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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(54)【発明の名称】蠕動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 5/00 20060101AFI20230412BHJP
   F04B 43/12 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
F04C5/00 341B
F04B43/12 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554564
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 AU2021050214
(87)【国際公開番号】W WO2021179046
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】2020900744
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504348389
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティー オブ メルボルン
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF MELBOURNE
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート,アラステア
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,シュメイ
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA01
3H077AA07
3H077CC10
3H077DD02
3H077EE04
3H077EE23
3H077FF06
3H077FF22
3H077FF43
(57)【要約】
本発明は、蠕動ポンプのためのロータであって、ロータが、軸を中心に回転するための本体を備え、本体が、第1の側面及び第2の側面を有し、本体が、第1の側面上で、本体から延在する複数の隔置された第1のローラを支持し、第1のローラが、軸から第1の共通の半径に位置付けられ、本体が、第2の側面上で、本体から延在する複数の隔置された第2のローラを更に支持し、第2のローラが、軸から第2の共通の半径に位置付けられている、ロータを提供する。本発明は、第1のステータ及び第2のステータと共に組み立てられた、かかるロータを備える蠕動ポンプユニットであって、第1のステータが、上記第1のローラによって圧縮されるように配置された1つ以上の圧縮性の流体チャネルを有し、第2のステータが、上記第2のローラによって圧縮されるように配置された1つ以上の圧縮性の流体チャネルを有する、蠕動ポンプユニットに及ぶ。本発明はまた、蠕動ポンプのためのステータであって、平面表面を備える本体と、2つ以上の流体チャネルと、を有し、各流体チャネルが、ステータの平面表面の上又は内部の圧縮性の弓形部分を有し、弓形部分が、ロータ上に装着された複数のローラによって圧縮されるように配置されており、弓形部分が各々、平面表面から離れる方向に延在する、流体チャネルの更なる部分に接続されており、そのため、流体チャネルが、ステータの本体内で三次元経路をとる、ステータに関係する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蠕動ポンプのためのロータであって、前記ロータが、軸を中心に回転するための本体を備え、前記本体が、第1の側面及び第2の側面を有し、前記本体が、前記第1の側面上で、前記本体から延在する複数の隔置された第1のローラを支持し、前記第1のローラが、前記軸から第1の共通の半径に位置付けられ、前記本体が、前記第2の側面上で、前記本体から延在する複数の隔置された第2のローラを更に支持し、前記第2のローラが、前記軸から第2の共通の半径に位置付けられている、ロータ。
【請求項2】
前記第1のローラが、前記本体内で前記第2のローラと接触するように配置されている、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記複数の第1のローラ間の間隔が、前記複数の第2のローラ間の間隔と実質的に同じであり、
前記第1の共通の半径が、前記第2の共通の半径と実質的に等しく、
前記複数の第1のローラの位置が、前記複数の第2のローラの位置に対して位相シフトされ、
前記複数の第1のローラの各々が、前記複数の第2のローラのうちの2つと接触するように配置され、前記複数の第2のローラの各々が、前記複数の第1のローラのうちの2つと接触するように配置されている、請求項2に記載のロータ。
【請求項4】
前記本体が、略平面形態を有し、前記第1の側面及び前記第2の側面に、前記第1のローラ及び前記第2のローラをそれぞれ受容するための凹部を備えて提供されており、前記凹部が、前記第1のローラと前記第2のローラとの間の接触を可能にするように前記本体内で接している、請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記本体が、2つの平面部品である、前記ロータの前記第1の側面を提供する第1のロータ部品と、前記ロータの前記第2の側面を提供する第2のロータ部品と、を備え、前記第1のロータ部品及び前記第2のロータ部品が、前記第1のロータ部品と前記第2のロータ部品との間で前記第1のローラ及び前記第2のローラを保持するように相互に係合可能であり、前記第1のロータ部品及び前記第2のロータ部品の各々が、第1のローラ部品と第2のローラ部品との間に捕捉されたままで、内部を通って前記第1のローラ及び前記第2のローラが延在することを可能にするようにサイズ決めされた複数の開口部を有し、前記第1のローラ部品と前記第2のローラ部品との間の前記係合により、前記第1のローラ部品の前記複数の開口部と前記第2のローラ部品の前記複数の開口部との位相ずれがもたらされる、請求項3に記載のロータ。
【請求項6】
前記第1の側面上で、前記本体から延在する更なる複数の隔置された第1のローラを含み、前記更なる複数の隔置された第1のローラが、前記軸から、前記第1の共通の半径とは異なる第3の共通の半径に位置付けられており、前記第2の側面上で、前記本体から延在する更なる複数の隔置された第2のローラを更に含み、前記更なる複数の隔置された第2のローラが、前記軸から、前記第2の共通の半径とは異なる第4の共通の半径に位置付けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項7】
前記更なる複数の第1のローラ間の間隔が、前記更なる複数の第2のローラ間の間隔と実質的に同じであり、
前記第3の共通の半径が、前記第4の共通の半径と実質的に等しく、
前記更なる複数の第1のローラの位置が、前記更なる複数の第2のローラの位置に対して位相シフトされ、
前記更なる複数の第1のローラの各々が、前記更なる複数の第2のローラのうちの2つと接触するように配置され、前記更なる複数の第2のローラの各々が、前記更なる複数の第1のローラのうちの2つと接触するように配置されている、請求項6に記載のロータ。
【請求項8】
第1のステータ及び第2のステータと共に組み立てられた、請求項1~7のいずれか一項に記載のロータを備える蠕動ポンプユニットであって、前記第1のステータが、前記第1のローラによって圧縮されるように配置された1つ以上の圧縮性の流体チャネルを有し、前記第2のステータが、前記第2のローラによって圧縮されるように配置された1つ以上の圧縮性の流体チャネルを有する、蠕動ポンプユニット。
【請求項9】
前記本体が、略平面形態を有し、前記第1のステータ及び前記第2のステータが各々、平面表面を有し、前記平面表面の上又は内部に前記1つ以上の圧縮性の流体チャネルが提供されており、前記本体が、前記第2のステータの前記1つ以上の流体チャネルに対する圧力と実質的に同じ圧力を前記第1のステータの前記1つ以上の流体チャネルに提供するように、前記第1のステータと前記第2のステータとの間に挟まれている、請求項8に記載の蠕動ポンプユニット。
【請求項10】
前記1つ以上の流体チャネルに対する前記圧縮を調節するために、前記第1のステータと前記第2のステータとの間の分離点を調整する調節器機構を含む、請求項9に記載の蠕動ポンプユニット。
【請求項11】
前記第1のステータが、複数の流体チャネルを含み、前記複数の流体チャネルの各々が、前記軸から前記第1の共通の半径に、又は実質的に前記第1の共通の半径に弓形部分を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の蠕動ポンプユニット。
【請求項12】
前記弓形部分が、前記隔置された第1のローラ間の間隔よりも大きい長さのものであり、そのため、前記弓形部分が、前記複数の第1のローラのうちの少なくとも2つのローラによって同時に圧縮される、請求項11に記載の蠕動ポンプユニット。
【請求項13】
前記第1のステータが、実質的に平面の表面と、異なる半径の複数の流体チャネルの圧縮性の弓形部分とを形成する圧縮性の材料によって少なくとも部分的に形成されており、各流体チャネルが、前記流体チャネル内の流れを駆動するために、異なる複数のローラによって圧縮されるように配置されており、特定の流体チャネル内の流体の流れを駆動するように配置された前記複数のローラ以外のローラの通過によって、前記特定の流体チャネルの圧縮を解放するように形状決めされて位置付けられた前記圧縮性の材料内の1つ以上の凹部を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の蠕動ポンプユニット。
【請求項14】
蠕動ポンプアセンブリであって、各ロータの軸を整列させるように積み重ねられた、請求項8~13のいずれか一項に記載の蠕動ポンプユニットを複数備え、各ロータと係合して前記ロータを回転させるように構成された駆動シャフトを含む、蠕動ポンプアセンブリ。
【請求項15】
蠕動ポンプのためのステータであって、平面表面を備える本体と、2つ以上の流体チャネルと、を有し、各流体チャネルが、前記ステータの前記平面表面の上又は内部の圧縮性の弓形部分を有し、前記弓形部分が、ロータ上に装着された複数のローラによって圧縮されるように配置されており、前記弓形部分の各々のうちの1つが、前記平面表面から離れる方向に延在する、前記流体チャネルの更なる部分に接続されており、そのため、前記流体チャネルのうちの1つ以上が、前記ステータの前記本体内で三次元経路をとる、ステータ。
【請求項16】
前記本体が、2つの層、すなわち、
圧縮性の材料で作製され、前記2つ以上の流体チャネルの前記平面表面及び前記圧縮性の弓形部分を提供するように形成された、表面層と、
前記表面層に結合された下部支持層と、を備え、前記下部支持層が、内部に前記流体チャネルの前記更なる部分が提供される比較的非圧縮性の材料で作製されている、請求項15に記載のステータ。
【請求項17】
前記2つ以上の流体チャネルの前記圧縮性の弓形部分が、前記表面層に適用されたソフトリソグラフィのプロセスによって作製されている、請求項16に記載のステータ。
【請求項18】
前記2つ以上の流体チャネルの前記更なる部分が各々、前記流体チャネルの入口部分又は出口部分に接続し、前記入口部分又は前記出口部分が、半径方向に延在し、前記本体が、前記支持層の下にあり、かつ前記支持層に結合された、第3の層を備え、前記第3の層が、前記入口部分又は前記出口部分を提供するように形成されている、請求項16又は17に記載のステータ。
【請求項19】
前記2つ以上の流体チャネルの各々の前記入口部分又は前記出口部分が、前記第3の層に適用されたソフトリソグラフィ又はマイクロミリングのプロセスによって作製されている、請求項18に記載のステータ。
【請求項20】
前記2つ以上の流体チャネルのうちの2つが、一緒に接続されて、共通のチャネルの流入及び共通のチャネルの流出を提供する、平行なチャネルであり、前記2つの平行なチャネルの前記圧縮性の弓形部分が、前記共通のチャネルの流出の脈動性を低減するために、位相ずれのタイミングで前記複数のローラのうちの前記ローラによって圧縮されるように配置されている、請求項15~19のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項21】
前記2つの平行なチャネルの前記圧縮性の弓形部分が、実質的に共通の半径を有し、そのため、前記圧縮性の弓形部分が、前記ロータの回転軸から共通の半径に位置付けられた複数の隔置されたローラによって圧縮され得る、請求項20に記載のステータ。
【請求項22】
前記流体圧縮性の流体チャネルのうちの前記2つ以上のうちの第1のチャネル及び第2のチャネルの第1の弓形部分及び第2の弓形部分が、それぞれ、前記ステータ上の異なる半径にあり、前記第1の弓形部分が、前記第1の流体チャネル内の流れを駆動するために、第1の複数のローラによって圧縮されるように配置されており、前記第2の弓形部分が、前記第2の流体チャネル内の流れを駆動するために、第2の複数のローラによって圧縮されるように配置されており、前記本体が、前記平面表面を中断する1つ以上の凹部であって、前記第2の流体チャネル内の流体の流れを駆動するように配置されている前記複数のローラの通過によって、前記第1の流体チャネルの圧縮を解放するように形状決めされて位置付けられている、1つ以上の凹部を含む、請求項15~19のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項23】
ロータと共に組み立てられた、請求項15~22のいずれか一項に記載のステータを備える蠕動ポンプユニットであって、前記ロータが、複数のローラを支持又は駆動し、前記ローラが、前記2つ以上の圧縮性の流体チャネルの前記弓形部分を圧縮するように位置付けられている、蠕動ポンプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蠕動ポンプ、具体的には、多重平面型蠕動ポンプに関する。本発明はまた、かかるポンプ用のロータ及びステータに関係する。
【背景技術】
【0002】
蠕動ポンプ(ローラポンプと称される場合もある)は、流体をポンピングするために使用される容積式ポンプのタイプであり、流体は、ポンプケーシング又はステータ内に装着された可撓性チューブ内に包含される。
【0003】
典型的な蠕動ポンプでは、ロータは、ベアリング上に装着されたいくつかの円周ローラを運搬し、これらのローラの各々は、可撓性チューブを圧縮するように配置されている。ロータが回転すると、チューブの一部がローラによって圧縮され、それに伴って、チューブが閉塞され、流体を強制的に、ローラの移動方向にチューブを通して移動させる。チューブは、弾力性材料で製作されており、かつそれゆえ、ローラによる圧縮が止まった後、チューブの通常の口径を取り戻す。この蠕動のプロセスは、多くの生物学的システム(食道や消化管の作用など)を模倣している。したがって、2つの連続するローラの間に閉じ込められた流体(又はボーラス)の本体は、周囲圧力でポンプ出口に向かって輸送される。
【0004】
通常、蠕動ポンプは、清潔な流体又は滅菌流体をポンピングする際に用いられる。これは、ポンプ機構とチューブの内容物との間に接触がないためである。かかるポンプは、多くの場合、バイパス手術中に血液を循環させるために、輸液デバイス、血液透析システム、又は人工心肺を介してIV流体をポンピングするためなどの、医療用途で使用される。蠕動ポンプはまた、環境から材料を隔離することが重要な、非常に粘性の高い液体及びハイソリッドスラリーを含む、攻撃的な流体及び化学薬品をポンピングするために使用される。
【0005】
蠕動ポンプは、連続的に作動し得るか、又はより少ない量の流体を送達するために部分的な回転を通じて指標付けされ得る。上述の恩恵とは別に、蠕動ポンプは、低いメンテナンス、少ない可動部品、逆流及び吸い上げの防止、並びに正確な投与(ロータの回転ごとに、固定された量の流体がポンピングされるため)といった利点を提供する。この後者の特性(駆動する蠕動運動に正比例する流量を提供する能力)は、ポンプが、高価な流量センサによるフィードバック制御を必要とせずに、事前定義された流量を忠実に生み出すことができることを意味する。更に、インラインポンプとして、蠕動ポンプは、流れを中断することなく、流体媒体を変更する能力をもたらす(シリンジシステム又は空気圧ポンプなどの、圧力駆動ポンプの解決策とは異なる)。これは、例えば、媒体の補充、薬剤の追加、ガスの平衡化など、様々な操作を、受容リザーバの内容物に対してリアルタイムで行うことができることを意味する。
【0006】
蠕動ポンプはまた、流体の移送、洗浄、及び灌流を含む、様々な目的で、生物学的及び生化学的な分析ワークフローに採用されている。蠕動ポンプの重要な用途の1つは、生物学的試料のインビトロ灌流である。
【0007】
いくつかの市販の蠕動ポンプが市場で入手可能である。目標の流量範囲は通常、(最小で)mL/分の範囲であり、主に、組織スケール/臓器スケールの連続的な灌流、又はより小さい試料の一時的な洗い流し/すすぎに有用である。かかるポンプは、流体運搬装置として可撓性チューブを使用し、これは、摩損により時間の経過と共に劣化する傾向がある。
【0008】
従来の円周ローラ蠕動ポンプに代わるものは、平面蠕動ポンプである。これは、図1で説明されるように、ステンレス鋼ボールのリングを運搬するロータディスクからなるスラストボールベアリングアセンブリの形態をとる。ロータ1は、特定の角速度で回転し、ボールは、必要な支持及び間隔を提供する平面ケージディスク3内で運搬される。ロータ1上の軟質基板表面層2は、内部に流体チャネル6が埋め込まれているシリコンゴム基板上で圧縮され、転動するように配置されているボール4を回転させるのに必要な摩擦を提供する。静止した支持ディスク又はステータ7は、流体チャネル6及び基板5の下にある。ロータ1とステータ7との間の分離点は、ボール4によって及ぼされる圧縮力が流体チャネル6を閉塞するように配置されている。ローラ1が回転すると、全てのボール4が一斉に転動され、その結果、隣接する2つのボール4間のチャネル内に閉じ込められた流体が前方に押し出される。理解されるように、ロータ1の速度がvである場合、ケージディスク3は、v/2で回転し、機構内の唯一の滑り摩擦は、ボール4とケージディスク3との間で耐えられる摩擦である。
【0009】
平面蠕動ポンプに関する概念の例には、米国特許出願第2014/0356849号(Vanderbilt University)、米国特許出願第2018/0058438号(Novartis AG)、米国特許出願第2018/0209552号(Vanderbilt University)、欧州特許出願第1,662,142号(Debiotech S.A.)、米国特許出願第2018/0149152号(Takasago Electric,Inc)、及び国際特許公開第2012/048261号(Vanderbilt University)の開示が含まれる。
【0010】
平面蠕動ポンプにより、より小さい流れを収容することが可能になり、この分野の最近の開発には、マイクロ流体集積に好適なソフトリソグラフィによるポリジメチルシロキサン(PDMS)などのエラストマー材料で製作された回転式平面蠕動マイクロポンプを指す「オンチップポンプ」が含まれる。かかるマイクロ流体デバイスでは、チューブは、平面膜の中又は下に埋め込まれたマイクロチャネルである。かかるデバイスは、nL~μL/分スケールで非常に一貫性のある、連続的な制御可能な流量を提供することができる。
【0011】
生物学的試料の灌流では、概して、複数の試料を並行して流す必要がある。このために複数のポンプが使用され得るが、多重化の開発には、蠕動ポンプを単一のアセンブリに積み重ねること、共通のシャフト又は同心シャフトによって回されるロータの回転によって各々が操作される複数の独立したチャネルを提供することが含まれている。例としては、米国特許第9,504,784号(Cole-Parmer Instrument Company LLC)及び米国特許出願第2009/0035165号(Agilent Technologies Inc.)の開示が挙げられる。
【0012】
これらの進歩にもかかわらず、多重化能力は非常に限られたままであり、特に臨床及び実験室の環境では運用上の制限が生じる。
【0013】
本明細書における任意の先行技術への言及は、この先行技術が任意の法域における共通の一般知識の一部を形成すること、又はこの先行技術が、当業者によって理解されること、関連するものとみなされること、及び/若しくは先行技術の他の部分と組み合わされることが合理的に期待され得ることを承認又は示唆するものではない。
【発明の概要】
【0014】
一態様では、本発明は、蠕動ポンプのためのロータであって、ロータが、軸を中心に回転するための本体を備え、本体が、第1の側面及び第2の側面を有し、本体が、第1の側面上で、本体から延在する複数の隔置された第1のローラを支持し、第1のローラが、軸から第1の共通の半径に位置付けられ、本体が、第2の側面上で、本体から延在する複数の隔置された第2のローラを更に支持し、第2のローラが、軸から第2の共通の半径に位置付けられている、ロータを提供する。
【0015】
したがって、蠕動ポンプで使用される場合、第1のローラ及び第2のローラは、実質的に軸方向に(すなわち、ロータ本体の第1の側面及び第2の側面に垂直な方向に)力を、本体の両側上に位置付けられた隣接する表面上に同時に適用することができ、それゆえ、単一のロータのポンプ容量を増加させる。
【0016】
好ましくは、第1のローラは、本体内で第2のローラと接触するように配置されている。
【0017】
好ましい形態では、複数の第1のローラ間の間隔は、複数の第2のローラ間の間隔と実質的に同じであり、第1の共通の半径は、第2の共通の半径と実質的に等しく、複数の第1のローラの位置は、複数の第2のローラの位置に対して位相シフトされ、複数の第1のローラの各々は、複数の第2のローラのうちの2つと接触するように配置され、複数の第2のローラの各々は、複数の第1のローラのうちの2つと接触するように配置されている。
【0018】
この配置では、蠕動ポンプで使用される場合、第1のローラ及び第2のローラは、ローラとロータ本体との間で滑り接触するのではなく、ローラの表面が互いに対して転動接触することによって運搬される軸方向の力で、互いに対して転動する。
【0019】
ロータ本体は、略平面形態を有し得、第1の側面及び第2の側面に、それぞれ、第1のローラ及び第2のローラを受容するための凹部を備えて提供され得、凹部は、第1のローラと第2のローラとの間の接触を可能にするように本体内で接している。
【0020】
代替的に、本体は、2つの平面部品である、ロータの第1の側面を提供する第1のロータ部品と、ロータの第2の側面を提供する第2のロータ部品と、を備えることができ、第1のロータ部品及び第2のロータ部品は、第1のロータ部品と第2のロータ部品との間で第1のローラ及び第2のローラを保持するように相互に係合可能であり、第1のロータ部品及び第2のロータ部品の各々は、第1のローラ部品と第2のローラ部品との間に捕捉されたままで、内部を通って第1のローラ及び第2のローラが延在することを可能にするようにサイズ決めされた複数の開口部を有し、第1のローラ部品と第2のローラ部品との間の係合により、第1のローラ部品の複数の開口部と第2のローラ部品の複数の開口部との位相ずれがもたらされる。
【0021】
一形態では、ロータは、第1の側面上で、本体から延在する更なる複数の隔置された第1のローラを含み、更なる複数の隔置された第1のローラが、軸から、上記第1の共通の半径とは異なる第3の共通の半径に位置付けられており、第2の側面上で、本体から延在する更なる複数の隔置された第2のローラを更に含み、更なる複数の隔置された第2のローラが、軸から、上記第2の共通の半径とは異なる第4の共通の半径に位置付けられている。
【0022】
このようにして、ローラを、複数の同心リング内に配置して、同様の同心配置で配設された複数の流体チャネルでの蠕動ポンピングを可能にすることができる。
【0023】
好ましくは、更なる複数の第1のローラ間の間隔は、更なる複数の第2のローラ間の間隔と実質的に同じであり、第3の共通の半径は、第4の共通の半径と実質的に等しく、更なる複数の第1のローラの位置は、更なる複数の第2のローラの位置に対して位相シフトされ、更なる複数の第1のローラの各々は、更なる複数の第2のローラのうちの2つと接触するように配置され、更なる複数の第2のローラの各々は、更なる複数の第1のローラのうちの2つと接触するように配置されている。
【0024】
この特徴によれば、ロータ本体の一方の側面上のローラの複数の同心リングが、もう一方の側面上で繰り返され、それゆえ、ロータは、隔置されたローラの相互に対向するオフセットリングの複数のセットを運搬する。これは、多重化能力が高い、非常に低い摩耗配置をもたらす。
【0025】
更なる態様では、本発明は、第1のステータ及び第2のステータと共に組み立てられた、上で定義されるロータを備える蠕動ポンプユニットであって、第1のステータが、上記第1のローラによって圧縮されるように配置された1つ以上の圧縮性の流体チャネルを有し、第2のステータが、上記第2のローラによって圧縮されるように配置された1つ以上の圧縮性の流体チャネルを有する、蠕動ポンプユニットを提供する。
【0026】
好ましくは、ロータ本体は、略平面形態を有し、第1のステータ及び第2のステータは各々、平面表面を有し、平面表面の上又は内部に1つ以上の圧縮性の流体チャネルが提供されており、ロータ本体は、第1のステータと第2のステータとの間に挟まれている。好ましくは、これは、第2のステータの1つ以上の流体チャネルに対する圧力と実質的に同じ圧力を第1のステータの1つ以上の流体チャネルに提供する方式で行われる。
【0027】
好ましい形態では、ポンプユニットは、1つ以上の流体チャネルに対する圧縮を調節するために、第1のステータと第2のステータとの間の分離点を調整する調節器機構を含む。
【0028】
かかる調節により、所望のポンプ性能を確保するのに必要な程度まで、ロータのローラによって流体チャネルを閉塞することが可能になる。
【0029】
第1のステータは、複数の流体チャネルを含み得、複数の流体チャネルの各々は、軸から上記第1の共通の半径に、又は実質的に上記第1の共通の半径に弓形部分を含む。
【0030】
これにより、隔置された第1のローラが、2つ以上の流体チャネルに対して作用することが可能になる。
【0031】
好ましくは、弓形部分は、隔置された第1のローラ間の間隔よりも大きい長さのものであり、そのため、弓形部分が、上記複数の第1のローラのうちの少なくとも2つのローラによって同時に圧縮される。
【0032】
この特徴により、流れの均一性の点、並びに堅牢性及び許容誤差の点の両方で、ポンプ機能が強化される。
【0033】
一形態では、第1のステータは、実質的に平面の表面と、異なる半径の複数の流体チャネルの圧縮性の弓形部分とを形成する圧縮性の材料によって少なくとも部分的に形成され得、各流体チャネルは、該流体チャネル内の流れを駆動するために、異なる複数のローラによって圧縮されるように配置されており、ステータは、特定の流体チャネル内の流体の流れを駆動するように配置された複数のローラ以外のローラの通過によって特定の流体チャネルの圧縮を解放するように形状決めされて位置付けられた圧縮性の材料内の1つ以上の凹部を含む。
【0034】
更なる態様では、本発明は、蠕動ポンプアセンブリであって、各ロータの軸を整列させるように積み重ねられた、複数の上で定義される蠕動ポンプユニットを備え、各ロータと係合して該ロータを回転させるように構成された駆動シャフトを含む、蠕動ポンプアセンブリを提供する。
【0035】
したがって、共通のシャフトを使用して、複数の同様のポンプユニットを駆動し、ポンプ容量を大幅に増やすことができる。
【0036】
更なる態様では、本発明は、蠕動ポンプのためのステータであって、平面表面を備える本体と、2つ以上の流体チャネルと、を有し、各流体チャネルが、ステータの平面表面の上又は内部の圧縮性の弓形部分を有し、弓形部分が、ロータ上に装着された複数のローラによって圧縮されるように配置されており、弓形部分の各々のうちの1つが、平面表面から離れる方向に延在する、流体チャネルの更なる部分に接続されており、そのため、流体チャネルのうちの1つ以上が、ステータの本体内で三次元経路をとる、ステータを提供する。
【0037】
この態様によれば、1つの又は各流体チャネルは、ステータ本体内の三次元経路に従い、単一のチャネルの異なる部分が、異なる軸方向の平面(すなわち、平面表面下の異なる深さ)に配設されている。これにより、チャネル間の干渉を回避しながら、同心流体チャネル配置を含む、多種多様な異なる構成の流体チャネルを使用することが可能になる。異なる平面を使用することで、流路を効果的に混ぜ合わせ、重ね合わせることにより、流体チャネルの構成、並びにチャネルの入口ポート及び出口ポートの位置付けに関して、大きな柔軟性を可能にすることができる。
【0038】
一形態では、本体は、2つの層、すなわち、圧縮性の材料で作製され、2つ以上の流体チャネルの上記平面表面及び上記圧縮性の弓形部分を提供するように形成された、表面層と、上記表面層に結合された下部支持層と、を備え、支持層は、内部に流体チャネルの上記更なる部分が提供される比較的非圧縮性の材料で作製されている。
【0039】
2つ以上の流体チャネルの圧縮性の弓形部分は、表面層に適用されたソフトリソグラフィのプロセスによって作製され得る。
【0040】
一形態では、2つ以上の流体チャネルの上記更なる部分は各々、流体チャネルの入口部分又は出口部分に接続し、入口部分又は出口部分は、半径方向に延在し、本体は、上記支持層の下にあり、かつ上記支持層に結合されている、第3の層を備え、上記第3の層は、上記入口部分又は上記出口部分を提供するように形成されている。
【0041】
2つ以上の流体チャネルの各々の入口部分又は出口部分は、第3の層に適用された好適な機械加工プロセスによって作製され得る。これは、(例えば)ソフトリソグラフィ(第3の層が圧縮性のエラストマー材料である場合に好適)、又はマイクロミリング(第の3層がより剛直な材料である場合に好適)のプロセスであってもよい。
【0042】
一形態では、上記2つ以上の流体チャネルのうちの2つは、一緒に接続されて、共通のチャネルの流入及び共通のチャネルの流出を提供する、平行なチャネルであり、上記2つの平行なチャネルの圧縮性の弓形部分は、共通のチャネルの流出の脈動性を低減するために、位相ずれのタイミングで上記複数のローラのうちのローラによって圧縮されるように配置されている。
【0043】
好ましくは、2つの平行なチャネルの圧縮性の弓形部分は、実質的に共通の半径を有し、そのため、圧縮性の弓形部分は、上記ロータの回転軸から共通の半径に位置付けられた複数の隔置されたローラによって圧縮され得る。
【0044】
ステータの一形態では、流体圧縮性の流体チャネルのうちの上記2つ以上のうちの第1のチャネル及び第2のチャネルの第1の弓形部分及び第2の弓形部分は、それぞれ、ステータ上の異なる半径にあり、第1の弓形部分は、上記第1の流体チャネル内の流れを駆動するために、第1の複数のローラによって圧縮されるように配置されており、第2の弓形部分は、上記第2の流体チャネル内の流れを駆動するために、第2の複数のローラによって圧縮されるように配置されており、ステータ本体は、平面表面を中断する1つ以上の凹部であって、第2の流体チャネル内の流体の流れを駆動するように配置された複数のローラの通過によって、第1の流体チャネルの圧縮を解放するように形状決めされて位置付けられている、1つ以上の凹部を含む。
【0045】
更なる態様では、本発明は、ロータと共に組み立てられた、上に定義されるステータを備える蠕動ポンプユニットであって、ロータが、複数のローラを支持又は駆動し、ローラが、上記2つ以上の圧縮性の流体チャネルの弓形部分を圧縮するように位置付けられている、蠕動ポンプユニットを提供する。
【0046】
したがって、本発明は、回転式平面多重型マイクロ流体ポンプを提供する。単一の制御モータを使用することにより、本発明は、多数の別々の平行ラインに対するポンプ能力を多重化することを可能にする。これは、培養媒体などの複数の生物学的試料の連続的な灌流セットアップで特定の適用を有する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明の更なる態様及び利点、並びに先行段落に記載の態様の更なる実施形態は、例として与えられ、添付の図面を参照する以下の説明から明らかになるであろう。
【0048】
図1】先行技術による平面蠕動ポンプを側面図において図式で説明する。
図2】本発明による二重リングローラボールロータの斜視図であり、それぞれのロータ凹部内に包含されたローラボールを説明するために、部分的に切り取られた図で描かれている。
図3】上部及び下部の流体チャネルステータディスクを含むポンプユニット内の、図2のロータを側面図において示す。
図4図3のポンプユニットの詳細を平面図において示す。
図5-6】本発明によるロータの2つの代替的な構築物を斜視図において示す。
図7-7a】図3のポンプユニットのスタックを含むポンプアセンブリを説明する。
図8】流体チャネルステータディスクの変形例を説明する。
図9-10】流体チャネルステータディスク内に埋め込まれた流体チャネルシステムの様々な構成を説明する。
図11-12】結果として得られる出力流れパターンを含む、チャネルステータディスク内に埋め込まれた流体チャネルシステムのさらなる構成を説明する。
図13a】流れの不均衡に対処するためのチャネルステータディスクの変形例を描いており、図13b及び図13cは、結果として得られる流れの特性を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図2の二重リングローラボールロータ10は、多重ポンプドライバを提供する。中央の六角形の回転駆動シャフト開口部13を備えた平面ロータディスク12は、示されるように、両側上に一連の形状決めされた凹部を含み、凹部は、均等に隔置されたローラボール14Aの上部リング、及び均等に隔置された同一のローラボール14Bの下部リングを保つように配置されている。ボール14A及び14Bの両方のリングは、軸方向中心線から同じ半径にあり、ディスク12の上面及び下面から、それぞれ上及び下に規定の距離だけ突出するように、サイズ決めされて装着されている。
【0050】
図3でより明確に説明するように、一連のローラボール14Aの位置付けは、ローラボール14Bの位置付けに対して位相シフトされ、各ボール14Aは、2つの連続するボール14Bと接触するように装着されている(逆もまた同様)。これは、(各ボール14Aの角度位置が2つの連続するボール14Bの角度位置の中間になるように)下部リングから角度的にオフセットされた状態で凹部の上部リングを配置し、凹部が相交わることにより、2つの異なる側面からのローラボールが互いに接触することを可能にすることによって達成される。
【0051】
図3はまた、ロータ10に平行に配置された2つのチャネルステータディスク、すなわち、上部チャネルステータディスク20A、及び下部チャネルステータディスク20Bを示す。ステータディスク20A及び20Bの弾力性表面には、それぞれ、上部流体チャネル22A及び下部流体チャネル22Bが埋め込まれており、各流体チャネルは、ロータディスク12に隣接するチャネルステータディスクの面の近くに位置付けられている。埋め込まれた流体チャネル22A及び22Bに関する更なる詳細を以下に提供する。
【0052】
チャネルステータディスク20A及び20Bは、それぞれ、これらのディスクの下面及び上面の弾力性表面がボール14A及び14Bによって圧縮され、それにより、流体チャネル22A及び22Bを閉塞するように配置されている。
【0053】
(ステータディスク20Aと20Bとの間に挟まれたロータ10によって提供される)ポンプユニットの動作は、次のとおりである。(図3で上から見たときに)ロータ10が時計回り方向に回転すると、ステータディスク20Aの高い摩擦表面により、ローラボール14Aは時計回り方向に回転し、一方、ローラボール14Bは反時計回り方向に回転する。したがって、連続している場合、ローラボール14A及び14Bは、同じ速さで反対方向に回転し、その結果、滑り摩擦なしで互いに対して転動する。機構内の唯一の滑り摩擦は、ボール14A、14Bがロータディスク12の凹部の表面に接触する点であり、ローラボールに対する力は、軸方向のみである(かつそれゆえ、他のローラボールによって運搬される)ため、この滑り摩擦(ひいては、摩耗)は、最小である。
【0054】
チャネルステータディスク20A及び20Bの表面の転動圧縮は、流体チャネル22A及び22Bの両方の蠕動閉塞をもたらし、単一のポンプ駆動からの平行な流体の流れを提供する。
【0055】
図4で説明されるように、ポンプユニットの多重化能力を更に高めるために、複数の流体チャネル(この実施例では4つ)を各チャネルステータディスク20A、20Bに提供し、単一のロータ10によって操作される流体チャネルの数を8つまで増加させる。より多くの流体チャネルを使用することができる(各ステータチャネルのステータディスク上で最大数の流体チャネルを収容するようにチャネルの長さを最小化する)。必須ではないが、理想的には、周囲圧力で最も効果的なポンピングを行うための適切なチャネルシールを提供するために、いつでも各流体チャネルを完全に閉塞する3つ以上のボールが常に存在する必要がある。
【0056】
説明の目的で、図4は、平面図において、ロータ10を支える上部チャネルステータディスク20Aを示す。各流体チャネルの少なくとも一部は、少なくとも2つのローラボール14Aによって完全に閉塞され得るような方式で配置されて位置付けられた実質的に弓形のコースをとる。流体チャネル22Aは、入口ポート22Ainを出口ポート22Ainに接続し、示されるようにチャネルステータディスク20Aの周縁部に向かって位置付けられている。流体チャネル22Aと正反対にあるのは、入口ポート22A’INを出口ポート22A’outに接続する同様の流体チャネル22A’である。これらの2つの流体チャネルの中間にあり、相互に正反対にあるのは、流体チャネル24A及び24A’であり、これらは、(この実施例では)同一であるが、流体チャネル22A、22A’の断面積(ボア)の2倍のものである。
【0057】
ロータ10が時計回り方向に回転すると、ポート22Ainなどから入る流体は、流体チャネルに沿ってローラボール14Aによって蠕動してポンピングされて、出口ポート22Aoutなどから出る。流体チャネル22A内の流れは流体チャネル22A’内の流れに等しいが、その2倍の流れが流体チャネル24A及び24A’を通ってポンピングされる。理解されるように、流体チャネル24A/24A’対22A/22A’の2:1のボア比は単なる説明用である。もちろん、各流体チャネルのボアは、そのチャネル内に、ロータ10の所与のRPMで所望の流体の流れを提供するように選択され得る。
【0058】
各チャネルステータディスク20A、20Bは、(一般に知られており、上で考察された)ソフトリソグラフィによって形成された微細流体チャネル22Aなど、PDMS材料の2つの層から構築されている。かかるマイクロチャネルは、ほぼ矩形である断面形状を有し、PDMS材料の層のうちの一方又は両方の表面に形成されており、これらの表面は、チャネルをカプセル化するように一緒に結合されている。PDMSの表層は、ローラボールによる機敏な圧縮をもたらすように比較的薄い膜層であり、一方、ベース層は、より厚い基板層である。理解されるように、ベース層は、より弾力性が少ない材料(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの合成樹脂)から製作され得る。
【0059】
他の幾何学形状及び製作技術が等しく可能であることが理解されよう。例えば、マイクロチャネルは、矩形断面ではなく、例えば、ローラボール14A、14Bの半径と同じ又は同様の半径を有する、円形セグメント断面を有し得る。この形態は、より弾力性のあるベース層(PMMAベース層など)に、必要な直径の半円形断面の溝をマイクロ機械加工することによって達成することができ、可撓性PDMSの表層は、溝を閉じてチャネルを形成する平面オーバーレイを形成する。ローラボールは、マイクロチャネルを圧縮するときに、エラストマー膜を弓形の溝に、曲率に従って押し出して、チャネルを閉塞する。更に、2つの別個の要素の結合からマイクロチャネルを形成する必要はない。代わりに、鋳造、成形、レーザー機械加工、3D印刷技術などといった、好適なマイクロ製作技術を使用して材料に機械加工することができる。
【0060】
図5及び図6は、ロータ10の2つの代替的な構築物を説明する。図5の構築物は、多くの点で図2の構築物と同様であり、ディスクの各側面からの一連の保持凹部の相互接続により接するローラボールを有する単一のロータディスク12を備える。このようにして、ロータディスク12は、二重リングボールベアリングケージとして作用する。ローラボール14A、14Bは、チャネルステータディスク20A及び20Bのそれぞれの表面の圧縮作用のみによって、該ローラボールの凹部内に保持され得る(そのため、例えば、摩耗又は腐食の結果として、必要に応じて、個々のローラボールを容易に取り外して交換することができる)か、又は構築及びサイズ決めが、各ローラボールを凹部の内部に「ポップフィット」することができる直径のものであってもよい。例えば、ロータディスク12は、わずかに曲げやすい金属材料から作製され得、ボールは、ロータディスク12を熱膨張に供した直後に受容凹部に「ポップフィット」することができる(ボールベアリングレースアセンブリの製作で使用されるプロセスと同様)。
【0061】
図5のロータ10の切り取られた部分から分かるように、この構築物は、各々がローラボール14A、14Bを収容するように形状決めされた開口部のリングを含む、2つの略ディスク形状の半体12’及び12’ ’を備え、半体12’及び12’ ’は、一緒に集めて接合させて、内部でローラボール14Aがローラボール14Bと接触する中央の環状形状の空洞を画定する。ロータ半体12’及び12’’を接続する(又は間の接続を強化する)ために、追加の要素16が含まれており、これらの平面外面間の均一な分離を維持する(及びローラボール14A及び14Bの中心間の必要な分離を確実にする)。当業者が理解するように、かかる2部品型の構築物は、必須ではなく、代替の製作方法を使用して、かかる構造を生み出すことができる。
【0062】
図6の構築物は、駆動シャフト開口部13の周りの中央ボス部分(完全には見えない)によって合体された、上部ロータディスク部品12A及び下部ロータディスク部品12Bを備える。相互接続は、上部ロータディスク部品12Aの凹部を下部ロータディスク部品12Bの凹部と位置が交互になるように配設する様式で達成される。ローラボール14A、14Bは、凹部の直径よりも大きい直径を有し、部品12A及び12Bが合体される前に凹部内に設置され、その結果、次いで、これらが適所に保たれ、組み立てが完了した後に、ロータ10が単一部品型の構成要素になる。
【0063】
図7及び図7aに示されるように、多重ポンプアセンブリ30を提供するように、上に記載される複数のポンプユニットが積み重ねられ、全てが、ロータディスク12の六角形開口部13に係合するようにサイズ決めされた単一の回転式六角形シャフト42によって駆動される。この実施例では、6つのポンプユニット(12個のチャネルステータディスク)が組み合わされて、多重化能力が合計48個の流体チャネルに高められる。
【0064】
理解されるように、六角形開口部13に係合する六角形シャフト42は、ロータディスク12に回転駆動を適用する1つの例示的な方式にすぎず、任意の好適な形状又は係合を使用することができる。ロータディスク12は、好ましくは、軸方向に自由に移動することができるべきであり、その結果、ロータディスク12の平面に垂直な(すなわち、軸方向の)、ローラボール14A及び14Bの圧縮力は、チャネルステータディスク20Aと20Bとの間に分散される(ひいては、均等に適用される)。
【0065】
アセンブリ30は、閉鎖プレート部品34、ベース支持プレート部品36、及び5つの中間支持プレート部品38を含み、中間支持プレート部品38の各々は、2つのポンプユニットを分離する。プレート部品34、36、及び38は各々、それぞれのチャネルステータディスク20A、20Bの平面支持を提供する。プレート部品34、36、及び38は全て、全てのポンプユニットを角度の向きに相互に位置合わせするための4つのコーナー支柱39を有し、コーナー支柱39の各々は、内部を通って軸方向に整列した開口部を有することにより、全ての部品を、スクリューロッド40及びエンドナット(図示せず)によって一緒に機械的にクランプすることが可能になる。
【0066】
図7に示されるように、各中間支持プレート38は、シャフト42の直径よりも大きい直径の中央開口部を有する。必要に応じて、この開口部は、シャフト42に複数のリングベアリングを提供し、シャフト42を軸方向中心線上に維持するように、低減及び構成され得る(シャフト42は、中間支持プレート38の少なくとも軸方向の位置で円形断面を有するように再設計される)。代替的に又は追加的に、ロータ12の円周を、コーナー支柱39の弓形形状の内表面に支えられるように増加させ、それにより、シャフト42を軸方向中心線上に維持することを助け、アセンブリの動的安定性を助けることができる。
【0067】
本発明者らによって設計、構築、試験されたプロトタイプでは、ロータ10は、深さ3.2mm及び直径5.2mmの凹部内に装着された、各々が直径5mmの18個の均等に隔置されたステンレス鋼ボールベアリングからなる、2つのリングを備えていた。ロータディスク12は、直径55mm及び厚さ4.8mmであり、ローラボールリングは、直径40mmの円形経路に従うように装着された。
【0068】
理想的には、ロータディスク12は、アセタール樹脂などの材料から作製される。かかる材料は、軽量で耐疲労性があり、低い摩擦及び摩耗を示し、高い剛性、強度、及び硬度、並びに非常に優れた寸法安定性を有する。ローラボール14A、14Bは、ステンレス鋼、又は好適なガラス若しくはセラミック材料など、最小の摩擦で転動する好適な剛直な材料から作製される。
【0069】
内部の流体チャネルを完全に閉塞するために、各ポンプユニット内のチャネルステータディスク20Aと20Bと間の軸方向の分離を調節して、ローラボールによって、ステータディスクに規定の程度の圧縮を提供することができる。試験したプロトタイプでは、深さ750μmの圧縮が生成された。これにより、高さ80μm、並びに幅500及び800μmの流体チャネル(チャネルのボアはそれぞれ0.04及び0.064mm)の効果的な閉塞を確実にすることが見出された。流体チャネルは、厚さ2.7mmのPDMSのベース層の表面に形成され、次いで、チャネルは、厚さ500μmのPDMSの表層をPDMSのベース層に酸素プラズマ結合することによって閉じられた。
【0070】
図7aに提供される寸法は、プロトタイプの6段式多重ポンプアセンブリの高さ及び幅を示す。これは、シャフト42のヘッドを駆動するように配置されたOEMデバイスに装着するか、又は代替的に、カスタムモータドライバに係合することができる。
【0071】
多重化能力をなおも更に増加させるために、ローラボール14A、14Bのリングの数を増加させることができる。この修正例は、(図8aと比較して)図8cで説明されており、ロータ110の上部側面上のローラボール114Aの4つの同心リングを示す(この配置が下部側面に複製されている)。
【0072】
かかる構成は、(図8bと比較して)図8dに示されるように、チャネルステータディスクの改訂された設計を必要とし、下部チャネルステータディスク120Bは、ローラボール114Bの4つのリングの半径に対応する、4つの異なる半径の複数の流体チャネル(122Bなど)を備えて提供されている。理解されるように、同心蠕動チャネルが異なる速さの蠕動運動を経験するので、同心蠕動チャネルを横切る流量を較正する必要がある。等しい流量が必要な場合、流体チャネルのボアの好適な選択が必要である。
【0073】
この実施例では、合計11個のチャネルが示されている。したがって、図7に示されるタイプの6段式多重ポンプアセンブリ30でステータディスクのこの設計を使用することは、132個の流体チャネルの多重化能力を提供することになる。
【0074】
このタイプのチャネル配置は、図8eに更に詳細に示されており、下部チャネルステータディスク120Bの複数の弓形流体チャネルを見ることができる。理解されるように、この形態では、流体チャネルは、半径方向内側の流体チャネルとその周囲の入口又は出口との接続が別の流体チャネルの半径と交差することを伴うことになるため、潜在的に互いに干渉し合う可能性がある。これは、半径方向に向けられた入口チャネル部分及び出口チャネル部分を他のチャネルの弓形トラック間の空間に配置することによって行うことができるが、これは、この解決策の有用性を潜在的に限定する可能性がある。更に、ボールの外側リングのローラボールは、これらの半径方向に向けられた入口チャネル部分及び出口チャネル部分を断続的に閉塞するため、ポンプ作用を妨げ、性能に影響を与えることになる(同一平面チャネル配置に関する以下の更なる考察を参照されたい)。
【0075】
図8eの切り取られた図で示されるように、本発明の解決策は、三次元コースに従う流体チャネルを伴う。この目的のために、チャネルステータディスク120Bは、表面PDMS層150、合成樹脂で形成された比較的剛直な支持層152、及びベースPDMS層154の3つの層を備える。流体チャネル122Bは、蠕動動作のための弓形部分(図4及び図8bの弓形流体チャネル部分と同様)を含み、各端部で、軸方向に整列した流出部分156及び流入部分158と接続し、これらの端部は、それぞれ、ポート122Bout及び122Binで終端する、半径方向に整列した流出部分160及び流入部分162とそれぞれ接続する。
【0076】
軸方向に整列した流体チャネル部分156、158は、適切なマイクロ機械加工によって支持層152に形成され、一方、半径方向に整列した部分160、162は、ベースPDMS層154が支持層152に結合される前に、ベースPDMS層154の表面にソフトリソグラフィによって形成される。
【0077】
理解されるように、流体チャネルの異なる部分がステータディスクの異なる平面に位置し、複数の平面を使用することにより、チャネルを交差させ、重ね合わせることができ、ひいては、同心複数チャネル配置が可能になる。支持層152の比較的剛直な性質は、軸方向に整列したチャネル部分156、158が圧縮されない(そうでなければ、ポンプ動作を妨げる可能性がある)こと、及びまた、ローラボールの局所的な圧力がステータディスクを介して伝達されるのを防止する(そうでなければ、チャネル部分160、162を部分的に閉塞する可能性がある)ことを意味する。
【0078】
理想的には、半径方向に整列したチャネル部分160、162の圧縮は回避されるべきである。これを念頭に置いて、ベース層154は、エラストマー材料から作製される必要はないが、PMMAなどのより剛直な材料を含むことができ、チャネルは、マイクロミリング又は他の好適な機械加工技術によって形成される。
【0079】
流体チャネルの異なる構成を、図9(2層型のステータ構築物、流体チャネルの単一の平面)、及び図10(3層型のステータ構築物、流体チャネルの2つの平面)の実施例で更に説明する。図10に示されるように、多重平面の解決策により、入口ポート及び出口ポートの非常に柔軟な位置付けが可能になり、それに伴って、ポンプアセンブリを接続するための優れたチューブ管理がもたらされる。
【0080】
図8e及び図10に描かれる多重平面型流体チャネルの解決法では、チャネル部分156、158、160、及び162は、移動するローラボールによって別様に生み出され得る任意の閉塞を最小化するために、(表面弓形部分の断面の5:1のアスペクト比とは対照的に)ほぼ正方形の断面を有する。
【0081】
図11a及び図11bに示される実施形態は、多重平面型チャネル設計を使用して、より安定した流れのプロファイルを生み出し、蠕動ポンプの脈動性の影響を低減する。この実施形態では、流体チャネル122は、入力122Binと出力122Boutとの間で2つの平行なチャネルに分かれ、各々は、チャネルステータディスク120Bの表面近くの第1の平面に弓形部分123B及び125Bを有し、それに伴って、弓形部分123B及び125Bの両方は、軸方向中心線から同じ半径(ローラボール14Bのリングの半径)で、蠕動動作のために配置されている(図4及び図8bの弓形流体チャネル部分と同様)。2つの平行なチャネルの外側を形成する弓形流体チャネル部分123Bは、チャネルステータディスク120Bの本体内の第2の平面内の下流部分127Bに接続し、一方、2つの平行なチャネルの内側では、第2の平面内に配設されたチャネル部分129Bが、下流の弓形流体チャネル部分125Bに接続する。チャネルの三次元配置は、図11aにより明確に示されており、示されるように正反対のチャネルシステムで繰り返される(蠕動動作のために配置された弓形流体チャネル部分123B’及び125B’を含む)。
【0082】
特定のチャネル構成は、2つの平行なチャネルがハーフピッチの位相シフトでローラボール14Bによって圧縮されるように配置されている(位置Xで弓形部分123Bの終了点を閉塞しているローラボールによって見ることができるように。一方で、別のローラボールが、弓形部分125Bの終了点Yからハーフピッチの点で内側チャネルを閉塞している)。このように、2つの平行なチャネルによって生成される脈動流れのプロファイルは逆位相であり、組み合わせは、安定した正味流れである。理解されるように、位相シフトは、逆位相配置である必要はなく、代替的な位相がずれた配置を用いることができる。
【0083】
このオフセットポンプ構成の効果は、時間Tに対する流れQを示す、図12の流れのプロファイルで説明される。弓形部分123Bに対する蠕動作用から生じる脈動流れq、及び弓形部分125Bに対する蠕動作用から生じる脈動流れqは、組み合わされて単一のストリーム出力122Boutで正味均等な流れqを生み出す、位相がずれたパルスパターンを有する。この位相がずれた平行なチャネルの閉塞動作は、脈動を大幅に低減するという有利な効果を有する。
【0084】
各流体チャネルの半径がローラボール114Bのリングの半径に対応する、異なる半径の複数の流体チャネルを有するチャネルステータディスクに関する上で考察された設計(例えば、図8d及び図8eの実施形態を参照されたい)は、多重平面型流体チャネル(すなわち、三次元経路に従う流体チャネル)の必要性を回避又は低減するように修正され得る。
【0085】
図13aは、(例えば)図8d及び図10で説明されるチャネルステータディスク120Bを置き換えることができる構築タイプの、ステータ流体チャネルの同一平面配置の実施例を説明する。代替的に、チャネルステータディスクは、ハイブリッド構築物を特徴とする場合があり、いくつかの流体チャネルが、相互に同一平面上にあり、その他のチャネルが三次元経路をとる。
【0086】
図13aでは、いくつかの同一平面流体チャネル222B、222’B、224B、224’Bが、下部チャネルステータディスク220Bの弾力性表面内の様々な半径で配置されている。上で考察された他の実施形態と同様の方式で、各流体チャネルは、ロータの回転中心から同じ半径でロータ上に配置されたローラボールのリングによる係合を可能にするように位置付けられ、ローラボールは、流体チャネル内で蠕動流れを駆動するように、圧縮力を及ぼす。
【0087】
図13aに示されるように、ローラボール経路114は、チャネル222B及び224B内の流れを駆動するように配置されたローラボールのリングの移動を描いており、他の半径にあるローラボールのリングは、チャネル222’B及び224’B内の流れを駆動する。しかしながら、ローラボール経路114は、不都合なことに、チャネル222’Bの「非ポンプ」部分221’Bと相交わり、このローラの交差が、この点での流体経路の短い詰まりを引き起こし、このチャネルの流れの生成に望ましくない影響を与える。この影響を軽減するために、下部チャネルステータディスク220Bの表面材料には、上をローラボールが通過する際に流体チャネルを下方に変位させることを可能にするように、チャネル222’Bの部分221’Bに対してサイズ決めされて位置付けられたポケット凹部33が提供されている。これにより、ステータディスク220Bの変形及び非ポンプセグメント221’Bの蠕動閉塞が効果的に回避又は最小化される。
【0088】
試験したプロトタイプでは、厚さ75μmの流体チャネル222B、222’B、224B、及び224’Bが深さ300μmに埋め込まれた、下部チャネルステータディスク220B上のローラボールによって、深さ500μmの圧縮が生成された。チャネルステータディスク220Bの全体的な厚さは、ポケット凹部によって局所的に0.5mm低減した2.8mmであった。
【0089】
図13bは、ステータディスク220B上に凹部ポケット33がある場合とない場合とで測定された、チャネル222B及び222’B内の流量を示す。ポケット凹部33を組み込むことにより、流量プロファイルに対するローラの交差の影響が実質的に緩和され、途切れのないプロファイルに再整列されたことが分かる。
【0090】
図13cは、異なるロータ角速度にわたって、チャネル222’B内の流れをチャネル222B内の流れと比較し、ポケット凹部を含まないステータディスク構造の場合、平均流量が一貫して14.7±3.5%低減すること、及びポケット凹部を含む構造の場合、相対的な流れがわずか5.6±5.3%低減することを明らかにした。これは、同一平面流体チャネル配置の流量維持におけるポケット凹部の特徴の機能を更に支持する。
【0091】
当業者が理解するように、上部チャネルステータディスク及び下部チャネルステータディスクの両方の弾力性表面内に埋め込まれた複数の流体チャネルのために、必要に応じて、1つ以上のポケット凹部が提供され得る。
【0092】
チャネルの同等性、例えば、非ポンプチャネル部分での流体チャネルの断面アスペクト比の低減を提供するために、追加の又は代替的な手段を含めることができる。この場合、別様に流れの生成能力を限定し得る総流れ抵抗を不必要に上昇させることを回避するために、チャネルの幅の減少よりもチャネルの厚さの増加が好ましい。
【0093】
上に記載され、ここで説明される実施形態では、流体チャネルの蠕動動作は、ローラボールを使用して達成される。しかしながら、円筒状又は他の非球状の(例えば、テーパー状、バレル、又はニードル)ローラを使用することができ、かかるローラの2つの層が、ロータディスク12によって提供されるベアリングケージ内に配置されることが理解されよう。
【0094】
本発明の商業的使用には、複数の流体ラインのための定期的又は時限的な流体移送を含む、細胞培養のための平行な流れの灌流など、平行な流体の流れ(特に、nL~μL/分の範囲)が必要とされる任意の用途が含まれる。
【0095】
本明細書に開示及び定義される本発明は、文脈又は図面から言及された、又は明白な個々の特徴のうちの2つ以上の全ての代替的な組み合わせに及ぶことが理解されよう。これらの異なる組み合わせの全てが、本発明の様々な代替的な態様を構築する。
【0096】
本明細書で使用される場合、「備える(comprise)」という用語、及び本用語の「備える(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「備えた(comprised)」などの変形例は、更なる追加、構成要素の整数、又はステップを排除することを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7a
図8a.8c】
図8b.8d】
図8e
図9
図10
図11a
図11b
図12
図13a
図13b
図13c
【国際調査報告】