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特表2023-516474不均一磁場における磁気共鳴撮像のための周波数掃引パルスを用いた位相符号化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】不均一磁場における磁気共鳴撮像のための周波数掃引パルスを用いた位相符号化
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20230412BHJP
   G01N 24/08 20060101ALI20230412BHJP
   G01N 24/00 20060101ALI20230412BHJP
   G01R 33/54 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 331
A61B5/055 351
G01N24/08 520G
G01N24/00 600Y
G01R33/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554410
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 US2021021464
(87)【国際公開番号】W WO2021183484
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】62/987,292
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521355832
【氏名又は名称】プロマクソ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー フランシス デ マトス ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ナセブ
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB08
4C096AC07
4C096AD07
4C096AD08
4C096BB03
4C096CA05
4C096CA58
4C096CC26
(57)【要約】
片面式MRI装置、システム、および方法が開示されている。方法は、低周波数から高周波数への掃引を含む周波数掃引励起パルスを送出することと、周波数掃引励起パルス中に位相符号化することと、周波数掃引励起パルス中に、スラブ内の隣接するスライスから蓄積される位相の量を調整することと、を含む。周波数掃引励起パルスは、チャープパルスとすることができる。この方法で符号化すると、スピンエコーがドリフトするのを防ぎ、場合によってはk空間の切り捨てを防ぐことができる。さらに、得られる画像をより効率的に結合することができる。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面式磁気撮像装置を用いて少なくとも二つのスライスを有するスラブを撮像する方法であって、固有の勾配磁場が、前記磁気撮像装置から視野内に延在し、前記方法は、
低周波数から高周波数への掃引を含む周波数掃引励起パルスを送出することと、
前記周波数掃引励起パルス中に位相符号化することと、
前記周波数掃引励起パルス中に、前記スラブ内の隣接するスライスから蓄積される位相の量を調整することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記隣接するスライスは、近位スライスおよび遠位スライスを備え、前記近位スライスは前記遠位スライスよりも前記磁気撮像装置のより近くに位置し、前記遠位スライス内のターゲットは、前記近位スライス内のターゲットの前に励起される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記遠位スライス内の前記ターゲットが前記近位スライス内の前記ターゲットと同じ位相を蓄積するように、前記固有の勾配磁場を補正するように構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
異なる量の位相が、前記周波数掃引中の異なる周波数に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記周波数掃引励起パルス中の前記位相符号化は、エコーが取得ウィンドウの外側にドリフトするのを防ぐ、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
高解像度画像が、k空間の切り捨てなしに、前記片面式磁気撮像装置で収集される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記視野における前記磁場強度が、1テスラ未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記磁場の不均一性が200ppm~200,000ppmである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
磁気撮像装置であって、
永久磁石と、
勾配コイルセットと、
電磁石と、
無線周波数コイルであって、固有の勾配磁場が、第一の軸に対して前記磁気撮像装置から前記視野内に延在し、前記第一の軸が前記永久磁石に垂直である、無線周波数コイルと、
少なくとも二つのスライスを有するスラブを撮像するように構成される制御回路であって、前記撮像することが、
低周波数から高周波数への掃引を含む周波数掃引励起パルスを送出することと、
前記周波数掃引励起パルス中に位相符号化することと、
前記周波数掃引励起パルス中に、前記スラブ内の隣接するスライスから蓄積される位相の量を調整することと、を含む、制御回路と、を備える、磁気撮像装置。
【請求項10】
前記隣接するスライスは、近位スライスおよび遠位スライスを備え、前記近位スライスは前記遠位スライスよりも前記磁気撮像装置のより近くに位置し、前記遠位スライス内のターゲットは、前記近位スライス内のターゲットの前に励起される、請求項9に記載の磁気撮像装置。
【請求項11】
異なる量の位相が、異なる周波数に適用される、請求項9に記載の磁気撮像装置。
【請求項12】
前記遠位スライス内の前記ターゲットが、前記近位スライス内の前記ターゲットと同じ位相を蓄積する、請求項11に記載の磁気撮像装置。
【請求項13】
前記周波数掃引励起パルス中の前記位相符号化は、エコーが取得ウィンドウの外側にドリフトするのを防ぐ、請求項9に記載の磁気撮像装置。
【請求項14】
高解像度画像が、k空間の切り捨てなしに前記片面式磁気撮像装置で収集される、請求項9に記載の磁気撮像装置。
【請求項15】
前記視野における磁場強度が、1テスラ未満である、請求項9に記載の磁気撮像装置。
【請求項16】
前記磁場の前記不均一性が、200ppm~200,000ppmである、請求項9に記載の磁気撮像装置。
【請求項17】
前記無線周波数コイルが、無線周波数送信コイルおよび無線周波数受信コイルを備える、請求項9に記載の磁気撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、「SYSTEMS AND METHODS FOR LIMITING k-SPACE TRUNCATION IN A SINGLE-SIDED MRI SCANNER」と題する、2020年3月9日に出願された米国仮特許出願第62/987,292号の優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
片面式または開放式磁気共鳴撮像(MRI)スキャナーは、一般的に、片面式MRI装置から視野内に延在する、長手方向軸に沿った永久的または固有の勾配磁場を有する。永久勾配磁場は、希土類磁石および2セットの勾配コイルによって永久磁石の面上に生成されることができる。この方位は、磁石の面上の視野内の撮像を可能にする。この形状因子でシステムを設計することによって、撮像される領域を囲むことなく撮像することが可能となる。したがって、患者をボアに入れずに撮像することができ、他の医療機器、例えば生検ロボットと共にスキャナーを使用することが可能となる。また、閉所恐怖症患者が、従来のクローズ型MRIスキャナーの撮像ボアの外側で撮像されることがより快適である。片面式MRIはまた、ポータブルであってもよく、視野内に配置される任意のものを撮像することができる。
【0003】
片面式スキャナーで表面勾配コイルを使用すると、通常は片面式スキャンに必要だが、Z軸に沿った視野の変化、ドリフトエコー、および/または最終的にk空間の切り捨てが発生する可能性があり、これにより、ぼけを発生させ、片面式MRIスキャナーで得られる画質を実質的に制限する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様では、磁気撮像装置から視野内に延在する固有の勾配磁場を画定する片面式磁気撮像装置を用いる、少なくとも二つのスライスを有するスラブを撮像する方法は、低周波数から高周波数への掃引を含む周波数掃引励起パルスを送出することと、周波数掃引励起パルス中に位相符号化することと、周波数掃引励起パルス中に、スラブ内の隣接するスライスから蓄積される位相の量を調整することと、を含む。
【0005】
本開示の別の態様では、磁気撮像装置は、永久磁石と、勾配コイルセットと、電磁石と、無線周波数コイルであって、固有の勾配磁場が、第一の軸に対して磁気撮像装置から視野内に延在し、第一の軸は永久磁石に垂直である、無線周波数コイルと、少なくとも二つのスライスを有するスラブを撮像するように構成される制御回路であって、撮像することが、低周波数から高周波数への掃引を含む周波数掃引励起パルスを送出することと、周波数掃引励起パルス中に位相符号化することと、周波数掃引励起パルス中に、スラブ内の隣接するスライスから蓄積される位相の量を調整することと、を含む、制御回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
様々な態様の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。しかし、構成および操作方法の両方に関して説明される態様は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって最もよく理解されることができる。
【0007】
図1図1は、本開示の様々な態様による、MRIスキャナーの斜視図である。
【0008】
図2図2は、図1のMRIスキャナーの分解斜視図であり、本開示の様々な態様による、ハウジング内の永久磁石アセンブリおよび勾配コイルセットが露出している。
【0009】
図3図3は、本開示の様々な態様による、図1のMRIスキャナーの立面図である。
【0010】
図4図4は、本開示の様々な態様による、図1のMRIスキャナーの立面図である。
【0011】
図5図5は、本開示の様々な態様による、図1のMRIスキャナーの永久磁石アセンブリの斜視図である。
【0012】
図6図6は、本開示の様々な態様による、図1に示すMRIシステムの勾配コイルセットおよび永久磁石アセンブリの立面図である。
【0013】
図7図7は、本開示の様々な態様による、特定の外科手術および外科的処置のための片面式MRIスキャナーによる撮像のための患者の例示的体位である。
【0014】
図8図8は、本開示の様々な態様による、片面式MRIシステムの制御概略図である。
【0015】
図9図9は、本開示の様々な態様による、Z軸に沿った磁気勾配の概略図である。
【0016】
図10図10は、本開示の様々な態様による、X軸に沿ったX勾配のグラフ表示である。
【0017】
図11図11は、本開示の様々な態様による、Z軸に沿った視野の変化を考慮した画像スライスと、Z軸に沿った視野の変化を考慮しない画像スライスを比較するMRI画像のコレクションである。
【0018】
図12図12は、本開示の様々な態様による、エコーが位相テーブルを移動する時間におけるエコーの位置のグラフ表示である。
【0019】
図13図13は、本開示の様々な態様による、Z軸に沿ったスライスにおける変化する視野を補正するパルスシーケンスの図である。
【0020】
図14図14は、本開示の様々な態様による、掃引周波数パルスの代表的なグラフである。
【0021】
図15図15は、本開示の様々な態様による、Z軸に沿ったスライスにおける変化する視野を説明するパルスシーケンスの図である。
【0022】
図16図16は、本開示の様々な態様による、MRIスライス画像集である。
【0023】
図17図17は、本開示の様々な態様による、MRIスライス画像集である。
【0024】
添付の図面は、縮尺通りに描かれることを意図していない。対応する参照文字は、いくつかの図の全体を通して対応する部分を示す。明確にするために、全ての構成要素が全ての図面に表示されているわけではない。本明細書に記載の例示は、本発明のいくつかの実施形態を一形態で例示し、このような例示は、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
出願人はまた、「PULSE SEQUENCES AND FREQUENCY SWEEP PULSES FOR SINGLE-SIDED MAGNETIC RESONANCE IMAGING」と題する2021年3月9日に出願の国際特許出願を所有しており、これは「SYSTEMS AND METHODS FOR ADAPTING DRIVEN EQUILIBRIUM FOURIER TRANSFORM FOR SINGLE-SIDED MRI」と題する2020年3月9日に出願の米国仮特許出願第62/987,286号の優先権を主張し、これらは両方とも参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
【0026】
以下の国際特許出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
・「SYSTEMS AND METHODS FOR ULTRALOW FIELD RELAXATION DISPERSION」と題する2020年2月14日に出願の国際出願PCT/US2020/018352、現国際公開WO2020/168233、
・「SYSTEMS AND METHODS FOR PERFORMING MAGNETIC RESONANCE IMAGING」と題する2020年2月24日に出願の国際出願PCT/US2020/019530、現国際公開WO2020/172673、
・「PSEUDO-BIRDCAGE COIL WITH VARIABLE TUNING AND APPLICATIONS THEREOF」と題する2020年2月24日に出願の国際出願PCT/US2020/019524、現国際公開WO2020/172672、
・「SINGLE-SIDED FAST MRI GRADIENT FIELD COILS AND APPLICATIONS THEREOF」と題する2020年3月25日に出願の国際出願PCT/US2020/024776、現国際公開WO2020/198395、
・「SYSTEMS AND METHODS FOR VOLUMETRIC ACQUISITION IN A SINGLE-SIDED MRI SYSTEM」と題する2020年3月25日に出願の国際出願PCT/US2020/024778、現国際公開WO2020/198396、
・「SYSTEMS AND METHODS FOR IMAGE RECONSTRUCTIONS IN MAGNETIC RESONANCE IMAGING」と題する2020年6月25日に出願の国際出願PCT/US2020/039667、現国際公開WO2020/264194、
・「MRI-GUIDED ROBOTIC SYSTEMS AND METHODS FOR BIOPSY」と題する2021年1月22日に出願の国際出願PCT/US2021/014628、
・「RADIO FREQUENCY RECEPTION COIL NETWORKS FOR SINGLE-SIDED MAGNETIC RESONANCE IMAGING」と題する2021年2月19日に出願の国際出願PCT/US2021/018834。
【0027】
「PUNILATERAL MAGNETIC RESONANCE IMAGING SYSTEM WITH APERTURE FOR INTERVENTIONS AND METHODOLOGIES FOR OPERATING SAME」と題する2018年12月13日に公開の米国特許出願公開第2018/0356480号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
MRIシステムおよび方法の様々な態様を詳細に説明する前に、例示的な実施例は、添付の図面および説明に例示される部品の構成および配置の詳細への適用または使用に限定されないことに留意されたい。例示的な実施例は、他の態様、変形、および修正で実施または組み込まれてもよく、様々な方法で実施または実行されてもよい。さらに、特に明記しない限り、本明細書で使用される用語および表現は、読者の便宜のために例示的な実施例を説明する目的で選択されており、その限定を目的とするものではない。また、以下に記載の態様、態様の表現、および/または実施例のうちの一つまたは複数は、他の以下に記載の態様、態様の表現、および/または実施例のうちのいずれかの一つまたは複数と組み合わせることができることが理解されよう。
【0029】
様々な態様によれば、磁石の面からオフセットされることができる固有の撮像領域を含むことができるMRIシステムが提供される。このようなオフセットおよび片面式のMRIシステムは、従来のMRIスキャナーと比較して制限が少ない。さらに、この形状因子は、対象領域全体に広範囲の磁場の値を作リ出す、組み込まれたまたは固有の磁場勾配を有することができる。換言すると、固有の磁場は不均一であってもよい。片面式MRIシステムの対象領域における磁場強度の不均一性は、百万分率で200(ppm)を超える可能性がある。例えば、片面式MRIシステムの対象領域における磁場強度の不均一性は、200ppm~200,000ppmとすることができる。本開示の様々な態様では、対象領域における不均一性は、1,000ppmを超える場合があり、10,000ppmを超える場合がある。一例では、対象領域における不均一性は、81,000ppmであってもよい。
【0030】
固有の磁場勾配は、MRIスキャナー内の永久磁石によって生成されることができる。片面式MRIシステムの対象領域における磁場強度は、例えば1テスラ(T)未満とすることができる。例えば、片面式MRIシステムの対象領域における磁場強度は、0.5T未満であることができる。他の例では、磁場強度は、1Tを超える可能性があり、例えば1.5Tである場合がある。このシステムは、一般的なMRIシステムと比較して低い磁場強度で動作できるため、RXコイルの設計上の制約が緩和され、および/または、例えばロボット工学などの追加の機構がMRIスキャナーで使用されることができる。例示的なMRI誘導ロボットシステムはさらに、例えば、「MRI-GUIDED ROBOTIC SYSTEMS AND METHODS FOR BIOPSY」と題する2021年1月22日に出願の国際出願PCT/US2021/014628に記載されている。
【0031】
図1~6は、MRIスキャナー100およびその構成要素を示す。図1および2に示すように、MRIスキャナー100は、凹状で埋め込まれた、面または前面125を有するハウジング120を備える。他の態様では、ハウジング120の面は平坦で平面状であってもよい。前面125は、MRIスキャナーによって撮像される対象物に面することができる。図1および2に示すように、ハウジング120は、永久磁石アセンブリ130、RF送信コイル(TX)140、勾配コイルセット150、電磁石160、およびRF受信コイル(RX)170を備える。他の例では、ハウジング120は、電磁石160を備えない場合がある。さらに、特定の例では、RF受信コイル170およびRF送信コイル140は、組み合わされたTx/Rxコイルアレイに組み込まれてもよい。
【0032】
主に図3~5を参照すると、永久磁石アセンブリ130は、磁石のアレイを備える。永久磁石アセンブリ130を形成する磁石のアレイは、MRIスキャナー100の前面125、または患者に面する表面を覆うように構成され(図3を参照)、図4では水平バーで示される。永久磁石アセンブリ130は、並列構成で複数の円筒形永久磁石を備える。主に図5を参照すると、永久磁石アセンブリ130は、ブラケット134によって保持される平行板132を備える。システムは、ブラケット136でMRIスキャナー100のハウジング120に取り付けられることができる。平行板132には複数の穴138が存在することができる。例えば、永久磁石アセンブリ130は、希土類ベースの磁性材料、例えばネオジム系磁性材料、を含むがこれらに限定されない、任意の好適な磁性材料を含むことができる。
【0033】
永久磁石アセンブリ130は、アクセス開口部またはボア135を画定し、これによりハウジング120の反対側からハウジング120を通って患者にアクセスすることができる。本開示の他の態様では、ハウジング120内に永久磁石アセンブリを形成する永久磁石のアレイは、ボアがなくても、およびそれを通して画定されるボアがない永久磁石の途切れないまたは連続する配置を画定してもよい。さらに他の例では、ハウジング120内の永久磁石のアレイは、それを通して一つまたは複数のボア/アクセス開口部を形成することができる。
【0034】
本開示の様々な態様によれば、永久磁石アセンブリ130は、図1に示される、Z軸に沿う対象領域190に磁場B0を提供する。Z軸は、永久磁石アセンブリ130に対して垂直である。別の言い方をすれば、Z軸は、永久磁石アセンブリ130の中心から延在し、磁場B0の方向を永久磁石アセンブリ130の面から離れる方向に画成する。Z軸は主磁場B0方向を画定できる。主磁場B0は、Z軸に沿って、すなわち、永久磁石アセンブリ130の面からさらに遠く、図1の矢印で示される方向に、固有の勾配で減少することができる。
【0035】
一つの態様では、永久磁石アセンブリ130の対象領域190における磁場の不均一性は、約81,000ppmであることができる。別の態様では、永久磁石アセンブリ130の対象領域190における磁場強度の不均一性は、200ppm~200,000ppmであることができ、場合によっては1,000ppmを超え、多くの場合には10,000ppmを超える場合がある。
【0036】
一つの態様では、永久磁石アセンブリ130の磁場強度は、1T未満であることができる。別の態様では、永久磁石アセンブリ130の磁場強度は、0.5T未満であることができる。他の例では、永久磁石アセンブリ130の磁場強度は、1Tを超える場合があり、例えば、1.5Tであってもよい。主に図1を参照すと、Y軸はZ軸から上下に伸び、X軸はZ軸から左右に伸びる。X軸、Y軸、およびZ軸は全て互いに直交しており、各軸の正の方向は、図1の対応する矢印によって示されている。
【0037】
RF送信コイル140は、RF波形および関連する電磁場を送出するように構成される。RF送信コイル140からのRFパルスは、永久磁石130によって生成される磁化を、永久磁場(例えば、直交面)の方向に対して直交する、B1と呼ばれる実効磁場を生成することによって、回転させるように構成される。
【0038】
主に図3を参照すると、勾配コイルセット150は、二つの勾配コイルセット152、154を備える。勾配コイルセット152、154は、永久磁石アセンブリ130の面または前面125に、永久磁石アセンブリ130と対象領域190との中間に配置される。各勾配コイルセット152、154は、ボア135の両側にコイル部分を備える。図1の軸を参照すると、勾配コイルセット154は、例えば、X軸に対応する勾配コイルセットであることができ、勾配コイルセット152は、例えば、Y軸に対応する勾配コイルセットであることができる。勾配コイル152、154は、本明細書にさらに説明されるように、X軸およびY軸に沿った符号化を可能にする。
【0039】
図1~6に例示のMRIスキャナー100を使用する様々な態様によれば、患者を、解剖学的スキャンのタイプに応じて、あらゆる異なる位置に配置することができる。図7は、MRIスキャナー100で骨盤をスキャンする例を示す。スキャンを実施するために、患者210は、切石位で表面上に横たえられる。図7に例示するように、骨盤スキャンの場合、患者210は、背中をテーブル上に置き、脚を持ち上げてスキャナー100の上部に置くように配置されることができる。骨盤領域は、永久磁石アセンブリ130およびボア135の真正面に配置されることができ、対象領域190は、患者210の骨盤領域内にある。
【0040】
ここで図8を参照すると、片面式MRIシステム300の制御概略図が示されている。片面MRIスキャナー100および/またはその構成要素(図1~6)は、本開示の様々な態様において、MRIシステム300に組み込まれることができる。例えば、撮像システム300は永久磁石アセンブリ308を備え、これは、様々な場合において永久磁石アセンブリ130(図2~5を参照)と同様であることができる。例えば、撮像システム300はまたRF送信コイル310を備え、これは、RF送信コイル140(図3を参照)と同様であることができる。さらに、例えば、撮像システム300はRF受信コイル314を備え、これは、RF受信コイル170(図3を参照)と同様であることができる。様々な態様では、RF送信コイル310および/またはRF受信コイルは、MRIスキャナーのハウジング内に配置されてもよく、場合によっては、RF送信コイル310とRF受信コイル314は組み合わされて統合Tx/Rxコイルになってもよい。システム300はまた、視野312内の対象物の撮像を容易にするために勾配磁場を生成するように構成される勾配コイル320を備える。
【0041】
片面式MRIシステム300はまた、分光計304と信号通信するコンピューター302を備え、およびコンピューター302と分光計304との間で信号を送受信するように構成される。
【0042】
永久磁石308によって生成される主磁場B0は、永久磁石308から離れる方向に、RF送信コイル310から離れる方向に視野312内に延在する。視野312は、MRIシステム300によって撮像される対象物を収容する。
【0043】
撮像プロセスの間、主磁場B0は視野312内に延在する。実効磁場(B1)の方向は、RFパルスおよびRF送信コイル310からの関連する電磁場に応答して変化する。例えば、RF送信コイル310は、RF信号またはパルスを、視野内の対象物、例えば組織に選択的に送出するように構成される。これらのRFパルスは、試料(例えば、患者の組織)中のスピンが受ける実効磁場を変える。RFパルスがオンの場合、共鳴するスピンが受ける実効磁場は、RFパルスのみであり、静的B0磁場を効果的に打ち消す。RFパルスは、例えば、本明細書にさらに記載されるように、チャープパルスまたは周波数掃引パルスであってもよい。
【0044】
さらに、視野312内の対象物が、RF送信コイル310からのRFパルスで励起される場合、対象物の歳差運動は、誘導電流、またはMR電流を生じさせ、これはRF受信コイル314によって検出される。RF受信コイル314は、励起データをRFプリアンプ316に送出することができる。RFプリアンプ316は、励起データ信号をブーストまたは増幅し、それらを分光計304に送出することができる。分光計304は、記憶、分析、および画像構成のために、励起データをコンピューター302に送信できる。コンピューター302は、例えば、複数の格納された励起データ信号を組み合わせて、画像を生成することができる。
【0045】
分光計304から、信号を、RFパワーアンプ306を介してRF送信コイル310に、そして勾配パワーアンプ318を介して勾配コイル320に送ることもできる。RFパワーアンプ306は、信号を増幅し、RF送信コイル310に送信する。勾配パワーアンプ318は、勾配コイル信号を増幅し、勾配コイル320に送信する。
【0046】
例えば、片面式MRIスキャナー100およびシステム300を用いる、不均一な磁場における核磁気共鳴スペクトルおよび磁気共鳴画像を効果的に収集するためのシステムおよび方法が本明細書に記載されている。
【0047】
片面式またはオープンMRIによる撮像には、多くの課題がある。典型的には、片面システムの2組の勾配コイル(図6を参照)は、永久磁石アセンブリの面に配置される。その結果、勾配の振幅は、永久磁石アセンブリの面から離れるにつれて低下する。したがって、所定の位相符号化のアレイでは、永久磁場B0の軸に沿って移動するにつれて視野が変化する。換言すると、片面式スキャナー内のパルス勾配コイルは、永久勾配の方向に沿って小さな構成要素を有する。
【0048】
図9は、MRIスキャナー100のZ軸に沿った磁場勾配の概略図500である。永久磁石130は、Z軸に沿って固有の勾配を有する。Z勾配の強度は、永久磁石130から離れるにつれて減少する。Z勾配は、永久磁石から離れるにつれて曲がり、勾配の強度を低下させることが概略図で確認できる。MRIスキャナー100は、複数のスライスを撮像してスラブを作成する。各スライスは、様々な周波数で撮像するために励起される。低周波数は永久磁石から遠く離れたスライスの組織を励起し、高周波数は磁石に近いスライスの組織を励起する。概略図では、スラブまたはアキシャル画像は、スライス0からスライスnに向かう複数のスライスで構成されている。各スライスには、対応する周波数f0からfnがあり、f0はfnより小さい周波数である。
【0049】
Z軸に沿って勾配がどのように変化するかにより、各スライスは異なる視野を有する。視野が変化すると、異なるスライス内の同じ対象物がZ方向のスライスに沿って縮小および拡大しているように見え、これは勾配の大きさもZ軸に沿って変化するためである。これにより、画像は、アキシャル画像に変換された場合にぼやけて見え、これは画像が、一緒に折りたたまれた複数の異なるサイズの画像で構成されているためである。したがって、高品質のアキシャル画像を生成するには、スラブ内のスライスが同じ視野と同じスケールを有する必要がある。さらに、勾配コイルによって生成されたY軸とX軸には磁気勾配があり、勾配は同様に成形され、X軸とY軸に沿って同様の効果がある。
【0050】
図10を参照すると、グラフ表示600は、X軸に沿って移動するにつれてX勾配がどのように変化するかの例を示す。軸に沿った移動によるX勾配の変化は、異なる線の種類で示され、Z軸に沿って3cm~8.6cmの距離の範囲である。換言すると、勾配の傾きは、磁石の面からの距離に応じて変化する。変化の程度は、大きくなる可能性がある。換言すると、画像内の対象物のサイズは、Z軸に沿ったわずか1インチの動きで2倍も変化する場合がある。X軸上のゼロは、Z軸に沿った磁石の中心にある。X軸に沿って移動してZ軸から離れるにつれて、勾配の値が大幅に変化する可能性がある。X軸に沿って遠くに移動するほど、勾配の大きさはますます大きくなる。
【0051】
繰り返しになるが、片面式MRIスキャナーの勾配磁場の影響は注目に値する。例えば、永久勾配の長手方向軸(すなわち、Z軸)に沿って対象物(組織など)の厚いスライスを励起すると、対象物のスケールまたは画像サイズが、Z軸に沿って移動するにつれて変化する。Z軸に沿った任意の厚さの3D画像は、より小さなサイズにスケーリングされ、すなわち、永久磁石から離れた位置にあるスライスである低周波数のスライスでは、縮小しているように見える。これにより、その後、隣接するスライスを一緒に結合する場合、サイズの異なる形体が互いに重ね合わせさられるため、画像が非常にぼやける。
【0052】
磁石から離れるにつれて勾配が変化する結果、磁石の面から離れるにつれて視野が変化する。異なる視野のスライスをスラブに結合すると、形体がぼやける。図11は、MRI画像スライスを示しており、一つのセットは、Z軸に沿った変化する視野を考慮し、そして一つのセットは考慮していない。換言すると、ダイアグラム700は、Z軸に沿った視野の変化を考慮しない場合に、スキャンされている対象物のスケールがどのように変化するかを示す。列A(左)のスライスは、Z軸に沿って移動するにつれてサイズが変化する構造を示す。列B(右)は、変化する視野が適切に考慮されるため、同じサイズに近い構造を示す。
【0053】
列Aの対象物のサイズは、Z勾配のために、Z軸に沿って永久磁石から遠くに離れるにつれて大きくなる。これらのスライスをアキシャル画像またはスラブに結合すると、視野の変化により隣接するスライス内の対象物のサイズが変化するため、画像がぼやける。別の言い方をすると、勾配の大きさもzに沿って変化するため、オブジェクトはZ方向に沿って縮小および拡大しているように見える。これにより、画像は、アキシャル画像またはスラブに変換された場合にぼやけて見え、これは画像が、一緒に折りたたまれた複数の異なるサイズの画像で構成されているためである。視野の変化を考慮することにより、対象物のスケールが同一に近くなり、スラブに結合される場合にはるかに鮮明な画像が得られる。
【0054】
変化する視野以上の、片面式MRIシステムの永久勾配磁場の別の影響は、表面勾配コイルを用いた画像符号化中のスピンエコーの位置の変化である。片面式MRIシステムでは、画像の符号化は位相符号化によって行われ、周波数の符号化は永久勾配のみで行われる。片面式MRIシステムで収集される信号は、スピンエコーの多少のばらつきであり、MRIスキャナーの取得ウィンドウはエコーを中央に配置するように設定されている。エコーを形成するために、励起後に蓄積される位相は、取得が開始される時までにリフォーカスされなくてはならない。
【0055】
ここで図12を参照すると、エコーの位置も、位相テーブルを移動するにつれて変化する。これは、すべてのXまたはY勾配パルスによって、Zに沿って位相が追加され、その後、位相は永久勾配でリフォーカスされる必要があるためである。画像の解像度が増加すると、エコーは取得ウィンドウのエッジに近づき始める。グラフ表示800は、位相符号化の量に対して、時間でスピンエコーがどのように移動するかを示している。黒い線810は、取得ウィンドウの中心を示す。時間と位相が正しく考慮されていない場合、スピンエコーが取得ウィンドウの外側にあり、見逃されて、k空間および画質が実質的に切り捨てられる可能性がある。
【0056】
パルス勾配が印加されない場合、スピンエコーは、リフォーカスパルスの後に、励起パルスの持続時間および励起パルスとリフォーカスパルスとの間の遅延によって決定される後の時間で、発生する。この期間中に位相符号化が適用される場合、それがシステムに与える位相をリフォーカスする必要はない。表面勾配コイルを用いて行われる位相符号化のXおよびY成分は、スピンエコーシーケンス中にリフォーカスされず、シグナルが空間的に符号化されることを保証する。しかし、位相符号化は、信号にZ位相も与える。このZ位相は、永久勾配と同じ軸に沿っており、このことは、その存在がエコーが形成される場合に変化することを意味する。
【0057】
エコーが形成される前にZ軸に沿った位相をリフォーカスする必要がある場合、パルス勾配でZ位相を追加すると、エコーが形成される場合に変化する。例えば、励起後に勾配が印加される場合、励起パルスとリフォーカスパルスとの間に蓄積される位相は、永久勾配によって蓄積される位相とパルス勾配によって蓄積される位相との和と等しくなる。パルス勾配が永久勾配と同じ符号である場合、その二つが加えられる。したがって、リフォーカスパルスの後、永久勾配の位相およびパルス勾配の位相の両方が永久勾配によってリフォーカスされるため、エコーが発生するためにより多くの時間が必要になる。これにより、エコーはそうでない場合よりも後で現れる。パルス勾配が強いほど、ますます後からエコーが現れる。パルス勾配の符号を変更すると、逆の効果がある可能性があり、エコーが予想よりも早く現れる可能性がある。これは、撮像シーケンスに壊滅的な影響を与える可能性がある。
【0058】
撮像シーケンスでは、取得期間は、一定期間定義される。取得期間の長さは、他の多くの方法でパルスシーケンスを変更することなく任意に変更することはできない。例えば、ほとんどの片面式スキャナーは、スピンエコーの列を収集することによって機能し、リフォーカスパルス間の時間は可能な限り短く保たれる。これは、リフォーカスパルス間の取得周期も、可能な限り短く保たれることを意味する。したがって、撮像シーケンスを経て進行するにつれてエコーの位置が変化すると、取得期間の開始前または開始後にエコーが発生する可能性がある。これは、その位相符号化の信号が失われることを意味する。
【0059】
パルス化されたXおよびY勾配によって信号に追加されるZ位相の結果として、パルスシーケンスのエコー間隔を増やす必要なく達成できる最大の解像度が効果的に得られる。パルス勾配が強い場合、k空間のエッジで生成されたエコーが失われる可能性があり、その結果、信号振幅が他の場合よりも早く低下するk空間が生じる。K空間は効果的に切り捨てられているため、通常、より広い取得を収集する必要があり、エコー時間を長くするには信号対雑音比(SNR)を犠牲にする必要がある。
【0060】
要約すると、片面式MRIスキャナーで表面勾配コイルを使用すると、スキャナーを片面にするために必要なものにより、Z軸に沿った視野の変化、ドリフトエコー、そして最終的にはk空間の切り捨てをもたらす。これにより、片面式MRIスキャナーの画質が実質的に制限される。
【0061】
本開示の様々な態様によれば、周波数掃引またはチャープ励起パルス中に位相符号化を適用することにより、追加された位相を補正することができる。周波数掃引パルスは、パルス中の様々な時間に様々な周波数でスピンに影響を与える可能性がある。これは、励起パルス中に位相符号化を適用することにより、異なる周波数に異なる量の位相を与えることも可能であることを意味する。パルスの開始時に励起されるスピンは、ほとんど位相を蓄積できないパルスの終了時に励起されたスピンよりも多くの位相を蓄積する可能性がある。
【0062】
様々な態様によれば、永久磁石から遠いスピンが最初に励起され、周波数掃引励起パルス中に位相符号化が適用される場合、次に、それらのより遠いスピンは、最後に励起される可能性がある永久磁石により近いスピンよりも多くの位相を蓄積する可能性がある。これにより、スピンが表面勾配コイルから位相を蓄積する通常の方向を反転させることができ、Z軸に沿った勾配強度の通常の変動に対抗することができる。周波数掃引励起中および後続の位相符号化中に蓄積される位相の量を正確に調整することにより、永久磁石のZ軸に沿ったX-Y平面に均一な量の位相を適用することが可能である。
【0063】
図13は、表面勾配コイル(例えば、図6の勾配コイル152、154を参照のこと)によって生成されたZ軸に沿ったスライスにおける変化する視野を補正するように構成されるパルスシーケンス900を示す。この補正は、周波数掃引励起パルス中に適用される位相符号化によって達成される。様々な例において、本明細書に記載の周波数掃引パルスは、線形周波数掃引を有するチャープまたはチャープドパルスである。チャープ励起パルスは、低から高への線形周波数掃引を画定することができる。他の単調な低周波数から高周波数への増加も考えられる。低周波数は、永久磁石アセンブリ(例えば、図2の永久磁石アセンブリ130を参照)から遠く離れた組織を励起し、高周波数は、永久磁石アセンブリにより近い組織を励起するので、パルスの終わりまでに、磁石から遠いスライスは、より多くの時間、位相符号化され、勾配が弱くなるのを補正する。パルスシーケンス中の第一のパルス902は、周波数掃引励起パルス902であり、チャープ周波数掃引方向が低から高に設定される。XおよびY方向の勾配は、それぞれ918および922を位相緩和させ始め、パルスシーケンスの第二のパルス904によってリフォーカスされる。Zの勾配は、パルスシーケンス全体の間一定である。第二のパルス904は、XおよびY勾配をリフォーカスさせるリフォーカスパルスである。第二のパルス904の後、スペクトルエコー906が発生し、ここで、XおよびY勾配はそれぞれ920および924を位相緩和させる。スペクトルエコー906の後、信号はその後、チャープエコートレイン908で読み取られる。チャープエコートレイン908は、第三のパルス910、スピンエコー912、第四のパルス914、およびスペクトルエコー916を含む。一態様では、第三のパルス910は、第二のリフォーカスパルスであってもよく、第四のパルス914は、第二の励起パルスであってもよい。
【0064】
この実施形態では、変化する視野は、励起パルスの間に過剰に補正され、その後、位相符号化とバランスされる。周波数掃引中に蓄積される位相の量は、撮像されるスライスのX-Y平面に均一量の位相を適用するように正確に調整される必要がある。別の言い方をすると、各スライスの位相の量は、変化する視野を考慮するように正確に調整される必要がある。さらに別の言い方をすると、各スライスの対象物のスケールは、すべてのスライスが対象物を同じスケールにするように調整される必要がある。例えば、調整は、X-Z軸またはY-Z軸に沿って2D画像を収集する間に、周波数掃引パルスの間に印加される勾配パルスの出力を調節することによって実行されることができる。勾配パワーは、対象物のサイズがZ軸に沿って変化しなくなくまで増加させることができる。そして、スライスを結合して、結合によってぼやけがまったく発生することなく、高品質のスラブ画像を合成することができる。
【0065】
図14は、掃引方向が低から高に設定されている、掃引周波数パルスまたはチャープパルスの代表的なグラフ1000を示している。掃引方向が低から高に設定されたチャープ励起パルスは、周波数掃引励起パルスの例である。掃引方向が低から高に設定されたチャープパルスの周波数は低周波数で始まり、周波数はパルスの持続時間、時間とともに増加する。パルスは、所望の最低周波数で開始し、所望の最大周波数に達すると終了する。グラフ1000のパルス周波数は、ベースバンド周波数に対して負から正への周波数オフセットであることができる。換言すると、周波数は、ベースバンド周波数を加えて負から正に掃引する。例えば、+/-100KHzの周波数掃引の場合、掃引は、ベースバンド周波数から100KHz未満少ない周波数から、ベースバンド周波数に100KHz加えた周波数までである。
【0066】
チャープパルスの周波数は、最小(最低)の所望の周波数から最大(最高)の所望の周波数まで変化することができる。パルスの掃引速度は、パルス内の最高周波数と最低周波数の差を、最高周波数と最低周波数の間で移動するために必要な時間で割ったものである。一態様では、掃引周波数パルスシーケンス900で使用される掃引周波数パルスによってカバーされる周波数範囲は、-20KHz~20KHz、すなわち40KHzの範囲であってもよく、中心周波数はスラブ間で変化する。例えば、スラブは、2.62MHz、2.75MHz、2.65MHz、2.72MHz、2.79MHz、2.69MHzなどを中心とすることができる。2.62MHzを中心とするスラブについては、チャープパルスは2.60MHzから2.64MHz、すなわち40KHzの範囲を掃引することになる。本開示の別の態様では、10KHzの低帯域~200KHz高帯域が、周波数掃引パルスに使用される場合がある。さらに、掃引範囲は、様々な例において40KHz未満とすることができる。
【0067】
再び図9を参照すると、f0は、チャープパルスの最低周波数に対応することができ、fnは、チャープパルスの最高周波数に対応することができる。チャープパルスは、最初に永久磁石アセンブリからより遠い組織、例えばスライス0の位置の組織を励起し、後で永久磁石アセンブリに近い組織、例えばスライスnの位置の組織を励起する。別の言い方をすると、隣接するスライスは、近位スライスと遠位スライスを含み、近位スライスは、遠位スライスよりも磁気撮像装置のより近くに位置し、遠位スライス内のターゲットは、近位スライス内のターゲットの前に励起される。チャープパルスの周波数範囲は、撮像されるスラブのスライスに対応することができる。
【0068】
再び図13を参照すると、第一のパルス902は、低から高へ設定された掃引方向を有する、チャープ励起パルスである。このパルスは、永久磁石アセンブリからより遠くのスライス内の組織を励起し、その後、永久磁石アセンブリに近いスライス内の組織を励起する。チャープ励起中の位相符号化により、様々な周波数で蓄積される様々な量の位相がある。具体的には、永久磁石アセンブリからさらに遠いスライスは、永久磁石アセンブリにより近いスライスよりもより多くの位相を蓄積する。別の言い方をすると、永久磁石アセンブリからより遠位にあるスライス内のターゲットは、永久磁石アセンブリにより近位にあるスライス内のターゲットよりもより多くの位相を蓄積する。各スライスに蓄積される位相の調整と共に、周波数掃引励起パルス中の位相符号化は、各スライスの位相を考慮し、エコーが取得ウィンドウ810の外側へドリフトしないようにすることができる(図12)。Z軸に沿ったスライスの視野の変化を考慮した後、スライスをスラブに結合して、各スライスの対象物のスケールが同じサイズである高品質のアキシャル画像を生成できる。
【0069】
図15は、Z軸に沿ったスライス内の変化する視野を考慮するパルスシーケンス内の工程のフロー図1100である。1110で、プロセスは、Z軸(図1)に対して磁気撮像装置の片面から視野内に延在する固有の勾配磁場の生成時に開始する。次に、1120で、低周波数から高周波数への掃引を含む、周波数掃引励起パルスが送出される。このパルスは、最初に片面式MRIスキャナーからより遠くの位置/スライスの組織を励起し、最後にMRIスキャナーにより近い位置の組織を励起する。1130で、位相符号化は、1120の周波数掃引励起パルス中に開始する。位相符号化は、周波数掃引励起パルス中に行われて、周波数掃引の異なる周波数で異なる量の位相を蓄積することができる。スライスは周波数に関連しており、磁気撮像装置から遠い周波数は、撮像装置により近いスライスよりもより多くの位相を蓄積する。最後に、1140で、周波数掃引励起パルス中に蓄積された位相の量は、磁石のZ軸に沿ったX-Y平面に均一な量の位相を適用するように調整される。別の言い方をすると、周波数掃引中にスライス内に蓄積される位相の量は、各スライスに対する変化する視野を調整できるように調整される。例えば、調整は、X-YまたはY-Z面に沿って2D画像を収集しながら、チャープパルス中に印加される勾配パルスの出力を調整することによって実行されることができる。勾配パワーは、対象物のサイズがZ軸に沿って変化しなくなくまで増加させることができる。調整工程の後、信号はチャープエコートレインで読み取られる。例えば、変化する視野を考慮する目的は、各スライス内の対象物に同じスケールを持たせることである。視野の変化を考慮しないと、勾配によって視野がどのように変化したかによって、隣接するスライス内の対象物が大きく見えたりまたは小さく見えたりする可能性がある。異なる視野のスライスを結合すると、アキシャル画像またはスラブがぼやける。Z軸に沿った視野の変化を考慮すると、スライスを結合して高品質のアキシャル画像またはスラブにすることができる。
【0070】
このように画像を符号化することによって、片面式MRIシステムのいくつかの問題を解決することができ、これにより、片面式MRIシステムをより広く適用することができる。この方法で符号化すると、スピンエコーがドリフトするのを防ぐことができ、これにより、スピンエコーが取得ウィンドウから離れるのを防ぐことができる。これにより、k空間が切り捨てられるのをさらに防ぐことができるため、片面式MRIシステムでより高解像度の画像を収集できる。視野はZ軸に沿って変化するのを止めることもでき、これにより、Z軸に沿った画像スライスの結合がより効率的になり、SNRがより高くなりスキャン時間がより短くなる。
【0071】
図16は、画像スライス集1200を示す。上段1210の画像A、B、およびCは、Z軸に沿って変化するXおよびY勾配で収集された3D画像からの軸スライスも示す。上段1210の画像AおよびBに示すように、勾配が著しく変化する場合、軸方向のスライスはぼやけて見える。上段1210の画像Cに示すように、勾配の変動が減少する場合、画像はよりシャープに見える。視野が変化する撮像では、異なる視野のスライスを結合するとアキシャル画像がぼやけるため、画質を大幅に低下させることなく使用できる最大スライス厚が制限される。下段1220は、上段1210と同じ3D画像から切り取られた三つのコロナルスライスを示す。ファントムは、画像DとEに関して一つの軸に沿ってサイズが明らかに変化する。サイズの変化は、視野の変化による。画像Fは、変化する視野が図15に記載されるプロセスによって考慮される場合の対象物を示している。
【0072】
同様に、図17は、図15に記載されるプロセスによって考慮される視野を有する画像スライス集1300を示している。フロー図1100のプロセスを使用した撮像により、様々なスライス全体で一貫した視野が得られる。これにより、画像をぼかすことなく、スライスを結合することができる。フロー図1100のプロセスを用いた撮像はまた、エコーを時間で整列させ、取得ウィンドウの外側にエコーがドリフトするのを防ぎ、解像度を向上させる。
【0073】
前述のプロセスおよび技術は、他の片面式スキャナーおよび/または不均一な磁場で利用されることもでき、より高速なデータおよび/または画像の取得を可能にする。
【実施例
【0074】
本明細書に記載の主題の様々な態様が、以下の番号の付いた実施例に記載される。
【0075】
実施例1
片面式磁気撮像装置を用いて少なくとも二つのスライスを有するスラブを撮像する方法であって、固有の勾配磁場は、磁気撮像装置から視野内に延在し、該方法は、低周波数から高周波数への掃引を含む周波数掃引励起パルスを送出することと、周波数掃引励起パルス中に位相符号化することと、周波数掃引励起パルス中に、スラブ内の隣接するスライスから蓄積される位相の量を調整することと、を含む、方法。
【0076】
実施例2
隣接するスライスは、近位スライスおよび遠位スライスを含み、近位スライスは遠位スライスよりも磁気撮像装置のより近くに位置し、遠位スライス内のターゲットは、近位スライス内のターゲットの前に励起される、実施例1に記載の方法。
【0077】
実施例3
方法は、遠位スライス内のターゲットが近位スライス内のターゲットと同じ位相を蓄積するように、固有の勾配磁場を補正するように構成される、実施例2に記載の方法。
【0078】
実施例4
異なる量の位相が、周波数掃引中の異なる周波数に適用される、実施例1、2、および3のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
実施例5
周波数掃引励起パルス中の位相符号化は、エコーが取得ウィンドウの外側にドリフトするのを防ぐ、実施例1、2、3、および4のいずれか一項に記載の方法。
【0080】
実施例6
高解像度画像が、k空間の切り捨てなしに、片面式磁気撮像装置で収集される、実施例1、2、3、4、および5のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
実施例7
視野における磁場強度が1テスラ未満である、実施例1、2、3、4、5、および6のいずれか一項に記載の方法。
【0082】
実施例8
磁場の不均一性が200ppm~200,000ppmである、実施例1、2、3、4、5、6、および7のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
実施例9
磁気撮像装置であって、永久磁石と、勾配コイルセットと、電磁石と、無線周波数コイルであって、固有の勾配磁場が、第一の軸に対して磁気撮像装置から視野内に延在し、第一の軸が永久磁石に垂直である、無線周波数コイルと、少なくとも二つのスライスを有するスラブを撮像するように構成される制御回路であって、撮像することが、低周波数から高周波数への掃引を含む周波数掃引励起パルスを送出することと、周波数掃引励起パルス中に位相符号化することと、周波数掃引励起パルス中に、スラブ内の隣接するスライスから蓄積される位相の量を調整することと、を含む、制御回路と、を備える、磁気撮像装置。
【0084】
実施例10
隣接するスライスは、近位スライスおよび遠位スライスを含み、近位スライスは遠位スライスよりも磁気撮像装置の近くに位置し、遠位スライス内のターゲットは、近位スライス内のターゲットの前に励起される、実施例9に記載の磁気撮像装置。
【0085】
実施例11
異なる量の位相が、異なる周波数に適用される、実施例10に記載の磁気撮像装置。
【0086】
実施例12
遠位スライス内のターゲットは、近位スライス内のターゲットと同じ位相を蓄積する、実施例11に記載の磁気撮像装置。
【0087】
実施例13
周波数掃引励起パルス中の位相符号化は、エコーが取得ウィンドウの外側にドリフトするのを防ぐ、実施例9、10、11、および12のいずれか一項に記載の磁気撮像装置。
【0088】
実施例14
高解像度画像が、k空間の切り捨てなしに、片面式磁気撮像装置で収集される、実施例9、10、11、12、および13のいずれか一項に記載の磁気撮像装置。
【0089】
実施例15
視野内の磁場強度が1テスラ未満である、実施例9、10、11、12、13、および14のいずれか一項に記載の磁気撮像装置。
【0090】
実施例16
磁場の不均一性が、200ppm~200,000ppmである、実施例9、10、11、12、13、14,および15のいずれか一項に記載の磁気撮像装置。
【0091】
実施例17
無線周波数コイルが無線周波数送信コイルおよび無線周波数受信コイルを備える、実施例9、10、11、12、13、14、15、および16のいずれか一項に記載の磁気撮像装置。
【0092】
いくつかの形態が例示および説明されているが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限または限定することは出願人の意図ではない。それらの形態に対する多数の修正、変形、変更、置換、組み合わせ、およびそれらの形態の等価物が実施されてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく、当業者によって想到されるであろう。さらに、記載された形態に関連する各要素の構造は、代替的に、要素によって実行される機能を提供するための手段として説明されることができる。また、特定の構成要素について材料が開示されている場合、他の材料を使用することができる。したがって、前述の説明および添付の特許請求の範囲は、すべてのこのような修正、組み合わせ、および変形を、開示される形態の範囲内に含まれるものとして網羅することを意図するものであることを理解するべきである。添付の特許請求の範囲は、すべてのこのような修正、変形、変更、置換、修正、および等価物を網羅することを意図している。
【0093】
前述の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、および/または実施例を使用することにより、デバイスおよび/またはプロセスの様々な形態を記載してきた。このようなブロック図、フローチャート、および/または実施例が一つまたは複数の機能および/または動作を含む場合、このようなブロック図、フローチャート、および/または実施例の各機能および/または動作は、個々のおよび/または集合的に、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または実質的に任意のそれらの組み合わせによって実行されることができることを、当業者によって理解されるであろう。当業者は、本明細書に開示される形態のいくつかの態様は、全体的または部分的に、一つまたは複数のコンピューター上で稼働する一つまたは複数のコンピュータープログラムとして(例えば、一つまたは複数のコンピューターシステム上で稼働する一つまたは複数のプログラムとして)、一つまたは複数のプロセッサーで稼働する一つまたは複数のプログラムとして(例えば、一つまたは複数のマイクロプロセッサで稼働する一つまたは複数のプログラムとして)、ファームウェアとして、または実質的にそれらの任意の組み合わせとして、集積回路に同等に実装されることができることと、回路を設計すること、および/またはソフトウェアおよび/またはファームウェアのためのコードを書くこととは、本開示に照らして当業者の技能の範囲内で十分であろうことを認識するであろう。さらに、当業者は、本明細書に記載の主題の機構が、様々な形態で一つまたは複数のプログラム製品として分配されることができ、本明細書に記載の主題の例示的な形態が、実際に分配を実行するために使用される特定のタイプの信号担持媒体にかかわらず適用されることを理解するであろう。
【0094】
ロジックをプログラムして様々な開示された態様を実行するために使用される命令は、システム内のメモリー、例えばダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリー、または他のストレージ内に格納されることができる。さらに、命令は、ネットワークを介して、または他のコンピューター可読媒体を介して分配することができる。したがって、機械可読媒体は、機械(例えば、コンピューター)によって可読可能な形式で情報を格納または伝達するための任意の機構、例えばフロッピーディスク、光ディスク、コンパクトディスク、読み取り専用メモリー(CD-ROM)、および磁気光ディスク、読み取り専用メモリー(ROM)、ランダムアクセスメモリー(RAM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリー(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリー(EEPROM)、磁気もしくは光学カード、フラッシュメモリー、または、電気的、光学的、音響的、または他の形式の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)を介してインターネットを介した情報の伝達に使用される有形の機械可読ストレージ、を含むことができるが、これらに限定されない。したがって、非一時的なコンピューター可読媒体は、機械(例えば、コンピューター)によって読み出し可能な形式で電子命令または情報を格納または伝達するのに好適な任意のタイプの有形の機械可読媒体を含む。
【0095】
本明細書の任意の態様で使用される場合、用語「制御回路」は、例えば配線された回路、プログラム可能な回路(例えば、一つまたは複数の個々の命令処理コアを含むコンピュータープロセッサーと、処理ユニット、プロセッサー、マイクロコントローラー、マイクロコントローラーユニット、コントローラー、デジタル信号プロセッサー(DSP)、プログラム可能論理装置(PLD)、プログラム可能論理アレイ(PLA)、またはフィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、ステートマシン回路、プログラム可能回路によって実行される命令を格納するファームウェア、およびそれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的にまたは個別に、より大きなシステム、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、タブレットコンピューター、サーバー、スマートフォン等の一部を形成する回路として具現化されることができる。したがって、本明細書で使用する場合、「制御回路」は、少なくとも一つのディスクリート電気回路を有する電気回路と、少なくとも一つの集積回路を有する電気回路と、少なくとも一つの特定用途向け集積回路を有する電気回路と、コンピュータープログラムによって構成される汎用コンピューティングデバイス(例えば、本明細書に記載のプロセスおよび/もしくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータープログラムによって構成される汎用コンピューター、または本明細書に記載のプロセスおよび/もしくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータープログラムによって構成されるマイクロプロセッサ)を形成する電気回路と、メモリデバイスを形成する電気回路(例えば、ランダムアクセスメモリの形式)と、およびに/または通信デバイスを形成する電気回路(例えば、モデム、通信スイッチ、または光電気機器)と、を含むが、これらに限定されない。当業者は、本明細書に記載の主題が、アナログもしくはデジタル方式またはそれらのいくつかの組み合わせで実行されることができることを認識するであろう。
【0096】
本明細書の任意の態様で使用する場合、用語「ロジック」は、前述の動作のいずれかを実行するように構成されるアプリ、ソフトウェア、ファームウェア、および/または回路を指す場合がある。ソフトウェアは、ソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、および/または非一時的コンピューター可読記憶媒体に記録されたデータとして具現化されることができる。ファームウェアは、メモリデバイス内でハードコードされた(例えば、不揮発性の)コード、命令もしくは命令セット、および/またはデータとして具現化されることができる。
【0097】
本明細書の任意の態様で使用する場合、用語「構成要素」、「システム」、「モジュール」等は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかである、コンピューター関連の実体を指すことができる。
【0098】
本明細書の任意の態様で使用する場合、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、格納、伝達、結合、比較、およびその他の方法で操作できる電気または磁気信号の形態をとることができる物理量および/または論理状態の操作を指す。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数字等と呼ぶのが一般的な使用法である。これらの用語および類似の用語は、好適な物理量と関連付けられてもよく、これらの量および/または状態に適用される単に便利な表示である。
【0099】
ネットワークは、パケット交換ネットワークを含む場合がある。通信デバイスは、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して互いに通信することができる可能性がある。一例の通信プロトコルは、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを含むことができる。イーサネットプロトコルは、2008年12月に発行された、「IEEE 802.3 Standard」と題する米国電気電子学会(IEEE)によって公開されたイーサネット規格、および/またはこの規格のそれ以降のバージョンに準拠しても、または互換性があってもよい。代替的にまたは追加的に、通信デバイスは、X.25通信プロトコルを使用して相互に通信することができる。X.25通信プロトコルは、国際電気通信連合電気通信標準化部門(ITU-T)によって公表された規格に準拠しても、または互換性があってもよい。代替的にまたは追加的に、通信デバイスは、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、国際電信電話諮問委員会(CCITT)および/または米国規格協会(ANSI)によって公表された規格に準拠しても、または互換性があってもよい。代替的にまたは追加的に、トランシーバは、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。ATM通信プロトコルは、「ATM-MPRS Network Interworking 2.0」と題する2001年8月にATMフォーラムによって公開されたATM規格、および/または本規格のそれ以降のバージョンに準拠しても、または互換性があってもよい。もちろん、異なる、および/または後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコル、本明細書で同様に考えられる。
【0100】
特に記載のない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理する」、「計算する」、「算出する」、「決定する」、「表示する」などの用語を使用する考察は、コンピューターシステムのレジスタおよびメモリー内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピューターシステムのメモリーもしくはレジスタまたは他のこのような情報ストレージ、伝達もしくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピューターシステムまたは類似の電子計算装置の動作および処理を指していることが理解される。
【0101】
本明細書では、一つまたは複数の構成要素を、「構成される」、「構成可能な」、「動作可能/動作可能な」、「適応/適応可能な」、「可能」、「適合/適合する」等と呼ぶことができる。当業者は、文脈上別段の必要がない限り、「構成される」は、通常、アクティブ状態の構成要素および/または非アクティブ状態の構成要素および/またはスタンバイ状態の構成要素を包含することができることを認識するであろう。
【0102】
用語「近位」および「遠位」は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分またはハウジングを操作する臨床医を基準にして使用される。用語「近位」は、臨床医におよび/またはロボットアームに最も近い部分を指し、用語「遠位」は、臨床医および/またはロボットアームから離れた所に位置する部分を指す。さらに、便宜上および明確にするために、空間用語、例えば、「垂直」、「水平」、「上」、および「下」が、図面に関して本明細書で使用されることができることが理解されよう。ただし、ロボット手術器具は多くの向きと位置で使用されており、これらの用語は限定的および/または絶対的なものであることを意図するものではない。
【0103】
当業者は、一般的に、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、通常「オープンな」用語として意図されていること(例えば、用語「含む」は、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「備える」は「備えるがこれに限定されない」と解釈されるべきである、等)を認識するであろう。導入された請求項に記載の特定の数が意図されている場合、このような意図は請求項に明示的に記載され、このような記載がない場合、このような意図は存在しないことが当技術分野の人々によってさらに理解されるであろう。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記載を導入するための導入句「少なくとも一つ」および「一つまたは複数」の使用を含む場合がある。しかし、このような語句の使用は、同じ請求項が導入句「一つまたは複数」または「少なくとも一つ」および不定冠詞、例えば「a」または「an」(例えば、「a」および/または「an」は一般的に、「少なくとも一つ」または「一つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである)を含む場合でも、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入は、このように導入された請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、このような記載を一つだけ含む請求項に制限する、ことを意味するものと解釈されるべきではない。同じことが、請求項の記載を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。
【0104】
さらに、導入された請求項に記載の特定の数が明示的に記載されている場合でも、当業者は、このような記載は通常、少なくとも記載された数を意味すると解釈するべきである(例えば、他の修飾語のない、「二つの記載」だけの記載は、通常、少なくとも二つの記載、または二つ以上の記載を意味する)ことを認識するであろう。さらに、「A、B、およびC等のうちの少なくとも一つ」に類似する慣例が使用されるそれら例では、一般的に、そのような構成は、当業者が慣例(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも一つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの併用、AとCの併用、BとCの併用、および/またはA、B、およびCの併用等、を有するシステムを備えるが、これらに限定されないであろう)を理解するであろうという意味で意図されている。「A、B、およびC等のうちの少なくとも一つ」に類似する慣例が使用されるそれらの例では、一般的に、そのような構成は、当業者が慣例(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも一つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの併用、AとCの併用、BとCの併用、および/またはA、B、およびCの併用等、を有するシステム」を備えるが、これらに限定されないであろう)を理解するであろうという意味で意図されている。説明、特許請求の範囲、または図面のいずれにおいて、通常、二つ以上の代替的な用語を提示する離接的な単語および/または語句は、文脈上別段の指示がない限り、用語のうちの一つ、用語のうちのいずれか、または両方の用語を含む可能性を考慮すると理解されるべきことは、当業者にさらに理解されるであろう。例えば、語句「AまたはB」は、通常は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解されるであろう。
【0105】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、その中に記載される工程が一般的に概ね任意の順序で実行されてもよいことを理解するであろう。また、様々な工程フロー図が順番に示されているが、様々な工程は、例示されたもの以外の順序で実行されてもよく、または同時に実行されてもよいことは言うまでもない。このような代替的順序の例としては、文脈上別段の指示がない限り、重複、断続、中断、再順序付け、増加、予備、補足、同時、逆、またはその他の変形の順序付けが挙げられる。さらに、文脈上別段の指示がない限り、「応答する」、「関連する」、または他の過去形の形容詞等のような用語は、通常、このような変形を除外することを意図していない。
【0106】
「一態様」、「態様」、「例」、「一例」等への言及は、その態様に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも一つの態様に含まれることを意味することに留意されたい。したがって、本明細書全体の処々で見られる句「一態様では」、「態様では」、「例では」、および「一例では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造または特性を、一つまたは複数の態様では任意の好適な方法で組み合わせてもよい。
【0107】
本明細書で言及されている、および/または出願データシートに記載されている特許出願、特許、非特許公開、または他の開示資料は、組み込まれた資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。そのため、および必要な範囲で、本明細書に明示的に記載の本開示は、参照により本明細書に組み込まれるいかなる矛盾する資料に優先する。あらゆる資料またはその一部は、参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に記載されている既存の定義、論述、または他の開示資料と矛盾するあらゆる資料またはその一部は、その組み込まれた資料と既存の開示資料との間にいかなる矛盾も生じない範囲でのみ、組み込まれることになる。
【0108】
要約すると、本明細書に記載の概念を採用することから生じる多くの利点が説明されている。一つまたは複数の形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。これは開示されている正確な形式を網羅または限定することを意図したものではない。上記の教示の観点から、修正または変形が可能である。一つまたは複数の形態は、原理および実際の適用を説明するために選択および説明され、それにより当業者が、様々な修正を加えた様々な形態を、企図される特定の用途に好適なものとして利用することができる。ここに提出された特許請求の範囲は、全体的な範囲を定義することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
要約すると、本明細書に記載の概念を採用することから生じる多くの利点が説明されている。一つまたは複数の形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。これは開示されている正確な形式を網羅または限定することを意図したものではない。上記の教示の観点から、修正または変形が可能である。一つまたは複数の形態は、原理および実際の適用を説明するために選択および説明され、それにより当業者が、様々な修正を加えた様々な形態を、企図される特定の用途に好適なものとして利用することができる。ここに提出された特許請求の範囲は、全体的な範囲を定義することを意図している。
なお、国際出願時の明細書は、以下の項目を包含している。
[1]片面式磁気撮像装置を用いて少なくとも二つのスライスを有するスラブを撮像する方法であって、固有の勾配磁場が、前記磁気撮像装置から視野内に延在し、前記方法は、
低周波数から高周波数への掃引を含む周波数掃引励起パルスを送出することと、
前記周波数掃引励起パルス中に位相符号化することと、
前記周波数掃引励起パルス中に、前記スラブ内の隣接するスライスから蓄積される位相の量を調整することと、を含む、方法。
[2]前記隣接するスライスは、近位スライスおよび遠位スライスを備え、前記近位スライスは前記遠位スライスよりも前記磁気撮像装置のより近くに位置し、前記遠位スライス内のターゲットは、前記近位スライス内のターゲットの前に励起される、[1]に記載の方法。
[3]前記方法は、前記遠位スライス内の前記ターゲットが前記近位スライス内の前記ターゲットと同じ位相を蓄積するように、前記固有の勾配磁場を補正するように構成される、[2]に記載の方法。
[4]異なる量の位相が、前記周波数掃引中の異なる周波数に適用される、[1]に記載の方法。
[5]前記周波数掃引励起パルス中の前記位相符号化は、エコーが取得ウィンドウの外側にドリフトするのを防ぐ、[1]に記載の方法。
[6]高解像度画像が、k空間の切り捨てなしに、前記片面式磁気撮像装置で収集される、[1]に記載の方法。
[7]前記視野における前記磁場強度が、1テスラ未満である、[1]に記載の方法。
[8]前記磁場の不均一性が200ppm~200,000ppmである、[1]に記載の方法。
[9]磁気撮像装置であって、
永久磁石と、
勾配コイルセットと、
電磁石と、
無線周波数コイルであって、固有の勾配磁場が、第一の軸に対して前記磁気撮像装置から前記視野内に延在し、前記第一の軸が前記永久磁石に垂直である、無線周波数コイルと、
少なくとも二つのスライスを有するスラブを撮像するように構成される制御回路であって、前記撮像することが、
低周波数から高周波数への掃引を含む周波数掃引励起パルスを送出することと、
前記周波数掃引励起パルス中に位相符号化することと、
前記周波数掃引励起パルス中に、前記スラブ内の隣接するスライスから蓄積される位相の量を調整することと、を含む、制御回路と、を備える、磁気撮像装置。
[10]前記隣接するスライスは、近位スライスおよび遠位スライスを備え、前記近位スライスは前記遠位スライスよりも前記磁気撮像装置のより近くに位置し、前記遠位スライス内のターゲットは、前記近位スライス内のターゲットの前に励起される、[9]に記載の磁気撮像装置。
[11]異なる量の位相が、異なる周波数に適用される、[9]に記載の磁気撮像装置。
[12]前記遠位スライス内の前記ターゲットが、前記近位スライス内の前記ターゲットと同じ位相を蓄積する、[11]に記載の磁気撮像装置。
[13]前記周波数掃引励起パルス中の前記位相符号化は、エコーが取得ウィンドウの外側にドリフトするのを防ぐ、[9]に記載の磁気撮像装置。
[14]高解像度画像が、k空間の切り捨てなしに前記片面式磁気撮像装置で収集される、[9]に記載の磁気撮像装置。
[15]前記視野における磁場強度が、1テスラ未満である、[9]に記載の磁気撮像装置。
[16]前記磁場の前記不均一性が、200ppm~200,000ppmである、[9]に記載の磁気撮像装置。
[17]前記無線周波数コイルが、無線周波数送信コイルおよび無線周波数受信コイルを備える、[9]に記載の磁気撮像装置。
【国際調査報告】