(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】ガラス炉用のコーナーブロック
(51)【国際特許分類】
C03B 5/42 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
C03B5/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529927
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2020083416
(87)【国際公開番号】W WO2021105238
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511104875
【氏名又は名称】サン-ゴバン サントル ド レシェルシュ エ デテュド ユーロペアン
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】カボディ,イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ベスパ,ピエリック
(57)【要約】
ガラス炉タンク用のコーナーブロックであって、該コーナーブロックが外側表面を有し、該外側表面が、該コーナーブロックの長さ(L
20)を定めるところの上部表面(22s)及び下部表面(22i)、稼働位置において、隣接するブロックの対応する表面と接触することが意図されているところの右の表面(22d)及び左の表面(22g)、該稼働位置において、該タンク内部の環境と接触することが意図されている高温面(22c)、 該高温面と反対側の冷温面(22f)を備えており、ここで、該コーナーブロックの主部分(24)が、該コーナーブロックの該長さの80%超にわたって、限界上部横断面(P
24s)と限界下部横断面(P
24i)との2つの間に延在しており、ここで、該高温面(22c)に稜部がなく、稜部は、線に沿って該高温面が25°超の勾配の転換を有する該線であり、ここで、該高温面(22c)は、該主部分(24)内のどの横断断面においても凸である外形(Tc)を有していることを該コーナーブロックが特徴とする、前記コーナーブロックが開示されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス炉タンク用のコーナーブロックであって、該コーナーブロックが外側表面を有し、該外側表面が、
該コーナーブロックの長さ(L
20)を定めるところの上部表面(22s)及び下部表面(22i)、
稼働位置において、隣接するブロックの対応する表面と接触することが意図されているところの右の表面(22d)及び左の表面(22g)、
該稼働位置において、該タンク内部の環境と接触することが意図されている高温面(22c)、
該高温面と反対側の冷温面(22f)
を備えており、
ここで、該コーナーブロックの主部分(24)が、該コーナーブロックの該長さの80%超にわたって、限界上部横断面(P
24s)と限界下部横断面(P
24i)との2つの間に延在しており、ここで、該高温面(22c)に稜部がなく、
稜部は、線に沿って該高温面が25°超の勾配の転換を有する該線であり、ここで、該高温面(22c)は、該主部分(24)内のどの横断断面においても凸である外形(Tc)を有していることを該コーナーブロックが特徴とする、前記コーナーブロック。
【請求項2】
該主部分(24)が、該上部表面(22s)から、該稼働位置において該タンクの床に組み込まれることが意図されている基部(20
b)まで延在している、請求項1に記載のコーナーブロック。
【請求項3】
該主部分(24)において、該高温面(22c)が、10°超の勾配の転換を呈する稜部を欠いている、請求項1又は2に記載のコーナーブロック。
【請求項4】
中央長手方向断面(Pl
50)において、該主部分(24)において、該限界下部横断面(P
24i)から該限界上部横断面(P
24s)へと減っていく厚さを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のコーナーブロック。
【請求項5】
該主部分(24)において、中央長手方向断面(Pl
50)における該高温面の該外形(Lc)のある点が、該点が該下部表面(22i)の方へ移動されるのにつれて、該外形の上端を通る垂直線(Δ)から次第に遠くなる、請求項1~4のいずれか1項に記載のコーナーブロック。
【請求項6】
該主部分(24)において、中央長手方向断面(Pl
50)における該高温面の該外形(Lc)が、直線状であり、且つ垂直方向Vとの間に30°未満且つ2°超の角度αを形成している、請求項1~5のいずれか1項に記載のコーナーブロック。
【請求項7】
該角度αが、20°未満且つ5°超である、請求項6に記載のコーナーブロック。
【請求項8】
該高温面(22c)が、該主部分(24)において厳密に凸である、請求項1~7のいずれか1項に記載のコーナーブロック。
【請求項9】
該主部分(24)における任意の横断断面において、該高温面(22c)が、任意的に直線線分によって端部の一方又は両方において延長されていてもよいところの、円弧の形態の凸の外形(Tc)を有している、請求項1~8のいずれか1項に記載のコーナーブロック。
【請求項10】
該高温面が、横断断面において、該主部分においてどの横断断面が検討されても全体形状が同一である外形を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のコーナーブロック。
【請求項11】
該高温面が、該主部分の横断断面において、該横断断面が該下部限界横断断面の方へ移動されるのにつれて長くなる外形を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のコーナーブロック。
【請求項12】
円形の基部を有する4分の1体円筒、又は4分の1体円錐、又は環状の基部を有する4分の1体円筒、の全体形状を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のコーナーブロック。
【請求項13】
該主部分において、該冷温面(22f)に稜部がない、請求項1~12のいずれか1項に記載のコーナーブロック。
【請求項14】
7.0W.m
-1.K
-1未満の熱伝導率を有する第1の断熱材料が、該冷温面のうち、該コーナーブロックの該上部表面から、該上部表面から300mm超のところまで延在している部分に配設されている、請求項1~13のいずれか1項に記載のコーナーブロック。
【請求項15】
コーナーデバイス(32)であって、請求項1~14のいずれか1項に記載のコーナーブロック(20)と、アダプタブロック(30
1、30
2)とを備えており、該アダプタブロック(30
1、30
2)が、該コーナーブロックの左の表面(22g)又は右の表面(22d)と接触している第1の面と、該第1の面と平行で且つその反対側にあり、該第1の面と異なる形状を有する第2の面とを有する、前記コーナーデバイス(32)。
【請求項16】
タンクを備えているガラス炉であって、該タンクが側壁(14)を備えており、該側壁(14)が、2つのセグメント(14
1、14
2)と、請求項1~13のいずれか1項に記載のコーナーブロック又は請求項15に記載のコーナーデバイスとを備えており、ここで、該コーナーブロック又は該コーナーデバイスが該2つのセグメント同士を接続している、前記ガラス炉。
【請求項17】
該タンクがコルセット(8)を画定しており、ここで、該コーナーブロック又はコーナーデバイスが該コルセットの入口に配設されている、請求項16に記載のガラス炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス炉用のコーナーブロックに、及びそのようなコーナーブロックを備えているガラス炉に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのガラス製品は、化合物、例えば酸化物、炭酸塩、硫酸塩、及び硝酸塩、を含む原材料のガラス化可能混合物を溶融させ、精製することによって製造される。これら2つの工程は炉の中で実施され、該炉の主要な構造要素は、これらの炉内で遭遇される高い温度及び応力に耐えることができる耐熱性製品である。よって、ガラス炉は一般に、各自の性質に応じて異なる場所に配置された、非常に多数の耐熱性製品を含んでいる。該炉の各部分について、選択される該製品は、ガラスを使用不能にする欠陥(製品歩留まりを低下させる)を生じさせず、該炉に満足のいく耐用寿命を与えるのに十分に長く耐える、製品である。
【0003】
ガラス炉、特に浮遊炉、は、天井が頂部に付けられた、細長いタンク4を備えている(
図1)。上流から下流に向かって、高温溶融及び精製区域6、浮遊炉内の「コルセット」8と呼ばれる、狭められた断面を有する部分、そして低温のコンディショニング区域10がある。
【0004】
原材料のガラス化可能混合物は、該上流の溶融及び精製区域に導入される。この混合物は、該タンクの側壁内に配置され、交互に動作する、複数の加熱装置、例えばバーナ(図示せず)、を用いて、溶融物に変えられる。ガラス溶融物は次に、該コルセットを通って該コンディショニング区域に入り、そこで、さらなる処理動作、例えば成形、延伸、又はフロート、の為に延伸されることができるように、好適な温度にされる。
【0005】
該タンク4は、垂直な側壁14及び水平な床16を有する。該側壁14は典型的には、サイドブロックの形態の複数のセグメントからなり、それらはコーナーブロック20によって互いと接続されている。
【0006】
該タンク側壁の2つの実質的に平坦なセグメント同士を接続する該側壁14の部分は、「コーナーブロック」と呼ばれる。
【0007】
投入コーナーブロック201、溶融端コーナーブロック202、並びに該コルセットの入口コーナーブロック203及び出口コーナーブロック204が、互いと区別される。
【0008】
該コーナーブロックは、高い応力を受け、時に、垂直方向及び水平方向両方の著しい亀裂を受ける。亀裂が入ると、コーナーブロックは、該亀裂にしみ込むことができる溶融ガラスに起因する増大した浸食にさらされる。この加速された浸食は、早期の摩耗につながり、その結果、重大なガラス漏れ、そして最終的に炉の運転停止が生じることができる。
【0009】
該コーナーブロックはまた、一般には空気ブラスト冷却の為に該ブロックの一部が近周囲温度環境にあるのに対し、該炉の内部にある部分は約1500℃の温度にある為、高い熱応力に耐えなければならない。
【0010】
加えて、該コーナーブロックは、該炉の外部冷却が停止され、その後再開されることを必要とする保守整備作業、例えばいわゆる「プレーティング」作業、の為に、又は該ガラス化可能混合物の投入の為に、熱サイクルを受ける。
【0011】
また、該コーナーブロックは、攻撃的な炉の蒸気及び凝縮物による浸食に対する耐性がなければならない。加えて、該コーナーブロックは、原材料の通過によって引き起こされる侵食に対する耐性がなければならない。
【0012】
これらのストレスに対抗する為に、該コーナーブロックは耐熱性製品で作られる。
【0013】
耐熱性製品の中で、溶解製品と焼結製品が区別される。焼結製品と異なり、溶解製品は、通例、結晶化された粒子を接続する粒界ガラス相を有する。それ故に、焼結製品及び溶解製品によって呈される問題、並びにそれらを解決する為に採用される技術的解決策は、一般にそれぞれ異なる。それ故に、焼結製品を製造する為に開発された組成物は、溶解製品を製造する為のものとしてそのまま使用可能でなく、その逆も同様である。しばしば「電気溶解」製品と呼ばれる、溶解製品は、適切な原材料の混合物を電気アーク炉で溶融させることにより、又はこれらの製品に好適な任意の他の技術により、得られる。溶融物質は、次に型に注がれ、結果得られた製品は、制御された冷却サイクルを経る。
【0014】
現在、該コーナーブロックを形成する為に、溶解製品、特に30~45%のジルコニアを含有するアルミナ-ジルコニア-シリカ(略してAZS)製品、が主に使用されている。これらの製品の微小構造は、基本的に、アルミナアルファ結晶、自由ジルコニア結晶、コランダムジルコニア共晶、及び結晶粒界ガラス相から構成される。
【0015】
加えて、該炉の耐用寿命を増す為に、該炉の耐熱性ブロックの組み立ては、「乾式に」、すなわち接合セメントを用いずに、行われなければならない。それ故に、緊密な封止を確実にする為に、該ブロックは、良好な表面仕上げと共に、非常に精密な寸法を有さなければならない。それ故に、該ブロック、特に該コーナーブロック、は、隣接するブロックとの密な接触を確実にするように機械加工されるのが常である。
【0016】
しかしながら、該コーナーブロックの亀裂に対する耐性は、時に、該炉の耐用寿命の延長を求めるガラス製造者のニーズの現在の変化に応じるのに不十分であることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
よって、改善された亀裂耐性及び/又は向上された耐用寿命を有するコーナーブロックに対する必要性がある。本発明の1つの目的は、この必要性を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、ガラス炉タンク用のコーナーブロックであって、、該コーナーブロックは外側表面を有し、該外側表面が好ましくは、
該コーナーブロックの長さを定めるところの上部表面及び下部表面、
稼働位置において、隣接するブロックの対応する表面と接触することが意図されているところの右の表面及び左の表面、
該稼働位置において、上記タンク内部の環境と接触することが意図されている高温面、
該高温面と反対側の冷温面
を備えている、上記コーナーブロックに関する。
【0019】
本発明の第1の主要な観点に従い、該コーナーブロックの主部分が、コーナーブロックの該長さの80%超にわたって、限界上部横断面と限界下部横断面との2つの間に延在しており、該高温面に稜部がなく、ここで、稜部は、線に沿って該高温面が25°超の勾配の転換を有する該線である。
【0020】
後の説明でより詳細に論じられているように、本発明者等は、稜部が存在しないことは、亀裂を低減し、該コーナーブロックの耐用寿命を伸ばすことを可能にすることを見出した。
【0021】
本発明に従うコーナーブロックは、以下の任意的な特徴の1以上をさらに備えることができる:
該主部分が、該上部表面から、該稼働位置において該タンクの床に組み込まれることが意図されている基部まで延在している、又は、該上部表面から該コーナーブロックの該下部表面まで延在している;
該主部分において、該高温面が、10°超の勾配の転換を呈する稜部を有していない;
長手方向中央断面において、該主部分内の該コーナーブロックが、下部横断境界面から上部横断境界面へと減っていく厚さを有するか、又は一定の厚さを有する;
該主部分において、中央長手方向断面における該高温面の該外形のある点が、該点が該下部表面の方へ移動されるのにつれて、上記外形の上端を通る垂直線から次第に遠くなる;
中央長手方向断面における該高温面の該外形が、直線状であり、且つ好ましくは、該稼働位置において垂直方向との間に30°未満且つ2°超の角度αを形成している;
該角度αが、20未満°、好ましくは10%未満、若しくは5%未満、及び/又は3°超である;
該高温面が該主部分において厳密に凸である;
該主部分における任意の横断断面において、該高温面が、任意的に、直線線分によって端部の一方又は両方において延長されていてもよいところの、凸の外形を有し、該凸の外形が、好ましくは円弧の形状であり、;
該高温面が、横断断面において、該主部分においてどの横断断面が検討されても全体形状が同一である外形を有する;
該高温面が、該主部分の横断断面において、上記横断断面が該限界下部横断面の方へ移動されるのにつれて長くなる外形を有する;
該コーナーブロックが、円形の基部を有する4分の1円筒、又は4分の1円錐、又は環状の基部を有する4分の1円筒、の全体形状を有する;
該主部分において、該冷温面に稜部がない。
【0022】
本発明の第2の主要な観点に従い、該冷温面の少なくとも一部が断熱されている。
【0023】
本発明の第2の主要な観点に従うコーナーブロックは、以下の任意的な特徴の1以上をさらに備えることができる:
第1の断熱材料が、好ましくは、該稼働位置において該コーナーブロックの該上部表面からフロート区域まで延在している該冷温面の少なくとも一部を覆うように、好ましくは、該稼働位置において該コーナーブロックの該上部表面から該フロート区域まで延在している該冷温面の少なくとも全部分を覆うように、該冷温面の少なくとも一部に配置されている、好ましくは接着されている;
好ましくは、該第1の断熱材料によって覆われた該冷温面の該部分が、好ましくは該コーナーブロックの該上部表面から、該上部表面から300mm超、好ましくは400mm超、好ましくは500mm超、及び/又は800mm未満、好ましくは600mm未満、のところまで延在している;
好ましくは、該第1の断熱材料がスラブの形態である;
好ましくは、該第1の断熱材料が、1.0W.m-1.K-1未満、又は0.7W.m-1.K-1未満、又は0.5W.m-1.K-1未満、の熱伝導率を有する;
別の変形例に従い、該第1の断熱材料が、7.0W.m-1.K-1未満の熱伝導率を有する耐熱性材料で作られる;
好ましくは、好ましくはスラブの形態である、該第1の断熱材料の厚さが、100mm以下、若しくは50mm以下、若しくは30mm以下、若しくは20mm以下、若しくは10mm以下、若しくは5mm未満、及び/又は1mm超である;
第2の断熱材料が、該稼働位置において該フローテーション区域より下を延在している該冷温面の少なくとも一部を覆うように、好ましくは、該稼働位置において該フローテーション区域より下を延在している該冷温面の少なくとも全部分を覆うように、該冷温面の少なくとも一部に配置されている、好ましくは接着されている;
好ましくは、該第2の断熱材料によって覆われた該冷温面の該部分が、好ましくは該コーナーブロックの該下部表面から、該下部表面から500mm超、好ましくは600mm超、好ましくは700mm超、及び/又は800mm未満、のところまで延在している;
好ましくは、該第2の断熱材料がスラブの形態である;
好ましくは、該第2の断熱材料が、8W.m-1.K-1未満、又は6W.m-1.K-1未満、又は1W.m-1.K-1未満の熱伝導率を有する;
該第2の絶縁材料が、重量パーセントで80%超のZrO2を含んでいるAZSタイプの材料であり、好ましくは該材料中において、酸化物に基づく重量パーセントで、Al2O3+ZrO2+SiO2の総含有率が、80.0%超、好ましくは84.0%超、好ましくは86.0%超、及び/又は97.0%未満若しくは95.0%未満若しくは94.0%未満である;
好ましくは、好ましくはスラブの形態である、該第2の断熱材料の厚さが、200mm以下、若しくは100mm以下、若しくは50mm以下、若しくは30mm以下、若しくは20mm以下、若しくは10mm以下、若しくは5mm未満、及び/又は1mm超である;
好ましくは、第2の断熱材料の層の厚さ及び/又は熱伝導率は、断熱が、第1の断熱材料の層によって提供される断熱より大きくなるようなものである;
該冷温面全体が、断熱材料によって覆われ、該冷温面の上部が、好ましくは上記第2の断熱材料で断熱されている該冷温面の下部よりも、好ましくは上記第1の断熱材料で、より多く断熱され、第1の断熱材料によって覆われている区域と、第2の断熱材料によって覆われている区域との間の境界は好ましくは、該フローテーション区域内の、高さが20cm未満、好ましくは10cm未満、の帯状部である。
【0024】
無論、本発明の様々な主要な観点は組み合わせられることができる。
【0025】
検討される本発明の主要な観点に関係なく、本発明に従うコーナーブロックは、以下の任意的な特徴の1以上をさらに備えうる:
該コーナーブロックが、酸化物に基づく重量パーセントで、
Al2O3+ZrO2+SiO2>80.0%
となる化学組成を有する;
該コーナーブロックが、酸化物に基づく重量パーセントで、0.5%超且つ10.0%未満のジルコニア安定剤を含んでいる化学組成を有する;
該コーナーブロックが、酸化物に基づく重量パーセントで、100%の合計に対して、
Al2O3+ZrO2+SiO2:84.0%超且つ99.7%未満、
Y2O3:5.0%未満
Na2O+K2O:1.5%未満、
B2O3:0.6%未満、
Al2O3、ZrO2、SiO2、Y2O3、Na2O、K2O、及びB2O3以外の酸化物種:10.0%未満;
となる化学組成を有し、
Al2O3、ZrO2、SiO2、Y2O3、Na2O、K2O、及びB2O3以外の該酸化物種が、CaO、MgO、SrO、BaO、TiO2、Fe2O3、SnO2であり、ここで、、これらの種の1以上が存在しないことが可能である;
該コーナーブロックが、酸化物に基づく重量パーセントで、
ZrO2:12.0%超且つ45.0%未満、
SiO2:8.0%超且つ24.0%未満、
Al2O3:35.0%超且つ60.0%未満
となる化学組成を有する。
【0026】
本発明はさらに、以下の連続する工程を含む製造方法に関する;
a)原材料を混合することにより供給材料を形成する工程;
b)溶融物質の浴が得られるまで上記供給材料を溶融させる工程、
c)上記溶融物質を、好ましくは室温において、型に入れ、冷却によって上記溶融物質を固化させて、コーナーブロックの概略形態を有する中間部品を得る工程、
d)該中間部品を型から外す工程、次に、
e)該中間部片の外側表面を、好ましくは部分的に、好ましくは機械加工することにより、本発明に従うコーナーブロック又は本発明に従うコーナーブロックの一部を得る工程。
【0027】
好ましくは、該型は、所望の形状を有するブロックを得るように、3Dプリンティングによって作られる。
【0028】
本発明はまた、本発明に従う方法によって製造された又は製造されていることが可能であるコーナーブロックに関する。
【0029】
本発明はさらに、本発明に従うコーナーブロックと、アダプタブロックと、を備えているコーナーデバイスであって、該アダプタブロックが、該コーナーブロックの左の表面又は右の表面と接触している第1の面と、該第1の面と平行で且つその反対側にあり、上記第1の面と異なる形状を有する第2の面とを有する、上記コーナーデバイスに関する。
【0030】
該左又は右の表面の形状は好ましくは、上記左又は右の表面が該稼働位置において接触する隣接するブロックの表面の形状である。
【0031】
本発明はさらに、本発明に従うコーナーブロックを備えた炉を製造する為の方法に関する。
【0032】
最後に、本発明は、タンクを備えているガラス炉に関し、該タンクが側壁を備えており、該側壁は、2つのセグメントと、上記2つのセグメント同士を接続する、本発明に従うコーナーブロック又は本発明に従うコーナーデバイスと、を備えている。
【0033】
好ましくは、該コーナーブロック又はコーナーデバイスは、該コルセットの入口に又は投入点に配置される。好ましくは、該コーナーブロックは、投入コーナーブロックである。
【0034】
該ガラス炉の使用中、該コーナーブロック又はコーナーデバイスは、少なくとも部分的に溶融ガラスと接触している。
【0035】
定義
該「稼働位置」とは、該コーナーブロックが、ガラス炉タンクの側壁の2つのセグメント同士を接続するように、上記側壁内に組み込まれる位置である。
【0036】
フロート線の高さは、該ガラス炉が動作している間に変化する。該「フローテーション区域」は、該ガラス炉が動作している間、最大及び最小のフロート線高さによって定められる。
【0037】
形容詞「右の」及び「左の」、「高温の」及び「低温の」は、明瞭の為に使用される。該炉が稼働状態に入れられる前、該「高温」面は、該炉の内部の環境、すなわち始動後の最も高い温度、にさらされることが意図されている面である。
【0038】
「下部の」及び「上部の」、「内側の」及び「外側の」、「水平の」及び「垂直の」は、該コーナーブロックがガラス炉内でその稼働位置にあるときの向き又は位置を云う。
【0039】
語「水平の」及び「垂直の」は、完全に水平方向及び垂直方向の面との間にそれぞれ、5°未満、又は2°未満又は1°未満の角度を形成する向きを意味する。
【0040】
コーナーブロックの長さ方向は、該コーナーブロックが該稼働位置にあるときに垂直に延びる方向である。この方向は、図中で矢印Vによって表される。
【0041】
横断面は、該コーナーブロックの該長さ方向に対して直角の面である。
【0042】
該中央横断面は、該コーナーブロックの中間長さの横断面である。
【0043】
横断断面において、コーナーブロックの幅は、該高温面と該冷温面との間の中間を延びる線に沿って測定される。図において、「幅線」として既知であるこの線は、線Xによって表される。
【0044】
横断断面において、該厚さは、該幅線Xに対して直角に測定される。
【0045】
長手方向面は、該長さ方向を含む平面であり、横断面において、該コーナーブロックの該幅線Xに対して直角である。該中央長手方向面は、中間幅における長手方向面であり、その幅は、該中央横断断面内で画定される。
【0046】
「断」面は、ブロックを横断して切り、切り取られたブロックの図を提供する面である。
【0047】
表面の「稜部」は、最大の勾配の線が25°超の勾配の変化を有する(「勾配の転換」とも呼ばれる)、その表面上の点から構成される。語「拡張(extension)」は、該表面が、25°超の勾配の転換を有するとも言えることを意味する。例えば、
図10は、最も大きい勾配Gの線が線Aの任意の点M
Aにおいてθの勾配の転換を有する、表面Sを示す。該角度θが該線A上の全ての点について25°超であれば、線Aは稜部である。実際には、3mmの距離だけ隔てられた、最も大きい勾配の該線上の2つの点M
1とM
2との間の勾配の変化を測定することが可能であり、該3mmの距離は、上記線に沿って測定される。
【0048】
語「機械加工する」は、精密な表面形状を得る為に耐熱性部分の表面が機械加工される動作を意味する。伝統的に、また本発明の特定の実施態様において、該機械加工は、少なくとも外皮の除去につながる。
【0049】
明瞭の為に、酸化物の化学式が使用されて、組成中のこれら酸化物の含有率を表す。例えば、「ZrO2」、「SiO2」、又は「Al2O3」は、これらの酸化物の含有率を表し、「ジルコニア」、「シリカ」、及び「アルミナ」は、それぞれZrO2、SiO2、及びAl2O3から形成されるこれらの酸化物の相を表す為に使用される。
【0050】
特に述べられていない限り、本発明に従うコーナーブロック中の全ての酸化物含有率は、酸化物に基づく重量パーセント単位である。金属元素の酸化物の質量含有率は、通例の業界慣習に従い、最も安定した酸化物として表されたその元素の合計含有率を云う。
【0051】
溶融製品において、酸化物は、伝統的に、質量の95%超、97%超、99%超、好ましくは実質的に100%、に相当する。
【0052】
HfO2は、ZrO2から化学的に分離可能でない。しかしながら、本発明に従い、HfO2は、自発的には加えられない。それ故に、HfO2は、ごく微量の酸化ハフニウムを意味する。これは、この酸化物は、一般には5%未満、一般には2%未満の重量パーセントだけ、天然にジルコニア源に常に存在する為である。本発明に従うブロックにおいて、HfO2の質量含有率は、好ましくは5%未満、好ましくは3%未満、最も好ましくは2%未満である。明瞭の為に、酸化ジルコニウムの総含有率及び微量の酸化ハフニウムは、同義に「ZrO2」として又は「ZrO2+HfO2」として参照されうる。それ故に、HfO2は、「ZrO2、SiO2、Al2O3、Na2O、B2O3、及びY2O3以外の酸化物種」には包含されない。
【0053】
語「備えている」、「画定する」、「有する」、又は「含む」は、限定的でなく、広く解釈されるべきである。
【0054】
特に指定されない限り、該主部分に該当する特徴の定義は、該コーナーブロックの残りの部分についてその特徴を排除しない。
【0055】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な非制限的説明から、及び添付図面の考察から、明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は、ガラス溶融タンクの模式的平面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明に従うコーナーブロックの第1の実施態様を斜視図で模式的に示す。
【
図3】
図3は、本発明に従うコーナーブロックの第2の実施態様を斜視図で模式的に示す。
【
図4】
図4は、本発明に従うコーナーブロックの第3の実施態様を斜視図で模式的に示す。
【
図5】
図5は、本発明に従うコーナーブロックの第4の実施態様を斜視図で模式的に示す。
【
図6】
図6は、本発明に従うコーナーブロックの第5の実施態様を斜視図で模式的に示す。
【
図7】
図7は、本発明に従うコーナーブロックの第6の実施態様を斜視図で模式的に示す。
【
図8】
図8は、本発明に従うコーナーブロックの第7の実施態様を斜視図で模式的に示す。
【
図9】
図9は、該稼働位置にある、本発明に従うコーナーブロックと、アダプタブロックとを備えている、本発明に従うコーナーデバイスを斜視図で模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
様々な図において、同一又は同様の部位又は部位の部分を指定する為に、同一又は同様の参照符号が使用される。
【0058】
形態
定義上、コーナーブロック20又はコーナーデバイス32は、
図8に部分的に示されているように、タンク側壁14の2つのセグメント14
1及び14
2同士を接続する。上から見られた時、該2つのセグメントは、該コーナーブロック又はコーナーデバイスを、それぞれセグメント面P
1及びP
2に沿って接合している。該セグメント面P
1及びP
2は、45°超、好ましくは70°超、好ましくは80°超、及び/又は135°未満、好ましくは110°未満、好ましくは120°未満、典型的には約90°、の角度を互いと形成している。
【0059】
図5及び
図6に示されているように、コーナーブロック20は、該タンクの該側壁14に組み込まれることが意図されている側部20
lと、地面に置かれ、該タンクの床に組み込まれることが意図されている、基部20
bと、を備えている。該基部は、
図5に示されているように、特には該高温面を越えて突出するときに、鍔の形態の稜部21を有することができる。
【0060】
該基部はまた、
図2~
図4のように、該側部から区別不可能であることができる。
【0061】
コーナーブロック20の外側表面は、以下を備えている:
該コーナーブロックの長さL
20を定める、典型的には水平である、ところの上部表面22s及び下部表面22i、
該稼働位置において隣接するブロックの対応する表面と接触する、典型的には垂直である、ところの右及び左の表面22d及び22g、
該タンクの該側壁14の内側表面に属し、該稼働位置において該タンク内部の環境と接触する、「高温面」22cとも呼ばれる、ところの内側の表面、又は「曝露表面」、
任意的に、該稼働位置において同じく該タンク内部の環境と接触するが、該床に属するところの内側基部表面22
b(例えば
図5参照)、
該高温面22cの反対側にあり、該稼働位置において、該タンクの外部の環境と接触する、「冷温面」22fとも呼ばれる、ところの外側表面。
【0062】
好ましくは、該上部表面22sは、典型的には平坦であり、該タンクの該側壁の上縁を定める。
【0063】
好ましくは、該下部表面22iは、典型的には平坦であり、該地面に置かれる。
【0064】
好ましくは、該右及び左の表面22d及び22gは平坦である。通例、それらは、45°超、好ましくは70°超、好ましくは80°超、及び/又は135°未満、好ましくは110°未満、好ましくは120°未満、通例は約90°、の角度を互いとの間に形成する各平面内に延在している。
【0065】
該右及び左の表面22d及び22gは、通例、それぞれ該セグメント面P1及びP2に対して直角である。
【0066】
コーナーブロックにおいて、該右及び左の表面22d及び22gの各々は、機械加工されている。それ故に、機械加工された表面は、外皮微小構造を有さない。
【0067】
好ましくは、該稼働位置において隣接するブロックの対応する表面と接触する表面だけが機械加工されている。好ましくは、該稼働位置において、隣接するブロックの対応する表面と接触する全ての表面が機械加工されている。
【0068】
本発明は該側部部分20
lに関連し、該側部部分20
lは典型的には、該コーナーブロックの該上部表面から該基部20
bまで、典型的には該コーナーブロックの長さの90%にわたって、延在している。それ故に、下記で説明される特徴は、例えば
図4に示されている、それぞれP
24s及びP
24iと参照符号が付される、限界上部横断面と限界下部横断面の2つの間を延在している、該コーナーブロックの主部分24を参照する。
【0069】
好ましくは、該主部分24は、該ブロックの該長さの80%超、好ましくは90%超、好ましくは95%超、好ましくは100%にわたって、該限界上部横断面P
24sと限界下部横断面P
24iの2つの間を延在している。特に、
図2~
図4に示されている実施態様において、該限界上部横断面と限界下部横断面の2つは、それぞれ上部表面22s及び下部表面22iであることができる。
【0070】
好ましくは、該主部分は、該上部表面から延在している。好ましくは、該主部分は、長さ方向に沿って、該コーナーブロックの該基部まで延在している。
【0071】
好ましくは、該主部分は、該上部表面から、該下部表面から20cm未満、好ましくは10cm未満、最も好ましくは5cm未満、のところまで延在している。
【0072】
本発明に従い、該高温面は、該主部分において稜部がない。
【0073】
該高温面は、該タンクの内側に向かって方向付けされている。それは、少なくとも部分的に溶融ガラスと接触して配置されることが意図されている。
【0074】
好ましくは、該高温面は、該主部分内にゆるやかな稜部を有さず、稜部は、15°未満、好ましくは10°未満、好ましくは5°未満、好ましくは1°未満、の勾配の転換を定める場合にゆるやかである。
【0075】
中央長手方向断面Pl
50において、該コーナーブロックは、好ましくは0.5m超、好ましくは0.8m超、好ましくは1.0m超、好ましくは1.2m超、及び/又は2.0m未満、好ましくは1.7m未満、の長さL
20を有する(この面における断面は
図2及び
図3の左側に示されている)。
【0076】
該コーナーブロック20は、中央長手方向断面Pl50内且つ中央横断断面Pt50において測定される厚さe20を有し、これは、好ましくは200mm超、好ましくは250mm超、及び/又は500mm未満、好ましくは450mm未満、である。
【0077】
好ましくは、該中央横断断面Pt50と、該コーナーブロックの幅線Xの点Mを通る長手方向断面との交点で測定される、該コーナーブロックの厚さemは、該点Mが該幅線Xを横断するのにつれて、e20に対して、20%未満、好ましくは10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは1%未満、だけ変動する。すなわち、該幅線Xに沿って測定される該厚さemに関係なく、|em-e20|/e20<20%、好ましくは|em-e20|/e20<10%、好ましくは|em-e20|/e20<5%、好ましくは|em-e20|/e20<1%である。
【0078】
該中央長手方向断面Pl
50において、該コーナーブロックは、例えば
図2に示されているように、該コーナーブロックの長さの方向で検討される任意の位置において、すなわち、検討される任意の横断断面において、少なくとも該主部分において、一定の厚さを有することができる。このことは、該コーナーブロックの製造を平易にする。
【0079】
該中央長手方向断面Pl50において、該コーナーブロック20は、該コーナーブロックの該長さ方向に沿って検討される位置に応じて、変動する厚さを有しうる。
【0080】
好ましくは、例えば
図3に示されているように、該中央長手方向断面Pl
50において、該コーナーブロックは、少なくとも該主部分において、該コーナーブロックの該長さの方向に下がっていくにつれて、増していく厚さ、好ましくは一定的に増していく厚さ、を有する。
【0081】
好ましくは、(e
max-e
min)/e
min>10%、及び/又は、好ましくは、(e
max-e
min)/e
min<30%、又は(e
max-e
min)/e
min<20%であり、ここで、e
max及びe
minは、それぞれ、該中央長手方向断面Pl
50における最大の厚さ及び最小の厚さを表す(
図2参照)。このことは、該コーナーブロックの該耐用寿命を有意に向上させる。
【0082】
好ましい実施態様において、該中央長手方向断面Pl
50における該高温面の外形Lcは、実質的に直線状である。好ましくは、それは、垂直方向Vとの間に、30°未満、好ましくは20°未満、好ましくは10°未満、又は5°未満、及び/又は、好ましくは2°超、好ましくは3°超、の角度αを形成する(例えば
図3に示されているように)。
【0083】
一つの実施態様において、該中央長手方向断面Pl50における該高温面の外形Lcは、例えば凹状又は直線状であり、且つ該下部表面22iに近づくにつれて内側に該タンクの中に入るような形状にされている。
【0084】
例えば、
図4に示されているように、該中央長手方向断面Pl
50における該高温面の該外形Lc上の点は、上記点が該下部表面22iの方へ移動されるのにつれて、上記外形Lcの上端を通る垂直線Δから次第に遠くなりうる。
【0085】
一つの実施態様において、該中央長手方向断面における該冷温面の外形Lfは、実質的に直線状である。好ましくは、それは、例えば
図3に示されているように、該垂直方向Vとの間に、10°未満、好ましくは5°未満、好ましくは2°未満、好ましくは実質的にゼロ、の角度を形成する。
【0086】
該中央横断断面Pt
50において、該高温面は外形Tcを有し、これは明瞭の為に
図2~
図4の右側に示されている。
【0087】
該高温面の該外形は、例えば
図2及び
図4のように、該主部分において選択される該横断断面に関係なく、同じであることができる。好ましくは、それは、例えば
図3又は
図5のように、該外形Tc(該中央横断断面Pt
50内に画定される)の相似的な変形の結果生じる。好ましくは、相似率は、該限界上部横断面から該限界下部横断面まで、好ましくは均等に、増していく。言い換えると、該外形は、例えば
図3及び
図5のように、該コーナーブロックを下がりながら長くなっていき、その全体形状を維持する。
【0088】
好ましくは、該外形Tcは、その長さの80%超、好ましくは90%超、好ましくは100%、にわたって厳密に凸である。一つの実施態様において、
図1~
図3のように、該高温面は平坦な区域を有さない。
【0089】
好ましくは、該外形Tcは、厳密に凹の部分を有さない。
【0090】
好ましくは、該外形Tcは、特異点を有さない、すなわち勾配の転換を有さない。
【0091】
好ましくは、該外形Tcは、
図1~
図4の実施態様のように、該中央長手方向断面に対して実質的に対称である。
【0092】
一つの実施態様において、該外形Tcは、円弧の形状を有する(
図2及び
図3)。該円弧は、直線線分によって拡大されることができる(
図4)。
【0093】
該中央横断断面Pt
50において、該冷温面は外形Tfを有し、これは明瞭の為に
図2~
図4の右側に示されている。
【0094】
好ましくは、該冷温面の該外形は、該主部分において選択される該横断断面に関係なく、同じである。
【0095】
該外形Tfは、厳密に凸であることができる(
図2及び
図3)。しかしながら、好ましくは、該外形Tfは、平坦又は厳密に凹(
図4)であり、そのことが機械的強度を向上させる。
【0096】
好ましくは、該外形Tfは、特異点を有さない、すなわち勾配の転換を有さない。
【0097】
さらに好ましくは、該外形Tfは、
図2~
図4の実施態様のように、該中央長手方向面に対して実質的に対称である。
【0098】
一つの実施態様において、該外形Tfは、円弧の形状を有する(
図2及び
図3)。該円弧は、直線線分によって拡大されることができる(
図4)。
【0099】
一つの実施態様において、該中央横断断面において、該高温面の該外形と該冷温面の該外形との間の距離は、検討される該長手方向断面に関係なく一定である。
【0100】
該コーナーブロックの形状に関係して上記で説明され、該中央長手方向断面を基準として定められる、特徴は好ましくは、該幅線Xに対して(該中央横断断面において)画定される2つの限界長手方向面の間のどの長手方向断面においても当てはまり、それら該限界長手方向面の間の距離は好ましくは、該コーナーブロックの幅の60%超、好ましくは70%超、好ましくは80%超、好ましくは90%超(該中央横断断面において該幅線Xに従う、該右の面と該左の面との間の距離)である。
【0101】
上記で該中央長手方向断面における該コーナーブロックの形状に関して説明された特徴は好ましくは、検討される該長手方向断面に関係なく当てはまる。
【0102】
上記で説明され、該中央横断断面を基準として定められた特徴は好ましくは、該主部分において検討される該横断断面に関係なく当てはまる。
【0103】
該右及び左の表面は、通例、それらが接触しているサイドブロックの表面と同じ形状である。よって、内部で、該タンクは、該ブロック間の隙間によって生じる粗さを有さない。通例、隣のサイドブロックの表面は、実質的に矩形の輪郭である。それ故に、特に、該外形Lcが下部で該コーナーブロックの広がりを引き起こす場合(例えば
図4)には、例えば
図7に示されているように、該右及び左の表面が延びる該長手方向面において、矩形の輪郭を接合する必要がある。
【0104】
該コーナーブロック20は、1以上の部片から形成されることができる。特に、それは、複数の基本ブロック341、342、及び343の組立体であることができ、該組立体の右及び左の端部の面は、それぞれ該面P1及びP2に対して直角に方向付けされている。
【0105】
一つの実施態様において、
図8に示されているように、アダプタブロック30
1及び30
2が、本発明に従う該コーナーブロックに追加されて、本発明に従うコーナーデバイス32を形成する。特に、該アダプタブロックは、該コーナーデバイスの該右及び左の表面が、それぞれ隣のサイドブロック14
1及び14
2の表面と同一になるように、構成されることができる。
【0106】
よって、該コーナーデバイス32は、単体のコーナーブロックを備えうるか、又は、
図8に示されているように、基本ブロックの組立体と、該コーナーデバイスの右及び左の端の表面の形状を隣の向かい合うブロックの面に一致させる為の1以上のアダプタブロックと、を備えうる。
【0107】
図2に示されている実施態様において、該コーナーブロックは、円形の基部及び垂直な軸を有する4分の1円筒の全体形状を有し、そのような円筒の4分の1は、互いに対して直角であり、該円筒の軸を通る、2つの面によって切られた後の円筒体の一部である。
【0108】
図3に示されている実施態様において、該コーナーブロックは、垂直な軸を有する4分の1円錐の全体形状を有し、4分の1円錐は、互いに対して直角であり、該円錐の軸を通る、2つの面によって切られた後の該円錐体の一部である。
【0109】
図4に示されている実施態様において、該コーナーブロックは、環状の基部及び垂直な軸を有する4分の1円筒の全体形状を有し、そのような円筒の4分の1は、互いに対して直交であり、該円筒の軸を通る、2つの面によって切られた後の円筒体の一部である。
【0110】
一つの実施態様に従い、該コーナーブロックに、該ガラス炉の金属外郭において固定する為の固定デバイスが設けられている。この固定デバイスは、例えば、ねじ、フック、金属板、又は切り欠きである。
【0111】
無論、上記で説明された寸法及び形状は制限的でない。
【0112】
組成
好ましくは、本発明に従う該コーナーブロックは、その質量の80%超について、アルミナ、ジルコニア、シリカ、及び場合によりジルコニア安定剤、特に酸化イットリウム、からなる電気溶解材料を含んでいる、好ましくはそれから構成される。該材料は、AZSタイプであることができ、又は非常に高いジルコニア含有率を有することができる(典型的には、重量パーセントで80%超のZrO2を含んでいる)。
【0113】
一つの実施態様において、本発明に従う該コーナーブロックは、0.5%超、1.5%超、3.0%超、4.0%超、5.0%超、又は6.0%超、及び/若しくは10.0%未満、9.0%未満、若しくは8.0%未満のジルコニア安定剤、特に、CaO及び/又はY2O3及び/又はMgO及び/又はCeO2、好ましくはY2O3及び/又はCaO、好ましくはY2O3、を含んでいる。
【0114】
好ましくは、本発明に従う該コーナーブロックは、100%の合計に対して、酸化物に基づく重量パーセントで、
Al2O3+ZrO2+SiO2:80.0%超、好ましくは84.0%超、好ましくは86.0%超、及び/又は97.0%未満、若しくは95.0%未満、若しくは94.0%未満、及び/又は、
Y2O3:0.5%超、1.5%超、2.0%超、及び/又は5.0%未満、4.0%未満、若しくは3.0%未満、及び/又は
Na2O:0.1%超、若しくは0.2%超、及び/又は0.6%未満、好ましくは0.5%未満、若しくは0.4%未満、及び/又は
B2O3:0.1%超、若しくは0.2%超、及び/又は0.6%未満、好ましくは0.5%未満、若しくは0.4%未満、及び/又は
Al2O3、ZrO2、SiO2、Y2O3、Na2O、及びB2O3以外の酸化物種:10.0%未満、好ましくは9.0%未満、好ましくは8.0%未満、5.0%未満、若しくは3.0%未満、若しくは2.0%未満、若しくは1.0%未満、若しくは0.5%未満
となる化学組成を有する。
【0115】
一つの実施態様に従い、本発明に従う該コーナーブロックは、
ZrO2:12.0%超、好ましくは20.0%超、好ましくは25.0%超、及び/又は80.0%未満、若しくは75.0%未満、及び/又は
SiO2:6.0%超、好ましくは10.0%超、及び/又は24.0%未満、若しくは20.0%未満、及び/又は
Al2O3:18.0%超、好ましくは25.0%超、及び/又は60.0%未満、好ましくは50.0%未満
となる化学組成を有する。
【0116】
一つの実施態様に従い、本発明に従う該コーナーブロックは、
ZrO2:12.0%超、好ましくは15.0%超、好ましくは18.0%超、若しくは22.0%超、及び/又は45.0%未満、若しくは40.0%未満、若しくは35.0%未満、若しくは30.0%未満、若しくは25.0%未満、及び/又は
SiO2:8.0%超、好ましくは10.0%超、好ましくは12.0%超、及び/又は24.0%未満、若しくは20.0%未満、17.0%未満、若しくは14.0%未満、及び/又は
Al2O3:35.0%超、好ましくは38.0%超、若しくは40.0%超、及び/又は60.0%未満、好ましくは55.0%未満、若しくは50.0%未満、46.0%未満、若しくは44.0%未満
となる化学組成を有する。
【0117】
一つの実施態様に従い、本発明に従う該コーナーブロックは、
ZrO2:80.0%超、好ましくは83.0%超、好ましくは86.0%超、及び/又は97.0%未満、若しくは95.0%未満、若しくは94.0%未満、及び/又は
SiO2:0.5%超、好ましくは1.5%超、好ましくは2.5%超、好ましくは4.0%超、若しくは6.0%超、8.5%超、及び/又は15.0%未満、若しくは12.0%未満、10.0%未満、若しくは8.0%未満、及び/又は
Al2O3:0.2%超、好ましくは1.0%超、及び/若しくは3.0%未満、好ましくは2.0%未満
となる化学組成を有する。
【0118】
実施例
有限要素ソフトウェア(Ansys17.0)を用いてモデル化試験が行われた。
【0119】
このソフトウェアで、1300mmの長さを有し、40%のZrO
2を含む化学組成を有するAZS耐熱性ブロック(Saint-Gobain SEFPROのER 1711)の温度及び応力が、室温(20℃)における通風による排熱と共に、125W/(m
2.K)の熱伝達係数で、該ブロックの該高温面が1500℃の温度である時に、決定された。次の3つのブロック形状が比較された。
各辺が450ミリメートルの正方形の基部を有する、まっすぐなブロック(直方体ブロック)(下記表1の「基準」);
図3に示されているタイプの4分の1円錐に相当する丸みのあるブロック。該高温面の外形の半径は、該上部表面において450ミリメートル、該下部表面において550ミリメートル(実施例1);
該冷温面上に10ミリメートル厚の断熱材料(0.5W/(m.K)の熱伝導率)の板を有する、実施例1のブロック(実施例2)。
【0120】
該ブロック内の各点の応力状態は、テンソルによって表されることができ、すなわち応力テンソルである。主応力は、該応力テンソルが対角行列になるように基底で表される応力である。最も高い(正の)引張り応力に対応するこの行列の係数は、「第1の主応力」と呼ばれる。破損応力(the stress at failure)(MOR)に対する該第1の主応力の比Rの最大値Rmaxによって、応力の臨界が、最も応力がかかる稜部に沿った全ての比Rを考慮して評価された。該MORは、2つの下部支持体間の距離を70mmとして実現された3点曲げ機構において、検討される温度において、80*20*20mm3の寸法の試料に対して空気中で測定され、パンチの降下速度は0.5mm/分に等しい。該Rmaxが大きいほど、破壊の可能性がより高くなる。結果が下記の表1に与えられている。
【0121】
【0122】
従って、該試験は、本発明に従うコーナーブロックが、応力を有意に低減することを可能にすることを示す。
【0123】
本発明は、特にはコルセット(corset)の入口ブロックに非常に適している。
【0124】
言うまでもなく、記載された実施態様は、例に過ぎず、特に技術的相当物の置き換えにより、それにより本発明の範囲から逸脱することなしに、修正されることができる。
【国際調査報告】