(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】組織をステープリングするためのシステム、装置、および関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550198
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(85)【翻訳文提出日】2022-08-22
(86)【国際出願番号】 US2021020256
(87)【国際公開番号】W WO2021178297
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】エステベス、ラモン
(72)【発明者】
【氏名】ベヌート、キャサリン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC23
4C160KL03
4C160MM32
4C160NN01
(57)【要約】
一態様によれば、組織締結装置は、複数の締結具を含むように構成された本体、本体に対して回動可能なアンビル、および組織切断装置を備えてもよい。本体は、組織切断装置を受け入れるように構成された長手方向チャネルを規定してもよい。組織締結装置は、本体に対して近位に移動して本体から複数の締結具を展開するように構成された締結具アクチュエータ、および組織切断装置ならびに締結具アクチュエータに結合された作動ワイヤをさらに備えてもよい。作動ワイヤの作動により、締結具アクチュエータに、複数の締結具のうちの少なくとも一つを組織切断装置によって切断された組織の遠位の組織の中へ展開させてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織締結装置であって、
複数の締結具を含むように構成された本体と、
前記本体に対して回動可能なアンビルと、
組織切断装置であって、前記本体は前記組織切断装置を受け入れるように構成された長手方向チャネルを規定する、組織切断装置と、
前記本体に対して近位に移動して前記本体から前記複数の締結具を展開するように構成された締結具アクチュエータと、
前記組織切断装置および前記締結具アクチュエータに結合された作動ワイヤであって、前記作動ワイヤの作動により、前記締結具アクチュエータに前記複数の締結具のうち少なくとも一つを、前記組織切断装置によって切断される組織の遠位の組織の中に展開させる、作動ワイヤとを備える組織締結装置。
【請求項2】
前記組織締結装置は、前記長手方向チャネルに対して遠位の締結具を展開するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記組織切断装置および前記締結具アクチュエータはU型構成要素であり、前記U型構成要素の脚は実質的に平行であって前記組織切断装置および前記締結具アクチュエータを備える、請求項1~2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記組織切断装置は前記締結具アクチュエータに対して遠位にある、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記組織切断装置および前記締結具アクチュエータは一体である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記本体は、1)前記組織切断装置が前記本体の中に存在して組織を切断不可能な未展開状態、および2)前記組織切断装置が前記本体の外に露出されて組織を切断可能な展開状態から前記組織切断装置を移行するように構成された斜面部分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
第一スペーサおよび第二スペーサをさらに含み、前記第一スペーサおよび前記第二スペーサの各々は前記本体の中に存在して締結具を展開するように構成され、前記第一スペーサは前記第二スペーサとは異なる高さを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記組織切断装置に組織を切断させる前に、前記作動ワイヤの作動により、前記締結具アクチュエータに前記複数の締結具のうちの少なくとも一つを展開させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記組織切断装置は前記長手方向チャネルに整列する弛緩位置に向かって付勢され、前記組織切断装置は前記組織切断装置が近位に移動するときに、前記本体内の緊張位置から部分的に前記本体の外側にある前記弛緩位置まで移行するように構成された、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記締結具アクチュエータは第一連結ワイヤを介して前記作動ワイヤに結合され、前記組織切断装置は第二連結ワイヤを介して前記作動ワイヤに結合され、前記組織切断装置は前記締結具アクチュエータに対して遠位にある、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記締結具アクチュエータは前記作動ワイヤに直接結合され、前記組織切断装置はカプラを介して前記作動ワイヤに移動可能に結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記組織切断装置は連結ワイヤを介して前記作動ワイヤに結合され、前記連結ワイヤはスプリング部分を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記スプリング部分はハウジングの中のスプリング付きコイルを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記締結具アクチュエータは前記作動ワイヤに直接結合され、前記作動ワイヤはスプリング部分を含み、前記組織切断装置は前記スプリング部分に対して近位の前記作動ワイヤの一部に移動可能に結合され、前記組織切断装置はカプラを介して前記作動ワイヤに結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記本体は前記組織切断装置および前記締結具アクチュエータを受け入れるように構成されたU型チャネルを含み、前記U型チャネルは前記長手方向チャネルに連結される、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、一般に、組織を可視化、格納、結合、および/または切断することを含む組織締結および組織切除に関する。例えば、本開示の実施形態は、他の態様の中でも、組織をステープリングおよび分離するためのシステム、装置、および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術開発は、ますます複雑になる手術を対象者に実施する能力を医療システムおよび装置および方法の使用者に与えている。例えば、対象者の胃腸管組織の連結は、難易度が上昇し得るタイプの手術である。対向する顎構造の間に組織を把持または保持し、その後、外科用締結具によって組織を接合する外科用装置は知られている。締結具は外科用ステープルを含む。いくつかの手術において、切断器具は、締結具によって接合されている組織を切断するために提供される。しかしながら、患者の体の腫瘍組織を取り除くために組織をステープリングおよび切断するときに、問題が生じることがある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、他のものの中でも、組織を締結し、および/または組織を切断するためのシステム、装置、および方法に関する。本明細書中に開示される態様の各々は、他の開示される態様のいずれかに関連して記述される特徴の一つ以上を含んでもよい。
【0004】
一態様によれば、組織締結装置は、複数の締結具を含むように構成された本体、本体に対して回動可能なアンビル、および組織切断装置を備えてもよい。本体は、組織切断装置を受け入れるように構成された長手方向チャネルを規定してもよい。組織締結装置は、本体に対して近位に移動して本体から複数の締結具を展開するように構成された締結具アクチュエータ、および組織切断装置ならびに締結具アクチュエータに結合された作動ワイヤをさらに備えてもよい。作動ワイヤの作動により、締結具アクチュエータに複数の締結具のうちの少なくとも一つを組織切断装置によって切断された組織の遠位の組織の中へ展開させてもよい。
【0005】
他の態様において、装置は以下の特徴のうち一つ以上を含んでもよい。組織締結装置は、長手方向チャネルに対して遠位の締結具を展開するように構成されてもよい。組織切断装置および締結具アクチュエータはU型構成要素でもよく、U型構成要素の脚は、実質的に平行であって組織切断装置および締結具アクチュエータを備えてもよい。組織切断装置は、締結具アクチュエータに対して遠位でもよい。組織切断装置および締結具アクチュエータは一体でもよい。本体は、1)組織切断装置が本体の中に存在して組織を切断不可能な未展開状態、および2)組織切断装置が本体の外に露出されて組織を切断可能な展開状態から組織切断装置を移行するように構成された斜面部分を含んでもよい。装置は第一スペーサおよび第二スペーサをさらに備えてもよく、第一スペーサおよび第二スペーサの各々は本体の中に存在して締結具を展開するように構成されてもよく、第一スペーサは第二スペーサとは異なる高さを有してもよい。
【0006】
他の態様において、装置は以下の特徴のうち一つ以上を含んでもよい。組織切断装置に組織を切断させる前に、作動ワイヤの作動により、締結具アクチュエータに複数の締結具のうちの少なくとも一つを展開させてもよい。組織切断装置は、長手方向チャネルに整列する弛緩位置に向かって付勢されてもよく、組織切断装置が近位に移動するときに、組織切断装置は本体内の緊張位置から部分的に本体外にある弛緩位置まで移行するように構成されてもよい。締結具アクチュエータは第一連結ワイヤを介して作動ワイヤに結合されてもよく、組織切断装置は第二連結ワイヤを介して作動ワイヤに結合されてもよく、組織切断装置は締結具アクチュエータに対して遠位に存在してもよい。締結具アクチュエータは作動ワイヤに直接結合されてもよく、組織切断装置はカプラを介して作動ワイヤに移動可能に結合されてもよい。組織切断装置は連結ワイヤを介して作動ワイヤに結合されてもよく、連結ワイヤはスプリング部分を含んでもよい。スプリング部分は、ハウジングの中のスプリング付きコイルを含んでもよい。締結具アクチュエータは作動ワイヤに直接結合されてもよく、作動ワイヤはスプリング部分を含んでもよく、組織切断装置はスプリング部分に対して近位の作動ワイヤの一部に移動可能に結合されてもよく、組織切断装置はカプラを介して作動ワイヤに結合してもよい。本体は、組織切断装置および締結アクチュエータを受け入れるように構成されたU型チャネルを含んでもよく、U型チャネルは長手方向チャネルに連結されてもよい。
【0007】
別の態様において、組織締結装置は、複数の締結具を含むように構成された本体、本体に対して回動可能なアンビル、および組織切断装置を備えてもよい。本体は、組織切断装置を受け入れるように構成された長手方向チャネルを規定してもよい。組織締結装置は、本体に対して近位に移動して本体から複数の締結具を展開するように構成された締結具アクチュエータ、および組織切断装置ならびに締結具アクチュエータに結合された作動ワイヤをさらに備えてもよい。作動ワイヤの作動により、組織切断装置に組織を切断させる前に、締結具アクチュエータに複数の締結具のうちの少なくとも一つを組織の中へ展開させてもよい。
【0008】
他の態様において、装置は以下の特徴のうち一つ以上を含んでもよい。長手方向チャネルは、組織を切断する位置において、複数の締結具のうちの最遠位の締結具の遠位に、組織切断装置を受け入れるように構成されてもよい。複数の締結具は締結具のラインを規定してもよく、ラインの最遠位部分は長手方向チャネルによって規定される切断ラインに対して遠位である。
【0009】
別の態様において、組織を締結する方法は、アンビルおよび本体を含む締結装置を患者内の標的箇所まで前進させることを含んでもよい。締結装置は開口形態および閉鎖形態を含んでもよく、アンビルの遠位端と本体の遠位端との間の距離は、開口形態において、閉鎖形態におけるアンビルの遠位端と本体の遠位端との間の距離よりも大きくてもよい。方法は、アンビルおよび本体を開口形態から閉鎖形態まで移動すること、および、作動ワイヤを近位に引いて締結具アクチュエータおよび組織切断装置を本体内で近位方向に同時に移動させて、締結具アクチュエータに、少なくとも一つの締結具を組織切断装置によって切断する組織の遠位の組織の中へ展開させることをさらに含んでもよい。
【0010】
いくつかの例において、方法はまた、1)組織切断装置が本体の中に配置されて組織を切断不可能な第一状態から、2)組織切断装置が本体の外に露出されて組織を切断可能な第二状態へと組織切断装置を移行することを含んでもよい。
【0011】
上述の一般的な記述および以下の詳細な記述は両方とも典型的かつ説明のためのみであり、特許請求されるものとしての発明を制限するものではないことが理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書の一部に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の典型的な態様を示し、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【
図1】本開示の態様に従った、典型的な外科用システムの斜視図である。
【
図2】本開示の態様に従った、使用者によって装置の中に挿入される構成要素を含む典型的な医療装置の斜視図である。
【
図3】本開示の態様に従った、典型的な医療装置の一部の断面図である。
【
図4】本開示の態様に従った、典型的なステープラカートリッジの上面図である。
【
図5】本開示の態様に従った、典型的な医療装置の一部の斜視図である。
【
図6】本開示の態様に従った、典型的な医療装置の一部の前断面図である。
【
図7】本開示の態様に従った、典型的な医療装置の一部の側面図である。
【
図8】本開示の態様に従った、典型的な医療装置の一部の側面図である。
【
図9】本開示の態様に従った、典型的な医療装置の一部の側面図である。
【
図10】本開示の態様に従った、典型的な医療装置の一部の斜視図である。
【
図11A】本開示の態様に従った、典型的な医療装置の一部の形態である。
【
図11B】本開示の態様に従った、典型的な医療装置の一部の形態である。
【
図12A】本開示の態様に従った、典型的な医療装置の一部の正面断面図である。
【
図12B】本開示の態様に従った、典型的な医療装置の一部の正面断面図である。
【
図13】本開示の態様に従った、典型的な作動アセンブリの一部の斜視図である。
【
図14】本開示の態様に従った、典型的な作動アセンブリの一部の斜視図である。
【
図15】本開示の態様に従った、典型的な作動アセンブリの一部の斜視図である。
【
図16】本開示の態様に従った、典型的な作動アセンブリの一部の斜視図である。
【
図17】本開示の態様に従った、典型的な作動アセンブリの一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、他の態様の中でも、組織を結合、切断、および/または切除するためのシステム、装置、および方法に魅力がある。本開示の態様をこれから詳細に参照し、その例は添付の図面において示される。可能な限り、同一または類似の参照番号が図面を通して使用されて、同一または類似の部分を参照するであろう。用語「遠位の(distal)」は、患者の中に装置を導入するときに使用者から最も遠く離れた部分に言及する。反対に、用語「近位の(proximal)」は、患者の中に装置を設置するときに使用者から最も近い部分に言及する。用語「組織を合わせて結合する(coupling tissue together)」は、例えば、組織の二つの部分を合わせたてステープリング、固定、取り付け、締結、または他の方法で接合することに言及し得る。用語「締結具(fastener)」は、ステープル、クリップ、弾性帯、縫合、または当分野において知られた他の締結具を含んでもよい。本明細書に使用されるとき、用語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、またはその他にこれらが変化したものは、非排他的に含有物をカバーすることを意図されているため、要素のリストを備えるプロセス、方法、項目、または機器はこれらの要素のみを必ずしも含むわけでないが、明示的に記載された他の要素またはこのようなプロセス、方法、項目、または機器に固有の他の要素を含んでもよい。用語「典型的な(exemplary)」は、「理想(ideal)」よりむしろ「例(example)」の意味において使用される。本明細書中に使用されるとき、用語「約(about)」、「実質的に(substantially)」、および「およそ(approximately)」は、記載値の+/-10%以内の値の範囲を示す。
【0014】
本開示の実施形態は、手術中に組織を合わせてステープリングすることにおける困難さに対処し得る。一つのこのような困難さは、組織から病変を取り除くことを含む。病変を取り除くために、使用者は病変の外縁の周辺の組織をステープリングすることがある。病変が非常に感染性であるとき、病変を含まない領域において組織を切断して感染性組織の拡散を回避することが重要である。
【0015】
しばしば、外科用ステープラは、複数のステープルを収納するためにステープルカートリッジを含む。ステープルがステープルカートリッジから駆動されるとき、アンビルはステープルの脚を形成するために表面を規定する。ステープリング操作はステープルに作用するアクチュエータによって影響を受けることがあり、アクチュエータを遠位方向に押してカートリッジからステープルを駆動することを含み得る。このような形態では、ステープラの近位端と遠位端とを連結するステープラの一部が湾曲しているために、アクチュエータを押すときに問題が生じることがあり、ステープラは長手方向に一直線の位置から回動または角度付けられたときにステープラを作動することが困難であることを使用者が理解することがある。本開示の実施形態は、外科用ステープラおよび関連装置に関する、これらの問題または他の問題に対処可能である。
【0016】
本開示の実施形態は、腔内空間の標的組織を視覚化、切断、切除、および/または合わせて結合するか、またはそれらのプロセスを容易にするために使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態は、組織ステープリング装置に組織切除装置を組み合わせる。組織ステープリング機器は、切除または切断機構(例えばインテグレートナイフ)およびステープリング機構(ステープラ)を含んでもよい。ステープリング機器は、標的組織箇所まで内視鏡ワーキングチャネルを通って標的組織に送達されてもよい。全体的なシステムは、組織ステープリング装置に向かって組織を引くために、組織クリップまたは把持具のような格納機構を含んでもよい。組織ステープリング装置および格納機構の全体または一部は、金属、プラスチック、形状記憶金属(例えばニチノール)、形状記憶ポリマー、ポリマー、または材料の任意の組み合わせでもよい。
【0017】
図1は、本開示の実施形態に従って、内視鏡150の遠位部、内視鏡150のワーキングチャネル156の中に配置された組織捕捉ツール152、および内視鏡150の別のワーキングチャネル157の中に配置された外科用機器100を示す。内視鏡150は、その遠位端にカメラ等のイメージングアセンブリを含んで患者の体の標的領域において外科用機器100を視覚化してもよい。外科用機器100は、体組織に係合し、複数の外科用締結具をそれに適用し、腹腔鏡手術または内視鏡手術等の最小限に侵襲的な外科手術の間に、締結された体組織において切開を形成するように構成された外科用ステープリング機器またはステープラ装置である。機器100は、外科用クリップまたは他の締結具を適用するために使用されてもよいが、装置の本体の一部に配置されたローディングユニット等のステープルカートリッジからステープルを適用するという状況において、主に記述されるであろう。
【0018】
図1に示されるように、外科用機器100は、ステープラ装置101、ワーキングチャネル157を通って延びる本体部分(図示なし)、および一つ以上のアクチュエータを含む近位部分(図示なし)を含んでもよい。いくつかの例において、ステープラ装置101は、ワーキングチャネル157を通って遠位方向に押されて外科用機器100の遠位端にステープラ装置101を配置してもよく、他の例において、ステープラ装置101は、ステープラ装置101の近位部分がワーキングチャネル157を通って移動されて外科用機器100の遠位端にステープラ装置101を配置するようにワーキングチャネルを通って逆送りされてもよい。本体部分は中に作動ワイヤを配置するために管腔を含んでもよく、作動ワイヤは、一つ以上のアクチュエータ(図示なし)を介してステープラ装置101を作動するか、または機器100の他のいずれかの部分を作動するように構成されてもよい。いくつかの例において、外科用機器100は、一つ以上のアクチュエータを含むハンドルアセンブリ(図示なし)を機器の近位部分に含んでもよい。外科用機器100およびその操作の様々な実施形態の詳細な記述は、2020年2月28日に出願された米国非仮特許出願番号第16/804,887号に記述され、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0019】
ステープラ装置101は、アンビル120およびカートリッジ122を含んでもよい。いくつかの例において、カートリッジ122はステープラ装置101の中に一体に形成されてもよい(
図1に示される)。アンビル120はカートリッジ122に回動可能または枢動可能に結合されてもよく、ステープラ装置101の遠位端に向かって遠位に延びてもよい。いくつかの例において、アンビル120は回動可能に付勢されてもよく、例えば、カートリッジ122から遠ざかるように付勢され、開口形態に付勢されてアンビル120の遠位部分とカートリッジ122の遠位部分との間に空間を作ってもよい。アンビル120は、アンビル120とカートリッジ122との間に組織を挟むように回動可能であってもよく、カートリッジ122から放出されたときにステープルが駆動され得るための表面を提供してもよい。
【0020】
カートリッジ122は、ステープル等の複数の外科用締結具を含んでもよく、
図3に示す作動スレッド341等の作動スレッドによって付与された駆動力の影響下にあるとき、締結具はカートリッジ122から展開されてもよい。カートリッジ122の中の、間隔を隔てた複数の長手方向スロット123は、ステープルがカートリッジ122を通過して組織を貫通することを許容する。いくつかの例において、作動スレッド341は、作動されたときに、カートリッジ122の遠位端から長手方向近位に移動し、カートリッジ122の中で締結具に(直接または間接的に)接触し、締結具を組織に連結するように長手方向スロット123を通して締結具を押す。いくつかの例において、単一の締結具が各スロット123を通って延びてもよい。各締結具は、展開前に部分的にスロット123の中に存在して、締結具とスロット123との整列の助けとなってもよい。いくつかの例において、二つの作動スレッド341が使用されて、カートリッジ122の中の締結具の二つの異なる長手方向の列を作動させてもよい。他の例において、単一の作動スレッド341が使用されて、例えば、カートリッジ122の中のスペーサ351(
図3に示される)を用いて締結具の二つの異なる長手方向の列を作動させてもよい。
【0021】
カートリッジ122はまた、長尺状の長手方向スロット124を含んでもよい。長尺状の長手方向スロット124は、ナイフブレード(例えば
図2に示すナイフ242)等の切除ツールを受け入れ、および/または支持するように構成されてもよい。長尺状の長手方向スロット124は、カートリッジ122の片側に配置されてもよく、カートリッジ122の近位端から遠位端まで長手方向に延びてもよい。いくつかの例において、間隔を隔てた長手方向スロット123の各々は、長尺状の長手方向スロット124の片側に配置されてもよい。アンビル120は、アンビル120が閉鎖形態にある(例えばアンビル120の遠位部分がカートリッジ122に接触するか、アンビル120とカートリッジ122との間に組織を挟むようにアンビル120が回動される)ときに、長尺状の長手方向スロット124に整列する、長手方向に配置された溝(図示なし)を含んでもよく、そのような溝は、ナイフ等の切除ツールまたは他の鋭利な切断ツールを長尺状の長手方向スロット124の中に受け入れるように構成されてもよい。切断ツールは、作動スレッド(例えば作動スレッド241または341)を移動する作動ワイヤから分離した追加の作動ワイヤを介して作動されてもよく、または、作動スレッドと同一の作動ワイヤを介して作動されて、作動スレッドおよび切断ツールの両方を同時に移動してもよい。例えば、ステープリング機構および切断機構は一体であってもよいため、作動スレッドの作動によって組織分離ツールが同様に作動される。
【0022】
図2は、着脱可能なカートリッジ223を受け入れるように構成されたステープラ装置201の実施形態の遠位部分を示す。カートリッジ223が本体221から取り除かれたとき、作動スレッド241およびナイフ242は(
図2に示されるように)目視可能でもよい。いくつかの例において、カートリッジ223が本体221のチャネル227の中に配置されたとき、作動スレッド241およびナイフ242はカートリッジ223の中に受け入れられてもよく、目視可能でなくてもよい。他の例において、作動スレッド241およびナイフ242はカートリッジ223の中に受け入れられてもよく、カートリッジ223が本体221の中に配置されたとき、例えばカートリッジ223のチャネルの外に延びることによって、目視可能でもよい。作動スレッド241およびナイフ242は、ステープラ装置201の近位部分まで延びる単一の作動ワイヤに結合されてもよいため、作動されたときに、作動スレッド241およびナイフ242は一体となって近位に移動する。作動スレッド241は近位に移動されて、例えばカートリッジ223の中のステープル等の締結具をカートリッジ中のスロット245の外に押して組織を合わせて締結するように構成されてもよい。作動スレッド241およびナイフ242は、カートリッジ223が本体221の中に最初に配置されるとき、カートリッジ223の遠位ポケットの中に使用者によって押圧されてもよい。
【0023】
作動スレッド241は、直接または間接的に、ステープルまたは他の締結具に係合して、組織を結合するためにカートリッジ223の中からスロット245を通って締結具を展開するように構成された斜面246を含んでもよい。いくつかの例において、斜面246は、本体221の長手方向軸線に対して45度、40度、35度、30度、25度、または他のあらゆる角度に角度付けされてもよい。斜面241は緩やかな角度であって、カートリッジ223の中に締結具を展開するためにより長い距離に亘って作動スレッド241を近位に移動することを必要としてもよい。緩やかな角度を有する作動スレッド241、長い斜面241を提供することによって、使用者は、作動スレッド241を近位に引いたときに複数の締結具に同時に係合させることができる。複数の締結具に同時に係合させることによって、いくつかの例において、複数のステープルは、同時に展開して組織を貫通することができる。さらに、例えば約30度以下の角度の緩やかに角度付けられた斜面246により、次の締結具に係合する前に作動スレッド241が締結具から解放することによって、ハンドルアセンブリの中のアクチュエータに断続的な力が付与されることを防止できる。連続してカートリッジ223の中の締結具に係合することによって、斜面246は、アクチュエータに付与されるより連続した力を提供することによって、手術の間、エラーを防止できる。いくつかの例において、作動スレッド241の斜面246は、カートリッジ223の中の二つ、三つ、四つ、またはより多くの締結具に同時に係合してもよい。作動スレッド241が近位に引かれて締結具を展開するとき、使用者は、押し出し機構に比べてより高い負荷を生成して締結具を展開してもよい。作動本体243は斜面246の近位部分から近位に延びてもよく、作動スレッド241は作動本体243によって引かれて締結具を展開してもよい。例えば、作動本体243は、ステープラ装置201の近位部分まで延びる作動ワイヤに結合されてもよい。いくつかの例において、ステープラ装置201は、二つの作動スレッド241、および同一の作動ワイヤに結合された二つの作動本体243を含んで、カートリッジ223の中の締結具の二つの分離した列に係合して締結具の列を展開してもよい。
【0024】
ナイフ242は作動スレッド241に類似の構造を有してもよく、組織を切断するための鋭利なエッジを含むフック状の遠位部分244を含んでもよい。ナイフ242は、カートリッジ223の長尺状の長手方向スロット245の中で長手方向に移動するように構成されてもよい。いくつかの例において、使用者がナイフ242を作動するとき、ナイフ242の一部はアンビル220の溝の中に延び、アンビル220の遠位端から近位端まで長手方向に溝の中で移動し、従って、カートリッジ223に亘って長手方向にナイフ242を移動させることによって、組織を切断する。
【0025】
使用者はステープラ装置201を使用して、例えば本体221とアンビル220との間等のステープラ装置201の活性領域の中にまず組織を配置することによって、一つ以上の締結具を組織に結合してもよい。一旦、組織がステープラ装置201の活性領域に配置されれば、使用者はステープラ装置201の近位部分においてアクチュエータを作動してもよく、その後に作動ワイヤを近位に移動して、アンビル220をステープラ装置の活性領域の中に配置された組織の上に閉鎖させてもよい。使用者はアンビル220を係合位置に保持し、それによって組織の上にステープラ装置の留め金を維持しつつ、使用者は作動本体243に結合された作動ワイヤを近位に移動させてもよい。作動ワイヤに結合された作動本体243を介して作動スレッド241が近位に移動されるとき、作動スレッド241の斜面246はカートリッジ222の中の締結具に係合し、組織を貫通するように(
図1における245のような)長手方向スレッドを通って締結具を押してもよい。締結具が作動スレッド241によって展開されるとき、締結具はその後に(例えば最終ステープル形態を形成するために)アンビル220に係合して組織の層を合わせて結合してもよい。いくつかの例において、使用者は作動スレッド241およびナイフ242の両方に結合された作動ワイヤを作動してもよく、作動スレッド241およびナイフ242の両方を同時に移動させて、一つ以上の締結具によって組織を貫通および締結の両方をして、組織を切断してもよい。
【0026】
使用者は、例えばカートリッジ122とアンビル120との間等のステープラ装置101の活性部分に、ステープリングのために組織を把持し、および組織を配置することを容易にするために、ステープラ装置101と組み合わせて組織捕捉ツール152を使用してもよい。組織捕捉ツール152は、遠位端部分154まで長手方向に延びる長尺状本体153を含んでもよい。いくつかの例において、組織捕捉ツール152の遠位端部分154は、閉鎖形態と開口形態との間を移動可能である一対の回動可能な顎156、157を含んでもよい。使用者は、組織補足ツール152の近位部分に存在するアクチュエータ(図示なし)を使用して顎156、157を作動し、組織の把持および解放を容易にするように顎156、157を開口および閉鎖してもよい。使用者は、
図1に示すように、ステープラ装置101が配置されたワーキングチャネル157から分離したワーキングチャネル156の中に組織捕捉ツール152を配置してもよい。他の例において、使用者はステープラ装置101と同一のワーキングチャネルの中に組織捕捉ツール152を配置して(図示なし)、アンビル120とカートリッジ122との間に組織を配置することを容易にしてもよい。
【0027】
図3は、本体321、アンビル320、締結具345を有するカートリッジ323、および作動本体343を有する作動スレッド341を含む典型的なステープラ装置301の拡大した断面図を示す。
図3におけるステープラ装置301は、組織349の中に展開する締結具345を示す。作動スレッド341はピストンすなわちスペーサ351に係合し、ピストンすなわちスペーサ351はその後に締結具345に係合して締結具345を展開する。作動スレッド341が近位方向Pに移動するとき、作動スレッド341はピストンすなわちスペーサ351に係合する。各ピストンすなわちスペーサ351は、カートリッジ323の中で移動するように構成されてもよく、一つの締結具のみに係合する大きさに形成されてもよい。他の例において、各ピストンすなわちスペーサ351は複数の締結具に係合する大きさに形成されてもよく、または、一つ以上のピストンすなわちスペーサ351は複数の締結具が複数の締結具に係合する大きさに形成される一方で、一つ以上の他のピストンすなわちスペーサ351が一つの締結具のみに係合する大きさに形成されてもよい。いくつかの例において、各スペーサ351はカートリッジ323の中のスロットの中に配置されて、スペーサ351の近位-遠位の移動を制限しつつ、近位-遠位方向に対して横断する移動を許容してもよい。作動スレッド341は、本体321の長手方向軸線に対して横断する方向に、各ピストンすなわちスペーサ351を移動させるように構成されてもよい。例えば、作動スレッド341および作動本体343は、作動ワイヤを介して近位に引かれてもよく、それによって、斜面346が移動されて一つ以上のピストンすなわちスペーサ351に接触し、一つ以上のピストンすなわちスペーサ351が押されてカートリッジ323から一つ以上の締結具345を展開してもよい。
【0028】
ピストンすなわちスペーサ351の各々は、それぞれ対応する締結具345の一部に整列し、および/またはそれぞれ対応する締結具345の一部と同一平面上の上部面を有してもよい。例えば、各締結具345はステープルであってもよく、各スペーサ351の上面に整列する中央の実質的に平らな部分を含む三つの実質的に平らな部分を含んでもよい。作動スレッドの斜面346がピストンすなわちスペーサ351の角に係合するとき、各ピストンすなわちスペーサ351は、一様に上方へ移動するために十分な剛性があってもよい。いくつかの例において、各ピストンすなわちスペーサ351はカートリッジ323に結合されてもよいため、カートリッジ323の長手方向軸線に沿った移動、あるいは
図3に示すような近位方向Pまたは遠位方向Dへの移動は妨げられる一方、カートリッジ323の長手方向軸線と垂直な方向の移動は許容される。カートリッジ323の中のピストンすなわちスペーサ351は、ステープル等の締結具345が部分的に展開することを防止でき、ステープルの近位部分が移動しないときにステープルの遠位部分が上方に移動することによって引き起こされる不適切なステープリングを回避し得る。締結具345に整列する平らな上面にスペーサ351を提供することによって、作動スレッド341の斜面342は近位に移動し、および各スペーサに係合することによって各締結具345を一様に上方へ押してもよい。
【0029】
作動スレッド341が、例えば作動機構を介してその近位端から近位に引かれて作動されるとき、作動スレッド341が近位方向に移動すれば、斜面346は、締結具345に(直接またはスペーサ351を介して間接的に)係合し、組織349に向かって締結具を移動して組織349を貫通するであろう。締結具345が作動スレッド341との係合を介して組織349を通って移動されるとき、締結具345の一部は、アンビル320との係合を介して互いに向かって押されてもよく、締結具を組織349の上に留めさせてもよい。
【0030】
図4は、締結具を受け入れるように構成された複数の長手方向スロット423およびナイフ242等の切除ツールを受け入れ、および/または支持するように構成された長尺状の長手方向スロット424を含む典型的なステープラカートリッジ422の上面図を示す。複数の長手方向スロット423のうちのいくつかは、切断ライン(または長尺状の長手方向スロット424から展開されるナイフ242によって作られるライン)を超えて延びる締結具のラインを提供する長尺状の長手方向スロット424に対して遠位の領域R(
図4に示される)の中に配置され、それによって、組織の二つの部分を合わせてステープリングするときに体液の漏出を防ぐことができる。例えば、領域Rは長尺状の長手方向スロット424の遠位端から遠位に約8mm(または他のあらゆる適切な距離)延びてもよい。カートリッジ422は、長尺状の長手方向スロット424の各側にスロット423の二つの列を含み、スロット423の一列のスロットと、隣接した列のスロット423とは長手方向にずらして配置されている。
【0031】
図5は、斜面部分562およびナイフ部分560を含む典型的な作動スレッド541の斜視図を示す。スレッド541の底部におけるベース部分564により、斜面部分562がナイフ部分560に連結されてもよく、作動ワイヤ543は、ベース部分564から作動スレッド541がその中に配置されるステープラ装置の近位端まで近位に延びてもよい。斜面部分562は、互いに異なる傾斜を有する複数の斜面566、567、568、569を含んでもよい。斜面部分562の互いに異なる部分における傾斜が変化することによって、カートリッジから締結具を展開するために付与される力の量が調整される。例えば、斜面566、567は、作動スレッド541が近位に引かれるときにカートリッジの中の締結具に付与される最初の大きな力を提供するために高い傾斜を有してもよく、斜面568、569は、作動スレッド541が近位に移動するときにカートリッジの中の締結具に付与される力の量を減少させるために斜面566、567に比べてより低い傾斜を有してもよい。ナイフ部分560は、組織を切断または分離するように構成された鋭利なエッジ561を含んでもよい。いくつかの例において、斜面562、ベース564およびナイフ560は一体であってもよく、他の例において、合わせて固定して結合された別個の構成要素でもよい。
【0032】
図6は、作動スレッド541を受け入れるように構成されたU型チャネル670を含む、カートリッジ622の中に配置された作動スレッド541の断面図を示す。
図6の断面図は、カートリッジ622の長さに沿った
図7における軸線Zにて示され、作動スレッド541はカートリッジ622の遠位端に配置される。チャネル670のステープリング部分663は、カートリッジ622の(長手方向スロット423等の)長手方向スロットと連通してもよく、チャネル670の切除部分661はカートリッジ622の(スロット424等の)長尺状の長手方向スロットと連通してもよい。チャネル670の連結部分665により、ステープリング部分663を切除部分661に連結してもよい。チャネル670は、カートリッジ622を通して近位方向および遠位方向に作動スレッド541がチャネル670を通って移動することを許容するように構成されてもよい。作動スレッド541は、単一の作動ワイヤ543の作動を介して締結具345の展開および組織の切断の両方のための手段を提供し得る。
【0033】
図7および
図8は、カートリッジ622の一部が取り除かれた状態のカートリッジ622の側面図を示し、チャネル670の切除部分661を示す。作動ワイヤ543は連結部分665を通って延びるように示され、ナイフ560はチャネル670の切除部分661の中に配置される。連結部分665は、近位-遠位方向に延びる湾曲した表面および/または傾斜した表面を含む斜面部分790を含んでもよい。斜面部分が近位に延びるに連れて、斜面部分790は中央長手方向軸線Aに向かって延びる表面を含んでもよい。斜面部分790は、カートリッジ622の中の未展開位置(
図7に示す)からナイフ部分560の一部がカートリッジ622から外側に延びる状態の展開位置(
図8に示す)までナイフ部分560を移行するように構成され、作動スレッド541が近位に引かれるときにナイフ部分560の一部がカートリッジ622の外側に露出されてもよい。斜面790は、作動スレッド541が近位に引かれて斜面790に亘って移動するとき、作動スレッド541がカートリッジ622の上面792に向かって上方へ移動するように、傾斜されてもよい。斜面790が遠位方向に延びるに連れて、斜面790がカートリッジ622の中央長手方向軸線Aから次第に遠ざかるように延びてもよい。斜面部分790の遠位にある連結部分665を規定する表面は、斜面部分790の近位の連結部分665の表面よりも上面792から遠くに存在する。
【0034】
図9は、カートリッジ922の一部が取り除かれた状態のカートリッジ922の側面図を示し、チャネル970のステープリング部分963を示す。カートリッジ922は斜面部分990を含んでもよく、カートリッジ622に対して上述された特徴のいずれかを有してもよい。作動スレッド941は未展開状態にてカートリッジ922の中に完全に示され、ステープラ装置の無傷先端を提供し得、作動スレッド941のナイフ部分(図示なし)はまた、(上述の
図7におけるように)露出されないため、患者の体を通るステープラ装置の移動の間に不要に組織を切断することを回避し得る。作動ワイヤ943は、近位に引かれて斜面部分990に亘って作動スレッド941を移動させてもよい。作動スレッド941の斜面部分962は、チャネル970の作動部分963の中に配置されて示される。ピストンすなわちスペーサ951、952は、
図3においてピストン/スペーサ351に対して前述された特性のいずれかを有してもよい。斜面990に対して遠位にあるスペーサ951は、斜面990に対して近位にあるスペーサ952に比べてより高くてもよく、チャネル970の斜面部分990に対して近位に配置されるときに作動スレッド941が締結具を展開することを許容する。これは、ナイフ部分(図示なし)が未展開(または完全にカートリッジ922の中に存在)でありながら、作動スレッド941の斜面部分962が締結具を展開することを許容する。スペーサ951はスペーサ952に対して遠位にあってもよく、スペーサ951の高さはスペーサ952の高さよりも大きくてもよい。いくつかの例(図示なし)において、作動スレッド941がカートリッジ922の斜面部分990に亘って移動するとき、カートリッジは複数の異なる高さを有するスペーサを含んで、ステープラを展開してもよい。作動スレッド941を使用してステープルを展開し、「ステープルライン」が「切断ライン」(に対して遠位)の前に開始することを許容するために、作動スレッド941のナイフ部分(図示なし)の展開の前に、少なくとも一つの締結具が展開される。
【0035】
図10は、ステープラ装置の中に組み込むことが可能な作動スレッド1041の別の例を示す。作動スレッド1041は、斜面部分1062、ナイフ部分1060、連結部分1064、および作動ワイヤ1043を含んでもよい。作動スレッド1041は、他の作動スレッド241、341、541、941に対して本明細書中に記述された特徴のいずれかを有してもよい。
図10に示すように、ナイフ部分1060は斜面部分1062から距離Aだけ長手方向にオフセットされてもよいため、斜面部分1062はナイフ部分1060に対して近位にある。距離Aは、ナイフ部分1060の最遠位表面と斜面部分1062の最遠位表面との間の距離を表す。例において、ナイフ部分1060の全てが斜面部分1062の全ての遠位にある。作動スレッド1041を斜面部分1062から長手方向にオフセットされたナイフ部分1060に提供することによって、ナイフ部分1060の展開の前に、締結具がカートリッジから展開されてもよい。また、作動スレッド1041を斜面部分1062から長手方向にオフセットされたナイフ部分1060に提供することによって、ステープルラインに近接して組織を切断する前に、ステープラ装置が組織を合わせて締結してもよい。
【0036】
図11A、
図11B、
図12A、および
図12Bは、ステープラ装置の中に組み込み可能な作動スレッド1141の代替実施形態を示す。作動スレッド1141は、斜面部分1162、ナイフ部分1160、連結部分1164、および作動ワイヤ1143を含んでもよい。作動スレッド1141は、他の作動スレッド241、341、541、941、1041に対して本明細書中に記述された特徴のいずれかを有してもよい。ナイフ部分1160は(カートリッジとアンビルとの間に空間を空けた組織に向かう方向、および離れる方向に可撓性を有する)可撓性でもよい。ナイフ部分1160は、ブレード部分1160が作動スレッド1141の中央長手方向軸線Cを横断し、かつ斜面部分1162に対しておよそ平行な方向に沿って上方へ延びる位置に向かって付勢されてもよい。ナイフ部分1160は連結部分1164に対して回動可能/枢動可能であってもよく、(
図11Aおよび
図12Aに示される)比較的平らにした状態へと回動するように構成されてもよく、解放されるときに、(
図11Bおよび
図12Bに示される)伸長位置に移行するように構成されてもよい。
【0037】
図11Aは、ナイフ部分1160を抑制(回動)された位置に保持するカートリッジ1180(破線)の一部の外形を示す。
図12Aは、
図11Aにおけるカートリッジ1180の一部の外形によって示された空洞を含むカートリッジ1180の一部の断面図を示す。ナイフ部分1160は、カートリッジ1180によってナイフ部分1160がカートリッジ1180の上面1192に向かって上方に移動することを防止する、
図12Aにおける抑制された位置に示される。カートリッジ1222のチャンバ1270は、ナイフ部分1160が抑制された位置にあるときにナイフ部分1160を受け入れるように構成されてもよく、チャンバ1270はナイフ部分1160を抑制された位置に保持して、ナイフ部分1160がカートリッジ1180から外側へ延びることを防止するように構成されてもよい。ナイフ部分1160がチャンバ1270によって抑制される一方、斜面部分1162は、作動スレッド1141がチャンバ1270を通って移動するときに締結具を展開して、カートリッジ1180の外側へナイフ部分1160を展開することなく作動スレッド1141が締結具を展開することを許容してもよい。
【0038】
図11Bおよび
図12Bは、ナイフ部分1160が上方かつ斜面部分1162に対して平行に延びる状態の展開位置にある作動スレッド1141を示す。展開位置において、ナイフ部分1160は、カートリッジ422の長尺状チャネル424に類似していてもよいカートリッジ1180の長尺状チャネル1261を通って延びるように構成されてもよい。ナイフ部分1160は展開位置に向かって付勢されてもよいため、使用者が作動スレッド1141を近位に移動させて作動スレッドを
図12Aに示す位置から
図12Bに示す位置まで移行させるときに、ナイフ部分1160は長尺状チャネル1261の中に移動してもよい。長尺状チャネル1261の最遠位端は、チャンバ1270の最遠位端に対して近位でもよい。
図12Bに示すように、ナイフ部分1160が展開状態へと移行するとき、ナイフ部分1160の一部はカートリッジ1180の外側に露出されて組織を切断してもよい。長尺状チャネル1261はナイフ部分1160に整列するように構成されてもよいため、一旦、作動スレッド1141が、チャンバ1270と長尺状チャネル1261とを連結するチャンバ1270の一部に配置されれば、ナイフ部分1160は長尺状チャネル1261の中に移動する。
【0039】
操作において、作動スレッド1141はカートリッジ1180の遠位端かつチャンバ1270の中に初めに配置されてもよいため、ナイフ部分1160は未展開状態にあり、ナイフ部分1160は、
図12Aに示すように、斜面部分1162よりも遠い作動スレッド1141の中央長手方向軸線Cから外側に放射状に延びない。使用者は作動ワイヤ1143を近位に引いて作動スレッド1141を近位に移動させてもよいため、作動スレッド1141は、チャンバ1270の、長尺状チャネル1261に連結された部分へと移動する。一旦、長尺状チャネル1261がナイフ部分1160に隣接する位置まで使用者が作動スレッド1141を引けば、作動スレッド1141は展開状態へと移行でき、ナイフ部分1160は長尺状チャネル1261の中で移動できる。ナイフ部分1160の一部は、
図12Bに示すように、カートリッジ1180の外側を移動して組織に係合してもよい。未展開状態から展開状態へ移行するときに、ナイフ部分1160はナイフ部分1160の長手方向軸線に沿って回動してもよい。作動スレッド1141は、本明細書中に記述されたステープラカートリッジのいずれかに組み込まれてもよいことに注意されたい。
【0040】
図13から
図17は、作動スレッド(例えば作動スレッド1360)およびナイフ(例えばナイフ1362)を単一の作動ワイヤ(例えば作動ワイヤ1343)に結合してステープルカートリッジからの締結具の作動および展開、および組織を切断するナイフの展開を許容するための様々な機構を示す。
図13から
図17に示される構成要素のいずれも、ステープラ装置に使用するための本明細書中に記述されたカートリッジのいずれかに組み込まれてもよい。
【0041】
図13は、第一連結ワイヤ1344および第二連結ワイヤ1346を介して作動ワイヤ1343に結合されたナイフ1362および作動スレッド1360を示す。第一連結ワイヤ1344は、連結ワイヤ1344の最遠位端にてナイフ1362に結合され、(分岐点1373に示される)最近位端にて作動ワイヤ1343に結合される。第二連結ワイヤ1346は、その最遠位端にて作動スレッド1360に結合され、(分岐点1373に示される)最近位端にて作動ワイヤ1343に結合される。第一連結ワイヤ1344の長さは第二連結ワイヤ1346の長さよりも長く、それによってナイフ1362が作動スレッド1360からオフセットされる距離X1が作られる。距離X1は、ナイフ1362が組織に係合する前に、作動スレッド1360が少なくとも一つの締結具を完全に展開することを許容するために十分に大きい距離でもよい。例えば、使用者が作動ワイヤ1343を近位に引くとき、ナイフ1362が組織に係合する前に、作動スレッド1360はカートリッジから少なくとも一つの締結具を展開してもよい。いくつかの例において、距離X1は約1~10mmでもよい。ナイフ1362が作動スレッド1360からオフセットされる距離X1により、作動スレッド1360による締結具の展開と組織に係合するナイフ1362の展開との間の遅延の量を制御できる。いくつかの例において、距離X1は約1~2mm、または他の任意の適切な距離でもよい。ナイフ1362は、展開の前にステープラ装置の中でキャップ、またはカートリッジの一部によってカバーされて、患者の体を通ってステープラ装置が移動する間におけるナイフ1362の組織への不要な係合を防止し得る。作動ワイヤ1343が近位に引かれるとき、作動スレッド1360はナイフ1362に先立ってステープラ装置のカートリッジの中で近位に移動するであろう。連結ワイヤ1344が作動スレッド1360に対して近位の位置において作動ワイヤ1343に結合されて示される一方、他の実施形態において、連結ワイヤ1344は作動スレッド1360に連結して、作動ワイヤ1343が作動スレッド1360を引き、作動スレッド1360がナイフ1362を引くための連結ワイヤ1344を引く鎖を形成してよい。作動スレッド1360およびナイフ1362は、ステープラ装置の中のカートリッジの二つの分離したチャネルの中で移動するように構成されてもよい。
【0042】
図14は、作動スレッド1460、ナイフ1462、および作動ワイヤ1443の代替実施形態を示す。作動ワイヤ1443は作動スレッド1460に直接結合されてもよく、ナイフ1462は作動ワイヤ1443に移動可能に結合された連結ワイヤ1446に結合されてもよい。いくつかの例において、連結ワイヤ1446はリングカプラ1477を介して作動ワイヤ1443に移動可能に結合されてもよい。リングカプラ1477は、作動ワイヤ1443の周りに延び、作動ワイヤ1443に沿って摺動するように構成された円形ワイヤでもよい。リングカプラ1477はワイヤまたは他の材料の円形リングを形成してもよく、その円形リングを通した作動ワイヤ1443の移動を許容する大きさに形成されてもよい。
【0043】
初めに、作動スレッド1460およびナイフ1462は、カートリッジの長手方向軸線に沿っておよそ同一位置において(幅寸法に沿って分離されるが)、ステープリング装置のカートリッジの中に配置されてもよい。使用者は作動ワイヤ1443を近位に引いて、締結具を展開するために作動スレッド1460を近位に移動させてもよい。使用者が初めに作動ワイヤ1443を近位に引くとき、リングカプラ1477は作動ワイヤ1443に沿って摺動してもよく、ナイフ1462は移動しなくてもよい。一旦、作動ワイヤ1443が距離X2だけ近位に移動すれば、リングカプラ1477は作動スレッド1460に隣接してもよく、作動スレッド1460によって、リングカプラ1477が作動ワイヤ1443および作動スレッド1460に対してさらに移動/摺動することが防止され得る。一旦、リングカプラ1477が作動スレッド1460に隣接し、および/または作動スレッド1460に接触すれば、ナイフ1462および連結ワイヤ1446は、作動ワイヤ1443の近位への移動を介して引かれ、ナイフ1462を展開してもよい。
【0044】
図15は、作動スレッド1560、ナイフ1562、および作動ワイヤ1543の別の実施形態を示す。作動スレッド1560、ナイフ1562、および作動ワイヤ1543は、作動スレッド1360、1460、ナイフ1362、1462、および作動ワイヤ1343、1443に対して本明細書中に記述された特徴のいずれかを有してもよい。作動スレッド1560は、分岐点1573にて作動ワイヤ1543に固定して結合された連結ワイヤ1544に固定して結合される。ナイフ1562は、連結ワイヤ1546に固定して結合され、結合ワイヤ1546は、分岐点1573にて作動ワイヤ1543に固定して結合される。連結ワイヤ1546はスプリング部分1575を含み、スプリング部分1575は、ナイフ1562を引くために適切な量の力を提供する前に伸張するように構成されてもよい。スプリング部分1575は、収縮位置に向かって付勢されてもよい。スプリング部分1575は、作動スレッド1560がナイフ1562からオフセットされる距離でよい第一距離を伸張するように構成されてもよい。使用者が作動ワイヤ1543を近位に引くとき、作動スレッド1560
は近位に移動してもよく、スプリング部分1575は伸張しつつ、ナイフ1562は、ナイフ1562とナイフ1562がその中に配置されたカートリッジとの間の摩擦力によって静止のままでもよい。スプリング部分1575が最大伸張状態まで伸張されるとき、スプリング部分1575はその後にナイフ1562を引くとともにナイフ1562とナイフ1562がその中に配置されるカートリッジとの間の摩擦力に打ち勝つために十分な力を提供してもよい。一旦、スプリング部分1575がナイフ1562を引くために十分な力を提供する状態まで伸張されれば、使用者が作動ワイヤ1543を近位に引くことによって、ナイフ1562および作動スレッド1560は同時に引かれてもよい。
【0045】
図16は、作動スレッド1660、ナイフ1662、および作動ワイヤ1643の別の実施形態を示す。作動スレッド1660、ナイフ1662、および作動ワイヤ1643は、作動スレッド1360、1460、1560、ナイフ1362、1462、1562、および作動ワイヤ1343、1443、1543に対して本明細書中に記述された特徴のいずれかを有してもよい。ナイフ1662は、連結ワイヤ1646を介して作動ワイヤ1643に結合されてもよい。連結ワイヤ1646はリングカプラ1673を介して作動ワイヤ1643に移動可能に結合されてもよく、リングカプラ1673は上述のリングカプラ1477の特徴のいずれかを有してもよい。作動スレッド1660は連結ワイヤ1644に固定して結合されてもよく、連結ワイヤ1644はスプリング部分1675を含んでもよい。スプリング部分1675はスプリング部分1575に関して上述された特徴のいずれかを有してもよく、スプリング部分1675は作動ワイヤ1643に固定して結合されてもよい。作動ワイヤ1643が近位に引かれるとき、リングカプラ1673がスプリング部分1675の近位端に接触するまで、リングカプラ1673は作動ワイヤ1643に沿って移動してもよい。一旦、リングカプラ1673がスプリング部分1675に接触すれば、スプリング部分1675が作動スレッド1660およびナイフ1662を近位に押すために十分な力を提供できるまで、スプリング部分1675は圧縮してもよい。いくつかの例において、使用者が作動ワイヤ1643を近位に引くとき、スプリング部分1675は、作動スレッド1660およびナイフ1662を近位に引くために十分な力を提供するように完全につぶされなければならない。
【0046】
操作において、スプリング部分1675が作動スレッド1660を引くために十分な力を提供するまで、使用者はスプリング部分1675を最初に伸張させるであろう作動ワイヤ1643を近位に引く。使用者が作動ワイヤ1643を近位に引き続けるとき、作動スレッド1660が近位に移動してもよく、リングカプラ1673がスプリング部分1675に接触するまで、リングカプラ1673は作動ワイヤ1643に沿って移動してもよい。一旦、リングカプラ1673がスプリング部分1675に接触すれば、スプリング部分1675は、ナイフ1662とナイフ1662がその中に配置されるカートリッジとの間の摩擦力により、ナイフ1662および連結ワイヤ1646によって付与される追加の力に起因してさらに圧縮してもよい。一旦、作動スレッド1660およびナイフ1662の両方を引く(および作動スレッド1660とカートリッジとの間の摩擦力、ならびにナイフ1662とカートリッジとの間の摩擦力に打ち勝つ)ために十分な力を提供できる位置までスプリング部分1675が圧縮されれば、作動スレッド1660およびナイフ1662の両方がカートリッジを通って近位に移動し得る。
【0047】
図17は、作動スレッド1760、ナイフ1762、および作動ワイヤ1743の代替実施形態を示す。作動スレッド1760、ナイフ1762、および作動ワイヤ1743は、作動スレッド1360、1460、1560、1660、ナイフ1362、1462、1562、1662、および作動ワイヤ1343、1443、1543、1643に対して本明細書中に記述された特徴のいずれかを有してもよい。作動スレッド1760は、連結ワイヤ1746を介して作動ワイヤ1743に固定して結合されてもよい。ナイフ1762は、連結ワイヤ1745を介してハウジング1782、1783の中に含まれるスプリング付きコイル1781に結合されてもよい。スプリング付きコイル1781はハウジング1782、1783の中に含まれてもよく、連結ワイヤ1744に結合されてもよい。連結ワイヤ1744は、作動ワイヤ1743に固定して結合されてもよい。スプリング付きコイル1781は、作動ワイヤ1743を介して近位に引かれるときに、設定された距離をほどくように構成されてもよく、一旦、設定された距離がスプリング付きコイル1781からほどかれれば、スプリング付きコイル1781はナイフ1762を近位に引くために十分な力を提供できる。力がスプリング付きコイル1781に作用しないとき、スプリング付きコイル1781は、ハウジング1782、1783の中にそれ自身を巻きつけるように構成されてもよい(例えば、プスリング付きコイル1781がハウジング1782、1783の中に配置された巻きつけに向かって付勢される)。張力下にないときにそれ自体を巻きつけることによって、スプリング付きコイル1781は、カートリッジまたはステープラ装置の他の部分内で緩んでいる可能性のあるスプリング付きコイル1781および/または接続ワイヤ1744の過剰な長さが過度にねじれること、および/または装置の一部のもつれ/ロックする可能性を回避し得る。スプリング付きコイル1781は、ハウジング1782、1783の中の位置に向かって付勢されてもよい。
【0048】
操作において、ナイフ1762は、ナイフ1762がその中に配置されるカートリッジ(図示なし)との干渉による摩擦を介して初期位置に保持され得る。使用者は作動ワイヤ1743を近位に引いてもよく、それによって、作動スレッド1760が近位に引かれてもよい。作動スレッド1760が近位に移動するとき、作動スレッド1760はカートリッジから締結具を展開してもよい。作動スレッド1760が近位に移動して、カートリッジから少なくとも一つの締結具を展開する一方、スプリング付きコイルがそのほどける限界(または、ナイフ1762を近位に引く前にスプリング付きコイルがほどけ得る最大距離)に到達するまで、スプリング付きコイル1781はほどけ得る。一旦、スプリング付きコイル1781がそのほどける限界に到達すれば、使用者が作動ワイヤ1743を引くことによって、作動スレッド1760およびナイフ1762の両方が近位に移動され得る。ナイフ1762の近位への移動は、スプリング付きコイル1781がほどけた距離によって遅延され得る。
【0049】
図13~17に示される作動スレッドおよびナイフ作動アセンブリの各々は、本明細書中に記述されたステープラ装置のいずれかの中に組み込まれてもよく、単一の作動ワイヤを使用して締結具展開機構および組織切除機構の両方を作動するための手段を提供してもよい。
【0050】
前述の機器および装置の各々は、組織を結合および/または切断するために使用されてもよい。いくつかの例において、使用者は内視鏡を患者の体の中に導入して標的エリアに向かって内視鏡を移動させてもよい。使用者は、イメージセンサ(例えばカメラ)を使用して標的エリアを直接可視化することによって、内視鏡を使用して対象者の体管腔の中に存在する標的エリア(例えば腫瘍または他の病気組織)を突き止めてもよい。一旦、使用者が内視鏡の遠位端を標的エリアに対して近位に配置すれば、組織捕捉ツールが依然として存在しないならば、使用者は組織捕捉ツールを内視鏡のワーキングチャネルの中に配置可能である。内視鏡の遠位端が標的エリアに配置されるとき、使用者はステープラ装置を、ステープラのアンビルと本体との間に空間を作る開口位置へと作動してもよい。使用者はその後に組織捕捉ツールを標的エリアへと導入し、ステープラ装置のアンビルと本体との間の空間等のステープラ装置の活性部分の間またはステープラ装置の活性部分の近くに組織捕捉ツールを配置してもよい。使用者はその後、組織捕捉ツールによって組織を把持し、ステープラ装置の活性部分の中へ組織を移動させてもよい。一旦、組織がステープラ装置の活性部分の中に配置されれば、使用者はステープラ装置のアンビルおよび本体を閉鎖位置へと移動させて、ステープラ装置によって把持された組織を締め付けてもよい。使用者はその後に作動ワイヤを引き寄せるためにアクチュエータを作動してもよく、従って、ステープラ装置の作動スレッドを近位に移動させる。アクチュエータを介して作動スレッドを近位に移動させることによって、使用者は締め付けられた組織の中およびステープラ装置のアンビルに対して締結具を展開できる。いくつかの例において、使用者は、同一の作動ワイヤを介してステープラ装置の中のナイフを同時に作動して、締結具によって組織を合わせて締結した後に標的組織の一部を切断してもよい。
【0051】
組織切除装置を適用する(例えばナイフによる組織の切断)前にステープラ装置を使用して組織を合わせて締結するための手段を提供することによって、使用者は、患者の体から組織を除去したりポリープを取り除いたりするときに引き起こされる体液の不要な漏出を避けることができる。例えば、使用者は、ポリープの周りの組織を最初にステープリングしてポリープの周りの健康な組織の封止部を形成し、その後に封止部に隣接する組織を切断してもよい。
【0052】
組織をステープリングする特徴および組織を切断する特徴等のステープラ器具の複数の特徴を、単一の作動ワイヤを使用して同時に作動させ得るステープラ器具を提供することによって、ステープラ器具の大きさは減少され得、内視鏡または他の医療装置と併用するステープラ器具の操作を容易にし得る。
【0053】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示された装置および方法において様々な修正および変更がなされ得ることは、当業者にとって明らかであろう。本開示の他の態様は、明細書および本明細書中に開示された特徴の実施を検討すれば、当業者にとって明らかであろう。明細書および例は、典型的なものとしてみなされることのみを意図される。
【国際調査報告】