(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】構造パネルおよび金属支持体を含む複合構造体
(51)【国際特許分類】
E04C 2/28 20060101AFI20230412BHJP
E04C 2/32 20060101ALI20230412BHJP
E04B 5/02 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
E04C2/28
E04C2/32 Q
E04B5/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547946
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 US2021019665
(87)【国際公開番号】W WO2021178213
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポスピシル、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ストレート、エレーナ
(72)【発明者】
【氏名】ウレット、ジェイムズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ナテサイエール、クマール
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162CA01
2E162CB02
(57)【要約】
少なくとも1つの構造パネルおよび少なくとも1つの金属波形パネルを含む、建物のための複合構造体であって、少なくとも1つの構造パネルが、当該少なくとも1つの金属波形パネルに固定されている、複合構造体。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物のための複合構造体であって、前記複合構造体が、
少なくとも1つの構造パネルと、
少なくとも1つの金属波形パネルと、を含み、前記少なくとも1つの構造パネルが、前記少なくとも1つの金属波形パネルに固定されている、複合構造体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの構造パネルがセメント系パネルである、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの構造パネルがスチールパネルである、請求項2に記載の複合構造体。
【請求項4】
前記少なくとも1つの金属波形パネルが、複数の突出部材と、前記突出部材間に形成された複数の溝とを含み、前記少なくとも1つの構造パネルが、前記突出部材のうちの少なくとも1つに固定されている、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項5】
前記突出部材のそれぞれの幅が、前記溝のそれぞれの幅よりも大きい、請求項4に記載の複合構造体。
【請求項6】
前記溝のそれぞれの幅が、前記突出部材のそれぞれの幅よりも大きい、請求項4に記載の複合構造体。
【請求項7】
前記突出部材のそれぞれが、角度付けされた対向する側壁と、前記側壁間に延在する上壁とを有する、請求項4に記載の複合構造体。
【請求項8】
前記突出部材および前記溝のそれぞれが、湾曲した形状を有する、請求項4に記載の複合構造体。
【請求項9】
前記少なくとも1つの構造パネルの表面に固定された遮断材料をさらに含む、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項10】
前記遮断材料に固定されたガラスマット屋根ボードまたは耐水性メンブレンのうちの1つをさらに含む、請求項9に記載の複合構造体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本非仮出願は、2020年3月6日に出願された米国仮出願第62/986,398号の優先権および利益を主張するものであり、その内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、建物を構築するために使用される構造材料、より具体的には、住宅および商業用建物の床および屋根を構築するための複合構造体に関する。
【0003】
多くの住宅および商業用建物は、不燃性の建物の床および屋根を構築するのにセメント系構造パネルを使用しており、セメント系パネルは、Iビームもしくはトラスなどのスチール支持体、またはスチールフレームに支持および固定されている。これらの建物の床および屋根の構築には、波形スチールデッキも使用される。スチールデッキは、典型的には、構造支持体とともに形成されたスチールフレームに固定されて、住宅または商業用建物の屋根を形成する。また、スチールデッキは、打ち込まれたコンクリートと組み合わされて、建物の床を形成することもあり、ここで、床のデッキは、スチール支持体またはスチールフレームに固定されていても、または固定されていなくてもよい。
【0004】
セメント系パネルを有する不燃性の建物の従来の床構築の場合、セメント系パネルは、支持体または支持体フレームに留められており、ここで、支持体は、典型的には、中心において24インチ、すなわち、隣接する支持体の中心間で24インチの間隔が空けられている。セメント系パネルで作製された屋根構造体の場合、支持体は、中央において最大48インチの間隔が空けられている。支持体の間隔は、セメント系パネルの構造強度に基づく。
【0005】
ハイゲージスチールデッキは、主に建物の屋根を構築するために使用される。屋根のスチールデッキについての1つの問題は、スチールデッキが環境要素への曝露を理由に、腐食しやすく、雹による損傷を受けやすいことである。スチールデッキは安価であるものの、長寿命性が低いという問題があり、典型的には、頻繁に修理する必要がある。
【0006】
スチールデッキはまた、打ち込まれたコンクリートと組み合わせて、高層建物の床にも使用されている。スチールデッキおよびコンクリートを用いて床を構築することにはいくつかの重大な問題がある。例えば、スチールデッキおよびコンクリートの床は、コンクリートの凝結時間が比較的長いため、調整が難しい。また、凝結時間が比較的長いと、これらの床の設置に時間および費用がかかる。追加的に、スチールデッキおよびコンクリートで作製された床は、非常に重く、これらの床の死荷重を支えるためだけに追加のスチール支持体が必要となる。追加のスチール支持体は、これらの床に関連する材料費および人件費を増加させる。
【0007】
先の要因に基づいて、セメント系パネルまたはスチールデッキで作製された床は、低層木造建物の他の床システムまたは高層建物の純粋な打ち込まれたコンクリート床に比べて高価であるため、非効率的である。追加的に、スチールデッキで構築された屋根は長持ちせず、典型的には、経時的に、費用のかかる修理および交換を必要とする。
【0008】
したがって、従来の建築構造体よりも少ない人件費および材料費を必要とする一方で建築材料を支持するのに十分な強度を有する、建物を構築するための複合構造体が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
先に列挙されている必要性は、金属支持体に固定された構造パネルで作製された本複合構造体であって、複合構造体が、従来の建築材料よりも大きい構造強度を有する、複合構造体によって満たされるか、または超えられる。
【0010】
一実施形態では、建物のための複合構造体が、提供され、少なくとも1つの構造パネルと少なくとも1つの金属波形パネルとを含み、少なくとも1つの構造パネルは、当該少なくとも1つの金属波形パネルに固定されている。
【0011】
別の実施形態では、建物のための床構造体が、提供され、複数の支持体の中心間の距離が中心において24インチよりも大きいように間隔が空けられている複数の支持体と、複数の支持体に固定された少なくとも1つの複合構造体とを含み、複合構造体は、波形スチールシートに取り付けられた少なくとも1つの構造パネルを含む。
【0012】
さらなる実施形態では、建物のための屋根構造体が、提供され、複数の支持体の中心間の距離が48インチよりも大きいように間隔が空けられている複数の支持体を含み、少なくとも1つの複合構造体は、複数の支持体に固定されており、複合構造体は、波形スチールシートに取り付けられた少なくとも1つの構造パネルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】セメント系パネルが金属支持体に取り付けられた
図1の複合構造体の斜視図である。
【
図5】本複合構造体で使用されている金属支持体の断面の概略図である。
【
図6】床の支持体フレームに取り付けられた
図1の複合構造体の斜視図である。
【
図7】屋根の支持体フレームに取り付けられた
図1の複合構造体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで
図1を参照すると、本複合構造体20は、住宅または商業用建物の床または天井を形成するための材料の組み合わせを含む。複合構造体を使用して、建物の1つ以上の壁を構築することもできる。一実施形態では、複合構造体20は、建築パネル、より具体的には、ねじまたはボルトなどの留め具25によって金属支持体24に固定されたセメント系パネル22を含む。セメント系パネル22は、米国特許第6,986,812号、同第7,445,738号、同第7,670,520号、同第7,789,645号、および同第8,030,377号に記載されているような構造セメント系パネルであり、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。パネル22は、ポルトランドベースのセメント系パネル、酸化マグネシウムベースのセメント系パネル、または任意の好適なセメント系パネル、または任意の好適な材料もしくは材料の組み合わせで作製されたパネルであり得ると理解されたい。一実施形態では、セメント系パネル22は、耐アルカリ性ガラスファイバー繊維を含むセメント石膏バインダーで作製されている。
図1および2に示されるように、セメント系パネル22のうちの1つ以上が金属支持体24に取り付けられて、複合構造体20を形成する。セメント系パネル22は、好ましくは、8フィートの長さ、4フィートの幅、および1/2インチ(0.5インチ)の厚さを有する。セメント系パネル22は、任意の好適な長さおよび幅を有し得ると理解されたい。さらに、セメント系パネルは、1/4インチ(0.25インチ)、3/8インチ(0.375インチ)、1/2インチ(0.5インチ)、5/8インチ(0.625インチ)、3/4インチ(0.75インチ)、1.0インチの厚さ、または任意の好適な厚さを有し得る。
【0015】
金属支持体24は、好ましくは、
図6に示されるスチールジョイスト26などの2つ以上の構造支持体上に延在するスチールパネルである。別の実施形態では、金属支持体は、2つ以上のスチールトラス(図示せず)上に延在している。図示されている実施形態では、スチールパネル24は、4フィートの幅および8フィートの長さを有する。スチールパネルは、任意の好適なサイズおよび形状であり得、任意の好適な寸法を有し得ると理解されたい。図示されている実施形態では、スチールパネルは、複数の突出部材28と、突出部材間に形成された複数の溝30とを有する波形スチールシートである。
図1、3、および5に示されるように、突出部材28のそれぞれは、対向する角度付けされた側壁32と、側壁間に延在する比較的平坦な上壁34とを有する。突出部材28の側壁32は、スチールパネルの底面36に対して任意の好適な指定された角度で傾斜付けまたは角度付けされ得ると理解されたい。また、突出部材28の側壁32は互いに平行であると理解されたい。一実施形態では、
図1に示されるスチールパネル24の突出部材28の側壁32は、スチールパネルの底面36に対して90度よりも大きい角度を形成する。別の実施形態では、突出部材28の側壁32は、互いに平行であり、すなわち、底面に対して90度の角度を形成する真っ直ぐな側壁である。さらなる実施形態では、突出部材28および溝30は、
図5に示されるように、湾曲したまたは丸みを帯びた形状を有する。突出部材28の側壁32は、任意の好適なサイズまたは形状であり得、スチールパネルの底面36に対して任意の好適な角度を形成し得ると企図される。
【0016】
さらに、
図1、2、3、および5に示されるように、突出部材28のそれぞれの幅(WP)は、溝30の幅(WG)よりも大きい。突出部材28のサイズ、形状、および高さ、ならびに溝30に対する突出部材の幅は、スチールパネル24のサイズ、下にある構造フレームまたは支持体上のスチールパネル24のスパン、スチールパネル24上のセメント系パネル22の取り付けまたは結合の所望の強度、および防音などの他の所望の構造特性に基づいて決定される。例えば、スチールパネル24上の突出部材28の数を増加させると、セメント系パネル22を留めることができる表面積が増加し、それによって、セメント系パネルとスチールパネルとの間の取り付けまたは結合の強度が増加する。別の例として、突出部材28間の溝30の幅(WG)を増加させると、セメント系パネル22とスチールパネル24との間の空間が増加し、これは、音および振動減衰について、複合構造体を通る音および振動ノイズの移動の低減に役立つ。
【0017】
また、
図5に示されるように、スチールパネル24、より具体的にはスチール波形シートのそれぞれは、全長(L)を有する。波形スチールシートの突出部材28のそれぞれは、幅(WP)、高さ(H)、および隣接する突出部材の中心間の距離である中心距離(CD)を有する。さらに、溝30の幅(WG)は、隣接する突出部材28の側壁間の距離である。突出部材28、溝30、および波形スチールシートまたはスチールパネル24の寸法は、上記のような波形スチールシートおよび複合構造体20の所望の構造特性に基づいた任意の好適な寸法であり得ると理解されたい。
【0018】
図2を参照すると、複合構造体20は、留め具を使用して、好ましくは波形スチールシートまたは波形スチールデッキである金属支持体またはスチールパネル24にセメント系パネル22を取り付けることによって作製される。代替的に、セメント系パネル22は、接着剤または接着剤と留め具との組み合わせを使用してスチールパネル24に取り付けられ得る。一実施形態では、複合構造体20は、セメント系パネルの幅および/または長さに沿って留め具をセメント系パネル22に通して波形スチールシート24の突出部材28のうちの1つ以上に設置することでセメント系パネル22のうちの少なくとも1つを波形スチールシート24に固定することによって予め製造される。次いで、予め製造された複合構造体20のうちの1つ以上は、作業現場に輸送され、そこで、複合構造体は、
図6および7に示されるスチールトラス26などの支持体フレームに取り付けられて、建物の床または屋根を形成する。複合構造体20は、金属フレームもしくは金属支持体、木材フレームもしくは木材支持体、プラスチックフレームもしくはプラスチック支持体、または任意の好適なフレームもしくは支持体に取り付けられ得ると理解されたい。別の実施形態では、セメント系パネル22および波形スチールシート24は、作業現場に輸送され、セメント系パネルは、作業現場で波形スチールシートに固定されて、複合構造体を形成する。
【0019】
本複合構造体20を含む建物の床38の実施形態が
図6に示されており、ここで、床は、下記の完成した天井39も支持する支持体フレーム構造体26上に配置されている。天井は、セメント系パネルまたは他の好適な材料などの1つ以上の層の石膏ウォールボードパネル42と、天井39を支持するいくつかの弾性チャネル部材44とを含む。床38は、弾性チャネル部材44を有していても、または有していなくてもよい。典型的には、床38は、
図6に示される、スチールトラスまたはIビーム26などの複数の構造支持体を含む。先に言及されているように、従来の構造支持体は、通常、中心において、すなわち、ある構造支持体の中心から隣接する構造支持体の中心まで24インチの間隔が空けられている。しかしながら、従来の建築材料よりも大きい構造強度を有する本複合構造体20を床の構築において使用すると、構造支持体26は、中心において48インチ以上の間隔を空けることができる。構造支持体26間の間隔を広げることができることによって、時間と同様に、かなりの材料費および人件費が節約される。追加的に、先に言及されているように、複合構造体20におけるセメント系パネル22と波形スチールシート24との間に形成された空間45によって、床38を移動する音および振動が減衰され、それによって、本複合構造体20を使用する床の防音特性が向上する。
図6に示されるように、ガラスファイバー遮断体などの遮断材料46が、温度制御および/またはさらなる音減衰のために、構造支持体26間に挿入され得る。図示されている実施形態では、下敷き材40がセメント系パネルの上面に配置されて、木の厚板、タイル、または他の好適な仕上げ材料などの仕上げ材料のためのベースを形成する。下敷き材は、打ち込まれたコンクリートなどの打ち込まれた材料、または合板パネルなどの木材、または別の好適な材料であり得る。
【0020】
本複合構造体20を含む屋根構造体または屋根48の実施形態が
図7に示されている。図示されている実施形態では、複合構造体20の1つ以上の区分が、スチールトラス26などの構造支持体に固定されている。従来の屋根構造体では、スチール支持体またはトラス26は、典型的には、従来の建築材料を十分に支持するために、中心において48インチの間隔が空けられている。本複合構造体20を使用すると、スチール支持体/トラス26は、中心において最大60インチ~最大72インチの間隔を空けることができる。先の床38と同様に、スチール支持体26間の間隔が増加すると、屋根48に必要な材料が減少し、それによって、屋根に関連する材料費および人件費が大幅に減少する。
図7に示される屋根48では、屋根材料が複合構造体20に取り付けられている。例えば、この実施形態では、遮断材料50、屋根カバーボード52、およびメンブレンまたは耐水性材料54が、複合構造体20の上面56に固定されている。遮断材料50、屋根カバーボード52、およびメンブレン54が、複合構造体20に直接的に取り付けられ得る、またはこれらの材料の任意の組み合わせが、屋根の所望の構造体に基づいて複合構造体20に取り付けられ得ると理解されたい。また、屋根を形成するために、任意の好適な材料または複数の材料が複合構造体に固定され得ると理解されたい。追加的に、屋根メンブレン、ガラスファイバー、金属または木材の屋根板などの屋根仕上げ材料をメンブレン54に固定して、屋根50の上面を形成することができる。代替的に、屋根仕上げ材料は、複合構造体20の上面56に直接的に固定されてもよい。
【0021】
本複合構造体の特定の実施形態が本明細書に記載されているが、そのより広い態様において、および以下の特許請求の範囲に記載されているように、本発明から逸脱することなく、変更および修正を行うことができると当業者には理解されるであろう。
【国際調査報告】