(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】ウェアラブルディスプレイ内の光透過アーチファクトの角度選択的減衰
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20230413BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230413BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20230413BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20230413BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20230413BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02F1/13 505
G02F1/1335
G02F1/1334
G02F1/1347
G02B5/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552801
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 US2021021224
(87)【国際公開番号】W WO2021178908
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】メッサー, ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ハドック, ジョシュア ナアマン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, フイ-チュアン
(72)【発明者】
【氏名】マトゥール, ヴァイブハブ
(72)【発明者】
【氏名】カーライル, クリントン
【テーマコード(参考)】
2H088
2H149
2H189
2H199
2H291
【Fターム(参考)】
2H088EA10
2H088EA47
2H088EA48
2H088GA10
2H088HA15
2H088HA17
2H088HA18
2H088HA28
2H088HA30
2H149AA01
2H149AA02
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2H149BA02
2H149BA13
2H149DA02
2H149DA04
2H149DA12
2H149EA02
2H149EA03
2H149EA06
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2H149FA03W
2H149FA21Y
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2H189MA15
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2H199CA96
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2H291FA21X
2H291FA30X
2H291FA52X
2H291FA52Z
2H291FA71X
2H291FA85Z
2H291MA02
2H291PA03
2H291PA06
2H291PA09
2H291PA44
(57)【要約】
ウェアラブルディスプレイシステムは、世界側と、世界側に対向する、ユーザ側とを有する、接眼レンズスタックを含む。使用の間、ユーザ側上に位置付けられる、ユーザが、ユーザの環境のユーザの視野を増大させる、接眼レンズスタックを介して、ウェアラブルディスプレイシステムによって送達される、表示される画像を視認する。本システムはまた、接眼レンズスタックの世界側上に配列される、光学減衰器を含み、光学減衰器は、それぞれ、他のドメインの方向と異なる、対応する方向に配向される、主光学軸を有する、複数のドメインを有する、複屈折材料の層を有する。光学減衰器の各ドメインは、対応する異なる入射角の範囲にわたって、光学減衰器上に入射する可視光の透過を低減させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブルディスプレイシステムであって、
世界側と、前記世界側に対向するユーザ側とを有する接眼レンズスタックであって、使用の間、前記ユーザ側上に位置付けられるユーザが、前記ユーザの環境のユーザの視野を増大させる前記接眼レンズスタックを介して、前記ウェアラブルディスプレイシステムによって送達される表示される画像を視認する、接眼レンズスタックと、
前記接眼レンズスタックの世界側上に配列される光学減衰器であって、前記光学減衰器は、それぞれが他のドメインの方向と異なる対応する方向に配向される主光学軸を有する複数のドメインを有する複屈折材料の層を備える、光学減衰器と
を備え、
前記光学減衰器の各ドメインは、対応する異なる入射角の範囲にわたって、前記光学減衰器上に入射する可視光の透過を低減させる、ウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項2】
前記ウェアラブルディスプレイのアイボックスに対応する前記接眼レンズスタックの開口に関して、D65発光源を前記世界側上に伴う前記ユーザ側上の前記ディスプレイを通して視認される画像の白色点は、前記アイボックスを画定する前記ディスプレイの開口を横断して、40°またはそれ未満の入射角にわたって、CIELUV色空間内で0.01Δu’v’またはそれ未満だけ変動する、請求項1に記載のウェアラブルディスプレイ。
【請求項3】
前記開口は、20mmまたはそれを上回る直径を有する、請求項1または請求項2に記載のウェアラブルディスプレイ。
【請求項4】
前記開口は、50mmまたはそれ未満の直径を有する、前記請求項のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイ。
【請求項5】
前記複屈折材料は、液晶材料であり、前記光学減衰器はさらに、一対の整合層を前記液晶材料の対向側上に備え、前記整合層のうちの少なくとも1つは、異なるプレチルト角を前記光学減衰器の異なるドメイン内の液晶材料に提供するように構成される、前記請求項のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイ。
【請求項6】
前記ウェアラブルディスプレイの視認軸と交差するドメインにおける極性プレチルト角は、ゼロ度であり、前記視認軸から離れる少なくとも1つのドメインにおける極性プレチルト角は、非ゼロを上回る、請求項5に記載のウェアラブルディスプレイ。
【請求項7】
非ゼロ極性プレチルト角を伴う少なくとも2つのドメインは、異なる方位角プレチルト角を有する、請求項5または請求項6に記載のウェアラブルディスプレイ。
【請求項8】
前記複屈折材料の層は、空間変動O-プレートである、前記請求項のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイ。
【請求項9】
前記複屈折材料の層は、1次元パターンで配列されるドメインを備える、前記請求項のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイ。
【請求項10】
前記複屈折材料の層は、2次元パターンで配列されるドメインを備える、請求項1-8のいずれか1項に記載ウェアラブルディスプレイ。
【請求項11】
前記複屈折材料の層は、一対の線形偏光器間に配列される、前記請求項のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項12】
前記一対の線形偏光器の個別の通過軸は、交差される、請求項11に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項13】
前記複屈折材料の層は、前記光学減衰器の世界側上に入射する前記一対の線形偏光器のうちの第1の線形偏光器によって透過される光の偏光状態を回転させる、請求項1-11のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項14】
前記偏光状態の回転の量は、前記一対の線形偏光器のうちの前記第1の線形偏光器によって透過される光の入射角に応じて、変動する、請求項13に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項15】
大入射角を有して透過される前記光は、小入射角を有して透過される前記光未満で回転される、請求項14に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項16】
前記光学減衰器は、一対の4分の1波長板を備え、前記4分の1波長板は、前記複屈折材料の層の対向側上に配置される、請求項1-11のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項17】
各4分の1波長板は、前記線形偏光器の対応するものに対して配列され、円偏光器を形成する、請求項16に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項18】
前記光学減衰器は、複屈折材料の第2の層を備える、前記請求項のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項19】
前記光学減衰器はさらに、3つの線形偏光器を備え、各複屈折層は、前記3つの線形偏光器のうちの2つの間に配列される、請求項18に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項20】
複屈折材料の各層は、空間変動O-プレートである、請求項18に記載のウェアラブルディスプレイ。
【請求項21】
前記光学減衰器は、複数の4分の1波長板を備え、一対の前記4分の1波長板は、前記複屈折材料の各層の対向側上に配列される、請求項20に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項22】
前記光学減衰器は、2つまたはそれを上回る段階を備え、各段階は、一対の線形偏光器間に配列される前記複屈折材料の層を備える、請求項1-17のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項23】
隣接する段階は、線形偏光器を共有する、請求項22に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項24】
前記複屈折材料の層は、可変光学性質を有する切替可能な要素である、請求項1に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項25】
前記切替可能な要素は、液晶層を一対の電極層間に備える、請求項24に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェアラブルディスプレイ内の光透過率アーチファクトの減衰のための技法に関する。
(関連出願の相互参照)
【0002】
本願は、その内容が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2020年3月6日に出願された、米国仮出願第62/986,478号の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
ウェアラブルディスプレイシステム(例えば、ウェアラブルディスプレイヘッドセット)等の光学結像システムは、投影された画像をユーザに提示する、1つまたはそれを上回る接眼レンズを含むことができる。接眼レンズは、1つまたはそれを上回る高度に屈折性の材料の薄い層を使用して、構築されることができる。実施例として、接眼レンズは、高度に屈折性のガラス、シリコン、金属、またはポリマー基板の1つまたはそれを上回る層から構築されることができる。
【0004】
複数の接眼レンズが、シミュレートされた3次元画像を投影するように併用されることができる。例えば、複数の接眼レンズ(それぞれ、異なるパターンを有する)が、重ねて層化されることができ、各接眼レンズは、立体画像の異なる深度層を投影することができる。したがって、接眼レンズは、集合的に、3次元を横断して、立体画像をユーザに提示することができる。これは、例えば、ユーザに「仮想現実」環境を提示する際に有用であり得る。
【0005】
ウェアラブルディスプレイシステム内の光学要素はまた、ユーザが存在する、環境からの光である、周囲光と相互作用し得る。例えば、ウェアラブルディスプレイシステム内の回折構造は、通常、ユーザの視野に入射しないであろう、高角度でウェアラブルディスプレイ上に入射する周囲光を、ユーザの体験を減少させる、可視アーチファクトを作成する視野の中に回折し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(例えば、拡張現実(AR)用途のために有用な)ウェアラブルディスプレイシステムが、高入射角でディスプレイ上に入射する周囲光と関連付けられる、アーチファクトを軽減させるための光学減衰器を含むように説明される。例示的光学減衰器は、入射角の関数として、異なるレベルの減衰を広帯域光に付与することができる。光学減衰器は、減衰器のドメイン毎に減衰器内の複屈折媒体の光学軸の整合を変化させることによって、ウェアラブルディスプレイのクリア開口を横断した透過角度範囲の空間変動を特徴とする。例えば、減衰器の複屈折層として使用される、液晶材料の配向子軸は、空間的に変動されることができる。光学減衰器はさらに、ウェアラブルディスプレイと関連付けられる、アーチファクトの抑制を改良し、かつ単一ドメイン複屈折層を利用する、ソリューションと比較して、ディスプレイを通した世界のユーザのビューの縁における色偏移を低減させることができる。
【0007】
本発明の種々の側面は、以下のように要約される。
【0008】
一般に、第1の側面では、本発明は、世界側と、世界側に対向する、ユーザ側とを有する、接眼レンズスタックであって、使用の間、ユーザ側上に位置付けられる、ユーザが、ユーザの環境のユーザの視野を増大させる、接眼レンズスタックを介して、ウェアラブルディスプレイシステムによって送達される、表示される画像を視認する、接眼レンズスタックと、接眼レンズスタックの世界側上に配列される、光学減衰器であって、それぞれが他のドメインの方向と異なる、対応する方向に配向される、主光学軸を有する、複数のドメインを有する、複屈折材料の層を有する、光学減衰器とを含む、ウェアラブルディスプレイシステムを特徴とする。光学減衰器の各ドメインは、対応する異なる入射角の範囲にわたって、光学減衰器上に入射する可視光の透過を低減させる。
【0009】
ウェアラブルディスプレイシステムの実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。例えば、ウェアラブルディスプレイのアイボックスに対応する、接眼レンズスタックの開口に関して、D65発光源を世界側上に伴う、ユーザ側上のディスプレイを通して視認される、画像の白色点は、アイボックスを画定する、ディスプレイの開口を横断して、40°またはそれ未満の入射角にわたって、CIELUV色空間内で0.01Δu’v’またはそれ未満だけ変動する。開口は、20mmまたはそれを上回る(例えば、25mmまたはそれを上回る、30mmまたはそれを上回る、35mmまたはそれを上回る、40mmまたはそれを上回る)直径を有する。開口は、50mmまたはそれ未満の直径を有する。
【0010】
複屈折材料は、液晶材料であることができ、角度選択的フィルムはさらに、一対の整合層を液晶材料の対向側上に含むことができ、整合層のうちの少なくとも1つは、異なるプレチルト角を角度選択的フィルムの異なるドメイン内の液晶材料に提供するように構成される。ウェアラブルディスプレイの視認軸と交差するドメインにおける極性プレチルト角は、ゼロ度であることができ、視認軸から離れる少なくとも1つのドメインにおける極性プレチルト角は、ゼロを上回る。非ゼロ極性プレチルト角を伴う、少なくとも2つのドメインは、異なる方位角プレチルト角を有することができる。
【0011】
複屈折材料の層は、空間変動O-プレートであることができる。
【0012】
複屈折材料の層は、1次元パターンで配列される、ドメインを含むことができる。代替として、複屈折材料の層は、2次元パターンで配列される、ドメインを含むことができる。
【0013】
複屈折材料の層は、一対の線形偏光器間に配列されることができる。2つの線形偏光器の通過軸は、交差されることができる。複屈折フィルムは、偏光調節フィルムの世界側上の一対の線形偏光器のうちの第1の線形偏光器によって透過される、光の偏光状態を回転させることができる。偏光状態の回転の量は、一対の線形偏光器のうちの第1の線形偏光器によって透過される、光の入射角に応じて、変動する。大入射角を有して透過される、光は、小入射角を有して透過される、光未満で回転されることができる。光学減衰器は、一対の4分の1波長板を含むことができ、4分の1波長板は、複屈折材料の層の対向側上に配置される。各4分の1波長板は、線形偏光器の対応するものに対して配列され、円偏光器を形成することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、光学減衰器は、複屈折材料の第2の層を含む。光学減衰器はさらに、3つの線形偏光器を含むことができ、各複屈折層は、3つの線形偏光器のうちの2つの間に配列される。複屈折材料の各層は、空間変動O-プレートであることができる。光学減衰器は、複数の4分の1波長板を含むことができ、一対の4分の1波長板は、複屈折材料の各層の対向側上に配列される。
【0015】
光学減衰器は、2つまたはそれを上回る段階を含むことができ、各段階は、一対の線形偏光器間に配列される、複屈折材料の層を有する。隣接する段階は、線形偏光器を共有することができる。
【0016】
複屈折材料の層は、可変光学性質を有する、切替可能な要素であることができる。切替可能な要素は、液晶層を一対の電極層間に含むことができる。
【0017】
利点の中でもとりわけ、本発明の実装は、ディスプレイ内の格子構造と相互作用する迷周囲光と関連付けられる、あるウェアラブルディスプレイ内の望ましくない光学アーチファクト(例えば、レインボー効果)を低減させることができる。例えば、表面レリーフ格子を採用する、導波管ベースのウェアラブルディスプレイ(例えば、AR/MR用途のため)は、迷周囲光をディスプレイのアイボックスの中に回折し、望ましくないアーチファクトをユーザの視野内にもたらし、ユーザの体験を減少させ得る。本発明の実装は、ユーザの視野に有意に効果を及ぼさずに、そのようなアーチファクトを有意に低減させることができる。
【0018】
実装は、その入射角およびアイボックス内の入射の場所に基づいて、周囲光の透過率を減衰させることができる。例えば、ユーザの視野より大きい入射角に関する光を選択的に減衰させる、減衰器は、ユーザの世界のビューの透過率を犠牲にせずに、回折接眼ディスプレイによって生成されたアーチファクトの可視性を軽減させることができる。
【0019】
1つまたはそれを上回る実施形態の詳細は、付随の図面および下記の説明に記載される。他の特徴および利点は、説明および図面から、および請求項から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、ウェアラブルディスプレイシステムの実施例を示す。
【0021】
【
図2A】
図2Aは、ユーザのための3次元画像をシミュレートするための従来のディスプレイシステムを示す。
【0022】
【
図2B】
図2Bは、複数の深度面を使用して3次元画像をシミュレートするためのアプローチの側面を示す。
【0023】
【
図3】
図3A-3Cは、曲率半径と焦点半径との間の関係を示す。
【0024】
【
図4】
図4は、AR接眼レンズ内で画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの実施例を示す。
【0025】
【
図5】
図5および6は、導波管によって出力された出射ビームの実施例を示す。
【
図6】
図5および6は、導波管によって出力された出射ビームの実施例を示す。
【0026】
【
図7】
図7Aおよび7Bは、表面レリーフ格子を有する、ディスプレイコンバイナを通した光経路を図示する、概略図である。
【0027】
【
図8】
図8Aおよび8Bは、光学減衰器の有無別のディスプレイコンバイナを通した光透過を仕切る、概略図である。
【0028】
【
図9】
図9Aおよび9Bは、アイボックスおよび関連世界透過角度を表示する、略図である。
【0029】
【
図10-1】
図10は、世界透過率およびアーチファクト発生率プロファイルを示す、一連のプロットである。
【
図10-2】
図10は、世界透過率およびアーチファクト発生率プロファイルを示す、一連のプロットである。
【0030】
【
図11A】
図11Aおよび11Bは、単一O-プレートと、空間変動O-プレートとを伴う、接眼レンズの実施例である。
【
図11B】
図11Aおよび11Bは、単一O-プレートと、空間変動O-プレートとを伴う、接眼レンズの実施例である。
【0031】
【
図12A】
図12Aおよび12Bは、空間変動O-プレートのさらなる実施例である。
【
図12B】
図12Aおよび12Bは、空間変動O-プレートのさらなる実施例である。
【0032】
【
図13】
図13は、複数のO-プレートを伴う、接眼レンズの実施例である。
【0033】
【
図14】
図14A-14Dは、3つの波長に関する例示的O-プレートの計算された透過率プロファイルのプロットである。
【0034】
【
図15】
図15A-15Cは、例示的O-プレートの計算された透過率プロファイルの強度プロットである。
【0035】
【
図16】
図16A-16Tは、光学レインボーアーチファクトの計算された減衰の画像である。
【0036】
【0037】
【
図18】
図18は、ウェアラブルディスプレイシステムとの併用に有用である、例示的コンピュータシステムの略図である。
【0038】
図面中、同様の標識は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
詳細な説明
図1は、ディスプレイまたは接眼レンズ70と、そのディスプレイ70の機能をサポートするための種々の機械的および電子モジュールおよびシステムとを含む、例示的ウェアラブルディスプレイシステム60を図示する。ディスプレイ70は、フレーム80内に格納されてもよく、これは、ディスプレイシステムユーザ90によって装着可能であって、ディスプレイ70をユーザ90の眼の正面に位置付けるように構成される。ディスプレイ70は、いくつかの実施形態では、アイウェアと見なされてもよい。いくつかの実施形態では、スピーカ100が、フレーム80に結合され、ユーザ90の外耳道に隣接して位置付けられる。ディスプレイシステムはまた、1つまたはそれを上回るマイクロホン110を含み、音を検出してもよい。マイクロホン110は、ユーザが、入力またはコマンドをシステム60に提供することを可能にすることができ(例えば、音声メニューコマンドの選択、自然言語質問等)、および/または他の人物(例えば、類似ディスプレイシステムの他のユーザ)とのオーディオ通信を可能にすることができる。マイクロホン110はまた、オーディオデータ(例えば、ユーザおよび/または環境からの音)をユーザの周囲から収集することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムもまた、周辺センサ120aを含んでもよく、これは、フレーム80と別個であって、ユーザ90の身体(例えば、頭部、胴体、四肢等上)に取り付けられてもよい。周辺センサ120aは、いくつかの実施形態では、ユーザ90の生理学的状態を特徴付けるデータを取得してもよい。
【0040】
ディスプレイ70は、有線導線または無線コネクティビティ等の通信リンク130によって、ローカルデータ処理モジュール140に動作可能に結合され、これは、フレーム80に固定して取り付けられる、ユーザによって装着されるヘルメットまたは帽子に固定して取り付けられる、ヘッドホンに内蔵される、または別様にユーザ90に除去可能に取り付けられる(例えば、リュック式構成において、またはベルト結合式構成において)等、種々の構成において搭載されてもよい。同様に、センサ120aは、通信リンク120b(例えば、有線導線または無線コネクティビティ)によって、ローカルプロセッサおよびデータモジュール140に動作可能に結合されてもよい。ローカル処理およびデータモジュール140は、ハードウェアプロセッサおよび不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブ)等のデジタルメモリを含んでもよく、その両方とも、データの処理、キャッシュ、および記憶を補助するために利用され得る。データは、1)画像捕捉デバイス(例えば、カメラ)、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、ジャイロスコープ、および/または本明細書に開示される他のセンサ等の(例えば、フレーム80に動作可能に結合される、または別様にユーザ90に取り付けられ得る)センサから捕捉されるデータ、および/または2)可能性として、処理または読出後にディスプレイ70への通過のために、遠隔処理モジュール150および/または遠隔データリポジトリ160(仮想コンテンツに関連するデータを含む)を使用して取得および/または処理されたデータを含んでもよい。ローカル処理およびデータモジュール140は、これらの遠隔モジュール150、160が相互に動作可能に結合され、ローカル処理およびデータモジュール140に対するリソースとして利用可能であるように、有線または無線通信リンク等を介して、通信リンク170、180によって、遠隔処理モジュール150および遠隔データリポジトリ160に動作可能に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、ローカル処理およびデータモジュール140は、画像捕捉デバイス、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、および/またはジャイロスコープのうちの1つまたはそれを上回るものを含んでもよい。いくつかの他の実施形態では、これらのセンサのうちの1つまたはそれを上回るものは、フレーム80に取り付けられてもよい、または有線または無線通信経路によってローカル処理およびデータモジュール140と通信する、独立デバイスであってもよい。
【0041】
遠隔処理モジュール150は、画像およびオーディオ情報等のデータを分析および処理するための1つまたはそれを上回るプロセッサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ160は、デジタルデータ記憶設備であり得、これは、インターネットまたは「クラウド」リソース構成における他のネットワーキング構成を通して利用可能であってもよい。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ160は、情報(例えば、拡張現実コンテンツを生成するための情報)をローカル処理およびデータモジュール140および/または遠隔処理モジュール150に提供する、1つまたはそれを上回る遠隔サーバを含んでもよい。他の実施形態では、全てのデータが、記憶され、全ての算出が、ローカル処理およびデータモジュールにおいて実施され、遠隔モジュールからの完全に自律的な使用を可能にする。
【0042】
「3次元」または「3-D」としての画像の知覚は、ユーザの各眼への画像の若干異なる提示を提供することによって達成され得る。
図2Aは、ユーザに関する3次元画像データをシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。眼210、220毎に1つの2つの明確に異なる画像190、200が、ユーザに出力される。画像190、200は、ユーザの視線と平行な光学またはz-軸に沿って距離230だけ眼210、220から離間される。画像190、200は、平坦であって、眼210、220は、単一の遠近調節された状態をとることによって、画像上に合焦し得る。そのような3-Dディスプレイシステムは、ヒト視覚系に依拠し、画像190、200を組み合わせ、組み合わせられた画像の深度および/または尺度の知覚を提供する。
【0043】
しかしながら、ヒト視覚系は、複雑であって、深度の現実的知覚を提供することは、困難である。例えば、従来の「3-D」ディスプレイシステムの多くのユーザは、そのようなシステムが不快であることを見出す、または深度の感覚を全く知覚しない場合がある。オブジェクトは、輻輳・開散運動と遠近調節の組み合わせに起因して、「3次元」として知覚され得る。相互に対する2つの眼の輻輳・開散運動の移動(例えば、瞳孔が、相互に向かって、またはそこから離れるように移動し、眼の個別の視線を収束させ、オブジェクトを固視するような瞳孔の回転)は、眼の水晶体の合焦(または「遠近調節」)と緊密に関連付けられる。正常条件下、焦点を1つのオブジェクトから異なる距離における別のオブジェクトに変化させるための眼の水晶体の焦点の変化または眼の遠近調節は、「遠近調節-輻輳・開散運動反射」および散瞳または縮瞳として知られる関係下、輻輳・開散運動の整合変化を自動的に同一距離に生じさせるであろう。同様に、正常条件下、輻輳・開散運動の変化は、水晶体形状および瞳孔サイズの遠近調節の整合変化を誘起するであろう。本明細書に記載されるように、多くの立体視または「3-D」ディスプレイシステムは、3次元視点がヒト視覚系によって知覚されるように、各眼への若干異なる提示(したがって、若干異なる画像)を使用して、場面を表示する。しかしながら、そのようなシステムは、単に、画像情報を単一の遠近調節された状態において提供し、「遠近調節-輻輳・開散運動反射」に対抗して機能するため、多くのユーザにとって不快であり得る。遠近調節と輻輳・開散運動との間のより良好な合致を提供するディスプレイシステムが、3次元画像データのより現実的かつ快適なシミュレーションを形成し得る。
【0044】
図2Bは、複数の深度面を使用して3次元画像データをシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。
図2Bを参照すると、眼210、220は、異なる遠近調節された状態をとり、オブジェクトをz-軸に沿って種々の距離に合焦させる。その結果、特定の遠近調節された状態は、特定の深度面におけるオブジェクトまたはオブジェクトの一部が、眼がその深度面に対して遠近調節された状態にあるときに合焦するように、関連付けられる焦点距離を有する、図示される深度面240のうちの特定の1つと関連付けられると言え得る。いくつかの実施形態では、3次元画像データが、眼210、220毎に、画像の異なる提示を提供することによって、また、複数の深度面に対応する画像の異なる提示を提供することによってシミュレートされてもよい。眼210、220の個別の視野は、例証を明確にするために別個であるものとして示されるが、それらは、例えば、z-軸に沿った距離が増加するにつれて、重複し得る。加えて、例証を容易にするために、深度面は、平坦であるものとして示されるが、深度面の輪郭は、深度面内の全ての特徴が特定の遠近調節された状態における眼と合焦するように、物理的空間内で湾曲され得ることを理解されたい。
【0045】
オブジェクトと眼210または220との間の距離はまた、その眼によって視認されるようなそのオブジェクトからの光の発散の量を変化させ得る。
図3A-3Cは、距離と光線の発散との間の関係を図示する。オブジェクトと眼210との間の距離は、減少距離R1、R2、およびR3の順序で表される。
図3A-3Cに示されるように、光線は、オブジェクトまでの距離が減少するにつれてより発散する。距離が増加するにつれて、光線は、よりコリメートされる。換言すると、点(オブジェクトまたはオブジェクトの一部)によって生成されるライトフィールドは、点がユーザの眼から離れている距離の関数である、球状波面曲率を有すると言え得る。曲率は、オブジェクトと眼210との間の距離の減少に伴って増加する。その結果、異なる深度面では、光線の発散度もまた、異なり、発散度は、深度面とユーザの眼210との間の距離の減少に伴って増加する。単眼210のみが、例証を明確にするために、
図3A-3Cおよび本明細書の他の図に図示されるが、眼210に関する議論は、ユーザの両眼210および220に適用され得ることを理解されたい。
【0046】
知覚された深度の高度に真実味のあるシミュレーションが、眼に限定数の深度面のそれぞれに対応する画像の異なる提示を提供することによって達成され得る。異なる提示は、ユーザの眼によって別個に集束され、それによって、異なる深度面上に位置する場面のための異なる画像特徴に合焦させるために要求される眼の遠近調節の量に基づいて、および/または焦点がずれている異なる深度面上の異なる画像特徴の観察に基づいて、ユーザに深度キューを提供することに役立ててもよい。
【0047】
図4は、AR接眼レンズ内で画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの実施例を図示する。ディスプレイシステム250は、複数の導波管270、280、290、300、310を使用して、3次元知覚を眼/脳に提供するために利用され得る、導波管のスタックまたはスタックされた導波管アセンブリ260を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム250は、
図1のシステム60であって、
図4は、そのシステム60のいくつかの部分をより詳細に図式的に示す。例えば、導波管アセンブリ260は、
図1のディスプレイ70の一部であってもよい。ディスプレイシステム250は、いくつかの実施形態では、ライトフィールドディスプレイと見なされてもよいことを理解されたい。
【0048】
導波管アセンブリ260はまた、複数の特徴320、330、340、350を導波管の間に含んでもよい。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、350は、1つまたはそれを上回るレンズであってもよい。導波管270、280、290、300、310および/または複数のレンズ320、330、340、350は、種々のレベルの波面曲率または光線発散を用いて、画像情報を眼に送信するように構成されてもよい。各導波管レベルは、特定の深度面と関連付けられてもよく、その深度面に対応する画像情報を出力するように構成されてもよい。画像投入デバイス360、370、380、390、400は、導波管のための光源として機能してもよく、画像情報を導波管270、280、290、300、310の中に投入するために利用されてもよく、それぞれ、本明細書に説明されるように、眼210に向かって出力するために、各個別の導波管を横断して入射光を分散させるように構成されてもよい。光は、各個別の画像投入デバイス360、370、380、390、400の出力表面410、420、430、440、450から出射し、個別の導波管270、280、290、300、310の対応する入力表面460、470、480、490、500の中に投入される。いくつかの実施形態では、入力表面460、470、480、490、500はそれぞれ、対応する導波管の縁であってもよい、または対応する導波管の主要表面の一部(すなわち、世界510またはユーザの眼210に直接面する導波管表面のうちの1つ)であってもよい。いくつかの実施形態では、光のビーム(例えば、コリメートされたビーム)が、各導波管の中に投入されてもよく、導波管内の屈折によって、ビームレットにサンプリングすること等によって複製され、次いで、その特定の導波管と関連付けられる深度面に対応する屈折力の量を伴って、眼210に向かって指向されてもよい。いくつかの実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400のうちの単一の1つは、複数(例えば、3つ)の導波管270、280、290、300、310と関連付けられ、その中に光を投入してもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400はそれぞれ、対応する導波管270、280、290、300、310の中への投入のための画像情報をそれぞれ生成する、離散ディスプレイである。いくつかの他の実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400は、1つまたはそれを上回る光学導管(光ファイバケーブル等)を介して、画像情報を画像投入デバイス360、370、380、390、400のそれぞれに透過させ得る、単一の多重化されたディスプレイの出力端である。画像投入デバイス360、370、380、390、400によって提供される画像情報は、異なる波長または色の光を含んでもよいことを理解されたい。
【0050】
いくつかの実施形態では、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光は、光プロジェクタシステム520によって提供され、これは、光モジュール530を含み、これは、発光ダイオード(LED)等の光源または光エミッタを含んでもよい。光モジュール530からの光は、ビームスプリッタ(BS)550を介して、光変調器540(例えば、空間光変調器)によって指向および変調されてもよい。光変調器540は、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光の知覚される強度を空間的および/または時間的に変化させてもよい。空間光変調器の実施例は、シリコン上液晶(LCOS)ディスプレイを含む、液晶ディスプレイ(LCD)およびデジタル光処理(DLP)ディスプレイを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、光プロジェクタシステム520またはその1つまたはそれを上回るコンポーネントは、フレーム80(
図1)に取り付けられてもよい。例えば、光プロジェクタシステム520は、フレーム80のつる部分(例えば、耳掛け部82)の一部である、またはディスプレイ70の縁に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光モジュール530は、BS550および/または光変調器540と別個であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム250は、光を種々のパターン(例えば、ラスタ走査、螺旋走査、リサジューパターン等)で1つまたはそれを上回る導波管270、280、290、300、310の中に、最終的には、ユーザの眼210の中に投影するための1つまたはそれを上回る走査ファイバを備える、走査ファイバディスプレイであってもよい。いくつかの実施形態では、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、光を1つまたは複数の導波管270、280、290、300、310の中に投入するように構成される、単一走査ファイバまたは走査ファイバの束を図式的に表し得る。いくつかの他の実施形態では、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、複数の走査ファイバまたは走査ファイバの複数の束を図式的に表し得、それぞれ、光を導波管270、280、290、300、310のうちの関連付けられる1つの中に投入するように構成される。1つまたはそれを上回る光ファイバは、光を光モジュール530から1つまたはそれを上回る導波管270、280、290、300、および310に透過させてもよい。加えて、1つまたはそれを上回る介在光学構造が、走査ファイバまたは複数のファイバと、1つまたはそれを上回る導波管270、280、290、300、310との間に提供され、例えば、走査ファイバから出射する光を1つまたはそれを上回る導波管270、280、290、300、310の中に再指向してもよい。
【0053】
コントローラ560は、画像投入デバイス360、370、380、390、400、光源530、および光変調器540の動作を含む、スタックされた導波管アセンブリ260の動作を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラ560は、ローカルデータ処理モジュール140の一部である。コントローラ560は、導波管270、280、290、300、310への画像情報のタイミングおよび提供を調整する、プログラミング(例えば、非一過性媒体内の命令)を含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、単一一体型デバイスまたは有線または無線通信チャネルによって接続される分散型システムであってもよい。コントローラ560、いくつかの実施形態では、処理モジュール140または150(
図1)の一部であってもよい。
【0054】
導波管270、280、290、300、310は、全内部反射(TIR)によって、各個別の導波管内で光を伝搬するように構成されてもよい。導波管270、280、290、300、310はそれぞれ、主要上部および底部表面およびそれらの主要上部表面と底部表面との間に延在する縁を伴う、平面である、または別の形状(例えば、湾曲)を有してもよい。図示される構成では、導波管270、280、290、300、310はそれぞれ、各個別の導波管内で伝搬する光を導波管から外に再指向し、画像情報を眼210に出力することによって、光を導波管から抽出するように構成される、外部結合光学要素570、580、590、600、610を含んでもよい。抽出された光はまた、外部結合光と称され得、光を外部結合する光学要素はまた、光抽出光学要素と称され得る。抽出された光のビームは、導波管によって、導波管内で伝搬する光が光抽出光学要素に衝打する場所において出力され得る。外部結合光学要素570、580、590、600、610は、例えば、本明細書にさらに議論されるような回折格子を含む、回折光学特徴であってもよい。外部結合光学要素570、580、590、600、610は、導波管270、280、290、300、310の底部主要表面に配置されて図示されるが、いくつかの実施形態では、それらは、本明細書にさらに議論されるように、上部および/または底部主要表面に配置されてもよく、および/または導波管270、280、290、300、310の容積内に直接配置されてもよい。いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、透明基板に取り付けられ、導波管270、280、290、300、310を形成する、材料の層内に形成されてもよい。いくつかの他の実施形態では、導波管270、280、290、300、310は、材料のモノリシック片であってもよく、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、その材料片の表面上および/または内部に形成されてもよい。
【0055】
各導波管270、280、290、300、310は、光を出力し、特定の深度面に対応する画像を形成してもよい。例えば、眼の最近傍の導波管270は、眼210にコリメートされた光のビームを送達してもよい。コリメートされた光のビームは、光学無限遠焦点面を表し得る。次の上方の導波管280は、眼210に到達する前に、第1のレンズ350(例えば、負のレンズ)を通して通過する、コリメートされた光のビームを出力してもよい。第1のレンズ350は、眼/脳が、その導波管280から生じる光を光学無限遠から眼210に向かって内向きにより近い第1の焦点面から生じるものとして解釈するように、若干の凸面波面曲率をコリメートされたビームに追加してもよい。同様に、第3の上方の導波管290は、眼210に到達する前に、その出力光を第1のレンズ350および第2のレンズ340の両方を通して通過させる。第1のレンズ350および第2のレンズ340の組み合わせられた屈折力は、眼/脳が、第3の導波管290から生じる光が第2の導波管280からの光であったものよりも光学無限遠から内向きにさらに近い第2の焦点面から生じるものとして解釈するように、別の漸増量の波面曲率を追加してもよい。
【0056】
他の導波管層300、310およびレンズ330、320も同様に構成され、スタック内の最高導波管310が、人物に最も近い焦点面を表す集約焦点力のために、その出力をそれと眼との間のレンズの全てを通して送出する。スタックされた導波管アセンブリ260の他側の世界510から生じる光を視認/解釈するとき、レンズ320、330、340、350のスタックを補償するために、補償レンズ層620が、スタックの上部に配置され、下方のレンズスタック320、330、340、350の集約屈折力を補償してもよい。そのような構成は、利用可能な導波管/レンズ対と同じ数の知覚される焦点面を提供する。導波管の外部結合光学要素およびレンズの集束側面の両方とも、静的であってもよい(すなわち、動的または電気活性ではない)。いくつかの代替実施形態では、一方または両方とも、電気活性特徴を使用して動的であってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、導波管270、280、290、300、310のうちの2つまたはそれを上回るものは、同一の関連付けられる深度面を有してもよい。例えば、複数の導波管270、280、290、300、310が、同一深度面に設定される画像を出力してもよい、または導波管270、280、290、300、310の複数のサブセットが、深度面毎に1つのセットを伴う、同一の複数の深度面に設定される画像を出力してもよい。これは、それらの深度面において拡張された視野を提供するようにタイル化された画像を形成する利点を提供し得る。
【0058】
外部結合光学要素570、580、590、600、610は、導波管と関連付けられる特定の深度面のために、光をその個別の導波管から再指向し、かつ本光を適切な量の発散またはコリメーションを伴って出力するように構成されてもよい。その結果、異なる関連付けられる深度面を有する導波管は、外部結合光学要素570、580、590、600、610の異なる構成を有してもよく、これは、関連付けられる深度面に応じて、異なる量の発散を伴う光を出力する。いくつかの実施形態では、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、立体または表面特徴であってもよく、これは、具体的角度において光を出力するように構成されてもよい。例えば、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、立体ホログラム、表面ホログラム、および/または回折格子であってもよい。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、350は、レンズではなくてもよい。むしろ、それらは、単に、スペーサであってもよい(例えば、空隙を形成するためのクラッディング層および/または構造)。
【0059】
いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、ビーム内の光の屈折力の一部のみが、各相互作用を伴って、眼210に向かって再指向される一方、残りが、TIRを介して、導波管を通して移動し続けるように、十分に低い回折効率を伴う、回折特徴である。故に、光モジュール530の射出瞳は、導波管を横断して複製され、光源530からの画像情報を搬送する複数の出力ビームを作成し、眼210が複製された光源射出瞳を捉え得る場所の数を効果的に拡張させる。これらの回折特徴はまた、その幾何学形状を横断して可変回折効率を有し、導波管によって出力される光の均一性を改良してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る回折特徴は、能動的に回折する「オン」状態と有意に回折しない「オフ」状態との間で切替可能であり得る。例えば、切替可能な回折要素は、微小液滴がホスト媒体中に回折パターンを形成するポリマー分散液晶の層を含んでもよく、微小液滴の屈折率は、ホスト材料の屈折率に実質的に整合するように切り替えられてもよい(その場合、パターンは、入射光を著しく回折させない)、または微小液滴は、ホスト媒体のものに合致しない屈折率に切り替えられてもよい(その場合、パターンは、入射光を能動的に回折させる)。
【0061】
いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630(例えば、可視光およびIR光カメラを含む、デジタルカメラ)が、提供され、眼210、眼210の一部、または眼210を囲繞する組織の少なくとも一部の画像を捕捉し、例えば、ユーザ入力を検出し、バイオメトリック情報を眼から抽出し、眼の視線方向を推定および追跡し、ユーザの生理学的状態を監視すること等を行ってもよい。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630は、画像捕捉デバイスと、光(例えば、IRまたは近IR光)を眼に投影するための光源(該光は、次いで、眼によって反射され、画像捕捉デバイスによって検出され得る)とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光源は、IRまたはその近IRを放出する、発光ダイオード(「LED」)を含む。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630は、フレーム80(
図1)に取り付けられてもよく、処理モジュール140または150と電気通信してもよく、これは、カメラアセンブリ630からの画像情報を処理し、例えば、ユーザの生理学的状態、装着者の視線方向、虹彩識別等に関する、種々の決定を行い得る。いくつかの実施形態では、1つのカメラアセンブリ630が、眼毎に利用され、各眼を別個に監視してもよい。
【0062】
図5は、導波管によって出力される出射ビームの実施例を図示する。1つの導波管が、図示される(斜視図を用いて)が、導波管アセンブリ260(
図4)内の他の導波管も、同様に機能し得る。光640は、導波管270の入力表面460において導波管270の中に投入され、TIRによって、導波管270内を伝搬する。回折特徴との相互作用を通して、光は、出射ビーム650として、導波管から出射する。出射ビーム650は、画像を導波管の中に投影する、プロジェクタデバイスからの射出瞳を複製する。出射ビーム650のうちの任意の1つは、入力光640の総エネルギーのサブ部分を含む。また、完璧に効率的なシステムでは、全ての出射ビーム650内のエネルギーの和は、入力光640のエネルギーに等しくなるであろう。出射ビーム650は、
図6では、略平行であるように図示されるが、本明細書に議論されるように、ある屈折力の量が、導波管270と関連付けられる深度面に応じて、付与されてもよい。平行出射ビームは、光を外部結合し、眼210から長距離(例えば、光学無限遠)における深度面上に設定されるように現れる、画像を形成する、外部結合光学要素を伴う導波管を示し得る。他の導波管または他の外部結合光学要素のセットは、
図6に示されるように、より発散する、出射ビームパターンを出力してもよく、これは、眼210がより近い距離に遠近調節し、網膜上に合焦させることを要求し、光学無限遠より眼210に近い距離からの光として脳によって解釈されるであろう。
【0063】
ウェアラブルディスプレイシステム(例えば、ウェアラブルディスプレイシステム内で使用される光学要素を含む)に関する付加的情報は、2018年12月14日に出願され、「EYE PIECES FOR AUGMENTED REALITY DISPLAY SYSTEM」と題された、米国特許公開第U.S.2019/0187474A1号(その内容は、参照することによってその全体として組み込まれる)に見出されることができる。
【0064】
上記に述べられたように、ウェアラブルディスプレイシステム60は、ウェアラブルディスプレイシステムの光学性能を向上させる、1つまたはそれを上回る格子構造を有する、1つまたはそれを上回る光学要素を含む。例えば、
図7Aおよび7Bを参照すると、回折レリーフ構造である、格子710が、射出瞳エクスパンダ(EPE)としての接眼ディスプレイコンバイナ700(例えば、上記に説明されるようにスタックされた導波管アセンブリ)と併用され、ウェアラブルディスプレイシステムの射出瞳のサイズを増加させる。
図7Aに図示されるように、コンバイナ700は、格子710が、光の少なくとも一部が、導波管720からディスプレイシステムのユーザに向かって抽出されるように、入射誘導光を回折する間、縁結合光を、全内部反射(TIR)を介して、その長さに沿って、誘導する、導波管720(例えば、ガラスまたはポリマー基板)を含む。
【0065】
図7Bを具体的に参照すると、ユーザの環境からの周囲光もまた、「世界」側からディスプレイコンバイナ700上に入射する。本光は、格子710と相互作用し、本光の少なくとも一部は、ユーザの視野の中に回折され得る。ユーザによってEPEを通して視認されると、世界から回折される光は、望ましくない画像アーチファクトとして現れ得る。アーチファクトをユーザの視野内に生成する、入射角は、概して、ディスプレイコンバイナ上の設計に依存する。回折導波管ベースのディスプレイコンバイナに関して、大入射角は、多くの場合、迷光経路をユーザの世界の視野の中心の最も近くにもたらす。
【0066】
本効果はさらに、
図8Aに図示され、これは、ディスプレイコンバイナ800を示す。周囲光は、入射角θ
incにおいて、ディスプレイコンバイナ800の正面表面上に入射する。入射光の少なくとも一部は、図示されるように、格子およびコンバイナを通して透過される。しかしながら、ディスプレイコンバイナ800は、入射光の少なくとも一部をユーザに向かって回折する、格子(図示せず)をサポートする。迷光と標識される、本光は、角度θ
strayにおいて回折する。
【0067】
図8Bを参照すると、光学減衰器、例えば、フィルム810が、ディスプレイコンバイナ800に適用され(例えば、その上にラミネートされ)、周囲光と関連付けられる、迷光アーチファクトを低減させることができる。概して、フィルム810を通した光の透過率は、フィルム上への光の入射角に依存する。図示されるように、フィルム810は、比較的に高い(例えば、ユーザが屋内環境内の頭上照明から被るであろうような、例えば、30°またはそれを上回る、35°またはそれを上回る、40°またはそれを上回る、45°またはそれを上回る)入射角θ
incを有する光の透過率を低減(例えば、遮断)させるが、より低い入射角θ
aを有する光(例えば、本デバイスのコア視野内において装着者によって見られる、「世界光」)を透過させる。フィルム810は、広波長範囲にわたって、例えば、420nm~680nm等のディスプレイシステムの動作波長範囲にわたって、本機能を実施することができる。
【0068】
入射光に関する透過率効率性は、概して、比較的に高透過率効率性(例えば、40%またはそれを上回る、45%またはそれを上回る)から比較的に低透過率効率性(例えば、1%未満、0.5%未満)まで、入射角の関数として変動する。透過率効率性は、特定の波長において透過される、光の相対的強度を指す。いくつかの実施形態では、35°~65°の入射角を伴って光学減衰器に入射する、420nm~680nmの範囲内の波長の非偏光は、0.5%未満の透過率効率性を有する。ある実施形態では、-32°~+32°の入射角を伴って光学減衰器に入射する、420nm~680nmの範囲内の波長の非偏光は、45%を上回る透過率効率性を有する。
【0069】
光学減衰器はまた、フィルムを通して視認される画像の色に比較的にわずかのみ効果を及ぼし得る。例えば、D65源に関して、光学減衰器は、ディスプレイの開口全体を横断して、-32°~+32°の入射角を伴う非偏光のために、(0.33、0.33)CIE1931白色点を(+/-0.02、+/-0.02)未満(例えば、(+/-0.01、+/-0.01)またはそれ未満)偏移させることができる。
【0070】
光学減衰器の透過率はまた、減衰によって特徴付けられることができ、これは、比較的に高入射角(例えば、10dBまたはそれを上回る、15dBまたはそれを上回る、20dBまたはそれを上回る、25dBまたはそれを上回る、30dBまたはそれを上回る)では、高くなり得る。25°またはそれ未満(例えば、20°またはそれ未満、15°またはそれ未満、10°またはそれ未満)等のより低い入射角における光は、非常に低レベルの減衰(例えば、2dBまたはそれ未満、1dBまたはそれ未満)を被り得る。
【0071】
概して、フィルム810は、比較的に薄くあることができる。例えば、フィルム810は、500ミクロン~2,000ミクロンの範囲内の総厚を有することができる。故に、光学減衰器を使用する利点は、有意なバルクをウェアラブルディスプレイシステムに追加せずに、達成されることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、フィルム810は、一対の偏光器フィルム(例えば、線形偏光器)間に配列される、偏光調節フィルム(例えば、1つまたはそれを上回る複屈折層から成る)を含む、フィルムスタックである。偏光器フィルムおよび偏光調節フィルムは、小入射角において光学減衰器上に入射する光の透過率を有意に低減させずに、大入射角においてフィルム810上に入射する可視光の透過率を有意に低減させる。
【0073】
一般に、2つの偏光器および偏光調節フィルムの構成は、着目角度入射範囲(例えば、-75°~+75°)にわたって、所望のレベルの透過率変動を提供するように変動し得る。いくつかの実施形態では、偏光器は、線形偏光器および2つの線形偏光器の通過軸は、(例えば、90°において)交差されることができる。
【0074】
概して、偏光調節フィルムは、世界側から入射する、一対の線形偏光器のうちの第1のものによって透過される、光の偏光状態を回転させるように設計される、1つまたはそれを上回る複屈折層を含む。複屈折層は、その中で複屈折材料の異常軸が層の平面と平行である、A-プレート(例えば、4分の1波長板(QW))、および/または、その中で複屈折材料の異常軸が層の平面と垂直である、C-プレートを含むことができ、例示的配列は、下記に示される。より一般的には、複屈折層は、一軸性(例えば、A-プレートまたはC-プレートのように)または二軸性複屈折材料を含むことができる。
【0075】
典型的には、偏光調節層が偏光状態を回転させる、量は、偏光調節層の構成に応じて、かつ一対の線形偏光器のうちの第1のものによって透過される光の入射角に応じて変動する。いくつかの実施形態では、大入射角(例えば、35°またはそれを上回る)を有して透過される、光は、小入射角(例えば、35°未満)を有して透過される、光未満回転される。例えば、偏光器が、線形偏光器と交差される場合、最大90°の回転の量が大きいほど、フィルムの透過率効率性も大きくなる。そのような場合、より大きい入射角における光と比較して、軸上光に関して、より大きい回転が、望ましい。逆に言えば、いくつかの実施形態では、偏光器軸は、平行であって、偏光調節フィルムは、軸上光をより大きい入射角における光未満回転させる。
【0076】
概して、光学減衰器は、ウェアラブルディスプレイシステムの接眼レンズの少なくとも一部を被覆するように適切に定寸される。例えば、いくつかの実施形態では、光学減衰器は、50mm×50mmを上回る面積を有することができる。
【0077】
一般に、均一格子によってユーザのアイボックスの中に回折される周囲光は、その上に光が入射する、ディスプレイのクリア開口内の場所に依存するであろう。本効果は、
図9Aおよび9Bに図示される、それぞれ、クリア接眼レンズと、格子要素を含む接眼レンズとの入射平面を描写する。アイボックス920は、その中で事実上視認可能な画像がディスプレイによって形成される、空間の体積を指す。アイボックスの寸法は、概して、瞳孔サイズおよび瞳距離940に依存する。
図9Aでは、ユーザの眼910に関するアイボックスの垂直寸法は、920として示される。概して、本寸法は、約5mm~約25mmの範囲内であることができる。瞳距離940は、接眼レンズ930からの眼910のオフセット距離を指し、概して、垂直中心点950から10mm~40mmの範囲内であり得る。図示されるように、
図9Aにおける垂直入射平面に関して、接眼レンズ930によってアイボックス920の中に透過される光の入射角は、光が接眼レンズ上に入射する、場所に依存する。特に、これは、3つの異なる点950、951、および952に関して図示される。それにわたって光が点950において透過される、入射角の範囲は、αによって示される。本範囲は、点毎に異なる。
【0078】
図9Bを参照すると、各点950、951、および952における格子はまた、入射周囲光をアイボックス920の中に回折する。場合毎に、それにわたって周囲光がアイボックスの中に回折される、入射角範囲は、異なるであろう。例えば、点950では、接眼レンズ930は、第1の角度範囲βおよび第2の角度範囲γ内の入射光をアイボックス920の中に回折する。付加的点951および952は、個別の角度範囲内の入射光をアイボックスの中に回折するであろう。
【0079】
回折される入射光の本場所依存性はさらに、
図10におけるプロットによって図示され、これは、一連のシミュレートされたプロットを示し、各プロットは、対応する垂直場所における接眼レンズの透過および回折性質の表現である。特に、世界側上に入射する透過される光の入射の角度範囲は、黒色で提供され、具体的波長においてレインボーアーチファクトを生成する、回折される光の入射の角度範囲は、それぞれ、赤色(625nm)、緑色(525nm)、および青色(460nm)で提供される。
【0080】
左側のプロットは、クリア開口と、アイボックス1002とを含む、
図10の右側上に示される、入射平面に基づいて計算された。各プロットは、18mmのアイボックス1002の垂直サイズ、20mmの瞳距離1004、36.3mmのクリア開口1006の垂直サイズに基づいて、計算(例えば、シミュレート)される。クリア開口1006は、格子線が水平方向(例えば、ページの平面と垂直)に延在する、391nmの格子周期を有する、格子要素を含むようにシミュレートされる。各プロットの上方に位置付けられる、各プロットのタイトルは、mm単位で表される、中心点1020からの垂直高さ1010で与えられる、透過率およびアーチファクトウィンドウが計算された垂直場所を示し、正の値は、中心点1020の上方であって、負の値は、下方にある。グラフ毎の垂直軸は、高透過率(黒色)または回折アーチファクトの高発生率(赤色、青色、緑色)を表す、正規化された値(例えば、0~1)である。グラフ毎の水平軸は、クリア開口の面に対して法線の光線1030に対する周囲光(θ
i)の入射角を表し、θ
iの正の値は、法線光線1030から時計回りに測定される。例えば、陰影付き面積1040は、中心点1020の16.6mm上方の点において計算された世界透過率ウィンドウであって、最上位グラフに示されるように、約-16°~-55°の範囲と対応する。
【0081】
故に、そのような状況では、光学減衰器を使用することが望ましくあり得、これは、光が入射する、接眼レンズ上の場所に応じて、世界側からの異なる角度範囲の入射光を減衰させる。これは、アイボックスに進入した入射世界光の透過率を実質的に低減させずに、接眼レンズ全体を横断して、回折される光アーチファクトの低減を改良することができる。
【0082】
ここでそのような光学減衰器の具体的実施例に目を向け、
図11Aを参照すると、ウェアラブルディスプレイシステムの接眼レンズ1100は、ディスプレイコンバイナ800と、光学減衰器として動作する、フィルムスタック1110とを含む。スタック1110は、一対の線形偏光器1120aおよび1120bを含む。線形偏光器間に、スタック1110は、一対の4分の1波長板(QW)1130aおよび1130bをマルチドメイン複屈折フィルム1140の両側上に含む。
【0083】
波長板1130aおよび1130bの速軸は、線形偏光器1120bとQW1130bの組み合わせが、世界側から入射する非偏光を略円偏光に変換する(すなわち、組み合わせは、円偏光器として挙動する)ように、それぞれ、線形偏光器1120aおよび1120bの通過軸に対して約45°に配向される。QW1130aと線形偏光器1120aの組み合わせは、同様に挙動する。各円偏光器の掌性は、同一であることに留意されたい。
【0084】
マルチドメイン複屈折フィルム1140は、その中でフィルムを構成する複屈折材料の主光学軸が、フィルムスタック1110の透過性質がドメイン毎に変動するように異なるように配向される、異なる面積を含む。例えば、いくつかの実施形態では、複屈折フィルム1140は、その中で配向子がドメイン毎に変動する、ネマチック液晶材料のドメインから成る、液晶複屈折フィルムである。
図11Bを参照すると、そのようなフィルムの実施例は、フィルム1141であって、これは、3つのドメイン1142、1143、および1144を有し、それぞれ、θ
c1≠θ
c2≠θ
c3であるように、その独自の一意の配向子軸を有し、θは、フィルムの平面に対する法線から測定された方位角差である。1つまたはそれを上回る空間領域の配向子軸が半径方向角度差φだけ変動する、配向もまた、可能性として考えられる(例えば、θ
c、φ
c)。より一般的には、フィルムの平面と非垂直および非平行に配向される光学軸を有する、複屈折フィルムは、一般に、O-プレートと称され、フィルム1141等の複数のドメインを有する、O-プレートは、空間変動O-プレートと見なされ得る。
【0085】
フィルム内のネマチック配向子の配向は、いくつかの技法を通して達成されることができる。例えば、整合は、概して、プレチルト角(フィルムの表面における配向子の角度)および/または電場等の外場の印加によって影響される。プレチルトは、ある範囲の方位角および半径方向プレチルト角方向(例えば、θc、φc)を達成するために、種々の方法で設定されることができる(例えば、機械的バフ研磨、線形偏光への暴露)。方位角配向θcの範囲は、O-プレートの法線軸から-90°約90°に及んでもよく、半径方向配向φcの範囲は、x-軸から-180°~180°に及んでもよい。これらの技法は、各ドメインが異なるプレチルトを有するように、O-プレート上の明確に異なる空間ドメインに適用されてもよい。
【0086】
一般に、空間ドメインは、任意の形態またはサイズまたは任意の数をとってもよい。空間領域の配向子軸は、空間領域間に、半径方向に、同心状に、指向性に、またはそれらの任意の組み合わせで整合されてもよい。
図12Aおよび12Bは、そのような実施形態の実施例を示す。
図12Aは、破線によって分離される、それぞれ、その軸方向が(θ
c、φ
c)値によって定義される、一意の配向子軸を伴う、9つの明確に異なる空間ドメイン1220a-1220iを伴う、例示的空間変動O-プレート1210を示す。8つの配向子軸1220a-1220hが、空間変動O-プレート1210の面に対して法線の中心軸の周囲で半径方向に突出するように配列され、1つの配向子軸1220iは、C-プレートと同等に、空間変動O-プレート1210の面に対して法線に整合される。空間領域1220a-1220hの8つの配向子軸は、15°の共通方位角配向θ
cを共有し、半径方向配向φ
cは、x-方向から45°ずつ(例えば、0°、±45°、±90°、±135°、180°)、0°~180°で両側に分散される。
【0087】
図12Bは、破線によって分離される、3つの明確に異なる空間ドメイン1221a-1221cを伴う、空間変動O-プレート1211のさらなる実施例を示す。空間ドメイン1221a-1221cは、半径方向分布を伴わずに、水平に整合される。空間領域1221aおよび1221cの配向子軸は、15°の共通方位角傾斜θ
cを共有する一方、半径方向角度φ
cは、-90°および90°において、空間変動O-プレート1211の面と平行な極性対向方向に整合される。中央空間領域1221bの配向子軸は、空間変動O-プレート1210の面に対して法線に整合される。
【0088】
図12Aおよび12Bは、光学減衰器フィルムスタック1110内で使用される空間変動O-プレート1140において達成され得る、空間領域の配列の具体的実施例であるが、それらは、さらなる実施形態の実施例を限定するものではない。より一般的には、他の1次元および2次元ドメイン配列も、採用されることができる。一般に、強い周囲光源は、より頻繁には、頭上および下方からのその反射から生じ、
図12Bの簡略化された設計は、頭上アーチファクトの減衰のために好ましい実施形態であり得る。しかしながら、
図12Aの半径方向設計は、ユーザのビュー内の任意の円錐形角度からの光源によって生成されたアーチファクトを減衰させるために使用されてもよい。
【0089】
図11Aは、空間変動O-プレート1140を2つの線形偏光器1120間に含む、光学減衰器の実施例を示すが、付加的層を伴う実装も、可能性として考えられる。例えば、
図13は、ディスプレイコンバイナ800の世界側に適用される、フィルムスタック1310を含む、接眼レンズ1300を示す。フィルムスタック1310は、3つの線形偏光器1320a、1320b、および1320cを含む。第1の偏光調節スタックは、偏光器1320aと1320bとの間に配列される。本スタックは、一対のQW1330aおよび130bを空間変動O-プレート1340aの両側上に含む。第2の偏光調節スタックは、偏光器1320bと1320cとの間に配列される。本スタックは、QW1330cおよび1330dを空間変動O-プレート1340bの両側上に含む。事実上、スタック1310は、ともにスタックされた2つのスタック1110のように実施する。
【0090】
スタック1110は、単段階配列と見なされ得、スタック1310は、二段階と見なされ得る。概して、付加的段階が、追加されることができる。
【0091】
ここで単段階および二段階光学減衰器の性能に目を向けると、一般に、二段階フィルムスタック1310を用いて達成される、透過率プロファイルは、高入射角周囲光から生成されたアーチファクトのより有意な減衰を達成することができる。
図14A-14Dは、クリア開口上に入射する周囲光の3つの異なる波長(例えば、630nm、525nm、460nm)に関する、計算された透過率プロファイルのプロットである。プロットは、入射角θ
iに対する光の正規化された対数透過率を比較する。
図14Aおよび14Bは、その中で複屈折フィルムが550nmの遅延(dΔn)を有する、スタック1110等の単段階フィルムスタックに関する、計算された透過率プロファイルを示す。
図14Aは、0°の方位角配向θ
cを伴う、単段階フィルムスタック(すなわち、C-プレート)を使用して計算され、0°の入射角θ
iにおいて、ピーク透過率を中心として両側対称性を示す。630nm(赤色)、525nm(緑色)、および460nm(青色)の個別の波長を伴う光に関する、3つの計算された透過率プロファイルは、460nm透過率プロファイルを伴う、約±60°の入射角θ
iが、最高相対率において減少するまで、単調に減少する。波長に応じて、透過率プロファイルは、次いで、±90°の入射角θ
iまで指数関数的に減少する前に、±60°~±80°の入射角θ
i範囲間で逆転(例えば、525nm、460nm)または肩ピーク(630nm)を呈する。
【0092】
対照的に、
図14Bは、15°の方位角配向θcを伴う、単段階フィルムスタック1110に関する、計算された透過率プロファイルを示す。630nm(赤色)、525nm(緑色)、および460nm(青色)の個別の波長を伴う光に関する、3つの計算された透過率プロファイルは、もはや対称ではなく、ピーク透過率は、入射角θ
i約20°の周囲に心合される、±20°のウィンドウに偏移している。約20°を上回る入射角θ
iに関して、透過率プロファイルは、90°の入射角θ
iによって、ゼロまで指数関数的に降下する。しかしながら、入射角θ
iの減少に伴って、透過率プロファイルは、約-40°~-50°の入射角θ
iウィンドウまで、その波長に応じて、降下する(例えば、最高相対率において460nmの減少)。約-40°~-70°の入射角θ
iでは、透過率プロファイルは、約10
2(630nm)~10
3(460nm)の対数係数によって、二次ピークまで増加する。本二次ピークは、460nm波長透過率プロファイルに関して計算されたような一次ピークの値に接近する。約-70°後、透過率プロファイルは、-90°の入射角θ
iによって、ゼロまで降下する。
【0093】
その中で
図14Aおよび14Bにおける透過率プロファイルが、それぞれ、約±60°~±80°および約-40°~-70°まで増加する、入射角θ
iのこれらの範囲は、波長透過率プロファイル間の有意な変動を伴う、ユーザの視野内の望ましくない色偏移につながり得る。例えば、
図14Bにおける約-40°の入射角θ
iでは、460nm(青色)における光の透過率プロファイルは、630nmにおける光と比較して、>100分の1の透過率の低減を示す。これは、別の望ましくない光学アーチファクトである、有意な赤色相偏移として、ユーザに現れ得る。世界透過率のために要求される範囲外の全ての角度にわたって、光の強い減衰を達成するために、二段階フィルムスタックを使用することが有益であり得る。
【0094】
図14Cおよび14Dは、1310等の二段階フィルムスタックを使用した、接眼レンズに関する、計算された透過率プロファイルを示す。
図14Cは、その中で両段階が、0°の配向子軸方位角配向θ
cを伴って、480nmの遅延(d
1Δn、d
2Δn)を有する、二段階フィルムスタックを使用して、計算され、
図14Aの単段階フィルムスタック1110と同様に、0°の入射角θ
iにおいて、ピーク透過率を中心として両側対称性を示す。しかしながら、±60°~±80°の両側入射角θ
i範囲では、
図14Aに示される二次ピークは、もはや明白ではなく、約10(630nm)~10
2(460nm)の付加的対数係数によって低減される。加えて、ピーク透過率ウィンドウは、約±20°の入射角θ
i範囲では、単段階フィルムスタック1110と二段階フィルムスタック1310との間で同一のままである。
【0095】
図14Dは、d
1Δn380nm~d
2Δn270nmの遅延と、15°の配向子軸方位角配向θ
cとを伴う、複屈折フィルムを用いた、二段階フィルムスタックを使用して計算される。ピーク透過率ウィンドウは、
図14Bにおけるように、20°の入射角θ
i上に心合される、約±20°の入射角θ
i範囲において、同一のままである。但し、
図15Cにおけるように、約-40°~-70°の入射角θ
iにおいて見られる二次ピークは、10
2を上回る対数係数によって有意に減衰される。
【0096】
図14Cおよび14Dの計算された透過率プロファイルは、単段階フィルムスタックではなく、二段階フィルムスタックの使用が、有利なこととして、特に、配向子軸が歪まされるとき、所望の角度世界透過範囲外で生成された二次ピークを減衰させ得ることを実証する。加えて、複屈折レインボーアーチファクトにつながる、高入射角における色偏移の広変動も同様に、有意に減衰される。
図14Aおよび14Cは、1220i等の中心に位置する空間変動O-プレート領域において使用するための配向子軸配向の好ましい実施形態であり得、クリア開口を通した視認角度は、約±20°まで低減され、これは、
図14Aおよび14Cの特定の世界透過率ウィンドウに対応する。
図14Cおよび14Dは、それらの領域内の世界透過率ウィンドウが、0°を上回り、可能性として、50°未満である、入射角θ
iにあるであろうため、1220a-1220h等の空間変動O-プレート領域内の配向子軸配向の実施形態であり得る。
【0097】
図15A-15Cは、方位角的および半径方向に配向される配向子軸を伴う、O-プレートを通して達成され得る、透過率プロファイルの実施例である。グラフは、恣意的y-軸範囲および等しい恣意的x-軸範囲を横断して、O-プレートを使用した、クリア開口を通した計算された総透過率の正規化されたヒートマップ表現である。各グラフは、O-プレートの配向子軸の方位角および半径方向配向(例えば、θ
c、φ
c)の異なる組み合わせを使用して計算されている。
図15Cの左は、角度θおよびφの配向を含む、基準座標系である。
図15Aでは、方位角配向θ
cは、O-プレートに対して法線であって、半径方向配向φ
cは、0である。計算された透過率プロファイルは、半径方向に対称の透過率パターンを示し、ピーク1410は、波数ky=kx=0にあって、透過率は、最大である。透過率は、1の半径方向距離において0に到達するまで、半径方向距離の関数として減少する。
【0098】
図15Bは、O-プレートの計算された透過率プロファイルを示し、その配向子軸は、15°の方位角配向θ
cと、x-軸の45°反時計回りの半径方向配向φ
cとを有する。計算された透過率プロファイルは、もはや半径方向に対称ではないが、計算された透過率プロファイルを(x,y)平面において(-1,-1)から(1,1)まで二分する、線の周囲で両側に対称である。計算された透過率プロファイル1411のピークは、(約0.3,0.3)の周囲にあって、グラフの第1の象限内の光の好ましい透過率を可能にする。
【0099】
図15Cは、O-プレートの計算された透過率プロファイルを示し、その配向子軸は、15°の方位角配向θ
cと、x-軸の-45°時計回りの半径方向配向φ
cとを有する。計算された透過率プロファイルは、計算された透過率プロファイルを(x,y)平面において(-1,1)から(1,-1)まで二分する、線の周囲において両側に対称である。計算された透過率プロファイル1412のピークは、(約0.3,-0.3)の周囲にあって、グラフの第4の象限内の光の好ましい透過率を可能にする。
【0100】
一般に、前述の実施例は、具体的O-プレート配列に関する計算を示すが、それらは、単に、例証である。より一般的には、フィルムの遅延、ドメインの数および形状、各ドメイン内の配向子整合は、アイボックスサイズおよび格子構造に従って選択され、望ましくない回折される周囲光の所望の減衰を提供することができる。
【0101】
図16A-Tはさらに、単段階、二段階、および空間変動二段階O-プレート光学減衰器を使用して可能性として考えられる、減衰の量を図示する。これらの画像は、周囲光源が高入射角で接眼レンズ上に入射するときの、望ましくない光学アーチファクト(例えば、光学レインボー)を図示する。近隣の源からの白色周囲光が、高入射角から、ディスプレイコンバイナ700内の格子710構造と相互作用するにつれて、光は、
図7Bに示されるように、回折された状態になる。回折の量は、入射光の波長および格子710ピッチまたは間隔に依存する。白色光は、多くの波長から成り、ユーザに向かって回折される入射周囲光の各波長は、異なる角度に回折される。これは、白色光をユーザによって見られるようなレインボー図の中に拡散されて現れさせ、望ましくない光学アーチファクト(例えば、光学レインボー)を引き起こす。
【0102】
図16A-16Tでは、光学レインボーアーチファクトは、70°(
図16A-16D)、60°(
図16E-16H)、および50°(
図16I-16L)、40°(
図16M-16P)、および30°(
図16Q-16T)入射角で上方から接眼レンズ上に入射する、5700K黒体スペクトルとともに、白色光源に関して示される。391nmの格子710ピッチが、アーチファクトの回折角度を計算するために使用された。各画像内の黒色円形は、
図16A-Tの右に示されるように、4mmのアイボックス、20mmの瞳距離、および36.3mmのクリア開口高を伴ってユーザから見られるような、±42°の視認角度に対応する。画像1610の第1の列は、フィルタが存在しない場合にユーザから見られるような、計算された光学レインボーアーチファクトを示す。画像1611の第2の列は、単段階フィルムスタック1110が使用された場合にユーザから見られるような、計算された光学レインボーアーチファクトを示す。画像1612の第3の列は、二段階フィルムスタック1310が使用された場合にユーザから見られるような、計算された光学レインボーアーチファクトを示す。第2の列1611および第3の列1612を計算するために使用される、O-プレートの配向子軸は、方位角または半径方向配向を有しない(例えば、θ
c=φ
c=0°)。画像1613の第4の列は、二段階空間変動O-プレートフィルムスタックが使用された場合にユーザから見られるような、計算された光学レインボーアーチファクトを示す。第4の列1613を計算するために使用される、二段階空間変動O-プレートは、
図12Bに示される設計のものである。
【0103】
列1610内の画像を基準として使用すると、最大および最明光学レインボーアーチファクトが、より大きい入射角(例えば、60°、70°)において見られる。より大きい入射角(例えば、60°、70°)では、単段階1611(
図16Bおよび16F)および二段階1612(
図16Cおよび16G)は、これらの光学レインボーアーチファクトの減衰に有意な効果を及ぼし、二段階空間変動O-プレート1613(
図16Dおよび16H)の使用は、単一1611または二段階1612フィルムスタックのいずれかより大きい効果を減衰に及ぼす。これは、全ての他の画像および
図16に示される残りの画像内の入射角にも当てはまる。単段階1611および二段階1612フィルムスタックは、見掛け光学レインボーアーチファクトの減衰に有意な効果を及ぼす一方、空間変動O-プレートを使用する、二段階1613フィルムスタックは、最大効果を有する。
【0104】
空間変動O-プレートを使用する、光学減衰器は、光学減衰器の使用から生じ得る、空間色変動を低減させる際にさらに有益であり得る。
図17A-17Dは、白色光が、無フィルタ(
図17A)、単段階フィルムスタック(
図17B)、二段階フィルムスタック(
図17C)、および空間変動O-プレートを使用する二段階フィルムスタック(
図17D)を使用して、±45°の視認角度を通して見られるときの、ユーザによって知覚されるような色偏移を示す。視野内の青色円形は、15°度インクリメントを表す。
図17A-17Dにおける白色偏移を計算するために使用される、フィルムスタックは、
図16における第1の列-第4の列(1610、1611、1612、1613)を計算するために使用されるものと同一フィルムスタックである(例えば、無フィルタ、無配向子軸配向、
図12Bに示される設計の空間変動O-プレート)。ある実施形態では、白色点偏移は、少なくとも1つの方向において、±40°の入射角にわたって(例えば、40°またはそれ未満の入射角の範囲全体にわたって)、D65白色点から0.01Δu’v’またはそれ未満(例えば、0.005またはそれ未満、0.002またはそれ未満、0.001またはそれ未満、0.0005またはそれ未満)であり得る。
【0105】
単段階および二段階フィルムスタックの使用は、
図16の列1611および1612に示されるように、見掛け光学レインボーアーチファクトの有意な減衰を提供し得るが、それらはまた、45°視認角度内で知覚可能色偏移を作成する。
図17Bでは、±30°~±45°の視認角度(例えば、第2の青色リングと視野の縁との間)では、赤色周波数に対する知覚可能偏移が存在する。本同一効果は、
図14Aにも見られ得る。±45°の入射角θ
iでは、630nm透過率プロファイルは、480nm透過率プロファイルより高い。より長い波長は、より多くの赤色に関連し、それらの波長における透過率がより高いため、知覚される色は、赤色相に偏移する。
【0106】
同一効果は、
図17Cにも見られるが、より大きい程度である。
図14Cでは、±45°の入射角θ
iにおいて、630nm透過率プロファイルは、依然として、480nm透過率プロファイルより高く、両透過率プロファイルは、±45°において、
図14Aにおけるものより低い値にある。これは、±45°視認角度における総透過率の損失と、二段階フィルムスタック1310を使用するときの630nmと比較してさらに低減された480nm透過率プロファイルの組み合わせられた効果である。
【0107】
図17Dは、空間変動O-プレートを使用する二段階フィルムスタックを通してユーザによって知覚されるような、同一色偏移を表す。角度約±45°の極限視認角におけるより低い赤色偏移に加え、全体的透過率は、視認ウィンドウ全体を横断して、より高い。これは、
図12Bにおける3つの空間変動領域に起因し得る。上側領域1221aの配向子軸は、15°の方位角配向θ
cと、90°(正の垂直)の半径方向配向φ
cとを有し、中央領域1221bの配向子軸は、O-プレートの面に対して法線の方位角および半径方向配向を有し、下側領域1221cは、15°の方位角配向θ
cと、-90°(負の垂直)の半径方向配向φ
cとを有する。これらの配向子軸配向は、各領域1221a-cのピーク世界透過率ウィンドウが視認ウィンドウの周囲光入射角と重複することを可能にする。
図14C(±20°)、14D(20°±20°)、および14Dからの世界透過率ウィンドウと対向半径方向配向φ
c(-20°±20°)の組み合わせは、
図17Dに見られるように、約±40°の総近ピーク世界透過率ウィンドウを可能にする。
【0108】
一般に、種々の好適な異なる材料が、光学減衰器内の層毎に使用されることができる。線形偏光器は、例えば、発色団(例えば、ヨウ素)で染色されている、延伸ポリマー材料(例えば、PVA)から形成されることができる。Sanritz Co.(Japan)またはNittto Denko(Japan)から利用可能なもの等の市販の線形偏光器が、使用されることができる。QWは、例えば、延伸ポリマーフィルムまたは液晶ポリマーフィルムから作製されることができる。O-プレートは、例えば、ポリマー液晶材料を含む、液晶材料から形成されることができる。
【0109】
一般に、フィルムスタックは、上記に説明されるもの以外の付加的層を含むことができる。例えば、スタックは、付加的層を含み、光学機能ではなく、機械的機能を提供することができる。接着剤層および/または機械的強度および/または環境保護のための層が、含まれることができる。そのような層は、透過される光の偏光に有意に効果を及ぼさないように、光学的に等方性であることができる。いくつかの実施形態では、スタックは、1つまたはそれを上回る層を最外線形偏光器の世界側上に含む。
【0110】
例えば、反射防止フィルムおよび/または硬質コート層が、含まれることができる。光学減衰器の前述の実施例は、光学的受動要素を含むが、より一般的には、実装は、光学的能動要素も特徴とすることができる。そのような要素は、電気信号またはある他の物理的刺激に応答して、その光学性質を変化させ、したがって、光学減衰器の透過性性質を変化させることができる。例えば、O-プレートドメインは、電気光学的に調節可能であることができる。例えば、O-プレートは、それに対して電場が、LC配向子配向を2つまたはそれを上回る異なる状態間で変動させ、それによって、各ドメインの透過率性質を変化させるために印加され得る、液晶セルとして形成されることができる。
【0111】
本明細書に説明されるいくつかの実装は、デジタル電子回路網、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアの1つまたはそれを上回るグループまたはモジュールとして、またはそれらのうちの1つまたはそれを上回るものの組み合わせ内に実装されることができる。異なるモジュールが、使用されることができるが、各モジュールは、明確に異なる必要はなく、複数のモジュールが、同一デジタル電子回路網、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェア、またはそれらの組み合わせ上に実装されることができる。
【0112】
本明細書に説明されるいくつかの実装は、1つまたはそれを上回るコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置による実行のために、またはその動作を制御するために、コンピュータ記憶媒体上にエンコーディングされたコンピュータプログラム命令の1つまたはそれを上回るモジュールとして実装されることができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶装置基板、ランダムまたはシリアルアクセスメモリアレイまたはデバイス、またはそれらのうちの1つまたはそれを上回るものの組み合わせであることができる、またはその中に含まれることができる。さらに、コンピュータ記憶媒体は、伝搬信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝搬信号内にエンコーディングされたコンピュータプログラム命令のソースまたは行先であることができる。コンピュータ記憶媒体はまた、1つまたはそれを上回る別個の物理的コンポーネントまたは媒体(例えば、複数のCD、ディスク、または他の記憶デバイス)である、またはその中に含まれることができる。
【0113】
用語「データ処理装置」は、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、および機械を包含し、一例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、システムオンチップ、または前述の複数のもの、または組み合わせを含む。装置は、特殊目的論理回路網、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)を含むことができる。装置はまた、ハードウェアに加え、当該コンピュータプログラムのための実行環境を作成する、コード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想機械、またはそれらのうちの1つまたはそれを上回るものの組み合わせを構成する、コードを含むことができる。装置および実行環境は、ウェブサービス、分散型コンピューティング、およびグリッドコンピューティングインフラストラクチャ等の種々の異なるコンピューティングモデルインフラストラクチャを実現することができる。
【0114】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイルまたはインタープリタ型言語、宣言型、または手続型言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で書き込まれることができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応してもよいが、そうである必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持する、ファイルの一部内に(例えば、マークアップ言語ドキュメント内に記憶される、1つまたはそれを上回るスクリプト)、当該プログラムに専用の単一ファイル内に、または複数の協調ファイル(例えば、1つまたはそれを上回るモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶する、ファイル)内に記憶されることができる。コンピュータプログラムは、1つの施設に位置する、または複数の施設を横断して分散され、通信ネットワークによって相互に接続される、1つのコンピュータ上または複数のコンピュータ上で実行されるように展開されることができる。
【0115】
本明細書に説明されるプロセスおよび論理フローのうちのいくつかは、入力データに作用し、出力を生成することによって、1つまたはそれを上回るコンピュータプログラムを実行し、アクションを実施する、1つまたはそれを上回るプログラマブルプロセッサによって実施されることができる。プロセスおよび論理フローはまた、特殊目的論理回路網、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実施されることができ、装置はまた、そのようなものとして実装されることができる。
【0116】
コンピュータプログラムの実行のために好適なプロセッサは、一例として、汎用および特殊目的マイクロプロセッサの両方および任意の種類のデジタルコンピュータのプロセッサを含む。概して、プロセッサは、命令およびデータを読取専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたは両方から受信するであろう。コンピュータは、命令に従ってアクションを実施するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つまたはそれを上回るメモリデバイスとを含む。コンピュータはまた、データを記憶するための1つまたはそれを上回る大容量記憶デバイス、例えば、磁気、光磁気ディスク、または光ディスクを含む、またはそこからデータを受信する、またはそこにデータを転送する、または両方を行うために、そこに動作可能に結合されてもよい。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するために好適なデバイスは、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含み、一例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリデバイス、およびその他)、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク、リムーバブルディスク、およびその他)、光磁気ディスク、およびCD ROMおよびDVD-ROMディスクを含む。プロセッサおよびメモリは、特殊目的論理回路網によって補完される、またはその中に組み込まれることができる。
【0117】
ユーザとの相互作用を提供するために、動作は、情報をユーザに表示するためのディスプレイデバイス(例えば、モニタまたは別のタイプのディスプレイデバイス)と、それによってユーザがコンピュータへの入力を提供し得る、キーボードおよびポインティングデバイス(例えば、マウス、トラックボール、タブレット、タッチセンサ式画面、または別のタイプのポインティングデバイス)とを有する、コンピュータ上で実装されることができる。他の種類のデバイスも同様に、ユーザとの相互作用を提供するために使用されることができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚フィードバックであることができ、ユーザからの入力は、音響、発話、または触覚入力を含む、任意の形態で受信されることができる。加えて、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスに、ドキュメントを送信し、そこからドキュメントを受信することによって、例えば、ウェブブラウザから受信された要求に応答して、ウェブページをユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザに送信することによって、ユーザと相互作用することができる。
【0118】
コンピュータシステムは、単一コンピューティングデバイス、または相互に近接して、または概して、遠隔で、動作し、典型的には、通信ネットワークを通して相互作用する、複数のコンピュータを含んでもよい。通信ネットワークの実施例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)および広域ネットワーク(「WAN」)、ネットワーク間(例えば、インターネット)、衛星リンクを備える、ネットワーク、およびピアツーピアネットワーク(例えば、アドホックピアツーピアネットワーク)を含む。クライアントおよびサーバの関係は、個別のコンピュータ上で起動し、相互にクライアント-サーバ関係を有する、コンピュータプログラムによって生じ得る。
【0119】
図18は、プロセッサ1810と、メモリ1820と、記憶デバイス1830と、入/出力デバイス1840とを含む、例示的コンピュータシステム1800を示す。コンポーネント1810、1820、1830、および1840はそれぞれ、例えば、システムバス1850によって、相互接続されることができる。プロセッサ1810は、システム1800内での実行のための命令を処理することが可能である。いくつかの実装では、プロセッサ1810は、シングルスレッド式プロセッサ、マルチスレッド式プロセッサ、または別のタイプのプロセッサである。プロセッサ1810は、メモリ1820内または記憶デバイス1830上に記憶される命令を処理することが可能である。メモリ1820および記憶デバイス1830は、情報をシステム1800内に記憶することができる。
【0120】
入/出力デバイス1840は、システム1800のための入/出力動作を提供する。いくつかの実装では、入/出力デバイス1840は、ネットワークインターフェースデバイス、例えば、Ethernet(登録商標)カード、シリアル通信デバイス、例えば、RS-232ポート、および/または無線インターフェースデバイス、例えば、802.11カード、3G無線モデム、4G無線モデム等のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。いくつかの実装では、入/出力デバイスは、入力データを受信し、出力データを他の入/出力デバイス、例えば、ウェアラブルディスプレイデバイス1860に送信するように構成される、ドライバデバイスを含むことができる。いくつかの実装では、モバイルコンピューティングデバイス、モバイル通信デバイス、および他のデバイスも、使用されることができる。
【0121】
本明細書は、多くの詳細を含有するが、これらは、請求され得る内容の範囲に関する限界としてではなく、むしろ、特定の実施例に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実装のコンテキストにおいて本明細書に説明されるある特徴はまた、組み合わせられることができる。逆に言えば、単一実装のコンテキストに説明される種々の特徴はまた、複数の実施形態内に別個に、または任意の好適な副次的組み合わせにおいて実装されることができる。
【0122】
いくつかの実装が、説明されている。但し、種々の修正が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、行われてもよいことを理解されたい。故に、他の実装も、以下の請求項の範囲内である。
【国際調査報告】