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特表2023-516571半導体ウェーハ処理用キャリア・フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】半導体ウェーハ処理用キャリア・フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20230413BHJP
   C09J 7/22 20180101ALI20230413BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20230413BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20230413BHJP
   C09J 123/02 20060101ALI20230413BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/22
C09J7/29
C09J153/02
C09J123/02
H01L21/78 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549951
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 US2021020877
(87)【国際公開番号】W WO2021178669
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/986,387
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/106,199
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】320007631
【氏名又は名称】トレデガー サーフェイス プロテクション エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】サブラマニアム スーリア
(72)【発明者】
【氏名】レイ カール ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ブラディ ケヴィン エイ
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5F063
【Fターム(参考)】
4J004AA06
4J004AB01
4J004CA04
4J004CB03
4J004CC03
4J004FA08
4J040DA041
4J040DM011
4J040JA09
4J040JB09
4J040LA06
4J040NA20
5F063AA18
5F063EE07
5F063EE22
(57)【要約】
キャリア・フィルムは、接着層と、コア層と、剥離層とを含む。接着層は、25℃で400kPa以下の貯蔵弾性率(G’)を有する水添スチレン・ブロック・コポリマーと、第1のポリオレフィン・エラストマーとを含む。コア層は、第2のポリオレフィン・エラストマーを含み、剥離層は、ポリオレフィンを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃で400kPa以下の貯蔵弾性率(G’)を有する水添スチレン・ブロック・コポリマーと、第1のポリオレフィン・エラストマーとを備える接着層と、
第2のポリオレフィン・エラストマーを備えるコア層と、
ポリオレフィンを備える剥離層と、を備えるキャリア・フィルム。
【請求項2】
前記水添スチレン・ブロック・コポリマーは、25℃で300kPa以下の貯蔵弾性率(G’)を有する、請求項1に記載のキャリア・フィルム。
【請求項3】
前記水添スチレン・ブロック・コポリマーは、2.16kg質量下において230℃で200g/10分を超えるメルト・フロー・レート(MFR)を有する、請求項1に記載のキャリア・フィルム。
【請求項4】
前記水添スチレン・ブロック・コポリマーは、少なくとも20%のスチレン含有量を有する、請求項1に記載のキャリア・フィルム。
【請求項5】
前記第1のポリオレフィン・エラストマーおよび前記第2のポリオレフィン・エラストマーは、同じ材料である、請求項1に記載のキャリア・フィルム。
【請求項6】
前記第1のポリオレフィン・エラストマーおよび前記第2のポリオレフィン・エラストマーは、エチレンオクテン・コポリマーである、請求項5に記載のキャリア・フィルム。
【請求項7】
前記第1のポリオレフィン・エラストマーは、アルファオレフィン・コポリマーである、請求項1に記載のキャリア・フィルム。
【請求項8】
前記第2のポリオレフィン・エラストマーは、エチレンオクテン・コポリマーである、請求項7に記載のキャリア・フィルム。
【請求項9】
前記コア層は、第3のポリオレフィン・エラストマーをさらに備える、請求項1に記載のキャリア・フィルム。
【請求項10】
前記第2のポリオレフィン・エラストマーおよび前記第3のポリオレフィン・エラストマーは、異なるメルト・フロー・レート(MFR)を有する、請求項9に記載のキャリア・フィルム。
【請求項11】
前記コア層は、低密度ポリエチレンをさらに備える、請求項10に記載のキャリア・フィルム。
【請求項12】
前記剥離層における前記ポリオレフィンは、低密度ポリエチレンである、請求項1に記載のキャリア・フィルム。
【請求項13】
前記剥離層は、高密度ポリエチレンをさらに備える、請求項12に記載のキャリア・フィルム。
【請求項14】
前記キャリア・フィルムは、590%以上の縦方向最大伸びを有する、請求項1に記載のキャリア・フィルム。
【請求項15】
前記キャリア・フィルムは、25MPa以上の縦方向引張強度を有する、請求項1に記載のキャリア・フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月6日出願の米国特許仮出願第62/986,387号、および2020年10月27日出願の米国特許仮出願第63/106,199号に対する優先権の利益を主張し、両者の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ウェーハ・ダイシング・プロセス前および最中のシリコン・ウェーハ、ならびにウェーハ・ダイシング・プロセス時に作成されたダイを保持するために使用され得るキャリア・フィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウェーハ・ダイシング作業に使用される典型的なウェーハ・ダイシング・フィルムまたはテープは、ベース基材の一側に感圧接着剤を有するベース基材を含む。フィルムを、感圧接着剤を損傷することなく、製造時にロール形態に巻き取り使用する準備ができたとき巻き出すために、多くのフィルムは、感圧接着剤としてベース・フィルムの反対側に、例えば、シリコーンを含む剥離コーティングを有する。
【0004】
フィルムがマスタ・ロールに巻き取られるとき、剥離コーティングは感圧接着剤に接触する。フィルムがマスタ・ロールから巻き出されるとき、感圧接着剤は剥離コーティングから分離する。他の既知のウェーハ・ダイシング・フィルムは、シリコーン・コーティングの代わりに剥離ライナを使用して、汚染の問題を引き起こす可能性のあるシリコーンを製品から除去する。剥離ライナは、フィルムが巻き取られている間に感圧接着剤を保護し、フィルムを使用する準備ができたとき簡単に巻き出すことができるように使用される。
【0005】
加えて、ウェーハ・ダイシング・フィルムに使用される典型的な感圧接着剤は、例えば、紫外線(UV)光を受けたときに感圧接着剤の接着特性が変化することを可能にするUV硬化型アクリル系コポリマーを含む。例えば、ウェーハ・ダイシング・プロセスの前に、フィルムは、ウェーハが半導体チップにダイシングされるにつれてウェーハを定位置に保持するのに十分な接着力でウェーハに接触する感圧接着剤でシリコン・ウェーハを支持し得る。フィルムをUV光で露光することにより、個々の半導体チップまたはダイをフィルムから容易に除去し他の場所に載置することができるように、感圧接着剤の接着特性が変化し得る。非UV硬化型アクリル系コポリマーを感圧接着剤に使用するウェーハ・ダイシング・フィルムの中には、半導体チップがウェーハ・ダイシング・フィルムから除去されるとき半導体チップ上に望ましくない残留物を残すことが知られているものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダイシング・プロセス時にウェーハをフィルムによってしっかりと保持することができ、チップを損傷することもチップ上に過度の残留物を残すこともなく個々のチップをフィルムから除去することができ、接着面を損傷することなくフィルムをロールに巻き取り巻き出すために、剥離ライナもしくはシリコーン・コーティングを含まない接着面を有するウェーハ・ダイシング・フィルムを有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、接着層と、コア層と、剥離層とを含むキャリア・フィルムが提供される。接着層は、25℃で400kPa以下の貯蔵弾性率(G’)を有する水添スチレン・ブロック・コポリマーと、第1のポリオレフィン・エラストマーとを含む。コア層は、第2のポリオレフィン・エラストマーを含み、剥離層は、ポリオレフィンを含む。
【0008】
一実施形態では、水添スチレン・ブロック・コポリマーは、25℃で300kPa以下の貯蔵弾性率(G’)を有する。
【0009】
一実施形態では、水添スチレン・ブロック・コポリマーは、2.16kg質量下において230℃で200g/10分を超えるメルト・フロー・レート(MFR:Melt Flow Rate)を有する。
【0010】
一実施形態では、水添スチレン・ブロック・コポリマーは、少なくとも20%のスチレン含有量を有する。
【0011】
一実施形態では、第1のポリオレフィン・エラストマーおよび第2のポリオレフィン・エラストマーは、同じ材料である。一実施形態では、第1のポリオレフィン・エラストマーおよび第2のポリオレフィン・エラストマーは、エチレンオクテン・コポリマーである。
【0012】
一実施形態では、第1のポリオレフィン・エラストマーは、アルファオレフィン・コポリマーである。一実施形態では、第2のポリオレフィン・エラストマーは、エチレンオクテン・コポリマーである。
【0013】
一実施形態では、コア層は、第3のポリオレフィン・エラストマーを含む。一実施形態では、第2のポリオレフィン・エラストマーおよび第3のポリオレフィン・エラストマーは、異なるメルト・フロー・レート(MFR)を有する。
【0014】
一実施形態では、コア層は、低密度ポリエチレンも含む。
【0015】
一実施形態では、剥離層におけるポリオレフィンは、低密度ポリエチレンである。一実施形態では、剥離層は、高密度ポリエチレンも含む。
【0016】
一実施形態では、キャリア・フィルムは、590%以上の縦方向最大伸びを有する。
【0017】
一実施形態では、キャリア・フィルムは、25MPa以上の縦方向引張強度を有する。
【0018】
本発明のこれらおよび他の態様、特性、および特徴、ならびに構造の関連要素の作業方法および機能、部品の組合せおよび製造の経済性は、添付の図面を参照して以下の説明および添付の特許請求の範囲を考慮するとより明らかになり、これらのすべてが本明細書の一部を形成する。しかしながら、図面は例示および説明のみを目的とし、本発明の限界の画定を意図するものではないことが明示的に理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0019】
以下の図の構成要素は、本開示の一般原則を強調するために図示され、図は必ずしも正確な縮尺率ではない。対応する構成要素を指定する参照符号は、一貫性および明瞭さのために、図全体で必要に応じて繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態によるキャリア・フィルムの概略断面図である。
図2】フレームに取り付けられた図1のキャリア・フィルムおよびキャリア・フィルムによって支持されたシリコン・ウェーハの概略断面図である。
図3】シリコン・ウェーハがチップにダイシングされ、プランジャがキャリア・フィルムを上方に押し上げてチップを分離した後の図2のキャリア・フィルム、フレームおよびシリコン・ウェーハの概略断面図である。
図4図1のキャリア・フィルムの接着層に使用する3つの水添スチレン・ブロック・コポリマーの230℃での細管レオメトリによって測定されたせん断速度の関数としての粘度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態によるキャリア・フィルム100の断面を模式的に示す。図示するように、キャリア・フィルム100は、コア層120の一側の接着層110と、接着層110としてのコア層120の反対側の剥離層130とを含む。接着層110は外側接着面112を含み、剥離層130は外側剥離面132を含む。キャリア・フィルム100がロールに巻き取られるとき、接着面112が剥離面132に接触する。
【0022】
図2は、ウェーハ・ダイシング・フィルムとしてキャリア・フィルム100を使用する一実施形態を模式的に示す。図示されるように、キャリア・フィルム100は、接着層110の接着面112を介してフレーム210へ取り付けられる。フレーム210は、例えば、ステンレス鋼から作られてもよい。シリコン・ウェーハ220は、接着層110の接着面112を介してフレーム210内のキャリア・フィルム100に支持され、かつ取り付けられている。キャリア・フィルム100がフレーム210に取り付けられ、シリコン・ウェーハ220がフレーム210内のキャリア・フィルム100上に載置された後、フレーム210は、処理用のウェーハ・ダイシング機(図示せず)に挿入または載置されてもよい。
【0023】
図3に模式的に示すように、ウェーハ220を個々のチップ222にダイシングした後、プランジャ310を使用してキャリア・フィルム100を上方に押し上げることにより、個々のチップ222を、さらに分離し、さらなる処理のためにキャリア・フィルム100から取り去ってもよい。チップ222のすべてがキャリア・フィルム100から除去された後、キャリア・フィルム100を、フレーム210から除去し、廃棄またはリサイクルし得る。
【0024】
図1に戻り、剥離層130は、1つまたは複数のポリオレフィン、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリプロピレン(PP)、ランダム・コポリマー・ポリプロピレン、ポリプロピレン・インパクト・コポリマー、またはメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン、およびこれらの混合物を含んでもよい。一実施形態では、剥離層130は、低密度ポリエチレン(LDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)の好適なポリオレフィン混合物を90:10~40:60の重量比で含んでもよい。一実施形態では、剥離層130は、LDPEを含んでもよいが、HDPEを含まない。一実施形態では、酸化防止剤などの1つまたは複数の添加剤が剥離層130に含まれてもよい。
【0025】
剥離層130の厚さは、約1μmから約20μmの間、例えば、約5μmから約15μmの間、例えば、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、または約15μmであってもよい。
【0026】
コア層120は、1つまたは複数のポリオレフィン・エラストマー、例えば、エチレンオクテン・コポリマー、またはエチレンブテン・コポリマー、および1つまたは複数のポリオレフィン、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ランダム・コポリマー・ポリプロピレン、ポリプロピレン・インパクト・コポリマー、またはメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン、およびこれらの混合物を含んでもよい。コア層120は、酸化防止剤などの1つまたは複数の添加剤を含んでもよい。
【0027】
本発明の一実施形態では、コア層120は、キャリア・フィルム厚さのバルク(例えば、少なくとも75%)を形成するので、良好なインパクト強度および優れた変形挙動および伸びなどのキャリア・フィルム100の所望の機械的特性を提供して、キャリア・フィルム100が、ウェーハ処理時に、図3を参照して上述したように、延伸することを可能にする。ENGAGE(商標)8450(190℃で2.16kg質量下においてメルト・フロー・レート(MFR)=3g/10分;密度=0.902g/cm)およびENGAGE(商標)8402(190℃で2.16kg質量下においてメルト・フロー・レート(MFR)=30g/10分;密度=0.902g/cm)を含むがこれらに限定されないDow Chemical Companyによって製造されたENGAGE(商標)エチレンオクテン・コポリマーなどのポリオレフィン・エラストマーは、コア層120の構成要素として有用であり得る。
【0028】
このようなポリオレフィン・エラストマーを含むコア層120の製造時のメルト加工性は、ポリオレフィン・エラストマーと、より高いメルト・フロー・レート(MFR)を有する別のポリオレフィン・エラストマーおよび/またはオートクレーブ・プロセス技術によって製造された高圧低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリオレフィンとを配合することによって改善され得る。
【0029】
本発明の実施形態によるキャリア・フィルム100のコア層120の厚さは、約40μmから約80μmの間、例えば、約50μmから約70μmの間、例えば、約50μm、約51μm、約52μm、約53μm、約54μm、約55μm、約56μm、約57μm、約58μm、約59μm、約60μm、約61μm、約62μm、約63μm、約64μm、約65μm、約66μm、約67μm、約68μm、約69μmまたは約70μmであってもよい。
【0030】
キャリア・フィルム100の実施形態による接着層110は、1つまたは複数の水添スチレン・ブロック・コポリマーと、1つまたは複数のポリオレフィン・エラストマーとの配合物、例えば、エチレンオクテン・コポリマー、エチレンブテン・コポリマー、またはアルファオレフィン・コポリマーを含む。接着層110はまた、任意選択で、低密度ポリエチレン(LDPE)および/または高密度ポリエチレン(HDPE)などの1つまたは複数のポリオレフィンを含んでもよい。
【0031】
好適な水添スチレン・ブロック・コポリマーは、水素化の前にポリスチレン・ブロック-ポリジエン・ブロック・ポリマー構造を有してもよい。水添ブロック・コポリマーは、水素化の前は、直鎖状または放射状であってもよい。水添スチレン・ブロック・コポリマーに好適なポリジエンは、ポリブタジエン(1,3-ブタジエン)、ポリイソプレンおよびこれらの混合物を含む。ポリスチレン・ブロック-ポリジエン・ブロック構造の水素化は、例えば、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン・ポリマー構造、あるいは「SEBS」、またはスチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、あるいは「SEPS」をもたらし得る。本発明の実施形態では、水添スチレン・ブロック・コポリマーのスチレン含有量は、10重量%から50重量%の間であってもよい。一実施形態では、水添スチレン・ブロック・コポリマーのスチレン含有量は、20%以上であってもよい。
【0032】
熱可塑性樹脂の貯蔵弾性率(G’)は、エネルギを弾性的に貯蔵する材料の能力の尺度であり、温度掃引にわたって一定の周波数で動的機械分析(「DMA」)によって測定することができる。水添スチレン・ブロック・コポリマーの貯蔵弾性率(G’)は、1Hzの周波数で25℃において400kPa未満、例えば、300kPa未満、例えば、250kPa未満であってもよい。
【0033】
本発明の様々な実施形態では、接着層110は、50重量%~100重量%の水添スチレン・ブロック・コポリマーを含んでもよい。このような実施形態では、接着層110は、0重量%~50重量%のポリオレフィン・エラストマーも含んでもよい。
【0034】
水添スチレン・ブロック・コポリマー、ポリオレフィン・エラストマーおよびポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂のメルト・フロー・レート(「MFR」)は、熱可塑性樹脂の粘度に逆相関している。高MFRは、熱可塑性樹脂が低粘度を有することを意味し、その逆も同様である。本明細書に使用されているように、「MFR」は、特に断りのない限り、ASTM D-1238に従って、230℃で2.16kgの質量下で決定され、10分当たりのグラムで測定されるメルト・フロー・レートを意味するものとする。接着層110に好適な水添スチレン・ブロック・コポリマーは、約10g/10分から約300g/10分の間のMFRを有し得る。接着層110に好適なポリオレフィン・エラストマーは、約1g/10分(190℃で2.16kg質量下)から約100g/10分(190℃で2.16kg質量下)の間のMFRを有し得る。
【0035】
本発明の実施形態によるキャリア・フィルム100の接着層110の厚さは、約1μmから約20μmの間、例えば、約3μmから約15μmの間、例えば、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、または約15μmであってもよい。
【実施例
【0036】
3つの異なる水添スチレン・ブロック・コポリマーについて、キャリア・フィルム100の接着層110に使用するために調査した。具体的には、株式会社クラレによって製造されたSEPTON(商標)2063、Kraton Performance Polymers,Inc.によって製造されたKRATON(商標)MD1653、およびKraton Performance Polymers,Inc.によって製造されたKRATON(商標)MD1648を調査した。各樹脂の様々な特性を以下の表Iにまとめる。
【0037】
【表1】
【0038】
MFRおよびスチレン含有量の値は、株式会社クラレ(SEPTON(商標)2063用)およびKraton Performance Polymers,Inc.(KRATON(商標)MD1653およびKRATON(商標)MD1648用)からの樹脂仕様書から採取した。貯蔵弾性率(G’)は、1Hzの周波数でDMA温度掃引によって測定した。
【0039】
細管レオメトリを、2000バール圧力トランスデューサを使用してGoettfert Rheograph 20型式の細管レオメータ上でASTM D3835に従って水添スチレン・ブロック・コポリマーについても行った。180°の入射角を有する丸い穴の長さ30mm/直径1mmのダイを使用した。各材料を、試験開始前に10分間バレルにおいて平衡化した。補正されたせん断粘度曲線を、230℃の一定の試験温度で収集した。結果を図4に示す。KRATON(商標)MD1648の高流動特徴は、接着層110の加工性を改善し、所望に応じて、ステンレス鋼フレーム210およびシリコン・ウェーハ220上へのキャリア・フィルム100の比較的高いレベルの接着力を提供し得る。
【0040】
3台の押出機を各層に1台ずつ備えたキャスト押出ラインを、85μmの目標厚さでキャリア・フィルム100を押し出すために使用した。接着層110、コア層120、および剥離層130の層厚比は10:75:15(すなわち、8.5μm/63.75μm/12.75μm)であった。窒素ガスは、押出機のそれぞれの供給口で導入され、押出プロセスに不活性雰囲気を与えた。押出時、接着層110を、16マイクロインチ(0.406ミクロン)の平均表面粗さ(Ra)を有する艶消し冷却ロール上でキャストした。30マイクロインチ(0.762ミクロン)の平均表面粗さ(Ra)を有するエンボス・ニップ・ローラを使用して剥離層130へ表面テクスチャを提供した。
【実施例1】
【0041】
実施例1は、接着層110が、85重量%のKRATON(商標)MD1648水添スチレン・ブロック・コポリマーと15重量%のENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーとの配合物であった(エチレンオクテン)。コア層120は、100重量%ENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーであった。剥離層130は、80重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)と20重量%の高密度ポリエチレン(HDPE)との配合物であった。
【実施例2】
【0042】
実施例2は、接着層110が、85重量%のKRATON(商標)MD1648水添スチレン・ブロック・コポリマーと15重量%のENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーとの配合物であった。コア層120は、75重量%のENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーと25重量%のENGAGE(商標)8402ポリオレフィン・エラストマーとの配合物であった(エチレンオクタン)。剥離層130は、80重量%のLDPEと20重量%のHDPEとの配合物であった。
【実施例3】
【0043】
実施例3は、接着層110が、85重量%のKRATON(商標)MD1648水添スチレン・ブロック・コポリマーと15重量%のENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーとの配合物であった。コア層120は、50重量%のENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーと、25重量%のENGAGE(商標)8402ポリオレフィン・エラストマーと、25重量%のLDPEとの配合物であった。剥離層130は、80重量%のLDPEと20重量%のHDPEとの配合物であった。
【実施例4】
【0044】
実施例4は、接着層110が、85重量%のKRATON(商標)MD1653水添スチレン・ブロック・コポリマーと15重量%のENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーとの配合物であった。コア層120は、100重量%ENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーであった。剥離層130は、80重量%のLDPEと20重量%のHDPEとの配合物であった。
【実施例5】
【0045】
実施例5は、接着層110が、85重量%のSEPTON(商標)2063水添スチレン・ブロック・コポリマーと15重量%のENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーとの配合物であった。コア層120は、100重量%ENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーであった。剥離層130は、80重量%のLDPEと20重量%のHDPEとの配合物であった。
【0046】
実施例1~5のサンプルのそれぞれは、ステンレス鋼基材(ステンレス鋼から作られたフレーム210を模倣する)への接着性、ならびにシリコン・ウェーハ(シリコン・ウェーハ220を模倣する)への接着性について、試験前に3週間、周囲条件下でエージングを許した1インチ幅の試料の180°ピール力を測定することによって試験した。シリコン・ウェーハは、Alpha Nanotech Inc.によって製造されたCZ-Pで4インチの直径の鏡面研磨ウェーハであった。Texture Technologies Corp.によって製造された型式Ta.xt Plusのテクスチャ分析器を使用して、5mm/秒の一定のピール速度で180°ピール力を測定した。結果は以下の表IIに列挙する。
【0047】
【表2】
【0048】
サンプルのすべてのうち、接着層110にそれぞれKRATON(商標)MD1648を含む実施例1~3は、ステンレス鋼基材およびシリコン・ウェーハの両方で最も高い180°ピール力値を有していた。
【0049】
キャリア・フィルムのサンプルのそれぞれは、ASTM-D882に従って、引張強度、および縦方向(MD)の破断伸びを含む機械的特性についても測定した。機械的試験の結果は、以下の表IIIに列挙する。
【0050】
【表3】
【0051】
Zygo光学表面形状測定装置を、キャリア・フィルム100をウェーハへ接着して除去する前後の両方で、シリコン・ウェーハ上の残留物の量を推定するために使用した。より具体的には、ウェーハの表面粗さを測定し、平均計算残留物体積を、清浄なシリコン・ウェーハの平均表面高さに対する平均表面を超える増分体積として計算した。残留物移動が既存のシリコン・ウェーハ表面粗さに加わると仮定すると、サンプルによって移送された、または残された残留物の量は、残留物移送体積として計算した。積層シリコン・ウェーハごとに5箇所(360μm×270μm)を分析し、平均計算残留物体積をμm/cmの単位で計算した。光学表面形状測定法からの残留物分析の結果は、以下の表IVに提示する。
【0052】
【表4】
【0053】
実施例1は、KRATON(商標)MD1648を含み、水添スチレン・ブロック・コポリマーを含むサンプルに対して残された残留物が最も少ない量で、清浄なシリコン・ウェーハに匹敵した。
【0054】
多層キャリア・フィルム100の2つの追加のサンプルは、85μmの目標厚さ、および10:75:15(すなわち、8.5μm/63.75μm/12.75μm)の接着層110、コア層120、および剥離層130の層厚比を有し、上述の方法で押し出された。
【実施例6】
【0055】
実施例6は、実施例3と同様に、接着層110は、85重量%のKRATON(商標)MD1648水添スチレン・ブロック・コポリマーと15重量%のENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーとの配合物であり、コア層120は、50重量%のENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーと、25重量%のENGAGE(商標)8402ポリオレフィン・エラストマーと、25重量%のLDPEとの混合物であり、剥離層130は、80重量%のLDPEと20重量%のHDPEとの配合物であった。押出時、接着層110を、16マイクロインチ(0.406ミクロン)の平均表面粗さ(Ra)を有する艶消し冷却ロール上でキャストした。30マイクロインチ(0.762ミクロン)の平均表面粗さ(Ra)を有するエンボス・ニップ・ローラを使用して剥離層130へ表面テクスチャを提供した。
【実施例7】
【0056】
実施例7は、接着層110が、90重量%のKRATON(商標)MD1648水添スチレン・ブロック・コポリマーと10重量%のABSORTOMER(商標)EP-1001ポリオレフィン・エラストマー(三井化学株式会社から入手可能で、2.16kg質量下において230℃で10g/10分のメルト・フロー・レート(MFR)を有するアルファオレフィン・コポリマー)との配合物である。コア層120は、50重量%のENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーと、25重量%のENGAGE(商標)8402ポリオレフィン・エラストマーと、25重量%のLDPEとの配合物であり、剥離層130は、80重量%のLDPEと20重量%のHDPEとの配合物であった。押出時、接着層110を、22マイクロインチ(0.559ミクロン)の平均表面粗さ(Ra)を有する艶消し冷却ロール上でキャストした。30マイクロインチ(0.762ミクロン)の平均表面粗さ(Ra)を有するエンボス・ニップ・ローラを使用して剥離層130へ表面テクスチャを提供した。
【0057】
ステンレス鋼および鏡面研磨シリコン・ウェーハ上に積層された実施例6および7のサンプルのそれぞれの接着強度(180°ピール力)を、型式Ta.xt Plusのテクスチャ分析器(Texture Technologies Corp.)を使用して測定した。1インチ幅の試料を、2kgローラで2回圧縮することによって各基材上で作製した。ピール力を、20分間の滞留時間後および1ケ月の滞留時間後に5mm/秒のピール速度で測定して初期接着強度および経時的な接着強度の増加を特徴付けた。サンプルを1ケ月間エージングさせた後のピール力値の初期ピール力値に対する比は、本明細書では「接着構築値」と称する。実施例6および7の接着強度試験の結果は以下の表Vに列挙する。
【0058】
【表5】
【0059】
これらの結果は、実施例7が実施例6よりもはるかに低いステンレス鋼に対する接着構築値を表したことを示し、これは望ましい可能性がある。理論に縛られることなく、実施例7のより低い接着構築値は、サンプルの接着層110におけるポリオレフィン・エラストマーのガラス転移温度(T)の差に起因する可能性があると仮定される。例えば、ENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーのTは約-32℃である一方で、ABSORTOMER(商標)EP-1001ポリオレフィン・エラストマーのTは約+30℃である。したがって、室温(約23℃)で、ABSORTOMER(商標)EP-1001ポリオレフィン・エラストマーは、接着層110内の剛体ドメインの形態であり得、これは経時的な過度の接着構築の防止に役立つ可能性がある。
【0060】
シリコン・ウェーハ上への潜在的な残留物移送について実施例6および7を試験するために、1インチ幅の試料を、ピール力測定のために上述したように鏡面研磨シリコン・ウェーハへ積層した。実施例6および7の試料の層間剥離後の研磨シリコン・ウェーハ上に残された微量の有機汚染物質を、化学分析用の電子分光法(ESCA)を使用して定量した。試料は、単色のAlKαX線源および45°へ設定された取り出し角を有するPHI Quantum2000走査型ESCAマイクロプローブの分析チャンバ内へ導入する直前に、層間剥離された。シリコン・ウェーハの層間剥離領域からの表面炭素原子比率Cd(%)を、ウェーハの非積層領域からの表面炭素原子比率Cn(%)と比較した。この差(ΔCd-n=C-C)を、フィルム試料によるウェーハの表面有機汚染として採取した。結果は、下記の表VIに列挙する。
【0061】
【表6】
【0062】
これらの結果は、実施例6および7の両方について、フィルムがシリコン・ウェーハ上に何ら残留物を残さず、シリコン・ウェーハから残留物を実際に除去した可能性があることを示す。
【実施例8】
【0063】
実施例8は、100μmの目標厚み、および12:76:12(すなわち、12μm/76μm/12μm)の接着層110、コア層120、および剥離層130との層厚比を有する多層キャリア・フィルム100のサンプルを、上述したような方法で押し出した。接着層110は、実施例7に使用したものと同じ配合物(すなわち、90重量%のKRATON(商標)MD1648水添スチレン・ブロック・コポリマーと10重量%のABSORTOMER(商標)EP-1001ポリオレフィン・エラストマーとの配合物)であった。コア層120は、実施例7に使用したものと同じ配合物(すなわち、50重量%のENGAGE(商標)8450ポリオレフィン・エラストマーと、25重量%のENGAGE(商標)8402ポリオレフィン・エラストマーと、25重量%のLDPEとの配合物)であり、剥離層130は、実施例7に使用したものと同じ配合物(すなわち、80重量%のLDPEと20重量%のHDPEとの配合物)であった。押出時には、接着層110を、22マイクロインチ(0.559ミクロン)の平均表面粗さ(Ra)を有する艶消し冷却ロール上にキャストした。30マイクロインチ(0.762ミクロン)の平均表面粗さ(Ra)を有するエンボス・ニップ・ローラを使用して剥離層130へ表面テクスチャを提供した。
【0064】
実施例6、7および8を、半導体ウェーハ処理に使用した2つの市販のフィルムと比較した。
【0065】
比較例Aは、PVCベース基材およびその一側のアクリル系接着層を有するUltron Systems,Inc.製のUltron 1009Rフィルムであった。全体のフィルム厚は70μmであり、接着層の厚さは10μmであった。
【0066】
比較例Bは、PVCベース基材、その一側のアクリル系接着層、およびPVCベース基材の反対側にシリコーン剥離コーティングを有する、日東電工株式会社製のNitto SWT 20+R半導体ウェーハ処理用テープであった。全体のフィルム厚は75μmであり、接着層の厚さは10μmであった。
【0067】
ステンレス鋼上および鏡面研磨シリコン・ウェーハ上に積層された実施例6~8および比較例AおよびBのサンプルの接着強度(180°ピール力)を、型式Ta.xt Plusのテクスチャ分析器(Texture Technologies Corp.)を使用して測定した。1インチ幅の試料を、2kgローラで2回圧縮することによって各基材上に作製した。ピール力を、室温での20分の滞留時間および1週間の滞留時間後に5mm/秒のピール速度で測定して初期接着強度および経時的な接着強度の増加を特徴付けた。また、サンプルを、鏡面研磨シリコン・ウェーハ上に積層し、60℃の温度へ1週間暴露した。接着構築値を、エージング後の各サンプルのピール力を初期ピール力値で割ることによって計算した。以下の表VIIは、ステンレス鋼へ積層し、室温で1週間エージングしたサンプルのピール力および接着構築値を列挙する。以下の表VIIIは、鏡面研磨シリコン・ウェーハへ積層し、室温で1週間エージングしたサンプルのピール力および接着構築値を列挙する。以下の表IXは、鏡面研磨シリコン・ウェーハへ積層し、60℃で1週間エージングしたサンプルのピール力および接着構築値を列挙する。
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】
【0070】
【表9】
【0071】
散逸監視を備えた水晶振動子マイクロバランス法(QCM-D)を使用して、フィルムからの残留物移動を測定した。実験は、基本共振周波数が5MHzである水晶振動子センサー(QSensor)を使用して、Biolin ScientificによるQSense分析器で行った。QSensorの周波数変化を時間の関数として測定し、センサー表面で質量変化へ変換した。QSenseオープン・モジュールおよびシリカコーティングされたQSensorをイソプロパノールですすぎ、続いて脱イオン水ですすぎ、次いで窒素で乾燥させた。QSensorを、有機汚染物質を除去するためにUVオゾン洗浄機において、さらに洗浄した。10mmの円形サンプルを、QSensor上へ適用し、センサー表面と5分間接触させた。サンプルを、次いで、PTFEピンセットを使用して注意深く除去した。すべての測定を23℃で行い、試験の結果は、以下の表Xに列挙する。
【0072】
【表10】
【0073】
残留物移動試験の結果は、実施例6、7および8のフィルムは、比較例のフィルムよりもはるかに少ない残留物を移送することを示し、これは望ましい。
【0074】
実施例6および8、ならびに比較例AおよびBのフィルムをさらに試験するために、シリコン・ウェーハ上への潜在的な残留物移動のために、フィルムの1インチ幅の試料を、ピール力測定のために上述したように鏡面研磨シリコン・ウェーハへ積層した。シリコン・ウェーハ上の各試料の滞留時間は1週間であった。試料の層間剥離後に研磨シリコン・ウェーハ上に残った微量の有機汚染物質を、化学分析用の電子分光法(ESCA)を使用して定量した。試料は、単色のAlKαX線源および45°へ設定された取り出し角を有するPHI Quantum2000走査型ESCAマイクロプローブの分析チャンバ内へ導入する直前に層間剥離された。シリコン・ウェーハの層間剥離領域からの表面炭素原子比率C(%)を、ブランク・ウェーハの表面炭素原子比率C(%)と比較した。この差(ΔCD-B=C-C)を、フィルム試料によるウェーハの表面有機汚染として採取した。結果は、以下の表XIに列挙する。
【0075】
【表11】
【0076】
表XIに列挙した結果は、実施例6および8のフィルムが比較例AおよびBに比べて残された表面有機汚染が少ないことを示し、これは望ましい。
【0077】
本明細書に記載される実施形態は、複数の可能な実施および実施例を表し、本開示を任意の特定の実施形態へ必ずしも限定することを意図するものではない。その代わりに、様々な変更がこれらの実施形態へなされることができ、本明細書に記載される様々な実施形態の異なる組合せが、明示的に記載されていなくても、当業者によって理解されるように、発明の一部として使用され得る。任意のそのような変更は、本開示の精神および範囲内に含まれることを意図し、以下の特許請求の範囲によって保護される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】