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特表2023-516211耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-18
(54)【発明の名称】耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/02 20060101AFI20230411BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20230411BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20230411BHJP
   C08F 220/04 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
C08L33/02
C08K5/17
C08K3/32
C08F220/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554462
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(85)【翻訳文提出日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 CN2022072535
(87)【国際公開番号】W WO2022073527
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】202111654376.0
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522355949
【氏名又は名称】ジャンスー エイケイエスティー ニューマテリアルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ユ グオ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ビン チュエン
(72)【発明者】
【氏名】ドン, チュン シェン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BG011
4J002DH037
4J002EN106
4J002FD206
4J002FD207
4J002GJ00
4J002GK02
4J002HA04
4J100AK03P
4J100AK19P
4J100AK24P
4J100AL03R
4J100AL09Q
4J100CA05
4J100DA09
4J100FA08
4J100FA18
4J100JA67
(57)【要約】
本発明は、耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤を開示し、固形分含有量100%で計算すると、水溶性樹脂プレポリマー100部、ポリオール10~70部、触媒2~15部の重量配合比の成分を含む。そのうち、水溶性樹脂プレポリマーは、モノマー原料の共重合反応から得られ、モノマー原料は、物質量基準で、アルキレン結合型不飽和カルボン酸モノマー90.0~99.0%、アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマー0.5~5.0%、疎水性アルキレン結合型不飽和モノマー0.5~5.0%を成分として含む。本発明に係る成形剤は、遊離ホルムアルデヒドを放出せず、エコと環境配慮の、VOCフリー・ホルムアルデヒドフリーの基準要件を満たしており、良好な安定性を有し、長期的に安定的な保存が可能であるため、産業的な使用に好適であり、また、生産されるミネラルウールボードは、硬度が従来のアクリル酸ホモポリマー製品より優れ、良好な耐水・耐劣化性と施工特性を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分含有量100%で計算すると、
水溶性樹脂プレポリマー:100部と、
ポリオール:10~70部と、
触媒:2~15部との重量配合比の成分を含み、
そのうち、前記水溶性樹脂プレポリマーは、モノマー原料の共重合反応から得られ、前記モノマー原料は、物質量基準で、
a.アルキレン結合型不飽和カルボン酸モノマー:90.0~99.0%と、
b.アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマー:0.5~5.0%と、
c.疎水性アルキレン結合型不飽和モノマー:0.5~5.0%との成分を含むことを特徴とする、耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項2】
前記水溶性樹脂プレポリマーの数平均分子量は、500~30000であることを特徴とする、請求項1に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項3】
前記アルキレン結合型不飽和カルボン酸モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、2-メチルマレイン酸、イタコン酸、2-メチルイタコン酸、α-β-メチレングルタル酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸モノアルキル、無水マレイン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水イソオクチルアクリル酸、無水クロトン酸、無水フマル酸から選ばれる1つ又は複数であることを特徴とする、請求項1に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項4】
前記アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマーは、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-1-メチル-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-1-メチル-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシブチル、及びアクリル酸-2-ヒドロキシブチルから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項5】
前記疎水性アルキレン結合型不飽和モノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、ビニルトルエン、又は塩化ビニルトルエンから選ばれる1つ又は複数であることを特徴とする、請求項1に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項6】
前記疎水性アルキレン結合型不飽和モノマーの水への溶解度は、0~1.5g/100gであり、そのホモポリマーのガラス転移点は、-15℃~-80℃であることを特徴とする、請求項5に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項7】
前記疎水性アルキレン結合型不飽和モノマーは、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、又はメタクリル酸ラウリルから選ばれる1つ又は複数であることを特徴とする、請求項6に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項8】
前記ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、又はポリビニルアルコールから選ばれる1つ又は複数であり、前記触媒は、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸亜鉛、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、又は次亜リン酸マグネシウムから選ばれる1つ又は複数であることを特徴とする、請求項1に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項9】
固形分含有量100%で計算すると、
水溶性樹脂プレポリマー:100部と、
ポリオール:12~50部と、
触媒:5~10部との重量配合比の成分を含み、
そのうち、前記水溶性樹脂プレポリマーは、モノマー原料の共重合反応から得られ、前記モノマー原料は、物質量基準で、
a.アルキレン結合型不飽和カルボン酸モノマー:92.5~96.0%と、
b.アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマー:3.0~4.5%と、
c.疎水性アルキレン結合型不飽和モノマー:1.0~3.0%との成分を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項10】
前記アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマーと疎水性アルキレン結合型不飽和モノマーのモル比の範囲は、1:1.5~1.5:1であることを特徴とする、請求項9に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項11】
固形分含有量100%で計算すると、
ミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤:100部と、
カップリング剤:0.1~5部と、
撥水剤:0~5部と、
防塵オイル:0~10部と、
水:0~200部との重量配合比の成分を含み、
そのうち、前記カップリング剤は、3-(2,3-エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン(KH560)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(KH550)、3-(2,3-エポキシプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン(KH561)、又は3-(2,3-エポキシプロポキシ)プロピルジメトキシシランから選ばれる1つ又は複数であることを特徴とする、請求項1に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項12】
前記成形剤の乾態強度は4.0MPaより大きく、湿潤強度は3.0MPaより大きく、且つ強度保持率は60%より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化学材料の分野に属し、詳しく言えば、耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ミネラルウールは、一般にロックウール、グラスウール、スラグウールを含み、軽量、優れた保温性、低い熱伝導率、強い耐熱性、遮音性、防水性、安定的な化学的性質、耐酸・耐塩基性、非腐食性などの特性があり、新規な軽量断熱材である。ミネラルウール及びその製品は、冶金、建設、石油、化学工業、軽工業、運輸、国防などの産業分野で幅広く使用され、特に、ミネラルウールのうちのロックウールは建設分野への使用がここ数年ようやく拡大されるが、農業などの分野におけるその使用にはまだ改善の余地があり、その優れた断熱性、吸音・騒音低減、防火安全特性が、各業界からますます注目を集める。
【0003】
ミネラルウール業界では成形剤が一般的に使用され、成形剤は一般にオリゴマー樹脂水溶液で、樹脂の硬化と結合により、散り散り分散しているミネラルウールをボード、フェルト、ウールなどの製品に成形させるものであり、ミネラルウール断熱製品に良好な物理的・機械的特性を与え、繊維を結合させてミネラルウールの強度を高める役割を果たす。近年、政府が断熱産業への環境保護監督を強めることで、従来のフェノール樹脂ロックウール成形剤はホルムアルデヒドの大量生成とフェノール排水汚染のために厳しい規制を受け、生産停止さえ命じられるため、ますます多くの企業が、従来のフェノール樹脂成形剤の代わりとしてより環境配慮型で安全な成形剤を開発する作業に力を入れている。
【0004】
特許US5661213には、ポリ酸と、ポリオールとリン含有促進剤とを含む硬化性の水性組成物が開示される。当該組成物は、ガラス繊維からなる不織布などの耐熱性不織布において結合剤として用いることができるが、当該組成物から製造された結合剤は高い特性が求められるウールボードを結合させる時に結合強度が優れず、特に高温・高湿環境下では強度が悪いため、ウールボードを使用する施工では垂れ下がりやすく、様々な不便をもたらし、施工効率を下げてしまう。特許CN106795247Aにはガラス繊維を結合できる結合剤が開示される。当該結合剤はヒドロキシ基を有する重合体を含むが、使用時に揮発性塩基(アンモニア水溶液)と接触したら分子量が増加し、不安定になる傾向があり、生産中に空気に揮発するため、環境汚染の問題がある。上記で分かるように、従来のホルムアルデヒドフリーポリアクリル酸系成形剤には依然としていくつかの克服しがたい技術的課題が残っている。中でも、保存安定性と結合強度の不足、特に湿潤強度の不足と強度保持率の低さが、早急に解決すべき課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5661213号公報
【特許文献2】中国特許出願公開第106795247号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明は、従来のホルムアルデヒドフリー(formaldehyde free)成形剤の強度が不十分で、特に湿潤強度が低いことで、生産されたミネラルウールが高温・高湿の条件下で特性が低下しやすいという課題に対し、耐水性を向上させるミネラルウール(mineral wool)専用ホルムアルデヒドフリー成形剤(setting agent)を提供するものであり、固形分含有量100%で計算すると、以下の重量配合比の成分を含む。
水溶性樹脂プレポリマー:100部、
ポリオール:10~70部、
触媒:2~15部。
【0007】
そのうち、水溶性樹脂プレポリマーは、モノマー原料の共重合反応から得られ、モノマー原料は、物質量基準で次の成分を含む。
a.アルキレン結合型不飽和カルボン酸モノマー:90.0~99.0%、
b.アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマー:0.5~5.0%、
c.疎水性アルキレン結合型不飽和モノマー:0.5~5.0%。
【0008】
好ましくは、本発明のミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤は、固形分含有量100%で計算すると、以下の重量配合比の成分を含む。
水溶性樹脂プレポリマー:100部、
ポリオール:12~50部、
触媒:5~10部。
【0009】
そのうち、前記水溶性樹脂プレポリマーは、モノマー原料の共重合反応から得られ、前記モノマー原料は、物質量基準で次の成分を含む。
a.アルキレン結合型不飽和カルボン酸モノマー:92.5~96.0%、
b.アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマー:3.0~4.5%、
c.疎水性アルキレン結合型不飽和モノマー:1.0~3.0%。
【0010】
好ましくは、水溶性樹脂プレポリマーの数平均分子量は、500~30000であり、好ましくは、800~10000であり、より好ましくは、1000~5000であり、本発明に記載の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)技術を用いて測定される。その固形分含有量は、1~99%であってもよく、好ましくは、20~60%であり、pHは、1.0~4.0である。
【0011】
本発明に記載のアルキレン結合型不飽和カルボン酸モノマーは、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MA)、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸(MLA)、2-メチルマレイン酸、イタコン酸、2-メチルイタコン酸、α-β-メチレングルタル酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸モノアルキル、無水マレイン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水イソオクチルアクリル酸、無水クロトン酸、或いは無水フマル酸の中の1つ又は複数であってもよく、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、或いはマレイン酸の中の1つ又は複数である。
【0012】
本発明に記載のアルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマーは、(メタクリル酸)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルモノマーを含むが、それらに限定されず、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEA)、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル(HPMA)、メタクリル酸-1-メチル-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-1-メチル-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシブチル、或いはアクリル酸-2-ヒドロキシブチルの中の1つ又は複数であってもよく、好ましくは、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、或いはメタクリル酸-2-ヒドロキシエチルの中の1つ又は複数である。
【0013】
アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマーは、成形剤の結合強度、特に乾結合強度を効果的に向上させることができる。本願では、研究を行ったところ、アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマーの添加量が0.5%モル部未満である場合に、明らかに改善した強度向上効果が得られず、添加量が5%モル部より大きい場合に、成形剤の粘度が不安定になり、時間の経過とともに徐々に上昇する傾向にあるということを見出した。
【0014】
本発明に記載の疎水性アルキレン結合型不飽和モノマーとは、カルボキシ基又はヒドロキシ官能基を含まない疎水性アルキレン結合型不飽和モノマーを指し、成形剤の耐水性を一層効果的に向上させて、成形剤の親水性官能基に対して遮蔽効果を果たすことにより、成形剤の湿潤強度と強度保持率を効果的に向上させることができる。本発明に記載の疎水性不飽和モノマーは、次のものを含むが、それらに限定されない。メタクリル酸エステルモノマーであってもよいアクリル酸エステル系モノマーであって、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソデシル或いはメタクリル酸ラウリルを含むアクリル酸エステルモノマーであってもよく、ビニル系芳香族モノマーであって、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン或いはビニルトルエンであってもよく、酢酸ビニル系モノマーであって、酢酸ビニル又は酪酸ビニルであってもよく、ビニルモノマーであって、例えば、ビニルアルコール、塩化ビニル、ビニルトルエン、ビニルベンゾフェノン或いは塩化ビニリデンであってもよく、重合反応に参加できる他のモノマーであって、例えば、アクリロニトリル或いは(メタクリル酸)アクリル酸グリシジルであってもよい。
【0015】
さらに、本発明に記載の疎水性不飽和モノマーは、水への溶解度が0~1.5g/100gである疎水性不飽和モノマーであるのが好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル(BA)、アクリル酸イソブチル(i-BA)、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-プロピル(PA)、アクリル酸シクロヘキシル(CHA)、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(2-EHMA)、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル(n-BMA)、メタクリル酸ラウリル(LMA)、メタクリル酸-2-エチルヘキシル(2-EHMA)、メタクリル酸イソボルニル(LMA)、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、ビニルトルエン或いは塩化ビニルトルエンの中の1つ又は複数であってもよい。
【0016】
さらに、出願人は、前記疎水性モノマーを使用する場合は、合成時にホモポリマーのガラス転移点(Tg)が低い方のモノマー(いわゆるソフトモノマー)を使用すると、得られた成形剤の強度と強度保持率が一層向上するということを判明し、記述の簡素化の観点から、本発明に記載のモノマーのホモポリマーのTgをモノマーのTgと略称し、本発明にいうTgは、GB/T29611-2013「生ゴムのガラス転移点の測定:示差走査熱量測定法(DSC)」により測定することができ、測定条件は、昇温速度が10℃/分で、窒素雰囲気である。いかなる理論からも拘束されない理由として考えられるのは、本特許出願の成形剤自体が架橋密度の高い製品で、適量の撥水性軟質エラストマーを導入すると、成形剤自体の強靭性をある程度向上させ、最終的に成形剤の結合強度を向上させられることである。本発明で低いTgのモノマー・低い溶解度の疎水性モノマーとして好ましいのは、モノマーのTgが-15℃~-80℃の間で、水への溶解度が0~0.5g/100gである疎水性不飽和モノマーであり、好ましくは、アクリル酸n-ブチル(BA)、アクリル酸ラウリル、アクリル酸n-プロピル(n-BA)、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(2-EHA)或いはメタクリル酸ラウリルの中の1つ又は複数である。
【0017】
本発明に記載の疎水性不飽和モノマーの添加量は、0.5~5%モル部であり、好ましくは、1.5~4.5%モル部であり、より好ましくは、3.0~4.5%モル部である。添加量が0.5%モル部未満である場合に、添加された不飽和撥水性モノマーは耐水性を明らかに改善させる効果を果たせず、添加量が5%モル部より大きい場合に、成形剤の架橋密度と結合強度が大きく低下する。
【0018】
さらに、出願人は、アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマーb:疎水性アルキレン結合型不飽和モノマーcのモル比=1:1.5~1.5:1で且つモノマーbの含有量が3.0~4.5モル%である場合に、成形剤の乾態強度は5.0MPaより大きく、湿潤強度は3.5MPaより大きく、強度保持率は70%より大きく、且つその粘度上昇率は20%以下であり、最良の特性を有するということを見出した。
【0019】
本発明に記載のポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基を備える化合物であり、1,2-エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2,3-シクロヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、グリセリンポリエーテルポリオール、2,2-ジメチル-1,3-プロピレングリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、2-メチル-2,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-1,3-プロピレングリコール、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-2-メチル-1,3-プロピレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、2,2-ジヒドロキシメチル-2,3-プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グルコース、果糖、ソルビトール、スクロース、マンニトール、マルトース、マルチトール、グルコース、レゾルシノール、カテコール、ピロガロール、1,2-エチレングリコール二量体、1,2-エチレングリコール三量体、1,2-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール二量体又は1,2-プロピレングリコール三量体などであってもよい。アルカノールアミンポリオールであって、例えば、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン又はトリエタノールアミンであってもよく、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む付加重合体であって、例えば、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、(メタクリル酸)アクリル酸ヒドロキシエチル又は(メタクリル酸)アクリル酸ヒドロキシプロピルのホモポリマー又はコポリマーであってもよい。さらに、本発明でポリオールとして好ましいのは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコールの中の1つ又は複数である。
【0020】
本発明に記載の触媒とは、カルボン酸とヒドロキシ基の反応を促進できる触媒を指し、例えば、リン含有触媒であって、例えば、次亜リン酸(hypophosphorous acid)、次亜リン酸塩、アルカリ金属次亜リン酸塩、アルカリ金属亜リン酸塩、アルカリ金属ポリリン酸塩、アルカリ金属リン酸二水素塩、ポリリン酸、アルキル次亜リン酸或いはルイス酸であり、次亜リン酸塩であって、例えば、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸亜鉛、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウムであり、無機酸の金属塩であって、例えば、(ピロ)亜硫酸水素ナトリウム又は亜硫酸塩であってもよく、ルイス酸触媒は、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、鉄、マグネシウム、スズ、チタン又はホウ素の硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、クエン酸塩、乳酸塩又はグルコン酸塩であってもよい。本発明で触媒として好ましいのは、次亜リン酸塩であり、次亜リン酸塩として好ましいのは、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸亜鉛、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウムの中の1つ又は複数である。
【0021】
本発明では、カップリング剤、撥水剤、防塵オイルの中の1つ又は複数の組み合わせを添加してもよい。カップリング剤は、無機物質と有機物質の界面の間に「分子ブリッジ」をかけて、特性が大きく異なる2種類の材料を緊密に結合させることにより、成形剤の湿潤・抗湿強度を改善させ、界面の結合特性を向上させ、内部応力を解消し、耐用年数を引き伸ばすことができ、本発明でカップリング剤として好ましいのは、エポキシシロキサンカップリング剤とアミノシランカップリング剤であり、さらに、本発明の好ましいアミノ系カップリング剤又はエポキシ系カップリング剤は、3-(2,3-エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン(KH560)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(KH550)、3-(2,3-エポキシプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン(KH561)或いは3-(2,3-エポキシプロポキシ)プロピルジメトキシシランから1つ又は複数選ばれ、撥水剤は、ガラス繊維の表面への水分子の吸着を効果的に阻止し、ミネラルウールの疎水性を向上させることができ、防塵オイルをミネラルウールに用いると、生産、切断、加工、運搬のプロセスで飛散する粉塵の大量発生を効果的に軽減させることができる。ミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤、カップリング剤、撥水剤、及び防塵オイルはいずれも固形分含有量100%で計算すると、カップリング剤、撥水剤、及び防塵オイルが次の重量配合比で添加される。
ミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤:100部、
カップリング剤:0.1~5部、より好ましくは、0.2~1.0部、
撥水剤:0~5部、
防塵オイル:0~10部。
【0022】
さらに、前記成分に加え、本発明の成形剤には、所望により、適切に水を加えてもよく、適量の水を加えると粘度を低減できるため、成形剤の輸送と使用に有利である。水としては、一般に、純水、水道水又は成形剤の特性に影響を与えない他の循環水を選択することができる。好ましくは、ミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤は固形分含有量100%で計算すると、100質量部のミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤あたり水の添加量は0~200質量部である。
【0023】
本発明の成形剤組成物は、ホルムアルデヒドフリーのコポリマー組成物であるのが好ましい。「ホルムアルデヒドフリー」とは、前記組成物がホルムアルデヒドを含まないため、硬化中にホルムアルデヒドを放出せず、使用する添加剤、例えば、ポリオールや他の助剤などもホルムアルデヒドを含まないため、重合中にホルムアルデヒドを生成せず、かつ基材の処理中にホルムアルデヒドを生成又は放出しないことを表す。
【0024】
本発明では、前記成形剤の保存安定性を検討するために、サンプルを高温オーブンに入れて60℃/4週間の条件で高温保持する前後の粘度上昇率(%)を測定することによりその安定性を表し、当該方法は、成形剤の安定性を効果的に検討することができ、本発明の成形剤として好ましいのは60℃/4週間の保持条件下で、粘度上昇率が20%以下であり、より好ましくは、粘度上昇率は15%以下であり、さらに、粘度上昇率(%)は10%以下である。
【0025】
本発明に記載の成形剤の結合強度測定方法としては、基準GB/T 34181-2017の付録Cに従って測定し、違いは、付録Cのプレミックスフェノール樹脂を本発明の成形剤などの固形分に置き換え、乾燥時間は従来の180℃/20分から180℃/30分に変更することで、他のステップは変わらず、測定中では樹脂含有量が一律に5%であるとして測定し、前記乾態結合強度は、基準の付録Cの要件に従って常温23℃/50%の条件で測定し、また、本発明では、成形剤の耐水性を一層検討するために、湿潤強度と強度保持率の概念を導入し、つまり、湿潤強度は調製されたサンプルを湿度90%、温度40℃下で24時間保持した後に測定するものと定義し、測定終了後、強度保持率%=湿潤強度/乾態強度という概念で成形剤の耐水・耐湿特性を一層検討する。
【0026】
出願人は、本願に記載のミネラルウール専用成形剤は、従来の複合材料又は接着剤業界におけるマトリックスバインダーの特性基準だけでは評価できないことを判明し、複合材料又は接着剤業界では、乾態-湿潤結合強度が重点的に考慮されるが、本発明に記載の成形剤の使用方法は液体スプレーの形態で繊維の表面になるべく均一にコーティングすることで、しかも主に繊維と繊維の間の点接触という弱い結合でミネラルウールの成形と特性を実現させ、ミネラルウールを継続的に使用する間に、この弱い結合力が維持する効果が、成形剤の乾態強度、湿潤強度、及び強度保持率のどちらにも大きく関係しているため、この観点からは、成形剤の乾態強度、湿潤強度、強度保持率のいくつかの指標が等しく重要であるといえる。本発明の一つの大きな新規な特徴は、乾態強度、湿潤強度、及び強度保持率の3つの指標にバランスをとり、成形剤の乾態強度は4.0MPaより大きく、湿潤強度は3.0MPaより大きく、且つ強度保持率は60%より大きいことを求め、好ましくは、成形剤の乾態強度は5.0MPaより大きく、湿潤強度は3.5MPaより大きく、且つ強度保持率は70%より大きく、当該3つの指標の最適化により、得られたミネラルウール製品の特性は従来のアクリル酸ホモポリマー製品を大きく上回り、良好な耐高温・高湿環境の効果と施工特性を有する。
【発明の効果】
【0027】
1.本発明で製造されるホルムアルデヒドフリーミネラルウール成形剤は、遊離ホルムアルデヒドを放出せず、揮発性塩基が添加されず、エコと環境配慮の、VOCフリー・ホルムアルデヒドフリーの基準要件を満たしている。
2.本発明のミネラルウール成形剤は、良好な安定性を有し、高温環境下で粘度が依然として明らかに変わらず、その粘度上昇率は10%以内であり、長期的に安定的な保存が可能であるため、産業的な使用に好適である。
3.本発明で製造されるホルムアルデヒドフリーミネラルウール成形剤は、良好な乾態・湿潤強度と耐水性を同時に有しており、本発明の技術的解決手段で製造されるミネラルウール成形剤の最良の総合的な特性としては、乾態強度は5.0MPaより大きく、湿潤強度は3.5MPaより大きく、強度保持率は70%より大きくなっており、従来のアクリル酸ホモポリマー製品を大きく上回っている。
4.最後に、本発明で提案される成形剤製品から生産されるミネラルウールボードは、硬度が従来のアクリル酸ホモポリマー製品より優れ、良好な耐水・耐劣化性と施工特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例に係る技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、なお、説明される実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎない。当業者が本発明の実施例に基づいて、創造的な作業をせず他の実施例を得た場合、そのいずれも本発明の保護範囲に属する。
【0029】
本願で言及される関連の試験で参照する国の現行基準及び規格は、次のとおりである。
成形剤のホルムアルデヒド含有量測定方法としては、基準GB/T 34181-2017「ミネラルウール断熱製品用成形剤」の付録Dに従って測定し、ミネラルウール特性の測定方法は、下記の基準を参照する。
GB/T 13350-2017「断熱用グラスウール及びその製品」
GB/T 19686-2015「建設用ロックウール断熱製品」
【0030】
1.成形剤の安定性測定と結合強度試験
実施例1
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が98.0:1.0:1.0であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0031】
実施例2
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が97.5:1.0:1.5であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0032】
実施例3
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が96.0:1.0:3.0であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0033】
実施例4
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が94.5:1.0:4.5であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0034】
実施例5
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が97.5:1.5:1.0であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0035】
実施例6
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が97.0:1.5:1.5であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0036】
実施例7
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が95.5:1.5:3.0であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0037】
実施例8
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が94.0:1.5:4.5であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0038】
実施例9
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が96.0:3.0:1.0であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0039】
実施例10
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が95.5:3.0:1.5であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0040】
実施例11
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が94.0:3.0:3.0であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0041】
実施例12
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が92.5:3.0:4.5であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0042】
実施例13
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が94.5:4.5:1.0であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0043】
実施例14
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が94.0:4.5:1.5であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0044】
実施例15
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が92.5:4.5:3.0であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0045】
実施例16
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が91.0:4.5:4.5であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、固形分含有量が50%になるように一括に調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0046】
比較例1
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ブチルのモル比が95.5:4.5であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、アクリル酸ヒドロキシエチルを含まず、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒と、0.3部のKH560カップリング剤とを混合させ、適量の水を添加して均一に混合させることにより、固形分含有量が50%になるように一括に調製し、次に、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定するとともに、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0047】
比較例2
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチルのモル比が95.5:4.5であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、アクリル酸ブチルを含まず、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0048】
比較例3
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチルのモル比が95.5:5.5であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、アクリル酸ブチルを含まず、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0049】
比較例4
樹脂プレポリマーの組成は、アクリル酸:アクリル酸ヒドロキシエチル:アクリル酸ブチルのモル比が99.0:0.5:0.5であり、樹脂プレポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることのより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0050】
比較例5
樹脂プレポリマーの組成は、モノマーの組成が全てアクリル酸であり、ポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、アクリル酸ブチルとアクリル酸ヒドロキシエチルを含まず、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、34.5部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。
【0051】
比較例6
樹脂プレポリマーの組成は、モノマーの組成が全てアクリル酸であり、ポリマーの数平均分子量Mnは2500であり、アクリル酸ブチルとアクリル酸ヒドロキシエチルを含まず、固体含有量基準で、100部の前記樹脂プレポリマーと、38.8部のトリエタノールアミンと、5部の次亜リン酸ナトリウム触媒とを、適量の水を添加して均一に混合させることにより、一括に固形分含有量が50%になるように調製し、次に、一部のサンプルは、高温60℃の環境で4週間保持してその粘度変化を測定し、もう一部のサンプルは、0.3部のKH560カップリング剤を加えて混合させ、国の基準に基づいて成形剤の乾態-湿潤結合強度、強度保持率、及びホルムアルデヒド含有量をそれぞれ測定した。比較例6でトリエタノールアミンの添加量を上げるのは、比較例5と比較例3を比べると、比較例5のカルボキシ基含有量が比較例3より約12%高いことを考慮すると、本比較例では比較例3と同じカルボキシ基/ヒドロキシ基含有量である時の結合強度に対する影響を比較するために、比較例3と比べやすいよう12%の割合にトリエタノールアミンの比率を上げたのである。
【0052】
上記の実施例と比較例で製造された成形剤の配合比は、表1に示されるとおりである。
【0053】
【表1】
【0054】
上記の実施例と比較例で製造された成形剤の特性測定結果は、表2に示されるとおりである。
【0055】
【表2】

【0056】
前記表1及び表2の結果から分かるように、HEA及びBAの添加量が0.5~4.5%モル部である時に、成形剤の粘度上昇率は20%以下であり、乾態強度は4.0MPaより大きく、湿潤強度は3.0MPaより大きく、強度保持率は60%より大きかった。実施例11、実施例12、実施例15及び実施例16のデータを更に統計したところ、アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマーb:疎水性アルキレン結合型不飽和モノマーcのモル比=1:1.5~1.5:1で且つbの含有量が3.0~4.5モル%である時に、成形剤の乾態強度は5.0MPaより大きく、湿潤強度は3.5MPaより大きく、強度保持率は70%より大きく、且つその粘度上昇率は20%以下であり、最良の特性を有することを見出した。
【0057】
2.異なる溶解度とTgを有するモノマーの成形剤の特性に対する影響
実施例17:
実施例11を元にして、BAをアクリル酸ラウリルに置き換える以外、他の条件は変わらなかった。
【0058】
実施例18:
実施例11を元にして、BAを2-EHAに置き換える以外、他の条件は変わらなかった。
【0059】
比較例7:
実施例11を元にして、BAをMAに置き換える以外、他の条件は変わらなかった。
【0060】
比較例8:
実施例11を元にして、BAをMMAに置き換える以外、他の条件は変わらなかった。
【0061】
前記実施例及び比較例で使用するモノマーの特性は、表3に示されるとおりである。
【0062】
【表3】

【0063】
前記実施例及び比較例で製造された成形剤の特性測定結果は、表4に示されるとおりである。
【0064】
【表4】
【0065】
前記表3及び表4の結果から分かるように、特性の異なるモノマーを使用するのは、成形剤の特性に大きな影響があり、モノマーのTgが非常に低く、水への溶解度が高い場合に、成形剤の強度及び耐水性の向上には不利である。
【0066】
3.異なるタイプのモノマーの成形剤の特性に対する影響
実施例19:
実施例6を元にして、ただし、使用する原料と配合比が違い、原料と配合比の詳細は表5を参照する。
【0067】
実施例20:
実施例6を元にして、ただし、使用する原料と配合比が違い、原料と配合比の詳細は表5を参照する。
【0068】
実施例21:
実施例6を元にして、ただし、使用する原料と配合比が違い、原料と配合比の詳細は表5を参照する。
【0069】
実施例22:
実施例6を元にして、ただし、使用する原料と配合比が違い、原料と配合比の詳細は表5を参照する。
【0070】
【表5】
【0071】
前記実施例及び比較例で製造された成形剤の特性測定結果は、表6に示されるとおりである。
【0072】
【表6】
【0073】
前記表5及び表6の結果から分かるように、本明細書にサポートされる範囲内で、本発明の技術的解決手段から提供される他のモノマー原料と配合比を用いても、同様に良好な特性を有し、成形剤の総合的な特性としては、粘度上昇率は20%以下であり、乾態強度は4.0MPaより大きく、湿潤強度は3.0MPaより大きく、強度保持率は60%より大きいという特性指標に達していた。
【0074】
4.異なる配合によるミネラルウールボードの耐水性比較試験
本願の試験例では、それぞれ、本願の実施例11及び比較例6の成形剤の配合を用いてミネラルウールボードを製造し、さらに、ミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤は100%固形分含有量で計算すると、100部のホルムアルデヒドフリー成形剤にさらに3部の撥水剤、6部の防塵オイルを添加し、プロセスの要件により適量の水を添加し、プロセスにおいては試験例1が比較例1と同じで、いずれもロックウールボードが試験対象であり、試験例2が比較例2と同じで、いずれもスラグウールボードが試験対象であり、試験例3が比較例3と同じで、いずれもグラスウールボードが試験対象であり、パラメータの詳細は、次の表7に示されるとおりである。
【0075】
【表7】
【0076】
前記表7にて製造されたミネラルウールサンプルを、国の基準に従って切り分けて2群にし、1群は劣化保持前サンプルとして、国の基準の規定に従って強度を測定し、もう1群は劣化保持後サンプルとして、恒温恒湿槽に入れて、50±2℃、95±3%の温度・湿度条件下で7日間劣化保持して、国の基準に従って強度を測定し、次に、劣化前後の強度と強度保持率をそれぞれ記録し、データは、表8及び表9に示されるとおりである。
【0077】
【表8】
【0078】
【表9】
【0079】
表8及び表9から分かるように、本発明の配合の成形剤を使用して製造されたミネラルウールボードは、劣化前後の強度と強度保持率などがいずれも従来のアクリル酸ホモポリマー成形剤より優れており、特に、有機物含有量が低い時に、比較測定結果に明らかな差があった。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
【表7】
【手続補正書】
【提出日】2023-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分含有量100%で計算すると、
水溶性樹脂プレポリマー:100部と、
ポリオール:10~70部と、
触媒:2~15部との重量配合比の成分を含み、
そのうち、前記水溶性樹脂プレポリマーは、モノマー原料の共重合反応から得られ、前記モノマー原料は、物質量基準で、
a.アルキレン結合型不飽和カルボン酸モノマー:90.0~99.0%と、
b.アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマー:0.5~5.0%と、
c.疎水性アルキレン結合型不飽和モノマー:0.5~5.0%との成分を含み、
前記アルキレン結合型不飽和カルボン酸モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、2-メチルマレイン酸、イタコン酸、2-メチルイタコン酸、α-β-メチレングルタル酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸モノアルキル、無水マレイン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水イソオクチルアクリル酸、無水クロトン酸、無水フマル酸から選ばれる1つ又は複数であり、
前記アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマーは、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-1-メチル-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-1-メチル-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシブチル、及びアクリル酸-2-ヒドロキシブチルから選ばれ、
前記疎水性アルキレン結合型不飽和モノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、ビニルトルエン、又は塩化ビニルトルエンから選ばれる1つ又は複数であり、
前記触媒はカルボン酸とヒドロキシ基の反応を促進できる触媒であり、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸亜鉛、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、又は次亜リン酸マグネシウムから選ばれる1つ又は複数であることを特徴とする、耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項2】
前記水溶性樹脂プレポリマーの数平均分子量は、500~30000であることを特徴とする、請求項1に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項3】
前記疎水性アルキレン結合型不飽和モノマーの水への溶解度は、0~1.5g/100gであり、そのホモポリマーのガラス転移点は、-15℃~-80℃であることを特徴とする、請求項に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項4】
前記疎水性アルキレン結合型不飽和モノマーは、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、又はメタクリル酸ラウリルから選ばれる1つ又は複数であることを特徴とする、請求項に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項5】
前記ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、又はポリビニルアルコールから選ばれる1つ又は複数であことを特徴とする、請求項1に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項6】
固形分含有量100%で計算すると、
水溶性樹脂プレポリマー:100部と、
ポリオール:12~50部と、
触媒:5~10部との重量配合比の成分を含み、
そのうち、前記水溶性樹脂プレポリマーは、モノマー原料の共重合反応から得られ、前記モノマー原料は、物質量基準で、
a.アルキレン結合型不飽和カルボン酸モノマー:92.5~96.0%と、
b.アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマー:3.0~4.5%と、
c.疎水性アルキレン結合型不飽和モノマー:1.0~3.0%との成分を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項7】
前記アルキレン結合型不飽和ヒドロキシ基官能性モノマーと疎水性アルキレン結合型不飽和モノマーのモル比の範囲は、1:1.5~1.5:1であることを特徴とする、請求項に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【請求項8】
固形分含有量100%で計算すると、
ミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤:100部と、
カップリング剤:0.1~5部と、
撥水剤:0~5部と、
防塵オイル:0~10部と、
水:0~200部との重量配合比の成分を含み、
そのうち、前記カップリング剤は、3-(2,3-エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン(KH560)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(KH550)、3-(2,3-エポキシプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン(KH561)、又は3-(2,3-エポキシプロポキシ)プロピルジメトキシシランから選ばれる1つ又は複数であることを特徴とする、請求項1に記載の耐水性を向上させるミネラルウール専用ホルムアルデヒドフリー成形剤。
【国際調査報告】