(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】区分された超伝導ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01F 6/06 20060101AFI20230412BHJP
H10N 60/20 20230101ALI20230412BHJP
【FI】
H01F6/06 140
H01F6/06 120
H10N60/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552786
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2021020916
(87)【国際公開番号】W WO2021178697
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】521259219
【氏名又は名称】コモンウェルス・フュージョン・システムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ラドビンスキー,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】サナブリア,チャーリー
(72)【発明者】
【氏名】クレイグヒル,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ウッパラパティ,クリシュナ・キラン
(72)【発明者】
【氏名】クリーリー,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ブルンナー,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4M114
【Fターム(参考)】
4M114BB04
4M114CC03
4M114DB13
4M114DB47
4M114DB53
(57)【要約】
複数の高温超伝導体(HTS)構成要素と、ケーブルの長さに沿って延びる複数の電気伝導性セグメントであって、上記複数の電気伝導性セグメントの各々は複数のHTS構成要素のうちの1つを備える、複数の電気伝導性セグメントと、複数の電気伝導性セグメントのうちの隣接する電気伝導性セグメント間に配置される電気絶縁材料とを備える、ケーブルが説明される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルであって、
複数の高温超伝導体(HTS)構成要素と、
前記ケーブルに沿って延びる複数の電気伝導性セグメントであって、前記複数の電気伝導性セグメントの各々は前記複数のHTS構成要素のうちの1つを備える、複数の電気伝導性セグメントと、
前記複数の電気伝導性セグメントを互いに電気的に絶縁する、前記複数の電気伝導性セグメントのうちの隣接する電気伝導性セグメント間に配置される電気絶縁材料と、
を備える、ケーブル。
【請求項2】
前記複数の電気伝導性セグメントのうちのどれも、他の前記電気伝導性セグメントのうちのいずれとも直接的に接触しない、請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記ケーブルは、少なくとも1つの内側冷却チャネルをさらに備える、請求項1に記載のケーブル。
【請求項4】
前記HTS構成要素は、HTSテープを備える、請求項1に記載のケーブル。
【請求項5】
前記HTS構成要素は、HTSテープの積重体を備える、請求項4に記載のケーブル。
【請求項6】
前記複数の電気伝導性セグメントは、前記ケーブルの中心軸の周りの放射状対称性を呈する、請求項1に記載のケーブル。
【請求項7】
前記複数の電気伝導性セグメントは、前記ケーブルの前記中心軸の周りでツイスト加工され、前記複数のHTS構成要素は、前記中心軸の周りでらせん経路をたどる、請求項6に記載のケーブル。
【請求項8】
前記電気伝導性セグメントは、銅を備える、請求項1に記載のケーブル。
【請求項9】
前記HTS構成要素は、希土類バリウム銅酸化物超伝導体を備える、請求項1に記載のケーブル。
【請求項10】
前記複数の電気伝導性セグメントは、各々、内に前記複数のHTS構成要素のうちのHTS構成要素が配置される、前記電気伝導性セグメントの外側表面における溝を備える、請求項1に記載のケーブル。
【請求項11】
前記複数の電気伝導性セグメントの前記溝の中に配置されるはんだをさらに備える、請求項10に記載のケーブル。
【請求項12】
前記電気絶縁材料は、ポリイミドを備える、請求項1に記載のケーブル。
【請求項13】
前記複数のHTS構成要素と、前記複数の電気伝導性セグメントと、前記電気絶縁材料とを包囲する繊維ガラスの層をさらに備える、請求項1に記載のケーブル。
【請求項14】
ケーブルの複数の巻線を備えるコイルを備える磁石であって、前記ケーブルは、
複数の高温超伝導体(HTS)構成要素と、
前記ケーブルの長さに沿って延びる複数の電気伝導性セグメントであって、前記複数の電気伝導性セグメントの各々は前記複数のHTS構成要素のうちの1つを備える、複数の電気伝導性セグメントと、
前記複数の電気伝導性セグメントのうちの隣接する前記電気伝導性セグメント間に配置される電気絶縁材料と、
を備える、
磁石。
【請求項15】
前記複数の電気伝導性セグメントのうちのどれも、他の前記電気伝導性セグメントのうちのいずれとも直接的に接触しない、請求項14に記載の磁石。
【請求項16】
前記ケーブルは、前記複数の電気伝導性セグメントの各々に隣接する内側冷却チャネルをさらに備える、請求項14に記載の磁石。
【請求項17】
前記HTS構成要素は、HTSテープを備える、請求項14に記載の磁石。
【請求項18】
前記HTS構成要素は、HTSテープの積重体を備える、請求項17に記載の磁石。
【請求項19】
前記複数の電気伝導性セグメントは、前記ケーブルの中心軸の周りの放射状対称性を呈する、請求項14に記載の磁石。
【請求項20】
前記複数の電気伝導性セグメントは、前記ケーブルの前記中心軸の周りでツイスト加工され、前記複数のHTS構成要素は、前記中心軸の周りでらせん経路をたどる、請求項19に記載の磁石。
【請求項21】
前記電気伝導性セグメントは、銅を備える、請求項14に記載の磁石。
【請求項22】
前記HTS構成要素は、希土類バリウム銅酸化物超伝導体を備える、請求項14に記載の磁石。
【請求項23】
前記複数の電気伝導性セグメントは、各々、内に前記複数のHTS構成要素のうちのHTS構成要素が配置される、前記電気伝導性セグメントの外側表面における溝を備える、請求項14に記載の磁石。
【請求項24】
前記複数の電気伝導性セグメントの前記溝の中に配置されるはんだをさらに備える、請求項23に記載の磁石。
【請求項25】
前記電気絶縁材料は、ポリイミドを備える、請求項14に記載の磁石。
【請求項26】
前記複数のHTS構成要素と、前記複数の電気伝導性セグメントと、前記電気絶縁材料とを包囲する繊維ガラスの層をさらに備える、請求項14に記載の磁石。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]超伝導体は、ある程度の臨界温度未満で、電流に対する電気抵抗を有さない(「超伝導」である)材料である。多くの超伝導体に対して、臨界温度は30°K未満であり、そのことによって、超伝導状態におけるこれらの材料の動作は、液体ヘリウムによってなどで、かなりの冷却を要する。
【0002】
[0002]高磁場磁石は、抵抗なしで高電流を搬送する超伝導体の能力のために、超伝導体から構築されることが多い。そのような磁石は、実例として、5kAより大きい電流を搬送し得る。
【発明の概要】
【0003】
[0003]いくつかの態様によれば、複数の高温超伝導体(HTS)構成要素と、ケーブルに沿って延びる複数の電気伝導性セグメントであって、上記複数の電気伝導性セグメントの各々は複数のHTS構成要素のうちの1つを備える、複数の電気伝導性セグメントと、複数の電気伝導性セグメントを互いに電気的に絶縁する、複数の電気伝導性セグメントのうちの隣接する電気伝導性セグメント間に配置される電気絶縁材料とを備える、ケーブルが提供される。
【0004】
[0004]いくつかの態様によれば、ケーブルの複数の巻線を備えるコイルを備え、ケーブルは、複数の高温超伝導体(HTS)構成要素と、ケーブルの長さに沿って延びる複数の電気伝導性セグメントであって、上記複数の電気伝導性セグメントの各々は複数のHTS構成要素のうちの1つを備える、複数の電気伝導性セグメントと、複数の電気伝導性セグメントのうちの隣接する電気伝導性セグメント間に配置される電気絶縁材料とを備える、磁石が提供される。
【0005】
[0005]前述の装置および方法実施形態は、上述で説明された、または、下記でさらに詳細に説明される、態様、特徴、および行為の任意の適した組み合わせによって実装され得る。本教示のこれらおよび他の、態様、実施形態、および特徴は、付随する図面と併せ読めば、後に続く説明から、より完全に理解され得る。
【0006】
[0006]様々な態様および実施形態が、後に続く図を参照して説明されることになる。図は、必ずしも原寸に比例して示されていないことを理解されたい。図面において、様々な図において例示される、各同一の、または、ほぼ同一の構成要素は、同様の番号により表される。明確さのために、あらゆる構成要素が、あらゆる図面においてラベル付けされるとは限らないことがある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0007]いくつかの実施形態による、超伝導ケーブルの断面図である。
【
図2A】[0008]いくつかの実施形態による、例示的な超伝導ケーブルの断面図である。
【
図2B】[0009]いくつかの実施形態による、
図2Aの例示的な超伝導ケーブルの一部分に対応する単一の電気伝導性セグメントの図である。
【
図2C】[0008]いくつかの実施形態による、例示的な超伝導ケーブルの断面図である。
【
図2D】[0009]いくつかの実施形態による、
図2Cの例示的な超伝導ケーブルの一部分に対応する単一の電気伝導性セグメントの図である。
【
図3A】[0010]いくつかの実施形態による、複数個の高温超伝導体(HTS)テープ積重体を支持する単一の伝導性構造を有する超伝導ケーブルの中の渦電流を描写する図である。
【
図3B】[0011]いくつかの実施形態による、各々が別個のHTSテープ積重体を支持し、セグメント間に絶縁材料を備える4つの電気伝導性セグメントを備える超伝導ケーブルの中の渦電流を描写する図である。
【
図4A】[0012]いくつかの実施形態による、複数個のHTSテープを支持する単一の伝導性構造を有する超伝導ケーブルと、複数個の電気伝導性セグメント、および、セグメント間の絶縁材料を備える超伝導ケーブルとの間の性能差の図である。
【
図4B】[0012]いくつかの実施形態による、複数個のHTSテープを支持する単一の伝導性構造を有する超伝導ケーブルと、複数個の電気伝導性セグメント、および、セグメント間の絶縁材料を備える超伝導ケーブルとの間の性能差の図である。
【
図4C】[0012]いくつかの実施形態による、複数個のHTSテープを支持する単一の伝導性構造を有する超伝導ケーブルと、複数個の電気伝導性セグメント、および、セグメント間の絶縁材料を備える超伝導ケーブルとの間の性能差の図である。
【
図5】[0013]いくつかの実施形態による、ツイスト加工される複数個の電気伝導性セグメントを備える超伝導ケーブルの一部分の部分切欠等角図を描写する図である。
【
図6A】[0014]いくつかの実施形態による、様々な外部絶縁物構成を描写する、超伝導ケーブルの断面図である。
【
図6B】[0014]いくつかの実施形態による、様々な外部絶縁物構成を描写する、超伝導ケーブルの断面図である。
【
図6C】[0014]いくつかの実施形態による、様々な外部絶縁物構成を描写する、超伝導ケーブルの断面図である。
【
図7】[0015]いくつかの実施形態による、超伝導ケーブルを製作する方法のフローチャートである。
【
図8】[0016]いくつかの実施形態による、発電設備の様々な構成要素を例示するために一部分がその設備から除去された核融合発電設備の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0017]高磁場磁石を(例えば、5kAより大きい)高電流において動作させることは、普通は交流(AC)モードと称される、可変電流モードにおいて動作させるときに難題を提起し得る。特に、誘導加熱が、変化する磁場の結果として生じ得る。磁石が電流搬送超伝導体を備える場合、そのような誘導加熱により超伝導体の少なくとも一部が非超伝導(「常伝導(normal)」)になり、温度不安定性、および、磁石に対する起こり得る損傷を引き起こし得る。誘導加熱の発生源は、導体の中で誘導される渦電流、および/または、互いに近い2つの平行な電流経路の中で発生される結合電流を含み得る。
【0009】
[0018]高磁場超伝導磁石は、多層またはマルチパンケーキ構成で群にされる複数個の電気的に絶縁されたケーブル巻回部を備えることが多い。このことは、磁石が、電力供給電流を経時的に変化させることにより、ACモードにおいて駆動されることを可能とし、それにより、磁石により生み出される磁場も経時的に変化する。磁石を充電すること、または、磁石を放電させることなどの過渡事象中、磁石の、各ケーブル巻回部は、可変磁場にさらされる。上述で指摘されたように、磁場におけるこの変動は、ケーブルの電気伝導部分において渦電流(したがって加熱)を誘導し得る。そのような加熱は、超伝導体温度マージン(すなわち、磁石が動作している温度と、それより上で超伝導体がその超伝導体の超伝導特性を失い得る温度との間の差)をかなり低減し得る。したがって、制御されない場合、そのような加熱は、しばしば「クエンチ」と称される、超伝導体がその超伝導体の超伝導能を失うことにつながり得る。
【0010】
[0019]超伝導ケーブルにおけるAC損失を低減するための従来の手法は、電流搬送電線のサイズを低減すること、および/または、電線を渦巻線へとツイスト加工することを含む。より小さい電線は、履歴損失、および、平行な電流経路間で生じる結合電流のサイズを低減し得、一方、ツイスト加工は、2つの伝導性経路が互いに平行である長さを低減し得る。実例として、いわゆるケーブル・イン・コンジット導体(CICC)編組ケーブル手法は、伝導性電線と一体で組み込まれツイスト加工される小直径フィラメントを含む。
【0011】
[0020]しかしながら、これらの手法は、典型的には電線から形成されない高温超伝導体(HTS)に関して実装するのは、非常に困難、または不可能である。むしろ、HTSケーブルは、典型的には、しばしば「テープ」と称される、幅広の縦横比を有する超伝導体構成要素を備える。しかしながら、そのようなテープのサイズをより小さい単位へと低減すること、さらには、高縦横比の(highly aspected)テープをツイスト加工することは難題であり得る。したがって、超伝導ケーブルにおけるAC損失を低減するための従来の手法は、HTSケーブルに対して効果的でないことがある。
【0012】
[0021]本発明者らは、ケーブルの構造的構成要素の中に抵抗性層を配置することにより、超伝導ケーブルにおける渦電流および/または電流結合加熱を低減するための概念、構造、工程、および技法を認識および理解している。特に、電流搬送構成要素を支持する構造は、区分され、区分部分間で少なくとも部分的に絶縁され得る。そのような抵抗性層の導入は、下記でさらに論じるように、かなりの倍率で渦電流および結合加熱を低減することが認められた。
【0013】
[0022]少なくともいくつかの実装形態において、HTSテープなどの電流搬送構成要素は、従来の手法においてのように、他の形で構成され得る。実例として、ケーブルは、1つまたは複数のHTSテープを支持する電気伝導構造を備え得る。時には「形成体(former)」と称される、電気伝導構造は、形成体の別個のセグメントが、各々、1つまたは複数のHTSテープを支持するように、および、別個のセグメントが、電気絶縁材料により互いに分離されるように区分され得る。複数のHTSテープが、形成体の1つのセグメントにより支持される場合、HTSテープは、テープの最も小さい寸法の軸と同じである方向に沿って、互いの上部上で層にされて、積重体で配置され得る(例えば、長い、幅広である、および、小さい厚さを有するテープは、厚さ方向において層にされる)。
【0014】
[0023]いくつかの実施形態によれば、超伝導ケーブルは、少なくとも1つのHTSを備えるいくつものセグメントを含み得る。場合によっては、セグメントは、少なくとも1つのHTSを備える放射状セグメントである。場合によっては、放射状セグメントは、放射状対称性を呈し得る。各セグメントは、HTSを含む、または、HTSから構成される、別個の、および独立した電流搬送体を備え得、電気絶縁体が、放射状セグメント間に配置され得る。結果として、ケーブルは、絶縁体により分離される複数個の電流搬送領域を備え得る。
【0015】
[0024]いくつかの実施形態によれば、超伝導ケーブルは、中心冷却チャネルを備え得る。このチャネルは、ケーブルの内側を通って進み、電流搬送構成要素を支持する構造の複数個の区分部分に隣接し得、以て、複数個の区分部分に対する、および、複数個の区分部分により支持されるHTS構成要素に対する冷却をもたらす。場合によっては、チャネルは、内側中空空間を形成するために、ケーブルの区分部分の領域を取り除くことにより形成され得る。加えて、または代替として、チャネルは、ケーブルの内側を通って進み、冷却チャネルに対する支持をもたらす、管状要素により形成され得る。そのような管状要素は、電流搬送構成要素を支持する構造の区分部分と同じまたは異なる材料を備え得る。
【0016】
[0025]いくつかの実施形態によれば、超伝導ケーブルは、共通の軸の周囲でツイスト加工される電流搬送構成要素を支持する構造のいくつもの区分部分を備え得る。構造の、各区分部分は、実例として、電流搬送構成要素のうちのそれぞれの電流搬送構成要素を支持しながら、らせん経路をたどり得る。
【0017】
[0026]以下は、超伝導ケーブルにおける渦電流および/または電流結合加熱を低減するための技法に関係付けられる様々な概念、ならびに、それらの技法の実施形態の、より詳細な説明である。本明細書において説明される様々な態様は、数多くの方法のうちの任意のものにおいて実装され得ることを理解されたい。特定の実装形態の例は、単に例示的なために、本明細書において提供される。加えて、下記の実施形態において説明される様々な態様は、単独で、または、任意の組み合わせにおいて使用され得、本明細書において明示的に説明される組み合わせに制限されない。
【0018】
[0027]
図1は、いくつかの実施形態による、超伝導ケーブルの断面視図を示す。
図1の例において、ケーブル100は、電気絶縁材料120により互いに分離される、複数の電気伝導性セグメント、ここでは3つの電気伝導性セグメント110を備える。本明細書において全体的に110と称される、電気伝導性セグメント110a、110b、110cの各々は、本明細書において全体的に130と称される、それぞれの超伝導体構成要素130a、130b、130cを支持し、それらの超伝導体構成要素130a、130b、130cと電気的に接触している。上述で論じたように、電気絶縁材料120は、ケーブルの超伝導体構成要素の各々を支持するために電気伝導性材料の単一の領域を利用するケーブルと比較して、渦電流および結合加熱を(および、場合によっては、かなりの倍率で)低減し得る。絶縁材料120は、電気伝導性セグメント110の各々を互いに完全に絶縁する。
【0019】
[0028]ケーブル100の動作中、少なくとも超伝導体構成要素130は、それらの超伝導体構成要素130がゼロ抵抗において電流を搬送し得るように、それらの超伝導体構成要素130の超伝導転移未満まで冷却される。電気伝導性セグメント110は、クエンチ中に安定化材として働き、超伝導体構成要素130のうちの1つがクエンチするとき、熱が、クエンチされた超伝導体構成要素を支持する電気伝導性セグメントを通して、他の電気伝導性セグメントに伝導され得、以て、ケーブルの断面全部分をクエンチする。引き続いて、超伝導体構成要素130の中の非超伝導ゾーンが、作り出され、ケーブルに沿って伝搬し得る。
【0020】
[0029]いくつかの実施形態によれば、各電気伝導性セグメント110は、それぞれの超伝導体構成要素130と電気的に接触して配置され得る。そのような接触は、電気伝導性セグメントとそれぞれの超伝導体構成要素との間の直接的な物理的接触の結果として生じ得、および/または、中間電気伝導性材料を介した間接的な接触の結果として生じ得る。
【0021】
[0030]
図1の例において、電気伝導性セグメント110は、ケーブルの中心軸の周りに、放射状対称性の様式で配置される。この構成は、ケーブルの、より簡単な製作をもたらし得、なぜならば、電気伝導性セグメントは、同じ断面寸法を伴って製作され、次いで、ケーブル100に組立てられ得るからである。これらの利点に妨げられることなく、本明細書において説明される技法は、そのような対称性を呈する電気伝導性セグメントに制限されず、なぜならば、電気伝導性セグメントの任意の適したサイズおよび形状が、ケーブルにおいて用いられ得るからである。
【0022】
[0031]いくつかの実施形態によれば、電気伝導性セグメント110は、銅を備え得る、または、銅からなり得る。銅は、その高い熱的伝導性、以て、クエンチの場合、安定化機能をもたらすことに、および、電気伝導性であることにより、望ましい材料を代表し得る。電気伝導性セグメント110がそれらを備え得る、または、それらからなり得る、他の適した材料は、アルミニウムを含む。
【0023】
[0032]いくつかの実施形態によれば、電気絶縁材料120は、いずれかの側で電気伝導性セグメント110のうちの異なる電気伝導性セグメント110に接触するように配置される。
図1に示されるように、電気絶縁材料120は、電気伝導性セグメント110の隣接する対の間に配置され、対の両方のセグメントに接触するように(理想的には、電気絶縁材料120と各電気伝導性セグメントとの間に間隙を残さない、または、実質的に間隙を残さないように)配置され得る。いくつかの実施形態において、絶縁材料120は、電気伝導性セグメント110の対の間に配置され得るテープの形式で設けられ得る。場合によっては、テープは、接着テープであり、テープが電気伝導性セグメントに接着されるように、接着剤によって、隣接する電気伝導性セグメント110に接着され得る。
【0024】
[0033]いくつかの実施形態によれば、超伝導体構成要素130は、1つまたは複数の高温超伝導体(HTS)を備え得る。本明細書において使用される際、「高温超伝導体」または「HTS」は、30°Kを超える臨界温度を有する材料を指し、臨界温度は、それより下で材料の電気抵抗率がゼロである温度を指す。臨界温度は、場合によっては、電磁場の存在などの他の要因に依存し得る。本明細書において材料の臨界温度に言及する場合、これは、所与の条件下でその材料について臨界温度が生じるいかなるものをも指し得ることを理解されたい。
【0025】
[0034]いくつかの実施形態において、超伝導体構成要素130は、厚さ(または高さ)約0.001mmから約0.1mmの範囲、および、幅約1mmから約12mmの範囲における断面寸法を伴う(ならびに、ケーブルの長さに沿って、すなわち、
図1の例におけるページ内へと、および、そのページから外へと延びる長さを伴う)、HTS材料の長く薄い素線である、HTSテープを備え得る。いくつかの実施形態において、HTSテープは、多結晶HTSを備え得る、および/または、高水準の粒配向を有し得る。いくつかの実施形態において、超伝導体構成要素130は、幅および長さ方向に沿って互いの上部上に配置される複数のHTSテープである、HTSテープの積重体を備え得る。HTSテープ積重体は、以て、積重体におけるテープの数を乗算された個々のテープの厚さに等しい(または、おおよそ等しい)厚さを有し得る。
【0026】
[0035]いくつかの実施形態によれば、絶縁材料120は、ポリイミド(例えば、Kapton(登録商標))、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、プラスチック、エラストマー、鋼(例えば、ステンレス鋼)、または、それらの組み合わせを備え得る。いくつかの実施形態によれば、絶縁材料は、25kV/mmより大の、50kV/mmより大の、75kV/mmより大の、1000kV/mmより大の、絶縁破壊電圧または絶縁耐力を有し得る。
【0027】
[0036]いくつかの実施形態において、絶縁材料120は、それでもある程度は電気伝導性である高抵抗率材料を備え得る、または、その高抵抗率材料からなり得る。この点において、材料120が「絶縁」であることへの言及は、材料120が、電気伝導性セグメント110を組成する材料よりはるかに電気伝導性でないということを指す。実例として、いくつかの実施形態において、電気伝導性セグメント110は、銅などの高度に伝導性の材料を備え得、一方、絶縁材料120は、厳密には絶縁体ではないが、それでも銅よりはるかに絶縁性である、鋼を備え得る。
【0028】
[0037]
図1の例において、電気伝導性セグメント110は、クエンチ挙動に関する前に述べられた利点に加えて、ケーブルに対する機械的完全性をもたらし得る。電気伝導性セグメント110は、所望される形状へと形成され得る、または、所望される形状に適合し得、ケーブルに対する相当の量の構造的強度をもたらし得る。このことは、高電磁荷重のもとで変形し得る、ツイスト加工される銅ロッドを特徴とする、上述で論じたケーブル・イン・コンジット導体(CICC)編組ケーブルなどの他の超伝導ケーブルと対照的である。
【0029】
[0038]いくつかの実施形態によれば、電気伝導性セグメント110は、ケーブル110の長さに沿ってツイスト加工され得る。すなわち、電気伝導性セグメント110は、ケーブルの中心長手方向軸の周りでツイスト加工され得、したがって、
図1の断面図は、示される視図の回転方向の向きがなければ、ケーブルに沿った様々な点において正確であり得、その回転方向の向きは、断面図がケーブルの長さに沿って動かされる際に、ケーブルの中心の周囲で回転することになる。らせん経路は、電気伝導性セグメントがケーブルの中心長手方向軸の周りでたどり得る、ツイスト加工される経路の1つの例である。そのような構成において、電気伝導性セグメント110は、各らせんの中心がケーブルの中心長手方向軸である様態で、それぞれのらせん経路に沿って位置合わせされ得る。同様に、超伝導体構成要素130は、
図1に示される様式において、ケーブルの長さに沿って電気伝導性セグメント110により支持され、以て、さらには、各らせんの中心がケーブルの中心長手方向軸である様態で、それぞれのらせん経路に沿って位置合わせされ得る。ツイスト加工される経路に沿って超伝導体構成要素130を配置することは、2つの伝導性経路が互いに平行である長さを低減し、以て、誘導加熱のこの源を低減し得る。
【0030】
[0039]いくつかの実施形態によれば、ケーブル100は、ケーブルの長手方向軸に沿って走り得る管状冷却チャネルなどの、1つまたは複数の冷却チャネルを備え得る。
図1の例は何ら冷却チャネルも例示しないが、一般的には、任意の数のチャネルが、電気伝導性セグメント110に対する、および/または、超伝導体構成要素130に対する冷却をもたらすために、ケーブルを通して形成され、または、他の形で設けられ得る。そのようなチャネルは、実例として、電気伝導性セグメント110および/または超伝導体構成要素130から別のところに熱を流し搬送するための、液体ヘリウムまたは液体窒素などの低温液体に対する経路をもたらし得る。場合によっては、1つまたは複数の冷却チャネルは、電気伝導性セグメント110と接触して、または、電気伝導性セグメント110のすぐ近傍に配置され得る。そのような場合、超伝導体構成要素130の冷却は、電気伝導性セグメントの冷却を通して間接的に達成され得る。他の場合、1つまたは複数の冷却チャネルは、超伝導体構成要素130と接触して、または、超伝導体構成要素130のすぐ近傍に配置され得る。冷却剤が、2バール超などの高い圧力において、冷却チャネルを通して提供され得る。
【0031】
[0040]
図1において明示的に示されないが、いくつかの実施形態によれば、ケーブル100は、電気伝導性セグメント110の外側に配置される外被(jacket)を備え得る。外被は、電気伝導性セグメント110によりもたらされる構造的安定性を超える、および、その構造的安定性を超える、追加的な構造的安定性をもたらし得、実例として、鋼、Inconel(登録商標)、Nitronic(登録商標)40、Nitronic(登録商標)50、Incoloy(登録商標)、もしくは、それらの組み合わせを備え得る、または、それらからなり得る。
【0032】
[0041]
図2Aは、いくつかの実施形態による、超伝導ケーブルの断面視図を示す。ケーブル210は、中心冷却チャネル218の周りに、放射状対称性の様式で配置される電気伝導性セグメント212を含む、
図1に示されるケーブル100の例である。電気伝導性セグメント212は、各セグメントの中のそれぞれのチャネル221(
図2B)の中にそれぞれのHTSテープ積重体211を保持するように構成される。
図2Aの例実施形態において、チャネル221は、各セグメントの周辺部に配置される。
図2Bは、チャネル221を描写するために、ケーブル210とは別個に、単一の電気伝導性セグメント212を例示する。ケーブル210は、
図2Aに示されるように配置される、同じ電気伝導性セグメント212の3つの実例から生み出され得ることに留意されたい。
図2Aの例示的なケーブルは、電気伝導性セグメントの外側に配置される外被219を備える。いくつかの実施形態によれば、外被219は、鋼、Inconel(登録商標)、Nitronic(登録商標)40、Nitronic(登録商標)50、Incoloy(登録商標)、もしくは、それらの組み合わせを備え得る、または、それらからなり得る。
【0033】
[0042]
図2Aの例において、HTSテープ積重体211は、合金215と接触して配置され、そのことは、HTSテープ積重体と、各それぞれの電気伝導性セグメント212との間の電気的接触の少なくとも一部をもたらす。下記でさらに論じるように、HTSテープと電気伝導性セグメントとの間の電気的接触を生み出すための1つの技法は、テープとセグメントとの間の空間に、はんだなどの液体合金を充填することである。したがって、合金215は、Pbおよび/もしくはSnはんだを備え得る、または、それからなり得る。いくつかの実施形態において、合金215は、200℃未満の融点を有する金属を備え得、その場合、金属の少なくとも50重量%はPbおよび/またはSnであり、金属の少なくとも0.1重量%はCuである。
【0034】
[0043]
図2Cは、いくつかの実施形態による、超伝導ケーブルの断面視図を示す。ケーブル260は、中心冷却チャネル268の周辺部の周りに、放射状対称性の様式で配置される電気伝導性セグメント262を含む、
図1に示されるケーブル100の例である。電気伝導性セグメント262は、各セグメントの中に配置されるそれぞれのチャネルの中にそれぞれのHTSテープ積重体261を保持するように構成される。
図2Cの例実施形態において、チャネル271は、各セグメントの周辺部に配置される。
図2Dは、チャネル271を描写するために、ケーブル260とは別個に、単一の電気伝導性セグメント262を例示する。ケーブル260は、
図2Cに示されるように配置される、同じ電気伝導性セグメント262の5つの実例から生み出され得ることに留意されたい。いくつかの実施形態によれば、外被269は、鋼、鋼、Inconel(登録商標)、Nitronic(登録商標)40、Nitronic(登録商標)50、Incoloy(登録商標)、もしくは、それらの組み合わせを備え得る、または、それらからなり得る。
【0035】
[0044]
図2Cの例において、HTSテープ積重体261は、合金265と接触して配置され、そのことは、HTSテープ積重体と、各それぞれの電気伝導性セグメント262との間の電気的接触の少なくとも一部をもたらす。下記でさらに論じるように、HTSテープと電気伝導性セグメントとの間の電気的接触を生み出すための1つの技法は、テープとセグメントとの間の空間に、はんだなどの液体合金を充填することである。したがって、合金265は、Pbおよび/もしくはSnはんだを備え得る、または、それからなり得る。いくつかの実施形態において、合金265は、少なくとも20℃、および200℃未満である融点を有する金属を備え得、その場合、金属の少なくとも50重量%はPbおよび/またはSnであり、金属の少なくとも0.1重量%はCuである。
【0036】
[0045]
図2A~2Dの例において、HTSテープ積重体を収容する、各ケーブルにおける電気伝導性セグメントのチャネルは、断面において長方形であるように描写されるが、チャネルはこの形状に制限されないことを理解されたい。例えば、電気伝導性セグメントのチャネルは、湾曲された内方表面をチャネルが有するように、内へと超伝導体が挿入され得る溝であり得る。
【0037】
[0046]
図3Aは、いくつかの実施形態による、複数個のHTSテープ積重体を支持する単一の伝導性構造を有する超伝導ケーブルの中の渦電流を描写する。
図3Aの例示的な例から指摘され得るように、矢印により表される渦電流は、ケーブル310の断面の周りで、および、HTSテープ積重体311を通って循環し得る。
図3Aの例に示されるように、ケーブルは、HTS積重体311のすべての4つを支持する単一の伝導性構造312を含む。
【0038】
[0047]対照的に、
図3Bは、いくつかの実施形態による、各々が別個のHTSテープ積重体321を支持し、セグメント間に絶縁材料を備える4つの電気伝導性セグメント322を備える超伝導ケーブルの中の渦電流を描写する。
図3Bの例示的な例から指摘され得るように、矢印により表される渦電流は、
図3Aに示される経路と比較されるときに、各別個の電気伝導性セグメント322の中のはるかに小さい経路において、ケーブル320の中で循環する。ケーブル320における、より小さい電流ループの結果として、上記ケーブルにおける誘導加熱は、ケーブル310においてよりも、両方のケーブルがACモードにおいて動作するときに、はるかに低いと予測される。
【0039】
[0048]
図4A~4Cは、いくつかの実施形態による、複数個のHTSテープを支持する単一の伝導性構造を有する超伝導ケーブルと、複数個の電気伝導性セグメント、および、セグメント間の絶縁材料を備える超伝導ケーブルとの間の性能差をさらに例示する。
図4A~4Cは、
図4Aに示されるような、横方向外部磁場の電流掃引を各々が受けるときの、これらの型のケーブルの有限要素モデリングの結果を描写する。具体的には、
図4Aに示されるように、7.5秒+50kA/-50kA輸送電流掃引が、横方向外部磁場の+25T/-25T掃引においてシミュレートされた。
【0040】
[0049]経時的に渦電流によりケーブルにおいて蓄積される電力の定性的な量を描写する
図4Bに示されるように、掃引は、複数個の電気伝導性セグメントを備えるケーブル(黒)においてよりも、従来のケーブル(淡い灰色)において、はるかに大きい量の電力を生み出す。同様に、経時的に渦電流によりケーブルにおいて蓄積される定性的なエネルギーを描写する
図4Cに示されるように、掃引は、複数個の電気伝導性セグメントを備えるケーブル(黒)においてよりも、従来のケーブル(淡い灰色)において、はるかに大きい量のエネルギーを蓄積させる。
【0041】
[0050]
図5は、外方外被502の一部分が、ツイスト加工される構成における複数個の電気伝導性セグメントを明らかにするために除去される、超伝導ケーブルの等角図である。
図1との関係において上述で論じたように、いくつかの実施形態において、複数個の電気伝導性セグメントは、ケーブルの長さに沿った共通の軸(例えば、ケーブルの共通の中心長手方向軸)の周りでツイスト加工され得る。この構成は、超伝導体構成要素511と、絶縁部分516とを備えるケーブル500を描写する
図5に示され、超伝導体構成要素と絶縁部分との間の空間を充填する、介在する電気伝導性セグメントは、明確さのために示されない。上述で論じたように、ツイスト加工される形状において超伝導体構成要素を配置することは、2つの伝導性経路が互いに平行である長さを低減し、以て、誘導加熱のこの発生源を低減し得る。上述で論じたような、絶縁された電気伝導性セグメントにより与えられる、渦電流ループのサイズにおける低減と組み合わされて、誘導加熱が劇的に低減され得る。
【0042】
[0051]
図6A~6Cは、いくつかの実施形態による、様々な外部絶縁物構成を伴う超伝導ケーブルの断面図を描写する。例示のために、
図2Aに示されるケーブルと同様のケーブルが、様々な外部絶縁物構成を伴って、
図6A~6Cにおいて描写される。
図6Aの例において、ケーブル組立体610は、周りに第2の誘電層(例えば、繊維ガラス)613が設けられる、第1の誘電層(例えば、Kapton(登録商標)などのポリイミドの層、繊維ガラス布)612に包み込まれる、外被611(例えば、ステンレス鋼外被)により包囲されるケーブルを備える。
【0043】
[0052]
図6Bの例において、ケーブル組立体620は、周りに外被621が配置される、ケーブルの周りに配置される第1の誘電層(例えば、ポリイミド層、繊維ガラス布)624を備える。第2の誘電層(例えば、繊維ガラスの層)623が、外被621(例えば、ステンレス鋼外被)を包囲する。
【0044】
[0053]
図6Cの例において、ケーブル組立体630は、ケーブルの周りに配置される誘電層(例えば、ポリイミド層、繊維ガラス布)634と、ケーブルおよび誘電体634の周りに配置される外被631(例えば、ステンレス鋼外被)とを備える。
【0045】
[0054]いくつかの実施形態において、ケーブル組立体は、誘電体(例えば、繊維ガラス布、ポリイミド)に包み込まれ、次いで、エポキシ樹脂などの誘電体を、ケーブル巻回部間の残りの空間を充填するように真空加圧含浸され得る。実例として、ケーブル組立体は、第1の誘電体に包み込まれ、いくつもの巻回部で配置され、次いで、エポキシを真空加圧含浸され得る。エポキシは、熱的手段によって、または他の形で硬化され得る。
【0046】
[0055]いくつかの実施形態において、ケーブル組立体は、構造的母材の中に配置され得る。実例として、外被は、内にケーブル組立体の巻線(または、複数個のケーブル組立体の巻線)が配置され得る、いくつものチャネルを備え得る。したがって、外被は、1つまたは複数のケーブル組立体の複数個の巻線を支持する構造的支持体(例えば、構造的板)として働き得る。そのような外被は、いくつかの実施形態において、上述で説明されたように、1つまたは複数の誘電層により包囲され得る。
【0047】
[0056]
図7は、いくつかの実施形態による、超伝導ケーブルを製作する方法のフローチャートである。方法700は、複数の電気伝導性セグメントが製作される、行為702において始まる。そのような製作は、押出加工、機械加工、および/または付加製作を含む、ただしそれらに制限されない、任意のサブトラクティブまたはアディティブ法によって成し遂げられ得る。実例として、
図2Bまたは
図2Dに示される断面(または、超伝導体構成要素の引き続いての挿入、および、ケーブル内への構成に適した任意の他の断面)を有する構造が、(例えば、銅などの金属から)製作され得る。行為702において、セグメントは、さらには、ポリイミド、および/または、任意の他の誘電体などの適した絶縁材料によって絶縁される。いくつかの実施形態において、絶縁材料は、いずれかまたは両方の側に接着剤を備え得るテープであり得、その接着剤によって、絶縁材料は、電気伝導性セグメントに接着され得る。
【0048】
[0057]行為704において、行為702において製作された電気伝導性セグメントが、単一の構造へと組立てられる。任意選択で、行為702において、冷却チャネルが、電気伝導性セグメントによって組立てられ、形成され、または他の形で設けられ得る。例えば、
図2Aに示されるケーブルに対して、中心冷却チャネルが、複数個の電気伝導性セグメントがその中心冷却チャネルを包囲する様態で、中心において、その中心冷却チャネルの周りの絶縁物とともに配置され得る。
【0049】
[0058]行為706において、電気伝導性セグメント(および、任意選択の冷却チャネル)の組立てられた集合体が、
図5に示されるもののような形状を生み出すためにツイスト加工され得る。例えば、組立体は、組立体の端部を適所で保持し、それらの端部を互いに対して回転させることにより、その組立体の長さに沿ってツイスト加工され得る。
【0050】
[0059]行為708において、HTSテープ積重体が、組立てられた電気伝導性セグメントの中のチャネルまたは他の空洞内へと挿入され得る。場合によっては、HTSテープ積重体は、十分な空間が、HTSテープ積重体がケーブル組立体を通して安全に押されることを可能とするように、電気伝導性セグメントに存在するチャネルまたは空洞に設けられ得るので、そのようなチャネルまたは空洞内へと送り込まれ得る。行為710において、組立体は、構造的安定性のために設けられるジャック(例えば、ステンレス鋼外被)内へと挿入され、結果的に生じるケーブルが、所望される形状へと巻かれる。
【0051】
[0060]行為712において、(冷却チャネルを除く)ケーブルのチャネルまたは空洞の中に存在する空いている空間があれば、適した合金を空間に含浸させることにより充填され得る。いくつかの実施形態において、真空加圧含浸(VPI)工程が、Pbおよび/またはSnはんだを空間に充填するために実行され得る。そのような工程は、後に続くステップ:水すすぎによって後に続く、酸性溶液を使用してケーブルの中の空いている空間を洗浄するステップ;ケーブルの中の空間を排気するステップ;不活性気体によって空間をパージするステップ;HTSテープおよび電気伝導性セグメントを覆うように空間内へとフラックスを堆積させるステップ;過剰なフラックスがあればケーブルから排出するステップ;堆積されることになる合金が融解することになる温度未満の、または、その温度を超える温度にケーブルを加熱するステップ;ならびに、溶融合金(例えば、PbSnはんだ)をケーブル内へと流すステップのうちの1つまたは複数を備え得る。いくつかの実施形態において、HTSテープは、HTSテープと合金との間の良好な接合を助長するために、金属(例えば、PbSnはんだ)によって事前にスズめっきされ得る。
【0052】
[0061]
図8は、いくつかの実施形態による、発電設備の様々な構成要素を例示する切欠部分を伴う核融合発電設備の3次元グラフィックである。核融合発電設備の中の磁石は、上述で説明されたような超伝導ケーブルから形成され得る。
図8は、発電設備を通る断面を示し、上述で論じ説明されたような超伝導ケーブルから製作される、または、その超伝導ケーブルを他の形で含む磁石コイル813と、中性子遮蔽体812と、心領域811とを含む。いくつかの実施形態によれば、磁石コイル813は、中心ソレノイドおよび/もしくは他のポロイダル磁場ソレノイドコイルであり得る、または、それらの一部を形成し得る。
【0053】
[0062]当業者は、本明細書において開示される概念、構造、工程、結果、および技法の他の実施形態を理解し得る。本明細書において説明される概念、構造、工程、および技法によって構成される超伝導ケーブルは、超伝導ケーブルが、磁石を形成するためにコイルへと巻かれる用途を含む、多種多様の用途に対して有用であり得ることを理解されたい。実例として、1つのそのような用途は、そのことのためにそのようなケーブルが磁石へと巻かれ得る、例えば、固体物理、生理機能、またはタンパク質に分け入った核磁気共鳴(NMR)研究を行うことである。別の用途は、そのことのために小型高磁場磁石が必要とされる、有機体、または、その有機体の一部分の医療用走査のために臨床磁気共鳴画像法(MRI)を実行することである。なおも別の用途は、そのために大口径ソレノイドが要される、高磁場MRIである。なおまた別の用途は、物理、化学、および材料科学において磁気研究を実行するためのものである。さらなる用途は、材料加工または調査(interrogation)のための粒子加速器;電力発生器;陽子治療、放射線治療、および一般的には放射線発生のための医療用加速器;超伝導エネルギー貯蔵;磁気流体力学(MHD)電気発生器;ならびに、採鉱、半導体製作、および再生利用などの材料分離のための磁石におけるものである。用途の上述の列挙は網羅的ではなく、本明細書において開示される概念、構造、工程、および技法が、それらの概念、構造、工程、および技法の範囲から逸脱することなく投入され得る、さらなる用途が存することを理解されたい。
【0054】
[0063]したがって、開示される概念、構造、工程、および技法の、少なくとも1つの実施形態のいろいろな態様を説明したが、様々な改変、修正、および改善が、たやすく当業者に想起されることを理解されたい。
【0055】
[0064]そのような改変、修正、および改善は、本開示の一部であることが意図され、本明細書において説明される概念、構造、工程、および技法の趣旨および範囲の中にあることが意図される。さらに、本発明の利点が指し示されるが、本明細書において説明される技術のあらゆる実施形態が、あらゆる説明される利点を含むことになるとは限らないことを理解されたい。いくつかの実施形態は、本明細書において有利と説明される何らかの特徴を実装しないことがあり、いくつかの実例において、説明される特徴のうちの1つまたは複数が、さらなる実施形態を達成するために実装されることがある。よって、前述の説明および図面は、単に例としてのものである。
【0056】
[0065]本明細書において説明される概念、構造、工程、および技法の様々な態様は、単独で、組み合わせにおいて、または、前述において説明された実施形態において具体的に論じられない種々の構成において使用されることがあり、それゆえに、その用途において、前述の説明において論述された、または、図面において例示される、構成要素の詳細および構成に制限されない。例えば、1つの実施形態において説明される態様は、他の実施形態において説明される態様と、任意の様式において組み合わされ得る。
【0057】
[0066]さらには、説明される概念、構造、工程、および技法は、その例が提供された方法として実施され得る。方法の一部として実行される行為は、任意の適した方法において順序付けされ得る。よって、行為が、例示されるのと異なる順序において実行される、実施形態が構築され得、そのことは、例示的な実施形態において順次的な行為として示されるとしても、いくつかの行為を同時に実行することを含み得る。
【0058】
[0067]請求項要素を修飾するための、特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」、その他などの序数用語の使用は、それ自体により、1つの請求項要素の、別のものに対する、何らかの優先順位、序列、もしくは順序、または、方法の行為が実行される時間的順序を含意するのではなく、ただ単に、請求項要素を区別するために、ある決まった名前を有する1つの請求項要素を、(序数用語の使用がなければ)同じ名前を有する別の要素から区別するためのラベルとして使用される。
【0059】
[0068]用語「おおよそ」および「約」は、いくつかの実施形態において目標値の±20%以内、いくつかの実施形態において目標値の±10%以内、いくつかの実施形態において目標値の±5%以内、さらに、いくつかの実施形態において目標値の±2%以内を意味するように使用され得る。用語「おおよそ」および「約」は、目標値を含み得る。用語「実質的に等しい」は、いくつかの実施形態において互いの±20%以内、いくつかの実施形態において互いの±10%以内、いくつかの実施形態において互いの±5%以内、さらに、いくつかの実施形態において互いの±2%以内である値を指すように使用され得る。
【0060】
[0069]用語「実質的に」は、いくつかの実施形態において比較尺度の±20%以内、いくつかの実施形態において±10%以内、いくつかの実施形態において±5%以内、さらに、いくつかの実施形態において±2%以内である値を指すように使用され得る。例えば、第2の方向に「実質的に」直交する第1の方向は、いくつかの実施形態において第2の方向と90°角度をなすことについて±20%以内、いくつかの実施形態において第2の方向と90°角度をなすことについて±10%以内、いくつかの実施形態において第2の方向と90°角度をなすことについて±5%以内、さらに、いくつかの実施形態において第2の方向と90°角度をなすことについて±2%以内である第1の方向を指し得る。
【0061】
[0070]さらには、本明細書において使用される術語および専門用語は、説明のためのものであり、制限的とみなされるべきではない。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」、「内包する」、「必然的に含む」、および、それらの変化形の使用は、それらの用語の後に列挙される項目、および、それらの項目の均等物、ならびに、追加的な項目を包含することの意味をもたされる。
【国際調査報告】