(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-18
(54)【発明の名称】Micro-LEDのダイボンド方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20230411BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L21/60 311S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553136
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2020113250
(87)【国際公開番号】W WO2021174793
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】202010143743.X
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522350852
【氏名又は名称】深▲セン▼雷曼光電科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】LEDMAN OPTOELECTRONIC CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Building 8, Block 2, Baimang Baiwangxin Industrial Park, Xili Area, Nanshan District Shenzhen, Guangdong 518108 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李漫鉄
(72)【発明者】
【氏名】謝玲
(72)【発明者】
【氏名】余亮
(72)【発明者】
【氏名】屠孟龍
【テーマコード(参考)】
5F044
5F142
【Fターム(参考)】
5F044KK02
5F044KK14
5F044LL01
5F044RR01
5F142AA82
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA14
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD25
5F142FA34
(57)【要約】
Micro-LEDのダイボンド方法であって、PCB基板のダイボンド箇所に錫めっきを施して、錫めっき層を得ること、前記錫めっき層において順に保護層およびフラックス層を添加して、前処理PCB基板を得ること、およびMicro-LEDフリップチップを前記前処理PCB基板に転移し、リフローしてダイボンディングし、Micro-LEDのダイボンドを完成すること、を含むMicro-LEDのダイボンド方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCB基板のダイボンド箇所に錫めっきを施して、錫めっき層を得ることと、
前記錫めっき層において順に保護層およびフラックス層を添加して、前処理PCB基板を得ることと、
Micro-LEDフリップチップを前記前処理PCB基板に転移し、リフローしてダイボンディングし、Micro-LEDのダイボンドを完成することと、を含む、
Micro-LEDのダイボンド方法。
【請求項2】
前記錫めっき層の厚さが5μm~30μmである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記保護層の添加には、保護膜の貼着または有機はんだ付け性保護膜OSPプロセスのうちのいずれか1種が含まれる、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記フラックスが、ケトン系、アルコール系またはエステル系の有機無洗浄フラックスのうちの少なくとも1種を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記フラックス層の厚さが1μm~5μmである、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記Micro-LEDフリップチップが、錫付きのMicro-LEDフリップチップである、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記リフローダイボンディング前に、リフローのプロファイルの調節をさらに含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記リフローダイボンディングには、真空吸引した後、負圧を修正するように窒素ガスが入り、且つ前記窒素ガスの濃度は99.99%を超えることが含まれる、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記錫めっき層の厚さが5μm~30μmであり、
前記フラックス層の厚さが1μm~5μmであり、
前記保護層の添加方法には、保護膜の貼着または有機はんだ付け性保護膜OSPプロセスのうちのいずれか1種が含まれる、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日2020年3月4日、出願番号202010143743.Xの中国特許出願の優先権を主張し、本願のすべての内容が援用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、Micro-LEDの技術分野に属し、例えば、Micro-LEDのダイボンド方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポイントピッチが小さくなり、チップの排列密度が大きくなるに伴い、関連技術におけるめっきプロセスのPCB基板は、プリンターを使用して錫の半田ペーストを印刷する必要がある。そのため、錫の半田ペーストを印刷する際のスチールスクリーンに対する要求、および印刷プロセスに対する精度要求が更に高くなり、スチールスクリーンの開孔は小さく緻密で、スチールスクリーンの厚さが薄くなり、コストが増え、スチールスクリーンの耐用年数が低下してしまう。通常のチップは、粒径が小さい錫の半田ペーストを使用して、真空で窒素ガスが入り還流する形態で固定される必要がある。
【0004】
CN110600496Aでは、非機能領域および回路接続領域を有し、非機能領域が回路接続領域と隣り合う回路基板と、前記非機能領域に位置する、背面が前記回路基板の正面に接触して固定されたMicro-LEDチップと、各バインドワイヤの一端がMicro-LEDチップの引き出し極に接続され、他の一端が前記回路基板の回路接続領域に接触して接続されたボンディングワイヤ群と、を含むMicro-LEDチップのパッケージ構造が開示されている。
【0005】
CN110718611Aでは、大量なMicro LEDの移動方法、装置、パッケージ構造、および表示装置が開示されている。大量なMicro-LEDの移動方法には、駆動回路基板を配置し、第1載置板および第2載置板を配置し、前記第2載置板へMicro-LED素子を倒し、前記第1載置板および第2載置板に振動力を加え、駆動回路基板における電極をMicro-LED素子と結合することが含まれる。大量なMicro-LEDの移動装置は、上述した方法に係る部材を含み、パッケージ構造は、上述した移動方法により製造され、表示装置は、パッケージ構造を含む。本願において、第2載置板へMicro-LED素子をパッチ倒し、振動力の作用下で、Micro-LED素子が第1載置板内に落下し、Micro-LED素子と電極との結合を行うことで、大量なMicro-LED素子の移動を実現する。
【0006】
CN107527896Aでは、RGB顕色に基づくMicro-LEDパッケージ構造が開示されている。該構造は、本体を含む。本体において2つの独立した第一のキャビティおよび第二のキャビティが設けられている。第一のキャビティ内に第一の青色チップ、緑色チップおよび第一のパッケージ層が設けられている。第一のパッケージ層は、第一の青色チップと緑色チップを完全に包んでパッケージする。第二のキャビティに第二の青色チップおよび第二のパッケージ層が設けられている。第二のパッケージ層内に赤色の蛍光粉が設けられている。第二のパッケージ層は、第二の青色チップを完全に包んでパッケージする。赤色の蛍光粉が第二の青色チップからの青色光を完全に吸収することで第二のキャビティが赤色光のみを発射する。第二のキャビティは第二の青色チップと第二のパッケージ層における赤色の蛍光粉によって赤色光を実現し、赤色光が第一のキャビティにおける青色チップおよび緑色チップからの青色光、緑色光と組み合わせて、三原色の発光を実現し、電流によって混色効果を制御する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願は、錫の半田ペーストを印刷するプロセスフローを減少させ、錫の半田ペーストをプリントするための投入や、スチールスクリーンの製造が不要となり、効率を向上させるMicro-LEDのダイボンド方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の実施例は、
PCB基板のダイボンド箇所に錫めっきを施して、錫めっき層を得ることと、
前記錫めっき層において順に保護層およびフラックス層を添加して、前処理PCB基板を得ることと、
Micro-LEDフリップチップを前記前処理PCB基板に転移し、リフローしてダイボンディングし、Micro-LEDのダイボンドを完成することと、を含むMicro-LEDのダイボンド方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願の具体的な実施形態に係るMicro-LEDのダイボンド方法の構造模式図である。
【
図2】本願の具体的な実施形態に用いられるPCB基板の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1および
図2に示すように、
図1は、本願の実施例に係るMicro-LEDのダイボンド方法の構造模式図であり、
図2は、本願の実施例に用いられるPCB基板の構造模式図である。
【0011】
実施例1
本実施例は、Micro-LEDのダイボンド方法を提供する。前記方法は、以下のステップを含む。
(1)PCB基板のダイボンド箇所に錫めっきを施し、錫めっき層を得た。前記錫めっき層の厚さは、15μmである。
(2)工程(1)で得た錫めっき層において順に保護層およびフラックス層を添加して、前処理PCB基板を得た。前記フラックス層の厚さは、1μmである。前記保護層の添加方法は、保護膜を貼着するものである。フラックス層には、スプレー塗装プロセスが用いられた。
(3)錫付きのMicro-LEDフリップチップを工程(2)で得た前記前処理PCB基板に転移し、リフローのプロファイルを調節した後にリフローしてダイボンディングし、Micro-LEDのダイボンドを完成した。
【0012】
実施例2
本実施例は、Micro-LEDのダイボンド方法を提供する。前記方法は、以下のステップを含む。
(1)PCB基板のダイボンド箇所に錫めっきを施し、錫めっき層を得た。前記錫めっき層の厚さは、30μmである。
(2)工程(1)で得た錫めっき層において順に保護層およびフラックス層を添加して、前処理PCB基板を得た。前記フラックス層の厚さは、5μmである。前記保護層の添加方法は、保護膜を貼着するものである。フラックス層には、スプレー塗装プロセスが用いられた。
(3)錫付きのMicro-LEDフリップチップを工程(2)で得た前記前処理PCB基板に転移し、リフローのプロファイルを調節した後にリフローしてダイボンディングし、Micro-LEDのダイボンドを完成した。
【0013】
実施例3
本実施例は、Micro-LEDのダイボンド方法を提供する。前記方法は、以下のステップを含む。
(1)PCB基板のダイボンド箇所に錫めっきを施し、錫めっき層を得た。前記錫めっき層の厚さは、20μmである。
(2)工程(1)で得た錫めっき層において順に保護層およびフラックス層を添加して、前処理PCB基板を得た。前記フラックス層の厚さは、2μmである。前記保護層の添加的方法は、有機はんだ付け性保護膜(Organic Solderability Preservatives、OSP)プロセスである。フラックス層には、スプレー塗装プロセスが用いられた。
(3)錫付きのMicro-LEDフリップチップを工程(2)で得た前記前処理PCB基板に転移し、リフローのプロファイルを調節した後にリフローしてダイボンディングし、Micro-LEDのダイボンドを完成した。
【0014】
実施例4
本実施例は、Micro-LEDのダイボンド方法を提供する。前記方法は、以下のステップを含む。
(1)PCB基板のダイボンド箇所に錫めっきを施し、錫めっき層を得た。前記錫めっき層の厚さは、25μmである。
(2)工程(1)で得た錫めっき層において順に保護層およびフラックス層を添加して、前処理PCB基板を得た。前記フラックス層の厚さは、3μmである。前記保護層の添加方法は、OSPプロセスである。フラックス層には、スプレー塗装プロセスが用いられた。
(3)錫付きのMicro-LEDフリップチップを工程(2)で得た前記前処理PCB基板に転移し、リフローのプロファイルを調節した後にリフローしてダイボンディングし、Micro-LEDのダイボンドを完成した。
【0015】
本願の実施例1~実施例4に用いられた錫めっき方法は、化学的錫めっき法であり、めっき溶液における金属イオンが、還元剤の作用下で基体の活性表面において蒸着する。化学的錫めっきによる錫めっき層の厚さは均一で、外部電源が必要ない。
【0016】
本願の実施例1~実施例4に用いられたリフローしてダイボンディングするプロセスは、まず真空吸引を行った後、負圧を修正するように窒素ガスを入れるものであり、前記窒素ガスの濃度は99.99%を超える。
【0017】
本願の実施例1~実施例2に用いられた保護膜は、UV硬化膜である。実施例3~実施例4におけるOSPプロセスの材料は、ロジン(Rosin)系、活性樹脂(ActiveResin)系およびアゾール(Azole)系であってもよい。本実施例においては、アゾールOSPが選択される。そのうち、前記保護膜は、使用時に剥がす必要がある。操作可能な期間内にダイボンディング及びリフローを完成する。
【0018】
本願実施例1~実施例4に用いられたMicro-LEDのダイボンド方法は、従来技術におけるめっき方法と比べて、コストを20%~30%節約することができる。
【0019】
従来技術と比べると、本願は、少なくとも以下の有益な効果を有する。
本願は、金めっきを代替して錫めっきと酸化防止層のプロセスが用いられることにより、PCB基板のコストを20%~30%低下させ、さらに電極に錫があるフリップチップとともに用いられることにより、錫の半田ペーストを印刷するプロセスフローを減少させ、錫の半田ペーストプリンターの投入や、スチールスクリーンの製造が不要となり、効率を高めることができる。
【国際調査報告】