(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】血栓除去システムおよび関連の方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
A61B17/3207
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553130
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 US2021020915
(87)【国際公開番号】W WO2021178696
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ベラダ,マルワーン
(72)【発明者】
【氏名】サラヒエ,アムル
(72)【発明者】
【氏名】ソール,トム
(72)【発明者】
【氏名】アル-ジャッダ,アーデル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF04
4C160FF10
4C160GG19
4C160MM36
(57)【要約】
本技術は、患者の血管から血栓を除去するためのシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、本技術は、患者の血管内に位置決めされるように構成された遠位側部分と、患者の外部に存在するように構成された近位側部分と、これらの間に延在する管腔とを有する細長いカテーテルを含むシステムを対象とする。システムは、遠位側部分にある画像化要素と、遠位側部分にある照明源と、血栓に係合されるように構成された、遠位側部分にある捕捉要素と、(1)血栓を少なくとも部分的に断片化するため、および、(2)画像化要素のための光学経路を提供するために流体を適用するように構成された、管腔内にある流体送達機構と、管腔に流体連結され、断片化された血栓を吸引するように構成された吸引機構とをさらに含むことができる。
【選択図】
図1E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血管から血栓を除去するための方法であって、
細長いカテーテルの遠位側部分を血管内の血栓の場所まで導入するステップと、
前記血栓の少なくとも一部を前記遠位側部分へと引き込むステップと、
少なくとも2つの異なる点から前記血栓に向けて流体を誘導するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記遠位側部分を導入するステップが、低プロファイル構成において前記血管へと導入するものであり、前記方法が、前記遠位側部分を展開構成へと拡張するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記引き込むステップが、捕捉要素を使用して前記遠位側部分へと引き込むものであり、前記方法が、前記捕捉要素を前記低プロファイル構成から前記展開構成へと拡張するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記引き込むステップが、回転可能なスクリューまたはオーガを使用して前記遠位側部分へと引き込むものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記血栓の性質を感知するステップと、
前記感知した性質に基づいて前記回転可能なスクリューまたはオーガの回転速度を調整するステップと
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記遠位側部分内の1つまたは複数のノズルによって前記流体を適用して、少なくとも2つの流体流を形成するステップをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
交差経路に沿って前記少なくとも2つの流体流を誘導するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記血管が、肺動脈を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記引き込むステップの前に、前記遠位側部分にある画像化要素を用いて前記血栓を画像化するステップをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記画像化するステップが、流体経路を介するものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つの異なる点から誘導される前記流体を使用して、前記流体経路を形成するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記血栓の断片を前記細長いカテーテルの近位側部分へと吸引するステップをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記血栓に対する封止を形成するために、前記血栓を前記遠位側部分に係合させるステップをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
患者の血管から血栓を除去するためのシステムであって、
細長いカテーテルデバイスと、吸引機構と、流体送達機構とを備えており、前記細長いカテーテルデバイスは、
前記患者の前記血管内に位置決めされるように構成される遠位側部分であって、少なくとも2つの流体口を備え、前記少なくとも2つの流体口は、それぞれの流体流を、交差するそれぞれの経路に沿って誘導するように構成されている、遠位側部分と、
前記患者の外部に位置決めされるように構成された近位側部分と、
前記遠位側部分及び前記近位側部分の間に延在する管腔と、
を有し、前記吸引機構は、
前記患者の外部に位置決めされて前記管腔に流体連結されており、(a)前記血栓を係合させるため、ならびに/または、(b)前記血栓および/もしくは血栓断片を近位側に引くために、前記遠位側部分における圧力を低下させるように構成されており、前記流体送達機構は、
前記細長いカテーテルデバイスを通して前記少なくとも2つの流体口に流体を供給するように構成されている、システム。
【請求項15】
前記流体送達機構が、前記少なくとも2つの流体口に流体連結されるように構成された少なくとも2つの構造物を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記それぞれの流体流が、送達されるときに、前記遠位側部分にある拡張可能ハウジング内で交差するように、前記少なくとも2つの流体口が配置される、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも2つの流体口のうちの少なくとも1つの流体口が、それぞれの流体ジェットを近位側に送達するように配置される、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの流体口が、前記それぞれの流体ジェットを前記細長いカテーテルデバイスの中心軸に向けて送達するように配置される、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記遠位側部分にある拡張可能ハウジング内に配設された画像化要素および/または照明源をさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記流体送達機構がさらに、前記画像化要素および/または照明源のための光学経路を提供するために前記流体を適用するように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
患者の血管から血栓を除去するためのシステムであって、
前記患者の前記血管内に位置決めされるように構成された遠位側部分、前記患者の外部に位置決めされるように構成された近位側部分、および、これらの間に延在する管腔を有する、細長いカテーテルと、
前記血栓に係合されるように構成された、前記遠位側部分にある捕捉要素と、
前記血栓を少なくとも部分的に断片化するために流体を適用するように構成された、前記管腔内にある流体送達機構と、
前記管腔に流体連結され、断片化された前記血栓を吸引するように構成された吸引機構と
を備える、システム。
【請求項22】
前記捕捉要素が、回転可能なスクリューまたはオーガを備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記捕捉要素が、少なくとも部分的に前記管腔内に位置決めされる、請求項21または請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記捕捉要素が、軸方向断面において概ね円錐形である、請求項21から23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記捕捉要素が、拡張可能である、請求項21から23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記捕捉要素の少なくとも一部分が、膨張可能である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記捕捉要素が、前記血栓を前記管腔へと引き込むために前記遠位側部分に対して移動するように構成される、請求項21から26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記捕捉要素が、前記血栓の性質を測定するように構成された感知要素を備える、請求項21から26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記流体送達機構が、前記捕捉要素より近位側にある、請求項21から28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記流体が、加圧された塩水である、請求項21から29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記遠位側部分が、低プロファイル構成と展開構成との間で変形可能である拡張可能チャンバを有する、請求項21から30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記細長いカテーテルが、前記近位側部分と前記遠位側部分との間に中間部分を有し、前記拡張可能チャンバが、前記展開構成にあるとき、前記中間部分の断面寸法より大きい断面寸法を有する、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記拡張可能チャンバが、その軸方向長さに沿って変化する断面寸法を有する、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記拡張可能チャンバが、概ね漏斗形状である、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記拡張可能チャンバが、流体またはガスによる膨張により拡張可能である少なくとも1つの壁を備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項36】
前記捕捉要素が、前記血栓を前記拡張可能チャンバへと引き抜くように構成される、請求項31から35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記流体送達機構が、前記拡張可能チャンバ内にある、請求項31から36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記血栓の少なくとも一部分を可視化するように構成された、前記遠位側部分にある画像化要素をさらに備える、請求項21から37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記流体送達機構がさらに、前記画像化要素のための光学経路を提供するために前記流体を適用するように構成される、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記流体が、可視スペクトルにおいて光学的に透明である、請求項21に記載のシステム。
【請求項41】
前記遠位側部分にある照明源をさらに備える、請求項38から40のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項42】
前記画像化要素および前記照明源の少なくとも一方が、操縦可能である、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記画像化要素および前記照明源の前記少なくとも一方に連結された遠位側部分と、前記流体送達機構に流体連結された近位側部分とを有する膨張可能チャネルをさらに備える、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記細長いカテーテルの前記近位側部分に動作可能に連結されたコンソールをさらに備える、請求項21から43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記コンソールが、前記画像化要素、前記捕捉要素、前記流体送達機構、もしくは前記吸引機構のうちの1つまたは複数を制御するように構成される、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
患者を治療するための方法であって、
前記患者の血管系内の血栓に隣接する場所までカテーテルの遠位側部分を血管内で送達するステップと、
前記カテーテルの前記遠位側部分によって担持される画像化要素を介して前記血管系および/または前記血栓の画像データを生成するステップと、
前記血栓の少なくとも一部を前記遠位側部分へと引き込むステップと、
前記血栓を少なくとも部分的に断片化するために、前記カテーテルの前記遠位側部分にある1つまたは複数の開口部を介して、選択された圧力および選択された流量を有する流体を送達するステップと
を含み、
前記選択された圧力および/または前記選択された流量が、少なくとも部分的に、前記画像データに基づく、
方法。
【請求項47】
画像データを生成するステップが、前記血栓を少なくとも部分的に断片化する前に、前記血栓を少なくとも部分的に断片化する間に、および/または、前記血栓を少なくとも部分的に断片化した後に、画像データを生成するステップを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記画像データが、前記血栓の種類および/または性質に関する情報を含み、前記選択された圧力および/または前記選択された流量が、少なくとも部分的に、前記血栓の前記種類および/または前記性質に基づく、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
患者を治療するための方法であって、
前記患者の血管系内の血栓の近傍の場所までカテーテルの遠位側部分を送達するステップと、
前記カテーテルの前記遠位側部分によって担持される画像化要素を介して前記血栓の画像データを生成するステップと、
前記血栓を、前記カテーテルの前記遠位側部分にある捕捉要素に係合させるステップであり、前記捕捉要素の1つまたは複数の特性が、少なくとも部分的に、前記血栓の前記画像データに基づく、係合させるステップと
を含む、方法。
【請求項50】
画像データを生成するステップが、血栓の種類に関するデータを生成するステップを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記捕捉要素の前記1つまたは複数の特性が、ねじサイズ、ねじピッチ、および/またはデュロメータを含む、請求項49に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は以下の係属中の出願の優先権を主張するものである。
[0002]2020年3月4日に出願した米国仮特許出願第62/984,918号、および
[0003]2020年7月9日に出願した米国仮特許出願第63/050,039号。
【0002】
[0004]上記のすべての出願が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。さらに、参照により組み込まれている出願で開示される構成要素および特徴は、本出願で開示および特許請求される種々の構成要素および特徴に組み合わされ得る。
【0003】
[0005]本技術は、概して、医療デバイスに関し、詳細には、患者の血管から血栓を除去するためのシステムおよび関連の方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0006]肺塞栓症は、肺に血液を供給する肺動脈のうちの1つの肺動脈内の閉塞である。肺塞栓症は、通常、身体の別の部分(例えば、骨盤または脚の静脈)に由来する血栓が切り離されて肺まで移動するときに発症する。抗凝固療法は肺塞栓症を治療するための現況の標準的な治療法であるが、一部の患者では効果的とならない可能性がある。加えて、血栓物質を除去するための従来のデバイスは肺の血管構造をナビゲートすることができない可能性、血栓物質を除去することにおいて効果的ではない可能性、および/または、血栓切除手技中に臨床医にセンサデータまたは他のフィードバックを提供する能力を欠く可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0014]本技術は、概して、血栓除去システムおよび関連の方法を対象とする。本技術の実施形態に従って構成されたシステムは、例えば、患者の血管内に位置決めされるように構成された遠位側部分と、患者の外部に存在するように構成された近位側部分と、これらの間に延在する管腔とを有する細長いカテーテルを含むことができる。システムは、患者の血管系および/または血栓を画像化するための遠位側部分にある画像化要素をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、血栓を係合させて管腔に引き込むように構成された捕捉要素、加圧流体を用いて血栓を断片化するように構成された流体送達機構、および/または、血栓の断片を吸引するように構成された吸引機構をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】[0007]本技術の実施形態に従って構成された、患者の肺血管系内に位置決めされた細長いカテーテルを有する血栓除去システムを示す図である。
【
図1B】[0008]
図1Aの細長いカテーテルの近位側部分を示す図である。
【
図1C】[0009]
図1Aの細長いカテーテルの遠位側部分を示す拡大図である。
【
図1D】[0010]
図1Cの遠位側部分を示す側断面図である。
【
図1E】[0011]本技術の別の実施形態に従って構成された遠位側部分を示す側断面図である。
【
図1F】[0012]本技術の他の実施形態に従って構成された遠位側部分を示す側断面図である。
【
図1G】[0013]本技術の別の実施形態に従って構成された遠位側部分を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0015]以下で提示される記述で使用される用語は、本技術の特定の具体的な実施形態の詳細な記述と併せて使用される場合であっても、最も広い妥当な態様で解釈されることを意図される。以下では特定の用語が強調される可能性があるが、何らかの限定的な態様で解釈されることを意図される任意の用語は、この発明を実施するための形態のセクションで明白に具体的に定義されることになる。加えて、本技術は、実施例の範囲内にあるが
図1A~1Gに関連して詳細には説明されない他の実施形態も含むことができる。
【0008】
[0016]本明細書を通して「一実施形態」または「実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または性質が本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれる、ということを意味する。したがって、本明細書の全体を通して種々の場所で「一実施形態では」または「実施形態では」というフレーズが現れることは、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴または性質が、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な手法で組み合わされ得る。
【0009】
[0017]本明細書の全体を通して、例えば、「概ね」、「およそ」、および「約」などの相対的な用語の言及は、本明細書では、記載される値のプラスまたはマイナス10%を意味するように使用される。
【0010】
[0018]本明細書のいくつかの実施形態は血栓を除去することに関連して説明されるが、本技術が、脂肪、組織、または異物などの、血管を閉塞する可能性がある他の種類の塞栓を除去するのに使用され得る、および/またはそのために修正され得ることが認識されよう。加えて、本明細書のいくつかの実施形態は肺動脈から血栓を除去する文脈で説明されるが(例えば、肺塞栓摘出術)、本技術は、血管系の他の部分(例えば、神経血管、冠状動脈、または、末梢部分の用途)から血栓および/または塞栓を除去するのにも適用され得る。さらに、いくつかの実施形態が流体を用いて血栓を浸軟させることに関連して考察されるが、本技術は、血栓を細分化して小さい断片または粒子にするための他の技法(例えば、超音波、機械、酵素など)と共に使用されるように適合され得る。
【0011】
[0019]本明細書で提示される見出しは単に便宜のためであり、特許請求される本技術の範囲または意味を説明するものではない。
血栓除去のためのシステム
[0020]上で提示したように、本技術は、概して、血栓除去システムを対象とする。このようなシステムは、患者の血管(例えば、動脈または静脈)内に位置決めされ得る遠位側部分と、患者の身体の外側に位置決めされ得る近位側部分と、遠位側部分と近位側部分との間に延在する管腔とを有する細長いカテーテルを含む。いくつかの実施形態では、本明細書のシステムは、患者の血管内の血栓に係合されるように、血栓を細分化して小さい断片にするように、および、断片を患者の身体の外へと吸引するように、構成される。任意選択で、本明細書で説明されるシステムは、細長いカテーテルの位置決めを容易にするための、血栓の性質を測定するため、および/または、他の形で血栓切除手技中に臨床医にフィードバックを提供するための、細長いカテーテルに一体化された(例えば、遠位側部分において)1つまたは複数のセンサ(例えば、カメラ)を含むことができる。本明細書で使用される場合の「血栓」および「塞栓症」は、種々の点で、ある程度は置換可能に使用される。
【0012】
[0021]
図1A~1Gが、本技術の種々の実施形態に従って構成された血栓除去システム100を示す。より具体的には、
図1Aが、患者の肺血管系内に位置決めされたシステム100の細長いカテーテル102を示しており、
図1Bが、細長いカテーテル102の近位側部分104bを示しており、
図1Cが、細長いカテーテル102の遠位側部分104aの拡大図であり、
図1Dが、遠位側部分104aの側断面図であり、
図1Eが、遠位側部分104aのいくつかの実施形態の側断面図であり、
図1Fが、遠位側部分104aの他の実施形態の側断面図であり、
図1Gが、遠位側部分104aの他の実施形態の側断面図である。
【0013】
[0022]最初に
図1Aを参照すると、患者の肺血管系は、主肺動脈または肺動脈幹(PT:pulmonary trunk)から心臓(図示せず)の右心室を分離する肺動脈弁(PV:pulmonary valve)を有する。肺動脈幹PTが左肺動脈(LPA:left pulmonary artery)および右肺動脈(RPA:right pulmonary artery)に分かれ、左肺動脈および右肺動脈が左肺および右肺(図示せず)にそれぞれつながる。肺動脈幹PTの直径は、収縮期中および拡張期中、例えば22mmから約43mmの間で大きく変化し得る。左肺動脈LPAおよび右肺動脈RPAは、各々、16mmから49mmの範囲内にある直径、および、約80mmから約100mmの範囲内にある長さを有することができる。肺血管系の1つまたは複数の部分が血栓Tによって閉塞されると、肺塞栓症が発症する。例えば、示される実施形態では、血栓(T)が左肺動脈(LPA)を塞いでいる。
【0014】
[0023]
図1Aおよび1Bを共に参照すると、血栓除去システム100が患者の血管系から血栓Tを除去するのに使用され得る。システム100の細長いカテーテル102が、遠位側部分104aと近位側部分104bとの間において細長いカテーテル102を通って延在する管腔106を有する。遠位側部分104aが、血栓Tの近くのまたは血栓Tに隣接する場所において血管内に位置決めされるように構成される。細長いカテーテル102または細長いカテーテル102の少なくとも一部分(例えば、遠位側部分104a)が患者の身体の体内に導入され得(例えば、示されない送達シースを介して)、血栓Tの部位まで前進させられ得る。例えば、示される実施形態では、細長いカテーテル102が肺動脈弁PVを通って肺動脈幹PTの中へと前進させられ、さらには左肺動脈LPAまたは右肺動脈RPAの中まで少なくとも部分的に前進させられ、その結果、遠位側部分104aが血栓Tに隣接するようになる。近位側部分104bが、後でより詳細に説明されるように、患者の身体の外部に留まるように構成される。近位側部分104bが、細長いカテーテル102の移動および/または他の機能を制御するためのハンドル(図示せず)を有することができるか、またはこのハンドルに連結され得る。肺動脈内での手技に関連して説明されるが、説明されるシステム、デバイス、および方法が身体内の他の場所および他の病気にも同様に適用され得ることが本明細書の記述から認識されよう。例えば、本システムおよびデバイスが、任意の種類の閉塞された動脈、静脈、またはプロテーゼ(例えば、人工血管)から血栓を除去するのに使用され得る。本システム、デバイス、および方法は、補助療法として、または、単独療法として、使用され得る。種々の実施形態で、本システムが、肺塞栓、腸骨大腿塞栓、および/または深部静脈血栓を除去するように構成される。
【0015】
[0024]いくつかの実施形態では、細長いカテーテル102または細長いカテーテル102の一部分(例えば、遠位側部分104a、遠位側部分104aと近位側部分104bとの間の中間部分(図示せず))が、患者の血管系(例えば、肺血管系)内に導入されるのに適する比較的小さい外径を有する。外径が標的血管の直径より小さくてよく、その結果、細長いカテーテル102が血管内に導入されるときに血管を完全には閉塞しない。例えば、外径が、約10mm以下、約9mm以下、約8mm以下、約7.5mm以下、約7mm以下、約6.5mm以下、約6mm以下、約5.5mm以下、約5mm以下、約4.5mm以下、約4mm以下、約3.5mm以下、約3mm以下、約2.5mm以下、約2mm以下、約1.5mm以下、または、約1mm以下であってよい。いくつかの実施形態では、外径が、21フレンチ(Fr)以下であるか、10Fr以下であるか、または、約10Frから約4Frの範囲内にある。細長いカテーテル102の遠位側部分104aが、患者の血管系を通るナビゲーションを容易にするように構成され得る。例えば、カテーテルが、操縦可能であり得る。カテーテルがガイドワイヤ上で案内されるために比較的高い可撓性を有することができるか、または、血管系を通るように押されるように構成された先端部を有することができる。任意選択で、細長いカテーテル102または細長いカテーテル102の一部分が、血管構造の屈曲部、湾曲部、分岐部、または他の蛇行部分を通るように細長いカテーテル102が導入されるときに、よじれたり圧迫されたりすることなどを低減または防止するのに十分な剛性を有することができる。
【0016】
[0025]
図1Cを参照すると、いくつかの実施形態では、細長いカテーテル102の遠位側部分104aが、画像化要素108(例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラなどの、カメラ)を有する。画像化要素108が、遠位側部分104aの外部表面に動作可能に連結され得るか、遠位側部分104aの内部表面に動作可能に連結され得るか(例えば、管腔106内)、または、管腔106の周りの遠位側部分104aの壁内に埋設され得る。画像化要素108が、血栓切除手技を実施する際に臨床医をガイドするための、患者の血管系および/または血栓(
図1Cでは図示されない)を表す画像および/またはデータを生成するように構成され得る。例えば、画像データが、遠位側部分104aを血栓の近くに位置決めする際に臨床医を支援するために表示され得る。画像データがさらに、血栓を除去するための適切な手技および/またはツールを決定するために臨床医が血栓の種類(例えば、柔らかくかつ鋭形である、ある程度の線維素を有してわずかに器質化している、高度に器質化しており線維性を有する、など)を査定するのを支援することができる。任意選択で、画像化要素108が、血栓切除手技の前に、血栓切除手技の間に、および/または血栓切除手技の後に、画像データを生成することができ、その結果、臨床医が、血栓が完全に除去されたかどうか、血管内に一部分または他の血栓が留まっているかどうか、他の治療手技が有益となるかどうかなどを評価することができる。
【0017】
[0026]システム100が、画像化要素108を用いた治療部位の可視化を容易にするように構成された追加の構成要素を有することができる。例えば、システム100が、遠位側部分104aにまたは遠位側部分104aの近くに照明源(例えば、1つまたは複数のLED(図示せず))を有することができる。システム100がさらに、対象の場所までの光学経路を提供するために流体(例えば、可視スペクトルにおいて透明である流体)を送達するように構成され得る。流体が、不透明の血液を治療部位から離れるように変位させて、画像化のための光学的に透明である媒体を提供するために、遠位側部分104aから送達され得る。いくつかの実施形態では、画像化のための流体が、以下でさらに説明されるように、血栓を断片化するのに使用される流体と同じである。他の実施形態では、画像化のための流体が、血栓を断片化するための流体とは異なる。
【0018】
[0027]
図1Cおよび1Dを共に参照すると、いくつかの実施形態では、細長いカテーテル102の遠位側部分104aが、拡張可能チャンバ109を有する。拡張可能チャンバ109内の内部空間が、管腔106の一部であるか、または管腔106に接続されてよく、その結果、物質が拡張可能チャンバ109を介して細長いカテーテル102に入ること、および/または細長いカテーテル102から外に出ることができるようになる。拡張可能チャンバ109が、展開構成(例えば、
図1Cおよび1Dに示される拡張構成および/または概ね円筒形の構成)と低プロファイル構成(例えば、折り畳み、収縮、および/または平坦化された構成(図示せず))との間で変形され得る。拡張可能チャンバ109が、送達シースを介してまたは他の最小侵襲的な技法を介して細長いカテーテル102の遠位側部分104aを血管内で患者の身体の体内に導入するのを可能にするために、低プロファイル構成をとることができる。遠位側部分104aが血管内の標的部位に位置決めされると、拡張可能チャンバ109が、後でより詳細に説明されるように、血栓を捕捉して浸軟させる(macerate)ための展開構成へと変形され得る。拡張可能チャンバ109は、自己拡張式であってよく、その結果、拡張可能チャンバ109が、送達シースから解放されると自動的に展開構成へと変形する。その後、血栓切除手技が完了すると、拡張可能チャンバ109が変形されて低プロファイルに戻ることができ、患者の身体から取り外されるために送達シース内へ引き抜かれ得る。別法として、または加えて、拡張可能チャンバ109が、低プロファイルから展開構成へと変形するように膨張可能であってよい(例えば、流体またはガスにより)。
【0019】
[0028]拡張可能チャンバ109の幾何形状(例えば、サイズ、形状)は、多数の異なる手法で構成され得る。例えば、拡張可能チャンバ109が、円形断面形状、楕円断面形状、正方形断面形状、長方形断面形状、多角形断面形状、曲線断面形状、星形断面形状、または他の断面形状を有することができる。いくつかの実施形態では、拡張可能チャンバ109がその全長にわたって均一の断面形状を有するが(例えば、拡張可能チャンバ109が概ね円筒形構造である)、他の実施形態では、拡張可能チャンバ109が可変の断面形状を有する(例えば、拡張可能チャンバ109が漏斗状の構造である)。拡張可能チャンバ109が、少なくとも約5cm、少なくとも約6cm、少なくとも約7cm、少なくとも約7.5cm、少なくとも約8cm、少なくとも約8.5cm、少なくとも約9cm、少なくとも約9.5cm、少なくとも約10cm、少なくとも約10.5cm、少なくとも約11cm、または少なくとも約12cmの長さを有することができる。いくつかの実施形態では、拡張可能チャンバ109の長さが、約8cmから約10cmの範囲内にある。展開構成にあるとき、拡張可能チャンバ109が、少なくとも約5mm、少なくとも約5.5mm、少なくとも約6mm、少なくとも約6.5mm、少なくとも約7mm、少なくとも約7.5mm、少なくとも約8mm、少なくとも約8.5mm、少なくとも約9mm、少なくとも約9.5mm、少なくとも約10mm、少なくとも約15mm、少なくとも約20mm、少なくとも約25mm、少なくとも約30mm、少なくとも約35mm、または少なくとも約40mmの外径を有することができる。低プロファイル構成にあるとき、拡張可能チャンバ109が、最大約7mm、最大約6.5mm、最大約6mm、最大約5.5mm、最大約5mm、最大約4.5mm、最大約4mm、最大約3.5mm、最大約3mm、最大約2.5mm、最大約2mm、最大約1.5mm、または最大約1mmの外径を有することができる。展開構成にある拡張可能チャンバ109の断面寸法(例えば、面積、直径、幅など)が、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、または少なくとも約1000%、低プロファイル構成にある拡張可能チャンバ109の断面寸法より大きくてよい。いくつかの実施形態では、展開構成にあるとき、拡張可能チャンバ109の断面寸法が、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、または少なくとも約500%、細長いカテーテル102の残りの部分(例えば、遠位側部分104aと近位側部分104bとの間の中間部分)の断面寸法より大きくてよい。
【0020】
[0029]任意選択で、展開構成にあるとき、拡張可能チャンバ109の断面寸法が、その中に拡張可能チャンバ109が位置決めされる血管の断面寸法より小さくてよい。例えば、拡張可能チャンバ109の直径が、血管の直径(例えば、最小直径または最大直径)の、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%であってよい。いくつかの実施形態では、展開時、拡張可能チャンバ109が、灌流状態を維持するために拡張可能チャンバ109および/または血栓の外側を回って血液が流れるのを可能にしながら、血栓に係合されて血栓に対する封止を形成するように構成される。拡張可能チャンバ109を血栓に対して封止することにより、後でさらに説明されるように、患者の血流中への漏洩をほとんどまたは全く起こさないように、流体(例えば、血栓を画像化および/または断片化するための)を送達すること、収容すること、および拡張可能チャンバ109から吸引することが可能となり得る。
【0021】
[0030]別法として、展開構成にあるとき、拡張可能チャンバ109の断面寸法が、血管の断面寸法と等しいか、または概ね等しくてよく、その結果、拡張可能チャンバ109が、そこを通る流体の流れを部分的にまたは完全に遮断する。例えば、展開構成にある拡張可能チャンバ109が、血管の壁に対する流体封止を拡張可能チャンバ109の周囲部分の周りに形成することができる。封止が部分的な流体封止または完全な流体封止(臨床的および/または機能的に完全な封止)であってよい。このアプローチは血栓切除手技中に血栓断片が患者の身体の他の部分に移動するのを防止するように設計され、拡張可能チャンバ109の下流にある組織を他の血管により継続的に灌流状態にするような、および/または、拡張可能チャンバ109による一時的な上流の遮断を許容することができるような状況において利用され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能チャンバ109が、システム100の外側部分に沿った流体の流れを選択的に許容するように構成された1つまたは複数の弁(図示せず)を有することができる。例えば、1つまたは複数の弁が、拡張可能チャンバ109の周囲部分の周りに位置してよい。このアプローチは、拡張可能チャンバ109による全面的またはほぼ全面的な遮断の事例において、拡張可能チャンバ109の下流の組織灌流が損なわれる可能性がある状況において有利となり得る。
【0022】
[0031]拡張可能チャンバ109が、システム100の1つまたは複数の構成要素を収容するのに使用され得る。いくつかの実施形態では、例えば、システム100が、少なくとも部分的に拡張可能チャンバ109内にある、遠位側部分104aにある捕捉要素110を有する。捕捉要素110が、少なくとも部分的に管腔106および拡張可能チャンバ109へと血栓を引き込むために、血栓に接触して係合されるように構成され得る。多様な種類の捕捉要素が、本明細書で説明される実施形態で使用されるのに適する。例えば、
図1Dで最も良好に見ることができるように、捕捉要素110が、血栓に入り込むためにおよび/または管腔106へと血栓を漸進的に引き込むために回転する(例えば、方向D1に沿って)ように構成された、オーガ、スクリュー(例えば、アルキメデスの螺旋)、または他の螺旋構造として構成され得る。捕捉要素110の幾何形状(例えば、サイズ、形状)は多数の異なる手法で構成され得る。いくつかの実施形態では、捕捉要素が、その軸方向長さに沿って(例えば、方向D2に沿って)概ね均一である外径(例えば、輪郭)を有するように形成される。いくつかの実施形態では、捕捉要素110が可変の輪郭を有する。例えば、捕捉要素110が、遠位方向および/または近位方向に先細になっている円錐状輪郭を有することができる。回転に対する別法として、または回転との組み合わせで、捕捉要素110が、血栓に係合されて管腔106および拡張可能チャンバ109へと血栓を漸進的に引き込むために、長手方向(例えば、方向D2)に移動可能であってよい。いくつかの実施形態では、捕捉要素110が、捕捉要素110の長さの少なくとも約10%、少なくとも20%、少なくとも約30%、少なくとも40%、少なくとも約50%、少なくとも60%、少なくとも約70%、少なくとも80%、少なくとも約90%、または少なくとも100%の距離に沿って移動可能である。捕捉要素110の長手方向の移動が(例えば、管腔106および拡張可能チャンバ109の外に出る)、捕捉要素110が動かなくなるかまたは詰まった場合に捕捉要素110を解放するためにも使用され得る。
【0023】
[0032]遠位側部分104aに対する捕捉要素110の回転運動および/または長手方向の移動が、細長いカテーテル102を通って拡張可能チャンバ109内まで延在する駆動シャフト112によって作動され得る。駆動シャフト112が、捕捉要素110を、細長いカテーテル102(図示せず)の近位側部分にあるモータ、カム、および/または他の作動機構に動作可能に連結することができる。いくつかの実施形態では、捕捉要素110の回転速度が、多様な種類の血栓との係合を容易にするために調整可能である(例えば、高速、中速、および低速の間で)。例えば、低い回転速度は、より柔らかい、あまり器質化していない、および/または、あまり線維性ではない血栓を捕捉するのに使用され得、対して高い回転速度は、より硬い、より器質化している、および/または、より線維性である血栓を捕捉するのに使用され得る。
【0024】
[0033]任意選択で、捕捉要素110の特性(例えば、ねじサイズ、ねじピッチ、および/またはデュロメータ)が、血栓の種類および/または性質(例えば、剛性、密度、器質化の程度、線維素含有量、サイズなど)に基づいて選択され得る。いくつかの実施形態では、捕捉要素110が、血栓の1つまたは複数の性質を感知するための少なくとも1つのセンサ113(例えば、捕捉要素110の遠位側部分に位置する)を有する。例えば、センサ113が、血栓のひずみ、剛性、および/または他の機械的特性を測定するように構成され得る。別の実施例として、センサ113が、(例えば、捕捉要素110が回転する間に)血栓の電流、インピーダンス、および/または他の電気的特性を測定するように構成され得る。本明細書の実施形態と共に使用されるのに適する他の種類のセンサには、圧力センサ、加速度計、温度センサ、流量センサ、光学センサ、マイクロホンまたは他の音響センサ、超音波センサ、ECGまたは他の心臓リズムセンサ、SpO2センサ、電気インピーダンスセンサ、および、組織および/または血液ガスレベルを測定するように適合された他のセンサ、血液量センサ、ならびに、当業者に知られている他のセンサが含まれる。センサ113によって生成されるセンサデータが、有線通信または無線通信を介して外部計算デバイスに送信され得、その結果、センサデータが、処理され得、および/または、臨床医に対して表示され得る。
【0025】
[0034]いくつかの実施形態では、捕捉要素110が拡張可能(例えば、膨張可能)であり、低プロファイル構成(例えば、平坦化および/または折り畳みされた構成(図示せず))と展開構成(例えば、
図1Cおよび1Dに示されるように、血栓に係合されるための動作構成および/または拡張構成)との間で変形され得る。例えば患者の血管内に導入されるために、拡張可能チャンバ109も低プロファイル構成にある間、捕捉要素110が低プロファイル構成へと変形され得る。遠位側部分104aが血管内で適切に位置決めされると、捕捉要素110が、例えば拡張可能チャンバ109が展開構成へと変形されるのと同時に、またはその後で、展開構成へと変形され得る。いくつかの実施形態では、捕捉要素110の一部分または全体が、送達される流体および/またはガスを使用して膨張可能である。一部分には、a)1つまたは複数の羽根(例えば、羽根車の)、あるいは、b)1つまたは複数の羽根部分(例えば、所与の羽根の周囲縁部)が含まれてよい。いくつかの実施形態では、捕捉要素の本体が、膨張可能である外側部分(例えば、縁部)を有する膜を備える。いくつかの実施形態では、捕捉要素110が自己拡張するように構成され、その結果、シースに覆われていないときおよび/または非拘束時に捕捉要素110が拡張可能チャンバ109と共に展開構成へと自動的に変形するようになる。次いで、捕捉要素110が、本明細書で説明されるように、血栓に係合されて血栓を拡張可能チャンバ109へと引き込むために使用され得る。例えば、血栓が回収された後で、および/または、拡張可能チャンバ109が低プロファイル構成へと変形するとの同時に、捕捉要素110が変形されて低プロファイル構成へと戻され得る。
【0026】
[0035]
図1Dを参照すると、システム100が、遠位側部分104aにあり、少なくとも部分的に拡張可能チャンバ109内にある流体送達機構114をさらに有することができる。流体送達機構114が、血栓を断片化すること、血栓を浸軟させること、血栓を切断すること、血栓を細かくすること、および/または他の形で血栓を細分化して複数のより小さい粒子にすることを目的として、流体116(例えば、塩水)を適用するように構成され得る。例えば、送達機構114が捕捉要素110の近位側に位置決めされ得、その結果、捕捉要素110により血栓の一部が拡張可能チャンバ109へと近位側に引き込まれるとき、流体送達機構114が流体116を用いて血栓の一部を断片化する。いくつかの実施形態では、流体116が、血栓を断片化するのに十分な力を伴って血栓に接触するように加圧される。流体116が、連続する流れまたはジェットとして送達され得るか、あるいは、指定のタイミング、周波数などで、断続的に送達され得る。流体116の圧力および/または流量は、血栓を細分化するために十分に高くてよいが、管腔106から患者の血流中へ流体116がほとんどまたは全く漏洩しないくらいに十分に小さくてよい。いくつかの実施形態では、適用される流体116が、拡張可能チャンバ109によって形成された封止の近位側に送達される。有利には、封止の近位側に送達される適用される流体116は、a)血栓の浸軟/断片化、および/もしくは、b)血栓断片の吸引、の有効性ならびに/または効率を改善することが期待される。任意選択で、圧力および/または流量が、血栓の種類および/または性質に基づいて、選択的に調整され得る(例えば、より硬い、より器質化している、および/または、より線維性である血栓の場合には、より高い圧力および/またはより高い流量とし、より柔らかい、より器質化していない、および/または、より線維性ではない血栓の場合には、より低い圧力および/またはより低い流量とする)。いくつかの実施形態では、適用される流体116が、少なくとも約345kPa(約50重量ポンド毎平方インチ(psi))、少なくとも483kPa(約70psi)、少なくとも621kPa(約90psi)、少なくとも758kPa(約110psi)、少なくとも896kPa(約130psi)、または少なくとも1034kPa(約150psi)の圧力で送達される。いくつかの実施形態では、適用される流体116が、例えば、少なくとも345kPa(約50psi)、少なくとも689kPa(約100psi)、少なくとも1379kPa(約200psi)、少なくとも2068kPa(約300psi)、少なくとも2758kPa(約400psi)、少なくとも3447kPa(約500psi)、少なくとも4137kPa(約600psi)、少なくとも4826kPa(約700psi)、少なくとも5516kPa(約800psi)、少なくとも6205kPa(約900psi)、または少なくとも6895kPa(約1000psi)など、少なくとも345kPa(約50psi)から少なくとも6895kPa(約1000psi)の圧力で送達され得る。適用される流体116が、上で言及した圧力の範囲内にある任意の圧力で送達され得る。いくつかの実施形態では、適用される流体116が、例えば、少なくとも約100ミリ秒(ms)、少なくとも約200ms、少なくとも約300ms、少なくとも約400ms、少なくとも約500ms、少なくとも約600ms、少なくとも約700ms、少なくとも約800ms、少なくとも約900ms、または少なくとも約1秒などの、所与の継続時間で送達される。適用される流体116が、上で言及した継続時間の範囲内にある任意の継続時間で送達され得る。いくつかの実施形態では、適用される流体116が、所与の継続時間で、断続的および/または定期的に(例えば、パルスとして)送達される。有利には、適用される流体116をパルス化することにより、患者に送達される流体の総体積を低減することができる。例えば、適用される流体116が、約0.1ヘルツ(Hz)、約0.3Hz、約0.5Hz、約0.7Hz、約1Hz、約2Hz、約3Hz、約4Hz、または約5Hzの(適用)周波数で、定期的に送達され得る。適用される流体116の送達は、上で言及した周波数の範囲内にある任意の周波数であってよい。いくつかの実施形態では、適用される流体116が送達されるときの周波数が変更され得、例えば、所与のパルスの送達流体の適用の前に、その間に、および/またはその後で、変更され得る。
【0027】
[0036]流体送達機構114が、多数の異なる手法で構成され得る。示される実施形態では、例えば、流体送達機構114が、開口部120(例えば、流体口または流体ノズル)において終端する単一の細長い管118を有する。開口部120が、捕捉要素110より近位側で、捕捉要素110から離間されて、拡張可能チャンバ109内に位置決めされ得、その結果、血栓または血栓の一部が開口部120と捕捉要素110との間において拡張可能チャンバ109内で受け取られ得る。細長い管118および開口部120が遠位側部分104aの長手方向軸に沿うように方向付けられ、その結果、流体116が遠位側に捕捉要素11に向かうように誘導される。したがって、血栓が捕捉要素110によって拡張可能チャンバ109へと近位側に引き込まれるとき、流体116が、血栓を断片化するために遠位側に血栓に向けて適用される。
【0028】
[0037]
図1Eを参照すると、他の実施形態では、システム100が、2つ以上の流体ジェットまたは流体流(例えば、2つの流体ジェット126a~b)を作り出すように構成された流体送達機構124を有することができる。流体送達機構124が、それぞれの開口部129a~bにおいて各々終端する2つの細長い管128a~bを有することができる。細長い管128a~bが拡張可能チャンバ109の対向する内部表面に沿って延在することができ、開口部129a~bが、捕捉要素110の近位側部分に隣接するようにまたはその近くに位置する。開口部129a~bおよび/または細長い管128a~bの遠位側部分が、拡張可能チャンバ109の中心長手方向軸に向かうように近位側に方向付けられ得る。結果として、流体ジェット126a~bが、捕捉要素110から離れるように近位側に誘導され、拡張可能チャンバ109の中心に向かう。血栓が捕捉要素110によって拡張可能チャンバ109へと近位側に引き込まれるとき、流体ジェット126a~bが、血栓を断片化するために血栓に対して近位側に適用される。
【0029】
[0038]システム100が、
図1D、1E、および1Gに示される実施形態とは異なる流体送達機構を有することができることが認識されよう。例えば、流体送達機構が、流体を移送するための任意の適切な数の細長い管または類似の構造(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、またはそれ以上の細長い管)を有することができる。流体送達機構が、上で言及した範囲内にある任意の数の構造を有することができる。各々の細長い管が、そこを通して流体を送達するための1つまたは複数の開口部(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の開口部)を有することができる。いくつかの実施形態では、単一の細長い管が、捕捉した血栓の異なる部分に流体を適用するために、管の長さに沿う異なる場所に複数の開口部を有する。流体が、近位側に誘導されるか、遠位側に誘導されるか、中心長手方向(例えば、
図1Gの141)に向かうように誘導されるか、上記の組み合わせで誘導されるか、または、血栓を断片化するのに適する任意の他の方向に誘導され得る。いくつかの実施形態では、開口部が、遠位側部分104aの内壁に概ね沿うように流体流を誘導するように配置される。
【0030】
[0039]いくつかの実施形態では、所与の流れにおいて流体が送達されるときの圧力が、遠位側部分104aの内壁に当たる前に流れが消散するように選択される。例えば、圧力が、第1の壁部分から第2の壁部分に向かう経路に流体流を誘導する開口部において第2の壁部分に当たる前に流体流が消散することになるように、十分に低いものであってよい。いくつかの実施形態では、第2の壁部分が第1の壁部分に対向する。消散には、流体流の凝集性の損失、流体流の運動量の低減、または、流体流の運動量の変化(例えば、近位方向に向かうようになる)が含まれてよい。流体流の消散には、流体流がその所与の開口部に送達されるときの運動量(例えば、初期運動量)の大きさの、最大約60%、最大約50%、最大約40%、最大約30%、最大約20%、最大約10%、最大約5%、または最大約1%の低減が含まれてよい。運動量の低減は、上で言及した低減運動量の範囲内にある任意の低減であってよい。任意選択で、いくつかの実施形態では、細長い管の一部またはすべてが、例えば血栓を細分化するために流体を送達することに加えて、またはその別法として、画像化のための透明な光学経路を作るために流体を送達するのに使用され得る。
【0031】
[0040]
図1Bおよび1Dを共に参照すると、システム100が、管腔106に流体連結された吸引機構140(概略的に示される
図1Bで最も良好に見ることができる)をさらに有する。吸引機構140が、能動的な吸引機構または受動的な吸引機構であってよく、真空を発生させるのに適する任意のデバイス(例えば、真空ポンプ)を有することができる。動作中、吸引機構が遠位側部分104aに流体連通される(例えば、管腔106を介して)。吸引機構140が、断片化された血栓を細長いカテーテル102の遠位側部分104aから(例えば、拡張可能チャンバ109から)近位側部分104bへと、および任意選択で回収容器142へと吸引するように構成され得る。いくつかの実施形態では、吸引機構140が、血栓を管腔106へと引き込むために捕捉要素110を補完するように、および/または捕捉要素110を置換するように構成され得る(
図1Gで最も良好に見ることができる)。例えば、遠位側部分104aが血栓の近くにあるときに、および/または血栓に接触するときに、吸引機構140が遠位側部分104a内の圧力を低減させる(例えば、低下させる)ように起動され得る。例えば、吸引機構140がベンチュリ真空ポンプであってよく、ベンチュリ真空ポンプ内では、当業者に知られているように、圧送流体(例えば、水)がポンプを通過させられて側口内に真空を作る。圧送流体および吸引物質が、容器142内に回収され得る。任意選択で、回収した流体が濾過され得、ポンプを継続して動かすために再使用され得る。
【0032】
[0041]吸引機構140によって印加される真空圧力の量は、細長いカテーテル102の長さを通して血栓を効果的に吸引するように選択され得る(例えば、十分に高く)。真空圧力はさらに、流体送達機構(例えば、
図1Dの流体送達機構114または
図1Eの流体送達機構124)によって作り出された流体116の大部分またはすべてが吸引され、患者の血流内に蓄積しないように、選択され得る(例えば、十分に高く)。しかし、真空圧力はさらに、吸引機構140が患者の身体からほとんどまたは全く血液を吸引しないように、選択され得る(例えば、十分に低く)。いくつかの実施形態では、システム100が、患者の血流中へまたは血流外へ移動する流体の流れ、体積、および/または圧力を監視するように構成された1つまたは複数のセンサ(例えば、圧力センサ、流量センサなど(図示されない))を有する。センサデータに基づいて、流体送達機構(例えば、
図1Dの流体送達機構114または
図1Eの流体送達機構124)ならびに/または吸引機構140の動作パラメータが、患者の血流に入る、および/もしくは患者の血流から出る流体の流れの量を加減するように調整され得る。
【0033】
[0042]いくつかの実施形態では、システム100が拡張可能ハウジングを有する。拡張可能ハウジングが、例えば、拡張可能な足場もしくはフレーム、膨張可能シュラウド、またはバルーンを備えることができる。いくつかの実施形態では、システム100が、複数の画像化要素および/または複数の照明要素を有する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の画像化要素および/または照明要素が拡張可能ハウジング内に収容される。拡張可能ハウジングが、照明要素によって生成される光、および/または画像化要素によって検出される光に対して少なくとも部分的に透過性であってよい。膨張可能シュラウドが細長いカテーテルの遠位側部分(例えば、104a)に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、膨張可能シュラウドがチャンバ109を少なくとも部分的に(例えば、完全に)包囲する。膨張可能シュラウドが、流体またはガスを入れることによって拡張可能であり得る。例えば、膨張可能シュラウドが、塩水、油、CO2、および/または実質的な不活性ガスによって拡張され得る。いくつかの実施形態では、吸引流体と膨張可能シュラウドを満たす流体が同じである。いくつかの実施形態では、膨張可能シュラウドが、第1の折り畳み構成から第2の拡張構成まで可逆的に調整可能である。いくつかの実施形態では、膨張可能シュラウドが軸方向に変化するように折り畳まれ得、ここでは、膨張可能シュラウドの第1の軸方向部分が、膨張可能シュラウドの第2の軸方向部分とは異なる時間に折り畳まれる。例えば、膨張可能シュラウドが、遠位側から近位側に折り畳まれ得る(例えば、遠位側で折り畳み可能である)。いくつかの実施形態では、膨張可能シュラウドが近位側から遠位側に折り畳まれ得る。有利には、軸方向に変化させるように膨張可能シュラウドを折り畳むことにより、a)血栓を断片化すること、ならびに/または、b)血栓および/もしくは血栓断片が近位側に移動するきっかけを支援することができる。いくつかの実施形態では、膨張可能シュラウドによって担持される流体送達開口部(例えば、129a~b)が、膨張可能シュラウドの膨張により、選択された幾何形状および/または構成に変形するように誘導され得る(例えば、標的にされる)。例えば、1つまたは複数の流体流が血栓に向けて誘導されるときの角度が、膨張可能シュラウドを膨張させるための圧力に従って選択または変更され得る。有利には、折り畳み構成が、前進中および後退中にカテーテルの並進を改善することができ、拡張構成が、物質の除去中に照明経路/画像化経路を改善することができる。
【0034】
[0043]
図1Fは、
図1Dおよび1Eに描かれる実施形態に類似するが、細長いカテーテル102の遠位側部分104aにある拡張可能ハウジング117内にある複数の画像化要素108(例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラなどのカメラ)および/または照明装置115をさらに有する。画像化要素および照明装置は、集合的に「可視化要素」と記載され得る。拡張可能ハウジング117が拡張可能チャンバ109を実質的に囲む。複数の画像化要素108および/または照明装置115が、1)拡張可能ハウジング117の遠位端に動作可能に連結され得、2)拡張可能ハウジング117の外部表面に動作可能に連結され得、3)拡張可能ハウジング117の内部表面に動作可能に連結され得、および/または、4)拡張可能ハウジング117の壁内に埋設され得る。複数の画像化要素108および/または照明装置115が多様な手法で配置され得る。例えば、この配置が、a)単一、b)対、c)三重構成、d)四重構成、e)五重構成、および/または、f)六重構成であってよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの画像化要素および/または照明装置115が、操縦可能(換言すれば、可動)である。いくつかの実施形態では、拡張可能ハウジング117の拡張構成が、有利には、管腔壁に対して遠位側部分104aの外側周囲部分を固定させるのを(例えば、管腔壁との封止を形成するのを)支援することができる。いくつかの実施形態では、拡張可能ハウジング117は、断面が概ね環状である(例えば、変形形態1F-Aの断面)。いくつかの実施形態では、拡張可能ハウジング117が、全体的に起伏を有する、径方向において最も外側の壁を有する(例えば、変形形態1F-Bの断面)。径方向においてカテーテルの中心軸から遠くにある、起伏を有する最も外側の壁の領域121が、血管壁に接触することができ、径方向において中心軸により近い領域123が流体の流れのための経路を提供することができる。いくつかの実施形態では、流体の流れを維持することにより、有利には、血栓除去中に患者の灌流状態を継続するのを促進することができる。
【0035】
[0044]いくつかの実施形態では、少なくとも1つの可視化要素が、操縦可能である。操縦が、膨張可能チャネルによって達成され得る。いくつかの実施形態では、操縦のための膨張可能チャネルが、拡張可能ハウジング117を膨張させるための膨張可能チャネルと同じである(または、この膨張可能チャネルの一部分を形成する)。いくつかの実施形態では、操縦のために、別個の(例えば、専用の)膨張可能チャネルが提供される。種々の実施形態で、膨張可能シュラウドの膨張のための、本明細書で説明される任意のガスまたは流体が、操縦のための膨張可能チャネルのために使用され得る。いくつかの実施形態では、可視化要素の操縦が、例えば膨張可能シュラウド117内の圧力などの、圧力に反応することができる(例えば、受動的に)。いくつかの実施形態では、可視化要素の操縦が、例えばワイヤなどの、機械的手段を介するものであってよい。
【0036】
[0045]いくつかの実施形態では、システム100が、灌注のみを利用して、血栓を捕捉、浸軟、および/または断片化することができる。
図1Gは、
図1Eに描かれる実施形態に類似するが、捕捉要素110を有さない。
図1Gの実施例では、流体送達機構124の開口部139a~bが、所与の移動経路に沿って流体流136a~bを誘導するように配置される。いくつかの実施形態では、流体流が互いに交差する(例えば、流体交差箇所137において)ように流体流を誘導するように、少なくとも2つの開口部139a~b(例えば、流体口)が配置される。有利には、交差する流体流が衝突してもよく、衝突点の近くにある血栓の一部分に対してより大きい力を加えることができる。本明細書で使用される「交差」は必ずしも物理的な交差を意味するわけではない。交差はその最も一般的な意味であることを意図される。交差は、特定の点に向かうのではなく、共通の領域または共通の体積部に向けて流体が誘導されることを含むことができる。加えて、または別法として、交差点または交差領域が血栓内または血栓の後方にあってもよく、その結果、流体流が互いに物理的に交差し得る前に標的血栓にぶつかる。より大きい力とは、単独で血栓に接触する、つまり流体流の間で衝突しないような類似の流体流によって加えられる力を基準としたものであり得る。いくつかの実施形態では、流体流が少なくとも部分的に近位側に(例えば、後方に)誘導されるように、開口部139a~bが配置される。いくつかの実施形態では、流体流が、a)チャンバ109の中心軸141に対して実質的に垂直であるか、または、b)少なくとも部分的に遠位方向である(例えば、遠位側の開口部の方向)角度で誘導されるように、開口部139a~bが配置される。交差箇所137は拡張可能チャンバ109の中心領域の近くに描かれているが、流体流の交差箇所がチャンバ109内の多様な場所に配置され得ることが認識されよう。交差箇所137において流体流136a~bによって発生する力は、1)血栓を浸軟させる/血栓を断片化するのに、および、2)血栓断片をカテーテル102に沿って近位側に排出するのを促進するのに十分な大きさとなり得る。
【0037】
[0046]システム100が、システム100の動作を制御するための種々の構成要素を有するコンソール130(概略的に示される
図1Bで最も良好に見ることができる)を有することができる。例えば、コンソール130が、吸引機構140を有することができ、回収容器142に連結され得る。コンソール130が、流体送達機構(例えば、
図1Dの流体送達機構114または
図1Eの流体送達機構124)に流体連結された流体源144をさらに有することができる。流体源144が、中に収容される流体(例えば、塩水)を、血栓を浸軟させるのに十分高い圧力まで加圧するように構成され得る。コンソール130が、任意選択で、システムの1つまたは複数の構成要素を膨張させるように構成されたガス送達機構(図示せず)に流体連結されたガス源(図示せず)を有するか、またはこのようなガス源に連結され得る。
【0038】
[0047]コンソール130が、捕捉要素110の移動(例えば、回転運動および/または長手方向運動)を制御するための制御装置146をさらに有することができる。いくつかの実施形態では、コンソール130が、捕捉要素110の移動を作動させるための作動機構(例えば、モータ、カムなど(図示せず))をさらに有する。別法として、作動機構が、細長いカテーテル102の近位側部分104bの中に位置するか、近位側部分104bに位置するか、または近位側部分104bの近くに位置することができ、制御装置146が、作動機構の動作を制御するために作動機構に動作可能に連結され得る。
【0039】
[0048]コンソール130が、システム100もしくはシステム100の構成要素の動作を駆動するソフトウェアおよび/もしくはファームウェアを保存し実行することができるマイクロコントローラ、FPGA、ASIC、または、他のプラグラム可能なコンポーネントもしくはシステム、データおよび/またはソフトウェア/ファームウェアを保存するためのRAMまたはROMなどのメモリ、Bluetooth、Wi-Fi、または本明細書の記述から当業者には理解されるような他のプロトコルを介して、送信を行うように構成されたアンテナシステムなどの無線通信ハードウェア、ディスプレイ、モニタ、または他のユーザーインターフェース要素、ならびに/あるいは、1つまたは複数のセンサなどの、システム100に電力供給するための、および/またはシステム100の動作を制御するための他の電子構成要素148を有することができる。例えば、電子構成要素148が、捕捉要素110、流体送達機構(例えば、
図1Dの流体送達機構114、または
図1Eの流体送達機構124)、1つもしくは複数のセンサ(例えば、センサ113、
図1Cの画像化要素108)、吸引機構140、流体源144、および/または、制御装置146の動作を制御するように構成され得る。
【0040】
[0049]コンソール130が、細長いカテーテル102の近位側部分104bに連結され得る。いくつかの実施形態では、コンソール130が、ハブまたはアダプタ150を介して近位側部分104bに連結される。ハブ150が、コンソール130の種々の構成要素を細長いカテーテル102の構成要素に動作可能に連結するための複数の異なるコネクタを有することができる。例えば、ハブ150が、吸引機構140と管腔106との間に真空接続を有することができる。ハブ150が、流体源144と流体送達機構(例えば、
図1Dの流体送達機構114、または、
図1Eの流体送達機構124)との間に流体接続をさらに有することができる。いくつかの実施形態では、ハブ150が、吸引機構140および流体源144によりそれぞれ作り出される大きな真空圧力および/または流体圧力に耐えるように構成された1つまたは複数の構成要素(例えば、管、コネクタ、継手など)を有する。ハブ150が、制御装置146と捕捉要素110のための作動機構との間に電子接続をさらに有することができる。ハブ150がさらに、コンソール130の電子構成要素148をシステム100の他の構成要素(例えば、センサ)に電気的に連結することができる。
【0041】
[0050]いくつかの実施形態では、システム100がさらに、組織プラスミノゲンアクチベータ、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、または、それらの誘導体もしくは組み合わせなどの、1つまたは複数の血栓溶解薬を送達するように構成される。血栓溶解薬が、血栓の捕捉および/または浸軟の前に、血栓の捕捉および/または浸軟と同時に、あるいは、血栓の捕捉および/または浸軟の後で、(例えば、管腔106、別個のチャネル、または遠位側部分104a内の開口部を通して)細長いカテーテル102から送達され得る。血栓溶解薬が、患者の血管内の血栓の部位に局所的に送達され得、および/または、血栓の浸軟を容易にするために拡張可能チャンバ109内に送達され得る。
【0042】
[0051]上述の血栓除去システムの種々の構成要素が本技術の範囲から逸脱することなく省かれ得ることが、本開示から当業者には認識されよう。上で考察したように、例えば、本技術は、脂肪、組織、または異物などの、血管を閉塞する可能性がある他の種類の塞栓を除去するのに使用、および/またはそのために修正され得る。さらに、本明細書のいくつかの実施形態は肺動脈から血栓を除去する文脈で説明されるが、開示される技術は、血管系の他の部分(例えば、神経血管、冠状動脈、または、末梢部分の用途)から血栓および/または塞栓を除去するのにも適用され得る。同様に、上で明確には説明されない追加の構成要素も、本技術の範囲から逸脱することなく、血栓除去システムに追加され得る。したがって、本明細書で説明されるシステムは、明示的に示された構成に限定されず、むしろ、説明されるシステムの変形形態および変更形態を包含する。
実施例
[0052]本技術の複数の態様が以下の実施例に記載される。
【0043】
1.患者の血管から血栓を除去するための方法であって、
細長いカテーテルの遠位側部分を血管内の血栓の場所まで導入するステップと、
血栓の少なくとも一部を遠位側部分へと引き込むステップと、
少なくとも2つの異なる点から血栓に向けて流体を誘導するステップと
を含む、方法。
【0044】
2.遠位側部分を導入するステップが、低プロファイル構成において血管へと導入するものであり、方法が、遠位側部分を展開構成へと拡張するステップをさらに含む、実施例1の方法。
【0045】
3.引き込むステップが、捕捉要素を使用して遠位側部分へと引き込むものであり、方法が、捕捉要素を低プロファイル構成から展開構成へと拡張するステップをさらに含む、実施例2の方法。
【0046】
4.引き込むステップが、回転可能なスクリューまたはオーガを使用して遠位側部分へと引き込むものである、実施例1から3のいずれか1つの方法。
5.血栓の性質を感知するステップと、
感知した性質に基づいて回転可能なスクリューまたはオーガの回転速度を調整するステップと
をさらに含む、実施例4の方法。
【0047】
6.遠位側部分内の1つまたは複数のノズルによって流体を適用して、少なくとも2つの流体流を形成するステップをさらに含む、実施例1から5のいずれか1つの方法。
7.交差経路に沿って少なくとも2つの流体流を誘導するステップをさらに含む、実施例6の方法。
【0048】
8.血管が、肺動脈を含む、実施例1から6のいずれか1つの方法。
9.引き込むステップの前に、遠位側部分にある画像化要素を用いて血栓を画像化するステップをさらに含む、実施例1から8のいずれか1つの方法。
【0049】
10.画像化するステップが、流体経路を介するものである、実施例9の方法。
11.少なくとも2つの異なる点から誘導される流体を使用して、流体経路を形成するステップをさらに含む、実施例10の方法。
【0050】
12.血栓の断片を細長いカテーテルの近位側部分へと吸引するステップをさらに含む、実施例1から11のいずれか1つの方法。
13.血栓に対する封止を形成するために、血栓を遠位側部分に係合させるステップをさらに含む、実施例1から11のいずれか1つの方法。
【0051】
14.患者の血管から血栓を除去するためのシステムであって、
細長いカテーテルデバイスと、吸引機構と、流体送達機構とを備えており、細長いカテーテルデバイスは、
患者の血管内に位置決めされるように構成された遠位側部分であって、少なくとも2つの流体口を備えており、少なくとも2つの流体口は、それぞれの流体流を、交差するそれぞれの経路に沿って誘導するように構成されている、遠位側部分と、
患者の外部に位置決めされるように構成された近位側部分と、
遠位側部分及び近位側部分の間に延在する管腔と
を有し、吸引機構は、
患者の外部に位置決めされて管腔に流体連結されており、(a)血栓を係合させるため、ならびに/または、(b)血栓および/もしくは血栓断片を近位側に引くために、遠位側部分における圧力を低下させるように構成されており、流体送達機構は、
細長いカテーテルデバイスを通して少なくとも2つの流体口に流体を供給するように構成されている、システム。
【0052】
15.流体送達機構が、少なくとも2つの流体口に流体連結されるように構成された少なくとも2つの構造物を備える、実施例14のシステム。
16.それぞれの流体流が送達されるときに、遠位側部分にある拡張可能ハウジング内で交差するように、少なくとも2つの流体口が配置される、実施例14のシステム。
【0053】
17.少なくとも2つの流体口のうちの少なくとも1つの流体口が、それぞれの流体ジェットを近位側に送達するように配置される、実施例14のシステム。
18.少なくとも1つの流体口が、それぞれの流体ジェットを細長いカテーテルデバイスの中心軸に向けて送達するように配置される、実施例14のシステム。
【0054】
19.遠位側部分にある拡張可能ハウジング内に配設された画像化要素および/または照明源をさらに備える、実施例14のシステム。
20.流体送達機構がさらに、画像化要素および/または照明源のための光学経路を提供するために流体を適用するように構成される、実施例19のシステム。
【0055】
21.患者の血管から血栓を除去するためのシステムであって、
患者の血管内に位置決めされるように構成された遠位側部分、患者の外部に位置決めされるように構成された近位側部分、および、これらの間に延在する管腔を有する、細長いカテーテルと、
血栓に係合されるように構成された、遠位側部分にある捕捉要素と、
血栓を少なくとも部分的に断片化するために流体を適用するように構成された、管腔内にある流体送達機構と、
管腔に流体連結され、断片化された血栓を吸引するように構成された吸引機構と
を備える、システム。
【0056】
22.捕捉要素が、回転可能なスクリューまたはオーガを備える、実施例21のシステム。
23.捕捉要素が、少なくとも部分的に管腔内に位置決めされる、実施例21または実施例22のシステム。
【0057】
24.捕捉要素が、軸方向断面において概ね円錐形である、実施例21から23のいずれか1つのシステム。
25.捕捉要素が、拡張可能である、実施例21から23のいずれか1つのシステム。
【0058】
26.捕捉要素の少なくとも一部分が、膨張可能である、実施例25のシステム。
27.捕捉要素が、血栓を管腔へと引き込むために遠位側部分に対して移動するように構成される、実施例21から26のいずれか1つのシステム。
【0059】
28.捕捉要素が、血栓の性質を測定するように構成された感知要素を備える、実施例21から26のいずれか1つのシステム。
29.流体送達機構が、捕捉要素より近位側にある、実施例21から28のいずれか1つのシステム。
【0060】
30.流体が、加圧された塩水である、実施例21から29のいずれか1つのシステム。
31.遠位側部分が、低プロファイル構成と展開構成との間で変形可能である拡張可能チャンバを有する、実施例21から30のいずれか1つのシステム。
【0061】
32.細長いカテーテルが、近位側部分と遠位側部分との間に中間部分を有し、拡張可能チャンバが、展開構成にあるとき、中間部分の断面寸法より大きい断面寸法を有する、実施例31のシステム。
【0062】
33.拡張可能チャンバが、その軸方向長さに沿って変化する断面寸法を有する、実施例31のシステム。
34.拡張可能チャンバが、概ね漏斗形状である、実施例33のシステム。
【0063】
35.拡張可能チャンバが、流体またはガスによる膨張により拡張可能である少なくとも1つの壁を備える、実施例31のシステム。
36.捕捉要素が、血栓を拡張可能チャンバへと引き抜くように構成される、実施例31から35のいずれか1つのシステム。
【0064】
37.流体送達機構が、拡張可能チャンバ内にある、実施例31から36のいずれか1つのシステム。
38.血栓の少なくとも一部分を可視化するように構成された、遠位側部分にある画像化要素をさらに備える、実施例21から37のいずれか1つのシステム。
【0065】
39.流体送達機構がさらに、画像化要素のための光学経路を提供するために流体を適用するように構成される、実施例38のシステム。
40.流体が、可視スペクトルにおいて光学的に透明である、実施例21のシステム。
【0066】
41.遠位側部分にある照明源をさらに備える、実施例38から40のいずれか1つのシステム。
42.画像化要素および照明源の少なくとも一方が、操縦可能である、実施例41のシステム。
【0067】
43.画像化要素および照明源の少なくとも一方に連結された遠位側部分と、流体送達機構に流体連結された近位側部分とを有する膨張可能チャネルをさらに備える、実施例42のシステム。
【0068】
44.細長いカテーテルの近位側部分に動作可能に連結されたコンソールをさらに備える、実施例21から43のいずれか1つのシステム。
45.コンソールが、画像化要素、捕捉要素、流体送達機構、もしくは吸引機構のうちの1つまたは複数を制御するように構成される、実施例44のシステム。
【0069】
46.患者を治療するための方法であって、
患者の血管系内の血栓に隣接する場所までカテーテルの遠位側部分を血管内で送達するステップと、
カテーテルの遠位側部分によって担持される画像化要素を介して血管系および/または血栓の画像データを生成するステップと、
血栓の少なくとも一部を遠位側部分へと引き込むステップと、
血栓を少なくとも部分的に断片化するために、カテーテルの遠位側部分にある1つまたは複数の開口部を介して、選択された圧力および選択された流量を有する流体を送達するステップと
を含み、
選択された圧力および/または選択された流量が、少なくとも部分的に、画像データに基づく、
方法。
【0070】
47.画像データを生成するステップが、血栓を少なくとも部分的に断片化する前に、血栓を少なくとも部分的に断片化する間に、および/または、血栓を少なくとも部分的に断片化した後に、画像データを生成するステップを含む、実施例46の方法。
【0071】
48.画像データが、血栓の種類および/または性質に関する情報を含み、選択された圧力および/または選択された流量が、少なくとも部分的に、血栓の種類および/または性質に基づく、実施例46の方法。
【0072】
49.患者を治療するための方法であって、
患者の血管系内の血栓の近傍の場所までカテーテルの遠位側部分を送達するステップと、
カテーテルの遠位側部分によって担持される画像化要素を介して血栓の画像データを生成するステップと、
血栓を、カテーテルの遠位側部分にある捕捉要素に係合させるステップであり、捕捉要素の1つまたは複数の特性が、少なくとも部分的に、血栓の画像データに基づく、係合させるステップと
を含む、方法。
【0073】
50.画像データを生成するステップが、血栓の種類に関するデータを生成するステップを含む、実施例49の方法。
51.捕捉要素の1つまたは複数の特性が、ねじサイズ、ねじピッチ、および/またはデュロメータを含む、実施例49の方法。
結論
[0053]本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、包括的であることまたは上で開示される正確な形態に本技術を限定することを意図されない。本技術の特定の実施形態および本技術のための実施例は説明を目的として上で説明されるが、当業者には認識されるように、本技術の範囲内で種々の等価の修正形態が可能である。例えば、所与の順序でステップが提示されるが、代替的実施形態が異なる順序でステップを実施することができる。本明細書で説明される種々の実施形態はさらに、別の実施形態を提供するために組み合わされ得る。
【0074】
[0054]本技術の特定の実施形態が本明細書では説明を目的として記述されているが、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にするのを回避するために、よく知られている構造および機能は詳細には示されたり説明されたりしないことが上記から認識されよう。文脈により可能である場合、単数形の用語または複数形の用語はそれぞれ、複数形の用語または単数形の用語も含むことができる。
【0075】
[0055]文脈により他の意味を明確に必要とされない限り、本記述および実施例の全体を通して、「備える」(comprise)、および「備える」(comprising)などの単語は、排他的または網羅的な意味ではなく包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「限定されないが、含む」の意味であると解釈されるものである。本明細書で使用される場合の「接続された」、「連結された」という用語またはこれらの変化形は、2つ以上の要素の間で直接のまたは間接的な任意の接続または連結を意味し、これらの要素の間の接続の連結は、物理的、論理的、またはこれらの組み合わせであってよい。加えて、「本明細書で」、「上記で」、「以下で」という単語および類義語は、本出願で使用される場合、本出願の全体を指すものであり、本出願の任意特定の部分を指すものではない。文脈が許容する場合、単数または複数を使用する上記の詳細な説明での単語は、それぞれ、複数または単数も含むことができる。本明細書で使用される場合の、「Aおよび/またはB」などでの「および/または」というフレーズは、Aのみ、Bのみ、ならびに、AおよびBを意味する。加えて、「備える」(comprising)という用語は、全体を通して、少なくとも記載される特徴を含むことを意味するのに使用され、したがって、より多数の同じ特徴および/または追加の種類の他の特徴も排除されない。さらに、説明を目的として特定の実施形態を本明細書で説明してきたが、本技術から逸脱することなく多様な修正形態が作られ得ることが認識されよう。さらに、本技術のいくつかの実施形態に関連する利点がこれらの実施形態の文脈で説明されるが、他の実施形態もこのような利点を呈することができ、また、すべての実施形態が本技術の範囲内にあるためにこのような利点を必ず呈する必要があるわけではない。したがって、本開示および関連の技術は、本明細書で明確には示されたり説明されたりしない他の実施形態も包含することができる。
【国際調査報告】