(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】眼科疾患の治療のための葉酸製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20230413BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230413BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P27/02
A61P27/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552597
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 EP2021054941
(87)【国際公開番号】W WO2021175740
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520105739
【氏名又は名称】アプロフォル アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウルマン、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ビースラー、ゲルド
(72)【発明者】
【氏名】フラマー、ヨセフ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA58
4C086NA14
4C086ZA33
(57)【要約】
網膜静脈圧の上昇に関連する眼科疾患の治療に有用な、少なくとも1つの葉酸(フォラート)を含む組成物が記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
網膜静脈圧の上昇と関連している全身性疾患及び眼科疾患の治療に使用するための、少なくとも1つの葉酸(フォラート)を含む製剤。
【請求項2】
眼科疾患が糖尿病性網膜症、黄斑変性症及び緑内障からなる群から選択されることを特徴とする眼科疾患の治療に使用するための請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
緑内障が原発開放隅角緑内障、原発閉塞隅角緑内障又は正常眼圧緑内障のいずれかであることを特徴とする眼科疾患の治療に用いるための請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
硫黄供与体化合物、好ましくはN‐アセチルシステインをさらに含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の製剤。
【請求項5】
B複合体の少なくとも1種のビタミン、好ましくはビタミンB
1、ビタミンB
2、ビタミンB
6、及びビタミンB
12からなる群から選択されるものをさらに含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の製剤。
【請求項6】
アルギニン又はアルギニンエステルをさらに含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の製剤。
【請求項7】
コリン供与体、好ましくはベタインをさらに含むことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の製剤。
【請求項8】
アセチルコリンをさらに含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の製剤。
【請求項9】
グルコサミンをさらに含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の製剤。
【請求項10】
ビタミンD、好ましくはビタミンD
3をさらに含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
葉酸塩のカチオンが、アルギニン、コリン、アセチルコリン、1,1‐ジメチルビグアニジン、フェニルエチルビグアニジン、グルコサミン及びジメチルアミノエタノールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の製剤。
【請求項12】
葉酸塩のアニオンが、5‐ホルミル‐(6S)‐テトラヒドロ葉酸、5‐ホルミル‐(6RS)‐テトラヒドロ葉酸、10‐ホルミル‐(6R)‐テトラヒドロ葉酸、5‐メチル‐(6S)‐テトラヒドロ葉酸、5‐メチル‐(6RS)‐テトラヒドロ葉酸、(6S)‐テトラヒドロ葉酸、5,10‐メチレン‐(6R)‐テトラヒドロ葉酸、5,10‐メテニル‐(6R)‐テトラヒドロ葉酸、5,10‐ジホルミル‐(6S)‐テトラヒドロ葉酸、5‐メチル‐10‐ホルミル‐(6S)‐テトラヒドロ葉酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~11の一項に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉酸(フォラート)組成物、及び網膜静脈圧の上昇に関連する眼科疾患の管理又は治療の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
視神経や網膜の病気や変性疾患は、世界における視覚障害や失明の主な原因となっている。世界には、目の疾患によるさまざまな形の視覚障害に苦しむ人々が約3億人いる。視覚障害の高い占有率である約80%は予防することが可能であるが、いまだ満たされていないニーズがある。
【0003】
網膜症には様々な病態がある。網膜症の例としては、糖尿病性網膜症(DR)、高血圧性網膜症、遺伝性網膜症などである。
【0004】
糖尿病性網膜症は、糖尿病眼症とも呼ばれ、糖尿病が原因で網膜に障害が起こる病気である。先進国では失明の主な原因となっている。
【0005】
糖尿病性網膜症は、20年以上糖尿病を患っている患者の多くが罹患している。効率的な治療と眼のモニタリングにより、新たな発症の大部分を抑制することができる。糖尿病の罹患期間が長いほど、糖尿病性網膜症を発症する確率は高くなる。
【0006】
糖尿病性網膜症は、初期の警鐘となる症状がないことが多い。しかし、一般に黄斑浮腫のある人は、視界がぼやけて、読書や運転などの行動が困難になる可能性が高い。日中、視力が良くなったり悪くなったりするケースもある。
【0007】
DRの第一段階は、非増殖型糖尿病性網膜症(NPDR)とも呼ばれ、ほとんど自覚症状がない。NPDRを発見する唯一の方法は眼底検査で、微小動脈瘤(動脈壁の血液で満たされた微小な膨らみ、毛細血管の袋)や滲出液などを確認することができる。フルオレセイン血管造影は、網膜血管の狭窄や閉塞(血流不足、網膜虚血)、すなわち組織の非灌流域を特によく示すことができる。また、網膜内出血、脂質滲出、網膜浮腫、網膜微小梗塞、IrMA(網膜内微小血管異常)、静脈ビーディング、網膜静脈圧上昇も観察することが可能である。
【0008】
黄斑浮腫は、血管の内容物が黄斑部に漏れ出すもので、DRのどの段階でも起こり得るが、増殖型DRでより多く発生する。その症状は、視界がぼやけ、両目で同じではない暗さや歪んだ像が見えることである。糖尿病患者の10%は、黄斑浮腫に関連した視力低下を経験するであろう。光干渉断層計では、液体の蓄積により網膜が厚くなった部分を確認することができる。
【0009】
DRの第2段階として、目の奥に異常な新生血管(血管内皮増殖因子(VEGF)濃度の上昇と関連した新生血管)ができることを増殖型糖尿病性網膜症(PDR)と呼ぶ。この新生血管はもろいため、漏れたり破れて出血したり(硝子体出血)、視界がぼやけることがある。この出血が初めて起こったときは、あまりひどくないかもしれない。ほとんどの場合、視野の中に数個の血の塊や斑点が残るだけであるが、この斑点は数時間後に消えることが多い。
【0010】
黄斑変性症(MD)は、その他の発症頻度の高い網膜の疾患である。MDは、網膜の中心部にある、高い視力に貢献する黄斑と呼ばれる光受容体が失われることをいう。加齢黄斑変性症(AMD)には、「ドライ型」と「ウェット型」がある。AMD患者の約10%は湿潤滲出型新生血管型AMDに罹患しており、網膜色素上皮(RPE)を介して異常な血管が伸長し、出血、滲出、瘢痕、漿液性網膜剥離を起こすことを特徴とする。ドルーゼンの形成は、ドライ型AMDの典型的な例である。AMD患者の90%は、網膜色素上皮の萎縮と黄斑部の光受容体の消失を特徴とするドライ型である。ウェット型AMDの治療で使用される光線力学的療法やVEGF阻害剤で症状の軽減に成功することもあるが、現在のところ、どの型のAMDにも有効な治療法はない。
【0011】
Wang J.et al.,Eye and Vision,2019,6:21では、非増殖型糖尿病性網膜症又は高血圧性網膜症の患者を、非処方のマルチビタミン組成物で処置した一連の症例が報告されている。すべての患者が1つ以上のMTHFR多型を有していた。主な所見は、網膜出血と微小動脈瘤の減少、及び滲出液と黄斑浮腫の減少であった。しかし、網膜の血流には有意な変化は見られなかったようである。
【0012】
Richardsonら(US6207190)は、慢性緑内障の治療のために、4つの機能群のバイオファクターの混合物を含む組成物を開示している。これらの4つの機能群は、葉酸(folic acid)を含むcGMP増加剤、マグネシウムを含む細胞内カルシウムシグナル調節剤、α‐トコフェロールを含む細胞膜完全性維持剤、及びα‐リポ酸を含む高インスリン血症調節剤である。本組成物は、主に局所的及び全身的な内皮の健康状態を改善することを目的としている。葉酸(folic acid)は組成物の成分として記載されているが、メチル‐テトラヒドロフォラート及びホルミル‐テトラヒドロフォラートは記載されていない。眼圧(IOP)は慢性緑内障に関する重要な因子として記述されている。
【0013】
Brian Buell(WO2011/163301)は、葉酸代謝又は絡み合った代謝サイクルに関連する何らかの代謝異常を有する患者において、下流葉酸(フォラート)化合物を用いて、任意にメチルB12、ビタミンB6、及びビタミンD3の1つ以上と組み合わせて、非葉酸欠乏被験者の視力障害の治療方法について記載している。視力障害は、神経障害、網膜症、黄斑変性症、及びそれに伴う眼病変を含む。特に、葉酸(フォラート)サイクル及びBH4サイクルにおける誤動作は、その誤動作がC677T及びA1298C変異のうちの1つ以上によって引き起こされる場合に対処される。L‐メチル‐フォラートは、好ましい下流葉酸(フォラート)化合物である。眼圧の役割、特に眼疾患における網膜静脈圧の役割、及びその治療に使用するための組成物は記載されていない。
【0014】
Sosnowskiら(US2004/0087479)は、緑内障、遅発性ジスキネジア及び心血管疾患などの、(上昇した)ホモシステインレベルに関連し、葉酸(folic acid)又はフォラート(folate)、ビタミンB6、及びビタミンB12と組み合わせたデキストロメトルファン(DM)を含む組成物で治療され得る疾患を開示している。一般的にフォラート(folate)と記載されるが、葉酸(folic acid)、モノ及びポリグルタミルフォラート、ジヒドロ‐及びテトラヒドロ‐フォラート、メチル‐及びホルミル‐フォラートの形態であってよい。非常に好ましいのは、フォラート(folate)としての葉酸(folic acid)である。組成物は、多数のさらなる化合物、例えばビタミンE、レシチン、β‐カロテンなどを含んでいてもよい。デキストロメトルファン及び他のNMDA受容体拮抗薬は、緑内障を治療するために知られている。本組成物は、高濃度で使用される単一成分の副作用なしに、血中ホモシステインレベルの低下のために使用され得る。眼圧及び網膜静脈圧に関する開示はない。
【0015】
EP3616700(アプロフォル)は、上昇した眼圧(IOP)の存在に関連する眼疾患の治療に使用するための、多数の葉酸塩(folate salt)を含む組成物を記載している。さらに、不十分な眼球排水による眼圧(IOP)の上昇は、視神経への損傷によって視力低下を引き起こすいくつかの異なる眼疾患に起因する状態である緑内障の最も頻繁な原因として記載されている。緑内障に有効であると証明されている薬物療法は、房水の産生を低下させるか、又は眼球の排水を促進させることによってIOPを下げる。網膜静脈圧(RVP)については言及されていない。
【0016】
Cybulska‐Heinrichら、The EMPA Journal,2015,6:5において、糖尿病性網膜症(DR)と(高)網膜静脈圧の関連性が記載されている。その結果、DRを発症した糖尿病患者において、RVPが顕著に上昇することがわかった。DRのない糖尿病患者ではRVPは上昇しなかった。このことは、DR患者においては、RVPがIOPよりも明らかに高いことを示している。
【0017】
緑内障は、視神経の障害によって視力低下を引き起こす、いくつかの異なる全身及び眼の疾患から生じる疾患である。緑内障の最も多い原因は、眼球の排水がうまくいかず眼圧(IOP)が上昇することである。緑内障は、眼の老化に伴って発症することが多く、眼の損傷、炎症、腫瘍の結果、あるいは白内障や糖尿病が進行した場合に発症することがある。また、ステロイド剤による治療でIOPが上昇することが原因となることもある。緑内障に効果があるとされる薬物療法は、房水の産生を減少させるか、眼球の排水を促進させることによってIOPを下げる。
【0018】
IOP上昇の原因には様々なものがあるが、そのひとつに偽剥離症候群がある。偽剥離症候群は、しばしばPEXと略され、時にはPESやPXSとも略される、主に眼に現れる加齢関連の全身性疾患で、微小な粒状のアミロイド様タンパク質繊維の蓄積によって特徴付けられる。剥離症候群(XFS)は、多くの眼組織に異常な線維性細胞外物質が産生され、蓄積する加齢関連疾患である。その眼症状は、前眼部のすべての構造、結膜、眼窩構造にも及ぶ。
【0019】
正常眼圧緑内障(NTG)は、低眼圧又は正常眼圧緑内障としても知られ、眼圧が正常範囲を超えることなく視神経に障害が発生する緑内障の一種である。一般に、「正常な」眼圧範囲は12~22mmHgである。NTGの最も顕著な原因は、眼球血流の乱れである。頻度の高い兆候としてRVPの上昇がある(Fang et al,BMC Ophthalmology,2014 14,121.)。
【0020】
フランマー症候群(FS)は、寒冷、精神的ストレス、高地などの刺激に対する血管の反応が変化する素因を持つ人々の表現型である。主な症状は、手及び/又は足の冷え、低血圧、睡眠開始時間の延長、喉の渇きの減少、匂い、痛み、振動、特定の薬物に対する過敏性の増加である。FSの被験者は、野心的で成功することが多いが、完璧主義的で、時に陰気なところがある。よくみられる徴候は、遺伝子発現の変化、寒冷刺激後の爪郭毛細血管検査における血流停止の長期化、眼球血流の自己調節機能の低下、明滅光刺激後の網膜血管拡張の低下である。網膜静脈圧は平均して高く、網膜アストロサイトはより頻繁に活性化される。FSは、男性より女性、肥満被験者より痩せ型被験者、高齢者より若年者、ブルーカラー労働者より大学卒業生、屋外より屋内の仕事に従事している人に多く発症する。関連する疾患としては、正常眼圧緑内障、眼球血管の閉塞、網膜色素変性症、多発性硬化症、耳鳴り、突発性難聴などがある。
【0021】
小血管疾患(微小血管症、又はマイクロアンギオパチーとも呼ばれる)は、体内の小血管に影響を及ぼす血管障害、すなわち血管の病気である。冠状動脈性小血管症は、心臓の細動脈及び毛細血管に影響を及ぼす冠状動脈性心疾患(CHD)の一種である。脳小血管疾患は、脳の小動脈、細動脈、静脈及び毛細血管に影響を及ぼす疾患群を指す。加齢や高血圧による小血管疾患や脳アミロイド血管症が最も一般的な疾患である。脳小血管疾患(SVD)は、脳の小血管に関連する様々な異常を包括する用語である。小血管疾患は、血管性認知障害や血管性認知症の一因となることが知られている。Smallwood et al.,Neuropathology and Applied Neurobiology,2012,38,337‐343では、脳小血管疾患は高齢者における認知障害の顕著な原因として、アルツハイマー病に次いで2番目に記載されている。この研究では、画像ベースのスコアリングシステムを用いて、SVDの病態の重症度と認知障害の間に有意な相関があることが示された。
【0022】
Fang et al,BMC Ophthalmology,2014 14,121では、FSが網膜静脈圧に与える影響について検討されている。研究の目的は、FSの有無にかかわらず、原発開放隅角緑内障(POAG)患者と健常者の眼球の網膜静脈圧(RVP)を測定することであった。その結果、RVPはFSを持つ被験者、特に緑内障を持つFSの被験者でより高いことが示された。
【0023】
現在利用可能な治療法は、眼科疾患の進行を遅らせるのに有効である。しかし、ほとんどの場合、眼疾患を治癒させることはできない。黄斑変性症(MD)、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、網膜・脈絡膜虚血、緑内障、白内障、網膜色素変性、脈絡膜血管新生、網膜変性、眼表面疾患などの眼科疾患又は眼疾患に対する有効な治療法のニーズが継続して存在している。
【0024】
RVPの増加には眼科的な理由の他に、頭蓋内圧の上昇や眼窩静脈に原因がある場合がある。
【0025】
網膜静脈圧(RVP)は、網膜の脈動する静脈の圧力と定義することができる。これには、網膜中心静脈が脈動する場合の網膜中心静脈圧(網膜中心静脈拍動圧(CRVPP)とも呼ばれる)、及び網膜枝静脈(半静脈及び四肢静脈とも呼ばれる)が脈動する場合の網膜枝静脈圧が含まれる。
【0026】
Pillunat KR,et al.,Br J Ophthalmol 2014,98,1374‐1378では、眼圧(IOP)制御された開放隅角緑内障患者の初期、中程度、進行した病期の患者において網膜中心静脈拍動圧(CRVPP)の役割を評価し、健康対照群と比較した。緑内障がより進行した症例では、CRVPPはこれまで考えられていたよりもはるかに高いようであった。
【0027】
RVPの上昇をもたらす眼球の原因は、眼球の出口にある静脈の機械的な圧迫又は機能的な狭窄のいずれかであると考えられる。その結果、灌流圧が低下し、これが低酸素症のリスクを高める。RVPの上昇はまた、経壁圧を上昇させ、それによって網膜浮腫のリスクを増大させる。
【0028】
Gugleta K,Klinisches Monatsblatt Augenheilkunde,2018,235,140‐145では、緑内障におけるエンドセリン‐1の意義が述べられている。エンドセリン‐1は、実質的にすべての組織に存在するユビキタスな分子である。その主な生理的機能は、血管径の調節、ひいては組織における血液供給の調節である。それは局所的に分泌され、主に局所的に作用する。エンドセリン‐1は、網膜や視神経の血流調節に関与している。
【0029】
Flammerら、The EMPA Journal、DOI 10.1186/s13167‐015‐0043‐1では、網膜静脈圧(RVP)に対するエンドセリンの役割について述べられている。健常者では、RVPは通常、眼圧(IOP)と同じかわずかに上回る程度であるが、眼や全身に疾患を持つ患者では、しばしば著しく上昇する。
【発明の概要】
【0030】
本発明の目的は、疾患、特に網膜静脈圧の上昇に関連する眼科疾患の治療に使用するための製剤を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
網膜静脈圧(RVP)は、眼圧(IOP)と同等か数mmHg上の圧力が正常値とされている。RVPを測定するためには、眼底血圧計(Lowコンタクトレンズダイナモメーターなど)やIOPstimシステム(Imedos社製)により、目的の静脈が脈動するまで眼圧(IOP)を上昇させる。この印加された力を眼底血圧力(ODF、Ophthalmodynamometric Force)ともいう。すなわち、自発静脈脈動がある場合(ODF=0)、RVPはIOPに等しい。自発静脈脈動がない場合、自発静脈脈動を引き起こすのに必要なODFを測定し、RVPはRVP=ODF+IOPとして算出される。
【0032】
網膜静脈圧は、例えばMozaffarieh M.et al.,Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol,2014,252,1569‐1571に記載されているように、眼底血圧計で測定されてもよい。眼底血圧力は、Mustur D.et al.,The EPMA Journal,2017,8,339‐344に記載されているように測定されてもよい。
【0033】
もちろん、臨床的に健康な眼でも網膜静脈圧が上昇することはある。しかし、それにもかかわらず、それは全身性疾患(自己免疫疾患など)の強い徴候となることがある。
【0034】
眼疾患の治療に使用するための本発明による製剤は、少なくとも1つのフォラート(folate)又はその塩を含むものである。眼疾患は、網膜静脈圧の上昇と関連している。
【0035】
網膜静脈圧の上昇に関連、関係又は起因する眼疾患としては、糖尿病性網膜症、黄斑変性症(MD)、原発開放隅角緑内障(POAG)、原発閉塞隅角緑内障(PACG)、正常眼圧緑内障(NTG)などの緑内障が挙げられる。
【0036】
フォラート(folate)は、葉酸(folic acid)の還元型であり、本発明による製剤に採用することもできる。
【0037】
葉酸(folic acid)は酸化型であり、生物学的葉酸(biological folate)の親化合物である。葉酸(folic acid)はその安定性から、サプリメントや食品の栄養強化に使用されている。しかし、葉酸(folic acid)は代謝活性がなく、酵素触媒によるいくつかのステップで5‐メチルテトラヒドロフォラートに変換される前に、還元と1つの炭素置換が必要である。葉酸(folic acid)自体の酵素的変換は、その経路のいくつかのポイントで不完全、破壊、又は減少しているかもしれないが、葉酸代謝は他の代謝サイクルと関連しているため、その欠乏の影響は倍増する可能性があり、つまり、あるサイクルで機能不全が起こると他の代謝サイクルで機能不全を誘発する可能性がある。さらなる形態として、メチル基の代わりにホルミル基が存在する5‐ホルミルテトラヒドロフォラートがある。
【0038】
さらなる実施形態において、製剤は、硫黄供与体化合物、好ましくはN‐アセチルシステインをさらに含む。
【0039】
別の実施形態では、製剤は、さらに、ビタミンB複合体の少なくとも1つの化合物を含む。これらのビタミンB群は、好ましくは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、及びビタミンB12からなる群から選択される。ビタミンB12が特に好ましい。
【0040】
さらに別の実施形態では、製剤は、アルギニン又はアルギニンエステルをさらに含む。
【0041】
さらに、製剤は、コリン供与体を含んでもよい。好ましいコリン供与体はベタインである。
【0042】
また、本組成物は、化合物であるアセチルコリンを含んでもよい。
【0043】
さらに、製剤は、グルコサミンを含んでもよい。
【0044】
さらなる実施形態では、組成物は、ビタミンDを含み、ビタミンD3が特に好ましい。
【0045】
好ましい実施形態では、葉酸塩(folate salt)は、フォラート(folate)と対イオンとしてのカチオンからなり、カチオンは、アルギニン、コリン、アセチルコリン、1,1‐ジメチルビグアニジン、フェニルエチルビグアニジン、グルコサミン及びジメチルアミノエタノールからなる群から選択される。
【0046】
以下のフォラート(folate)、すなわち5‐ホルミル‐(6S)‐テトラヒドロ葉酸、5‐ホルミル‐(6RS)‐テトラヒドロ葉酸、10‐ホルミル‐(6R)‐テトラヒドロ葉酸、5‐メチル‐(6S)‐テトラヒドロ葉酸、5‐メチル‐(6RS)‐テトラヒドロ葉酸、(6S)‐テトラヒドロ葉酸、5,10‐メチレン‐(6R)‐テトラヒドロ葉酸、5,10‐メテニル‐(6R)‐テトラヒドロ葉酸、5,10‐ジホルミル‐(6S)‐テトラヒドロ葉酸、5‐メチル‐10‐ホルミル‐(6S)‐テトラヒドロ葉酸が好ましい。つまり、葉酸塩(folate salt)のアニオンは、前記のフォラートからなる群から選択される。
【0047】
製剤は、液剤、クリーム、カプセルなど、さまざまな形態で製剤化することができる。
【0048】
製剤の液体形態は例えば以下の通りであり、本発明による組成物は、レボロイコボリンのカルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム又は亜鉛塩と、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、グリセロリン酸二ナトリウム塩又はグリセロリン酸二カリウム塩の1つ以上を含む。レボロイコボリンの塩には、さらにアルギニンなどのカチオンを用いてもよい。
【0049】
組成物は、追加の賦形剤を含有しても含有しなくてもよい。好ましくは、組成物は、ベンジルアルコール、トロメタミン又はモノチオグリセロールを含まない。凍結乾燥プロセス中の許容可能なケーキ形成のためのマンニトール、又は浸透圧を調整するための塩化ナトリウム及びデキストロースなどの賦形剤が、組成物に添加されてもよい。溶液のpHは、典型的には6.5~8.5の範囲であり、例えば少量の塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて医薬品の製造中に調整することが可能である。溶液は、酸化劣化を防止するために酸化防止剤を含有してもよい。
【0050】
組成物中に、ロイコボリンのカルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩又は亜鉛塩のような少なくとも1つの追加の化合物、(6R,S)‐テトラヒドロ葉酸、(6S)‐テトラヒドロ葉酸、5,10‐メチレン‐(6R,S)‐テトラヒドロフォラート、5,10‐メチレン‐(6R)‐テトラヒドロフォラート、5‐メチル‐(6R,S)‐テトラヒドロフォラート若しくは5‐メチル‐(6S)‐テトラヒドロフォラート又は当該化合物の2、3、若しくはそれ以上の混合物が使用可能である。
【0051】
本発明による好ましい組成物は、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、グリセロリン酸二カリウム塩又はグリセロリン酸二ナトリウム塩の1種又はそれ以上を含む。
【0052】
組成物中の化合物の量については、以下の比率が好ましい。組成物は、レボロイコボリンのカルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩又は亜鉛塩1モルに対して、0.8~6.0モル、有利には1.0~4.0モルのグルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、乳酸ナトリウム又は乳酸カリウムを好ましく含有する。実際の実施形態では、組成物は、レボロイコボリンのカルシウム塩、マグネシウム塩又は亜鉛塩1モルに対して、1.5~3.0モルのグルコン酸ナトリウム、又はグルコン酸カリウムを含有することが好ましい。このような組成物は、塩の1モルに対して、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、乳酸ナトリウム又は乳酸カリウムの、最小0.8モル、好ましくは1.0モル、有利には1.5モル、及び最大6.0モル、好ましくは4.0モル、有利には3.0モルを含有してもよい。
【0053】
他の組成物は、レボロイコボリンのカルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩又は亜鉛塩1モルに対して、0.4~4.0モル、好ましくは0.5~3.0モル、有利には0.7~2.0の、グリセロリン酸二ナトリウム塩又はグリセロリン酸二カリウム塩を好ましくは含有する。このような組成物は、塩1モルに対して、最小0.4モル、好ましくは0.5モル、有利には0.7モル、及び最大4.0モル、好ましくは3.0モル、有利には2.0モルのグリセロリン酸二ナトリウム塩又はグリセロリン酸二カリウム塩を含有してもよい。
【0054】
カプセルに含有させるのに適した別の例示的な組成物又は製剤は以下の通りであり、例えば、製剤は、L‐5‐メチル‐テトラヒドロフォラート又はL‐5‐ホルミル‐テトラヒドロフォラートなどのフォラート(folate)のカルシウム塩、N‐アセチルシステイン又はその塩などの硫黄供与体化合物、L‐セレノメチオニンなどのセレンを含む化合物、コレカルシフェロール、D‐パントテン酸カルシウム、メチルコバラミンなどのビタミンB12、ピリドキサール‐5’‐リン酸などのビタミンB6、リボフラビンなどのビタミンB2、チアミンモノニトラート(一硝酸チアミン)などのビタミンB1、ゼアキサンチン、ルテイン、ビタミンEすなわちD‐α‐トコフェロール、アスコルビン酸カルシウムなどのビタミンC、グルコン酸銅などのグルコン酸塩、及び酸化亜鉛又は酢酸亜鉛などの亜鉛を含む化合物などの成分を含有する。
【0055】
例えば、製剤は、0.2mgから2.7mgの量のL‐5‐メチル‐テトラヒドロフォラートのカルシウム塩、40mgから540mgの量のN‐アセチルシステイン又はその塩、0.005mgから0.06mgの量のL‐セレノメチオニン、0.009mg~0.1mgの量のコレカルシフェロール、1mg~15mgの量のD‐パントテン酸カルシウム、0.003mg~0.1.5mgの量のメチルコバラミン、1mg~9mgの量のピリドキサール‐5’‐リン酸、2mg~30mgの量のリボフラビン、0.2mg~4.5mgの量のチアミンモノニトラート、1mg~3mgの量のゼアキサンチン、4mg~15mgの量のルテイン、1mg~16mgの量のD‐α‐トコフェロール、20mg~100mgの量のアスコルビン酸カルシウム、0.1mg~2mgの量のグルコン酸銅、及び7mg~80mgの量の酸化亜鉛を成分として含有する。
【0056】
成分N‐アセチルシステインは、遊離酸の形でも、その塩の1つの形でも、例えばナトリウム塩又はカルシウム塩として使用することができる。N‐アセチルシステインはまた、N‐アセチルシステイン‐アミドの形態で存在することができる。さらなる硫黄供与体化合物は、リポ酸である。
【0057】
この組成物は、さらに好ましくは、精製ダイズ油、タイプNGM、31°~37℃で部分的に水素化したダイズ油、36℃~42℃で部分的に水素化したダイズ油、精製ナタネ油、グリセリルモノステラート、ヒマワリ又はダイズレシチン及びミツロウからなる群から選択される1以上の補助物質を含有する。ナタネ油又はダイズ油は、光及び水分に対する活性成分の保護を提供する。
【0058】
別の好ましい態様では、組成物は、精製ダイズ油、タイプNGM、31°~37℃で部分的に水素化したダイズ油、36℃~42℃で部分的に水素化したダイズ油、精製ナタネ油、グリセリルモノステラート、ヒマワリ又はダイズレシチン、ミツロウ、中鎖長又はそれより長い鎖長のトリグリセリド(中鎖長:C6~C12、長鎖長:C13~C24)、少なくとも1つの有機リン酸エステルを有するホスホグリセリド、及び鎖長C20~C40のアルコールと中鎖長又は長鎖長の脂肪酸からのエステル化合物からなる群から選択される1以上の補助物質を含有する。
【0059】
別の態様では、組成物は、例えばソフトゼラチンカプセル、ビーガンソフトシェルカプセル又はハードゼラチンカプセルのようなカプセルに含まれる。ソフトゼラチンカプセルは、好ましくは、ゼラチン、グリセロール98%、グリセロール86%、ソルビトール70%、二酸化チタン、銅クロロフィリンナトリウム及び水を含有する。
【0060】
クリームのための例示的な製剤は、完全に混合された相を含む。相Aは、油を含む。相Bは、グリセロール及び乳化剤を含む。相Cは、生理学的に有効な量の葉酸塩(folate salt)、及び任意にグルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グリセロリン酸二ナトリウム塩及びグリセロリン酸二カリウム塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む水性葉酸(フォラート)組成物を含む。これは任意に、薬学的に許容される緩衝剤、例えばトリス(ヒドロキシメチル)‐アミノメタン(TRIS)、及び薬学的に許容される抗酸化剤、例えばグルタチオンなどのさらなる化合物を含んでいてもよい。任意選択の相Dは、1つ以上の艶消し剤を含む。二酸化チタンは、白色染料として使用することができる。あるいは、二酸化ケイ素を使用することができる。
【0061】
本発明による葉酸(フォラート)製剤は、好ましくは、C相に、極性溶媒1ml当たり、フォラート(folate)のカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、亜鉛、アルギニン、コリン、アセチルコリン、1,1‐ジメチルビグアニジン、フェニルエチルビグアニジン、及びジメチルアミノエタノール塩からなる群から選択された少なくとも1種の葉酸塩(folate salt)を0.1mg~1000mg含む。極性溶媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、n‐プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、ジメチルスルホキシドである。また、このような極性溶媒の混合物を用いてもよい。フォラート(folate)のアルギニン、コリン、アセチルコリン、1,1‐ジメチルビグアニジン、フェニルエチルビグアニジン、グルコサミン、及びジメチルアミノエタノール塩が好ましい。
【0062】
別の実施形態では、相Cは、葉酸塩(folate salt)1モルに対して、0.8~10モルのグルコン酸ナトリウム又はグルコン酸カリウムを含む。相Cがグリセロリン酸二ナトリウム塩又はグリセロリン酸二カリウム塩を含む場合、これらの塩は、好ましくは0.4~5モルの濃度で存在する。
【0063】
好ましくは、本発明による製剤は、A相に中鎖トリグリセロールからなる油を含む。そのような中鎖トリグリセロールの脂肪酸は、C6~C12の範囲の鎖長を有する。最も好ましいのは、カプリル酸/カプリン酸トリグリセロールの油である。さらに、任意に、ジカルボン酸アルコールを含んでもよい。ジカルボン酸はC2~C10の範囲の鎖長を有し、アルコールはメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、ペンチルアルコールからなる群から選択される。
【0064】
製剤のB相に使用される乳化剤は、HLB値が5以上であることが好ましい。界面活性剤の親水性‐親油性バランスは、親水性又は親油性の度合いを示す指標であり、Griffinが1954年に記載したように、分子の異なる領域について値を計算することによって決定される。1954年にGriffinが記載した非イオン性界面活性剤の方法は、次のように作用する:HLB=20xMh/M、ここで,Mhは化合物の親水性部分の分子量、Mは化合物の全分子量である。HLBの値が0であれば完全に親油性/疎水性の分子に相当し、値が20であれば完全に親水性/疎油性の分子に相当する。HLB値が8から16の範囲にある乳化剤は、水中油型(o/w)エマルションの安定化に好適である。
【0065】
好ましい乳化剤は、脂肪酸がC14~C20の範囲の鎖長を有する、スクロースエステルである。そのようなスクロースエステルは、5以上のHLB値を有する必要がある。最も好ましいのは、エミュレーター(emulator)であるスクロースステアラートである。
【実施例】
【0066】
例1
予備試験において、患者に、上述の葉酸製剤であるOcufolin forte(登録商標)(製剤はカプセルで構成されている)を投与した。治療は10日間行われた。治療による副作用は報告されなかった。患者の網膜静脈圧は、治療サイクルの前とその後、両目で指示通りに測定された。治療前のRVPは56mmHg(右眼)、59mmHg(左眼)と測定された。眼圧(IOP)は18mmHg(両眼)と測定された。治療後、RVPは32mmHg(右眼)、16mmHg(左眼)と測定された。IOPは16mmHg(両目)と測定された。この結果から、RVPは大幅に減少していることがわかる。
【0067】
Hcyは患者の血清から既知の方法に従って測定した。IOPはCorvisST(登録商標)装置を用いて測定された。ODF測定は、Lowに従った眼底血圧計を使用して行われた。網膜静脈圧(mmHg)は、RVP=IOP+ODFの式に従って算出される。
【0068】
さらに緑内障の患者で測定したところ、次のような結果が得られた。
【表1】
表1
患者はOcufolin forte(登録商標)(1日1カプセル)を補給された。
【0069】
例2
パイロット試験の続きとして、緑内障患者における網膜静脈圧及びホモシステイン血漿レベルに対するL‐メチルフォラートを含むビタミン補給の効果がさらに評価された。
【0070】
対象は、正常眼圧緑内障、原発閉塞隅角緑内障、原発開放隅角緑内障などの緑内障及び/又は眼血管疾患を患っているすべての患者であった。最初に測定された眼底血圧は、視神経乳頭(ONH)中の又はONHでのいずれかの静脈で15mmHgであった。患者の血清ホモシステイン(HCy)濃度は12μm/Lより高かった。
【0071】
データは合計6つの時点で収集された。1回目の来院時にIOP、RVP、Hcyの血清レベルのベースライン測定が行われた(時点:プレ1)。2回目の来院時に、ベースライン測定が繰り返され、その後、ビタミン補給が開始された(時点:プレ2)。サプリメントとして、Ocufolin(登録商標)forteが1日1カプセルの用量で3ヶ月間使用された。Ocufolin(登録商標)forteの補給による副作用は報告されなかった。
【0072】
治療期間中,IOPとRVPは6週間後と3ヶ月後に測定された。一部の患者については、2週間後と4週間後など、より頻繁に測定が行われた(時点:ポスト1、ポスト2、ポスト3、ポスト4)。Hcyは、患者の血清から既知の方法に従って測定された。IOPは、CorvisST(登録商標)装置を用いて測定した。ODF測定は、Lowに従った眼底血圧計を使用して行った。網膜静脈圧(mmHg)は、RVP=IOP+ODFの式に従って算出される。
【表2】
N=測定した静脈の総数
表2
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】
図1は、Ocufolin(登録商標)forteの補給前と補給中のRVPの推移を示したものである。
【0074】
また、全患者でRVPが有意に低下したことに加え、平均ホモシステイン(Hcy)血清レベルもOcufolin(登録商標)forteの補給前よりも補給後に統計的に有意に低下した。
【国際調査報告】