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特表2023-516457タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材及び製造方法
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  • 特表-タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材及び製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/042 20060101AFI20230412BHJP
   B22F 7/04 20060101ALI20230412BHJP
   C22C 27/02 20060101ALI20230412BHJP
   C22C 1/04 20230101ALI20230412BHJP
   B21C 23/01 20060101ALI20230412BHJP
   H01G 9/048 20060101ALI20230412BHJP
   H01G 9/052 20060101ALI20230412BHJP
   C22C 1/00 20230101ALI20230412BHJP
   B22F 1/00 20220101ALN20230412BHJP
   B22F 3/15 20060101ALN20230412BHJP
【FI】
H01G9/042
B22F7/04 Z
C22C27/02 102Z
C22C27/02 103
C22C1/04 E
B21C23/01
H01G9/048 Z
H01G9/052
C22C1/00 R
B22F1/00 R
B22F3/15 G
B22F3/15 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553607
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 CN2020121951
(87)【国際公開番号】W WO2021218058
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】202010351049.7
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522352214
【氏名又は名称】北京安邦特▲資▼源技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 九瑛
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA40
4K018BA03
4K018BA20
4K018EA15
4K018KA32
(57)【要約】
【課題】 本発明は、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材及び製造方法を開示する。
【解決手段】 ただし、当該タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材は、純タンタル以外の他の金属、又はタンタル合金若しくは他の金属合金を材質とするコアと、コアの外面を被覆するタンタル金属層とを含む。本発明の技術的解決手段を用いれば、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材は純タンタル以外の他の金属又は合金のコアと、コアの外面を被覆するタンタル金属層とを有し、このように、表層のタンタル金属が陽極酸化によってその表面に高誘電率、高信頼性の酸化膜を形成できるという特性を十分に利用し、また安価な金属又は合金でそのコア部を充填することにより、タンタルコンデンサに求められる陽極リード線の高誘電率を満たすとともに、コストを大幅に低減する。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
純タンタル以外の他の金属、又はタンタル合金若しくは他の金属合金を材質とするコアと、
前記コアの外面を被覆するタンタル金属層とを含む、
ことを特徴とするタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材。
【請求項2】
前記タンタル金属層の材質がタンタルニオブ合金である場合、タンタルの含有量は50%より大きく、かつタンタルとニオブの含有量の和は95%より大きく、前記タンタル金属層の材質がタンタルニオブ合金以外の他の合金である場合、前記タンタルの含有量は95%より大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載のタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材。
【請求項3】
前記タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材の横断面は円形、楕円形、又は多角形である、
ことを特徴とする請求項1に記載のタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材。
【請求項4】
前記タンタル金属層の横断面積が前記タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材の横断面積を占める比率範囲は1%~80%であり、好ましくは1~50%である、
ことを特徴とする請求項1に記載のタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材。
【請求項5】
前記複合線材の横断面は軸対称形状であり、最長軸≦3.0mm、最短軸≧0.1mmである、
ことを特徴とする請求項4に記載のタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材。
【請求項6】
前記コアの材料はニオブ、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、チタン、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、コバルト及びその合金からなる群から選択された1種又は多種である、
ことを特徴とする請求項1に記載のタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材。
【請求項7】
陽極リード線を含むタンタルコンデンサであって、前記陽極リード線は、請求項1から6のいずれか一項に記載のタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材を用いて製造される、
ことを特徴とするタンタルコンデンサ。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載のタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材の製造方法であって、
コアを提供するステップS1と、
前記コアの外面をタンタル金属層で被覆し、前記タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材を得るステップS2とを含む、
ことを特徴とするタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材の製造方法。
【請求項9】
前記S2の後、前記タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材に対して押出、圧延、ロータリースウェージング及び引き抜きのうち1種又は多種の加工方式を用いて必要な寸法に加工するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記S2において前記コアの外面をタンタル金属層で被覆することは、粉末冶金、肉盛溶接、爆発圧着、管装いクラッド、鋳込みクラッド又は気相成長の方法によって実現される、
ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサの技術分野に関し、具体的には、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、タンタルコンデンサは、通信、コンピュータ、自動車、家電、航空宇宙の分野に広く用いられている。タンタル粉を陽極とし、タンタル線を陽極リード線として製造されるタンタルコンデンサは、体積が小さく、容量が大きく、表面実装が容易であり、信頼性に優れ、耐用年数が長いなどの利点を有する。そのため、多くの他のコンデンサ(例えばセラミック、アルミニウム薄膜などのコンデンサ)が適切でない過酷な条件で安定的に動作することができる。
【0003】
しかし、タンタルは希有金属として、資源が乏しく、抽出製錬が困難であり、コストが高く、純タンタル又は高タンタル含有量の合金を陽極リード線として使用すれば、その表面における陽極酸化によって形成された高誘電率で、高信頼性の酸化膜を保証するが、タンタル金属が高価であるため、その高コストもその適用分野及び範囲を大きく制限する。
【0004】
したがって、コストが比較的低いが、誘電率がタンタルコンデンサの要求を満たすことができる陽極リード線を早急に開発しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、コストが比較的低いが、誘電率がタンタルコンデンサの要求を満たすことができる陽極リード線を提供するように、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材を提供する。当該タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材は、純タンタル以外の他の金属、又はタンタル合金若しくは他の金属合金を材質とするコアと、コアの外面を被覆するタンタル金属層とを含む。
【0007】
さらに、タンタル金属層の材質がタンタルニオブ合金である場合、タンタルの含有量は50%より大きく、かつタンタルとニオブの含有量の和は95%より大きく、タンタル金属層の材質がタンタルニオブ合金以外の他の合金である場合、タンタルの含有量は95%より大きい。
【0008】
さらに、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材の横断面は円形、楕円形、又は多角形である。
【0009】
さらに、タンタル金属層の横断面積がタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材の横断面積を占める比率範囲は1%~80%であり、好ましくは1~50%である。
【0010】
さらに、複合線材の横断面は軸対称形状であり、最長軸≦3.0mm、最短軸≧0.1mmである。
【0011】
さらに、コアの材料はニオブ、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、チタン、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、コバルト及びその合金からなる群から選択された1種又は多種である。
【0012】
本発明の一態様によれば、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材の製造方法を提供する。当該製造方法は、コアを提供するステップS1と、コアの外面をタンタル金属層で被覆し、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材を得るステップS2とを含む。
【0013】
さらに、S2の後、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材に対して押出、圧延、ロータリースウェージング及び引き抜きのうち1種又は多種の加工方式を用いて必要な寸法に加工するステップをさらに含む。
【0014】
さらに、S2においてコアの外面をタンタル金属層で被覆することは、粉末冶金、肉盛溶接、爆発圧着(爆着クラッド)、管装いクラッド又は鋳込みクラッド、気相成長の方法によって実現される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の技術的解決手段を用いれば、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材は純タンタル以外の他の金属、又はタンタル合金若しくは他の合金のコアと、コアの外面を被覆するタンタル金属層とを有し、このように、表層のタンタル金属が陽極酸化によってその表面に高誘電率、高信頼性の酸化膜を形成できるという特性を十分に利用し、また安価な金属又は合金でそのコア部を充填することにより、タンタルコンデンサに求められる陽極リード線の高誘電率を満たすとともに、コストを大幅に低減する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本願の一部を構成する明細書の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために用いられ、本発明の例示的な実施例及びその説明は、本発明を解釈するために用いられ、本発明を不当に限定するものではない。
【0017】
図1】本発明の一実施形態によって製造されるタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材の横断面構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
なお、矛盾しない場合、本願の実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。以下、図面を参照し、かつ実施例と合わせて、本発明について詳細に説明する。
【0019】
タンタル線又は高タンタル含有量の合金線がタンタルコンデンサの陽極リード線用線材となるのは、主にタンタルが陽極酸化によりその表面に非常に薄く、高誘電率を有し、かつ信頼性が高い酸化膜を形成できるからである。しかし、従来技術で製造されるタンタル線又は高タンタル含有量の合金線は、価格が高く、広く使用できないか、又は性能がタンタルコンデンサのすべての品質要求を満たすことができない。これらの技術問題に対して、本発明は以下の技術的解決手段を提案する。
【0020】
本発明の典型的な実施形態によれば、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材を提供する。当該タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材は、図1に示すように、コア10と、コアの外面を被覆するタンタル金属層20とを含み、ただし、コアの材質は純タンタル以外の他の金属、又はタンタル合金若しくは他の金属合金である。
【0021】
本発明の技術的解決手段を用いれば、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材は純タンタル以外の他の金属、又はタンタル合金若しくは他の金属合金のコアと、コアの外面を被覆するタンタル金属層とを有し、このように、表層のタンタル金属が陽極酸化によってその表面に高誘電率、高信頼性の酸化膜を形成できるという特性を十分に利用し、また安価な金属又は合金でそのコア部を充填することにより、タンタルコンデンサに求められる陽極リード線の高誘電率を満たすとともに、コストを大幅に低減する。
【0022】
タンタル金属層の材質がタンタルニオブ合金である場合、タンタルの含有量は50%より大きく、かつタンタルとニオブの含有量の和は95%より大きく、タンタル金属層の材質がタンタルニオブ合金以外の他の合金である場合、タンタルの含有量は95%より大きい。典型的には、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材の表層が陽極酸化によってその表面に高誘電率の酸化膜を形成できることを保証するように、タンタル金属層中のタンタルの含有量を95%以上とする。コアは、用いるタンタル合金中のタンタルの含有量が90%未満であれば、コストの低減に十分であり、当然ながら、タンタル合金中のタンタルの含有量は、80%、70%、60%未満であることが好ましく、50%、40%、30%、20%、10%など未満であることがより好ましい。本発明の典型的な実施例では、コアの材料はニオブ、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、チタン、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、コバルト及びその合金からなる群から選択された1種又は多種である。タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材の横断面は、実際の需要に応じて、例えば円形、楕円形又は多角形など、任意の形状に設定することができ、ただし、多角形は正方形、長方形、菱形、五角形、六角形などである。
【0023】
タンタルの性能を十分に発揮し、その優れた性能指標を保証する上でコストが高すぎないことを可能にするために、タンタル金属層の被覆面積比を1%~80%とすることが好ましく、1%~50%とすることがより好ましく、すなわち、表面タンタル金属層の横断面積がタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材の横断面積を占める比率範囲は1%~80%であり、より好ましくは、1%~50%である。
【0024】
本発明の典型的な実施形態によれば、前記複合線材の横断面は軸対称形状であり、最長軸≦3.0mm、最短軸≧0.1mmである。
【0025】
本発明の発明目的の下で、本発明の典型的な実施形態によれば、タンタルコンデンサを提供する。当該タンタルコンデンサは陽極リード線を含み、陽極リード線は、上記タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材を用いて作製される。本発明のタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材を用いるため、当該タンタルコンデンサは、性能が優れるとともに、コストが大幅に低下する。
【0026】
本発明の典型的な実施形態によれば、上記タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材の製造方法を提供する。当該製造方法は、コアを提供するステップS1と、コアの外面をタンタル金属層で被覆し、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材を得るステップS2とを含む。
【0027】
本発明の典型的な実施例では、実際の需要に応じて、S2の後、タンタルコンデンサの陽極リード線用複合線材に対して押出、圧延、ロータリースウェージング、引き抜きに限定されない方式を用いて必要な寸法に加工するステップをさらに含む。ただし、S2においてコアの外面をタンタル金属層で被覆することは、粉末冶金、肉盛溶接、爆発圧着、管装いクラッド又は鋳込みクラッドなどに限定されない方法を用いて実現することができる。
【0028】
以下、実施例と合わせて、本発明の有益な効果についてさらに説明する。
(実施例1)
直径30mmで、長さ600mmのTa-40%Nb合金棒を、内径50mmで、長さ700mmの薄壁プラスチックパイプに入れ、まず、一端をベークライトキャップで密封し、3kgのタンタル粉末をパイプに入れ、それをTa-40%Nb合金棒の周りに均一に分布させる。そして、他端をベークライトキャップで密封する。200MPaの圧力下で静水圧プレスを行い、5×10^-2Pa以上の真空下で、2000℃で180分間焼結し、また250MPaで静水圧プレスを行い、また2200℃で、真空下で180分間焼結し、外径35mmの複合棒材を得る。
【0029】
この複合棒を直径が13mmになるようにロータリースウェージング加工し、酸洗後、真空下で、1250℃で60分間保温して焼鈍し、また直径が3mmになるようにロータリースウェージング加工し、酸洗後、真空下で、1250℃で60分間保温して焼鈍し、直径1.2mmの複合線材になるようにマルチダイス引き抜き(2つまたは2つ以上のダイで連続して2回または2回以上の引き抜きを行うこと)を行い、酸洗を行い、真空下で、1250℃で60分間保温して焼鈍し、直径0.25mmの複合線材になるようにマルチダイス引き抜きを行う。
【0030】
(実施例2)
直径30mmで、長さ600mmのNb-1%Zr合金棒を、内径50mmで、長さ700mmの薄壁プラスチックパイプに入れ、まず、一端をベークライトキャップで密封し、3kgの(タンタル粉末95%+ニオブ粉末5%)をパイプに入れ、それをNb-1%Zr合金棒の周りに均一に分布させる。そして、他端をベークライトキャップで密封する。200MPaの圧力下で静水圧プレスを行い、5×10^-2Pa以上の真空下で、2000℃で180分間焼結し、また250MPaで静水圧プレスを行い、また2200℃で、真空下で180分間焼結し、外径35mmの複合棒材を得る。
【0031】
この複合棒を直径が13mmになるようにロータリースウェージング加工し、酸洗後、真空下で、1250℃で60分間保温して焼鈍し、また直径が3mmになるようにロータリースウェージング加工し、酸洗後、真空下で、1250℃で60分間保温して焼鈍し、直径1.2mmの複合線材になるようにマルチダイス引き抜きを行い、酸洗を行い、真空下で、1250℃で60分間保温して焼鈍し、直径0.25mmの複合線材になるようにマルチダイス引き抜きを行う。
【0032】
(実施例3)
直径12mmで、長さ1000mmのSS304ステンレス棒に対して、長さ1000mmで、幅39mmで、厚さ0.5mmのタンタルテープを、図1に示すように、ステンレス棒の表面に密着し、タンタルテープをアルゴンアーク溶接によりシーム溶接し、外径13mmの複合棒材を形成し、真空下で、1250℃で180分間保温して焼鈍する。
【0033】
直径13mmの複合棒材の後続する加工プロセスは、実施例1と同じで、最終的に直径0.25mmの複合線材を得る。
【0034】
(実施例4)
直径24mmで、長さ500mmのTa-50%Nb合金棒に対して、長さ500mmで、幅78mmで、厚さ0.5mmのタンタルテープを、図1に示すように、合金棒の表面に密着し、タンタルテープをアルゴンアーク溶接によりシーム溶接し、外径25mmの複合棒材を形成し、真空下で、1250℃で180分間保温して焼鈍する。
【0035】
直径25mmの複合棒材の後続する加工プロセスは、実施例1と同じで、最終的に直径0.80mmの複合線材を得る。
【0036】
(実施例5)
直径12mmで、長さ1000mmのニッケル棒を、外径17mmで、内径12.5mmで、長さ1000mmのタンタルパイプに貫入し、真空下で、1250℃で180分間保温して焼鈍し、外径17mmの複合棒材を得る。
【0037】
直径17mmの複合棒材の後続する加工プロエスは、実施例1と同じで、最終的に直径0.15mmの複合線材を得る。
【0038】
(実施例6)
直径10.5mmで、長さ1000mmのニッケル棒を、外径12mmで、内径11mmで、長さ1000mmのタンタルパイプに貫入し、真空下で、1250℃で180分間保温して焼鈍し、外径12mmの複合棒材を得る。
【0039】
この複合棒を直径が3mmになるようにロータリースウェージング加工し、酸洗後、真空下で、1250℃で60分間保温して焼鈍し、直径1.2mmの複合線材になるようにマルチダイス引き抜きを行い、酸洗を行い、真空下で、1250℃で60分間保温して焼鈍し、1.5mm×0.5mmの複合フラットワイヤになるように小型マルチローラ圧延機で圧延する。
【0040】
(実施例7)
直径12mmで、長さ1000mmの65黄銅棒を、外径14mmで、内径12.5mmで、長さ1000mmの微小結晶粒をドープしたタンタルパイプ(シリコンを500PPM、ランタンを200PPM含有する)に貫入し、真空下で、1250℃で180分間保温して焼鈍し、外径14mmの複合棒材を得る。
【0041】
この複合棒を直径が3mmになるようにロータリースウェージング加工し、酸洗後、真空下で、1250℃で60分間保温して焼鈍し、直径1.2mmの複合線材になるようにマルチダイス引き抜きを行い、酸洗を行い、真空下で、1250℃で60分間保温して焼鈍し、1.5mm×0.5mmの複合フラットワイヤになるように小型マルチローラ圧延機で圧延する。
【0042】
実施例1-7において作製されたタンタルコンデンサの陽極リード線用複合線及び純金属タンタル線についての検出結果を以下の表1-4に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
以上の結果から見れば、複合線の各検出結果はいずれも純金属タンタル線の中国国家標準(GB/T 26012-2010)による要求を達成するか、又はそれより優れ、純金属タンタル線の試験レベルに相当する。
【0048】
以上の実施例1、2、3に従って作製された複合線と、純金属タンタル線をそれぞれタンタル粉末とプレスし、焼結して製造されたタンタルコンデンサの陽極ブロックについて、検出結果の比較を以下の表5、6及び7に示す。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
今回の実験は複合線、純金属タンタル線をそれぞれタンタル粉末とプレス成形し、焼結してタンタルコンデンサの陽極ブロックを製造し、漏れ電流の湿式、乾式検出結果によれば、複合線と純金属タンタル線の試験値は基本的に相当し、いずれも中国国家標準(GB/T 2612-2010)の要求より優れるか、又はそれに合致する。
【0053】
以上の説明から分かるように、本発明の上記実施例は、以下のような技術的効果を果たす。
1)本発明の上記実施例で製造された複合線材の表面はタンタルの高誘電率を有し、タンタルコンデンサの使用要求を満たすことができ、かつ優れた電気性能を有する。
2)コア部は安価な金属又は合金を採用し、希有資源であるタンタルの使用量を大幅に減少し、コストを大幅に低減する。
【0054】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するものではなく、当業者にとって、本発明は様々な修正及び変更が可能である。本発明の精神と原則内で行われたすべての修正、同等の置換、改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。

図1
【国際調査報告】