(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂組成物およびこれから製造された成形品
(51)【国際特許分類】
C08L 25/12 20060101AFI20230413BHJP
C08L 55/02 20060101ALI20230413BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20230413BHJP
C08L 35/06 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
C08L25/12
C08L55/02
C08L77/00
C08L35/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551659
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 KR2021002185
(87)【国際公開番号】W WO2021172827
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0025547
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520087103
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ホン,サンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ボンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ヨンスプ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ウォンヨン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BC065
4J002BC06W
4J002BH015
4J002BN15X
4J002CL01Y
4J002CL03Y
4J002CL084
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体20~40重量%;(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体30~75重量%;および(B)ポリアミド樹脂5~40重量%を含むベース樹脂100重量部に対して、(C)ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体1~15重量部;および(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体0.5~10重量部を含む熱可塑性樹脂組成物およびこれから製造された成形品に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体20~40重量%;
(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体30~75重量%;および
(B)ポリアミド樹脂5~40重量%;
を含むベース樹脂100重量部に対して、
(C)ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体1~15重量部;および
(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体0.5~10重量部
を含む熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、
ブタジエン系ゴム質重合体からなるコアと、
芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とが前記コアにグラフト重合されて形成されたシェルとを含むコア-シェル構造である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ゴム質重合体の平均粒径が0.2~1.0μmである、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準として、芳香族ビニル化合物に由来する成分55~80重量%、およびシアン化ビニル化合物に由来する成分20~45重量%を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、重量平均分子量が80,000~300,000g/molである、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体である、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(B)ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド4T、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミド1212、ポリアミド12T、ポリアミドMXD6、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
前記ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体は、炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタムまたはジアミン-ジカルボン酸塩;ポリアルキレングリコール;および炭素数4~20のジカルボン酸の反応混合物である、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
前記(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、マレイン酸無水物-スチレン-アクリロニトリル共重合体である、請求項1~9のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、滑剤、離型剤、抗菌剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤、着色剤、衝撃補強剤の中から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物から製造された成形品。
【請求項13】
前記成形品は、ASTM D256による1/4”の厚さの試験片の切り欠きアイゾット衝撃強度が20~60kgf・cm/cmである、請求項12に記載の成形品。
【請求項14】
前記成形品は、表面抵抗測定装置(製造会社:SIMCO-ION社、装置名:Worksurface Tester ST-4)を用いて、100mmx100mmx20mmの試験片に対して測定した表面抵抗が10
12.0Ω/sq以下である、請求項12または13に記載の成形品。
【請求項15】
前記成形品は、ASTM D648による熱変形温度(HDT)が80~100℃である、請求項12~14のいずれか1項に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱可塑性樹脂組成物およびこれから製造された成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂に代表されるスチレン系樹脂は、その優れた成形性、機械的特性、外観、2次加工性などにより多様な用途に広範囲に使用されている。
【0003】
スチレン系樹脂を用いて製造される成形品は、塗装・無塗装が要求される様々な製品に広範囲に適用可能であり、例えば、自動車および/または電子機器の各種内・外装材などに適用可能である。
【0004】
このうち、各種内・外装材に審美的効果を付与するための方策として、スチレン系樹脂を用いて製造された成形品に塗装作業を行う場合がある。塗装の方法は特に制限されないが、一般に幅広く使用される塗装方式として静電塗装が挙げられる。このような静電塗装は、成形品の表面に電気伝導性を付与した後に塗装を進行させる方法で、大体表面抵抗が高いプラスチック系成形品に静電塗装を適用するためには、成形品の表面に導電性プライマー(primer)などの前処理を行う必要がある。
【0005】
導電性プライマーの塗布は工程数および製造時間を増加させるので、最近、スチレン系樹脂に各種導電性物質(例えば、カーボンナノチューブなど)および/または導電性発現添加剤をさらに含ませることによって、成形品自体に一定水準以上の電気伝導性を内在させる方法が提案された。
【0006】
しかし、スチレン系樹脂に導電性物質および/または導電性発現添加剤を添加する場合、スチレン系樹脂の物性バランスが損傷することによって、予期せぬ各種物性の低下が発生する恐れがある。
【0007】
これによって、優れた電気伝導性および諸物性のバランスを維持できる熱可塑性樹脂組成物の開発が必要なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電気伝導性および諸物性のバランスがすべて優れた熱可塑性樹脂組成物およびこれから製造された成形品を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によれば、(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体20~40重量%;(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体30~75重量%;および(B)ポリアミド樹脂5~40重量%を含むベース樹脂100重量部に対して、(C)ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体1~15重量部;および(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体0.5~10重量部を含む熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0010】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体からなるコアと、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とが前記コアにグラフト重合されて形成されたシェルとを含むコア-シェル構造であってもよい。
【0011】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体の平均粒径が0.2~1.0μmであってもよい。
【0012】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレングラフト共重合体であってもよい。
【0013】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準として、芳香族ビニル化合物に由来する成分55~80重量%、およびシアン化ビニル化合物に由来する成分20~45重量%を含むことができる。
【0014】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、重量平均分子量が80,000~300,000g/molであってもよい。
【0015】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体であってもよい。
【0016】
前記(B)ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド4T、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミド1212、ポリアミド12T、ポリアミドMXD6、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0017】
前記(C)ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体は、炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタムまたはジアミン-ジカルボン酸塩;ポリアルキレングリコール;および炭素数4~20のジカルボン酸の反応混合物であってもよい。
【0018】
前記(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体において、前記芳香族ビニルは、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、またはこれらの組み合わせを含み、前記シアン化ビニルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0019】
前記(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、マレイン酸無水物-スチレン-アクリロニトリル共重合体であってもよい。
【0020】
前記熱可塑性樹脂組成物は、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、滑剤、離型剤、抗菌剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤、着色剤、衝撃補強剤の中から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含むことができる。
【0021】
一方、他の実施形態によれば、前述した熱可塑性樹脂組成物から製造された成形品が提供される。
【0022】
前記成形品は、ASTM D256による1/4”の厚さの試験片の切り欠きアイゾット衝撃強度が20~60kgf・cm/cmであってもよい。
【0023】
前記成形品は、表面抵抗測定装置(製造会社:SIMCO-ION社、装置名:Worksurface Tester ST-4)を用いて、100mmx100mmx20mmの試験片に対して測定した表面抵抗が1012.0Ω/sq以下であってもよい。
【0024】
前記成形品は、ASTM D648による熱変形温度(HDT)が80~100℃であってもよい。
【発明の効果】
【0025】
一実施形態による熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いた成形品は、優れた電気伝導性および諸物性のバランスを示すことから、塗装、無塗装で使用する様々な製品の成形に広範囲に適用可能であり、特に、静電塗装が必要な塗装用成形品にも有用に適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例として提示されるものであり、これによって本発明が制限されず、本発明は添付した特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0027】
本発明においては、特に言及しない限り、平均粒径とは、体積平均径であり、動的光散乱(Dynamic light scattering)分析機器を用いて測定したZ-平均粒径を意味する。
【0028】
一実施形態によれば、(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体20~40重量%;(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体30~75重量%;および(B)ポリアミド樹脂5~40重量%を含むベース樹脂100重量部に対して、(C)ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体1~15重量部;および(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体0.5~10重量部を含む熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0029】
以下、前記熱可塑性樹脂組成物に含まれる各成分について具体的に説明する。
【0030】
(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体
一実施形態において、ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、熱可塑性樹脂組成物に優れた耐衝撃性を付与する。一実施形態において、ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体成分からなる中心部(コア、core)と、その中心部に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とをグラフト重合反応させてシェル(shell)とを形成したコア-シェル(core-shell)構造を有することができる。
【0031】
一実施形態によるブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを添加し、乳化重合、塊状重合などの通常の重合方法によりグラフト重合することによって製造できる。
【0032】
前記ブタジエン系ゴム質重合体は、ブタジエンゴム質重合体、ブタジエン-スチレンゴム質重合体、ブタジエン-アクリロニトリルゴム質重合体、ブタジエン-アクリレートゴム質重合体、およびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0033】
前記芳香族ビニル化合物は、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、およびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0034】
前記シアン化ビニル化合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、およびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0035】
前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体の平均粒径が、例えば0.2~1.0μm、例えば0.2~0.8μm、例えば0.25~0.40μmであってもよい。前記範囲を満足する場合、熱可塑性樹脂組成物は優れた耐衝撃性および外観特性を示すことができる。
【0036】
前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体100重量%に対して、前記ブタジエン系ゴム質重合体は40~70重量%含まれる。一方、前記ブタジエン系ゴム質重合体成分からなる中心部に、グラフト重合される前記芳香族ビニル化合物と前記シアン化ビニル化合物との重量比は6:4~8:2であってもよい。
【0037】
一実施形態において、前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレングラフト共重合体であってもよい。
【0038】
前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ベース樹脂100重量%に対して、20~40重量%、例えば25~40重量%、例えば25~35重量%含まれる。
【0039】
ベース樹脂中の前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体が20重量%未満の場合、優れた耐衝撃性を達成しにくく、40重量%を超える場合、耐熱性と流動性が低下する恐れがある。
【0040】
(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体
一実施形態において、芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、熱可塑性樹脂組成物の流動性を向上させ、構成要素間の相溶性を一定水準に維持させることができる。
【0041】
一実施形態において、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、重量平均分子量が80,000g/mol以上、例えば85,000g/mol以上、例えば90,000g/mol以上であり、例えば300,000g/mol以下、例えば200,000g/mol以下であり、例えば80,000~300,000g/mol、例えば80,000~200,000g/molであってもよい。
【0042】
本発明において、重量平均分子量は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社の1200seriesゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を用いて測定(標準時料としてポリスチレンを使用する)したものである。
【0043】
一実施形態において、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などの通常の重合方法により製造できる。
【0044】
前記芳香族ビニル化合物は、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、およびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0045】
前記シアン化ビニル化合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、およびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0046】
前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準として、前記芳香族ビニル化合物に由来する成分を、例えば55重量%以上、例えば60重量%以上、例えば65重量%以上含むことができ、例えば80重量%以下、例えば75重量%以下含むことができ、例えば55~80重量%、例えば60~75重量%含むことができる。
【0047】
また、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準として、前記シアン化ビニル化合物に由来する成分を、例えば20重量%以上、例えば25重量%以上含むことができ、例えば45重量%以下、例えば40重量%以下含むことができ、例えば20~45重量%、例えば25~40重量%含むことができる。
【0048】
一実施形態において、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体(SAN)であってもよい。
【0049】
一実施形態において、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、ベース樹脂100重量%に対して、30~75重量%、例えば40~75重量%、例えば45~75重量%、例えば45~70重量%、例えば45~65重量%含まれる。
【0050】
前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体が30重量%未満であれば、熱可塑性樹脂組成物の成形性が低下する恐れがあり、75重量%を超える場合、熱可塑性樹脂組成物を用いた成形品の機械的物性が低下する恐れがある。
【0051】
(B)ポリアミド樹脂
一実施形態において、ポリアミド樹脂は、前記ブロック共重合体を過剰投入しなくても熱可塑性樹脂組成物が優れた電気伝導性を実現できるようにする。
【0052】
一実施形態において、前記ポリアミド樹脂としては、当該技術分野にて知られている多様なポリアミド樹脂、例えば、芳香族ポリアミド樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物が使用可能であり、特に制限されない。
【0053】
前記芳香族ポリアミド樹脂は、主鎖に芳香族基を含むポリアミドで、全芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、またはこれらの混合物であってもよい。
【0054】
前記全芳香族ポリアミドは、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸との重合体を意味し、半芳香族ポリアミドは、アミド結合の間に少なくとも1つの芳香族単位と非芳香族単位を含むものを意味する。例えば、前記半芳香族ポリアミドは、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との重合体であるか、または脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸との重合体であってもよい。
【0055】
一方、前記脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との重合体を意味する。
【0056】
前記芳香族ジアミンの例としては、p-キシレンジアミン、m-キシレンジアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独または2種以上混合して使用できる。
【0057】
前記芳香族ジカルボン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、(1,3-フェニレンジオキシ)ジ酢酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独または2種以上混合して使用できる。
【0058】
前記脂肪族ジアミンの例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トデカメチレンジアミン、ピペラジンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独または2種以上混合して使用できる。
【0059】
前記脂肪族ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独または2種以上混合して使用できる。
【0060】
一実施形態において、ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド4T、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミド1212、ポリアミド12T、ポリアミドMXD6、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0061】
一実施形態において、前記ポリアミド樹脂は、少なくともポリアミド6を含むことができる。
【0062】
一実施形態において、前記ポリアミド樹脂は、ベース樹脂100重量%に対して、5~40重量%、例えば5~35重量%、例えば5~30重量%、例えば5~25重量%、例えば5~20重量%含まれる。
【0063】
前記ポリアミド樹脂の含有量が前述した範囲を満足する場合、熱可塑性樹脂組成物およびこれから製造された成形品は、ポリアミド樹脂に起因する優れた剛性、靭性、耐摩耗性、耐薬品性、および耐油性などを示すことができる。
【0064】
これに対し、前記ポリアミド樹脂が5重量%未満の場合、前述したポリアミド樹脂に起因する優れた物性が現れにくいことがあり、40重量%を超える場合、熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いた成形品の機械的強度および/または耐熱性が低下する恐れがある。
【0065】
(C)ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体
一実施形態において、ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体は、熱可塑性樹脂組成物およびこれから製造された成形品に所定の電気伝導性を示すようにできる。
【0066】
また、前記ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体は、熱可塑性樹脂組成物およびこれから製造された成形品が優れた物性バランスを維持しながらも、前述した電気伝導性を示すようにできる。
【0067】
一実施形態において、ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体として、例えば、炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタムまたはジアミン-ジカルボン酸塩;ポリアルキレングリコール;および炭素数4~20のジカルボン酸の反応混合物を使用することができる。
【0068】
一実施形態において、前記炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタムまたはジアミン-ジカルボン酸塩としては、ω-アミノカプロン酸、ω-アミノエナント酸、ω-アミノカプリル酸、ω-アミノペラルゴン酸、ω-アミノカプリン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸などのようなアミノカルボン酸類;ε-カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウロラクタムなどのようなラクタム類;およびヘキサメチレンジアミン-アジピン酸の塩、ヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸の塩などのようなジアミン-ジカルボン酸塩などを例示することができる。例えば、12-アミノドデカン酸、ε-カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン-アジピン酸の塩などが使用できる。
【0069】
一実施形態において、前記ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロックまたはランダム共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランとの共重合体などを例示することができる。例えば、ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体などを使用することができる。
【0070】
一実施形態において、前記炭素数4~20のジカルボン酸としては、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカンジオン酸などを例示することができる。
【0071】
一実施形態において、前記炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタムまたはジアミン-ジカルボン酸塩と前記ポリアルキレングリコールの結合は、エステル結合であってもよく、前記炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタムまたはジアミン-ジカルボン酸塩と前記炭素数4~20のジカルボン酸の結合は、アミド結合であってもよく、前記ポリアルキレングリコールと前記炭素数4~20のジカルボン酸の結合は、エステル結合であってもよい。
【0072】
一実施形態において、前記ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体は、公知の合成方法により製造可能であり、例えば、日本国特公昭56-045419および日本国特開昭55-133424に開示された合成方法により製造できる。
【0073】
一実施形態において、前記ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体は、ポリエーテルエステルブロックを10~95重量%含むことができる。前記範囲で熱可塑性樹脂組成物の電気伝導性および耐熱性などに優れることができる。
【0074】
一実施形態において、前記ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体は、前記ベース樹脂100重量部に対して、1~15重量部、例えば2~10重量部含まれる。前記ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体の含有量が前述した範囲を満足する場合、熱可塑性樹脂組成物およびこれから製造された成形品が優れた物性バランスを維持しながら、同時に優れた電気伝導性を示すことができる。
【0075】
(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体
一実施形態において、マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、熱可塑性樹脂組成物およびこれから製造される成形品の物性バランスを適正水準に維持させることができる。具体的には、前記マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、前述したポリエーテルエステルアミドブロック共重合体の添加により低下しうる諸物性(例えば、耐衝撃性、耐熱性など)を優れたものに維持させることができる。
【0076】
一実施形態において、前記マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、マレイン酸無水物、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などの通常の重合方法により製造できる。
【0077】
前記芳香族ビニル化合物は、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、およびこれらの混合物からなる群より選択可能であり、好ましくは、スチレンであってもよい。
【0078】
前記シアン化ビニル化合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、およびこれらの混合物からなる群より選択可能であり、好ましくは、アクリロニトリルであってもよい。
【0079】
前記マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体の共重合形態は特に制限されず、マレイン酸無水物に由来する成分、芳香族ビニル化合物に由来する成分、シアン化ビニル化合物に由来する成分が交互共重合、ランダム共重合、またはブロック共重合をなしていてもよく、マレイン酸無水物に由来する成分が芳香族ビニル化合物に由来する成分とシアン化ビニル化合物に由来する成分とが共重合されている主鎖にグラフト共重合されていてもよい。
【0080】
一実施形態において、前記マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、マレイン酸無水物-スチレン-アクリロニトリル共重合体であってもよい。
【0081】
前記マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準として、前記マレイン酸無水物に由来する成分0.5~30重量%、芳香族ビニル化合物に由来する成分50~90重量%、シアン化ビニル化合物に由来する成分5~40重量%を含むことができる。前記範囲を満足する場合、熱可塑性樹脂組成物およびこれから製造された成形品が優れた耐衝撃性および/または耐熱性を示すことができる。
【0082】
一実施形態において、前記マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、ベース樹脂100重量部に対して、0.5~10重量部、例えば0.5~9重量部、例えば0.5~8重量部、例えば1~8重量部、例えば1~7重量部、例えば1~6重量部、例えば1~5重量部含まれる。
【0083】
マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体の含有量が前述した範囲を満足する場合、熱可塑性樹脂組成物およびこれから製造された成形品が優れた物性バランスを維持しながら、同時に優れた電気伝導性を示すことができる。
【0084】
(E)その他の添加剤
一実施形態による熱可塑性樹脂組成物は、前記成分(A)~(D)以外にも、電気伝導性と諸物性のバランスをすべて優れたものに維持する条件下で各物性間の均衡を取るために、あるいは前記熱可塑性樹脂組成物の最終用途に応じて必要な1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0085】
具体的には、前記添加剤としては、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、滑剤、離型剤、抗菌剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤、着色剤、衝撃補強剤などが使用可能であり、これらは単独であるいは2種以上の組み合わせで使用できる。
【0086】
これらの添加剤は、熱可塑性樹脂組成物の物性を阻害しない範囲内で適切に含まれ、具体的には、ベース樹脂100重量部に対して、20重量部以下含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0087】
本発明による熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物を製造する公知の方法により製造できる。
【0088】
例えば、本発明による熱可塑性樹脂組成物は、本発明の構成成分とその他の添加剤を同時に混合した後、押出機内で溶融混練してペレット(pellet)状に製造することができる。
【0089】
本発明の一実施形態による成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物から製造できる。
【0090】
一実施形態において、前記成形品は、ASTM D256による1/4”の厚さの試験片の切り欠きアイゾット衝撃強度が20~60kgf・cm/cm、例えば20~50kgf・cm/cm、例えば20~40kgf・cm/cm、例えば20~35kgf・cm/cmであってもよい。
【0091】
一実施形態において、前記成形品は、表面抵抗測定装置(製造会社:SIMCO-ION社、装置名:Worksurface Tester ST-4)を用いて、100mmx100mmx20mmの試験片に対して測定した表面抵抗が1012Ω/sq以下、例えば1011.9Ω/sq以下、例えば1011.8Ω/sq以下、例えば1011.7Ω/sq以下、例えば1011.6Ω/sq以下であってもよい。
【0092】
一実施形態において、前記成形品は、ASTM D648による熱変形温度(HDT)が80~100℃、例えば80~95℃、例えば80~90℃であってもよい。
【0093】
このように、前記熱可塑性樹脂組成物は、優れた耐衝撃性、電気伝導性、および耐熱性を有するので、塗装、無塗装で使用する様々な製品に広範囲に適用可能であり、特に、静電塗装が必要な塗装用成形品にも有用に適用可能である。
【0094】
以下、本発明を実施例および比較例を通じてより詳細に説明するが、下記の実施例および比較例は説明の目的のためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。
【0095】
実施例1~4および比較例1~7
実施例1~4および比較例1~7の熱可塑性樹脂組成物は、下記表1に記載の成分の含有量比により製造された。
【0096】
表1にて、(A1)、(A2)、(B)はベース樹脂に含まれるもので、ベース樹脂の総重量を基準として重量%で表し、(C)、(D)はベース樹脂に添加されるものであって、ベース樹脂100重量部に対する重量部で表した。
【0097】
表1に記載の成分を乾式混合し、二軸押出機(L/D=44、直径=45mm)の供給部に定量的に連続投入して溶融/混練した。次に、二軸押出機によりペレット化された熱可塑性樹脂組成物を約80℃で約4時間乾燥した後、シリンダ温度約240℃、金型温度約60℃の120トンの射出成形機を用いて物性評価用試験片をそれぞれ製造した。
【0098】
【0099】
前記表1に記載の各構成に関する説明は次の通りである。
【0100】
(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体
ブタジエンゴム質重合体からなるコア(平均粒径:約0.25μm)約58重量%に、アクリロニトリルとスチレン(アクリロニトリル:スチレンの重量比=約2.5:約7.5)が前記コアにグラフト重合されて形成されたシェルを含むアクリロニトリル-ブタジエン-スチレングラフト共重合体(ロッテケミカル社)
(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体
アクリロニトリル約28重量%およびスチレン約72重量%を含む単量体混合物から共重合された重量平均分子量が約110,000g/molのスチレン-アクリロニトリル共重合体(ロッテケミカル社)
(B)ポリアミド樹脂
融点約223℃、相対粘度約2.3のポリアミド6樹脂(KP Chem Tech社、EN-300)
(C)ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体
ポリアミド6-ポリエチレンオキシドブロック共重合体(PA6-b-PE0)(Sanyo社、PELECTRON AS)
(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体
マレイン酸無水物-スチレン-アクリロニトリル共重合体(Sunny FC社、SAM-010)
実験例
実験の結果を下記表2に示した。
【0101】
(1)表面抵抗(単位:Ω/sq):表面抵抗測定装置(製造会社:SIMCO-ION社、装置名:Worksurface Tester ST-4)を用いて、100mmx100mmx20mmの試験片に対して表面抵抗を測定した。
【0102】
(2)耐熱性(単位:℃):ASTM D648により熱変形温度(HDT)を測定した。
【0103】
(3)耐衝撃性Type-I(単位:kgf・cm/cm):ASTM D256により1/4”の厚さの試験片に対する切り欠きアイゾット衝撃強度を測定した。
【0104】
(4)耐衝撃性Type-II(単位:N):下記の実験方法によりボス(boss)形状を有する試験片(突出部の外径:6mm、突出部の内径:3.5mm、突出部の高さ:20mm)のボスの衝撃強度を測定した。具体的には、ボス形状を有する試験片の突出部の側面を約420gの衝撃ハンマー(impact hammer)で衝撃を加え、衝撃ハンマーが試験片の突出部を強打する衝撃エネルギーは1.8Jに設定した。
【0105】
【0106】
前記表1~2から、実施例1~4のようにブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体、芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体、およびマレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体を最適な含有量で使用することによって、比較例に比べて優れた電気伝導性、耐衝撃性、および耐熱性を示す熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いた成形品を提供できることを確認できる。
【0107】
以上、本発明を上述のように好ましい実施例を通じて説明したが、本発明はこれに限定されず、以下に記載する特許請求の範囲の概念と範囲を逸脱しない限り、多様な修正および変形が可能であることを本発明の属する技術分野にて従事する者は容易に理解するであろう。
【国際調査報告】