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特表2023-516707予備成形クラック欠陥、内蔵式クラック欠陥の製造方法および予備成形体
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  • 特表-予備成形クラック欠陥、内蔵式クラック欠陥の製造方法および予備成形体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】予備成形クラック欠陥、内蔵式クラック欠陥の製造方法および予備成形体
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/38 20210101AFI20230413BHJP
   B22F 1/065 20220101ALI20230413BHJP
   B22F 1/0655 20220101ALI20230413BHJP
   B22F 1/05 20220101ALI20230413BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20230413BHJP
   B22F 10/366 20210101ALI20230413BHJP
   B22F 10/36 20210101ALI20230413BHJP
   B22F 10/85 20210101ALI20230413BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20230413BHJP
   B22F 10/64 20210101ALI20230413BHJP
   B22F 10/66 20210101ALI20230413BHJP
   B22F 10/34 20210101ALI20230413BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20230413BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230413BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20230413BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230413BHJP
   C22C 1/04 20230101ALI20230413BHJP
   C22C 30/00 20060101ALN20230413BHJP
   B22F 9/14 20060101ALN20230413BHJP
   B22F 9/08 20060101ALN20230413BHJP
【FI】
B22F10/38
B22F1/065
B22F1/0655
B22F1/05
B22F10/28
B22F10/366
B22F10/36
B22F10/85
B22F1/00 R
B22F10/64
B22F10/66
B22F10/34
B33Y50/02
B33Y80/00
B33Y70/00
B33Y10/00
B22F1/00 M
C22C1/04 B
C22C30/00
B22F9/14 Z
B22F9/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552855
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2020133826
(87)【国際公開番号】W WO2021212847
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】202010319691.7
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522345951
【氏名又は名称】中国航発上海商用航空発動機製造有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】AECC SHANGHAI COMMERCIAL AIRCRAFT ENGINE MANUFACTURING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.77 Hongyin Road, Nicheng Town, Pudong District, Shanghai 201306, China
(71)【出願人】
【識別番号】519383452
【氏名又は名称】中国航発商用航空発動機有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】AECC COMMERCIAL AIRCRAFT ENGINE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.3998, South Lianhua Road, Minhang District, Shanghai 200241, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】付 俊
(72)【発明者】
【氏名】雷 力明
(72)【発明者】
【氏名】李 雅莉
(72)【発明者】
【氏名】周 新民
(72)【発明者】
【氏名】付 ▲シン▼
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4K017AA04
4K017BA03
4K017BB04
4K017BB06
4K017CA01
4K017CA07
4K017ED00
4K017EF01
4K018AA08
4K018AD20
4K018BB01
4K018BB03
4K018BB04
4K018FA06
4K018FA08
4K018KA12
4K018KA70
(57)【要約】
予備成形クラック欠陥の製造方法、内蔵式クラック欠陥の製造方法およびその予備成形体(1)を提供する。予備成形クラック欠陥の製造方法は、欠陥領域(10、10a)を設定することと、前記欠陥領域(10、10a)におけるクラック欠陥の体積割合を設定することと、前記クラック欠陥の体積割合に基づいて球状粉末の割合、中空粉末の割合および欠陥製造プロセスパラメータを調整することと、レーザー溶融堆積プロセスに基づき、欠陥製造粉末を用いて、欠陥製造プロセスパラメータに従って欠陥領域(10、10a)を層ごとに印刷することと、を含み、欠陥製造粉末の粒度は45μmから150μmの間にあり、その中の球状粉末の割合≧93%であり、中空粉末の割合<0.5%である。欠陥製造プロセスパラメータは、450W~550Wのレーザーパワー、600mm/min~1200mm/minの走査速度、4g/min~12g/minの粉末送給速度、1mm~1.2mmのスポット径、0.5mm~0.8mmの走査ピッチ、0.08mm~0.2mmの層厚さを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備成形クラック欠陥の製造方法であって、
欠陥領域を設定することと、
前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を設定することと、
前記クラック欠陥の体積割合に基づいて球状粉末の割合、中空粉末の割合および欠陥製造プロセスパラメータを調整することと、
レーザー溶融堆積プロセスに基づき、欠陥製造粉末を用いて、前記欠陥製造プロセスパラメータに従って、前記欠陥領域を層ごとに印刷することと、を含み、
前記欠陥製造粉末の粒度は45μmから150μmの間にあり、その中の球状粉末の割合≧93%であり、中空粉末の割合<0.5%であり、
前記欠陥製造プロセスパラメータは、450W~550Wのレーザーパワー、600mm/min~1200mm/minの走査速度、4g/min~12g/minの粉末送給速度、1mm~1.2mmのスポット径、0.5mm~0.8mmの走査ピッチ、0.08mm~0.2mmの層厚さを含むことを特徴とする予備成形クラック欠陥の製造方法。
【請求項2】
前記レーザーパワーPと走査速度vとの比を調整することで、前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を制御することを含み、
P/vの値が小さいほど、前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合が大きくなることを特徴とする請求項1に記載の予備成形クラック欠陥の製造方法。
【請求項3】
レーザー溶融堆積プロセスに用いられ、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法であって、
前記予備成形体の三次元モデルを取得することと、
前記三次元モデルを、前記三次元モデルの内部における少なくとも1つの欠陥領域および成形領域に区画することと、
前記クラックの体積が前記欠陥領域の体積を占める割合の大きさを予め設定することと、
前記クラック欠陥の体積割合に基づいて、球状粉末の割合、中空粉末の割合および欠陥製造プロセスパラメータを調整することと、
前記予備成形体を層ごとに印刷し、ここでは、前記欠陥領域に対応する層を、欠陥製造粉末を用いて、欠陥製造プロセスパラメータに従って印刷することと、を含み、
前記欠陥製造粉末の粒度は45μmから150μmの間にあり、その中の球状粉末の割合≧93%であり、中空粉末の割合<0.5%であり、
前記欠陥製造プロセスパラメータは、450W~550Wのレーザーパワー、600mm/min~1200mm/minの走査速度、4g/min~12g/minの粉末送給速度、1mm~1.2mmのスポット径、0.5mm~0.8mmの走査ピッチ、0.08mm~0.2mmの層厚さを含むことを特徴とする内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法。
【請求項4】
前記三次元モデルを複数の欠陥領域および成形領域に区画し、各前記欠陥領域に対し、前記球状粉末の割合、前記中空粉末の割合および前記欠陥製造プロセスパラメータをそれぞれに設定することを特徴とする請求項3に記載の内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法。
【請求項5】
前記レーザーパワーPと走査速度vとの比を調整することで、前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を制御することを含み、
P/vの値が小さいほど、前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合が大きくなることを特徴とする請求項3に記載の内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法。
【請求項6】
前記三次元モデルの前記欠陥領域および前記成形領域に対してモデル処理を行うことをさらに含み、前記モデル処理は、
マージン追加処理、
スライシング処理および
経路計画処理を含むことを特徴とする請求項3に記載の内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法。
【請求項7】
印刷が完了した前記予備成形体に対する熱処理を行うことと、
印刷が完了した前記予備成形体を印刷基板から分割することと、
印刷が完了した前記予備成形体に対する表面処理を行うことと、をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法。
【請求項8】
内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体であって、請求項3~7のいずれか一項に記載の製造方法により製造されることを特徴とする内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体。
【請求項9】
レーザー溶融堆積プロセスに用いられる、内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法であって、前記部品修復体は、部品本体と、前記部品本体における欠陥または損傷を修復するための部品修復領域とを含み、内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法は、
前記部品本体および前記部品修復領域の三次元モデルをそれぞれに取得することと、
前記部品本体を取得することと、
前記部品修復領域の三次元モデルを、部品を修復した後に前記部品修復体の内部に位置する少なくとも1つの欠陥領域、および、成形領域に区画することと、
前記クラックの体積が前記欠陥領域の体積を占める割合の大きさを予め設定することと、
前記クラック欠陥の体積割合に基づいて、球状粉末の割合、中空粉末の割合および欠陥製造プロセスパラメータを調整することと、
前記部品本体の欠陥において前記部品修復領域を層ごとに印刷し、ここでは、前記欠陥領域に対応する層を、欠陥製造粉末を用いて、欠陥製造プロセスパラメータに従って印刷することと、を含み、
前記欠陥製造粉末の粒度は45μmから150μmの間にあり、その中の球状粉末の割合≧93%であり、中空粉末の割合<0.5%であり、
前記欠陥製造プロセスパラメータは、450W~550Wのレーザーパワー、600mm/min~1200mm/minの走査速度、4g/min~12g/minの粉末送給速度、1mm~1.2mmのスポット径、0.5mm~0.8mmの走査ピッチ、0.08mm~0.2mmの層厚さを含むことを特徴とする内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法。
【請求項10】
前記レーザーパワーPと走査速度vとの比を調整することで、前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を制御することを含み、
P/vの値が小さいほど、前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合が大きくなることを特徴とする請求項9に記載の内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法。
【請求項11】
前記部品本体における欠陥は冶金欠陥、加工欠陥または稼働欠陥であり、
完全な部品において溝を開設することで前記部品本体を取得することをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法。
【請求項12】
前記部品修復領域の三次元モデルの前記欠陥領域および前記成形領域に対してモデル処理を行うことをさらに含み、前記モデル処理は、
マージン追加処理、
スライシング処理および
経路計画処理を含むことを特徴とする請求項9に記載の内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法。
【請求項13】
印刷が完了した前記部品修復体に対する熱処理を行うことと、
印刷が完了した前記部品修復体に対する表面処理を行うことと、をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造の分野に関し、特に予備成形クラック欠陥の製造方法、内蔵式クラック欠陥の製造方法およびその予備成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造(Additive Manufacturing、AM)技術は、3D印刷(Three Dimension Printing)技術と通称され、現在では、金属付加製造技術は、徐々に成熟し、航空宇宙、医療、自動車、原子力発電などの分野に広く応用されている。ここでは、同期粉末送給に基づくレーザー溶融堆積(Laser Melting Deposition、LMD)技術は、一般的な付加製造技術であり、該技術は、粉末キャリアガスにより球状粉末を搬送して集合し、高エネルギーレーザービームを用いて同期に搬送して集合された金属粉末を溶融して、移動する非定常状態金属溶融池を形成し、高温度勾配で小さな溶融池が迅速に凝固し、層ごとに溶融堆積し、最終的に実体部品を形成し、通常、航空宇宙および国防装備用の複雑な大型金属構造体の低コスト、短周期での迅速成形、または、高付加価値の部品、例えば、航空エンジンマウントセグメントシステム、リニアセグメントプラットフォーム、ブリスク、タービンブレードなどの部品の迅速修復に適用される。
【0003】
同期粉末送給式レーザー溶融堆積による金属成形/修復プロセスは、温度場、応力場などの複数の場の結合に関し、複雑な非平衡状態での凝固であり、不安定性要因が多く、気孔、亀裂、融合不良などの一般的な欠陥のような、様々なタイプおよびサイズの欠陥の発生が回避できない。付加製造品は、組織および特性が異方性の特徴を有するため、従来の鋳造、鍛造、溶接などの製造品とは異なり、発生した欠陥も異なり、従来の欠陥検査評価方法は基本的に付加製造品に適用しない。したがって、欠陥を有する付加製造塊状標準試料、欠陥試料または欠陥部品を製造することは、欠陥の非破壊検査を正確に行うために準備することができるだけでなく、付加製造中に発生した欠陥に対して定性的かつ定量的研究を正確に行い、タイプまたはサイズの異なる欠陥による金属付加製造成形体/修復体の力学的性質への影響を正確にシミュレートし、さらに欠陥による付加製造部品の確実性への影響を研究して検証することができ、航空宇宙などの分野の付加製造部品の応用に対して重大な意味を有する。
【0004】
クラック欠陥とは、材料の原子の結合が破壊されたことで、新規な界面を形成して生じたスリットである。通常、部材表面のクラック欠陥が検出や観察されやすいが、部材内部におけるクラック欠陥は、クラックの先端に応力集中効果があるため、クラックの発生と拡張によって、材料の力学的性能を顕著に劣化させ、部材の耐用年数に深刻な影響を与える。内蔵式クラック欠陥を有する金属製品の製造については、現在、主に3種類の方法があり、一つ目は、疲労試験機を用いて疲労試験を行い、一定の寸法を有するクラック欠陥を製造することであり、二つ目は、プラズマまたは他の高エネルギービームを用いてクラックを切り出して溶着させることであり、三つ目は、選択的レーザー溶融(SLM)3D印刷を利用することで、クラック欠陥の輪郭寸法を直接的に設計し、内部にクラック欠陥特性を有する製品を直接的に成形することである。最初の2つの方法で製造されるクラック欠陥試料では、製品の組織、性能などが既に様々な程度で破壊されてしまい、三つ目の方法で製造されるクラック欠陥では、組織の連続性が破壊されたのみならず、幅が大きいクラックの場合、直径が数十マイクロメートルの粉末がクラックスリット内に貯留されやすいが、幅が小さいクラックの場合、境界輪郭が溶融した金属で充填されやすく、クラックの成形が不可能になる。以上の3つの方法では、いずれも製品の凝固過程に発生するクラック欠陥の特性を正確にシミュレートすることができず、クラック欠陥部の組織の構造的特徴を正確に表すことができず、欠陥と力学的性能の影響関係を正確且つ効果的に評価することができない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の1つの目的は、予備成形体予備成形体においてクラックが現れた位置および割合を正確且つ効果的に制御することができる、予備成形クラック欠陥の製造方法を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、予備成形体におけるクラック欠陥と力学的性能の影響関係を正確且つ効果的に評価することができる、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、前記製造方法で製造される、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、部品修復体の内部におけるクラック欠陥と力学的性能の影響関係を正確且つ効果的に評価することができる、内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法を提供することである。
【0009】
前記1つの目的を実現するための予備成形クラック欠陥の製造方法は、
欠陥領域を設定することと、
前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を設定することと、
前記クラック欠陥の体積割合に基づいて球状粉末の割合、中空粉末の割合および欠陥製造プロセスパラメータを調整することと、
レーザー溶融堆積プロセスに基づき、欠陥製造粉末を用いて、欠陥製造プロセスパラメータに従って前記欠陥領域を層ごとに印刷することと、を含み、
ここで、前記欠陥製造粉末の粒度は45μmから150μmの間にあり、その中の球状粉末の割合≧93%であり、中空粉末の割合<0.5%である。
【0010】
前記欠陥製造プロセスパラメータは、450W~550Wのレーザーパワー、600mm/min~1200mm/minの走査速度、4g/min~12g/minの粉末送給速度、1mm~1.2mmのスポット径、0.5mm~0.8mmの走査ピッチ、0.08mm~0.2mmの層厚さを含む。
【0011】
1つ以上の実施形態において、クラック欠陥を制御する製造方法は、前記レーザーパワーPと走査速度vとの比を調整することで前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を制御することを含み、
ここで、P/vの値が小さいほど、前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合が大きくなる。
【0012】
前記他の目的を実現するための、レーザー溶融堆積プロセスに用いられ、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法は、
前記予備成形体の三次元モデルを取得することと、
前記三次元モデルを、前記三次元モデルにおける少なくとも1つの欠陥領域および成形領域に区画することと、
前記クラックの体積が前記欠陥領域の体積を占める割合の大きさを予め設定することと、
前記クラック欠陥の体積割合に基づいて、球状粉末の割合、中空粉末の割合および欠陥製造プロセスパラメータを調整することと、
前記予備成形体を層ごとに印刷し、ここでは、前記欠陥領域に対応する層を、欠陥製造粉末を用いて、欠陥製造プロセスパラメータに従って印刷することとを含み、
ここで、前記欠陥製造粉末の粒度は45μmから150μmの間にあり、その中の球状粉末の割合≧93%であり、中空粉末の割合<0.5%である。
【0013】
前記欠陥製造プロセスパラメータは、450W~550Wのレーザーパワー、600mm/min~1200mm/minの走査速度、4g/min~12g/minの粉末送給速度、1mm~1.2mmのスポット径、0.5mm~0.8mmの走査ピッチ、0.08mm~0.2mmの層厚さを含む。
【0014】
1つ以上の実施形態において、前記三次元モデルを複数の欠陥領域および成形領域に区画し、ここで、各前記欠陥領域に対し、前記球状粉末の割合、前記中空粉末の割合および前記欠陥製造プロセスパラメータをそれぞれに設定する。
【0015】
1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法は、
前記レーザーパワーPと走査速度vとの比を調整することで前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を制御することを含み、
ここで、P/vの値が小さいほど、前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合が大きくなる。
【0016】
1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法は、前記三次元モデルの前記欠陥領域および前記成形領域に対してモデル処理を行うことをさらに含み、前記モデル処理は、
マージン追加処理、
スライシング処理および
経路計画処理を含む。
【0017】
1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法は、
印刷が完了した前記予備成形体に対する熱処理を行うことと、
印刷が完了した前記予備成形体を印刷基板から分割することと、
印刷が完了した前記予備成形体に対する表面処理を行うことと、をさらに含む。
【0018】
前記他の目的を実現するための、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体は、前記の製造方法で製造される。
【0019】
前記他の目的を実現するための、レーザー溶融堆積プロセスに用いられる、内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法を提供する。部品修復体は、部品本体と、前記部品本体における欠陥または損傷を修復するための部品修復領域とを含む。内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法は、
前記部品本体および前記部品修復領域の三次元モデルをそれぞれ取得することと、
前記部品本体を取得することと、
前記部品修復領域の三次元モデルを、部品を修復した後に前記部品修復体の内部に位置する少なくとも1つの欠陥領域、および、成形領域に区画することと、
前記クラックの体積が前記欠陥領域の体積を占める割合の大きさを予め設定することと、
前記クラック欠陥の体積割合に基づいて球状粉末の割合、中空粉末の割合および欠陥製造プロセスパラメータを調整することと、
前記部品本体の欠陥において前記部品修復領域を層ごとに印刷し、ここでは、前記欠陥領域に対応する層を、欠陥製造粉末を用いて、欠陥製造プロセスパラメータに従って印刷することと、を含み、
ここで、前記欠陥製造粉末の粒度は45μmから150μmの間にあり、その中の球状粉末の割合≧93%であり、中空粉末の割合<0.5%である。
【0020】
前記欠陥製造プロセスパラメータは、50W~550Wのレーザーパワー4、600mm/min~1200mm/minの走査速度、4g/min~12g/minの粉末送給速度、1mm~1.2mmのスポット径、0.5mm~0.8mmの走査ピッチ、0.08mm~0.2mmの層厚さを含む。
【0021】
1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法は、
前記レーザーパワーPと走査速度vとの比を調整することで前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を制御することを含み、
ここで、P/vの値が小さいほど、前記欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合が大きくなる。
【0022】
1つ以上の実施形態において、前記部品本体における欠陥は、冶金欠陥、加工欠陥または稼働欠陥であり、前記製造方法は、
完全な部品において溝を開設することで前記部品本体を取得することをさらに含む。
【0023】
1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法は、
前記部品修復領域の三次元モデルの前記欠陥領域および前記成形領域に対してモデル処理を行うことをさらに含み、前記モデル処理は、
マージン追加処理、
スライシング処理および
経路計画処理を含む。
【0024】
1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法は、
印刷が完了した前記部品修復体に対する熱処理を行うことと、
印刷が完了した前記部品修復体に対する表面処理を行うことと、をさらに含む。
【0025】
本発明の有益な効果は、内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の内部におけるクラック欠陥に対するシミュレーションを実現することによって、自然に生じたクラック欠陥を有する部品修復体を得て、内蔵式クラック欠陥と付加製造部品修復体の確実性との関係をさらに分析でき、金属付加製造成形の応用に強い理論的裏付けを提供し、広い研究と利用の将来性を有する。
以下の実施例およびその図面によって本発明の具体的な特徴および性能をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一実施形態による内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体を概略的に示す図
図2】予備成形体における欠陥領域および成形領域を含む箇所の切断面を概略的に示す図
図3図1に示す予備成形体を製造するための製造方法のフローチャート
図4】一実施形態で製造される予備成形体のクラック欠陥の研磨状態下の金属形態を示す図
図5】他の実施形態による内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の欠陥領域での断面を示す図
図6】部品修復領域の断面を示す図
図7図5に示す予備成形体を製造するための製造方法を示すフローチャート
図8】他の実施形態で製造される予備成形体のクラック欠陥の研磨状態下の金属形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、記載された主題の技術的解決手段を実施するための様々な実施形態または実施例を開示する。本開示を簡単にするために、要素および配列の具体的な例を以下に説明するが、これらは単なる例であり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。例えば、本明細書において後に記載される第1特徴は、第2特徴の上または上に形成され、第1および第2特徴が直接関連して形成される実施形態を含んでもよく、第1および第2特徴の間に追加の特徴が形成される実施形態を含んでもよく、これによって第1および第2特徴の間は直接関連していなくてもよい。さらに、これらの開示内容は、様々な例において、参照番号および/または文字を繰り返すことができる。この繰り返しは、簡潔さおよび明確さのためであり、それ自体は、議論されるべき様々な実施形態および/または構造間の関係を表していない。さらに、第1要素が第2要素に接続されているか、または第2要素に結合されていると説明する場合、この説明は、第1および第2要素が直接互いに接続されている実施形態を含み、第1要素が第2要素に間接的に接続されているか、または互いに結合されているように1つまたは複数の他の介在要素が追加されている実施形態も含む。
【0028】
注意すべきことは、使用される場合、以下の説明において、上、下、左、右、前、後、頂、底、正、逆、時計回りと反時計回りは、便宜上のために使用されるものに過ぎず、いかなる具体的な固定方向を暗示しないことである。実際、これらは対象の各部分間の相対的な位置および/または方向を反映するために使用される。
【0029】
これらおよび後続の他の図面は、いずれも例示に過ぎず、必ずしも一定の比率で描かれているわけではないことで、本発明が実際に要求する保護範囲を制限すべきではないことに留意されたい。また、異なる実施形態における変換方式は、適宜組み合わせてもよい。
【0030】
本発明の一態様では、予備成形クラック欠陥を予め製造する方法を提供し、以下のステップによってクラック欠陥を製造することを実現する。
【0031】
まず、欠陥領域を設定し、理解すべきことは、本明細書で言及される欠陥領域は、予め製造されるクラック欠陥を含む部分であり、印刷される部品の一部、例えば、部品表面の局所領域または部品内蔵の局所領域であってもよく、部品全体であってもよく、すなわち、印刷される部品の全体を欠陥領域として設置されることである。
【0032】
その後、欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を設定し、クラック欠陥の体積割合に基づいて球状粉末の割合、中空粉末の割合および欠陥製造プロセスパラメータを調整する。
【0033】
その後、レーザー溶融堆積プロセスに基づき、欠陥製造粉末を用いて、欠陥製造プロセスパラメータに従って欠陥領域を層ごとに印刷し、理解すべきことは、本明細書に言及される欠陥製造粉末は、特に欠陥領域を印刷するために用いられる特定の粉末であり、欠陥製造プロセスパラメータは、欠陥領域を印刷するために用いられる特定の印刷パラメータであり、具体的には、欠陥製造粉末の種類、化学成分、物理的特性は通常に印刷する成形領域粉末と同じであってもよいが異なってもよく、粉末製造プロセスは同じであってもよいが異なってもよく、すなわち、欠陥領域と成形領域の粉末は同じ粉末で、成形プロセスのみが異なってもよいことである。詳細な欠陥製造粉末および欠陥製造プロセスパラメータについては後述する。
【0034】
ここで、欠陥製造粉末の粒度は45μmから150μmの間にあり、その中の球状粉末の割合≧93%であり、中空粉末の割合<0.5%である。説明すべきことは、本明細書に言及される粒度は粉末粒子の大きさであることである。一般的には、球状粒子の粒度は直径で示す。不規則な粒子に対して、当該粒子と同じ挙動を有する球体直径を当該粒子の等価直径とすることができる。粉末の粒径分布は、一般的に乾式ふるい分け法またはレーザー粒度分析計湿式方法により測定してもよい。球状粉末の割合は、欠陥製造粉末において、外形が円球状である粉末の数が総欠陥製造粉末数を占める割合であり、付加製造に用いられる粉末材料において、粉末粒子の外形が複数種の形態を有し、例えば、円球状、表面が滑らかである球状粉末であり、また例えば、円球状である大きいものと小さいものという2つまたは複数の粉末が一体に接着された、表面に突出構造を有する非平滑な円球状のサテライト球状粉末であり、また、他の不規則な形状、例えば、ストリップ状、棒状、シート状などの不規則な粉末である。中空粉末の割合とは、欠陥製造粉末において中空の粉末数が総欠陥製造粉末数を占める割合を指し、付加製造に用いられる粉末材料において内部に空隙を有する中空の粉末が中空粉末と称される。理解すべきことは、欠陥製造粉末における球状粉末の割合は、粉末粒子の外部輪郭により決定され、欠陥製造粉末における中空粉末の割合は、粉末粒子の内部に空隙を有して中空状を呈するか否かにより決定されることである。
【0035】
前記欠陥製造プロセスパラメータは、450W~550Wのレーザーパワー、600mm/min~1200mm/minの走査速度、4g/min~12g/minの粉末送給速度、1mm~1.2mmのスポット径、0.5mm~0.8mmの走査ピッチ、0.08mm~0.2mmの層厚さを含む。
【0036】
ここで、欠陥製造プロセスパラメータを調整することで欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を制御し、理解すべきことは、本明細書に言及される欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合は欠陥領域の体積の大きさを占めるクラック欠陥の体積の大きさの割合であることである。
【0037】
具体的には、一実施形態において、レーザーパワーPと走査速度vとの比を調整することで欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を制御し、ここで、P/vの値が小さいほど、欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合が大きくなることによって、レーザーパワーと走査速度との比を減少させることにより、欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を増加させることができる。他の実施形態において、欠陥製造プロセスパラメータの調整は試行錯誤に基づいて決定され、例えば、第N+1回の試験においてパラメータAを調整し、それで製造したクラック欠陥の体積割合が第N回の試験に対して増加するという変化傾向が見られる場合、徐々にパラメータAを調整することで所定の体積割合を得ることを実現する。他の実施形態において、さらにパラメータデータベースを提供してもよく、各回に欠陥製造プロセスパラメータを調整した後のクラック欠陥の割合の変化を記録するために用いられ、よって、パラメータデータベースにおける内容を調べて欠陥製造プロセスパラメータを調整することで、標定の割合のクラック欠陥を得ることができる。ここで、予め製造した欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合区間が0.01%~1.5%の間にあると想定する場合、欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合とP/vの値は以下の関係を有する。
【0038】
欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合=-0.014ln(P/v)+0.001である。
【0039】
本方法で製造されるクラック欠陥は、印刷過程に自然に発生したものであり、クラック部の組織構造の対応的な連続特徴を保留することができると共に、欠陥製造プロセスパラメータを調整することで所定割合のクラック欠陥を得ることを実現し、クラック欠陥と力学的性能の影響関係をさらに評価するために基礎を提供する。
【0040】
本クラック欠陥製造方法によりクラックを製造する実施形態をさらに示すために、以下、実施形態1~2により、具体的にクラックの製造を実現する具体的な態様を示す。
【0041】
実施形態1
実施形態1は、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法および当該製造方法による、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体が記載されている。理解すべきことは、内蔵式クラック欠陥は、クラック欠陥が予め製造した部品の内部に発生することである。
【0042】
図1は、本実施形態による内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体を概略的に示す図である。図2は、予備成形体における欠陥領域および成形領域部を含む箇所の切断面を概略的に示す図である。図3は、図1に示すような予備成形体を製造するための製造方法のフローチャートである。
【0043】
図1および図3に示すように、図1に示すような予備成形体1を製造するために、まず、予備成形体1の三次元モデルを取得するステップS100を実行することができ、具体的には、三次元走査などの方式で付加製造予備成形体1の三次元モデルを取得することができ、当該三次元モデルは、三次元グラフィクス処理ソフトウェア、例えば、UG、AUTOCADなどのモデリングソフトウェアで示すことができる。
【0044】
その後、予備成形体1を欠陥領域10および成形領域11に区画するステップS101を実行し、本明細書に言及される成形領域については、部品において欠陥領域10を除去した他の部分はいずれも成形領域11であると見なされてよいことが理解されるべきである。ここで、図1は予備成形体1において1つの欠陥領域10を区画することのみを例示的に示し、理解すべきことは、欠陥領域10の数は2つまたは複数であってもよいことである。本実施例において、予備成形体1において欠陥領域10を除去した部分はいずれも成形領域11であることが理解されるべきである。
【0045】
ここで、欠陥領域10は予備成形体1の内部に位置し、理解すべきことは、実際の印刷過程に、内蔵式クラック欠陥は部品の構造内に生じたものであり、欠陥領域10を予備成形体1の内部に設置することによって、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体1の製造を実現することである。
【0046】
その後、内蔵式クラック欠陥の体積が欠陥領域10の体積を占める割合の大きさを指定するステップS102を実行し、当該割合の大きさは、シミュレートする必要がある実際に印刷された部品における内蔵式クラック欠陥の体積が実際に印刷された部品の体積を占める割合により決定されてもよく、すなわち、(内蔵式クラック欠陥の体積/欠陥領域体積)*欠陥領域体積/予備成形体体積=実際に印刷される部品における内蔵式クラック欠陥の体積/実際に印刷される部品の体積。予備成形体1における欠陥領域10の数は1つより大きい場合、ステップS101において予備成形体1を欠陥領域10および成形領域11に区画することによって、予備成形体1において実際の割合に応じて欠陥を迅速且つ正確に製造することができる。同時、クラック欠陥の体積割合に基づいてサテライト球状粉末の割合、中空粉末の割合および欠陥製造プロセスパラメータを調整することができる。
【0047】
その後、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体1を層ごとに印刷するステップS104を実行する。ここで、図2は、予備成形体における欠陥領域10および成形領域11を含む箇所の切断面を概略的に示す図であり、ここで、図2に示すような各断面において、欠陥領域10の部分は欠陥製造粉末を用いて、欠陥製造プロセスパラメータに従って当該所定層を印刷し、成形領域11の部分は成形用粉末および関連のプロセスパラメータを用いて当該所定層を印刷する。
【0048】
具体的には、欠陥製造粉末は45から150μmの間の粒度を有し、欠陥製造粉末において、球状粉末の割合≧93%であり、中空粉末の割合<0.5%である。一実施形態において、欠陥製造粉末はプラズマ回転電極アトマイズ法により製造される。
【0049】
欠陥製造プロセスパラメータは、450~550Wのレーザーパワー、600~1200mm/minの走査速度、4~12g/minの粉末送給速度、1mm~1.2mmのスポット径、0.5~0.8mmの走査ピッチ、0.08~0.2mmの層厚さを含む。
【0050】
ここで、欠陥製造プロセスパラメータを調整することで欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を制御する。具体的には、一実施形態において、レーザーパワー速度と粉末送給速度との比を減少させることで欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を増加させることができる。他の実施形態において、欠陥製造プロセスパラメータの調整は試行錯誤に基づいて決定され、例えば、第N+1回の試験においてパラメータAを調整し、それで製造したクラック欠陥の体積割合が第N回の試験に対して増加するという変化傾向が見られる場合、徐々にパラメータAを調整することで標定の体積割合を得ることを実現する。他の実施形態において、さらにパラメータデータベースを提供してもよく、毎回欠陥製造プロセスパラメータを調整した後のクラック欠陥の割合の変化を記録するために用いられ、これによって、パラメータデータベースにおける内容を調べて欠陥製造プロセスパラメータを調整することで、所定の割合のクラック欠陥を得ることができる。
【0051】
上記欠陥製造粉末および欠陥製造プロセスパラメータにより印刷される各層の欠陥領域10において、いずれも内蔵式クラック欠陥が自然に発生することができ、よって予備成形体1の内部に自然にクラック欠陥を形成することを実現する。本方法で形成したクラック欠陥は、実際の金属凝固過程の特徴を有するクラック欠陥であるため、クラック部の組織構造の対応的な連続特徴を保留することができると共に、欠陥領域および成形領域を区画することでクラック欠陥の発生領域の位置を制御することができ、従来技術に対しては、レーザー溶融堆積による正常な凝固過程に発生するクラック欠陥をより実際にシミュレートすることができるが、製品の組織と性能を破壊することがない。
【0052】
本方法で製造される内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体は、レーザー溶融堆積付加製造クラック欠陥と非破壊検査信号の間のリアルな対応関係を正確に分析することに役たち、製品の性能評価結果に合わせて、クラック欠陥と製品性能の影響関係を実際に研究と分析することができ、内蔵式クラック欠陥と付加製造部品確実性との関係をさらに分析でき、金属付加製造成形の応用に強い理論的裏付けを提供し、広い研究と利用の将来性を有する。
【0053】
1つ以上の実施形態において、欠陥領域10は複数があってもよいため、ステップS101において、三次元モデルを複数の欠陥領域および成形領域に区画する必要があると共に、ステップS102において、各前記欠陥領域に対し、それぞれ前記球状粉末の割合、前記中空粉末の割合および前記欠陥製造プロセスパラメータを設定する必要がある。欠陥の製造において、所定の欠陥領域に対してパラメータを設定することで、予備成形体において、如何にして欠陥領域および欠陥の位置と特徴を制御するかという技術課題を解決することができる。すなわち、欠陥領域を設計することで部品に実際に生じた欠陥状況および特徴をシミュレートし、異なる欠陥領域に対する欠陥の割合、欠陥の大きさおよび欠陥の密集度を制御し、区画によって同じ製品において異なる特徴位置は異なる特徴の欠陥を得ることができる。部品は、成形または製造過程に、一般的に欠陥集中の状況が発生し、単一に欠陥を製造する場合、全体の欠陥集中状況および欠陥と周囲の組織構造特徴を実際に反映することができず、欠陥を実際に製造する効果に達すことができない。欠陥領域で実際の欠陥の発生状況およびその特徴をシミュレートすることにより、より便利になり、欠陥の予め製造方法をさらに簡略化させるのみならず、また予備成形体は規格品として製品の欠陥検出の非破壊検査精度を向上させることができ、欠陥と製品性能との影響関係の正確性を向上させ、欠陥による製品の耐用年数に対する影響の正確性を向上させる。次に、例えば、ある予備成形体に対する非破壊検査を行う時、予備成形体における異なる深さの欠陥の同じ非破壊検査条件下における感度を検出する必要があり、欠陥区画によって同じ製品において欠陥が所定の深さに発生することを実現することができ、他の深さに発生することがなく、異なる製品において、成分、組織均一性などの差異により検出感度に与えた影響を効果的に回避し、検出精度を向上させ、異なる特徴構造にある異なる欠陥特性が非破壊検査に与えた影響を分析し、予備成形体の異なる特徴位置は異なる環境(温度、負荷)状態で欠陥が性能に与えた影響などを分析する。一方、欠陥位置および特徴(例えば、割合、大きさ、密集度)を指定した予備成形体を製造する時、欠陥領域の数とサイズにより用いた欠陥製造プロセスが決定される。欠陥領域の数が多いほど、各欠陥領域に対して、異なる欠陥の割合の成形方法(例えば、成形レーザーヘッドの数、成形系列順序、成形経路計画、層分割など)を決定する。
【0054】
図3に示すように、1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法は、
三次元モデルにおいて区画した欠陥領域10および成形領域11に対するモデル処理を行うステップS103をさらに含み、ここで、モデル処理は、マージン追加処理、スライシング処理および経路計画処理を含むことができる。具体的には、マージン追加処理とは、欠陥領域10および成形領域11の外周輪郭にそれぞれ印刷マージンを追加することによって、印刷過程において、欠陥領域10および成形領域11の境界を相互に冶金的溶着させることであり、当該冶金的溶着の接続方式は、2つの領域の境界の溶融池が相互に重ね継ぎするような冶金的溶着であってもよく、2つの領域の上下層が溶融して積層するような冶金溶着であってもよい。スライシング処理とは、走査によって得られた三次元モデルをスライスで複数の層に分割し、後続に層ごとに印刷するために基礎を提供する。経路計画処理とは、スライシング処理の後に形成した複数の単層において、レーザーの走査経路を計画することである。ここで、各単層における欠陥領域10および成形領域11に対して、異なる粉末送給器およびレーザー発生器を用いてもよく、印刷方式は各単層における欠陥領域10および成形領域11を順番に印刷してもよく、同期して印刷してもよい。
【0055】
1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法は、印刷が完了した予備成形体1に対する熱処理を行うステップS105をさらに含み、具体的には、応力除去熱処理または組織調整溶体化処理などであってもよい。
【0056】
1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法は、印刷が完了した予備成形体1を印刷基板から分割するステップS106をさらに含み、いくつかの実施形態において、予備成形体1は印刷基板において印刷を行い、印刷が終了した後、例えば、ワイヤカットの方式により予備成形体1を印刷基板から分割する必要がある。他のいくつかの実施形態において、予備成形体に対しては、基板を介して印刷を行う必要ない場合、当該ステップS106の必要はなくなる。
【0057】
1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法は、印刷が完了した予備成形体に対する表面処理を行うステップS107をさらに含み、具体的には、予備成形体1に対する研磨または機械加工を行うことによって、製品の表面品質の要件に回復することができる。
【0058】
1つ以上の実施形態において、成形用粉末は、当分野では、標準プロセスにより製造され、標準な化学的特性と物理的特性を有する金属粉末であり、関連のプロセスパラメータは、当該成形用粉末に対応して印刷する業界内標準パラメータであり、関連のプロセスパラメータおよび成形用粉末で製造した予備成形体には、僅かなクラックなどの欠陥が発生し、またはほぼ発生しない。一実施形態において、欠陥領域10および成形領域11の間を良好に接続させるために、一般的に、欠陥領域10を製造するための欠陥製造粉末材料成分と近い、または同様な粉末材料を標準粉末として選択する。
【0059】
以下、前記実施形態1により内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体を製造する1つの具体的な実施例であり、図1から図3に示すように、
Hastelloy X合金粉末を成形領域11の製造粉末として選択する。
【0060】
まず、予備成形体1におけるクラック欠陥の予め製造した領域の位置を製品中心に決定し、領域のサイズが15mm×7mm×5mmである直方体領域は、直方体領域を占めるクラック欠陥の割合が約0.2%~0.3%である。
【0061】
その後、内蔵式クラック欠陥の位置と寸法に基づき、UGモデリングソフトウェアを介して、欠陥を予め製造する領域を付加製造部品の三次元モデルから剥離して、予備成形体1の内蔵欠陥領域10と成形領域11を形成する。
【0062】
その後、予備成形体1の内蔵式予備成形クラック欠陥領域と外部成形領域に対するスライシング処理と経路計画処理を行い、2つの領域の境界の溶融池は相互に重ね継ぎし、境界を緻密かつ冶金的に結合させる。
【0063】
その後、同期粉末送給によるレーザー溶融堆積付加製造方法により予備成形体の内蔵式予備成形クラック欠陥領域を充填し、使用される粉末はプラズマ回転電極アトマイズ法で製造した高温合金粉末であり、主な化学元素の質量分率は、Ni:46%、C:0.075%、Cr:22.0%、Co:1.5%、Mo:9.5%、W:0.7%、Fe:19.0%、Mn≦0.01%、Si≦0.1%、P≦0.008%、S≦0.0015%、O≦0.015%、N≦0.005%であり、残部は他の微量元素であり、粒度は、45~150μmで、表面が滑らかである球状粉末の割合95%であり、基本的に中空粉末がない。成形プロセスパラメータは、レーザーパワーが550Wであり、走査速度が600mm/minであり、粉末送給速度が約12g/minであり、スポット径が1.2mmであり、走査ピッチが0.8mmであり、層厚さが0.2mmであり、現在の層の予備成形クラック欠陥領域の成形を完了する。その後、別の粉末送給器を用いて、成形領域の通常な成形プロセスパラメータによって現在層の外部成形領域の成形を完了する。
【0064】
その後、製品要件に基づいて熱処理を行い、組織調整溶体化処理を行い、具体的な熱処理プロセスは、真空熱処理炉を用い、熱処理プロセスは1175℃/1hであり、炉冷する。
【0065】
その後、欠陥を予め製造した付加製造部品を基板からワイヤカットで分割する。
【0066】
最後、付加製造部品に対する機械加工を行い、製品の表面品質の要件に回復し、Ra≦0.8μmである。
【0067】
検査によって、当該プロセス条件下で得られた予め製造した欠陥領域におけるクラック欠陥の割合は約0.25%で、クラック幅<45μmである。
【0068】
図4に示すように、前記方法で製造される予備成形体のクラック欠陥の研磨状態下の金属形態を示し、図4に示すように、前記方法で製造される予備成形体に複数のクラック12が自然に発生し、複数のクラック12の両側の組織構造は対応する連続特徴を有する。
【0069】
実施形態2
実施形態2には内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の製造方法が開示されている。
【0070】
図5は、本実施形態による内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体の欠陥領域部の断面を概略的に示す図であり、本実施形態において、部品修復体1aは部品本体100aおよび部品修復領域100bを含み、修復領域100bは部品本体100aにおける欠陥部位を修復するために用いられる。図6は、部品修復領域100bの断面図を示し、図7は、図5に示す予備成形体を製造するための製造方法を示すフローチャートである。
【0071】
部品修復体1aを製造するために、まず、部品本体100aの欠陥または損傷に基づいて部品修復領域100bの三次元モデルを取得するステップS201を実行することができ、ここで、三次元走査などの方式で部品修復領域100bの三次元モデルを取得することができ、当該三次元モデルは、三次元グラフィクス処理ソフトウェア、例えば、UG、AUTOCADなどのモデリングソフトウェアで示し、且つソフトウェアで分割を行うことができる。
【0072】
その後、部品本体100aを取得するステップS203を実行し、具体的には、図5に示すような実施形態において、部品本体100aにおける欠陥は冶金欠陥、加工欠陥または稼働欠陥、例えば、割れ、切り欠きなどであり、部品修復領域100bは当該切り欠きに対応的に設置される修復ブロックである。そのため、図7に示すような製造方法は、完全な部品を取得するステップS200と、完全な部品において溝を開設するステップS202と、部品本体100aを取得するステップS203と、をさらに含む。ここで、当該完全な部品は使用された後に劣化した部品であってもよく、劣化した部品における損傷部分において溝を開設することで部品本体100aを取得し、完全な部品は付加製造などの方式で取得されてもよい。当該溝は、図中に示すような台形溝または他の適切な溝、例えば、U型またはV字形溝であってもよい。ここで、溝縁の傾斜角は一般的に60°を超えず、溝底の夾角が面取りされている。図7に示すようなステップと異なる一実施形態において、部品本体100aは直接的に付加製造によって形成されてもよく、印刷すると同時に、部品本体100aに修復する必要がある欠陥を形成する。
【0073】
その後、図6に示すように、部品修復領域の三次元モデルを少なくとも1つの欠陥領域10aおよび成形領域11aに区画し、図5に示すような部品を修復した後の状態で、欠陥領域10aは部品修復体1aの内部に位置する。具体的には、欠陥領域10aの位置は、図中に示すように、部品修復領域100bの修復方向の下方にあり、よって、修復が完了した後、欠陥領域10aは部品修復体1aの内部に位置することが可能であり、図示と異なる他のいくつかの実施形態において、欠陥領域10aは成形領域11aの内部に直接的に設置されてもよい。
【0074】
その後、内蔵式クラック欠陥の体積が欠陥領域10aの体積を占める割合の大きさを指定するステップS204を実行し、当該割合の大きさはシミュレートする必要がある実際に印刷された部品における内蔵式クラック欠陥の体積が実際に印刷された部品の体積を占める割合により決定されてもよく、すなわち、(内蔵式クラック欠陥の体積/欠陥領域体積)*欠陥領域体積/予備成形体体積=実際に修復される部品における内蔵式クラック欠陥の体積/実際に修復される部品の体積、前記クラック欠陥の体積割合に基づいて、球状粉末の割合、中空粉末の割合および欠陥製造プロセスパラメータを調整する。
【0075】
その後、部品本体100aの欠陥において部品修復領域100bを層ごとに印刷するステップS206を実行し、ここで、欠陥領域10aに対応する層に対し、欠陥製造粉末を用いて、欠陥製造プロセスパラメータに従って当該所定層の欠陥領域を印刷し、成形領域11a部分は成形粉末および関連のプロセスパラメータを用いて当該所定層の成形領域を印刷する。一実施形態において、印刷する前、部品修復領域100bの外部輪郭に印刷マージンを追加する必要があり、よって部品修復領域100bと部品本体を緻密かつ冶金的に結合させる。
【0076】
具体的には、欠陥製造粉末は45から150μmの間の粒度を有し、欠陥製造粉末において、球状粉末の割合≧93%であり、中空粉末の割合<0.5%である。一実施形態において、欠陥製造粉末はプラズマ回転電極アトマイズ法により製造される。
【0077】
欠陥製造プロセスパラメータは、450~550Wのレーザーパワー、600~1200mm/minの走査速度、4~12g/minの粉末送給速度、1mm~1.2mmのスポット径、0.5~0.8mmの走査ピッチ、0.08~0.2mmの層厚さを含む。
【0078】
ここで、欠陥製造プロセスパラメータを調整することで欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を制御する。具体的には、一実施形態において、レーザーパワーと走査速度との比を減少させることで欠陥領域におけるクラック欠陥の体積割合を増加させることができる。他の実施形態において、欠陥製造プロセスパラメータの調整は試行錯誤に基づいて決定され、例えば、第N+1回の試験においてパラメータAを調整し、それで製造したクラック欠陥の体積割合が第N回の試験に対して増加するという変化傾向が見られる場合、徐々にパラメータAを調整することで所定の体積割合を得ることを実現する。他の実施形態において、さらにパラメータデータベースを提供してもよく、各回に欠陥製造プロセスパラメータを調整した後のクラック欠陥の割合の変化を記録するために用いられ、よって、パラメータデータベースにおける内容を調べて欠陥製造プロセスパラメータを調整することで、所定の割合のクラック欠陥を得ることができる。
【0079】
1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法は、
部品修復領域100bの三次元モデルにおいて区画した欠陥領域10aおよび成形領域11aに対するモデル処理を行うステップS205をさらに含み、ここで、モデル処理は、マージン追加処理、スライシング処理および経路計画処理を含むことができる。具体的には、マージン追加処理とは、欠陥領域10aおよび成形領域11aの外周輪郭にそれぞれ印刷マージンを追加することによって、印刷過程に、欠陥領域10aおよび成形領域11aの境界を相互に冶金的溶着させることであり、当該冶金的溶着の接続方式は、2つの領域の境界の溶融池が相互に重ね継ぎするような冶金的溶着であってもよく、2つの領域の上下層が溶融して積層するような冶金溶着であってもよい。スライシング処理とは、走査によって得られた三次元モデルをスライスで複数の層に分割し、後続に層ごとに印刷するために基礎を提供することを指す。経路計画処理とは、スライシング処理の後に形成した複数の単層において、レーザーの走査経路を計画することである。ここで、各単層における欠陥領域10aおよび成形領域11aに対して、異なる粉末送給器およびレーザー発生器を用いてもよく、印刷方式は各単層における欠陥領域10aおよび成形領域11aを順番に印刷してもよく、同期に印刷してもよい。
【0080】
1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法は、印刷が完了した部品修復体1aに対する熱処理を行うステップS207をさらに含み、具体的には、応力除去熱処理または組織調整溶体化処理などであってもよい。
【0081】
1つ以上の実施形態において、内蔵式クラック欠陥を有する予備成形体の製造方法は、印刷が完了した予備成形体に対する表面処理を行うステップS208をさらに含み、具体的には、部品修復体1aに対する研磨または機械加工を行うことによって、製品の表面品質の要件に回復することができる。
【0082】
1つ以上の実施形態において、成形用粉末は、当分野では、標準プロセスにより製造され、標準な化学的特性と物理的特性を有する金属粉末であり、関連のプロセスパラメータは、当該成形用粉末に対応して印刷する業界内標準パラメータであり、関連のプロセスパラメータおよび成形用粉末で製造した予備成形体には、僅かなクラックなどの欠陥が発生し、またはほぼ発生しない。一実施形態において、欠陥領域10aおよび成形領域11aの間を良好に接続させるために、一般的に、欠陥領域10aを製造するための欠陥製造粉末材料成分が近い粉末材料を標準粉末として選択する。
【0083】
以下、前記実施形態2により内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体1aを製造する1つの具体的な実施例であり、図5から図7に示すように、
GH3536合金粉末を修復領域の製造粉末として選択する。
【0084】
まず、GH3536鍛造品には切り欠きが存在する損傷領域に対する機械加工を行って溝を開設し、溝の形状は、図5に示すように、溝縁の傾斜角は約45°、寸法は約上底は17mmであり、下底は10mmであり、高は7mmで、幅は7mmである台形溝、部品本体100aを取得する。
【0085】
その後、溝を開設した領域を三次元走査によって部品修復領域100bの三次元構造モデルを取得し、
その後、GH3536鍛造品において、鍛造品100aの表面からクラック欠陥領域10aの上部表面の深さは17mmであることを指定し、図5に示すように、予め製造した欠陥領域10aにおけるクラック欠陥の割合は約1.45%~1.55%である。
【0086】
その後、予備成形クラック欠陥の位置と割合に基づき、CADモデリングソフトウェアを介して、台形溝の三次元モデルに対する区画を行い、下部の予め製造した欠陥領域10aと上部成形領域11aを形成する。
【0087】
その後、部品修復体1aの内蔵式クラック欠陥領域と外部成形領域に対するスライシング処理と経路計画処理を行い、2つの領域の境界の溶融池は相互に重ね継ぎし、境界を緻密かつ冶金的に結合させる。
【0088】
欠陥を予め製造した領域の三次元モデルに対してマージンを追加し、台形溝の斜辺全体に対しては約半分のスポットのマージンを追加し、それにより台形溝の辺は部品本体に当接して緻密な冶金溶着となり、下部の予備成形クラック欠陥領域と上部成形領域三次元モデルのスライシング処理と経路計画処理を行う。
【0089】
その後、同期粉末送給によるレーザー溶融堆積付加製造方法により予備成形体の内蔵式予備成形クラック欠陥領域を充填し、使用される粉末はプラズマ回転電極アトマイズ法で製造したGH3536高温合金粉末であり、主な化学元素の質量分率は、Ni:49%、C:0.085%、Cr:22.5%、Co:2.0%、Mo:8.5%、W:0.5%、Fe:17.0%、Mn≦0.01%、Si≦0.1%、P≦0.008%、S≦0.0015%、O≦0.015%、N≦0.005%、残部は他の微量元素であり、粒度は、45~150μmで、表面が滑らかである球状粉末の割合は95%であり、基本的に中空粉末がない。成形プロセスパラメータは、レーザーパワーが450Wであり、走査速度が1200mm/minであり、粉末送給速度が4g/minであり、スポット径が1mmであり、走査ピッチが0.5mmであり、層厚さが0.08mmであり、所定の高さに充填される場合、予備成形クラック欠陥領域の成形を完了する。その後、通常な成形プロセスパラメータを用いて上部成形領域製品の成形を完了する。
【0090】
その後、真空応力除去熱処理を行い、熱処理プロセスは650℃/4hであり、炉冷する。
【0091】
最後、付加製造による欠陥を予め製造する領域の表面を研磨し、製品の表面品質の要件Ra≦0.6μmに回復する。
【0092】
検査によると、GH3536鍛造品のレーザー溶融堆積修復体における予め製造した欠陥領域におけるクラック欠陥の割合は約1.50%であり、クラック幅<50μmである。
【0093】
図8は、前記方法で製造される予備成形体のクラック欠陥の研磨状態下の金属形態を示し、前記方法で製造される予備成形体に複数のクラック12aが自然に発生し、複数のクラック12aの組織構造は対応する連続特徴を有すると共に、実施形態2におけるレーザーパワーと粉末送給速度の比は実施形態1での対応値より小さいため、図4に比べて、図8においてより多くのクラック欠陥が発生した。
【0094】
前記実施形態によれば、内蔵式クラック欠陥を有する部品修復体におけるクラック欠陥に対するシミュレーションを実現することによって、自然に生じたクラック欠陥を有する部品修復体を得て、内蔵式クラック欠陥と付加製造部品修復体の確実性との関係をさらに分析でき、金属付加製造成形の応用に強い理論的裏付けを提供し、広い研究と利用の将来性を有する。
【0095】
本発明は、好ましい実施例によって前記の通り開示されたが、本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、種々の変更や修正をすることができる。そのため、本発明の技術的解決手段の内容から逸脱しない限り、本発明の技術趣旨に基づいて以上の実施例に対して行われたいかなる修正、等価物による変更および修飾は、全て本発明の請求項に限定される範囲には含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】