(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】負荷を駆動するためのドライバ、並びに対応するLEDベースの照明デバイス、及び対応する、前記ドライバを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/18 20200101AFI20230413BHJP
H05B 45/357 20200101ALI20230413BHJP
【FI】
H05B47/18
H05B45/357
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552810
(86)(22)【出願日】2021-02-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2021054394
(87)【国際公開番号】W WO2021175650
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】バイ マルセル
(72)【発明者】
【氏名】デ ヨング フリッツ トビー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォス ヘルマヌス ヨハンネス マリア
(72)【発明者】
【氏名】クリーマース ヘンリクス マタイス マリア
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273CA02
3K273DA02
3K273FA03
3K273FA14
3K273FA26
3K273PA10
3K273QA31
3K273RA02
3K273SA08
3K273SA36
3K273SA46
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA07
3K273TA15
3K273TA16
3K273TA37
3K273TA52
3K273TA62
3K273TA63
3K273UA22
3K273UA27
(57)【要約】
本発明は、負荷を駆動するためのドライバであり、入力を、前記負荷に給電するための出力に変換するための電力変換器、及びコントローラであり、前記電力変換器と前記コントローラとの間に設けられる通信線における制御電圧を制御することによって、前記電力変換器の前記出力を制御するためのコントローラであって、前記制御電圧を、所定の制御電圧範囲内にあるよう制御するよう構成されるコントローラを有するドライバであって、前記電力変換器が、更に、前記通信線における前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲外にあるよう制御することによって、前記電力変換器から前記コントローラへ通信するよう構成されるドライバを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷を駆動するためのドライバであり、
入力を、前記負荷に給電するための出力に変換するための電力変換器、及び
コントローラであり、前記電力変換器と前記コントローラとの間に設けられる通信線における制御電圧を制御することによって、前記電力変換器の前記出力を制御するためのコントローラであって、前記制御電圧を、所定の制御電圧範囲内にあるよう制御するよう構成されるコントローラを有するドライバであって、
前記電力変換器が、更に、前記通信線における前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲外にあるよう制御することによって、前記電力変換器から前記コントローラへ通信するよう構成されるドライバ。
【請求項2】
前記ドライバが、前記通信線を有し、前記コントローラが、前記通信線に接続される制御インピーダンスを有し、前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲内にあるよう制御するために、前記制御インピーダンスを制御するよう構成される請求項1に記載のドライバ。
【請求項3】
前記ドライバが、前記通信線を有し、前記電力変換器が、前記通信線に接続されるコミュニケータインピーダンスを有し、前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲外にあるよう制御するために、前記コミュニケータインピーダンスを制御するよう構成される請求項1乃至2のいずれか一項に記載のドライバ。
【請求項4】
前記ドライバが、前記通信線を有し、前記制御インピーダンスが、前記通信線に接続され、供給電圧に接続される第1制御インピーダンスを有すると共に、第2制御インピーダンスと直列に接続されるスイッチを有し、前記スイッチ及び前記第2制御インピーダンスが、前記第1制御インピーダンスにわたって並列に配置され、前記コントローラが、前記制御インピーダンスを制御するために前記スイッチを制御するよう構成される請求項2に記載のドライバ。
【請求項5】
前記電力変換器が、前記コミュニケータインピーダンスにわたって並列に配置されるコミュニケータスイッチを有し、前記電力変換器が、前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲外にあるよう制御するために、前記スイッチを制御するよう構成される請求項3に記載のドライバ。
【請求項6】
前記電力変換器が、コミュニケータインピーダンス、及び前記コミュニケータインピーダンスと直列に配置されるコミュニケータスイッチを有し、前記コミュニケータインピーダンス又は前記コミュニケータスイッチが、前記通信線に接続され、前記電力変換器が、前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲外にあるよう制御するために、前記スイッチを制御するよう構成される請求項3に記載のドライバ。
【請求項7】
前記コントローラが、前記電力変換器と前記コントローラとの間に設けられる前記通信線における前記制御電圧を読み出すよう構成される請求項1乃至6のいずれか一項に記載のドライバ。
【請求項8】
光を発するための少なくとも1つのLEDと、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のドライバであって、前記少なくとも1つのLEDである前記負荷を駆動するよう構成されるドライバとを有するLEDベースの照明デバイス。
【請求項9】
前記LEDベースの照明デバイスが、前記少なくとも1つのLEDを有するLED基板を含み、前記電力変換器が、前記LEDベースの照明デバイスの第1端部に配置され、前記コントローラが、前記LEDベースの照明デバイスの第2端部に配置され、前記第2端部が、前記第1端部とは反対側であり、前記LED基板が、前記電力変換器と前記LED基板との間に配置される請求項8に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項10】
前記LEDベースの照明デバイスが、LED管である請求項8乃至9のいずれか一項に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項11】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のドライバを動作させる方法であって、
前記コントローラによって、前記電力変換器と前記コントローラとの間に設けられる前記通信線における前記制御電圧を、所定の制御電圧範囲内にあるよう制御することにより、前記電力変換器の前記出力を制御するステップと、
前記電力変換器によって、前記通信線における前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲外にあるよう制御することにより、通信するステップとを有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷を駆動するためのドライバ、並びに対応するLEDベースの照明デバイス、及び対応する、前記ドライバを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドライバは、主電源電圧を、特定の負荷、例えば、1つ以上の発光ダイオード(LED)から成る負荷を駆動するのに適した電圧及び電流に変換するよう構成される。これらのドライバは、バックコンバータ又は同様のものを利用する、スイッチモード電源制御集積回路(IC)を備えている場合がある。
【0003】
ドライバによって変換される電力量は、外部制御信号によって、例えばパルス幅変調方式又はアナログ方式で設定され得る。外部制御信号は、電力変換情報コンテンツと呼ばれる場合がある。電力変換情報コンテンツは、反復信号、例えば1kHzのパルス幅変調(PWM)信号の「ハイ/ロー」比に含まれる場合がある。電力変換情報コンテンツは、絶対振幅電圧のアナログ信号に含まれる場合がある。
【0004】
いずれの場合でも、本開示によるドライバにおいては、3つの分離したビルディングブロックが認識され得る。第1ビルディングブロックは、電力変換器である。従って、電力変換器は、主電源供給電圧を受け取る可能性があり、主電源供給電圧を、負荷を駆動するのに適した或る特定の電力出力に変換するよう構成される可能性がある。負荷は、第2ビルディングブロックとして識別される。第3ビルディングブロックは、コントローラ自体である。従って、コントローラは、電力変換器を直接制御することによって電力変換を制御する。多くの場合、これらのビルディングブロックは物理的に分離されている。本開示は、コントローラが電力変換器から物理的に分離されている状況に特に適している。
【0005】
場合によっては、例えば安全上の理由で、コントローラは、電力変換器から、例えば、主電源入力電圧又は同様のものについての情報を受信する必要がある場合がある。残念ながら、上述の電力制御情報は、一方向だけの、即ち、コントローラから電力変換器へだけの通信を使用して「通信」される。電力変換器は、一般に、通信の可能性がない単純なアナログモジュールである。例えば、双方向通信のためのインテリジェントなビルディングブロックの追加は、コストを増加させるだけでなく、複雑さも増加させる。
【0006】
従って、現在入手可能なドライバを、複雑ではないやり方で、電力変換器からコントローラへ通信を返すことができるように改善する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複雑ではないやり方で、電力変換器からコントローラへ通信を返すことができるドライバを実現することは、有利であるだろう。
【0008】
改善されたドライバを含む発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスを実現することも望ましいだろう。
【0009】
改善されたドライバを動作させる方法を提供することは更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの課題のうちの1つ以上により良く対処するために、第1態様においては、負荷を駆動するためのドライバであり、
- 入力を、前記負荷に給電するための出力に変換するための電力変換器、及び
- コントローラであり、前記電力変換器と前記コントローラとの間に設けられる通信線における制御電圧を制御することによって、前記電力変換器の前記出力を制御するためのコントローラであって、前記制御電圧を、所定の制御電圧範囲内にあるよう制御するよう構成されるコントローラを有するドライバであって、
前記電力変換器が、更に、前記通信線における前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲外にあるよう制御することによって、前記電力変換器から前記コントローラへ通信するよう構成されるドライバが提供される。
【0011】
本発明者は、一般に、前記コントローラから前記電力変換器へ前記制御電圧を伝達するために、前記コントローラと前記電力変換器との間に通信線が存在することを見出した。この通信線における電圧、より具体的には電位は、一般に、所定の制御電圧範囲内、例えば600mVと1600mVとの間にある。
【0012】
前記制御電圧がアナログ電圧である場合には、前記制御電圧は、600mVと1600mVとの間の任意の電圧を取り得る。PWM信号の場合には、前記信号は、或る特定のデューティサイクルで、例えば1600mVである又は1600mVに近い、高電圧レベル閾値と、例えば600mVである又は600mVに近い、低電圧レベル閾値との間で、交互に切り替えられ得る。
【0013】
いずれの場合でも、本発明者は、前記コントローラへ通信を返すために前記電力変換器によって利用されるために利用可能な未割り当て電圧/未割り当て電圧範囲が存在する可能性があることを見出した。即ち、例えば、前記電力変換器は、前記通信線における前記制御電圧を前記低電圧レベル閾値未満に引き下げる可能性がある、又は前記通信線における前記制御電圧を前記高電圧レベル閾値より高くに引き上げる可能性がある。このようなやり方においては、前記電力変換器は、前記コントローラへ通信を返し得る。
【0014】
前記電力変換器は交流(AC)主電源に接続されてもよく、又は任意の他の適切な電源に接続されてもよい。様々なタイプの電力変換器が存在し、それらの各々は、本開示によるドライバにおいて使用されるのに適している。例えば、半波整流整流器は、AC供給電圧の負の部分を遮断しながら、前記AC供給電圧の正の部分のみを通過させる。これは、一般に、単一のダイオードを使用して達成される。
【0015】
別の例において、全波整流整流器は、前記AC供給電圧の全体を、その出力において一定の極性のものに変換する。前記AC供給電圧の正の部分は、通過を許され、前記AC供給電圧の負の部分は、正の部分に変換される。これは、ブリッジ整流器を使用して、又は2つのダイオードをスイッチと組み合わせて使用することによって、達成され得る。
【0016】
一般に、前記電力変換器は、前記負荷に出力電力を供給するためのスイッチモード電源を有する。前記スイッチモード電源は、前記スイッチモード電源の頭脳と考えられ得る集積回路(IC)を有する。前記ICは、スイッチ、例えば電界効果トランジスタを制御し、前記スイッチのスイッチングレート(switching rate)が前記電力変換器の出力を決定する。
【0017】
前記通信線、より具体的には前記通信線に存在する前記制御電圧は、前記変換器の出力を制御するための前記ICへの入力として使用され得る。
【0018】
前述のように、前記通信線に存在する前記制御電圧は、PWM電圧信号であってもよく、前記PWM電圧信号は、特定のデューティサイクルで、ハイレベル閾値とローレベル閾値との間を行ったり来たりする。このようなPWM電圧信号は、前記ICに供給される前に、前記電力変換器において、フィルタリング、平滑化、又は同様のことをされ得る。
【0019】
上述のように、前記通信線に存在する前記制御電圧信号はまたアナログ電圧信号であってもよく、前記アナログ電圧信号は、前記所定の制御電圧範囲内、例えばハイレベル閾値とローレベル閾値との間にあるよう制御される。このようなアナログ電圧信号は、前記ICに供給される前に、前記電力変換器において、フィルタリング、平滑化、又は同様のことをされ得る。
【0020】
前記コントローラは、前記電力変換器により出力される直流(DC)電源によって給電されてもよく、又は任意の他のやり方で給電されてもよい。いずれの場合でも、前記コントローラは、前記負荷への所望の出力電力を制御又は設定するよう構成される。前記コントローラは、例えば、前記所望の出力電力を設定するためのポテンショメータを有してもよい。前記コントローラは、前記負荷への出力電力の特定の設定値(set point)を受信するよう構成される無線通信モジュールも有してもよく、前記コントローラは、受信した前記設定値を前記通信線における制御電圧に変換するよう構成される。
【0021】
前記無線通信モジュールは、例えば、Wi-Fiを介して、ブルートゥースを介して、又は任意の他の既知の通信技術を使用して通信するよう構成されてもよい。
【0022】
更に、前記無線通信モジュールは、それ自体で、送信もする、即ち、通信するよう構成されてもよい。例えば、前記通信線を通じて前記電力変換器から受信した情報が、外界に通信されてもよい。
【0023】
前記コントローラは、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は同様のもののような任意のタイプのハードウェアを有してもよい。前記コントローラは、電力変換器を介して力を与えられてもよく、又はバッテリのような補助電源を使用して力を与えられてもよい。
【0024】
例においては、前記ドライバは、前記通信線を有し、前記コントローラは、前記通信線に接続される制御インピーダンスを有し、前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲内にあるよう制御するために、前記制御インピーダンスを制御するよう構成される。
【0025】
更なる例においては、前記電力変換器は、前記通信線に接続されるコミュニケータインピーダンス(communicator impedance)を有し、前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲外にあるよう制御するために、前記コミュニケータインピーダンスを制御するよう構成される。
【0026】
上記の例は、分圧器に向けられたものである。分圧器は、その入力電圧の一部である出力電圧を生成するよう構成される回路である。前記通信線は、例えば、前記制御インピーダンスを介して供給電圧に接続されてもよく、前記コミュニケータインピーダンスを介して接地に接続されてもよい。
【0027】
その場合、前記制御電圧、即ち、前記通信線に存在する電圧は、前記制御インピーダンスと前記コミュニケータインピーダンスとのうちのいずれかを修正することによって、設定され得る。一般に、前記電力変換器を制御するためには、前記コントローラによって、前記制御インピーダンスが修正される。しかしながら、前記電力変換器が前記コントローラへ通信を返そうとする場合には、前記電力変換器によって、前記コミュニケータインピーダンスが修正される。前記コミュニケータインピーダンスは、前記通信線に存在する前記制御電圧が前記所定の制御電圧範囲外にあることをもたらし得る。
【0028】
更なる例においては、前記制御インピーダンスは、前記通信線に接続され、供給電圧に接続される第1制御インピーダンスを有すると共に、第2制御インピーダンスと直列に接続されるスイッチを有し、前記スイッチ及び前記第2制御インピーダンスは、前記第1制御インピーダンスにわたって並列に配置され、前記コントローラは、前記制御インピーダンスを制御するために前記スイッチを制御するよう構成される。
【0029】
上記に従って、前記コントローラは、出力インピーダンス、即ち、前記制御インピーダンスを2つの選択肢に制御するよう構成される。第1選択肢においては、前記制御インピーダンスは、前記第1制御インピーダンスに等しい。第2選択肢においては、前記制御インピーダンスは、前記第2制御インピーダンスと並列にカスケード接続された前記第1制御インピーダンスに等しい。
【0030】
別の例においては、前記電力変換器は、前記コミュニケータインピーダンスにわたって並列に配置されるコミュニケータスイッチを有し、前記電力変換器は、前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲外にあるよう制御するために、前記スイッチを制御するよう構成される。
【0031】
本開示の態様のうちの1つにおいては、前記電力変換器は、コミュニケータインピーダンス、及び前記コミュニケータインピーダンスと直列に配置されるコミュニケータスイッチを有し、前記コミュニケータインピーダンス又は前記コミュニケータスイッチが、前記通信線に接続され、前記電力変換器は、前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲外にあるよう制御するために、前記スイッチを制御するよう構成される。
【0032】
更なる例においては、前記コントローラは、前記電力変換器と前記コントローラとの間に設けられる前記通信線における前記制御電圧を読み出すよう構成される。
【0033】
本開示の第2態様においては、
- 光を発するための少なくとも1つのLEDと、
- 上記で提供した例のいずれかによるドライバであって、前記少なくとも1つのLEDである前記負荷を駆動するよう構成されるドライバとを有する発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスが提供される。
【0034】
本発明の第1態様の実施形態に関して開示されているような利点及び定義は、それぞれ、前記LEDベースの照明デバイスである本発明の第2態様の実施形態にも対応することに留意されたい。
【0035】
例においては、前記LEDベースの照明デバイスは、前記少なくとも1つのLEDを有するLED基板を含み、前記電力変換器は、前記LEDベースの照明デバイスの第1端部に配置され、前記コントローラは、前記LEDベースの照明デバイスの第2端部に配置され、前記第2端部は、前記第1端部とは反対側であり、前記LED基板は、前記電力変換器と前記LED基板との間に配置される。
【0036】
更なる例においては、前記LEDベースの照明デバイスは、LED管である。
【0037】
本開示によるドライバは、レトロフィット発光ダイオード(LED)ランプにおいて使用されてもよい。過去に、様々な照明用途のためにLEDを利用するLED照明デバイスが開発されている。LEDランプは、その長寿命及び高いエネルギ効率のため、今日では、従来の蛍光灯の置き換えのためにも、即ち、レトロフィット用途のためにも設計されている。このような用途の場合は、レトロフィットLEDランプは、一般に、組み込まれる(retrofitted)それぞれのランプ取付具(lamp fixture)のソケットに合うよう適合される。更に、ランプのメンテナンスは、一般に、ユーザによって行われることから、レトロフィットLEDランプは、理想的には、取付具を再配線する必要なく、任意のタイプの適切な取付具で容易に動作可能であるべきである。
【0038】
本開示によれば、前記レトロフィットLEDランプは、レトロフィットLED管又はレトロフィットLEDフォトルミネッセンスランプのいずれであってもよい。レトロフィットLED管は、例えば、可視光を生成するために蛍光を使用する低圧水銀蒸気ガス放電ランプである蛍光管の交換用LED管である。
【0039】
従来の蛍光灯においては、一般に、前記蛍光灯を通る電流を制限するために安定器が使用され、そうでなければ、前記電流は、前記蛍光管の電圧-電流特性における負性微分抵抗アーチファクト(negative differential resistance artefact)により、破壊的なレベルまで上昇する可能性がある。様々なタイプの安定器、例えば、電子安定器、高周波電子安定器、自励発振HF安定器(self-oscillating HF ballast)、磁気安定器又はデジタル安定器が存在する。
【0040】
従って、本開示による電力変換器は、このような安定器に接続されてもよく、前記安定器の出力を、前記レトロフィットLEDランプの少なくとも1つのLEDを駆動するのに適した出力に変換するよう構成されてもよい。
【0041】
本開示の第3態様においては、上記で提供した例のいずれかによるドライバを動作させる方法であって、
- 前記コントローラによって、前記電力変換器と前記コントローラとの間に設けられる前記通信線における前記制御電圧を、所定の制御電圧範囲内にあるよう制御することにより、前記電力変換器の前記出力を制御するステップと、
- 前記電力変換器によって、前記通信線における前記制御電圧を、前記所定の制御電圧範囲外にあるよう制御することにより、通信するステップとを有する方法が提供される。
【0042】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】特定の負荷を駆動しているドライバの概略図を開示する。
【
図2】本開示によるレトロフィットの発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスの概略図を開示する。
【
図3】本開示によるドライバの実施の例を開示する。
【
図4】本開示によるドライバの実施の更なる例を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図面及び図の詳細な説明を提示する。異なる図における同じ参照符号は、同様の構成要素又は様々な構成要素の同じ機能を示すことに留意されたい。
【0045】
図1は、特定の負荷7、例えば発光ダイオード(LED)ベースの負荷を駆動しているドライバ1の概略図を示している。
【0046】
電力変換器3は、入力2を、負荷7に給電するための出力に変換するために設けられる。電力変換器は、交流(AC)主電源、任意のタイプの安定器又は同様のものから入力2を受け取り得る。電力変換器3は、コントローラ5から受け取った電力制御情報6に基づいて、入力を出力に変換する。
【0047】
以下においては、負荷は、LEDベースの負荷であると仮定されている。しかしながら、本開示は、LEDベースの負荷に限定されないことに留意されたい。本概念は、あらゆる種類の負荷に適用可能であり得る。
【0048】
電力制御情報6は、例えば、LED負荷の特定の調光レベルに向けられたものであってもよい。一般に、電力制御情報6は、所定の制御電圧範囲内にあり、範囲の低電圧閾値においては、高い調光度(dimming factor)が得られ、範囲の高電圧閾値においては、低い調光度が得られる。
【0049】
電力制御情報6は、更に、アナログ信号であってもよく、又はパルス幅変調(PWM)信号であってもよい。PWM信号の場合には、信号は、範囲の低電圧閾値と範囲の高電圧閾値との間を行ったり来たりし、PWM信号のデューティサイクルが、得られるべきである所望の調光レベルを提供する。
【0050】
最後に、電圧基準の目的のために、電力変換器3とコントローラとの間に供給線4が設けられる。
【0051】
図2は、本開示によるレトロフィットの発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイス21の概略図を開示している。
【0052】
本開示によるドライバは、レトロフィットのLEDベースの照明デバイスに特に適していることに留意されたい。レトロフィットのLEDベースの照明デバイスは、組み込まれるそれぞれのランプ取付具のソケットに合うよう適合されるデバイスである。一般に、レトロフィットのLEDベースの照明デバイスは、蛍光管のような従来の蛍光灯を置き換えるよう設計される。そのため、レトロフィットLED管のコネクタ22、27は、レトロフィットLED管がレトロフィットするランプのコネクタと同じ場所に配置されてもよく、同じ寸法を有してもよい。
【0053】
図2は、レトロフィットのLEDベースの照明管21、即ち、細長い形状を有する照明デバイスに向けられたものである。レトロフィットのLEDベースの照明管21は、ハウジング23を有し、前記ハウジングは、電力変換器24、LED負荷25及びコントローラ26を有する。
【0054】
電力変換器24は、一般に、LEDベースの照明管21の第1端部に配置され、コントローラは、一般に、LEDベースの照明管21の、第1端部とは反対側の第2端部に配置される。LED負荷25は、電力変換器24とコントローラ26との間に配置される。LED負荷25自体も細長い形状を有する。従って、電力変換器24とコントローラ26とは、物理的に分離されている。
【0055】
LEDベースの照明管21の長さ、即ち、細長い方向における長さは、20cmと120cmとの間であってもよく、より好ましくは、40cmと80cmとの間であってもよい。管は、円形の断面を有してもよく、断面の直径は、10mmと50mmとの間、好ましくは20mmと30mmとの間であってもよい。
【0056】
或る特定の状況においては、例えば安全上の理由で、コントローラ26は電力変換器24から情報を受け取る必要がある可能性があることが予測可能である。このような情報は、主電源入力電圧に向けられたものであり得る。コントローラ26は、電力変換器24に送信される電力制御情報を向上させるためにその情報を使用し得る。
【0057】
コントローラ26と電力変換器24との間の通信線29は、本開示に従って、2つのやり方で利用される。通信線29は、コントローラ26から電力変換器24に電力制御情報を伝達するために使用される。このような電力制御情報は、制御電圧の形態で伝達され、制御電圧は、コントローラによって、所定の制御電圧範囲内にあるよう制御される。例えば、600mVと1600mVとの間である。
【0058】
本開示は、電力変換器24が、コントローラ26へ通信を返すこともできるという概念に向けられたものである。そうするために、電力変換器24は、通信線に存在する制御電圧を、所定の制御電圧範囲外にあるよう制御するよう構成される。即ち、電力変換器は、通信線29に設定されている制御電圧を上書きする。
【0059】
電力変換器は、例えば、通信線29に存在する制御電圧が0Vとなるように、通信線25を、直接、接地に接続してもよい。別の選択肢は、電力変換器が、通信線25がフローティングになることを確実にするものである。
図3及び4に関して、両方の選択肢が取り上げられる。
【0060】
電力変換器24からコントローラへ通信するために使用されるプロトコルは、既存の、既知の、プロトコルに基づき得ることに留意されたい。例えば、DALIプロトコルは適切であり得る。従って、電力変換器24及びコントローラ26は、それらの間にオープンインターフェース、即ち、標準化されたインターフェースを有してもよい。これは、コントローラ及び電力変換器の交換可能性を考慮に入れる。
【0061】
図3及び4は、本開示によるドライバの実施の例を開示している。
【0062】
両方の実施例が、電力変換器によって制御されることができる通信線における第3レベルが、コントローラへ通信を返すことを可能にする、コントローラの制御されるインピーダンス出力に向けられたものであることに留意されたい。
【0063】
図3は、第1実施例に向けられたものである。ここでは、コントローラは、抵抗器R2、R3及びR1抵抗分圧網(resistor divider network)を制御するPWM信号、即ち、PWM_outを生成するよう構成され得る。
【0064】
PWM_outにおける「ロー」信号は、コントローラのトランジスタを導通状態にし、R3にわたって並列にR2を配置し、それによって、デジタルPWM、即ち、DPWMにおける電圧を「ハイ」状態にする。
【0065】
PWM_outにおける「ハイ」信号、及び3.3Vの供給電圧の印加は、コントローラのトランジスタが導通していない状態をもたらす。そのため、分圧網は、抵抗器R3及び抵抗器R1から成り、それによって、デジタルPWM、即ち、DPWMにおける電圧を「ロー」状態にする。
【0066】
PWM_out信号のデューティサイクルを制御することによって、電力変換器の出力が制御され得る。
【0067】
電力変換器のスイッチJ1周辺の回路は、スイッチJ1を制御するよう構成される。例えば、主電源電圧が低下する場合、これは、抵抗分割器R4/R5が、スイッチJ1を、遮断状態から、DPWMにおける電圧を接地まで低下させる通常の導通状態にすることで、示される。
【0068】
1ビットフィードバック信号はDPWM信号と同じレベルにあるという事実のため、この1ビットフィードバック信号も、コントローラによって検知されることができる接地に設定される。即ち、コントローラは、通信線における制御電圧が所定の制御電圧範囲外にあることを検知するよう構成される。
【0069】
従って、この特定の実施例は、主電源供給電圧の低下が電力変換器からコントローラへの通信である状況に向けられたものである。任意のタイプの情報が電力変換器からコントローラへ通信され得ることに留意されたい。
【0070】
この特定の例は、コントローラへ、主電源供給電圧に関する情報の通信を返すことに向けられたものであることに留意されたい。他の情報、例えば、電力変換器の要素のうちのいずれかの過熱、若しくは電力変換器の要素のうちのいずれかの故障、又は同様ものも、同様に通信され得る。
【0071】
更に、通信は、
図3及び4において示されているような1ビット通信から成ってもよいが、他のタイプの通信原理を包含してもよい。コントローラへ情報を送り返すために、アナログ方式で未利用電圧範囲が使用されてもよい。別の選択肢は、1ビット通信が、情報を伝達するために或る種のモールス信号として使用され得るものである。
【0072】
図4において示されている実施例は、以下のように説明され得る。
図4において示されている実施例のコントローラの態様は、原理上、
図3において示されている実施例のコントローラの態様と同じである。
【0073】
図4において示されている実施例と、
図3において示されている実施例との間の主な相違点は、電力変換器にある。より具体的には、それは、電力変換器が制御電圧を所定の制御電圧範囲外に制御するやり方に向けられたものである。
【0074】
図3においては、スイッチJ1は、通信線における制御電圧が供給電圧と等しくなるように、抵抗器R1を短絡する(shortcut)よう構成される。
図4においては、スイッチM1は、通常、抵抗器R1が通信線に直接接続されるようにオンに切り替えられている。電力変換器がコントローラへ通信を返そうとする場合には、それは、通信線がフローティングになるように、スイッチM1を非アクティブにし得る。その場合、通信線における制御電圧は、コントローラの3.3Vに等しくなり、これも、所定の制御電圧範囲外にある。
【0075】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する他の変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲において挙げられている複数のアイテムの機能を果たしてもよい。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として供給される光学式記憶媒体又は固体媒体のような適切な媒体上に記憶/分散されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介するような他の形態で分散されてもよい。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】