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  • 特表-等速ジョイント用ローリングブーツ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】等速ジョイント用ローリングブーツ
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/84 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
F16D3/84 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552355
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(85)【翻訳文提出日】2022-08-30
(86)【国際出願番号】 KR2021000433
(87)【国際公開番号】W WO2021177590
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0027226
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517442188
【氏名又は名称】イレ エイエムエス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒョン イル
(72)【発明者】
【氏名】ノ ジョン ス
(72)【発明者】
【氏名】アン ナム シク
(57)【要約】
等速ジョイントに使用されるローリングブーツは、等速ジョイントのジョイントシャフトに締結され得るように構成される第1締結部と、等速ジョイントのジョイントケースに締結され得るように構成される第2締結部と、等速ジョイントの切れ角の時にフォールディング可能なように構成される第1フォールディング部と、等速ジョイントの切れ角の時にフォールディング可能なように構成され、第1フォールディング部の半径方向外側に配置される第2フォールディング部と、第1フォールディング部および第2フォールディング部のフォールディングの時に、引張と圧縮を支持するように構成される支持部と、第1フォールディング部と第2フォールディング部を連結する第1山と、第2フォールディング部と支持部を連結する第2山とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
等速ジョイントに使用されるローリングブーツであって、
前記等速ジョイントのジョイントシャフトに締結され得るように構成される第1締結部と、
前記等速ジョイントのジョイントケースに締結され得るように構成される第2締結部と、
前記等速ジョイントの切れ角の時にフォールディング可能なように構成される第1フォールディング部と、
前記等速ジョイントの切れ角の時にフォールディング可能なように構成され、前記第1フォールディング部の半径方向外側に配置される第2フォールディング部と、
前記第1フォールディング部および前記第2フォールディング部のフォールディングの時に、引張と圧縮を支持するように構成される支持部と、
前記第1フォールディング部と前記第2フォールディング部を連結する第1山と、
前記第2フォールディング部と前記支持部を連結する第2山と
を含むローリングブーツ。
【請求項2】
前記第1山と前記第2山は、前記ジョイントシャフトの軸方向と平行な方向に前記第1締結部に向かって凸状にそれぞれ形成される、請求項1に記載のローリングブーツ。
【請求項3】
前記第1山と前記第2山の頂点での接線は、前記ジョイントシャフトの軸方向と垂直になる、請求項2に記載のローリングブーツ。
【請求項4】
前記第1締結部の先端と前記第1山の頂点との間の距離は、前記第1締結部の先端と前記第2山の頂点との間の距離よりも小さいかまたは同じである、請求項1に記載の請求項ローリングブーツ。
【請求項5】
前記第2締結部の終端と前記第1フォールディング部の底との間の距離は、前記第2締結部の終端と前記第2フォールディング部の底との間の距離よりも大きい、請求項1に記載のローリングブーツ。
【請求項6】
前記第1フォールディング部と前記第1山を連結する部分は、前記ジョイントシャフトの軸方向に対して10~25の間の角度をなす、請求項1に記載のローリングブーツ。
【請求項7】
前記第1山の頂点を通りながら前記ジョイントシャフトの軸方向と平行な線と前記第1締結部の外周面との間の距離は、前記第2フォールディング部の底を通りながら前記ジョイントシャフトの軸方向と平行な線と前記第1締結部の外周面との間の距離の20~50%の間である、請求項1に記載のローリングブーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の等速ジョイントに使用されるローリングブーツ(rolling boot)に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤフラムブーツ(diaphragm boot)とも呼ばれるローリングブーツは、車両の等速ジョイントを囲む状態で設置されて作動中に外部異物流入防止機能と、潤滑および冷却のためのグリース貯蔵機能を有するように構成される。ローリングブーツは、等速ジョイントのジョイントケースとシャフトにそれぞれ締結される第1および第2締結部と、第1および第2締結部の間に備えられるフォールディング部を含み、等速ジョイントの作動中にジョイントケースとシャフトが軸方向の相対移動および切れ角を経るようになるため、フォールディング部は軸方向の相対移動および切れ角を吸収することができるように構成される。
【0003】
このようなローリングブーツのフォールディング部は、作動中に引張と圧縮を反復的に経るようになるため、フォールディング部の特定の部分に過度な形状変形が起こったり応力集中が発生したりすることがあり、耐久性低下の問題が発生することがある。また、従来のローリングブーツのフォールディング部は、主に上下方向にフォールディングされる構造のみで構成されるため、過度な使用および装着時に許容作動角よりも大きな切れ角になる場合、主フォールディング領域に応力が集中して損傷が引き起こされることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2015-0125575号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1865190号公報
【特許文献3】米国特許第8313107号明細書
【特許文献4】米国特許第9494199号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、切れ角の時に引張される領域の分散を通じて過度な変形を防止することによって信頼性および耐久性が向上するローリングブーツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態による等速ジョイントに使用されるローリングブーツは、前記等速ジョイントのジョイントシャフトに締結され得るように構成される第1締結部と、前記等速ジョイントのジョイントケースに締結され得るように構成される第2締結部と、前記等速ジョイントの切れ角の時にフォールディング可能なように構成される第1フォールディング部と、前記等速ジョイントの切れ角の時にフォールディング可能なように構成され、前記第1フォールディング部の半径方向外側に配置される第2フォールディング部と、前記第1フォールディング部および前記第2フォールディング部のフォールディングの時に、引張と圧縮を支持するように構成される支持部と、前記第1フォールディング部と前記第2フォールディング部を連結する第1山と、前記第2フォールディング部と前記支持部を連結する第2山とを含む。
【0007】
前記第1山と前記第2山は、前記ジョイントシャフトの軸方向と平行な方向に前記第1締結部に向かって凸状にそれぞれ形成され得る。
【0008】
前記第1山と前記第2山の頂点での接線は、前記ジョイントシャフトの軸方向と垂直になることができる。
【0009】
前記第1締結部の先端と前記第1山の頂点との間の距離は、前記第1締結部の先端と前記第2山の頂点との間の距離よりも小さいかまたは同じであってもよい。
【0010】
前記第2締結部の終端と前記第1フォールディング部の底との間の距離は、前記第2締結部の終端と前記第2フォールディング部の底との間の距離よりも大きくてもよい。
【0011】
前記第1フォールディング部と前記第1山を連結する部分は、前記ジョイントシャフトの軸方向に対して10~25の間の角度をなすことができる。
【0012】
前記第1山の頂点を通りながら前記ジョイントシャフトの軸方向と平行な線と前記第1締結部の外周面との間の距離は、前記第2フォールディング部の底を通りながら前記ジョイントシャフトの軸方向と平行な線と前記第1締結部の外周面との間の距離の20~50%の間であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、二つのフォールディング部と支持部を備えてフォールディング部の過度な形状変形を防止し、荷重を分散させてブーツの信頼性および耐久性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態によるローリングブーツの斜視図である。
図2図1のI-I線に沿って切開した断面図である。
図3】本発明の実施形態によるローリングブーツの切れ角状態での形状を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0016】
本発明の実施形態によるローリングブーツ10は、車両の駆動系統に使用される等速ジョイントに使用される。ローリングブーツ10は、等速ジョイント200のジョイントシャフト201とジョイントケース203にそれぞれ締結されるように構成される第1締結部11と第2締結部13を含む。例えば、等速ジョイント200は、切れ角と軸方向変位が可能なジョイントであってもよく、ジョイントケース203は等速ジョイント200のアウターレース(outer race)であってもよく、ジョイントシャフト201は等速ジョイント200のインナーレース(inner race)に締結されるシャフトであってもよい。
【0017】
図1および図2を参照すると、第1締結部11と第2締結部13は、中空円筒形状を有することができ、軸方向XLに沿って同軸に配列され得る。第1締結部11と第2締結部13は、それぞれ締結溝111、131を形成し、クランピングバンド301、303が締結溝111、131にそれぞれ締結されて第1および第2締結部11、13がジョイントシャフト201とジョイントケース203にそれぞれ締結され得る。
【0018】
等速ジョイントの切れ角の時にフォールディング可能なようにそれぞれ構成される第1フォールディング部15と第2フォールディング部17が備えられる。図2に示されているように、第2フォールディング部17は、第1フォールディング部15の半径方向外側に配置され、第1および第2フォールディング部15、17は、それぞれ環形状を有することができ、フォールディングされていない状態、つまり、図2の状態で同軸に配列される。
【0019】
支持部19は、第1フォールディング部15および第2フォールディング部17のフォールディングの時に引張と圧縮を支持するように構成される。支持部19は、軸方向XLと平行に延長される底部191、およびこの底部191から半径方向外側に突出する複数のフランジ193を含むことができる。
【0020】
図2を参照すると、第1山21は、第1フォールディング部15と第2フォールディング部17を連結し、第2山23は、第2フォールディング部17と支持部19を連結する。第1山21と第2山23は、ジョイントシャフト201の軸方向XLと平行な方向に第1締結部11を向かって凸状にそれぞれ形成され得る。第1および第2山21、23の軸方向XLと平行な方向での頂点211、231での接線が軸方向XLと垂直になることができる。本発明の実施形態によると、二つのフォールディング部15、17と二つの山21、23が備えられる。
【0021】
本発明の実施形態によると、第1締結部11の先端と第1山21の頂点211との間の距離Hは、第1締結部11の先端と第2山23の頂点231との間の距離Iよりも小さいかまたは同じであってもよい。一方、第2締結部13の終端と第1フォールディング部15の底151との間の距離Cは、第2締結部13の終端と第2フォールディング部17の底171との間の距離Dよりも大きくてもよい。そして、第1フォールディング部15と第1山21を連結する部分153は、軸方向XLに対して10~25度の間の角度をなすことができる。そして、第1山21の頂点211を通りながら軸方向XLと平行な線と第1締結部11の外周面との間の距離Eは、第2フォールディング部17の底171を通りながら軸方向XLと平行な線と第1締結部11の外周面との間の距離Fの20~50%の間であってもよい。
【0022】
図3は本発明の実施形態によるローリングブーツの切れ角の時の形状を示す図面であり、図3に示されているように、本発明の実施形態によるローリングブーツは、切れ角の時に第1および第2フォールディング部15、17で引張領域が分けられるため、過度な変形がなく、支持部19が第1および第2フォールディング部15、17の引張と圧縮を効果的に支持することができる。
【0023】
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、本発明の実施形態から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により容易に変更されて均等なものと認められる範囲の全ての変更および修正を含む。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、車両に使用され得る等速ジョイントのブーツに適用可能であるため、産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
等速ジョイントに使用されるローリングブーツであって、
前記等速ジョイントのジョイントシャフトに締結され得るように構成される第1締結部と、
前記等速ジョイントのジョイントケースに締結され得るように構成される第2締結部と、
前記等速ジョイントの切れ角の時にフォールディング可能なように構成される第1フォールディング部と、
前記等速ジョイントの切れ角の時にフォールディング可能なように構成され、前記第1フォールディング部の半径方向外側に配置される第2フォールディング部と、
前記第1フォールディング部および前記第2フォールディング部のフォールディングの時に、引張と圧縮を支持するように構成される支持部と、
前記第1フォールディング部と前記第2フォールディング部を連結する第1山と、
前記第2フォールディング部と前記支持部を連結する第2山と
を含むローリングブーツ。
【請求項2】
前記第1山と前記第2山は、前記ジョイントシャフトの軸方向と平行な方向に前記第1締結部に向かって凸状にそれぞれ形成される、請求項1に記載のローリングブーツ。
【請求項3】
前記第1山と前記第2山の頂点での接線は、前記ジョイントシャフトの軸方向と垂直になる、請求項2に記載のローリングブーツ。
【請求項4】
前記第1締結部の先端と前記第1山の頂点との間の距離は、前記第1締結部の先端と前記第2山の頂点との間の距離よりも小さいかまたは同じである、請求項1~3のいずれか1項に記載の請求項ローリングブーツ。
【請求項5】
前記第2締結部の終端と前記第1フォールディング部の底との間の距離は、前記第2締結部の終端と前記第2フォールディング部の底との間の距離よりも大きい、請求項1~4のいずれか1項に記載のローリングブーツ。
【請求項6】
前記第1フォールディング部と前記第1山を連結する部分は、前記ジョイントシャフトの軸方向に対して10~25の間の角度をなす、請求項1~5のいずれか1項に記載のローリングブーツ。
【請求項7】
前記第1山の頂点を通りながら前記ジョイントシャフトの軸方向と平行な線と前記第1締結部の外周面との間の距離は、前記第2フォールディング部の底を通りながら前記ジョイントシャフトの軸方向と平行な線と前記第1締結部の外周面との間の距離の20~50%の間である、請求項1~6のいずれか1項に記載のローリングブーツ。
【国際調査報告】