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特表2023-516298摩擦制限タービン発電機ジャイロスコープ方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】摩擦制限タービン発電機ジャイロスコープ方法および装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 9/25 20160101AFI20230412BHJP
   H02K 7/18 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
F03D9/25
H02K7/18 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551625
(86)(22)【出願日】2021-02-28
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 US2021020174
(87)【国際公開番号】W WO2021174177
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/983,547
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520367588
【氏名又は名称】エアーボーン モーター ワークス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルセル,ジェシー アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】キメンティ,ジェフリー スコット
【テーマコード(参考)】
3H178
5H607
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB35
3H178DD12X
3H178DD26X
5H607BB02
5H607BB07
5H607CC05
5H607DD03
5H607FF26
5H607GG17
(57)【要約】
摩擦制限タービンジャイロスコープは、運動する流体のエネルギーを電気エネルギーに変換するためのコンパクトかつ効率的な手段である。ジャイロスコープのフライホイールが、流体がフライホイールのスポークを通過するときに回転する一方で、周囲に沿って配置された磁石が、近接する可動界磁コイルに作用して電気を発生させる。フライホイールのスポークは、フライホイールがあらゆる条件において表面上を通過する流体からより多くのエネルギーを捕捉することができるように、成形された記憶合金を使用して変化することができるとともに、圧力中心を中心にして回転することができることで、流体の流れおよび密度に対して最適化される。ジャイロスコープによって生み出される固有の安定化効果ゆえに、機械的エネルギー損失が低減される。安定化ゆえに、磁気軸受場がジャイロスコープを効果的に支持し、回転における機械的干渉を排除する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央の回転可能なハブに取り付けられた複数のブレードであって、各々のブレードの形状が、前記ブレードを通過する運動する流体からエネルギーを抽出するように構成可能である複数のブレードと、
前記複数のブレードの先端部を取り囲み、前記ハブおよび前記ブレードと一緒に回転するように構成された周辺リングと、
前記周辺リングに一体化された複数の永久磁石と、
前記周辺リングおよび一体化された磁石を取り囲み、非回転のハブ上に複数の界磁コイルを含んでいるエンクロージャと、
前記複数のブレードの形状を監視し、抽出されるエネルギーを最大化すべく調整するように構成されたコンピュータ装置と
を備える、電気エネルギー生成用タービンジャイロスコープ。
【請求項2】
各々のブレードは、風を受けるための表面を画定する前縁および後縁を有する、請求項1に記載のジャイロスコープ。
【請求項3】
前記ハブを覆うノーズコーンをさらに備え、前記ノーズコーンは、前記ジャイロスコープに近づく空気塊を前記ハブの周囲に前記複数のブレードへと導くように変化させるように構成されている、請求項1に記載のジャイロスコープ。
【請求項4】
前記磁気リングに一体化された前記磁石は、前記ジャイロスコープを安定させる、請求項1に記載のジャイロスコープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年2月28日付の米国特許仮出願第62/983,547号からの優先権を主張し、その内容は、その全体がここに援用される。
【0002】
本発明は、垂直離着陸(VTOL)または超短離離着陸(VSTOL)飛行体の推進に使用される電気推進システムの分野に関する。より具体的には、本発明は、運動する流体のエネルギーをVTOL/VSTOL航空機の動作に使用するための電気エネルギーに変換するためのコンパクトかつ効率的な手段である摩擦制限タービンジャイロスコープを備える。
【背景技術】
【0003】
タービン発電機は、界磁コイルから電子を解放することによって流れる気体または液体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。典型的には、風力タービンの例において、プロペラブレードに作用する風がギアボックスを回転させ、ギアボックスがモータを回転させる。現時点において使用されている構成は、効果的ではあるが、ギアボックスおよび軸受アセンブリによってエネルギーを失う傾向がある。さらに、タービンにおける不安定性により、構成要素に過度の摩耗が生じる可能性があり、極端な状況においては、タービンを損傷から保護するために、タービンを減速させ、あるいは停止させなければならない。エネルギーを捕捉するために、発電機は大きくかつ複雑になる傾向がある。
【0004】
したがって、現在の設計においてもたらされるよりも高い割合で推進流体の流れからのエネルギーを電気エネルギーに変換するコンパクトであり、自己安定性を有し、効率的であるタービンジャイロスコープ設計が必要とされている。これは、機械的損失を制限し、より効率的なスポーク/ブレードフライホイール/ロータを使用することによって達成される。本発明は新規なジャイロスコープ設計であるため、ジャイロスコープが生み出す固有の安定化効果が、本発明およびその支持体/軸受に加わる応力を低減し、磁気型ころ軸受の実行可能性を可能にする。より効率的かつ最適なスポーク/ブレード設計が、拡大または収縮するようにスポーク/ブレードの断面の変形を可能にする方法によって達成される。さらに、スポーク/ブレードは、それらの圧力中心の周りで回転することができ、フライホイールがあらゆる条件においてそれらの表面を通過する流体からより多くのエネルギーを捕捉することを可能にする。本発明は、現状の設計よりもコンパクトであり、都市部またはその近郊により容易に配置することができる。一例として、本発明を高層ビルの上部に配置することができる。
【発明の概要】
【0005】
摩擦制限タービンジャイロスコープは、気体/流体がそれらを流れるときにジャイロスコープを回転させる空気力学的に成形されたスポークを組み込んだ水平に向けられたジャイロスコープフライホイールから組み立てられる。スポークは、電流が導入されたときに形状を変化させる成形された記憶合金を含む可撓性複合材料の使用によって膨張または収縮することができる内桁を含む。代替の実施形態においては、圧縮された気体の導入、または電気機械的サーボ機構によって、内桁を膨張させることができる。ブレードは、桁の高さの変化に伴って拡大または収縮し、成形された記憶合金を一体化して所望の表面形状を生成することができる可撓性の外被を有する。ブレードの形状は、流入する推進流体の速度および密度の変化に合わせて調整される。さらに、スポーク/ブレードは、サーボ機構の作動によってそれらの圧力中心の周りで回転可能である。中央コンピュータが、流体の変化を監視し、可能な限り多くのエネルギーを捕捉するために必要な変更を行う。
【0006】
フライホイールの回転を電気エネルギーに変換するために、周囲に沿って永久磁石が一体化され、フライホイールの回転を電気エネルギーに変換するために界磁コイルが近接して配置される。さらに、永久磁石の質量は、フライホイールの角運動量を増幅して、より強いジャイロスコープ慣性を生み出すように機能する。タービン発電機ジャイロスコープの最適な調整のために、例えば弱風において遠ざけ、あるいは強風において近づけるなど、界磁コイルとフライホイールの永久磁石との間の距離を変更して、さまざまな環境条件におけるエネルギー生成を最適化することができる。ジャイロスコープ安定化効果ゆえに、本発明を、機械的応力および摩擦に起因するエネルギー損失を排除する磁気軸受場によって容易に支持することができる。きわめて低エネルギーの状況(例えば、速度の遅い風)においては、界磁コイルの一部をフェージング電気で励磁して、発電機の一部をモータに変えることができる。少数の界磁コイルに通電することによって、慣性を保ち、正味の正のエネルギー出力を生成することができる。
【0007】
本発明の好ましいいくつかの例が、以下の図面を参照して、以下で詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の摩擦制限タービン発電機ジャイロスコープの正面図を示している。
図2】本発明の一実施形態の摩擦制限タービン発電機ジャイロスコープの側面断面図を示している。
図3】本発明の一実施形態の桁を収縮させた小さな断面を有するフライホイールブレードの断面図を示している。
図4】本発明の一実施形態の桁を拡大させた大きな断面を有するフライホイールブレードの断面図を示している。
図5】本発明の一実施形態の代替の実施形態の2部構成フライホイールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書において使用されるとき、「および/または」という用語は、この用語に関連して列挙される項目のうちの1つ以上からなるありとあらゆる組み合わせを含む。本明細書において使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、そのようでないことが文脈から明らかでない限り、複数形および単数形を含むように意図される。さらに、「・・・を備える(comprises)」および/または「・・・を備えている(comprising)」という用語が、本明細書において使用されるとき、そこで述べられる特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはこれらのグループの追加を排除するものではないことを、理解できるであろう。
【0010】
とくに定義されない限り、技術用語および科学用語を含む本明細書において使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書において定義されている用語などの用語が、関連技術および本開示の一文脈におけるそれらの意味に矛盾しない意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義されない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味では解釈されないことを、理解できるであろう。
【0011】
本発明の説明において、いくつかの技術およびステップが開示されることが理解されよう。これらの各々は、個々の利益を有し、各々を、他の開示された技術のうちの1つ以上(または、場合によってはすべて)と共に使用することも可能である。したがって、明確にするために、この説明は、個々のステップのすべての可能な組み合わせを不必要に繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書および特許請求の範囲は、そのような組み合わせが完全に本発明および特許請求の範囲の技術的範囲に包含されるという理解で解釈されるべきである。
【0012】
新規な摩擦制限タービン発電機ジャイロスコープ方法および装置が、本明細書で説明される。以下の説明においては、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的詳細が記載される。しかしながら、本発明をこれらの具体的詳細によらずに実施できることは、当業者にとって明らかであろう。
【0013】
本開示は、本発明の例示と見なされるべきであり、本発明を以下の図または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0014】
次に、本発明を、好ましいいくつかの実施形態を示している添付の図面を参照することによって説明する。図1が、本発明の種々の実施形態による新規な摩擦制限タービン発電機ジャイロスコープ装置(「装置」)を構成することができる要素の正面図を示している。図1および図2に関して示されるように、好ましい実施形態において、一般的なアセンブリの正面および側面断面は、中央ハブ12を備え、軸と、軽量な複合材料、アルミニウム、または別の適切な材料で製作されてよい複数の回転可能なスポーク16Aとによって支持された周辺リング14で構成された少なくとも1つの中央ジャイロスコープフライホイールで構成された装置の要素の各々を含む。周辺リング14は、フライホイールの外周に沿って複数の永久磁石20を受け入れるように構成される。磁石は、所定の場所に接着されてよく、図には示されていないが、フライホイールが回転するときに磁石を所定の位置に保つための追加の手段を備えても、備えなくてもよい。
【0015】
特定の実施形態においては、複数の垂直突起が複数の磁石を隔て、ジャイロスコープの周囲の表面積を等しく分割する。磁石は、フライホイールをタービン発電機ジャイロスコープの電機子に変える。磁石に、電気を発生させるために、複数の界磁コイル24が巻き付けられた複数のステータフィンガ22を含む外部ステータが作用する。界磁コイルは、複数の電圧レギュレータに個別に接続され、互いに独立した動作を可能にする。例えば弱風など、低エネルギーの状況においては、慣性を維持して正味の正のエネルギー生成をもたらすために、フェージングエネルギーを選択された数の界磁コイルに送ることができる。フィンガおよび界磁コイルは、好ましくは、フライホイールリング上の磁石からの距離を、スポークを通過するエネルギーの量に基づいて増加または減少させることができるように、制御アーム28によってサーボ機構26に接続される。流れが強い場合、ステータフィンガが近付けられ、流れが弱い場合、ステータフィンガは、ジャイロスコープのフライホイール磁石への抗力を低減するために、遠ざけられる。
【0016】
中央ハブ12は、端点10A、10Bを有する中心軸10を受け入れるように構成され、端点10A、10Bは、図示されていない周囲の支持構造体に接触するがゆえに、本発明の望ましくない水平方向の移動を制限する。軸は、軸上に配置された複数の永久磁石18Aが本発明の支持構造18B内に配置された複数の対向する永久磁石と共に発生させる磁場によって支持される。軸の磁石における磁場が、支持構造の磁石における磁場に対抗し、本発明を磁場において浮遊させる。軸の端部は、ジャイロスコープによって引き起こされる水平方向の運動および歳差運動を制限する役割を果たし、本発明がきわめて少ない摩擦で回転することを可能にする。フライホイールは、磁気軸受に加わる歪みを制限するジャイロスコープ慣性を生じさせ、本発明の中心および釣り合いの維持における有効性を高める。
【0017】
図1図3を参照して示されるように、スポーク/ブレード16は、電流が作用したときに形状を変化させることができる成形された記憶合金を含む複合材料から製作される。図3および図4を参照して示されるように、中央桁34Aおよび34Bも、スポーク/ブレード上を通過する流体の変化し得る速度および密度を巧みに利用するために、桁が薄い断面34Aからより厚い断面34Bへとその形状を変化させることを可能にする成形された記憶合金を含む複合材料から製作される。外被の成形された記憶合金は、桁と協働して所望の翼形を維持する。コンピュータ監視装置が、流入する流体を常に監視し、運動する流体から可能な最大量のエネルギーを抽出するようにスポーク/ブレードを調整する。図2を参照して説明したように、ブレードは、外側支持シャフトを受け入れる軸受14Bと、内側シャフトを支持する図示されていないハブに位置するさらなる軸受により、両端部において支持シャフトを中心にして枢動可能に保持される。
【0018】
フライホイールスポーク/ブレード上を通過する流体にわずかな運動しか存在しないとき、フライホイールを推進させて、慣性の維持を助けることができるフェージング電流を、複数のステータフィンガおよび界磁コイルに送ることができる。フライホイールの回転の維持に必要な最小限の数のコイルのみが利用される。フライホイールを回転させるための推進気体に運動が存在しない場合、界磁コイルは通電されない。
【0019】
図5を参照して説明されるように、代替の実施形態においては、外側および内側フライホイール部分42、44が、互いに独立して、異なる速度で動作し、あるいは、これに限られるわけではないが例として海洋潮汐など、2方向に運動する流体において利用される場合に逆回転で動作する。2つのフライホイール部分は、界磁コイル48、50が巻き付けられたフィンガを有するステータ部分40によって隔てられる。中央ハブが、装置を支持するための磁気軸受システムを含む。
【0020】
代替の実施形態においては、装置に使用される磁気軸受システムが、図示されていないが、より伝統的な鋼製またはセラミック製のころ軸受で置き換えられる。
【0021】
代替の実施形態において、ジャイロスコープはハブを持たず、図示されていない周囲の軸受システムによって支持される。
【0022】
代替の実施形態において、フライホイールスポーク/ブレードは、不変の断面を有し、炭素繊維、アルミニウム、または任意の適切な材料から作られる。
【0023】
代替の実施形態において、ジャイロスコープ外側リングを、分割された磁性材料で構成することができる。
【0024】
代替の実施形態において、ブレードは、一方の端部において、支持シャフトを中心にして枢動可能に保持される。フライホイールのスポーク/ブレードは、永久磁石で作られ、あるいは永久磁石で含浸される。必要に応じて、外側リングを除去することができる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態を図示および説明してきたが、上述したように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数の変更を行うことができる。したがって、本発明の範囲が、好ましい実施形態の開示によって限定されることはない。
排他的な所有権または特権が主張される本発明の実施形態は、以下のように定義される
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】