(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】STR遺伝子型を決定するための加水分解ベースのプローブおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6883 20180101AFI20230412BHJP
C12Q 1/6874 20180101ALI20230412BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20230412BHJP
【FI】
C12Q1/6883 Z ZNA
C12Q1/6874 Z
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552737
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2021055000
(87)【国際公開番号】W WO2021175762
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514185611
【氏名又は名称】ユニベルシテイト ゲント
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITEIT GENT
【住所又は居所原語表記】Sint-Pietersnieuwstraat 25, B-9000 Gent, Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ティトガット,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ニエーヴェルブルグ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ディフォース,ディーター
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QR08
4B063QR14
4B063QR56
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、ショートタンデムリピート(STR)遺伝子座を含有する試料の遺伝子型を決定する分野に関する。より具体的に言うと、本発明は、プローブのアレイを含有する物質組成物、およびRNA:DNA塩基対の認識、これに続くRNA含有鎖の切断に依拠する、これらの遺伝子座の遺伝子型を決定する方法を開示する。DNA-RNA-DNAキメラプローブが切断され、プローブの蛍光の増加が結果として得られる温度を測定することによって、プローブと試料とが同じ量のリピートを共有するかどうかが、評価され得る。プローブのアレイは、利用され、調査されるSTR-遺伝子座のすべての実装可能なアレルをカバーする。本発明のプローブおよび方法は、携帯可能な、より低く高価なDNA分析デバイスにおいて使用されることに適しており、および犯罪捜査以外の分野、例えば食品偽装、診断、および多くの他の分野において適用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)オリゴヌクレオチドプローブのアレイ、ここで該プローブの各々が、5’から3’までにまたは3’から5’までに、以下の3つの領域:
I.着目した特定のDNA配列に直接隣接する領域とアニールし、および第2のフランキング領域よりもより高い融解温度を有する、少なくとも1つのヌクレオチドを含む第1のフランキング領域、
II.試料中の着目したショートタンデムリピート領域とアニールし、および少なくとも1つのフルオロフォアを含有する、特定のDNA配列を含む領域、および
III.少なくとも2つのヌクレオチドを含み、および少なくとも1つのリボヌクレオチドおよび該フルオロフォアを効率的に消光することができる少なくとも1つのクエンチャー部分を含有し、ここで、フルオロフォアおよびクエンチャー部分が、少なくとも1つのリボヌクレオチドによって、互いに分離される第2のフランキング領域
を含む、および
b)該プローブと該試料のハイブリダイゼーションの際、RNA:DNA二重鎖の認識によって、該プローブを消化することができるRNaseH2酵素、
を含む組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のオリゴヌクレオチドプローブのアレイを含む組成物であって、クエンチャーが、該プローブの各々の3’末端または5’末端へ付着されている、前記組成物。
【請求項3】
請求項1~2に記載のオリゴヌクレオチドプローブのアレイを含む組成物であって、フルオロフォアが、該プローブの各々の第2のフランキング領域のヌクレオチドへ付着され、およびクエンチャーが、該プローブの各々の着目した特定のDNA配列のヌクレオチドへ付着されている、前記組成物。
【請求項4】
請求項1~3に記載のオリゴヌクレオチドプローブのアレイを含む組成物であって、フルオロフォアが、フルオレセイン誘導体である、前記組成物。
【請求項5】
請求項1~4に記載のオリゴヌクレオチドプローブのアレイを含む組成物であって、クエンチャーが、Iowa Black FQクエンチャーである、前記組成物。
【請求項6】
請求項1~5に記載のオリゴヌクレオチドプローブのアレイを含む組成物であって、該プローブの各々が、1つより多いリボヌクレオチドを含有する、前記組成物。
【請求項7】
請求項1~6に記載のオリゴヌクレオチドプローブのアレイを含む組成物であって、ヌクレオチドが、核酸類似体である、前記組成物。
【請求項8】
請求項1~7に記載のオリゴヌクレオチドプローブのアレイを含む組成物であって、該プローブの各々が、支持体上に固定されている、前記組成物。
【請求項9】
―DNAを含む試料を提供すること、
-増幅された一本鎖DNA配列を得るために、着目した特定のDNA配列を含む該試料中のDNAを増幅すること、
-プローブへアニールされた一本鎖DNA配列の二重鎖を得るために、請求項1~8に記載のプローブのアレイを該DNA配列へ加えること、
-RNaseH2酵素を加えること、
-RNaseH2酵素が活性化される温度まで、試料、プローブおよびRNaseH2酵素の混合物を加熱すること
-RNaseH2酵素の活性化後の該混合物の冷却の際の蛍光を測定すること、ここで蛍光強度の増加は、特定の完全に相補的なショートタンデムリピートが該試料中に存在するかどうかの情報を提供する、
のステップを含む、試料中のショートタンデムリピートの遺伝子型を決定するための方法。
【請求項10】
増幅された一本鎖DNA配列を得るために、試料中の該増幅が、非対称PCRによって行われる、請求項9に記載の遺伝子型を決定するための方法。
【請求項11】
増幅された一本鎖DNA配列を得るために、試料中の該増幅が、ビオチン標識プライマーを使用する対称PCRによって、またはこれに続くラムダエクソヌクレアーゼ消化によって行われる、請求項9~10に記載の遺伝子型を決定するための方法。
【請求項12】
プローブの各々が溶液中に加えられる、または支持体の上へ固定される、請求項9~11に記載の遺伝子型を決定するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野
本発明は、ショートタンデムリピート(STR)を含有する試料の遺伝子型を決定することに関する。本発明は、3つのDNA領域からなる蛍光的に標識されたハイブリッドDNA:RNAプローブを開示し、ここで、1つの領域は少なくとも1つのRNA残基を含有し、および別の領域は、少なくとも1つのクエンチャーを含有する。本発明は、さらに該プローブおよびプローブがSTRを含有するDNA試料にハイブリダイゼーションする場合に形成されるRNA:DNA二重鎖を認識する、RNaseH2酵素を利用する方法に関する。酵素は、クエンチャーを含有する領域を切断し、増大した蛍光シグナルを結果として生じる。ハイブリダイゼーション、これに続く酵素による認識、およびこれに続くプローブの切断は、試料中のリピート数がプローブ中のリピートの数に厳密に一致する場合に、より高い温度にて起こる。この本プローブおよび方法は、法医学的DNA解析のための携帯デバイスにおいて、具体的に有用である。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
デオキシリボ核酸(DNA)は、血縁分析や法医学的なDNA遺伝子型の決定など、個人の同定の目的のために使用される。DNAにおける多型、例としてショートタンデムリピート(STR)および一塩基多型(SNP)は、このゴールのために試験される。STRは、現在でも多くの適用のための、えり抜きの多型として残る。STR-遺伝子座は、リピートの量の点においてある集団内において多型である、短い(典型的には4ヌクレオチド)リピート配列によって特徴づけられる。[1]
【0003】
ヒトゲノムにおいて、この特異的なタイプの多型を含有する、種々の領域が同定される。統計的にユニークなプロファイルは、法医学的な目的のためのヒトゲノムの非コード領域中にほとんど位置付けられる多数のSTR-遺伝子座を分析することによって、得られる。ヨーロッパにおいては、典型的には欧州規格セット(European Standard Set)(ESS)と呼ばれる12つのSTRのパネルが試験された。このパネルは、現在、5つの遺伝子座の追加によって拡張された。[2]米国においては、13のコアの遺伝子座と7つの追加遺伝子座を含有する、統合DNAインデックスシステム(CODIS)が、使用される。[3]
【0004】
典型的には、これらの遺伝子座はキャピラリー電気泳動法(CE)、DNAのサイズ分離技法を用いて分析される。CEは、かさばる機器を要求する長時間のプロセスである。その上、電気泳動に必要とされる高い電位は、正確な電力供給についての必要性に関係する。要するに、CEは、携帯デバイスにおいて実装されるために、申し分なく適するわけではない。独立型のデバイス、例として、RapidHIT(Applied Biosystems)[4]が、市販されている。この具体的なデバイスは、82kgの質量を有し、それによってルーチンにおけるDNA痕跡のオンサイト分析に支障をきたしている。
【0005】
このことが捜査をスピードアップさせ得ることから、犯罪捜査は、オンサイトDNA鑑定から多大な利益を得るだろう。その他にも、これらの分析のチップ上への実装は、汚染についてのリスクを低減し、高度に熟練したスタッフの必要性を回避し、および社会に対するコストを低くするだろう。[5]
【0006】
携帯デバイスに組み込まれる可能性のあるSTR遺伝子型を決定するための代替検出法は、記載されてきた。それらのほとんどすべては、所謂STRプローブを使用するハイブリダイゼーションベースのアプローチである。STR-遺伝子座は、SNP遺伝子座と比較し幾分長く、長いプローブについての必要性に関係する。ハイブリダイゼーションベースの方法は、二重鎖の安定性に依拠する。本明細書においてヘテロ二重鎖形成と呼ばれる、試料とプローブとの間の部分的なミスマッチは、より低い融解温度によって反映される二重鎖の不安定化を結果として生じるだろう。しかしながら、プローブが長くなるほど、二重鎖の安定性におけるミスマッチの影響は低くなる。STR-遺伝子座は定義上長いのみでなく、プローブ中のリピート単位の存在に起因して可能なアレルは、高度の類似性を有する:プローブと試料とが同じ量のリピートを共有しない場合でさえ、ごく小さい画分のみが試料とミスマッチを示しながら、プローブの大きな画分は試料と完全にマッチする。
【0007】
1リピートのミスマッチの不安定化効果を増大するために、US9404148B2[6,7]は、溶液中で遮断薬のオリゴヌクレオチドと共に使用され、それによってプローブ長を短縮するHyBeaconプローブを記載する。このアッセイは、LGC社によって商品化されたParaDNAデバイス中に実装された[8]。遺伝子型の決定は、従来の融解曲線解析によってなされる。このシステムの欠点は、完全なDNAプロファイルのために必要とされるすべての遺伝子座を遺伝子型の決定できるシステムの設計を不可能にするプローブ設計の制限であり、およびそれによってシステムへ有意な程度の複雑さを追加する遮断薬として機能する第2のオリゴヌクレオチドに対する必要性である。複数の合成オリゴヌクレオチドを使用する他のシステムは、例として、ディファレンシャルハイブリダイゼーションに基づく方法を記載するUS9783842B[11]、分岐点移動アッセイを記載するUS7501253B2[12]、およびプローブと試料二重鎖の安定性に基づく方法、つまり捕捉プローブとレポータープローブを使用する「サンドイッチハイブリダイゼーション法」、および「ループアウト法」[13]を記載するUS6753148B2に記載される。HyBeaconプローブについて記載されるとおり、同様の欠点、例として複雑さの増大はまた、後者のシステムにおいても見られる。
【0008】
US12/276849[9,10]は、ブロッキングオリゴの使用を省いた融解曲線ベースのアプローチであるdpFRETの方法論を記載する。このシステムへの欠点は、オリゴの融解挙動をもまた変化させる、毒性のインターカレート色素の使用である。
複数の合成オリゴヌクレオチドの使用の他にも、酵素切断のステップの導入は、二重鎖の不安定化に依拠するアッセイの特異性を、劇的に増強する有効なストラテジーである。dpFRET方法論、またはプローブと試料との間の物理的距離に依拠する他の方法論を使用する場合、アニールするプロセスの間に既にシグナルはすでに生成されているため、融解ピークは相対的に広い。対照的に、エンドヌクレアーゼは、DNAの正しい塩基対形成に依拠する。シグナルは、したがって、二重鎖が形成された後にのみ生成され、より狭いおよび明確なピークを結果として生じる。
【0009】
遺伝型を決定するアッセイのために好適な酵素は、RNA:DNA二重鎖を認識し、およびRNA鎖を切断する、RNaseH2酵素である。US20160130673A1[19]は、標的配列の検出のためのエンドヌクレアーゼ活性(例えば、RNaseHに由来する)およびエキソヌクレアーゼ(例えば、ポリメラーゼに由来する)の併用を記載する。該システムは、TaqMan(登録商標)プローブと幾分同様であるが、しかしキメラDNA-RNA-DNAプローブを利用するものである。プローブは、例としてSNPまたはINDELの着目した小さな領域を標的にし、プローブのRNA領域が着目した標的の領域へハイブリダイゼーションするかまたはしないかどうかに依拠する。プローブは、さらに、ミスマッチが最も不安定な位置である二重鎖の中心において位置されるように設計される。かかるアッセイは、2進法の答え(すなわち、RNA部分はハイブリダイゼーションするかまたはしないだろうかのいずれか)を結果として生じ、2対立の遺伝子座、例としてSNP-遺伝子座の分析のために、申し分のなく適した特徴である。しかしながら、かかるストラテジーは、これらのDNA領域が単に配列というよりむしろ長さが異なる複数の可能なアレルによって特徴づけられるため、STRプローブに対して適用され得ない。実際、かかるプローブの検出部は、プローブの中心に位置されず、より末端に向かって位置され得る。したがって、このプローブへのいくつかの構造上の適応(例としてアンカー領域およびRNA塩基の位置決め)は不可欠である。着目した遺伝子座がSNP-遺伝子座よりも長いため、ミスマッチの不安定化の効果は減少する。これは、ミスマッチが起こる場合でさえRNA-部分がハイブリダイゼーションするであろうことに関係し、査定およびデータ分析の方法を複雑化する。
【0010】
まとめると、高いシグナル対ノイズを結果して生じ、設計上の制限を全く有さず、および携帯デバイス中で実装され得る、STR遺伝子型を決定するプローブおよび方法を設計することへの高い必要性が、いまだに明確にある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図の簡単な記載
【
図1】
図1:プローブの設計。プローブは、5’から3’へまたは3’から5’へ(i)プローブの正しいアニーリングを確実にするためおよびスリッページ(slippage)を防止するアンカーとして作用する第1のフランキング領域;(ii)1つまたは複数のリピートを含み、および少なくとも1つの蛍光部分を含むリピート領域;(iii)少なくとも1つのリボヌクレオチドおよび該フルオロフォアを消光できる少なくとも1つのクエンチャーを含む、センサとして作用する第2のフランキング領域からなる。
【
図2】
図2:プローブ:酵素消化前の試料の(ヘテロ)二重鎖。完全相補性を指し示す、プローブと試料とが同じリピート数を有する場合、ホモ二重鎖が形成される。一方で、プローブと試料とが同じ量のリピート数を共有しない場合、より低いハイブリダイゼーションおよび融解温度により特徴づけられるヘテロ二重鎖が形成されるだろう。
【0012】
【
図3】
図3:ハイブリダイゼーションの際の蛍光。高温にて、DNAは一本鎖(変性)であり、およびプローブはそのままで残る。冷却に際して、プローブと試料はアニールする。RNaseH2酵素は、プローブをRNAの位置で認識および切断し、クエンチャーとフルオロフォアを互いに分離されることを起こす。それは、今度は、蛍光の増加を起こす。温度軸の反転された方向に注意すること。
【
図4】
図4:3つの異なる状況の、ハイブリダイゼーションの際の蛍光。1つの試料は、3つの異なるプローブとともに培養された:マッチングプローブ(実線)、試料と比較して1つ少ない繰り返しを有するプローブ(破線)、試料と比較して1つ多い繰り返しを持つプローブ(点線)。蛍光の増大は、RNA部分のハイブリダイゼーションを指し示す。1つ多いリピートを有するプローブは、より長くおよびしたがって理論上のより高い融解温度を有するものの、これはマッチングプローブについて最も高い温度にて起こる。温度軸の反転された方向に注意すること。
【0013】
【
図5】
図5:例1の、温度の関数としての蛍光。マッチングプローブ7は、ミスマッチプローブ6および8と比較して、より高い温度にてハイブリダイゼーションする。
【
図6】
図6:例1の、温度に関する蛍光の一次導関数。マッチングプローブ7は、ミスマッチプローブ6および8と比較して、より高い温度にてハイブリダイゼーションする。
【
図7】
図7:例2の、温度に関する蛍光の一次導関数。マッチングプローブ6および7は、ミスマッチプローブ8と比較して、より高い温度にてハイブリダイゼーションする。シグナルは、ミスマッチプローブ9、9.3、および10について全く起こらない。
【
図8】
図8:例3の、温度に対する蛍光の一次導関数。マッチングプローブ8と9.3は、ミスマッチプローブ6、7、および10と比較して、より高い温度にてハイブリダイゼーションする。極めて限定されたシグナルのみが、ミスマッチプローブ10について起こる。
【発明の概要】
【0014】
発明の概要
本発明は、以下:
a)オリゴヌクレオチドプローブのアレイ、ここで該プローブの各々が、5’から3’までにまたは3’から5’までに、以下の3つの領域:
I.着目した特定のDNA配列に直接隣接する領域とアニールし、および第2のフランキング領域よりもより高い融解温度を有する、少なくとも1つのヌクレオチドを含む第1のフランキング領域、
II.試料中の着目したショートタンデムリピート領域とアニールし、および少なくとも1つのフルオロフォアを含有する、特定のDNA配列を含む領域、および
III.少なくとも2つのヌクレオチドを含み、および少なくとも1つのリボヌクレオチドおよび該フルオロフォアを効率的に消光することができる少なくとも1つのクエンチャー部分を含有し、ここで、フルオロフォアおよびクエンチャー部分が、少なくとも1つのリボヌクレオチドによって、互いに分離される第2のフランキング領域
を含む、および
b)該プローブと該試料とのハイブリダイゼーションの際、RNA:DNA二重鎖の認識によって、該プローブを消化することができるRNaseH2酵素、
を含む組成物に関する。
【0015】
本発明はさらに、上に記載のとおりのオリゴヌクレオチドプローブのアレイを含む組成物であって、該クエンチャーが、該プローブの各々の3’末端または5’末端へ付着されている組成物に関する。
本発明はさらに、上に記載のとおりのオリゴヌクレオチドプローブのアレイを含む組成物であって、該フルオロフォアが、該プローブの各々の第2のフランキング領域のヌクレオチドへ付着され、およびここで該クエンチャーが、該プローブの各々の着目した特定のDNA配列のヌクレオチドへ付着されている組成物に関する。
【0016】
本発明の特定の態様において、該フルオロフォアは、フルオレセイン誘導体である。
本発明の特定の態様において、該クエンチャーは、Iowa Black FQクエンチャーである。
本発明はさらに、1つより多いリボヌクレオチドを含有する、上に記載のとおりのオリゴヌクレオチドプローブのアレイを含む組成物に関する。
本発明はさらに、上に記載のとおりのオリゴヌクレオチドプローブのアレイを含む組成物であって、ヌクレオチドが核酸類似体である組成物に関する。
本発明はさらに、上に記載のとおりのオリゴヌクレオチドプローブのアレイを含む組成物であって、該プローブの各々が支持体上に固定されている組成物に関する。
【0017】
本発明はまた、試料中のショートタンデムリピートの遺伝子型を決定するための方法であって、以下:
-DNAを含む試料を提供すること、
-増幅された一本鎖DNA配列を得るために、着目した特定のDNA配列を含む該試料中のDNAを増幅すること、
-該プローブへアニールされた一本鎖DNA配列の二重鎖を得るために、上に記載のとおりのプローブのアレイを該DNA配列へ加えること、
-RNaseH2酵素を加えること、
-RNaseH2酵素が活性化される温度まで、試料、プローブおよびRNaseH2酵素の混合物を加熱すること
-RNaseH2酵素の活性化後の該混合物の冷却の際の蛍光を測定すること、ここで蛍光強度の増加は、特定の完全に相補的なショートタンデムリピートが該試料中に存在するかどうかの情報を提供する、
のステップを含む方法に関する。
【0018】
本発明はさらに、上に記載のとおりの遺伝型を決定するための方法であって、増幅された一本鎖DNA配列を得るために、該試料中の該増幅が、非対称PCRによって行われる方法に関する。
本発明はさらに、上に記載のとおりの遺伝型を決定するための方法であって、ここで該試料中の該増幅が、増幅された一本鎖DNA配列を得るために、ビオチン標識プライマーを使用する対称PCRによって、またはこれに続くラムダエクソヌクレアーゼ消化によって行われる方法に関する。
本発明はさらに、上に記載のとおりの遺伝型を決定するための方法であって、プローブの該アレイが、溶液中に加えられる、または支持体の上へ固定される、に関する。
【0019】
本発明の記載
本発明は、オリゴヌクレオチドプローブのアレイおよびRNaseH2酵素を含む組成物に関する。プローブとは、本明細書において、互いに共有結合的に連結されている2つ以上のヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドからなる、合成的に製造されたオリゴヌクレオチドとして定義され、ここでいくつかのヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドは、修飾されていてもよい。かかる修飾は、天然のDNAやRNAにおいて必ずしも起こるわけではない、オリゴヌクレオチドに付加された分子として定義される。修飾の例は、例えば、蛍光部分の存在、クエンチャーの存在、付着目的のための分子の存在、溶融温度の修飾因子等々である。プローブは、合成的に製造され得るが、オリゴヌクレオチドプローブの定義は、本明細書において合成的に製造されたオリゴヌクレオチドに排他的に狭められるものではない。プローブは、一般に調査される分子と相互作用するであろうように設計され、およびこの相互作用に際してプローブの応答が観察され、調査される該分子の情報を得るために使用される。
【0020】
DNAの相補性は、二本鎖DNAを結果としてもたらすWatson-CrickまたはHoogsteen塩基対とも呼ばれるプロセス、アデニンはチミンまたはウラシルと、シトシンはグアニンと常に水素結合を形成すると述べられるChargaffの法則で説明され得る。ハイブリダイゼーションまたはアニーリングは、相補的な塩基対形成後に2本の核酸鎖からなる二重鎖構造またはヘテロ二重鎖構造の形成として本明細書において定義される。二重鎖構造とは、完全に相補的な塩基対の2本の核酸鎖の複合体として定義される。ヘテロ二重鎖構造は、2本の部分的に相補的な核酸鎖の複合体、例として1つ以上の4ヌクレオチドリピートによって延ばされた2本のDNA鎖の複合体として定義される。
【0021】
本発明によって開示されたプローブのアレイの機能は、ショートタンデムリピート遺伝子座(STR-遺伝子座)の遺伝子型を決定することである。STR-遺伝子座は、リピートの量に関してある集団内において多型である、短い(典型的には4ヌクレオチド)リピート配列によって特徴づけられる。一塩基多型(SNP)とは対照的に、これらの遺伝子座は複対立であり、集団内で幾分広い範囲のリピート数がおこることを指し示す。充分な遺伝子座のリピート数を決定することによって、統計的にユニークなプロファイルが、個々について得られる。「プローブのアレイ」という表現は、調査されるSTR-遺伝子座の各アレルに対して、専用のプローブが設計されているという事実を指す。プローブのアレイは、ある遺伝子座に対するすべての異なるプローブからなる。特定のプローブと試料との間の相互作用は、個別に分析するべきであり、すべての異なるプローブは、例えばマルチウェルプレートの異なるウェルを用いて、または表面上の別個のスポットにおいてそれらを固定化することによって、物理的に分離するべきであることと関係する。
本発明によって開示されたオリゴヌクレオチドプローブは、
図1において例示されるとおり、第1のフランキング領域の5’から3’までにまたは3’から5’までに、着目した特定のDNA配列および第2のフランキング領域を含む。
【0022】
第1のフランキング領域は、ヌクレオチドの配列であり、および少なくとも1つのヌクレオチドを含む。本発明のより便利な態様において、フランキング領域は、20個と40個との間のヌクレオチドを含む。第1のフランキング領域は、STR領域のすぐ隣の領域と相補的であり、それとアニールし、および試料とプローブが正しくアニールすることを確実にし、それによってアンカーとして作用する。この第1フランキング領域は、第2のフランキング領域と比較して著しく高い融解温度を有するため、第1のフランキング領域でのハイブリダイゼーションの開始が、有利である。正しい遺伝子型の決定を得るためには、試料の最初のリピートとプローブの最初のリピートがアニールし、および試料のスリッページが防止されることが重大である。
【0023】
着目した特定のDNA配列は、少なくとも1つのショートタンデムリピートを含み、少なくとも1つのフルオロフォアを含有し、および試料内のショートタンデムリピート領域とアニールする。本発明の一態様において、この試料は、標的STR-領域が、例としてポリメラーゼ連鎖反応を用いて増幅されるDNAである。
第2のフランキング領域は、少なくとも1つのヌクレオチドを含み、少なくとも1つのリボヌクレオチド、例としてATP、CTP、GTPおよびUTPを含有し、および該フルオロフォアを効率的に消光することができる少なくとも1つのクエンチャー部分を含有する。
【0024】
フルオロフォアは、本明細書において約350nmと900nmとの間の蛍光発光最大値によって特徴づけられる化合物として定義される。一般的に使用されるフルオレセイン誘導体は、5-FAM(5-カルボキシフルオレセイン)である。他の一般的に使用されるフルオロフォアは、5-ヘキサクロロ-フルオレセイン、6-ヘキサクロロ-フルオレセイン、5-テトラクロロ-フルオレセイン5-TAMRA(5-カルボキシテトラメチルローダミン)、6-TAMRA(6-カルボキシテトラメチルローダミン)、Cy5(インドジカルボシアニン-5);Cy3(インド-ジカルボシアニン-3)、およびBODIPY FL(2,6-ジブロモ-4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸)である。
【0025】
クエンチャーは、フルオロフォアに近接させたときに、そのフルオロフォアの発光を抑制する部分として定義される。一般的な消光のメカニズムは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)であるが、しかし本明細書において、クエンチャーの定義は、この機序に狭められない。他の機序は、例として、光誘起電子移動である。市販のクエンチャーとしては、Dabcyl、Iowa Black(登録商標) FQおよびRQ、ZEN(商標)、ならびにBlack Hole Quencher、例としてBHQ-1(登録商標)である。
本発明の特定の態様において、フルオレセイン誘導体は、Iowa Black FQクエンチャー部分と組み合わせて使用される。当業者は、蛍光部分とクエンチャーとの他の組み合わせがこのゴールのために好適であることを認識するであろう。フルオロフォアの発光波長がクエンチャーの最適な吸光度波長に対応することが重大である。実装可能なフルオロフォアとクエンチャーの組み合わせの例は、Cy3とBlack Hole Quencher 2との組み合わせである。
【0026】
フルオロフォアとクエンチャー部分とは、少なくとも1つのリボヌクレオチドによって互いに分離される。クエンチャーと蛍光部分とが同じヌクレオチドまたはリボヌクレオチドに連結されている場合、両方の該部分が互いに分離されないため、好適な酵素によるプローブの消化の際に、全くシグナルは発生しないであろう。本発明のより特定の態様において、フルオロフォアとクエンチャーとは、15~30個のヌクレオチドで分離されている。
本発明の特定の態様において、クエンチャーは、プローブの3’または5’末端へ付着される。
【0027】
本発明は、さらに、上に記載のとおりのオリゴヌクレオチドプローブに関し、ここで該フルオロフォアは第2のフランキング領域のヌクレオチドに付着され、およびここで該クエンチャーは着目した特定のDNA配列のヌクレオチドに付着されている。本発明はさらに、1つより多いリボヌクレオチドを含む、上に記載のとおりのオリゴヌクレオチドプローブに関するものである。
本発明はさらに、上に記載のとおりのオリゴヌクレオチドプローブに関し、ここで該ヌクレオチドは、核酸類似体、例として、LNA、PNA、GNA、TNA、モルホリノ(PMO)である。
本発明において記載される該プローブは、溶液中および支持体上に固定された状態の両方において機能的である。
【0028】
本発明はまた、以下:
1.DNAを含む試料を提供すること。本発明のより特定の態様において、試料は、少なくとも1つのSTR-遺伝子座をもつDNAを含む。このDNAの供給源は、ヒト、動物、または植物でさえあり得る。当業者は、これが限定的なリストでないことを認識するであろう。
2.増幅されたDNA配列を得るために、着目した特定のDNA配列を含む該試料中のDNAを増幅すること。DNAを増幅するストラテジーには複数のものがあるが、しかしながら、着目した特定の配列、例としてSTR-遺伝子座を増幅するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、最も一般的に適用される方法である。PCR反応において、増幅された遺伝子座は、特異的に設計されたプライマーによって決定される。増幅は、DNAポリメラーゼ酵素を使用して実行される。当業者は、DNAを増幅するための多くの他のストラテジー、標的化または非標的化の両方、が存在することを認識するであろう。例えば、等温DNA増幅、全ゲノム増幅、およびローリングサークル増幅である。
3.該プローブへアニールされた一本鎖DNA配列の二重鎖を得るために、上の記載のとおりのプローブを、増幅された該DNA配列へ加えること、
4.RNaseH2酵素またはこの位置が相補的ヌクレオチドへハイブリダイゼーションされるとき、RNA位置においてプローブを切断することができるいずれの他の酵素を追加すること。本発明の特定な態様において、25mUの酵素が追加される。
5.試料、プローブ、およびRNaseH2酵素の混合物を、例としてリアルタイムPCR装置を使用して、RNaseH2酵素が活性化する温度、典型的には95℃に、加熱すること。
6.RNaseH2酵素の活性化後、該混合物を冷却する際の蛍光を、例としてリアルタイムPCR装置を使用して測定すること
のステップを含む、試料中のショートタンデムリピートの遺伝子型を決定するための方法に関する。
【0029】
高温におけるRNase酵素の活性化後、混合物は、ゆっくり冷却される。本発明の特定の態様において、混合物は、1分あたり0.5℃の速度において冷却される。しかしながら、より速いおよびより遅い冷却の両方が実行可能であることを注記するべきである。混合液の冷却に際し、プローブは、試料の増幅されたDNA鎖とハイブリダイゼーションするだろう。プローブにおけるアンカー領域の存在のため、ハイブリダイゼーションは、プローブのアンカー側において有利である。これは、アンカー側から始まるプローブの最初のリピートが試料の最初のリピートへハイブリダイゼーションするだろうことを確実にする。
【0030】
該プローブと増幅されたDNA鎖が全く同数のリピートを有する場合、完全なプローブは、試料にハイブリダイゼーションするだろう。プローブと増幅されたDNA鎖とが同じリピート数を共有しない場合、ヘテロ二重鎖の形成が起こるだろう(
図2)。後者の事態において、完全相補性の事態と比較して、より低い温度にてハイブリダイゼーションが起こるだろう。RNaseH2酵素は広い範囲の温度において活性であるため、プローブは、それが試料へハイブリダイゼーションするとすぐに切断される(
図3)。結果として、試料と同数のリピートをもつプローブの蛍光シグナルは、ミスマッチプローブと比較して、より高温において増加する(
図4)。
【0031】
本発明は、よって、酵素分解によるプローブのハイブリダイゼーション温度を決定するSTR-アッセイを記載する。プローブと試料との間の部分的なミスマッチの不安定化効果は、STR-遺伝子座については、これらが定義上長い遺伝子座であるため、評価することが困難である。一般に、プローブが長ければ長いほど、ミスマッチによる不安定化効果は低くなることが、知られている。プローブ中のRNA単位の特定のハイブリダイゼーションに依拠する酵素切断ステップを導入することによって、極度にシャープな別個のピークが得られ、それによって二重鎖の安定性における違いを、最適に強調する。このリボヌクレオチドの特定のハイブリダイゼーションの後でのみ、ヘテロ二重鎖中に開ループ構造の形成を伴い(
図2において例示されるとおり)、シグナルが生成される。クエンチャー部位と組み合わせての蛍光分子の使用は、高いシグナル対ノイズ比を結果として得る。
【0032】
本発明はさらに、上に記載のとおりの遺伝子型を決定する方法に関し、ここで該試料中の該増幅は、増幅された一本鎖DNA配列を得るために、非対称PCRによって行われる。二本鎖アンプリコンの再アニーリングがプローブハイブリダイゼーションよりも好まれるであろうため、一本鎖DNAを得ることが重大である。非対称PCRは一本鎖DNAを得るために、しばしば使用される技法である。このゴールを得るために、プライマーは、PCR反応混合物へ種々の濃度で追加される。プローブと相補的な鎖において組み込まれるプライマーは、過剰に追加される。最初のPCRサイクルの間、両方のプライマーが消費され、およびPCRは指数関数的に起こる。より低い濃度において追加されたプライマーの欠乏に際して所望の鎖のみが生成されるため、PCRは、直線的に起こるだろう。
【0033】
非対称PCRに対する代替手段は、ビオチン標識プライマーを使用する対称PCRである。PCR後、ストレプトアビジンのビーズは、増幅されたDNAへ追加される。ビオチン標識プライマーはストレプトアビジンと共有結合的に反応し、二本鎖のアンプリコンの変性に際して、所望される鎖が単離され得る。別の代替手段は、対称PCR、これに続くラムダエクソヌクレアーゼ消化である。5’リン酸標識プライマーに由来する鎖のみが、消化されるだろう。
本発明はまた、上に記載のとおりの方法に関し、ここで該プローブは、溶液中に追加されるか、または支持体の上に固定される。
【実施例】
【0034】
例
例1:
TH01遺伝子座のために設計された3種類のプローブ(6、7、8リピートを有する)と7リピートを有する合成的に製造された補体とを、混合した。プローブの濃度は、0.1μM、合成補体の濃度は、1μMであった。プローブの配列は、表1中に見出され得る。RNaseH2酵素を追加した後、混合物を、95℃に10分間加熱した。その後、プローブと合成補体の正しいハイブリダイゼーションを確実にするため、混合物を、ゆっくり冷却した。このハイブリダイゼーションフェーズの間、蛍光を、モニターした。温度に関する蛍光の一次導関数を、計算した。
【表1】
表1:TH01実験のために使用されたオリゴヌクレオチドの配列。リボヌクレオチドは’r’を前に置く。下線を引かれたT-ヌクレオチドはフルオレセインdTを指し示す。クエンチャーとして、Iowa Black FQを使用した。
【0035】
蛍光は、3ウェルすべてにおいて減少し、すべての異なるプローブは酵素によって消化されたことを指し示した。しかしながら、マッチングプローブは、ミスマッチプローブと比較して、より高い温度にて消化された。これは、ミスマッチプローブと試料とのヘテロ二重鎖形成を指し示す。
【0036】
例2:
200μLの体積の滅菌HPLC-水中に頬側スワッブを、浸漬した。30”のボルテックスステップの後、スワッブを、取り除き、および水を、PCRのインプットとして使用した。30μLのインプット試料を用いてSingleplex非対称PCRを実行した。プライマー濃度は、0.1μMフォワードプライマーおよび1.5μMリバースプライマーであった。PCR混合物の体積は、50μLであり、0.5mMの濃度のMgCl2+、200μMの各dNTP、1X Qiagen PCRバッファ、および1.3UのHotStarTaq酵素を、含有した。ポリメラーゼの活性化は、PCRミックスを、95℃で15分間、これに続く95℃において1分間、59℃において1分間、72℃において80秒間の60サイクルにおいて加熱することによって行った。プライマー配列は、表1中に見出され得る。
【0037】
非対称PCRの後、8.5μLの増幅産物のアリコートを、96ウェルプレートに分けた。それぞれ別のウェルに1.5μLの具体的なプローブを、1μMの開始濃度において追加した。これらの混合物を、95℃において10分間変性し、これに続き0.04℃/秒のランプ速度でゆっくりと冷却する一方、LightCycler(Roche)を使用して、蛍光を継続的に測定した。ハイブリダイゼーション曲線の一次導関数を計算し、融解ピークを結果として得た。プローブの配列は、表2中に見出され得る。試料は、CE分析を使用して、遺伝子型を決定され、およびアレル6および7を有した。
【表2】
表2:TH01実験のために使用されたオリゴヌクレオチドの配列。‘r’は、続く単位がリボヌクレオチドであることを、注記する。下線を引かれたT-ヌクレオチドは、フルオレセインdTを指し示す。クエンチャーとしてIowa Black FQを使用した。
【0038】
すべてのハイブリダイゼーション曲線の一次導関数を、
図7において示す。著しいシグナルを、アレル6、7、および8について観察し得た。プローブ8は、シグナルを表示する3つのプローブの最も長いプローブであるものの、それは、はっきりと低いハイブリダイゼーション温度を示し、ヘテロ二重鎖形成を指し示した。他のプローブは、ほとんどシグナルを示さず、ミスマッチが非常に不安定でハイブリダイゼーションが起きなかったことを指し示した。
【0039】
例3:
頬側スワッブを、例2に記載されるとおりに調製し、増幅し、および分析した。例2において記載されるとおりの同じプライマーおよびプローブを、使用した。試験された試料を、アレル9.3を有するCEを使用して、遺伝子型を決定した。アレル9.3を有する試料は10つのリピートを有するが、それらの第3のリピートにおける1ヌクレオチドの欠失によって特徴づけられる。この試料とプローブ10とのハイブリダイゼーションが、1ヌクレオチドのインデル(挿入/欠失)によってのみ不安定化されるヘテロ二重鎖を結果として得るため、これらは、挑戦的なアレルである。
【0040】
非対称PCR後、8.5μLの増幅産物のアリコートを、96ウェルプレートに分けた。それぞれ別のウェルに1.5μLのプローブ(1μM)を、追加した。これらの混合物を、95℃において10分間変性し、これに続き0.04℃/秒のランプ速度においてゆっくりと冷却する一方、LightCycler(Roche)を使用して、蛍光を、継続的に測定した。ハイブリダイゼーション曲線の1次導関数を計算し、融解ピークを結果として得た。
【0041】
すべてのハイブリダイゼーション曲線の一次導関数を、
図8において示す。アレル8および9.3について、著しいシグナルを、観察し得る。プローブ10は、正のアレル9.3と1ヌクレオチドのみのミスマッチを有し、ほとんどシグナルを示さない。両方の正のアレルに隣接するプローブであるプローブ9、および正のアレルに隣接するプローブであるプローブ7もまた、正のプローブと比較してより低い温度にて融解ピークを示す。正のプローブは、第二のピークをより低い温度にて表示し、これはプローブ8と試料9.3との間におけるヘテロ二重鎖の形成に応じ得、逆の場合も同じである。
【0042】
【配列表】
【国際調査報告】