(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】高固有品質受信機構造
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20230413BHJP
H01Q 7/04 20060101ALI20230413BHJP
H01Q 7/06 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
H02J50/12
H01Q7/04
H01Q7/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552811
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 US2021021088
(87)【国際公開番号】W WO2021178801
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518085357
【氏名又は名称】ヤンク テクノロジーズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヤンコウィッツ, ジョシュア アーロン
(57)【要約】
無線充電システムに関する受信機システムが、第1の平面層を形成する受信機アンテナと、受信機アンテナに隣接した遮蔽材料であって、遮蔽材料は、第2の平面層を形成する、遮蔽材料と、受信機アンテナと遮蔽材料層との間に配置された誘電分離材料層とを含み、誘電分離材料は、0.1mm以上の厚さと、1MHz周波数において0.01以下の消散係数とを備え、誘電分離材料は、受信機アンテナの固有品質係数「Q」値を標的固有Q値を上回って維持するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線充電システムに関する受信機システムであって、前記受信機システムは、
第1の平面層を形成する受信機アンテナと、
前記受信機アンテナに隣接した遮蔽材料であって、前記遮蔽材料は、第2の平面層を形成する、遮蔽材料と、
前記受信機アンテナと前記遮蔽材料層との間に配置された誘電分離材料層と
を備え、
前記誘電分離材料は、0.1mm以上の厚さ、および1MHz周波数において0.01以下の消散係数を備え、
前記誘電分離材料は、前記受信機アンテナの固有品質係数「Q」値を標的固有Q値を上回って維持するように構成されている、受信機システム。
【請求項2】
前記受信機アンテナによって発生させられる磁束を前記受信機アンテナの周囲のエリアに制限するために、前記受信機アンテナの周囲または中心に配置されたコアをさらに備えている、請求項1に記載の受信機システム。
【請求項3】
前記誘電分離材料は、1MHz試験周波数において約4以下の誘電率を伴う材料を備えている、請求項1に記載の受信機システム。
【請求項4】
前記誘電分離材料は、ポリプロピレンプラスチックを備えている、請求項1に記載の受信機システム。
【請求項5】
前記誘電分離材料は、ポリカーボネートプラスチックを備えている、請求項1に記載の受信機システム。
【請求項6】
前記遮蔽材料は、フェライトを備え、前記誘電分離材料は、約0.1mm以上の組み合わせられた厚さを伴う1つ以上のポリカーボネートシートを備えている、請求項1に記載の受信機システム。
【請求項7】
前記標的固有Q値は、少なくとも100である、請求項1に記載の受信機システム。
【請求項8】
前記誘電分離材料層の1つ以上の特性は、前記受信機アンテナが前記誘電分離材料と物理的接触しているとき、前記受信機アンテナの固有効率を維持するように選択される、請求項1に記載の受信機システム。
【請求項9】
前記誘電分離材料は、1MHzにおいて、約0.0003の消散係数と、約2.2の誘電率とを有する、請求項1に記載の受信機システム。
【請求項10】
前記受信機アンテナは、無線充電伝送機から無線電力を受け取るように構成されている、請求項1に記載の受信機システム。
【請求項11】
前記受信機アンテナは、電子デバイスに電力を提供するように構成されている、請求項1に記載の受信機システム。
【請求項12】
無線充電システムに関する受信機システムを製作する方法であって、前記方法は、
第1の平面層上に受信機アンテナを形成することと、
第2の平面層上に第1の誘電分離材料を形成することと、
第3の平面層上に遮蔽材料を形成することと
を含み、
前記第2の平面層は、前記第1の平面層と前記第3の平面層との間に配置され、
前記第1の誘電分離材料は、前記受信機アンテナの固有品質係数「Q」値を標的固有Q値を上回って維持するように構成され、
前記第1の誘電分離材料は、1MHz周波数において0.01以下の消散係数と、0.1mm以上の厚さとを有する、方法。
【請求項13】
第4の平面層上に第2の誘電分離材料を形成することをさらに含み、前記第4の平面層は、前記第3の平面層と電子デバイスとの間に配置されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記受信機アンテナによって発生させられる磁束を前記受信機アンテナの周囲のエリアに制限するために、前記受信機アンテナの周囲または中心にコアを形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の誘電分離材料は、1MHz試験周波数において約4以下の誘電率を伴う材料を備えている、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の誘電分離材料は、ポリプロピレンプラスチックまたはポリカーボネートプラスチックのうちの少なくとも1つを備えている、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記遮蔽材料は、フェライトを備え、前記第1の誘電分離材料は、約0.1ミリメートル以上の組み合わせられた厚さを伴う1つ以上のポリカーボネートシートを備えている、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記標的固有Q値は、少なくとも100である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の誘電分離材料層の1つ以上の特性は、前記受信機アンテナが前記第1の誘電分離材料と物理的接触しているとき、前記受信機アンテナの固有効率を維持するように選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記受信機アンテナは、無線充電伝送機から無線電力を受け取り、電子デバイスに前記無線電力を提供するように構成されている、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2020年3月5日に出願され、「HIGH INTRINSIC QUALITY RECEIVER CONSTRUCTION」号と題された米国仮特許出願第62/985,799号の優先権および利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の無線充電を可能にする製品が、人気を得ている。バッテリ電力を使用して動作する実践上の何種類もの機器が、無線で充電され得ることが、将来的動向である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
高固有品質受信機を実装するための種々の技法が、開示される。これらの技法は、誘電分離層の特性および厚さが、遮蔽材料層が受信機アンテナの固有品質係数を低減させることを防止する遮蔽材料層と受信機アンテナとの間に配置される誘電分離層を含む無線充電システム受信機を構築するための無線充電システムの実施形態によって使用され得る。
【0004】
一例示的側面では、無線充電システムに関する受信機システムが、開示される。受信機システムは、第1の平面層を形成する受信機アンテナと、受信機アンテナに隣接した遮蔽材料であって、遮蔽材料は、第2の平面層を形成する、遮蔽材料と、受信機アンテナと遮蔽材料層との間に配置された誘電分離材料層とを含み、誘電分離材料は、0.1mm以上の厚さと、1MHz周波数において0.01以下の消散係数とを備え、誘電分離材料は、受信機アンテナの固有品質係数「Q」値を標的固有Q値を上回って維持するように構成されている。
【0005】
別の例実施形態では、無線充電システムに関する受信機システムを製作する方法が、開示される。方法は、第1の平面層上に受信機アンテナを形成することと、第2の平面層上に第1の誘電分離材料を形成することと、第3の平面層上に遮蔽材料を形成することとを含み、第2の平面層は、第1の平面層と第3の平面層との間に配置され、第1の誘電分離材料は、受信機アンテナの固有品質係数「Q」値を標的固有Q値を上回って維持するように構成され、第1の誘電分離材料は、1MHz周波数において0.01以下の消散係数と、0.1mmまたはそれより大きい厚さとを有する。
【0006】
これらおよび他の側面は、本書全体を通して開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、無線充電システムに関する代表的受信機システム構造である。
【0008】
【
図1B】
図1Bは、無線充電システムに関する別の代表的受信機システム構造である。
【0009】
【
図2A】
図2Aは、高固有品質受信機アンテナのための無線充電システムに関する代表的受信機システム構造である。
【0010】
【
図2B】
図2Bは、高固有品質受信機アンテナのための無線充電システムに関する別の代表的受信機システム構造である。
【0011】
【
図3】
図3は、遮蔽および誘電分離材料を含む無線充電システムに関する受信機システム構造の代表的例証である。
【0012】
【
図4A】
図4Aは、電話ケース内に埋め込まれた受信機システムの代表的第1の斜視図である。
【0013】
【
図4B】
図4Bは、電話ケース内に埋め込まれた受信機システムの代表的第2の斜視図である。
【0014】
【
図4C】
図4Cは、完全に組み立てられた電話ケースの代表的図である。
【0015】
【
図5】
図5は、受信機システムを製作する方法に関するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
無線充電システムに関する受信機アンテナの固有品質係数または「Q」値は、無線充電システムが性能を発揮する程度を決定することにおける重要な要因である。アンテナのQは、アンテナ内に貯蔵されるエネルギーに対するアンテナ内で消散させられるエネルギーの評価尺度であり、アンテナの効率に関する指標である。Qが高いほど、アンテナは、電磁場により良好に結合することができ、それは、負荷に送達されるより多くの電力をもたらすことができる。
【0017】
従来の無線充電システム受信機は、典型的に、アンテナの固有Qを最適化するように、構築されていない。例えば、共振誘導充電パッドは、典型的に、スマートフォンまたはタブレットが、充電パッドの上に物理的に設置されているとき、動作する。
【0018】
以下に続く記述は、遮蔽材料層と受信機アンテナとの間に配置された誘電分離層を含む無線充電システム受信機を構築するためのシステムおよび方法を説明し、誘電分離層の特性および厚さが、遮蔽材料層が受信機アンテナの固有品質係数を低減(すなわち、受信機アンテナを脱Q(de-Qing))させることを防止する。
【0019】
種々の実施形態が、ここで説明されるであろう。以下の記述は、これらの実施形態の完全な理解および有効な記述の具体的詳細を提供する。しかしながら、当業者は、本発明が、これらの詳細の多くを伴わずに実践され得ることを理解するであろう。加えて、いくつかの周知の構造または機能は、不必要に種々の実施形態の関連記述を不明瞭にすることを回避するために、詳細に示されるまたは説明されないこともある。下記で提示される記述において使用される専門用語は、本発明のある具体的実施形態の詳細な説明と併せて使用されている場合でも、その広義の合理的な様式において解釈されることが意図される。
【0020】
図1Aは、従来の無線充電システムに関する代表的受信機システム構造である。電子デバイス110(例えば、スマートフォン、タブレット等)が電子デバイスに埋め込まれた無線充電チップを有しない場合、受信機構造は、典型的に、
図1Aに図示されるようなものであり、電子デバイス110は、通常、デバイスとデバイスのケースとの間に挟まれた受信機、または直接デバイスのケースの中に埋め込まれた受信機を有する。受信機は、デバイス110と受信機アンテナ180との間に遮蔽層または遮蔽材料120を含む。遮蔽材料120は、100kHzまたは6.78MHz等の無線電力伝送周波数において、高透磁性低損失材料であることができる。この構築方法は、直接デバイスの中に埋め込まれた無線充電受信機に関しても典型的である。
【0021】
図1Bでは、
図1Aの受信機システムは、アンテナ180の周囲のエリアに磁束を制限するためのアンテナ180の周囲(例えば、その下方および/または側面および/またはその中心)に設置されたコア190を含むことができる。
【0022】
アンテナ180の品質係数(「Q」)は、
図1Aおよび
図1Bの受信機構造において低下させられる。
図1Aおよび
図1Bの受信機構造が受信機アンテナを脱Qさせるいくつかの理由がある。例えば、遮蔽材料120が、受信機アンテナ180と直接接触するので、アンテナ180に追加の抵抗を追加し、それによって、アンテナの固有Qを低減させ得る。これは、遮蔽材料120が、典型的に、スマートフォン等の電子デバイスから受信機アンテナ180を遮蔽することが意図されるので、直感に反すると思われ得る。しかしながら、遮蔽材料120が、電子デバイス110内の金属または伝導性構造からアンテナ180を部分的に遮蔽し得るが、遮蔽材料120も、アンテナトレースと接触することにより、追加の抵抗を導入することによって、受信機アンテナ180の固有Qを低減させる。これは、受信機アンテナ180の固有Qのさらなる低下をもたらす。
【0023】
図1Aおよび
図1Bの受信機構造が、低電力信号、例えば、無線周波数識別(RFID)タグのために使用される信号のために十分に動作し得るが、これらの構造は、無線電力転送、特に、ミリワット範囲内およびそれを上回る高電力の転送に関して、および高周波数信号に関して、効果的または効率的ではない。伝送機(例えば、無線充電パッド)と受信機(例えば、スマートフォン)との間の物理的分離が小さい(例えば、数ミリメートル)用途は、高固有Q受信機アンテナを要求しないこともある。高固有Qに関する必要性は、主要な設計焦点が、電力効率ではなく、信号完全性であり得るRFIDタグ等の他の用途において緩和されることもできる。しかしながら、高固有Qを維持することは、伝送機および受信機が、物理的に遠く離れて置かれる用途において(例えば、疎結合される無線充電システムに関して)、重要な設計基準である。高固有Qも、電力効率が特に重要である用途において(例えば、低電力またはバッテリ動作させられるシステムにおいて)、重要な設計基準である。したがって、受信機アンテナの高固有Qを維持する構築方法の必要がある。高固有Qの例は、約100より大きい(例えば、200~800)Qである。
【0024】
図2Aは、高固有品質受信機アンテナを実装および維持する無線充電システムに関する代表的受信機構造である。
図2Aの構造では、誘電分離材料層210が、アンテナ180と遮蔽材料層120との間に設置されている。電子デバイス110は、遮蔽材料120に近接して設置される。いくつかの実施形態では、電子デバイス110は、距離220Aだけ遮蔽材料120から分離される。いくつかの実施形態では、間隔220Aは、ゼロであるか、または、電子デバイスは、直接、遮蔽材料120上に設置される。他の実施形態では、間隔220Aは、ケースの材料、例えば、電話またはタブレットケースのプラスチック材料に起因して、固定された間隔であり得、間隔材料は、誘電分離材料に類似し得る。
【0025】
誘電分離材料210は、受信機アンテナ180と遮蔽材料120との間の物理的緩衝材としての機能を果たす。上で議論されるような受信機アンテナを脱Qさせる遮蔽材料120と異なり、誘電分離材料210は、アンテナの固有効率を一定に維持するために要求されるある特性(例えば、低消散係数および低誘電率)を有する。いくつかの実施形態では、誘電分離材料210は、1MHzにおいて、約0.0003の消散係数と、1MHzにおいて、約2.2の誘電率とを伴うポリプロピレンプラスチックであり得る。したがって、誘電分離材料210とのアンテナの物理的接触は、受信機アンテナの固有効率180を低減させる最小限の影響を有するであろう。
【0026】
概して、誘電分離材料210が数ミリメートルの厚さであることが、望ましい。しかしながら、誘電分離材料210の厚さは、意図される用途のサイズ制約内に収まることを可能にするように、低減させられることができる。例えば、スマートフォン受信機付属品は、スマートフォンと電話ケースとの間に物理的に収まるために、非常に薄くあり得る(例えば、1~2mm)。同様に、受信機は、内側に埋め込まれた受信機とともに改造された電話ケースの内側に収まるために、薄い(例えば、1~3mm)必要がある。そのような用途では、誘電分離材料は、より薄い必要があるであろう。例えば、約1MHz試験周波数において、少なくとも0.1mmの厚さと、0.01以下の消散係数とを伴う誘電分離材料210が、遮蔽材料120から受信機アンテナ180をより効果的に物理的に絶縁することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、遮蔽材料120は、フェライトであり得、誘電分離材料210は、約0.1mm以上の厚さ(例えば、個々の0.4mmまたは組み合わせられた厚さ)を伴うポリカーボネートプラスチックシートから作製され得、受信機アンテナは、そのそれぞれの印刷回路基板(PCB)に接続され得る。この構造では、受信機は、電子デバイスと遮蔽材料との間に、最小限の間隔(例えば、0.1mm)~ゼロ間隔を有することができる。すなわち、間隔220Aは、ゼロに近くあることができる。いくつかの実施形態では、誘電分離材料は、約0.2mm~約0.5mmの厚さであり得るが、選択された受信機構造に応じて、より広い範囲を有し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、セパレータが、遮蔽材料と電子デバイスとの間の間隔220Aを占有することができる。セパレータは、約0.4mmの厚さを伴うポリカーボネートプラスチックのような別の低消散係数材料であることができる。例えば、間隔220Aにおけるセパレータは、電話またはタブレットケース内等、受信機ケース内の低消散係数プラスチックであることができる。
【0029】
図2Bは、高固有品質受信機アンテナのための無線充電システムに関する別の代表的受信機構造である。
図2Bでは、コア190が、アンテナのエリアに磁束を制限することに役立つように、アンテナの下方に配置されている。いくつかの実施形態では、アンテナ構造に応じて、コア190は、アンテナの周囲、内側、または近くのエリアに発生させられる磁束を制限するために、アンテナの周囲、アンテナの中心、または別様に、アンテナに対して位置することができる。
【0030】
一実施形態では、アンテナは、各コイルが中断または無線周波数不連続性を伴わない連続した導体から成る表面螺旋コイルとして配置された1つ以上のコイルを含むことができる。導体は、無線充電伝送機デバイスの動作周波数において近接効果を減少させるために、かつ動作周波数において表面螺旋コイルの高固有品質係数(「Q」)を維持するために、ある角度で誘電材料の周囲に巻きつけられることができる。連続した導体は、約40μmの厚さを有することができる。
【0031】
無線充電システムのための受信機を製作するために、受信機アンテナ180は、第2の平面層が、第1の平面層と第3の平面層との間に配置され(すなわち、第2の層を形成する誘電分離材料210が、受信機アンテナ180と遮蔽材料120との間に挟まれる)ように、第1の平面層上に形成され得、誘電分離材料210は、第2の平面層上に形成され得、遮蔽材料120は、第3の平面層上に形成され得る。誘電分離材料は、受信機アンテナの固有Q値を標的固有品質Qを上回って維持するように構成され、少なくとも0.1mmの厚さを有し、選択された誘電分離材料に関して、約1MHz試験周波数において、0.01以下の消散係数を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、コアが、アンテナ180の周囲のエリアにアンテナ180によって発生させられる磁束を制限するために、アンテナ180の周囲に形成されることができる。さらに、分離距離220B内のエリアは、第4の平面層上に第2の誘電分離材料を含み、第4の平面層が、第3の平面層(遮蔽材料120)と電子デバイス110との間に配置されることができる。アンテナ180と遮蔽材料層120との間の第1の誘電分離材料層のように、第2の誘電分離材料層は、分離材料にある特性を維持させることによって、受信機の固有Qを標的固有Q値を上回って維持するように構成されている。第2の誘電分離材料は、約1MHz試験周波数において、0.01またはそれより低い厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、例えば、共振誘導システムにおいて、標的固有Q値は、少なくとも100である。他の実施形態では、標的固有Q値は、少なくとも700である。第2の誘電分離材料、例えば、電話ケースの中央フレームは、受信機の性能を劣化させないように、ある特性(例えば、ある消散係数)を有する必要がある。例えば、固有Qは、高消散係数プラスチック(例えば、ABSプラスチック)が、第1または第2の誘電分離材料のいずれかのために使用される場合、50%を上回って減少させることができる。さらに、固有Qは、アンテナのトレースが、直接、遮蔽材料に接触する場合(例えば、
図1Aおよび
図1Bにおいて、構築方法)50%を上回って減少することもできる。
【0033】
図3は、遮蔽および誘電分離材料を含む無線充電システムに関する受信機構造の代表的例証である。この例証において開示される代表的実施形態は、遮蔽材料310(例えば、フェライト遮蔽材料)と、誘電分離材料320(例えば、総厚さ約0.4mmの1つ以上のポリカーボネートプラスチックシートから成る)と、そのそれぞれのPCBに接続される受信機アンテナ330とを含む。一実施形態では、約1MHz周波数において0.01以下の消散係数と、少なくとも0.1mmの厚さとを伴う誘電分離材料320は、受信機アンテナ330を遮蔽材料310から適正に物理的に絶縁する。
【0034】
図4Aおよび4Bは、電話ケース内に埋め込まれた受信機の代表的斜視図である。
図4Cは、完全に組み立てられた電話ケースの代表的図である。示される代表的実施形態は、
図3における受信機と同じの構造を含むが、受信機が、ケースの中に埋め込まれるので、電子デバイスと遮蔽材料220Bとの間の分離距離は、電話ケース内の第2の分離距離材料に関して、約1MHz周波数において、0.01またはそれより低い低消散係数プラスチックと置換される。電子デバイスと遮蔽層との間のこの追加の材料の設置は、性能を改良することもできる。
図4Aの構造410は、低消散係数分離材料および遮蔽材料とともに、アンテナと、そのそれぞれのPCB415とを示す。構造410におけるケース内のアンテナのためのホルダに関するプラスチック部分は、性能を改良するために、低消散係数材料を備えている。構造420は、構造410の背後の電話ケースの背面を示す。構造420が、構造410と組み合わせられると、
図4Bにおける構造440のように見える。コネクタプラグ465は、構造440内と、
図4Cの完全に組み立てられるケース460内とで、可視である。
図4Aの構造430は、第2の分離材料の均等物である、オーバーレイシートを示す(または用途に応じて、遮蔽体の別の層に置き換えられることができる)。
【0035】
いくつかの実施形態では、電子デバイスが、本明細書に説明されるように、無線充電受信機を含み得る。電子デバイスは、携帯電話、ポータブルデバイス等、電源としてバッテリまたはセルを使用する任意のユーザデバイスであり得る。電子デバイスは、車両ナビゲーション、車載制御、無人搬送車(AGV)、および飛行機電子機器のために使用される自動車、航空宇宙、農業機器、および電子システム等の産業電子機器を含み得る。
【0036】
参照することによって本明細書のその全体に組み込まれる米国特許出願第15/759,473号(公開第US2018/0262050号)は、本明細書に説明される技術を使用し得るいくつかの例示的コイル構成を説明する。
【0037】
いくつかの実施形態によって好ましくは実装される解決策の一覧が、以下の付記を使用して説明され得る。
【0038】
付記1.無線充電システムに関する受信機システムであって、受信機システムは、第1の平面層を形成する受信機アンテナと、受信機アンテナに隣接した遮蔽材料であって、遮蔽材料は、第2の平面層を形成する、遮蔽材料と、受信機アンテナと遮蔽材料層との間に配置された誘電分離材料層とを備え、誘電分離材料は、0.1mm以上の厚さ、および1MHz周波数において0.01以下の消散係数を備え、誘電分離材料は、受信機アンテナの固有品質係数「Q」値を標的固有Q値を上回って維持するように構成されている、受信機システム。いくつかの例示的実施形態は、
図1A-3に関して説明される。
【0039】
付記2.受信機アンテナの周囲のエリアに受信機アンテナによって発生させられる磁束を制限するために、受信機アンテナの周囲または中心に配置されたコアをさらに備えている、付記1に記載の受信機システム。
【0040】
付記3.誘電分離材料は、1MHz試験周波数において約4以下の誘電率を伴う材料を備えている、付記1に記載の受信機システム。
【0041】
付記4.誘電分離材料は、ポリプロピレンプラスチックを備えている、付記1に記載の受信機システム。
【0042】
付記5.誘電分離材料は、ポリカーボネートプラスチックを備えている、付記1に記載の受信機システム。
【0043】
付記6.遮蔽材料は、フェライトを備え、誘電分離材料は、約0.1mm以上の組み合わせられた厚さを伴う1つ以上のポリカーボネートシートを備えている、付記1に記載の受信機システム。
【0044】
付記7.標的固有Q値は、少なくとも100である、付記1に記載の受信機システム。
【0045】
付記8.誘電分離材料層の1つ以上の特性は、受信機アンテナが誘電分離材料と物理的接触しているとき、受信機アンテナの固有効率を維持するように選択される、付記1に記載の受信機システム。
【0046】
付記9.誘電分離材料は、1MHzにおいて、約0.0003の消散係数と、約2.2の誘電率とを有する、付記1に記載の受信機システム。
【0047】
付記10.受信機アンテナは、無線充電伝送機から無線電力を受け取るように構成されている、付記1に記載の受信機システム。
【0048】
付記11.受信機アンテナは、電子デバイスに電力を提供するように構成されている、付記1に記載の受信機システム。
【0049】
付記12.無線充電システムに関する受信機システムを製作する方法(例えば、
図5において描写される方法)であって、方法は、第1の平面層上に受信機アンテナを形成する(510)ことと、第2の平面層上に第1の誘電分離材料を形成する(520)ことと、第3の平面層上に遮蔽材料を形成する(530)こととを含み、第2の平面層は、第1の平面層と第3の平面層との間に配置され、第1の誘電分離材料は、受信機アンテナの固有品質係数「Q」値を標的固有Q値を上回って維持するように構成され、第1の誘電分離材料は、1MHz周波数において0.01以下の消散係数と、0.1mmまたはそれより大きい厚さとを有する、方法。例えば、方法を使用して、
図1A-4Cにおいて図面内で描写される受信機システムが、製作され得る。
【0050】
付記13.第4の平面層上に第2の誘電分離材料を形成することをさらに含み、第4の平面層は、第3の平面層と電子デバイスとの間に配置されている、付記12に記載の方法。
【0051】
付記14.受信機アンテナの周囲のエリアに受信機アンテナによって発生させられる磁束を制限するために、受信機アンテナの周囲または中心にコアを形成することをさらに含む、付記12に記載の方法。
【0052】
付記15.第1の誘電分離材料は、1MHz試験周波数において約4以下の誘電率を伴う材料を備えている、付記12に記載の方法。
【0053】
付記16.第1の誘電分離材料は、ポリプロピレンプラスチックまたはポリカーボネートプラスチックのうちの少なくとも1つを備えている、付記12に記載の方法。
【0054】
付記17.遮蔽材料は、フェライトを備え、第1の誘電分離材料は、約0.1ミリメートル以上の組み合わせられた厚さを伴う1つ以上のポリカーボネートシートを備えている、付記12に記載の方法。
【0055】
付記18.標的固有Q値は、少なくとも100である、付記12に記載の方法。
【0056】
付記19.第1の誘電分離材料層の1つ以上の特性は、受信機アンテナが、第1の誘電分離材料と物理的接触すると、受信機アンテナの固有効率を維持するように選択される、付記12に記載の方法。
【0057】
付記20.受信機アンテナは、無線充電伝送機から無線電力を受け取り、電子デバイスに無線電力を提供するように構成されている、付記12に記載の方法。
(備考)
【0058】
図および上記の記述は、その中で本発明が実装され得る好適な環境の簡単な一般的記述を提供する。本発明の例の上記の詳細な記述は、包括的であるようにも、本発明を上記に開示される精密な形態に限定するようにも意図されていない。本発明に関する具体的例が、例証目的のために上で説明されるが、種々の均等修正が、関連技術における当業者が認識するであろうように、本発明の範囲内で可能である。例えば、プロセスまたはブロックが、所与の順序において表されるが、代替実装が、ステップ/ブロックを有するルーチンを実施する、または異なる順序において、ブロックを有するシステムを採用することができ、いくつかのプロセスまたはブロックは、代替または副次的組み合わせを提供するように、削除されること、移動させられること、追加されること、さらに分割されること、組み合わせられること、または修正されることができる。これらのプロセスまたはブロックの各々は、種々の異なる方法において実装されることができる。プロセスまたはブロックが、随時、連続して実施されるものとして示されるが、これらのプロセスまたはブロックは、代わりに、並行して実施または実装されることもできるか、または異なる時間に実施されることもできる。さらに、本明細書に言及される任意の具体的数は、単に例である。代替実装は、異なる値または範囲を採用することができる。例えば、実装のために、最大±10パーセントの許容度が、使用され得る。
【0059】
これらおよび他の変更が、上記の詳細な記述を考慮する発明に成され得る。上記の記述は、発明のある例を説明し、熟慮される最良態様を説明するが、どんなに詳細に上記がテキスト内に現れようとも、本発明は、多くの方法で実践されることができる。システムの詳細が、その具体的実装で著しく変動し得る一方、依然として、本明細書に開示される発明によって包含されている。上記に述べられたように、本発明のある特徴または側面を説明するときに使用される専門用語は、専門用語が、それと専門用語が関連付けられる本発明の任意の具体的特性、特徴、または側面に制限されるように、本明細書に再定義されることを含意するように捉えられるべきではない。一般に、以下の請求項で使用される用語は、上記の詳細な説明の節がそのような用語を明示的に定義しない限り、本発明を本明細書において開示される具体的例に限定するものと解釈されるべきではない。故に、本発明の実際の範囲は、開示される例のみだけでなく、請求項下で本発明を実践または実装する全ての均等方法も包含する。
【国際調査報告】