、供給原料容器(図1参照)(1a)からWatson-Marlow(登録商標)蠕動ポンプ(1b)を介してSpraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(1c)にポンプ供給した。液体供給原料は、Spraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(1c)により、Spraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(1c)の出口に直接連続して配置された、液体窒素(LN)を満たした容器(1e)内に霧状に吹き付けられる。流量及び霧化圧力は、気体N供給装置(1d)の弁及び二流体ノズル入口手前の追加の弁(1f)により調整した。
【0268】
このようにして、供給原料をLNに霧状に吹き付け、その後、噴霧凍結物の懸濁物を50μmのRetsch(登録商標)フィルタで濾過した。噴霧凍結された材料をLNから50μmのRetsch(登録商標)フィルタを用いて分離し、噴霧凍結された材料を、冷却コイルを有するプロセス冷却器(2c)に接続されている真空室(2b)内に配置された凍結乾燥トレイ(図2参照)(2a)に載せ、続いて凍結乾燥させた。
【0269】
ユウバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)の噴霧凍結及び凍結乾燥
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、上に記載した手順で噴霧凍結及び凍結乾燥させた。
【0270】
液体供給原料を、Spraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(SU2 Fluid Cap(商標)2850+Air Cap(商標)70)を用いて噴霧凍結させた。ノズルオリフィスを0.71mmとし、エアキャップのオリフィスを1.78mmとした。このAir Cap(商標)及びFluid Cap(商標)の組合せにより、噴霧角度は約21~22°となった。
【0271】
霧化圧力を0.3bar(g)とし、供給速度をWatson-Marlow(登録商標)ポンプで制御して、約46.2ml/分に設定した。噴霧凍結された材料をRetschからの50μmの篩で回収した。
【0272】
回収された噴霧凍結された材料(図4A参照)をプラスチック製容器に移し、嫌気性グローブボックスに移すまでドライアイス上で低温に維持し、その後、先に説明した凍結乾燥機(図2参照)に装入した。
【0273】
噴霧凍結された材料を、凍結乾燥機の棚の最下段に配置された金属製の凍結乾燥用トレイに均等に広げた。約46時間後に凍結乾燥を終了し、凍結乾燥された材料を凍結乾燥トレイから取り出した。凍結乾燥された材料を小型のアルミニウム袋に詰めて溶着した。
【0274】
造粒方法及びプロセスの説明
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、供給原料容器(図3参照)(3a)からWatson-Marlow(登録商標)蠕動ポンプ(3b)を介してノズル(3c)にポンプで供給した。液体供給原料を、ノズル(3c)から、ノズル出口の真下に配置された、液体窒素(LN)を満たした容器(3d)に滴下した。
【0275】
次いで、造粒された材料を50μmのRetsch(登録商標)フィルタで濾過し、凍結したペレットをここに回収した。造粒された材料をLNから50μmのRetsch(登録商標)フィルタで分離し、凍結したペレットを凍結乾燥トレイ(図2参照)に載せ、続いて先に記載したように凍結乾燥させた。
【0276】
ユウバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)の造粒及び凍結乾燥:
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、霧化気体を使用せずに、先に記載した手順を用いて造粒し、凍結乾燥させた。供給速度をWatson-Marlow(登録商標)ポンプで制御し、約13.86ml/分に設定した。
【0277】
造粒された材料をRetsch(登録商標)からの50μmの篩で回収してアルミニウム袋に移し、嫌気性グローブボックスに移すまでドライアイス上で低温に維持し、その後、凍結乾燥機に装入した。
【0278】
造粒された材料を、凍結乾燥機の棚の中段に配置された金属製の凍結乾燥トレイに均等に広げた。
【0279】
約46時間後に凍結乾燥を終了し、凍結乾燥された材料を凍結乾燥トレイから取り出した。凍結乾燥された材料を小型のアルミニウム袋に詰めて溶着した。
【0280】
凍結乾燥された凍結ペレットはサイズが非常に不均一であり、粒度分布の測定ができなかった。したがって、凍結乾燥されたペレットを乳鉢を用いて約5分間手作業で粉砕した。
【0281】
分析及び結果
生成した全ての試料について、残留水分(RM%)、水分活性(aw)、並びにd50及びspanによる粒度分布を評価した(凍結乾燥ペレットについては粒度を評価しなかった)。
【0282】
生成した全ての試料の生存率についても同様に評価した。生存率を、MPN(最確数)及びフローサイトメトリーにより測定した。報告する値は、各種類のプロセスにつき3つの試料の平均値である。
【0283】
粒度分布
Malvern Mastersizer(登録商標)3000分析装置を用いて測定した粒度分布。
【表8】
【0284】
最確数(MPN)
発酵物、濃縮物、濃縮物+抗凍結剤、凍結物(噴霧凍結物及びペレット)、及び凍結乾燥された材料について、増殖を測定した。
【0285】
試料1ml当たりの細胞数又は1グラム当たりの細胞数は全て6回の分析結果の平均値である。
【表9】
【0286】
MPNの結果から、噴霧凍結時に生存率が3.6log低下し、造粒時に生存率が2.8log低下することが分かる。
【0287】
噴霧凍結乾燥粉末は、凍結乾燥ペレットと比較して生存率が0.9log高く、粉砕されたペレットと比較して生存率が2.6log高いことも分かる。
【0288】
この結果から、粉砕工程で生存率が2.6log低下することが分かる。
【0289】
フローサイトメトリー
発酵物、濃縮物、抗凍結剤を含む濃縮物、凍結乾燥された材料、及び静電噴霧乾燥された材料について、フローサイトメトリーを測定した。
【表10】
【0290】
フローサイトメトリー結果から分かるように、分析した全ての試料に無傷のユウバクテリウム・ハリイ(Eubacterium hallii)細胞が多数存在していた。
【0291】
上の表から、乾燥粉末中の1グラム当たりの総細胞数は、生成した全ての粉末で同程度であることも分かり、1グラム当たりの無傷細胞の数が最も多いのは噴霧凍結乾燥された粉末であり、凍結乾燥 ペレットがそれに続くことが分かる。
【0292】
噴霧凍結乾燥粉末は、凍結乾燥ペレットと比較して生存率が0.3log高く、粉砕されたペレットと比較して生存率が1.1log高い。
【0293】
凍結乾燥ペレットの粉砕中に生存率が0.8log低下することが分かるが、このことはMPN分析でも認められている。
【0294】
実施例 4:バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron、B. thetaiotaomicron)を含む乾燥粒子の製造
バクテロイデス・シータイオタオミクロン(B.thetaiotaomicron)の発酵及び高濃縮を、当業者に知られている標準的なプロセスにより、2つの別々の10リットルのInfors(登録商標)発酵槽でクロスフロー濾過を用いて実施した。生成物を混合したところ、得られた濃縮物の総固形分含有量は11.72%であった。低温凍結時に微生物を保護するための抗凍結剤としてスクロースを濃縮物に添加し、次いで、得られた溶液を噴霧凍結及び造粒に使用した。この添加剤は、濃縮物の総固形分含有量及びこの添加剤の総固形分含有量の比が1:4となるように添加した。
【0295】
噴霧凍結方法及びプロセスの説明
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、供給原料容器(図1参照)(1a)からWatson-Marlow(登録商標)蠕動ポンプ(1b)を介してSpraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(1c)にポンプ供給した。液体供給原料は、Spraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(1c)により、Spraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(1c)の出口に直接連続して配置された、液体窒素(LN)を満たした容器(1e)内に霧状に吹き付けられる。流量及び霧化圧力は、気体N供給装置(1d)の弁及び二流体ノズル入口手前の追加の弁(1f)により調整した。
【0296】
このようにして、供給原料をLNに霧状に吹き付け、その後、噴霧凍結物の懸濁物を50μmのRetsch(登録商標)フィルタで濾過した。噴霧凍結された材料をLNから50μmのRetsch(登録商標)フィルタを用いて分離し、噴霧凍結された材料を、冷却コイルを有するプロセス冷却器(2c)に接続されている真空室(2b)内に配置された凍結乾燥トレイ(図2参照)(2a)に載せ、続いて凍結乾燥させた。
【0297】
バクテロイデス・シータイオタオミクロン(B.thetaiotaomicron)の噴霧凍結及び凍結乾燥
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、上に記載した手順で噴霧凍結及び凍結乾燥させた。
【0298】
液体供給原料を、Spraying Systems Co.(登録商標)二流体ノズル(SU2 Fluid Cap(商標)2850+Air Cap(商標)70)を用いて噴霧凍結させた。ノズルオリフィスを0.71mmとし、エアキャップのオリフィスを1.78mmとした。このAir Cap(商標)及びFluid Cap(商標)の組合せにより、噴霧角度は約21~22°となった。
【0299】
霧化圧力を0.3bar(g)とし、供給速度をWatson-Marlow(登録商標)ポンプで制御して、約46.2ml/分に設定した。噴霧凍結された材料をRetsch(登録商標)からの50μmの篩で回収した。
【0300】
回収された噴霧凍結された材料(図4A参照)をプラスチック製容器に移し、嫌気性グローブボックスに移すまでドライアイス上で低温に維持し、その後、先に説明した凍結乾燥機(図2参照)に装入した。
【0301】
噴霧凍結された材料を、凍結乾燥機の棚の最下段に配置された金属製の凍結乾燥用トレイに均等に広げた。約46時間後に凍結乾燥を終了し、凍結乾燥された材料を凍結乾燥トレイから取り出した。凍結乾燥された材料を小型のアルミニウム袋に詰めて溶着した。
【0302】
造粒方法及びプロセスの説明
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、供給原料容器(図3参照)(3a)からWatson-Marlow(登録商標)蠕動ポンプ(3b)を介してノズル(3c)にポンプ供給した。液体供給原料を、ノズル(3c)から、ノズル出口の下に配置された、液体窒素(LN)を満たした容器(3d)に滴下した。
【0303】
次いで、造粒された材料を50μmのRetsch(登録商標)フィルタで濾過し、凍結したペレットをここに回収した。
【0304】
造粒された材料をLNから50μmのRetsch(登録商標)フィルタで分離し、凍結したペレットを凍結乾燥トレイに載せ、続いて先に記載したように凍結乾燥させた。
【0305】
バクテロイデス・シータイオタオミクロン(B.thetaiotaomicron)の造粒及び凍結乾燥:
上のように調製した液体懸濁物(供給原料)を、霧化気体を使用せずに、先に記載した手順を用いて造粒し、凍結乾燥させた。供給速度をWatson-Marlowポンプ(登録商標)で制御し、約13.86ml/分に設定した。造粒された材料を50μmのRetsch(登録商標)篩で回収した。
【0306】
造粒された材料をアルミニウム袋に移し、嫌気性グローブボックスに移すまでドライアイス上で低温に維持し、その後、凍結乾燥機に装入した。
【0307】
約46時間後に凍結乾燥を終了し、凍結乾燥された材料を凍結乾燥トレイから取り出した。
【0308】
凍結乾燥された材料を小型のアルミニウム袋に詰めて溶着した。
【0309】
凍結乾燥された凍結ペレットはサイズが非常に不均一であり、粒度分布の測定ができなかった。したがって、凍結乾燥されたペレットを乳鉢を用いて約5分間手作業で粉砕した。
【0310】
分析
生成した全ての試料について、残留水分(RM%)、水分活性(aw)、並びにd50及びspanによる粒度分布を評価した(凍結乾燥ペレットについては粒度を評価しなかった)。
【0311】
生成した全ての試料の生存率についても同様に評価した。生存率を、MPN(最確数)、CFU(コロニー形成単位)、及びフローサイトメトリーにより測定した。報告する値は、各種類のプロセスにつき3つの試料の平均値である。
【0312】
粒度分布
Malvern Mastersizer(登録商標)3000分析装置を用いて測定した粒度分布。
【表11】
【0313】
最確数(MPN)
発酵物、濃縮物、濃縮物+抗凍結剤、凍結物(噴霧凍結物及びペレット)、及び凍結乾燥された材料について、増殖を測定した。
【0314】
試料1ml当たりの細胞数又は1グラム当たりの細胞数は全て6回の分析結果の平均値である。
【表12】
【0315】
MPNの結果から、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(B.thetaiotaomicron)の生存率は凍結工程で低下し、噴霧凍結時に生存率は1.7log低下し、造粒時に3.4log低下することが分かった。
【0316】
凍結乾燥工程により、噴霧凍結された材料の生存率は4.6log低下し、ペレットの生存率は凍結乾燥で1.5log低下した。
【0317】
フローサイトメトリー
発酵物、濃縮物、凍結物(噴霧凍結物及びペレット)、及び凍結乾燥された材料について、フローサイトメトリーを測定した。
【表13】
【0318】
フローサイトメトリー結果から分かるように、分析した全ての試料においてバクテロイデス・シータイオタオミクロン(B.thetaiotaomicron)の総細胞数が多かった。
【0319】
上の表から、プロセス全体を通して1グラム当たりの総細胞数がかなり多いことと、プロセス全体を通して、1グラム当たりの総細胞数は、分析した試料全てが同じ範囲にあることとが分かる。
【0320】
MPNの結果と同様に、凍結工程でも生存率低下することがわかる。
【0321】
噴霧凍結時に生存率が1.0log低下し、造粒時に生存率が1.2log低下したことが分かる。
【0322】
噴霧凍結された材料及びペレットの凍結乾燥時に生存率が低下したことも分かる。
【0323】
凍結乾燥時に、噴霧凍結された材料の生存率は1.1log低下し、ペレットの生存率は1.0log低下する。
【0324】
噴霧凍結乾燥粉末の生存率が最も高く、生存率は凍結乾燥ペレット及び粉砕されたペレットと比較して0.1log高い。
【0325】
参考文献
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図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
【国際調査報告】