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特表2023-516293磁気粘性流体回転負荷装置及びその制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】磁気粘性流体回転負荷装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05G 5/03 20080401AFI20230412BHJP
   G05G 1/08 20060101ALI20230412BHJP
   G06F 3/0362 20130101ALI20230412BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230412BHJP
   H01F 1/44 20060101ALN20230412BHJP
【FI】
G05G5/03 B
G05G1/08 B
G06F3/0362 461
G06F3/01 560
H01F1/44
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551384
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 KR2021010113
(87)【国際公開番号】W WO2022097883
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0148603
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0018172
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0101414
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518298393
【氏名又は名称】シーケー マテリアルズ ラブ カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ジン ジ キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン ジュン キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒュク ジン セオ
【テーマコード(参考)】
3J070
5B087
5E041
5E555
【Fターム(参考)】
3J070AA14
3J070BA19
3J070BA71
3J070DA01
5B087AA06
5B087BC13
5E041BD07
5E555AA08
5E555AA11
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC30
5E555CA04
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
本発明は、磁気粘性流体回転負荷装置及びその制御方法に関するものである。本発明による磁気粘性流体回転負荷装置は、ハウジングと、ハウジング内に固定されるヨーク部と、ハウジング内の中心で回転自在に設けられるシャフトと、シャフトに連結され、シャフトの回転に連動して回転する少なくとも1つの回転リングと、ハウジング内に配されるコイル部と、ハウジング内に満たされる磁気粘性流体と、を含むことを特徴とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
ハウジング内に固定されるヨーク部と、
ハウジング内で回転自在に設けられるシャフトと、
シャフトに連結され、シャフトの回転に連動して回転する少なくとも1つの回転リングと、
ハウジング内に配されるコイル部と、
ハウジング内の少なくとも一部に満たされる磁気粘性流体と、
を含み、
前記ハウジングの少なくとも一部は、磁性材料で構成される、磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項2】
磁気粘性流体内の磁性粒子の含量は、60~95wt%である、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項3】
磁気粘性流体内の磁性粒子の含量が増加するほどヨーク部と回転リングとの間に作用する回転トルクが大きくなる、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項4】
磁気粘性流体が配される少なくともヨーク部と回転リングとの間の所定のギャップのサイズは、磁気粘性流体内の磁性粒子の直径平均値の10~100倍である、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項5】
磁気粘性流体の粘度が大きくなるほどヨーク部と回転リングとの間に作用する回転トルクが大きくなる、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項6】
磁気粘性流体の粘度、ヨーク部及び回転リングの個数、ヨーク部と回転リングとの面積、ヨーク部と回転リングとの間のギャップのサイズ、コイル部に印加する電流の強度のうち少なくとも何れか1つは、ヨーク部と回転リングとの間に作用する回転トルクの最大値を増加させて、ユーザの特定の状況で回転操作を防止する程度に設定される、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項7】
コイル部で磁気粘性流体に印加する磁場を制御する制御部をさらに含む、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項8】
磁気粘性流体回転負荷装置の動作前、制御部からコイル部に予備入力信号を伝達するが、
予備入力信号は、磁気粘性流体の沈殿された粒子が所定のギャップ内で垂直または水平方向のうち少なくとも一方向に不完全または完全なチェーン状を成した後、再分散される信号である、請求項7に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項9】
不完全なチェーン状は、スパイク状である、請求項8に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項10】
制御部がコイル部に動作電圧V1を印加する時、ヨーク部と回転リングとの間の所定のギャップで磁気粘性流体の粒子が形成するチェーンの高さがギャップの高さよりも低いと判断した場合、V1よりも大きな強度の電圧V2を印加する、請求項7に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項11】
磁気粘性流体回転負荷装置の初期動作温度に比べて、温度上昇時に、
制御部は、磁場の強度、パターンのうち何れか1つを制御して初期動作温度のトルク強度を保持する、請求項7に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項12】
少なくとも1つの回転リングが互いに間隔を成してシャフトに連結され、
ヨーク部は、回転リングの外周面と対向する第1面と、回転リングの回転面に対向し、第1面に垂直である第2面と、を含む形状を有する、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項13】
ヨーク部は、回転リングの外側に配され、ヨーク部とハウジングの垂直内側との間にコイル部が配される、請求項12に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項14】
少なくとも1つの回転リングが互いに間隔を成してシャフトに連結され、
ヨーク部は、回転リングの外周面と対向する第1面及び回転リングの外周面と対向しない第2面を含む形状を有する、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項15】
ヨーク部は、ハウジングの垂直内側に配され、
ヨーク部の第2面とシャフトとの間にコイル部が配され、
回転リングの回転面に対向するコイル部の面上に保護部が連結される、請求項14に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項16】
ヨーク部は、少なくとも1つのヨークリングを含み、
ヨークリングと回転リングとが互いに所定のギャップを有し、垂直方向に沿って交互に配され、
ヨーク部は、回転リングの外側に配され、ヨーク部とハウジングの垂直内側との間にコイル部が配される、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項17】
コイル部から磁気粘性流体に磁場が印加されれば、磁気粘性流体の粒子が垂直方向にチェーンを形成して、ヨーク部と回転リングとの間に作用する回転トルクを増加させる、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項18】
回転リングの回転面、または回転リングの回転面に対向するヨーク部の面のうち少なくとも何れか1つには、流体通過ホールが形成され、
磁気粘性流体は、ヨーク部と回転リングとの間の所定のギャップ及び流体通過ホールに配されて、磁場印加時に、ギャップ及び流体通過ホール内で垂直方向にチェーンを形成するにつれて、ヨーク部と回転リングとの間に作用する回転トルクが大きくなる、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項19】
流体通過ホールは、回転リングの回転面または回転リングの回転面に対向するヨーク部の面に30~80°傾いた角度で形成される、請求項18に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項20】
(1)回転リングの回転面または回転リングの回転面に対向するヨーク部の面の上部に突出パターンが形成されるか、
(2)回転リングの回転面、及び回転リングの回転面に対向するヨーク部の面の上部に突出パターンが互いに対向するように形成されるか、交互に形成される、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項21】
回転リングの回転面、回転リングの回転面に対向するヨーク部の面のうち少なくとも何れか一面上に複数の領域別に突出パターンが形成される、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【請求項22】
ハウジングの上部に配され、シャフトの軸が挿入されて回転摩擦力が制御される軸受をさらに含む、請求項1に記載の磁気粘性流体回転負荷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気粘性流体回転負荷装置及びその制御方法に係り、より詳細には、磁気粘性流体を含み、磁気粘性流体に磁場を印加するにつれて、回転トルクが調節される磁気粘性流体回転負荷装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に用いられるユーザインターフェース(User Interface)が次第に多様化されることによって、既存に家庭用機器に主に使われたジョグダイヤルがテレマティクス端末機のようなドライバ情報システム(DIS;Driver Information System)のメイン入力装置として車両に導入されている。
【0003】
ジョグダイヤルとは、回転自在な円形ダイヤルの形態を有し、ユーザが時計回り/逆時計回り方向にダイヤルを回転させて、所定の機能を選択するようになったものである。ユーザが、ジョグダイヤルに加えた力を除去すれば、特定の位置にダイヤルが位置づけられて、精巧な位置移動を行うことができる。
【0004】
図1は、従来のジョグダイヤルを示す概略図である。従来の機械式ジョグダイヤルは、噛合いによって動作する。これにより、従来の機械式ジョグダイヤルの回転触感は、噛合いによる単一触感で回転または使用モードによる多様な触感を表現することができない限界がある。また、機械式ジョグダイヤルは、噛合いによる定められた回転トルクを有するだけであり、回転トルクを自在に変化させることができない限界がある。モータなどの駆動手段をさらに備えて、回転トルクを制御するか、ハプティック機能を提供するための別途の振動モータを追加するとしても、そのための部品と装置とが追加されなければならないために、生産コストが上昇し、装置の体積が大きくなるという問題点を内包する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の機械式構造としては単調であり、単一な触感パターンが発生するものとは異なって、回転時に、多様な入力信号によって多様な触感パターンが発生して、ユーザ触感を、多様であり、高級感を感じさせる磁気粘性流体回転負荷装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明の一実施形態によれば、ハプティック機能が内蔵されて、回転トルクを変化させ、生産コストを節減することができ、装置の小型化が容易な磁気粘性流体回転負荷装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明の一実施形態によれば、磁気粘性流体のせん断特性や粘度を用いて目的に合う多様な適用が可能な磁気粘性流体回転負荷装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
しかし、このような課題は、例示的なものであって、これにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記の目的は、ハウジング;ハウジング内に固定されるヨーク部;ハウジング内で回転自在に設けられるシャフト;シャフトに連結され、シャフトの回転に連動して回転する少なくとも1つの回転リング;ハウジング内に配されるコイル部;ハウジング内の少なくとも一部に満たされる磁気粘性流体;を含み、前記ハウジングの少なくとも一部は、磁性材料で構成される磁気粘性流体回転負荷装置によって達成される。
【0010】
また、本発明の一実施形態によれば、磁気粘性流体内の磁性粒子の含量は、60~95wt%である。
【0011】
また、本発明の一実施形態によれば、磁気粘性流体内の磁性粒子の含量が増加するほどヨーク部と回転リングとの間に作用する回転トルクが大きくなる。
【0012】
また、本発明の一実施形態によれば、磁気粘性流体が配される少なくともヨーク部と回転リングとの間の所定のギャップのサイズは、磁気粘性流体内の磁性粒子の直径平均値の10~100倍である。
【0013】
また、本発明の一実施形態によれば、磁気粘性流体の粘度が大きくなるほどヨーク部と回転リングとの間に作用する回転トルクが大きくなる。
【0014】
また、本発明の一実施形態によれば、磁気粘性流体の粘度、ヨーク部及び回転リングの個数、ヨーク部と回転リングとの面積、ヨーク部と回転リングとの間のギャップのサイズ、コイル部に印加する電流の強度のうち少なくとも何れか1つは、ヨーク部と回転リングとの間に作用する回転トルクの最大値を増加させて、ユーザの特定の状況で回転操作を防止する程度に設定しうる。
【0015】
また、本発明の一実施形態によれば、コイル部で磁気粘性流体に印加する磁場を制御する制御部をさらに含みうる。
【0016】
また、本発明の一実施形態によれば、磁気粘性流体回転負荷装置の動作前、制御部からコイル部に予備入力信号を伝達するが、予備入力信号は、磁気粘性流体の沈殿された粒子が所定のギャップ内で垂直または水平方向のうち少なくとも一方向に不完全または完全なチェーン状を成した後、再分散される信号である。
【0017】
また、本発明の一実施形態によれば、不完全なチェーン状は、スパイク状である。
【0018】
また、本発明の一実施形態によれば、制御部がコイル部に動作電圧V1を印加する時、ヨーク部と回転リングとの間の所定のギャップで磁気粘性流体の粒子が形成するチェーンの高さがギャップの高さよりも低いと判断した場合、V1よりも大きな強度の電圧V2を印加することができる。
【0019】
また、本発明の一実施形態によれば、磁気粘性流体回転負荷装置の初期動作温度に比べて、温度上昇時に、制御部は、磁場の強度、パターンのうち何れか1つを制御して初期動作温度のトルク強度を保持することができる。
【0020】
また、本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの回転リングが互いに間隔を成してシャフトに連結され、ヨーク部は、回転リングの外周面と対向する第1面と、回転リングの回転面に対向し、第1面に垂直である第2面と、を含む形状を有しうる。
【0021】
また、本発明の一実施形態によれば、ヨーク部は、回転リングの外側に配され、ヨーク部とハウジングの垂直内側との間にコイル部が配置される。
【0022】
また、本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの回転リングが互いに間隔を成してシャフトに連結され、ヨーク部は、回転リングの外周面と対向する第1面及び回転リングの外周面と対向しない第2面と、を含む形状を有しうる。
【0023】
また、本発明の一実施形態によれば、ヨーク部は、ハウジングの垂直内側に配され、ヨーク部の第2面とシャフトとの間にコイル部が配され、回転リングの回転面に対向するコイル部の面上に保護部が連結される。
【0024】
また、本発明の一実施形態によれば、ヨーク部は、少なくとも1つのヨークリングを含み、ヨークリングと回転リングとが互いに所定のギャップを有し、垂直方向に沿って交互に配され、ヨーク部は、回転リングの外側に配され、ヨーク部とハウジングの垂直内側との間にコイル部が配置される。
【0025】
また、本発明の一実施形態によれば、コイル部から磁気粘性流体に磁場が印加されれば、磁気粘性流体の粒子が垂直方向にチェーンを形成して、ヨーク部と回転リングとの間に作用する回転トルクを増加させることができる。
【0026】
また、本発明の一実施形態によれば、回転リングの回転面、または回転リングの回転面に対向するヨーク部の面のうち少なくとも何れか1つには、流体通過ホールが形成され、磁気粘性流体は、ヨーク部と回転リングとの間の所定のギャップ及び流体通過ホールに配されて、磁場印加時に、ギャップ及び流体通過ホール内で垂直方向にチェーンを形成するにつれて、ヨーク部と回転リングとの間に作用する回転トルクが大きくなる。
【0027】
また、本発明の一実施形態によれば、流体通過ホールは、回転リングの回転面または回転リングの回転面に対向するヨーク部の面に30~80°傾いた角度で形成されうる。
また、本発明の一実施形態によれば、(1)回転リングの回転面または回転リングの回転面に対向するヨーク部の面の上部に突出パターンが形成されるか、(2)回転リングの回転面、及び回転リングの回転面に対向するヨーク部の面の上部に突出パターンが互いに対向するように形成されるか、交互に形成されうる。
【0028】
また、本発明の一実施形態によれば、回転リングの回転面、回転リングの回転面に対向するヨーク部の面のうち少なくとも何れか一面上に複数の領域別に突出パターンが形成されうる。
【0029】
また、本発明の一実施形態によれば、ハウジングの上部に配され、シャフトの軸が挿入されて回転摩擦力が制御される軸受をさらに含みうる。
【発明の効果】
【0030】
前記のように構成された本発明によれば、従来の機械式構造としては単調であり、単一な触感パターンが発生するものとは異なって、回転時に、多様な入力信号によって多様な触感パターンが発生して、ユーザ触感を、多様であり、高級感を感じさせうる。
【0031】
また、本発明によれば、ハプティック機能が内蔵されて、回転トルクを変化させ、生産コストを節減することができ、装置の小型化が容易である。
【0032】
また、本発明によれば、磁気粘性流体のせん断特性や粘度を用いて目的に合う多様な適用が可能である。
【0033】
もちろん、このような効果によって、本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】従来のジョグダイヤルを示す概略図である。
図2】本発明の第1実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置の概略斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置の概略分解図である。
図4】本発明の第1実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置の概略断面図である。
図5図4のV部分を拡大した図面である。
図6】本発明の一実施形態によるギャップ空間で磁気粘性流体の挙動を示す概略図である。
図7】本発明の第2実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置の概略分解図である。
図8】本発明の第2実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置の概略断面図である。
図9図8のVI部分を拡大した図面である。
図10】本発明の第3実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置の概略斜視図である。
図11】本発明の第3実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置の概略分解図である。
図12】本発明の第3実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置の概略断面図である。
図13図12のVII部分を拡大した図面である。
図14】本発明の一実施形態による流体通過ホールが形成されたヨーク部、回転リングを示す概略図及び流体通過ホールで磁気チェーンの形態を示す概略図である。
図15】一実験例による流体通過ホール形成前後のトルク値を示すグラフである。
図16】本発明の一実施形態によるヨーク部、回転リングの水平面上のパターン形態を示す概略図である。
図17】本発明の一実験例による磁気粘性流体の粘度によるトルク値を示すグラフである。
図18】本発明の一実施形態による予備入力信号(Pre-Input Signal)の印加で沈殿された磁気粘性流体が再分散される過程を示す概略図である。
図19】本発明の一実施形態による予備入力信号の印加時に、磁気粘性流体がスパイク状を有する図面である。
図20】本発明の一実験例による磁気粘性流体の温度によるトルク値を示すグラフである。
図21】本発明の一実施形態によるABS(Anti-lock Brake System)システムに適用時のトルク値を示すグラフである。
図22】本発明の一実施形態による磁気粘性流体回転負荷モジュールを示す概略図である。
図23】本発明の多様な実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置が適用された状態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
実施形態を例示として図示する添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を十分に実施可能なように詳しく説明される。本発明の多様な実施形態は、互いに異なるが、互いに排他的である必要はないということを理解しなければならない。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造及び特性は、一実施形態に関連して、本発明の精神及び範囲を外れずに、他の実施形態として具現可能である。また、それぞれの開示された実施形態内の個別構成要素の位置または配置は、本発明の精神及び範囲を外れずに、変更可能であるということを理解しなければならない。したがって、後述する詳細な説明は、限定的な意味として取ろうとするものではなく、本発明の範囲は、適切に説明されるならば、その請求項が主張するところと均等なあらゆる範囲と共に、添付の請求項によってのみ限定される。図面で類似した参照符号は、多様な側面にわたって同一または類似の機能を称し、長さ及び面積、厚さなどとその形態は、便宜上、誇張して表現されることもある。
【0036】
以下、当業者が本発明を容易に実施させるために、本発明の望ましい実施形態に関して添付図面を参照して詳しく説明する。
【0037】
図2は、本発明の第1実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置100の概略斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置100の概略分解図である。図4は、本発明の第1実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置100の概略断面図である。図5は、図4のV部分を拡大した図面である。
【0038】
図2ないし図5を参照すれば、第1実施形態の磁気粘性流体回転負荷装置100は、ハウジング110、シャフト120、コイル部130、ヨーク部140、回転リング150、磁気粘性流体10を含み、軸受190をさらに含みうる。
【0039】
ハウジング110は、内部に他の構成要素が配される空間(S)を提供する。磁気粘性流体回転負荷装置100の構成要素がハウジング110内に配され、磁気粘性流体10は、ハウジング110内の残りの空き空間に満たされる。ハウジング110は、シャフト120、回転リング150が回転することができる空間(S)を提供するように、ほぼ円筒状を有しうるが、内部にシャフト120、回転リング150が回転することができる空間(S)を提供する範囲内であれば、他の形状でも良い。
【0040】
一例として、ハウジング(110:111、115)は、コイル部130、ヨーク部140、回転リング150及び磁気粘性流体10が内部に配される空間(S)を提供する第1ハウジング111、及び第1ハウジング111の上部をカバーして第1ハウジング111の内部空間(S)を密閉する第2ハウジング115を含みうる。
【0041】
第1ハウジング111の空間(S)に磁気粘性流体回転負荷装置100の構成要素と磁気粘性流体10が配された後、第1ハウジング111の開放された上部が第2ハウジング115でカバーされることによって、内部が密閉される。本発明は、第1、2ハウジング(110:111、115)の簡単な構造のみで磁気粘性流体10を密閉させながら、磁気粘性流体回転負荷装置100の組立てを完了できるという利点がある。
【0042】
シャフト120は、ハウジング110の中心で回転自在に設けられる。シャフト120は、垂直方向に長く延設され、回転リング(150:151、152)がシャフト120の軸に差し込まれて共に回転しうる。または、シャフト120と回転リング150とが一体に形成されうる。シャフト120の上端には、エッジ部121が形成され、シャフト120の上端にダイヤルなどのユーザグリップ手段(図示せず)をエッジ部121に挿入してシャフト120の軸に回転力を容易に伝達させうる。シャフト120の下端は、第1ハウジング111の下面に形成されたシャフト収容溝114に載置されて、シャフト120が回転中に軸の位置がシャフト収容溝114から外れないように支持される。
【0043】
コイル部130は、ハウジング110の内側に配置される。ハウジング110の内部に均一に磁場を印加できるように、コイル部130も、ハウジング110の垂直内壁112に対応する形状に開口部が形成されたリング状であることが望ましいが、これに制限されるものではない。コイル部130は、ソレノイドコイルであって、電流が印加されれば、垂直方向(シャフト軸方向)に磁場を形成することが望ましい。垂直方向の磁場によって磁気粘性流体10の粒子11が垂直方向(シャフト軸方向)に沿ってチェーン構造を形成して回転トルクを制御することができる。
【0044】
ヨーク部140は、ハウジング110内に固設される。ヨーク部140は、外側面がコイル部130の開口部の内側面131に対向するように固設される。
【0045】
ヨーク部140は、少なくとも後述する回転リング(150:151、152)に対向する第1面143及び第2面144[図5参照]を含む形状を有しうる。言い換えれば、ヨーク部140の内側面は、少なくとも第1面143及び第2面144を含みうる。より具体的に、ヨーク部140は、回転リング(150:151、152)の外周面(153:153a、153b)[図5参照]に対向する第1面(143:143a、143b)及び回転リング(150:151、152)の回転面(154:154a、154b、154c、154d)に対向し、第1面143に垂直である第2面(144:144a、144b)を含む形状を有しうる。ヨーク部140の中心には、シャフト120が貫通することができる貫通ホール149が形成されうる。
【0046】
他の観点として、ヨーク部140は、貫通ホール149が形成された円形ディスク状に加えて、円形ディスクの外周から垂直方向に円筒状に垂直壁146が形成されて、断面(図4参照)の形態が貫通ホール149を除けば、ほぼ‘H’形状である。互いに対応する表面積を高めるように、ヨーク部140の垂直壁146が形成された内側空間に回転リング150が載置される。
【0047】
回転リング150は、全体として円形ディスク状を有し、シャフト120に連結される。回転リング(150:151、152)にシャフト120の軸外径に対応する貫通ホール159が形成されてシャフト120に差し込まれる。固設されたヨーク部140に対して回転リング150は、シャフト120の回転に連動して相対的に回転することができる。
【0048】
複数の回転リング(150:151、152)がハウジング110の内部に配され、回転リング(150:151、152)が互いに間隔を成してシャフト120に連結される。特に、何れか1つの回転リング152には、中央部に回転リング152の回転面154[または、円形ディスク平面]と段差を有するギャップ保持部155が形成されうる。ギャップ保持部155にも、貫通ホール159が形成されるということは言うまでもない。ヨーク部140の貫通ホール149は、ギャップ保持部155の外径に対応するように形成されうる。ギャップ保持部155は、段差を有しながら回転リング150と一体に形成されるために、別途のスぺーサをシャフト120に差し込む必要なしに回転リング150のみ順次にシャフト120に差し込む方法であって、回転リング150の互いに間隔を保持させうるという利点がある。
【0049】
図4では、2つの回転リング(150:151、152)の間にヨーク部140が配される例を図示するが、回転リングが3つ以上になれば、ヨーク部140の個数も増える。この際、ヨーク部140は、回転リング150と交互に配されながら垂直方向に積層される配置形態を有しうる。第1ハウジング111の内部空間(S)にコイル部130を固設し、回転リング150とヨーク部140とを交互に積層、及びシャフト120を挿入した後、磁気粘性流体10を満たし、第2ハウジング115で内部空間(S)を密閉させる過程で組立てが完了する。本発明は、ヨーク部140と回転リング150との個数が増えるか、サイズが大きくなるほど回転トルクが増加することができ、ハウジング110内にヨーク部140と回転リング150とを交互に積層して組立てる簡単な工程で磁気粘性流体回転負荷装置100を構成することができるので、使用目的に合うトルク値を備えるためのサイズ変化に柔軟に対応できるという利点がある。
【0050】
ヨーク部140と回転リング150との間には、所定のギャップ(G)が形成され、ギャップ(G)に磁気粘性流体10が満たされる。具体的に、ヨーク部140の第1面143と回転リング150の外周面153との間、及びヨーク部140の第2面144と回転リング150の回転面154との間にギャップ(G)が形成されうる。ギャップ(G)は、ハウジング110とヨーク部140、ハウジング110と回転リング150との間にも形成されうる。ギャップ(G)に満たされる磁気粘性流体10の粘度、剛性など特性が変化するにつれて、回転リング150の回転トルクを変化させうる。
【0051】
回転リング160の回転運動で回転リング150とヨーク部140との間に発生するトルク(T)の大きさは、せん断応力と接触面積とから次のように求められる。
T=Tc+Tη+Tf
【0052】
ここで、Tcは、電場、磁場負荷時に発生する制御トルク(controllable torque)、Tηは、電場、磁場が加えられない時、磁気粘性流体10の粘性による粘性トルク(viscous torque)、Tfは、機械的要素で発生する摩擦トルク(frictional torque)である。無負荷時に、Tcは表われなくなる。
【0053】
したがって、本発明では、コイル部130で磁気粘性流体10に印加する磁場を制御するにつれて、すなわち、Tcを制御するにつれて、磁気粘性流体回転負荷装置100の全体トルク(T)を自在に変化させることを特徴とする。
【0054】
図6は、本発明の一実施形態によるギャップ(G)空間で磁気粘性流体10の挙動を示す概略図である。
【0055】
磁気粘性流体回転負荷装置100は、コイル部130から発生する磁場の強度、周波数、波形などを制御する制御部(図示せず)をさらに含みうる。ユーザが、磁気粘性流体回転負荷装置100のシャフト120を回転させる時、制御部は、コイル部130から印加する磁場を変化させて、回転リング150のトルクを変化させることができる。
【0056】
図5及び図6を参照すれば、ヨーク部140と回転リング150との間のギャップ(G)[または、ハウジング110とヨーク部140及び回転リング150との間のギャップ(G)]には、磁気粘性流体10が満たされる。磁気粘性流体10は、磁性粒子11及び磁性粒子11が分散されたオイル、水など流体形態の媒体12を含む。
【0057】
図6の(a)において、磁場が印加されない場合、磁性粒子11は、媒体12に分散された状態を示す。すなわち、無負荷時に、Tc=0なので、T=Tη+Tfに固定された値を有する。逆に、磁場が印加される場合、磁性粒子11は、磁場の方向に磁気チェーンを形成しうる。チェーンは、ほぼ回転リング150の一面からヨーク部140の一面に接する程度に形成されうる。これにより、Tc値が表われるので、T=Tc+Tη+Tfにトルクが増加し、Tc値の変化によって全体トルクが変化される。これにより、シャフト120が回転するために必要なトルクは、磁場の強度、磁気チェーンの結合力、ヨーク部140と回転リング150との摩擦せん断力などによって変化することができる。磁気チェーンがよりよく形成されるように、少なくともハウジング110は、磁性部分を含み、ヨーク部140、回転リング150も、磁性部分を含みうる。磁性部分を含むことは全体が磁性材質で構成されるか、一部のみ磁性材質で構成される形態を含む。磁性材質は、鉄、ニッケル、コバルト、フェライト(Fe3O4)またはこれらの合金と、窒化、酸化、炭化、ケイ素化などになった金属と、を含みうる。
【0058】
ギャップ(G)のサイズは、磁気粘性流体10内の磁性粒子11の直径平均値の10~100倍であることが望ましく、さらに望ましくは、20倍程度である。ギャップ(G)が過度に小さければ、無負荷時のトルク値が大きくなるか、構成が回転する時、干渉が生じる問題があり、ギャップ(G)が過度に大きくなれば、装置の小型化に不利であり、小さな磁場で磁気チェーンが十分に形成されない。例えば、磁性粒子11の直径は、約2~10μmに分布され、直径の平均値は、約5μmである。この際、ギャップ(G)は、約0.1mmであり、この数値範囲内で磁性粒子11が磁場の方向に磁気チェーンを形成してユーザの手に触感の変化を伝達する程度のTc値変化を誘発させうる。また、磁気粘性流体10内の磁性粒子11が多いほど磁気チェーンを強く形成して回転負荷装置で発生する最大トルクが増加し、磁気粘性流体10内で磁性粒子11は、望ましくは、60~95wt%である。磁性粒子11が60wt%よりも少なければ、最大トルクの大きさが少なくなって、ユーザが感じるのに十分な触感、剛性伝達が行われず、95wt%よりも大きければ、あまりにも多い磁性粒子11によって無負荷時のトルク値が大きくなる。
【0059】
図6の(b)には、加えられる磁場の強度によってトルクが変化する形態が示される。コイル部130で交流磁場を印加すれば、これに対応するシャフト120のトルクが発生することができる。これにより、磁気粘性流体回転負荷装置100のシャフト120を回転するユーザに多様なパターン及び触感を提供することができる。
【0060】
一方、磁気粘性流体回転負荷装置100は、ハウジング110の上部に配される軸受190をさらに含みうる。軸受190は、ハウジング110の上部の収容溝117に連結され、シャフト120の軸が挿入されてシャフト120の回転摩擦力を制御することができる。それ以外に、ハウジング110の内部空間でシャフト120の軸に他の軸受(図示せず)が挿入されても良い。
【0061】
図7は、本発明の第2実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置200の概略分解図である。図8は、本発明の第2実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置200の概略断面図である。図9は、図8のVI部分を拡大した図面である。
【0062】
第2実施形態の磁気粘性流体回転負荷装置200は、図2のように、第1実施形態の磁気粘性流体回転負荷装置100と外観が実質的に同一または類似している。以下、第1実施形態と異なる構成についてのみ説明し、同じ構成は、前述したことに代替する。第1、2実施形態において、同じ構成は、図面符号が100番台、200番台であると互いに対応することを参照することができる。
【0063】
図2図7ないし図9を参照すれば、第2実施形態の磁気粘性流体回転負荷装置200は、ハウジング210、シャフト220、コイル部230、ヨーク部240、回転リング250、磁気粘性流体10を含み、軸受290をさらに含みうる。ハウジング210とシャフト220は、一部の形状の差の以外には、第1実施形態と実質的に同一である。
【0064】
コイル部230は、ヨーク部240の内側に配されるが、互いに間隔を成してシャフト220に連結された回転リング(250:251、252)の直下部または直上部に配置される。コイル部230の貫通ホール239は、シャフト220が貫通されてギャップ(G)を成す程度にのみ形成され、コイル部230の外周面は、ヨーク部240の内側面244に連結されて固定支持される。
【0065】
ヨーク部240は、ハウジング110内に固設される。ヨーク部240の外周面は、ハウジング210の垂直内壁212に対応する形状であって、コイル部230が配されるサイズの開口部が形成されたリング状であることが望ましいが、これに制限されるものではない。ヨーク部240は、外側面がハウジング210の垂直内壁212に対向するように固設される。
【0066】
ヨーク部240は、少なくとも回転リング(250:251、252)に対向する第1面243、及び回転リング250に対向しない第2面244[図9参照]を含む形状を有しうる。言い換えれば、ヨーク部240の内側面は、少なくとも第1面243及び第2面244を含みうる。より具体的に、ヨーク部240は、回転リング(250:251、252)の外周面(253:253a、253b)[図9参照]に対向する第1面(243:243a、243b)、及び回転リング250に対向しない第2面244を含む形状を有しうる。第2面244は、コイル部230の外周面と対向、連結される。他の観点として、ヨーク部240の第2面244とシャフト220との間にコイル部230が配置される。
【0067】
回転リング250は、全体として円形ディスク状を有し、シャフト220に連結される。回転リング(250:251、252)にシャフト220の軸外径に対応する貫通ホール259が形成されてシャフト220に差し込まれる。ヨーク部240の第2面244に固設されたコイル部230に対して回転リング250は、シャフト220の回転に連動して相対的に回転することができる。
【0068】
複数の回転リング(250:251、252)がハウジング210の内部に配され、回転リング(250:251、252)が互いに間隔を成してシャフト220に連結される。回転リング(250:251、252)の間には、コイル部230が配されて、回転リング250の回転面254とコイル部230の上下面(234:234a、234b)とが対向することができる。複数のコイル部230が備えられて、それぞれ回転リング250の間に配されてもよい。
【0069】
ヨーク部240と回転リング250、及びコイル部230と回転リング250との間には、所定のギャップ(G)が形成され、ギャップ(G)に磁気粘性流体10が満たされる。具体的に、ヨーク部240の第1面243と回転リング250の外周面253との間、及びコイル部230の上下面234と回転リング250の回転面254との間にギャップ(G)が形成されうる。ギャップ(G)は、ハウジング210と回転リング250、コイル部230とシャフト220との間にも形成されうる。ギャップ(G)に満たされる磁気粘性流体10の粘度、剛性など特性が変化するにつれて、回転リング250の回転トルクを変化させうる。
【0070】
一方、回転リング250の回転面254に対向するコイル部230の面234上に保護部260が連結される。コイル部230と磁気粘性流体10とが直接接触する場合、磁気粘性流体10がコイル部230のコイルの隙間に浸透することができる。これにより、磁気粘性流体10と接触することができるコイル部230の面234上に平板状の保護部260を配置してコイル部230の隙間をカバーすることができる。
【0071】
本発明は、コイル部230と回転リング250との距離が最隣接しながら、同時に広い面積に互いに対向しているので、コイル部230から生成された磁場が直ちにコイル部230と回転リング250とのギャップ(G)に満たされた磁気粘性流体10に印加される。広い面積に強い強度の磁場が印加されて、より多く、強い強度の磁気チェーンが形成されるので、回転トルクを著しく増加させるという利点がある。
【0072】
第2実施形態の磁気粘性流体回転負荷装置200は、第1実施形態に比べて、コイル部230が回転リング250の外周の外側に位置せず、回転リング250の上部または下部に配されるので、コイル部230の配置による全体装置200の直径サイズを減縮できるという利点がある。第1実施形態は、コイル部130がヨーク部140及び回転リング150の外周の外側に配されるので、全体装置200の直径サイズが相対的に大きい。
【0073】
また、第2実施形態の磁気粘性流体回転負荷装置200は、コイル部230と回転リング250とが最隣接するので、強い磁場の印加で回転トルクを著しく増加させることができる。これにより、大きなトルクが必要な対象体に装置200を適用することができ、ブレーキのような制動装置にも適用が可能である。
【0074】
図10は、本発明の第3実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置300の概略斜視図である。図11は、本発明の第3実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置300の概略分解図である。図12は、本発明の第3実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置300の概略断面図である。図13は、図12のVII部分を拡大した図面である。以下、第1実施形態と異なる構成についてのみ説明し、同じ構成は、前述したことに代替する。第1、3実施形態において、同じ構成は、図面符号が100番台、300番台であると互いに対応することを参照することができる。
【0075】
図10ないし図13を参照すれば、磁気粘性流体回転負荷装置300は、ハウジング310、シャフト320、コイル部330、ヨーク部340、回転リング350を含み、シールドカバー380、軸受390をさらに含みうる。ハウジング310、シャフト320、コイル部330は、一部の形状の差の以外には、第1実施形態と実質的に同一である。
【0076】
コイル部330は、ハウジング310の内側に配置される。ハウジング310の内部に均一に磁場を印加できるように、コイル部330も、ハウジング310の垂直内壁に対応する形状に開口部が形成されたリング状であることが望ましいが、これに制限されるものではない。コイル部330で形成する垂直方向の磁場によって磁気粘性流体10の粒子11が垂直方向(シャフト軸方向)に沿ってチェーンを形成して回転トルクを制御することができる。
【0077】
ヨーク部(340:340a、340b、340c)は、ハウジング310内に固設される。ヨーク部340は、外側面がコイル部330の開口部の内側面331に対向するように固設される。
【0078】
ヨーク部340は、少なくとも回転リング(350:351、352)に対向する第1面(343:343a、343b)及び第2面344[図13参照]を含む形状を有しうる。言い換えれば、ヨーク部340の内側面は、少なくとも第1面343及び第2面344を含みうる。
【0079】
ヨーク部(340:340a、340b、340c)は、ハウジング310内に固定され、少なくとも1つのヨークリング340bを含みうる。ヨークリング340bは、回転リング(350:351、352)と交互に配され、回転リング(350:351、352)と所定のギャップ(G)を形成してギャップ(G)に磁気粘性流体10が満たされるようにする。本明細書では、2つの回転リング(350:351、352)の間に1つのヨークリング340bが配される形態を例示するが、回転リング350とヨークリング340bとの個数はさらに多くなる。
【0080】
ヨーク部340は、上端に上部ヨーク340a、下端に下部ヨーク340cを含み、上部ヨーク340aと下部ヨーク340cとが形成する内部空間に少なくとも1つのヨークリング340bが配置される。
【0081】
上部ヨーク340aは、ヨーク部340の上部壁及び側壁を構成することができる。上部ヨーク340aも、ハウジング310のようにシャフト320、回転リング350が回転することができる空間を提供するように、ほぼ円筒状を有しうる。上部ヨーク340aは、回転リング350、ヨークリング340bの外径よりも大きな内径を有することが望ましい。上部ヨーク340aの上面の中心には、シャフト320及びギャップ保持部355が差し込まれる貫通ホール349が形成されうる。また、上部ヨーク340aの上面には、複数の流体通過ホール347aが形成されうる。
【0082】
少なくとも1つの回転リング(350:351、352)と少なくとも1つのヨークリング340bは、上部ヨーク340aの内部空間に配置される。ヨークリング340bは、上部ヨーク340aの内部空間に固設され、回転リング350は、ヨークリング340bの上部及び/または下部に配されて、シャフト320の回転に連動して回転自在に設けられる。
【0083】
ヨークリング340bは、回転リング350の上部及び/または下部に配置される。ヨークリング340bは、回転リング350と平面部分344、354とが互いに対向するように全体として円形ディスク状を有しうる。ヨークリング340bの中心には、シャフト320及びギャップ保持部355が差し込まれる貫通ホール349が形成されうる。
【0084】
一方、ヨークリング340bと回転リング350との平面部分344、354が互いに対向しながらも、全体的な高さを減らし、互いに対応する表面積を高めるように、ヨークリング340bの上面には、段差が形成されて段差壁346bが形成された空間に回転リング(350:351)が載置される。
【0085】
下部ヨーク340cは、上部ヨーク340aの下部に設けられて、下部が開放された上部ヨーク340aの下部を密閉させることができる。同時に、下部ヨーク340cの上部の平面部分を回転リング(350:352)の下側平面と互いに対向させる。また、下部ヨーク340cの上部には、シャフト収容溝348が形成されてシャフト320の下端の一部を収容させうる。これにより、シャフト320が回転中に軸の位置がシャフト収容溝348から外れなくなる効果がある。
【0086】
上部ヨーク340aと下部ヨーク340cとによって内部が密閉され、内部空間に回転リング350とヨークリング340bとが垂直方向に沿って交互に配置される。垂直方向は、シャフト320軸の形成方向に対応し、水平方向は、回転リング350の平面方向に対応する。これにより、上部ヨーク340aの上部の内側面、ヨークリング340bの上側面と下側面、下部ヨーク340cの上側面は、回転リング350の上側面、下側面と所定のギャップ(G)を有するようになる[図13参照]。
【0087】
一方、上部ヨーク340aの上面には、段差が形成されて段差壁346aに形成された空間にシールドカバー380が載置される。シールドカバー380は、上部ヨーク340aの上面を密閉して磁気粘性流体10がヨーク部340の外部への漏れを防止することができる。シールドカバー380は、中央にホール389が形成されてシャフト320軸が通過することができる。
【0088】
従来の機械式ジョグダイヤルは、単一触感のみを提供して多様なユーザモードによるパターンの多様性を与えることができず、機械動作による摩耗が問題になる。また、機械式ジョグダイヤル以外にも、振動モータタイプのジョグもあるが、振動モータタイプは、直接触感ではない下部に配された振動モータを通じた間接触感を伝達するので、直接触感伝達に比べて触感伝達力が落ちる。
【0089】
一方、本発明は、コイル部130、230、330から印加する磁場の入力信号によって多様なトルクパターンを形成することができて、ユーザが多様な触感を感じることができ、磁気粘性流体10の状態変化によってせん断力を変化させるので、摩耗に対する問題が解消され、シャフト120、220、320を通じて直接的な触感伝達が可能であるという利点がある。
【0090】
また、本発明は、磁気粘性流体10の物性によって多様なアプリケーションの目的に合わせて特性を制御することができる。例えば、重い触感が要求されれば、粘度が高い磁気粘性流体10の適用などが可能である。
【0091】
図14は、本発明の一実施形態による流体通過ホール147、157、347が形成されたヨーク部140、340a、340b、回転リング150を示す概略図[(a)、(b)]及び流体通過ホール157、157´で磁気チェーンの形態を示す概略図[(c)、(d)]である。図15は、一実験例による流体通過ホール形成前後のトルク値を示すグラフである。
【0092】
図14の(a)、(b)を参照すれば、ヨーク部140、上部ヨーク340a、ヨークリング340bなどには、複数の流体通過ホール(147、347:347a、347b)を形成しうる。また、回転リングにも、複数の流体通過ホール157を形成しうる。流体通過ホール147、157、347は、ヨーク部140、340の面344、344、回転リング150の回転面154のような水平面上で垂直に貫設される。また、これに制限されず、流体通過ホールは、垂直壁146、段差壁346a、346bのような垂直面上で水平に貫設されても良い。
【0093】
図14の(c)を参照すれば、流体通過ホール157は、磁気粘性流体10の磁性粒子11が垂直チェーンを形成する長さをさらに増やすことができる(G1->G2)。すなわち、磁性粒子11のチェーンの長さが元のギャップ(G、G1)の厚さから流体通過ホール157の厚さほどさらに追加されて、ギャップ(G2)に至る長さに形成されうる。これにより、同じ負荷印加に対してTc値の変化量がさらに大きくなり、全体トルクをさらに大きくする。一実施形態によれば、ヨーク部140、340、回転リング150の直径が約10mmである時、流体通過ホール147、157、347の直径は、約0.3mmである。
【0094】
図14の(d)を参照すれば、流体通過ホール157´は、必ずしも垂直(a=90°)に貫設されず、傾いた角度(a)で形成されうる。流体通過ホール157´を傾くように形成するにつれて、より拡張された流体通過ホール157´の表面積に沿って磁性粒子11のチェーンが増える。すなわち、磁性粒子11のチェーンが元のギャップ(G、G1)、流体通過ホール157´の厚さほどさらに追加されたギャップ(G2)に形成されることに加えて、流体通過ホール157´の傾いた面から回転リング150の回転面154、またはヨーク部140の面144まで至るギャップ(G3)にさらに形成される。特に、傾く方向は、回転リング150の回転方向(R)に沿って形成することが望ましい。
【0095】
傾いた角度(a)は、流体通過ホール157´の直径、個数、回転トルクの強度などを考慮して設定されうるが、30~80°傾いた角度(a)で形成されることが望ましい。30°よりも小さければ、流体通過ホール157´が水平面上で過度に大きなサイズに貫通されて流体通過ホールの本来の効果を示しにくく、80°よりも大きければ、垂直である流体通過ホール157とほとんど効果の差が示されなくなる可能性がある。
【0096】
図15の(a)、(b)を参照すれば、10Hz、100Hzで負荷を印加する時、流体通過ホール147、157、347がある場合、トルクがさらに大きく表われることを確認することができる。さらには、磁場が印加されない無負荷である場合にも、流体通過ホール147、157、347がある時、トルクがさらに大きく表われることを確認することができる。これは、流体通過ホール147、157、347内に磁気粘性流体10が流入されることによって、摩擦トルクTf値が増加した結果と見られる。
【0097】
図16は、本発明の一実施形態によるヨーク部140、回転リング150の水平面上のパターン形態を示す概略図である。図16の(a)は、ヨーク部140、回転リング150の概略側断面図、図16の(b1)、(b2)及び(b3)は、概略平面図である。
【0098】
図16の(a)を参照すれば、ヨーク部140の面144上に突出パターン(P1)が形成されるか、回転リング150の回転面154上に突出パターン(P2)が形成されうる。突出パターン(P1、P2)は、ヨーク部140と回転リング150との間の表面積を増やしてより多くの磁気チェーンを形成させうる。これにより、同じサイズの磁気粘性流体回転負荷装置100で回転トルクを増加させうる。突出パターン(P1、P2)だけではなく、ヨーク部140の面144、回転リング150の回転面154の表面を荒くして表面粗度(surface roughness)を高める方式で表面積を増やしてより多くの磁気チェーンを形成させうる。
【0099】
突出パターン(P1、P2)は、ヨーク部140、回転リング150のうち何れか1つのみに形成されても、いずれも形成されても良い。また、突出パターン(P1、P2)は、互いに対向するように形成されるか、交互に形成されうる。
【0100】
図16の(b1)、(b2)及び(b3)を参照すれば、突出パターン(P3、P4)は、ヨーク部140、回転リング150の面144、154上で領域別に形成されうる。突出パターン(P3、P4)の形成領域、形成間隔、角度などは、自在に変更可能である。
【0101】
一例として、突出パターン(P3、P4)がヨーク部140、回転リング150上に互いに対向するように形成されるが、45°ごとに総8個が放射状に形成されうる。図16の(b1)において、ユーザは、SP1地点を基準にシャフト120を時計回り方向に回転させることができる。この際、突出パターン(P3、P4)が互いに対向し、磁気チェーンが短いギャップ(突出パターンの間の距離に対応)内で形成されるので、相対的に強いトルク(T1)が作用することができる。引き続き、図16の(b2)のように、SP2地点で回転させる場合、突出パターン(P3、P4)が互いに対向しない領域では、磁気チェーンが相対的に長いギャップ(ヨーク部と回転リングの面の距離に対応)内で形成されるので、相対的に弱いトルク(T2)が作用することができる。T1からT2に弱くなったトルクが作用するので、ユーザは回転が緩んだ触覚を提供されうる。引き続き、図16の(b3)のように、SP3地点まで回転が到達する場合、再び突出パターン(P3、P4)が互いに対向し、磁気チェーンが短いギャップ(突出パターンの間の距離に対応)内で形成されるので、相対的に強いトルク(T1)が作用することができる。T2からT1に弱くなったトルクが作用するので、ユーザは回転が硬くなった触覚を提供されうる。このように、ユーザがシャフト120を回転する中、トルクが領域別に変化する触感を提供されうる。
【0102】
図17は、本発明の一実験例による磁気粘性流体の粘度によるトルク値を示すグラフである。一例として、標準粘度は、約0.15Pa・s、高粘度は、約0.4Pa・sに設定し、密度は、約2.8g/ml、3.8g/mlに設定した。
【0103】
図17の(a)、(b)を参照すれば、10Hz、100Hzで負荷を印加する時、高粘度磁気粘性流体10の場合、トルクがさらに大きく表われることを確認することができる。これにより、標準粘度で負荷電圧を10V以上に大きくしても、具現しにくいトルク値を高粘度磁気粘性流体10を通じて具現することができる。一例として、5V基準に標準粘度としては、1.5mN・mよりも大きなトルクを具現しにくいが、高粘度としては、2mN・mよりも大きなトルクも具現することができる。特に、車両で12Vの負荷使用時に具現トルク値を最大限増加させて、特定の状況(危険状況、走行時など)で回転負荷装置の回転を防止する応用も可能である。このように、磁気粘性流体10の粘度を磁気粘性流体回転負荷装置100への最大トルクを増加させるように設定して、ユーザの回転操作を防ぐ安全ロック(Safety Lock)の機能を適用することができる。最大トルク値でユーザの回転操作を防ぐ程度の範囲であれば、安全ロックの機能は、粘度の調節以外にも、回転リングとヨーク部との個数、面積(対向面積、表面積など)を増やすか、ギャップ(G)を減らす構造的な変更として具現可能である。また、コイル部により大きな電流を印加する方法としても、安全ロックの機能を具現することができる。
【0104】
安全ロックの機能は、車両で運転中の危ない操作(例えば、走行中、ジョグダイヤルギアの変速)を防止して安全を担保するだけではなく、洗濯機など家電でも、動作中、子供の予期せぬ操作を防止することができる。
【0105】
図18は、本発明の一実施形態による予備入力信号の印加で沈殿された磁気粘性流体が再分散される過程を示す概略図である。図19は、本発明の一実施形態による予備入力信号の印加時に、磁気粘性流体がスパイク状を有する図面である。
【0106】
磁気粘性流体10を適用するに当って、流体(12)内で磁性粒子11の沈降が問題になる。経時的に磁性粒子が下に沈むために、ハウジング110の内部に均一に磁性粒子が分散されない場合、磁気チェーンが正しく形成されない。または、磁気粘性流体回転負荷装置100を持続的に使用するにつれて、磁性粒子11がヨーク部140と回転リング150との間のギャップ(G)で特定の部分に集中される。例えば、第1実施形態の装置100では、ヨーク部140、回転リング150の外郭部分がソレノイドコイル部130に近接するために、チェーンが多く形成され、シャフト120軸に近い内側に行くほどソレノイドコイル部130から遠ざかるために、弱い磁場によってチェーンが相対的に少なく形成されうる。このように、磁性粒子11の沈殿によってギャップ(G)内で特定の領域のみに磁性粒子11が集中し、ハウジング110の内でも、下部領域に磁性粒子11が沈殿されて集中することもある。この状態で直ちに磁気粘性流体回転負荷装置100を動作すれば、既定のサイズと異なるサイズのトルクが表われる。
【0107】
したがって、本発明は、磁気粘性流体回転負荷装置100内で磁性粒子11が沈殿された場合、円滑に再分散させるために、磁気粘性流体回転負荷装置100の動作前、制御部(図示せず)からコイル部130にスパイク、パルス、正弦波の形態の予備入力信号を伝達することを特徴とする。制御部は、磁気粘性流体回転負荷装置100が設定時間以上動作が行われない場合、動作前、コイル部130に予備入力信号を伝達することができる。
【0108】
予備入力信号は、図6で前述した磁気チェーンを構成する入力信号とは区分される。予備入力信号は、磁気粘性流体10内の磁性粒子が移動してギャップ(G)内で垂直または水平方向のうち少なくとも何れか一方向に不完全または完全なチェーン状を成す信号であって、特定の周波数、波形などを有する必要なしに、単数または複数で強い強度の磁場を印加する信号である。また、予備入力信号は、ギャップ(G)の下面[一例として、回転リング150の上面]からギャップ(G)の上面[一例として、ヨーク部140の下面]まで繋がるように磁性粒子11が完全な磁気チェーンを構成する信号である必要もない。図19には、磁性粒子による不完全なチェーン状である多様なスパイク状が例示される。
【0109】
予備入力信号を通じてコイル部130から磁場が印加されれば、磁気粘性流体10内の沈殿された粒子11が磁場の方向にスパイク状のような不完全なチェーン状を成し、同時に、または直後に、磁場の印加が解除されるか、微弱な磁場のみ印加される。これにより、スパイクなどの形状が解除され、スパイクのように不完全なチェーン状を成した磁性粒子11が広がりながらギャップ(G)内から再分散される効果が表われる。
【0110】
一方、制御部は、磁気粘性流体回転負荷装置100の動作電圧V1印加時に、ヨーク部140と回転リング150との間のギャップ(G)で最も少ない高さに形成される磁気チェーンの高さがギャップ(G)の高さよりも低いと判断した場合、それを解消するための予備入力信号電圧V2をV1よりも大きくして印加することができる。
【0111】
図20は、本発明の一実験例による磁気粘性流体の温度によるトルク値を示すグラフである。
【0112】
図20を参照すれば、5V基準に磁気粘性流体の粘性、せん断応力の特性変化によって、初期状態(default状態)よりも高温状態(回転負荷装置の作動状態)になるほど次第にトルクが低くなることを確認することができる。したがって、制御部は、磁気粘性流体回転負荷装置の動作温度を感知した後、初期動作温度に比べて、温度が上昇した場合、温度上昇によるトルクの減少分を相殺できるように磁場の強度、パターンなどを制御して、初期動作温度でのトルク強度を高温状態でも保持することができる。これにより、夏、冬など外部の温度環境に関係なくトルク値の均一性を確保できるという利点がある。
【0113】
図21は、本発明の一実施形態によるABSシステムに適用時のトルク値を示すグラフである。
【0114】
前述したように、本発明の磁気粘性流体回転負荷装置は、ヨーク部140、回転リング150を複数階積層するか、表面積を増加させてトルクを増加させることもでき、第2実施形態のように、コイル部2230を回転リング250に最隣接するように配置してトルクを増加させることもできる。これにより、大きなトルクが必要な対象体に磁気粘性流体回転負荷装置を適用することができる。対象体は、車両のような運送手段になり、磁気粘性流体回転負荷装置は、ブレーキのような制動装置になりうる。
【0115】
特に、本発明は、従来の機械式制動装置のように複雑な構造と多様な部品とを採用して瞬間的に多様なトルク値を変化させるように制御する必要なしに、コイル部から印加する磁場の強度、パターンの変化のみで多様なトルク値を具現することができる。これにより、図21のようなトルク変化を具現するように、ABSシステムに本発明の磁気粘性流体回転負荷装置を適用することができる。
【0116】
車両が急ブレーキをかける時、タイヤが瞬間的にロック(Lock)現象が発生すれば、自動車は制動力を喪失し、地面上で慣性力(走行速度)によって滑る。車両の滑りが発生する瞬間最大静止摩擦力が発生し、滑ってからは摩擦力が相対的に少ない運動摩擦力が作用することができる。ABSシステムは、最大静止摩擦力が作動する短い瞬間を繰り返して発生させて、静止摩擦力が運動摩擦力に変わる時点を継続的に生成するにつれて、摩擦力を極大化することができる。
【0117】
従来のABSシステムは、ブレーキに油圧、減圧を制御するポンプ、アキュムレータなどを含むABSモジュレータがさらに必要であり、静止摩擦力が作動するパターンを速くするのに限界があった。一方、本発明の磁気粘性流体回転負荷装置は、磁場が印加される強度及び周期を制御する簡単な構成でABSシステムを具現できるという利点がある。
【0118】
一実施形態によれば、車両の急制動時に、車両のホイールロック(Wheel Lock)によって車両操向が不可能な点を改善するために、ホイールスリップ率を20%レベルに保持することができる。スリップ率(%)は、{V(車両速度)-V(ホイール速度)}/V(ホイール速度)で算出される。
【0119】
本発明が適用された制動装置は、反復される油圧ブレーキ制御による耐久性の問題を改善することができ、正確なブレーキの制御が可能であり、ABSモジュレータの頻繁な故障を防止できるという利点がある。
【0120】
図22は、本発明の一実施形態による磁気粘性流体回転負荷モジュールを示す概略図である。図23は、本発明の多様な実施形態による磁気粘性流体回転負荷装置が適用された状態を示す。
【0121】
磁気粘性流体回転負荷装置300に多様なユニットを結合して回転負荷モジュールとして応用が可能である。一実施形態によれば、磁気粘性流体回転負荷モジュールは、磁気粘性流体回転負荷装置300にエンコーダセンサー400を結合した形態である。通常軸受390とシャフト320とを結合して回転摩擦力を減らすが、回転速度、位置、方向に対するデータをセンシングするエンコーダに軸受390を結合したエンコーダセンサー400を磁気粘性流体回転負荷装置300に結合することができる。
【0122】
磁気粘性流体回転負荷装置、回転負荷モジュールは、ダイヤル(dial)やホイール(wheel)が装着されたデバイスにいずれも適用が可能である。
【0123】
一例として、車両に適用時に、一般走行モードでジョグダイヤル(回転負荷装置)を設定する時、軽い振動、少ないトルクの触感を提供する一方、スポーツ走行モードでジョグダイヤルを設定する時、強い振動、強いトルクの触感を提供することができる。他の例として、車両でギア変換のためにジョグダイヤルを回す場合、駐車(P)、走行(D)、中立(N)、後退(R)によって振動、トルクの強度を異なって提供することができる。これにより、ユーザは、ジョグダイヤルを肉眼で確認する必要なしに、視線を前方に置いた状態で触感のみで走行モードやギアを容易に変換させうる。
【0124】
他の例として、図23の(a)のように、洗濯機400、電子レンジなどのUI(user interface)に磁気粘性流体回転負荷装置100が適用されて、各種の駆動モードに対応する位置にダイヤル[シャフト120]が位置づけられ、駆動モードによる多様な触覚を提供することができる。一例として、洗濯機400で一般洗濯モードに設定時には、柔らかい回転触感を提供しながら、強力洗濯モードに設定時には、強いトルクとして回転触感を提供することができる。
【0125】
また、図23の(b)のように、マウス500のホイールに適用して使用環境によるホイール操作のトルクが変化して多様なハプティック触覚を提供することができる。一例として、ゲーム中に危機状況が発生した場合、ホイールの駆動のためのトルクが強くなる。また、図23の(c)のように、マウスホイールを用いて左右に動くレンガ割りゲーム600をする時、ホイールを上下方向に操作して左右に反射体610を動かす中に、ホイールを上部方向に駆動して左側縁部まで反射体610が移動して、これ以上移動する空間がない時、上部方向に駆動するマウスホイールのトルクが強くなって、これ以上操作が困難であり、下部方向へのマウスホイールの駆動のみ許可される。また、反射体610にボール620が反射する瞬間、ホイールの剛性を瞬間変化させて、ボール620が反射する状態をユーザに触覚で直ちに提供することもできる。
【0126】
前記のように、本発明は、回転負荷装置の回転時に、多様な入力信号によって多様なパターンを作ることができて、ユーザ触感を、多様であり、高級感を感じさせる効果がある。また、本発明は、回転トルクを変化させ、生産コストを節減することができ、装置の小型化が容易であり、磁気粘性流体10のせん断特性や粘度を用いて目的に合う多様な適用が可能な効果がある。
【0127】
本発明は、前述したように望ましい実施形態を挙げて図示して説明したが、前記実施形態に限定されず、本発明の精神を外れない範囲内で当業者によって多様な変形と変更とが可能である。そのような変形例及び変更例は、本発明と添付の特許請求の範囲の範囲内に属するものと認めなければならない。
【符号の説明】
【0128】
10 磁気粘性流体
11 磁性粒子
12 媒体
100、200、300 磁気粘性流体回転負荷装置
110、210、310 ハウジング
120、220、320 シャフト
130、230、330 コイル部
140、240、340 ヨーク部
150、250、350 回転リング
G ギャップ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14(a)】
図14(b)】
図14(c)】
図14(d)】
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23(a)】
図23(b)】
図23(c)】
【国際調査報告】