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特表2023-516742耐コーヒーステインセルロース構造ならびに関連する容器および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】耐コーヒーステインセルロース構造ならびに関連する容器および方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 29/00 20060101AFI20230413BHJP
   D21H 19/82 20060101ALI20230413BHJP
   B65D 3/22 20060101ALI20230413BHJP
   B65D 65/42 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
B32B29/00
D21H19/82
B65D3/22 A
B65D65/42 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553166
(86)(22)【出願日】2021-01-25
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 US2021014844
(87)【国際公開番号】W WO2021178070
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/984,872
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504376810
【氏名又は名称】ウエストロック・エム・ダブリュー・ヴイ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジエビン・パン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・パーカー
(72)【発明者】
【氏名】ナターシャ・ジー・メルトン
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4L055
【Fターム(参考)】
3E086AD06
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA18
3E086BA24
3E086BA25
3E086BA29
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3E086BB71
3E086BB74
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4L055GA05
(57)【要約】
第1の主面および第1の主面とは反対の第2の主面を備えるセルロース基材と、セルロース基材の第2の主面上の油バリア層と、セルロース基材の第2の主面上の水バリア層とを含み、油バリア層が、セルロース基材と水バリア層との間に配設される、セルロース構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面および前記第1の主面とは反対の第2の主面を備えるセルロース基材と、
前記セルロース基材の前記第2の主面上の油バリア層と、
前記セルロース基材の前記第2の主面上の水バリア層とを備え、前記油バリア層が、前記セルロース基材と前記水バリア層との間に配設される、
セルロース構造。
【請求項2】
前記油バリア層が、親水性または水溶性である、請求項1に記載のセルロース構造。
【請求項3】
前記油バリア層が、前記水バリア層に隣接している、請求項1または2に記載のセルロース構造。
【請求項4】
前記油バリア層が、前記セルロース基材に隣接している、請求項1または2に記載のセルロース構造。
【請求項5】
前記セルロース基材と前記油バリア層との間に配設される1つまたは複数の追加のコーティング層を更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項6】
前記油バリア層と前記水バリア層との間に配設される1つまたは複数の追加のコーティング層を更に備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項7】
前記セルロース基材の前記第1の主面に1つまたは複数の追加のコーティング層を更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項8】
前記油バリア層が、実質的にポリビニルアルコールから成る、請求項1から7のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項9】
前記油バリア層が、実質的にカルボキシメチルセルロースから成る、請求項1から7のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項10】
前記油バリア層が、実質的にナトリウムカルボキシメチルセルロースから成る、請求項1から7のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項11】
前記油バリア層が、実質的にアルギナートから成る、請求項1から7のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項12】
前記油バリア層が、実質的にミクロフィブリル化セルロースから成る、請求項1から7のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項13】
前記油バリア層が、顔料を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項14】
前記顔料が、粘土および炭酸カルシウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載のセルロース構造。
【請求項15】
前記顔料が、第1の顔料および第2の顔料を含む、請求項13に記載のセルロース構造。
【請求項16】
前記油バリア層が、乾燥量基準で、少なくとも約0.5 lb/3000ftのコート重量を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項17】
前記油バリア層が、乾燥量基準で、約0.5 lb/3000ftから約4 lb/3000ftにわたるコート重量を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項18】
前記油バリア層が、乾燥量基準で、約1 lb/3000ftから約3 lb/3000ftにわたるコート重量を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項19】
前記油バリア層が、乾燥量基準で、約1.5 lb/3000ftから約2.5 lb/3000ftにわたるコート重量を有する、請求項1から18のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項20】
前記水バリア層が、単層を備える、請求項1から19のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項21】
前記水バリア層が、少なくとも2つの層を備える、請求項1から19のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項22】
前記水バリア層が、結合剤および顔料を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項23】
前記水バリア層における前記顔料の前記結合剤に対する比率が、重量で多くとも1:1である、請求項22に記載のセルロース構造。
【請求項24】
前記水バリア層における前記顔料の前記結合剤に対する比率が、重量で少なくとも約1:1.5から約1:6である、請求項22に記載のセルロース構造。
【請求項25】
前記水バリア層における前記顔料の前記結合剤に対する比率が、重量で少なくとも約1:2から約1:4である、請求項22に記載のセルロース構造。
【請求項26】
前記結合剤が、ラテックスを含む、請求項22から25のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項27】
前記結合剤が、水ベースのアクリルポリマーエマルジョンを含む、請求項26に記載のセルロース構造。
【請求項28】
前記水ベースのアクリルポリマーエマルジョンが、約25℃から約50℃にわたるガラス転移温度を有する、請求項27に記載のセルロース構造。
【請求項29】
前記顔料が、粘土および炭酸カルシウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項22から28のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項30】
前記顔料が、第1の顔料および第2の顔料を含む、請求項22から29のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項31】
前記顔料が、重質炭酸カルシウムを含み、かつ前記重質炭酸カルシウムの多くとも約60パーセントが、2ミクロンより小さい粒度を有する、請求項22から30のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項32】
前記顔料が、板状粘土を含む、請求項22から31のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項33】
前記板状粘土が、少なくとも約40:1の平均アスペクト比を有する、請求項32に記載のセルロース構造。
【請求項34】
前記板状粘土が、少なくとも約30:1の平均アスペクト比を有する、請求項32に記載のセルロース構造。
【請求項35】
前記板状粘土が、少なくとも約20:1の平均アスペクト比を有する、請求項32に記載のセルロース構造。
【請求項36】
前記水バリア層が、乾燥量基準で、少なくとも約4 lb/3000ftのコート重量を有する、請求項1から35のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項37】
前記水バリア層が、乾燥量基準で、約4 lb/3000ftから約20 lb/3000ftにわたるコート重量を有する、請求項1から36のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項38】
前記水バリア層が、乾燥量基準で、約6 lb/3000ftから約16 lb/3000ftにわたるコート重量を有する、請求項1から37のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項39】
前記水バリア層が、乾燥量基準で、約8 lb/3000ftから約12 lb/3000ftにわたるコート重量を有する、請求項1から38のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項40】
前記セルロース基材が、板紙を備える、請求項1から39のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項41】
前記板紙が、固体漂白硫酸塩を含む、請求項40に記載のセルロース構造。
【請求項42】
前記セルロース基材が、少なくとも約25 lb/3000ftの坪量を有する、請求項1から41のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項43】
前記セルロース基材が、約60 lb/3000ftから約400 lb/3000ftにわたる坪量を有する、請求項1から42のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項44】
前記セルロース基材が、約80 lb/3000ftから約300 lb/3000ftにわたる坪量を有する、請求項1から43のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項45】
前記セルロース基材が、約2ポイントから約30ポイントにわたるキャリパを有する、請求項1から44のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項46】
前記セルロース基材が、約8ポイントから約24ポイントにわたるキャリパを有する、請求項1から45のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項47】
前記セルロース基材が、約12ポイントから約20ポイントにわたるキャリパを有する、請求項1から46のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項48】
多くとも約20g/mの30分水コッブ評価を有する、請求項1から47のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項49】
多くとも約10g/mの30分水コッブ評価を有する、請求項1から48のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項50】
多くとも約5g/mの30分水コッブ評価を有する、請求項1から49のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項51】
多くとも約30g/mの30分コーヒーコッブ評価を有する、請求項1から50のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項52】
多くとも約20g/mの30分コーヒーコッブ評価を有する、請求項1から51のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項53】
多くとも約10g/mの30分コーヒーコッブ評価を有する、請求項1から52のいずれか一項に記載のセルロース構造。
【請求項54】
請求項1から53のいずれか一項に記載のセルロース構造を備える容器。
【請求項55】
容器であって、
上端部分および下端部分を有する側壁と、
前記側壁の前記下端部分に接続される底壁と
を備え、
少なくとも前記底壁が、
セルロース基材と、
前記セルロース基材上の油バリア層と、
水バリア層であって、前記油バリア層が前記セルロース基材と前記水バリア層との間に配設されるように前記油バリア層にわたって配設される、水バリア層と
を備える、セルロース構造を備える、容器。
【請求項56】
前記容器が、カップである、請求項55に記載の容器。
【請求項57】
前記容器が、板紙基材を備える、請求項55または56に記載の容器。
【請求項58】
前記板紙基材が、固体漂白硫酸塩である、請求項57に記載の容器。
【請求項59】
セルロース基材に油バリアコーティング配合を塗布して、油バリア層を形成するステップであって、前記油バリアコーティング配合は、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、およびミクロフィブリル化セルロースのうちの少なくとも1つを含む、油バリア層を形成するステップと、
前記油バリア層にわたって水バリアコーティング配合を塗布して、水バリア層を形成するステップとを含み、
前記油バリア層が、水バリア層と前記セルロース基材との間に配設される、
セルロース構造を製造するための方法。
【請求項60】
前記油バリアコーティング配合を塗布するステップが、ロッドコータによって行われる、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記水バリアコーティング配合を塗布するステップが、ブレードコータによって行われる、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
前記油バリアコーティング配合を乾燥させるステップを更に含む、請求項59から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記水バリアコーティング配合を乾燥させるステップを更に含む、請求項59から62のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2020年3月4日に出願された米国仮特許出願第62/984,872号の優先権を主張する。
【0002】
本出願は、セルロース構造を対象とし、より詳細には、耐コーヒーステインセルロース構造を対象とする。
【背景技術】
【0003】
セルロース構造は、様々な包装用途に使用される。例えば、飲料容器、冷凍食品、シリアルならびに多様な他の食品および非食品消費財を包装するために、コーティングされた無漂白板紙が使用される。外食産業および消費者製品における各種の包装オプションのために、他の形態のコーティングされたセルロース構造が使用される。
【0004】
持続可能性は、食品または外食産業向け用途のための新たな包装の開発における主要な原動力の1つである。低密度ポリエチレン(LDPE)押出コーティングを施したセルロース構造は、外食産業用包装、特に紙コップのための主要な材料の1つであるが、しかしながら、それらは、使用後に容易にリサイクル可能でなく、環境への影響に関するますます多くの懸念を引き起こしている。水性コーティングでコーティングされたセルロース構造は、一般に再パルプ化可能かつリサイクル可能とみなされ、したがって、より持続可能である。しかしながら、水性コーティングされたセルロース構造から作られる紙コップは、LDPEコーティングされたカップから作られるカップと同じレベルの性能を発揮しない。技術的課題の1つが、水性コーティングされたカップ底が通常はカップ底の折縁に沿って、割れ、コーヒー染み、および最悪の場合には漏れさえも見せるということである。
【0005】
したがって、当業者は、セルロース構造の分野における研究開発努力を続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示されるものは、水バリア層と油バリア層とを有するセルロース構造である。
【0007】
1つの例では、開示されるセルロース構造は、第1の主面および第1の主面とは反対の第2の主面を有するセルロース基材と、セルロース基材の第2の主面上の油バリア層と、セルロース基材の第2の主面上の水バリア層とを含み、油バリア層は、セルロース基材と水バリア層との間に配設される。
【0008】
更に開示されるものは、開示されるセルロース構造から製造される、カップなどの容器である。
【0009】
1つの例では、開示される容器は、上端部分および下端部分を有する側壁と、側壁の下端部分に接続される底壁とを含み、少なくとも底壁は、セルロース基材と、セルロース基材上の油バリア層と、油バリア層にわたって配設される水バリア層とを含むセルロース構造を含む。
【0010】
更に開示されるものは、油と水の両方のバリア性を有するセルロース構造を製造するための方法である。
【0011】
1つの例では、セルロース構造を製造するための開示される方法は、(1)セルロース基材に油バリアコーティング配合を塗布して、油バリア層を形成するステップであって、油バリアコーティング配合は、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、およびミクロフィブリル化セルロースのうちの少なくとも1つを含む、油バリア層を形成するステップと、(2)油バリア層にわたって水バリアコーティング配合を塗布して、水バリア層を形成するステップとを含み、油バリア層は、水バリア層とセルロース基材との間に配設される。
【0012】
開示された耐コーヒーステインセルロース構造ならびに関連する容器および方法の他の例は、以下の詳細な説明、添付の図面および添付の特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】開示されるセルロース構造を使用して製造することができる容器(例えば、カップ)の1つの例の断面立面図である。
図2図1の容器の上面図である。
図3図1の容器の側壁を形成するためにマンドレルの周りに巻き付けられ得る打抜きブランクの平面図である。
図4】開示されるセルロース構造の1つの例の概略断面図である。
図5】開示されるセルロース構造の別の例の概略断面図である。
図6】開示されるセルロース構造の別の例の概略断面図である。
図7】水バリア(2層)コーティングされた板紙を備えるカップ底を有する2つの対照カップの写真である。
図8】水バリア(1層)および油バリア層コーティングされた板紙を備えるカップ底を有する2つの実施例カップの写真である。
図9】水バリア(2層)および油バリア層コーティングされた板紙を備えるカップ底を有する2つの実施例カップの写真である。
図10】水バリア(2層)コーティングされた板紙を備えるカップ底を有する幾つかの対照カップの写真を含む。
図11】水バリア(2層)および油バリア層コーティングされた板紙を備えるカップ底を有する幾つかの実施例カップの写真を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
開示されるものは、従来の水性コーティングされたセルロース構造および関連する容器と比較して、食品および飲料、特にコーヒーおよび紅茶との接触により有意に染みができにくいセルロース構造および関連する容器である。
【0015】
開示されるセルロース構造は、セルロース基材の主面上に(例えば、直接隣接して)油バリア層を配設し、次いで油バリア層がセルロース基材と水バリア層との間に配設されるように油バリア層にわたって(例えば、直接隣接して)水バリア層を塗布することによって製造することができる。そのようなバリア層の組合せは、水性コーティングされたセルロース系材料から作られるカップのカップ底折縁割れ、染みまたは漏れさえも最小限にするように機能し得る。それゆえに、開示されるセルロース構造から製造される容器は、熱い飲料(例えば、コーヒー)、熱い食物(例えば、スープ)、結束ラップおよび柔軟型包装を保持するために特に十分に適し得る。
【0016】
図1および図2を参照すると、開示されるセルロースベースの容器の1つの例が、全体的に10で表されており、上端部分14および下端部分16を有する側壁12、ならびに側壁12の下端部分16に接続される(例えば、ヒートシールされる)底壁18を含み、それによって容器10内の内容積20を定めてよい。側壁12の上端部分14は、内容積20への開口22を定めてよい。任意選択で、側壁12の上端部分14は、容器10に蓋(図示せず)等を固定するためなどの、口縁24(例えば、巻込み口縁)を追加的に含んでよい。
【0017】
容器10が円錐台状の側壁12を有する背が高いカップ(例えば、12オンス、16オンス、21オンスまたは24オンスの使い捨ての持ち帰り用カップ)として図1に図示されるが、当業者は、開示される容器10が、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な形状、サイズおよび構成で製造され得、かつ上述した側壁12および底壁18より少ないまたは多い壁で製造され得ることを認識するであろう。
【0018】
図2に図示されるように、容器10の側壁12は、所望の輪郭に切断され、次いでマンドレル(図示せず)の周りに巻き付けられたブランク30(図3)から組み立てられてよい。ブランク30がマンドレルの周りに巻き付けられている間、ブランク30の第1の端部32がブランク30の第2の端部34に重なり、重なり合う端部32、34は接続され(例えば、ヒートシーリングによって)、それによって側壁12の上端部分14から下端部分16に延びる継目36を定めてよい。一旦側壁12が組み立てられると、底壁18が側壁12の下端部分16に接続され(例えば、ヒートシールされ)て、折縁19を作成し、それによって容器10を生成してよい。
【0019】
図4を参照すると、容器10の底壁18は、第1の主要面42および第2の主要面44を有するセルロース構造40から製造されてよい。セルロース構造40の第1の主要面42は容器10の外面26に相当してよい。セルロース構造40の第2の主要面44は容器10の内面28に相当してよい。
【0020】
セルロース構造40は、第1の主面48および第2の主面50を有するセルロース基材46を含む層状構造でよい。油バリア層54が水バリア層52とセルロース基材46との間に配設されるように、水バリア層52および油バリア層54がセルロース基材46の主面(例えば、第2の主面50)に塗布されてよい。水バリア層52は、セルロース構造40の主要面(例えば、第2の主要面44)を、したがって容器10の内面28を定めてよい。
【0021】
この点で、当業者は、様々な追加のコーティング層が、バリアまたは非バリアを問わず、本開示の範囲から逸脱することなく、セルロース基材46と油バリア層54との間の第2の主面50の上で、油バリア層54と水バリア層52との間で、またはセルロース基材46の第1の主面48上で、セルロース構造40に組み込まれ得ることを認識するであろう。1つの変形例では、図5に図示されるように、セルロース構造40’は、水バリア層52’と油バリア層54’との間にベースコート45を含んでよい。別の変形例では、図5に図示されるように、セルロース構造40’は、油バリア層54’とセルロース基材46’との間にベースコート47を含んでよい。別の変形例では、図5に図示されるように、セルロース構造40’は、セルロース基材46’の第1の主面48’上にベースコート49(バリアまたは非バリア、一層または多層)を含んでよい。更に別の変形例では、図5に図示されるように、セルロース構造40’は、水バリア層52’と油バリア層54’との間に第1のベースコート45を、および油バリア層54’とセルロース基材46’との間に第2のベースコート47を含んでよい。別の変形例では、図5に図示されるように、セルロース構造40’は、水バリア層52’と油バリア層54’との間に第1のベースコート45を、油バリア層54’とセルロース基材46’との間に第2のベースコート47を、およびセルロース基材46’の第1の主面48’上に第3のベースコート49を含んでよい。他の組合せ、構成の変形例および追加のベースコート層が、本発明の範囲から逸脱することなく想定される。
【0022】
図6を参照すると、セルロース構造40は、容器10の形成中に水バリア層52に微小亀裂58を呈し得る。微小亀裂58は油バリア層54に至るまで生じ得るが、油バリア層54は無傷のままであり得る。水バリア層52における微小亀裂58は、水バリア層52の機能の喪失にも、油バリア層54の機能の喪失にも至ることはないかもしれない。言い換えれば、水バリア層52における微小亀裂58は、まだ水を浸透させないほどに十分小さいかもしれないが、コーヒーオイルおよび/または添加物などの、より攻撃的な分子は、微小亀裂に浸透することがあり、その場合、油バリア層54が、コーヒーオイルおよび/または添加物が繊維基材に染みるのを妨げ得る。
【0023】
図4に戻って参照すると、セルロース構造40のセルロース基材46は、水バリア層52および油バリア層54でコーティングされることが可能である任意のセルロース系材料であってよい(またはそれを含んでよい)。当業者は、セルロース基材46が漂白済または無漂白でよいことを認識するであろう。1つの非限定的な例では、セルロース基材は板紙でよい。別の非限定的な例では、セルロース基材は固体漂白硫酸塩(SBS)でよい。適切なセルロース基材の例には、紙、中芯原紙、ライナボードおよび無漂白クラフトを含む。
【0024】
セルロース基材46は、3000ft当たり少なくとも約25ポンドの非コーティング坪量を有してよい。1つの表現では、セルロース基材46は、3000ft当たり約40ポンドから3000ft当たり約400ポンドにわたる非コーティング坪量を有してよい。別の表現では、セルロース基材46は、3000ft当たり約60ポンドから3000ft当たり約400ポンドにわたる非コーティング坪量を有してよい。別の表現では、セルロース基材46は、3000ft当たり約80ポンドから3000ft当たり約300ポンドにわたる非コーティング坪量を有してよい。別の表現では、セルロース基材46は、3000ft当たり約90ポンドから3000ft当たり約250ポンドにわたる非コーティング坪量を有してよい。更に別の表現では、セルロース基材46は、3000ft当たり約100ポンドから3000ft当たり約200ポンドにわたる非コーティング坪量を有してよい。
【0025】
更には、セルロース基材46は、例えば約2ポイントから約30ポイント(0.002インチから0.030インチ)にわたるキャリパ(厚さ)を有してよい。1つの表現では、キャリパ範囲は約8ポイントから約24ポイントである。別の表現では、キャリパ範囲は約12ポイントから約20ポイントである。
【0026】
適切なセルロース基材46の1つの具体的な非限定例が、Atlanta、GeorgiaのWestRock Companyによって製造される、13ポイント、3000ft当たり150ポンドSBS TruServ(商標)カップ原料である。適切なセルロース基材46の別の具体的な非限定例は、WestRock Companyによって製造される、18ポイント、3000ft当たり185ポンドSBS TruServ(商標)カップ原料である。
【0027】
図4に戻って参照すると、水バリア層52は、油バリア層54にわたって配設される。油バリア層54にわたって水バリア層52を形成するために、ペーパーマシン上のまたはオフマシンコータとしての1つまたは複数のコータなど、様々な技術が使用されてよい。加熱されると、ヒートシールコーティングは、それが接触する製品の他の領域への接着を提供する。適切な方法の1つの具体的な非限定例が、水バリア層52を塗布するためにブレードコータを使用することである。
【0028】
水バリア層52は、乾燥量基準で様々なコート重量でセルロース基材46に塗布されてよい。1つの表現では、水バリア層52は、乾燥時に3,000ft当たり少なくとも約4ポンドのコート重量で塗布されてよい。別の表現では、水バリア層52は、乾燥時に3,000ft当たり約4ポンドから3,000ft当たり約20ポンドのコート重量で塗布されてよい。別の表現では、水バリア層52は、乾燥時に3,000ft当たり約6ポンドから3,000ft当たり約16ポンドのコート重量で塗布されてよい。更に別の表現では、水バリア層52は、乾燥時に3,000ft当たり約8ポンドから3,000ft当たり約12ポンドのコート重量で塗布されてよい。
【0029】
水バリア層52は結合剤および顔料を含んでよい。水バリア層52は、単層を含んでよく、または本発明の範囲から逸脱することなく少なくとも2つの層を含んでよい。1つの表現では、顔料の結合剤に対する比率は、1(重量)部結合剤当たり多くとも1(重量)部顔料でよい。別の表現では、顔料の結合剤に対する比率は、重量で約1:1から約1:9でよい。別の表現では、顔料の結合剤に対する比率は、重量で約1:1.5から約1:6であることができる。更に別の表現では、顔料の結合剤に対する比率は、重量で約1:2から約1:4であることができる。
【0030】
1つの特定の実装例では、水バリア層52の結合剤は水性結合剤でよい。1つの一般的な非限定例として、結合剤はラテックスでよい。別の一般的な非限定例として、結合剤は、約25℃から約50℃(例えば、約28℃から約32℃)にわたるガラス転移温度を有する水ベースのアクリルポリマーエマルジョンでよい。適切な結合剤の具体的な非限定例がTable 2(表2)に提示される。スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンアクリル酸(EAA)、ポリビニルアセテート(PVAC)、ポリビニルアクリル、ポリエステル分散液およびその組合せなど、他の水性結合剤も想定される。
【0031】
水バリア層52の顔料成分は様々な材料でよい(またはそれらを含んでよい)。適切な無機顔料の2つの非限定例がTable 1(表1)に提示される。プラスチック顔料、二酸化チタン顔料、タルク顔料等など、他の顔料が、本開示の範囲から逸脱することなく使用されてよい。
【0032】
1つの変形例では、水バリア層52の顔料成分は粘土顔料でよい。1つの例として、粘土顔料は、高アスペクト比板状粘土(例えば、少なくとも60:1の平均アスペクト比など、少なくとも40:1の平均アスペクト比)など、板状粘土でよい。別の例として、粘土顔料は、高アスペクト比板状粘土(例えば、少なくとも50:1の平均アスペクト比など、少なくとも30:1の平均アスペクト比)など、板状粘土でよい。更に別の例として、粘土顔料は、高アスペクト比板状粘土(例えば、少なくとも25:1の平均アスペクト比など、少なくとも20:1の平均アスペクト比)など、板状粘土でよい。
【0033】
別の変形例では、水バリア層52の顔料成分は炭酸カルシウム(CaCO)顔料でよい。1つの例として、CaCO顔料は、粒子の約60パーセントが2ミクロン未満である粒度分布を持つ重質炭酸カルシウムでよい。
【0034】
更に別の変形例では、水バリア層52の顔料成分は、炭酸カルシウム顔料と粘土顔料の両方を含む顔料混合物でよい。
【0035】
図4に戻って参照すると、油バリア層54は、セルロース基材46の第2の主面50になど、セルロース基材46に塗布されてよい。油バリア層54は、ペーパーマシン上のまたはオフマシンコータとしての1つまたは複数のコータなど、任意の適切な方法を使用してセルロース基材46の第2の主面50に塗布されてよい。適切な方法の1つの具体的な非限定例が、油バリア層54を塗布するためにロッド番号040を使用するロッドコータを使用することである。
【0036】
油バリア層54は、親水性または水溶性でよく、かつ1つまたは複数のポリマーを含んでよい。1つの表現では、油バリア層54はポリビニルアルコール(PVOH)を含んでよい。適切なPVOHの1つの具体的な非限定例が、Houston、TexasのKuraray America Incorporatedによって供給される変性PVOH樹脂、Exceval(商標)HR-3010である。別の表現では、油バリア層54はカルボキシメチルセルロース(CMC)を含んでよい。別の表現では、油バリア層54はナトリウム(Na)カルボキシメチルセルロースを含んでよい。ナトリウムカルボキシメチルセルロースの1つの具体的な非限定例が、Atlanta、GeorgiaのCP Kelco U.S. Incorporatedによって供給される精製低粘性ナトリウムカルボキシメチルセルロース、Finnfix(登録商標)BBP H15Sである。別の表現では、油バリア層54はアルギナート(alginate)を含んでよい。更に別の表現では、油バリア層54はミクロフィブリル化セルロース(MFC)を含んでよい。タンパク質、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)およびその組合せなど、他の水溶性ポリマーも想定される。
【0037】
油バリア層54は、乾燥量基準で様々なコート重量でセルロース基材46に塗布されてよい。1つの表現では、油バリア層54は、乾燥時に3,000ft当たり少なくとも約0.5ポンドのコート重量で塗布されてよい。別の表現では、油バリア層54は、乾燥時に3,000ft当たり約0.5ポンドから3,000ft当たり約4.0ポンドのコート重量で塗布されてよい。別の表現では、油バリア層54は、乾燥時に3,000ft当たり約1.0ポンドから3,000ft当たり約3.0ポンドのコート重量で塗布されてよい。別の表現では、油バリア層54は、乾燥時に3,000ft当たり約1.5ポンドから3,000ft当たり約2.5ポンドのコート重量で塗布されてよい。更に別の表現では、油バリア層54は、乾燥時に3,000ft当たり約0.5ポンドから3,000ft当たり約2.0ポンドのコート重量で塗布されてよい。
【0038】
油バリア層54は顔料を更に含んでよい。油バリア層54の顔料成分は様々な材料でよい(またはそれらを含んでよい)。適切な無機顔料の2つの非限定例がTable 1(表1)に提示される。プラスチック顔料、二酸化チタン顔料、タルク顔料等など、他の顔料が、本開示の範囲から逸脱することなく使用されてよい。
【0039】
1つの変形例では、油バリア層54の顔料成分は粘土顔料でよい。1つの例として、粘土顔料は、高アスペクト比板状粘土(例えば、少なくとも60:1の平均アスペクト比など、少なくとも40:1の平均アスペクト比)など、板状粘土でよい。別の例として、粘土顔料は、高アスペクト比板状粘土(例えば、少なくとも50:1の平均アスペクト比など、少なくとも30:1の平均アスペクト比)など、板状粘土でよい。更に別の例として、粘土顔料は、高アスペクト比板状粘土(例えば、少なくとも25:1の平均アスペクト比など、少なくとも20:1の平均アスペクト比)など、板状粘土でよい。他の適切な粘土には、カオリン、ベントナイト、焼成粘土等を含むが、これらに限定されない。
【0040】
別の変形例では、油バリア層54の顔料成分は炭酸カルシウム(CaCO)顔料でよい。1つの例として、CaCO顔料は、粒子の約60パーセントが2ミクロン未満である粒度分布を持つ粗砕CaCOでよい。
【0041】
更に別の変形物では、油バリア層54の顔料成分は、炭酸カルシウム顔料と粘土顔料の両方を含む顔料混合物でよい。
【0042】
図1に戻って参照すると、容器10の側壁12も、図4に図示されるセルロース構造40または図5に図示されるセルロース構造40’など、セルロース構造から製造されてよい。しかしながら、側壁12の印刷適性がほとんどまたは全く重要でないときなどは、側壁12を形成するために様々な他のセルロース構造が使用されてよい。
【実施例
【0043】
板紙構造に関連して油バリア層にわたる水バリア層の使用を評価するために実験が行われた。1つの水バリアコーティング配合(BC-1)ならびに2つの油バリアコーティング配合(PVOHおよびCMC)が準備されて実験に使用された。水バリア層に使用された顔料はTable 1(表1)に提示される。水バリア層に使用された結合剤はTable 2(表2)に提示される。水バリアコーティング配合(BC-1)はTable 3(表3)に提示される。油バリアコーティング配合に使用されたポリマーはTable 4(表4)に提示される。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
水バリアコーティング配合は、最初に顔料スラリー(例えば、CC-1、CL-1)が攪拌されつつかき混ぜられて均一混合物を形成する標準的な混合方法によって準備された。次いで顔料スラリーへ同じく撹拌を介して結合剤(例えば、SA-1)が加えられて、水バリアコーティング配合を生成した。
【0049】
PVOH溶液は、最初に室温で攪拌しながら樹脂粉を水へ分散させることによって準備された。次いで、混合物の温度が蒸気によって90~95℃に上昇され、約30分間かき混ぜながら維持された。溶液は次いで室温に冷却され、溶液の上部に浮遊した気泡があれば取り除かれた。溶液の固形物量は、CEM SMART 6水分分析計によって10.1%と測定され、溶液の粘度は、Brookfield DV2T粘度計によって#2スピンドルを使用して100rpmで318.8cP(センチポアズ)と測定された。
【0050】
Na CMC溶液は、140°Fに調節された水にNa CMC粉をゆっくりと加えることによって準備された。溶液を30分間かき混ぜた後で準備が整った。溶液の固形物量は、CEM SMART 6水分分析計によって13.1%と測定され、溶液の粘度は、Brookfield DV2T粘度計によって#2スピンドルを使用して100rpmで1250cPと測定された。
【0051】
PVOHおよびNa CMC溶液は、3000ft当たり150ポンドの坪量を有する13ポイントSBS TruServ(商標)カップ原料に様々なコート重量で塗布されて、油バリア層を形成した。板紙基材のフェルト側に油バリアコーティング配合を塗布するために、ロッド番号040を使用するロッドコータが使用された。次いでブレードコータを使用して油バリア層にわたって水バリア(1層または2層)配合が塗布されて水バリア層を形成し、それによってサンプルカップ底を生成した。対照カップは、3000ft当たり150ポンドの坪量を有する13ポイントSBS TruServ(商標)カップ原料にブレードコータを介して様々なコート重量で塗布された水バリア(1層または2層)だけを有した。PMC(Paper Machinery Corporation)のカップマシン、モデルPMC-1250上で、カップのための側壁を使用することによってカップが作られた。実験に使用されたカップの全ての側壁は、3000ft当たり185ポンドの坪量を有する18ポイントSBS TruServ(商標)カップ原料であった。側壁は水バリア(2層)でコーティングされた。実施例および実験結果(水コッブおよびコーヒーコッブ)がTable 5(表5)に示される。
【0052】
【表5】
【0053】
したがって、板紙基材上の油バリア層にわたって水バリア層を配置することにより、油バリア層のないカップ底とほぼ同じ量の水およびコーヒーを吸収し、はじくことが可能であるバリアを提供する。実施例は、TAPPI標準T441om-04に従って測定された30分水コッブ結果によって証明されるように、優れたバリア性も呈した。大抵の場合、追加の油バリア層は、板紙構造の水バリア性を改善または少なくとも維持した。全ての実施例(Na CMC実施例を除く)が、10g/m未満であり、1つは4g/m未満の30分水コッブ評価(30-minute-water-Cobb ratings)を有した。
【0054】
Table 5(表5)に示される実施例の水バリアを評価するためにコッブ試験のホットコーヒー変形例も活用された。この試験は、23℃の水を90℃のコーヒーと置き換えるが、それ以外はTAPPI標準T441om-04に従うことによって行われた。使用したコーヒーは、12カップ用のMr. Coffeeのコーヒーメーカーにより36gのStarbucksミディアムハウスブレンドのコーヒー粉から1100mLの蒸留水で淹れることによって得られた。コーヒーは、次いで磁気攪拌棒を伴うビーカへ注がれ、55rpmでかき混ぜられつつ90℃に加熱された。Rich’sのクリーマ入りのコーヒーを試験する場合、37mLのRich’sのクリーマが3分間コーヒーにかき混ぜられた。コーヒーは、次いでカップの縁の5mm下の高さまでカップ内へ注がれた。30分待った後、カップからコーヒーが除かれ、蒸留水ですすがれた。空のカップは、次いで漏れ、染みまたは破損に対して直ちに評価された。Table 5(表5)に示される実施例の全てが、30分後に15g/m未満であり、大抵は30分後に10g/m未満の90℃コーヒーコッブ評価を有した。
【0055】
コーヒーまたはコーヒーとクリーマによる処理の直後の染みの量を評価するために、Table 5(表5)に使用された実施例の写真が撮られた。底原料(bottom stock)実施例は、底原料対照(BS-対照)、1つのPVOHの層および1つの水バリアコーティングの層を含む底原料(BS-1)、1つのPVOHの層および2つの水バリアコーティングの層を含む底原料(BS-2)、または1つのCMCの層および1つの水バリアコーティングの層を含む底原料(BS-3)であった。カップ実施例がTable 6(表6)に与えられる。
【0056】
【表6】
【0057】
図7を参照すると、油バリア層のない水バリア(2層)コーティングされた板紙を備えるカップ底を有する2つのBS-対照カップを示す写真が撮られた。これらのカップは、ホットコーヒーだけを使用して試験された。水バリア層の微小亀裂によるカップ底の折縁に沿った幾つかのコーヒー点染みが矢印によって示される。点染みの大部分がカップの外側から目立つ(図示せず)。
【0058】
図8を参照すると、板紙基材上のPVOH油バリア層にわたって水バリア(1層)を備えるBS-1カップ底を有する2つのカップを示す写真が撮られた。これらのカップは、ホットコーヒーだけを使用して試験された。カップ底の折縁に沿ったコーヒー点染みはゼロである。
【0059】
図9を参照すると、PVOH油バリア層コーティングされた板紙にわたって水バリア(2層)を備えるカップ底を有する2つのBS-2カップを示す写真が撮られた。これらのカップは、ホットコーヒーだけを使用して試験された。カップ底の折縁に沿ってコーヒー点染みがほとんどなかった(黒矢印によって示される点染みが1つ見つかった)。2つのBS-対照カップ(図7)が、油バリア層が存在しないと、複数(約5つ)のコーヒー染みを呈した一方、PVOH油バリア層を含むカップ(図8および図9)は、4つのカップのサンプルサイズにわたって1つの染みだけを呈した。図7図8および図9は、まとめると、たとえ水バリア層が微小亀裂を呈しても、油層バリアにより、コーヒーオイルおよび/または添加物がセルロース系繊維基材に達し、したがって染みるのをまだ防ぐことができることを証明する。
【0060】
図10を参照すると、油バリア層のない水バリア(2層)コーティングされた板紙を備えるカップ底を有する5つのBS-対照カップを示す写真が撮られた。これらのカップは、追加のクリーマ入りのホットコーヒーにさらされた。図10の下の2つの枠は、2つの上の枠からの1つのカップの拡大図を示す。試験された全てのBS-対照カップが、カップ底の折縁に沿った内部のコーヒー点染みおよびカップ底における激しい外部の染みを見せた。
【0061】
図11を参照すると、Na CMC油バリア層コーティングされた板紙にわたって水バリア(1層)を備えるカップ底を有する5つのカップを示す写真が撮られた。これらのカップは、追加のクリーマ入りのホットコーヒーにさらされた。図11の下の2つの枠は、2つの上の枠からの1つのカップの拡大図を示す。全てのカップが底壁の内部折縁上のコーヒー染みを見せたが、カップ底の外側の点染みは極めて少ない。図10および図11は、まとめると、水バリア層に加えてNa CMC油バリア層がカップ底の折縁の外部の染みの量を有意に低減させることができることを証明する。
【0062】
開示された耐コーヒーステイン板紙構造ならびに関連する容器および方法の様々な実施例が図示および記載されたが、当業者が本明細書を読んだ上で変更が想起され得る。本出願は、そのような変更を含み、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0063】
10 容器
12 側壁
14 上端部分
16 下端部分
18 底壁
19 折縁
20 内容積
22 開口
24 口縁
26 外面
28 内面
30 ブランク
32 第1の端部
34 第2の端部
36 継目
40 セルロース構造
40’ セルロース構造
42 第1の主要面
44 第2の主要面
45 ベースコート
46 セルロース基材
46’ セルロース基材
47 ベースコート
48 第1の主面
48’ 第1の主面
49 ベースコート
50 第2の主面
52 水バリア層
52’ 水バリア層
54 油バリア層
54’ 油バリア層
58 微小亀裂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】