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特表2023-516620超音波システムのための動的電力低減技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】超音波システムのための動的電力低減技術
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551680
(86)(22)【出願日】2021-02-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2021019287
(87)【国際公開番号】W WO2021173585
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】16/803,726
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519019791
【氏名又は名称】フジフイルム ソノサイト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】カフリン ジャスティン エム
(72)【発明者】
【氏名】カプラン ミッチェル エス
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン マイケル アール
(72)【発明者】
【氏名】オグル ウィリアム アール
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE15
4C601HH01
4C601HH12
4C601KK01
4C601LL25
(57)【要約】
超音波システムに使用する動的電力低減方法及び装置を説明する。一実施形態では、超音波システムは、変換器アセンブリ及び音響信号を送信する送信機を有する送信データ経路とエコーを表す音響信号を受信する受信機を備えた信号取得回路を含む受信データ経路とを有する撮像サブシステム、送信及び受信経路によって実行されている撮像作動のステータスを示す複数のリアルタイム信号、送信及び受信データ経路による使用のための1又は2以上のクロックを発生するクロック発生器、クロック発生器及び送信及び受信経路に結合され、送信及び受信経路のうちの少なくとも一方へのクロックを開閉する回路を有するクロック開閉回路、及びクロック開閉回路に結合されて複数のリアルタイム信号からの1又は2以上の信号の受信に応答して送信及び受信経路のうちの少なくとも一方へのクロック信号を自動的に開閉する又は通すように回路を制御するクロック開閉コントローラを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換器アセンブリ、及び音響信号を送信する送信機を有する送信データ経路とエコーを表す音響信号を受信する受信機を備えた信号取得回路を有する受信データ経路とを有する撮像サブシステムと、
前記送信及び受信経路によって実行されている撮像作動のステータスを示す複数のリアルタイム信号と、
前記送信及び受信データ経路による使用のための1又は2以上のクロックを発生するクロック発生器と、
前記クロック発生器及び前記送信及び受信経路に結合され、かつ該送信及び受信経路のうちの少なくとも一方へのクロックを開閉する回路を有するクロック開閉回路と、
前記クロック開閉回路に結合されて前記複数のリアルタイム信号からの1又は2以上の信号の受信に応答して前記送信及び受信経路のうちの少なくとも一方へのクロック信号を自動的に開閉する又は通すように該回路を制御するクロック開閉コントローラと、
を備えることを特徴とする超音波システム。
【請求項2】
前記クロック開閉コントローラは、前記1又は2以上の信号に応答してラインのための音響信号を送信した後で前記送信経路へのクロックを開閉して該送信経路の送信機をオフにするように前記クロック開閉回路を制御するように、かつ以前に開閉された第2のクロック信号を前記受信経路に通して有効エコー信号が受信機に到着すると予想される時に該受信機をオンにするように該クロック開閉回路を制御するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記クロック開閉コントローラは、前記1又は2以上の信号に応答して別のフレームが開始されるまで1フレームの終了時に前記送信及び受信経路へのクロックを開閉するように前記クロック開閉回路を制御するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項4】
前記クロック開閉コントローラは、連続するビームに対する送信及び受信作動のための1又は2以上の受信経路レジスタを再プログラムする必要がないことを前記撮像モードが示す時に、第1の条件に応答して、該1又は2以上の受信経路レジスタがプログラムされていることを示す前記複数のリアルタイム信号のうちの第1の信号を無視することを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項5】
前記クロック開閉コントローラは、前記1又は2以上の受信経路レジスタをプログラムする時にクロック信号を前記受信経路に通し、その後は連続するビームに対する送信及び受信作動のための該1又は2以上の受信経路レジスタを再プログラムする必要のない前記撮像モードに前記変換器がある場合に有効エコー信号が該変換器に戻るのを待ちながら該1又は2以上の受信経路レジスタをプログラムした後で該受信経路への該クロック信号を開閉しないように前記回路を制御するように構成されることを特徴とする請求項4に記載の超音波システム。
【請求項6】
前記撮像モードは、物体の中にラインを再撮像して該ライン上の該物体内の運動の変化を測定するのに使用するための一連のデータを取得する段階を含むことを特徴とする請求項5に記載の超音波システム。
【請求項7】
前記クロック開閉コントローラは、第1の条件に応答して前記受信作動の開始を示す前記複数のリアルタイム信号のうちの第1の信号を無視し、かつ送信ビームが前記変換器から送信された後に前記受信経路への前記クロックの開閉を維持し、該第1の条件は、該変換器がping発生モードにあることを示すことを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項8】
前記クロック開閉コントローラは、第1の条件に応答して前記受信作動の開始を示す前記複数のリアルタイム信号のうちの第1の信号を無視し、かつレジスタプログラミングの後で前記受信経路への前記クロックの開閉を維持し、該第1の条件は、1又は2以上の受信経路レジスタがプログラムされているが有効エコー信号取得が発生する予定がないモードに前記変換器があることを示していることを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項9】
前記モードは、システム初期化又はモード変更に関連することを特徴とする請求項8に記載の超音波システム。
【請求項10】
前記クロック開閉コントローラは、システムソフトウエアの介在なしでクロック信号を開閉する又は通すように前記回路を制御するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項11】
前記複数の信号は、
超音波システムのディスプレイ上に現在表示されている画像をフリーズしたいという願望とユーザが示したことを示す第1の信号と、
ラインの開始を示す第2の信号と、
レジスタがプログラムされていることを示す第3の信号(該レジスタは、前記受信経路のためのものである)と、
前記受信経路がエコー音響信号を受信するように有効にされたことを示す第4の信号と、
前記ラインの終点に到達したことを示す第5の信号と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項12】
超音波変換器の使用中に該超音波変換器の送信及び受信経路によって実行されている撮像作動のステータスを示す複数のリアルタイム信号をモニタする段階と、
前記複数のリアルタイム信号からの1又は2以上の信号の受信に応答して超音波変換器の前記送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置くことができる状態を自動的に検出する段階と、
前記1又は2以上のリアルタイム信号によって制御されるクロック開閉回路を使用して超音波変換器の前記送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項13】
超音波変換器の前記送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、クロック開閉コントローラを使用して、前記複数のリアルタイム信号のうちの前記1又は2以上に応答して、ラインのための音響信号を送信した後で該送信経路へのクロックを開閉して該送信経路の送信機をオフにするように前記クロック開閉回路を制御する段階と、以前に開閉された第2のクロック信号を該受信経路に通して、受信機を有効エコー信号が該受信機に到着すると予想される時にオンにするように該クロック開閉回路を制御する段階とを備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
超音波変換器の前記送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、クロック開閉コントローラを使用して、前記リアルタイム信号のうちの前記1又は2以上に応答して、別のフレームが開始されるまで1フレームの終了時に該送信及び受信経路へのクロックを開閉するように前記クロック開閉回路を制御する段階を備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
超音波変換器の前記送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、クロック開閉コントローラを使用して、第1の条件に応答して、連続するビームに対する送信及び受信作動のための1又は2以上の受信経路レジスタを再プログラムする必要がないことを前記撮像モードが示す時に、該1又は2以上の受信経路レジスタがプログラムされていることを示す前記複数のリアルタイム信号のうちの第1の信号を無視することによって前記クロック開閉回路を制御する段階を備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
超音波変換器の前記送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、クロック開閉コントローラを使用して、前記第1の条件に応答して、前記1又は2以上の受信経路レジスタをプログラムする時にクロック信号を該受信経路に通し、その後は連続するビームに対する送信及び受信作動のための該1又は2以上の受信経路レジスタを再プログラムする必要のない前記撮像モードに該変換器がある場合に有効エコー信号が該変換器に戻るのを待ちながら該1又は2以上の受信経路レジスタをプログラムした後で該受信経路への前記ククロック信号を開閉しないことによって前記クロック開閉回路を制御する段階を備えることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記撮像モードは、物体の中にラインを再撮像して該ライン上の該物体内の運動の変化を測定するのに使用するための一連のデータを取得する段階を含むことを特徴とする請求項16に記載の超音波システム。
【請求項18】
超音波変換器の前記送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、クロック開閉コントローラを使用して、第1の条件に応答して、前記受信作動の開始を示す前記複数のリアルタイム信号のうちの第1の信号を無視し、かつ送信ビームが該変換器から送信された後に該受信経路への前記クロックの開閉を維持することによって前記クロック開閉回路を制御する段階を備え、該第1の条件は、該変換器がping発生モードにあることを示すことを特徴とする請求項12に記載の超音波システム。
【請求項19】
超音波変換器の前記送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、クロック開閉コントローラを使用して、第1の条件に応答して、前記受信作動の開始を示す前記複数のリアルタイム信号のうちの第1の信号を無視し、かつレジスタプログラミングの後で該受信経路への前記クロックの開閉を維持することによって前記クロック開閉回路を制御する段階を備え、該第1の条件は、1又は2以上の受信経路レジスタがプログラムされているが有効エコー信号取得が発生する予定がないモードに該変換器があることを示すことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記モードは、システム初期化又はモード変更に関連することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記1又は2以上のリアルタイム信号によって制御されるクロック開閉回路を使用して超音波変換器の前記送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、システムソフトウエアの介在なしでクロック信号を開閉する又は通すように該回路を制御する段階を備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記複数のリアルタイム信号は、
前記超音波システムのディスプレイ上に現在表示されている画像をフリーズしたいという願望をユーザが示したことを示す第1の信号と、
ラインの開始を示す第2の信号と、
レジスタがプログラムされていることを示す第3の信号(該レジスタは、前記受信経路のためのものである)と、
前記受信経路がエコー音響信号を受信するように有効にされたことを示す第4の信号と、
前記ラインの終点に到達したことを示す第5の信号と、
を備える、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔相互参照〕
この出願は、2020年2月27日出願の「超音波システムのための動的電力低減技術」という名称の米国非仮特許出願第1の6/803、726号の早期提出日付の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の実施形態は、一般的に超音波システムに関連し、より具体的には、本発明の実施形態は、リアルタイム信号に基づいて超音波システム内で電力管理を実行することに関する。
【背景技術】
【0003】
超音波機械内のシステム電力消費は、設計者に対して有意な問題を呈する。高いシステム電力消費からもたらされるいくつかの悪影響が存在する。そのような超音波機械は、より大型でより高価な電源を含み、より短いバッテリ寿命と上昇した内部作動温度とを有し、システムコスト、複雑性、及び騒音を追加するアクティブ冷却構成要素を利用し、かつ増大した物理的フットプリントを有する。
【0004】
電力消費は、マクロレベルで対処されてきた。より具体的には、歴史的な観点から超音波機械内の電力消費問題は、一般的に超音波機械のソフトウエアの制御下にある機械に対するスリープ状態を定めることによって対処されてきた。スリープ状態では、システムの各部分は、ブロックを制御するデジタルクロックを遅らせる又は停止することによって低電力状態(例えば、より低い電力消費状態)に置かれる。システムの各部分をより低い電力状態に置くことの結果は、システムの動的電力の低減、及び潜在的な最少化である。これらの状態は、一般的に、それらがアクティブ撮像のようなマクロ機能を実行する時に発生しないようにマクロレベルで定められ、かつ一般的に超音波機械がアイドリングしている時に適用される。
【0005】
図1は、超音波検査中のマクロレベルでの電力使用を例示している。撮像状態では、データは、リアルタイムで取得されて表示される。この時に、システム電力消費は、電子機器の大部分がアクティブであるので一般的に最大である。ユーザが撮像を停止して取得データを精査する時に、システムソフトウエアは、データ取得に関連付けられた電子機器の大部分をシャットダウンし、一方でディスプレイ及び画像想起電子機器を稼働したままに残すことができる。超音波機械のこの状態は、多くの場合にフリーズ状態と呼ばれる。検査中に、ユーザは、撮像及びフリーズ状態の間を複数回切り換える場合がある。最終的に、フリーズ状態でのある一定の時間経過の後に、システムソフトウエアは、ディスプレイを終端するシャットダウンをし、図1でアイドリングとして描く更に低い電力状態に入ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スリープ状態概念を利用するために、システムソフトウエアは、スリープに行くための機会とシステムが目覚めることを要求する事象とを認識するように書かれなければならない。正味の効果は、省電力を達成するソフトウエア設計及び検証が複雑であることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
超音波システムに使用するための動的電力低減方法及び装置を説明する。一実施形態では、超音波システムは、変換器アセンブリと音響信号を送信する送信機を有する送信データ経路及びエコーを表す音響信号を受信する受信機を備えた信号取得回路を含む受信データ経路を有する撮像サブシステム、送信及び受信経路によって実行されている撮像作動のステータスを示す複数のリアルタイム信号、送信及び受信データ経路による使用のための1又は2以上のクロックを発生するクロック発生器、クロック発生器と送信及び受信経路とに結合されて送信及び受信経路のうちの少なくとも一方へのクロックを開閉する回路を有するクロック開閉回路、及びクロック開閉回路に結合されて複数のリアルタイム信号からの1又は2以上の信号の受信に応答して送信及び受信経路のうちの少なくとも一方へのクロック信号を自動的に開閉する又は通すように回路を制御するクロック開閉コントローラを備える。
【0008】
本発明は、以下に与える詳細説明から及び本発明の様々な実施形態の添付図面であるが本発明を特定の実施形態に限定するものと見なすべきではなく、むしろ単に解説及び理解のためのものである添付図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】超音波検査中のマクロレベルでの電力使用を示す図である。
図2】超音波変換器アセンブリを有する超音波変換器プローブの一実施形態を示す図である。
図3】超音波機械によって実行される表示のためのフレーム取得の簡単な説明を示す図である。
図4】撮像している間の超音波機械の一実施形態の活動を示す図である。
図5】超音波機械の受信経路のクロックの基本アクションを示す図である。
図6】超音波機械の一部分の一実施形態のブロック図である。
図7】超音波機械に対して動的電力低減を設定するための処理の一実施形態の流れ図である。
図8】超音波機械による使用のための電力低減処理の一実施形態の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、本発明のより完全な説明を提供するために多くの詳細を列挙する。しかし、これらの特定の詳細なしで本発明を実施することができることは当業者には明らかであろう。別の事例では、本発明を不明瞭にしないために、公知の構造及びデバイスは、詳細ではなくブロック図の形態に示している。
【0011】
動的電力低減を有する超音波システム及びそれを使用する方法を開示する。一実施形態では、動的電力低減は、音響信号経路のハードウエアを使用して実行され、システムソフトウエアの介在なしに自動的に省電力を検出し、デジタルクロックを透過的に制御する。一実施形態では、ハードウエアベースの動的電力低減は、上述のマクロスリープ条件と協働して又はそれに加えて実行される。一実施形態では、ハードウエアベースの動的電力低減は、アクティブに撮像している間に電力を低減するように構成される。一実施形態では、電力低減は、上記で議論したソフトウエア制御式スリープ技術に等しいか又はそれよりも大きく、ソフトウエアの複雑性が加わらないという追加の利益を有する。
【0012】
図2は、開示する技術の実施形態に従って構成された超音波変換器アセンブリを有する超音波変換器プローブの一実施形態を示している。図2を参照すると、超音波変換器プローブ200は、遠位端部分212と近位端部分214の間を延びるエンクロージャ210を含む。エンクロージャ210は、エンクロージャ210の内側部分又はキャビティに配置されたシステム電子機器(例えば、1又は2以上のプロセッサ、集積回路、ASIC、FPGA、ビーム形成器、バッテリ及び/又は他の電源)を担持する又は収容するように構成される。システム電子機器(図示せず)は、プローブの近位端に取り付けられたケーブル218を通じて超音波撮像システム230に電気的に結合される。
【0013】
プローブ先端では、1又は2以上の変換器要素を有する変換器アセンブリ220が、システム電子機器に電気的に結合される。作動において、変換器アセンブリ220は、1又は2以上の変換器要素から被検者に向けて超音波エネルギを送信し、かつ被検者から超音波エコーを受信する。超音波エコーは、送信受信回路によって電気信号に変換され、かつシステム電子機器に及び電気信号を処理して1又は2以上の超音波画像を形成するように構成された超音波撮像システム230内の電子機器(例えば、1又は2以上のプロセッサ、メモリモジュール、ビーム成形器、FPGAなど)に電気的に送信される。
【0014】
例示的変換器アセンブリ(例えば、変換器アセンブリ220)を使用して被検者から超音波データを取り込む段階は、一般的に、超音波を発生させる段階と、被検者に超音波を送信する段階と、被検者によって反射された超音波を受信する段階とを含む。例えば低周波数超音波(例えば、15MHz未満)及び/又は高周波数超音波(例えば、15MHzよりも高いか又はそれに等しい)のような超音波の広範な周波数を使用して超音波データを取り込むことができる。当業者は、例えば、以下に限定するものではないが、撮像深度及び/又は望ましい分解能のような因子に基づいてどの周波数範囲を使用すべきかを容易に決定することができる。
【0015】
一実施形態では、超音波撮像システム230は、1又は2以上のプロセッサを有する超音波制御サブシステム231を含む。少なくとも1つのプロセッサは、プローブ200の変換器に電流を送って音波を放出させ、かつ戻ってくるエコーから生成された電気パルスをプローブから同じく受信する。プロセッサは、受信電気パルスに関連付けられた生データを処理し、画像を表示画面233上に表示する超音波撮像サブシステム232に送られる画像を形成する。すなわち、表示画面233は、超音波制御サブシステム231のプロセッサによって処理された超音波データからの超音波画像を表示する。
【0016】
一実施形態では、超音波システムはまた、データを入力し、超音波表示サブシステムのディスプレイから測定値を取ることを可能にする1又は2以上のユーザ入力デバイス(例えば、キーボード、カーソル制御デバイスなど)、取得画像を保存するためのディスクストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD))、及び表示データから画像を印刷するプリンタを有する。これらも、本明細書に開示する技術を不明瞭にしないために図2には示していない。
【0017】
図3は、超音波機械によって実行される表示のためのフレーム取得の簡略化された説明を示している。フレームは、ディスプレイ上に画像を形成するのに必要なデータ量を表している。データのフレームの連続的取得及び表示は、超音波機械が観察されている物体の運動を示すことを可能にする。
【0018】
図3を参照すると、フレームは、皮膚ライン302からある深度に位置付けられる当該の物体304に向けて変換器301が発生させた複数(N個)の送信ビーム303と、送信ビーム303の各々からのエコー戻りとで構成される。一実施形態では、これらのビーム303は、フレームを発生させる時間を最小限にするために時間的に密な間隔で配置される。表示が更新される頻度を示すフレームレートは、一般的に、フレームの取得時間に関連する。多くの用途では、表示電子機器がついて行けないために又はユーザが1つのフレームから次のフレームへの変化を知覚することができないために、超音波機械は、最大フレームレートで作動する必要はない。1つのフレームの終点から次のフレームの開始まで間隙があることが多く、これを本明細書ではフレームホールドオフ時間と呼ぶ。図4は、撮像中の超音波機械の一実施形態の活動を示している。図4を参照すると、複数の送信/受信ビームが経時的に取得されるフレーム1~Nについて示されている。これらのフレームの各々の間が、フレームホールドオフ時間である。
【0019】
フレーム内のN個の送信/受信ビーム303の各々は、その活動の観点から更に調べることができる。簡単のために、受信経路を動的電力低減の観点から以下で説明するが、本明細書に開示する動的電力低減技術は、送信経路にも適用することができることを理解しなければならない。一実施形態では、送信経路は、個々の変換器要素を励起するのに使用される電子機器を指す。送信経路に関する一部の共通構成要素は、変換器要素に通電するのに使用される高電圧ドライバ回路群、発生した音響ビームのフォーカスを制御するために高電圧ドライバへの信号のタイミングを制御する1組の遅延回路、及び高電圧ドライバへの信号の形状を制御する波形テーブル(例えば、ルックアップテーブル(LUT)又は他のメモリ)である。一実施形態では、受信経路は、送信ビームに応答して変換器要素が検出した低レベルエコーを処理するのに使用される電子機器を備える。電子機器を実行する典型的な作動は、固定増幅器と時間可変増幅器の両方を使用する戻り信号の増幅、フィルリング、アナログ領域からデジタル領域への信号変換、及び受信ビーム成形である。この最後の作動は、デジタル的にサンプリングされた戻り信号の時間整合を伴う受信開口を生成してコヒーレント受信ビームを形成する時間可変デジタル利得を含む。
【0020】
図5は、超音波機械の一実施形態に関する受信経路のクロックの基本アクションを示している。単一送信/受信ビームに対するタイミングに関連して動的に受信経路クロックを選択的にオン/オフにするのに使用されるいくつかの事象が存在する。これは、撮像中にクロックが動的に開始及び停止するので、上述のマクロ制御とは異なるものである。一実施形態では、クロックを開始及び停止する決定は、データ取得中のリアルタイム信号に基づいて実行される。
【0021】
図5を参照すると、受信経路クロックはオフである(501)。受信信号経路は、所与の送信/受信作動中に各受信チャネルに独特な多くのパラメータを有する。一実施形態では、パラメータは、送信経路及び受信経路に関して議論したものである。一実施形態では、パラメータは、各送信機及び受信機に対する個々の送信及び受信遅延、時間可変利得を制御するデータ、及び/又はチャネル較正データを含む。一実施形態では、パラメータをプログラムするために受信経路へのクロックはアクティブである(502)(図5でのT1→T2)。プログラミングが完了すると、クロックはシャットオフされ(503)、有効なエコー戻りデータが変換器に到達するまでオフのままであり(T2→T3)、到達の時点でクロックはデータ取得持続時間(T3→T4)にわたってオン(504)のままとすることができる。最後に、クロックはシャットオフされ(505)、次の取得のために受信経路を再プログラムする時間になるまでオフのままである。
【0022】
図6は、超音波機械の一部分の一実施形態のブロック図である。図6を参照すると、超音波機械は、クロック発生器602に結合されたクロック開閉制御サブシステム601を含む。一実施形態では、クロック発生器602は、クロック信号を発生させるために位相同期ループ(PLL)603を含む。クロック発生器602は、自励クロック606をサブシステム607及び超音波制御サブシステム610に提供する。一実施形態では、サブシステム607は撮像サブシステムの一部であり、音響信号(例えば、エコー)を受信して処理する受信経路608と、状態信号及び制御信号をクロック開閉制御サブシステム601に与えるステータス及び制御モジュールとを含む。一実施形態では、サブシステム607は、超音波機械に対する音響信号を発生させて送信する超音波機械のための送信経路を含む。
【0023】
超音波制御サブシステム610は、超音波機械の作動を制御する。一実施形態では、超音波制御サブシステム610は、ステータス信号を発生させる。一実施形態では、超音波制御サブシステム610は、クロック開閉制御サブシステム601に送信及び受信されるステータス信号を発生させる。
【0024】
一実施形態では、サブシステム607及び超音波制御サブシステム610によって発生されてクロック開閉制御サブシステム601に送信及び受信されるこれらの信号は、超音波システムのディスプレイ上に現在表示されている画像をユーザがフリーズさせたいと示したことを示す第1の信号(例えば、フリーズ信号621)、ラインの開始を示す第2の信号(例えば、ライン開始信号622)、レジスタがプログラムされていることを示す第3の信号(レジスタは、受信経路のためのものである)(例えば、プログラミングレジスタ信号623)、受信経路がエコー音響信号を受信することを有効にされたことを示す第4の信号(例えば、受信_開始信号624)、及びラインの終点に到達したことを示す第5の信号(例えば、ラインの終点信号625)を備えるリアルタイム信号である。
【0025】
クロック開閉制御サブシステム601は、超音波機械の異なる部分に対してクロックの開閉/非開閉によるクロック制御を実行するために信号621~625を使用する。一実施形態では、クロック開閉制御サブシステム601は、信号621~625を使用し、図5に示すような取得中の典型的な送信/受信ビームの時系列に従って超音波機械の異なる部分に対してクロックの開閉/非開閉によるクロック制御を実行する。例えば、クロック開閉制御サブシステム601は、ゲート604を制御して受信経路608に対する1又は2以上のクロック605を有効及び無効にする。例えば、フリーズ信号621に応答してクロック開閉制御サブシステム601は、ゲート604を制御して受信経路608に対する1又は2以上のクロック605を無効するが、それは、超音波機械のユーザが表示をフリーズしている間は、エコーは受信されないことになるからである。
【0026】
別の例として、プログラミングレジスタ信号623に応答して、クロック開閉制御サブシステム601は、ゲート604を制御し、レジスタがプログラムされている間は、受信経路608に対する1又は2以上のクロック605を有効にする。プログラミングレジスタ信号623の変化で示されるようにプログラミングが完了した後に、クロック開閉制御サブシステム601は、ゲート604を制御して受信経路608に対する1又は2以上のクロック605を無効にし、送信セクションがビームの送信を終えた後に、受信経路608で受信される有効なエコーが変換器に戻ってくるまで受信経路608を低減電力消費状態に置くことができる。
【0027】
更に別の例として、受信開始信号624に応答して、クロック開閉制御サブシステム601は、ゲート604を制御し、受信経路608に対する1又は2以上のクロック605を有効にして受信すべき変換器への有効なエコー戻りを受信するために受信経路608に給電することができ、そうでなければ受信経路へのクロック605を無効にして受信経路を低減電力消費状態に置く。同様に、クロック開閉制御サブシステム601は、受信開始信号624を使用して、受信経路608がエコーを受信している間は送信経路に対する1又は2以上のクロック605を無効にし、送信経路を低減電力消費状態に置く(その間は、送信経路がビームを送信しないので)。
【0028】
エコーの受信を終え、ラインの終点信号625で示されるようにラインの終点に到達した後に、クロック開閉制御サブシステム601は、ゲート604を制御し、受信経路608に対する1又は2以上のクロック605を無効にし、新しいラインが開始される及び/又はレジスタのプログラミングが実行されるまで低減電力消費状態に置くことができる。
【0029】
更に別の例として、ラインの開始信号622に応答して、クロック開閉制御サブシステム601は、ゲート604を制御し、送信経路に対する1又は2以上のクロックを有効にし、変換器からビームを送信するために送信経路に給電することができる。一実施形態では、類似のクロック開閉手法が、電力を低減する(すなわち、送信していない場合に送信論理部をシャットダウンする)ように送信経路に適用される。
【0030】
一実施形態では、クロック開閉制御サブシステム601は、超音波機械の異なる部分に対してクロックの開閉/非開閉によるクロック制御を実行するために信号621~625を1又は2以上の条件(例えば、条件640)と共に使用する。この場合に、特定のシーケンスに対して実行されるクロック制御は、図5に示す画像取得中の送信/受信ビームの時系列とは異なっている。従って、クロック開閉制御サブシステム601は、超音波機械の異なる部分に対してクロックの開閉/非開閉によるクロック制御を実行する時に別の制御シーケンスを取り扱う。
【0031】
一実施形態では、これらのシーケンスは以下のうちの1又は2以上を含む:
【0032】
1)連続する送信/受信ビーム間でレジスタの再プログラミングが必要とされず、従って、時間間隔T1→T2が0である撮像モード。これは、例えば、ライン上にある物体の運動の変化を測定する時に使用するための一連のデータを取得するために物体内にラインを再撮像する時であり、ラインを再撮像する場合にレジスタが典型的にプログラムされている時間中にクロックをオンにする必要はなく、従って、クロックは、戻ってくるエコー値を取り込む時間になるまでオフに留まる。
【0033】
2)受信経路608によってデータは取得されないが、送信/受信ビーム間の時間遅延が望ましい場合のダミーping発生。この場合に、送信及び受信が発生しないので、「ダミー」ping発生中にレジスタをプログラムする必要はない。従って、レジスタをプログラムする時に典型的にオンにされるクロックは、オフのままとすることができる。
【0034】
3)システムの初期化又は受信経路によってデータは取得されないがレジスタのプログラミングが必要なモード変更。
【0035】
連続する送信/受信ビーム間でレジスタの再プログラミングが必要でない撮像モードの場合に、クロック開閉制御サブシステム601は、図5のT0からT3まで受信経路を電力低減状態に維持する。この挙動は、入力条件640のうちの1つによって識別される。この条件は、623に応答してクロックが有効にされるベースライン挙動からの逸脱を表している。
【0036】
一実施形態では、ダミーping発生の場合に、クロック開閉制御サブシステム601は、クロック開閉コントローラを使用して、変換器がping発生モードにあるか否かを示す条件640のうちの1つに応答して受信経路へのクロックを制御する。そのような場合に、データは取得されないが送信/受信ビーム間の時間遅延が望ましいので、超音波機械がping発生モードにある場合に、クロック開閉制御サブシステム601は、受信経路608がエコーを受信する予定であることを受信開始信号624が示す時に、クロック開閉を通して受信経路へのクロック信号を電力低減モードに維持する。
【0037】
一実施形態では、システム初期化又はモード変更では、モード変更は、撮像モード及び表示されるデータのタイプが変更される時を指す。これに関する一例は、グレースケール画像からカラー画像に切り換えることとすることができるが、この場合に、撮像は停止し、システムは、カラーデータを取得するために再初期化され、クロック開閉制御サブシステム601は、クロック開閉コントローラを使用して、超音波機械がシステム初期化中か又はモード変更中かを示す条件640の1つに応答して受信経路へのクロックを制御する。そのような場合に、クロック開閉制御サブシステム601は、レジスタをプログラムする時に受信経路へのクロックを有効にするが、その後に、図5の時系列に従ってエコーが変換器に戻される時間に応じて受信経路へのクロックを再有効化せず、それはデータ取得が実行されないからである。
【0038】
図7は、動的電力低減処理を設定する処理の一実施形態の流れ図である。この処理は、ハードウエア(回路、専用論理部など)、ソフトウエア(例えば、チップ上で稼働するソフトウエア)、ファームウエア、又はそれら3つの組合せを備える処理論理部によって実行される。
【0039】
図7を参照すると、この処理は、低電力状態に置かれる場合があるサブシステムと、それらのクロック(処理ブロック701)及び全てのシステムクロック(処理ブロック702)をシャットオフすることに関連付けられた時間及び事象とを定めることで始まる。一実施形態では、動的に開閉されたクロックは、同じ周波数で自励するクロックから導出された独立クロックとして扱われる。より具体的には、一実施形態では、各クロックについて、処理論理部は、それに取り付けられた全てのブロックを調べ、これらのブロックのどれがブロックの機能を変更せずに通常作動中の何らかの時点でオフにすることができる論理部を含有するかを識別する。次に、クロックの停止に関連付けられた事象が列挙される。
【0040】
処理は、各サブシステムに関して、システム内の活動に基づいてレジスタをクロック領域にグループ分けすることで継続される(処理ブロック703)。グループ分けの後に、処理は、それらがシステムソフトウエアと対話し、いつでもアクセスされる可能性があるために、常にアクティブであるままになるレジスタを識別し(処理ブロック704)、システムが撮像していない時だけスリープモードに入ることができるレジスタを識別する。これらのレジスタは、長い目覚め時間を有する他のシステム構成要素を制御することができ(処理ブロック705)、アクティブに撮像している間の様々な時間にシャットオフすることができるレジスタを識別する(処理ブロック706)。一実施形態では、これらのレジスタは、サブシステムのデータ経路又はデータ経路制御に存在する。
【0041】
最後に、処理は、各サブシステムに関して、処理ブロック701によって定められた入力に基づいてクロック制御構造を定める。一実施形態では、制御構造は、自励クロックによって計時され、その対応するクロック開閉回路に対するリアルタイム制御を発生する。
【0042】
図8は、超音波機械による使用のための電力低減処理の一実施形態の流れ図である。この処理は、ハードウエア(回路、専用論理部など)、ソフトウエア(例えば、チップ上で稼働するソフトウエア)、ファームウエア、又はそれら3つの組合せを含む処理論理部によって実行される。
【0043】
図8を参照すると、処理は、超音波変換器の使用中に超音波変換器の送信及び受信経路によって実行されている撮像作動のステータスを示す複数のリアルタイム信号を処理論理部がモニタする段階から始まる(処理ブロック801)。
【0044】
リアルタイム信号をモニタする間に、処理論理部は、複数のリアルタイム信号からの1又は2以上の信号の受信に応答して超音波変換器の送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置くことができる状態を自動的に検出する(処理ブロック802)。
【0045】
状態を検出することに応答して、処理論理部は、1又は2以上のリアルタイム信号によって制御されるクロック開閉回路を使用して超音波変換器の送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く(処理ブロック803)。
【0046】
一実施形態では、超音波変換器の送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、クロック開閉コントローラを使用して、複数のリアルタイム信号の1又は2以上に応答してクロック開閉回路を制御し、ラインのための音響信号を送信した後で送信経路へのクロックを開閉して送信経路の送信機をオフにする段階と、クロック開閉回路を制御して以前に開閉された第2のクロック信号を受信経路に通し、有効エコー信号が受信機に到着すると予想される時に受信機をオンにする段階とを含む。
【0047】
一実施形態では、超音波変換器の送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、クロック開閉コントローラを使用して、リアルタイム信号の1又は2以上に応答してクロック開閉回路を制御し、別のフレームが開始されるまで1フレームの終了時に送信及び受信経路へのクロックを開閉する段階を含む。
【0048】
一実施形態では、超音波変換器の送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、クロック開閉コントローラを使用して、第1の条件に応答してクロック開閉回路を制御し、連続するビームに対する送信及び受信作動のための1又は2以上の受信経路レジスタを再プログラムする必要がないことを撮像モードが示す場合に、1又は2以上の受信経路レジスタがプログラムされていることを示す複数のリアルタイム信号のうちの第1の信号を無視する段階を含む。一実施形態では、超音波変換器の送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、クロック開閉コントローラを使用して、第1の条件に応答して1又は2以上の受信経路レジスタをプログラムする時にクロック信号を受信経路に通し、その後は連続するビームに対する送信及び受信作動のための1又は2以上の受信経路レジスタを再プログラムする必要のない撮像モードに変換器がある場合に、有効なエコー信号が変換器に戻ってくるのを待つ間、1又は2以上の受信経路レジスタをプログラムした後で受信経路へのクロック信号を開閉しないことにより、クロック開閉回路を制御する段階を含む。一実施形態では、撮像モードは、ライン上にある物体の運動の変化を測定するのに使用するための一連のデータを取得するために物体の中にラインを再撮像する段階を含む。
【0049】
一実施形態では、超音波変換器の送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、クロック開閉コントローラを使用して、第1の条件に応答して受信作動の開始を示す複数のリアルタイム信号のうちの第1の信号を無視し、送信ビームが変換器から送信された後に受信経路へのクロックの開閉を維持することにより、クロック開閉回路を制御する段階を備え、第1の条件は、変換器がping発生モードにあることを示している。
【0050】
一実施形態では、超音波変換器の送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、クロック開閉コントローラを使用して、第1の条件に応答して受信作動の開始を示す複数のリアルタイム信号のうちの第1の信号を無視し、レジスタプログラミング後で受信経路へのクロックの開閉を維持することにより、クロック開閉回路を制御する段階を備え、第1の条件は、1又は2以上の受信経路レジスタがプログラムされているにも関わらず、有効なエコー信号取得の生じる予定がないモードに変換器があることを示している。一実施形態では、当該モードは、システム初期化又はモード変更に関するものである。
【0051】
一実施形態では、1又は2以上のリアルタイム信号によって制御されるクロック開閉回路を使用して超音波変換器の送信及び受信経路の一方又は両方を低減電力消費状態に置く段階は、この回路を制御してシステムソフトウエアの介在なしでクロック信号を開閉する又は通す段階を含む。
【0052】
一実施形態では、処理は、クロック開閉コントローラを使用して回路を制御し、1又は2以上の受信経路レジスタをプログラムする時にクロック信号を受信経路に通し、その後は連続するビームに対する送信及び受信作動のための1又は2以上の受信経路レジスタを再プログラムする必要のない撮像モードに変換器がある場合に、有効なエコー信号が変換器に戻ってくるのを待つ間、1又は2以上の受信経路レジスタをプログラムした後で受信経路へのクロック信号を開閉しないことによって受信経路へのクロック信号を開閉しないようにする段階を更に備える。一実施形態では、撮像モードは、ライン上にある物体の運動の変化を測定するのに使用するための一連のデータを取得するために物体の中にラインを再撮像する段階を含む。
【0053】
一実施形態では、複数のリアルタイム信号は、超音波システムのディスプレイ上に現在表示されている画像をユーザがフリーズさせたいと示したことを示す第1の信号(例えば、フリーズ信号621)、ラインの開始を示す第2の信号(例えば、ラインの開始信号622)、レジスタ(受信経路のための)がプログラムされていることを示す第3の信号(例えば、プログラミングレジスタ信号623)、受信経路がエコー音響信号を受信することができるように構成されたことを示す第4の信号(例えば、受信開始信号624)、及びラインの終点に到達したことを示す第5の信号(例えば、ラインの終点信号625)を備える。
【0054】
上記で議論したように、電力低減は、信頼性を高めるために構成要素の温度を下げ、コストを低減し、かつバッテリ寿命を延ばすシステム電源への要求を軽減し、コスト、騒音、及び複雑性を低減するアクティブ冷却システムに対する必要性を排除/低減し、ソフトウエア制御を簡易化し、より小さい形状因子製品の設計を可能にし、変換器ハンドルのような密封構成要素内への追加の電子機器の統合を可能にする。
【0055】
関連上明らかに他を意味しない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通して「備える」及び「備えている」などのような単語は、限定的又は包括的な意味に対立するものとして包括的な意味で、すなわち、「含むがこれに限定されない」という意味で解釈されなければならない。本明細書に使用する時に、用語「接続された」、「結合された」、又はそれらのあらゆる変形は、2又は3以上の要素間の直接又は間接のいずれか接続又は結合を意味し、要素間の結合又は接続は、物理的、論理的、又はその組合せとすることができる。更に、「本明細書に」、「上記に」、「下記に」、及び類似の趣旨の単語は、この出願に使用する時にこの出願を全体として指し、この出願のいずれの特定部分も指さない。関連が許す限り、上述の詳細説明では単数又は複数を使用する単語は、それぞれ複数又は単数を含むことができる。「又は」という言葉は、2又は3以上の項目のリストに関連してこの単語に関する以下の解釈の全てを包含する:リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目の全て、及びリスト内の項目に関するあらゆる組合せ。
【0056】
上述の詳細説明に関するいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する作動のアルゴリズム及び記号表現の観点から提示されている。これらのアルゴリズミックな説明及び表現は、データ処理技術の当業者が、他の当業者に自分の仕事の実体を最も有効に伝えるのに使用するための手段である。アルゴリズムは、ここではかつ一般的に望ましい結果に至る自己矛盾のない一連の段階であると考えられる。その段階は、物理量の物理的操作を必要とするものである。必ずしもそうではないが、通常、これらの量は、格納、転送、結合、比較、及び別様の操作が可能な電気信号又は磁気信号の形態を取る。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数などとして言及することは、主として一般的な使用上の理由から時に有利であることが判明している。
【0057】
しかし、これら及び類似の用語の全ては、適切な物理量に関連付けられるべきものであり、これらの量に付与される有利なラベルに過ぎないことを心に留めておく必要がある。以下の説明から明らかなように特に別段の記載がない限り、本明細書を通して「処理」又は「演算」又は「計算」又は「決定」又は「表示」のような用語を利用する説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(電子的)量として表現されるデータを操作してコンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報格納、伝送、又は表示デバイス内の物理量として同様に表現される他のデータに変換するコンピュータシステム又は類似の電子コンピュータデバイスの作動及び処理を指すことは認められる。
【0058】
本発明はまた、本明細書の作動を実行するための装置に関する。この装置は、必要な目的のために特別に構成することができ、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に作動するか又は再設定される汎用コンピュータを含むことができる。そのようなコンピュータプログラムは、以下に限定するものではないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び光磁気ディスクを含むあらゆるタイプのディスク、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、又は電子的命令の格納に適するあらゆるタイプの媒体のようなコンピュータ可読ストレージ媒体に格納され、各々がコンピュータシステムバスに結合されるものとすることができる。
【0059】
本明細書に提示するアルゴリズム及び表示は、本質的に特定のコンピュータ又は他の装置に関連付けられるものではない。様々な汎用システムは、本明細書の教示によるプログラムと共に使用することができ、又は必要な方法段階を実行するためにより特殊な装置を含むことが有利であると判明する可能性もある。様々なこれらのシステムに必要な構造は、以下の説明から明らかになることになる。これに加えて、本発明は、いずれも特定のプログラミング言語に関連して説明されない。様々なプログラミング言語を使用して本明細書に説明する本発明の教示を実施することができることは認められるであろう。
【0060】
機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)で可読な形態で情報を格納又は伝送するためのあらゆる機構を含む。例えば、機械可読媒体は、読取専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスクストレージ媒体、光学ストレージ媒体、フラッシュメモリデバイスなどを含む。
【0061】
以上の説明を読んだ後で本発明の多くの代替及び変更形態が当業者には間違いなく明らかになる一方で例示として図示して説明したいずれの特定の実施形態も決して限定的と見なされることを意図していないは理解されるものとする。従って、様々な実施形態の詳細への言及は、それ自体が本発明の本質と見なされる特徴だけを列挙する特許請求の範囲を限定することを意図していない。
図1
図2
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図6
図7
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【国際調査報告】