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特表2023-516681スタッキングボックス、並びに2つまたは複数のスタッキングボックスを含む輸送および/または保管システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】スタッキングボックス、並びに2つまたは複数のスタッキングボックスを含む輸送および/または保管システム
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/06 20060101AFI20230413BHJP
   A45C 11/00 20060101ALI20230413BHJP
   B65D 21/032 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
B65D21/06
A45C11/00 U
B65D21/032
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552803
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2021053955
(87)【国際公開番号】W WO2021175603
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】20160637.3
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522348701
【氏名又は名称】コッホ,ヒルコ
【氏名又は名称原語表記】KOCH,Hilko
【住所又は居所原語表記】Kaiserstrasse 107 47800 Krefeld Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,ヒルコ
【テーマコード(参考)】
3B045
3E006
【Fターム(参考)】
3B045CE07
3E006AA01
3E006BA02
3E006CA01
3E006CA05
3E006DA10
3E006DB01
3E006JA10
(57)【要約】
底部2と、底部2と共に収容空間4を画定する壁3と、壁3の縁部5によって画定される収容開口部6と、を備えるスタッキングボックス1である。スタッキングボックス1には、静止位置と支持位置との間で往復して移動可能な位置決め要素7が取り付けられる。支持位置の位置決め要素7は、スタッキングボックス1およびさらなるスタッキングボックス1の積み上げられた箱積重ね物を形成するための積上げ面を提供する。静止位置の位置決め要素7は、入れ子状の箱積重ね物を形成するために、スタッキングボックス1とさらなるスタッキングボックス1との互いの入り込みを可能とする。位置決め要素7は、底部2を下にしたスタッキングボックス1が床の上にセットされると、重力だけによって駆動されて支持位置に移動し、縁部5を下にしたスタッキングボックス1が収容開口部6を下に向けて床の上にセットされると、重力だけによって駆動されて静止位置に移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部(2)と、
前記底部(2)から発してこれに対して横方向に延び、特に周回し、前記底部(2)と共に前記スタッキングボックス(1)の収容空間(4)を画定する壁(3)と、
前記底部(2)に対向する前記壁(3)の縁部(5)によって画定される収容開口部(6)と、を備えるスタッキングボックス(1)であって、
前記スタッキングボックス(1)には、静止位置と支持位置との間で往復して移動可能な位置決め要素(7)が取り付けられており、
前記位置決め要素(7)は、前記支持位置においては、前記スタッキングボックス(1)および実質的に同じ構造のさらなるスタッキングボックス(1)が積み上げられた箱積重ね物を形成する積み上げのための積上げ面を提供するように位置決めされており、
前記位置決め要素(7)は、前記静止位置においては、入れ子状の箱積重ね物を形成するために、前記スタッキングボックス(1)と、実質的に同じ構造のさらなるスタッキングボックス(1)との互いの入り込みを可能にするように位置決めされている、スタッキングボックス(1)において、
前記位置決め要素(7)は、前記底部(2)を下にした前記スタッキングボックス(1)が、前記底部(2)を実質的に水平に配向して床の上にセットされ、前記収容開口部(6)が実質的に垂直に上に向くように配向されるときに、前記位置決め要素(7)が重力だけによって駆動されて前記支持位置に移動され、かつ、前記縁部(5)を下にした前記スタッキングボックス(1)が、前記収容開口部(6)を実質的に水平に配向して床の上にセットされ、かつ前記底部(2)が実質的に垂直に上を向くように配向されたときに、前記位置決め要素(7)が重力だけによって駆動されて前記静止位置に移動されるように構成され、前記スタッキングボックス(1)に取り付けられている、ことを特徴とするスタッキングボックス(1)。
【請求項2】
前記位置決め要素(7)は、前記スタッキングボックス(1)の前記壁(3)の前記縁部(5)の領域に、
前記位置決め要素(7)の前記支持位置では、前記収容開口部(6)の領域に、実質的に同じ構造のさらなるスタッキングボックス(1)が、積み上げられた箱積重ね物を形成するために、その底部(2)を前記支持位置に存在する前記位置決め要素(7)に積み上げることができるように突出し、かつ
前記位置決め要素(7)の前記静止位置では、実質的に同じ構造のさらなるスタッキングボックス(1)が、入れ子状の箱積重ね物を形成するために、その底部が前記収容開口部(6)に導入されて前記スタッキングボックス(1)の前記収容空間(4)に入るよう案内され得るように前記収容開口部(6)の領域を解放するように、
前記支持位置と前記静止位置との間で移動可能であるように配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のスタッキングボックス(1)。
【請求項3】
前記収容開口部(6)の領域および/または前記底部(2)の領域において、前記スタッキングボックス(1)の前記壁(3)に旋回可能に配置されているプレート状の位置決め要素(7)、を特徴とする請求項1または2に記載のスタッキングボックス(1)。
【請求項4】
前記位置決め要素(7)は、ヒンジジョイント(8)により、前記支持位置と前記静止位置との間で旋回可能に前記スタッキングボックス(1)に配置されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のスタッキングボックス(1)。
【請求項5】
底部(2)および壁(3)は、プラスチックから形成されている、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のスタッキングボックス(1)。
【請求項6】
前記位置決め要素(7)は、金属から形成されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のスタッキングボックス(1)。
【請求項7】
スタッキングボックスが、それぞれ前記底部(2)に対して直交して延在し、互いに垂直の第1と第2の中央平面に対して鏡対称に形成されているか、または上から見た平面において、点対称の断面により形成されており、断面輪郭の中点を形成する点対称のそれぞれ1つの対称中心を備える、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のスタッキングボックス(1)。
【請求項8】
前記壁(3)および/または前記底部(2)に成形された、前記位置決め要素(7)を前記支持位置に支持するための支持部(9,10)、を特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のスタッキングボックス(1)。
【請求項9】
前記位置決め要素(7)に形成された芯合わせ構造、および前記スタッキングボックス(1)に前記位置決め要素(7)の外部で形成された相手方構造であって、前記芯合わせ構造は、実質的に構造の同じスタッキングボックス(1)の前記相手方構造と、積み重ねられた状態において、積み重ねられる前記スタッキングボックス(1)を、その下にあるスタッキングボックス(1)を基準にして芯合わせするために共同作用する、芯合わせ構造および相手方構造、を特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のスタッキングボックス(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のスタッキングボックス(1)を少なくとも2つ、特に複数含む輸送および/または保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にロジスティクスの分野にあり、特に、請求項1の上位概念の特徴を備えるスタッキングボックス、並びに2つ以上のそのようなスタッキングボックスを含む輸送および/または保管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロジスティクスの分野では、輸送または保管する対象物をその中に配置し保管するために様々なボックスが使用される。この種のボックスは、その際に頻繁に、それどころが定期的に整列され、ほぼ同じに形成されたボックスからなる箱積重ね物に積み重ねられる。このことは特に、形成する箱積重ね物の下のボックスの上向きの開口部の領域に支持構造を設けることによって、下のボックスの収容開口部を閉鎖して、セットされたボックスの底部領域を受け入れる蓋を一時的に格納することなく行うことができ、この支持構造の上に、積み重ねるべき上のボックスを、その下にあるボックスに装填することなく、載せて置くことができる。このようにして、この種のボックスをその中に配置された対象物または物品と共に積み重ねることができ、積み重ねられたボックスの負荷が、ボックスに保管された対象物または物品に掛かることはない。そのようにしてその中に存在する物品と共に上下に重ねられた箱積重ね物に積み重ね可能であるこの種のボックスは、スタッキングボックスとも称することができる。
【0003】
このようなスタッキングボックスを空の状態で省スペースに保管または省スペースで輸送するために、このスタッキングボックスを互いにセットし、入れ子状になった箱積重ね物に組み立てることができるようにすることがしばしば行われる。この場合、さらなるスタッキングボックスが、底部が床に置かれた一番下のスタッキングボックスの収容空間に、またはそれぞれ既にそのようなスタッキングボックスに格納されたスタッキングボックスに装填され、そのようにして互いに入れ子状の箱積重ね物が形成される。
【0004】
そして同種のスタッキングボックスのセットによりこれを達成できるようにするために、すなわち、積み重ねられた箱積重ね物と、互いに収納された入れ子状になった箱積重ね物との両者を形成できるようにする目的で、スタッキングボックスのそれぞれの収容空間を自由にする箱積重ね物を形成するためのスタッキングボックスの積み重ね、あるいはスタッキングボックスを互いに入れ子状に入れ子にした空のスタッキングボックスの省スペースの積み重ねを可能にするために、スタッキングボックスをそれぞれ必要に応じて改造する種々の提案がある。
【0005】
これを達成する可能性が、例えば特許文献1に記載されている。そこに記載されたスタッキングボックスは、互いに対向する2つの端面側における形態に関して非対称に形成されており、すなわち、そこにそれぞれ設けられた構造によって、互いに入り込んだ入れ子状の積み重ねがボックスの第1の配向において、箱底部に対して垂直に延在する軸を中心にする回転に関連して可能であり、セットされたスタッキングボックスから積み重ねを形成するためにスタッキングボックスが、底部に対して垂直に延在する回転軸を中心に第1の位置に対して180°回転された、セットすべきスタッキングボックスの第2の位置で互いに調整される。したがってこのスタッキングボックスを互い入れ子状に組み立てるためには、それぞれのボックスを、底部に対して垂直に延在する回転軸を基準に選択された第1の回転位置に配向しなければならず、それから互いに入れ子状に積み重ねることができる。そしてこのスタッキングボックスを互いに積み重ねる場合には、特にこれらが輸送または保管が必要な商品または物品により満たされた後に、これらを、箱底部に対して垂直に延在する回転軸を基準にして180°だけ回転しなければならず、それから互いに積み重ねることができる。
【0006】
この手順は、底部に対して垂直に延在する回転軸を中心にする回転を基準にした前記のそれぞれの適切な配向以外に、スタッキングボックスのさらなる取り扱いが不要である限り、単純である。しかしながら、この配向は、商品または物品がすでに格納されたスタッキングボックスを人が前に保持しており、ボックスを下のボックスの上にセットすることにより人が箱積重ね物を形成できるようになる前に、箱底部に対して垂直に延在する回転軸を中心に上記の180°だけ回転させる必要がある場合、取り扱う人にとって困難であり、力を消耗し、特に背中に負担が掛かる。このことは、格納したスタッキングボックスの重量が大きければ、ますます当てはまる。自動化された取り扱いも複雑である。なぜなら操作ユニットが、スタッキングボックスを回転方向において常に正しく配向しなければならず、それから初めて積み重ねられた箱積重ね物を形成するために積み重ねることができるからである。
【0007】
一方では互いに積み上げられたスタッキングボックスから箱積重ね物を形成するためにスタッキングボックスの積み重ねを可能にし、他方では空のスタッキングボックスから、省スペースの互いに入れ子状(ネスト状)の箱積重ね物を形成できるようにするための別の手順が、例えば特許文献2に示され、記載されている。そこに示されたスタッキングボックスは、支持位置と静止位置との間で移動可能な位置決め要素を有し、この位置決め要素は、支持位置においてさらなるスタッキングボックスをこの位置決め要素の上に降ろすことを可能にし、位置決め要素は静止位置にもたらされ、さらなるスタッキングボックスをその下にあるスタッキングボックスの収容空間に入れることを、空のスタッキングボックスから入れ子状の箱積重ね物を形成するために可能にする。請求項1の上位概念に示されたスタッキングボックスのこの種の形態は、スタッキングボックスの底部に対して垂直に延在する回転軸を中心に180°だけスタッキングボックスを回転することをもはや必要としない。しかしそのために、公知のスタッキングボックスでは能動的に静止位置から支持位置にもたらされ、あるいは反対に支持位置から静止位置に移動される位置決め要素が、それぞれ生じる必要性に応じて必要であり、すなわち、特に収容空間に入れられ、互いに積み重ねられたスタッキングボックスから箱積重ね物を形成すべき場合には位置決め要素を支持位置に移動させ、あるいは空のスタッキングボックスから省スペースの箱積重ね物を形成するためにボックスを入れ子状に互いに入れ子に装填する場合には静止位置に移動させなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,047,853号
【特許文献2】国際公開第1998/056668号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これを背景に本発明の課題は、取り扱いが簡単であり、ユーザの特別の介入なしに、互いに積み重ねられたスタッキングボックスから形成される積み重ねられた箱積重ね物の形成を可能にし、同様に、互いに入れ子状の、したがって省スペースの箱積重ね物において空のスタッキングボックスの保管も可能にするスタッキングボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、一方では請求項1の特徴を備えるスタッキングボックスによって解決され、この解決に有利なさらなる形態は従属請求項2から9に記載されている。この課題の解決のさらなる態様は、少なくとも2つの、特に複数の本発明の形式のスタッキングボックスを含む輸送および/または保管システムを形成する。
【0011】
本発明によれば新規のスタッキングボックスは、公知のスタッキングボックスと概して同じように、底部と、底部から発してこれに対して横方向に延び、特に周回し、底部と共にスタッキングボックスの収容空間を画定する壁と、底部に対向する壁の縁部によって画定される収容開口部とを有する。スタッキングボックスにはさらに、静止位置と支持位置との間で往復して移動可能な位置決め要素が取り付けられている。この位置決め要素は、支持位置においては、スタッキングボックスおよび実質的に同じ構造のさらなるスタッキングボックスの積み上げられた箱積重ね物を形成する積み上げのための積上げ面(保管領域)を提供するように位置決めされている。これに対して静止位置において位置決め要素は、入れ子状(ネスト状)の箱積重ね物を形成するために、スタッキングボックスと、実質的に同じ構造のさらなるスタッキングボックスとの互いの入り込みを可能にするように位置決めされている。
【0012】
壁および底部は、特に小型に寸法設定された対象物をその中に保管し輸送するために、全体的にまたは部分的に、頑丈な構造で中断のないように形成することができる。しかし、壁および/または底部に、少なくとも部分的に、例えばスタッキングボックスを作製するための材料を節約し、スタッキングボックスの重量を低減し、スタッキングボックスの簡単な清掃を可能にし、および/またはスタッキングボックスの中に保管された物品、例えば果物または野菜のような食料品の換気を保証するために、貫通部を設けることもできる。
【0013】
ここまでは上述のように、本発明によるスタッキングボックスは、特許文献2に記載されているものと同じである。本発明のスタッキングボックスにおいて特別なことは、前述の刊行物から公知のスタッキングボックスとは異なり、位置決め要素をユーザの相応の介入によって能動的に移動する必要がなく、むしろ位置決め要素は、底部を下にしたスタッキングボックスが、底部を実質的に水平に配向して床の上にセットされ、収容開口部が実質的に垂直に上を向くように配向されたときに、重力だけによって駆動されて支持位置に移動されるように構成され、スタッキングボックスに取り付けられている。さらに位置決め要素は、縁部を下にしたスタッキングボックスが、収容開口部を実質的に水平に配向して床の上にセットされ、かつ底部が実質的に垂直に上を向くように配向されたときに、重力だけによって駆動されて静止位置に移動されるよう構成され、スタッキングボックスに取り付けられている。
【0014】
したがって位置決め要素は、底部の平面にある、またはこれに平行に延びる回転軸を中心にする回転を基準にした本発明のスタッキングボックスの向きに依存して、重力の作用だけによって移動する。位置決め要素は、底部を下にして開口部が上を向くスタッキングボックスが床の上に置かれるときに、重力によって駆動されて支持位置に移動する。位置決め要素は、スタッキングボックスがいわば逆さまに立てられたとき、すなわち開口部を下に向け、底部が垂直方向にその上にあるときに静止状態に移動する。それ以外の公知のスタッキングボックスとは異なり、まず一番下に配置されたボックスが同じように逆さまにされ、すなわち収容開口部を画定するその縁部を下にして置かれ、次にさらなるスタッキングボックスが、収容開口部を下に向けてそれぞれその下のスタッキングボックスの底部の上にセットされることにより、空のボックスから互いに入れ子状の箱積重ね物が省スペースに形成される。このことは簡単に可能である。なぜなら、この向きにおいては前にすでに述べたように、重力に起因する位置決め要素の移動に基づいて、この位置決め要素が静止位置に存在しているからである。すなわち、省スペースの箱積重ね物においてスタッキングボックスの互いに入れ子状の積み上げが阻止されない。本発明のスタッキングボックスを使用する場合、特に収容空間にそこに配置すべき商品、物品またはその他の対象物を格納する場合、底部平面にある、またはこれに対して平行に延在する回転軸を中心にスタッキングボックスを180°回転し、開口部が上を向くように配向しなければならない。ここでは、新たに重力駆動だけで位置決め要素は同じように自動的に支持位置に移動し、その結果、相応に配向された本発明のスタッキングボックスは、これが満たされていても、またはそれどころか空であっても、箱積重ね物を形成するために互いにセットして積み上げることができ、この箱積重ね物では、それぞれ上のスタッキングボックスは、それぞれ下にあるスタッキングボックスの収容空間には装填されない。
【0015】
すなわち本発明のスタッキングボックスのユーザは、目下の意図したスタッキングボックスの使用に応じて位置決め要素を能動的に静止位置から支持位置に、またはその反対に移動することに特別に注意を払う必要がない。このことは重力による駆動だけで全く自動的に、収容開口部を上向きにまたは収容開口部を下向きにスタッキングボックスを正しく配向することだけによって行われる。積み重ねを可能にするために、底部の平面に対して垂直に延在する回転軸を中心にしてスタッキングボックスを180°回転することも、本発明のスタッキングボックスにより不要である。ユーザは、本発明のスタッキングボックスが同じように反転された、すなわち開口部を下に向けた状態でだけ、互いに入れ子にされ、入れ子状の状態で省スペースに積み上げられることにだけ注意を払えば良く、これは、開口部を上に向けたこの種のスタッキングボックスを互いに入り込むようセットするこれまで公知の手順とは異なる。
【0016】
基本的に、スタッキングボックスのどの位置に位置決め要素が存在するかは関係ない。本発明のスタッキングボックスは、位置決め要素がスタッキングボックスの壁の縁部の領域に次のように、支持位置と静止位置との間で移動可能に配置されている場合に特に簡単に実現される。すなわち、位置決め要素が支持位置では、実質的に同じ構造のさらなるスタッキングボックスが、積み上げられた箱積重ね物を形成するためにその底部を支持位置に存在する位置決め要素に積み上げることができるように収容開口部の領域に突出し、位置決め要素が静止位置では、実質的に同じ構造のさらなるスタッキングボックスが、入れ子状の箱積重ね物を形成するためにその底部が前もって収容開口部に取り込まれ、スタッキングボックスの収容空間に入るよう案内され得るように収容開口部の領域を解放するように、位置決め要素は支持位置と静止位置との間で移動可能に配置されている。
【0017】
ここで位置決め要素は、例えばプレート状に、例えばスタッキングボックスの壁に旋回可能に、収容開口部の領域および/または底部の領域に配置されたこの種の要素により形成することができる。位置決め要素が壁の縁部の領域に配置される場合、位置決め要素は、例えば、特に長方形の基本輪郭を有するスタッキングボックスのコーナの位置に配置することができるが、位置決め要素は、特に壁の上方縁部に沿ってスタッキングボックスの長手エッジおよび/または横エッジのさらなる領域全体にわたって延びることもできる。
【0018】
位置決め要素は、例えばヒンジジョイントによりスタッキングボックスに配置することができ、このヒンジジョイントに基づき位置決め要素は、支持位置と静止位置との間で旋回可能である。別の形式の自在な配置あるいは支承可能な配置もここでは考えられる。重要なのは、底部の平面にある、またはこれに対して平行に延在する回転軸を中心にするスタッキングボックスの「反転」の際に、位置決め要素が静止位置から支持位置に、およびその反対に純粋に重力に駆動されて移動することである。
【0019】
本発明のスタッキングボックスでは、底部および壁を特にプラスチックから、特に一体的に形成することができるが、例えば金属または木材のような他の材料も考えられる。ここでプラスチックは、重量が小さく同時に高い強度と安定性の利点を有しており、このことは、ロジスティクス、輸送および保管、並びにこれらに結び付いた取り扱いの領域で特に有利である。
【0020】
位置決め要素は、特に金属から形成することができ、対象物により満たされたスタッキングボックスを積み上げる際に力を吸収するための十分な安定性を位置決め要素に付与する。しかし、例えばプラスチック、特に繊維強化プラスチックのような他の材料も考えられる。本発明のスタッキングボックスは、それぞれ底部に直交して延在し、互いに垂直の第1と第2の中央平面に対して、特に鏡対称に形成されている。択一的に有利には、底部の平面に対して平行に案内される断面の点対称構造を選択することもでき、断面輪郭の中点を形成する点対称のそれぞれ1つの対称中心を備える。要するに本発明のスタッキングボックスでは、底部の平面に対して垂直に延在する回転軸を中心にする回転によって積み重ねのために特別に配向される、特許文献1によるスタッキングボックスにおいて必要な非対称を設ける必要が全くない。
【0021】
有利には壁および/または底部に、支持位置で位置決め要素を支持するための1つまたは複数の支持部を成形することができる。これら支持部は、実質的に底部に対して平行に延在する、あるいは斜めに延在する支持面を有することができる。重要なのは支持部が、位置決め要素に対する確実な支持と、支持位置への位置決め要素の重力による駆動に関連するストッパとを提供することである。この種の支持部は、箱積重ね物において下に配置された本発明のスタッキングボックスに、およびさらに床あるいは地面まで位置決め要素を介して重力を導くのに用いることができる。このような支持部は、例えばスタッキングボックスの壁に形成された一種の柱状の突起物とすることができ、その端面に位置決め要素が支持位置で当接し、これによって支持される。
【0022】
本発明の形式のスタッキングボックスの、確実にセンタリングされた、特にずれのない積み上げを可能にするために、有利には、位置決め要素に形成された芯合わせ構造を設けることができ、スタッキングボックスに位置決め要素の外部で形成された相手方構造を形成することができ、積み重ねられるスタッキングボックスを、その下にあるスタッキングボックスを基準にしてセンタリングし、スタッキングボックスの底部に対して平行の平面内に固定するためにも、芯合わせ構造は相手方構造と、実質的に構造の同じスタッキングボックスにおいて積み重ねられた状態で共同作用する。
【0023】
位置決め要素の移動を重力だけによって行うために、例えば、回転ないし旋回運動の回転点が、それぞれの位置決め要素の重心の投影に対してオフセットされており、スタッキングボックスの底部の平面、あるいは収容開口部を画定する縁部によって張架される平面に配置される配置を選択することができる。重心を移動させる別個に配置されたウェイト要素等を設けることができる。クランクの形状を有する位置決め要素を設けることも可能であり、この形状に基づき位置決め要素は、重力だけにより駆動される本発明のやり方で、支持位置と静止位置との間で移動される。当業者は、位置決め要素および/またはその付属品を、構造設計の枠内で本発明による効果を達成するために、容易に形状付与することができ、対応する解決策は当業者に公知である。
【0024】
上述のような2つ、特に複数のスタッキングボックスを、有利な本発明による輸送および/または保管システムに含むことができる。このシステムに含まれるスタッキングボックスは、その開口部を上に向けて(中が満たされて、または空で)積み上げられた箱積重ね物に積み上げることができ、この場合、位置決め要素はそれぞれ支持位置にある。またはスタッキングボックスは、その収容開口部を下に向けて一番下のスタッキングボックスが地面に置かれ、その上にあるさらなるスタッキングボックスと帽子のように互いに積み重ねられるとき、省スペースに入れ子状に互いに入れ子にして収納することができる。
【0025】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面に基づく実施例の以下の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】複数の本発明のスタッキングボックスを積み上げるために直立した適切な位置にある本発明のスタッキングボックスの概略的断面図である。
図2】支持位置にある位置決め要素の拡大断面図である。
図3】本発明により形成された2つのスタッキングボックスを箱積重ね物に積み上げるための手順を概略的に示す図である。
図4】順番にセットされた本発明の2つのスタッキングボックスから形成された箱積重ね物を概略的に示す図である。
図5】逆さまに配置され、互いに入れ子にされた本発明の2つのスタッキングボックスから形成された入れ子状の箱積重ね物を概略的に示す図である。
図6】静止位置にある位置決め要素の拡大断面図である。
図7】積み上げるために収容開口部が上を向くように配向された本発明のスタッキングボックスの概略的平面図である。
図8】入れ子状に互いに入り込んでおり、収容開口部が下を向くように配向された本発明のスタッキングボックスを下から見た概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
図面では、本発明のスタッキングボックス、並びに少なくとも2つのそのようなスタッキングボックスから形成された輸送および/または保管システムの可能な構成例が非常に概略的な図に示されている。図面は、非常に概略的な図であり、本発明の原理および重要な要素の例示にだけに用いられる。これらは、完全な構造的スケッチとして理解されるべきではなく、縮尺通りでもない。
【0029】
まず図1には、本発明のスタッキングボックス1が第1の位置で示されている。スタッキングボックス1は底部2を有し、底部2を下にしたスタッキングボックス1が図1に示す位置で、例えば地面の上に置かれる。底部2から発して、この第1の位置では上方に、ここではボックスの外側を周回する壁3が延びており、底部2と壁3は収容空間4を取り囲む。しかし基本的に、収容空間4を画定する壁3にさらなる部分を設けることもでき、この部分は、外側を周回する壁から分離されており、例えば内部で底部から起立する柱などの壁の形態にある。壁3は、周回する縁部5に終端しており、縁部5は収容開口部6を取り囲む。壁3には縁部5の領域に、ここでは縁部5の上側エッジの下方に向かってややオフセットされて、位置決め要素7が配置されており、ここではヒンジジョイント8を介してスタッキングボックス1の壁3と自在に接続されている。図1に示されるスタッキングボックス1の位置で、位置決め要素7は重力だけによって駆動され、その点で図1に示した支持位置に強制的にもたらされ、あるいは移動される。位置決め要素7は、以下でさらに説明するように、ヒンジジョイント8を中心に旋回することによって静止位置にもたらすこともできる。
【0030】
図2は、位置決め要素7が図1に示したスタッキングボックス1の位置にある支持位置をより明確にするための拡大断面を示す。ここでは、位置決め要素7が支持位置では、スタッキングボックス1の壁3に形成された柱9の上側で支持面10(図6参照)に当接しており、この柱9により支持されることも理解される。
【0031】
図3図4から、実質的に構造の同じ2つの本発明のスタッキングボックス1が、図1に示した位置にあり、対応して重力により支持位置に移動された位置決め要素7により、互いに積み重ねられ得ることが理解される。図3には、これが矢印により示されており、この矢印は、積み重ねるための運動を表し、図4は積み重ねられた状態を示す。このようにして、2つまたは複数の本発明のスタッキングボックス1を積み重ねることができ、スタッキングボックス1の収容空間4には保管すべきまたは輸送すべき対象物を配置し保管することができる。
【0032】
図5には、底部2の平面内に延在する、またはこれに対して平行な回転軸を中心に180°回転された、すなわち逆さまにされた本発明のスタッキングボックス1により形成される「空の箱積重ね物」が示されており、この空の箱積重ね物にはスタッキングボックス1が入れ子形式で互いに入れ子にされている。ここで本発明のスタッキングボックス1は、帽子状に互いに積み重ねられ、下のスタッキングボックス1の壁3と底部2は、その上にあるスタッキングボックス1の収容空間4に進入する。
【0033】
このことは、図5に示すように、図1に示された位置に対して前記の回転軸を中心に180°回転された、すなわち頭を下にした本発明のスタッキングボックス1の位置で位置決め要素7が重力だけによって駆動され、したがって自動的に図1から図4に示す支持位置から図5図6に示す静止位置に移動されることによって可能になる。重力によって駆動されることにより、位置決め要素7がヒンジジョイント8を中心に以前に支持位置で静止していた柱9の支持部10から倒され、その結果、上にセットされたスタッキングボックス1の収容空間4に入り込んでいた、その下のスタッキングボックス1の底部2に対して妨げるものがなく、スタッキングボックス1を逆さまの位置で互いに入れ子状に入れ子にすることができる。
【0034】
図7図8をそこに示された概略図と共に比較しても、重力だけによって駆動される位置決め要素7の移動がどのように機能するのか再び明らかになる。図7には、収容開口部6を垂直に上に向けて配向してセットされた、すなわち図1のような位置のスタッキングボックス1の平面が示されている。位置決め要素7は、支持位置に旋回されており、したがってこの位置決め要素7の上にさらなるスタッキングボックス1の底部2を前もってセットすることができる。これに対して図8は、逆さまのスタッキングボックス1を下から見た平面を示し、このスタッキングボックス1では、新たに重力だけによって駆動された位置決め要素7が、図8に示す静止位置に存在しており、その結果、このように回転されたスタッキングボックス1を、その下の同様に逆さまに配置されたスタッキングボックス1の上に、空のスタッキングボックス1を入れ子状に、したがって省スペースに箱積重ね物を形成するためにセットすることができる。
【0035】
ここでは特に、図面に示されたスタッキングボックスとその構成部材の構成は非常に概略的であり、可能な例で示されていることが明らかである。ここでは、スタッキングボックスの長方形の基本輪郭の4つのコーナ領域にだけ配置された位置決め要素が示されている。例えば狭い端縁部に沿って延びる、または長手縁部に沿って延びる、または縁部全体に沿って周回もする細片状の配置も同様に考えられる。ここで、スタッキングボックス1を逆さまにすることにより、あるいは起立させることにより、位置決め要素が重力駆動だけで静止位置と支持位置との間で移動され、支持位置では位置決め要素が、その上にセットされたさらなるスタッキングボックス1をその中に配置された対象物と共に支持し、負荷に確実に耐えられる限り、当業者に限界はない。
【符号の説明】
【0036】
1 スタッキングボックス
2 底部
3 壁
4 収容空間
5 縁部
6 収容開口部
7 位置決め要素
8 ヒンジジョイント
9 柱
10 支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】