(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】内燃機関の燃焼室用の副室点火プラグ、内燃機関および自動車両
(51)【国際特許分類】
F02B 19/12 20060101AFI20230412BHJP
F02B 23/10 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
F02B19/12 A
F02B23/10 310A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552504
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(85)【翻訳文提出日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2021053609
(87)【国際公開番号】W WO2021175573
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】102020001382.1
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・ホーリー
【テーマコード(参考)】
3G023
【Fターム(参考)】
3G023AA01
3G023AB01
3G023AC01
3G023AD23
3G023AD27
3G023AD28
(57)【要約】
本発明は、内燃機関の燃焼室用の副室点火プラグ(10)に関し、副室(12)を有し、副室(12)は、複数の開口部(16,B1,B2)を有し、かつ、開口部(16,B1,B2)を介して燃焼室に流体的に接続されることができ、燃料空気混合気が開口部を介して燃焼室から副室(12)に導入されることができるものであり、ここで、副室(12)の長手伸長方向(24)に延び、かつ副室(12)を等しい大きさの2つの半分(H1,H2)に分割する仮想平面(E1)に対して、開口部(16,B1,B2)の複数の第1の開口部が前記半分(H1、H2)の第1の半分に配置され、かつ開口部(16,B1,B2)の複数の第2の開口部が第2の半分(H2)に配置されるものであり、第1の開口部(B1)は、前記平面(E1)とで各第1の角度(α1)を囲むものであり、第2の開口部(B2)は、前記平面(E1)とで各第2の角度(α2)を囲むものであり、第1の角度(α1)の平均値は第2の角度(α2)の平均値よりも大きいものであり、および、開口部(16)は、前記平面(E1)上を延びる仮想軸(A)を中心に回転非対称となるように設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃焼室用の副室点火プラグ(10)であって、副室(12)を有し、前記副室(12)は、複数の開口部(16,B1,B2)を有し、かつ、前記開口部(16,B1,B2)を介して前記燃焼室に流体的に接続されることができ、燃料空気混合気が前記開口部を介して前記燃焼室から前記副室(12)に導入されることができるものであり、ここで、前記副室(12)の長手伸長方向(24)に延び、かつ前記副室(12)を等しい大きさの2つの半分(H1,H2)に分割する仮想平面(E1)に対して、前記開口部(16,B1,B2)の複数の第1の開口部が前記半分(H1、H2)の第1の半分に配置され、かつ前記開口部(16,B1,B2)の複数の第2の開口部が第2の半分(H2)に配置されるものであり、前記第1の開口部(B1)は、前記平面(E1)とで各第1の角度(α1)を囲むものであり、前記第2の開口部(B2)は、前記平面(E1)とで各第2の角度(α2)を囲むものであり、前記第1の角度(α1)の平均値は前記第2の角度(α2)の平均値よりも大きいものであり、および、前記開口部(16)は、前記燃料空気混合気が流れることができる流れ断面をそれぞれ有し、前記平面(E1)上を延びる仮想軸(A)を中心に回転非対称となるように設計される、前記副室点火プラグ(10)において、
前記第1の半分(H1)に配置される前記第1の開口部(B1)の数が、前記第2の半分(H2)に配置される前記第2の開口部(B2)の数よりも大きいものであり、ここで、前記開口部(16)はボアとして設計され、および/または、前記副室(12)は、前記軸に対して回転対称に設計され、および/または、
前記第1の半分(H1)に配置される前記第1の開口部(B1)の流れ断面の合計が、前記第2の半分(H2)に配置される前記第2の開口部(B2)の流れ断面の合計よりも大きいものであり、ここで、前記開口部(16)はボアとして設計され、および/または、前記副室(12)は前記軸に対して回転対称に設計され、および/または、
少なくとも2つの前記開口部(16)の流れ断面は、その形状に関して互いに異なることを特徴とする、前記副室点火プラグ(10)。
【請求項2】
それぞれの前記角度(α1,α2)は、前記副室(12)の長手伸長方向(24)に延び、かつ前記平面(E1)に対して斜めまたは垂直に延びる、それぞれの角度平面上にあることを特徴とする、請求項1に記載の副室点火プラグ(10)。
【請求項3】
前記平面(E1)と各前記角度平面が、前記仮想軸(A)で交差することを特徴とする、請求項2に記載の副室点火プラグ(10)。
【請求項4】
前記開口部(16、B1、B2)が仮想円に沿って配置され、前記仮想円の中心点(M)は前記軸(A)上にあり、前記平面(E1)は前記円を等しい大きさの2つの半分に分割することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の副室点火プラグ(10)。
【請求項5】
前記第1の半分(H1)に配置される前記第1の開口部(B1)の流れ断面は、前記第2の半分(H2)に配置される前記第2の開口部(B2)の流れ断面よりも大きいことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の副室点火プラグ(10)。
【請求項6】
自動車両用の内燃機関であって、少なくとも1つの燃焼室を有し、および副室点火プラグ(10)を有し、前記副室点火プラグ(10)は前記燃焼室に割り当てられ、かつ複数の開口部(16,B1,B2)を有する副室(12)を有し、前記副室(12)は、前記開口部(16,B1,B2)を介して前記燃焼室に流体的に接続され、燃料空気混合気が前記開口部を介して前記燃焼室から前記副室(12)に導入されることができるものであり、ここで前記副室(12)の長手伸長方向(24)に延び、かつ前記副室(12)を等しい大きさの2つの半分(H1、H2)に分割する仮想平面(E1)に対して、前記開口部(16、B1、B2)の複数の第1の開口部が前記半分(H1、H2)の第1の半分に配置され、かつ前記開口部(16、B1、B2)の複数の第2の開口部が第2の半分(H2)に配置されるものであり、前記第1の開口部(B1)は、前記平面(E1)とで各第1の角度(α1)を囲むものであり、前記第2の開口部(B2)は、前記平面(E1)とで各第2の角度(α2)を囲むものであり、前記第1の角度(α1)の平均値は前記第2の角度(α2)の平均値よりも大きいものであり、および、前記開口部(16)は、前記燃料空気混合気が流れることができる流れ断面をそれぞれ有し、前記平面(E1)上を延びる仮想軸(A)を中心に回転非対称となるように設計される、前記内燃機関において、
前記第1の半分(H1)に配置される前記第1の開口部(16)の数が、前記第2の半分(H2)に配置される前記第2の開口部(B2)の数よりも大きいものであり、ここで、前記開口部(16)はボアとして設計され、および/または、前記副室(12)は前記軸に対して回転対称に設計され、および/または、
前記第1の半分(H1)に配置される前記第1の開口部(B1)の流れ断面の合計が、前記第2の半分(H2)に配置される前記第2の開口部(B2)の流れ断面の合計よりも大きいものであり、ここで、前記開口部(16)はボアとして設計され、および/または、前記副室(12)は前記軸に対して回転対称に設計され、および/または、
少なくとも2つの前記開口部(16)の流れ断面は、その形状に関して互いに異なることを特徴とする、前記内燃機関。
【請求項7】
請求項6に記載の内燃機関を有する自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の前文による、特に自動車両の内燃機関の燃焼室用の副室点火プラグに関する、さらに本発明は、請求項6に記載の前文による、自動車両用の内燃機関に関する。本発明はまた、自動車両、特に自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、内燃機関の燃焼室配置の予燃焼室先端を開示している。さらに、予燃焼室は特許文献2から知られている。特許文献3は、内燃機関用の副室点火プラグを開示している。特許文献4は、内燃機関を開示している。また、内燃機関の燃焼室用の副室点火プラグは、特許文献5から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP 2 700 796 A1
【特許文献2】US 2013/0055986 A1
【特許文献3】特開2012-211 594号公報
【特許文献4】DE 10 2018 117 726 A1
【特許文献5】DE 10 2018 007 093 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、内燃機関の特に有利な運転が実現され得るような、内燃機関の燃焼室用の副室点火プラグ、このような副室点火プラグを少なくとも1つ有する内燃機関、および自動車両を創出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有する副室点火プラグによって、請求項6の特徴を有する内燃機関によって、および請求項7の特徴を有する自動車両によって解決される。本発明の好都合な展開を伴う有利な実施形態は、残りの請求項で特定される。
【0006】
本発明の第1の態様は、特に自動車両用の、内燃機関とも呼ばれる燃焼機関の燃焼室用の副室点火プラグに関する。副室点火プラグは、例えば貫通開口部の形態の複数の開口部を伴う副室を有し、この開口部を介して副室が燃焼室に流体的に接続されるかまたは接続され得る。特に、開口部は、好ましくはその延長線全体に亘って直線でまたは直線状に延びることができる。単に混合気とも呼ばれる燃料空気混合気は、燃焼室からそれぞれの開口部を介して副室に導入されることができる。例えば、少なくとも1つの点火火花を副室内に発生させることができる。この目的のために、副室点火プラグは、例えば、副室内に少なくとも部分的に配置される少なくとも1つの電極装置を含む。電極装置によって、前述の点火を副室内に発生させることができる。点火火花によって、開口部を介して副室に流入する燃料空気混合気が点火されまたは着火され、続いて燃焼されることができ、その結果、例えば、混合気の点火から生じる炎または燃焼フレアが、開口部を介して副室から流出し、燃焼室に到達または流入することができる。その結果、燃焼室内に残留する混合気は、例えば、燃焼室内で点火され燃焼される。
【0007】
各開口部はそれぞれの流れ断面を有し、それを介して混合気または各フレアが流れることができる。したがって、それぞれの流れ断面は、例えば、混合気が流れることができる面であり、または、表面または表面積を有し、それを通って混合気が流れることができる。
【0008】
燃焼機関の特に有利な動作を実施できるようにするために、本発明に従って、副室の長手伸長方向に延び、したがって副室の、したがって副室点火プラグ全体の長手伸長方向に平行に延び、副室を2つの等しい半分に分割または細分化する架空または仮想平面に対して、開口部の複数のすなわち少なくとも2つの第1の開口部が副室の第1の半分に配置され、そして開口部の複数のすなわち少なくとも2つの第2の開口部が副室の第2の半分に配置されることが、提供される。副室の各半分は、例えば副室半分とも呼ばれる。ここで、第1の開口部は、第1の平面ともいう平面とで、特に第1の半分にあるそれぞれの第1の角度を囲む。換言すれば、それぞれの第1の開口部、または第1の開口部のそれぞれは、前記平面とで、例えば第1の半分にあるまたは第1の半分に属するそれぞれの第1の角度を囲む。さらに、第2の開口部は、前記平面とで、特に第2の半分にあるそれぞれの第2の角度を囲む。換言すれば、それぞれの第2の開口部、または第2の開口部のそれぞれは、前記平面とで、例えば第2の半分にあるまたは第2の半分に属するそれぞれの第2の角度を囲む。それぞれの開口部が前記平面とでそれぞれの角度を囲むという特徴は、特に以下のように理解されるべきである。すなわち、それぞれの開口部は、例えば、混合気によってまたはそれぞれのフレアによってそれぞれの開口部を流れることができる通過方向を有する。通過方向は、例えば、各開口部のそれぞれの開口軸に沿って延びることになり、例えば、各開口軸は、それぞれ直線である。したがって、混合気またはフレアは、直線に沿ってそれぞれの開口部を通って流れることができる。特に、ここで各開口部の各流れ断面は、各開口部平面上を延び、ここで各開口部平面が各開口部の各開口軸に対して垂直に延びることが考えられる。特に、各開口部または各開口部の各流れ断面は、開口軸に対して回転対称に形成することができる。ここで、各第1の開口部のそれぞれの開口軸は、前記平面とでそれぞれ第1の角度を囲み、各第2の開口部のそれぞれの開口軸は、前記平面とでそれぞれ第2の角度を囲む。それぞれの開口部またはそれぞれの開口軸と前記平面とで囲まれるそれぞれの角度は、特に、それぞれの開口部またはそれぞれの開口軸と前記平面とで囲まれる角度の最小または最小限であると理解されるべきである。
【0009】
さらに、第1の角度の平均値が第2の角度の平均値よりも大きいことが本発明によって提供される。特に、それぞれの平均値は算術平均値として理解され、算術平均とも呼ばれる。したがって、例えば、第1の平均値は、第1の角度のまたは全ての第1の角度の数によって、第1の角度のまたは全ての第1の角度の合計を除算することによって、すなわち割ることによって得られる。したがって、例えば、第2の平均値は、第2の角度のまたは全ての第2の角度の数によって、第2の角度のまたは全ての第2の角度の合計を除算することによって、すなわち割ることによって得られる。
【0010】
さらに、開口部が、平面上を延びる仮想軸を中心に回転非対称になるように設計されていることが本発明に従って提供される。これは、例えば、開口部が軸の周りに非対称に、すなわち不均一に分布して配置され、したがって軸の周りを延びる副室または副室点火プラグの周方向に配置されることを意味する。代替的にまたは付加的に、開口部が軸周りで回転非対称になるように設計または形成されるという特徴は、軸の周りの開口部または全ての開口部が、特に異なる角度に関して、不均一または無秩序な様式で、すなわち規則的な順序に従うことなく、互いに後に続くことを意味するものと理解することができる。換言すれば、回転非対称な構成は、軸の周りの角度または全ての角度が不均一または無秩序である、すなわち規則的な順序で互いに後に続かないことを意味すると理解することができる。
【0011】
さらに、少なくとも2つの開口部は、それらの幾何学的形状、特にそれらの各流れ断面の幾何学的形状に関して互いに異なり、それによって、特に軸の周りに、回転非対称な配列を示すことが考えられる。これは、特に、これらの少なくとも2つの開口部の流れ断面が、特にそれらの形状および/または大きさ、すなわち面積または表面積に関して互いに異なることを意味し、ここで、少なくとも2つの開口部または好ましくは全ての開口部は、軸の周りに回転非対称な配列を有する。これは、特に、軸周りの少なくとも2つの開口部または好ましくは全ての開口部が、不均一または無秩序な様式で互いに後に続く、すなわち規則的な順序に従っていないことを意味する。
【0012】
角度の平均値は互いに異なるため、開口部が、副室の周方向に、したがって回転非対称に、例えば、副室の長手方向に延びる軸の周りに、または副室の長手方向の延長に平行に、配置または設計されることが、本発明に従って提供される。上記軸は、例えば、副室の長手方向の中心軸であり、主軸とも呼ばれ、副室は、例えば、その軸に対して、または長手方向軸とも呼ばれる長手方向中心軸に対して、回転対称とすることができる。
【0013】
特に、開口部は、軸の周りに、すなわち軸に対して、回転非対称に形成されることが提供され得る。これは、例えば、特に、開口部が、軸の周りに、したがって軸の周りに延びる副室または副室の周方向に、全体的に非対称に、すなわち不均一に分布して配置されることを意味すると理解されるべきである。代替的にまたは付加的に、開口部が軸を中心に回転非対称に設計または形成されるという特徴は、少なくとも2つの開口部が、それらの幾何学的形状、特にそれらの各流れ断面の幾何学的形状に関して互いに異なることを意味するものと理解することができる。これは、特に、これらの少なくとも2つの開口部の流れ断面が、特にそれらの形状および/または大きさ、すなわち面積または表面積に関して互いに異なることを意味する。
【0014】
本発明に従って提供される開口部の回転非対称な配置または設計のために、開口部は、開口部を通って流れ、したがって開口部を介して副室に流入する燃料空気混合気の、円筒流、ローラ流またはタンブル流とも呼ばれるタンブル状の流れを引き起こすように設計される。換言すれば、燃焼機関の燃焼運転中、例えば、それらの配置および/またはそれらの数および/またはそれらの幾何学的形状のために、開口部は、単に混合気とも呼ばれる燃料空気混合気のタンブル状の流れを引き起こすものであり、この混合気は開口部を流れ、それによって燃焼室から副室に流れ込み、これにより、副室内でタンブル状の流れを有する。再び換言すれば、例えば貫通開口部として形成される開口部は、タンブル流とも呼ばれる、少なくとも実質的にタンブル状の、したがって円筒状の流れを、開口部を通って、したがって主燃焼室とも呼ばれる燃焼室から副室内に流れ出る混合気上に付与し、これにより副室点火プラグの、ひいては燃焼機関全体の特に有利な動作が実現され得る。タンブル状の流れは、少なくともまたは正確に1つのローラ平面上で少なくとも実質的に円筒状である流れである。このローラ平面は、例えば、副室点火プラグの長手伸長方向に延び、ここで、ローラ平面は、例えば、平面上、または前述の平面に対して斜めまたは垂直に延びる。特に、タンブル状の流れは、ロール軸の周りをロール状に延び、このロール軸はロール平面に対して垂直に延び、したがって、ロール平面の法線であるかまたは平面である。例えば、ローラ軸は前述の平面内を延びる。
【0015】
特に軸に対して回転対称であり、そして、例えば、主軸の周りまたは副室の案内軸の周りに螺旋状またはリング状に延びる流れとは対照的に、タンブル状の流れは、例えば、伸びるローラ流とも呼ばれる円筒状の流れであり、ローラ平面内の少なくとも一部に延び、またはローラ平面内で延び、その上に例えば軸、特に主軸が横たわりまたは延びる。前述の従来から提供される回転対称の流れは、特に軸に対して回転対称である開口部の配置および設計から生じ得るものであるが、ここで、本発明によれば、軸に対して回転非対称である開口部の配置または設計が提供される。
【0016】
タンブル流は、いくつかの方法で副室内の燃焼にプラスの影響を与え、それによって、副室点火プラグまたは副室内の特に大きな動作範囲を実現することができる。一方では、例えば、それぞれの電極によって、特に電極のそれぞれの端部によって形成または画定される点火プラグギャップの領域において、残留ガスのより良好なフラッシングが存在する。この電極は、例えば、前述の電極装置の電極である。特に自由端部は、例えば副室内に配置される。副室内の混合気に点火するための点火火花は、例えば電極によって点火プラグギャップに発生させることができる。フラッシングの改善により、より安定した点火が保証される。従来の点火プラグと比較して、ノズルとも呼ばれる、またはノズルとして設計された開口部の方向への初期火炎コアのより好ましい対流がある。より良いフラッシングおよびより好ましい対流のために、特に例えば接地電極として設計される電極のより低い侵入深さに関して、副室点火プラグのそれぞれの電極のより燃焼に有利な設計を達成することができる。これにより、表面積が小さくなり、壁の熱損失が低くなる。これにより、従来の副室点火プラグと比較して、早期着火の傾向を低減することができる。
【0017】
従来の副室点火プラグでは、開口部は、特にそれらの回転対称配置のために、開口部を流れる、したがって燃焼室から副室に流れる混合気の少なくとも実質的に回転対称な流れを引き起こす。この欠点は、初期火炎コアが対流されないか、または副室ノズルとも呼ばれる開口部から離れて対流されることである。従来の副室点火プラグにおける点火プラグギャップの領域における残留ガス含有量を十分に低くするためには、通常、副室の奥深く突出する長い電極を使用しなければならない。これにより副室内の亀裂表面と大きな欠損容積が生じる。前述の問題および欠点は、本発明による副室点火プラグを用いて回避することができる。
【0018】
副室内の燃焼は、タンブル流によって安定化および改善される。これにより、副室点火プラグの作業領域が拡大し、アイドリング時の着火がより安定し、前負荷時の早期着火のリスクを低減することができる。さらに、燃焼の改善は、副室内のより大きな圧力増加をもたらし、その結果、燃焼室へのより深いフレアの侵入深さをもたらす。これにより、主燃焼室とも呼ばれる燃焼室での燃焼も向上する。フレアの侵入深さは、特に、フレアが副室または燃焼室に侵入する距離または深さまたは経路として理解されるべきである。各フレアは、混合気が副室内で点火され、その後燃焼されるという事実から生じる。
【0019】
従来、副室点火プラグは、副室内の流れ構造に応じて区別されることができる。特に、従来技術によれば、副室内の構造のない(混沌とした)流れ形態と回転対称な流れ形態とを区別することができる。流れ構造は、特に開口部の配置によっておよび開口部の設計によって決定される。従来技術による回転対称の流れ構造の場合、開口部の配置は、前述の軸、例えば副室の主軸を中心に回転対称である。しかしながら、本発明によれば、開口部の回転非対称な設計および特に配置が提供され、それにより特に有利な動作が実現され得る。
【0020】
第1の半分に配置される第1の開口部の数は、第2の半分に配置される第2の開口部の数よりも大きいものであり、ここで、開口部はボアとして設計され、および/または、副室は軸に対して回転対称に設計される。これにより、特に有利な動作が保証される。
【0021】
代替的にまたは付加的に、第1の半分に配置される第1の開口部の流れ断面の合計は、第2の半分に配置される第2の開口部の流れ断面の合計よりも大きいものであり、ここで、開口部はボアとして設計され、および/または、副室は軸に対して回転対称に設計される。これにより、例えば、副室内の混合気の特に有利なタンブル状の流れが実現され得る。
【0022】
代替的にまたは付加的に、少なくとも2つの開口部の流れ断面は、その形状に関して互いに異なる。
【0023】
特に有利な動作を実現するために、それぞれの角度が、副室の長手伸長方向に、したがって副室に平行に延び、そして第1の平面に対して斜めまたは垂直に延びるそれぞれの角度平面上にあることが本発明の実施形態において提供される。特に、第1の角度の少なくともまたは正確に1つについて、および、例えば、第2の角度の少なくともまたは正確に1つについて、角度平面を前述のローラ平面とすることができる。
【0024】
さらなる実施形態は、第1の平面とそれぞれの角度平面とが仮想軸において交差することを特徴とするものであり、それによって特に効率的かつ効果的な動作が確保され得る。
【0025】
特に有利な動作を実現できるようにするために、本発明のさらなる設計において、開口部または全ての開口部が仮想円に沿って配置され、その中心が軸上にあり、ここで、第1の平面は、その円を等しい大きさの2つの半分に分割する。その円の第1の半分は、例えば、副室の第1の半分に、特に完全に配置され、ここで、その円の第2の半分は、例えば、副室の第2の半分に、特に完全に配置される。このようにして、特に効果的かつ効率的な動作を表すことができる。
【0026】
さらなる実施形態は、第1の半分に配置される第1の開口部の流れ断面または全ての流れ断面が、第2の半分に配置される第2の開口部の流れ断面または全ての流れ断面よりも大きいことを特徴とする。これは、特に有利な流れ条件、したがって特に有利な動作を保証する。
【0027】
本発明のさらなる設計において、第1の半分に配置される第1の開口部の流れ断面または全ての流れ断面の平均値が、第2の半分に配置される第2の開口部の流れ断面の平均値よりも大きい。これらの各平均値も、それぞれ算術平均として理解されるべきである。
【0028】
例えば、それぞれの開口部、従ってそれぞれの流れ断面、特に全ての流れ断面は、円形であり、そのため各流れ断面はそれぞれの直径を有する。第1の半分に配置される第1の開口部の直径または全ての直径は、第2の半分に配置される第2の開口部の直径または全ての直径よりも大きいことが提供されることが好ましい。
【0029】
本発明の第2の態様は、好ましくは自動車の形態であり、非常に好ましくは乗用車または商用車の形態であり得る自動車両用の、好ましくはレシプロピストンエンジンの形態の内燃機関に関するものである。内燃機関は、少なくとも1つの燃焼室を有する。燃焼室は、例えば、シリンダによって、かつ、内燃機関のピストンによって部分的に区切られ、これは、並進して移動できるようにシリンダ内に配置され、ここでシリンダは、例えば、クランクケースまたはシリンダクランクケースとして設計される内燃機関のエンジンハウジングによって、形成または区切られる。なお、燃焼室は、例えば、燃焼室ルーフで部分的に区切られ、これは、例えば、エンジンハウジングとは別に形成され、エンジンハウジングに接続されたシリンダヘッドによって形成される。燃焼機関は、燃焼室に割り当てられた少なくとも1つの副室点火プラグをさらに含み、これは、例えば、燃焼室内に少なくとも部分的に配置される。副室点火プラグは複数の開口部を有する副室を備え、この開口部を介して副室が主燃焼室とも呼ばれる燃焼室に流体的に接続される。単に混合気とも呼ばれる燃料空気混合気は、開口部を介して燃焼室から副室に導入または流入することができる。すなわち、例えば、前述の燃料空気混合気を燃焼室内に形成するか、または、燃料空気混合気を燃焼室内に導入する。例えば、燃料、特に液体燃料、および空気が燃焼室に導入される。例えば、燃料は燃焼室に直接噴射される。ここで、前述の混合気は、燃焼室に導入されるまたは導入された空気と燃料とを含む。
【0030】
燃焼室からの混合気の少なくとも一部は、開口部を通って流れることができ、したがって開口部を通って副室に流入することができる。副室内では、混合気の一部を点火して燃焼させ、上述のフレアを生じさせることができる。フレアは、開口部を介して副室から流出し、主燃焼室に流入し、そこで主燃焼室に残っている混合気を点火し、続いて燃焼させることができる。ここでのそれぞれの開口部は、混合気またはそれぞれのフレアが流れることができるそれぞれの流れ断面を有する。
【0031】
特に有利な動作を実現できるようにするために、本発明に従って、副室の長手方向に延び、副室を2つの等しい半分に分割する架空または仮想平面に対して、開口部のうちの複数の第1の開口部が第1の半分に配置され、開口部のうちの複数の第2の開口部が副室の第2の半分に配置される。ここで、第1の開口部は、前記平面とそれぞれ第1の角度を形成し、第2の開口部は、前記平面とそれぞれ第2の角度を形成する。第1の角度または全ての第1の角度の平均値が、第2の角度または全ての第2の角度の平均値よりも大きい。加えて、開口部は、特にそれらのそれぞれの角度に関して、平面内に延びる仮想軸を中心に回転非対称であることが本発明に従って提供される。
【0032】
第1の半分に配置される第1の開口部の数は、第2の半分に配置される第2の開口部の数よりも大きく、ここで、開口部はボアとして設計され、および/または、副室は前記軸に対して回転対称に設計される。これにより、特に有利な動作が保証される。
【0033】
代替的にまたは付加的に、第1の半分に配置される第1の開口部の流れ断面の合計は、第2の半分に配置される第2の開口部の流れ断面の合計よりも大きく、ここで、開口部はボアとして設計され、および/または、副室は前記軸に対して回転対称に設計される。このようにして、例えば、副室内の混合気の特に有利なタンブル状の流れが実現され得る。
【0034】
代替的にまたは付加的に、少なくとも2つの開口部の流れ断面は、その形状に関して互いに異なる。
【0035】
本発明の第1の態様の利点および有利な設計は、本発明の第2の態様の利点および有利な設計とみなされるべきであり、その逆も同様である。
【0036】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様に係る本発明による内燃機関を有する、好ましくは自動車の形態の自動車両に関する。自動車両は、内燃機関によって駆動することができる。本発明の第1および第2の態様の利点および有利な実施形態は、本発明の第3の態様の利点および有利な実施形態とみなされるべきであり、その逆も同様である。
【0037】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、好ましい例示的な実施形態の以下の説明および図面から出てくる。なお、上記説明において述べた特徴および特徴の組み合わせ、並びに、図の説明において以下に述べるおよび/または図中に単独で示す特徴および特徴の組み合わせは、それぞれ指定された組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせにおいて、または単独でも、本発明の範囲を逸脱することなく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】自動車両の内燃機関の燃焼室のための、本発明による副室点火プラグの概略断面側面図を示す。
【
図2】
図1の符号Bの視線方向に沿った副室点火プラグの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
各図において、同一または機能的に同一の要素には同一の符号を付してある。
【0040】
図1は、概略断面側面図において、自動車両の、特に乗用車または商用車などの自動車の、例えばシリンダによって形成された、またはシリンダとして設計され、またはシリンダによって少なくとも部分的に区切られた、例えばレシプロピストンエンジンとして設計された、内燃機関の燃焼室用の副室点火プラグ10を示す。自動車両は、内燃機関によって駆動することができる。副室点火プラグ10は、少なくとも1つまたは正確に1つの副室12を有し、その輪郭は
図1において14と記されている。副室12は、ノズルとも呼ばれる貫通開口部として設計されたいくつかの開口部16を有し、これも
図2において特によく見ることができる。この開口部16を介して、副室12は、主燃焼室とも呼ばれる燃焼室に流体的に接続されることができ、または接続される。その完全に製造された状態では、燃焼機関は、前述の燃焼室および副室点火プラグ10を有し、それにより燃焼機関の完全に製造された状態では、副室12は、開口部16を介して燃焼室に流体的に接続される。そうすることで、単に混合気とも呼ばれる燃料空気混合気は、少なくとも部分的に、主燃焼室とも呼ばれる燃焼室から開口部16を通って流れ出て、副室12に流入することができるものであり、それにより燃焼室からの混合気の少なくとも一部が開口部16を通って流れることができ、したがって開口部16を介して副室に流入することができ、または流入する。燃焼室はまた、例えば、燃焼機関のピストンによって区切られる。
【0041】
副室点火プラグ10は、副室12内に少なくとも部分的に配置される電極装置22の少なくともまたは正確に2つの電極18,20を有する。特に、電極18,20の各自由端部EN1,EN2は、副室12内に配置され、互いに離間している。電極18は、例えば、いわゆる中心電極であり、ここで、電極20は、例えば、いわゆる質量電極または接地電極として設計される。電極装置22によって、特に電極18および20によって、少なくとも1つの点火を、特に燃焼機関の燃焼運転中および/または燃焼機関のそれぞれの動作サイクル内で、特に火花位置とも呼ばれる点火位置において、副室12内に発生させることができる。特に、点火火花は、電極18および20の間で、特に端部EN1およびEN2の間で、電極18および20によって生成することができ、そのため例えば、電極18および20、特に端部EN1およびEN2が、点火位置を形成し、定義し、区切り、または制限する。点火火花によって、開口部16を介して副室12に流入する混合気を点火することができ、それによって、混合気は、副室12内で燃焼される。これにより、燃焼フレアが起こり、それが開口部16を通って流れ、したがって、副室12から開口部16を介して燃焼室に流出する。その結果、例えば、主燃焼室に残留する混合気の一部が点火され、続いて燃焼し、それによりピストンを駆動する。換言すれば、電極18および20は、副室12内の点火位置において点火火花を生成または提供するために使用することができる。
【0042】
図1および
図2では、第1の仮想平面E1を見ることができ、これは全体として、副室12の長手方向、ひいては副室点火プラグ10の長手方向に延びていることが分かる。つまり、平面E1は、副室12または副室点火プラグ10の長手伸長方向に平行に延び、ここで、その長手伸長方向は、
図1に両矢印24で示されている。なお、軸Aは、
図1および
図2に見られるように、副室12の主軸であり、したがって副室点火プラグ10の主軸である。主軸は、長手軸または長手方向中心軸とも呼ばれ、ここで、例えば、副室12は、軸Aに対して回転対称である。軸Aは、平面E1上に位置するか、または平面E1上を延び、平面E1は、
図1の画像平面に対して垂直に、そして
図2の画像平面に対して垂直に延びる。例えば、開口部16は、軸Aの周囲、特に円に沿って、または円上に配置され、その中心は、例えば、軸A上にある。
【0043】
図1および
図2から、仮想平面E1は、副室12を副室半分または副室半分とも呼ばれる2つの等しい半分H1およびH2に分割または細分化することが分かる。B1と呼ばれる第1の開口部16は、特に完全に、第1の半分H1に配置され、一方、B2と呼ばれる第2の開口部16は、特に完全に、第2の半分H2に配置される。
【0044】
また、架空または仮想の第2の平面E2を
図2に見ることができる。第2の仮想平面E2はまた、副室12の、したがって副室点火プラグ10の長手方向に対してまたは長手方向に平行に延び、ここで、第2の平面E2は同時に第1の平面E1に対して垂直に延びる。この場合、平面E1とE2は、
図2から特によく分かるように、軸Aにおいて交差する。以下でより詳細に説明するように、平面E2はローラ平面である。
【0045】
図1から、1つの開口部B1の例では、それぞれの第1の開口部B1または第1の開口部B1のそれぞれが、第1の平面E1とで各第1の角度α1を囲み、それぞれの第1の角度α1が、例えば、第1の半分H1に位置する、または第1の半分H1に属する、または第1の半分H1の側に配置されていることを見ることができる。また、それぞれの第2の開口部B2またはそれぞれの第2の開口部B2のそれぞれが、第1の平面E1とで各第2の角度α2を囲み、それぞれの第2の角度α2が、例えば、第2の半分H2に位置する、または第2の半分H2に属する、または第2の半分H2の側に配置されている。ここで、第1の角度α1またはその全ての算術平均値は、第2の角度α2またはその全ての算術平均値よりも大きい。
【0046】
角度α1およびα2については、以下でより詳細に説明する。
図1から分かるように、そこに見ることができる開口部B1およびB2の例を用いると、各第1の開口部B1はそれぞれ開口軸26aを有し、各第2の開口部B2はそれぞれ開口軸26bを有する。また、それぞれの開口部16は、その完全な延長線を横切る直線として設計されている。各開口軸26aまたは26bは、各開口部B1またはB2の通過方向と一致するかまたは通過方向に延びる直線であり、混合気または各フレアは、各開口部B1またはB2をその通過方向に流れることができる。特に、各開口部B1またはB2は、架空軸または仮想軸であるその各開口軸26aまたは26bに対して回転対称に設計されている。ここで、各開口部B1が平面E1とで各角度α1を囲むという特徴は、各開口部B1の各開口軸26aが平面E1とで各角度α1を囲むことを意味すると理解されるべきである。したがって、各開口部B2が平面E1とで各角度α2を含むという特徴は、各開口部B2の各開口軸26bが平面E1とで各角度α2を含むことを意味すると理解されるべきである。
【0047】
開口部16の記載された設計により、開口部16は、開口部16を介して流れる、したがって開口部16を介して副室12に流入する混合気の、少なくとも実質的にタンブル状の、すなわち円筒状の流れを引き起こすように設計され、ここで、混合気のタンブル状の流れが、副室12内で起こるか、またはもたらされる。この副室12内の混合気のタンブル状の流れは、
図1において矢印28、30で示されている。特に、矢印30から、タンブル状の流れはローラ平面上でローラ状に延び、ここでローラ平面は、例えば、平面E2に平行に延びる、または平面E2であることが分かる。特に、
図1に示す矢印28,30は、流れ輪郭とも呼ばれるタンブル状の流れの輪郭を図示している。特に、タンブル状の流れは、ローラ平面の面法線の周囲にローラの形状で延び、ここで面法線は例えば平面E1上を延び、ここでは軸Aに対して垂直である。
【0048】
第1の角度α1または全ての第1の角度α1の平均値が、第2の角度α2または全ての第2の角度α2の平均値よりも大きいため、開口部16は、軸Aを中心として回転非対称に設計または配置され、それによって、タンブル状の流れを特に有利に実現することができる。特に、タンブル状の流れは、したがって、軸Aの周りの開口部16の分布によって、および/または開口部16の対応する数によって、および/または開口部16の、特にそれらの流れ断面の、それぞれの幾何学的形状によって、生じる。特に、角度α1またはα2、あるいはα1およびα2の角度セクタは、最小の数値を有するものが用いられる。ここでも換言すれば、それぞれの角度α1またはα2は、平面E1と、各開口部B1またはB2で、または各開口軸26aまたは26bで、囲まれる角度のうち最も小さい方であることが好ましい。また、
図1では、電極領域をEBと呼び、例えば、電極18,20、特にそれらの端部EN1,EN2が副室12内に配置されている。タンブル状の流れに起因して、欠損容積とも呼ばれる副室12の容積Vを、特に低く抑えることができ、その結果、副室点火プラグ10の特に大きな動作範囲が実現できる。したがって、特に有利な動作を示すことができる。
【0049】
開口部16は、副室12または副室点火プラグ10の周方向に、特に軸Aに沿って順次配置されており、ここで、その周方向は、
図1に両矢印32によって示されている。
【0050】
タンブル流は、副室12の主軸または軸Aと直交する流れ中心を有する。流れ中心は、タンブル流がローラ状に延びる前述のローラ軸である。ローラ軸は、平面E2に対して主に垂直または直交して、例えば平面E1上にまたは平面E1に平行に延び、例えば平面E2が前述のローラ平面となるようにする。ここで、タンブル流とは、第2の半分H2における混合気の流れが開口部16から電極領域EBに向かって上方に流れる流れ構造と定義することができ、これを上向き流ともいう。その後、流れは電極領域EBを通って流れ、その流れは電極領域EBから離れて下方に流れ、ここでは開口部16の方向に流れ、これは下向きの流れとも呼ばれる。したがって、タンブル流は構造化された流れ形状であり、しかしながら、これは、副室主軸または副室12の主軸に対して回転対称ではない。
【符号の説明】
【0051】
10 副室点火プラグ
12 副室
14 輪郭
16 開口部
18 電極
20 電極
22 電極装置
24 両矢印
26a 開口軸
26b 開口軸
28 矢印
30 矢印
32 両矢印
A 軸
B1 開口部
B2 開口部
EB 電極領域
EN1 端部
EN2 端部
E1 平面
E2 平面
H1 半分
H2 半分
【手続補正書】
【提出日】2022-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃焼室用の副室点火プラグ(10)であって、副室(12)を有し、前記副室(12)は、複数の開口部(16,B1,B2)を有し、かつ、前記開口部(16,B1,B2)を介して前記燃焼室に流体的に接続されることができ、燃料空気混合気が前記開口部を介して前記燃焼室から前記副室(12)に導入されることができるものであり、ここで、前記副室(12)の長手伸長方向(24)に延び、かつ前記副室(12)を等しい大きさの2つの半分(H1,H2)に分割する仮想平面(E1)に対して、前記開口部(16,B1,B2)の複数の第1の開口部が前記半分(H1、H2)の第1の半分に配置され、かつ前記開口部(16,B1,B2)の複数の第2の開口部が第2の半分(H2)に配置されるものであり、前記第1の開口部(B1)は、前記平面(E1)とで各第1の角度(α1)を囲むものであり、前記第2の開口部(B2)は、前記平面(E1)とで各第2の角度(α2)を囲むものであり、前記第1の角度(α1)の平均値は前記第2の角度(α2)の平均値よりも大きいものであり、および、前記開口部(16)は、前記燃料空気混合気が流れることができる流れ断面をそれぞれ有し、前記平面(E1)上を延びる仮想軸(A)を中心に回転非対称となるように設計される、前記副室点火プラグ(10)において、
前記第1の半分(H1)に配置される前記第1の開口部(B1)の数が、前記第2の半分(H2)に配置される前記第2の開口部(B2)の数よりも大きいものであり、ここで、前記開口部(16)はボアとして設計され
、および
前記第1の半分(H1)に配置される前記第1の開口部(B1)の流れ断面の合計が、前記第2の半分(H2)に配置される前記第2の開口部(B2)の流れ断面の合計よりも大きいものであり、ここで、前記開口部(16)はボアとして設計され、
および
前記副室(12)は前記軸に対して回転対称に設計され、
および
少なくとも2つの前記開口部(16)の流れ断面は、その形状に関して互いに異なることを特徴とする、前記副室点火プラグ(10)。
【請求項2】
それぞれの前記角度(α1,α2)は、前記副室(12)の長手伸長方向(24)に延び、かつ前記平面(E1)に対して斜めまたは垂直に延びる、それぞれの角度平面上にあることを特徴とする、請求項1に記載の副室点火プラグ(10)。
【請求項3】
前記平面(E1)と各前記角度平面が、前記仮想軸(A)で交差することを特徴とする、請求項2に記載の副室点火プラグ(10)。
【請求項4】
前記開口部(16、B1、B2)が仮想円に沿って配置され、前記仮想円の中心点(M)は前記軸(A)上にあり、前記平面(E1)は前記円を等しい大きさの2つの半分に分割することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の副室点火プラグ(10)。
【請求項5】
前記第1の半分(H1)に配置される前記第1の開口部(B1)の流れ断面は、前記第2の半分(H2)に配置される前記第2の開口部(B2)の流れ断面よりも大きいことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の副室点火プラグ(10)。
【請求項6】
自動車両用の内燃機関であって、少なくとも1つの燃焼室を有し、および副室点火プラグ(10)を有し、前記副室点火プラグ(10)は前記燃焼室に割り当てられ、かつ複数の開口部(16,B1,B2)を有する副室(12)を有し、前記副室(12)は、前記開口部(16,B1,B2)を介して前記燃焼室に流体的に接続され、燃料空気混合気が前記開口部を介して前記燃焼室から前記副室(12)に導入されることができるものであり、ここで前記副室(12)の長手伸長方向(24)に延び、かつ前記副室(12)を等しい大きさの2つの半分(H1、H2)に分割する仮想平面(E1)に対して、前記開口部(16、B1、B2)の複数の第1の開口部が前記半分(H1、H2)の第1の半分に配置され、かつ前記開口部(16、B1、B2)の複数の第2の開口部が第2の半分(H2)に配置されるものであり、前記第1の開口部(B1)は、前記平面(E1)とで各第1の角度(α1)を囲むものであり、前記第2の開口部(B2)は、前記平面(E1)とで各第2の角度(α2)を囲むものであり、前記第1の角度(α1)の平均値は前記第2の角度(α2)の平均値よりも大きいものであり、および、前記開口部(16)は、前記燃料空気混合気が流れることができる流れ断面をそれぞれ有し、前記平面(E1)上を延びる仮想軸(A)を中心に回転非対称となるように設計される、前記内燃機関において、
前記第1の半分(H1)に配置される前記第1の開口部(16)の数が、前記第2の半分(H2)に配置される前記第2の開口部(B2)の数よりも大きいものであり、ここで、前記開口部(16)はボアとして設計され
、および
前記第1の半分(H1)に配置される前記第1の開口部(B1)の流れ断面の合計が、前記第2の半分(H2)に配置される前記第2の開口部(B2)の流れ断面の合計よりも大きいものであり、ここで、前記開口部(16)はボアとして設計され、
および
前記副室(12)は前記軸に対して回転対称に設計され、
および
少なくとも2つの前記開口部(16)の流れ断面は、その形状に関して互いに異なることを特徴とする、前記内燃機関。
【請求項7】
請求項6に記載の内燃機関を有する自動車両。
【国際調査報告】