IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイエックスティー,インコーポレーテッドの特許一覧

特表2023-516634低エッチピット密度、低すべり線密度、および低ひずみのリン化インジウム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】低エッチピット密度、低すべり線密度、および低ひずみのリン化インジウム
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/40 20060101AFI20230413BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
C30B29/40 A
H01L21/66 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552134
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 US2021020111
(87)【国際公開番号】W WO2021174137
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/983,244
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504348747
【氏名又は名称】エイエックスティー,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】AXT,INC.
【住所又は居所原語表記】4281 Technology Drive,Fremont,CA 94538,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,モリス
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウェイグオ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ウェン・ウァン
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,サンニー・ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ウェイ
【テーマコード(参考)】
4G077
4M106
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077AB01
4G077AB06
4G077BE44
4G077CD04
4G077HA06
4M106AA01
4M106CA18
4M106CB19
4M106CB20
4M106DH25
4M106DH34
(57)【要約】
低エッチピット密度、低すべり線密度、および低ひずみのリン化インジウムのための方法およびウェーハが開示され、10.16cm(4インチ)以上の直径を有し、X線回折イメージングによって測定された時に500cm-2未満の実測エッチピット密度を有し、5つ未満の転位またはすべり線を有するリン化インジウム単結晶ウェーハを含み得る。このウェーハは、200cm-2以下、100cm-2以下、または10cm-2以下の実測エッチピット密度を有し得る。ウェーハは、15.24cm(6インチ)以上の直径を有し得る。零の実測エッチピット密度を有するウェーハの面積は、表面の総面積の少なくとも80%であり得る。零の実測エッチピット密度を有するウェーハの面積は、表面の総面積の少なくとも90%であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10.16cm(4インチ)以上の直径を有し、X線回折イメージングによって測定された時に500cm-2未満の実測エッチピット密度を有し、5つ未満の転位またはすべり線を有するリン化インジウム単結晶ウェーハ。
【請求項2】
前記ウェーハは、200cm-2以下の実測エッチピット密度を有する、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項3】
前記ウェーハは、100cm-2以下の実測エッチピット密度を有する、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項4】
前記ウェーハは、10cm-2以下の実測エッチピット密度を有する、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項5】
前記ウェーハは、15.24cm(6インチ)以上の直径を有する、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項6】
零の実測エッチピット密度を有する前記ウェーハの面積は少なくとも80%である、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項7】
零の実測エッチピット密度を有する前記ウェーハの面積は少なくとも90%である、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項8】
前記ウェーハの比抵抗プロットは、前記ウェーハの中心から外縁部へ比抵抗が増加する領域を有するブルズアイパターンを有する、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項9】
電子素子および/または光電子素子が前記ウェーハの第1の表面に形成される、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項10】
前記ウェーハは、300μm以上の厚さを有する、請求項1に記載のウェーハ。
【請求項11】
単結晶リン化インジウム基板を形成する方法であって、
多結晶リン化インジウム種結晶と、B封止材料と、ドーパントとを含むチャージ原料をるつぼに封止するステップと、
前記るつぼを石英アンプルに封止するステップと、
前記種結晶の一部が融解するまで前記チャージ原料を徐々に融解するために多帯加熱装置を使用して前記アンプルを加熱することによって垂直勾配凍結結晶成長プロセスを実行するステップと、
前記多帯加熱装置の制御された冷却を実施することによって、部分的に融解された前記種からの成長を開始するステップと、
融体-結晶界面において1°C/cmと8°C/cmとの間の温度勾配を印加するステップと、
凝固リン化インジウム結晶を形成するために、前記多帯加熱装置において冷却速度を使用して前記融体に対して窪むように前記界面の形状を制御するステップと、
500cm-2以下のエッチピット密度を有する、直径10.16cm(4インチ)以上のリン化インジウムウェーハを創製するために前記結晶をスライスするステップと、
を含む方法。
【請求項12】
0.1から2°C/hの速度で前記多帯加熱装置の前記冷却を制御するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記るつぼを前記石英アンプルに封止する前に前記るつぼを真空にするステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の300°Cに対して異なる加熱帯のために0.5から5°C/h、1から10°C/h、および5から20°C/hの速度で、その後、室温へ20~50°C/hの速度で、凝固された前記チャージ原料を冷却するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記融体に対して窪むように前記界面形状を制御するステップを含み、中心は前記凝固結晶の前記縁部よりも約10mm以下だけ低い、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記ウェーハは、15.24cm(6インチ)以上の直径を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記ウェーハは、200cm-2以下の実測エッチピット密度を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記ウェーハは、100cm-2以下の実測エッチピット密度を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記ウェーハは、10cm-2以下の実測エッチピット密度を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
半導体基板であって、
10.16cm(4インチ)または15.24cm(6インチ)の直径を有し、X線回折イメージングによって測定された時に50cm-2未満のエッチピット密度を有し、5つ未満の転位またはすべり線を有するリン化インジウム単結晶ウェーハを含む、
半導体基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照/参照による組み込み
[0001]本願は、2020年2月28日出願の米国仮出願第62/983,244号に対する優先権および利点を主張するものである。
【0002】
[0002]本開示の特定の実施形態は、半導体基板に関する。より詳しくは、本開示の特定の実施形態は、低エッチピット密度、低すべり線密度、および低ひずみのリン化インジウムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]半導体基板、特にIII-V族半導体基板は、例えば、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、pseudo-morphic high-electron mobility transistor(pHEMT)、レーザー、および検出器などの電子素子及び光電子素子の製造において使用される。基板における欠陥は、歩留まりを下げ、コストを増加させ得る。
【0004】
[0004]そのようなシステムを、図面を参照した本願の以下の部分において記載されるような本開示と比較することによって、従来のアプローチや通常のアプローチのさらなる制約および欠点が当業者にとって明らかとなるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]図のうちの少なくとも1つと関連して実質的に図示および/または説明され、請求項においてより完全に記載される、低エッチピット密度、低すべり線密度、および低ひずみのリン化インジウムのためのシステムおよび/または方法。
【0006】
[0006]本開示の様々な利点、態様および新規の特徴とともに、その例示される実施形態の詳細は、以下の説明および図面からより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0007]本開示の例示的な実施形態による、垂直勾配凍結反応器を図示する図である。
図2】[0008]図1に示す垂直勾配凍結炉100を使用してリン化インジウムウェーハを作製するための方法を図示する図である。
図3A】[0009]本開示の例示的な実施形態による、異なる成長技法からのリン化インジウム基板のためのX線回折イメージング結果を示す図である。
図3B】本開示の例示的な実施形態による、異なる成長技法からのリン化インジウム基板のためのX線回折イメージング結果を示す図である。
図3C】本開示の例示的な実施形態による、異なる成長技法からのリン化インジウム基板のためのX線回折イメージング結果を示す図である。
図3D】本開示の例示的な実施形態による、異なる成長技法からのリン化インジウム基板のためのX線回折イメージング結果を示す図である。
図4A】[0010]本開示の例示的な実施形態による、10.16cm(4インチ)のInP基板のための比抵抗分布図を示す図である。
図4B】[0011]本開示の例示的な実施形態による、10.16cm(4インチ)のVGF InP基板のエッチピット密度測定を示す図である。
図4C】[0012]本開示の例示的な実施形態による、15.24cm(6インチ)のVGF硫黄ドープInP基板のエッチピット密度測定を示す図である。
図4D】[0013]本開示の例示的な実施形態による、15.24cm(6インチ)のVGF鉄ドープInP基板のエッチピット密度測定を示す図である。
図5A】[0014]本開示の例示的な実施形態による、欠陥検知のための基板の光ルミネセンス測定を示す図である。
図5B】[0015]本開示の例示的な実施形態による、非VGFの7.62cm(3インチ)のInP基板の比抵抗、光ルミネセンスおよびエッチピット密度測定を示す図である。
図5C】[0016]本開示の例示的な実施形態による、エッチピット密度測定と、X線回折イメージングとの比較を示す図である。
図6】[0017]本開示の例示的な実施形態による、リン化インジウム基板の光弾性測定を示す図である。
図7】[0018]本開示の例示的な実施形態による、基板の光電子測定のための移相および応力方向の結果を示す図である。
図8】[0019]本開示の例示的な実施形態による、低エッチピット密度のリン化インジウムウェーハに作製された素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0020]本開示の特定の態様は、低エッチピット密度、低すべり線密度、および低ひずみのリン化インジウムのための方法およびウェーハに見られ得る。
[0021]図1は、本開示の例示的な実施形態による、垂直勾配凍結反応器を図示する図である。図1を参照すると、アンプル110、支持部107、加熱コイル120、およびるつぼ130を備える垂直勾配凍結(VGF)システム100が示される。アンプル110内で、垂直構成において種結晶101および融液105を使用して成長が進行可能であり、融液105の非常にゆるやかな冷却に起因して、固体103が発生する。るつぼ130は、例えば熱分解窒化ホウ素(PBN)を含んでもよく、処理中の融解材および種材を含有し得る。
【0009】
[0022]VGFシステム100は、成長チャージのための構成、加熱装置、絶縁、および支持構造を備える。加熱コイル120は、結晶成長チャージおよび種結晶101における円錐の高さより上に直接放射を提供するように構成され得る。VGFシステム100は、加熱コイル120内のアンプル110の支持のための支持構造107をさらに備え得る。さらに、絶縁109は、成長中の内向きの放射状熱流束と成長後プロセスおよび冷却中の熱除去とを促進するために、支持構造107内に配置され得る。支持構造107は、成長アンプル110のためのシリンダーを備えてもよく、このシリンダーは、中心を通る下向きの導電熱流路を提供するために、種結晶101を保持する種ポケットの下方に中空コアを備え得る。加熱装置の底部までの石英ロッドの直径が大きいほど、下向きの熱流はさらに促進され、より安定した状態となる。
【0010】
[0023]VGFプロセスにおいて、アンプル110のるつぼ130における多結晶チャージである種結晶101は、加熱コイル120によって示されるような多帯炉を用いて加熱され得る。結晶成長は種結晶101へのチャージを融解することによって開始され、それにより融液105を発生させ、種結晶101における融液105を冷却する温度をゆっくりと低下させる。固体103を発生させる結晶化プロセスは、加熱コイル120の異なる部分に対して異なる電流を印加するなど、炉の異なる帯において徐々に変化する温度を変化させることによって高精度に制御され得る。それに応じて、加熱コイル120は、異なる温度、加熱速度/冷却速度、および空間温度プロファイルが可能である多帯加熱装置を備えてもよい。
【0011】
[0024]VGFプロセスは、液体封止チョクラルスキー(LEC)および水平ブリッジマン(HB)などの他のプロセスを上回るいくつかの利点を有する。第1に、結晶および融体の熱環境は放射状に対称的であり、平面状の成長界面および温度プロファイルの高精度の制御を可能とする。第2に、るつぼによって課された直径制御と組み合わせた低軸上温度勾配および放射状温度勾配における成長と、結晶を高速で凍結させるために大きい温度勾配を使用する必要がないこととは、結晶において、ひずみと、したがって転位とを顕著に減少させる。第3に、液固界面が融体を通って上向きに進行し、るつぼの底部の種結晶101で結晶化が開始する。システムは底部においてより冷たく、対流に対して熱的に安定化される。冷却プロセスにおいても、容易に調節可能な冷却は、応力、したがって転位およびすべり線を最小限にする速度で、結晶を室温とする。
【0012】
[0025]結晶成長前に、リン化インジウム(InP)多結晶体は、複統合によって事前に作製され得る。この複統合プロセスは、ボート法を使用して石英反応管において実行され得る。多結晶InPが生成されると、VGF結晶成長が進行し得る。低EPDを実現するため、いくつかのVGFパラメータが注意深く制御される。第1のパラメータは、融体に対して窪んだ状態、平らな状態、または突出した状態となるように制御され得る融体/結晶界面140の形状を含み得る。例えば、界面140は、10mmだけ窪んでもよく、または突出してもよく、その中心が結晶の縁部よりも約5mm以下~20mmだけ低くてもよく、又は高くてもよい。これは、異なる時間的および/または空間的温度プロファイルを用いて制御され得る。
【0013】
[0026]第2に、冷却速度によって制御されるような結晶化速度は、例えば、1°C/時未満となるように構成され得る。インゴットの異なる部分において異なる凝固速度が構成され得る。成長している結晶に沿った温度勾配は、ボウルにおいて応力を発生させ、先端部は早期に冷え、場合によっては、先端部は、末端部よりも約100度以下だけ低温となり得るため、高精度な制御が望ましい。
【0014】
[0027]最後に、融体/結晶界面における温度勾配は、融体/結晶界面を制御するように構成されてもよく、その場合、多くのプロセスが利用されると界面が平面となるように構成するが、本開示では、湾曲した界面が使用され得る。この場合も、多帯加熱によって、るつぼ130全体において温度の高精度な制御が可能となり得る。全体的な凝固の完了後、加熱温度は、異なる加熱帯において、それぞれ、約1~2°C/時、2~4°C/時、および10~15°C/時の速度で室温まで下げられ得る。このプロセスの結果として、円筒体部分を有する、長さ約50cm以上の低転位、低すべり線密度、低ひずみのInP単結晶が得られる。このプロセスの結果として得られた転位密度は、2cm-2未満、20cm-2未満、200cm-2未満、および500cm-2未満となる。このボウル直径は、るつぼ130の大きさによって構成され、10.16cm(4インチ)となる場合があり、10.16cm(4インチ)以下の大きさのウェーハが作製される場合があり、15.24cm(6インチ)では結果として15.24cm(6インチ)以下のウェーハとなる場合があり、20.32cm(8インチ)では結果として20.32cm(8インチ)以下のウェーハとなる場合がある。るつぼ130および加熱コイル120の直径に応じて、より大きい大きさが可能である。
【0015】
[0028]図2は、図1に示す垂直勾配凍結炉100を使用してInPウェーハを作製するための方法を図示する図である。このプロセスは、以下で説明する様々な技術で測定された場合、結果として、2、20、200、および500cm-2未満のエッチピット密度で、すべり線欠陥の無い10.16cm(4インチ)、15.24cm(6インチ)、または20.32cm(8インチ)以上の直径のInP基板が得られる。このプロセスは、さらに、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムリン(GaP)、または他の関連のIII-V化合物半導体を作製するために使用され得る。
【0016】
[0029]ステップ201で、原料InPが得られることができ、多結晶InPを生成するために、複統合のために石英管におけるボートに配置される前に、その原料に対して試験が実行され得る。多結晶InPが生成されると、ステップ203で垂直勾配凍結(VGF)結晶成長が発生し、この場合、時間的および空間的温度プロファイルは、10.16cm(4インチ)または15.24cm(6インチ)以上の直径の結晶上に20、200、500cm-2未満の結晶を結果として有する湾曲融体/結晶界面を構成するように厳密に制御される。低EPDを実現するため、いくつかのVGFパラメータが注意深く制御される。第1のパラメータは、窪んだ状態、平らな状態、または突出した状態となるように制御され得る融体/結晶界面の形状を含み得る。これは、異なる時間的および/または空間的温度プロファイルを用いて制御され得る。第2に、冷却速度によって制御される場合の結晶化速度は、1°C/時未満の範囲となるように構成され得る。インゴットの異なる部分において異なる凝固速度が構成され得る。
【0017】
[0030]ステップ205でVGF結晶が成長すると(さらに、任意で試験が行われると)、インゴット成形プロセスが実行されてもよく、その結果として、例えば所望の平部を有する丸みを帯びたインゴットが得られ、さらに試験され得る。インゴットが成形されると、インゴットは、ステップ207でウェーハにスライスされ、それらのウェーハは任意で試験され得る。
【0018】
[0031]低EPDのウェーハがインゴットからスライスされると、それらのウェーハは、ウェーハ処理ステップ209に進んでもよい。任意のウェーハアニーリングプロセスが実行されてもよい。例示的なウェーハアニーリングプロセスにおいて、1つまたは複数のアニーリング段階が使用されてもよく、その場合、ウェーハは、水平な石英ボートに垂直に装填され、リン塊とともに水平な石英アンプルに挿入されてもよい。リン塊は、InP基板からの何らかのリン解離を回避するために、アニーリング温度において必要な蒸気圧を実現するように構成され得る。リンの高蒸気圧に起因して、圧力は、アニーリング中により高くなり得る。アンプルとその内容物は、その後、例えば水平3帯炉に挿入されてもよく、所望の設定(プラットフォーム)温度までのアンプルおよびその内容物の加熱が開始され得る。
【0019】
[0032]低EPDウェーハのアニーリング、さらに任意で試験が行われると、低EPDウェーハを研磨するウェーハ研磨プロセスが実行されてもよく、研磨されたウェーハは任意で再度試験され得る。ウェーハが研磨されると洗浄されてもよく、その後、プロセスはステップ211に進み、研磨および洗浄されたウェーハは顧客への出荷のために梱包され得る。上記のプロセスは、ガリウムヒ素(GaAs)または他の化合物半導体ウェーハを生成するためにも使用され得る。このプロセスの結果として、低EPD、低すべり線密度および低ひずみの10.16cm(4インチ)、15.24cm(6インチ)以上のInPウェーハが生成される。
【0020】
[0033]ウェーハ品質を評価するために、平均EPD、最大EPDおよび例えば零EPDを有する領域の比率などの様々な欠陥測定が利用されてもよい。すべり線に関して、閾値長さを上回る、特定の数の一列に並んだEPD測定正方形、またはほぼ直線状の形は、すべり線の存在を示す場合がある。同様に、閾値数を上回る、特定の数の互いに隣り合った測定領域は、ウェーハを拒絶するために利用され得る。ウェーハにおけるひずみレベルは、後続の処理ステップにおいてウェーハが不良となり得るかを決定するために使用され得る。
【0021】
[0034]基板品質を評価するために、光ルミネセンスマッピングが使用されてもよく、低または高強度を有する面積または線形領域が欠陥を示し得る。欠陥は、異なる波長において冷光を発する場合があり、異なるスペクトル形状、半波高全幅値(HWHM)、および/または強度パターンを有し得る。また、直線状の欠陥が測定されてもよく、その場合、すべり線はPL信号を高め得る。
【0022】
[0035]ドーピング変化は結晶におけるひずみ場と相関し得るため、すべり線、転位、または他のひずみに関係した欠陥に関してウェーハ品質を判断するために、比抵抗測定が利用されてもよい。同様に、光弾性測定は、転位、すべり線、および他の欠陥と相関し得る、結晶におけるひずみの直接測定を可能とする。X線回折イメージングは、表面においてとともに結晶内で構造的欠陥を検出できる他の特性化技術である。
【0023】
[0036]図3A図3Dは、本開示の例示的な実施形態による、異なる成長技法からのリン化インジウム基板のためのX線回折イメージング結果を示す図である。X線回折イメージング(XRDI)は、単結晶基板におけるバルクおよび表面の結晶欠陥をイメージングするためにX線を使用する。X線ビームは、透過モードで基板を透過する場合があり、または反射モードのために基板から反射される場合もある。このようにして不可視の結晶欠陥が検出可能であり、その場合、数十ミクロンに及ぶ単一の転位でも検出され得る。これらの結晶欠陥は、処理中の破損につながり得る。
【0024】
[0037]図3Aを参照すると、VGFプロセスによって成長された10.16cm(4インチ)InP基板の反射モード画像と透過モード画像とが示されており、透過モード画像における2つの縁部欠陥以外には、反射または透過モード測定においてすべり線、転位、または他の構造的欠陥を示していない。5つ未満のすべり線および転位欠陥は、本明細書で開示される10.16cm(4インチ)および15.24cm(6インチ)基板InPにおいて常に達成される。
【0025】
[0038]図3Bは、本開示の例示的な実施形態による、15.24cm(6インチ)のリン化インジウム基板のためのX線回折結果を示す図である。図3Bを参照すると、VGFプロセスによって成長された15.24cm(6インチ)の硫黄ドープInP基板のための透過モードXRDI結果が示されており、いくつかの縁部欠陥以外には、透過モード測定においてすべり線、転位、または他の構造的欠陥を示していない。5つ未満のすべり線および転位欠陥は、10.16cm(4インチ)および15.24cm(6インチ)基板において常に達成される。
【0026】
[0039]図3Cは、他の技法によって成長されたInP基板のXRDI反射モード画像および透過モード画像を示す。反射モード画像が少数の欠陥を示す一方、透過モード画像は多数の欠陥と、顕著なひずみ特徴/パターンを示す。なお、反射モードにおける欠陥は、透過モード画像においても現れることに留意されたい。
【0027】
[0040]図3Dは、他の技法によって成長されたInP基板のXRDI反射モード画像および透過モード画像を示す。この場合、反射モード画像は欠陥を全く示さないが、透過モード画像は顕著な量のすべり線を示す。これらの欠陥は、取り扱い中または他の処理中に、特に、エピタキシャル成長中などの温度サイクリングが行われている時に、ウェーハ破損につながり得る。したがって、そのような転位/欠陥に対して単結晶半導体基板を保護することが重要である。XRDI分析は、すべり線およびひずみに関して基板を測定する際に有効であり、この場合、ウェーハ仕様は、例えば、すべり線を示すために1列に並んだ特定数の画素または高ひずみ領域を示す画素領域など、線形特性を有する欠陥の数の計数を含み得る。
【0028】
[0041]本明細書に開示されるVGFプロセスを使用して作製された図3Aおよび図3BのInP基板は、図3Cおよび図3Dに示すように、他の技法によって成長されたウェーハよりも非常に高い構造品質を有する。構成された液体/融体界面は、結果として、ウェーハの結晶格子において残留ひずみを低減し、その結果、XRDI結果に示されるように、すべり線および転位がない状態が得られる。LEC、VCZおよびVBなどの他の技法は、結果として、図3Cに示されるように顕著なひずみ場を発生させ、後続のウェーハ/素子処理中に顕著なウェーハ破損につながり得る。図3Cののより高いひずみを有する領域は、ウェーハの合格/不合格のための仕様として使用可能であり、図3Aおよび図3Bのウェーハは、0%または皆無の高ひずみを有する一方、図3Cのウェーハは、ウェーハ全体において10~30%の高ひずみと、何らかのひずみとを有する。同様に、図3Dの多数の欠陥は、ウェーハ/素子処理中にウェーハ破損を発生させる場合があり、これらのすべり線と、すべり線とその近くの他の欠陥は、ウェーハがウェ-ハ/素子処理を耐えたとしても動作中に素子故障を引き起こし得る。仕様としてそのようなすべり線を多数使用可能であり、その場合、図3Aおよび図3Bのウェーハ上には零または皆無であり、図3Dの外周部分の周りに数十のすべり線が存在する。
【0029】
[0042]図4Aは、本開示の例示的な実施形態による、10.16cm(4インチ)のInP基板のための比抵抗分布図を示す図である。図4Aを参照すると、異なる種類の不均一性を有する2つのInPウェーハに関する比抵抗分布図が示される。比抵抗の変化は、ウェーハのドーピング均一性の測度であり、成長技法、融体-結晶界面、融体における対流、および/またはボウルから切り出されたウェーハの場所に応じて異なるパターンを示し得る。左のプロットにおいて、比抵抗変化は、中心からわずかにずれているが、「ブルズアイ」パターンを有し、右のプロットは、ウェーハを横切る線形変化を有する。これらの変化は、例えば、融体/結晶界面形状、融体対流、およびドーパント拡散の影響を受け得る。
【0030】
[0043]「ブルズアイ」比抵抗変化を有する左プロットのウェーハは、先端部において約3%以下の比抵抗変化を有する14cm-2のEPDを有し、末端部において約8%以下の比抵抗変化を有する17cm-2のEPDを有し、より線形の変化を有する他のボウルからのウェ-ハは、2.3~2.5%の比抵抗変化を有する先端部で100cm-2、末端部で150cm-2のEPDを有する。さらに、ウェーハの直径を横切る線形の比抵抗変化を有する他のボウルは、3%未満の比抵抗変化の場合、先端部で400cm-2、末端部で450cm-2のEPDを有する。したがって、ウェーハはドーピングの変化とEPDとの間で相関関係を示す場合もあり、相関関係を示さない場合もある。
【0031】
[0044]平坦な融体-結晶界面は、結果として最良の材料が得られると従来は信じられてきたが、平坦な界面で成長した結晶と比較してドーピングの不均一性が増加するが、本明細書に開示されるVGF法は非平面状の界面が結果として転位が低減された材料が得られることを示す。転位およびひずみはウェーハ処理の歩留まりおよび素子の性能に対してより大きな影響を及ぼし得るため、ドーピングの均一性とのトレードオフは許容可能であり、融体-結晶界面は重要なパラメータである。
【0032】
[0045]図4Bは、本開示の例示的な実施形態による、3つのVGF InP基板のエッチピット密度測定を示す図である。図4Bを参照すると、VGFによって成長された3つの10.16cm(4インチ)InP基板に対するEPD測定が示され、ほぼ零の欠陥を示し、1~2cm-2の平均EPDを有し、零EPDの面積は、93%から98%の範囲である。1cm-2未満で0.3cm-2から3cm-2の平均を有するEPDは、本明細書で説明されるVGFプロセスを実行することによって可能となる高品質InPを示す。150cm-2未満、50cm-2未満、20cm-2未満、10cm-2未満、5cm-2未満、および2cm-2未満のEPDのウェーハは、VGFプロセスの結果として得られる。さらに、零のEPDのウェーハの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、および少なくとも90%の面積が典型的である。
【0033】
[0046]図4Cは、本開示の例示的な実施形態による、15.24cm(6インチ)のVGF硫黄ドープInP基板のエッチピット密度測定を示す図である。図4Bを参照すると、硫黄ドープInPに対する2つの69点EPD結果が示され、一方のウェーハは67cm-2のEPDを示し、他方は171cm-2のEPDを示す。それらのプロットは、角部に近接した数個の点以外のスキャンにおける大部分の点において非常に低いEPDを示す。
【0034】
[0047]図4Dは、本開示の例示的な実施形態による、15.24cm(6インチ)のVGF鉄ドープInP基板のエッチピット密度測定を示す図である。図4Bを参照すると、鉄ドープInPに対する2つの69点EPD結果が示され、ボウルの先端部の一方のウェーハは1261cm-2のEPDを示し、末端部の他方は431cm-2のEPDを示す。これは、本明細書に記載のVGPプロセスの結果として、10.16cm(4インチ)および15.24cm(6インチ)のウェーハにおいて、ドーパントの種類に応じて、500cm-2以下、200cm-2以下、100cm-2以下、10cm-2以下、さらには2cm-2以下のEPDが得られることを示す。
【0035】
[0048]図5Aは、本開示の例示的な実施形態による、欠陥検知のための基板の光ルミネセンス測定を示す図である。図5Aを参照すると、InP基板およびGaAs基板に対する光ルミネセンス(PL)強度分布図が示される。PL測定は、半導体によって吸収される程度に長い波長を有するレーザーなどの光源による基板の照射を含み、その後に再結合してPL設備によって測定される光子を生成する電子正孔対を生成する。図5Aに示すようなPLマッピングは、基板を回転させて、中心から縁部へ、または縁部から中心へ放射状に光源を動かすことによって得られ得る。
【0036】
[0049]基板から測定された光強度の実測値は、すべり線、転位、または他の欠陥があるかを判断するために有効でない場合があるが、相対強度は、例えば特定の特徴および急激な遷移によって欠陥を示し得る。図5Aに示すように、InP基板はウェーハにわたる何らかの強度変化を確かに示すが、強度における大きな違いの狭い範囲によって示される強度分布図における明確なすべり線を示さない。ただし、すべり線は、欠陥状態に対する光源の波長に応じて、PL測定において光を発しない場合があるため、すべり線の特徴の欠落は必ずしも決定的ではない。
【0037】
[0050]GaAs基板は、追加の黒線によって示されるように、ウェーハの外周の大部分の周りの縁部から延出する明確なすべり線を有する。それらの領域において、多数の欠陥がすべり線には位置する場合があるため、PL強度は、近接領域よりも顕著に増加され、この場合、欠陥は、高光吸収および高速再結合速度を有し得る。
【0038】
[0051]さらに、InPすべり線は、主なInPルミネセンスのピークにおける波長とは異なる波長に存在する場合があり、したがってPL測定システムはそれらのすべり線を検出するように適応され得る。検出されると、基板が仕様に対して合格か、不合格かを評価するために、特定の閾値長さおよび/または幅のすべり線の総数が使用され得る。例えば、特定の数のすべり線が計数されてもよく、または10mm未満のすべり線が計数されてもよく、さらに10mmと20mmとの間のすべり線、ならびに20mmよりも大きいすべり線が計数されてもよい。ウェーハ歩留まりと素子歩留まりとのトレードオフは、全体的な歩留まりと費用効率とを最適化するために行われ得る。
【0039】
[0052]図5Bは、本開示の例示的な実施形態による、非VGF7.62cm(3インチ)のInP基板の比抵抗、光ルミネセンスおよびエッチピット密度測定を示す図である。図5Bを参照すると、非VGF InP基板に対する比抵抗プロット、光ルミネセンス強度プロット、およびEPDプロットが示される。比抵抗変化が1.55%に過ぎないが、平均EPDは300cm-2を上回り、エッチピットを用いずに測定されたウェーハ面積の比率は25%である。高EPD領域は、すべり線と他のそのような転位の存在と相関し得る。EPDプロットにおけるパターンは、直線状に形成された高EPD領域の測定によってなど、すべり線の存在を判断するために利用されることが可能であり、または高EPDの2D領域はすべり線と相関する場合があり、それによってEPDレベルを上回る閾値面積は、すべり線に関してウェーハを合格/不合格とするために使用可能である。
【0040】
[0053]同様に、すべり線および他の欠陥を判断するために、PL強度プロットが、単独で、または比抵抗プロットおよびEPDプロットと併せて利用され得る。高EPD領域と同様に、周囲の領域に対する高または低PL強度の面積は、欠陥の存在を示すことが可能であり、高または低強度の線形構造および/または領域はすべり線を示すことが可能である。
【0041】
[0054]図5Cは、本開示の例示的な実施形態による、エッチピット密度測定と、X線回折イメージングとの比較を示す図である。図5Cを参照すると、4つの非VGF InPウェーハに対するEPD測定と、図3Cにおいて上記で説明されたXRDI測定とが示される。4つのEPD測定において見られるように、高密度な欠陥は、「X」パターンの4つの角部におけるウェーハの縁部に存在し、「X」パターンは、XRDI画像に示されるすべり線/転位と一致し、EPDとすべり線との相関を示す。したがって、各測定技法は、すべり線、EPD、およびひずみに関するウェーハ品質を判断するために利用され得る。
【0042】
[0055]図6は、本開示の例示的な実施形態による、リン化インジウム基板の光弾性測定を示す図である。図6を参照すると、InPウェーハの単一偏波伝送およびせん断応力相当量測定が示される。半導体基板における応力は、破損、反り、および割れを引き起こす場合があり、さらに高密度の転位を示し得る。光弾性測定における光源の波長は、関心材料に対する透過範囲にある。光弾性測定は、結晶における応力に比例する、ウェーハにおける誘起複屈折に基づく。したがって、基板を通る光の移相は応力の関数であり、応力の大きさは、基板を介して光信号を受信する光検出器によって測定された信号の変調から判断され得る。
【0043】
[0056]図6に示される伝送測定は、せん断応力相当量測定によって示されるように、より高いせん断応力の領域に相関する、ウェーハの縁部近くの欠陥の領域を示す。さらに、いくつかのすべり線は、応力における線形変化に示されるように、右下角部の一軸応力場とすべり線が多い領域とにおけるせん断応力相当量測定において明らかである。光弾性測定で検出されたそのようすべり線の数は、後続の処理に対してウェーハを評価するために利用可能であり、この特定のウェーハは2本または3本のすべり線が明らかである。
【0044】
[0057]図7は、本開示の例示的な実施形態による、基板の光電子測定のための移相および応力方向の結果を示す図である。図7を参照すると、算出された移相プロットと主応力方向プロットによるInPウェーハの多極化分析が示される。移相プロットにおける特徴のいくつかは、特に基板の両面が研磨される時に、ウェーハの厚さの変化によって引き起こされる干渉縞となり得る。
【0045】
[0058]応力測定の方向は、転位/すべり線を検出するために利用可能であり、応力配向の突然の反転はそのような欠陥を示し得る。さらに、光弾性測定は、図7の環状パターンによって示されるような基板における応力リングを示す場合があり、外側の引張り応力がかけられたリングを示す。したがって、すべり線、転位、および他の欠陥は、光弾性測定において照らされることが可能であり、ひずみ強度、ひずみ配向反転、またはひずみのある領域の量は、例えば、ウェーハ品質を評価するために使用される。
【0046】
[0059]図8は、本開示の例示的な実施形態による、低エッチピット密度のリン化インジウムウェーハに作製された素子を示す図である。図8を参照すると、上述したプロセスを使用して製造され、さらにダイ803上の電気素子および/または光電子素子を用いて処理される10.16cm(4インチ)InPウェーハ801が示される。さらに、例えば、結晶面を示すためにウェーハ作製中に形成され得る平部805が示される。ウェーハ801上のダイ803の数は、各ダイの面積によって規定されることが可能であり、図8に示されるサイズは一例にすぎない。
【0047】
[0060]ウェーハ処理は、非常に高額なプロセスであり、すべり線、転位、またはひずみのない基板を有することが非常に重要であり、プロセス歩留まりを大幅に改善できる。これらの欠陥のないInP基板を提供することによって、基板品質に起因したウェーハ破損なく、またはそれを制限してウェーハ処理を進めることができる。
【0048】
[0061]本開示の一実施形態では、低エッチピット密度、低すべり線密度、および低ひずみのリン化インジウムウェーハは、10.16cm(4インチ)以上の直径を有し、X線回折イメージングによって測定された時に500cm-2未満の実測エッチピット密度を有し、5つ未満の転位またはすべり線を有するリン化インジウム単結晶ウェーハを含み得る。このウェーハは、200cm-2以下、100cm-2以下、または10cm-2以下の実測エッチピット密度を有し得る。ウェーハは、15.24cm(6インチ)以上の直径を有し得る。零の実測エッチピット密度を有するウェーハの面積は、表面の総面積の少なくとも80%であり得る。零の実測エッチピット密度を有するウェーハの面積は、表面の総面積の少なくとも90%であり得る。ウェーハの比抵抗プロットは、ウェーハの中心から外縁部へ比抵抗が増加する領域を有するブルズアイパターンを有し得る。電子素子および/または光電子素子がウェーハの第1の表面に形成され得る。ウェーハは、300μm以上の厚さを有し得る。
【0049】
[0062]本開示の他の実施形態では、低エッチピット密度、低すべり線密度、および低ひずみのリン化インジウムウェーハのためのプロセスは、多結晶リン化インジウム種結晶と、B封止材料と、ドーパントとを含むチャージ原料をるつぼに封止することと、るつぼを石英アンプルに封止することと、種結晶の一部が融解するまでチャージ原料を徐々に融解するために多帯加熱装置を使用してアンプルを加熱することによって垂直勾配凍結結晶成長プロセスを実行することと、多帯加熱装置の制御された冷却を実施することによって、部分的に融解された種からの成長を開始することと、融体-結晶界面において1°C/cmと8°C/cmとの間の温度勾配を印加することと、凝固リン化インジウム結晶を形成するために、多帯加熱装置において冷却速度を使用して融体に対して窪むように界面の形状を制御することと、500cm-2以下のエッチピット密度を有する、直径10.16cm(4インチ)以上のリン化インジウムウェーハを創製するために結晶をスライスすることとを含み得る。
【0050】
[0063]0.1から2°C/hの速度で多帯加熱装置の冷却が制御され得る。るつぼを石英アンプルに封止する前にるつぼが真空にされ得る。第1の300Cに対して異なる加熱帯のために0.5から5°C/h、1から10°C/h、および5から20°C/hの速度で、その後、室温へ20~50°C/hの速度で、凝固されたチャージ原料を冷却され得る。融体に対して窪むように界面形状が制御されてもよく、中心は凝固結晶の縁部よりも約10mm以下だけ低い。ウェーハは、15.24cm(6インチ)以上の直径を有し得る。ウェーハは、200cm-2以下、100cm-2以下、または10cm-2以下のエッチピット密度を有し得る。
【0051】
[0064]本発明は特定の実施形態を参照して説明されたが、本開示の範囲から逸脱せずに、様々な変更が行われてもよく、等価物が置き換えられてもよいことが当業者によって理解されるであろう。さらに、その範囲から逸脱せずに、本開示の教示に対して特定の状況または材料を適応するために、多くの修正が行われ得る。したがって、本開示は開示された特定の実施形態に限定されず、本開示は添付の特許請求の範囲内にある全実施形態を含むことが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
【国際調査報告】