(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】車両用パーキングブレーキ及び該パーキングブレーキを備えた車両
(51)【国際特許分類】
F16H 63/34 20060101AFI20230412BHJP
B60T 1/06 20060101ALI20230412BHJP
F16D 63/00 20060101ALI20230412BHJP
F16D 59/00 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
F16H63/34
B60T1/06 G
F16D63/00 H
F16D59/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552544
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 IB2021051615
(87)【国際公開番号】W WO2021176314
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】102020000004459
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515217546
【氏名又は名称】ピアッジオ エ チ.ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】マリオッティ,ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】フィアッカヴェント,マルチェッロ
(72)【発明者】
【氏名】マガニーニ,カルロ
【テーマコード(参考)】
3J058
3J067
【Fターム(参考)】
3J058AB21
3J058AB30
3J058BA61
3J058FA02
3J058FA07
3J067AB06
3J067AB21
3J067AC01
3J067FA05
3J067FA57
3J067FB76
3J067FB78
3J067GA01
(57)【要約】
本発明に係るパーキングブレーキは、それと共に回転する駆動軸(3)に関連付けられ得る阻止装置(31)を備え、前記阻止装置(31)は遠心力によって作動される。パーキングブレーキは、さらに、作動時に阻止装置(31)に係合するよう適合されたロック部材(33)を備えている。前記阻止装置(31)は、阻止装置が最低速度より高い速度で回転している時に、ロック部材の阻止装置への係合を阻止し、パーキングブレーキの作動を阻止するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ駆動車両(100)用パーキングブレーキであって、
それと共に回転する駆動軸(3)に関連付けるよう適合され、遠心力によって駆動される阻止装置(31)と、
前記阻止装置(31)に係合するよう適合されたロック部材(33)と
を備え、
前記阻止装置(31)が、
前記駆動軸(3)が最低速度より高い回転速度で回転している時に、前記ロック部材(33)の係合を妨げる第一角度位置から、
前記駆動軸(3)が前記最低速度より低い回転速度で回転している時に、前記ロック部材(33)の係合を可能にする第二角度位置まで
移動するように構成され、
前記阻止装置(31)が、前記回転速度に相関された遠心力によって作動される
ことを特徴とするパーキングブレーキ。
【請求項2】
前記阻止装置(31)が、
(a)駆動軸(3)にキー止めされ、回転軸線を有し、複数の第一凹部(41A)を備えた周囲縁を備えた第一ディスク(41)と、
(b)第一ディスク(41)と同軸であり、第一ディスク(41)の回転軸線を中心に第一ディスク(41)に対して角度運動を実行できるように設けられ、駆動軸(3)に対して空転するよう設けられ得る第二ディスク(43)であって、複数の第二凹部(43A)を備え、第一凹部(41A)と第二凹部(43A)とがほぼ同一の角度ピッチを有する第二ディスク(43)と、
(c)第一ディスク(41)の角速度で回転するよう適合され、第二ディスク(43)に接続された遠心マス(47)と
を備え、
第一ディスクの回転速度が最低速度より高い時に、前記遠心マスが、前記第二ディスク(43)を、第一ディスク(41)に対して角度的にずれた位置に保持し、第一凹部(41A)が第二凹部(43A)に対して角度的にずれるようにし、
前記ロック部材(33)が、第一凹部及び第二凹部が相互に位相を合わせた位置にある時に第一凹部(41A)及び第二凹部(43A)に嵌るような形状にされ、
第二ディスク(43)が、第一ディスク(41)に対して角度的にずれた位置にある時に、第一凹部(41A)及び第二凹部(43A)へのロック部材(33)の侵入が阻止される
ことを特徴とする請求項1に記載のパーキングブレーキ。
【請求項3】
遠心マス(47)が、第一ディスク(41)の回転軸線と平行で、かつ、第一ディスク(41)に対して偏心したピボット軸を中心に第一ディスク(41)にヒンジ結合されている
ことを特徴とする請求項2に記載のパーキングブレーキ。
【請求項4】
遠心マス(47)が、戻り部材(53)、特に、弾性部材によって、不作動位置に向けて押圧され、その位置で、第一ディスク(41)及び第二ディスク(43)が、第一凹部(41A)及び第二凹部(43A)が相互に位相を合わせた位置になるように配置される
ことを特徴とする請求項3に記載のパーキングブレーキ。
【請求項5】
遠心マス(47)が、遠心マス(47)がピボット軸を中心に回転する時に、第一ディスクの回転軸線を中心とした第一ディスク(41)に対する第二ディスク(43)の回転が生じるように、第二ディスク(43)に拘束される
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のパーキングブレーキ。
【請求項6】
遠心マス(47)が、第一ディスク(41)の軸線に対して非対称な質量分布を有し、第一ディスク(41)及び遠心マス(47)の回転により、第一ディスク(41)の軸線から離れる方向に動くピボット軸を中心として、遠心マス(47)を回転駆動する遠心力を遠心マスに生じさせる
ことを特徴とする請求項3~5の何れか一項に記載のパーキングブレーキ。
【請求項7】
第二ディスク(43)が、第一ディスク(41)と遠心マス(47)との間に介在されている
ことを特徴とする請求項3~6の何れか一項に記載のパーキングブレーキ。
【請求項8】
遠心マス(47)が、ピボット軸を画定する第一ピン(49)を用いて第一ディスク(41)にヒンジ結合されている
ことを特徴とする請求項3~7の何れか一項に記載のパーキングブレーキ。
【請求項9】
遠心マス(47)が、好ましくは第一ピン(49)とほぼ並行であり、かつ、第一ピンから離間した第二ピン(51)を用いて第二ディスク(43)に拘束されている
ことを特徴とする請求項8に記載のパーキングブレーキ。
【請求項10】
遠心マス(47)が、第一ディスク(41)と第二ディスク(43)との間の相互の角度のずれを制限する連結部材を用いて第一ディスク(41)に拘束されている
ことを特徴とする請求項9に記載のパーキングブレーキ。
【請求項11】
遠心マス(47)と第一ディスク(41)との間の連結部材が、第二ピン(51)と、該第二ピン(51)が摺動可能に係合するスロット(41D)とを備え、
遠心マス(47)に作用する遠心力により、第二ピン(51)がスロット(41D)をスライドし、
好ましくは、スロットがピボット軸上に中心を有する湾曲形状である
ことを特徴とする請求項10に記載のパーキングブレーキ。
【請求項12】
スロット(41D)が第一ディスク(41)に形成され、第二ピン(51)が遠心マス(47)に一体に結合されている
ことを特徴とする請求項11に記載のパーキングブレーキ。
【請求項13】
第一ピン(49)及び第二ピン(51)が、第一ディスク(41)の回転軸線に対して対向する位置にある
ことを特徴とする請求項9~12の何れか一項に記載のパーキングブレーキ。
【請求項14】
第一ピン(49)及び第二ピン(51)が、第二ディスク(43)を貫通する
ことを特徴とする請求項9~13の何れか一項に記載のパーキングブレーキ。
【請求項15】
ロック部材(33)が、ロック作動装置によって制御されるピボットレバー(34)を備えている
ことを特徴とする請求項1~14の何れか一項に記載のパーキングブレーキ。
【請求項16】
エンジン(111)からの運動を一つ又は複数の駆動輪(107)に伝達するための機械式変速装置(1)であって、
駆動軸(3)と、請求項1~15の何れか一項に記載のパーキングブレーキと、ギア列とを備え、
パーキングブレーキの阻止装置の第一ディスク(41)が、変速装置(1)の駆動軸(3)にキー止めされている
ことを特徴とする機械式変速装置。
【請求項17】
フレーム(103)と、
エンジン(111)と、
請求項16に記載の変速装置を用いてエンジンに連結される少なくとも一つの駆動輪(107)と
を有することを特徴とする車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の構成要素、特に、二輪又は三輪車両、例えば、一つの後側駆動輪及び一つの前側操舵輪を有する鞍乗り式車両又は二つの後側駆動輪及び一つの前側操舵輪を備えた車両の構成要素の改良に関する。本明細書に記載された発明が、一つの後側駆動輪と二つの前側操舵輪とを有する車両に適用可能であることを否定するものではない。
【0002】
本明細書に開示した実施例は、車両、特に、二輪又は三輪車両用のパーキングブレーキの改良に関する。
【背景技術】
【0003】
四輪車両には、安全性を高めるために、車両が停止している時に少なくとも駆動輪を制動するパーキングブレーキを備えている。このパーキングブレーキは、手で操作される。また、幾つかの最近の高級車両では、運転者がエンジンを切り、かつ、イグニッションからキーを外すと、自動的にパーキングブレーキがかかるものもある。
【0004】
小型車両、例えば、二輪又は三輪車両には、必ずしもパーキングブレーキが設けられていない。しかし、特に二つの後側駆動輪を有する三輪車両の場合、より安全性を高めるためにパーキングブレーキを設けることが有用である。パーキングブレーキは、安全性と費用対効果の高いものでなければならない。
【0005】
特開2016-223489号公報には、パーキングブレーキが搭載された車両の動作時に回転するシャフトにキー止めされた回転円形体を備えたパーキングブレーキが開示されている。前記回転円形体は、ハープーン(harpoon)の形態のロック部材が係合する外周歯部材を備えている。ロック部材が回転円形体の外周歯部材に係合すると、回転円形体がキー止めされているシャフトの回転が妨げられる。車両の動作中にロック部材の係合を阻止するために、径方向の座に摺動可能な径方向ピンが、回転円形体の外周歯部材の二つの連続する歯の間の各凹部に挿入されている。各ピンは、各凹部に対して引き出されるように、ピンを格納位置に保持する各バネと関連付けされている。回転円形体が回転すると、ピンに作用する遠心力がばねの力に打ち勝ってピンを径方向外側に押し出し、ピンの遠位端部が隣接する歯の間の各凹部を占めるようになり、ロック部材の係合が妨げられ、従って、車両の走行中にブレーキがかかることが防止される。このパーキングブレーキは、構成する部品点数が多いため、非常に複雑で高価である。さらに、遠心力と、各ピンに作用するバネ力が径方向であり、ロック部材によって及ぼされる推力と一致する。このため、ロック部材に十分な力が作用すると、遠心力に打ち勝ってピンを径方向内側に押し出し、車両が走行中であっても、円筒体がキー止めされた回転軸をロックすることができてしまい、運転者に深刻な危険をもたらすことから、この装置の動作は非常に危険である。
【発明の概要】
【0006】
一態様によれば、本明細書には、車両、限定するものではないが、特に、二輪又は三輪車両用パーキングブレーキであって、安全で、費用対効果が高く、高い信頼性を有し、単一の駆動輪を有する車両、場合によっては差動接続された二つの駆動輪を有する車両の両方での使用に適しているパーキングブレーキが開示されている。
【0007】
パーキングブレーキは、手動又はサーボアシスト作動装置によって作動され得るロック部材を備えている。
ロック部材は、阻止装置と協働するよう配置され、その機能は、車両が静止している時、又は実質的に静止している時にパーキングブレーキの作動を可能にし、車両が動作している時はパーキングブレーキの作動を阻止することにある。この目的のために、阻止装置は、それと共に回転する駆動軸に関連付けられ得、遠心力によって駆動される。ロック部材は、作動時に、阻止装置に係合、即ち、機械的に係合するよう適合され、阻止装置は、阻止装置が最低速度より高い速度で回転している時に、阻止装置にロック部材が係合することを阻止し、パーキングブレーキが作動しないよう構成されている。阻止装置にロック部材が係合されると、ロック部材は、阻止装置の回転を妨げ、従って、阻止装置が関連付けられている軸の回転を妨げる。
【0008】
従って、要約すると、パーキングブレーキは、それと共に回転する駆動軸に関連付けられ得、遠心力によって作動される阻止装置と、作動時に阻止装置に係合するよう適合されたロック部材とを備え、前記阻止装置は、阻止装置が最低速度より高い速度で回転している時に、ロック部材の阻止装置への係合を防止し、パーキングブレーキが作動することを防止するよう構成されている。
【0009】
本明細書に開示された実施形態によれば、パーキングブレーキは、それと共に回転し得る駆動軸に関連付けられ得る阻止装置と、阻止装置に係合するよう適合されたロック部材とを備えている。阻止装置は、前記駆動軸が最低速度より高い回転速度で回転している時に、ロック部材の係合を妨げる第一角度位置から、前記駆動軸が前記最低速度より低い回転速度で回転している時に、ロック部材の係合を可能にする第二角度位置まで通るように構成されている。阻止装置は、前記回転速度に相関する遠心力によって作動される。
【0010】
基本的に、遠心力が所定の値より大きい場合には、阻止装置は、第一角度位置に維持される。遠心力がない場合、又は遠心力は前記所定の値より低い場合には、阻止装置は第二角度位置に動かされる。
【0011】
遠心力は、弾性力によって対抗され得る。
【0012】
従って、幾つかの実施形態では、阻止装置は、遠心マスと対抗弾性部材と有し得、前記弾性部材は、遠心マスを不作動位置に押圧し、弾性力は遠心力に対抗するように作用する。
【0013】
実用的な実施形態では、阻止装置は、駆動軸に取り付け可能な第一ディスクを備え、前記第一ディスクは、回転軸線を有し、複数の第一凹部が形成された周囲縁部を有する。取付可能なディスクとは、駆動軸に、それと一体的に回転するように設けられ得ることを意味する。技術的に適切であれば、第一ディスクを駆動軸と一体品として形成することは排除されない。
【0014】
本明細書では、以下に説明することから明らかなように、駆動軸という表現は、トルク、従って、動力を一つ又は複数の駆動輪に伝達し、従って、そこで、パーキングブレーキが車輪の動きを阻止するように作用し得る任意の軸を示すために用いられている。
【0015】
第一ディスクの他に、阻止装置は、第二ディスクを備え、該第二ディスクは、第一ディスクと同軸であり、第一ディスクの回転軸線を中心に第一ディスクに対して角度運動を実行することができるように設けられる。第二ディスクは、駆動軸に対して空転可能に設けられ得る。さらにまた、第二ディスクは、複数の第二凹部を備えた周囲縁部を有する。適当には、第一凹部及び第二凹部は、ほぼ同じ角度ピッチを有する。ほぼ等しいという用語は、ロック部材が、相互に整列された第一及び第二凹部の対の中に挿入されることによってディスクと噛み合うために、第一ディスクの凹部が第二ディスクの凹部と十分に整列されて配置されることを可能にするピッチを示すために使用されている。
【0016】
さらに、阻止装置は、遠心マスを備え、該遠心マスは、第一ディスクの角速度で回転するよう適合され、かつ、第一ディスクの回転速度、従って、駆動軸の回転速度が最低速度より高い時に、遠心マスが第二ディスクを第一ディスクに対して角度的にずれた位置に維持し、それにより、第一凹部が第二凹部に対して角度的にずれ、ロック部材の噛み込みを阻害するような方法で、第二ディスクに接続されている。
【0017】
ロック部材は、第一凹部及び第二凹部が、相互に整列した角度位置にある時に、第一凹部及び第二凹部内に挿入されるような形状にされている。阻止装置の回転速度、特に、その軸線を中心たおして第一ディスクの角速度と実質的に同じ角速度で回転する遠心マスの回転速度により、第二ディスクが第一ディスクに対して角度的にずれた位置にある時に、第一凹部及び第二凹部へのロック部材の侵入は阻害される。
【0018】
有利な実施形態では、遠心マスは、第一ディスクの回転軸線と平行であり、かつ、第一ディスクに対して偏心したピボット軸を中心に第一ディスクにヒンジ結合される。この構成により、駆動軸及び第一ディスクの回転によって生じる遠心力の影響下での遠心マスの動きは、ピボット軸を中心とする回転運動になる。これにより、第一ディスクを第二ディスクに対して角度的にずらし、従って、第一凹部と第二凹部とを相互にずらして、パーキングブレーキの作動を阻止する簡単で信頼性のある機構を得ることが可能になる。
【0019】
適切には、遠心マスは、戻り部材、例えば、弾性部材によって、第一ディスクと第二ディスクとが、相互に第一凹部及び第二凹部が整列するように配置される不作動位置に向けて押圧され得る。戻り部材は、回転によって生じる遠心力に対抗する。それ以上の場合に、阻止装置が、第一ディスク及び第二ディスクへのロック部材の係合を阻止する最低速度は、遠心マスに作用する遠心力が戻り部材によって加えられる力を超える速度である。
【0020】
遠心マスは、第一ディスクの軸線を中心とした、従って、第一ディスクがキー止めされている駆動軸の回転軸線を中心とした第一ディスクに対する第二ディスクの回転が生じるように第二ディスクに拘束され得る。
【0021】
特に有利な構造を得るために、第二ディスクは、第一ディスクと遠心マスとの間に介在され得る。遠心マスは、ピボット軸を画定する第一ピンを用いて第一ディスクにヒンジ結合され得る。第二ディスクが、遠心マスと第一ディスクとの間に介在されている場合、第一ピンは、例えば、貫通孔又は凹部に沿って第二ディスクを貫通するように配置され得る。それを通って第一ピンが延びる第二ディスクの孔又は凹部は、第一ディスクがキー止めされた駆動軸の軸線と一致する第一ディスク及び第二ディスクの軸線を中心として第一ディスクに対して第二ディスクが相互回転することを可能にするサイズを有する。
【0022】
遠心マスは、好ましくは、第一ピンとほぼ並行であり、かつ、第一ピンから離間された第二ピンを用いて第二ディスクに接続され得る。第二ピンは、第二ディスクの孔又は凹部に係合され得、そのサイズは、遠心マスの回転により、第一ディスクに対する第二ディスクの対応する回転を引き起こすようなサイズである。
【0023】
例えば、第二ピンが係合する孔又は凹部は、第二ディスクの中心孔の縁部に沿って形成され得、それにより、第二ディスクが駆動軸に回転可能に支持されるか、又は、第一ディスクに直接指示される。遠心マスを第一ディスクにヒンジ結合する第一ピンが通過する凹部もまた、前記縁部に沿って形成され得る。
【0024】
より規則的な動作のため、及び、阻止装置の様々な構成要素をより確実に拘束するために、幾つかの実施形態によれば、遠心マスは、さらに、(遠心マスを第二ディスクにねじり結合させるための)第二ピンとスロットとから成る連結部材を用いて第一ディスクに接続される。この目的のために、第二ピンは第二ディスクの厚さを超えて延び、第一ディスクに設けられたスロットに係合するようにされる。前記スロットにより、遠心マスと第一ディスクとの間で、限定的ではあるが、相対的な回転運動が可能になる。この場合、遠心マスに作用する遠心力により、第二ピンは、スロット内で摺動する。好ましくは、スロットは、遠心マスを第一ディスクに結合する第一ピンによって画定されるピボット軸上に中心を有する湾曲形状にされ得る。
【0025】
さらに別の態様によれば、エンジンから一つ又は複数の駆動輪に運動を伝達するための機械式変速装置が設けられ、該変速装置は、駆動軸と、上述したパーキングブレーキとを備え、パーキングブレーキの阻止装置の第一ディスクが、変速装置の駆動軸にキー止めされている。
【0026】
また、フレーム、エンジン及び上述した変速装置によってエンジンに接続される少なくとも一つの駆動輪を備えた車両も提供される。有利には、車両は、二つの駆動輪及び差動装置を備えた三輪車両であり得る。変速装置は、差動装置の上流に配置され得、それにより、パーキングブレーキの作動により二つの駆動輪がロックされる。
本発明は、本発明の非限定的な実施例として提供される実施形態を示す添付図面及び説明から、より明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】パーキングブレーキを備えた機械式変速装置の構成要素を示す
図2のII-II線に沿った正面図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【
図6】動作状態にある時の
図1に示した構成要素の詳細を示す拡大図である。、
【
図7】
図4のVII-VII線に沿った断面の拡大図である。
【
図8】異なる動作状態にある時の構成要素の
図6と同様の拡大図である。
【
図9】異なる動作状態にある時の構成要素の
図7と同様の拡大図である。
【
図10】さらに異なる動作状態にある時の構成要素の
図6と同様の拡大図である。
【
図11】さらに異なる動作状態にある時の構成要素の
図7と同様の拡大図である。
【
図12】阻止装置の構成要素をある角度から見た分解図である。
【
図13】阻止装置の構成要素を
図12とは異なる角度から見た分解図である。
【
図20】変速装置を収容するガードの側面図である。
【
図22】本発明に係るパーキングブレーキを備えた変速装置が搭載された車両を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1~
図11は、エンジンから一つの駆動輪又は一対の駆動輪に向けて運動を伝達するための幾つかの構成要素を示している。変速装置はパーキングブレーキを備えているか、又は、それに関連付けされている。より詳細には、機械式変速装置1は、駆動軸3を備え、その回転軸線が符号A-Aで示されている。上記から明らかなように、概して、本明細書では、駆動軸という表現は、車両の駆動装置、例えば、内燃機関又は電気モータからの運動を受ける軸を示すために使用される。駆動軸は、駆動装置に直接キー係合される軸であってもよく、又、駆動トルクを作動装置(図示せず)のハウジングに直接伝達する軸であってもよい。幾つかの実施形態では、駆動軸は、順に減速ギアの他のギアと噛み合うギアに運動を伝達し得る。
【0029】
図示実施形態では、駆動軸3は高速で回転する軸であり、そこから従動軸5に運動が伝達され、駆動輪又は作動装置のハウジングに欲説又は間接的に運動が順に伝達される。
【0030】
変速装置は、無段変速装置(CVT)、ギアボックス、又は、エンジンと一つ若しくは複数の駆動輪との間の伝達比を変更する他の装置を有し得る。このような装置は図示されてなく、本発明の目的とは関係がない。
【0031】
図示実施形態ではギア列7が、駆動軸3と従動軸5との間に配置され、(高速で回転する)駆動軸3と(低速で回転する)従動軸5との間に一定の伝達比を提供する。介在するアイドル軸は符号9で示されている。
【0032】
ギア列7は、特に
図3に示されている。
図3について具体的に説明すると、図示実施形態では、駆動軸3は、ベアリング11及び13によって支持され、従動軸5は、ベアリング12及び14によって支持されている。中間軸9は、ベアリング15及び16によって支持されている。駆動軸3にキー止めされた(又は、それと一体に形成された)ギアホイール19は、中間アイドル軸9にキー止めされた、又はそれと一体品として形成されたギアホイール21と噛み合う。ギアホイール23は、ギアホイール9にキー止めされるか、又は、それと一体品として形成され、駆動軸にキー止めされるか、又はそれと一体品として形成されたギアホイール25に噛み合う。ギアホイール19,21,23及び25は、駆動軸3と従動軸5との間の減速比を決定する。
【0033】
駆動軸3には、全体が符号30で示されたパーキングブレーキが関連付けられており、前記パーキングブレーキは、車両が静止している時に駆動軸3の回転を妨げる機能を有する。安全上の理由から、パーキングブレーキ30は、駆動軸3が回転している時は係合できないように構成されている。より具体的には、以下の説明から明らかになるように、パーキングブレーキ30は、駆動軸3の回転速度が最小値より低い場合にのみ係合(即ち、作動)され得る。一つ又は複数の駆動輪に運動を伝達する従動軸5が、駆動軸3の回転速度より実質的に低い回転速度を有することを考慮すると、パーキングブレーキ30が係合され得る駆動軸3の最低速度は、変速装置1が搭載された車両のさらに低い速度及び殆ど無視できる速度に相当する。
【0034】
パーキングブレーキ30は、阻止装置31を備え、前記阻止装置31は、駆動軸3が最低安全速度より高い速度で回転している時にパーキングブレーキの作動を阻止する。パーキングブレーキ30は、さらに、ロック部材33を備え、ロック部材33は、駆動軸3の回転速度が最低安全速度より低い時に、駆動軸3に一体的に連結された阻止装置31の構成要素と係合し、駆動軸3の回転を阻害する。
【0035】
図示実施形態では、ロック部材33は、回動レバー34を備え、該回動レバー34は歯34Aで終端している。回動レバー34は、作動レバー35に一体的に連結されており、前記作動レバー35は、例えば、ケーブル(図示せず)を用いて、手動又はサーボアシスト作動装置に接続され得る。ピン37は、回動レバー34を作動レバー35に堅固に接続する。ねじりバネ37は、作動レバー35が作動されていない時に、ロック部材33を非作動位置に戻す。
【0036】
駆動軸3の回転に対するロックは、ロック部材33と、駆動軸3にキー止めされた第一ディスク41との間の共働作用によって得られる。前記第一ディスク41は、駆動軸3の回転軸線と一致する軸線を有する。
【0037】
第一ディスク41(
図12~19も参照)には、駆動軸3の軸線A-Aを中心に一定の角度ピッチに従って配置された複数の第一周囲凹部41Aが設けられている。前記凹部41Aは、パーキングブレーキ30の回動レバー34の歯34Aを収容するような形状及び大きさを有する。
【0038】
第二ディスク43は、第一ディスク41に関連付けられており、かつ、駆動軸3に対して同軸に取り付けられている。第一ディスク41は、駆動軸3にキー止めされ、かつ、駆動軸と一体的に結合して回転するのに対して、第二ディスク43は駆動軸3に対して、かつ、第一ディスク41に対して空転する。
【0039】
第二ディスク43は、第一ディスク41に形成された第一凹部41と同じ形状で同じピッチを有する複数の第二周囲凹部43Aを有する。
【0040】
第二ディスク43は、駆動軸3の軸線A-Aを中心に角度運動を実行できるように設けられ、従って、第一ディスク41に対して角度運動を行うことができる。このため、第二ディスク43と駆動軸3との間、又は、第二ディスク43と第一ディスク41との間には回転継手が設けられる。図示実施形態では、回転継手は、特に、
図12及び13の分解図に見ることができる、第一ディスク41に一体的に結合されたカラー41Bによって得られる。第二ディスク43は、カラー41B上に設けられ、そのために、カラー41Bの外径とほぼ等しい直径を有する中心孔43Bを有する。
【0041】
軸線A-Aを中心に、第一ディスク41に対して第二ディスク43を回転させるために遠心力駆動機構が設けられている。該遠心力駆動機構は、駆動軸3及び第一ディスク41と共に回転する遠心マスを備えている。遠心マス上に、駆動軸3の回転速度に応じた遠心力が作用する。この構成は、遠心マス上に作用する遠心力が所定の値を超えた時(従って、駆動軸3の角速度が最小値を超えた時)、遠心マスが、最大エネルギの位置で、かつ、駆動軸の軸線A-Aからの最大距離の位置に向かって押されるようにされている。遠心マスの移動により、第一凹部41Aと第二凹部43Aとの間の相対位置を修正するように、第一ディスク41と第二ディスク43との間の相互の角運動が引き起こされる。以下、遠心機構についてより詳細に説明する。
【0042】
図示実施形態では、遠心機構は、遠心マス47、好ましくは、湾曲した形状の遠心マス47を備え、それに、第一ピン49及び第二ピン51が関連付けされている。図示実施形態では、遠心マス47、第一ディスク41及び第二ディスク43は、駆動軸3の回転軸線に沿って、第二ディスク43が、遠心マス47と第一ディスク43との間の中間位置に位置するように、順番に配置されている。
【0043】
第一ピン49は、中心孔43Bの縁部に沿って形成された奥部43Cの位置で第二ディスク43を貫通し、第一ディスク41の円孔41C(
図12及び13参照)に挿入され、第一ディスク41に対する遠心マス47の回転のためのヒンジを形成する。
【0044】
この配置により、遠心マス47は、第一ディスク41に対して、従って、駆動軸3に対して、ピン49の長手方向軸線によって画定されたピボット軸を中心に回転できるようになる。さらにまた、第二ディスク43は、駆動軸の軸線と一致する第一ディスクの軸線を中心に第一ディスクに対して回転し得る。この目的のために、凹部43Cは、有利には、ピン49の存在にも拘わらず、駆動軸の軸線を中心とした回転運動を可能にするような接線方向の寸法を有してもよい。
【0045】
第二ピン51は、中心孔43Bを画定する縁部に形成された奥部43Dの位置で第二ディスク43を貫通し、第一ディスク41に形成されたスロット41Dまで延びている。スロット41Dは、好ましくは、第一ピン49の軸線上に曲率中心を有する湾曲形状を有している。第二ピン51の直径に対する凹部43Dの接線方向の寸法は、ピン49の軸線を中心とする遠心マス47の回転により、第二ディスク43が、第一ディスク41の軸線を中心として第一ディスク41に対して回転駆動されるような寸法にされている。
【0046】
第二ピン51の直径に対するスロット41Dの寸法は、第一ピン49の軸線を中心とした第一ディスク41に対する遠心マス47の限定された回転を可能にするようにされている。
【0047】
遠心マス47は、弾性部材53によって不作動位置に向けて押圧されている。図示実施例では、弾性部材53は、螺旋状ねじりバネであり、該ねじりバネ53は、第二ピン51を中心として遠心マスを取り囲む第一湾曲端部53Aを有する。ねじりバネ53の第二端部53Bは、凹部43Eの位置で第二ディスク43を貫通し、第一ディスク41の孔41Eに係合する。遠心マス47がバネ53によって弾性的に押圧される不作動位置は、駆動軸3の軸線A-Aから最小距離となる位置にある。この不作動位置において、遠心マス47は駆動軸3上に載り得る。
【0048】
駆動軸3がその軸線A-Aを中心に、第一ディスク41と一体的に回転すると、ピン49及び51による拘束により、遠心マス47もまた、軸線A-Aを中心に回転駆動される。遠心マスの形状は、回転軸線A-Aに対して非対称であり、その結果、駆動軸3の回転により、遠心マス47を第一ピン49によって形成されたヒンジを中心に回転させようとするトルクが、遠心マス47に作用する。遠心マス47の移動は、スロット41Dと第二ピン51との結合によってガイドされ、かつ、制限される。第二ピン51と凹部43Dとの間の結合によって、第二ディスク43は、ピン49を中心に回転する遠心マス47によって押され、第一ディスク41に対して軸線A-Aを中心に回転する。この時、バネ53によって発生する復帰力は、遠心力に対抗する。駆動軸3の角速度が最小値以下まで落ちると、バネ53の復帰力は遠心力に打ち勝って、遠心マス47を、駆動軸3の回転軸線A-Aから最小距離の位置まで戻す。
【0049】
第一ディスク41及び第二ディスク43の形状は、遠心マス47が、回転軸線A-Aから最短距離の位置にある時に、第一凹部41Aが、第二凹部43Aと整列するような形状である。この構成は、特に、
図10及び11に示されている。この位置では、パーキングブレーキを作動させ、歯34Aを相互に整列されている凹部41A及び43Aに挿入させることが可能であり、即ち、ロック部材33を阻止装置31に係合させることが可能である。
【0050】
逆に、駆動軸3の回転速度が、遠心マス47に作用する遠心力がバネ53の力に打ち勝つような速度である時は、二つのディスク41及び43は、凹部41A及び43Aがもはや相互に整列されないような角度的にずれた位置を採る。この構成は、特に、
図6、7、8及び9に示されている。歯34Aの厚さ、即ち、その軸線A-A方向の寸法及びその位置が、両方のディスク41及び43の凹部に同時に侵入しなければならないものであるため、
図4に示すように、二つのディスク41及び43が角度的にずらされ、凹部41Aが凹部43Aと整列していない時は、歯34Aは凹部に入り込むことができなくなる。
【0051】
図6及び
図7は、パーキングブレーキが作動してなく、遠心マス47に作用する遠心力によって、ディスク41及び43が相互に角度的にずらされている状態を示している。
【0052】
二つのディスク41及び43が角度的にずらされている
図6及び
図7の状態において、パーキングブレーキを作させようとしても、パーキングブレーキは係合することができず、
図7及び
図8に示すように、歯34Aは、前記凹部の相互の角度的なずれのために凹部41A及び43Aへの侵入を阻止され、二つのディスク41及び43の外周に載ったままになり、阻止装置に係合しない。駆動軸3は、その軸線を中心に自由に回転できる状態を維持する。
【0053】
従って、この機構は、簡単で信頼性が高く費用対効果の高い装置を用いて、パーキングブレーキが、車両が静止している時のみ、又は、殆ど静止している時のみに作動され得ることを保証する。
【0054】
一つ又は複数の駆動輪の速度に対して高速で回転する駆動軸3に阻止装置31を配置することにより、非常に低い車速でもパーキングブレーキの作動を阻害する、非常に感度の高い装置を得ることが可能になる。
【0055】
図20及び21は、車両に搭載されたガード61内における、
図1~
図19を参照して説明した部材の位置を示している。
図22は、本明細書に開示したパーキングブレーキを装備し得る車両100の斜視図を示している。車両100は、フレーム103、前側操舵輪105及び一対の後側駆動輪107を備えている。符号111はエンジンを示している。エンジン111には変速装置が設けられている。エンジン11と駆動輪107との間には、不図示の差動装置が介在され得、パーキングブレーキが作動している状態において、
図20及び21の変速装置によって差動装置に運動が伝達される。
【0056】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、以下に、本発明の具体的な特徴についてまとめる。
「特徴1」
モータ駆動車両(100)用のパーキングブレーキであって、
阻止装置(31)を備え、前記阻止装置(31)がそれと共に回転する駆動軸(3)と関連付けられ得、
前記阻止装置(31)が、遠心力によって作動され、
該パーキングブレーキが、さらに、作動時に阻止装置(31)と係合するよう適合されたロック部材(33)を備え、前記阻止装置(31)が、阻止装置が最低速度より高い速度で回転している時に、阻止装置にロック部材が係合することを阻止し、パーキングブレーキが作動することを阻止するように構成されている
ことを特徴とする。
「特徴2」
特徴1に記載のパーキングブレーキであって、
前記阻止装置(31)が、
・駆動軸(3)にキー止めされ得、回転軸線を有し、複数の第一凹部(41A)を有する周囲縁を備えた第一ディスク(41)と、
・第一ディスク(41)と同軸であり、第一ディスク(41)の回転軸線を中心に第一ディスク(41)に対して角度運動を実行できるように設けられ、かつ、駆動軸(3)に対して空転可能に取り付けられ、複数の第二凹部(43A)を有する周囲縁を備えた第二ディスク(43)であって、前記第一凹部(41A)及び第二凹部(43A)がほぼ同じ角度ピッチである第二ディスク(43)と、
・第一ディスク(41)の角速度で回転するよう適合され、第二ディスク(43)に接続された遠心マス(47)と
を備え、
第一ディスクの回転速度が最低速度より高い時に、前記遠心パスが、第二ディスク(43)を、第一ディスク(41)に対して角度的にずれた位置に保持し、その結果、第一凹部(41A)が第二凹部(43A)に対して角度的にずれた位置に保持し、
ロック部材(33)が、第一凹部と第二凹部とがお互いに対して位相を合わせた角度位置にある時に、第一凹部(41A)及び第二凹部(43A)に適合するような形状にされ、かつ、
第二ディスク(43)が、第一ディスク(41)に対して角度的にずれた位置にある時に、第一凹部(41A)及び第二凹部(43A)へのロック部材(33)の挿入が阻止されるように構成した
ことを特徴とする。
「特徴3」
特徴2に記載したパーキングブレーキであって、遠心マス(47)が、第一ディスク(41)の回転軸線に並行、かつ、第一ディスク(41)に対して偏心したピボット軸を中心に、第一ディスク(41)にヒンジ結合されていることを特徴とする。
「特徴4」
特徴3に記載したパーキングブレーキであって、遠心マス(47)が、戻し部材(53)、特に弾性部材によって、第一ディスク(41)及び第二ディスク(43)が、第一凹部(41)及び第二凹部(43A)が相互に位相合わせされる不作動位置に向けて押圧されることを特徴とする。
「特徴5」
特徴3又は4に記載のパーキングブレーキであって、遠心マス(47)がピボット軸を中心に回転した時に、第一ディスクの回転軸線を中心に第一ディスク(41)に対して第二ディスク(43)が回転するように、前記遠心マス(47)が第二ディスク(43)に拘束されていることを特徴とする。
「特徴6」
特徴3~5の何れかに記載のパーキングブレーキであって、遠心マス(47)が、第一ディスク(41)の軸線に対して非対称な質量分布を有し、第一ディスク(41)及び遠心マス(47)の回転が、遠心マス(47)を押圧して、第一ディスク(41)の軸線から離れる方向にピボット軸を中心として回転させる遠心力を遠心マス上に発生させることを特徴とする。
「特徴7」
特徴3~6の何れかに記載のパーキングブレーキであって、第二ディスク(43)が、第一ディスク(41)と遠心マス(47)との間に介在されていることを特徴とする。
「特徴8」
特徴3~7の何れかに記載のパーキングブレーキであって、遠心マス(47)が、ピボット軸を画定する第一ピン(49)を用いて第一ディスク(41)にヒンジ止めされることを特徴とする。
「特徴9」
特徴8に記載のパーキングブレーキであって、遠心マス(47)が、好ましくは、第一ピン(49)とほぼ並行であり、かつ、第一ピンから離間した第二ピン(51)を用いて第二ディスク(43)に拘束されることを特徴とする。
「特徴10」
特徴9に記載のパーキングブレーキであって、遠心マス(47)が、第一ディスク(41)と第二ディスク(43)との間の相互の角度的なずれを制限する連結部材を用いて第一ディスク(41)にさらに拘束されることを特徴とする。
「特徴11」
特徴10に記載のパーキングブレーキであって、遠心マス(47)と第一ディスク(41)との間の連結部材が、第二ピン(51)とスロット(41D)とを備え、第二ピン(51)が前記スロット(41D)に摺動可能に係合し、遠心マス(47)に作用する遠心力によって、第二ピン(51)がスロット(41D)内をスライドし、スロットが好ましくは、ピボット軸上に中心を有する湾曲形状を有することを特徴とする。
「特徴12」
特徴11に記載のパーキングブレーキであって、スロット(41D)が、第一ディスク(41)に形成され、第二ピン(51)が遠心マス(47)に一体的に結合されていることを特徴とする。
「特徴13」
特徴9~12の何れかに記載のパーキングブレーキであって、第一ピン(49)及び第二ピン(51)が、第一ディスク(41)の回転軸線に対して対向する位置にあることを特徴とする。
「特徴14」
特徴9~13の何れかに記載のパーキングブレーキであって、第一ピン(49)及び第二ピン(51)が第二ディスク(43)を貫通することを特徴とする。
「特徴15」
特徴1~14の何れかに記載のパーキングブレーキであって、ロック作動装置によって制御されるロック部材(33)が、ピボットレバー(34)を有することを特徴とする。
「特徴16」
エンジン(111)からの運動を一つ又は複数の駆動輪(107)に伝達するための機械式変速装置(1)であって、駆動軸(3)と、特徴1~15の何れかに記載のパーキングブレーキと、ギア列とを備え、パーキングブレーキの阻止装置の第一ディスク(41)が、変速装置(1)の駆動軸(3)にキー止めされていることを特徴とする。
「特徴17」
車両(100)であって、フレーム(103)、エンジン(111)、及び特徴16に記載の変速装置によってエンジンに接続される少なくとも一つの駆動輪(107)を備えていることを特徴とする。
「特徴18」
モータ駆動車両(100)用パーキングブレーキであって、阻止装置(31)を備え、前記阻止装置(31)がそれと共に回転する駆動軸(3)と関連付けられ得、前記阻止装置(31)が、遠心力によって作動され、
該パーキングブレーキが、さらに、作動時に阻止装置(31)と係合するよう適合されたロック部材(33)を備え、
前記阻止装置(31)が、
前記駆動軸(3)が最低速度より高い回転速度で回転している時に、ロック部材(33)の係合を阻止する第一角度位置から、
前記駆動軸(3)が最低速度より低い回転速度で回転している時に、ロック部材(33)の係合を可能にする第二角度位置まで
通過するよう構成され、
前記阻止装置(31)が前記回転速度に相関する遠心力によって作動される
ことを特徴とする。
「特徴19」
特徴18に記載のパーキングブレーキであって、
阻止装置(31)が、
相互に同軸の第一ディスク(41)及び第二ディスク(43)と、
第一ディスク及び第二ディスクを第二相互角度位置に押圧する弾性部材と、
阻止装置が回転している時に、遠心力を作用させて、第一相互角度位置に第一ディスク及び第二ディスクを押す遠心マスと
を備えていることを特徴とする。
【国際調査報告】