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特表2023-516589医薬療法システム及びこれを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】医薬療法システム及びこれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
A61B17/22 528
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550876
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2021019703
(87)【国際公開番号】W WO2021173856
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/981,649
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バーク、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】タック、ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM43
4C160NN01
(57)【要約】
医療装置は、ルーメンと遠位部とを画定するシャフトを含む。遠位部は、ルーメンと流体連通する側面開口部を画定する。医療装置は、シャフトの遠位部に結合され、側面開口部に被さる装置を含む。装置は、圧縮状態から拡張状態に側方外側に拡張するように構成された拡張可能部材を含む。拡張可能部材は、流体が拡張可能部材を通り、側面開口部に流れることを可能にするように構成される。装置は、拘束装置を含む。拘束装置は、拡張可能部材と接触して配置され、拡張可能部材に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成される。拡張可能部材は、拘束装置が第1の位置にあるときに圧縮状態にあり、拡張可能部材は、拘束装置が第2の位置にあるときに拡張状態にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
該医療装置は、ルーメンと遠位部とを画定するシャフトを備え、前記遠位部は、前記ルーメンと流体連通する側面開口部を画定し、
該医療装置は、前記シャフトの前記遠位部に結合されるとともに前記側面開口部に被さる装置を備え、該装置は、
圧縮状態から拡張状態に側方外側に拡張するように構成されるとともに、流体が通り、かつ、前記側面開口部に流れることを可能にするように構成される、拡張可能部材と、
前記拡張可能部材と接触して配置され、前記拡張可能部材に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成される拘束装置と
を含み、
前記拡張可能部材は、前記拘束装置が前記第1の位置にあるときには前記圧縮状態にあり、前記拡張可能部材は、前記拘束装置が前記第2の位置にあるときには前記拡張状態にある、医療装置。
【請求項2】
前記拘束装置は、前記シャフトに被さって配置された外側チューブを含み、前記拡張可能部材は、前記外側チューブが前記第1の位置にあるときに、前記シャフトと前記外側チューブとの間に囲まれる、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記拘束装置は、前記拘束装置が前記第1の位置にあるときに、前記拡張可能部材に対して拘束力を加え、前記拘束力は、前記拘束装置が前記第2の位置にあるときに、除去される、請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記拘束装置は、前記シャフトの前記ルーメン内に配置された内側チューブを含むとともに、前記シャフトの遠位端の遠位に延びる遠位先端を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項5】
前記遠位先端の近位部は、前記拡張可能部材の遠位部に結合されている、請求項4に記載の医療装置。
【請求項6】
前記内側チューブに対して近位の力が加わることにより、前記拡張可能部材が長手方向に短縮し、側方外側に拡張する、請求項4又は5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記シャフトは、スロットを含み、該スロットは、前記シャフトの前記遠位部に近接し、前記シャフトの前記ルーメンへと延び、
前記拘束装置は、前記スロットを通して前記シャフトの前記ルーメンから外側に延びる糸を含み、前記糸は、前記遠位部に取り付けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項8】
前記糸の近位部は前記ルーメン内に延びるとともに、前記糸の遠位部は、前記シャフトの前記遠位部の外部表面に被さって配置され、前記拡張可能部材の周りに延びる、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記糸の前記遠位部は、前記糸を前記拡張可能部材に結合する1つ以上のノットを含み、
前記1つ以上のノットは、前記糸に近位の力が加えられたことに応答して、壊れ又はほどけるように構成される、請求項8に記載の医療装置。
【請求項10】
ロック機構を更に含み、該ロック機構は、前記拘束装置を前記拡張可能部材に対して固定し、それによって前記拘束装置を前記第1の位置又は前記第2の位置の少なくとも1つに維持するとともに、前記拡張可能部材を前記拡張状態又は前記圧縮状態の少なくとも1つに維持するように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項11】
前記ルーメンと流体連通する圧力源を更に含み、前記圧力源は、前記遠位部に隣接する位置にある流体が前記拡張可能部材を通って前記ルーメンに引き込まれるように、前記側面開口部を通して前記シャフトの前記遠位部に吸引を発生させるように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項12】
前記拡張可能部材は、複数の繊維を含む多孔質体を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項13】
前記拡張可能部材は、前記圧縮状態よりも前記拡張状態においてより大きな直径を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項14】
前記側面開口部は、前記シャフト内に延びる複数の側面開口部のうちの1つである、請求項1~13のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項15】
前記拡張可能部材は、前記拡張可能部材の全長に沿って前記シャフトに固定されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、全般的に、医療真空療法システム、医療真空療法装置、及び関連方法に関する。本開示の例は、数ある態様の中でもとりわけ、患者内の標的部位中に陰圧を発生させることによって、患者内の標的部位から物質を除去するためのシステム、装置、及び関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸(GI)管の内視鏡及び開腹外科的処置には、例えば、とりわけ、大腸切除術、肥満症手術、食道切除術、胃バイパス、及びスリーブ状胃切除術が含まれる。これらの処置は、穿孔、術後漏出、又は管の他の創傷を生じさせる可能性がある。このような創傷の管理には限られた治療選択肢しか存在せず、罹患率及び死亡率は顕著である。選択肢としては、外科的再手術及びステント又はクリップの内視鏡による留置が挙げられる。手術は比較的侵襲性であり、罹患率及び死亡率も高い。内視鏡ステント留置術は、より低侵襲性の選択肢である。しかしながら、配置されたステントは、意図した位置から移動し、及び/又は治療部位の感染を被包化し、ドレナージを阻害する可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、数ある態様の中でもとりわけ、拡張可能部材による陰圧を使用して標的治療部位を治療するための、とりわけ、システム、装置、及び方法に関する。本明細書に開示される各態様は、開示される他の態様のいずれかと関連して記載される特徴の1つ以上を含み得る。
【0004】
一例によれば、医療装置は、ルーメンと遠位部とを画定するシャフトを含む。該シャフトは、遠位部は、ルーメンと流体連通する側面開口部を画定する。医療装置は、シャフトの遠位部に結合され、側面開口部に被さる装置を含む。該装置は、圧縮状態から拡張状態に側方外側に拡張するように構成されるとともに、流体が拡張可能部材を通り、かつ、側面開口部に流れることを可能にするように構成される、拡張可能部材を含む。該装置は、拡張可能部材と接触して配置され、拡張可能部材に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成される拘束装置を含む。拡張可能部材は、拘束装置が第1の位置にあるときに圧縮状態にあり、拡張可能部材は、拘束装置が第2の位置にあるときに拡張状態にある。
【0005】
本明細書に記載される医療装置のいずれも、以下の特徴の1つ以上を含み得る。拘束装置は、シャフトに被さって配置された外側チューブを含み、拡張可能部材は、外側チューブが第1の位置にあるときに、シャフトと外側チューブとの間に囲まれる。拘束装置は、拘束装置が第1の位置にあるときに、拡張可能部材に対して拘束力を加え、拘束力は、拘束装置が第2の位置にあるときに、除去される。拘束装置は、シャフトのルーメン内に配置された内側チューブを含むとともに、シャフトの遠位端の遠位に延びる遠位先端を含む。遠位先端の近位部は、拡張可能部材の遠位部に結合されている。内側チューブに対して近位の力が加わることにより、拡張可能部材が長手方向に短縮し、側方外側に拡張する。シャフトは、スロットを含み、該スロットは、シャフトの遠位部に近接し、シャフトのルーメンへと延びる。拘束装置は、スロットを通してシャフトのルーメンから外側に延びる糸を含み、糸は、遠位部に取り付けられている。糸の近位部はルーメン内に延びるとともに、糸の遠位部は、シャフトの遠位部の外部表面に被さって配置され、拡張可能部材の周りに延びる。糸の遠位部は、糸を拡張可能部材に結合する1つ以上のノットを含む。1つ以上のノットは、糸に近位の力が加えられたことに応答して、壊れ又はほどけるように構成される。ロック機構を更に含み、該ロック機構は、拘束装置を拡張可能部材に対して固定し、それによって拘束装置を第1の位置又は第2の位置の少なくとも1つに維持するとともに、拡張可能部材を拡張状態又は圧縮状態の少なくとも1つに維持するように構成される。ルーメンと流体連通する圧力源を更に含む。圧力源は、遠位部に隣接する位置にある流体が拡張可能部材を通ってルーメンに引き込まれるように、側面開口部を通してシャフトの遠位部に吸引を発生させるように構成される。拡張可能部材は、複数の繊維を含む多孔質体を含む。拡張可能部材は、圧縮状態よりも拡張状態においてより大きな直径を有する。拡張可能部材は、拡張可能部材の全長に沿ってシャフトに固定されている。
【0006】
別の例によれば、医療装置は、長手方向軸線に沿ってルーメンを画定するシャフトを含み、シャフトは、シャフトの外部表面内に少なくとも1つの開口部を含む。少なくとも1つの開口部はルーメンと流体連通する。医療装置は、シャフトの少なくとも1つの開口部上に配置され、長手方向軸線に対して側方外側に拡張するように構成される多孔質体を含む。医療装置は、多孔質体に対して係合し、多孔質体に対して移動可能な拘束部材を含み、拘束部材は、多孔質体に対して束縛力を加えるように構成される。拘束部材が多孔質体を圧縮状態から拡張状態に移行させた後、シャフトは、開口部及び多孔質体を通してルーメンに流体を受け入れるように構成される。
【0007】
本明細書に記載される医療装置のいずれも、以下の特徴の1つ以上を含み得る。多孔質体は、拡張状態のときよりも圧縮状態のときに、長手方向軸線の周りにより小さな断面直径を有する。多孔質体は、多孔質体内における流体の通過を可能にする空隙率を有するスポンジである。
【0008】
別の例によれば、医療装置によって流体を引き出す方法であって、医療装置は、シャフトと、シャフトに沿って配置された拡張可能な多孔質体と、拡張可能な多孔質体と接触する拘束装置とを含む、方法であって、シャフトの周りでの拡張可能な多孔質体の拡張を可能にするために、拡張可能な多孔質体に対して拘束装置を移動させることを含む。方法は、シャフトを通して吸引を加えることと、拡張可能な多孔質体を通して、及び拡張可能な多孔質体とシャフトとの間に配置された1つ以上の開口部を通して、シャフトに流体を引き出すこととを含む。
【0009】
前述の概要及び以下の発明を実施するための形態の両方は、単なる例示及び説明であり、請求される本発明を限定するものではないことは理解され得る。
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成す添付の図面は、本開示の例示的な態様を示し、明細書とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の態様による、外側チューブと内側チューブとを含む例示的な医療システムの斜視図。
図2A】本開示の態様による、内側チューブが吸収装置を含む、図1の外側チューブ内に配置された内側チューブの断面側面図。
図2B】本開示の態様による、吸収装置が拡張状態にある、図1の外側チューブから延出する内側チューブの断面側面図。
図3】本開示の態様による、対象者の標的部位に配置された図1の外側チューブの概略図。
図4A】本開示の態様による、吸収装置を含む別の例示的な外側チューブ内に配置された図1の内側チューブの断面側面図。
図4B】本開示の態様による、吸収装置が拡張状態にある、内側チューブに対して移動する図4Aの外側チューブの断面側面図。
図5】本開示の態様による、拘束装置と圧縮状態にある吸収部材とを含む別の例示的な内側チューブの部分斜視図。
図6】本開示の態様による、拘束装置と拡張状態にある吸収部材とを有する図5の内側チューブの部分斜視図。
図7A】本開示の態様による、拘束装置と圧縮状態にある吸収部材とを有する図5の内側チューブの断面側面図。
図7B】本開示の態様による、拘束装置と拡張状態にある吸収部材とを有する図5の内側チューブの断面側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
管腔内真空療法(EVAC:endoluminal vacuum therapy)が提案されている。EVACでは、例えば、末端部にスポンジを有する経鼻胃チューブを通して胃腸管内の創傷部位に陰圧が送達される。スポンジは、穿孔、漏出、又は他の創傷に内視鏡的に配置される。その後、陰圧が加えられる。しかしながら、EVACに適した装置及びシステムは限定されている。
【0012】
本開示の例は、対象者(例えば患者)内の標的部位内で陰圧を発生させることにより対象者(例えば患者)内の標的部位から物質を除去するためのシステム、装置、及び方法を含む。本開示の実施形態は、管腔内真空療法(EVAC)のための装置、システム、及び方法を含む。この例では、EVACは、穿孔、嚢胞、漏出、吻合部などを含む創傷部位への多孔質体、例えば、スポンジ又は他の同様の材料の管腔内配置を含む。材料の配置は、自然孔を通して胃腸管に挿入されたカテーテル、スコープ(内視鏡、気管支鏡、大腸内視鏡など)、チューブ、又はシースを介したものであり得る。孔は、例えば、鼻、口、又は肛門であり得、配置は、食道、胃、十二指腸、大腸、又は小腸を含む胃腸管のあらゆる部分内であり得る。配置はまた、胃腸管を介して到達可能な他の器官内であり得る。
【0013】
ここで、本開示の態様を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同一又は同様の部品を参照するために、図面を通して、同一又は類似の参照番号が使用される。「遠位」という用語は、装置を患者に導入する際に、使用者から最も遠くに離れた部分を指す。対照的に、「近位」という用語は、装置を対象者に配置する際に、使用者に最も近い部分を指す。本明細書で使用される場合、用語「備える/からなる(comprises)」、「備えている/からなる(comprising)」、又はその任意の他の変化形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置がこれらの要素のみを必ずしも含まず、明示的に挙げられていない又はそのようなプロセス、方法、物品、若しくは装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含を含むことを意図する。「例示的な」という用語は、「理想的」ではなくむしろ「例」の意味で使用される。本明細書で使用される場合、「約」、「実質的に」、及び「およそ」という用語は、記載の値の+/-10%以内の値の範囲を示す。
【0014】
本開示の例は、漏出が生じている標的部位を陰圧創傷療法によって治療するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態は、標的部位から任意の物質(例えば、流体、塊体など)を除去し、任意の漏出の周囲組織を乾燥させるために、送達チューブと多孔質体及び/又は吸収装置とを組み合わせる場合がある。多孔質体及び/又は吸収装置は、送達チューブの本体に沿って配置され、いくつかの例では、送達チューブのルーメンと流体連通され得る。多孔質体及び/又は吸収装置は、圧縮されたデフォルトの状態と拡張された作動状態との間で選択的に拡張可能であり得る。更に、多孔質体及び/又は吸収装置は、例えば、吸収装置上に配置されたアウタシース、ある長さの送達チューブ、並びに/又は多孔質体及び/若しくは吸収装置に結合された拘束装置を含む1つ以上の他の構成要素によって、圧縮されたデフォルトの状態に拘束され得る。多孔質装置及び/又は吸収装置は、拡張された作動状態にあるときに、標的部位内から物質を取り出すように構成され得る。
【0015】
本開示の例は、様々な医療処置を実施するための、及び/又は大腸(結腸)、小腸、盲腸、食道の一部、胃腸管の任意の他の部分、及び/又は任意の他の適切な患者の解剖学的構造(本明細書では「標的治療部位」と総称される)を治療するための装置及び方法に関し得る。本明細書に記載される様々な例は、単回使用又は使い捨ての医療装置を含む。ここで、上記の及び添付の図面に示される本開示の例を詳細に参照する。可能な限り、同一又は類似の部品を参照するために、図面を通して、同一の参照番号が使用される。
【0016】
図1は、本開示の一例による例示的な医療システム100の概略図を示す。医療システム100は、医療器具110と、医療装置130と、圧力調整器132と、収集容器136とを含み得る。医療器具110は、例えば医療装置130などの、医療システム100の1つ以上の構成要素の対象者(例えば患者)に対する位置決めを容易にするように構成され得る。実施形態において、医療器具110は、任意の種類の内視鏡、十二指腸内視鏡、胃鏡、大腸内視鏡、尿管鏡、気管支鏡、カテーテル、又は他の送達システムであり得、ハンドル112、作動機構114、少なくとも1つのポート116、及びシャフト120を含み得る。医療器具110のハンドル112は、医療システム100の1つ以上の他の構成要素のルーメンと連通する1つ以上のルーメン(図示せず)を有し得る。ハンドル112は、ハンドル112の1つ以上のルーメンに通じる少なくとも1つのポート116を更に含む。本明細書に更に詳細に記載されるように、少なくとも1つのポート116は、例えば医療システム100の医療装置130などの1つ以上の器具をその中に受け入れるような大きさ及び形状に作られる。
【0017】
医療器具110のシャフト120はチューブを含み得る。該チューブは、十分な可撓性を有しており、シャフト120は、対象者の蛇行した解剖学的構造に挿入され及び/又は通過して標的治療部位に至るときに、選択的に湾曲し、回転し、及び/又はねじれるように構成される。シャフト120は、その中に延びる、1つ以上のルーメン(図示せず)を有し得る。1つ以上のルーメン(図示せず)は、例えば、器具(例えば医療装置130)を受け入れるための作業用ルーメンを含む。他の例では、シャフト120は、1つ以上の遠位部品/ツール(例えば、関節ジョイント、剥離子など)を作動させるための1つ以上の制御ワイヤを受け入れるための制御ワイヤルーメン、流体を送達するための流体ルーメン、照明アセンブリ(図示せず)の少なくとも一部分を受け入れるための照明ルーメン、及び/又は撮像アセンブリ(図示せず)の少なくとも一部分を受け入れるための撮像ルーメンなどの追加のルーメンを含み得る。
【0018】
図1を更に参照すると、医療器具110は、シャフト120の遠位端にチップ122を更に含み得る。いくつかの実施形態では、チップ122は、シャフト120の遠位端に取り付けられ得、他の実施形態では、チップ122は、シャフト120と一体であり得る。例えば、チップ122は、シャフト120の遠位端を受け入れるように構成されたキャップを含み得る。チップ122は、シャフト120の1つ以上のルーメンと連通する1つ以上の開口部を画定し得る。例えば、チップ122は作業用開口部を含んでもよく、医療装置130は、作業用開口部を通って、シャフト120の作業用ルーメンから出ることができる。
【0019】
他の例では、シャフト120のチップ122は、追加的な及び/又はより少ない開口部を含み得る。該開口部は、例えば、シャフト120の流体ルーメンから流体を排出することができる流体開口部若しくはノズル、光が放出され得る照明開口部/窓、及び/又は画像を生成するために撮像装置によって使用される光を受け入れるための撮像開口部/窓などである。医療器具110の作動機構114は、ハンドル112上に配置されており、1つ以上のつまみ、ボタン、レバー、スイッチ、及び/又は他の適切なアクチュエータを含み得る。作動機構114は、シャフト120の偏向(例えば、制御ワイヤの作動による)、流体の送達、照明の放出、及び/又は様々な撮像機能のうちの少なくとも1つを制御するように構成される。
【0020】
図1を更に参照すると、医療システム100の医療装置130は、遠位端と近位端との間に延びる長手方向本体を有するカテーテル(例えば、マルチルーメンカテーテル)を含み得る。この例では、医療装置130は、内側チューブ140及び外側チューブ150を含み、内側チューブ140は外側チューブ150内に配置され、且つ外側チューブ150と同軸上に整合されている。この例では、内側チューブ140の長手方向本体142は、外側チューブ150の長手方向本体152よりも長い。例えば、いくつかの実施形態では、内側チューブ140の長手方向本体142は外側チューブ150の長手方向本体152の長さの2倍であり得るが、他の相対的な長さも考えられる(例えば、4倍、5倍、又はこれ以上)。
【0021】
医療装置130が、医療器具110の作業用ルーメン内に挿入されているときに湾曲し、回転し、及び/又はねじれるように構成されるように、長手方向本体142、152は可撓性を有する。本明細書に詳細に記載されるように、医療装置130は、内側チューブ140と外側チューブ150を互いに対して作動させるための、それぞれ近位端146、156に取り付けられ、近位端146、156に隣接する1つ以上のハブ148、158(図2A図2B)を含み得る。例えば、医療装置130のハブ148、158は、チューブ140、150の長手方向本体142、152を移動、回転、及び湾曲させるように、並びに/又はチューブ140、150を互いに対して移動させるように構成され得る。ハブ148は、内側チューブ140の長手方向本体142を制御するように構成され且つ作動可能であり得、ハブ158は、外側チューブ150の長手方向本体152を制御するように構成され且つ作動可能であり得る。
【0022】
図1を更に参照すると、近位端146は、長手方向本体142内に1つ以上のツールを受け入れるような大きさに作られた1つ以上のポート(図示せず)を画定し得る。内側チューブ140の近位端146は、内側チューブ140及び/又は外側チューブ150が収集容器136と流体連通することができるように、医療システム100の収集容器136に流体的に結合され得る。この例では、内側チューブ140のルーメンは、近位端146において収集容器136に流体的に結合され得る。医療システム100の収集容器136は、医療装置130から1つ以上の物質を受け入れるような大きさに作られ、そのような形状に作られ、そのように構成された空洞を画定し得る。本明細書により詳細に記載されるように、収集容器136は、医療装置130によって遠位端144で取り出された物質を格納するように構成され得る。
【0023】
医療システム100の収集容器136は、例えば圧力調整器132などの医療システム100の1つ以上の他の構成要素に流体的に結合され得る。この例では、圧力調整器132は、圧力調整器132と収集容器136との間に配置された接続ポート134を介して収集容器136と流体連通し得る。圧力調整器132は、医療システム100内に陰圧を生成するように構成され且つ作動可能であり得る。この例では、圧力調整器132(例えば加圧シリンダ)は、収集容器136を介して医療システム100内に真空を形成することができる。内側チューブ140のルーメン及び遠位端144は、内側チューブ140の近位端146を通して加圧され得る。本明細書により詳細に記載されるように、圧力調整器132は、遠位端144に隣接し及び/又は遠位端144の外部にある1つ以上の物質(例えば流体)を、内側チューブ140を通して収集容器136に取り出すために、医療装置130内に圧力変化を発生させることができる。
【0024】
医療器具110は、少なくとも1つのポート116を介して、作業用ルーメンを経由してシャフト120を通りチップ122の作業用開口部に至る医療装置130を受け入れるように構成される。この例では、以下で更に詳細に記載されるように、医療装置130は、チップ122の作業用開口部から遠位に延出し得るとともに、例えば対象者の標的治療部位などのチップ122を取り囲む外部環境に延び得る。外側チューブ150は、シャフト120の作業用ルーメンを通る医療装置130の長手方向本体の移動に応答して、チップ122の作業用開口部から遠位に延び得る。
【0025】
加えて、医療装置130の内側チューブ140は外側チューブ150のルーメン内に配置されており、それによって、シャフト120の作業用ルーメンを通る医療装置130の動きに応答して、外側チューブ150とともにチップ122の作業用開口部から遠位に延出し得る(すなわち、チューブ140、150は同時に移動し得る)。この例では、内側チューブ140は、内側チューブ140の遠位端144が外側チューブ150の遠位端154に対して近位に配置されるように、外側チューブ150のルーメン内に配置され得ると理解されるべきである。
【0026】
図1を更に参照すると、医療装置130は、内側チューブ140の遠位端144に装置を更に含み得る。この例では、医療装置130の装置は、拡張可能部材160を含み得る。拡張可能部材160は、内側チューブ140の遠位端144に配置され得る、及び/又は内側チューブ140の遠位端144に対して遠位に延び得る。いくつかの実施形態では、拡張可能部材160は、内側チューブ140の遠位端144に結合された吸収装置を含み得る。この例では、拡張可能部材160は、内側チューブ140の長手方向本体142の側壁及び/又は外面に沿って配置され得る。
【0027】
他の実施形態では、拡張可能部材160は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の様々な内側チューブ140の表面及び/又は医療装置130の部分に沿って配置され得ると理解されるべきである。拡張可能部材160の大部分又は全体は、内側チューブ140の遠位端144の最遠位部の近位に配置され得る。他の実施形態では、拡張可能部材160の少なくとも一部分及び/又は全体は、内側チューブ140の遠位端144に対して遠位に延び得る。
【0028】
ここで図2Aを参照すると、拡張可能部材160は、複数の可撓性の及び/又は圧縮可能な繊維を含む多孔質体を含み得る。本開示の実施形態では、多孔質体は、スポンジ及び/又は発泡体を含み得る。該スポンジ及び/又は発泡体は、例えば医療システム100の圧力調整器132などからの陰圧によって液体を吸収すること及び/又は液体を通過させることが可能な任意の適切な生体適合性材料であり得る。拡張可能部材160の多孔質体(例えば、複数の繊維)の材料は、可撓性、圧縮性、多孔性、親水性、滅菌、及び/又は使い捨てであり得る。更に、多孔質体のスポンジ材料は、連続気泡発泡体であり得る。適切な材料としては、例えば、ポリウレタン、エステル、エーテル、複合材料、吸収ポリマー粉末、マイクロ/ナノ多孔性材料、及び任意の医療グレード材料が挙げられ得る。
【0029】
この例では、拡張可能部材160の多孔質体は、複数の繊維によって形成されたメッシュを画定し得る。この例では、拡張可能部材160は、選択的に拡張するように構成され且つ作動可能であり得る。換言すると、拡張可能部材160の容積容量は選択的に調整され得る。拡張可能部材160がスポンジ及び/又は発泡体を形成することにより、拡張可能部材160は、拡張可能部材160の多孔質体に1つ以上の物質(例えば流体)を通過及び/又は送達させるように構成され得ると理解されるべきである。
【0030】
図2Aを更に参照すると、上記のように、医療装置130は、チューブ140、150を手で把持して作動させるための1つ以上のハブ148、158(例えばハンドル)を含む。この例では、内側チューブ140は、長手方向本体142に沿った内側チューブ140の近位端146に及び/又は内側チューブ140の近位端146の近傍に近位ハブ148を含み得るとともに、外側チューブ150は、長手方向本体152に沿った外側チューブ150の近位端156に及び/又は外側チューブ150の近位端156の近傍に近位ハブ158を含み得る。この例では、チューブ140、150の近位ハブ148、158は、それぞれ、長手方向本体142、152に結合され得る。本明細書に更に記載されるように、近位ハブ148、158の1つ以上は、チューブ140、150を収集容器136及び/又は圧力調整器132に接続することができるルアーを含み得る。いくつかの実施形態では、近位ハブ148、158は、それぞれ、チューブ140、150の長手方向本体142、152から選択的に取り外し可能であり得る。例えば、内側チューブ140の近位ハブ148は、近位ハブ148が内側チューブ140から分離するように構成され得るように、長手方向本体142の近位端146に取り外し可能に結合され得る。
【0031】
この例では、内側チューブ140の長手方向本体142は、遠位端144と近位端146との間に延びるルーメン141を画定し得る。上で詳細に記載したように、内側チューブ140の近位端146は、内側チューブ140のルーメン141が収集容器136及び圧力調整器132に流体連通するように、近位ハブ148を介して収集容器136及び圧力調整器132に流体的に結合され得る。内側チューブ140の遠位端144は閉じており、それによって、その内部の長手方向本体142のルーメン141を終端させ得る。換言すると、いくつかの実施形態では、遠位端144を通して流体を運ぶことはできない。しかしながら、他の実施形態では、内側チューブ140の遠位端144は開いており、それによって、遠位端144を通して流体を運ぶことを可能にし得ることが想定される。
【0032】
更に、外側チューブ150の長手方向本体152は、外側チューブ150の遠位端154と近位端156との間に延びるルーメン151を画定し得る。外側チューブ150の遠位端154及び近位端156はそれぞれ、内側チューブ140の長手方向本体142を摺動可能に受け入れるような大きさに作られ、そのような形状に作られ、そのように構成された開口部を形成し得る。この例では、内側チューブ140は、近位端156にある開口部を通して外側チューブ150のルーメン151内に受け入れられ得るとともに、外側チューブ150の遠位端154にある開口部を通してルーメン151から遠位に及び/又は外側に延び得る。
【0033】
図2Aを更に参照すると、医療装置130の内側チューブ140は1つ以上の開口部143を更に含み得る。開口部143は、長手方向本体142の外壁に沿い、遠位端144に隣接して配置される。この例では、内側チューブ140は複数の開口部143を含み得る。複数の開口部143は長手方向本体142の遠位部に沿って延びる。長手方向本体142の遠位部は、長手方向において拡張可能部材160がある位置に一致する。複数の開口部143は、長手方向本体142を通り、内側チューブ140のルーメン141に延び得る。拡張可能部材160が長手方向本体142の外側に沿って配置され、複数の開口部143上に位置決めされることにより、拡張可能部材160の多孔質体は、複数の開口部143を介して内側チューブ140のルーメン141と流体連通し得ると理解されるべきである。開口部143は、様々な適切なサイズ、形状、及び/又は構成を含み得る。いくつかの実施形態では、内側チューブ140の開口部143はミクロンサイズ(例えば、マイクロメートル)であり得るが、他の適切な寸法も考えられる(例えば、ミリメートル、センチメートルなど)。
【0034】
内側チューブ140が外側チューブ150のルーメン151内に配置されることにより、長手方向本体152の内部表面は、拡張可能部材160のサイズ、形状、輪郭、及び/又は構成を拘束するように動作可能であり得ると理解されるべきである。換言すると、外側チューブ150は、拡張可能部材160に接触及び/又は係合し、それによって、拡張可能部材160の多孔質体を押し縮められた状態に圧縮するように構成された拘束装置であり得る。本明細書に更に詳細に示され、記載されるように、医療装置130は、拡張可能部材160を覆う外側チューブ150の取り外しにより、長手方向本体152による拡張可能部材160に加わる拘束力/束縛力を停止することができ、拡張可能部材160の多孔質体がその静止/付勢状態に外側に向かって(図2B)拡張することを可能にするように構成され得る。
【0035】
ここで図2Bを参照すると、近位ハブ148が近位端146から省略された内側チューブ140が概略的に示されている。上で簡潔に記載したように、近位ハブ148が長手方向本体142から分離するように構成され得るように、近位ハブ148は、取り外し可能なルアー及び/又はハブであり得る。この例では、長手方向本体142からの近位ハブ148の取り外しにより、内側チューブ140に対する外側チューブ150の近位の動きを可能にし得る。長手方向本体142の近位端146に沿って近位ハブ148を含むと、長手方向本体142の近位端146上の近位ハブ148の存在により、内側チューブ140の近位端146を越えた外側チューブ150の近位の動きが阻止され得ると理解されるべきである。換言すると、外側チューブ150が近位に動くと、内側チューブ140の近位ハブ148は外側チューブ150の近位ハブ158に係合及び/又は当接し、それによって、外側チューブ150を内側チューブ140に固定し(及び停止部として効果的に機能し)得ると理解すべきである。
【0036】
内側チューブ140の近位ハブ148が長手方向本体142の近位端146から分離されることにより、外側チューブ150は、拡張可能部材160が長手方向本体152のルーメン151から外側に向かって伸張し得るような程度まで近位に動き得る。この例では、外側チューブ150によって拡張可能本体160に加わる拘束力が除去され、それによって、拡張可能本体160が半径方向に、近位に、及び/又は内側チューブ140に対し外側に向かって遠位に拡張することを可能にし得る。拡張可能本体160は、拡張可能本体160が圧縮状態(図2A)にあるときよりも拡張状態にあるときにより大きな直径を有するように、長手方向本体142に対して及び長手方向本体142の周りに側方外側に延び得る。
【0037】
図2Bを更に参照すると、拡張可能本体160が拡張状態にあるときに、拡張可能本体160は、内側チューブ140の長手方向本体142に固定されたままであり得ると理解すべきである。この例では、圧縮状態(図2A)から拡張状態に移行するとき、拡張可能部材160の多孔質体の全長が長手方向本体142に固定され、複数の開口部143上に維持される。従って、拡張状態に伸張したとき、拡張可能部材160の多孔質体は、複数の開口部143を介して内側チューブ140のルーメン141と流体連通したままであり得る。本明細書により詳細に記載されるように、拡張可能部材160が拡張状態にあるときに、複数の開口部143は、多孔質体内若しくはその外部の1つ以上の物質(例えば、固形物、流体など)を取り出すように、又は多孔質体の内部若しくは外部の1つ以上の物質(例えば、固形物、流体など)が拡張可能部材160の多孔質体を流れ、(複数の開口部143を通って)内側チューブ140のルーメン141に入ることを可能にするように構成され且つ作動可能であり得る。
【0038】
ここで図3を参照すると、対象者10(例えば患者)内の標的部位を治療するために医療システム100を使用する例示的な方法が概略的に示される。例えば、医療器具100のシャフト120は、対象者の身体10の鼻12又は口14(又は他の適切な身体自然孔)にチップ122を挿入することにより、対象者10の消化管を通して案内され得る。実施形態において、医療器具110は、標的治療部位に到達するまで、食道16、胃18、及び/又は腸管20(例えば、小腸、大腸)を含む、対象者の身体10の胃腸管を通して挿入され得る。シャフト120の長さは、医療器具110のチップ122が対象者の身体10の内部にある間、医療器具110の近位端(ハンドル112を含む)が対象者の身体10の外部にあるほど十分なものであり得ると理解されるべきである。
【0039】
この例では、対象者の身体10内の標的治療部位22は、食道16内の胃腸管に沿って位置し得る。標的治療部位22は、例えば、実施した外科的処置(例えば、大腸切除術、肥満症手術、食道切除術など)から生じた創傷などの、食道16又は胃腸管の他の部分の吻合部漏出又は穿孔を含み得る。本開示は、対象者の身体10内の消化管内での医療システム100の使用に関するが、本開示の特徴は、対象者の身体10内の他の様々な場所(例えば、他の器官、組織など)で使用され得ると理解すべきである。いくつかの例では、拡張可能部材160の多孔質体の形状及び/又はサイズは、対象者10に医療装置130を留置する前に、使用者によって調整され得る(例えば、手で整えられ得る)。
【0040】
図3を更に参照すると、医療器具110のシャフト120は、シャフト120のチップ122が標的治療部位22(例えば、吻合部漏出又は穿孔)の近傍にある位置に到達するまで、対象者の身体10内に延ばされ得る。医療装置130(例えば、チューブ140、150)は、対象者の身体10に医療器具110を挿入前及び/又は後に、ポート116を通して、例えばシャフト120内など、医療器具100内に受け入れられ得ると理解すべきである。シャフト120のチップ122が標的治療部位22に隣接して配置され、医療装置130が標的治療部位22内に配置された状態で、医療装置130は、外側チューブ150及び/又は内側チューブ140をシャフト120のチップ122から遠位に延ばすように(例えば、近位ハブ148、158にて)作動され得る。この例では、外側チューブ150の遠位端154は、シャフト120のルーメンから外側に延出する。
【0041】
外側チューブ150が食道16(又は胃腸管)内に配置され、標的治療部位22に隣接した状態で、使用者は、医療器具110及び/又は医療装置130の1つ以上の構成要素を作動させ、外側チューブ150の遠位端154を標的治療部位22(例えば、吻合部漏出又は穿孔)内に又はこれに隣接させて配置し得る。例えば、医療装置140の近位ハブ158(図2A図2B)は、外側チューブ150の遠位端154をシャフト120のチップ122に対して関節運動させる(例えば、方向を変える、湾曲させる、揺動させるなど)ために作動され得る。この例では、外側チューブ150(及び外側チューブ150内に受け入れられた内側チューブ140)の遠位部は、チューブ140、150の長手方向本体142、152の残部が標的治療部位22の外部に配置された状態で、標的治療部位22の穿孔内に移動させ得る。この例では、医療装置130の拡張可能本体160は、標的治療部位22内に、収縮及び/又は圧縮状態(図2A)で配置され得ると理解されるべきである。或いは、外側チューブ150の遠位端154は、標的治療部位22に隣接して配置され、拡張可能部材160を拡張させるために引き込まれ得る。この例では、拡張可能部材160は、標的治療部位22内に移動させ得る。
【0042】
図3を更に参照すると、標的治療部位22に医療装置130を配置すると、医療器具110のシャフト120は、対象者の身体10の食道16(胃腸管)から引き抜かれ得る。チューブ140、150の遠位端144、154が標的治療部位22(例えば、吻合部漏出又は穿孔)内に配置された状態で、チューブ140、150の近位端146、156は対象者の身体10の外部に配置され得る。この例では、チューブ140、150の近位ハブ148、158は、医療システム100の使用者がアクセス可能であり得る。例えば、内側チューブ140の近位ハブ148は、内側チューブ140を覆う外側チューブ150の取り外しを容易にするために、長手方向本体142の近位端146から取り外され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、食道16(胃腸管)に内側チューブ140を挿入中、内側チューブ140は圧力調整器132に結合されていなく得る。この例では、近位ハブ148の取り外し後、内側チューブ140を圧力調整器132に流体的に結合するために、異なるハブが近位端146に取り付けられ得る。他の実施形態では、近位ハブ148は、近位端146に再度取り付けられ、内側チューブ140を圧力調整器132に流体的に結合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、長手方向本体142の近位端146から近位ハブ148を取り外すと、内側チューブ140のルーメン141と収集容器136及び/又は圧力調整器132との間の流体連通を分離し得る。この例では、拡張可能部材160が長手方向本体152の遠位端154から遠位に延びるように、外側チューブ150の近位ハブ158の近位引き込みにより、ルーメン151から内側チューブ140の遠位端144を露出させ得る。
【0044】
拡張可能部材160の多孔質体は、外側チューブ150が第1の位置(図2A)から第2の位置(図2B)に近位に動く際、圧縮状態(図2A)から拡張状態(図2B)に継続的に移行し得る。医療装置130の内側チューブ140は、外側チューブ150が動く際、標的治療部位22に対して固定された位置に留まり得ると理解すべきである。他の実施形態では、内側チューブ140は、外側チューブ150に対して及び/又は標的治療部位22に向かって遠位に延び得る。
【0045】
図2Bを再び参照すると、拡張可能部材160が拡張状態にあり、長手方向本体142の遠位端144が標的治療部位22内に配置された状態で、拡張可能部材160の多孔質体は、標的治療部位22を画定する周囲組織に接触し得る、又はそうでなければ、標的治療部位22内に配置され得る。この例では、拡張可能部材160は、標的治療部位22内にある1つ以上の物質(例えば、流体、固体など)を吸収するように構成され得る。例えば、拡張可能部材160の多孔質体は、標的治療部位22内の流体を吸収し、それによって、標的治療部位22を画定する周囲組織を乾燥させることができる。いくつかの実施形態では、拡張可能部材160は、更に、拡張状態へと外側に伸張する際に、標的治療部位22内の1つ以上の物質の進路を変える(例えば、押す、再位置決めする、移動する、取り除く、変位する、除去するなど)ように構成され得る。
【0046】
更に、拡張可能部材160は、拡張可能部材160の多孔質体の拡張に応答して、標的治療部位22内に及び標的治療部位22内にある任意の物質に対して、力を加え得る及び/又は圧力を発生させ得る。いくつかの実施形態では、長手方向本体142の近位端146に医療システム100の使用者がアクセス可能であり得るように、外側チューブ150は、内側チューブ140の上から(及び患者から)完全に取り外され得る。この例では、近位ハブ148(及び/又は別のルアー/ハブコネクタ)は、内側チューブ140の近位端146に結合され得る。近位ハブ148が内側チューブ140の長手方向本体142に結合された状態で、収集容器136及び/又は圧力調整器132は、近位ハブ148を介して内側チューブ140のルーメン141に流体的に結合され得る。
【0047】
内側チューブ140のルーメン141が圧力調整器132に流体的に結合された状態で、ルーメン141は、圧力調整器132の作動に応答して、標的治療部位22から拡張可能本体160及び複数の開口部143を介して収集容器136に1つ以上の物質(例えば、流体、身体物質など)を(例えば、吸引すること、取り出すこと、引くこと、引き出すことなどによって)運ぶように構成され且つ作動可能であり得る。この例では、標的治療部位22内にある1つ以上の物質は、拡張可能部材160の多孔質体の周りを及び/又は拡張可能部材160の多孔質体を通って移動し得る。換言すると、圧力調整器132により、複数の開口部143を通して標的治療部位22内に陰圧が発生する。
【0048】
標的治療部位22(例えば、漏出又は穿孔)内にある1つ以上の物質は、対象者の胃腸管から標的治療部位22内に受け入れられた固体、液体、及び/又は他の様々な物質を含み得る。胃腸管内の漏出及び/又は穿孔内の前記物質の存在は、標的治療部位の回復及び/又は治癒を阻止する可能性があることは理解すべきである。従って、標的治療部位22の空洞内にある1つ以上の物質は、拡張可能部材160の多孔質体を通して内側チューブ140のルーメン141に吸引され得る。
【0049】
図1を再び参照すると、内側チューブ140の近位端146が収集容器136に流体的に結合された状態で、標的治療部位22からルーメン141内に受け入れられた物質及び/又は流体は収集容器136内に入れられ得る。収集容器136及び圧力調整器132は、収集容器136が1つ以上の物質及び/又は流体をその中に格納する際に、圧力調整器132が収集容器136を通して内側チューブ140のルーメン141内に陰圧を生成し続けることができるように配置及び/又は構成されると理解されるべきである。
【0050】
例えば、収集容器136の下部分がその中に物質及び/又は流体を受け入れる際に収集容器136と圧力調整器132との間の流体連通が維持されるように、収集容器136と圧力調整器132とを接続する接続ポート134は、収集容器136の上部分に沿って配置され得る。他の実施形態では、収集容器136と圧力調整器132は、互いに分離され、本明細書に示され、記載されているもの以外の他の様々な適切な構成を介して、内側チューブ140の近位端146に結合され得る。処置の完了時、圧力調整器132は、作動停止され、それによって、内側チューブ140を介した標的治療部位22内の吸引を停止し得る。
【0051】
図1を更に参照すると、食道16(胃腸管)を通して(例えば、鼻12及び/又は口14から外側の)内側チューブ140を引き抜くと、それに応じて、拡張可能部材160の多孔質体を、例えば、内側チューブ140が食道16内において引き込まれる際に食道16の壁などに対して調整(例えば、圧縮)することができる。いくつかの実施形態では、医療装置130の外側チューブ150は、(例えば、引き抜き前に)内側チューブ140の長手方向本体142上で位置変更され、それによって、拡張可能部材160をルーメン151内に内包し、対象者10からの医療装置130の取り出しを容易にし得る。
【0052】
ここで図4A図4Bを参照すると、本開示の一例による別の例示的な医療装置230が示される。以下に特段の記載のない限り、医療装置230は、上記の医療装置130に実質的に類似する場合があり、同様の構成要素を識別するために同様の参照番号が使用される。医療装置230は、医療装置130のように構成され、動作可能であり得、医療装置230は、上記の医療システム100に容易に組み込むことができることは理解すべきである。
【0053】
例えば、最初に図4Aを参照すると、医療装置230は、遠位端154と近位端156との間に画定される長手方向本体152を有する外側チューブ250を含み得る。外側チューブ250は、遠位端154において拡張可能部材160の近位端と直接結合され得る。この例では、拡張可能部材160の近位端は、拡張可能部材160が外側チューブ250の長手方向本体152と整合され得るように、外側チューブ250の遠位端154に固定され得る。換言すると、拡張可能部材160は、外側チューブ250の遠位端154から遠位に延び得、拡張可能部材160の長手方向の長さは、外側チューブ250の長手方向本体152の伸張範囲である。この例では、拡張可能部材160は、外側チューブ250のルーメン151と整合され、その遠位にあるルーメン161を画定し得る。
【0054】
外側チューブ250は、長手方向本体152の近位端156に近位ハブ158を含み得る。この例では、外側チューブ250の近位ハブ158は、ロック機構157がルーメン151に向かって及び/又は少なくとも部分的にルーメン151内に延びるように、近位ハブ158の内部表面に沿って配置されたロック機構157を含み得る。本明細書に更に詳細に記載されるように、外側チューブ250のロック機構157は、長手方向本体152を内側チューブ140の長手方向本体142に対して固定するために、医療装置230の内側チューブ140に係合するように構成され且つ作動可能であり得る。いくつかの実施形態では、ロック機構157は、例えば、止血弁、ゴムガスケット(例えば、Oリング)、及び/又は様々な他の適切なロック機構を含み得る。
【0055】
図4Aを更に参照すると、医療装置230の内側チューブ140は、外側チューブ250のルーメン151及び拡張可能部材160のルーメン161内に配置され得る。この例では、内側チューブ140は、遠位端145と近位端146との間に画定される長手方向本体142を含み得る。この例では、遠位端145は、外側チューブ250の遠位端154及び拡張可能部材160の遠位端に対して遠位に延びる。更に、内側チューブ140の遠位端145は、ルーメン151及びルーメン161の断面寸法よりも大きい断面寸法を有するような大きさ及び形状に作られ得る。拡張可能部材160の遠位端は、内側チューブ140の遠位端145に直接結合及び固定され得る。
【0056】
図4Aに示される例では、内側チューブ140の遠位端145は、拡張可能部材160が圧縮状態に維持されるように、外側チューブ250に対して最遠位範囲(例えば、第1の位置)に配置され得る。この例では、拡張可能部材160の長手方向本体は、チューブ140、250の遠位端145、154の間で伸展させ得る。本明細書に更に記載されるように、拡張可能部材160は、外側チューブ250に対する内側チューブ140の移動に応答し、外側チューブ250に対して移動するように構成される。
【0057】
換言すると、内側チューブ140の遠位端145は、拡張可能部材160の遠位端に当接するように構成された拘束装置であり得る。この例では、拡張可能部材160は、外側チューブ250に対する内側チューブ140の(例えば、第2の位置への)移動に応答し、圧縮状態から拡張状態(図4B)に移行するように動作可能であり得る。拡張可能部材160の多孔質体は、拡張状態のときよりも圧縮状態のときに、より小さい輪郭、断面寸法、直径等、及びより長い長手方向の長さを有し得ると理解されるべきである。
【0058】
ここで図4Bを参照すると、内側チューブ140の近位ハブ148が長手方向本体152の近位端156に対して近位に動くことにより、内側チューブ140の遠位端145は、拡張可能部材160が遠位端145によって係合され、長手方向に圧縮されるような程度(例えば、第2の位置)まで近位に動き得る。この例では、拡張可能部材160は、外側チューブ250の長手方向の本体152に対して半径方向外側に伸張し得る。この例では、遠位端145によって拡張可能本体160に加わる拘束力が発生し、それによって、拡張可能本体160を半径方向外側に拡張させ得る。拡張可能本体160は、拡張可能本体160が、圧縮状態にあるときよりも拡張状態(図4A)にあるときに、より大きい輪郭、断面寸法、直径等、及びより短い長手方向の長さを形成するように、外側チューブ250の遠位端154に対して側方/半径方向外側に伸張し得る。
【0059】
拡張可能本体160は、拡張状態にあるときに長手方向本体152の遠位端154に固定されたままであり得ると理解すべきである。この例では、内側チューブ140の遠位端145の近位の動きにより、外側チューブ250の遠位端154と内側チューブ140の遠位端145との間で拡張可能本体160を圧縮する。換言すると、外側チューブ250に対する内側チューブ140の移動に応答して、拡張可能部材160の多孔質体の全長は、遠位端145、154の間で挟まれる。他の実施形態では、拡張可能本体160は、内側チューブ140に対する外側チューブ250の遠位の動きに応答して、拡張状態に移行され得る。
【0060】
図4Bを更に参照すると、拡張可能部材160が拡張状態にある状態で、外側チューブ250の近位ハブ158は、外側チューブ250を内側チューブ140にロックすることで拡張可能部材160を拡張状態に維持するように作動され得る。例えば、近位ハブ158に横向きの(例えば、内方向の)力を加えると、内側チューブ140に対する近位ハブ158及び/又は長手方向本体152の遠位端154の移動が行われ得る。この例では、近位ハブ158のロック機構157は、内側チューブ140の長手方向本体142に接触及び係合し、それによって内側チューブ140に対する外側チューブ250及び拡張可能部材160の位置を固定し得る。従って、拡張可能部材160は、ロック機構157が内側チューブ140と係合したままである間、拡張状態に維持され得る。
【0061】
図示しないが、内側チューブ140は、拡張可能部材160の多孔質体が複数の開口部143を介して内側チューブ140のルーメン141と流体連通することができるように、上で示し、記載した(図2A図2B)複数の開口部143を含み得ると理解すべきである。この例では、拡張可能本体160は、内側チューブ140のルーメン141を介して収集容器136及び/又は圧力調整器132に流体的に結合され得る。他の実施形態では、外側チューブ250のルーメン151は、収集容器136及び/又は圧力調整器132に流体的に結合され得る。この例では、内側チューブ140の開口部143は完全に省略され得、拡張可能本体160は、ルーメン151、161を介して収集容器136及び/又は圧力調整器132と流体連通し得る。
【0062】
ここで図5図7Bを参照すると、本開示の一例による別の例示的な医療装置330が示される。以下に別段の記載のない限り、医療装置330は、上記の医療装置130に実質的に類似する場合があり、同様の構成要素を識別するために同様の参照番号が使用される。医療装置330は、医療装置130のように構成され、動作可能であり得、医療装置330は、上記の医療システム100に容易に組み込むことができることは理解すべきである。
【0063】
例えば、最初に図5及び図7Aを参照すると、医療装置330は、遠位端144と近位端146との間に画定される長手方向本体142を有するチューブ240を含み得る。チューブ240の長手方向本体142は、例えば、長手方向本体142の外壁の中間部に沿って、遠位端144に隣接するなど、長手方向本体142上に配置された開口部及び/又はスロット245を含み得る。本明細書に更に詳細に示され、記載されるように、スロット245は、チューブ240のルーメン141に延びるような大きさ及び形状に作られ得る。いくつかの実施形態では、スロット245は、医療装置330の1つ以上の構成要素をチューブ240のルーメン141から長手方向本体142の外面に及び/又は遠位端144に向かって案内するための傾斜表面を含み得る。
【0064】
医療装置330のチューブ240は、長手方向本体142の外面に沿って配置され、遠位端144に隣接して位置決めされた拡張可能部材160を更に含み得る。この例では、拡張可能部材160は、チューブ240の遠位端144とスロット245との間の長手方向本体142の周りに配置され得る。医療装置330は、遠位端172と近位端174との間に画定される長手方向本体を有する糸170を更に含み得る。糸170は、チューブ240のルーメン141内に少なくとも部分的に配置され得、糸170の遠位部(例えば、遠位端172を含む)は、スロット245を通ってルーメン141から外側に向かって延び得る。この例では、糸170の遠位部は、チューブ240の長手方向本体142の外面に沿ってスロット245から遠位端144に向かって延び得る。
【0065】
図示しないが、いくつかの実施形態では、チューブ240は、ルーメン141内に配置され、他から分離された複数のチャネルを含み得ると理解されるべきである。実施形態では、ルーメン141内のマルチチャネルの少なくとも1つは、チューブ240のスロット245と整合され、その中に糸170を受け入れるように構成され得る。ルーメン141内のマルチチャネルの少なくともその他は、それに圧力調整器132及び/又は収集容器136を流体的に結合するために、複数の開口部143と整合され得る。この例では、スロット245(及びその中に受け入れられた糸170)は、圧力調整器132によってチューブ240内に発生する真空から隔離され得る。
【0066】
図5及び図7Aを更に参照すると、拡張可能部材160が長手方向本体142の遠位部の周りに配置され、糸170がスロット245から遠位端144に向かって外側に延びた状態で、糸170は、拡張可能部材160の多孔質体の上に延びるように構成され得る。この例では、糸170の長手方向の長さは、拡張可能部材160の周囲の周りに延び、それによって、拡張可能部材160の多孔質体に沿って配置された1つ以上のスリップノット(slip knots)176(又は接続領域)を形成し得る。例えば、糸170は、複数のスリップノット176を含み得る。該複数のスリップノット176は、第1の位置にあるときに、拡張可能部材160をそれらの内部に封入する。接続領域は、拡張可能部材160に解放可能又は破壊可能に結合された糸170の部分であり得る。例えば、接続領域に破壊力を加えなければ、糸170と拡張可能部材160との接続された領域は、互いに結合されたままであり得る(例えば、拡張可能部材160の移動中)。
【0067】
複数のスリップノット176は、チューブ240に対する拡張可能部材160の移動を拘束するために、拡張可能部材160に対して力を加えるように構成され得る。換言すると、糸170は、拘束装置であり得、複数のスリップノット176は、拡張可能部材160が長手方向本体142に対して固定されるように、拘束構成にある拡張可能部材160の周りに堅固に結合される拘束機構であり得る。本明細書に更に詳細に記載されるように、糸170は、複数のスリップノット176を弛緩構成に解放すると、拡張可能部材160が圧縮状態から拡張状態(図6及び図7B)に移行することが可能になり得るように構成され得る。
【0068】
図6を参照すると、医療装置330は、明確化のためにチューブ240の長手方向本体142が省略されて概略的に示されている。本明細書に示されるように、複数のスリップノット176は、拡張可能部材160の長手方向の長さの周りに延び、糸170の遠位端172に隣接する最遠位スリップノット176において終端する。更に、糸170の近位端174は、医療システム100の使用者が手で又は機械で把持可能な直線構成を含み得る。従って、(例えば、近位への引張力を加えることにより)糸170の近位端174を作動させると、糸170が(例えば、第1の位置から第2の位置へ)近位に動くとともに、複数のスリップノット176のうちの1つ以上が、拘束構成(図5)から弛緩構成(図6)へ移行/破壊し得る。この例では、拡張可能部材160は、拡張状態に側方外側に拡張し得る。
【0069】
ここで図7Bを参照すると、いくつかの実施形態では、糸170は、近位端174の(例えば、第2の位置への)作動により、複数のスリップノット176のうちの1つ以上の除去が行われ得るように構成され得る。この例では、糸170の最近位スリップノット176が拡張可能部材160の周りから解かれ、それによって、拡張可能部材160に加えられている拘束力を除去し得る。糸170によって拡張可能部材160にかかる拘束力を除去すると、拡張可能部材160の多孔質体は、チューブ240の長手方向本体142に対して側方外側に拡張することを可能とされ得る。
【0070】
複数のスリップノット176のうちの1つ以上が拡張可能部材160の多孔質体に沿って維持される場合、糸170の作動にもかかわらず、拡張可能部材160の残りの部分(例えば遠位長さ)は圧縮状態のままであり得ることは理解すべきである。この例では、拡張可能部材160は少なくとも部分的に拡張し、少なくとも部分的に圧縮され得る。拡張可能部材160は、拡張可能部材160の外側に沿った糸170の複数のスリップノット176の全て及び/又は実質的に全ての除去に応答して、完全に拡張した状態に移行し得る。各個々のスリップノット176の破壊は、医療装置330の使用者に、拡張可能部材160の拡張の程度に関する触覚フィードバックを提供し得る。
【0071】
前述のシステム、装置、アセンブリ、及び方法のそれぞれは、管腔内真空療法による標的治療部位の制御された治療を提供するために使用され得る。上述され、記載された医療装置130、230、330のいずれか、例えば、医療装置130、230、330のチューブ140、150、240、250及び拡張可能部材160のいずれかは、医療装置130、230、330の位置決めを支援するための、撮像システム、照明システムなどを有する内視鏡(例えば、医療器具110)又は同様の装置に挿入され得る。真空密閉スポンジを介して陰圧を加える拡張可能部材160を使用して使用者が到達困難な組織を治療することを可能にする装置を提供することにより、使用者は、全体的な処置時間を削減し、処置の効率及び効果を高め、治癒されない創傷に起因する対象者の身体への不必要な害を避けることができる。
【0072】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示される装置及び方法に様々な修正及び変形が施され得ることは当業者には明らかであろう。開示される装置は、本明細書に記載されるものに従った処置中に装置が1つ以上の動作を実施することを可能にする、例えばプロセッサ及び非一時的コンピュータ可読媒体などの複数のハードウェア構成要素を組み込んだ様々な適切なコンピュータシステム及び/又はコンピューティングユニットを含み得ると理解されるべきである。本開示の他の態様は、本明細書及び本明細書に開示される特徴の手法の考察から当業者には明らかとなるであろう。本明細書及び例は、単なる例示とみなされるものと意図される。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】