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特表2023-516497IL33にリスクアレルを有する対象を治療するための治療方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】IL33にリスクアレルを有する対象を治療するための治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230412BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20230412BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20230412BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20230412BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230412BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230412BHJP
   C12Q 1/6883 20180101ALN20230412BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20230412BHJP
   C07K 16/24 20060101ALN20230412BHJP
【FI】
A61K45/00
C12Q1/6869 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6813 Z
A61P11/06
A61K39/395 N
A61K39/395 D
C12Q1/6883 Z ZNA
C12N15/09 Z
C07K16/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554540
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2021056212
(87)【国際公開番号】W WO2021180858
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】62/988,993
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
【住所又は居所原語表記】1 Francis Crick Avenue, Cambridge Biomedical Campus, Cambridge CB2 0AA, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】プラット,アダム サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ムタス,ハンス ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ガバラ,モニカ リン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジンヤ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルギ,ベンヤミン フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】ディン,メイ
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA05
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA621
4C084ZA622
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC21
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、インターロイキン(IL)-33媒介性障害に罹患している患者を治療する方法及び患者が、IL-33媒介性障害に罹患するリスクが増大しているか否かを判定するための方法又は障害に罹患している患者が、抗IL-33療法に応答する増大した可能性を有するか否かを判定するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喘息に罹患している患者を治療するための方法であって、IL-33軸結合アンタゴニストを前記患者に投与することを含み、前記患者の遺伝子型は、表1に定義されるクラスター2多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、方法。
【請求項2】
喘息に罹患している患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があるか否かを判定するための方法であって、(a)前記患者由来の試料において、表1に定義される少なくとも1つのクラスター2多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を判定すること;(b)前記遺伝子型に基づいて、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があると前記患者を同定することを含み、クラスター2多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの存在は、前記患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す、方法。
【請求項3】
患者が、喘息のリスクが増大しているか否かを判定するための方法であって、前記患者から得られた試料から、表1に定義される少なくとも1つのクラスター2多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を同定することを含み、前記患者の遺伝子型が、表1に定義される少なくとも1つのクラスター2多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含む場合、前記患者は、IL-33媒介性障害のリスクが増大している、方法。
【請求項4】
IL-33軸結合アンタゴニストを前記患者に投与することを更に含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記IL-33媒介性障害は、早期発症喘息である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)におけるGアレル、多型rs1888909(配列番号44)におけるTアレル、多型rs992969(配列番号45)におけるAアレル、多型rs3939286(配列番号46)におけるTアレル、多型rs2381416(配列番号47)におけるCアレル、多型rs928412(配列番号48)におけるAアレル、多型rs7848215(配列番号49)におけるTアレル、多型rs7046661(配列番号82)におけるCアレル、多型rs10815363(配列番号83)におけるTアレル、多型rs62558407(配列番号84)におけるTアレル、多型rs1475658(配列番号85)におけるTアレル及び多型rs10975481(配列番号86)におけるGアレルから選択される多型の少なくとも1つのアレルを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレル、多型rs1888909(配列番号44)における2つのTアレル、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレル、多型rs3939286(配列番号46)における2つのTアレル、多型rs2381416(配列番号47)における2つのCアレル、多型rs928412(配列番号48)における2つのAアレル及び多型rs7848215(配列番号49)における2つのTアレル、多型rs7046661(配列番号82)における2つのCアレル、多型rs10815363(配列番号83)における2つのTアレル、多型rs62558407(配列番号84)における2つのTアレル、多型rs1475658(配列番号85)における2つのTアレル及び多型rs10975481(配列番号86)における2つのGアレルから選択される多型の少なくとも2つのアレルを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における少なくとも1つのGアレル、多型rs992969(配列番号45)における少なくとも1つのAアレル、多型rs7046661(配列番号82)におけるCアレル、多型rs10815363(配列番号83)におけるTアレル、多型rs62558407(配列番号84)におけるTアレル、多型rs1475658(配列番号85)におけるTアレル及び多型rs10975481(配列番号86)におけるGアレルを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレル、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレル、多型rs7046661(配列番号82)における2つのCアレル、多型rs10815363(配列番号83)における2つのTアレル、多型rs62558407(配列番号84)における2つのTアレル、多型rs1475658(配列番号85)における2つのTアレル及び多型rs10975481(配列番号86)における2つのGアレルを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs1475658(配列番号85)における1つ又は2つのTアレルを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記患者の前記遺伝子型は、表2に定義されるクラスター3多型の少なくとも1つのアレル若しくはそれと連鎖不平衡にある少なくとも1つの多型を更に含み、及び/又は前記遺伝子型は、表3に定義されるクラスター1多型の少なくとも1つのアレル若しくはそれと連鎖不平衡にある少なくとも1つの多型を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
喘息に罹患している患者を治療するための方法であって、IL-33軸結合アンタゴニストを前記患者に投与することを含み、前記患者の遺伝子型は、表2に定義されるクラスター3多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、方法。
【請求項13】
喘息に罹患している患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があるか否かを判定するための方法であって、(a)前記患者由来の試料において、表2に定義される少なくとも1つのクラスター3多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を判定すること;(b)前記遺伝子型に基づいて、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があると前記患者を同定することを含み、クラスター3多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの存在は、前記患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す、方法。
【請求項14】
患者が、喘息のリスクが増大しているか否かを判定するための方法であって、前記患者から得られた試料から、表2に定義される少なくとも1つのクラスター3多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を同定することを含み、前記患者の遺伝子型が、表2に定義される少なくとも1つのクラスター3多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含む場合、前記患者は、IL-33媒介性障害のリスクが増大している、方法。
【請求項15】
IL-33軸結合アンタゴニストを前記患者に投与することを更に含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記喘息は、早期発症喘息である、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル、多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル、多型rs552376976(配列番号87)におけるTアレル及び多型rs13298116(配列番号88)におけるTアレルから選択される多型の少なくとも1つのアレルを含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs72699186(配列番号51)における2つのTアレル、多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル、多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル、多型rs144829310(配列番号50)における2つのTアレル、多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレル、多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレル、多型rs552376976(配列番号87)における2つのTアレル及び多型rs13298116(配列番号88)における2つのTアレルから選択される多型の少なくとも2つのアレルを含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs13298116(配列番号88)における1つ又は2つのTアレルを含む、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記患者の前記遺伝子型は、表1に定義されるクラスター2多型の少なくとも1つのアレル若しくはそれと連鎖不平衡にある少なくとも1つの多型を更に含み、及び/又は前記遺伝子型は、表3に定義されるクラスター1多型の少なくとも1つのアレル若しくはそれと連鎖不平衡にある少なくとも1つの多型を更に含む、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
喘息に罹患している患者を治療するための方法であって、IL-33軸結合アンタゴニストを前記患者に投与することを含み、前記患者の遺伝子型は、表3に定義されるクラスター1多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、方法。
【請求項22】
喘息に罹患している患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があるか否かを判定するための方法であって、(a)前記患者由来の試料において、表3に定義される少なくとも1つのクラスター1多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を判定すること;(b)前記遺伝子型に基づいて、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があると前記患者を同定することを含み、クラスター1多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの存在は、前記患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す、方法。
【請求項23】
患者が、喘息のリスクが増大しているか否かを判定するための方法であって、前記患者から得られた試料から、表3に定義される少なくとも1つのクラスター1多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を同定することを含み、前記患者の遺伝子型が、表3に定義される少なくとも1つのクラスター1多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含む場合、前記患者は、IL-33媒介性障害のリスクが増大している、方法。
【請求項24】
IL-33軸結合アンタゴニストを前記患者に投与することを更に含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記喘息は、早期発症喘息である、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル及び多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含む、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレル、多型rs10975504(配列番号61)における2つのGアレル、多型rs10815393(配列番号62)における2つのCアレル、多型rs12339348(配列番号63)における2つのTアレル、多型rs7035413(配列番号64)における2つのGアレル、多型rs17498196(配列番号65)における2つのCアレル、多型rs17582919(配列番号66)における2つのCアレル、多型rs10815391(配列番号67)における2つのGアレル、多型rs10815392(配列番号68)における2つのCアレル、多型rs72689561(配列番号69)における2つのCアレル、多型rs7038893(配列番号70)における2つのCアレル及び多型rs112935616(配列番号71)における2つのTアレルから選択される多型における2つのアレルを含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs7038893(配列番号70)における1つ又は2つのCアレルを含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記患者の前記遺伝子型は、表1に定義されるクラスター2多型の少なくとも1つのアレル若しくはそれと連鎖不平衡にある少なくとも1つの多型を更に含み、及び/又は前記遺伝子型は、表2に定義されるクラスター3多型の少なくとも1つのアレル若しくはそれと連鎖不平衡にある少なくとも1つの多型を更に含む、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記クラスター2、3又は1多型と連鎖不平衡にある前記多型は、0.4、任意選択で0.6以上のD’値を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記D’値は、0.8以上である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs370820588(配列番号75)におけるCアレル、多型rs143215670(配列番号76)におけるCアレル、多型rs343478(配列番号77)におけるAアレル、多型rs146597587(配列番号79)におけるCアレル及び/又は多型rs10975519(配列番号80)におけるTアレルを含まない、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs370820588(配列番号75)における2つのCアレル、多型rs143215670(配列番号76)における2つのCアレル、多型rs343478(配列番号77)における2つのAアレル、多型rs146597587(配列番号79)における2つのCアレル及び/又は多型rs10975519(配列番号80)における2つのTアレルを含まない、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
喘息を有する患者の治療に使用するための、IL-33軸結合アンタゴニストを含む組成物であって、治療される前記患者の遺伝子型は、表1に定義されるクラスター2多型の少なくとも1つのアレル又は表1に定義されるクラスター2多型と連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、組成物。
【請求項35】
喘息に罹患している患者の治療に使用するための薬剤の製造におけるIL-33軸結合アンタゴニストの使用であって、治療される前記患者の遺伝子型は、表1に定義されるクラスター2多型の少なくとも1つのアレル又は表1に定義されるクラスター2多型と連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、使用。
【請求項36】
喘息を有する患者の治療に使用するための、IL-33軸結合アンタゴニストを含む組成物であって、治療される前記患者の遺伝子型は、表2に定義されるクラスター3多型の少なくとも1つのアレル又は表2に定義されるクラスター3多型と連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、組成物。
【請求項37】
喘息に罹患している患者の治療に使用するための薬剤の製造におけるIL-33軸結合アンタゴニストの使用であって、治療される前記患者の遺伝子型は、表2に定義されるクラスター3多型の少なくとも1つのアレル又は表2に定義されるクラスター3多型と連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、使用。
【請求項38】
喘息を有する患者の治療に使用するための、IL-33軸結合アンタゴニストを含む組成物であって、治療される前記患者の遺伝子型は、表3に定義されるクラスター1多型の少なくとも1つのアレル又は表3に定義されるクラスター1多型と連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、組成物。
【請求項39】
喘息に罹患している患者の治療に使用するための薬剤の製造におけるIL-33軸結合アンタゴニストの使用であって、治療される前記患者の遺伝子型は、表3に定義されるクラスター1多型の少なくとも1つのアレル又は表3に定義されるクラスター1多型と連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、使用。
【請求項40】
前記喘息は、早期発症喘息である、請求項34~39のいずれか一項に記載の使用のための組成物又は使用。
【請求項41】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs370820588(配列番号75)におけるCアレル、多型rs143215670(配列番号76)におけるCアレル、多型rs343478(配列番号77)におけるAアレル、多型rs10118776(配列番号78)におけるGアレル、多型rs146597587(配列番号79)におけるCアレル、多型rs10975519(配列番号80)におけるTアレル及び/又は多型rs10815381(配列番号81)におけるGアレルを含まない、請求項34~40のいずれか一項に記載の使用のための組成物又は使用。
【請求項42】
前記患者の前記遺伝子型は、多型rs370820588(配列番号75)における2つのCアレル、多型rs143215670(配列番号76)における2つのCアレル、多型rs343478(配列番号77)における2つのAアレル、多型rs10118776(配列番号78)における2つのGアレル、多型rs146597587(配列番号79)における2つのCアレル、多型rs10975519(配列番号80)における2つのTアレル及び/又は多型rs10815381(配列番号81)における2つのGアレルを含まない、請求項34~41のいずれか一項に記載の使用のための組成物又は使用。
【請求項43】
前記IL-33結合アンタゴニストは、IL-33結合アンタゴニスト、ST-2結合アンタゴニスト又はIL-1RAcP結合アンタゴニストである、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法、使用のための組成物又は使用。
【請求項44】
前記IL-33結合アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法、使用のための組成物又は使用。
【請求項45】
前記IL-33結合アンタゴニストは、抗IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法、使用のための組成物又は使用。
【請求項46】
前記抗IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号37の配列を有するVHCDR1、配列番号38の配列を有するVHCDR2、配列番号39の配列を有するVHCDR3、配列番号40の配列を有するVLCDR1、配列番号41の配列を有するVLCDR2及び配列番号42の配列を有するVLCDR3を含む、請求項45に記載の方法、使用のための組成物又は使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年3月13日に出願された米国仮特許出願第62/988,993号明細書に対する優先権を主張する。この出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、インターロイキン(IL)-33媒介性障害に罹患している患者を治療する方法及び患者が、IL-33媒介性障害に罹患するリスクが増大しているか否かを判定するための方法又は障害に罹患している患者が、抗IL-33療法に応答する増大した可能性を有するか否かを判定するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン-33(IL-33)は、IL33遺伝子によってコードされるインターロイキン-1(IL-1)サイトカインファミリーのメンバーである。IL33は、平滑筋細胞、上皮細胞及び内皮細胞などの構造細胞を含む複数の細胞タイプにおいて構成的に発現される。IL-33の発現は、マクロファージ及び樹状細胞中の炎症性因子によっても誘導され得ることが報告されている。アレルゲン、毒素及び病原体などの環境誘因に起因する細胞ストレス並びに機構的損傷は、IL-33の放出を招き得る。遊離IL-33は、腫瘍形成抑制因子2(ST2)タンパク質及びインターロイキン-1受容体アクセサリータンパク質(IL-1 RAcP)から構成されるヘテロ二量体IL-33受容体複合体と会合し、アダプタータンパク質であるミエロイド系分化一次応答88(MyD88)及び場合によりMyD88アダプター様(Mal)タンパク質を介してAP-1及びNF-κB経路を活性化する。IL-33は、II型自然リンパ球(ILC2)、マスト細胞、好塩基球、好酸球及び樹状細胞を含む多数の細胞タイプを刺激して、免疫応答を促進する。
【0004】
より最近では、IL-33が還元型(red-IL-33)及び酸化型(ox-IL-33)の両方で存在することが見出された。RedIL33は、酸化前に約4時間の半減期で血清中に存在する。遊離のred-IL-33は、ST2経路を介してシグナル伝達するが、ox-IL33は、そうではない。逆に、ox-IL33は、終末糖化産物受容体(RAGE)に結合するが、red-IL-33は、結合しない。ox-IL33依存性のRAGEシグナル伝達は、上皮細胞の増殖及び遊走を阻害することが示されている。IL-33/RAGE媒介性シグナル伝達を阻害すると、上皮遊走を増強させることができ、これは、ox-IL33シグナル伝達の阻害が、例えば、損傷した上皮バリアの修復を増強させることにより、組織修復及び創傷治癒を促進するのに有益であり得ることを示唆している。
【0005】
したがって、red-IL-33及びox-IL-33の生物学的役割並びに異常なIL-33シグナル伝達の病理学的結果を考慮すると、IL33は、多数の疾患の治療に対する魅力的な標的である。特に興味深いことに、ゲノムワイド関連解析(GWAS)により、喘息、鼻ポリープ及びアレルギー性鼻炎を含む形質に関連するインターロイキン-33(IL33)並びに/又は喘息及び湿疹(例えば、アトピー性皮膚炎)に関連するIL1RL1(ST2をコードする遺伝子)における共通の遺伝子バリアントが同定されている。
【0006】
IL-33シグナル伝達に関連している多くの疾患において、依然として大きい臨床上の満たされていない必要性が存在する。例えば、コルチコステロイド抵抗性喘息は、依然として一般的であり、抗IL-5治療薬などの重度喘息の生物学的療法は、全ての患者で良好に機能しているわけではない。入手可能なエビデンスから、異なる喘息のエンドタイプが、異なる病理学的メカニズムによって引き起こされることが示唆される。IL-33シグナル伝達は、一部の喘息のエンドタイプで特に重要であるが、他のエンドタイプで重要ではない可能性がある。同様に、IL-33シグナル伝達は、COPD、喘息とCOPDとのオーバーラップ(ACO)及びアトピー性皮膚炎などの他の炎症性疾患の特定のエンドタイプにおいて重要であり得る可能性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、IL-33がいずれの疾患エンドタイプに対して大幅に寄与するか又は疾患病態を引き起こす可能性が最も高いかを識別することと、IL33優性疾患表現型を有する患者をより正確に同定することとが当技術分野において依然として必要とされている。効果的な患者選択戦略により、標的治療戦略が可能となり、患者転帰の改善がもたらされる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、インターロイキン(IL)-33媒介性障害に罹患している患者を治療する方法及び患者が、IL-33媒介性障害に罹患するリスクが増大しているか否かを判定する方法に関する。
【0009】
一態様では、IL-33媒介性障害に罹患している対象を治療するための方法であって、IL-33軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含み、患者の遺伝子型は、表1に定義されるクラスター2多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、方法が提供される。
【0010】
別の態様では、IL-33媒介性障害に罹患している患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があるか否かを判定するための方法であって、(a)患者由来の試料において、表1に定義される少なくとも1つのクラスター2多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を判定すること;(b)遺伝子型に基づいて、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があると患者を同定することを含み、クラスター2多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す、方法が提供される。
【0011】
別の態様では、患者が、IL-33媒介性障害のリスクが増大しているか否かを判定するための方法であって、患者から得られた試料から、表1に定義される少なくとも1つのクラスター2多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を同定することを含み、患者の遺伝子型が、表1に定義される少なくとも1つのクラスター2多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含む場合、患者は、IL-33媒介性障害のリスクが増大している、方法が提供される。
【0012】
別の態様では、IL-33媒介性障害に罹患している対象を治療するための方法であって、IL-33軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含み、患者の遺伝子型は、表2に定義されるクラスター3多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、方法が提供される。
【0013】
別の態様では、IL-33媒介性障害に罹患している患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があるか否かを判定するための方法であって、(a)患者由来の試料において、表2に定義される少なくとも1つのクラスター3多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を判定すること;(b)遺伝子型に基づいて、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があると患者を同定することを含み、クラスター3多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す、方法が提供される。
【0014】
別の態様では、患者が、IL-33媒介性障害のリスクが増大している否かを判定するための方法であって、患者から得られた試料から、表2に定義される少なくとも1つのクラスター3多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を同定することを含み、患者の遺伝子型が、表2に定義される少なくとも1つのクラスター3多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含む場合、患者は、IL-33媒介性障害のリスクが増大している、方法が提供される。
【0015】
別の態様では、IL-33媒介性障害に罹患している対象を治療するための方法であって、IL-33軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含み、患者の遺伝子型は、表3に定義されるクラスター1多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、方法が提供される。
【0016】
別の態様では、IL-33媒介性障害に罹患している患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があるか否かを判定するための方法であって、(a)患者由来の試料において、表3に定義される少なくとも1つのクラスター1多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を判定すること;(b)遺伝子型に基づいて、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があると患者を同定することを含み、クラスター1多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す、方法が提供される。
【0017】
別の態様では、患者が、IL-33媒介性障害のリスクが増大しているか否かを判定するための方法であって、患者から得られた試料から、表3に定義される少なくとも1つのクラスター1多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を同定することを含み、患者の遺伝子型が、表3に定義される少なくとも1つのクラスター1多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含む場合、患者は、IL-33媒介性障害のリスクが増大している、方法が提供される。
【0018】
別の態様では、IL-33媒介性障害を有する対象の治療に使用するための、IL-33軸結合アンタゴニストを含む組成物が提供され、ここで、治療される対象の遺伝子型は、表1に定義されるクラスター2多型の少なくとも1つのアレル又は表1に定義されるクラスター2多型と連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている。
【0019】
別の態様では、IL-33媒介性障害に罹患している対象の治療に使用するための薬剤の製造におけるIL-33軸結合アンタゴニストの使用が提供され、ここで、治療される対象の遺伝子型は、表1に定義されるクラスター2多型の少なくとも1つのアレル又は表1に定義されるクラスター2多型と連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている。
【0020】
別の態様では、IL-33媒介性障害を有する対象の治療に使用するための、IL-33軸結合アンタゴニストを含む組成物が提供され、ここで、治療される対象の遺伝子型は、表2に定義されるクラスター3多型の少なくとも1つのアレル又は表2に定義されるクラスター3多型と連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている。
【0021】
別の態様では、IL-33媒介性障害に罹患している対象の治療に使用するための薬剤の製造におけるIL-33軸結合アンタゴニストの使用が提供され、ここで、治療される対象の遺伝子型は、表2に定義されるクラスター3多型の少なくとも1つのアレル又は表2に定義されるクラスター3多型と連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている。
【0022】
別の態様では、IL-33媒介性障害を有する対象の治療に使用するための、IL-33軸結合アンタゴニストを含む組成物が提供され、ここで、治療される対象の遺伝子型は、表3に定義されるクラスター1多型の少なくとも1つのアレル又は表3に定義されるクラスター1多型と連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている。
【0023】
別の態様では、IL-33媒介性障害に罹患している対象の治療に使用するための薬剤の製造におけるIL-33軸結合アンタゴニストの使用が提供され、ここで、治療される対象の遺伝子型は、表3に定義されるクラスター1多型の少なくとも1つのアレル又は表3に定義されるクラスター1多型と連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている。
【0024】
本開示の例を、以下の図面を参照して単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】IL33経路リスクスコアの関数としてのUKバイオバンクにおける対象の分布(上部パネル)及びリスクスコアの関数としての喘息リスクに関するロジスティック回帰の結果(下部パネル)を示す。
図2】IL33経路遺伝子スコアに基づく2つの最端部の喘息リスク群におけるIL33中の機能喪失型(LoF)レアスプライスバリアント(rs146597587)に関連するオッズ比(OR)の比較を示す。
図3】別の喘息リスク遺伝子(ORMDL3、ADAM33、TSLP)のセットに基づく遺伝子リスクスコアに基づく2つの最端部の喘息リスク群におけるIL33中の機能喪失型レアスプライスバリアント(rs146597587)に関連するオッズ比(OR)の比較を示す。
図4】IL33 LoFレアバリアントrs146597587の保有者と非保有者との間の喘息発症年齢の密度プロットを示す。陰影領域は、発症年齢を画定し、それより下が早期発症とみなされる。
図5】喘息のリスクバリアントとして同定された、UKバイオバンク集団における39個のIL33コモンバリアントの相関(即ちコモンバリアントの共存スコア)のクラスタリングを示す。プロットは、バリアントが高い内部相関を伴って共存する3つのクラスター(クラスター1、2及び3)の同定を示す。グレースケールバーは、ピアソン相関係数を示す。正の相関のみが、より高い相関を示すより暗い陰影で示される。
図6】クラスター1、2及び3のバリアントの多くが、既知の転写因子結合部位を有する領域で見出されることを示す。
図7】39個のコモンバリアント並びに喘息及び発症年齢とのそれらの関連を示す。-log10(ボンフェローニP値)は、関連の統計学的有意性を示し、-log10(P)が大きいほど有意性が高いことを意味する。赤色の破線は、0.05のp値を示す。
図8】rs928413のアレルスコアのロジスティック回帰及び喘息リスクとの関連を示す。コードされたアレルGは、GTExデータセットにおいてIL33発現を増加させている。UKBBデータセットにおける遺伝子型の数及び頻度をそれぞれの推定値の隣の枠内に示す。
図9】セグメント11(rs1929995-C、rs1475658-T及びrs13298116-T)内の喘息のオッズ比の増加に関連するSNPの選択により、IL-33プロモーターによって引き起こされる発現のレベルを有意に調節できることを示す。活性%は、野生型のセグメント11の発現レベルに対して正規化される。*は、p<0.05を意味し、***は、p<0.001を意味し、****は、p<0.0001を意味する。
図10】セグメント13(rs144829310-T、rs7046661-C及びrs992969-A)内の喘息のオッズ比の増加に関連するSNPの選択により、IL-33プロモーターによって引き起こされる発現のレベルを有意に調節できることを示す。活性%は、野生型のセグメント13の発現レベルに対して正規化される。*は、p<0.05を意味し、***は、p<0.001を意味し、****は、p<0.0001を意味する。
図11】rs7038893-Cが、IL-33プロモーターによって引き起こされる発現のレベルを有意に調節することを示す。活性%は、rs7038893に野生型アレルを含むセグメントの発現レベルに対して正規化される。*は、p<0.05を意味する。
図12】(a)多型rs7032572-G、(b)多型rs10815363-T、(c)多型rs552376976-T、(d)多型rs62558407-T、(e)多型rs13291323-C、(f)多型rs1475658-T、(g)多型rs13298116-T、(h)多型rs10975481-G、(i)多型rs144829310-T、(j)多型rs7046661-C、(k)多型rs992969-A、(l)多型rs10975488-G、(m)多型rs928413-G又は(n)(m)多型rs7038893-Cの活性誘導型アレルを0個(リスクなし)、1つ(ヘテロ)又は2つ(リスク)有する対象についてのU-BIOPRED鼻擦過試料のIL-33発現プロファイルを示す。各活性誘導型アレルとIL-33との関連を、年齢及び性別を共変量として使用して線形回帰を用いて試験した。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一般的な定義
本明細書で用いられる場合、「IL-33」タンパク質とは、インターロイキン33、具体的には哺乳動物インターロイキン-33タンパク質、例えばUniProt番号095760で寄託されているヒトタンパク質を指す。この実体は、単一の種ではなく、異なる機能的活性を有するいくつかの形態、例えば、完全長及びタンパク質分解的にプロセシングされた形態又は酸化及び還元形態で存在する(Cohen et al,2015 Nat Comm 6:8327;Scott et al.,2018 Sci Rep 8:3363)。還元型がインビボ及びインビトロで急速に酸化することを考慮すると、一般的に先行技術のIL-33への言及は、酸化型の検出に最も関連し得る。「IL-33」並びに「IL-33ポリペプチド」及び「IL-33タンパク質」という用語は、互換的に使用される。特定の例では、IL-33は、完全長(FL)タンパク質である。別の例では、IL-33は、成熟し、タンパク質分解的にプロセシングされたIL-33の形態である。最近の研究から、FL IL-33はある程度の活性を有していることが示唆されている(Cayrol and Girard,Proc Natl Acad Sci USA 106(22):9021-6(2009);Hayakawa et al.,Biochem Biophys Res Commun.387(1):218-22(2009);Scott et al.,2018 Sci Rep 8:3363;Talabot-Ayer et al,J Biol Chem.284(29):19420-6(2009))。しかしながら、aa 72~270、79~270、95~270、99~270、107~270、109~270、111~270、112~270を含むがこれらに限定されないN末端プロセシングを受けたIL-33は、活性が亢進している(Lefrancais 2012,2014;Scott et al.,2018 Sci Rep 8:3363)。別の例では、IL-33には、完全長IL-33、そのフラグメント又はIL-33変異体若しくはバリアントポリペプチドが含まれる場合があり、IL-33のフラグメント又はIL-33バリアントポリペプチドは、活性IL-33の一部又は全ての機能特性を保持している。
【0027】
本明細書で互換的に使用される「インターロイキン1受容体様1(IL 1 RL 1)」及び「ST2」という用語は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト)並びにげっ歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然ST2を指す。ST2は、当技術分野においてDER4、T1及びFIT-1とも称される。この用語は、「完全長の」未プロセシングST2及び細胞内のプロセシングから得られる任意の形態のST2を包含する。デュアルプロモーター系からの差次的mRNA発現から生じる可溶性型(IL 1 RL 1-aとしても知られるsST2)及び膜貫通型(IL 1 RL 1-bとしても知られるST2L)並びに選択的スプライシングから生じるST2V及びST2LVを含む、少なくとも4種のST2のアイソフォームが当技術分野において公知である。ST2Lのドメイン構造は、3つの細胞外免疫グロブリン様C2ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞質Toll/インターロイキン-1受容体(TIR)ドメインを含む。sST2は、ST2L内に含まれる膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを欠き、9個のユニークなアミノ酸(a.a.)C末端配列を含む(例えば、Kakkar et al.Nat.Rev.Drug Disc.40 7:827-840,2008を参照されたい)。sST2は、可溶性IL-33を阻害するためのデコイ受容体として機能し得る。この用語は、ST2の天然に存在するバリアント、例えばスプライスバリアント(例えば、第3の免疫グロブリンモチーフを欠き、ユニークな疎水性尾部を有するST2V及びST2Lの膜貫通ドメインを欠くST2LV)又はアレルバリアント(例えば、本明細書に記載されている、喘息リスクから保護するか又は喘息リスクを付与するバリアント)も包含する。例示的なヒトST2のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKBアクセッション番号001638に見出すことができる。ST2は、補助受容体タンパク質IL-1 RAcPと共にIL-33受容体の一部である。ST2及び補助受容体インターロイキン-1受容体アクセサリータンパク質(IL-1 RAcP)へのIL-33の結合により、1:1:1の三元シグナル伝達複合体が形成され、下流のシグナル伝達が促進される(Lingel et al.Structure 17(10):1398-1410,2009及びLiu et al.Proc.Nat.Acad.Sci.11 0(37):14918-14924,2013)。
【0028】
いくつかの例では、IL-33媒介性炎症性疾患は、喘息、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、COPDオーバーラップ症候群(ACOS)、慢性気管支炎、肺気腫、慢性鼻副鼻腔炎(鼻ポリープの有無を問わない)、血管炎、GvHD、ぶどう膜炎、慢性特発性蕁麻疹、副鼻腔炎又は膵炎のいずれかであり得る。
【0029】
いくつかの例では、IL-33媒介性障害は、喘息である。いくつかの例では、IL-33媒介性障害は、成人喘息である。いくつかの例では、IL-33媒介性障害は、早期発症喘息である。本明細書で定義される場合、「早期発症」喘息とは、25歳以前に、好ましくは18歳以前に喘息と診断された対象を指す。診断は、例えば、喘息を診断するための多くの周知の方法のいずれか1つを使用して、臨床医によって行われ得る。早期発症喘息の罹患者に使用するための本明細書に開示される方法は、18歳未満の対象に限定されないことを理解されたい。例えば、本方法は、成人(本明細書では18歳以上と定義)に使用され得るが、この成人は18歳以前から喘息に罹患している。
【0030】
いくつかの例では、喘息は、軽度喘息、中等度喘息、重度喘息、非好酸球性喘息、低好酸球性喘息及び高好酸球性喘息であり得る。
【0031】
「軽度喘息」及び「中等度喘息」という用語は、本明細書で使用される場合、喘息管理国際指針(GINA)尺度が3以下、好適にはGINA尺度が2又は3である喘息を指す。GINA尺度は、以下の基準に基づいて喘息の重症度を測定する(“Pocket Guide for Asthma Management and Prevention,”Global Initiative for Asthma;2019を参照されたい)。
【0032】
「重度喘息」という用語は、本明細書で使用される場合、良好なコントロールを維持するために高強度治療(例えば、GINAステップ4及びステップ5)を必要とする喘息又は高強度治療にもかかわらず良好なコントロールが達成されない喘息を指す(GINA,Global Strategy for Asthma Management and Prevention.Global Initiative for Asthma(GINA)December 2012)。
【0033】
いくつかの例では、喘息は、高好酸球性喘息であり得る。「高好酸球性喘息」という用語は、本明細書で使用される場合、300細胞/μL以上のスクリーニング血中好酸球数を有する喘息患者を指す。
【0034】
いくつかの例では、喘息を有する対象は、ベースラインレベルを超えて著しく上昇しないスクリーニング血中好酸球数を有し得る。ベースラインレベルは、非喘息健常対象の予想される血中好酸球数であり得る。いくつかの例では、ベースラインレベルは、200細胞/μL以下であり得る。いくつかの例では、ベースラインレベルは、150細胞/μL以下であり得る。
【0035】
「有効量」という用語は、哺乳動物、例えば、ヒトなどの対象又は患者の疾患又は障害を治療するのに有効な薬物の量を指す。
【0036】
「遺伝子型」という用語は、個体又は試料に含まれる遺伝子のアレルの記述を指す。本開示に関連して、個体の遺伝子型と、その個体に由来する試料の遺伝子型は区別されない。遺伝子型は、典型的には二倍体細胞の試料から判定されるが、遺伝子型は精子細胞などの一倍体細胞の試料から判定することができる。
【0037】
「IL-33軸」とは、IL-33シグナル伝達に関与する核酸(例えば、遺伝子若しくは遺伝子から転写されたmRNA)又はポリペプチドを意味する。例えば、IL-33軸は、リガンドIL-33、受容体(例えば、ST2及び/若しくはIL-1 RAcP)、アダプター分子(例えば、MyD88)又は受容体分子及び/若しくはアダプター分子と会合するタンパク質(例えば、インターロイキン-1受容体関連キナーゼ1(IRAK1)及びインターロイキン-1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)などのキナーゼ若しくはTNF受容体関連因子6(TRAF6)などのE3ユビキチンリガーゼ)を含み得る。
【0038】
「患者」という用語は、診断又は治療が望まれるヒト対象を指す。「患者」及び「対象」という用語は、本明細書では互換的に使用される。患者は、臨床患者、臨床試験志願者、実験動物などであり得る。
【0039】
「~に罹患している患者」という用語は、例えば、IL-33媒介性障害(例えば、早期発症喘息などの喘息)などの、特定の疾患に関する臨床徴候を示す患者を指す。
【0040】
集団中で複数の配列が考えられるゲノム中のヌクレオチド位置は、本明細書では「多型」又は「多型部位」と称される。多型部位は、例えば、2つ以上のヌクレオチドのヌクレオチド配列、挿入されたヌクレオチド若しくはヌクレオチド配列、欠失したヌクレオチド若しくはヌクレオチド配列又はマイクロサテライトであり得る。2以上のヌクレオチド長である多型部位は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15以上、20以上、30以上、50以上、75以上、100以上、500以上又は約1000のヌクレオチド長であり得、ヌクレオチド配列の全て又は一部は領域内で異なる。一塩基長である多型部位は、本明細書では、下記の通り一塩基多型(SNP)と称される。多型部位に2つ、3つ又は4つの別のヌクレオチド配列がある場合、各ヌクレオチド配列は、「多型バリアント」又は「核酸バリアント」と称される。DNA配列中の可能性のあるバリアントの各々は、「アレル」と称される。典型的には、最初に同定されたアレル形態は任意に参照形態と呼称され、他のアレル形態は代替アレル又はバリアントアレルと呼称される。「コモン」アレルは、所与の集団において優勢であるアレルであり、例えば、このアレルは、集団の複数のメンバー中に、約2%を超える一般に許容される頻度で存在する。2つの多型バリアントが存在する場合、集団からの試料の大部分に示される多型バリアントは、「優勢アレル」又は「メジャーアレル」と称され、集団中のそれよりも優勢ではない多型バリアントは「アンコモンアレル」又は「マイナーアレル」と称される。2つのメジャーアレル又は2つのマイナーアレルを保有する個体は、多型に関して「ホモ接合性」である。1つのメジャーアレル及び1つのマイナーアレルを保有する個体は、多型に関して「ヘテロ接合性」である。C/G又はA/T SNPを有する場合、アレルは不明瞭であり、遺伝子型同定プラットフォームからデータを抽出するために使用される鎖に依存する。これらのC/G又はA/T SNPを有する場合、C若しくはGヌクレオチド又はA若しくはTヌクレオチドのそれぞれがリスクアレルであり得、これらは、アレル頻度の相関によって判定される。
【0041】
疾患又は障害(例えば、喘息などのIL-33媒介性障害)のリスクの増加と相関するか、又は1を超えるオッズ比又は相対リスクと関連するアレルは、「リスクアレル」又は「効果アレル」と称される。「リスクアレル」又は「効果アレル」は、マイナーアレル又はメジャーアレルであり得る。
【0042】
「等価アレル」又は「代用アレル」は、本明細書で使用される場合、リスクアレルと同様に挙動することが予想され、アレル頻度並びに/又は本明細書で定義されるリスクアレル及び/若しくは選択されたSNPとの高いr値(0.6以上(≧))及び/若しくは高いD’値(≧0.6)に基づいて選択されるアレルを指す。例えば、高r値は、≧0.6、≧0.7、≧0.8、≧0.9又は1.0である。一例では、高D’値は、≧0.6、≧0.7、≧0.8、≧0.9又は1.0である。
【0043】
「連鎖不平衡」又は「LD」は、本明細書で使用されるとき、ランダムに関連しない、即ちそれらの頻度に比例して関連しない、異なる遺伝子座にあるアレルを指す。アレルが正の連鎖不平衡にある場合、アレルは予想される推定統計的独立よりも高頻度で共に存在する。逆に、アレルが負の連鎖不平衡にある場合、アレルは予想される推定統計的独立よりも低頻度で共に存在する。いくつかの例では、連鎖不平衡にある等価の多型は、前記多型に対して0.6~0.8(但し0.8を含まない)のD’値を有する。いくつかの例では、連鎖不平衡にある等価の多型は、0.8以上のD’値を有する。
【0044】
本明細書で使用されるとき、「オッズ比」又は「OR」とは、マーカー(アレル又は多型)を有さない個体における疾患のオッズに対する、マーカー(アレル又は多型)を有する個体に関する疾患のオッズの比を指す。
【0045】
「ハプロタイプ」は、本明細書で使用されるとき、単位として通常遺伝するのに十分密接に連結されている、単一の染色体上のアレルの群を指す。
【0046】
治療方法
一塩基多型(SNP)は、IL33媒介性早期発症喘息のリスク増加と関連していることが認められている。IL33の遺伝子バリアントは、これまで早期発症喘息と関連していないと考えられている。更に、これらのリスクアレルの負荷がより高い個体は、疾患リスクの負荷がより高いことが認められている。例えば、クラスター2リスクアレルrs928413がヘテロ接合性である個体は、非リスクアレルのホモ接合性保有者と比較して、喘息を発症する付随リスクがより高い(図8)。加えて、リスクアレルrs928413がホモ接合性である個体は、リスクアレルのヘテロ接合性保有者と比較して、喘息を発症する付随リスクがより高い。
【0047】
驚くべきことに、IL33のリスクアレルと早期発症喘息との相関は、血中好酸球数の臨床的に有意な増加のみに関連しているわけではない(表8)。IL33が2型(T2)炎症応答を増幅することによってアトピー性喘息モデルにおける病態を引き起こすという仮説が、これまでに立てられている。T2応答のIL33活性化の下流での結果は、好酸球の局所動員及び活性化の増加である。実施例は、原因となるリスクアレルが好酸球活性化のみによってIL33媒介性疾患リスクを高めるわけではない可能性があることを示唆している。したがって、データは、原因となるIL33 SNPが、IL-33媒介性疾患を、特に早期発症喘息を有する対象において、T2炎症メカニズムのみによって引き起こすわけではない可能性があることを初めて示すと考えられる(表8)。
【0048】
データは、対象の遺伝子型をスクリーニングすることにより、喘息、特に早期発症喘息などの炎症性障害を含むIL33媒介性障害を有する対象をスクリーニングし、同定することも可能であり得ることを示唆する。IL33媒介性疾患を有する対象を、それらの遺伝子型に基づいて同定可能であることにより、その個体が応答する可能性が最も高いIL33遮断療法を用いた対象への早期介入が可能となる。特に、本開示は、抗IL-33ベースの療法から恩恵を受ける可能性があり、上記療法の最適な候補としてこれまで選択されていなかった可能性がある、IL33によって引き起こされる表現型を有する患者サブグループの同定(特に、患者が血中好酸球レベルなどのより伝統的なIL33ベースのバイオマーカーを使用する療法にこれまで選択されていた場合)を示す。したがって、本開示は、抗IL33療法に応答する可能性が最も高い対象を同定し、その対象に抗IL33療法を送達するための精密さに基づいたアプローチを潜在的に提供する。
【0049】
したがって、本開示は、IL-33媒介性障害(例えば、喘息、例えば早期発症喘息などの炎症性障害)に罹患している患者を治療する方法を提供する。特に、本明細書に開示される治療方法は、患者のゲノム内の表1、2及び3に定義されるクラスター1、2又は3多型の少なくとも1つのアレルの存在に基づいて、患者に治療薬を投与することを含む。
【0050】
実施例では、クラスター1、2及び3多型の様々なアレルが、喘息、例えば早期発症喘息などのIL-33媒介性障害の発症及び/又は進行中の病態の原因であり得ることが報告される。リスクアレル多型は、アレルの相関の高さに基づいてクラスタリングされる(各クラスター内の多型は連鎖不平衡にあり得ることが示唆される)(図5を参照されたい)。換言すれば、各クラスターは、「等価アレル」のセットを表す。本開示の重要な要素は、単に疾患に関連するアレルではなく、原因となる可能性のあるアレルの同定である。例えば、複数のアレルは、喘息のリスク増加と関連し得るが、必ずしも根底にある疾患の原因であるとは限らない。実施例は、各クラスター内の少なくともSNPのサブセットが、基礎条件下、低サイトカイン条件下及び高サイトカイン条件下での発現の増加を含め、様々な条件下でIL-33発現を増加させることを明確に明らかにする。したがって、本開示は、対象が特定の疾患の素因を有することを示すのみならず、疾患がIL-33遺伝子の発現を増加させる多型によって引き起こされ得ることを示す遺伝子マーカーを実際に初めて同定する。したがって、本開示は、これらのSNPが早期発症喘息を含む喘息などのIL-33の媒介により引き起こされる疾患の原因となる可能性があることを初めて同定するものである。
【0051】
したがって、本明細書では、IL33媒介性障害に罹患している患者を治療する方法であって、IL-33軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含み、患者の遺伝子型は、表1に定義されるクラスター2多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、方法が提供される。いくつかの例では、患者の遺伝子型は、表1に記載されているクラスター2アレルの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は7つを含む。
【0052】
【表1】
【0053】
「クラスター2」多型は、第9染色体の6193455~6213468位のIL33ゲノム領域におけるアレル多型を定義する。例示的なクラスター2多型は、表1に記載されている。実施例で説明されるように、クラスター2多型は、喘息のリスク(オッズ比(OR))の増加と関連する。バリアントrs992969について最も強い関連が認められた(OR=1.13(CI 1.12-1.15)、P=2.32×10-73(表7を参照されたい)。所与のORは、非リスクアレルがホモ接合性の個体とヘテロ接合性の個体との比較に関するものである。興味深いことに、クラスター2多型の各々は、早期発症喘息のリスク増加と関連する。rs992969の早期発症との関連は、OR=1.14(1.1-1.18)、P=7.52×10-20であった。驚くべきことに、早期発症疾患との関連は、血中好酸球数とは無関係であり(表8)、これは、IL33によって引き起こされる早期発症喘息が高好酸球数のみによって媒介されるわけではないことを示唆している。
【0054】
クラスター2多型は、IL33遺伝子のタンパク質コード領域の上流で見出され、これは、これらがIL33のアミノ酸変化をコードしないことを意味する。したがって、クラスター2のSNPは、IL33の機能獲得型バリアントをコードしない。そのため、SNPの原因的役割は、本質的に調節性であり得る。例えば、理論に束縛されることを望まないが、SNPは、非リスク多型を有する対象と比較して野生型IL33の発現レベルを増加させ得る。非コードゲノム領域は、遺伝子の発現を誘導(又は抑制)する重要なシス作用性調節エレメントを含む。例えば、非コード領域は、転写リプレッサー又はアクチベーターを動員することができる転写因子結合エレメント(TFBE)を含む。TFBE内の変異は、これらのトランス調節エレメントの結合の強度に影響を及ぼす場合があり、これによりTFBEが会合する遺伝子の発現レベルが増大される。したがって、クラスター2多型は、IL33の発現を調節解除することによりIL-33によって引き起こされる病態を引き起こす可能性があり、IL-33をより多く産生させ得る。これは、より高濃度の貯蔵されたIL33の放出によって誘発される異常なIL-33媒介性シグナル伝達がより多く誘導されることを意味する。これは、急性増悪が一般的であるIL-33媒介性障害に特に関連し得る。代わりに又は加えて、クラスター2多型は、IL-33の漏出性発現及び放出をもたらす場合があり、これは、IL-33媒介性障害がIL33シグナル伝達の慢性症状を特徴とする場合に関連し得る。
【0055】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs1888909(配列番号44)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs992969(配列番号45)におけるAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs3939286(配列番号46)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs2381416(配列番号47)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs928412(配列番号48)におけるAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7848215(配列番号49)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型の少なくとも1つのアレル(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は7つ)を含むと判定されている。
【0056】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)におけるGアレル、多型rs1888909(配列番号44)におけるTアレル、多型rs992969(配列番号45)におけるAアレル、多型rs3939286(配列番号46)におけるTアレル、多型rs2381416(配列番号47)におけるCアレル、多型rs928412(配列番号48)におけるAアレル、多型rs7848215(配列番号49におけるTアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0057】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、以下の多型:多型rs928413(配列番号43)におけるGアレル、多型rs1888909(配列番号44)におけるTアレル、多型rs992969(配列番号45)におけるAアレル、多型rs3939286(配列番号46)におけるTアレル、多型rs2381416(配列番号47)におけるCアレル、多型rs928412(配列番号48)におけるAアレル、多型rs7848215(配列番号49)におけるTアレルの各々の少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0058】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレル、多型rs1888909(配列番号44)における2つのTアレル、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレル、多型rs3939286(配列番号46)における2つのTアレル、多型rs2381416(配列番号47)における2つのCアレル、多型rs928412(配列番号48)における2つのAアレル、多型rs7848215(配列番号49)における2つのTアレルから選択される多型における2つのアレルを含むと判定されている。
【0059】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs1888909(配列番号44)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs3939286(配列番号46)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs2381416(配列番号47)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs928412(配列番号48)における2つのAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs7848215(配列番号49)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルから選択される多型における2つのアレルを含むと判定されている。
【0060】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における少なくとも1つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルを含む。
【0061】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における少なくとも1つのGアレルを含む。
【0062】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルを含む。
【0063】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレルを含む。
【0064】
多型rs928413に1つのGアレルを有する遺伝子型を有する対象は、IL-33媒介性障害の喘息のリスクが約14%増加することが判明している(図8を参照されたい)。多型rs928413に2つのGアレルを有する遺伝子型は、UKBデータセットにおいて喘息リスクを約28%増加させる。実施例は、多型rs928413におけるGアレルが低サイトカイン条件下でIL-33プロモーターからの発現を増加させることも示す。
【0065】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs992969(配列番号45)における少なくとも1つのAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルを含む。実施例は、多型rs992969におけるAアレルも低サイトカイン条件下でIL-33プロモーターからの発現を増加させることを示す。
【0066】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs992969(配列番号45)における少なくとも1つのAアレルを含む。
【0067】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルを含む。
【0068】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレルを含む。
【0069】
表1に記載のクラスター2多型とLDにあることによるなど、クラスター2に関連するいくつかの更なる多型は、以下を含む。
【0070】
【表2】
【0071】
実施例は、これらの多型が基礎条件、低サイトカイン条件及び/又は高サイトカイン条件下でIL-33プロモーターからの発現を増加させることを示しており、これらのSNPがIL-33媒介性障害の発症原因であることを示唆している。
【0072】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs7046661(配列番号82)におけるCアレル、多型rs10815363(配列番号83)におけるTアレル、多型rs62558407(配列番号84)におけるTアレル、多型rs1475658(配列番号85)におけるTアレル及び多型rs10975481(配列番号86)におけるGアレルから選択される少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0073】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs10815363(配列番号83)における少なくとも1つのTアレルを含むと判定されている。いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs10815363(配列番号83)における2つのTアレルを含むと判定されている。実施例は、多型rs10815363におけるTアレルが、基礎条件下でIL-33プロモーターからの発現を増強させることを示す。
【0074】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs1475658(配列番号85)における少なくとも1つのTアレルを含むと判定されている。いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs1475658(配列番号85)における2つのTアレルを含むと判定されている。実施例は、多型rs1475658におけるTアレルが、基礎条件下でIL-33プロモーターからの発現を増強させることを示す。
【0075】
別の態様では、IL-33媒介性障害に罹患している対象を治療するための方法であって、IL-33軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含み、患者の遺伝子型は、表2に定義されるクラスター3多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、方法が提供される。いくつかの例では、患者の遺伝子型は、表2に記載されているクラスター3アレルの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又は10個を含む。
【0076】
【表3】
【0077】
「クラスター3」多型は、第9染色体の6172380~6219176位のIL33ゲノム領域におけるアレル多型を定義する。実施例で説明されるように、クラスター3多型は、喘息のリスク(オッズ比(OR))の増加と関連する(表7を参照されたい)。所与のORは、非リスクアレルがホモ接合性の個体とヘテロ接合性の個体との比較に関するものである。興味深いことに、クラスター3多型の各々は、血中好酸球数とは無関係である早期発症喘息のリスク増加にも関連し(表8)、これは、IL33によって引き起こされる早期発症喘息が高好酸球数のみによって媒介されるわけではないことを示唆している。
【0078】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル、多型rs10975479(配列番号52)におけるGアレル、多型rs72699191(配列番号53)におけるCアレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs1342326(配列番号55)におけるCアレル、多型rs2066362(配列番号56)におけるTアレル、多型rs142807069(配列番号57)におけるGアレル、多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル及び多型rs9775039(配列番号59)におけるAアレルから選択されるクラスター3多型の少なくとも1つのアレル(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又は10個)を含むと判定されている。
【0079】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、以下の多型:多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル、多型rs10975479(配列番号52)におけるGアレル、多型rs72699191(配列番号53)におけるCアレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs1342326(配列番号55)におけるCアレル、多型rs2066362(配列番号56)におけるTアレル、多型rs142807069(配列番号57)におけるGアレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル並びに多型rs9775039(配列番号59)におけるAアレルの各々の少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0080】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10975479(配列番号52)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs72699191(配列番号53)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs1342326(配列番号55)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs2066362(配列番号56)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs142807069(配列番号57)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル及び多型rs9775039(配列番号59)におけるAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0081】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0082】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0083】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs72699186(配列番号51)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル及び多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル、それと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs144829310(配列番号50)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル及び多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルから選択される多型における2つのアレルを含むと判定されている。
【0084】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs72699186(配列番号51)における2つのTアレル、多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル、多型rs144829310(配列番号50)における2つのTアレル及び多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレルから選択される多型における2つのアレルを含むと判定されている。
【0085】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0086】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0087】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル、それと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs144829310(配列番号50)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル及び多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルから選択される多型における2つのアレルを含むと判定されている。
【0088】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル、多型rs144829310(配列番号50)における2つのTアレル及び多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレルから選択される多型における2つのアレルを含むと判定されている。実施例は、これらの多型におけるこれら3つのアレルの各々が、低及び高サイトカイン条件下でIL-33プロモーターからの発現を驚くほど増加させることを示す。
【0089】
2つの更なるクラスター3多型又は表2に記載の少なくとも1つのクラスター3多型と高い連鎖不平衡にある多型には、以下が含まれる。
【0090】
【表4】
【0091】
実施例は、これらの多型が基礎条件、低サイトカイン条件及び/又は高サイトカイン条件下でIL-33プロモーターからの発現を増加させることを示しており、これらのSNPがIL-33媒介性障害の発症原因であることを示唆している。
【0092】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs552376976(配列番号87)における少なくとも1つのTアレルを含むと判定されている。いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs552376976(配列番号87)における2つのTアレルを含むと判定されている。実施例は、多型rs552376976におけるTアレルが、低及び高サイトカイン条件下でIL-33プロモーターからの発現を増強させることを示す。
【0093】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs13298116(配列番号88)における少なくとも1つのTアレルを含むと判定されている。いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs13298116(配列番号88)における2つのTアレルを含むと判定されている。実施例は、多型rs13298116におけるTアレルが、基礎条件及び高サイトカイン条件下でIL-33プロモーターからの発現を増強させることを示す。
【0094】
別の態様では、IL-33媒介性障害に罹患している対象を治療するための方法であって、IL-33軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含み、患者の遺伝子型は、表3に定義されるクラスター1多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含むと判定されている、方法が提供される。いくつかの例では、患者の遺伝子型は、表3に記載されているクラスター1アレルの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個又は15個を含む。
【0095】
【表5】
【0096】
「クラスター1」多型は、第9染色体の6222149~6243392位のIL-33ゲノム領域におけるアレル多型を定義する。実施例で説明されるように、クラスター1多型は、喘息のリスク(オッズ比(OR))の増加と関連する。バリアントrs10975507について最も強い関連が認められた(OR=1.1(CI 1.09-1.12)、P=1.54×10-40(表7を参照されたい)。所与のORは、非リスクアレルがホモ接合性の個体とヘテロ接合性の個体との比較に関するものである。興味深いことに、クラスター1多型の各々は、早期発症のリスク増加と関連する。rs10975507の早期発症との関連は、OR=1.11(CI 1.08-1.14)、P=3.19×10-11であった。驚くべきことに、早期発症疾患との関連は、血中好酸球数とは無関係であり(表8)、これは、IL33によって引き起こされる早期発症喘息が高好酸球数のみによって媒介されるわけではないことを示唆している。
【0097】
クラスター2及び3多型と同様に、クラスター1多型は、IL-33遺伝子のタンパク質コード領域のアミノ酸変化をコードしない。したがって、クラスター1多型は、上記の調節メカニズムを介してIL-33媒介性病態を引き起こし得る。
【0098】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815376(配列番号72)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs12551268(配列番号73)におけるAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル及び多型rs2006682(配列番号74)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0099】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレル、多型rs10815376(配列番号72)におけるTアレル、多型rs12551268(配列番号73)におけるAアレル及び多型rs2006682(配列番号74におけるGアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0100】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、以下の多型:多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレル、多型rs10815376(配列番号72)におけるTアレル、多型rs12551268(配列番号73)におけるAアレル及び多型rs2006682(配列番号74)におけるGアレルの各々の少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0101】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル及び多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0102】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル及び多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含むと判定されている。
【0103】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs10975504(配列番号61)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs10815393(配列番号62)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs12339348(配列番号63)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs7035413(配列番号64)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs17498196(配列番号65)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs17582919(配列番号66)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs10815391(配列番号67)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs10815392(配列番号68)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs72689561(配列番号69)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs7038893(配列番号70)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs112935616(配列番号71)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルから選択される多型における2つのアレルを含むと判定されている。
【0104】
いくつかの例では、治療される患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレル、多型rs10975504(配列番号61)における2つのGアレル、多型rs10815393(配列番号62)における2つのCアレル、多型rs12339348(配列番号63)における2つのTアレル、多型rs7035413(配列番号64)における2つのGアレル、多型rs17498196(配列番号65)における2つのCアレル、多型rs17582919(配列番号66)における2つのCアレル、多型rs10815391(配列番号67)における2つのGアレル、多型rs10815392(配列番号68)における2つのCアレル、多型rs72689561(配列番号69)における2つのCアレル、多型rs7038893(配列番号70)における2つのCアレル及び多型rs112935616(配列番号71)における2つのTアレルから選択される多型における2つのアレルを含むと判定されている。
【0105】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における少なくとも1つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルを含む。
【0106】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における少なくとも1つのTアレルを含む。
【0107】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルを含む。
【0108】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレルを含む。
【0109】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs7038893(配列番号70)における少なくとも1つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルを含む。
【0110】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs7038893(配列番号70)における少なくとも1つのCアレルを含む。
【0111】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs7038893(配列番号70)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルを含む。
【0112】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs7038893(配列番号70)における2つのCアレルを含む。
【0113】
別の例では、実施例は、IL33媒介性障害を有するか又は発症する付随リスクを低下させる一連のSNPも開示する。実施例は、表4に示される多型に少なくとも1つのアレルを有することが、IL33媒介性障害である喘息を有するか又は発症するリスクに関連するオッズ比を低下させることを示す。
【0114】
【表6】
【0115】
したがって、上記の方法のいずれかにおいて、患者の遺伝子型は、多型rs370820588(配列番号75)におけるCアレル、多型rs143215670(配列番号76)におけるCアレル、多型rs343478(配列番号77)におけるAアレル、多型rs146597587(配列番号79)におけるCアレル及び多型rs10975519(配列番号80)におけるTアレルから選択される少なくとも1つの多型を含まないと更に判定されていてもよい。
【0116】
一例では、患者の遺伝子型は、以下の多型:多型rs370820588(配列番号75)におけるCアレル、多型rs143215670(配列番号76)におけるCアレル、多型rs343478(配列番号77)におけるAアレル、多型rs146597587(配列番号79)におけるCアレル及び多型rs10975519(配列番号80)におけるTアレルの各々の少なくとも1つを含まないと更に判定されていてもよい。
【0117】
一例では、患者の遺伝子型は、多型rs370820588(配列番号75)における2つのCアレル、多型rs143215670(配列番号76)における2つのCアレル、多型rs343478(配列番号77)における2つのAアレル、多型rs146597587(配列番号79)における2つのCアレル、多型rs10975519(配列番号80)における2つのTアレルから選択される2つの多型を含まないと更に判定されていてもよい。
【0118】
一例では、患者の遺伝子型は、以下の多型:多型rs370820588(配列番号75)における2つのCアレル、多型rs143215670(配列番号76)における2つのCアレル、多型rs343478(配列番号77)における2つのAアレル、多型rs146597587(配列番号79)における2つのCアレル、多型rs10975519(配列番号80)における2つのTアレル、を含まないと更に判定されていてもよい。
【0119】
特定の例では、患者の遺伝子型は、上述のクラスター1、2及び3多型の組み合わせを含むと判定されている。患者の遺伝子型がクラスター2多型を含むと判定されている上記の例では、患者の遺伝子型は、表2に定義されるクラスター3多型の少なくとも1つのアレル及び/又は表3に定義されるクラスター1多型の少なくとも1つのアレルを含むと更に判定されていてもよい。患者の遺伝子型がクラスター3多型を含むと判定されている例では、患者の遺伝子型は、表1に定義されるクラスター2多型の少なくとも1つのアレル及び/又は表3に定義されるクラスター1多型の少なくとも1つのアレルを含むと更に判定されていてもよい。患者の遺伝子型がクラスター1多型を含むと判定されている例では、患者の遺伝子型は、表1に定義されるクラスター2多型の少なくとも1つのアレル及び/又は表2に定義されるクラスター3多型の少なくとも1つのアレルを含むと更に判定されていてもよい。
【0120】
診断方法
本開示は、IL-33媒介性障害に罹患している患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があるか否かを判定又は同定するための方法も提供する。
【0121】
いくつかの例では、本方法は、(a)患者由来の試料において、表1に定義される少なくとも1つのクラスター2多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を判定すること;(b)遺伝子型に基づいて、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があると患者を同定することを含み、クラスター2多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0122】
クラスター2
いくつかの例では、多型rs928413(配列番号43)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs1888909(配列番号44)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs992969(配列番号45)におけるAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs3939286(配列番号46)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs2381416(配列番号47)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs928412(配列番号48)におけるAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7848215(配列番号49)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される少なくとも1つのアレル(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は7つ)の存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0123】
いくつかの例では、多型rs928413(配列番号43)におけるGアレル、多型rs1888909(配列番号44)におけるTアレル、多型rs992969(配列番号45)におけるAアレル、多型rs3939286(配列番号46)におけるTアレル、多型rs2381416(配列番号47)におけるCアレル、多型rs928412(配列番号48)におけるAアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0124】
いくつかの例では、以下の多型:多型rs928413(配列番号43)におけるGアレル、多型rs1888909(配列番号44)におけるTアレル、多型rs992969(配列番号45)におけるAアレル、多型rs3939286(配列番号46)におけるTアレル、多型rs2381416(配列番号47)におけるCアレル、多型rs928412(配列番号48)におけるAアレル、多型rs7848215(配列番号49)におけるTアレルの各々の少なくとも1つの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0125】
いくつかの例では、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs1888909(配列番号44)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs3939286(配列番号46)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs2381416(配列番号47)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs928412(配列番号48)における2つのAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs7848215(配列番号49)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルから選択される多型における2つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0126】
いくつかの例では、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレル、多型rs1888909(配列番号44)における2つのTアレル、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレル、多型rs3939286(配列番号46)における2つのTアレル、多型rs2381416(配列番号47)における2つのCアレル、多型rs928412(配列番号48)における2つのAアレル及び多型rs7848215(配列番号49)における2つのTアレルから選択されるクラスター2多型の2つのアレルから選択される多型における2つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0127】
いくつかの例では、多型rs928413(配列番号43)における少なくとも1つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0128】
いくつかの例では、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0129】
いくつかの例では、多型rs928413(配列番号43)における少なくとも1つのGアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0130】
いくつかの例では、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0131】
いくつかの例では、多型rs992969(配列番号45)における少なくとも1つのAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0132】
いくつかの例では、多型rs992969(配列番号45)における少なくとも1つのAアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0133】
いくつかの例では、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0134】
いくつかの例では、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0135】
いくつかの例では、多型rs7046661(配列番号82)におけるCアレル、多型rs10815363(配列番号83)におけるTアレル、多型rs62558407(配列番号84)におけるTアレル、多型rs1475658(配列番号85)におけるTアレル及び多型rs10975481(配列番号86)におけるGアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0136】
いくつかの例では、多型rs7046661(配列番号82)における2つのCアレル、多型rs10815363(配列番号83)における2つのTアレル、多型rs62558407(配列番号84)における2つのTアレル、多型rs1475658(配列番号85)における2つのTアレル及び多型rs10975481(配列番号86)における2つのGアレルから選択される多型における2つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0137】
いくつかの例では、多型rs10815363(配列番号83)における1つ又は2つのTアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0138】
いくつかの例では、多型rs1475658(配列番号85)における1つ又は2つのTアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0139】
クラスター3
いくつかの例では、本方法は、(a)患者由来の試料において、表2に定義される少なくとも1つのクラスター3多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を判定すること;(b)遺伝子型に基づいて、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があると患者を同定することを含み、クラスター3多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0140】
いくつかの例では、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル、多型rs10975479(配列番号52)におけるGアレル、多型rs72699191(配列番号53)におけるCアレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs1342326(配列番号55)におけるCアレル、多型rs2066362(配列番号56)におけるTアレル、多型rs142807069(配列番号57)におけるGアレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル並びに多型rs9775039(配列番号59)におけるAアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレル(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又は10個)の存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0141】
いくつかの例では、以下の多型:多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル、多型rs10975479(配列番号52)におけるGアレル、多型rs72699191(配列番号53)におけるCアレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs1342326(配列番号55)におけるCアレル、多型rs2066362(配列番号56)におけるTアレル、多型rs142807069(配列番号57)におけるGアレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル並びに多型rs9775039(配列番号59)におけるAアレルの各々の少なくとも1つの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0142】
いくつかの例では、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10975479(配列番号52)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs72699191(配列番号53)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs1342326(配列番号55)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs2066362(配列番号56)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs142807069(配列番号57)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル及び多型rs9775039(配列番号59)におけるAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0143】
いくつかの例では、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル及び多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0144】
いくつかの例では、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0145】
いくつかの例では、多型rs72699186(配列番号51)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル、多型rs144829310(配列番号50)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル及び多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルから選択される多型における2つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0146】
いくつかの例では、多型rs72699186(配列番号51)における2つのTアレル、多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル、多型rs144829310(配列番号50)における2つのTアレル及び多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレルから選択される多型における2つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0147】
いくつかの例では、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0148】
いくつかの例では、多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル、多型rs144829310(配列番号50)における2つのTアレル及び多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレルから選択される多型における2つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0149】
いくつかの例では、多型rs552376976(配列番号87)における1つ又は2つのTアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0150】
いくつかの例では、多型rs13298116(配列番号88)における1つ又は2つのTアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0151】
クラスター1
いくつかの例では、本方法は、(a)患者由来の試料において、表3に定義される少なくとも1つのクラスター1多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を判定すること;(b)遺伝子型に基づいて、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があると患者を同定することを含み、クラスター1多型の少なくとも1つのアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0152】
いくつかの例では、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815376(配列番号72)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs12551268(配列番号73)におけるAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル及び多型rs2006682(配列番号74)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレル(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個又は15個)の存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0153】
いくつかの例では、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレル、多型rs10815376(配列番号72)におけるTアレル、多型rs12551268(配列番号73)におけるAアレル、多型rs2006682(配列番号74)におけるGアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0154】
いくつかの例では、以下の多型:多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレル、多型rs10815376(配列番号72)におけるTアレル、多型rs12551268(配列番号73)におけるAアレル、多型rs2006682(配列番号74)におけるGアレルの各々の少なくとも1つの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0155】
いくつかの例では、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0156】
いくつかの例では、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0157】
いくつかの例では、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs10975504(配列番号61)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs10815393(配列番号62)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs12339348(配列番号63)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs7035413(配列番号64)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs17498196(配列番号65)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs17582919(配列番号66)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs10815391(配列番号67)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs10815392(配列番号68)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs72689561(配列番号69)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs7038893(配列番号70)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs112935616(配列番号71)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルから選択される多型における2つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0158】
いくつかの例では、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレル、多型rs10975504(配列番号61)における2つのGアレル、多型rs10815393(配列番号62)における2つのCアレル、多型rs12339348(配列番号63)における2つのTアレル、多型rs7035413(配列番号64)における2つのGアレル、多型rs17498196(配列番号65)における2つのCアレル、多型rs17582919(配列番号66)における2つのCアレル、多型rs10815391(配列番号67)における2つのGアレル、多型rs10815392(配列番号68)における2つのCアレル、多型rs72689561(配列番号69)における2つのCアレル、多型rs7038893(配列番号70)における2つのCアレル、多型rs112935616(配列番号71)における2つのTアレルから選択される多型における2つのアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0159】
いくつかの例では、多型rs10975507(配列番号60)における少なくとも1つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0160】
いくつかの例では、多型rs10975507(配列番号60)における少なくとも1つのTアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0161】
いくつかの例では、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0162】
いくつかの例では、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0163】
いくつかの例では、多型rs7038893(配列番号70)における1つ若しくは2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0164】
いくつかの例では、多型rs7038893(配列番号70)における1つ又は2つのCアレルの存在は、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0165】
クラスター4
いくつかの例では、本明細書に開示される診断方法のいずれかは、(a)患者由来の試料において、表4に定義される少なくとも1つの多型の遺伝子型を判定すること;(b)遺伝子型に基づいて、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があると患者を同定することを更に含み、表4に定義される多型の少なくとも1つのアレルが存在しないことは、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0166】
いくつかの例では、多型rs370820588(配列番号75)におけるCアレル、多型rs143215670(配列番号76)におけるCアレル、多型rs343478(配列番号77)におけるAアレル、多型rs146597587(配列番号79)におけるCアレル及び多型rs10975519(配列番号80)におけるTアレルから選択される少なくとも1つの多型が存在しないことは、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0167】
一例では、患者の遺伝子型は、以下の多型:多型rs370820588(配列番号75)におけるCアレル、多型rs143215670(配列番号76)におけるCアレル、多型rs343478(配列番号77)におけるAアレル、多型rs146597587(配列番号79)におけるCアレル及び多型rs10975519(配列番号80)におけるTアレルの各々の少なくとも1つを含まないと判定されており、これは、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0168】
一例では、患者の遺伝子型は、多型rs370820588(配列番号75)における2つのCアレル、多型rs143215670(配列番号76)における2つのCアレル、多型rs343478(配列番号77)における2つのAアレル、多型rs146597587(配列番号79)における2つのCアレル及び多型rs10975519(配列番号80)における2つのTアレルから選択される2つの多型を含まないと判定されており、これは、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0169】
一例では、患者の遺伝子型は、以下の多型:多型rs370820588(配列番号75)における2つのCアレル、多型rs143215670(配列番号76)における2つのCアレル、多型rs343478(配列番号77)における2つのAアレル、多型rs146597587(配列番号79)における2つのCアレル及び多型rs10975519(配列番号80)における2つのTアレル、を含まないと判定されており、これは、患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する増大した可能性を有することを示す。
【0170】
本開示は、患者が、IL-33媒介性障害のリスクが増大しているか否かを判定するための方法も提供する。
【0171】
いくつかの例では、患者が、IL-33媒介性障害のリスクが増大しているか否かを判定するための方法は、患者から得られた試料から、表1に定義される少なくとも1つのクラスター2多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を同定することを含み、患者の遺伝子型が、表1に定義される少なくとも1つのクラスター2多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含む場合、患者は、IL-33媒介性障害のリスクが増大している。
【0172】
クラスター2
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs1888909(配列番号44)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs992969(配列番号45)におけるAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs3939286(配列番号46)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs2381416(配列番号47)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs928412(配列番号48)におけるAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7848215(配列番号49)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択されるクラスター2多型の少なくとも1つのアレルを含む。
【0173】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)におけるGアレル、多型rs1888909(配列番号44)におけるTアレル、多型rs992969(配列番号45)におけるAアレル、多型rs3939286(配列番号46)におけるTアレル、多型rs2381416(配列番号47)におけるCアレル、多型rs928412(配列番号48)におけるAアレル、多型rs7848215(配列番号49)におけるTアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレル(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は7つ)を含む。
【0174】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、以下の多型:多型rs928413(配列番号43)におけるGアレル、多型rs1888909(配列番号44)におけるTアレル、多型rs992969(配列番号45)におけるAアレル、多型rs3939286(配列番号46)におけるTアレル、多型rs2381416(配列番号47)におけるCアレル、多型rs928412(配列番号48)におけるAアレル、多型rs7848215(配列番号49)におけるTアレルの各々の少なくとも1つを含む。
【0175】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレル、多型rs1888909(配列番号44)における2つのTアレル、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレル、多型rs3939286(配列番号46)における2つのTアレル、多型rs2381416(配列番号47)における2つのCアレル、多型rs928412(配列番号48)における2つのAアレル及び多型rs7848215(配列番号49)における2つのTアレルから選択される多型における2つのアレルを含む。
【0176】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs1888909(配列番号44)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs3939286(配列番号46)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs2381416(配列番号47)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs928412(配列番号48)における2つのAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs7848215(配列番号49)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルから選択される多型における2つのアレルを含む。
【0177】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における少なくとも1つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルを含む。
【0178】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における少なくとも1つのGアレルを含む。
【0179】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルを含む。
【0180】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs928413(配列番号43)における2つのGアレルを含む。
【0181】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs992969(配列番号45)における少なくとも1つのAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルを含む。
【0182】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs992969(配列番号45)における少なくとも1つのAアレルを含む。
【0183】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルを含む。
【0184】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs992969(配列番号45)における2つのAアレルを含む。
【0185】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs7046661(配列番号82)におけるCアレル、多型rs10815363(配列番号83)におけるTアレル、多型rs62558407(配列番号84)におけるTアレル、多型rs1475658(配列番号85)におけるTアレル及び多型rs10975481(配列番号86)におけるGアレルから選択される少なくとも1つのアレルを含む。
【0186】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs7046661(配列番号82)における2つのCアレル、多型rs10815363(配列番号83)における2つのTアレル、多型rs62558407(配列番号84)における2つのTアレル、多型rs1475658(配列番号85)における2つのTアレル及び多型rs10975481(配列番号86)における2つのGアレルから選択される多型における2つのアレルを含む。
【0187】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10815363(配列番号83)における1つ又は2つのTアレルを含む。
【0188】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs1475658(配列番号85)における1つ又は2つのTアレルを含む。
【0189】
クラスター3
いくつかの例では、患者が、IL-33媒介性障害のリスクが増大しているか否かを判定するための方法は、患者から得られた試料から、表2に定義される少なくとも1つのクラスター3多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を同定することを含み、患者の遺伝子型が、表2に定義される少なくとも1つのクラスター3多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含む場合、患者は、IL-33媒介性障害のリスクが増大している。
【0190】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル、多型rs10975479(配列番号52)におけるGアレル、多型rs72699191(配列番号53)におけるCアレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs1342326(配列番号55)におけるCアレル、多型rs2066362(配列番号56)におけるTアレル、多型rs142807069(配列番号57)におけるGアレル、多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル及び多型rs9775039(配列番号59)におけるAアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含む。
【0191】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、以下の多型:多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル、多型rs10975479(配列番号52)におけるGアレル、多型rs72699191(配列番号53)におけるCアレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs1342326(配列番号55)におけるCアレル、多型rs2066362(配列番号56)におけるTアレル、多型rs142807069(配列番号57)におけるGアレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル並びに多型rs9775039(配列番号59)におけるAアレルの各々の少なくとも1つを含む。
【0192】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10975479(配列番号52)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs72699191(配列番号53)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs1342326(配列番号55)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs2066362(配列番号56)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs142807069(配列番号57)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル及び多型rs9775039(配列番号59)におけるAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含む。
【0193】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含む。
【0194】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs72699186(配列番号51)におけるTアレル、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含む。
【0195】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs72699186(配列番号51)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs144829310(配列番号50)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル及び多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルから選択される多型における2つのアレルを含む。
【0196】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs72699186(配列番号51)における2つのTアレル及び多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル、多型rs144829310(配列番号50)における2つのTアレル及び多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレルから選択される多型における2つのアレルを含む。
【0197】
いくつかの例では、遺伝子型は、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含む。
【0198】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs7032572(配列番号54)におけるGアレル、多型rs144829310(配列番号50)におけるTアレル及び多型rs10975488(配列番号58)におけるGアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含む。
【0199】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル、それと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs144829310(配列番号50)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル及び多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルから選択される多型における2つのアレルを含む。
【0200】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs7032572(配列番号54)における2つのGアレル、多型rs144829310(配列番号50)における2つのTアレル及び多型rs10975488(配列番号58)における2つのGアレルから選択される多型における2つのアレルを含む。実施例は、これらの多型におけるこれら3つのアレルの各々が、低及び高サイトカイン条件下でIL-33プロモーターからの発現を驚くほど増加させることを示す。
【0201】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs552376976(配列番号87)における1つ又は2つのTアレルを含む。
【0202】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs13298116(配列番号88)における1つ又は2つのTアレルを含む。
【0203】
クラスター1
いくつかの例では、患者が、IL-33媒介性障害のリスクが増大しているか否かを判定するための方法は、患者から得られた試料から、表3に定義される少なくとも1つのクラスター1多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルの遺伝子型を同定することを含み、患者の遺伝子型が、表3に定義される少なくとも1つのクラスター1多型又はそれと連鎖不平衡にある多型における等価アレルを含む場合、患者は、IL-33媒介性障害のリスクが増大している。
【0204】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815376(配列番号72)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs12551268(配列番号73)におけるAアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs2006682(配列番号74)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択されるクラスター1多型の少なくとも1つのアレル(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個又は15個)を含む。
【0205】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレル、多型rs10815376(配列番号72)におけるTアレル、多型rs12551268(配列番号73におけるAアレル、多型rs2006682(配列番号74)におけるGアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含む。
【0206】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、以下の多型:多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレル、多型rs10815376(配列番号72)におけるTアレル、多型rs12551268(配列番号73におけるAアレル、多型rs2006682(配列番号74)におけるGアレルの各々の少なくとも1つを含む。
【0207】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含む。
【0208】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)におけるTアレル、多型rs10975504(配列番号61)におけるGアレル、多型rs10815393(配列番号62)におけるCアレル、多型rs12339348(配列番号63)におけるTアレル、多型rs7035413(配列番号64)におけるGアレル、多型rs17498196(配列番号65)におけるCアレル、多型rs17582919(配列番号66)におけるCアレル、多型rs10815391(配列番号67)におけるGアレル、多型rs10815392(配列番号68)におけるCアレル、多型rs72689561(配列番号69)におけるCアレル、多型rs7038893(配列番号70)におけるCアレル、多型rs112935616(配列番号71)におけるTアレルから選択される多型における少なくとも1つのアレルを含む。
【0209】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs10975504(配列番号61)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs10815393(配列番号62)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs12339348(配列番号63)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs7035413(配列番号64)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs17498196(配列番号65)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs17582919(配列番号66)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs10815391(配列番号67)における2つのGアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs10815392(配列番号68)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs72689561(配列番号69)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル、多型rs7038893(配列番号70)における2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレル及び多型rs112935616(配列番号71)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルから選択される多型における2つのアレルを含む。
【0210】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレル、多型rs10975504(配列番号61)における2つのGアレル、多型rs10815393(配列番号62)における2つのCアレル、多型rs12339348(配列番号63)における2つのTアレル、多型rs7035413(配列番号64)における2つのGアレル、多型rs17498196(配列番号65)における2つのCアレル、多型rs17582919(配列番号66)における2つのCアレル、多型rs10815391(配列番号67)における2つのGアレル、多型rs10815392(配列番号68)における2つのCアレル、多型rs72689561(配列番号69)における2つのCアレル、多型rs7038893(配列番号70)における2つのCアレル、多型rs112935616(配列番号71)における2つのTアレルから選択される多型における2つのアレルを含む。
【0211】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における少なくとも1つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における少なくとも1つの等価アレルを含む。
【0212】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における少なくとも1つのTアレルを含む。
【0213】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における2つの等価アレルを含む。
【0214】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs10975507(配列番号60)における2つのTアレルを含む。
【0215】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs7038893(配列番号70)における1つ若しくは2つのCアレル又はそれと連鎖不平衡にある多型における1つ若しくは2つの等価アレルを含む。
【0216】
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs7038893(配列番号70)における1つ又は2つのCアレルを含む。
【0217】
クラスター4
いくつかの例では、患者の遺伝子型は、多型rs370820588(配列番号75)におけるCアレル、多型rs143215670(配列番号76)におけるCアレル、多型rs343478(配列番号77)におけるAアレル、多型rs10118776(配列番号78)におけるGアレル、多型rs146597587(配列番号79)におけるCアレル、多型rs10975519(配列番号80)におけるTアレル、多型rs10815381(配列番号81)におけるGアレルから選択される少なくとも1つの多型を含まない。
【0218】
一例では、患者の遺伝子型は、以下の多型:多型rs370820588(配列番号75)におけるCアレル、多型rs143215670(配列番号76)におけるCアレル、多型rs343478(配列番号77)におけるAアレル、多型rs10118776(配列番号78)におけるGアレル、多型rs146597587(配列番号79)におけるCアレル、多型rs10975519(配列番号80)におけるTアレル及び多型rs10815381(配列番号81)におけるGアレルの各々の少なくとも1つを含まない。
【0219】
一例では、患者の遺伝子型は、多型rs370820588(配列番号75)における2つのCアレル、多型rs143215670(配列番号76)における2つのCアレル、多型rs343478(配列番号77)における2つのAアレル、多型rs10118776(配列番号78)における2つのGアレル、多型rs146597587(配列番号79)における2つのCアレル、多型rs10975519(配列番号80)における2つのTアレル及び多型rs10815381(配列番号81)における2つのGアレルから選択される2つの多型を含まない。
【0220】
一例では、患者の遺伝子型は、以下の多型:多型rs370820588(配列番号75)における2つのCアレル、多型rs143215670(配列番号76)における2つのCアレル、多型rs343478(配列番号77)における2つのAアレル、多型rs10118776(配列番号78)における2つのGアレル、多型rs146597587(配列番号79)における2つのCアレル、多型rs10975519(配列番号80)における2つのTアレル及び多型rs10815381(配列番号81)における2つのGアレルを含まない。
【0221】
いくつかの例では、本明細書に開示される診断方法は、IL-33軸結合アンタゴニストを患者に投与するステップを更に含む。
【0222】
SNPの組み合わせ
上記の治療及び診断方法は、患者の遺伝子型がクラスター1、2又は3多型の組み合わせを含み得る場合を想定する。
【0223】
好適には、患者の遺伝子型がクラスター2多型を含むと判定されている場合、患者の遺伝子型は、表2に定義されているか、又はクラスター3多型に関する上記の特定の例に記載されている、クラスター3多型の少なくとも1つのアレルを含むと更に判定されていてもよい。加えて又は代わりに、患者の遺伝子型は、表3に定義されているか、又はクラスター1多型に関する上記の特定の例に記載されている、クラスター1多型の少なくとも1つのアレルを含むと更に判定されていてもよい。
【0224】
好適には、患者の遺伝子型がクラスター3多型を含むと判定されている場合、患者の遺伝子型は、表1に定義されているか、又はクラスター2多型に関する上記の特定の例に記載されている、クラスター2多型の少なくとも1つのアレルを含むと更に判定されていてもよい。加えて又は代わりに、患者の遺伝子型は、表3に定義されているか、又はクラスター1多型に関する上記の特定の例に記載されている、クラスター1多型の少なくとも1つのアレルを含むと更に判定されていてもよい。
【0225】
患者の遺伝子型がクラスター1多型を含むと判定されている場合、患者の遺伝子型は、表1に定義されているか、又はクラスター2多型に関する上記の特定の例に記載されている、クラスター2多型の少なくとも1つのアレルを含むと更に判定されていてもよい。加えて又は代わりに、患者の遺伝子型は、表2に定義されているか、又はクラスター3多型に関する上記の特定の例に記載されている、クラスター3多型の少なくとも1つのアレルを含むと更に判定されていてもよい。
【0226】
SNPの検出
いくつかの例では、本明細書に開示される治療及び診断方法は、1つ以上のクラスター1、2又は3多型(例えば、表1~3に記載のもの)における患者の遺伝子型を判定することを含む。SNPの存在について核酸を評価するための検出技法は、分子遺伝学の分野で周知の手順を含む。全てではないが多くの方法は、核酸の増幅を含む。増幅を実施するための十分な指針が当技術分野で提供される。例示的な参照文献としては、マニュアル、例えば、Erlich,ed.,PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification,Freeman Press,1992;Innis et al.eds.,PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press,1990;Ausubel,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,1994-1999(2004年4月までの補遺更新を含む);及びSam brook et al.eds.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2001が挙げられる。一塩基多型検出のための一般的方法は、Kwok,ed.,Single Nucleotide Polymorphisms:Methods and Protocols,Humana Press,2003に開示されている。
【0227】
方法は、典型的にはPCRステップを用いるが、他の増幅プロトコルも使用することができる。好適な増幅方法としては、リガーゼ連鎖反応(例えば、Wu et al.Genomics 4:560-569,1988を参照されたい);鎖置換アッセイ(例えば、Walker et al.Proc.Nat.Acad.Sci.USA 89:392-396,1992;米国特許第5,455,166号明細書を参照されたい);並びにいくつかの転写ベース増幅系(米国特許第5,437,990号明細書、同第5,409,818号明細書及び同第5,399,491号明細書に記載されている方法を含む);転写増幅系(TAS)(Kwoh et al.Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:1173-1177,1989);並びに自家持続配列複製(3SR)(Guatelli et al.Proc.Nat.Acad.Sci.USA 87:1874-1878,1990;国際公開第1992/08800号パンフレット)が挙げられる。代わりに、プローブを検出可能なレベルに増幅する方法、例えばQβ-レプリカーゼ増幅(Kramer et al.Nature 339:401-402,1989;Lomeli et al.Clin.Chern.35:1826-1831,1989)を使用することができる。既知の増幅方法の概説は、例えば、Abramson et al.Curr.Opin.Biotech.4:41-47,1993によって提供されている。
【0228】
個体の遺伝子型、ハプロタイプ、SNP、マイクロサテライト又は他の多型の検出は、オリゴヌクレオチドプライマー及び/又はプローブを使用して実施することができる。オリゴヌクレオチドは、任意の適切な方法、通常、化学合成によって調製することができる。オリゴヌクレオチドは、市販の試薬及び機器を使用して合成することができる。代わりに、それらは、商業的供給源を通して購入することができる。オリゴヌクレオチドを合成する方法は、当技術分野で周知である(例えば、Narang et al.Meth.Enzymol.68:90-99,1979;Brown et al.Meth.Enzymol.68:109-151,1979;Beaucage et al.Tetra.Lett.22:1859-1862,1981;及び米国特許第4,458,066号明細書の固体支持体法を参照されたい)。加えて、上述の合成方法に対する改変を使用して、合成オリゴヌクレオチドに対する酵素挙動に望ましく影響を及ぼすことができる。例えば、修飾ホスホジエステル結合(例えば、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホアミダート若しくはボラノホスフェート)又は亜リン酸誘導体以外の結合のオリゴヌクレオチドへの組み込みを使用して、選択された部位での切断を防止することができる。加えて、2’-アミノ修飾糖を使用すると、新たな核酸鎖を合成するための鋳型でもある核酸にハイブリダイズした場合、オリゴヌクレオチドの消化よりも置換を優先する傾向がある。
【0229】
個体(例えば、IL-33媒介性障害、例えば喘息又は肺線維症(例えば、特発性肺線維症)に罹患しているか又はそのリスクがある患者)の遺伝子型は、当技術分野で周知の多くの検出方法を使用して判定することができる。大部分のアッセイは、いくつかの一般的なプロトコル:アレル特異的オリゴヌクレオチドを使用するハイブリダイゼーション、プライマー伸長、アレル特異的ライゲーション、シーケンシング又は電気泳動分離技法、例えば一本鎖高次構造多型解析(SSCP)及びヘテロ二重鎖解析の1つを必要とする。例示的なアッセイとしては、5’-ヌクレアーゼアッセイ、鋳型特異的なダイターミネーターの取り込み、分子ビーコンアレル特異的オリゴヌクレオチドアッセイ、一塩基伸長アッセイ及びリアルタイムピロリン酸配列によるSNPスコアリングが挙げられる。増幅された配列の解析は、マイクロチップ、蛍光偏光アッセイ及びMALDI-TOF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型)質量分析法などの様々な技法を使用して実施することができる。更に使用することができる2つの方法は、フラップヌクレアーゼによる侵襲的切断に基づくアッセイ及びパドロックプローブを用いる手法である。
【0230】
特定のアレルの有無の判定は、一般に、解析される個体から得られる核酸試料を解析することによって実施される。多くの場合、核酸試料は、ゲノムDNAを含む。ゲノムDNAは、典型的には、血液試料から得られるが、他の細胞又は組織から得ることもできる。
【0231】
試料は、IL-33媒介性障害を有する疑いがあるか若しくは有すると診断された(したがって治療を必要とする可能性がある)患者又はあらゆる障害を有する疑いのない正常個体から採取することができる。遺伝子型を判定するために、細胞を含有するものなどの患者試料又はこれらの細胞によって産生される核酸を、本明細書に開示される方法で使用することができる。本開示における試料として有用な体液又は分泌物としては、例えば、血液、尿、唾液、糞便、胸水、リンパ液、痰、腹水、前立腺液、脳脊髄液(CSF)又は任意の他の身体分泌物若しくはその派生物が挙げられる。血液という用語は、全血、血漿、血清又は血液の任意の派生物を含むことを意味する。本明細書に記載の方法で使用するための試料核酸は、対象の任意の細胞タイプ又は組織から得ることができる。例えば、対象の体液(例えば、血液)を公知の技法によって得ることができる。代わりに、核酸試験を、乾燥試料(例えば、毛髪又は皮膚)に対して実施することができる。
【0232】
試料は、凍結したもの、新鮮なもの、固定(例えば、ホルマリン固定)したもの、遠心分離したもの及び/又は包埋(例えば、パラフィン包埋)したものなどであり得る。当然ながら、細胞試料は、試料中の遺伝子型を評価する前に、様々な周知の収集後の調製及び保存技法(例えば、核酸及び/又はタンパク質抽出、固定、保存、凍結、限外濾過、濃縮、蒸発、遠心分離など)に供することができる。同様に、生検物も収集後の調製及び保存技法、例えば固定に供することができる。
【0233】
本開示において有用であるSNPを検出するための核酸試料の解析に頻繁に使用される手法を、以下に簡潔に説明する。但し、一塩基置換の存在を検出するために、当技術分野において公知の任意の方法を本発明で使用することができる。
【0234】
アレル特異的ハイブリダイゼーション
アレル特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション(ASO)(例えば、Stoneking et al.Am.J.Hum.Genet.48:70-382,1991;Saiki et al.Nature 324,163-166,1986;欧州特許第235,726号明細書;及び国際公開第1989/11548号パンフレット)とも一般に称されるこの技法は、バリアントの1つに特異的なオリゴヌクレオチドプローブを、核酸試料の増幅から得られた増幅産物にハイブリダイズさせることにより、1塩基が異なる2つのDNA分子を識別することに依拠する。この方法は、典型的には短いオリゴヌクレオチド、例えば、15~20塩基長を用いる。プローブは、1つのバリアントに、別のバリアントに対して差次的にハイブリダイズするように設計される。そのようなプローブを設計するための原理及び指針は、当技術分野において、例えば本明細書に引用される参照文献中で利用可能である。ハイブリダイゼーション条件は、アレル間のハイブリダイゼーション強度に相当な差があり、実質的にバイナリ応答を生成し、それによりプローブがアレルの一方のみにハイブリダイズするように、十分にストリンジェントである必要がある。一部のプローブは、多型部位がプローブの中心位置(例えば、15塩基オリゴヌクレオチドの7位;16塩基オリゴヌクレオチドの8位又は9位のいずれか)と整列するように、標的DNAのセグメントにハイブリダイズするように設計されるが、この設計は必須ではない。
【0235】
アレルの量及び/又は存在は、試料にハイブリダイズするアレル特異的オリゴヌクレオチドの量を測定することによって決定することができる。典型的には、オリゴヌクレオチドは、蛍光標識などの標識で標識される。例えば、アレル特異的オリゴヌクレオチドは、SNP配列を表す固定化オリゴヌクレオチドに適用される。ストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件後、各SNPオリゴヌクレオチドの蛍光強度を測定する。
【0236】
多型部位に存在するヌクレオチドは、配列特異的ハイブリダイゼーション条件下において、多型部位を包含する領域中の多型アレルの1つに厳密に相補的なオリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーとハイブリダイゼーションすることによって同定され得る。プローブ又はプライマーがハイブリダイズする配列及び配列特異的ハイブリダイゼーション条件は、多型部位における単一のミスマッチがハイブリダイゼーション二重鎖を十分に不安定化し、その結果その二重鎖が事実上形成されないように選択される。したがって、配列特異的ハイブリダイゼーション条件下では、プローブ又はプライマーと厳密に相補的なアレル配列との間のみで、安定した二重鎖が形成される。したがって、多型部位を包含する領域中のアレル配列に厳密に相補的な約10~約35ヌクレオチド長、通常、約15~約35ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドは、本発明の範囲内である。
【0237】
別の例では、多型部位に存在するヌクレオチドは、十分にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、多型部位を包含する領域中のSNPアレルの1つに実質的に相補的であり、且つ多型部位のアレルに厳密に相補的であるオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションすることによって同定される。非多型部位で生じるミスマッチは両方のアレル配列とのミスマッチであるため、標的アレル配列と形成される二重鎖及び対応する非標的アレル配列と形成される二重鎖におけるミスマッチの数の相違は、標的アレル配列に厳密に相補的なオリゴヌクレオチドが使用される場合と同じである。この場合、ハイブリダイゼーション条件は、非標的配列との安定した二重鎖の形成を妨げるのに十分なストリンジェンシーを維持しながら、標的配列との安定した二重鎖が形成され得るように十分に緩和される。そのような十分にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下では、安定した二重鎖は、プローブ又はプライマーと標的アレルとの間でのみ形成される。したがって、多型部位を包含する領域中のアレル配列に実質的に相補的であり、且つ多型部位のアレル配列に厳密に相補的である、約10~約35ヌクレオチド長、通常、約15~約35ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドを検出することができる。
【0238】
ハイブリダイゼーション条件の最適化が制限されているアッセイ形式では、厳密に相補的ではなく実質的に相補的なオリゴヌクレオチドを使用することが望ましい場合がある。例えば、典型的なマルチターゲット固定化オリゴヌクレオチドアッセイ形式では、各ターゲットのプローブ又はプライマーは、単一の固体支持体上に固定化される。ハイブリダイゼーションは、固体支持体を標的DNA含有溶液と接触させることによって同時に行われる。全てのハイブリダイゼーションが同一条件下で行われることから、ハイブリダイゼーション条件を各プローブ又はプライマーに対して別個に最適化することはできない。アッセイ形式によってハイブリダイゼーション条件の調節が不可能である場合、プローブ又はプライマーへのミスマッチの取り込みを使用して二重鎖安定性を調節することができる。導入された特定のミスマッチが二重鎖安定性に及ぼす影響は周知であり、二重鎖安定性を、上記のように、日常的に推定することも実験的に判定することもできる。プローブ又はプライマーの正確なサイズ及び配列に依存する適切なハイブリダイゼーション条件は、本明細書に提供され、当技術分野で周知の指針を用いて実験的に選択することができる。配列の一塩基対の相違を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーの使用は、例えば、Conner et al.Proc.Nat.Acad.Sci.USA 80:278-282,1983並びに米国特許第20 5,468,613号明細書及び同第5,604,099号明細書に記載されている。
【0239】
完全にマッチしたハイブリダイゼーション二重鎖と一塩基ミスマッチのハイブリダイゼーション二重鎖との間の安定性の比例的変化は、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの長さに依存する。より短いプローブ配列と形成される二重鎖は、ミスマッチの存在によって比例的に更に不安定化される。約15~約35ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドは、配列特異的検出に使用されることが多い。更に、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドの末端は、熱エネルギーによって連続するランダムな解離及び再アニーリングを起こしていることから、いずれかの末端におけるミスマッチは、内部で生じるミスマッチほどハイブリダイゼーション二重鎖を不安定化しない。標的配列における一塩基対変化の識別のために、多型部位がプローブの内部領域に生じるように標的配列にハイブリダイズするプローブ配列が選択される。
【0240】
特定のアレルにハイブリダイズするプローブ配列を選択するための上記基準は、プローブのハイブリダイズ領域、即ち標的配列とのハイブリダイゼーションに関与するプローブの部分に適用される。プローブのハイブリダイゼーション特性を大幅に変化させずにプローブを固定化するために使用されるポリ-T尾部などの更なる核酸配列に、プローブを結合させることができる。本発明の方法で使用する場合、標的配列に相補的ではない、即ちハイブリダイゼーションに関与しない更なる核酸配列に結合するプローブは、未結合のプローブと本質的に同等であることを当業者は認識するであろう。
【0241】
プローブと試料中の標的核酸配列との間で形成されるハイブリッドの検出に適したアッセイ形式は、当技術分野において公知であり、固定化された標的(ドットブロット)の形式及び固定化されたプローブ(逆ドットブロット又はラインブロット)のアッセイ形式が含まれる。ドットブロット及び逆ドットブロットのアッセイ形式は、米国特許第5,310,893号明細書、同第5,451,512号明細書、同第5,468,613号明細書及び同第5,604,099号明細書に記載されている。
【0242】
ドットブロット形式では、増幅された標的DNAをナイロン膜などの固体支持体上に固定化する。膜-標的複合体を、適切なハイブリダイゼーション条件下で標識プローブと共にインキュベートし、ハイブリダイズしなかったプローブを適切であるストリンジェントな条件下で洗浄することによって除去し、結合したプローブの存在について膜をモニタリングする。
【0243】
逆ドットブロット(又はラインブロット)形式では、プローブをナイロン膜又はマイクロタイタープレートなどの固体支持体上に固定化する。標的DNAは、典型的には標識プライマーの組み込みによって増幅中に標識される。プライマーの一方又は両方を標識することができる。膜-プローブ複合体を、適切なハイブリダイゼーション条件下で標識され増幅された標的DNAと共にインキュベートし、ハイブリダイズしなかった標的DNAを適切であるストリンジェントな条件下で洗浄することによって除去し、結合した標的DNAの存在について膜をモニタリングする。
【0244】
多型バリアントの1つに特異的なアレル特異的プローブは、他の多型バリアントに対するアレル特異的プローブと併用されることが多い。プローブを固体支持体に固定化することができ、個体中の標的配列を両方のプローブを同時に使用して解析する。核酸アレイの例は、国際公開第95/11995号パンフレットに記載されている。同じアレイ又は異なるアレイを、特徴付けられた多型の解析に使用することができる。国際公開第95/11995号パンフレットは、既に特徴付けられている多型のバリアント形態の検出のために最適化されたサブアレイについても記載している。そのようなサブアレイは、本明細書に記載の多型の存在を検出する際に使用することができる。
【0245】
アレル特異的プライマー
多型は、アレル特異的増幅又はプライマー伸長法を使用しても一般的に検出される。これらの反応は、典型的には、プライマーの3’末端におけるミスマッチを介して多型を特異的に標的とするように設計されたプライマーの使用を含む。ミスマッチの存在は、ポリメラーゼがエラー校正活性を欠く場合、ポリメラーゼがプライマーを伸長する能力に影響を及ぼす。例えば、アレル特異的増幅又は伸長に基づく方法を使用してアレル配列を検出するために、多型の1つのアレルに相補的なプライマーは、3’末端ヌクレオチドが多型位置でハイブリダイズするように設計される。特定のアレルの存在は、伸長を開始するプライマーの能力によって判定することができる。3’末端がミスマッチである場合、伸長は妨げられる。
【0246】
いくつかの例では、プライマーは、増幅反応中に第2のプライマーと併用される。第2のプライマーは、多型位置とは無関係な部位でハイブリダイズする。増幅は2つのプライマーから進行し、特定のアレル形態が存在することを示す検出可能な産物がもたらされる。アレル特異的増幅又は伸長に基づく方法は、例えば、国際公開第93/22456号パンフレット、米国特許第5,137,806号明細書、同第5,595,890号明細書、同第5,639,611号明細書及び米国特許第4,851,331号明細書に記載されている。
【0247】
アレル特異的増幅に基づく遺伝子型同定を使用すると、アレルの同定には、増幅された標的配列の有無の検出のみが必要となる。増幅された標的配列の検出方法は、当技術分野で周知である。例えば、記載されるゲル電気泳動及びプローブハイブリダイゼーションアッセイは、核酸の存在を検出するために使用されることが多い。
【0248】
別のプローブレス方法では、増幅された核酸は、反応混合物中の二本鎖DNAの総量の増加をモニタリングすることによって検出され、この方法は、例えば、米国特許第5,994,056号明細書並びに欧州特許出願公開第487,218号明細書及び同第512,334号明細書に記載されている。二本鎖標的DNAの検出は、様々なDNA結合色素、例えばSYBR Greenが二本鎖DNAに結合したときに呈する蛍光の増大に依存する。
【0249】
当業者によって理解されるように、アレル特異的増幅方法は、特定のアレルを標的とするために複数のアレル特異的プライマーを用いる反応において実施することができる。そのようなマルチプレックス用途のためのプライマーは、一般に、識別可能な標識で標識されるか、又はアレルから生じる増幅産物がサイズによって識別可能であるように選択される。したがって、例えば、単一試料中の複数のアレルを、増幅産物のゲル解析による単一増幅を使用して同定することができる。
【0250】
アレル特異的プローブの場合と同様に、アレル特異的オリゴヌクレオチドプライマーは、ハイブリダイズ領域中の多型アレルの1つに厳密に相補的であり得るか、又はオリゴヌクレオチドの3’末端以外の位置に数個のミスマッチ(このミスマッチは両方のアレル配列中の非多型部位に生じる)を有し得る。
【0251】
検出可能なプローブ
5’-ヌクレアーゼアッセイプローブ
遺伝子型同定は、米国特許第5,210,015号明細書、同5,487,972号明細書及び同5,804,375号明細書;並びにHolland et al.Proc.Nat.Acad.Sci.USA 88:7276-7280,1988に記載されているように、「TAQMAN(登録商標)」又は「5’-ヌクレアーゼアッセイ」を使用して実施することもできる。TAQMAN(登録商標)アッセイでは、増幅領域内でハイブリダイズする標識された検出プローブを、増幅反応中に加える。プローブは、プローブがDNA合成のプライマーとして作用するのを防止するように修飾される。増幅は、5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを使用して実施される。増幅の各合成ステップの間、伸長されるプライマーの下流の標的核酸にハイブリダイズするあらゆるプローブは、DNAポリメラーゼの5’-3’エキソヌクレアーゼ活性によって分解される。したがって、新たな標的鎖の合成はプローブの分解も生じさせ、分解産物の蓄積により標的配列の合成の指標が得られる。
【0252】
ハイブリダイゼーションプローブは、SNPアレル間を区別するアレル特異的プローブであり得る。代わりに、この方法は、アレル特異的プライマー及び増幅産物に結合する標識プローブを使用して実施することができる。
【0253】
分解産物を検出するのに適した任意の方法を5’-ヌクレアーゼアッセイで使用することができる。多くの場合、検出プローブは、2つの蛍光色素で標識され、その一方は、他方の色素の蛍光をクエンチングすることができる。色素はプローブに結合しており、通常、一方が5’末端に結合し、もう一方が内部部位に結合するため、その結果、プローブがハイブリダイズしていない状態にあるときにクエンチングが生じ、またDNAポリメラーゼの5’-3’エキソヌクレアーゼ活性によるプローブの切断が2つの色素間で生じる。増幅によって色素間のプローブが切断され、同時にクエンチングがなくなり、最初にクエンチングされた色素からの観察可能な蛍光が増加する。分解産物の蓄積は、反応蛍光の増加を測定することによりモニタリングされる。米国特許第5,491,063号明細書及び同第5,571,673号明細書は、増幅と同時に起こるプローブの分解を検出するための別の方法を記載している。
【0254】
二次構造プローブ
二次構造変化時に検出可能なプローブも、SNPを含む多型の検出に適している。例示的な二次構造又はステムループ構造プローブとしては、分子ビーコン又はSCORPION(登録商標)プライマー/プローブが挙げられる。分子ビーコンプローブは、フルオロフォア及びクエンチャーがオリゴヌクレオチドの両端に通常配置されるヘアピン構造を形成することができる、一本鎖オリゴ核酸プローブである。プローブのいずれかの末端において、短い相補的配列により分子内ステムの形成が可能となり、これにより、フルオロフォア及びクエンチャーが極めて接近することが可能となる。分子ビーコンのループ部分は、目的の標的核酸に相補的である。このプローブがその目的の標的核酸に結合すると、ステムを分離させるハイブリッドが形成される。これにより、フルオロフォア及びクエンチャーを互いに離れるように移動させ、より強い蛍光シグナルをもたらす高次構造変化が生じる。分子ビーコンプローブは、プローブ標的のわずかな配列変動に対する感度が高い(例えば、Tyagi et al.Nature Biotech.14:303-308,1996;Tyagi et al.Nature Biotech.16:49-53,1998;Piatek et al.Nature Biotech.16:359-363,1998;Marras et al.Genetic Analysis:Biomolecular Engineering 14:151-156,1999;Tapp et al,BioTechniques 28:732-738,2000を参照されたい)。SCORPION(登録商標)プライマー/プローブは、プライマーに共有結合したステムループ構造プローブを含む。
【0255】
DNAシーケンシング及び一塩基伸長
SNPは、ダイレクトシーケンシングによって検出することもできる。方法には、例えば、ジデオキシシーケンシングに基づく方法並びにMaxam-Gilbert配列などの他の方法が含まれる(例えば、上掲のSambrook and Russellを参照されたい)。
【0256】
他の検出法には、オリゴヌクレオチド長産物のPYROSEQUENCING(商標)が含まれる。そのような方法は、PCRなどの増幅技法を用いることが多い。例えば、パイロシーケンシングでは、シーケンシングプライマーを一本鎖PCR増幅DNA鋳型にハイブリダイズさせ、酵素であるDNAポリメラーゼ、ATPスルフリラーゼ、ルシフェラーゼ及びアピラーゼ並びに基質であるアデノシン5’ホスホ硫酸(APS)及びルシフェリンと共にインキュベートする。4つのデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)の最初のものを反応に加える。DNAポリメラーゼは、デオキシヌクレオチド三リン酸が鋳型鎖の塩基に相補的である場合、デオキシヌクレオチド三リン酸のDNA鎖への取り込みを触媒する。取り込み事象のそれぞれは、取り込まれたヌクレオチドの量と等モル量であるピロリン酸(PPi)の放出を伴う。ATPスルフリラーゼは、APSの存在下でPPiをATPに定量的に変換する。このATPは、ルシフェラーゼ媒介性のルシフェリンからオキシルシフェリンへの変換を引き起こし、これにより、ATP量に比例する量で可視光が生成される。ルシフェラーゼ触媒反応で生じた光は、電荷結合素子(CCD)カメラによって検出され、PYROGRAM(商標)においてピークとして見られる。各光シグナルは、取り込まれたヌクレオチドの数に比例する。ヌクレオチド分解酵素であるアピラーゼは、取り込まれていないdNTP及び過剰なATPを連続的に分解する。分解が完了すると、別のdNTPが添加される。
【0257】
SNPを特徴付けるための別の類似した方法は、完全なPCRの使用を必要としないが、典型的には、調査対象のヌクレオチドに相補的である単一の蛍光標識ジデオキシリボ核酸分子(ddNTP)によるプライマーの伸長のみを使用する。多型部位のヌクレオチドは、1塩基伸長され蛍光標識されたプライマーの検出により同定することができる(例えば、Kobayashi et al,Mol.Cell.Probes,9:175-182,1995)。
【0258】
電気泳動
ポリメラーゼ連鎖反応を使用して生成された増幅産物は、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法を使用することによって解析することができる。異なるアレルは、溶液中のDNAの異なる配列依存的融解特性及び電気泳動移動に基づいて同定することができる(例えば、Erlich,ed.,PCR Technology,Principles and Applications for DNA Amplification,W.H.Freeman and Co.,1992を参照されたい)。
【0259】
マイクロサテライト多型の識別は、キャピラリー電気泳動を使用して行うことができる。キャピラリー電気泳動は、特定のマイクロサテライトアレルにおける反復の数の同定を容易に可能にする。DNA多型の解析へのキャピラリー電気泳動の適用は、当業者に周知である(例えば、Szantai et al.J Chromatogr A.1 079(1-2):41-9,2005;Bjorheim et al.Electrophoresis 26(13):2520-30,2005及びMitchelson,Mol.Biotechnol.24(1):41-68,2003を参照されたい)。
【0260】
アレルバリアントの同一性は、変性剤のグラジエントを含むポリアクリルアミドゲル中の多型領域を含む核酸の挙動を解析することによっても得ることができ、これは変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE)を使用してアッセイされる(例えば、Myers et al.Nature 313:495-498,1985を参照されたい)。DGGEを解析方法として使用する場合、DNAは、例えば、PCRによって約40bpの高融点GCリッチDNAのGCクランプを加えることにより、確実に完全に変性しないように修飾される。いくつかの例では、変性剤グラジエントの代わりに温度グラジエントを使用して、対照及び試料DNAの移動度の差異を明らかにすることができる(例えば、Rosenbaum et al.Biophys.Chem.265:1275,1987を参照されたい)。
【0261】
一本鎖高次構造多型解析
標的配列のアレルは、例えば、Orita et al.Proc.Nat.Acad.Sci.86,2766-2770,1989;Cotton Mutat.Res.285:125-144,1993;及びHayashi Genet.Anal.Tech.Appl.9:73-79,1992に記載されているように、一本鎖PCR産物の電気泳動移動の変化によって塩基差を同定する、一本鎖高次構造多型解析を使用して区別することができる。増幅されたPCR産物を、上記のように生成し、加熱するか又は別途変性させて、一本鎖増幅産物を形成することができる。一本鎖核酸は、リフォールディングすることができるか、又は塩基配列に部分的に依存する二次構造を形成することができる。一本鎖増幅産物の異なる電気泳動移動度を、標的のアレル間の塩基配列の相違に関連付けることができ、電気泳動移動度に結果として生じる変化により、一塩基の変化でも検出することが可能となる。DNAフラグメントは、標識プローブで標識又は検出され得る。アッセイの感度は、二次構造が配列の変化に対してより感受性の高いRNA(DNAではなく)を使用することによって増強され得る。別の例では、方法は、電気泳動移動度の変化に基づいて二本鎖ヘテロ二重鎖分子を分離するためにヘテロ二重鎖解析を利用する(例えば、Keen et al.Trends Genet.7:5-10,1991を参照されたい)。
【0262】
SNPの検出方法は、多くの場合、標識オリゴヌクレオチドを用いる。オリゴヌクレオチドは、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的又は化学的手段によって検出可能な標識を組み込むことによって標識することができる。有用な標識としては、蛍光色素、放射性標識、例えば32P、高電子密度試薬、酵素(例えばペルオキシダーゼ若しくはアルカリホスファターゼ)、ビオチン又はハプテン及び抗血清若しくはモノクローナル抗体が利用可能なタンパク質が挙げられる。標識技法は、当技術分野で周知である(例えば、上掲のCurrent Protocols in Molecular Biology;上掲のSambrook et al.を参照されたい)。
【0263】
IL-33軸結合アンタゴニスト
本明細書に開示される治療及び診断方法は、IL-33軸結合アンタゴニストで優先的に治療され得る対象を同定する。「IL-33軸結合アンタゴニスト」とは、IL-33軸結合パートナーとその結合パートナーの1つ以上との相互作用を阻害する分子を指す。本明細書で使用される場合、IL-33軸結合アンタゴニストは、IL-33結合アンタゴニスト、ST2結合アンタゴニスト及びIL-1RAcP結合アンタゴニストを含む。
【0264】
例示的なIL-33結合アンタゴニストには、33_640087-7B(国際公開第2016/156440号パンフレットに記載のもの)、エトキマブとして知られるANB020(国際公開第2015/106080号パンフレットに記載のもの)、9675P(米国特許出願公開第2014/0271658号明細書に記載のもの)、A25-3H04(米国特許出願公開第2017/0283494号明細書に記載のもの)、Ab43(国際公開第2018/081075号パンフレットに記載のもの)、IL33-158(米国特許出願公開第2018/0037644号明細書に記載のもの)、10C12.38.H6.87Y.581 lgG4(国際公開第2016/077381号パンフレットに記載のもの)又はそれらの結合フラグメントを含む、抗IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントが含まれる。他の例示的な抗IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントには、国際公開第2016/156440号パンフレット、国際公開第2015/106080号パンフレット、米国特許出願公開第2014/0271658号明細書、米国特許出願公開第2017/0283494号明細書、国際公開第2018/081075号パンフレット、米国特許出願公開第2018/0037644号明細書又は国際公開第2016/077381号パンフレット(これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている他の抗IL-33抗体のいずれかが含まれる。
【0265】
他の例示的なIL-33軸結合アンタゴニストには、IL-33及び/又はその受容体(ST-2)若しくは補助受容体(IL1-RAcP)に結合し、リガンド受容体相互作用を遮断するポリペプチド(例えば、国際公開第2013/173761号パンフレット;同第2013/165894号パンフレット;若しくは同第2014/152195号パンフレット(これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものなどのST2-Fcタンパク質若しくは可溶性ST2又はそれらの誘導体)が含まれる。
【0266】
他の例示的なIL-33軸結合アンタゴニストには、抗ST-2抗体又はその抗原結合フラグメント(例えば、AMG-282(Amgen)若しくはSTLM15(Janssen)又は国際公開第2013/173761号パンフレット若しくは国際公開第2013/165894号パンフレット(これらは、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている抗ST2抗体のいずれか)も含まれる。
【0267】
他の例示的なIL-33軸結合アンタゴニストには、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2018/102597号パンフレットに記載されているものなどのIL-33受容体ベースのリガンドトラップが含まれる。
【0268】
一例では、IL-33軸結合アンタゴニストは、結合分子である。好適には、結合分子は、抗体又はその抗原結合フラグメントであり得る。
【0269】
好適には、結合分子は、IL33に特異的に結合する。そのような結合分子は、「IL-33結合分子」又は「抗IL-33結合分子」とも称される。好適には、結合分子は、IL-33に特異的に結合し、IL-33活性を阻害するか又は減衰させる。
【0270】
好適には、IL-33結合分子は、還元IL-33、酸化IL-33又は還元IL-33と酸化IL-33の両方に特異的に結合する。
【0271】
好適には、結合分子は、還元型又は酸化型のIL-33に結合することにより、IL-33活性を減衰させるか又は阻害することができる。好適には、結合分子が還元IL-33の活性及び酸化IL-33の活性を阻害するか又は減衰させる場合、これは、還元型のIL-33に結合することによって(即ち還元IL-33に結合することによって)実現される。
【0272】
好適には、結合分子は、redIL-33及びoxIL-33の両方の活性を阻害するか又は減衰させ、これによりST2シグナル伝達及びRAGEシグナル伝達の両方を阻害するか又は減衰させる。
【0273】
好適には、結合分子は、5×10-2M未満、10-2M未満、5×10-3M未満、10-3M未満、5×10-4M未満、10-4M未満、5×10-5M未満、10-5M未満、5×10-6M未満、10-6M未満、5×10-7M未満、10-7M未満、5×10-8M未満、10-8M未満、5×10-9M未満、10-9M未満、5×10-10M未満、10-10M未満、5×10-11M未満、10-11M未満、5×10-12M未満、10-12M未満、5×10-13M未満、10-13M未満、5×10-14M未満、10-14M未満、5×10-15M未満又は10-15M未満の結合親和性(Kd)で、redIL-33に特異的に結合し得る。好適には、redIL-33に対する結合親和性は、5×10-14M未満(即ち0.05pM)である。好適には、結合親和性は、Kinetic Exclusion Assay(KinExA)又はBIACORE(商標)を使用して、好適には、KinExAを使用し、国際公開第2016/156440号パンフレット(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)(例えば、実施例11を参照されたい)に記載されているものなどのプロトコルを使用して測定されるものである。この結合親和力でredIL-33と結合する結合分子は、生物学的に適切な時間スケール内で結合分子/redIL-33複合体の解離を防止するのに十分なほど密接に結合していることが明らかとなっている。理論に束縛されることを望まないが、この結合強度は、インビボでの結合分子/抗原複合体の分解前の抗原の放出を防止し、結合複合体からのIL-33の放出に関連するあらゆるIL-33依存的活性を最小限に抑えると考えられている。
【0274】
好適には、結合分子は、10-1-1以上、5×10-1-1以上、10-1-1以上又は5×10-1-1以上のオン速度(k(on))で、redIL-33に特異的に結合し得る。例えば、本開示の結合分子は、10-1-1以上、5×10-1-1以上、10-1-1以上又は5×10-1-1以上若しくは10-1-1以上のオン速度(k(on))で、redIL-33又はそのフラグメント若しくはバリアントに結合し得る。好適には、k(on)速度は、10-1-1以上である。好適には、結合分子は、5×10-1-1以下、10-1-1以下、5×10-2-1以下、10-2-1以下、5×10-3-1以下又は10-3-1以下のオフ速度(k(off))で、redIL-33に特異的に結合し得る。例えば、本開示の結合分子は、5×10-4-1以下、10-4-1以下、5×10-5-1以下又は10-5-1以下、5×10-6-1以下、10-6-1以下、5×10-7-1以下若しくは10-7-1以下のオフ速度(k(off))で、redIL-33又はそのフラグメント若しくはバリアントに結合すると言うことができる。好適には、k(off)速度は10-3-1以下である。IL-33は、炎症性刺激に応答して迅速に且つ高濃度で放出されるアラーミンサイトカインである。redIL-33は、細胞外環境に放出されてから約5~45分後に酸化型へと変換される(Cohen et al Nat Commun 6,8327(2015))。理論に束縛されることを望まないが、これらのk(on)及び/又はk(off)速度でredIL-33と結合することにより、還元型からoxIL-33への変換前のredIL-33への曝露を最小限に抑えることができる。更に、k(off)速度は、インビボでの複合体の分解前に、結合分子/抗原複合体からのIL-33の放出を防止し得る。これらの結合カイネティクスは、redIL-33のoxIL-33への変換を防止し、したがってRAGEを介したIL-33の酸化型の病的なシグナル伝達を防止するようにも作用し得る(参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/156440号パンフレットに記載されている)。
【0275】
好適には、IL-33結合分子は、表6に引用される結合分子のいずれかに対するIL-33の結合を競合的に阻害し得る。
【0276】
【表7】
【0277】
【表8】
【0278】
【表9】
【0279】
【表10】
【0280】
【表11】
【0281】
【表12】
【0282】
これらの結合分子の全ては、IL-33に結合してST-2シグナル伝達を阻害するか又は減衰させると報告されている。したがって、IL-33への結合に関して表6に記載される抗体のいずれかと競合する結合分子又はその結合フラグメントは、ST-2シグナル伝達を阻害するか又は減衰させ得る。
【0283】
結合分子又はそのフラグメントは、それが所与のエピトープに対する参照抗体の結合をある程度遮断する限りにおいてそのエピトープと特異的に結合する場合、そのエピトープに対する参照抗体の結合を競合的に阻害すると考えられる。競合的阻害は、当技術分野において公知の任意の方法、例えば競合ELISAアッセイなどの固相アッセイ、解離増強ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA(登録商標)、Perkin Elmer)及び放射性リガンド結合アッセイによって判定され得る。例えば、当業者は、国際公開第2016/156440号パンフレットの段落881~886(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているHTRFアッセイなどのインビトロ競合結合アッセイを使用することにより、結合分子又はそのフラグメントがIL-33への結合について競合するか否かを判定することができる。例えば、当業者は、表6の組換え抗体をドナーフルオロフォアで標識し、複数の濃縮物をアクセプターフルオロフォアで標識されたredIL-33の固定濃度試料と混合することができる。続いて、各試料内のドナーフルオロフォアとアクセプターフルオロフォアとの間の蛍光共鳴エネルギー移動を測定して、結合特性を確認することができる。競合的結合分子を明らかにするため、当業者であれば、最初に様々な濃度の試験結合分子を表6の固定濃度の標識抗体と混合することができる。標識抗体のみの陽性対照と比較した、混合物を標識IL-33と共にインキュベートした場合のFRETシグナルの低減は、IL-33に対する競合的結合を示す。結合分子又はそのフラグメントは、所与のエピトープへの参照抗体の結合を少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%又は少なくとも50%競合的に阻害すると言うことができる。
【0284】
好適には、IL-33結合分子は、表6から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)の対の相補性決定領域(CDR)を含む、抗体又は抗原結合フラグメントであり得る。その中で、対1は、国際公開第2016/156440号パンフレットに記載されている33_640087-7BのVH及びVLドメイン配列に対応する。対2~7は、米国特許出願公開第2014/0271658号明細書に記載されている抗体のVH及びVLドメイン配列に対応する。対8~12は、米国特許出願公開第2017/0283494号明細書に記載されている抗体のVH及びVLドメイン配列に対応する。対13は、国際公開第2015/106080号パンフレットに記載されているANB020のVH及びVLドメイン配列に対応する。対14~16は、国際公開第2018/081075号パンフレットに記載されている抗体のVH及びVLドメイン配列に対応する。対17は、米国特許出願公開第2018/0037644号明細書に記載されているIL33-158のVH及びVLドメイン配列に対応する。対18は、国際公開第2016/077381号パンフレットに記載されている10C12.38.H6.87Y.581 lgG4のVH及びVLドメイン配列に対応する。
【0285】
好適には、IL-33結合分子は、結合分子33_640087-7B(国際公開第2016/156440号パンフレットに記載されているもの)へのIL-33の結合を競合的に阻害し得る。好適には、国際公開第2016/156440号パンフレットは、33_640087-7Bが、特に高い親和力でredIL-33と結合し、ST-2及びRAGE依存性の両方のIL-33シグナル伝達を減衰させることを開示する。
【0286】
好適には、IL-33結合分子は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と配列番号19の配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の相補性決定領域(CDR)とを含む、抗IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントである。これらのCDRは、還元IL-33に結合し、酸化IL-33へのその変換を阻害する、33_640087-7B(国際公開第2016/156440号パンフレットに記載されているもの)から誘導されるものに相当する。33_640087-7Bは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/156440号パンフレットに詳細に記載されている。したがって、この抗体は、ST-2及びRAGEシグナル伝達の両方を阻害するか又は減衰させるために、本明細書に記載の方法において特に有用であり得る。
【0287】
好適には、当業者は、当技術分野における抗体又はその抗原結合フラグメントの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域内のCDRを同定するのに利用可能な方法を把握している。好適には、当業者は、例えば、配列に基づくアノテーションを行うことができる。CDR間の領域は、一般的に、高度に保存されているため、論理規則を使用してCDRの位置を決定することができる。当業者は、従来の抗体について一連の配列に基づく規則(Pantazes and Maranas,Protein Engineering,Design and Selection,2010)を使用することができ、代わりに又は加えて、当業者は複数の配列アラインメントに基づいて規則を改良することもできる。代わりに、当業者は、抗体配列を、BLAST+のBLASTPコマンドを使用して、Kabat、Chothia又はIMGT法で動作する公開データベースと比較して、最も近似するアノテーション付き配列を同定することができる。これらの各方法では、超可変領域の残基に付番し、次いで6つのCDRの各々の始端及び終端が特定の重要な位置に従って決定されることによる、独自の残基付番スキームが考案されている。例えば、最も近似するアノテーション付き配列とアラインメントすると、CDRをアノテーション付き配列から非アノテーション付き配列へと外挿することができ、それによりCDRを同定することができる。好適なツール/データベースは、例えば、Kabatデータベース、Kabatman、Scalinger、IMGT、Abnumである。
【0288】
好適には、結合分子は、表6から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)の対を含むIL-33抗体又は抗原結合フラグメントである。
【0289】
したがって、好適には、IL33抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号1の配列のVHドメイン及び配列番号19の配列のVLドメインを含む。
【0290】
したがって、好適には、IL33抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号7の配列のVHドメイン及び配列番号25の配列のVLドメインを含む。
【0291】
したがって、好適には、IL33抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号11の配列のVHドメイン及び配列番号29の配列のVLドメインを含む。
【0292】
したがって、好適には、IL33抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号13の配列のVHドメイン及び配列番号31の配列のVLドメインを含む。
【0293】
したがって、好適には、IL33抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号16の配列のVHドメイン及び配列番号34の配列のVLドメインを含む。
【0294】
したがって、好適には、IL33抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号17の配列のVHドメイン及び配列番号35の配列のVLドメインを含む。
【0295】
したがって、好適には、IL33抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号18の配列のVHドメイン及び配列番号36の配列のVLドメインを含む。
【0296】
好適には、IL-33抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号1、7、11、13、16、17及び18から独立して選択される重鎖可変領域に由来する3つのCDRを含む可変重鎖を含む。
【0297】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1に従う重鎖可変領域の3つのCDRを含む重鎖可変領域を含む。
【0298】
好適には、IL-33抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号19、25、29、31、34、35及び36から独立して選択される軽鎖可変領域に3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む。
【0299】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号19に従う軽鎖可変領域の3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む。
【0300】
したがって、好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1、7、11、13、16、17及び18から独立して選択される重鎖可変領域の3つのCDRを含む重鎖可変領域を含み、且つ配列番号19、25、29、31、34、35及び36から独立して選択される軽鎖可変領域の3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む。
【0301】
したがって、好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1に従う重鎖可変領域の3つのCDRを含む重鎖可変領域を含み、且つ配列番号19に従う軽鎖可変領域の3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む。
【0302】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号37、38及び39の配列を有するVH CDR1~3を有する可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、1つ以上のVHCDRは、3つ以下の単一アミノ酸の置換、挿入及び/又は欠失を有する。
【0303】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号37、配列番号38及び配列番号39のVHCDR1~3を含むVHドメインを含む。
【0304】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号37、配列番号38及び配列番号39からなるVHCDR1~3を含むVHドメインを含む。
【0305】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号40、41及び42の配列を有するVL CDR1~3を有する可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)を含み、1つ以上のVLCDRは、3つ以下の単一アミノ酸の置換、挿入及び/又は欠失を有する。
【0306】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号40、配列番号41及び配列番号42のVLCDR1~3を含むVLドメインを含む。
【0307】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号40、配列番号41及び配列番号42からなるVLCDR1~3を含むVLドメインを含む。
【0308】
したがって、好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号37の配列を有するVHCDR1、配列番号38の配列を有するVHCDR2、配列番号39の配列を有するVHCDR3、配列番号40の配列を有するVLCDR1、配列番号41の配列を有するVLCDR2及び配列番号42の配列を有するVLCDR3を含む。
【0309】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH及びVLを含み、VHは、配列番号1、7、11、13、16、17及び18に従うVHと少なくとも90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0310】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH及びVLを含み、VHは、配列番号1に従うVHと少なくとも90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0311】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH及びVLを含み、上記で開示されるVHは、フレームワークの1、2、3又は4つのアミノ酸が欠失しているか、挿入され、且つ/又は異なるアミノ酸に独立して置換されている配列を有する。
【0312】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH及びVLを含み、VLは、配列番号19、25、29、31、34、35及び36に従うVLと少なくとも90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0313】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH及びVLを含み、VLは、配列番号19に従うVLと少なくとも90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0314】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH及びVLを含み、上記で開示されるVLは、フレームワークの1、2、3又は4つのアミノ酸が独立して欠失し、挿入され、且つ/又は異なるアミノ酸に置換されている配列を有する。
【0315】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH及びVLを含み、VHは、配列番号1、7、11、13、16、17及び18に従うVHと少なくとも90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%同一のアミノ酸配列を有し、VLは、配列番号19、25、29、31、34、35及び36に従うVLと少なくとも90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0316】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH及びVLを含み、VHは、配列番号1、7、11、13、16、17及び18からなるアミノ酸配列を有し、VLは、配列番号19、25、29、31、34、35及び36からなるアミノ酸配列を有する。
【0317】
好適には、IL-33抗体又はその抗原結合フラグメントは、VH及びVLを含み、VHは、配列番号1からなるアミノ酸配列を有し、VLは、配列番号19からなるアミノ酸配列を有する。
【0318】
キット
いくつかの例では、本開示の方法を実施するための、例えば、本明細書に記載の多型の遺伝子型を判定するためのキットが本明細書で提供される。いくつかの例では、患者が、IL33媒介性障害のリスクが増大しているか否かを判定するためのキットが本明細書で提供される。いくつかの例では、IL-33媒介性障害に罹患している患者が、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療に応答する可能性があるか否かを判定するためのキットが、本明細書で提供される。例えば、キットは、クラスター1、2、3又は4に該当するものとして上記で同定されたIL33の任意の多型領域に特異的な第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含む。キットは、対応する複数のクラスター1、2、3又は4多型に特異的な複数の第1及び第2のオリゴヌクレオチドを含み得る。複数のクラスター1、2、3又は4多型は、上記の方法で特定されたもののいずれかであり得る。
【0319】
遺伝子座に「特異的」なオリゴヌクレオチドは、その遺伝子座の多型領域に結合するか、又はその遺伝子座の多型領域に隣接して結合する。増幅のためのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドでは、プライマーは、多型領域を含むポリヌクレオチドを産生するために使用されるのに十分に近い場合、隣接している。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、多型から約1~2kb以内、例えば1kb未満で結合する場合、隣接している。特異的オリゴヌクレオチドは、配列にハイブリダイズすることができ、適切な条件下では、一塩基が異なる配列に結合しない。
【0320】
キットに含まれるオリゴヌクレオチドは、プローブとして使用されるか又はプライマーとして使用されるかにかかわらず、検出可能に標識することができる。標識は、直接(例えば、蛍光標識用)又は間接的に検出することができる。間接的検出には、ビオチン-アビジン相互作用、抗体結合などを含む、当業者に公知の任意の検出方法が含まれ得る。蛍光標識オリゴヌクレオチドは、クエンチング分子も含み得る。オリゴヌクレオチドは、表面に結合し得る。いくつかの実施形態では、表面はシリカ又はガラスである。いくつかの実施形態では、表面は金属電極である。
【0321】
更に他のキットは、アッセイの実施に必要な少なくとも1つの試薬を含む。例えば、キットは、酵素を含み得る。代わりに、キットは、緩衝液又は任意の他の必要な試薬を含み得る。キットは、患者の遺伝子型を判定するための陽性対照、陰性対照、試薬、プライマー、シーケンシングマーカー及びプローブの全て又は一部を含み得る。
【0322】
組成物
本明細書では、本明細書に開示される方法の任意の例で使用するための、本明細書に開示される任意のIL33軸結合アンタゴニストを含む組成物も提供される。また、IL-33媒介性障害に罹患している対象の治療に使用するための薬剤の製造における上記IL33軸結合アンタゴニストのいずれかの使用も提供され、ここで、対象の遺伝子型は、治療されるべきIL33媒介性障害を有するリスクの増加に関連するクラスター1、2若しくは3アレル多型のいずれか又はそれと連鎖不平衡にある多型における任意の等価アレルを含むと判定されている。
【0323】
IL33の遺伝的バリアントは、喘息及び血中好酸球レベルと関連していることが報告されている。本実施例では、IL33(及びIL1RL1)バリアントも、大規模なゲノムコホートの調査を通して、好酸球の状態にかかわらず発症年齢と関連していることが示されている。予測される機能喪失型レアタンパク質トランケーションバリアント(PTV)(IL33-rs146597587におけるレアスプライスバリアント)及びいくつかのより一般的なリスクバリアントの影響を調査した。データは、IL33及びIL1RL1のコモンバリアントの遺伝子リスクスコアに基づいて、IL33機能喪失型レアバリアントについて認められたリスクの低減が、より高いIL33経路活性を有する対象においてより大きいことも示し、これは、喘息患者のサブセットがIL33によって引き起こされる疾患に罹患しており、これがIL33活性を遮断することによってレスキューされ得ることを示す。
【0324】
ヒト遺伝学データを、UKバイオバンク(UKB)プロジェクト及びFinnGeneコホート上で作成した。本試験では、喘息患者20,479名及び呼吸器対照対象109,902名並びにUKB内で遺伝子型同定された喘息患者64,773名及び対照対象353,516名の全エクソームシーケンシングデータにアクセスした。喘息対象を、自己申告された喘息の症例及び喘息の入院記録のある対象を組み合わせることにより同定した。発症年齢は、自己申告及び医師が喘息と診断した年齢により把握した。IL33及びIL1RL1遺伝子座におけるコモンバリアントの喘息の関連を、UKBのGWAS結果を使用して評価した。
【実施例
【0325】
実施例1
以下の実施例は、限定としてではなく、例示として提供される。
【0326】
IL33経路の高い遺伝子リスクスコアを有する対象は、IL33機能喪失型レアバリアントの保有からより大きい恩恵を受けることを示す
IL-33によって引き起こされる喘息の遺伝子リスクスコアを定義するために、IL33の発現レベルに影響を及ぼすことが報告されているIL33における222個のコモンバリアント(GTEx_Portal(2020年1月16日)から取得)及びIL1RL1のmRNA若しくはタンパク質レベルに影響を及ぼすか、又はIL1RL1アミノ酸配列の変化をもたらすことが報告されている774個のバリアント(GTEx Portal(2020年1月16日)、Sun et al.,Nature.2018 Jun;558(7708):73-79、Gotenboer et al,J Allergy Clin Immunol.2013 Mar;131(3):856-65、Ho et al.,J Clin Invest.2013 Oct;123(10):4208-18から取得)を収集した。喘息のエラスティックネット回帰モデルを使用して、UKBデータをフィットさせた。996個のバリアントのうちの43個を有益なものとしてモデルで選択した。これは、それらが非ゼロ係数を有していたことを意味する。次に、IL33によって引き起こされる喘息のコモンバリアントの遺伝子リスクスコアを、全てのUKB対象におけるこれら43個のバリアントについての遺伝子型数の加重和として得た。スコアを、ゼロ(即ち最小のコモンバリアントリスク)から1(即ち最高のコモンバリアントリスク)までの範囲にスケーリングした。
【0327】
IL-33によって引き起こされる喘息のリスクについて、最低(遺伝子スコア=0)及び最高(遺伝子スコア=1)のUKB対象を比較したところ、喘息リスクに2倍超の差が認められた(OR 2.19、CI 2.05-2.34、p:1.03×10-114)(図1)。IL33機能喪失型バリアントrs146597587の保有状態の喘息リスクに対する影響のロジスティック回帰を実施したところ、0.36(CI 0.16-0.83、p0.016)というコモンバリアントの遺伝子リスクスコアとの統計学的に有意な相互作用影響係数が明らかとなり、コモンバリアントのリスクスコアが高いほど、機能喪失型バリアントの防御作用が強いことが示された。コモンバリアントスコアの全体的なロジスティック回帰及び機能喪失型アレルとのその相互作用において見られるこの作用は、コモンバリアントスコアの十分位数の極値内における機能喪失型アレルの作用を比較することによって可視化することができる(即ち最低リスク対最高リスクのサブグループ比較)(図2)。
【0328】
陰性対照として、保有状態と3つの非関連喘息疾患遺伝子(ORMDL3、ADAM33、TSLP)で生成したエラスティックネットリスクスコアとの間で同様のロジスティック回帰を実施したが、統計学的に有意な関係は見られなかった(p:0.263)(図3)。これは、IL33リスクスコアに適用したrs146597587の保有で認められたレスキュー効果が、一般にいかなる喘息リスクスコアにも関連していないことを示す。
【0329】
IL33機能喪失型レアバリアントは、早期発症喘息のリスクを低減させる
IL33内のレアバリアントとUKBコホートで取得した喘息関連表現型形質との間の関連を見出すために、エクソームワイド関連解析(exWAS)を実施した。自己申告された喘息の症例と喘息の入院エピソードを有する対象とを組み合わせ、それらを呼吸器対照のコホート(呼吸器病態の報告がない対象)と対比させることにより、症例/対照関連試験を実施した。
【0330】
バリアントrs146597587は、喘息に対して有意な防御作用を有することが認められた(OR=0.59、95%CI 0.47-0.73、p2.1×10-7、MAF=0.4%)(図4)。また、このバリアントは、後期発症(≧18歳)の喘息患者とは対照的に、早期発症(<18歳)の喘息患者ではそれほど一般的ではない(OR 0.49(p=0.015))ことも判明した。
【0331】
これらの観察結果は、IL33が喘息において、特に疾患の早期発症患者において重要な因子であることを示す。
【0332】
IL33遺伝子座におけるコモンバリアントのセットは、喘息リスクと喘息の早期発症の両方と関連している
IL33遺伝子座におけるこれまでに報告された喘息のリスクバリアントを特徴付けるために、GWASカタログ内でデータベース検索を実施した(Buniello et al.,Nucleic Acids Res.2019 Jan 8;47(D1):D1005-D1012)。これにより、喘息、他の呼吸器障害又は好酸球レベルに関連するIL33遺伝子座における39個のコモンバリアントを同定した。UKBコホートにおける本発明者らの解析により、これらのSNPのうちの32個と喘息リスクとの正の関連が確認された(表7)。しかしながら、UKB遺伝子型データでは、喘息発症年齢との関連に関する新たな知見が見出された(表8)(対象487,409名のうちの64,773名が喘息であり、353,516名が呼吸器対照である)。
【0333】
39個のバリアントの連鎖不平衡(即ちアレル相関)の解析により、4つの主要なクラスターが示され、クラスター1、2及び3のバリアントは、高い内部相関を示した(図5)。IL33タンパク質コード領域にはバリアントは存在しなかったが、ENCODEにおけるChIPseq実験によって同定されたように、バリアントの多くは既知の転写因子結合部位に極めて近接して見出された(図6)。クラスター1、2及び3の全てのバリアント(図7)は、喘息及び喘息発症年齢と強い関連を示した(図7)。本発明者らは、線形回帰の共変量として好酸球数を加えることにより、好酸球数を調整した発症解析も実施した。これにより、好酸球の影響を制御しながら、喘息発症に対するバリアントの影響の解析が可能となった。好酸球の影響を考慮した場合でも発症との有意な関連が依然として存在することは、好酸球非依存性経路を介したIL33の喘息発症に対する作用を示唆している。
【0334】
喘息関連性の根底にある潜在的な機能的メカニズムを解明するために、UKB内のIL33遺伝子座における喘息関連ピークと、GTEx(v8)から取得した大動脈組織のIL33 eQTLデータとの間の、coloc(Plagnol et al.,Biostatistics.2009 Apr;10(2):327-34)を使用した共配置解析を実施した。同じ遺伝子座における2つの関連ピーク(この場合、喘息とIL-33遺伝子発現との関連)を比較する際の一般的な問題は、同じ又は異なる原因バリアントが関連バリアントによってタグ付けされているか否かである。本発明者らは、同じ原因バリアントが両方のシグナルに関与する確率を推定するために、Rパッケージcolocを使用して統計解析を実施した。P=0.976)という高い共局在化(即ち根底にある同一の原因バリアント)の可能性が見出された(共有原因バリアントのcoloc事後)(表7)。喘息及びIL-33発現における影響の方向性が一貫していることを見ると、候補セット中の39個のバリアントについて、喘息リスクを増加させるアレルが常にIL-33の発現も増加させ、逆も同様であることが認められる(表8)。
【0335】
IL33発現に対するバリアントの影響と喘息との間の相互作用を更に特徴付けるために、GTExにおいてIL-33発現に最大の影響を及ぼすeQTLバリアント(rs928413)を更なる解析のために選択した。rs928413(G)のリスクアレルは、UKバイオバンクコホートにおいて、喘息リスクの増加(OR 1.14、p値2.91×10-61)及び発症年齢の低下(効果量 ベータ=-1.22、p値 9.7×10-24)と関連していた(図8)。
【0336】
総合すると、UKバイオバンク内のIL-33遺伝子座におけるコモンバリアントに関する本発明者らの解析により、IL33が喘息感受性遺伝子であることが確認される。本発明者らは、IL33バリアントが好酸球非依存的に喘息の発症と関連することも示し、遺伝子発現の変化を、これらのバリアントの考えられる機能的メカニズムとして明らかにする。最後に、コモンバリアントの遺伝的背景によってIL33経路の活性が増加した対象における、IL33機能喪失型バリアントの防御作用の増加を裏付けるデータを示す。
【0337】
【表13】
【0338】
【表14】
【0339】
【表15】
【0340】
【表16】
【0341】
方法
IL33遺伝子座における喘息関連バリアントの選択及びクラスタリング解析
これまでの刊行物内の検索と組み合わせた、喘息に関するEBI GWASカタログ(https://www.ebi.ac.uk/gwas/)でのデータベース検索により、喘息、他の呼吸器障害又は好酸球レベルに関連するIL33遺伝子座内の39個のコモンバリアントを同定した。
【0342】
UKバイオバンクにおける喘息との関連
統計解析をUKバイオバンクコホートで実施した。64,773例の喘息症例を、自己申告により診断した対象又は喘息による入院の記録を有する対象を組み合わせることによって同定した。対照353,516例を、電子健康記録に何らかの肺疾患/肺機能障害がないことに基づいて選択した。喘息発症の年齢を、定量的形質として又は18歳のカットオフを基準として「早期発症」/「後期発症」の二元変数として解析した。喘息対象における各SNPのリスクアレルの数に関するピアソン相関に基づいて、SNPのクラスタリングを実施した。ロジスティック回帰を使用して喘息との関連付けを実施し、R(バージョン3.5.3)で線形回帰を使用して喘息発症年齢との関連付けを実施した。年齢、性別及びUKバイオバンクの最初の10個の主成分(集団層別化のための対照)を補助因子として調整した。オッズ比を算出した。ボンフェローニ法を使用してP値を多重比較のために調整した。
【0343】
喘息とIL33 eQTLとの関連の共局在解析
GTEx(v8)の大動脈組織における喘息関連ピーク及びIL33 eQTLシグナルの共局在解析を、Rパッケージcoloc(バージョン3.2-1、https://cran.r-project.org/web/packages/coloc/index.html)を使用して実施した。GTEx eQTL効果の要約統計量は、gtexportal.orgで公開されている。
【0344】
IL-33によって引き起こされる喘息のコモンバリアントの遺伝子リスク
IL-33によって引き起こされる喘息のコモンバリアントの遺伝子リスクスコアを定義するために、本発明者らは、IL-33及びIL1RL1遺伝子座における遺伝子バリアントを、それぞれの遺伝子の機能的関連性に関する先行エビデンスを用いて同定した。これには、GTExにおいてIL-33の発現に影響を及ぼすことが報告されているIL-33遺伝子座における222個のバリアント及びIL1RL1発現(GTEx)、タンパク質レベル(Sun et al.,Nature.2018 Jun;558(7708):73-79)又はタンパク質機能(Gotenboer et al,J Allergy Clin Immunol.2013 Mar;131(3):856-65、Ho et al.,J Clin Invest.2013 Oct;123(10):4208-18)のいずれかに影響を及ぼす774個のバリアントが含まれていた。コモンバリアントスコアとIL33機能喪失型バリアントrs146597587との間の独立性を確実にするために、rs146597587と何らかのLD(r2>0.01)を示すSNPを除外した。これらの996個のバリアントを予測因子として、喘息を応答変数として用いたエラスティックネット回帰モデルを、Rパッケージglmnet(バージョン3.0.2)を使用してUKBデータにフィットさせた。アルファハイパーパラメータを0.5に設定した。ラムダハイパーパラメータを、10倍交差検証を用いてフィッティングさせ、逸脱度を最小化するパラメータ値を最終モデルに選択した。モデルフィッティングにより、非ゼロ係数を有する43個のバリアントを得た。これらの重みを使用して、次に、IL-33によって引き起こされる喘息のコモンバリアントの遺伝子リスクスコアを、全てのUKB対象におけるこれらの43個のバリアントについての遺伝子型数の単純加重和として得た。スコアを、ゼロ(即ち最小のコモンバリアントリスク)から1(即ち最高のコモンバリアントリスク)までの範囲にスケーリングした。コモンバリアントの遺伝子リスクスコアとIL33機能喪失型レアバリアントrs146597587の防御作用との相互作用を試験するために、本発明者らは、コモンバリアントのリスクスコア及びrs146597587の保有状態を予測因子として、喘息を応答として用いてロジスティック回帰を実施した。コモンバリアントのリスクスコア及びrs146597587の保有状態に関する相互作用項を含めることにより、コモンバリアントの遺伝的背景に対する、機能喪失型バリアントの作用の差異を試験することが可能であった。
【0345】
実施例2
IL-33表現型を引き起こす際のバリアントの機能的重要性
喘息関連IL33 SNPバリアントの機能的重要性を、ルシフェラーゼの発現がIL33プロモーターによって引き起こされるデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイを使用してインビトロで評価した。IL33の5’上流遺伝子間領域又はプロモーター領域に由来する、野生型(WT)配列又は単一SNPバリアントを含む配列を含む3kbセグメントを、IL33-NanoLucレポーターコンストラクト内のIL33プロモーターの上流にクローニングした。その一方で、WT配列又はイントロンSNPを含む1.5kbセグメントを、IL33-NanoLucレポーターコンストラクト内のNanoLuc遺伝子の下流にクローニングした。次に、これらのコンストラクトを使用して、基礎条件、低サイトカイン条件及び高サイトカイン条件下でバリアントがIL33プロモーター活性にどのように影響を及ぼすかを判定した。様々な条件下でのルシフェラーゼ活性の増加は、IL33プロモーターの増強と相関する。
【0346】
簡潔に述べると、A549細胞を、WTコンストラクト及びSNP含有コンストラクトでトランスフェクトし、続いて低濃度のサイトカイン混合物(2.5ng/mL TNF-アルファ+12.5ng/mL IFN-ガンマ)、高濃度のサイトカイン混合物(10ng/mL TNF-アルファ+50ng/mL IFN-ガンマ)又は培地対照(基礎条件)で処理した。IL-33プロモーター活性に対するSNPの影響を定量するために、一過性にトランスフェクトしたA549細胞を溶解させ、NanoLuc及びFireflyのルシフェラーゼ活性をトランスフェクションの26~27時間後に測定した。デュアルルシフェラーゼアッセイを使用して、70個のSNP含有コンストラクトをスクリーニングした。SNPは喘息リスクの増加と関連していた。対応するWT配列コンストラクトを、対照として各プレートに含めた。SNPの影響を、プレート上のWT配列コンストラクト対照(活性0%と設定)からの正規化したNanoLucルシフェラーゼ活性と比較して、活性パーセントに対して正規化した。このスクリーニングにより、IL33の5’上流遺伝子間領域及びプロモーター領域中の13個のSNP並びにイントロン-1中の1つのSNPを、基礎処理下又は低濃度若しくは高濃度のサイトカイン処理下でNanoLucルシフェラーゼ活性の有意な増強を生じさせるものとして同定した(表9)。これらのヒットは、全て1回につきn=3で2~4回行った。驚くべきことに、結果は、セグメント11の2つのSNP(rs1475658_T及びrs13298116_T)が、基礎条件下でIL33プロモーター活性に対して強力な増強作用を示したことを示す。セグメント11のrs1929995_Cは基礎条件又はサイトカイン刺激条件下でNanoLucルシフェラーゼ活性の増加を全く誘導しなかったため、この作用は必ずしもセグメント特異的ではなかった(図9)。
【0347】
【表17】
【0348】
興味深いことに、他のSNPヒットは、サイトカイン刺激条件下で増強作用を示した(表9)。例えば、セグメント13の3つのSNP(rs144829310_T、rs7046661_C及びrs992969_A)は、高濃度サイトカイン処理下で有意な増強を示した(図10)。IL33プロモーター活性を調節するこれらのSNPのメカニズムは不明であり、更なる調査が必要である。
【0349】
これらの観察結果は、U-BIOPREDコホート(N=75)から得た鼻擦過試料中のIL-33発現レベルのエクスビボ解析によって立証された。表9の14個のSNPのルシフェラーゼアッセイにおける活性誘導型アレルとIL-33遺伝子発現との関連を、線形回帰を使用して試験した。14個中11個のSNPにおけるルシフェラーゼ誘導型アレルについて、名目上有意な発現増加(ベータ>0.0、P<0.05)が認められた(表9、図12)。この解析は、ルシフェラーゼアッセイで同定されたSNPがIL-33の調節において直接的な役割を果たしているという更なるエビデンスを提供する。
【0350】
この結果は、どのIL33 SNPが、IL-33の発現を増加させることによりIL-33媒介性障害の発症原因となり得るかを初めて同定する。したがって、これらのSNPを有する対象は、抗IL-33ベースの療法を用いた治療で特に扱いが容易となり得る。したがって、喘息などの状態に罹患している対象におけるこれらのSNPの同定は、IL-33ベースの療法に応答する可能性が最も高い対象を同定するための精密医療アプローチを提供する。
【0351】
方法
細胞株
A549ヒト腺癌肺胞基底上皮細胞株を、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas,VA,USA)から得た。10%ウシ胎児血清(10270106、ThermoFisher Scientific)、1mMピルビン酸ナトリウム(11360070、ThermoFisher Scientific)及び2mM Glutamax-I(35050038、ThermoFisher Scientific)を補充したフェノールレッド不含DMEM培地(31053028、ThermoFisher Scientific,Waltham,MA,USA)中で、細胞を培養した。
【0352】
ルシフェラーゼレポーターコンストラクト
ヒトIL33プロモーター領域を、A549細胞から単離したゲノムDNAを使用してPCRによって増幅した。IL33プロモーターをpNL1.2[NlucP]ルシフェラーゼレポーターベクター(N1011、Promega Biotech,NACKA,Sweden)にクローニングして、IL33-NanoLucレポーターベクターを作製した。IL33プロモーターの上流にある14個のスライドした3kbセグメントを、A549細胞から単離したゲノムDNAを使用してPCR増幅し、IL33プロモーターの上流にベクターあたり1つの3kbセグメントで、IL33-NanoLucレポーターベクターにサブクローニングした。1つの3kbセグメントを含むIL33-NanoLucレポーターベクターのサイズは、約8.8kbである。3kbセグメント及びIL33プロモーター中のSNPバリアントを、PCRベースの部位特異的変異誘発によって作製し、サンガーシーケンシングによって検証した。イントロンSNPを含むセグメントを、750bpで隣接する2つのフラグメントとして合成し、続いて1つの1.5kbセグメントにアセンブリした(NEBuilder HiFI DNA標準プロトコルを使用)。1.5kbセグメントを、XbaI部位とFseI部位との間のIL33-NanoLucレポーターベクター内のNanoLuc遺伝子の下流にクローニングした。
【0353】
A549トランスフェクション及びルシフェラーゼレポーターアッセイ
Fugene HDトランスフェクション試薬(Promega Biotech)を、プラスミドDNA:トランスフェクション試薬を3の比率で使用して、A549細胞をトランスフェクトした。簡潔に述べると、90μL中のウェルあたり12000個の細胞を、トランスフェクションの24時間前に96ウェルプレートに播種し、98ngの試験用IL33-NanoLucレポータープラスミドDNA及び2ngの正規化Firefly対照プラスミドpGL4.53[luc2/PGK](E5011、Promega Biotech)でトランスフェクトした。3~4時間後、異なる濃度のTNF-アルファ(210-TA、R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)とIFN-ガンマ(285-IF、R&D Systems)との組み合わせ混合物及び培地のみ(基礎対照として)を用いて細胞を刺激した。NanoLuc及びFireflyルシフェラーゼ活性を、Nano-Glo Dual-Luciferaseレポーターアッセイキット(N1630、Promega Biotech)を製造業者のプロトコルに従って使用して、トランスフェクションの26~27時間後に測定した。NanoLucルシフェラーゼ活性を、細胞のトランスフェクション及び溶解効率における変動を説明するために、Fireflyルシフェラーゼの活性に対して正規化した。
【0354】
UBIOPRED IL-33発現解析
U-BIOPRED(呼吸器疾患の転帰予測のための公正なバイオマーカー)コホートは、対象75名の鼻擦過物からの試料を含む。これらの試料におけるIL-33の発現を、RNAマイクロアレイによって測定した。AstraZeneca Centre for Genomics Researchで実施されたU-BIOPREDの全ゲノムシーケンシングから、試験対象の14個のバリアントの遺伝子型(表9)を抽出した。IL-33発現に対するルシフェラーゼアッセイからの活性誘導型アレルの作用を、年齢及び性別を共変量として使用して線形回帰により評価した。
【0355】
追加の配列
配列番号37:SYAMS
配列番号38:GISAIDQSTYYADSVKG
配列番号39:QKFMQLWGGGLRYPFGY
配列番号40:SGEGMGDKYAA
配列番号41:RDTKRPS
配列番号42:GVIQDNTGV
配列番号43:(式中、nはgである)
tagttagcta ctttttaata gttacnagag cattggccaa ggcagggaat c 51
配列番号44:(nはtである)
atgcagaaca acaatgtgtt ttccangtgc acttggtcaa cacctatatc t 51
配列番号45:(nはaである)
ttcctcggac tggaccattt caattnacct atcactggtt cttgcttctg a 51
配列番号46:(nはtである)
tccacatccc catggtttgt tgttgntgct tgtagtgggt tgttgttatc t 51
配列番号47:(nはcである)
atggaggaaa gaaacaatgg acttanaagt caatagaaat tatctgattt g 51
配列番号48:(nはaである)
tatgattcag ataacaaatt atacgnttac tagaataaag tctgtatgac c 51
配列番号49:(nはtである)
aggagacaga gaaatcactg ttgatnggtg ttgtgggaat gaagagacaa a 51
配列番号50:(nはtである)
attaaaatgt caggaaacaa cagatnctgg agaggatgtg gagaaatagg a 51
配列番号51:(nはtである)
ggaagaagaa tgcatcaact gaaaanctat tcctttgaga ggaccaataa a 51
配列番号42:(nはgである)
taattaaaat cactgatgca gaacancaat gtgttttcca tgtgcacttg g 51
配列番号53:(nはcである)
ctctagagag acagaactaa tagaanagat atataaagga gtttagtagg t 51
配列番号54:(nはgである)
ccctataaga attctgcatc catccntggt aaaaagtcac tctgcaggag c 51
配列番号55:(nはcである)
atataaataa gaataagagg tcatgntggt gtcttcatga gaaaagattg g 51
配列番号56:(nはtである)
aaactcctga aacagcagaa agaaanggac cttaattcta tcaacaacaa a 51
配列番号57:(nはgである)
tgtaatccca gcactttggg aggccnaggg gggcagatca cgaggtcagg a 51
配列番号58:(nはgである)
agcactttgg gaggccaagg ggggcngatc acgaggtcag gagatcgaga c 51
配列番号59:(nはaである)
ttcccaccta tgagtgagaa tatgcngtgt ttggtttttt gttcttgcca t 51
配列番号60:(nはtである)
gctcccacac gttctaatgc atttangtag ctccatctgc attgcctcat a 51
配列番号61:(nはgである)
gttgtggtat gtatttggaa ggaaanaaaa atcccaaatg tattcttttt t 51
配列番号62:(nはcである)
atttggtcca gaaaggtggg ataacntgaa gcgtggggtg gaggggttca g 51
配列番号63:(nはtである)
gtggcattca cattgttgta caaccntaac cactctccat ctccagaaca t 51
配列番号64:(nはgである)
ctcccacaag gccccacctc caacantggg gatcaaattt caacaggaga c 51
配列番号65:(nはcである)
caagtgcgtt ctctcaaact agtccntgag ggtgataaga cgggagaaaa a 51
配列番号66:(nはcである)
ctcattctct cactagttcc tcctcnactg caggaagaag tgtgcctcct c 51
配列番号67:(nはgである)
atgtgctcaa agtggttggt gtgcantttg gttttatgca ttttagggag a 51
配列番号68:(nはcである)
tgtgctcaaa gtggttggtg tgcatnttgg ttttatgcat tttagggaga c 51
配列番号69:(nはcである)
acaggaggcc atacttaaaa agaagnagca ataattattg atagaattgc a 51
配列番号70:(nはcである)
tttctgttga gacagtctca ctttgnctcc caggctgaag tgcagtggca c 51
配列番号71:(nはtである)
aggctgcagt gagctgagat cgtgcnactg cactccagcc tgggcagcag a 51
配列番号72:(nはtである)
ggaaatgaaa tatccagggt gcagantgtg gcttatttta ttcagataaa t 51
配列番号73:(nはaである)
accaagcttc tgtccccttc tctctncagc cccttcacat tatgctctcc c 51
配列番号74:(nはgである)
aagtagtttg atttcagact acaaanccat gtaggggctg acttgtcctg a 51
配列番号75:(nはcである)
gctctggttt ctccccatct ttgtgntttt atctaccttt ggtctttgat g 51
配列番号76:(nはcである)
gagtaggtca ttacctgata attttngtta ttcaaaacta agtaatattt t 51
配列番号77:(nはaである)
gggagaggat cagaaaaaat aactantggg tactaggctt aatacctggg t 51
配列番号78:(nはgである)
ttaaaaatac atcttgcagc attttngttg tttttatcag gagggctgtt c 51
配列番号79:(nはcである)
gattgctttc tctcttgttt cctcanctcc ataagtgtga aaaaccactg c 51
配列番号80:(nはtである)
tttcagataa ggtgttactg agttantatg agtctcaaca cccctcaaat g 51
配列番号81:(nはgである)
ctcagcttcc aaaagtgctg ggactntaag gcttgagcca ccacccccag c 51
配列番号82(nはcである)
ttaatttctt aatgtcttac ttactntctc atttttaaag aatagttttt c 51
配列番号83(nはtである)
aagctttttc aaagaaataa taacanaaac cttccaaacc tggagaaaga t 51
配列番号84(nはtである)
taaggtgtaa ggaagggatc cagttncagc tttctacata tggctagcca g 51
配列番号85(nはtである)
acaatagtta tttttccttt tttttnaaaa aaaaattaca tgcatcctag t 51
配列番号86(nはgである)
cagaaataaa atcctttaca gacatncaaa tgctgagcga ttttgtcacc t 51
配列番号87(nはtである)
cttttggtgt tttagacatg aagtcnttgc ccatgcctat gtcctgaatg g 51
配列番号88(nはtである)
caatagttat ttttcctttt tttttnaaaa aaaattacat gcatcctagt g 51
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図12-3】
図12-4】
【配列表】
2023516497000001.app
【国際調査報告】