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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】点眼薬からの保存剤の除去
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20230413BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230413BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230413BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230413BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230413BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A61J1/05 313H
A61K9/107
A61K47/18
A61K45/00
A61K47/32
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535942
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 US2020066216
(87)【国際公開番号】W WO2021127564
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/950,866
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520358759
【氏名又は名称】ティアークリアー コープ.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,マイケル エス.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】マランガ,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C047
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C047CC24
4C047DD08
4C047EE03
4C047GG09
4C076AA22
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD41
4C076EE03
4C084AA17
4C084MA58
4C084NA20
(57)【要約】
薬物を含む溶液、懸濁液、またはエマルジョンから保存剤を除去するための粒子プラグが提示される。このプラグは、疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドの微粒子を含む。疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドの微粒子は、保存剤を選択的に吸収し、薬物が送達のために溶液中にとどまることを可能にする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物を含む溶液、懸濁液、またはエマルジョンから保存剤を除去するための微粒子プラグであって、前記微粒子プラグは疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドの微粒子を含み、前記微粒子は、溶液、エマルジョン、または懸濁液用の容器の出口に適合させることが可能である微粒子プラグを形成し、前記微粒子プラグは、前記溶液、エマルジョン、または懸濁液から前記保存剤を迅速かつ選択的に除去する、微粒子プラグ。
【請求項2】
前記微粒子が5μm-約10,000μmの寸法を有する、請求項1に記載の微粒子プラグ。
【請求項3】
前記保存剤が塩化ベンザルコニウム(BAK)を含む、請求項1または2に記載の微粒子プラグ。
【請求項4】
前記薬物が、表1、表2、表3、または表4から選択される、請求項1-3のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項5】
前記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが、アイソタクチックポリプロピレン、低密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンから選択される疎水性ポリマーを含む、請求項1-4のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項6】
前記アイソタクチックポリプロピレンが約250,000の平均MWを有する、請求項5に記載の微粒子プラグ。
【請求項7】
前記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが、熱可塑性樹脂である疎水性ポリマーを含む、請求項1-6のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項8】
前記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが、熱硬化性樹脂である疎水性ポリマーを含む、請求項1-7のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項9】
前記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが溶融ブレンドの生成物を含む、請求項1-8のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項10】
前記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが溶液ブレンドの生成物を含む、請求項1-9のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項11】
前記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが噴霧乾燥ブレンドの生成物を含む、請求項1-10のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項12】
前記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが、CH(CHCOHの構造を有し、ここでnは2-24である、請求項1-11のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項13】
nが6-24である、請求項12に記載の微粒子プラグ。
【請求項14】
nが8-24である、請求項12に記載の微粒子プラグ。
【請求項15】
nが8-20である、請求項12に記載の微粒子プラグ。
【請求項16】
nが10-20である、請求項12に記載の微粒子プラグ。
【請求項17】
nが12-20である、請求項12に記載の微粒子プラグ。
【請求項18】
nが14-20である、請求項12に記載の微粒子プラグ。
【請求項19】
nが14-18である、請求項12に記載の微粒子プラグ。
【請求項20】
nが14または16である、請求項12に記載の微粒子プラグ。
【請求項21】
nが16である、請求項12に記載の微粒子プラグ。
【請求項22】
脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、またはセロチン酸から選択される、請求項1-11のいずれか一項記載の微粒子プラグ。
【請求項23】
脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、またはドコサヘキサエン酸から選択される、請求項1-11のいずれか一項記載の微粒子プラグ。
【請求項24】
脂肪酸が、70℃を超える融点を有する脂肪酸から選択される、請求項1-11のいずれか一項記載の微粒子プラグ。
【請求項25】
疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:1-約1:20である、請求項5-24のいずれか1項に記載の微粒子プラグ。
【請求項26】
疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:1である、請求項25に記載の微粒子プラグ。
【請求項27】
前記疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:2である、請求項25に記載の微粒子プラグ。
【請求項28】
前記疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:3である、請求項25に記載の微粒子プラグ。
【請求項29】
前記疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:4である、請求項25に記載の微粒子プラグ。
【請求項30】
前記疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:5である、請求項25に記載の微粒子プラグ。
【請求項31】
前記疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:6である、請求項25に記載の微粒子プラグ。
【請求項32】
前記疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:7である、請求項25に記載の微粒子プラグ。
【請求項33】
前記疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:8である、請求項25に記載の微粒子プラグ。
【請求項34】
前記疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:9である、請求項25に記載の微粒子プラグ。
【請求項35】
前記疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:10である、請求項25に記載の微粒子プラグ。
【請求項36】
前記微粒子が5μm-約50μmの寸法を有する、請求項1-35のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項37】
前記微粒子が50μm-約100μmの寸法を有する、請求項1-35のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項38】
前記微粒子が100μm-約500μmの寸法を有する、請求項1-35のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項39】
前記微粒子が500μm-約1000μmの寸法を有する、請求項1-35のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項40】
前記微粒子が1,000μm-約10,000μmの寸法を有する、請求項1-35のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項41】
疎水性ポリマーおよび脂肪酸を約1:1-約1:20の比率で含む、疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンド。
【請求項42】
前記疎水性ポリマーおよび前記脂肪酸が、化学反応に適した容器内で混ぜ合わされ、均質な組成物を形成する各成分の融点より上まで加熱され、そして冷水に注がれる、請求項41に記載のブレンド。
【請求項43】
前記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが疎水性ポリマーおよび脂肪酸を約1:1-約1:20の比率で含む、請求項1-40のいずれか一項に記載の微粒子プラグ。
【請求項44】
前記疎水性ポリマーおよび前記脂肪酸が化学反応に適した容器内で混ぜ合わされ、均質な組成物を形成する各成分の融点より上まで加熱され、そして冷水に注がれるプロセスによって、前記ブレンドが調製される、請求項43に記載の微粒子プラグ。
【請求項45】
薬物を含む溶液、懸濁液、またはエマルジョンから保存剤を除去するための微粒子プラグであって、前記微粒子プラグは脂肪酸の微粒子を含み、前記微粒子は、溶液、エマルジョン、または懸濁液用の容器の出口に適合させることが可能である微粒子プラグを形成し、前記微粒子プラグは、前記溶液、エマルジョン、または懸濁液から前記保存剤を迅速かつ選択的に除去する、微粒子プラグ。
【請求項46】
前記脂肪酸がステアリン酸である、請求項45に記載のプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年12月19日に出願された米国仮出願番号62/950,866号の利益を主張し、これは、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
眼科疾患は、一般的に、使用の容易さ、利用可能性、手頃な価格、および患者のコンプライアンスのために、点眼ボトルに充填された処方された複数回用量の医薬を用いて治療される。局所点眼の頻度は、緑内障のような病気の場合の1日に1-2回から、重度の感染症の場合の1日10回の多さまで変動する。点眼製剤は無菌条件下で包装されているが、長時間の使用や不適切な取り扱い後の潜在的な汚染のリスクは、眼感染症に寄与する主な要因となり得る。いくつかの場合において、質素な方策として、複数の患者が同じ複数用量容器を使用して薬を投与する傾向があり、特にノズルを消毒するためのプロトコルが守られていない場合、交差汚染による眼感染症の可能性を見落としている。現在、ほとんどの眼科用製剤には、無菌薬の保存可能期間を維持し、微生物の増殖を排除するための保存剤(防腐剤)が含まれている。米国食品医薬品局は、複数用量の眼科用製剤に規制を課し、微生物を含まない医薬を提供するために保存剤の添加を義務付けている。この目的を果たすために、さまざまな保存剤が使用されている。無菌性を維持するには保存剤が必要とされているが、健康な被験者であっても、保存剤の副作用によってその利点が相殺されることがよくある。
【0003】
効力の高い第四級アンモニウム化合物である塩化ベンザルコニウム(BAK)が顕著に用いられている。BAKは活性洗剤消毒剤であり、これは細胞の脂質膜を遮断し、それによって微生物の増殖を阻害する。BAKの耐容性および安全性プロファイルにもかかわらず、多くの研究が、BAK含有量を追加した市販の局所薬が重度の毒性副作用を誘発することを示してきた。十分に裏付けされたBAKの副作用には、涙液膜の不安定性、小柱細胞および角膜細胞の成長遅延、角膜および結膜の炎症が含まれる。細胞毒性研究は、BAKが眼表面の細胞および組織を破壊することを示しており、長期的かつ頻繁な投与を必要とする緑内障およびドライアイの患者におけるその影響は有害である。角膜内皮損傷は、塩化ベンザルコニウムの添加を伴って、局所薬を長期間使用する際に発生する。保存された緑内障治療薬チモロールを使用した場合、健康な被験者に保存剤を含まないチモロールを使用した場合よりも、涙液膜の高度な不安定性および角膜バリアの破壊が観察される。BAK溶液の洗浄作用により、涙液膜の表面脂質層が、0.01%BAK溶液の一滴で可溶化された油滴に分解される。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、薬物を大幅に除去することなく、保存剤(防腐剤)の大部分を選択的に除去するための、疎水性ポリマーと脂肪酸とを約1:1から約1:20の比率で含む疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドを含む微粒子プラグに向けられ、そして、各溶出滴についてこれを達成することに特に向けられている。プラグの材料は、薬物結合を最小限に抑えるように設計され得る。プラグの材料は、結合を最小限に抑える薬物の特性に依存し得る。結合は、薬物の構造および/またはチップの粒子のマトリックス材料の詳細な構造に依存し得る。大まかに述べると、眼科用薬物は、水に対する薬物の親和性に応じて、疎水性と親水性のカテゴリに分けることができる。親水性の薬物は水に溶けやすく、疎水性の薬物は水に溶けにくい。
【0005】
本開示の実施形態は、薬物溶液から保存剤を除去するための微粒子プラグに向けられ、ここで、プラグを構成する微粒子は、疎水性ポリマーと脂肪酸とを約1:1-約1:20の比率で含む疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドである。
【0006】
薬物は、表1-4から選択される親水性薬物、例えば、マレイン酸チモロール、レボフロキサシン、ドルゾラミド、酒石酸ブリモニジン、および/または疎水性薬物、例えば、ラタノプロストまたはビマトプロスト、および/または薬物の組み合わせ、例えば、コンビガンなどであり得る。保存剤は、塩化ベンザルコニウム(BAK)であり得る。
【0007】
一実施形態は、薬物を含む溶液、懸濁液、またはエマルジョンから保存剤を除去するための微粒子プラグを提供し、上記微粒子プラグは、疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドの微粒子を含み、上記微粒子は、溶液、エマルジョン、または懸濁液用の容器の出口に適合させることが可能である微粒子プラグを形成し、上記微粒子プラグは、溶液、エマルジョン、または懸濁液から保存剤を迅速かつ選択的に除去する。
【0008】
別の実施形態は、微粒子が5μmから約10,000μmの寸法を有する微粒子プラグを提供する。
【0009】
別の実施形態は、保存剤が塩化ベンザルコニウム(BAK)を含む微粒子プラグを提供する。
【0010】
別の実施形態は、薬物が表1、表2、表3、または表4から選択される微粒子プラグを提供する。
【0011】
別の実施形態は、上記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが、アイソタクチックポリプロピレン、低密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンから選択される疎水性ポリマーを含む微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、上記アイソタクチックポリプロピレンが約250,000の平均MWを有する粒状プラグを提供する。別の実施形態は、上記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが熱可塑性樹脂である疎水性ポリマーを含む微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、上記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが熱硬化性樹脂である疎水性ポリマーを含む微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、上記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが溶融ブレンドの生成物を含む微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、上記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが溶液ブレンドの生成物を含む微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが噴霧乾燥ブレンドの生成物を含む微粒子プラグを提供する。
【0012】
別の実施形態は、疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドが、CH(CHCOH(式中、nは2-24である)の構造を有する脂肪酸から選択される脂肪酸を含む微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、nが6-24である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、nが8-24である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、nが8-20である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、nが10-20である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、nが12-20である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、nが14-20である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、nが14-18である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、nが14または16である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、nが16である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、またはセロチン酸から選択される微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、またはドコサヘキサエン酸から選択される微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、脂肪酸が70℃を超える融点を有する脂肪酸から選択される微粒子プラグを提供する。
【0013】
別の実施形態は、疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:1-約1:20である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:1である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:2である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:3である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:4である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:5である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:6である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:7である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:8である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:9である微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、疎水性ポリマー対脂肪酸の重量対重量比が約1:10である微粒子プラグを提供する。
【0014】
別の実施形態は、微粒子が5μmから約50μmの寸法を有する微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、微粒子が50μmから約100μmの寸法を有する微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、微粒子が100μmから約500μmの寸法を有する微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、微粒子が500μmから約1000μmの寸法を有する微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、微粒子が1,000μmから約10,000μmの寸法を有する微粒子プラグを提供する。
【0015】
一実施形態は、疎水性ポリマーと脂肪酸とを約1:1-約1:20の比率で含む疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドを提供する。別の実施形態は、上記疎水性ポリマーおよび上記脂肪酸が、化学反応に適した容器内で混ぜ合わされ、均質な組成物を形成する各成分の融点より上まで加熱され、そして冷水に注がれる。
【0016】
一実施形態は、薬物を含む溶液、懸濁液、またはエマルジョンから保存剤を除去するための微粒子プラグを提供し、上記微粒子プラグは、疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドの微粒子を含み、上記微粒子は、溶液、エマルション、または懸濁液用の容器の出口に適合させることが可能である微粒子プラグを形成し、上記微粒子プラグは、溶液、エマルジョン、または懸濁液から保存剤を迅速かつ選択的に除去し、上記疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドは、約1:1-約1:20の比率で疎水性ポリマーおよび脂肪族を含む。別の実施形態は、上記疎水性ポリマーおよび上記脂肪酸が化学反応に適した容器内で混ぜ合わされ、均質な組成物を形成する各成分の融点より上まで加熱され、そして冷水に注がれるプロセスによって、上記ブレンドが調製される、微粒子プラグを提供する。
【0017】
一実施形態は、薬物を含む溶液、懸濁液、またはエマルジョンから保存剤を除去するための微粒子プラグであって、上記微粒子プラグは脂肪酸の微粒子を含み、上記微粒子は、溶液、エマルジョン、または懸濁液用の容器の出口に適合させることが可能である微粒子プラグを形成し、上記微粒子プラグは、溶液、エマルジョン、または懸濁液から保存剤を迅速かつ選択的に除去する、微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、脂肪酸がステアリン酸である微粒子プラグを提供する。
【0018】
一実施形態は、薬物を含む溶液、懸濁液、またはエマルジョンから保存剤を除去するための微粒子プラグであって、上記微粒子プラグは脂肪酸の微粒子から本質的になり、上記微粒子は、溶液、エマルジョン、または懸濁液用の容器の出口に適合させることが可能である微粒子プラグを形成し、上記微粒子プラグは、溶液、エマルジョン、または懸濁液から保存剤を迅速かつ選択的に除去する、微粒子プラグを提供する。別の実施形態は、脂肪酸がステアリン酸である微粒子プラグを提供する。
【0019】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許および特許出願は、各個々の刊行物、特許または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されるのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲に限り、本明細書は、そのような矛盾するいかなる資料に取って代わり、および/またはそれに優先されることを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本開示は、保存剤(防腐剤)除去剤を提供する。保存剤除去剤は、治療剤を含む溶液、エマルジョン、または懸濁液から本開示の保存剤を迅速かつ選択的に除去することができる。上記保存剤除去剤は、保存剤を迅速かつ選択的に抽出することができ、最小限の圧力降下を有し、さらに保存剤を除去するのに十分な時間と、保存剤を吸着するのに十分な表面積を有するプラグを通って、点眼製剤が流れることを可能にする。マトリックスは、例えば、塩化ベンザルコニウム(BAK)などの保存剤に対して高い親和性を有し、薬物または他の眼科用薬剤などの治療薬に対して低い親和性を有する材料を含み得る。
【0021】
2009年に、欧州医薬品庁のヒト用医薬製品委員会(the European Medicines Agency’s Committee for Medicinal Products for Human Use)は、保存剤を含まない製剤が「保存剤に対する耐性が低い患者に必要」であり、「長期の処置の場合に、保存剤を含まない製剤は貴重な代替品となる」と結論付けた。保存剤の悪影響を考慮して、保存剤を含まない製剤を送達する安全な点眼薬吐出具の開発が10年以上にわたって追求されてきた。保存剤の必要性を排除した単回投与用の容器においては、保存剤を含まない製剤は、入手可能であるが、しかし、これらは便利でなく、広く一般に使用するには高価すぎる。
【0022】
したがって、保存剤を含まない眼科用薬物を眼に送達するためのシステムおよび方法を有することは有用であり、それによって、保存された眼科用溶液が、以下のうちの1つ以上を達成する、チップ上の媒体を通して分配される:
I.すべての保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)を効果的に除去する、
II.高いBAKの取り込み(分配係数)を有する、
III.APIは大部分(ほぼ100%)が減少されず、または妨げられず、または吸収されずに残る、
iV.隆起した流れるような粒子からなり、ほとんど微粒子物質を含まない、
v.液体の流れの制限が少ない、
vi.粘度の高い製剤が使用されることを可能にする、そして
vii.上記を達成する際に、薬物製剤のpHによる影響はほとんど受けない。
【0023】
保存剤除去剤
いくつかの実施形態では、本開示は、保存剤および治療剤を含む医薬製剤を提供する。製剤は、治療剤および保存剤の溶液、エマルジョンまたは懸濁液を含み得る。いくつかの実施形態では(例えば、保存剤除去剤が、治療剤および保存剤を含む溶液、エマルジョンまたは懸濁液の一部を含み得る実施形態では)、製剤は、保存剤除去剤を含み得る。他の実施形態では(例えば、保存剤除去剤が、ボトルの首部内に位置してもよい実施形態では)、保存剤除去剤は、治療剤および保存剤を含む溶液、エマルジョンまたは懸濁液とは別であってもよい。随意に、任意の実施形態では、溶液、エマルジョンまたは懸濁液は加えて、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。
【0024】
保存剤除去デバイスはマトリックスを含み得る。いくつかの実施形態では、マトリックスは微粒子プラグであってもよい。いくつかの実施形態では、ノズル内に配置されるマトリクスは、多孔質ポリマーマトリクスであってもよい。ノズルの後ろに圧力を加えることで、流体がノズルを通って流路を介して流れ、その流路に沿って、保存剤がマトリクスに吸着されることによって除去されてもよい。ポリマー材料、透水性、分布係数、吸着速度および孔径の組み合わせによって、溶液から、したがって患者の眼に投与される液滴から、すべてまたは大部分の保存剤を吸着することを可能にする。保存剤を低減した溶液は、その後、眼に直接送達されることができる。多孔質ポリマーマトリクスは、保存剤を迅速かつ選択的に抽出することができ、それにより、点眼製剤は、最小の圧力降下で、保存剤を除去するのに十分な時間と、保存剤を吸着するのに十分な表面積で、点眼製剤がプラグを通って流れることを可能にする。
【0025】
マトリックス(例えば、微粒子プラグ)は、約1:1から約1:20までの比率の疎水性ポリマーと脂肪酸とのブレンドを含み得る。このような材料は、安全かつ生体適合性であり得る。マトリックスは、例えば、塩化ベンザルコニウム(BAK)などの保存剤に対する親和性が高く、薬物または他の眼科用薬剤に対する親和性が低い材料を含む。多孔性疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドは、保存剤の少なくとも50パーセントが除去され、薬物の少なくとも50パーセントが溶液によって保持され得るように、保存剤に対して高い親和性を含み得る。いくつかの実施形態では、ノズル内に配置されるマトリックスは、多孔性ポリマーマトリックスであり得る。
【0026】
ポリマー/脂肪酸ブレンドは、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%である重量対重量パーセントの脂肪酸を含み得る。ポリマー/脂肪酸ブレンドは、5%を超えない、10%を超えない、15%を超えない、20%を超えない、25%を超えない、30%を超えない、35%を超えない、40%を超えない、45%を超えない、50%を超えない、55%を超えない、60%を超えない、65%を超えない、70%を超えない、75%を超えない、80%を超えない、85%を超えない、90%を超えない、95%を超えない、または99%を超えない重量対重量パーセントの脂肪酸を含み得る。脂肪酸の重量対重量パーセンテージが含まれる範囲の例は、前述のパーセンテージの任意の2つを組み合わせることによって作成できる。例えば、ポリマー/脂肪酸ブレンドは、5%-99%まで、10%-95%まで、20%-70%まで、または35%-55%である重量対重量パーセントの脂肪酸を含み得る。
【0027】
ポリマー/脂肪酸ブレンドは、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%である重量対重量パーセントの疎水性ポリマーを含み得る。ポリマー/脂肪酸ブレンドは、5%を超えない、10%を超えない、15%を超えない、20%を超えない、25%を超えない、30%を超えない、35%を超えない、40%を超えない、45%を超えない、50%を超えない、55%を超えない、60%を超えない、65%を超えない、70%を超えない、75%を超えない、80%を超えない、85%を超えない、90%を超えない、95%を超えない、または99%を超えない、疎水性ポリマーの重量対重量パーセントを含み得る。疎水性ポリマーの重量対重量パーセンテージが含まれる範囲の例は、前述のパーセンテージの任意の2つを組み合わせることによって作成することができる。例えば、ポリマー/脂肪酸ブレンドは、5%から99%まで、10%-95%、20%-70%まで、または35%-55%である重量対重量パーセンテージの疎水性ポリマーを含み得る。
【0028】
脂肪酸対ポリマー(例えば、疎水性ポリマー)の重量対重量比は、約100:約1、約95:約1、約90:約1、約85:約1、約80:約1、約75:約1、約70:約1、約65:約1、約60:約1、約55:約1、約50:約1、約45:約1、約40:約1、約35:約1、約30:約1、約25:約1、約20:約1、約15:約1、約10:約1、約9:約1、約8:約1、約7:約1、約6:約1、約5:約1、約4:約1、約3:約1、約2:約1、約1:約1、約1:約2、約1:約3、約1:約4、約1:約5、約1:約6、約1:約7、約1:約8、約1:約9、または約1:約10であり得る。脂肪酸対ポリマー(例えば、疎水性ポリマー)の重量対重量比は、約100:約1から約1-約10の間、約10:約1から約1:約1の間、約5:約1から約2:約1の間の範囲内であり得る。
【0029】
マトリックス材料(例えば、微粒子プラグ)は、脂肪酸とポリマーとのブレンドを含み得る。マトリックスは、疎水性ポリマーと脂肪酸のブレンドを含み得る。マトリックスは、ポリプロピレンと脂肪酸のブレンドを含み得る。マトリックスは、ポリプロピレンとステアリン酸のブレンドを含み得る。ポリマー/脂肪酸ブレンドは、アイソタクチックポリプロピレン、低密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンから選択される疎水性ポリマーを含み得る。
【0030】
本明細書に開示されるマトリックス材料は、ポリプロピレンのホモポリマーおよびコポリマーとブレンドされた脂肪酸に限定されない。本明細書に開示されるマトリックス材料はまた、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、5-エチル-1-ヘキセン、6-メチル-1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン等のホモポリマーおよびコポリマーなどの他のタイプのホモポリマーまたはコポリマーの結晶化可能または部分的に結晶化可能なポリ-アルファ-オレフィンとブレンドされた脂肪酸を含み得る。フィッシャー・トロプシュ法によって形成される酸化ワックスもまた含まれる。
【0031】
ポリマー/脂肪酸ブレンドのポリマーは、疎水性ポリマーであり得る。疎水性ポリマーは、一般に撥水性であり得る。疎水性ポリマーは一般的に水に溶けない可能性がある。疎水性ポリマーは、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)、ポリジメチルシロキサン、一部のポリエステル、一部のポリウレタン、アクリル、エポキシなどの材料のホモポリマーまたはコポリマーを含み得る。疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンドは、アイソタクチックポリプロピレン、低密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンから選択される疎水性ポリマーを含み得る。
【0032】
ポリプロピレンは、結晶化度を含み得る。ポリプロピレンは、アイソタクチック、シンジオタクチック、またはアタクチックとして特徴付けし得る。タクティシティー(立体規則性)という用語は、メチル基がポリプロピレンのポリマー鎖の中でどのように配向されているかを説明し得る。タクティシティーは、アイソタクチック インデックス(DIN 16774による)を使用して、パーセントで示し得る。アイソタクチックポリプロピレンは、実質的に同じ側に位置するメチル基を含み得る。アイソタクチックポリプロピレンは、らせん状の形状であり得る。アイソタクチックプロピレンは、半結晶構造を含み得る。アイソタクチック性が高いほど(アイソタクチック画分など)、結晶化度が高くなり、これは、より高い軟化点、剛性、弾性率、および硬度を生じ得る。アタクチックポリプロピレンは、鎖中のメチル基の配向の規則性に欠ける場合がある。アタクチックポリプロピレンは、結晶性が低く、非晶性が高い場合がある。シンジオタクチックポリプロピレンは、実質的に交互になっているメチル基を含み得る。
【0033】
アイソタクチックポリプロピレンは、85%から95%の間、85%から99%の間、90%から100%の間などのタクティシティーを含み得る。アイソタクチックポリプロピレンは、85%を超える、90%を超える、95%を超える、99%を超える、またはそれ以上のタクティシティーを含み得る。シンジオタクチックポリプロピレンは、実質的に交互になっているメチル基を含み得る。シンジオタクチックポリプロピレンは、85%を超えるラセモ二連子、90%を超えるラセモ二連子、95%を超えるラセモ二連子、99%を超えるラセモ二連子、またはそれ以上を含み得る。アタクチックポリプロピレンは、99%未満のメソ二連子、98%未満のメソ二連子、95%未満のメソ二連子、90%未満のメソ二連子、85%未満のメソ二連子、またはそれ以下を含み得る。
【0034】
アイソタクチックポリプロピレンは、いくつかの結晶構造で存在し得る。結晶修飾は、α-、β-およびγ-修飾ならびに中間形態(スメクチック)形態を有するものとして分類することができる。α-修飾は、アイソタクチックポリプロピレンでは一般的であり得る。α-修飾を有する結晶は、折り畳まれた鎖の形態のラメラを含み得る。ラメラは、「クロスハッチ」構造に配置され得る。α-結晶領域の融点は185-220℃である。密度は、0.936-0.946g・cm-3であり得る。β-修飾は、いくぶん秩序立っていない可能性がある。β-修飾は、より速く形成され得る。β-修飾は、170-200℃のより低い融点を有し得る。β-修飾の形成は、核形成剤、適切な温度、およびせん断応力によって促進され得る。中間形態は、ポリプロピレンの急速な冷却から生じ得る。中間相の秩序度は、結晶相とアモルファス相の間の範囲であり得る。中間相の密度は、約0.916g・cm-3の密度を含み得る。
【0035】
ポリプロピレン(例えば、アイソタクチックポリプロピレン)の長さは、分子量によって特徴付けることができる。分子量は、約250,000g/molであり得る。分子量は、約10,000、約20,000、約50,000、約100,000、約200,000、約210,000、約220,000、約230,000、約240,000、約250,000、約260,000、約270,000、約280,000、約290,000、約300,000、約300,000超、またはそれ以上であり得る。
【0036】
ポリプロピレンは、融点によって特徴付けられ得る。ポリプロピレンの融点はある範囲で発生する可能性があるため、融点は、示差走査熱量測定チャートの最高温度を見つけることによって決定され得る。タクティシティーの高いアイソタクチックポリプロピレンの融点は約171℃(340°F)である。低タクチックアイソタクチックポリプロピレンは、アタクチック材料および結晶化度に応じて、160-166℃(320-331°F)の範囲の融点を有し得る。結晶化度が30%のシンジオタクチックポリプロピレンの融点は130℃(266°F)であり得る。
【0037】
いくつかの場合において、ポリマー/脂肪酸ブレンド(例えば、疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンド)のポリマーは、融点によって特徴付けられ得る。ポリマー/脂肪酸ブレンドのポリマーの融点は、70℃より高くてもよい。ポリマー/脂肪酸ブレンドのポリマーの融点は、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃超、またはそれ以上であり得る。ポリマー/脂肪酸ブレンドのポリマーの融点は、1000℃未満、900℃未満、800℃未満、700℃未満、600℃未満、500℃未満、400℃未満、300℃未満、200℃未満、100℃未満、またはそれ以下であってもよい。ポリマー/脂肪酸ブレンドのポリマーの融点は、前述の値の任意の2つによって定義される範囲内であり得る。
【0038】
マトリックス材料(例えば、微粒子プラグ)は、脂肪酸とポリマーとのブレンドを含み得る。マトリックスは、ポリマーと飽和脂肪酸とのブレンドを含み得る。マトリックスは、ポリマーとステアリン酸のブレンドを含み得る。マトリックスは、ポリプロピレンとステアリン酸のブレンドを含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、脂肪酸は、飽和、一価不飽和、または多価不飽和脂肪酸を含み得る。飽和脂肪酸は、C=C二重結合を含まなくてもよい。不飽和脂肪酸は、1つ以上のC=C二重結合を含み得る。脂肪酸は、本明細書に開示される飽和、一価不飽和、または多価不飽和脂肪酸のいずれかを含み得る。
【0040】
飽和脂肪酸は、いくつかの炭素原子、例えば、3が炭素原子の数であるC3によって特徴付けられ得る。いくつかの実施形態において、飽和脂肪酸はC2-C28脂肪酸である。いくつかの実施形態において、飽和脂肪酸はC10-C25脂肪酸である。いくつかの実施形態において、飽和脂肪酸はC16-C20脂肪酸である。いくつかの実施形態において、飽和脂肪酸は、C10より大きい脂肪酸である。いくつかの実施形態において、飽和脂肪酸は、C14より大きい脂肪酸である。
【0041】
飽和脂肪酸は、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペンタコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンタン酸、ヘントリアコンタン酸、ドトリアコンタン酸、トリトリアコンタン酸、テトラトリアコンタン酸、ペンタトリアコンタン酸、ヘキサトリアコンタン酸、ヘプタトリアコンタン酸、オクタトリアコンタン酸、ノナトリアコンタン酸、またはテトラコンタン酸の1つ以上を含み得る。
【0042】
不飽和脂肪酸は、一般的に、以下の慣例によって言及され得る。カルボキシレートの隣の炭素はαとして知られており、次の炭素はβなどである。生物学的脂肪酸は長さが異なる可能性があるため、最後の位置はギリシャ語のアルファベットの最後の文字である「ω」としてラベル付けされている。不飽和脂肪酸の生理学的特性は、最終位置(ω)に対する最初の不飽和の位置と相関している可能性がある。例えば、ω-3という用語は、最初の二重結合が、炭素鎖の末端(ω)から3番目の炭素-炭素結合として存在することを意味する。不飽和脂肪酸の略称には、炭素数や二重結合数も記載されている場合がある。例えば、ω-3 C18:4、またはC18:4 ω-3、またはC18:4 n-3は、4つの二重結合を有する18炭素鎖であって、最初の二重結合がCH3末端から3番目の位置にあるステアリドン酸であることを示す。
【0043】
ブレンドは、モノ不飽和脂肪酸を含み得る。モノ不飽和脂肪酸は、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、またはネルボン酸の1つ以上を含み得る。
【0044】
モノ不飽和脂肪酸は、炭素原子の数、例えばC3:1によって特徴付けることができ、ここで、3は炭素原子の数であり、1は二重結合の数である。いくつかの実施形態において、モノ不飽和脂肪酸は、C2:1-C28:1脂肪酸である。いくつかの実施形態において、モノ不飽和脂肪酸は、C10:1-C25:1脂肪酸である。いくつかの実施形態において、モノ不飽和脂肪酸は、C16:1-C20:1脂肪酸である。いくつかの実施形態において、一価不飽和脂肪酸は、C10:1より大きい脂肪酸である。いくつかの実施形態において、モノ不飽和脂肪酸は、C14:1より大きい脂肪酸である。
【0045】
ブレンドは、多価不飽和脂肪酸を含み得る。多価不飽和脂肪酸は、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサノールペンタエン酸、セルボン酸、およびニシン酸の1つ以上を含み得る。
【0046】
多価不飽和脂肪酸は、炭素原子の数、例えば、C3:1によって特徴付けされ得、ここで、3は炭素原子の数であり、1は二重結合の数である。いくつかの実施形態において、二価不飽和脂肪酸は、C2:2-C28:2脂肪酸である。いくつかの実施形態において、二価不飽和脂肪酸は、C10:2-C25:2脂肪酸である。いくつかの実施形態において、二不飽和脂肪酸は、C16:2-C20:2脂肪酸である。いくつかの実施形態において、二価不飽和脂肪酸は、C10:2より大きい脂肪酸である。いくつかの実施形態において、二価不飽和脂肪酸は、C14:2より大きい脂肪酸である。
【0047】
いくつかの実施形態において、多価不飽和脂肪酸はCM:Nω-L脂肪酸であり、NおよびLはM未満の数である。いくつかの実施形態において、多価不飽和脂肪酸はC10:N-C25:N ω-L脂肪酸である。いくつかの実施形態において、多価不飽和脂肪酸は、C16:N-C20:N ω-L脂肪酸である。いくつかの実施形態において、多価不飽和脂肪酸は、C10:N ω-L脂肪酸よりも大きい脂肪酸である。いくつかの実施形態において、多価不飽和脂肪酸は、C14:N ω-L脂肪酸よりも大きい脂肪酸である。
【0048】
いくつかの実施形態において、脂肪酸には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、またはセロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられ得る。
【0049】
いくつかの場合において、ポリマー/脂肪酸ブレンド(例えば、疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンド)の脂肪酸は、融点によって特徴付けられ得る。ポリマー/脂肪酸ブレンドの脂肪酸の融点は、70℃を超える場合がある。ポリマー/脂肪酸ブレンドの脂肪酸の融点は、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃超、またはそれ以上である。ポリマー/脂肪酸ブレンドの脂肪酸の融点は、1000℃未満、900℃未満、800℃未満、700℃未満、600℃未満、500℃未満、400℃未満、300℃未満、200℃未満、100℃未満、またはそれ以下であり得る。ポリマー/脂肪酸ブレンドの脂肪酸の融点は、前述の値の任意の2つによって定義される範囲内であり得る。
【0050】
本開示は、ポリマー/脂肪酸ブレンドを含む微粒子プラグを製造する方法を提供する。ポリマー/脂肪酸ブレンドは、ブレンドされるポリマーおよび脂肪酸の粉末を組み合わせることによって形成され得る。混合物を溶融するまで加熱し、任意に攪拌する。得られた材料は水に添加され得る。湿った冷却された材料は、乾燥され得、例えば、真空乾燥され得る。乾燥した混合材料はグラインダーに加えられ得、粒径に達するまで粉砕され得る。得られた粒子は、充填されて微粒子プラグを形成し得る。プラグは、圧縮可能なボトル(例えば、点眼ボトル)などの容器の出口に近接して配置され得る。
【0051】
ポリマー/脂肪酸ブレンドを含む微粒子プラグを製造する方法はまた、溶液ブレンドまたは噴霧乾燥ブレンドも含み得る。例えば、ポリマーおよび脂肪酸のそれぞれが溶解され、得られた溶液は混合され得、溶媒は、例えば、沈殿物のデカント除去、蒸発などによって除去され得る。
【0052】
特定の実施形態において、本明細書に記載の粒子(例えば、微粒子)は、約1nmから約10μmまで、約1nmから約5μmまで、約1nmから約2μmまで、約1nmから約1μmまで、約1nmから約900nmまで、約1nmから約800nmまで、約1nmから約700nmまで、約1nmから約600nmまで、約1nmから約500nmまで、約1nmから約400nmまで、約1nmから約300nmまで、約1nmから約200nmまで、または約1nmから約100nmでさえの平均最大寸法を有する。特定の実施形態において、平均最大寸法は、平均最大直径または平均等価直径である。
【0053】
特定の実施形態において、粒子(例えば、微粒子)の80%超、90%超、または95%超が、約1nmから約10μmまで、約1nmから約5μmまで、約1nmから約2μmまで、約1nmから約1μmまで、約1nmから約900nmまで、約1nmから約800nmまで、約1nmから約700nmまで、約1nmから約600nmまで、約1nmから約500nmまで、約1nmから約400nmまで、約1nmから約300nmまで、約1nmから約200nmまで、または約1nmから約100nmでさえある平均最大粒径を有する。特定の実施形態において、平均直径は、平均最大直径または平均等価直径である。
【0054】
特定の実施形態において、本明細書に記載の粒子(例えば、微粒子)は、約100nmから約10μmまで、約100nmから約5μmまで、約100nmから約2μmまで、約100nmから約1μm、約100nmから約900nmまで、約100nmから約800nmまで、約100nmから約700nmまで、約100nmから約600nmまで、約200nmから約500nmまで、約250nmから約600nmまで、約300nmから約600nmまで、約350nmから約700nmまで、約450nmから約550nmまで、約475nmから約525nmまで、または約400nmから約700nmでまでの平均直径を有する。特定の実施形態において、平均直径は、平均最大直径または平均等価直径である。
【0055】
特定の実施形態において、粒子(例えば、微粒子)の80%超、90%超、または95%超が、約100nmから約10μmまで、約100nmから約5μm、約100nmから約2μmまで、約100nmから約1μmまで、約100nmから約900nmまで、約100nmから約800nmまで、約100nmから約700nmまで、約100nmから約600nmまで、約200nmから約500nmまで、約250nmから約600nmまで、約300nmから約600nmまで、約350nmから約700nmまで、約450nmから約550nmまで、約475nmから約525nmまで、または約400nmから約700nmの平均直径を有する。特定の実施形態において、平均直径は、平均最大直径または平均等価直径である。
【0056】
いくつかの場合において、薬物(例えば、眼科用薬剤)のマトリックスへの分配係数は、保存剤に対するマトリックスの親和性よりも少なくとも一桁低くなり得る。例えば、微粒子プラグは、BAK濃度および微粒子プラグの構造に応じて、約100-500の分配係数でBAKと結合し得る。いくつかの実施形態において、微粒子プラグは、例えば、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも10,000の、または前述の値の任意の2つによって定義される範囲内の、溶液、エマルジョン、もしくは懸濁液からの保存剤についての分配係数を含み得る。さらに、または代替的に、薬物分子のポリマーへの吸着時間が液滴を形成する時間よりも短くなるように、吸着速度定数を十分に高くされ得る。滴を形成する時間は、0.1から10秒の範囲内の時間を含み得る。滴を形成する時間は、約2秒、1秒から5秒の間、約3秒、5秒未満などである。
【0057】
微粒子プラグによる薬物または治療薬の取り込みは、取り込みパーセントによって特徴付けられ得る。取り込みパーセントは、微粒子プラグを通過した後に送達される元の薬物濃度のパーセントとして表すことができる。いくつかの場合において、取り込み率は 20%未満、10%未満、5%未満、2%未満、1%未満、またはそれ以下である可能性がある。いくつかの場合において、取り込み率が約2%になることがある。いくつかの場合において、取り込み率が約1%であり得る。
【0058】
微粒子プラグによる保存剤の取り込みは、取り込みパーセントによって特徴付けられ得る。取り込みパーセントは、微粒子プラグを通過した後に送達される元の保存剤濃度のパーセントとして表現され得る。いくつかの場合において、取り込みパーセントは、80%を超える、90%を超える、95%を超える、98%を超える、99%を超える、またはそれ以上であり得る。いくつかの場合において、取り込み率は約98%であり得る。いくつかの場合において、取り込み率は約99%であり得る。いくつかの場合において、粒子プラグを通過した後、保存剤が検出不可能であり得る。いくつかの場合において、保存剤は、開始溶液のHPLCピークの面積カウントと液滴の面積カウントなどとの比較に基づいて、検出可能な閾値未満であり得る。いくつかの場合において、保存剤は、紫外線吸収に基づいて、検出可能な閾値未満であり得る。
【0059】
マトリクス(例えば、微粒子プラグ)は、流体を分配するために比較的わずかな圧力しか必要としないかもしれない高い透水性を示し得る。透水性は、マトリックス材料、その寸法、およびそれがどのように充填されるかによって決められる可能性がある。充填された粒子の周りの、または粒子それ自体の中の細孔またはチャネルがより大きければ、所定の圧力損失に対してより高い流量を得ることができる。いくつかの実施形態では、透水性は、約0.01ダルシー超であり得る。ノズルは、約0.1ダルシーの透水性を含んでもよい。透水性が1ダルシー-10ダルシーであれば、液滴の形成後に圧力が低下する可能性がある場合に、フィルタに流体を保持することができる。透水性がより大きければ、同プラグは、例えば再湿潤用の点眼薬などの高粘度製剤を含む幅広い範囲の製剤に対応することができる。いくつかの実施形態では、多孔質ポリマーマトリクスは、例えば、0.01Da、0.1Da、1Da、10Da、100Da、1000Daの透水性、または前述の値のいずれか2つによって定められる範囲内の透水性を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、マトリクスは、液体が流れることができる大きなチャネルを含有する、非常に多孔質のものであってもよい。マトリクス中の細孔またはチャネルのサイズは、分子が、最初はマトリクス中のポリマーの表面から遠くにあってもよいが、ポリマーに向かって拡散して吸着することができるように十分に小さくてもよい。マトリクスは、連通した大きな細孔またはチャネルを含んでもよく、これにより、溶液が流れ、そして保存剤が細孔またはチャネルに吸着されることができる。マトリクスは、多孔質ゲルとして、充填層として、および/または、3D印刷ソフトリソグラフィ、エレクトロスピニングもしくは任意の他の適切な方法によって形成される構造として形成されてもよい。いくつかの実施形態では、マトリクスは、微多孔質ゲルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、マトリクスは、疎水性ポリマー/脂肪酸ブレンド粒子の充填層を含む。粒子は、微多孔質であってもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、粒子は、製剤が容器から溶出するノズル中に安定して保持される必要があってもよく、それにより、ノズルから溶出するのを防止する。場合によっては、マトリクスは焼結されて、微粒子プラグは融着されて多孔質モノリスにされてもよい。場合によっては、器具は、ノズル中にマトリクスを保持するためにカートリッジまたは他のアセンブリを有してもよい。器具は、マトリクスを保持するために溶液透過性の袋を有してもよい。器具は、溶液透過性の底部を備えた固体壁を含んでもよい。器具は、マトリクス材料を間に挟む入口面および出口面を含んでもよい。入口面および出口面は、溶液透過性の膜を含んでもよい。入口面および出口面は、フィルタを含んでもよい。入口面および出口面は、スクリーンを含んでもよい。粒子は、長いポリマー鎖を通して、および/または、器具の出口にフィルタを設置することによって、容器の壁に付着してもよい。器具は、患者に送達するために包装を含んでもよい。包装は、器具が患者に送達されるまで器具が圧縮されないように、器具を固定してもよい。包装は、製剤がボトルから出ないように出口面を固定してもよい。包装は、取り外し可能なキャップ、折り取り式のキャップ(break-off cap)、リシール可能なキャップなどを含んでもよい。
【0062】
マトリクスは、ノズルを通る溶液、エマルジョンまたは懸濁液の流路を大幅に増加することができるように屈曲を含んでもよい。マトリクスがマクロ多孔質粒子の充填層である一実施形態では、マクロ多孔質粒子の充填層は、粒子間の空間と、粒子中のマクロ細孔と、ポリマーが本来有する多孔質の3つのレベルの多孔質を有してもよい。いくつかの実施形態では、多孔質のレベルはすべて、マトリクスの屈曲の一因となってもよい。
【0063】
治療剤
本開示の実施形態は、表1-4に列挙される治療剤から選択される、眼への送達のための治療剤を提供し得る。治療剤は、流体に一体化され得、流体は、容器から、ポリマー/脂肪酸ブレンドを含むマトリクスを含むノズルを通って、眼に流れ得る。いくつかの実施形態では、流体は、治療剤を含む溶液、エマルジョンまたは懸濁液を含んでもよい。溶液、エマルジョンまたは懸濁液は、治療剤を含んでもよい。
【0064】
ノズルと共に使用できる例示的な治療剤には、チモロール、ドルゾラミド、リン酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、Betimol(登録商標)、オロパタジン、ブリモニジン、テトラヒドロゾリン、ラタノプロステンブノド、ラタノプロスト、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせが含まれるが、これに限定されない。治療剤には、Timoptic、Xalatan、Combigan、Lumigan、Pataday、Pazeo、Trusopt、Cosopt、Alphagan、Visine、Vyzulta、Veseneo、および本明細書の以下の表などに記載の他の薬剤が含まれるが、これに限定されない商標名の薬剤および製剤を含んでもよい。治療剤は、水溶液に溶解されてもよい。溶液は、無菌処理され、適切なpHに緩衝されてもよい。いくつかの実施形態では、溶液は、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、リン酸ナトリウム、クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、トロメタミン、ホウ酸、マンニトール、エデト酸二ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび/または塩酸などの非有効成分を含んでもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、流体は、治療剤に加えて保存剤(防腐剤)を含む。例示的な保存剤(防腐剤)には、塩化ベンザルコニウム(BAK)、アルコール、パラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、EDTA、クロルヘキシジン、第四級アンモニウム化合物、Purite(登録商標)、安定化オキシクロロ錯体、Sofzia(登録商標)、ソルビン酸、過ホウ酸ナトリウム、ポリクオタニウム-1、クロロブタノール、塩化セトリモニウム、エデト酸ナトリウムなどが含まれるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、保存剤は、塩化ベンザルコニウム(BAK)である。いくつかの実施形態では、保存剤は、1つ以上の第四級アンモニウム化合物である。いくつかの実施形態では、保存剤は、ポリクオタニウム-1である。いくつかの実施形態では、保存剤は、塩化セトリモニウムである。
【0066】
例えば、ドライアイ、細菌感染症、緑内障、高血圧症、炎症、アレルギー性結膜炎、睫毛貧毛症、真菌感染症などを処置するための治療剤と、局所麻酔、瞳孔拡張などに使用される治療剤とは、点眼ボトルまたは同様の送達機構を介して局所的に眼に送達される溶液、エマルジョンまたは懸濁液として患者に投与されてもよい。溶液、エマルジョンまたは懸濁液は、患者の健康に有害となる場合がある微生物、真菌または粒子汚染などの汚染を受ける場合がある。このような汚染を防止するために、溶液、エマルジョンまたは懸濁液に、保存剤が添加されてもよいが、保存剤にさらされた患者に対して、眼の健康に悪影響が及ぶ可能性がある。
【0067】
本開示は、本開示の保存剤除去デバイスによって除去可能な保存剤と共に製剤化される1つ以上の治療剤を提供する。治療剤は、眼科疾患の治療に使用するための化合物および塩を含んでもよい。開示の化合物および塩は、例えば、視覚障害の処置および/または予防のために、および/または、眼科疾患の予防および/または処置のための眼科処置中の使用のために使用されてもよい。以下の例一覧は、限定することを意図していない。
【0068】
いくつかの実施形態では、分配される治療剤は、シクロスポリンおよびリフィテグラストから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、ドライアイの処置における有効成分であってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、分配される少なくとも1つの治療剤は、スルファセタミドナトリウム、オフロキサシン、ガチフロキサシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、トブラマイシン、レボフロキサシン、プレドニゾロン酢酸エステル、ポリミキシンB硫酸塩およびトリメトプリムから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分であるスルファセタミドナトリウムおよびプレドニゾロン酢酸エステルを含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分であるポリミキシンB硫酸塩およびトリメトプリムを含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、細菌感染症の処置における有効成分であってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、分配される少なくとも1つの治療剤は、ブリモニジン酒石酸塩、ビマトロプロスト、レボブノロール塩酸塩、ブリンゾラミド、ベタキソロール塩酸塩、ピロカルピン塩酸塩、アプラクロニジン、トラボプロスト、チモロールマレイン酸塩、ラタノプロスト、ドルゾラミド塩酸塩およびタフルプロストから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分であるブリモニジン酒石酸塩およびチモロールマレイン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分であるブリンゾラミドおよびブリモニジン酒石酸塩を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、緑内障または高血圧症の処置における有効成分であってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、分配される少なくとも1つの治療剤は、ケトロラクトロメタミン、フルオロメトロン、プレドニゾロン酢酸エステル、ジフルプレドナート、フルオロメトロン酢酸塩、ネパフェナク、デキサメタゾン、ジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナク、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ネオマイシンおよびポリミキシンB硫酸塩から選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分であるゲンタマイシンおよびプレドニゾロン酢酸エステルを含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分であるトブラマイシンおよびデキサメタゾンを含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分であるネオマイシン、ポリミキシンB硫酸塩およびデキサメタゾンを含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、炎症の処置における有効成分であってもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、分配される少なくとも1つの治療剤は、ネドクロミルナトリウム、エピナスチン塩酸塩、アルカフタジン、ロドキサミドトロメタミン、エメダスチンフマル酸塩およびオロパタジン塩酸塩から選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態において、治療剤は、アレルギー性結膜炎の処置における有効成分であってもよい。
【0073】
いくつかの実施形態において、分配される少なくとも1つの治療剤は、プロパラカイン塩酸塩およびテトラカイン塩酸塩から選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態において、治療剤は局所麻酔薬であってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、分配される少なくとも1つの治療剤は、シクロペントラート塩酸塩、アトロピン硫酸塩およびトロピカミドから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態において、分配される治療製剤は、有効成分であるシクロペントラート塩酸塩およびフェニレフリン塩酸塩を含む。いくつかの実施形態において、治療剤は、瞳孔を拡張させることができる。
【0075】
いくつかの実施形態において、分配される少なくとも1つの治療剤は、有効成分であるナタマイシンを含む。いくつかの実施形態において、治療剤は、真菌感染症の処置における有効成分であってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態において、分配される少なくとも1つの治療剤は、リポ酸コリンエステル塩化物、レバミピド、ピロカルピン、アセクリジン、トロピカミド、ヒアルロン酸ナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ピロカルピン塩酸塩およびケトロラクから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態において、分配される治療製剤は、有効成分であるアセクリジンおよびトロピカミドを含む。いくつかの実施形態において、分配される治療製剤は、有効成分であるヒアルロン酸ナトリウムおよびジクロフェナクナトリウムおよびピロカルピン塩酸塩を含む。いくつかの実施形態において、分配される治療製剤は、有効成分であるピロカルピンおよびケトロラクを含む。いくつかの実施形態において、治療剤は、老視の処置における有効成分であってもよい。
【0077】
いくつかの場合において、治療薬は弱酸である。弱酸は、水溶液または水中で部分的または不完全に解離を受け得る。弱酸は、一般的に、脂肪酸によって酸性化された微粒子プラグの表面に対してあまり誘引性ではない可能性がある。脂肪酸のカルボン酸官能基は、薬物に対する低い親和性を維持しながら、微粒子プラグの親水性を高め得る。治療剤は、約1-約14のpKaを含み得る。治療剤は、少なくとも約1のpKaを含み得る。治療剤は、最大で約14のpKaを含み得る。治療剤は、約1-約3、約1-約5、約1-約7、約1-約9、約1-約11、約1-約13、約1-約14、約3-約5、約3-約7、約3-約9、約3-約11、約3-約13、約3-約14、約5-約7、約5-約9、約5-約11、約5-約13、約5-約14、約7-約9、約7-約11、約7-約13、約7-約14、約9-約11、約9-約13、約9-約14、約11-約13、約11-約14、または約13-約14のpKaを含み得る。治療剤は、少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、または約14のpKaを含み得る。
【0078】
本明細書に開示される医薬製剤の態様で使用できる例示的な溶液、エマルジョン、または懸濁液を表1-4に示す。以下の表の例示的な溶液、エマルジョン、または懸濁液は、本開示の保存剤除去デバイスおよび保存剤除去方法に組み込むことができる。本明細書に記載の保存剤除去デバイス、マトリックス、および方法の1つ以上の実施形態、バリエーション、および例は、圧搾可能なボトルを備え得る点眼薬分配システムに組み込むことができる。圧搾可能なボトルは、流体を貯蔵できるリザーバーを備えることができる。リザーバーに保存される流体は、表1-4に提供される例を含む、本明細書に記載される溶液、エマルジョン、または懸濁液の実施形態、バリエーション、または例を含み得る。
【0079】
【表1】









【0080】
【表2】
【0081】
【表3】










【0082】
【表4】
【0083】
保存剤
本開示は、本開示の治療剤の溶液、エマルジョンまたは懸濁液用の1つ以上の保存剤を提供する。保存剤は、治療剤の溶液、エマルジョンまたは懸濁液用の保存剤として使用するための化合物および塩を含んでもよい。1つ以上の保存剤は、例えば、微生物および/または真菌の増殖を防止することができる。1つ以上の保存剤は、例えば、治療剤の物理的または化学的な劣化を防止することができる。
【0084】
保存剤の非限定的な例には、塩化ベンザルコニウムまたは臭化ベンザルコニウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTAのナトリウム塩、クロルブタノール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、酢酸クロルヘキシジン、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸、アルコール、パラベン(例えば、メチルパラベン、ポリパラベン)、クロルヘキシジン、第四級アンモニウム化合物、ポリクオタニウム-1(Polyquad(登録商標))、Purite(登録商標)、安定化オキシクロロ錯体、Sofzia(登録商標)、過ホウ酸ナトリウム(GenAqua(登録商標))、塩化セトリモニウム、セトリミド、エデト酸ナトリウムなどが含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の製剤は保存剤を含まない。いくつかの実施形態では、保存剤は、塩化ベンザルコニウムである。いくつかの実施形態では、保存剤は、第四級アンモニウム化合物である。いくつかの実施形態では、保存剤は、ポリクオタニウム-1である。いくつかの実施形態では、保存剤は、塩化セトリモニウムである。
【0085】
いくつかの実施形態では、微粒子プラグは、保存剤除去化合物または保存剤不活性化化合物をさらに含んでもよい。保存剤除去化合物または保存剤不活性化化合物は、吸着法、イオン交換法、化学沈殿法、または溶媒抽出法を含むがこれらに限定されない典型的な分離方法を通じて送達される製剤の毒性を減少させることができる。保存剤除去化合物または保存剤不活性化化合物には、活性炭、抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、アニオン性ヒドロゲル、カチオン性化合物、中和剤、またはそれらの組み合わせが含まれてもよいが、これに限定されない。
【0086】
Purite(登録商標)保存剤系には、二酸化塩素、亜塩素酸塩および塩素酸塩の組み合わせである安定化オキシクロロ錯体(SOC)が含まれる。光にさらされると、SOCは、水、酸素、ナトリウムおよび塩素遊離基に解離し、細胞内脂質およびグルタチオンの酸化を引き起こし、細胞を機能させて維持するために不可欠な酵素を阻害する。塩素遊離基を生成するPurite(登録商標)などの保存剤の場合は、本開示の微粒子プラグは、活性炭などの遊離基、またはビタミンEなどの抗酸化剤に対して高い親和性を有する材料を含んでもよい。
【0087】
Travatan Z(Alcon Laboratories、テキサス州フォートワース)中のSofZia(登録商標)保存剤系は、ホウ酸塩、ソルビトール、プロピレングリコールおよび亜鉛を含有する。理論によって束縛されることを意図しないが、保存効果がホウ酸塩および亜鉛の組み合わせによると考えられる。ホウ酸塩および亜鉛を含む、SofZia(登録商標)などの保存剤の場合は、本開示の微粒子プラグは、EDTAなどの金属キレート剤、静電相互作用を通じてカチオン性亜鉛を抽出することができるアニオン性ヒドロゲル、静電相互作用を通じてアニオン性ホウ酸イオンを抽出することができるカチオン性ヒドロゲルまたは樹脂、あるいはホウ酸を中和することができる中和剤を含んでもよい。
【0088】
保存剤を吸収することができる材料は、活性炭粒子などの微粒子として微粒子プラグに組み込まれてもよい。微粒子は、微粒子プラグに充填されてもよく、それにより、液体は、粒子間を流れるのに十分な空間を有し、一方で結合するのに十分な接触面積を備える。代わりに、溶出製剤と吸収材料の間の接触を容易にするために、吸収材料は、本開示のポリマー粒子などの他の好適な材料の粒子に組み込まれてもよい。場合によっては、吸収材料は、共有結合でポリマーに一体化されてもよい。例えば、亜鉛と錯体を形成し得る陰イオンがポリマーに取り込まれ得る。封鎖材料は、ナノ粒子であってもよく、またはナノ粒子に組み込まれてもよく、次いで、ナノ粒子は、ポリマー粒子に分散されて、先端部の充填層を形成してもよい。ナノ粒子はまた、より大きな粒子の表面のみに堆積してもよい。吸収材料はまた、管を形成してもよく、この管は、平行に配置されて、液体が流れる流路を設け、そして、その表面上で吸収が生じる。
【0089】
製剤中の遊離基を中和するために微粒子プラグ中に存在する材料、例えば、ビタミンが、ポリマー粒子に組み込まれて、微粒子プラグを形成してもよい。眼に快適な水準のpHにするために、塩基が組み込まれてもよい。例えば、粒子を、有機液体中に溶解されたビタミンEの溶液に浸漬することによって、ポリマー粒子にビタミンEが添加されてもよく、それにより、ビタミンEが粒子に取り込まれることにつながる。その後、エタノールなどの有機液体が、蒸発されるか、または水中に抽出されるかして、ビタミンEが添加された粒子を形成してもよい。保存剤の他のいくつかの成分を抽出するなどの他の有利な目的を達成するために、ビタミンEが添加された粒子の材料が選択されてもよい。塩基はハイドロゲル調製物に直接組み込むことができる。
【0090】
製剤の保存(防腐)効果は、塩化ベンザルコニウムなどの別の保存剤が組み込まれることによっても改善でき、それにより、製剤は、EPA基準にも合格することができる。添加されたBAKまたは他の保存剤は、微粒子プラグによって除去されることができ、それにより、毒性を増加させることなく保存剤の性能の改善を達成することができる。
【0091】
保存剤除去化合物または保存剤不活性化化合物を含む微粒子プラグは、球状、円柱状、管状、高異型の扁平状などの様々な形状で形成されてもよく、表面は、粗くても、または滑らかでもよい。先端部に一体化された粒子または他の形状は、確実に先端部自体を無菌のままにできる何らかの保存剤を含有してもよい。先端部に予め添加される保存剤は、吸着を介して添加されてもよく、または結合を通じて材料に化学的に付着されてもよい。例えば、粒子を形成するポリマーにポリクオタニウムが一体化されてもよい。共有結合により、予め添加される保存剤が涙液膜に拡散するのを防止する。代わりに、予め添加される保存剤は、分子量が十分に大きいか、または溶出製剤への分布が非常に低くてもよい。
【0092】
保存剤除去化合物または保存剤不活性化化合物を含む微粒子プラグが、溶出製剤に成分を添加することが意図されている場合は、微粒子プラグ中のその材料の量は、十分に大きいものとし、それにより、ボトル全体、またはボトルの少なくとも90%に、確実に十分な量が維持される。保存剤除去化合物または保存剤不活性化化合物を含む微粒子プラグが、溶出製剤から成分を吸収することが意図されている場合は、微粒子プラグの体積および面積は、十分に大きいものとし、それにより、ボトル中の製剤の少なくとも90%から所望の成分を吸収する。
【0093】
本開示は、治療剤および保存剤のいずれか一方または両方の塩を提供する。薬学的に許容可能な塩としては、例えば、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。酸付加塩を形成するために化合物に添加される酸は、有機酸または無機酸であってもよい。塩基付加塩を形成するために化合物に添加される塩基は、有機塩基または無機塩基であってもよい。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、金属塩である。
【0094】
金属塩は、本開示の化合物に無機塩基を添加することで生じてもよい。無機塩基は、例えば、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩またはリン酸塩などの、塩基対イオンと対になった金属カチオンからなる。金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属または典型金属であってもよい。いくつかの実施形態では、金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、セリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、カルシウム、ストロンチウム、コバルト、チタン、アルミニウム、銅、カドミウムまたは亜鉛である。
【0095】
いくつかの実施形態では、金属塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、鉄塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、コバルト塩、チタン塩、アルミニウム塩、銅塩、カドミウム塩または亜鉛塩である。
【0096】
酸付加塩は、本開示の化合物に酸を添加することで生じてもよい。いくつかの実施形態では、酸は、有機酸である。いくつかの実施形態では、酸は、無機酸である。いくつかの実施形態では、酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、ゲンチシン酸、グルコン酸、グルカロン酸、サッカリン酸、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、パントテン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、フマル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、シュウ酸またはマレイン酸である。
【0097】
いくつかの実施形態では、塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ゲンチジン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、パントテン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸(メシレート)塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩またはマレイン酸塩である。
【0098】
溶液、エマルジョンまたは懸濁液
治療剤および保存剤の溶液、エマルジョンまたは懸濁液が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、治療上有効な量の、本開示の保存剤および/または治療剤のいずれか1つの任意の化合物または塩を含む組成物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、治療溶液、エマルジョンまたは懸濁液は、本明細書に記載の方法のいずれかで使用されてもよい。溶液、エマルジョンまたは懸濁液は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含んでもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、保存剤および/または治療剤の化合物は、ドライアイ、細菌感染症、緑内障、高血圧症、炎症、アレルギー性結膜炎、睫毛貧毛症、真菌感染症などの治療可能な障害の処置のために使用されてもよい。加えてまたは代わりに、保存剤および/または治療剤の化合物は、予防、診断または治療上の眼科処置中に、例えば、局所麻酔、瞳孔拡張などに使用されてもよい。眼に投与される製剤は、例えば、点眼薬を用いて局所的に投与されてもよい。
【0100】
本明細書に記載の治療剤の化合物は、例えば、約500(ナノモル濃度)nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1(マイクルモル濃度)μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、約60μM、約70μM、約80μM、約90μM、約100μM、約150μM、約200μM、約250μM、約300μM、約350μM、約400μM、約450μM、約500μM、約550μM、約600μM、約650μM、約700μM、約750μM、約800μM、約850μM、約900μM、約1mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、または約100ミリモル濃度(mM)の濃度で、本開示の溶液、エマルジョンまたは懸濁液中に存在してもよい。本明細書に記載の治療剤の化合物は、前述の濃度のいずれかから選択される上限値および下限値によって定められる濃度範囲内で、溶液、エマルジョンまたは懸濁液中に存在してもよい。例えば、本開示の治療剤の化合物または塩は、約1nM-約100mM、約10nM-約10mM、約100nM-約1mM、約500nM-約1mM、約1mM-約50mM、約10mM-約40mM、約20mM-約35mM、または約20mM-約30mMの濃度で、溶液、エマルジョンまたは懸濁液中に存在してもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、本開示の水溶液などの溶液、エマルジョンまたは懸濁液は、約0.001重量パーセント(wt%)-約0.3重量%の、本明細書に開示の保存剤のいずれか1つの化合物を含む。いくつかの実施形態では、本開示の水溶液などの溶液、エマルジョンまたは懸濁液は、約0.001重量%、約0.002重量%、約0.003重量%、約0.004重量%、約0.005重量%、約0.006重量%、約0.007重量%、約0.008重量%、約0.009重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%の、本明細書に開示の保存剤の化合物を含む。
【0102】
本明細書に記載の保存剤は、例えば、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、約60μM、約70μM、約80μM、約90μM、約100μM、約150μM、約200μM、約250μM、約300μM、約350μM、約400μM、約450μM、約500μM、約550μM、約600μM、約650μM、約700μM、約750μM、約800μM、約850μM、約900μM、約1mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、または約100mMの濃度で、本開示の溶液、エマルジョンまたは懸濁液中に存在してもよい。本明細書に記載の保存剤の化合物は、前述の濃度のいずれかから選択される上限値および下限値によって定められる濃度範囲内で、組成物中に存在してもよい。例えば、本開示の保存剤の化合物は、約1nM-約100mM、約10nM-約10mM、約100nM-約1mM、約500nM-約1mM、約1mM-約50mM、約10mM-約40mM、約20mM-約35mM、または約20mM-約30mMの濃度で、溶液、エマルジョンまたは懸濁液中に存在してもよい。
【0103】
本開示の溶液、エマルジョンまたは懸濁液は、任意の好適なpHで製剤化されてもよい。いくつかの実施形態では、溶液、エマルジョンまたは懸濁液のpHは、約4、約4.05、約4.1、約4.15、約4.2、約4.25、約4.3、約4.35、約4.4、約4.45、約4.5、約4.55、約4.6、約4.65、約4.7、約4.75、約4.8、約4.85、約4.9、約4.95、約5、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、または約9pH単位である。いくつかの実施形態では、溶液、エマルジョンまたは懸濁液のpHは、約4-約10、約5-約9、約6-約8、約6.5-約8、約6-約7、約6.2-約7.4、約6.2-約7.8、約6.3-約7.5、または約6.75-約7.1である。いくつかの実施形態では、溶液、エマルジョンまたは懸濁液のpHは、約6.9である。
【0104】
いくつかの実施形態では、本開示の溶液、エマルジョンまたは懸濁液は、医薬剤の処理を促進して、薬学的に使用される製剤にする、賦形剤および助剤を含む1つ以上の生理学的に許容可能な担体をさらに含む。適切な製剤は、選択される投与経路によって決められる。
【0105】
いくつかの実施形態では、本開示の医薬製剤に賦形剤を添加することで、組成物の粘度は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%増加または減少してもよい。いくつかの実施形態では、本開示の医薬製剤に賦形剤を添加することで、組成物の粘度は、5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、45%以下、50%以下、55%以下、60%以下、65%以下、70%以下、75%以下、80%以下、85%以下、90%以下、95%以下、または99%以下増加または減少してもよい。粘度変化が収まる範囲の例は、前述のパーセンテージのいずれか2つを組み合わせて作成されてもよい。例えば、賦形剤を添加することで、組成物の粘度は5%-99%、10%-95%、20%-70%または35%-55%増加または減少してもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、本開示の溶液、エマルジョンまたは懸濁液は、例えば、マンニトール、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、デキストロース、塩化カリウム、グリセリン、プロピレングリコール、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの、溶液、エマルジョンまたは懸濁液の浸透圧を調節するための薬剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、溶液、エマルジョン、または懸濁液は、溶液、エマルジョン、または懸濁液の浸透圧を調整するための薬剤約0.1重量%-約10重量%、約0.5重量%-約8重量%、約1重量%-約5重量%、約1重量%-約4重量%、または約1重量%-約3重量%を含む。いくつかの実施形態では、本開示の溶液、エマルジョンまたは懸濁液は、約10ミリオスモル(mOsm)-約1000mOsm、約100mOsm-約700mOsm、約200mOsm-約400mOsm、約200mOsm-約300mOsm、またはさらには約250mOsm-約310mOsmのオスモル濃度を有する。いくつかの実施形態では、オスモル濃度は約270mOsmである。
【0107】
本開示の溶液、エマルジョンまたは懸濁液中の賦形剤の量は、単位剤形の質量%または体積%で、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または約100%であってもよい。溶液、エマルジョンまたは懸濁液中の賦形剤の量は、単位剤形の質量%または体積%で、0.01%-1000%、0.02%-500%、0.1%-100%、1%-50%、0.01%-1%、1%-10%、10%-100%、50%-150%、100%-500%、または500%-1000%であってもよい。
【0108】
本開示の治療剤の化合物と、本開示の医薬製剤中の賦形剤の比率は、約100:約1、約95:約1、約90:約1、約85:約1、約80:約1、約75:約1、約70:約1、約65:約1、約60:約1、約55:約1、約50:約1、約45:約1、約40:約1、約35:約1約30:約1、約25:約1、約20:約1、約15:約1、約10:約1、約9:約1、約8:約1、約7:約1、約6:約1、約5:約1、約4:約1、約3:約1、約2:約1、約1:約1、約1:約2、約1:約3、約1:約4、約1:約5、約1:約6、約1:約7、約1:約8、約1:約9、または約1:約10であってもよい。治療剤の化合物と、本開示の溶液、エマルジョンまたは懸濁液中の賦形剤の比率は、約100:約1-約1:約10、約10:約1-約1:約1、約5:約1-約2:約1の範囲内であってもよい。
【0109】
薬学的に許容可能な担体は、当該技術分野において公知であり、これには、例えば、水または生理的緩衝生理食塩水などの水溶液、または、グリコール、グリセリン、オリーブ油などの油類、有機エステルなどの他の溶媒もしくはビヒクルが含まれる。賦形剤は、例えば、薬剤の遅延放出をもたらすように、または1つ以上の細胞、組織または器官を選択的に標的とするように選択されてもよい。組成物はまた、点眼剤などの局所投与に適した溶液中に存在してもよい。
【0110】
溶液、エマルジョン、または懸濁液中に存在する薬学的に許容される安定剤は、以下のうちの1つ以上を含み得る:チオ硫酸ナトリウム五水和物(またはチオ硫酸の任意の他の塩もしくは水和物)、ヨウ化ナトリウム(またはヨウ化物の任意の他の塩もしくは水和物)、硫酸ナトリウム(または硫酸の他の塩または水和物)、またはキサンタンガム。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される溶液、エマルジョンまたは懸濁液は、賦形剤としてアルコールを含む。アルコールの非限定的な例には、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、クロロブタノール、イソプロパノール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、マンニトール、ガラクチロール、フシトール、ラクチトール、および、それらの組み合わせが含まれる。
【0112】
本明細書に記載の化合物を含む組成物を調製するための方法には、1つ以上の不活性な薬学的に許容可能な賦形剤で化合物を製剤化する工程が含まれてもよい。液体組成物には、例えば、化合物が溶解される溶液、化合物を含むエマルジョン、または本明細書に開示される化合物を含むリポソーム、ミセルもしくはナノ粒子を含有する溶液が含まれる。これらの組成物はまた、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤および他の薬学的に許容可能な添加剤などの少量の非毒性な補助物質を含有してもよい。
【実施例
【0113】
実施例1:20/80 ポリプロピレン ステアリン酸ブレンド
Sigma Aldrichからのアイソタクチックポリプロピレン(ロットMKCH9443)平均MW=250,000およびAcros Organicsからの97%ステアリン酸(ロットA0404313)を用いてブレンドを作製した。20ミリリットル(mL)のシンチレーションバイアル中で、2.0グラム(g)のポリプロピレンを8.0gのステアリン酸に添加することによって、20/80の重量対重量(w/w)ブレンドを作製した。これを攪拌しながらゆっくりと加熱した。混合物の粘性により、これを攪拌した冷水に注ぐことができた。水をデカントし、材料を真空下に置いて乾燥させた。次に、この材料をグラインダーで粉砕し、ふるいにかけて500ミクロン(μm)未満の粒子にした。BAKの取り込みは、最初に0.2gの粉末を5mLの1000パーツパーミリオン(ppm)米国薬局方グレードのBAK溶液に加えることによってテストした。これを2日間撹拌し、濾過し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析して、この物質のBAK分配係数350を計算した。ラベル:本明細書の表では2NB78A。
【0114】
マレイン酸チモロール/酒石酸ブリモニジン点眼液(眼科用溶液)を、表5に従って調製した(例えば、2NB62、コンビガン類似体など)。以下を500mLボトルに加えた:2.151gのリン酸ナトリウム二塩基性七水和物(Fisher Chemical L#187384)、0.432gのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物(Fisher Chemical L#188731)、0.505gの0.991%BAK溶液(ロット 2NB61)、0.202gの酒石酸ブリモニジン(BOC Sciences L# BV19V06171)、および0.681gのマレイン酸チモロール(BOC Sciences L# BS19V04062)。超純水(100.017g)を加え、ロータリーシェーカーで一晩撹拌して溶解させた。3mLの溶液 2NB62を5mLのドロッパーボトルに入れた。ステアリン酸/ポリプロピレンパウダー(0.32g)を独自のテストチップにロードした。次に、チップを溶液の入ったドロッパーボトルに置いた。
【0115】
【表5】
【0116】
シミュレーションされた使用において、2滴が分配され、HPLC分析のための適切な方法に従って希釈される。追加の滴のペアは、1時間以上の間隔で分配される。出発物質からなる標準を採取し、特定のHPLC方法に従って希釈する。次に、各個々の液滴をHPLCで分析する。取り込みは、開始溶液のHPLC ピークからの面積カウントを液滴の面積カウントに対して比較することによって決定される。結果は、チモロールまたはブリモニジンのいずれの濃度も、チップ内の粉末を通過することによって有意に影響を受けないことを示す(表6)。
【0117】
【表6】
【0118】
BAKの取り込みを試験するために、同じ材料を使用して別の並行液滴試験を行った。希釈およびUVシグナル強度が大きく異なるため、別の液滴試験を実施した。以下のデータ(表7)では、第1の液滴のみに約5%の開始BAKが含まれる。連続した液滴では、BAKは検出されない(例えば、検出不可能である、UV吸収に基づく検出可能な閾値を下回っているなど)。
【0119】
【表7】
【0120】
実施例2:再結晶ステアリン酸
15gの97%ステアリン酸(Acros organics ロット番号A0404313)を300mLのアセトンに添加し、40℃に加熱して溶解させた。溶液を室温まで冷却させ、ステアリン酸を溶液から結晶化させた。溶液を2時間冷蔵して完成させた。ステアリン酸はフレークを形成し、これを濾過により除去した。再結晶したステアリン酸を真空下室温で一晩乾燥させた。
【0121】
0027gの無水クエン酸(Alfa Aesar L# X16D073)、0.0536gのリン酸ナトリウム二塩基性七水和物(Fisher chemical L# 187384)および0.1619gの塩化ナトリウム(Fisher Chemical L# 177082)を、300ppm ビマトプロストおよび50ppmBAKの20gストック溶液(2NB70.1)に合わせることによって、ビマトプロスト眼科用溶液(20mL)を製剤化した。
【0122】
ビマトプロスト製剤(3mL)を5mLのドロッパーボトルに入れた。再結晶したステアリン酸フレーク(0.116g)を独自のテストチップにロードした。次に、チップを溶液の入ったドロッパーボトルの上に置いた。
【0123】
シミュレーションされた使用において、2つの液滴が分注され、HPLC分析のための適切な方法に従って希釈される。追加の液滴のペアは、1時間以上の間隔で分配される。出発物質からなる標準を採取し、特定のHPLC方法に従って希釈する。次に、液滴の各対をHPLCで分析した。取り込みは、開始溶液の面積カウントを液滴の面積カウントと比較することによって決定する。ビマトプロストは、この製剤中のBAKと同様の線形シグナル範囲を有しているため、すべてのデータは単回の液滴試験から収集される。結果(表8)は、BAKが再結晶ステアリン酸フレークを通過することから排除される一方で、ビマトプロストは有意に減少しないことを示す。連続した液滴では、BAKは検出されない(例えば、検出不可能であり、UV吸収に基づく検出可能なしきい値を下回っているなど)。
【0124】
【表8】
【0125】
実施例3:50/50ポリプロピレン ステアリン酸ブレンド
20mLのシンチレーションバイアル中で、5.0gのポリプロピレンアイソタクチックMw250000(Aldrich 427888ロットMKCH9443)を、Acros(ロットA0404313)からの5.0gの97%ステアリン酸と合わせた。この混合物を撹拌しながら加熱して溶融させた。混合は、粘度に起因して困難であった。この材料を水にスパチュレートした。高い粘度に起因して、これを注ぐことはできなかった。この材料を水から取り出し、真空中で2時間、手短に乾燥させた。これを回転刃グラインダーに入れ、粉末にした。得られた材料をふるいにかけ、63-500μmにした。
【0126】
Lifitegrast(リフィテグラスト)眼科用溶液(例えば、表中のXiidra(シードラ)模倣物)を調製し、これは、5.0% Lifitegrast(BOC Sciences ロットB19V08071)、2.0% リン酸ナトリウム二塩基性無水物(J.T.Baker ロット0000236665)、0.5% チオ硫酸ナトリウム五水和物(Fisher Chemical ロット 181801)、および0.005 %BAK(Aldrich 12063 ロット #BCBW4741)からなった。
【0127】
3mLのLifitegrast製剤を5mLのドロッパーボトルに入れた。50/50ポリプロピレン/ステアリン酸ブレンド(0.328g)を独自のテストチップにロードした。次に、チップを、溶液の入ったドロッパーボトル上に配置した。
【0128】
シミュレーションされた使用において、2滴が分注され、HPLC分析のための適切な方法に従って希釈される。Lifitegrastの比較的高い濃度に起因して、医薬品有効成分とBAKについて2回の個別の滴下試験を行った。出発物質からなる標準を採取し、特定のHPLC方法に従って希釈する。次に、液滴の各対をHPLCで分析した。取り込みは、開始溶液のHPLCピークの面積カウントを液滴の面積カウントと比較することによって決定する。
【0129】
【表9】
【0130】
【表10】
【0131】
HPLCデータ(表9および10)において、Lifitegrastは妨げられなかったが、少量のBAKのみが最初の滴のみで通過し、その後の滴では検出できなかったことを見ることができる。最初の液滴の後、BAKは検出されない(例えば、検出できない、開始溶液のHPLC ピークの面積カウントと液滴の面積カウントの比較に基づく検出可能なしきい値を下回っているなど)。
【0132】
本明細書で参照または引用されたすべての特許、特許出願、仮出願、および刊行物は、本明細書の明示的な教示と矛盾しない程度まで、すべての図面および表を含めて、参照により全体が組み込まれる。
【0133】
本明細書に記載された例および実施形態は、例証のみのためであり、それに照らして様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲内に含まれるものであることを理解されるべきである。
【0134】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、当業者には、そのような実施形態が単なる例として提供されていることが明らかである。本発明は、明細書内で提供される特定の例によって限定されることを意図していない。本発明は、前述の明細書を参照して説明されてきたが、本明細書における実施形態の説明および例証は、限定的な意味で解釈されることを意図されていない。現在、当業者は、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換を想起する。さらに、本発明のすべての態様は、様々な条件および変数に依存する、本明細書に記載の特定の描写、構成、または相対的比率に限定されないことが理解されるべきである。本明細書に記載された開示の実施形態に対する様々な代替が、本発明の実施において採用され得ることが理解されるべきである。したがって、本発明は、いかなるそのような代替、修正、変形、または均等物をも包含することが意図される。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの等価物がそれによってカバーされることが意図されている。
【国際調査報告】