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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】ねじ
(51)【国際特許分類】
   F16B 33/02 20060101AFI20230412BHJP
   F16B 25/04 20060101ALI20230412BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
F16B33/02 A
F16B25/04 A
F16B35/00 J
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022553595
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 DE2021100213
(87)【国際公開番号】W WO2021175375
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】102020106119.6
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522352063
【氏名又は名称】ヴァイパート・ギュンター
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイパート・ギュンター
(57)【要約】
【解決手段】 1つのねじ1が提案され、このねじが、長手軸線12を有する軸部4を有し、前記軸部が、第1の端部9と第2の端部17を有し、その際、前記軸部4が、少なくとも部分的に、少なくとも1つのねじ山5を有し、その際、前記ねじ山が、ねじ山山頂7と、ねじ山谷底8と、このねじ山山頂7とこのねじ山谷底8とによって結果として生じるねじ山深さと、前記軸部2の前記第1の端部9の方に向けられたフランク10と、前記軸部2の前記第1の端部9と反対の方に向けられたフランク11とを備えるねじ山段6を有し、その際、前記軸部2の前記第1の端部9の方に向けられた前記フランク10が、前記ねじ山谷底から前記ねじ山山頂7に至るまで、前記長手軸線12と前記フランク10との間の少なくとも2つの異なる夾角20、21を有しており、及び/または、前記軸部2の前記第1の端部9と反対の方に向けられた前記フランク11が、前記ねじ山谷底8から前記ねじ山山頂7に至るまで、前記長手軸線12と前記フランク11との間の少なくとも2つの異なる夾角22、23を有しており、その際、前記軸部2の前記第1の端部9の方に向けられた前記フランク10の、前記ねじ山谷底8内における前記夾角20が、前記ねじ山山頂7における前記夾角21よりも緩い傾斜であり、及び/または、前記軸部2の前記第1の端部9と反対の方に向けられた前記フランク11の、前記ねじ山谷底8内における前記夾角22が、前記ねじ山山頂7における前記夾角23よりも緩い傾斜であり、このことによって、相手側部材内への本発明に従うねじの容易なねじ込みが可能となり、且つ、自己制動が、本発明に従うねじのねじ戻しての取り外しを防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ(1)であって、このねじが、長手軸線(12)を有する軸部(4)を有し、
前記軸部が、第1の端部(9)と第2の端部(17)を有し、
前記軸部(4)が、少なくとも部分的に、少なくとも1つのねじ山(5)を有し、
前記ねじ山が、ねじ山山頂(7)と、ねじ山谷底(8)と、このねじ山山頂(7)とこのねじ山谷底(8)とによって結果として生じるねじ山深さと、前記軸部(2)の前記第1の端部(9)の方に向けられたフランク(10)と、前記軸部(2)の前記第1の端部(9)と反対の方に向けられたフランク(11)とを備えるねじ山段(6)を有し、
前記軸部(2)の前記第1の端部(9)の方に向けられた前記フランク(10)が、
前記ねじ山谷底から前記ねじ山山頂(7)に至るまで、前記長手軸線(12)と前記フランク(10)との間の少なくとも2つの異なる夾角(20、21)を有しており、及び/または、前記軸部(2)の前記第1の端部(9)と反対の方に向けられた前記フランク(11)が、前記ねじ山谷底(8)から前記ねじ山山頂(7)に至るまで、前記長手軸線(12)と前記フランク(11)との間の少なくとも2つの異なる夾角(22、23)を有している上記ねじ(1)において、
前記軸部(2)の前記第1の端部(9)の方に向けられた前記フランク(10)の、前記ねじ山谷底(8)内における前記夾角(20)が、前記ねじ山山頂(7)における前記夾角(21)よりも緩い傾斜であり、及び/または、
前記軸部(2)の前記第1の端部(9)と反対の方に向けられた前記フランク(11)の、前記ねじ山谷底(8)内における前記夾角(22)が、前記ねじ山山頂(7)における前記夾角(23)よりも緩い傾斜である、
ことを特徴とするねじ(1)。
【請求項2】
前記フランク(10、11)の前記夾角は、
前記ねじ山谷底(8)内において多くても60°、および、前記ねじ山山頂(7)において少なくとも61°であることを特徴とする請求項1に記載のねじ(1)。
【請求項3】
前記軸部(2)の前記第1の端部(9)は頭部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のねじ(1)。
【請求項4】
前記頭部は、頭部駆動部(15)を有していることを特徴とする請求項3に記載のねじ(1)。
【請求項5】
前記頭部は、カラー部(3)を有していることを特徴とする請求項3または4に記載のねじ(1)。
【請求項6】
前記軸部(2)の前記第2の端部(17)は、尖端部、調心傾斜部(18)、または、ピボット部を有していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のねじ(1)。
【請求項7】
少なくとも1つのねじ山(5)は、1.0mmから4.0mmまでの間のピッチを有していることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のねじ(1)。
【請求項8】
前記ねじ山山頂(7)は、少なくとも1つの尖端部、及び/または、少なくとも1つの頂上平坦部を有していることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のねじ(1)。
【請求項9】
前記軸部(2)の前記第1の端部(9)の方に向けられた前記フランク(10)は、前記ねじ山山頂(7)において、平面(24)を有しており、この平面が、移行部(26)において、谷底側に配置された平面(25)に移行する、及び/または、
前記軸部(2)の前記第1の端部(9)と反対の方に向けられた前記フランク(11)が、前記ねじ山山頂(7)において、平面(27)を有しており、この平面が、移行部(29)において、谷底側に配置された平面(28)に移行する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載のねじ(1)。
【請求項10】
前記軸部(2)の前記第1の端部(9)の方に向けられた前記フランク(10)における前記移行部(26)は、前記ねじ山谷底(8)と前記ねじ山山頂(7)とによって結果として生じるねじ山高さ(30)の最大3分の2である高さ(31)において配置されており、及び/または、
前記軸部(2)の前記第1の端部(9)と反対の方に向けられた前記フランク(11)における前記移行部(29)が、前記ねじ山谷底(8)と前記ねじ山山頂(7)とによって結果として生じるねじ山高さ(30)の最大3分の2である高さ(31)において配置されている、
ことを特徴とする請求項9に記載のねじ(1)。
【請求項11】
前記軸部(2)の前記第1の端部(9)の方に向けられた前記フランク(10)における前記移行部(26)は、
前記軸部(2)の前記第1の端部(9)と反対の方に向けられた前記フランク(11)における前記移行部(29)よりも高く配置されている、
ことを特徴とする請求項9または10に記載のねじ(1)。
【請求項12】
前記ねじ(1)は合成物質から成ることを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載のねじ(1)。
【請求項13】
前記ねじ(1)は、自己でねじ切りするねじ(1)、及び/または、自己でねじ溝を形成するねじ(1)であることを特徴とする請求項1から12のいずれか一つに記載のねじ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の様式によるねじが前提とされる。
【背景技術】
【0002】
通常は円筒形または円錐形(テーパー状)の本体を有し且つそれらねじの表面が少なくとも1つのねじ山を有する該ねじは、種々の実施形態において既に久しい以前から公知技術に所属する。
従って、特にそれら金属ねじを適合している相手方ねじ山内にねじ込むために、これら金属ねじの軸部およびねじ山の輪郭が円筒形に構成されている該金属ねじと、
それら木ねじのねじ山を備えた軸部分が先が尖って終端しており、その際、これら木ねじのねじ山のフランクが、金属ねじのねじ山のフランクよりも先が尖っており、このことによって、ねじ山が相手側部材内において、ねじ自体を用いて組み付けの際に内へと切り込む該木ねじと、および、
円筒形の輪郭と先が尖ったフランクとによって、特にパーティクルボード、石膏カートンボード、または、だぼ(Duebel)内におけるねじ込みのために適合されているパーティクルボードねじと、
が存在する。
【0003】
種々の長さであることが可能である種々のねじは、大抵の場合に、金属から、黄銅または他の非鉄重金属合金のような合金から、銅、アルミニウムまたはチタンのような非鉄金属から、木材から、ファイバー複合材料から、または、合成物質から成っている。
しばしば、ねじは、ねじ頭部を有しており、その際、
その縁部が、特に円形状である、多面角状(例えば四角形状、六角形状)である、または波形の起伏を付けられていることが可能である、ねじ頭部の該縁部と、
その表面が、特に平坦状、平坦-円形状、球形状(最大で半球形状)、または、円錐形状であることが可能である、ねじ頭部の該表面と、
その下側面が、特に平坦状、または、円錐形状(皿頭)であることが可能である、このねじ頭部の該下側面と、
このねじ頭部の頭部高さと、および、このねじ頭部の外径との構成により、多数のねじ頭部形態が与えられる。
それに加えて、ねじ頭部は、通常、同様に頭部駆動部も、ねじ回しまたはスパナの取り付けのために有している。頭部駆動部の公知の輪郭は、スリット頭部、交差スリット、外側六面角、外側四面角、内側六面角、例えば5つまたは6つの尖端部を有する内側六角環状体、内側多数歯、または、内側四面角である。
【0004】
ねじのねじ山のフランクは、相手方ねじ山と共にこれらフランクに対して垂直方向に作用する、形状による係合状態の結合を形成する。ねじのねじ込みによって、法線方向における互いに向かい合わされたフランク面の間で作用する力Nと、および、両方のフランク面の間の摩擦の結果としての回転に抗しての摩擦係合的な結合とが、発生する。
【0005】
しばしば、存在する摩擦係合的な結合が、ねじ戻しての取り外しに対して十分ではなく、このことによって結合が再び解離することは、しかしながら欠点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、1つのねじを提供することであり、このねじによって、従来技術の欠点が克服される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ねじであって、このねじが、長手軸線を有する軸部を有し、
前記軸部が、第1の端部と第2の端部を有し、
その際、前記軸部が、少なくとも部分的に、少なくとも1つのねじ山を有し、
その際、前記ねじ山が、ねじ山山頂と、ねじ山谷底と、このねじ山山頂とこのねじ山谷底とによって結果として生じるねじ山深さと、前記軸部の前記第1の端部の方に向けられたフランクと、前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられたフランクとを備えるねじ山段(Gewindegang)を有し、
その際、前記軸部の前記第1の端部の方に向けられた前記フランクが、
前記ねじ山谷底から前記ねじ山山頂に至るまで、前記長手軸線と前記フランクとの間の少なくとも2つの異なる夾角(内角)を有しており、及び/または、前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられた前記フランクが、前記ねじ山谷底から前記ねじ山山頂に至るまで、前記長手軸線と前記フランクとの間の少なくとも2つの異なる夾角(内角)を有しており、
その際、前記軸部の前記第1の端部の方に向けられた前記フランクの、前記ねじ山谷底内における前記夾角が、前記ねじ山山頂における前記夾角よりも緩い傾斜であり、及び/または、
前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられた前記フランクの、前記ねじ山谷底内における前記夾角が、前記ねじ山山頂における前記夾角よりも緩い傾斜である、
請求項1の特徴を有する本発明に従うねじは、それに対して、
相手側部材内への本発明に従うねじの容易なねじ込みが可能となり、且つ、自己制動が、本発明に従うねじのねじ戻しての取り外しを防止することの利点を有している。
少なくとも2つの異なる夾角によって、より良好な摩擦による係合が生起され、このことによって、結合は、特に最適な応力分布によって、より安定化される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従うねじの有利な実施形態により、前記フランクの前記夾角は、前記ねじ山谷底内において多くても60°、および、前記ねじ山山頂において少なくとも61°である。
【0009】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、前記軸部の前記第1の端部は頭部(ねじ頭部)を有している。
【0010】
本発明に従うねじのこれに関する有利な実施形態により、前記頭部は、頭部駆動部を有している。
【0011】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、前記頭部は、カラー部を有している。
【0012】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、前記軸部の前記第2の端部は、尖端部、調心傾斜部、または、ピボット部を有している。
【0013】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、少なくとも1つのねじ山は、1.0mmから4.0mmまでの間、有利には1.5mmから2.5mmまでの間のピッチを有している
【0014】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、前記ねじ山山頂は、少なくとも1つの尖端部、及び/または、少なくとも1つの頂上平坦部を有している。
【0015】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、
前記軸部の前記第1の端部の方に向けられた前記フランクは、前記ねじ山山頂において、平面を有しており、この平面が、移行部において、谷底側に配置された平面に移行する、及び/または、
前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられた前記フランクが、前記ねじ山山頂において、平面を有しており、この平面が、移行部において、谷底側に配置された平面に移行する。
【0016】
本発明に従うねじのこれに関する有利な実施形態により、
前記軸部の前記第1の端部の方に向けられた前記フランクにおける前記移行部は、前記ねじ山谷底と前記ねじ山山頂とによって結果として生じるねじ山高さの最大3分の2である高さにおいて配置されており、及び/または、
前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられた前記フランクにおける前記移行部が、前記ねじ山谷底と前記ねじ山山頂とによって結果として生じるねじ山高さの最大3分の2である高さにおいて配置されている。
【0017】
本発明に従うねじのこれに関する有利な実施形態により、
前記軸部の前記第1の端部の方に向けられた前記フランクにおける前記移行部は、前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられた前記フランクにおける前記移行部よりも高く配置されている。
前記軸部の前記第1の端部の方に向けられた前記フランクにおける前記移行部が、前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられた前記フランクにおける前記移行部と同じ高さにおいて配置されていることは、しかしながら考慮可能である。
【0018】
本発明に従うねじのこれに関する有利な実施形態により、前記ねじは合成物質から成る。
【0019】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、前記ねじは、自己でねじ切りするねじ、及び/または、自己でねじ溝を形成するねじである。
このことは、例えば合成物質から成る相手側部材において、如何なるねじ山も配置されている必要がなく、このことによって、製造コストが低下させられることの利点を有している。何故ならば、相手側部材において、全く如何なる開口部も準備される必要がないか、場合によっては単に1つの開口部が準備される必要があるだけであるからである。
従って、製造コストおよび工具コスト低下の際に、コストの節約という事態になる。何故ならば、相手側部材内におけるねじ山成形の作業工程が省略されるからである。
【0020】
本発明の更なる利点および有利な実施形態は、以下の説明、図面、および、請求の範囲から見て取ることが可能である。
【0021】
本発明に従う対象の有利な実施例は、図内において図示されており、且つ、以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に従うねじの側面図である。
図2図1の線A-Aに沿っての本発明に従うねじの断面図である。
図3図2の本発明に従うねじの詳細部分Bの図である。
図4図1に従う、本発明に従うねじのねじ頭部の上面図である。
図5】更に別の本発明に従うねじの透視図である。
図6図5に従う、本発明に従うねじの側面図である。
図7図6の線A-Aに沿っての本発明に従うねじの断面図である。
図8図6の本発明に従うねじの詳細部分Bの図である。
図9図5に従う、本発明に従うねじのねじ頭部の上面図である。
図10】更に別の本発明に従うねじの透視図である。
図11図10に従う、本発明に従うねじの側面図である。
図12図11の線A-Aに沿っての本発明に従うねじの断面図である。
図13図12の本発明に従うねじの詳細部分Bの図である。
図14図10に従う、本発明に従うねじのねじ頭部の上面図である。
図15】更に別の本発明に従うねじの側面図である。
図16】歯フランクプロフィルの実施例の略図である。
図17図16に従う、歯フランクプロフィルの実施例の略図である。
図18】歯フランクプロフィルの更に別の実施例の略図である。
図19】歯フランクプロフィルの更に別の実施例の略図である。
図20図19に従う、歯フランクプロフィルの実施例の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明に従うねじ1の側面図を示している。このねじ1は、カラー部3を有するねじ頭部2(頭部)と、ねじ山5を有し且つ破線によって示唆され、ただ部分的に図示されているだけの軸部4とを有している。
ねじ山5は、ねじ山段6を有しており、このねじ山段が、ねじ山山頂7と、ねじ山谷底8と、このねじ山山頂7とねじ山谷底8とによって結果として生じるねじ山深さと、軸部2の第1の端部9の方に向けられたフランク10と、軸部2の第1の端部9と反対の方に向けられたフランク11とを有している。
図1内において図示された、長手軸線12を有する本発明に従うねじ1は、軸部2の第1の端部9の方に向けられたフランク10を有しており、このフランクが、ねじ山谷底からねじ山山頂に至るまで、異なって形成された2つの角度、即ち、より緩い傾斜の夾角13とより急な傾斜の夾角14とによって特徴付けられている。
【0024】
図2は、図1の線A-Aに沿っての本発明に従うねじ1の断面図を示している。
ねじ頭部2は、ねじ回しの取り付けのための頭部駆動部15を有している。もちろん、ねじ頭部2が、このねじ頭部及び/またはカラー部3が設けられている限り、異なる形態を有していることは可能である。面取り部が考慮可能であり、このことによって、例えば沈頭ねじが生成される。
【0025】
図3は、図2の本発明に従うねじ1の詳細部分Bを図示している。矢印でもって図示された角度は、例示的に理解されるべきであり、且つ、もちろん変化され得る。例えば、角度αが120°、角度βが31°、および、角度γが120°であることは可能である。
軸部2の第1の端部9の方に向けられたフランク10の、長手軸線とこのフランク10との間のねじ山谷底8における夾角は、この例示において、60°(=180°-角度α)と計算される。長手軸線とフランク11との間の夾角は、この例示において、60°(=180°-角度γ)と計算される。
【0026】
図4は、図1に従う、本発明に従うねじ1のねじ頭部2の上面図を示している。頭部駆動部15は、例示的に、内側六角環状体16として構成されている。
【0027】
図5は、更に別の本発明に従うねじ1の透視図を示している。軸部2は、調心傾斜部18の形態での第2の端部17を有している。第2の端部17が尖端部またはピボット部(Zapfen)として構成されていることも考慮可能である。
【0028】
図6は、図5に従う、本発明に従うねじ1の側面図を示している。カラー部3は、その際、軽度に面取りされている。
【0029】
図7は、図6の線A-Aに沿っての本発明に従うねじ1の断面図を示している。
【0030】
図8は、図6の本発明に従うねじ1の詳細部分Bを図示している。例示的に、角度αが124°、角度βが37°、および、角度γが115°であることは可能である。
【0031】
図9は、図5に従う本発明に従うねじ1のねじ頭部の上面図を示している。
【0032】
図10は、更に別の本発明に従うねじ1の透視図を示している。
【0033】
図11は、図10に従う、本発明に従うねじ1の側面図を示している。
【0034】
図12は、図11の線A-Aに沿っての本発明に従うねじ1の断面図を示している。
【0035】
図13は、図12の本発明に従うねじ1の詳細部分Bを図示している。例示的に、角度αが120°、角度βが30°、および、角度γが120°であることは可能である。
【0036】
図14は、図10に従う、本発明に従うねじ1のねじ頭部の上面図を示している。
【0037】
図15は、更に別の本発明に従うねじ1の側面図を示している。
【0038】
図16は、歯フランクプロフィル19の実施例の略図を示している。
【0039】
図17は、図16に従う、歯フランクプロフィル19の実施例の略図を示している。
この歯フランクプロフィルの場合、軸部の第1の端部の方に向けられたフランク10は、長手軸線12とフランク10との間の異なる2つの夾角、
即ち、ねじ山谷底8内において位置するフランク10の、長手軸線12を頂点S1において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角20と、ねじ山山頂7において位置するフランク10の、長手軸線12を頂点S2において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角21とを有している。
本発明に従い、角度20は角度21よりも緩い傾斜である。
【0040】
図18は、歯フランクプロフィル19の更に別の実施例の略図を示している。
この歯フランクプロフィルの場合、軸部の第1の端部と反対の方に向けられたフランク11は、長手軸線12とフランク11との間の異なる2つの夾角、
即ち、ねじ山谷底8内において位置するフランク11の、長手軸線12を頂点S3において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角22と、ねじ山山頂7において位置するフランク11の、長手軸線12を頂点S4において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角23とを有している。
本発明に従い、角度22は角度23よりも緩い傾斜である。
【0041】
図19は、歯フランクプロフィル19の更に別の実施例の略図を示している。
この歯フランクプロフィルの場合、軸部の第1の端部の方に向けられたフランク10は、長手軸線12とフランク10との間の異なる2つの夾角、
即ち、ねじ山谷底8内において位置するフランク10の、長手軸線12を頂点S1において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角20と、ねじ山山頂7において位置するフランク10の、長手軸線12を頂点S2において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角21とを有している。
本発明に従い、角度20は角度21よりも緩い傾斜である。
付加的に、軸部の第1の端部と反対の方に向けられたフランク11は、長手軸線12とフランク11との間の異なる2つの夾角、
即ち、ねじ山谷底8内において位置するフランク11の、長手軸線12を頂点S3において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角22と、ねじ山山頂7において位置するフランク11の、長手軸線12を頂点S4において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角23とを有している。
本発明に従い、角度22は角度23よりも緩い傾斜である。
【0042】
図20は、図19に従う、歯フランクプロフィル19の更に別の実施例の略図を示している。
軸部2の第1の端部の方に向けられたフランク10は、ねじ山山頂7において、平面24を有しており、この平面が、移行部26において、谷底側に配置された平面25に移行する。それに加えて、軸部2の第1の端部9と反対の方に向けられたフランク11は、ねじ山山頂7において、平面27を有しており、この平面が、移行部29において、谷底側に配置された平面28に移行する。
ねじ山谷底8とねじ山山頂7とによって結果として生じるねじ山高さ30は、略図的である。ねじ山高さ30において、移行部26の高さ31と移行部29の高さ32が描かれている。
他の実施形態において、同様に、移行部26の高さ31と移行部29の高さ32とが、同じ高さで配置されていること、もしくは、移行部26の高さ31が移行部29の高さ32よりも低く配置されていることも考慮可能である。他の実施形態において、同様に、移行部26の高さ31と移行部29の高さ32とが、ねじ山経過内において、如何なる一定の高さも有していないことも考慮可能である。
【0043】
平面24、25、27、および、28が、それぞれの実施形態に応じて、異なった大きさ、または、同じ大きさであることは可能である。
【0044】
本発明に従うねじ1は、特に、以下の使用領域内において:即ち、医療技術、食品工業、電気技術、軽量構造、水技術、廃水技術、オートメーション、自動車工業、航空技術、宇宙飛行技術、および、機器構造において使用可能である。
【0045】
有利には、本発明に従うねじ1は、合成物質から成るねじである。合成物質の使用によって、多数のカラーバリエーションが可能であることの利点が提供され、このことによって、本発明に従うねじ1が、同様に、デザイン要素としても使用され得る。
それに加えて、鋼製ねじとは異なり、熱的及び/または電気的な絶縁、及び/または、重量節約は可能である。更に、合成物質製ねじは、耐腐食性であり、且つ、適当な合成物質選択において、化学的な耐性を有している。
更に、特別の特性を有する合成物質が使用され得、このことによって、例えば、ULリスト(UL-Listung)、食品認証、及び/または、飲料水認証が達成される。
【0046】
明細書、以下の請求の範囲、および、図面内において具現された全ての特徴が、個々にと同様に互いの適宜の組み合わせにおいても発明にとって本質的であることは可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 ねじ
2 ねじ頭部
3 カラー部
4 軸部
5 ねじ山
6 ねじ山段
7 ねじ山山頂
8 ねじ山谷底
9 第1の端部
10 フランク
11 フランク
12 長手軸線
13 より緩い傾斜の夾角
14 より急な傾斜の夾角
15 頭部駆動部
16 内側六角環状体
17 第2の端部
18 調心傾斜部
19 歯フランクプロフィル
20 角度
21 角度
22 角度
23 角度
24 平面
25 平面
26 移行部
27 平面
28 平面
29 移行部
30 ねじ山高さ
31 高さ
32 高さ
S1 頂点
S2 頂点
S3 頂点
S4 頂点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2021-12-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の様式によるねじが前提とされる。
【背景技術】
【0002】
通常は円筒形または円錐形(テーパー状)の本体を有し且つそれらねじの表面が少なくとも1つのねじ山を有する該ねじは、種々の実施形態において既に久しい以前から公知技術に所属する。
従って、特にそれら金属ねじを適合している相手方ねじ山内にねじ込むために、これら金属ねじの軸部およびねじ山の輪郭が円筒形に構成されている該金属ねじと、
それら木ねじのねじ山を備えた軸部分が先が尖って終端しており、その際、これら木ねじのねじ山のフランクが、金属ねじのねじ山のフランクよりも先が尖っており、このことによって、ねじ山が相手側部材内において、ねじ自体を用いて組み付けの際に内へと切り込む該木ねじと、および、
円筒形の輪郭と先が尖ったフランクとによって、特にパーティクルボード、石膏カートンボード、または、だぼ(Duebel)内におけるねじ込みのために適合されているパーティクルボードねじと、
が存在する。
【0003】
種々の長さであることが可能である種々のねじは、大抵の場合に、金属から、黄銅または他の非鉄重金属合金のような合金から、銅、アルミニウムまたはチタンのような非鉄金属から、木材から、ファイバー複合材料から、または、合成物質から成っている。
しばしば、ねじは、ねじ頭部を有しており、その際、
その縁部が、特に円形状である、多面角状(例えば四角形状、六角形状)である、または波形の起伏を付けられていることが可能である、ねじ頭部の該縁部と、
その表面が、特に平坦状、平坦-円形状、球形状(最大で半球形状)、または、円錐形状であることが可能である、ねじ頭部の該表面と、
その下側面が、特に平坦状、または、円錐形状(皿頭)であることが可能である、このねじ頭部の該下側面と、
このねじ頭部の頭部高さと、および、このねじ頭部の外径との構成により、多数のねじ頭部形態が与えられる。
それに加えて、ねじ頭部は、通常、同様に頭部駆動部も、ねじ回しまたはスパナの取り付けのために有している。頭部駆動部の公知の輪郭は、スリット頭部、交差スリット、外側六面角、外側四面角、内側六面角、例えば5つまたは6つの尖端部を有する内側六角環状体、内側多数歯、または、内側四面角である。
【0004】
ねじのねじ山のフランクは、相手方ねじ山と共にこれらフランクに対して垂直方向に作用する、形状による係合状態の結合を形成する。ねじのねじ込みによって、法線方向における互いに向かい合わされたフランク面の間で作用する力Nと、および、両方のフランク面の間の摩擦の結果としての回転に抗しての摩擦係合的な結合とが、発生する
しばしば、存在する摩擦係合的な結合が、ねじ戻しての取り外しに対して十分ではなく、このことによって結合が再び解離することは、しかしながら欠点である。
この欠点を克服するために、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、および、特許文献6から、ねじ山の特別な構成によって特徴付けられていることは周知である。それにもかかわらず、しばしば、ねじ戻しての取り外しに抗しての存在する摩擦による係合は、依然として十分ではなく、このことによって、結合が再び解離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許第102 278 348 B明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 104 552 A1号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0 713 017 A2号明細書
【特許文献4】米国特許第6 565 302 B2明細書
【特許文献5】独国特許第10 2004 011 668 B3号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第40 16 724 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、1つのねじを提供することであり、このねじによって、従来技術の欠点が克服される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ねじであって、このねじが、長手軸線を有する軸部を有し、
前記軸部が、第1の端部と第2の端部を有し、
その際、前記軸部が、少なくとも部分的に、少なくとも1つのねじ山を有し、
その際、前記ねじ山が、ねじ山山頂と、ねじ山谷底と、このねじ山山頂とこのねじ山谷底とによって結果として生じるねじ山深さと、前記軸部の前記第1の端部の方に向けられたフランクと、前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられたフランクとを備えるねじ山段(Gewindegang)有し、
その際、前記軸部の前記第1の端部の方に向けられた前記フランクが、
前記ねじ山谷底から前記ねじ山山頂に至るまで、前記長手軸線と前記フランクとの間の2つの異なる夾角(内角)を有しており、及び、前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられた前記フランクが、前記ねじ山谷底から前記ねじ山山頂に至るまで、前記長手軸線と前記フランクとの間の2つの異なる夾角(内角)を有しており、
その際、前記軸部の前記第1の端部の方に向けられた前記フランクの、前記ねじ山谷底内における前記夾角が、前記ねじ山山頂における前記夾角よりも緩い傾斜であり、及び、
前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられた前記フランクの、前記ねじ山谷底内における前記夾角が、前記ねじ山山頂における前記夾角よりも緩い傾斜であり、
前記ねじ山山頂(7)が、少なくとも1つの尖端部を有しており、および、前記ねじ山山頂における少なくとも1つの夾角(21、23)が直角である、
請求項1の特徴を有する本発明に従うねじは、それに対して、
相手側部材内への本発明に従うねじの容易なねじ込みが可能となり、且つ、自己制動が、本発明に従うねじのねじ戻しての取り外しを防止することの利点を有している。
少なくとも2つの異なる夾角によって、より良好な摩擦による係合が生起され、このことによって、結合は、特に最適な応力分布によって、より安定化される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従うねじの有利な実施形態により、前記フランクの前記夾角は、前記ねじ山谷底内において多くても60°、および、前記ねじ山山頂において少なくとも61°である。
【0009】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、前記軸部の前記第1の端部は頭部(ねじ頭部)を有している。
【0010】
本発明に従うねじのこれに関する有利な実施形態により、前記頭部は、頭部駆動部を有している。
【0011】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、前記頭部は、カラー部を有している。
【0012】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、前記軸部の前記第2の端部は、尖端部、調心傾斜部、または、ピボット部を有している。
【0013】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、少なくとも1つのねじ山は、1.0mmから4.0mmまでの間、有利には1.5mmから2.5mmまでの間のピッチを有している
【0014】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、
前記軸部の前記第1の端部の方に向けられた前記フランクは、前記ねじ山山頂において、平面を有しており、この平面が、移行部において、谷底側に配置された平面に移行する、及び/または、
前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられた前記フランクが、前記ねじ山山頂において、平面を有しており、この平面が、移行部において、谷底側に配置された平面に移行する。
【0015】
本発明に従うねじのこれに関する有利な実施形態により、
前記軸部の前記第1の端部の方に向けられた前記フランクにおける前記移行部は、前記ねじ山谷底と前記ねじ山山頂とによって結果として生じるねじ山高さの最大3分の2である高さにおいて配置されており、及び/または、
前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられた前記フランクにおける前記移行部が、前記ねじ山谷底と前記ねじ山山頂とによって結果として生じるねじ山高さの最大3分の2である高さにおいて配置されている。
【0016】
本発明に従うねじのこれに関する有利な実施形態により、
前記軸部の前記第1の端部の方に向けられた前記フランクにおける前記移行部は、前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられた前記フランクにおける前記移行部よりも高く配置されている
【0017】
前記軸部の前記第1の端部の方に向けられた前記フランクにおける前記移行部が、前記軸部の前記第1の端部と反対の方に向けられた前記フランクにおける前記移行部と同じ高さにおいて配置されていることは、しかしながら考慮可能である。
【0018】
本発明に従うねじのこれに関する有利な実施形態により、前記ねじは合成物質から成る。
【0019】
本発明に従うねじの付加的で有利な実施形態により、前記ねじは、自己でねじ切りするねじ、及び/または、自己でねじ溝を形成するねじである。
このことは、例えば合成物質から成る相手側部材において、如何なるねじ山も配置されている必要がなく、このことによって、製造コストが低下させられることの利点を有している。何故ならば、相手側部材において、全く如何なる開口部も準備される必要がないか、場合によっては単に1つの開口部が準備される必要があるだけであるからである。
従って、製造コストおよび工具コスト低下の際に、コストの節約という事態になる。何故ならば、相手側部材内におけるねじ山成形の作業工程が省略されるからである。
【0020】
本発明の更なる利点および有利な実施形態は、以下の説明、図面、および、請求の範囲から見て取ることが可能である。
【0021】
本発明に従う対象の有利な実施例は、図内において図示されており、且つ、以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1従来技術に相応するねじの側面図である。
図2図1の線A-Aに沿ってのねじの断面図である。
図3図2のねじの詳細部分Bの図である。
図4図1に従う、ねじのねじ頭部の上面図である。
図5】更に別の従来技術に相応するねじの透視図である。
図6図5に従う、ねじの側面図である。
図7図6の線A-Aに沿ってのねじの断面図である。
図8図6のねじの詳細部分Bの図である。
図9図5に従う、ねじのねじ頭部の上面図である。
図10】更に別の従来技術に相応するねじの透視図である。
図11図10に従う、ねじの側面図である。
図12図11の線A-Aに沿ってのねじの断面図である。
図13図12のねじの詳細部分Bの図である。
図14図10に従う、ねじのねじ頭部の上面図である。
図15】更に別の従来技術に相応するねじの側面図である。
図16】歯フランクプロフィルの従来技術に相応する実施例の略図である。
図17図16に従う、歯フランクプロフィルの実施例の略図である。
図18】歯フランクプロフィルの従来技術に相応する更に別の実施例の略図である。
図19】歯フランクプロフィルの本発明に従う実施例の略図である。
図20図19に従う、歯フランクプロフィルの本発明に従う実施例の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1、従来技術に相応するねじ1の側面図を示している。このねじ1は、カラー部3を有するねじ頭部2(頭部)と、ねじ山5を有し且つ破線によって示唆され、ただ部分的に図示されているだけの軸部4とを有している。
ねじ山5は、ねじ山段6を有しており、このねじ山段が、ねじ山山頂7と、ねじ山谷底8と、このねじ山山頂7とねじ山谷底8とによって結果として生じるねじ山深さと、軸部4の第1の端部9の方に向けられたフランク10と、軸部4の第1の端部9と反対の方に向けられたフランク11とを有している。
図1内において図示された、長手軸線12を有する本発明に従うねじ1は、軸部4の第1の端部9の方に向けられたフランク10を有しており、このフランクが、ねじ山谷底からねじ山山頂に至るまで、異なって形成された2つの角度、即ち、より緩い傾斜の夾角13とより急な傾斜の夾角14とによって特徴付けられている。
【0024】
図2は、図1の線A-Aに沿ってのねじ1の断面図を示している。
ねじ頭部2は、ねじ回しの取り付けのための頭部駆動部15を有している。もちろん、ねじ頭部2が、このねじ頭部及び/またはカラー部3が設けられている限り、異なる形態を有していることは可能である。面取り部が考慮可能であり、このことによって、例えば沈頭ねじが生成される。
【0025】
図3は、図2のねじ1の詳細部分Bを図示している。矢印でもって図示された角度は、例示的に理解されるべきであり、且つ、もちろん変化され得る。例えば、角度αが120°、角度βが31°、および、角度γが120°であることは可能である。
軸部4の第1の端部9の方に向けられたフランク10の、長手軸線とこのフランク10との間のねじ山谷底8における夾角は、この例示において、60°(=180°-角度α)と計算される。長手軸線とフランク11との間の夾角は、この例示において、60°(=180°-角度γ)と計算される。
【0026】
図4は、図1に従う、ねじ1のねじ頭部2の上面図を示している。頭部駆動部15は、例示的に、内側六角環状体16として構成されている。
【0027】
図5は、更に別の従来技術に相応するねじ1の透視図を示している。軸部4は、調心傾斜部18の形態での第2の端部17を有している。第2の端部17が尖端部またはピボット部(Zapfen)として構成されていることも考慮可能である。
【0028】
図6は、図5に従う、ねじ1の側面図を示している。カラー部3は、その際、軽度に面取りされている。
【0029】
図7は、図6の線A-Aに沿ってのねじ1の断面図を示している。
【0030】
図8は、図6のねじ1の詳細部分Bを図示している。例示的に、角度αが124°、角度βが37°、および、角度γが115°であることは可能である。
【0031】
図9は、図5従うねじ1のねじ頭部の上面図を示している。
【0032】
図10は、更に別の従来技術に相応するねじ1の透視図を示している。
【0033】
図11は、図10に従う、ねじ1の側面図を示している。
【0034】
図12は、図11の線A-Aに沿ってのねじ1の断面図を示している。
【0035】
図13は、図12のねじ1の詳細部分Bを図示している。例示的に、角度αが120°、角度βが30°、および、角度γが120°であることは可能である。
【0036】
図14は、図10に従う、ねじ1のねじ頭部の上面図を示している。
【0037】
図15は、更に別の従来技術に相応するねじ1の側面図を示している。
【0038】
図16は、歯フランクプロフィル19の従来技術に相応する実施例の略図を示している。
【0039】
図17は、図16に従う、歯フランクプロフィル19の実施例の略図を示している。
この歯フランクプロフィルの場合、軸部4の第1の端部の方に向けられたフランク10は、長手軸線12とフランク10との間の異なる2つの夾角、
即ち、ねじ山谷底8内において位置するフランク10の、長手軸線12を頂点S1において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角20と、ねじ山山頂7において位置するフランク10の、長手軸線12を頂点S2において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角21とを有している。
本発明に従い、角度20は角度21よりも緩い傾斜である。
【0040】
図18は、歯フランクプロフィル19の更に別の従来技術に相応する実施例の略図を示している。
この歯フランクプロフィルの場合、軸部4の第1の端部と反対の方に向けられたフランク11は、長手軸線12とフランク11との間の異なる2つの夾角、
即ち、ねじ山谷底8内において位置するフランク11の、長手軸線12を頂点S3において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角22と、ねじ山山頂7において位置するフランク11の、長手軸線12を頂点S4において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角23とを有している。
本発明に従い、角度22は角度23よりも緩い傾斜である。
【0041】
図19は、歯フランクプロフィル19の本発明に従う実施例の略図を示している。
この歯フランクプロフィルの場合、軸部4の第1の端部の方に向けられたフランク10は、長手軸線12とフランク10との間の異なる2つの夾角、
即ち、ねじ山谷底8内において位置するフランク10の、長手軸線12を頂点S1において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角20と、ねじ山山頂7において位置するフランク10の、長手軸線12を頂点S2において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角21とを有している。
本発明に従い、角度20は角度21よりも緩い傾斜である。
付加的に、軸部4の第1の端部と反対の方に向けられたフランク11は、長手軸線12とフランク11との間の異なる2つの夾角、
即ち、ねじ山谷底8内において位置するフランク11の、長手軸線12を頂点S3において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角22と、ねじ山山頂7において位置するフランク11の、長手軸線12を頂点S4において横切る仮想の延長部と、長手軸線12との間で与えられる夾角23とを有している。
本発明に従い、角度22は角度23よりも緩い傾斜である。
【0042】
図20は、図19に従う、歯フランクプロフィル19の本発明に従う実施例の略図を示している。
軸部4の第1の端部の方に向けられたフランク10は、ねじ山山頂7において、平面24を有しており、この平面が、移行部26において、谷底側に配置された平面25に移行する。それに加えて、軸部4の第1の端部9と反対の方に向けられたフランク11は、ねじ山山頂7において、平面27を有しており、この平面が、移行部29において、谷底側に配置された平面28に移行する。
ねじ山谷底8とねじ山山頂7とによって結果として生じるねじ山高さ30は、略図的である。ねじ山高さ30において、移行部26の高さ31と移行部29の高さ32が描かれている。
他の実施形態において、同様に、移行部26の高さ31と移行部29の高さ32とが、同じ高さで配置されていること、もしくは、移行部26の高さ31が移行部29の高さ32よりも低く配置されていることも考慮可能である。他の実施形態において、同様に、移行部26の高さ31と移行部29の高さ32とが、ねじ山経過内において、如何なる一定の高さも有していないことも考慮可能である。
【0043】
平面24、25、27、および、28が、それぞれの実施形態に応じて、異なった大きさ、または、同じ大きさであることは可能である。
【0044】
本発明に従うねじ1は、特に、以下の使用領域内において:即ち、医療技術、食品工業、電気技術、軽量構造、水技術、廃水技術、オートメーション、自動車工業、航空技術、宇宙飛行技術、および、機器構造において使用可能である。
【0045】
有利には、本発明に従うねじ1は、合成物質から成るねじである。合成物質の使用によって、多数のカラーバリエーションが可能であることの利点が提供され、このことによって、本発明に従うねじ1が、同様に、デザイン要素としても使用され得る。
それに加えて、鋼製ねじとは異なり、熱的及び/または電気的な絶縁、及び/または、重量節約は可能である。更に、合成物質製ねじは、耐腐食性であり、且つ、適当な合成物質選択において、化学的な耐性を有している。
更に、特別の特性を有する合成物質が使用され得、このことによって、例えば、ULリスト(UL-Listung)、食品認証、及び/または、飲料水認証が達成される。
【0046】
明細書、以下の請求の範囲、および、図面内において具現された全ての特徴が、個々にと同様に互いの適宜の組み合わせにおいても発明にとって本質的であることは可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 ねじ
2 ねじ頭部
3 カラー部
4 軸部
5 ねじ山
6 ねじ山段
7 ねじ山山頂
8 ねじ山谷底
9 第1の端部
10 フランク
11 フランク
12 長手軸線
13 より緩い傾斜の夾角
14 より急な傾斜の夾角
15 頭部駆動部
16 内側六角環状体
17 第2の端部
18 調心傾斜部
19 歯フランクプロフィル
20 角度
21 角度
22 角度
23 角度
24 平面
25 平面
26 移行部
27 平面
28 平面
29 移行部
30 ねじ山高さ
31 高さ
32 高さ
S1 頂点
S2 頂点
S3 頂点
S4 頂点
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ(1)であって、このねじが、長手軸線(12)を有する軸部(4)を有し、
前記軸部が、第1の端部(9)と第2の端部(17)を有し、
前記軸部(4)が、少なくとも部分的に、少なくとも1つのねじ山(5)を有し、
前記ねじ山が、ねじ山山頂(7)と、ねじ山谷底(8)と、このねじ山山頂(7)とこのねじ山谷底(8)とによって結果として生じるねじ山深さと、前記軸部(4)の前記第1の端部(9)の方に向けられたフランク(10)と、前記軸部(4)の前記第1の端部(9)と反対の方に向けられたフランク(11)とを備えるねじ山段(6)を有している、
上記ねじ(1)において、
前記軸部(4)の前記第1の端部(9)の方に向けられた前記フランク(10)が、
前記ねじ山谷底から前記ねじ山山頂(7)に至るまで、前記長手軸線(12)と前記フランク(10)との間の2つの異なる夾角(20、21)を有しており、及び、前記軸部(4)の前記第1の端部(9)と反対の方に向けられた前記フランク(11)が、前記ねじ山谷底(8)から前記ねじ山山頂(7)に至るまで、前記長手軸線(12)と前記フランク(11)との間の2つの異なる夾角(22、23)を有しており、
前記軸部(4)の前記第1の端部(9)の方に向けられた前記フランク(10)の、前記ねじ山谷底(8)内における前記夾角(20)が、前記ねじ山山頂(7)における前記夾角(21)よりも緩い傾斜であり、及び、
前記軸部(4)の前記第1の端部(9)と反対の方に向けられた前記フランク(11)の、前記ねじ山谷底(8)内における前記夾角(22)が、前記ねじ山山頂(7)における前記夾角(23)よりも緩い傾斜であり、
前記ねじ山山頂(7)が、少なくとも1つの尖端部を有しており、および、前記ねじ山山頂における少なくとも1つの夾角(21、23)が直角である、
ことを特徴とするねじ(1)。
【請求項2】
前記フランク(10、11)の前記夾角は、
前記ねじ山谷底(8)内において多くても60°、および、前記ねじ山山頂(7)において少なくとも61°であることを特徴とする請求項1に記載のねじ(1)。
【請求項3】
前記軸部(4)の前記第1の端部(9)は頭部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のねじ(1)。
【請求項4】
前記頭部は、頭部駆動部(15)を有していることを特徴とする請求項3に記載のねじ(1)。
【請求項5】
前記頭部は、カラー部(3)を有していることを特徴とする請求項3または4に記載のねじ(1)。
【請求項6】
前記軸部(4)の前記第2の端部(17)は、尖端部、調心傾斜部(18)、または、ピボット部を有していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のねじ(1)。
【請求項7】
少なくとも1つのねじ山(5)は、1.0mmから4.0mmまでの間のピッチを有していることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のねじ(1)。
【請求項8】
前記軸部(4)の前記第1の端部(9)の方に向けられた前記フランク(10)は、前記ねじ山山頂(7)において、平面(24)を有しており、この平面が、移行部(26)において、谷底側に配置された平面(25)に移行する、及び/または、
前記軸部(4)の前記第1の端部(9)と反対の方に向けられた前記フランク(11)が、前記ねじ山山頂(7)において、平面(27)を有しており、この平面が、移行部(29)において、谷底側に配置された平面(28)に移行する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のねじ(1)。
【請求項9】
前記軸部(4)の前記第1の端部(9)の方に向けられた前記フランク(10)における前記移行部(26)は、前記ねじ山谷底(8)と前記ねじ山山頂(7)とによって結果として生じるねじ山高さ(30)の最大3分の2である高さ(31)において配置されており、及び/または、
前記軸部(4)の前記第1の端部(9)と反対の方に向けられた前記フランク(11)における前記移行部(29)が、前記ねじ山谷底(8)と前記ねじ山山頂(7)とによって結果として生じるねじ山高さ(30)の最大3分の2である高さ(31)において配置されている、
ことを特徴とする請求項8に記載のねじ(1)。
【請求項10】
前記軸部(4)の前記第1の端部(9)の方に向けられた前記フランク(10)における前記移行部(26)は、
前記軸部(4)の前記第1の端部(9)と反対の方に向けられた前記フランク(11)における前記移行部(29)よりも高く配置されている、
ことを特徴とする請求項8または9に記載のねじ(1)。
【請求項11】
前記ねじ(1)は合成物質から成ることを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載のねじ(1)。
【請求項12】
前記ねじ(1)は、自己でねじ切りするねじ(1)、及び/または、自己でねじ溝を形成するねじ(1)であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載のねじ(1)。
【国際調査報告】