(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】燃料に依存しない圧縮着火エンジン
(51)【国際特許分類】
F02B 3/06 20060101AFI20230412BHJP
F02D 41/38 20060101ALI20230412BHJP
F02B 15/00 20060101ALI20230412BHJP
F02B 3/08 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
F02B3/06 B
F02D41/38
F02B15/00 F
F02B3/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546654
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 US2021019930
(87)【国際公開番号】W WO2021174016
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521479301
【氏名又は名称】クリアフレーム エンジンズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルムライター,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,バーナード
(72)【発明者】
【氏名】シャンツ,ロバート
【テーマコード(参考)】
3G023
3G301
【Fターム(参考)】
3G023AB05
3G023AC06
3G023AC07
3G023AC08
3G301HA02
3G301JA00
3G301LB11
3G301MA18
(57)【要約】
本明細書に記載の一部の実施形態は、圧縮着火エンジンを動作させる方法に関する。圧縮着火エンジンを動作させる方法は、ある量の空気を燃焼室に吸い込むために吸気バルブを開放することと、吸気バルブを閉鎖することと、燃焼室内の下死点(BDC)位置から上死点(TDC)位置まで少なくとも約15:1の圧縮比でピストンを移動させることと、を含む。方法は、ある量の燃料を燃焼室内に約330度から約365度のエンジンクランク角度で第1の期間に噴射することを更に含む。燃料は、約40未満のセタン価を有する。方法は、ある量の燃料の実質的に全てを燃焼させることを更に含む。一部の実施形態において、ある量の燃料を燃焼室内に噴射することと燃焼の開始との間の遅延は約2ms未満である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮着火エンジンを動作させる方法であって、前記圧縮着火エンジンが、エンジンシリンダであって、内面と、ヘッド面と、前記エンジンシリンダ内で移動するように配設及び構成されたピストンと、吸気バルブと、排気バルブと、を有するエンジンシリンダを備え、前記エンジンシリンダの前記内面、前記ピストン、前記ヘッド面、前記吸気バルブ、及び前記排気バルブが燃焼室を画定し、前記方法が、
ある量の空気を前記燃焼室に吸い込むために前記吸気バルブを開放するステップと、
前記吸気バルブを閉鎖するステップと、
前記燃焼室内の下死点(BDC)位置から上死点(TDC)位置まで少なくとも約15:1の圧縮比で前記ピストンを移動させるステップと、
約40未満のセタン価を有するある量の燃料を前記燃焼室内に約330度から約365度のエンジンクランク角度で第1の期間に噴射するステップと、
前記ある量の燃料の実質的に全てを燃焼させるステップと、を含み、
前記ある量の燃料を前記燃焼室内に噴射することと燃焼の開始との間の遅延が、約2ms未満である、方法。
【請求項2】
前記エンジンクランク角度が、前記ある量の燃料の約50%以下が燃焼の開始時に前記ある量の空気と予混合されるように十分なマージンで約330度より大きい、請求項1の方法。
【請求項3】
前記ある量の燃料の約20%以下が、燃焼の開始時に前記ある量の空気と予混合される、請求項2の方法。
【請求項4】
前記ある量の燃料を燃焼させることから生成されるエネルギーの少なくとも40%が、前記ある量の燃料が前記燃焼室に噴射されている間に生成される、請求項1から3のいずれか一項の方法。
【請求項5】
前記圧縮比が、約15:1から約25:1である、請求項1から4のいずれか一項の方法。
【請求項6】
前記燃料が第1の燃料であり、前記ある量の空気が第1の量の空気であり、前記エンジンクランク角度が第1のエンジンクランク角度であり、前記方法が、
第2の量の空気を前記燃焼室に吸い込むために前記吸気バルブを開放することと、
前記吸気バルブを閉鎖することと、
BDCからTDCまで前記ピストンを移動させることと、
前記第1の燃料と異なるセタン価、発熱量、及び/又は化学組成を有するある量の第2の燃料を前記燃焼室内に第2のエンジンクランク角度で第2の期間に噴射することと、
前記ある量の第2の燃料の実質的に全てを燃焼させることと、を更に含み、
前記第2のエンジンクランク角度が、前記ある量の第2の燃料の約50%以下が燃焼の開始時に前記第2の量の空気と予混合されるように十分なマージンで約330度より大きい、請求項1から5のいずれか一項の方法。
【請求項7】
前記第2の燃料が、前記第1の燃料のセタン価よりも低いセタン価を有する、請求項6の方法。
【請求項8】
前記ある量の燃料及び前記ある量の空気が、非化学量論的燃料空気比で前記燃焼室に導入される、請求項1から7のいずれか一項の方法。
【請求項9】
前記吸気バルブを開放する前に、温度制御戦略を前記ある量の空気に適用することを更に含む、請求項1から8のいずれか一項の方法。
【請求項10】
前記温度制御戦略が、前記ある量の空気を電気ヒータに曝すことを含む、請求項9の方法。
【請求項11】
前記ある量の空気が、前記吸気バルブを開放する前に少なくとも約80℃の温度を有する、請求項1から10のいずれか一項の方法。
【請求項12】
前記温度制御戦略が、前記ある量の空気を保炎バーナ及び/又は触媒バーナに曝すことを含む、請求項9の方法。
【請求項13】
前記圧縮着火エンジンが、ターボチャージャ及び/又はスーパーチャージャを備え、
前記方法が、前記ターボチャージャ及び/又は前記スーパーチャージャに対するアフタークーリングを実質的に排除することを更に含む、請求項1から12のいずれか一項の方法。
【請求項14】
前記温度制御戦略が、排気ガスの熱を前記ある量の空気に伝達することを含む、請求項9から13のいずれか一項の方法。
【請求項15】
前記温度制御戦略が、前記排気ガスの少なくとも部分的滞留及び再循環を含む、請求項9の方法。
【請求項16】
前記ある量の燃料を前記燃焼室内に噴射することと燃焼の開始との間の遅延を約2ms未満となるように制限するのに十分な前記燃焼室内の温度を生成することを支援するために、前記排気ガスが捕集、再呼吸、又は操作される、請求項15の方法。
【請求項17】
前記ある量の空気を前記燃焼室に吸い込む前に、前記排気ガスが前記ある量の空気と少なくとも部分的に混合される、請求項15又は16の方法。
【請求項18】
前記ある量の燃料が、噴射が継続すると、前記ある量の燃料及び前記ある量の空気を反応させて混合制限プルームを生成する、請求項1から17のいずれか一項の方法。
【請求項19】
前記第1の燃料が、約10未満のセタン価を有する、請求項1から18のいずれか一項の方法。
【請求項20】
燃料噴射直前のエンジンシリンダ内の前記ある量の空気の平均温度が、約1000Kから約1250Kの範囲内にある、請求項1から19のいずれか一項の方法。
【請求項21】
前記ある量の燃料が、セタン価の実質的な変化をもたらす約3wt%未満の添加剤を含む、請求項1から20のいずれか一項の方法。
【請求項22】
前記ある量の燃料が、セタン価の実質的な変化をもたらす約1wt%未満の添加剤を含む、請求項21の方法。
【請求項23】
前記ある量の燃料が、セタン価の実質的な変化をもたらす1,000ppm未満の添加剤を含む、請求項22の方法。
【請求項24】
前記ある量の空気が、大気、湿った空気、酸素が富化された空気、排気ガスで希釈された空気、及び/又は不活性ガスで希釈された空気を含む、請求項1から23のいずれか一項の方法。
【請求項25】
前記燃料が、ナフサ、ガソリン、アルコール、ブタノール、プロパノール、エタノール、メタノール、ガス状炭化水素、天然ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、代替燃料、水素、アンモニア、合成ガス、及び/又はCOを含む、請求項1から24のいずれか一項の方法。
【請求項26】
前記ある量の燃料が、少なくとも約800バールの絶対圧力で前記燃焼室内に噴射される、請求項1から25のいずれか一項の方法。
【請求項27】
前記圧縮着火エンジンが、前記燃料の特性を検出し、前記燃料の前記特性に基づいて前記温度制御戦略を制御するセンサを備える、請求項1から26のいずれか一項の方法。
【請求項28】
前記圧縮着火エンジンが、前記ある量の燃料を前記燃焼室内に噴射することと燃焼の開始との間の前記遅延が約2ms未満となるように制限するのに十分な前記燃焼室内の温度を生成することを支援するために断熱性を備える、請求項1から27のいずれか一項の方法。
【請求項29】
圧縮着火エンジンを動作させる方法であって、前記圧縮着火エンジンが、エンジンシリンダであって、内面と、ヘッド面と、前記エンジンシリンダ内で移動するように配設及び構成されたピストンと、吸気バルブと、排気バルブと、を有するエンジンシリンダを備え、前記エンジンシリンダの前記内面、前記ピストン、前記ヘッド面、前記吸気バルブ、及び前記排気バルブが燃焼室を画定し、前記方法が、
ある量の空気を前記燃焼室に吸い込むために前記吸気バルブを開放するステップと、
前記吸気バルブを閉鎖するステップと、
前記燃焼室内の下死点(BDC)位置から上死点(TDC)位置まで少なくとも約15:1の圧縮比で前記ピストンを移動させるステップと、
約40未満のセタン価を有するある量の燃料を、前記燃焼室内に約330度から約365度のエンジンクランク角度で噴射するステップと、
前記ある量の燃料の実質的に全てを燃焼させるステップと、を含み、
前記エンジンクランク角度が、前記ある量の燃料を燃焼させることから生成されるエネルギーの少なくとも30%が、前記ある量の燃料が前記燃焼室内に噴射されている間に生成されるように十分なマージンで約330度より大きい、方法。
【請求項30】
前記燃焼室が、少なくとも約2の局所当量比を有する点を含む、請求項29の方法。
【請求項31】
前記エンジンクランク角度が、前記ある量の燃料の約50%以下が燃焼の開始時に前記ある量の空気と予混合されるように十分なマージンで約330度より大きい、請求項29又は30の方法。
【請求項32】
前記燃料が第1の燃料であり、前記ある量の空気が第1の量の空気であり、前記エンジンクランク角度が第1のエンジンクランク角度であり、前記方法が、
第2の量の空気を前記燃焼室に吸い込むために前記吸気バルブを開放することと、
前記吸気バルブを閉鎖することと、
BDCからTDCまで前記ピストンを移動させることと、
前記第1の燃料と異なるセタン価、発熱量、及び/又は化学組成を有するある量の第2の燃料を前記燃焼室内に第2のエンジンクランク角度で第2の期間に噴射することと、
前記ある量の第2の燃料の実質的に全てを燃焼させることと、を更に含み、
前記第2のエンジンクランク角度が、前記ある量の第2の燃料の約50%以下が燃焼の開始時に前記第2の量の空気と予混合されるように十分なマージンで約330度より大きい、請求項29から31のいずれか一項の方法。
【請求項33】
前記第2の燃料が、前記第1の燃料のセタン価よりも低いセタン価を有する、請求項32の方法。
【請求項34】
前記吸気バルブを開放する前に、温度制御戦略を前記ある量の空気に適用することを更に含む、請求項29から33のいずれか一項の方法。
【請求項35】
前記温度制御戦略が、前記ある量の空気を保炎バーナ及び/又は触媒バーナに曝すことを含む、請求項34の方法。
【請求項36】
前記温度制御戦略が、排気ガスの熱を前記ある量の空気に伝達することを含む、請求項34又は35の方法。
【請求項37】
前記温度制御戦略が、前記排気ガスの少なくとも部分的滞留及び再循環を含む、請求項36の方法。
【請求項38】
燃料噴射直前のエンジンシリンダ内の前記ある量の空気の平均温度が、約1000Kから約1250Kの範囲内にある、請求項29から37のいずれか一項の方法。
【請求項39】
前記ある量の燃料が、セタン価の実質的な変化をもたらす約3wt%未満の添加剤を含む、請求項29から38のいずれか一項の方法。
【請求項40】
圧縮着火エンジンを動作させる方法であって、前記圧縮着火エンジンが、エンジンシリンダであって、内面と、ヘッド面と、前記エンジンシリンダ内で移動するように配設及び構成されたピストンと、吸気バルブと、排気バルブと、を有するエンジンシリンダを備え、前記エンジンシリンダの前記内面、前記ピストン、前記ヘッド面、前記吸気バルブ、及び前記排気バルブが燃焼室を画定し、前記方法が、
ある量の空気を前記燃焼室に吸い込むために前記吸気バルブを開放するステップと、
前記吸気バルブを閉鎖するステップと、
前記エンジンシリンダ内の前記ある量の空気を少なくとも約15:1の圧縮比で、前記燃焼室内での自己着火を誘発するのに十分な圧力及び温度まで圧縮するステップと、
約30未満のセタン価を有するある量の燃料を前記燃焼室内に約330度から約365度のエンジンクランク角度で噴射するステップと、
前記ある量の燃料の噴射タイミングを変更して、前記ある量の空気における前記ある量の燃料の燃焼による圧力上昇の速度をクランク角度あたり約15バール未満になるように制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項41】
前記燃焼室の圧力上昇の速度を制御することが、前記ある量の燃料の前記噴射タイミングを変更することによってのみ行われる、請求項40の方法。
【請求項42】
前記エンジンクランク角度が、前記ある量の燃料の約50%以下が燃焼の開始時に前記ある量の空気と予混合されるように十分なマージンで約330度より大きい、請求項40又は41の方法。
【請求項43】
前記燃料が第1の燃料であり、前記ある量の空気が第1の量の空気であり、前記エンジンクランク角度が第1のエンジンクランク角度であり、前記方法が、
第2の量の空気を前記燃焼室に吸い込むために前記吸気バルブを開放することと、
前記吸気バルブを閉鎖することと、
BDCからTDCまで前記ピストンを移動させることと、
前記第1の燃料と異なるセタン価、発熱量、及び/又は化学組成を有するある量の第2の燃料を前記燃焼室内に第2のエンジンクランク角度で第2の期間に噴射することと、
前記ある量の第2の燃料の実質的に全てを燃焼させることと、を更に含み、
前記第2のエンジンクランク角度が、前記ある量の第2の燃料の約50%以下が燃焼の開始時に前記第2の量の空気と予混合されるように十分なマージンで約330度より大きい、請求項40から42のいずれか一項の方法。
【請求項44】
前記第2の燃料が、前記第1の燃料のセタン価よりも低いセタン価を有する、請求項43の方法。
【請求項45】
前記吸気バルブを開放する前に温度制御戦略を前記ある量の空気に適用することを更に含む、請求項40から44のいずれか一項の方法。
【請求項46】
圧縮着火エンジンを動作させる方法であって、前記圧縮着火エンジンが、エンジンシリンダであって、内面と、ヘッド面と、前記エンジンシリンダ内で移動するように配設及び構成されたピストンと、吸気バルブと、排気バルブと、を有するエンジンシリンダを備え、前記エンジンシリンダの前記内面、前記ピストン、前記ヘッド面、前記吸気バルブ、及び前記排気バルブが燃焼室を画定し、前記方法が、
第1の量の空気を前記燃焼室に吸い込むために前記吸気バルブを開放するステップと、
前記吸気バルブを閉鎖するステップと、
前記燃焼室内の下死点(BDC)位置から上死点(TDC)位置まで少なくとも約15の圧縮比で前記ピストンを移動させるステップと、
約40未満の第1のセタン価を有するある量の第1の燃料を前記燃焼室内に第1のエンジンクランク角度で第1の期間に噴射して、前記ある量の第1の燃料を前記燃焼室内に噴射する前に10クランク角度で測定された第1の温度を有する空気にするステップと、
前記ある量の第1の燃料の実質的に全てを燃焼させるステップと、
第2の量の空気を前記燃焼室に吸い込むために前記吸気を開放するステップと、
前記燃焼室内のBDCからTDCまで少なくとも約15の圧縮比で前記ピストンを移動させるステップと、
前記第1の燃料と異なり、かつ前記第1のセタン価よりも低い第2のセタン価を有するある量の第2の燃料を前記燃焼室内に第2の期間に噴射して、前記ある量の第2の燃料を前記燃焼室内に噴射する前に10クランク角度で測定された、前記第1の温度よりも高い第2の温度を有する空気にするステップと、
前記吸気バルブを閉鎖するステップと、
前記ある量の第2の燃料の実質的に全てを燃焼させるステップと、を含み、
前記ある量の第1の燃料及び第2の燃料を前記燃焼室内に噴射することと各燃料の燃焼の開始との間の遅延が、約2ms未満である、方法。
【請求項47】
前記圧縮着火エンジンが、搭載燃料センサを備える、請求項46の方法。
【請求項48】
前記燃料センサが検出した燃料特性に基づいて、前記燃焼室の温度を調整するための熱管理技術を実施することを更に含む、請求項47の方法。
【請求項49】
前記第1の燃料が、約30から約40のセタン価を有し、
前記第1の温度が、少なくとも約900Kである、請求項46から48のいずれか一項の方法。
【請求項50】
前記第1の燃料が、約20から約30のセタン価を有し、
前記第1の温度が、少なくとも約1000Kである、請求項46から48のいずれか一項の方法。
【請求項51】
前記第1の燃料が、約10から約20のセタン価を有し、
前記第1の温度が、少なくとも約1050Kである、請求項46から48のいずれか一項の方法。
【請求項52】
前記第1の燃料が、約0から約10のセタン価を有し、
前記第1の温度が、少なくとも約1150Kである、請求項46から48のいずれか一項の方法。
【請求項53】
前記第1の燃料が、約0未満のセタン価を有し、
前記第1の温度が、少なくとも約1250Kである、請求項46から48のいずれか一項の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2020年2月26日に出願された「Fuel Agnostic Compression Ignition Engine」と題する米国仮出願第62/981,808号の優先権及び利益を主張するものであり、同出願の全開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] ディーゼルエンジンは、高トルク/効率かつ主に燃焼プロセスの非予混合性質により可能になる着火制御が簡易な堅牢で信頼できるエンジンアーキテクチャである。標準的なディーゼルエンジン動作は、空気中で十分に着火可能な、少なくとも~850Kの噴射前温度を必要とする燃料に依存する。これらの温度は、最も一般的には空気を約17:1の幾何学的体積比で圧縮することによって達成される。動作中、この空気圧縮は、燃料が燃料噴射器から高圧直接噴射で噴霧される前にシリンダ内で行われる(すなわち、燃料噴射器の圧力は、燃料が噴射される時点において800バールより大きい)。ディーゼル燃料自体はこの着火基準を満たす(すなわち、空気中で850Kで十分に短い着火遅延で着火すること)が、数多くの他の燃料は満たさない。この着火基準は、コストや、地域的可用性や、燃焼方法に関連する他の特性などの他の理由で望ましい属性を有する燃料の除外をもたらす。現在、ディーゼル着火基準を満たし得る燃料しかディーゼルサイクル(つまり、非予混合、混合制御圧縮着火)では使用することができない。着火基準は、燃料の着火遅延の測定によって定められ(ピストン運動及び吸気又は排気イベント持続時間などのエンジンサイクルの他の時間スケールと比較して短い-短い着火遅延が、非予混合燃焼プロセスに望まれる)、セタン価と呼ばれる値として報告される。標準的なディーゼルエンジンは、燃料をディーゼルエンジンにおいて適切に燃焼させ得る、狭い範囲のセタン価を有する。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本明細書に記載の実施形態は、セタン価に関係なく任意の燃料でディーゼルサイクルで動作可能なエンジン、及びこのエンジンを動作させる方法に関する。本明細書に記載の一部の実施形態は、圧縮着火(CI)エンジンを動作させる方法に関する。CIエンジンは、内面と、ヘッド面と、エンジンシリンダ内で移動するように配設及び構成されたピストンと、吸気バルブと、排気バルブと、を有するエンジンシリンダを備える。エンジンシリンダの内面、ピストン、ヘッド面、吸気バルブ、及び排気バルブは、燃焼室を画定する。圧縮着火を動作させる方法は、ある量の空気を燃焼室に吸い込むために吸気バルブを開放すること、吸気バルブを閉鎖すること、及び燃焼室内の下死点(BDC)位置から上死点(TDC)位置まで少なくとも約15:1の圧縮比でピストンを移動させることを含む。方法は、第1の期間にある量の燃料を燃焼室内に約330度から約365度のエンジンクランク角度で噴射することを更に含む。燃料は約40未満のセタン価を有する。方法は、ある量の燃料の実質的に全てを燃焼させることを更に含む。一部の実施形態では、ある量の燃料を燃焼室内に噴射することと燃焼の開始との間の遅延が約2ms未満である。
【0004】
[0004] 一部の実施形態では、ある量の燃料を混合制御圧縮着火(MCCI)方式で燃焼させることができる。一部の実施形態では、ある量の燃料が噴射されるエンジンクランク角度は、ある量の燃料の約50%以下が燃焼の開始時にある量の空気と予混合されるように十分なマージンで約330度より大きい。一部の実施形態では、燃料の燃焼から生成されるエネルギーの少なくとも約30%は、ある量の燃料が燃焼室内に噴射されている間に生成される。一部の実施形態では、圧縮比は約15:1から約25:1である可能性がある。一部の実施形態では、燃料は第1の燃料である可能性があり、方法は、燃焼室で第2の燃料を燃焼させることを更に含む可能性がある。一部の実施形態では、第2の燃料は、第1の燃料と異なるセタン価、発熱量、及び/又は化学組成を有する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】[0005] 着火温度の関数である様々な燃料の自己着火遅延時間の図である。
【
図2】[0006] ある実施形態に係る、圧縮着火アーキテクチャの概略図である。
【
図3】[0007] ある実施形態に係る、圧縮着火エンジンを動作させる方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0008] 化学燃料(石油、アルコール類、バイオディーゼルなど)は重荷重道路輸送にとって引き続き重要である。化学燃料の高いエネルギー密度は、長距離を移動し素早く燃料補給する必要のあるユーザにとって重要である。結果として、化学燃料ディーゼルエンジンの需要は数十年にわたって持続するであろう。しかしながら、ディーゼル燃料価格は過去30年にわたって大幅に上昇しており、また、ディーゼル燃料は温室効果ガス排出の大きな一因である。また、二酸化窒素及び酸化窒素(NOxと総称される)並びに煤の排出基準は益々厳しくなりつつある。
【0007】
[0009] 本明細書に記載の実施形態は、セタン価に関係なく任意の燃料でディーゼルサイクルで動作可能なエンジン、及びこのエンジンを動作させる方法に関する。一部の実施形態では、エンジンは、エンジン内部又はエンジンのすぐ近くに高温環境を作り出すことによって「燃料に依存しない」エンジンとして動作することができる。一部の実施形態では、高温環境は伝統的なディーゼルエンジンアーキテクチャを変更する必要なく作り出される可能性がある。換言すれば、ディーゼルエンジンの圧縮比は同じままで、ディーゼルエンジンの他のコンポーネント又は態様にわずかな変更しかない可能性がある。温度上昇が燃料の着火遅延を短縮し、燃料がより着火しやすい燃料がより低い温度で振る舞うのと同じように振る舞うことが可能になる可能性がある。例えばセタン価が55の第1の燃料が、1000Kにおけるセタン価が15の第2の燃料の着火遅延と同様の700Kにおける着火遅延を有する可能性がある。十分に高い温度では、全ての燃料(耐着火性が最も高いものも含め)が、ディーゼル式エンジン動作を維持するのに十分な短い着火遅延を有する。燃料は、燃料が噴射されるシリンダ内の空気混合物の温度、圧力、酸素含有量、及び/又は他の要因に依存し得る着火遅延曲線を有する。
【0008】
[0010]
図1は、着火温度の関数である様々な燃料の自己着火遅延時間の図を示している。x軸は着火時の初期温度を示す一方、y軸は初期温度の関数である自己着火遅延時間を示す。この図に示された燃料には、メタン、イソオクタン、n‐ヘプタン、及びジメチルエーテル(DME)が含まれる。図示された燃料の中で、DMEが最も高いセタン価、約55を有する。したがって、図示された他の燃料(n‐ヘプタン、イソオクタン、メタン)は、一定の遅延期間(例えば2ms)後に着火するためにDMEより高い温度を必要とする。着火遅延は、燃焼室内の温度を操作することによって減らされたり細かく調整されたりする可能性がある。
【0009】
[0011] 燃焼室内に高温を作り出すことの利点には、セタン価に関係なく、あらゆる燃料で動作する自由がある、ディーゼルエンジンのトルク及び出力密度と匹敵し得る燃料フレキシブルなエンジンの使用可能性が含まれる可能性がある。一部の実施形態では、燃料に依存しない又は燃料フレキシブルなエンジンは、1つ以上の搭載センサが燃料特性を検出し、エンジンで使用されている温度制御機構を制御するように構成される可能性がある。例えば温度制御機構は、センサが低セタン燃料を検出した場合に補償するために更に加熱することができる。一部の実施形態では、エンジンは、搭載センサが検出した燃料に基づいて、燃料の噴射量、噴射タイミング/スケジューリング、噴射圧力、排気ガス滞留(EGR)量、又は所望のエンジン負荷及び燃焼フェーズを達成するための任意の他の適切な要因を調整するように構成されている可能性がある。この種の多用途性は、エンジンの所有者又は操作者が、最も入手しやすく最も手ごろな燃料、又はいつでも任意の他の所望の基準を満たす燃料を選ぶことを可能にする可能性がある。燃料に依存しない燃焼プロセスは、ディーゼルサイクルの望ましい属性を、ディーゼル燃料の着火特性と同様の着火特性を有する燃料から切り離すことができる。代わりに燃料は、コスト、入手可能性、炭素強度、又は排出基準などの他の要因に基づいて選ばれる可能性がある。
【0010】
[0012]
図2は、シリンダ210と、シリンダ210内で移動するように構成されたピストン220と、ヘッドデッキ225と、吸気バルブ230と、排気バルブ240とを備える圧縮着火(CI)エンジン200を示している。シリンダ210、ピストン220、ヘッドデッキ225、吸気バルブ230、及び排気バルブ240は、全体として燃焼室250を画定する。図に示すように、CIエンジン200は、第1の燃料供給260aと、第2の燃料供給260bと(燃料供給260と総称される)、三元触媒265と、燃料噴射器270と、センサ272と、クランク軸280と、再循環ポート290と、EGRクーラ295とを更に備える。吸気バルブ240及び排気バルブ250はいずれも、所望の吸気を実現するのに必要なタイミング及び距離に従って吸気バルブ240及び排気バルブ250を開放及び閉鎖するように回転するカムシャフト(図示しない)と接触している可能性がある。一部の実施形態では、吸気バルブ240及び排気バルブ250は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる2020年5月14日に出願された、「Cold Start for High-Octane Fuels in a Diesel Engine Architecture」と題する国際特許公開WO 2020/232287(「‘287公開」)に記載されている可変バルブタイミング(VVT)スキームで動作することができる。一部の実施形態では、CIエンジン200の1つ以上のコンポーネントは、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる2015年4月6日に出願された、「Stoichiometric High-Temperature Direct-Injection Compression-Ignition Engine」と題する米国特許第9,903,262号(「‘262特許」)に記載されている遮熱コーティング255を備える可能性がある。
【0011】
[0013] 図に示すように、第1の燃料供給260aは、燃料噴射器270に流体結合されている。燃料噴射器270は燃焼室250内に燃料を噴射する。図に示すように、第2の燃料供給260bも燃料噴射器270に流体結合されている。図に示すように、第1の燃料供給260a及び第2の燃料供給260bはいずれも同じ燃料噴射器270に流体結合されている。一部の実施形態では、第1の燃料供給260aは第1の燃料噴射器に流体結合される可能性があり、第2の燃料供給260bは第2の燃料噴射器に流体結合される可能性がある。一部の実施形態では、第1の燃料供給260aは第1の燃料を含む可能性があり、第2の燃料供給260bは第2の燃料を含む可能性がある。一部の実施形態では、第2の燃料は、第1の燃料と異なるセタン価、発熱量、及び/又は化学組成を有する可能性がある。図に示すように、CIエンジンは、2つの燃料供給260a、260bを備える。一部の実施形態では、CIエンジンは、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、又は少なくとも20個の燃料供給260を備える可能性がある(これらの間の全ての値及び範囲を含む)。
【0012】
[0014] センサ272は、燃焼室250内に噴射されている燃料の種類の検出又は検出の支援を行うことができる。一部の実施形態では、センサ272は、燃焼室250内に噴射されている燃料の比誘電率を検出する、又は容量原理を用いることができる。一部の実施形態では、センサ272はpHを検出することができる。一部の実施形態では、センサ272は、センサ272が燃焼室250に入る燃料の沸点又は蒸発点を検知することができるように発熱体を備える可能性がある。一部の実施形態では、センサ272は圧力トランスデューサを備える可能性がある。一部の実施形態では、センサ272は温度トランスデューサを備える可能性がある。一部の実施形態では、センサ272は赤外線分光法のための工具を備える可能性がある。一部の実施形態では、センサ272は、特定の種類の燃料(例えば一酸化炭素)を吸収したときに色を変えるゲルを含む可能性がある。一部の実施形態では、光センサがゲルの色の変化を検出することができ、それに応じて噴射されている燃料の種類を検出することができる。一部の実施形態では、センサ272が排気孔にある場合、検出した燃料の酸素含有量、温度、及び/又はその他の量を用いて燃料属性を推測し、それに応じて温度制御機構及び燃料注入を調整するように制御機構に知らせることができる。
【0013】
[0015] 一部の実施形態では、センサ272は、CIエンジン200の様々なコンポーネントと通信することができる。一部の実施形態では、センサ272は再循環ポート290と通信することができる。例えばセンサ272は、センサ272が低セタン燃料を検出したときに、燃焼室250内の温度を上げるためにより多くの排気を再循環するように再循環ポート290に警告することができる。一部の実施形態では、センサ272は、燃焼室250内の温度を上げるために冷却を減らすようにEGRクーラ295と通信することができる。一部の実施形態では、センサ272は、燃焼室250に入るある量の空気が加熱される速度を変化させるようにグリッドヒータ(図示せず)と通信することができる。一部の実施形態では、センサ272は、燃焼室250に入るある量の空気が加熱される速度を変化させるように保炎器(図示せず)と通信することができる。一部の実施形態では、センサ272は、燃焼室250に入るある量の空気が加熱される速度を変化させるように触媒バーナ(図示せず)と通信することができる。一部の実施形態では、センサ272は、ターボチャージャ及び/又はスーパーチャージャ(図示せず)のアフタークーリングの量を変化させるようにターボチャージャ及び/又はスーパーチャージャと通信することができる。一部の実施形態では、センサ272はターボチャージャ及び/又はスーパーチャージャのアフタークーリングを実質的に排除することができる。一部の実施形態では、センサ272は、燃料噴射器270から燃料が噴射される圧力を修正するために燃料噴射器270と通信することができる。
【0014】
[0016] 図に示すように、センサ272は燃焼室250内に配設されている。一部の実施形態では、センサ272は燃料噴射器270に物理的に結合されている可能性がある。一部の実施形態では、センサ272は、燃焼室250内部で燃料噴射器270に物理的に結合されている可能性がある。一部の実施形態では、センサ272は、燃焼室250外部で燃料噴射器270に物理的に結合されている可能性がある。一部の実施形態では、センサ272は、燃料供給260と燃料噴射器270の間のある箇所で燃料経路に結合されている可能性がある。一部の実施形態では、センサ272は燃焼室250のボウル領域に配設される可能性がある。一部の実施形態では、センサ272は燃焼室250のスキッシュ領域に配設される可能性がある。一部の実施形態では、CIエンジンは、様々な場所に配設された複数のセンサを備える可能性がある。一部の実施形態では、センサ272は、温度、酸素濃度、又はその他の量を検知するように排気孔に位置する可能性がある。
【0015】
[0017] センサ272が検出する燃料特性に基づいて、着火遅延が最小の燃焼を促進するために熱管理技術を実施することができる。例えばグリッドヒータが、着火遅延を最小限に抑えるために、センサ272による低セタン燃料の検出に基づいて熱を加えたり、熱供給の速度を高めたりすることができる。
【0016】
[0018]
図3は、ある実施形態に係る、CIエンジンを動作させる方法10のブロック図である。図に示すように、方法10は、ステップ11においてある量の空気を燃焼室に吸い込むために吸気バルブを開放することを含む。方法10は任意選択で、ステップ12において温度制御戦略を適用することを含む。方法10は、ステップ13において吸気バルブを閉鎖すること、ステップ14においてBDCからTDCまでピストンを移動させること、ステップ15において燃料を燃焼室内に噴射すること、及びステップ16において燃料を燃焼させることを更に含む。方法10は任意選択で、ステップ17において追加燃料(例えば第2の燃料)を噴射し燃焼させることを含む。一部の実施形態では、CIエンジン200、吸気バルブ、及び燃焼室は、
図2を参照して以上で説明したCIエンジン200、吸気バルブ230、及び燃焼室250と同一か又は実質的に類似している可能性がある。
【0017】
[0019] ステップ11は、ある量の空気を燃焼室に吸い込むために吸気バルブを開放することを含む。一部の実施形態では、吸気バルブは、少なくとも約660°、少なくとも約665°、少なくとも約670°、少なくとも約675°、少なくとも約680°、少なくとも約685°、少なくとも約690°、少なくとも約695°、又は少なくとも約700°のエンジンクランク角度で開放される可能性がある。一部の実施形態では、吸気バルブは、約705°以下、約700°以下、約695°以下、約690°以下、約685°以下、約680°以下、約675°以下、約670°以下、又は約665°以下のエンジンクランク角度で開放される可能性がある。上記で参照された吸気バルブの開放のためのエンジンクランク角度の組み合わせ(例えば、少なくとも約660°及び約705°以下又は少なくとも約665°及び約700°以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含め可能である。一部の実施形態では、吸気バルブは、約660°、約665°、約670°、約675°、約680°、約685°、約690°、約695°、約700°、又は約705°のエンジンクランク角度で開放される可能性がある。
【0018】
[0020] 一部の実施形態では、ステップ11において燃焼室に吸い込まれるある量の空気は、大気、湿った空気、酸素が富化された空気、排気ガスで希釈された空気、不活性ガスで希釈された空気、ある量の未燃焼燃料が混合された空気、又はそれらの任意の組み合わせを含む可能性がある。一部の実施形態では、ある量の空気は、ある量の空気が容量で少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、又は少なくとも約55%の酸素含有量を有するように酸素が富化される可能性がある。一部の実施形態では、ある量の空気は、容量で約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、又は約30%以下の酸素含有量を有する可能性がある。上記で参照されたある量の空気における酸素含有量の値の組み合わせ(例えば、容量で少なくとも約25%及び約60%以下又は容量で少なくとも約30%及び約50%以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含め可能である。一部の実施形態では、ある量の空気は、容量で約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、又は約60%の酸素含有量を有する可能性がある。
【0019】
[0021] 一部の実施形態では、ステップ11において燃焼室に吸い込まれるある量の空気は燃料を含む可能性がある。一部の実施形態では、ステップ11において燃焼室に吸い込まれるある量の空気は、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、又は少なくとも約19%v:vの燃料を含む可能性がある。一部の実施形態では、ステップ11において燃焼室に吸い込まれるある量の空気は、約20%v:v以下、約19%v:v以下、約18%v:v以下、約17%v:v以下、約16%v:v以下、約15%v:v以下、約14%v:v以下、約13%v:v以下、約12%v:v以下、約11%v:v以下、約10%v:v以下、約9%v:v以下、約8%v:v以下、約7%v:v以下、約6%v:v以下、約5%v:v以下、約4%v:v以下、約3%v:v以下、又は約2%v:v以下の燃料を含む可能性がある。上記で参照されたある量の空気における燃料の容積百分率の組み合わせ(例えば、少なくとも約1%及び約20%以下又は少なくとも約5%及び約15%以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含め可能である。一部の実施形態では、ステップ11において燃焼室に吸い込まれるある量の空気は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、又は約20%v:vの燃料を含む可能性がある。
【0020】
[0022] ステップ12において、方法10は任意選択で、温度制御戦略を適用することを含む。一部の実施形態では、燃焼室内の温度は、ある量の空気を燃焼室に吸い込む前にある量の空気を加熱することによって操作される可能性がある。空気がエンジンサイクルの圧縮行程中に加熱されるため、流入空気温度が、燃焼室内への燃料の噴射の前に燃焼室内の十分に高い温度を達成するように高められる可能性がある。換言すれば、ある量の空気は、燃焼室に入る前又は入ったときに中間値に加熱される可能性があり、その後、燃焼室における圧縮が、ある量の空気(及び燃料)の温度を、着火遅延が最小の適切な燃焼室まで上げる可能性がある。一例として、ある量の空気は、約1100℃の燃焼室内部の燃料噴射前温度を達成するために約130℃の温度に加熱される可能性がある。一部の実施形態では、ある量の空気は、燃焼室に入る前又は入ったときに、少なくとも約50℃、少なくとも約60℃、少なくとも約70℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、少なくとも約100℃、少なくとも約110℃、少なくとも約120℃、少なくとも約130℃、少なくとも約140℃、少なくとも約150℃、少なくとも約160℃、少なくとも約170℃、少なくとも約180℃、少なくとも約190℃、少なくとも約200℃、少なくとも約210℃、少なくとも約220℃、少なくとも約230℃、少なくとも約240℃、少なくとも約250℃、少なくとも約260℃、少なくとも約270℃、少なくとも約280℃、又は少なくとも約290℃の温度に加熱される可能性がある。一部の実施形態では、ある量の空気は、燃焼室に入る前又は入ったときに、約300℃以下、約290℃以下、約280℃以下、約270℃以下、約260℃以下、約250℃以下、約240℃以下、約230℃以下、約220℃以下、約210℃以下、約200℃以下、約190℃以下、約180℃以下、約170℃以下、約160℃以下、約150℃以下、約140℃以下、約130℃以下、約120℃以下、約110℃以下、約100℃以下、約90℃以下、約80℃以下、約70℃以下、又は約60℃以下の温度に加熱される可能性がある。上記で参照された燃焼室に入る前又は入ったときのある量の空気の温度の組み合わせ(例えば、少なくとも約50℃及び約300℃以下又は少なくとも約100℃及び約200℃以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含め可能である。一部の実施形態では、ある量の空気は、燃焼室に入る前又は入ったときに、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、約170℃、約180℃、約190℃、約200℃、約210℃、約220℃、約230℃、約240℃、約250℃、約260℃、約270℃、約280℃、約290℃、又は約300℃の温度に加熱される可能性がある。
【0021】
[0023] 一部の実施形態では、ステップ12は、電気加熱を使用したり、エンジンの排気からの熱を加えたりして、ターボチャージャ及び/又はスーパーチャージャのアフタークーリングを排除することを含む可能性がある。一部の実施形態では、CIエンジンの排気からの熱を加えることは、熱交換による(すなわち熱交換装置の壁を介した)ものである可能性がある。一部の実施形態では、CIエンジンの排気からの熱を加えることは、燃焼室に吸い込まれるある量の空気に高温排気ガスを導入すること(すなわちEGR)を含む可能性がある。一部の実施形態では、吸気バルブを開放するときに燃焼室に吸い込まれるある量の空気は、重量で再循環排気ガスの少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、又は少なくとも約55%を含む可能性がある。一部の実施形態では、吸気バルブを開放するときに燃焼室に吸い込まれるある量の空気は、重量で再循環排気ガスの約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、又は約2%以下を含む可能性がある。上記で参照した吸気バルブを開放するときに燃焼室に吸い込まれるある量の空気における排気ガスの重量百分率の組み合わせ(例えば、少なくとも約1%及び約50%以下又は少なくとも約10%及び約30%以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含め可能である。一部の実施形態では、吸気バルブを開放するときに燃焼室に吸い込まれるある量の空気は、重量で再循環排気ガスの約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、又は約60%を含む可能性がある。一部の実施形態では、保炎バーナ及び/又は触媒バーナが、燃焼室に吸い込まれる空気の温度を上げるためにCIエンジンの吸気路に高温の燃焼生成物を作り出すのに使用される可能性がある。一部の実施形態では、グリッドヒータが、燃焼室に吸い込まれる前にある量の空気に熱を加えるのに使用される可能性がある。
【0022】
[0024] より高温の空気又は吸気混合物をCIエンジンに導入することに加えて、CIエンジン内の断熱効果が、ディーゼル式アーキテクチャにおける任意の燃料の燃焼を達成するために十分に高い噴射前温度を達成し得る熱エネルギーを保持することができる。一部の実施形態では、断熱には、表面処理、低熱伝導率材料の使用、冷却水の昇温、及び/又は他の冷却を減少させる方法が含まれる可能性がある。一部の実施形態では、断熱材は、ピストン上、吸気バルブ内、排気バルブ内、及び/又はCIエンジン内の任意の他の適切な場所に位置する可能性がある。更なる断熱の例は‘262特許に記載されている。
【0023】
[0025] 一部の実施形態では、上記で参照した熱管理方法の任意の組み合わせが、並列及び/又は直列に一緒に用いられる可能性がある。換言すれば、第1の熱管理方法が第1の期間に用いられる可能性があり、第2の熱管理方法が第2の期間に用いられる可能性がある。一部の実施形態では、第2の熱管理方法は第1の熱管理方法と異なる可能性がある。一部の実施形態では、第1の期間は第2の期間と少なくとも部分的に重なる可能性がある。一部の実施形態では、第1の期間は第2の期間と完全に重なる可能性がある。一部の実施形態では、第1の期間は第2の期間と別である可能性がある。一部の実施形態では、第1の熱管理方法は、第2の熱管理方法よりも短い応答時間を有する可能性がある。例えば、過渡的な状況では、第1の期間にヒータ(例えば、グリッドヒータ又はグロープラグ)が使用される可能性があり、第2の期間にEGRが使用される可能性がある。ヒータの方が反応時間が短く、より素早く(すなわち1秒未満で)有効になる可能性があるのに対し、EGRは反応し有効になるのが遅い可能性がある。
【0024】
[0026] 一部の実施形態では、第1の期間及び/又は第2の期間は、約20ms、約40ms、約60ms、約80ms、0.1秒、約0.2秒、約0.3秒、約0.4秒、約0.5秒、約0.6秒、約0.7秒、約0.8秒、約0.9秒、約1秒、約1.1秒、約1.2秒、約1.3秒、約1.4秒、約1.5秒、約1.6秒、約1.7秒、約1.8秒、約1.9秒又は約2秒である可能性がある(これらの間の全ての値及び範囲を含む)。
【0025】
[0027] 方法10は、ステップ13において吸気バルブを閉鎖することを更に含む。一部の実施形態では、吸気バルブは、少なくとも約160°、少なくとも約165°、少なくとも約170°、少なくとも約175°、少なくとも約180°、少なくとも約185°、少なくとも約190°、少なくとも約195°、少なくとも約200°、少なくとも約205°、少なくとも約210°、少なくとも約215°、少なくとも約220°、少なくとも約225°、少なくとも約230°、少なくとも約235°、少なくとも約240°、少なくとも約245°、少なくとも約250°、又は少なくとも約255°のエンジンクランク角度で閉鎖される可能性がある。一部の実施形態では、吸気バルブは、約260°以下、約255°以下、約250°以下、約245°以下、約240°以下、約235°以下、約230°以下、約225°以下、約220°以下、約215°以下、約210°以下、約205°以下、約200°以下、約195°以下、約190°以下、約185°以下、約180°以下、約175°以下、約170°以下、又は約165°以下のエンジンクランク角度で閉鎖される可能性がある。上記で参照した吸気バルブの閉鎖のためのエンジンクランク角度の組み合わせ(例えば、少なくとも約160°及び約260°以下又は少なくとも約180°及び約200°以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、吸気バルブは、約160°、約165°、約170°、約175°、約180°、約185°、約190°、約195°、約200°、約205°、約210°、約215°、約220°、約225°、約230°、約235°、約240°、約245°、約250°、約255°、又は約260°のエンジンクランク角度で閉鎖される可能性がある。
【0026】
[0028] 一部の実施形態では、圧縮プロセス以外の圧縮行程においてソースからCIエンジンに熱エネルギーが加えられる可能性がある。一部の実施形態では、燃焼室は、グロープラグ、高温空気ジェット、プラズマ、及び/又は着火前の燃焼室内のある量の空気及び/又はある量の燃料に追加の熱エネルギーを導入するための任意の他のデバイスなどの加熱デバイスを備える可能性がある。一部の実施形態では、着火前の燃焼室内のある量の空気及び/又はある量の燃料の温度は、エンジンで使用されている各燃料の着火特性に合わせられる可能性がある。一部の実施形態では、燃焼室内のある量の空気及び/又はある量の燃料の温度の上昇は、エンジンで使用される燃料が最小着火遅延(例えば2ms未満の着火遅延)で着火するほど高い値に一定に保たれる可能性がある。
【0027】
[0029] 方法10は、ステップ14においてBDCからTDCまでピストンを移動させることを含む。一部の実施形態では、CIエンジンは、少なくとも約10:1、少なくとも約11:1、少なくとも約12:1、少なくとも約13:1、少なくとも約14:1、少なくとも約15:1、少なくとも約16:1、少なくとも約17:1、少なくとも約18:1、少なくとも約19:1、少なくとも約20:1、少なくとも約21:1、少なくとも約22:1、少なくとも約23:1、少なくとも約24:1、少なくとも約25:1、少なくとも約26:1、少なくとも約27:1、少なくとも約28:1、又は少なくとも約29:1の圧縮比を有する可能性がある。一部の実施形態では、CIエンジンは、約30:1以下、約29:1以下、約28:1以下、約27:1以下、約26:1以下、約25:1以下、約24:1以下、約23:1以下、約22:1以下、約21:1以下、約20:1以下、約19:1以下、約18:1以下、約17:1以下、約16:1以下、約15:1以下、約14:1以下、約13:1以下、約12:1以下、又は約11:1以下の圧縮比を有する可能性がある。上記で参照した圧縮比の組み合わせ(例えば、少なくとも約10:1及び約30:1以下又は少なくとも約13:1及び約20:1以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、CIエンジンは、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1、約20:1、約21:1、約22:1、約23:1、約24:1、約25:1、約26:1、約27:1、約28:1、約29:1、又は約30:1の圧縮比を有する可能性がある。
【0028】
[0030] 一部の実施形態では、BDCからTDCまでピストンを移動させることは、吸気バルブの開放と少なくとも部分的に同時に行われる可能性がある。一部の実施形態では、BDCからTDCまでピストンを移動させることは、吸気バルブの開放と実質的に同時に行われる可能性がある。一部の実施形態では、BDCからTDCまでピストンを移動させることは、吸気バルブの開放とほとんど又は全く重複して行われない可能性がある。一部の実施形態では、BDCからTDCまでピストンを移動させることは、吸気バルブの閉鎖と少なくとも部分的に同時に行われる可能性がある。一部の実施形態では、BDCからTDCまでピストンを移動させることは、吸気バルブの閉鎖と実質的に同時に行われる可能性がある。一部の実施形態では、BDCからTDCまでピストンを移動させることは、吸気バルブの閉鎖とほとんど又は全く重複して行われない可能性がある。
【0029】
[0031] 方法10は、ステップ15においてある量の燃料を燃焼室内に噴射することを含む。一部の実施形態では、ある量の燃料及びある量の空気は、化学量論比で燃焼室に導入される可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料及びある量の空気は、非化学量論比で燃焼室に導入される可能性がある。
【0030】
[0032] 一部の実施形態では、燃料は、少なくとも約-10、少なくとも約-5、少なくとも約0、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、又は少なくとも約35のセタン価を有する可能性がある。一部の実施形態では、燃料は、約40以下、約35以下、約30以下、約25以下、約20以下、約15以下、約10以下、約5以下、約0以下、約-5以下のセタン価を有する可能性がある。上記で参照した燃料のセタン価の組み合わせ(例えば、少なくとも約-10及び約40以下又は少なくとも約10及び約20以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、燃料は、約-10、約-5、約0、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、又は約40のセタン価を有する可能性がある。一部の実施形態では、燃料は、ナフサ、ガソリン、アルコール、ブタノール、プロパノール、エタノール、メタノール、ガス状炭化水素、天然ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、代替燃料、水素、アンモニア、合成ガス、及び/又はCOを含む可能性がある。一部の実施形態では、燃料は、セタン価の実質的な変化をもたらす少量の添加剤を有する可能性がある。一部の実施形態では、燃料は、重量で約5,000ppm未満、約4,000ppm未満、約3,000ppm未満、約2,000ppm未満、約1,000ppm未満、約900ppm未満、約800ppm未満、約700ppm未満、約600ppm未満、又は約500ppm未満の、セタン価の実質的な変化をもたらす添加剤を含む可能性がある。一部の実施形態では、燃料は、セタン価の実質的な変化をもたらす添加剤を実質的に含まない可能性がある。
【0031】
[0033] 一部の実施形態では、燃料は、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約105、少なくとも約110、少なくとも約115、少なくとも約120、少なくとも約125、少なくとも約130、少なくとも約135、少なくとも約140、又は少なくとも約145のオクタン価(すなわち(RON+MON)/2法によって計算される)を有する可能性がある。一部の実施形態では、燃料は、約150以下、約145以下、約140以下、約135以下、約130以下、約125以下、約120以下、約115以下、約110以下、約105以下、約100以下、約95以下、約90以下、約85以下、約80以下、約75以下、約70以下、約65以下、約60以下、又は約55以下のオクタン価を有する可能性がある。上記で参照したオクタン価の組み合わせ(例えば、少なくとも約50及び約150以下又は少なくとも約80及び約120以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、燃料は、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、又は約150のオクタン価を有する可能性がある。
【0032】
[0034] 一部の実施形態では、ある量の燃料は、少なくとも約800バール(絶対)、少なくとも約900バール、少なくとも約1,000バール、少なくとも約1,100バール、少なくとも約1,200バール、少なくとも約1,300バール、少なくとも約1,400バール、少なくとも約1,500バール、少なくとも約1,600バール、少なくとも約1,700バール、少なくとも約1,800バール、少なくとも約1,900バール、少なくとも約2,000バール、少なくとも約2,100バール、少なくとも約2,200バール、少なくとも約2,300バール、少なくとも約2,400バール、少なくとも約2,500バール、少なくとも約2,600バール、少なくとも約2,700バール、少なくとも約2,800バール、又は少なくとも約2,900バールの噴射圧力で燃料噴射器(例えば
図2を参照して以上で説明した燃料噴射器270)から噴射される可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料は、約3,000バール以下、約2,900バール以下、約2,800バール以下、約2,700バール以下、約2,600バール以下、約2,500バール以下、約2,400バール以下、約2,300バール以下、約2,200バール以下、約2,100バール以下、約2,000バール以下、約1,900バール以下、約1,800バール以下、約1,700バール以下、約1,600バール以下、約1,500バール以下、約1,400バール以下、約1,300バール以下、約1,200バール以下、約1,100バール以下、約1,000バール以下、約900バール以下の噴射圧力で燃料噴射器から噴射される可能性がある。上記で参照した噴射圧力の組み合わせ(例えば、少なくとも約800バール及び約3,000バール以下又は少なくとも約1,200バール及び約2,000バール以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、燃料は、約800バール、約900バール、約1,000バール、約1,100バール、約1,200バール、約1,300バール、約1,400バール、約1,500バール、約1,600バール、約1,700バール、約1,800バール、約1,900バール、約2,000バール、約2,100バール、約2,200バール、約2,300バール、約2,400バール、約2,500バール、約2,600バール、約2,700バール、約2,800バール、約2,900バール、又は約3,000バールの噴射圧力で燃料噴射器から噴射される可能性がある。
【0033】
[0035] 一部の実施形態では、ある量の燃料は、少なくとも約310度、少なくとも約315度、少なくとも約320度、少なくとも約325度、少なくとも約330度、少なくとも約335度、少なくとも約340度、少なくとも約345度、少なくとも約350度、少なくとも約355度、少なくとも約360度、少なくとも約365度、又は少なくとも約370度のエンジンクランク角度で噴射される可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料は、約375度以下、約370度以下、約365度以下、約360度以下、約355度以下、約350度以下、約345度以下、約340度以下、約335度以下、約330度以下、約325度以下、約320度以下、又は約315度以下のエンジンクランク角度で噴射される可能性がある。上記で参照したある量の燃料の噴射におけるエンジンクランク角度の組み合わせ(例えば、少なくとも約310度及び約375度以下又は少なくとも約330度及び約365度以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、ある量の燃料は、約310度、約315度、約320度、約325度、約330度、約335度、約340度、約345度、約350度、約355度、約360度、約365度、約370度、又は約375度のエンジンクランク角度で噴射される可能性がある。
【0034】
[0036] 一部の実施形態では、ある量の燃料の噴射は、ピストンをBDCからTDCまで移動させることと少なくとも部分的に同時に行われる可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料の噴射は、ピストンをBDCからTDCまで移動させることと実質的に同時に行われる可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料の噴射は、ピストンをBDCからTDCまで移動させることとほとんど又は全く重複して行われない可能性がある。
【0035】
[0037] 一部の実施形態では、ある量の燃料の噴射は、ある量の燃料の燃焼による燃焼室内の圧力上昇の速度を制御するために変更される可能性がある。圧力上昇速度は、エンジンの騒音や振動を最小限に抑えようとする際のエンジンの制約として扱われることが多い。一部の代替的な燃焼戦略(例えば予混合圧縮着火エンジン)は、特に高負荷時に圧力上昇速度を最小限に抑えるのに苦労する可能性がある。本明細書に記載の実施形態は、燃焼速度を制御することによって(すなわち、混合制限システムにおける混合及び噴射を制御することによって)圧力上昇速度を制御する方法に関する。換言すれば、圧力上昇速度は、騒音及び振動の低減を望む程度に低く、かつ従来のディーゼルエンジンと同様に制御される可能性がある。
【0036】
[0038] 一部の実施形態では、圧力上昇速度は、クランク角度あたり約15バール未満、クランク角度あたり約14バール未満、クランク角度あたり約13バール未満、クランク角度あたり約12バール未満、クランク角度あたり約11バール未満、クランク角度あたり約10バール未満、クランク角度あたり約9バール未満、クランク角度あたり約8バール未満、クランク角度あたり約7バール未満、クランク角度あたり約6バール未満、クランク角度あたり約5バール未満、クランク角度あたり約4バール未満、クランク角度あたり約3バール未満、クランク角度あたり約2バール未満、又はクランク角度あたり約1バール未満である可能性がある(これらの間の全ての値及び範囲を含む)。一部の実施形態では、圧力上昇速度を制御することは、ある量の燃料の噴射タイミングを変更することから独立して行われる可能性がある。一部の実施形態では、燃焼室の圧力上昇速度を制御することは、ある量の燃料の噴射タイミングを変更することによってのみ行われる可能性がある。一部の実施形態では、噴射タイミングは、所望の時間に開口する燃料噴射器をトリガしてタイミングを早めたり遅らせたりする電気的又は油圧手段を使用してエンジン制御ユニットによって変更される可能性がある。一部の実施形態では、噴射タイミングは、エンジン速度などの動作条件を変更することに応答して、カム又は他のデバイスとの機械的結合に基づいて機械的に変更される可能性がある。
【0037】
[0039] 方法10は、ステップ16においてある量の燃料を燃焼させることを含む。一部の実施形態では、ステップ16は、ある量の燃料の実質的に全てを燃焼させることを含む可能性がある。一部の実施形態では、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、少なくとも約500K、少なくとも約550K、少なくとも約600K、少なくとも約650K、少なくとも約700K、少なくとも約750K、少なくとも約800K、少なくとも約850K、少なくとも約900K、少なくとも約950K、少なくとも約1,000K、少なくとも約1,050K、少なくとも約1,100K、少なくとも約1,150K、少なくとも約1,200K、少なくとも約1,250K、少なくとも約1,300K、少なくとも約1,350K、少なくとも約1,400K、又は少なくとも約1500Kである可能性がある。一部の実施形態では、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、約1500K以下、約1,450K以下、約1,400K以下、約1,350K以下、約1,300K以下、約1,250K以下、約1,200K以下、約1,150K以下、約1,100K以下、約1,050K以下、約1,000K以下、約950K以下、約900K以下、約850K以下、約800K以下、約750K以下、約700K以下、約650K以下、約600K以下、又は約550K以下である可能性がある。上記で参照した着火直前の燃焼室内の容量平均温度の組み合わせ(例えば、少なくとも約500K及び約1,500K以下又は少なくとも約700K及び約1,100K以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、約500K、約550K、約600K、約650K、約700K、約750K、約800K、約850K、約900K、約950K、約1,000K、約1,050K、約1,100K、約1,150K、約1,200K、約1,250K、約1,300K、約1,350K、約1,400K、又は約1500Kである可能性がある。
【0038】
[0040] 一部の実施形態では、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、燃料のセタン価の関数である可能性がある。一部の実施形態では、燃料が約30~約40のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、少なくとも約700K、少なくとも約750K、少なくとも約800K、少なくとも約850K、少なくとも約900K、少なくとも約950K、少なくとも約1,000K、少なくとも約1,050K、少なくとも約1,100K、少なくとも約1,150K、少なくとも約1,200K、又は少なくとも約1,250Kである可能性がある。一部の実施形態では、燃料が約30~約40のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、約1,300K以下、約1,250K以下、約1,200K以下、約1,150K以下、約1,100K以下、約1,050K以下、約1,000K以下、約950K以下、約900K以下、約850K以下、約800K以下、又は約750K以下である可能性がある。上記で参照した着火直前の燃焼室内の容量平均温度の組み合わせ(例えば、少なくとも約700K及び約1,300K以下又は少なくとも約800K及び約1,000K以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、燃料が約30~約40のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、約700K、約750K、約800K、約850K、約900K、約950K、約1,000K、約1,050K、約1,100K、約1,150K、約1,200K、約1,250K、又は約1,300Kである可能性がある。
【0039】
[0041] 一部の実施形態では、燃料が約20~約30のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、少なくとも約800K、少なくとも約850K、少なくとも約900K、少なくとも約950K、少なくとも約1,000K、少なくとも約1,050K、少なくとも約1,100K、少なくとも約1,150K、少なくとも約1,200K、少なくとも約1,250K、少なくとも約1,300K、又は少なくとも約1,350Kである可能性がある。一部の実施形態では、燃料が約20~約30のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、約1,400K以下、約1,350K以下、約1,300K以下、約1,250K以下、約1,200K以下、約1,150K以下、約1,100K以下、約1,050K以下、約1,000K以下、約950K以下、約900K以下、又は約850K以下である可能性がある。上記で参照した着火直前の燃焼室内の容量平均温度の組み合わせ(例えば、少なくとも約800K及び約1,400K以下又は少なくとも約900K及び約1,100K以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、燃料が約20~約30のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、約800K、約850K、約900K、約950K、約1,000K、約1,050K、約1,100K、約1,150K、約1,200K、約1,250K、約1,300K、約1,350K、又は約1,400Kである可能性がある。
【0040】
[0042] 一部の実施形態では、燃料が約10~約20のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、少なくとも約850K、少なくとも約900K、少なくとも約950K、少なくとも約1,000K、少なくとも約1,050K、少なくとも約1,100K、少なくとも約1,150K、少なくとも約1,200K、少なくとも約1,250K、少なくとも約1,300K、少なくとも約1,350K、又は少なくとも約1,400Kである可能性がある。一部の実施形態では、燃料が約10~約20のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、約1,450K以下、約1,400K以下、約1,350K以下、約1,300K以下、約1,250K以下、約1,200K以下、約1,150K以下、約1,100K以下、約1,050K以下、約1,000K以下、約950K以下、又は約900K以下である可能性がある。上記で参照した着火直前の燃焼室内の容量平均温度の組み合わせ(例えば、少なくとも約850K及び約1,450K以下又は少なくとも約950K及び約1,150K以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、燃料が約10~約20のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、約850K、約900K、約950K、約1,000K、約1,050K、約1,100K、約1,150K、約1,200K、約1,250K、約1,300K、約1,350K、約1,400K、又は約1,450Kである可能性がある。
【0041】
[0043] 一部の実施形態では、燃料が約0~約10のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、少なくとも約950K、少なくとも約1,000K、少なくとも約1,050K、少なくとも約1,100K、少なくとも約1,150K、少なくとも約1,200K、少なくとも約1,250K、少なくとも約1,300K、少なくとも約1,350K、少なくとも約1,400K、少なくとも約1,450K、又は少なくとも約1,500Kである可能性がある。一部の実施形態では、燃料が約0~約10のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、約1,550K以下、約1,500K以下、約1,450K以下、約1,400K以下、約1,350K以下、約1,300K以下、約1,250K以下、約1,200K以下、約1,150K以下、約1,100K以下、約1,050K以下、又は約1,000K以下である可能性がある。上記で参照した着火直前の燃焼室内の容量平均温度の組み合わせ(例えば、少なくとも約950K及び約1,550K以下又は少なくとも約1,050K及び約1,250K以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、燃料が約0~約10のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、約950K、約1,000K、約1,050K、約1,100K、約1,150K、約1,200K、約1,250K、約1,300K、約1,350K、約1,400K、約1,450K、約1,500K、又は約1,550Kである可能性がある。
【0042】
[0044] 一部の実施形態では、燃料が約0未満のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、少なくとも約1,050K、少なくとも約1,100K、少なくとも約1,150K、少なくとも約1,200K、少なくとも約1,250K、少なくとも約1,300K、少なくとも約1,350K、少なくとも約1,400K、少なくとも約1,450K、少なくとも約1,500K、少なくとも約1,550K、又は少なくとも約1,600Kである可能性がある。一部の実施形態では、燃料が約0未満のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、約1,650K以下、約1,600K以下、約1,550K以下、約1,400K以下、約1,450K以下、約1,400K以下、約1,350K以下、約1,300K以下、約1,250K以下、約1,200K以下、約1,150K以下、又は約1,100K以下である可能性がある。上記で参照した着火直前の燃焼室内の容量平均温度の組み合わせ(例えば、少なくとも約1,050K及び約1,650K以下又は少なくとも約1,150K及び約1,350K以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、燃料が約0未満のセタン価を有する場合、着火直前の燃焼室内の容量平均温度は、約1,050K、約1,100K、約1,150K、約1,200K、約1,250K、約1,300K、約1,350K、約1,400K、約1,450K、約1,500K、約1,550K、約1,600K、又は約1,650Kである可能性がある。
【0043】
[0045] 一部の実施形態では、ある量の燃料の50%未満が、燃焼の開始時にある量の空気と予混合される可能性がある。換言すれば、ある量の燃料の着火は混合制御されている、すなわちMCCIである可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約45%が、燃焼の開始時にある量の空気と予混合される可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料の約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、又は約10%以下が、燃焼の開始時にある量の空気と予混合される可能性がある。上記で参照したある量の空気と予混合されるある量の燃料の百分率の組み合わせ(例えば、少なくとも約5%及び約50%以下又は少なくとも約10%及び約40%以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、ある量の燃料の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、又は約50%が、燃焼の開始時にある量の空気と予混合される可能性がある。一部の実施形態では、燃焼室内の各点における局所当量比は、少なくとも約1.5、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、又は少なくとも約10である可能性がある(これらの間の全ての値及び範囲を含む)。
【0044】
[0046] 一部の実施形態では、ある量の燃料の燃焼から生成されるエネルギーの少なくとも約25%が、ある量の燃料が燃焼室内に噴射されている間に生成される可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料の燃焼から生成されるエネルギーの少なくとも約30%が、ある量の燃料が燃焼室内に噴射されている間に生成される可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料の燃焼から生成されるエネルギーの少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、又は少なくとも約90%が、ある量の燃料が燃焼室内に噴射されている間に生成される可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料の燃焼から生成されるエネルギーの約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、又は約30%以下が、ある量の燃料が燃焼室内に噴射されている間に生成される可能性がある。上記で参照したある量の燃料の燃焼から生成されるエネルギーの百分率の組み合わせ(例えば、少なくとも約40%及び約95%以下又は少なくとも約60%及び約80%以下)が、これらの間の全ての値及び範囲を含め、ある量の燃料が燃焼室内に噴射されている間に生成される可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料の燃焼から生成されるエネルギーの約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又は約95%が、ある量の燃料が燃焼室内に噴射されている間に生成される可能性がある。
【0045】
[0047] 一部の実施形態では、ある量の空気は、燃焼室に最初に吸い込まれるとき、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、少なくとも約100℃、少なくとも約150℃、少なくとも約200℃、少なくとも約250℃、少なくとも約300℃、少なくとも約350℃、少なくとも約400℃、少なくとも約450℃、少なくとも約500℃、少なくとも約550℃、少なくとも約600℃、少なくとも約650℃、少なくとも約700℃、又は少なくとも約750℃の温度を有する可能性がある。一部の実施形態では、ある量の空気は、燃焼室に最初に吸い込まれるとき、約800℃以下、約750℃以下、約700℃以下、約650℃以下、約600℃以下、約550℃以下、約500℃以下、約450℃以下、約400℃以下、約350℃以下、約300℃以下、約250℃以下、約200℃以下、約150℃以下、約100℃以下、又は約90℃以下の温度を有する可能性がある。上記で参照した燃焼室に最初に吸い込まれるときのある量の空気の温度の組み合わせ(例えば、少なくとも約80℃及び約800℃以下又は少なくとも約200℃及び約600℃以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、ある量の空気は、燃焼室に最初に吸い込まれるとき、約80℃、約90℃、約100℃、約150℃、約200℃、約250℃、約300℃、約350℃、約400℃、約450℃、約500℃、約550℃、約600℃、約650℃、約700℃、約750℃、又は約800℃の温度を有する可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料は噴射が継続すると混合制限プルームを生成する可能性がある。一部の実施形態では、ある量の燃料及びある量の空気は、化学反応で混合制限プルームに化合する可能性がある。
【0046】
[0048] 一部の実施形態では、ある量の燃料の燃焼室内への最初の噴射と燃焼の開始との間の遅延が、約5ms未満、約4.9ms未満、約4.8ms未満、約4.7ms未満、約4.6ms未満、約4.5ms未満、約4.4ms未満、約4.3ms未満、約4.2ms未満、約4.1ms未満、約4ms未満、約3.9ms未満、約3.8ms未満、約3.7ms未満、約3.6ms未満、約3.5ms未満、約3.4ms未満、約3.3ms未満、約3.2ms未満、約3.1ms未満、約3ms未満、約2.9ms未満、約2.8ms未満、約2.7ms未満、約2.6ms未満、約2.5ms未満、約2.4ms未満、約2.3ms未満、約2.2ms未満、約2.1ms未満、約2ms未満、約1.9ms未満、約1.8ms未満、約1.7ms未満、約1.6ms未満、約1.5ms未満、約1.4ms未満、約1.3ms未満、約1.2ms未満、約1.1ms未満、約1ms未満、約0.9ms未満、約0.8ms未満、約0.7ms未満、約0.6ms未満、又は約0.5ms未満である可能性がある(これらの間の全ての値及び範囲を含む)。
【0047】
[0049] 一部の実施形態では、方法10は、燃焼燃料、未燃焼燃料、過剰空気、及び/又は他のガス又は液体を排出するために排気バルブを開閉することを含む可能性がある。一部の実施形態では、排気バルブは、少なくとも約460°、少なくとも約465°、少なくとも約470°、少なくとも約475°、少なくとも約480°、少なくとも約485°、少なくとも約490°、少なくとも約495°、少なくとも約500°、又は少なくとも約505°のエンジンクランク角度で開放される可能性がある。一部の実施形態では、排気バルブは、約510°以下、約505°以下、約500°以下、約495°以下、約490°以下、約485°以下、約480°以下、約475°以下、約470°以下、又は約465°以下のエンジンクランク角度で開放される可能性がある。上記で参照した排気バルブの開放のためのエンジンクランク角度の組み合わせ(例えば、少なくとも約460°及び約510°以下又は少なくとも約470°及び約490°以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、排気バルブは、約460°、約465°、約470°、約475°、約480°、約485°、約490°、約495°、約500°、約505°、又は約510°のエンジンクランク角度で開放される可能性がある。
【0048】
[0050] 一部の実施形態では、排気バルブの閉鎖は、熱管理を支援するために燃焼室において排気ガスを捕集するようにタイミングが計られる可能性がある。一部の実施形態では、排気バルブの閉鎖は、熱管理を支援するために排気ガスを燃焼室に再導入するようにタイミングが計られる可能性がある。一部の実施形態では、排気バルブは、少なくとも約-20°、少なくとも約-15°、少なくとも約-10°、少なくとも約-5°、少なくとも約0°、少なくとも約5°、又は少なくとも約10°のエンジンクランク角度で閉鎖される可能性がある。一部の実施形態では、排気バルブは、約15°以下、約10°以下、約5°以下、約0°以下、約-5°以下、約-10°以下、又は約-15°以下のエンジンクランク角度で閉鎖される可能性がある。上記で参照した排気バルブの閉鎖のためのエンジンクランク角度の組み合わせ(例えば、少なくとも約-20°及び/又は約15°以下又は少なくとも約-10°及び約5°以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、排気バルブは、約-20°、約-15°、約-10°、約-5°、約0°、約5°、約10°、又は約15°のエンジンクランク角度で閉鎖される可能性がある。
【0049】
[0051] 一部の実施形態では、方法10は、ステップ17において追加燃料を噴射し燃焼させることを含む可能性がある。一部の実施形態では、第1の燃料がステップ15において噴射される可能性があり、第1の燃料と異なるセタン価、発熱量、及び/又は化学組成を有する第2の燃料がステップ17において噴射される可能性がある。一部の実施形態では、第2の燃料は、第1の燃料と異なるエンジンサイクルにおいて噴射される可能性がある。一部の実施形態では、第2の燃料は、第1の燃料を参照して以上で説明したものと同一の又は実質的に類似したステップに従う可能性がある。換言すれば、方法10は、ある量の空気を燃焼室に吸い込むために吸気バルブを開放すること、任意選択で温度制御戦略を適用すること、吸気バルブを閉鎖すること、ピストンをBDCからTDCまで移動させること、ある量の第2の燃料を燃焼室内に噴射すること、及びある量の第2の燃料の実質的に全てを燃焼させることを含む可能性がある。一部の実施形態では、第2の燃料は、第1の燃料を参照して以上で説明したものと同一の又は実質的に類似したパラメータ(例えば、燃料噴射時のエンジンクランク角度、噴射時の燃料圧力、着火遅延など)に従う可能性がある。
【0050】
[0052] 一部の実施形態では、第2の燃料は、第1の燃料と異なるセタン価を有する可能性がある。一部の実施形態では、第2の燃料は、第1の燃料よりも高いセタン価を有する可能性がある。一部の実施形態では、第2の燃料は、第1の燃料よりも低いセタン価を有する可能性がある。一部の実施形態では、第2の燃料は、少なくとも約-5、少なくとも約0、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、又は少なくとも約65のセタン価を有する可能性がある。一部の実施形態では、第2の燃料は、約70以下、約65以下、約60以下、約55以下、約50以下、約45以下、約40以下、約35以下、約30以下、約25以下、約20以下、約15以下、約10以下、約5以下、又は約0以下のセタン価を有する可能性がある。上記で参照した第2の燃料のセタン価の組み合わせ(例えば、少なくとも約-5及び約70以下又は少なくとも約20及び約50以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、第2の燃料は、約-5、約0、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、又は約70のセタン価を有する可能性がある。
【0051】
[0053] 一部の実施形態では、第2の燃料は、第1の燃料と異なるオクタン価を有する可能性がある。一部の実施形態では、第2の燃料は、第1の燃料よりも低いオクタン価を有する可能性がある。一部の実施形態では、第2の燃料は、第1の燃料よりも高いセタン価を有する可能性がある。一部の実施形態では、第2の燃料は、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約105、少なくとも約110、少なくとも約115、少なくとも約120、少なくとも約125、少なくとも約130、又は少なくとも約135のオクタン価を有する可能性がある。一部の実施形態では、燃料は、約140以下、約135以下、約130以下、約125以下、約120以下、約115以下、約110以下、約105以下、約100以下、約95以下、約90以下、約85以下、約80以下、約75以下、約70以下、約65以下、約60以下、約55以下、約50以下、又は約45以下のオクタン価を有する可能性がある。上記で参照したオクタン価の組み合わせ(例えば、少なくとも約40及び約140以下又は少なくとも約70及び約110以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、燃料は、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、又は約140のオクタン価を有する可能性がある。
【0052】
[0054] 一部の実施形態では、センサが、噴射される燃料に基づいてエンジン内の状態を調整する可能性がある。一部の実施形態では、センサは、
図2を参照して以上で説明したセンサ272と同一の又は実質的に類似した特性を有する可能性がある。一部の実施形態では、燃焼の状態は、噴射される燃料の種類に基づいて調整される可能性がある。一部の実施形態では、温度制御機構のパラメータは、噴射される燃料の種類に基づいて修正される可能性がある。例えば、第2の燃料が第1の燃料よりも高いセタン価を有する場合、噴射前にある量の空気に加えられる熱の強度は、燃焼室内の温度が第2の燃料の適時の着火(例えば約2ms未満)を促進するほど高い必要はないため低減される可能性がある。一部の実施形態では、燃料噴射におけるクランク角度は、噴射される燃料の種類に基づいて修正される可能性がある。一部の実施形態では、燃焼室に吸い込まれるある量の空気の組成は、噴射される燃料の種類に基づいて変化する可能性がある。例えば、適時に着火するために、より高いセタン価を有する燃料が、低セタン燃料と同じくらい酸素富化レベルが高いある量の空気と混合されなければならないことはない。一部の実施形態では、燃焼室内の圧力は、噴射される燃料の種類に基づいて修正される可能性がある。
【0053】
[0055] 一部の実施形態では、第1の燃料は第1の期間に噴射される可能性があり、第2の燃料は第2の期間に噴射される可能性がある。一部の実施形態では、第1の期間は、実質的に第2の期間との重なりを有しない可能性がある。一部の実施形態では、第1の期間は第2の期間との部分的な重なりを有する可能性がある。換言すれば、第1の燃料は段階的に除去される可能性がある一方、第2の燃料は段階的に導入される。一部の実施形態では、第1の期間は第2の期間との実質的な重なりを有する可能性がある。一部の実施形態では、第1の期間と第2の期間との重複期間が、少なくとも約0.1秒、少なくとも約0.2秒、少なくとも約0.3秒、少なくとも約0.4秒、少なくとも約0.5秒、少なくとも約0.6秒、少なくとも約0.7秒、少なくとも約0.8秒、少なくとも約0.9秒、少なくとも約1秒、少なくとも約2秒、少なくとも約3秒、少なくとも約4秒、少なくとも約5秒、少なくとも約6秒、少なくとも約7秒、少なくとも約8秒、又は少なくとも約9秒である可能性がある。一部の実施形態では、第1の期間と第2の期間との重複期間は、約10秒以下、約9秒以下、約8秒以下、約7秒以下、約6秒以下、約5秒以下、約4秒以下、約3秒以下、約2秒以下、約1秒以下、約0.9秒以下、約0.8秒以下、約0.7秒以下、約0.6秒以下、約0.5秒以下、約0.4秒以下、約0.3秒以下、又は約0.2秒以下である可能性がある。上記で参照した第1の期間と第2の期間との重複期間の組み合わせ(例えば、少なくとも約0.1秒及び約10秒以下又は少なくとも約0.3秒及び約0.5秒以下)も、それらの間の全ての値及び範囲を含めて可能である。一部の実施形態では、第1の期間と第2の期間との重複期間は、約0.1秒、約0.2秒、約0.3秒、約0.4秒、約0.5秒、約0.6秒、約0.7秒、約0.8秒、約0.9秒、約1秒、約2秒、約3秒、約4秒、約5秒、約6秒、約7秒、約8秒、約9秒、又は約10秒である可能性がある。
【0054】
[0056] 一部の実施形態では、方法10は、第1の燃料及び第2の燃料と異なる第3の燃料を噴射し燃焼させることを更に含む可能性がある。一部の実施形態では、方法10は、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10の燃料、第11の燃料、第12の燃料、第13の燃料、第14の燃料、第15の燃料、第16の燃料、第17の燃料、第18の燃料、第19の燃料、第20の燃料、又は任意の数の追加燃料を噴射し燃焼させることを含む可能性がある。
【0055】
[0057] 一部の実施形態では、エンジンが本明細書に記載された戦略を並行して採用する可能性がある。これらの方法のそれぞれの独立した使用が可能である一方、それらの組み合わせも本開示の範囲内にある。
【0056】
[0058] 様々な概念が1つ以上の方法として具現化されることがあり、そのうちの少なくとも一例が提供されている。方法の一部として実施される行為は、任意の適当な方法で順序付けされることがある。したがって、実施形態は、例示されたものとは異なる順序で行為が実施されるように構築されることがあり、これは、いくつかの行為を、たとえ例示された実施形態においては連続した行為として示されていても、同時に実施することを含むことがある。異なる言い方をすれば、そのような特徴は必ずしも特定の実行順序に限定されない場合があり、むしろ任意の数のスレッド、プロセス、サービス、サーバ、及び/又は同様のものが、連続的に、非同期的に、同時的に、並行に、同時に、同期的に、及び/又は同様に本開示と整合したやり方で実行することがある。よって、これらの特徴のうちいくつかは、単一の実施形態に同時には存在し得ないという点で、互いに矛盾する場合がある。同様に、いくつかの特徴は、ある態様の革新には適用でき、他の態様には適用できない。
【0057】
[0059] また、本開示は、現在記載されていない他の革新を含むことがある。出願人は、そのような革新を具現化し、その追加出願、継続出願、部分継続出願、分割出願、及び/又は同様のものを提出する権利を含め、そのような革新に関する全ての権利を保有する。よって、本開示の利点、実施形態、例、機能的特徴、論理的、操作的、組織的、構造的、位相幾何学的及び/又は他の態様は、実施形態によって定義される本開示に対する限定又は実施形態の均等物に対する限定と考えられるべきではないことが理解されるべきである。個人及び/又は企業ユーザの特定の要望及び/又は特徴、データベース構成及び/又は関係モデル、データタイプ、データ伝送及び/又はネットワークフレームワーク、構文構造、及び/又は同様のものに応じて、本明細書に開示される技術の様々な実施形態は、本明細書に記載される多くの柔軟性及びカスタム化を可能にするように実装されることがある。
【0058】
[0060] 本明細書において定義及び使用される全ての定義は、辞書的定義、参照により組み込まれた文献における定義、及び/又は定義される用語の通常の意味を支配するものとして理解されるべきである。
【0059】
[0061] 本明細書において、特に実施形態において用いられるとき、「約」又は「およそ」という用語は、数値の前にあるとき、その値プラス又はマイナス10%の範囲を示す。ある範囲の値が提示される場合には、文脈がそうではないと明らかに規定しない限り、その範囲の上限と下限との間に介在する、下限の単位の10分の1に至るまでの各値、及びその定められた範囲にある任意の他の定められた値又は介在する値は、本開示に包含される。これらのより小さな範囲の上限及び下限がそのより小さな範囲に独立的に含まれ得ることも、本開示に包含され、定められた範囲において特に除外された任意の限度に従属する。定められた範囲が限度のうち一方又は両方を含む場合には、それらの含まれる限度のうちいずれか又は両方を除く範囲も本開示に含まれる。
【0060】
[0062] ここで本明細書及び実施形態で使用される「及び/又は」という句は、それによって結合された要素、すなわち場合によっては接続的に存在し、場合によっては非接続的に存在する要素の「いずれか又は両方」を意味するものとして理解されるべきである。「及び/又は」を用いて列挙された複数の要素も同様に、すなわちそれによって結合された要素のうちの「1つ以上」と理解されるべきである。「及び/又は」の節によって具体的に特定される要素以外に、それらの具体的に特定される要素と関連するか又は関連しないかを問わず、他の要素が任意選択的に存在する場合がある。したがって、非制限的な一例として、「備える(comprising)」などのオープンエンドの文言と関連して用いられる場合、「A及び/又はB」というときには、一実施形態ではAのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)を、別の実施形態ではBのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)を、更に別の実施形態ではA及びBの両方(任意選択的に他の要素を含む)を指す可能性がある。
【0061】
[0063] 本明細書及び実施形態で用いられるとき、「又は」は、上記で定義したように「及び/又は」と同じ意味を有するものとして理解されるべきである。例えば、列挙されている項目を分ける場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的なものとして、すなわち、いくつかの又は列挙された要素のうち少なくとも1つであるが1つより多くも、及び任意選択的には更に列挙されていない項目も含むものとして解釈されるべきである。「~のうち1つのみ」もしくは「~のうちただ1つのみ」、又は実施形態において用いられる場合、「~からなる(consisting of)」など、そうではないと明示されている用語のみが、いくつかの又は列挙された要素のうちただ1つの要素を含むことを指すことになる。概して、本明細書において用いられる「又は」という用語は、前に「いずれか」、「~のうち1つ」、「~のうち1つのみ」、又は「~のうちただ1つ」のような排他性の用語がある場合、排他的な代替案(すなわち「一方又は他方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるべきである。実施形態において用いられる場合、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、特許法の分野において用いられる通常の意味を有するものとする。
【0062】
[0064] 本明細書及び実施形態で用いられるとき、1つ以上の要素の列挙を参照する「少なくとも1つ」という句は、その要素の列挙の中の要素のうち任意の1つ以上から選択された少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしもその要素の列挙の中に具体的に列挙された1つ1つの要素のうち少なくとも1つを含むわけではなく、その要素の列挙の中の要素の任意の組み合わせを排除しないものとして理解されるべきである。この定義は、具体的に特定される要素と関連するか又は関連しないかを問わず、「少なくとも1つ」という句が指す要素の列挙において具体的に特定される要素以外に要素が任意選択的に存在し得ることを可能にする。したがって、非制限的な一例として、「A及びBのうち少なくとも1つ」(又は同様に「A又はBのうち少なくとも1つ」、又は同様に「A及び/又はBのうち少なくとも1つ」)は、一実施形態においては、Bは存在せず(及び任意選択的にはB以外の要素を含む)、少なくとも1つの、任意選択的には1つよりも多くのAを、別の実施形態においては、Aは存在せず(及び任意選択的にはA以外の要素を含む)、少なくとも1つの、任意選択的には1つよりも多くのBを、更に別の実施形態においては、少なくとも1つの、任意選択的には1つよりも多くのAと、少なくとも1つの、任意選択的には1つよりも多くのBと(及び任意選択的には他の要素を含む)を指す可能性がある、という具合である。
【0063】
[0065] 本明細書で用いられるとき、「燃料」は、燃料のセタン価に関係なく、吸気混合物との発熱化学反応を引き起こすことが可能なあらゆる材料を指す可能性がある。これは、ナフサ、ガソリン、アルコール燃料(ブタノール、プロパノール、エタノール、及びメタノールを含む)、ガス状炭化水素(天然ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサンなどを含む)、及び水素、アンモニア、合成ガス、COなどの代替燃料の燃料及び混合物を含む可能性がある。
【0064】
[0066] 本明細書で用いられるとき、「プルーム」は、噴射点から広がる燃料の塊であって、燃料噴射イベントにおいて空間的に及び/又は時間的に前進するときに、ある量の空気を巻き込んだり、これと混ざり合ったりし得る燃料の塊を指す可能性がある。
【0065】
[0067] 本明細書で用いられるとき、「クランク角度」又は「エンジンクランク角度」の数値的な定義は、(表1に記載される)排気行程と吸気行程の間のTDC位置に対するクランク角度として理解されるべきである。換言すれば、エンジンクランク角度は、ピストンが排気行程と吸気行程の間のTDC位置にあるときには0°(又は720°)である。エンジンクランク角度は、ピストンが圧縮行程と膨張行程の間のTDC位置にあるときには360°である。エンジンクランク角度は、ピストンが膨張行程と排気行程の間のBDC位置にあるときには540°である。エンジンクランク角度は、ピストンが吸気行程と圧縮行程の間のBDC位置にあるときには180°である。排気行程と吸気行程の間のTDC位置に対するクランク角度を示すのに負の数が使用される可能性もある。換言すれば、540°は-180°と記載される可能性もあり、360°は-360°と記載される可能性もあり、180°は-540°と記載される可能性もある。
【0066】
【0067】
[0068] 一部の実施形態では、「着火直前(immediately prior to ignition又はjust prior to ignition)」という用語は、エンジンクランク角度が、約300°、約305°、約310°、約315°、約320°、約325°、約330°、約335°、約340°、約345°、約350°、約355°、約360°、約365°、約370°、約375°、又は約380°である(これらの間の全ての値及び範囲を含む)時点を指す可能性がある。
【0068】
[0069] 一部の実施形態では、「着火直前(immediately prior to ignition又はjust prior to ignition)」という用語は、燃料発熱性の5%が起こったことが観察される時刻よりも前の時点を指す可能性がある。換言すれば、圧力の測定可能な変化が検出されて発熱性燃料酸化が発生していることを示し得るとき、燃料は着火したものと考えられる可能性がある。
【0069】
[0070] 一部の実施形態では、「着火直前(immediately prior to ignition又はjust prior to ignition)」という用語は、約1クランク角度、約2クランク角度、約3クランク角度、約4クランク角度、約5クランク角度、約6クランク角度、約7クランク角度、約8クランク角度、約9クランク角度、約10クランク角度、約11クランク角度、約12クランク角度、約13クランク角度、約14クランク角度、約15クランク角度、約16クランク角度、約17クランク角度、約18クランク角度、約19クランク角度、又は約20クランク角度(これらの間の全ての値及び範囲を含む)着火前の時点を指す可能性がある。
【0070】
[0071] 一部の実施形態では、「燃料噴射直前(immediately prior to fuel injection又はjust prior to fuel injection)」という用語は、約1クランク角度、約2クランク角度、約3クランク角度、約4クランク角度、約5クランク角度、約6クランク角度、約7クランク角度、約8クランク角度、約9クランク角度、約10クランク角度、約11クランク角度、約12クランク角度、約13クランク角度、約14クランク角度、約15クランク角度、約16クランク角度、約17クランク角度、約18クランク角度、約19クランク角度、又は約20クランク角度(これらの間の全ての値及び範囲を含む)燃料噴射前の時点を指す可能性がある。
【0071】
[0072] 一部の実施形態では、「バルブ閉鎖」(例えば「吸気バルブ閉鎖」又は「排気バルブ閉鎖」)という用語は、バルブが完全に着座した(すなわち、0mmのバルブ上昇)時点を指す可能性がある。一部の実施形態では、「バルブ開放」(例えば「吸気バルブ開放」又は「排気バルブ開放」)という用語は、バルブが離座した(すなわち、0mm超の上昇)時点を指す可能性がある。
【0072】
[0073] 実施形態において、及び上述の明細書において、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「~で構成される(composed of)」などの全ての移行句は、オープンエンドのもの、すなわち含むが限定されないことを意味するものとして理解されるべきである。合衆国特許審査便覧セクション2111.03に記載されているように、「~からなる(consisting of)」及び「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれクローズ又はセミクローズの移行句とされる。
【0073】
[0074] 本開示の具体的な実施形態を上記で概説してきたが、当業者には多くの代替案、修正、及びバリエーションが明らかであろう。したがって、本明細書に記載される実施形態は、例示を意図するものであって、限定を意図するものではない。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされることがある。上述した方法及びステップが特定の順序で発生する特定の事象を示す場合、本開示の恩恵を受ける当業者は、特定のステップの順序付けが修正されることがあり、そのような修正は本発明のバリエーションに従ったものであることを認識するであろう。また、ステップのうち特定のものは、可能な場合には並列プロセスにおいて同時的に実施されることがあり、上述したように連続して実施されることもある。実施形態を具体的に示すと共に記載してきたが、形態及び詳細の様々な変更がなされ得ることは理解されよう。
【国際調査報告】