(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】水和物品用包装および関連方法
(51)【国際特許分類】
A61M 39/08 20060101AFI20230413BHJP
A61L 29/04 20060101ALI20230413BHJP
A61L 29/06 20060101ALI20230413BHJP
A61L 29/14 20060101ALI20230413BHJP
A61L 29/16 20060101ALI20230413BHJP
A61L 27/16 20060101ALI20230413BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20230413BHJP
B65D 77/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A61M39/08
A61L29/04 100
A61L29/06
A61L29/14 400
A61L29/16
A61L27/16
A61L27/18
B65D77/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553186
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(85)【翻訳文提出日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 US2021021064
(87)【国際公開番号】W WO2021178785
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518221298
【氏名又は名称】アクセス・バスキュラー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Access Vascular, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ドハーティ,マーク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ドナヒュー,ダニエル ティ
(72)【発明者】
【氏名】ハンリー,ブライアン エム
(72)【発明者】
【氏名】マナリノ,マシュー エム
(72)【発明者】
【氏名】マクグラス,マイケル ジェイ
【テーマコード(参考)】
3E067
4C066
4C081
【Fターム(参考)】
3E067AA14
3E067AB83
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3E067BA12C
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4C066NN20
4C081AB34
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4C081CA181
4C081CC01
4C081CE11
4C081DA03
4C081DB03
(57)【要約】
水和物品用の包装が一般に提供される。いくつかの実施形態では、包装物品が提供される。例えば、いくつかの実施形態において、容器は、カテーテルおよび/またはポリマー材料等の物品を含む。開示された包装物品は、例えば、含有される部材に制御された湿度条件を提供すること、包装物品の一貫した水和レベルを維持すること、および/または改善された滅菌条件のために有用である。有利には、本明細書に記載された包装物品は、いくつかの実施形態において、カテーテルまたはポリマー材料の長期保管のための最小相対湿度の環境を作り、カテーテル又はポリマー材料の貯蔵寿命を延ばし、および/または、例えば、カテーテルが指定時間内に意図した寸法に水和するように、カテーテルの水和を促進し得る。このような包装物品を製造する方法もまた提供される。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイル材料を含む容器、および
ポリマー材料を含むカテーテルを含む包装物品であって、前記ポリマー材料は、2質量%以上40質量%以下の含水率を有し、
前記含水率は、前記ポリマー材料の平衡含水率より小さく、および
前記ポリマー材料は、前記平衡含水率の状態に対して5質量%以上の量で膨潤するようになっている、包装物品。
【請求項2】
ホイル材料を含む容器、および
ポリビニルアルコールを含むポリマー材料を含む包装物品であって、前記ポリマー材料は、2質量%以上40質量%以下の含水率を有し、
前記含水率は、前記ポリマー材料の平衡含水率より小さく、および
前記ポリマー材料は、前記平衡含水率の状態に対して5質量%以上の量で膨潤するようになっている、包装物品。
【請求項3】
前記ホイル材料が、水に対して実質的に不透過性である、請求項1または2に記載の包装物品。
【請求項4】
前記容器が、パウチである、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装粒子。
【請求項5】
前記容器が、気体透過性ポリマーをさらに含む、請求項1に記載の包装物品。
【請求項6】
前記気体透過性ポリマーが、高密度ポリエチレンを含む、請求項4に記載の包装物品。
【請求項7】
ヘッダー部分を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項8】
前記ヘッダー部分が、前記カテーテルの滅菌後に除去されるようになっている、請求項6に記載の包装物品。
【請求項9】
前記ヘッダー部分が、気体透過性ポリマーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項10】
湿度制御部材をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項11】
前記湿度制御部材が、流体リザーバを含む、請求項9に記載の包装物品。
【請求項12】
湿度制御部材が、湿度制御スポンジを含む、請求項9に記載の包装物品。
【請求項13】
前記ホイル材料が、アルミニウム、ポリエチレンテレフタレート、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項14】
前記ポリマー材料が、2質量%以上12質量%以下の含水率を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項15】
前記容器の前記内面の前記表面積の少なくとも80%が前記ホイル材料である、請求項1~14のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項16】
前記ポリマー材料が、2質量%以上15質量%以下の含水率を有し、
任意に、5質量%以上12質量%以下の含水率を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項17】
前記ポリマー材料が、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコール、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メタクリルスルホベタイン)、ポリ(アクリルスルホベタイン)、ポリ(メタクリルカルボキシベタイン)、ポリ(アクリルカルボキシベタイン)、ポビドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)、ポリオキサゾリン、ポリリン酸塩、ポリホスファゼン、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレングリコール、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(2-ヒドロキシメチルメタクリレート)、およびこれらの組み合わせを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の包装物品から、カテーテルを除去すること、および前記カテーテルを平衡含水率まで再水和すること、を含む方法。
【請求項19】
湿度制御部材を含む第1の容器にカテーテルを封入すること、
前記第1の容器から前記湿度制御部材を除去すること、および
a)前記カテーテルを第2の容器に封入すること、ここで前記第2の容器はホイル材を含み、または
b)前記第1の容器を再封止すること、ここで前記第1の容器は、前記ホイル材料を含む第1の部分および気体透過性ポリマーを含む第2の部分とを含む、
包装物品の製造方法。
【請求項20】
前記カテーテルを封入後、前記除去することが、0時間以上120時間以下で起こる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の容器が、高密度ポリエチレン繊維を含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記湿度制御部材が、水和カプセルを含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の容器における前記カテーテルを滅菌することをさらに含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマー材料が、前記平衡含水率の状態に対して5重量%以上の量で膨潤するようになっている、請求項1~23のいずれか一項に記載のデバイス、方法、包装物品。
【請求項25】
前記ポリマー材料が、25℃で60分以下の時間で前記平衡含水率の状態まで膨潤するようになっている、請求項1~24のいずれか一項に記載のデバイス、方法、包装物品。
【請求項26】
前記デバイスが保湿剤を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載のデバイス、方法、包装物品。
【請求項27】
前記カテーテルが、内径、外径、および長さを有し、および
前記内径および/または前記外径が長さの増加率よりも大きな割合で増加するように、前記ポリマー材料が膨潤するようになっている、請求項1~26のいずれか一項に記載のデバイス、方法、包装物品。
【請求項28】
前記カテーテルが複数の孔を有する、請求項1~27のいずれか一項に記載のデバイス、方法、包装物品。
【請求項29】
生物学的活性剤をさらに含む、請求項1~28のいずれか一項に記載のデバイス、方法、包装物品。
【請求項30】
前記生物学的活性剤が、前記デバイスの前記総重量に対して0.01重量%以上の量で前記デバイスに存在する、請求項1~29のいずれか一項に記載のデバイス、方法、包装物品。
【請求項31】
前記ポリマー材料が、前記脱水状態において5重量%未満かつ0.1重量%以上の含水率を有し、および前記ポリマー材料が、60分以下で脱水状態から平衡含水率の状態まで、5重量%以上かつ50重量%以下の量で膨潤するようになっている、請求項1~30のいずれか一項に記載のデバイス、方法、包装物品。
【請求項32】
前記デバイスがカテーテルである、請求項1~31のいずれか一項に記載のデバイス、方法、またはキット。
【請求項33】
前記時間が10分以下である、請求項1~32のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項34】
前記時間が5分以下である、請求項1~33のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項35】
前記時間が1分以下である、請求項1~34のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項36】
前記時間が30秒以下である、請求項1~35のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項37】
前記時間が10秒以下である、請求項1~36のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項38】
前記保湿剤が、糖アルコールおよび/またはポロキサマーを含む、請求項1~37のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項39】
前記保湿剤が、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、マリトール、ラクチトール、マルトトリイトール、マルトテトリトル、および/またはポリグリシトールを含む、請求項1~38のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項40】
前記保湿剤が、ポロキサマー、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、エチレングリコール、および/またはキシリトールを含む、請求項1~39のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項41】
前記保湿剤が、グリセロールを含む、請求項1~40のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項42】
0.1~30質量%の保湿剤を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項43】
1~10質量%の保湿剤を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項44】
前記保湿剤の少なくとも一部が、前記カテーテルの表面に配置されている、請求項1~43のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項45】
前記保湿剤の少なくとも一部が、前記カテーテルのバルクの内部にある、請求項1~44のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項46】
前記内径および/または前記外径が1~20%増加し、前記長さが0.1~19%増加する、請求項1~45のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項47】
前記平衡含水率の状態が、20質量%以上80質量%以下である、請求項1~46のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項48】
前記含水率が、6重量%以上40質量%以下である、請求項1~47のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項49】
前記含水率が、2重量%以上10質量%以下である、請求項1~48のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項50】
前記カテーテルが、前記複数の孔の少なくとも一部の中に位置付けられおよび前記第1の水溶性ポリマーと同じまたは異なる第2の水溶性ポリマーをさらに含む、請求項1~49のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項51】
前記ポリマー材料が、脱水状態において500MPa以上のヤング弾性率、ならびに平衡含水率の状態において300MPa以下5MPa以上のヤング弾性率を有する、請求項1~50のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項52】
前記ポリマー材料が、脱水状態において5質量%未満0.1質量%以上の含水率を有し、前記ポリマー材料が、25℃、60分以下で脱水状態から平衡含水率の状態へ5質量%以上50質量%以下の量で膨潤するようになっている、請求項1~51のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項53】
前記複数の孔が、500nm以下10nm以上の平均孔径を有する、請求項1~52のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項54】
前記複数の孔の少なくとも50%が、1μm以下の直径を有する、請求項1~53のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項55】
前記デバイスが、脱水状態から平衡含水率の状態まで、5質量%以上50質量%以下の量で膨潤するようになっている、請求項1~54のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項56】
前記デバイスが、平衡含水率の状態において0.10以下の摩擦係数を有する、請求項1~55のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項57】
前記デバイスが、前記デバイスの総重量に対して0.05質量%以上2質量%以下の量で、前記ポリマー材料に存在する浸透圧剤を含む、請求項1~56のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項58】
前記浸透圧剤が、リン酸塩、ホウ酸塩、塩化ナトリウム、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、金属酸化物、二酸化セレン、三酸化セレン、亜セレン酸、セレン酸、硝酸塩、ケイ酸塩、およびボタン酸からなる群から選択される、請求項1~57のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項59】
前記ポリマー材料が、平衡含水率の状態において45度以下の水接触角を有する、請求項1~58のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項60】
前記第1の水溶性高分子が、共有結合架橋剤を含まない、請求項1~59のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項61】
前記第1の水溶性ポリマーが、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコール、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メタクリルスルホベタイン)、ポリ(アクリルスルホベタイン)ポリ(メタクリルカルボキシベタイン)、ポリ(アクリルカルボキシベタイン)、ポビドン、ポリアクリルアミド、
ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)、ポリオキサゾリン、ポリホスフェート、ポリホスファゼン、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレングリコール、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(2-ヒドロキシメチルメタクリレート)、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~60のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項62】
前記第2の水溶性ポリマーが、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコール、またはポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メタクリルスルホベタイン)、ポリ(アクリルスルホベタイン)ポリ(メタクリルカルボキシベタイン)、ポリ(アクリルカルボキシベタイン)、ポビドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)、ポリオキサゾリン、ポリホスフェート、ポリホスファゼン、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレングリコール、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(2-ヒドロキシメチルメタクリレート)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~61のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項63】
前記デバイスが、カテーテル、バルーン、シャント、創傷ドレーン、注入ポート、薬物送達デバイス、チューブ、避妊デバイス、女性用衛生デバイス、内視鏡、グラフト、ペースメーカー、植込み型除細動器、心臓再同期デバイス、心臓血管系デバイスリード、補助人工心臓、気管内チューブ、気管切開チューブ、植込み型センサー、人工呼吸器ポンプ、眼科装置等の医療デバイスと共に使用するようになっている、請求項1~62のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項64】
前記カテーテルが、中心静脈カテーテル、末梢中心カテーテル、正中線カテーテル、末梢カテーテル、トンネル型カテーテル、透析アクセスカテーテル、導尿カテーテル、神経カテーテル、経皮経管血管形成カテーテル、および腹膜カテーテルからなる群から選択される、請求項63記載の装置、方法、包装物品。
【請求項65】
前記第2の水溶性ポリマーが、前記第1の水溶性ポリマーのバルクに配置されている、請求項1~64のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項66】
水または生理食塩水で、前記デバイスの5倍の体積を洗った後、平衡含水率で前記第1の水溶性ポリマーのバルクへの治療薬の0.5質量%未満の収着が起こる、請求項1~65のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項67】
前記デバイスおよび/またはポリマー材料が、実質的に非血栓性である、請求項1~66のいずれか一項に記載のデバイス、方法、または包装物品。
【請求項68】
湿度制御スポンジをさらに含む、請求項1~67のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項69】
水和媒体をさらに含む、請求項1~68のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項70】
前記水和媒体が、水、乳酸リンゲル液(LRS)、ブドウ糖(D5W)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、および/またはハンクス平衡食塩液(HBSS)を含む、請求項69に記載の包装物品。
【請求項71】
前記水和媒体が等張塩溶液を含む、請求項1~70のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項72】
前記包装物品が滅菌されている、請求項1~71のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項73】
使用説明書をさらに含む、請求項1~72のいずれか一項に記載の包装物品。
【請求項74】
平衡含水率の状態まで5質量%以上の量で前記ポリマー材料を膨潤することを含む、請求項18~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記膨潤が、前記カテーテルの投与後に起こる、請求項18~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記ポリマー材料の前記膨潤が、ポリマー材料が挿入されるオリフィスの大きさ以上の寸法に大きさを増大することによって、前記オリフィスの開口部を閉じる、請求項18~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記ポリマー材料の前記膨潤が止血をもたらす、請求項18~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記オリフィスが傷である、請求項18~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記膨潤が、前記カテーテルの投与前に起こる、請求項18~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記膨潤が、ある期間、前記デバイスを再水和することを含む、請求項18~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記デバイスを再水和することが、水、乳酸リンゲル液(LRS)、ブドウ糖(D5W)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、および/またはハンクス平衡食塩液(HBSS)を含む再水和媒体を用いることを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記デバイスを再水和することが、等張塩溶液を含む再水和媒体を使用することを含む、請求項18~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記ある期間が10分以下である、請求項18~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記ある期間が5分以下である、請求項18~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記ある期間が1分以下である、請求項18~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記ある期間が30秒以下である、請求項18~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記ある期間が10秒以下である、請求項18~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記ポリマー材料の前記膨潤が、前記内径および/または前記外径が、長さの増加率よりも大きな割合で増加するようになっている、請求項18~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記内径および/または前記外径が1~20%増加し、前記長さが0.1~19%増加する、請求項18~88のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は、例えば、カテーテルおよび/またはポリマー材料を含む包装物品に一般的に関する。
【背景技術】
【0002】
高強度、低血栓性、潤滑な表面特性を有し、生物学的活性剤を含む生体材料は、医療技術において有用である。生体材料の空隙率(または多孔性、または孔隙率、または空孔率;porosity)は、医療デバイス用の高強度バルク材料と生物学的活性剤の制御された溶解のためのチャネルの両方を可能にする。これらの生物学的活性特性は、バイオフィルム、微生物のコロニー形成、感染、フィブリン鞘形成、炎症、痛み、および/または腫瘍の成長を防止または低減し得て、および/または腫瘍縮小、真菌および細菌感染、炎症、および痛み等の生理学的状態を治療し得る。このようなデバイスで見られる合併症は、入院期間を長くし、患者の病的状態および死亡率を増加させる。したがって、改良されたデバイスおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
水和物品用包装が、一般に本明細書に開示されている。
【0004】
一態様として、包装物品が提供される。
【0005】
いくつかの実施形態では、包装物品は、ホイル材料を含む容器(または入れ物、またはコンテナ;container)、およびポリマー(または高分子;polymeric)材料を含むカテーテルを含み、ポリマー材料は、2質量%(またはw/w%)以上40質量%以下の含水率(または含水量、または水分量、または水分含有量;water content)を有し、含水率はポリマー材料の平衡含水率より小さく、ポリマー材料は、平衡含水率の状態に対して(または平衡含水率の状態まで、または平衡含水率の状態に)5質量%以上の量で膨潤するようになっている。
【0006】
いくつかの実施形態では、包装物品は、ホイル材料を含む容器、およびポリ(ビニル)アルコールを含むポリマー材料を含み、ポリマー材料は、2質量%以上40質量%以下の含水率を有し、含水率はポリマー材料の平衡含水率よりも小さく、ポリマー材料は平衡含水率の状態に対して5質量%以上の量で膨潤するようになっている。
【0007】
別の態様では、方法が提供される。
【0008】
いくつかの実施形態では、方法は、湿度制御部材(または成分、または構成要素;component)を含む第1の容器にカテーテルを封入する(または密封する、または閉じる、または閉じる;seal)こと、第1の容器から湿度制御部材を除去すること、および第2の容器にカテーテルを封入することを含み、第2の容器はホイル材料を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、方法は、湿度制御部材を含む第1の容器内にカテーテルを封入すること、第1の容器から湿度制御部材を除去(または取り外す;remove)すること、および第1の容器を再封止(または再封入;reseal)することを含み、第1の容器は、ホイル材料を含む第1の部分および気体(または蒸気;vapor)透過性ポリマーを含む第2の部分とを含む。
【0010】
本発明の他の利点および新規の特徴は、添付の図と合わせて考慮すると、本発明の様々な非限定的実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本明細書と参照により組み込まれる文書とが矛盾するおよび/または整合しない開示を含む場合、本明細書が支配的であるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の非限定的な実施形態は、添付の図を参照して例示的に説明されるが、これらは概略的なものであり、縮尺通りに描かれることを意図していない。図において、図示された各同一またはほぼ同一の構成要素は、典型的には、単一の数字によって表される。明瞭化のために、すべての構成要素がすべての図に表示されているわけではなく、また、当業者が本発明を理解するために図示が必要でない場合には、本発明の各実施形態のすべての構成要素が表示されているわけでもない。
【0012】
図1Aは、一連の実施形態による、例示的なデバイスの断面模式図である。
図1Bは、一連の実施形態による、複数の孔を含む例示的なデバイスの断面概略図である。
図1Cは、一連の実施形態による、複数の孔を含む例示的なデバイスの断面模式図である。
図1Dは、一連の実施形態による、浴の側面の切断図を有する連続的な形態を形成するための例示的な押出装置の概略図である。
図1Eは、一連の実施形態による、浴の外側から見た透視図でダイヘッドを描いた、
図1Dの装置の一部の拡大図である。
図1Fは、一連の実施形態による、浴中に配置されたようなダイヘッドを描いた
図1Dの装置の一部の拡大図である。
図1Gは、一連の実施形態による、例示的な装置の断面模式図である。
図2は、1組の実施形態による、膨潤前後の寸法の変化を描いたカテーテルの側面図である。
図3Aは、一連の実施形態による、多孔質固体へのポリマーのバルク組み込みのプロセスの概略図である。
図3Bは、一連の実施形態による、
図3Aの線3B-3Bに沿ってとられたチューブの一部の断面である。
図4Aは、多孔質固体に表面ポリマーをバルク組み込みの実施形態のプロセスフローチャートであり、一連の実施形態による、多孔質固体を作るための押出し工程を含む。
図4Bは、一連の実施形態による、生物学的活性剤およびポリマーを多孔質固体に組み込む実施形態のためのプロセスフローチャートである。
図5Aは、一連の実施形態による、デバイスを含む例示的な包装物品の断面模式図である。
図5Bは、一連の実施形態による、デバイスを含む例示的な包装物品の断面模式図である。
図6は、一連の実施形態による、例示的な容器の写真である。
図7は、一連の実施形態による、例示的な湿度制御部材の写真である。
図8は、一連の実施形態による、様々な条件下での例示的な物品の平衡含水率のプロットである。
図9は、一連の実施形態による、包装物品を準備する例示的な方法のフロー図である。
図10は、一連の実施形態による、カテーテルデバイスを収容するために使用されるトレイおよびキットアセンブリの写真である。
図11は、一連の実施形態による、トレイおよびキットアセンブリを包装するために使用されるタイベック(Tyvek)(登録商標)パウチの写真である。
図12は、一連の実施形態による、滅菌製品および湿度チップを含むホイルパウチの写真である。
図13Aは、一連の実施形態による、タイベック(登録商標)ヘッダーを有する密封ホイルパウチの写真である。
図13Bは、一連の実施形態による、タイベック(登録商標)ヘッダーを有する密封ホイルパウチの写真である。
図14Aは、一連の実施形態による、IR(介入型放射線治療)キットで使用するためのタイベック(登録商標)パウチの概略図である。
図14Bは、一連の実施形態による、IRキットで使用するためのホイルパウチの概略図である。
図15Aは、一連の実施形態による、看護キットおよび/またはマックスバリアキットで使用するためのホイルパウチの概略図である。
図15Bは、一連の実施形態による、看護キットおよび/またはマックスバリアキットで使用するためのホイルパウチの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
水和物品用包装が一般に提供される。いくつかの実施形態では、包装物品が提供される。例えば、いくつかの実施形態では、容器は、カテーテルおよび/またはポリマー材料等の物品を含む。開示された包装物品は、例えば、含有される部材に制御された湿度条件を提供すること、包装物品の一貫した水和レベルを維持すること、および/または改善された滅菌条件のために有用であり得る。有利には、本明細書に記載された包装物品は、いくつかの実施形態において、カテーテルまたはポリマー材料の長期保管のための最小相対湿度の環境を作り、カテーテルまたはポリマー材料の貯蔵寿命を延ばし、および/または、例えば、カテーテルが指定時間内に意図した寸法に水和するように、カテーテルの水和を促進することができる。そのような包装物品を調製する方法も提供される。包装物品は、例えば、カテーテルおよび/またはポリマー材料(ポリマー材料から全てまたは部分的に形成された他の種類の医療機器を含む)等のデバイスを含むのに有用であり得る。デバイス、カテーテル、および/またはポリマー材料は、対象(または被験者、または被験体;subject)(例えば、患者)への投与のために設計および構成されてもよい。そのようなデバイスおよび/またはポリマー材料は、実質的に非血栓性、潤滑性、および/または生体適合性であってもよい。
【0014】
本明細書に記載されるデバイスは、例えば、生物学的活性剤の投与を含む広範な用途に有用であり得る。いくつかの実施形態では、治療、抗菌、または防腐活性剤は、薬剤がバルク材料から放出されるように、デバイスのバルク材料(例えば、ポリマー材料)に組み込まれてもよい。いくつかのそのような実施形態では、生物学的活性剤は、有利には、バイオフィルム、微生物コロニー形成、感染、フィブリン鞘形成、炎症、痛み、および/または腫瘍成長を防止または低減し、および/または腫瘍縮小、真菌および細菌感染、炎症、および痛み等の生理学的状態を治療してもよい。本明細書に記載のデバイスは、場合によっては、血液接触インプラント等の生体外(ex vivo)および/または生体内(in vivo)デバイスを含む、血液接触デバイスまたは体液に接触するデバイスを作るために使用されてもよい。本明細書に記載されるデバイスが具現化され得る、または組み込まれ得る薬物送達デバイスの例としては、医療用チューブ、創傷被覆、避妊具、女性用衛生、内視鏡、移植片(例えば、6mm以下の小径を含む)、ペースメーカー、植込み型心臓除細動器、心臓再同期装置、心臓血管装置リード、心室補助装置、カテーテル(例えば、人工内耳、気管内チューブ、気管切開チューブ、ポート、シャント)、埋め込み型センサー(例えば、血管内、経皮、頭蓋内)、換気装置ポンプ、および薬剤送達システム等の眼科装置である。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるデバイスは、ボディ(または本体;body)部分を含む。例えば、
図1Aに例示的に示されるように、デバイス10は、ボディ部分20を含む。いくつかの実施形態では、ボディ部分20は、ポリマー材料から形成され、および/またはポリマー材料を含む。ポリマー材料は、第1の水溶性高分子を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤50がポリマー材料と関連付けられている。
【0016】
いくつかの実施形態では、1つ以上の生物学的活性剤は、ポリマー材料のバルク全体に存在する(例えば、ポリマー材料マトリックス全体に分布している)。例えば、いくつかの実施形態では、ボディ部分20の断面内の第1の任意セクション52は、生物学的活性剤のゼロでない濃度を含む。いくつかの実施形態では、ボディ部分20の断面内の、第1の任意セクション52とは異なる第2の任意セクション54は、生物学的活性剤のゼロでない濃度を含む。当業者であれば、本明細書の教示に基づいて、(例えば、ポリマー材料のポリマーマトリックスに埋め込まれた)ポリマー材料のバルク内の生物学的活性剤の存在は、ポリマー材料の生物学的活性剤のコーティングを意味するのではなく、対照的に、ポリマー材料のバルク全体に分布する生物学的活性剤を意味するように意図されていると理解するであろう。しかしながら、いくつかの実施形態において、生物学的活性剤を含むコーティングは、任意に存在してもよい。セクションの例は、以下でより詳細に説明される。
【0017】
図1Aのボディ部分20、セクション52およびセクション54は円形として描かれているが、当業者であれば、本明細書に開示される実施形態におけるボディ部分および他のセクションは円形である必要はなく、他の断面形状(例えば、平面状、長方形、正方形、楕円、長円、S字等)も可能であることを、本明細書の教えに基づいて理解することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ボディ部分はS字形状であり、これは、場合によっては、対象への移植の容易さを提供し、より低い浸潤率を達成し、対象内で外れる可能性を低減することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、以下により詳細に説明するように、ボディ部分(例えば、ポリマー材料)は、複数の孔(または細孔;pore)を含んでいてもよい。ボディ部分のポリマー材料は、本明細書に記載されるような第1の水溶性高分子を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、(例えば、第1の水溶性ポリマー)ポリマー材料内に、上記の範囲のうちの1つ以内に均質にまたは非均質に分布するが、複数の孔内には分布しない。すなわち、いくつかの実施形態では、複数の孔は、生物学的活性剤を実質的に含まないものであってもよい。いくつかの実施形態では、複数の孔は、デバイスのバルクを形成するポリマー材料(例えば、第1の水溶性高分子を含むポリマー材料)内に存在する(第1の)生物学的活性剤と同じまたは異なる第2の生物学的活性剤を含んでいてよい。さらに他の実施形態では、生物学的活性剤は、複数の孔の中にのみ存在する。
【0019】
例示的な一連の実施形態では、デバイスはカテーテルである。いくつかの実施形態では、カテーテルは、対象への投与のために構成される。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテルは、ポリマー材料で形成され、対象への投与のために構成され、カテーテルは、ポリマー材料内に分布する(例えば、均質に分布する)生物学的活性剤を含む。いくつかの実施形態において、カテーテルはボディ部分を含み、ボディ部分は、本明細書に記載されるように、第1の水溶性ポリマーを含むポリマー材料で形成される。
【0020】
いくつかの態様において、キットが記載される。キットは、本明細書に記載される任意の好適な物品を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、キットは、デバイス(例えば、本明細書に記載されるデバイスの任意の実施形態またはその組み合わせ)を含む。
【0021】
いくつかの態様において、包装物品が提供される。包装物品は、複数の部材を含み得る。例えば、包装物品は、容器と、容器内に含まれるデバイス(例えば、カテーテル)および/またはポリマー材料を含み得る。例えば、
図5Aに示されるように、包装物品500は、容器510(例えば、パウチ)およびその中に含まれるデバイス520(例えば、カテーテル、ポリマー材料)を含む。
図5にはカテーテルが一般的に描かれているが、当業者であれば、容器が他の物品を含むことができることを本明細書の教示に基づいて理解するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、容器は、本明細書に記載されるように、ポリマー材料(またはポリマー材料を含む物品/デバイス)を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、包装物品は、湿度制御スポンジ等の湿度制御部材をさらに含む。例えば、
図5Aに示されるように、包装物品500は、湿度制御部材530をさらに含む。湿度制御スポンジは、水および/または水和(または水分補給、または加水;hydration)媒体を含む織物、不織布、多孔質、および/または固形材料を含み得る。いくつかの実施形態では、湿度制御スポンジは、水で膨潤させた多孔質セルロース不織布である。いくつかの実施形態では、湿度制御スポンジは、防腐剤または抗感染剤(例えば、漂白剤、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化物、および/または過酢酸)を更に含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、湿度制御部材は、容器に関連付けられたリザーバ(または貯水部;reservoir)である。いくつかの実施形態では、リザーバは、水和媒体を含む。いくつかの実施形態では、部材が容器に包装されている間、リザーバは、湿度制御部材および/またはデバイス(例えば、カテーテル)と流体的に連通状態にある。
【0024】
いくつかの実施形態では、キットおよび/または包装物品は、水和媒体をさらに含む。適切な水和媒体の非限定的な例は、水、乳酸リンゲル液(LRS)、ブドウ糖(D5W)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)、および/または等張塩溶液を含む。いくつかの実施形態では、デバイスおよび/またはポリマー材料をEWCへと十分に水和するために必要な十分な量の水和媒体が、キットおよび/または包装物品に含まれる。いくつかの実施形態では、水和媒体は、ベッセル(または器;vessel)、流体リザーバ、チューブ、シリンジ、バッグ、流体ポンプ、および/またはパケットに貯蔵される。いくつかの実施形態では、水和媒体は滅菌(または殺菌;sterilize)されている。いくつかの実施形態では、水和媒体は、生理的pH(例えば、6.8~7.8)またはその付近で緩衝化される。
【0025】
いくつかの実施形態では、キットおよび/または包装物品は無菌である。いくつかの実施形態では、キットは封入されている。いくつかの実施形態では、容器は密封されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、キットおよび/または包装物品は、使用説明書を含む。いくつかの実施形態では、使用説明書は、本明細書に記載される治療方法を説明する。
【0027】
いくつかの実施形態では、キットは、包装物品を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、包装物品は、可撓性容器を含む。いくつかの実施形態では、可撓性容器は、フラッシュスパン高密度ポリエチレン繊維等の繊維を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、包装物品は、出荷のためにデバイスが位置づけ(または配置;position)られ得るトレイを含む。
【0030】
例示的な一連の実施形態では、包装物品は、ホイル材料を含む容器と、ポリマー材料を含むカテーテルとを含む。別の例示的な一連の実施形態では、包装物品は、ホイル材料とポリマー材料(例えば、ポリ(ビニル)アルコールを含む)とを含む容器を含む。ポリマー材料は、本明細書に記載されるようなデバイスの全てまたは一部を形成するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ホイル材料は、実質的に水に対して不透過性(または非透過性;impermeable)である。ホイル材料が実質的に水に対して不透過性であるように、任意の適切な材料がホイル材料に使用されてもよい。いくつかの実施形態において、ホイル材料は、アルミニウム、ポリエチレンテレフタレート、またはそれらの組み合わせを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、容器は気体透過性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、気体透過性ポリマーは、高密度ポリエチレンを含む。好適な気体透過性ポリマーの非限定的な例は、Tyvex(登録商標)を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、容器は、ホイル材料と気体透過性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、容器は、ヘッダー部分を含む。例えば、
図5Bに示されるように、包装物品502は、ヘッダー部分540および第2部分550を含む容器510を含む。ヘッダー部分540は気体透過性ポリマーを含み、容器の残りの部分はホイル材料を含み得る。ヘッダー部分は、いくつかの実施形態において、収容された物品の滅菌(例えば、エチレンオキシド滅菌を介して)に有用であり得る。例えば、ヘッダー部分は、容器の内容物が滅菌され得るように、気体透過性材料を含んでいてもよい。
【0033】
再び
図5Bを参照すると、いくつかの実施形態において、湿度制御部材530は、ヘッダー部分540内に配置される。いくつかの実施形態では、湿度制御部材は、第2部分内に配置される。
【0034】
いくつかの実施形態では、ヘッダー部分は、(例えば、包装物品および/または容器に含まれる装置の滅菌後に)除去されてもよい(または取り外されてもよい;remove)。例えば、滅菌を完了すると、いくつかの実施形態では、(例えば、容器が実質的に非透過性材料を含むように、および/または気体に対して実質的に非透過性であるように)ヘッダー部分は除去され、および/または封入されてもよい。いくつかの実施形態において、湿度制御部材は、滅菌の完了時に除去される。例えば、ヘッダー部および湿度制御部材(例えば、ヘッダー部内に配置される)は、容器および/または容器内に含まれるデバイスの滅菌後に(例えば、同時に)除去される)。
【0035】
いくつかの実施形態では、容器の内面(または内側表面;inner surface)の表面積は、相当量のホイル材料を含む。例えば、いくつかの実施形態では、容器の内面の表面積の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%が、ホイル材料である。いくつかの実施形態では、容器の内面の表面積の100%以下、99%以下、98%以下、95%以下、90%以下、または85%以下がホイル材料である。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、80%以上、100%以下)。また、他の範囲も可能である。
【0036】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料、カテーテル、または他のデバイスは、少なくとも部分的に水和した状態で容器に収容される。例えば、いくつかの実施形態では、容器に収容されたポリマー材料、カテーテル、または他のデバイスは、2質量%以上40質量%以下(例えば、2質量%以上12質量%以下、6質量%以上12質量%以下)の含水率を有している。いくつかの実施形態では、ポリマー材料、カテーテル、または他のデバイスの含水率は、ポリマー材料、カテーテル、または他のデバイスの平衡含水率よりも小さい。いくつかの実施形態では、ポリマー材料、カテーテル、または他のデバイスは、平衡含水率の状態に対して5質量%以上の量で膨潤するようになっている。他のポリマー材料および含水率も可能であり、本明細書に記載されている。
【0037】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料、カテーテル、または他のデバイスは、完全に水和した状態で容器に収容される(例えば、平衡含水率の状態である)。
【0038】
容器は、任意の適切なサイズおよび/または形状を有してよい。いくつかの実施形態では、容器は、パウチ、バッグ、および/またはベッセル(例えば、熱オーブン、チャンバー、ボトル)である。
【0039】
いくつかの実施形態では、カテーテル、デバイス、および/またはポリマー材料は、包装物品から除去されてもよい。いくつかの実施形態では、包装された物品を除去すると、カテーテル、デバイスおよび/またはポリマー材料は、本明細書に記載されるように(例えば、平衡含水率まで)(再)水和されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、包装物品は、湿度制御部材を含む第1の容器内にカテーテル、デバイス、および/またはポリマー材料を封入することによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、湿度制御部材は、第1の容器から除去されてもよい(例えば、包装物品の組み立てまたは形成中および/または包装物品がユーザによって使用される前に)。
【0041】
いくつかの実施形態では、(例えば、ホイル材料を含む)第2の容器が、カテーテル、デバイスおよび/またはポリマー材料を封入するために使用されてもよい。例えば、湿度制御部材の除去時に、カテーテル、デバイス、および/またはポリマー材料は、ホイル材料を含む第2の容器内に封入されてもよい。いくつかの実施形態では、湿度制御部材を除去すると、カテーテル、デバイス、および/またはポリマー材料は、第1の容器に再封止されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、第1の容器は、ホイル材料を含む第1の部分と、気体透過性ポリマーを含む第2の部分とを含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1の容器は、気体透過性ポリマーを含むヘッダー部分と、ホイル材料を含む第2の部分とを含んでいてもよい。
【0042】
湿度制御部材は、任意の適切な時間の経過後に容器(例えば、第1の容器)から取り出してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、湿度制御部材は、0時間以上、1時間以上、2時間以上、5時間以上、10時間以上、24時間以上、30時間以上、48時間以上、70時間以上、90時間以上、または110時間以上(例えば、容器(例えば、第1の容器)の密封後)後に除去されてもよい。いくつかの実施形態では、湿度制御部材は、容器(例えば、第1の容器)を密封した後、120時間以下、110時間以下、90時間以下、70時間以下、48時間以下、30時間以下、24時間以下、10時間以下、5時間以下、または2時間時間以下後に除去される。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0時間以上120時間以下、10時間以上120時間以下、24時間以上48時間以下等)。他の範囲も可能である。
【0043】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、(例えば、第1の容器内で)滅菌されてもよい。本明細書で説明するように、いくつかの実施形態では、容器は、容器内での滅菌を容易にするために気体透過性材料(例えば、ポリマー)を含む。例えば、気体透過性材料は、容器の内容物(例えば、カテーテル、ポリマー材料、または他の物品)がエチレンオキシドに曝露されると滅菌されるように、エチレンオキシドに対して透過性であってよい。気体透過性材料は除去されてもよく、および/または容器は再封止されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、湿度制御部材は、滅菌後、実質的に直ちに除去される。いくつかの実施形態では、容器は、滅菌後、実質的に直ちに再封止される。
【0045】
上述したように、いくつかの実施形態では、デバイスは、ボディ部分を含む。いくつかの実施形態では、ボディ部分は、複数の孔を含む。いくつかの実施形態において、複数の孔(例えば、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)または第1の水溶性材料の、任意選択的に前記孔の少なくとも一部の中に(または内に;within)位置付けられた第2の水溶性ポリマーを有する)は、特定の平均孔径を有している。いくつかの実施形態において、複数の孔の平均孔径は、500nm以下、450nm以下、400nm以下、350nm以下、300nm以下、250nm以下、200nm以下、150nm以下、100nm以下、75nm以下、50nm以下、25nm以下、20nm以下、または15nm以下でいくつかの実施形態では、複数の孔は、10nm以上、15nm以上、20nm以上、25nm以上、50nm以上、75nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上、または450nm以上の平均孔径を有する。上記で言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、500nm以下、10nm以上)。他の範囲も可能である。本明細書に記載されるような平均孔径は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)の材料の水銀圧入ポロシメトリーによって決定されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、複数の孔の少なくとも一部は、ナノ孔、例えば、1ミクロン未満の平均断面寸法を有する孔として特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、複数の孔の少なくとも一部は、マイクロ孔、例えば、1mm未満および1ミクロン以上の平均断面寸法を有する孔として特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.9%)の複数の孔が、1ミクロン以下、800nm以下、600nm以下、500nm以下、450nm以下、400nm以下、350nm以下、300nm以下、250nm以下、250nm以下、200nm以下、150nm以下、100nm以下、75nm以下、50nm以下、25nm以下、20nm以下、または15nm以下である直径を有する。いくつかの態様において、複数の孔の少なくとも50%は、10nm以上、15nm以上、20nm以上、25nm以上、50nm以上、75nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上、450nm以上、500nm以上、600nm以上、または800nm以上である直径を有する。上記で言及した範囲の組み合わせも可能である(例えば、1000nm以下、10nm以上である)。また、他の範囲も可能である。
【0047】
本明細書に記載の組成物およびデバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)において特定の空隙率を有してもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態未満の含水率)において、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、または45%以上という空隙率を有する。いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)は、第1の構成に(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より少ない含水率)おいて、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、または10%以下の空隙率を有する。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)において5%以上50%以下である)。他の範囲も可能である。
【0048】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるデバイス、方法、カテーテル、またはキット(またはポリマー材料)は、実質的に非血栓性である。
【0049】
いくつかの実施形態では、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)(またはボディ部分(例えば、
図1A~
図1Bのボディ部分20))は、親水性である。本明細書で使用される「親水性」という用語は、当技術分野におけるその通常の意味を与えられ、90度未満のゴニオメトリーによって決定される水接触角を有する材料表面を指す。いくつかの実施形態では、ポリマー材料(またはその表面)(例えば、デバイスの)は、平衡含水率の状態において、45度以下、40度以下、35度以下、30度以下、25度以下、20度以下、15度以下、10度以下、5度以下、または2度以下の水接触角度を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー材料(またはその表面)は、平衡含水率の状態において、1度以上、2度以上、5度以上、10度以上、15度以上、20度以上、25度以上、30度以上、35度以上、または40度以上の水接触角度を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、1度以上、45度以下)。また、他の範囲も可能である。
【0050】
本明細書で使用する平衡含水率の状態とは、外的に機械的ストレスを加えることなく25℃の水中に沈めた際に決定されるバルク含水率を増加(例えば、吸収)または損失しないデバイス(または材料)の定常状態を指す。当業者であれば、定常状態(または平衡含水率の状態)は、かかる用語の厳密な熱力学的定義に絶対的に適合することを必要とせず、むしろ、かかる用語の熱力学的定義に、かかる対象物に最も関連する当業者に理解されるであろう、そのように特徴付けられた対象物に可能な程度に適合することを示すと理解されるであろう(例えば、受動拡散および/またはブラウン運動等の因子を考慮することである)。
【0051】
いくつかの実施形態において、デバイス(またはポリマー材料)の平衡含水率の状態は、10質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、または70質量%以上である。いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)の平衡含水率の状態は、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、または20質量%以下である。これらの範囲の組合せも可能である(例えば、10質量%以上、80質量%以下)。他の範囲も可能である。
【0052】
いくつかの実施形態において、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)は、平衡含水率の状態において実質的に潤滑性である。例えば、いくつかの実施形態では、デバイス(またはデバイスのポリマー材料)は、平衡含水率の状態において1000nm(Ra)以下の表面粗さを有する。いくつかの実施形態では、デバイス(またはデバイスのポリマー材料)は、平衡含水率の状態において、500nm以下、400nm以下、300nm以下、250nm以下、200nm以下、150nm以下、100nm以下、50nm以下、25nm以下、10nm以下、または5nm以下という表面粗さ(Ra)を有している。いくつかの実施形態では、デバイス(またはデバイスのポリマー材料)は、表面粗さ(Ra)が、平衡含水率の状態において5nm以上、平衡含水率の状態において10nm以上、25nm以上、50nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、400nm以上、または500nm以上である。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、5nm以上、1000nm以下)。他の範囲も可能である。
【0053】
いくつかの実施形態において、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)は、平衡含水率の状態において0.10以下の摩擦係数を有する表面を有する。例えば、デバイス(またはデバイスのポリマー材料)の表面の摩擦係数は、0.1以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、0.05以下、0.04以下、0.03以下、または0.02以下と等しい。いくつかの実施形態では、デバイスの表面(またはデバイスのポリマー材料)の摩擦係数は、0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、または0.09以上である。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.1以下、0.01以上)。他の範囲も可能である。
【0054】
有利には、本明細書に記載される組成物、デバイス、および装置は、そのような物質を含む動的流体の存在下で、治療薬(および/または例えば、タンパク質)のような物質の低い収着(または吸着;sorption)を有してもよい。そのようなデバイスおよび組成物は、例えば、デバイスの存在が、(例えば、装置を介して)対象に送達される(または届けられる)治療薬の利用可能性および/または濃度を実質的に減少させるべきではない対象における使用に有用であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるデバイス内に流される流体を介した治療薬の投与は、流体内の治療薬の濃度を実質的に低下させることはない。いくつかの態様において、デバイスは、例えば、流動中または使用中に、治療薬を吸収および/または吸着しない可能性がある。
【0055】
いくつかの実施形態では、ポリマーを治療剤に曝露し(または曝し;expose)、水または通常の生理食塩水等の水溶液でデバイスの体積の5倍を洗った(または洗浄した、またはフラッシュした;flash)後の平衡含水率で決定されるように、第1の水溶性ポリマーの表面および/またはバルクへの治療剤の0.5質量%以下の収着が生じる。いくつかの実施形態では、0.5質量%以下、0.4質量%以下、0.3質量%以下、0.2質量%以下、または0.1質量%以下の治療剤の、第1の水溶性ポリマーの表面および/またはバルクへの収縮が生じる。いくつかの実施形態では、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、または0.4質量%以上の治療剤の第1の水溶性ポリマーの表面および/またはバルクへの収着が生じる。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.5質量%以下、および0.05質量%以上)。他の範囲も可能である。
【0056】
有利には、本明細書に記載されるデバイスおよび組成物は、望ましい膨潤特性(例えば、水中、生理食塩水中、対象の流体環境中)を有し得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイス(またはポリマー材料)は、含水率が40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.8質量%以下、0.6質量%以下、0.4質量%以下、または0.2質量%以下である第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態未満の含水率)を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイス(またはポリマー材料)は、含水率が0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.4質量%以上、0.6質量%以上、0.8質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上。9質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、または35質量%以上である第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)を有する。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.1質量%以上5質量%以下、2質量%以上10質量%以下、2質量%以上40質量%以下、または6質量%以上40質量%以下等)。その他の範囲も可能である。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるデバイス(またはポリマー材料)は、第1の構成(例えば、脱水状態のような平衡含水率の状態より小さい含水率)を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるデバイス(またはポリマー材料)は、60分以下(例えば、10分以下、5分以下、1分以下、または10秒以下)で第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)へ膨潤する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイス(またはポリマー材料)は、周囲条件下で25℃において第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態未満の含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)へ膨潤する。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のデバイス(またはポリマー材料)は、例えば、第1の構成から(例えば、脱水状態のような平衡含水率の状態より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)へと、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、10質量%以上15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、または45質量%以上の量で膨潤する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のデバイス(またはポリマー材料)は、例えば、第1の構成から(例えば、脱水状態のような平衡含水率の状態より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)へと、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、または3質量%以下の量で膨潤する。これらの範囲の組み合わせも可能である(例えば、5質量%より大きく、40質量%以下)。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)である。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイス(またはポリマー材料)は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態よりも小さい含水率)において、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.8質量%、0.6質量%以下、0.4質量%以下、または0.2質量%以下の含水率を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイス(またはポリマー材料)は、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.4質量%以上、0.6質量%以上、0.8質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、または4質量%以上の含水率を有している。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.1質量%以上5質量%以下、または2質量%以上40質量%以下)。その他の範囲も可能である。本明細書に記載される脱水状態とは、一般に、デバイス(またはポリマー材料)が24時間にわたって5質量%未満の水含有量の顕著な減少を有しない、周囲条件下で決定される定常状態を指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるデバイスは、以下により詳細に記載されるように、保湿性コーティング等のコーティングまたは未結合ポロゲンを含んでいてもよい。
【0061】
有利には、本明細書に記載されるデバイスおよび組成物は、水および/または生理食塩水等の水溶液の存在下で急速に膨潤するようになっている。いくつかの実施形態において、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)(またはボディ部分(例えば、
図1A~1Cのボディ部分20)またはポリマー材料)は、例えば、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)へ、例えば、25℃で、例えば、特定の時間(例えば、60分以下、10分以下、5分以下、1分以下、または10秒以下)で、以下にさらに詳細に記載するように、2質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、または45質量%以上の量で膨潤するようになっている。いくつかの実施形態では、デバイスまたはデバイス(またはボディ部分)は、例えば、第1の構成から(例えば、脱水状態のような平衡含水率の状態より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)へ、例えば、25℃で、例えば、以下でより詳細に説明するように、特定の時間(例えば、60分以下、10分以下、5分以下、1分以下、または10秒以下)で、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、または、10質量%以下という量で膨潤するようになっている。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、5質量%以上、50質量%以下)。また、他の範囲も可能である。
【0062】
いくつかの実施形態では、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)(またはボディ部分(例えば。
図1A~1Bのボディ部分20))は、例えば、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態よりも少ない含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)へ、周囲条件下で25℃で、60分以下、50分以下、40分以下、30分以下、20分以下、10分以下、5分以下、2分以下、1分以下、30秒以下、または10秒以下の時間で、2質量%以上、5質量%以上の量で膨潤するようになっている。いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平行膨潤状態)へ、周囲条件下で25℃において、5秒以上、15秒以上、1分以上、2分以上、5分以上、10分以上、20分以上、30分以上、40分以上、または50分以上で、例えば、5質量%以上の量で膨潤するようになっている。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、60分以下、1分以上)。また、その他の範囲も可能である。
【0063】
例示的な実施形態では、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)(またはボディ部分(例えば、
図1A~1Bのボディ部分20))は、水中で、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)(例えば、5質量%以下、または2質量%以上、および40質量%以下)から、60分以下(例えば、10分以下、5分以下、1分以下、または10秒以下)で、平行膨潤状態(例えば、5質量%以上、または20質量%以上、および80質量%以下)に膨潤するようになっている。いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)は、例えば、標準的な通常の生理食塩水中において、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)(例えば、5質量%以下)から、60分以下(例えば、10分以下、5分以下、1分以下、または10秒以下)で、平衡含水率(例えば、5質量%以上、20質量%以上、80質量%以下)に膨潤するようになっている。別の例示的な実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)は、例えば、通常の生理食塩水において第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)(例えば、5質量%以下)から、60分以下で(例えば、10分以下、5分以下、1分以下、または10秒以下)で、平衡含水率の状態(例えば、5質量%以上、20質量%以上、80質量%以下)に膨潤するようになっている。
【0064】
いくつかの実施形態では、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)(またはボディ部分(例えば、
図1A~1Bのボディ部分20))は、第1の構成(例えば、脱水状態のように平衡含水率の状態よりも小さい含水率)において特定の長さを有する。いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)は、平衡含水率の状態における全体の長さが、第1の構成(例えば。脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)におけるその長さと比較して、0.1%以上、0.5%以上、1%以上、2%以上、4%以上、6%以上、8%以上、10%以上、12%以上、14%以上、16%以上、または18%以上大きく増大する。いくつかの態様において、デバイス(またはポリマー材料)は、平衡含水率の状態における全体の長さが、第1の構成(例えば。脱水状態等の平衡含水率の状態よりも小さい含水率)における長さと比較して、20%以下、18%以下、16%以下、14%以下、12%以下、10%以下、8%以下、6%以下、4%以下、2%以下、1%以下、または、0.5%以下大きく増大する。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.1%以上、20%以下)。また、他の範囲も可能である。
【0065】
いくつかの実施形態では、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)(またはボディ部分(例えば、
図1A~1Bのボディ部分20))は、円筒管、楕円管、長円管、または角管の外径等の特定の外側の最大断面寸法を有する。デバイスが複数のルーメン(または内腔;lumen)を含む実施形態では、外径は、ルーメンのうちの1つ以上の外側の最大断面寸法を指す。例えば、いくつかの実施形態では、1つのルーメンのみが、言及された外径を有してよい。他の実施形態では、各々および全てのルーメンは、独立して、言及された外径を有してよい。いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)は、外側の最大断面寸法の増加(例えば、外径)が、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)における最大断面寸法と比較して、0.1%以上、0.5%以上、1%以上、2%以上、4%以上、6%以上、8%以上、10%以上、12%以上、14%以上、16%以上、または18%以上の、平衡含水率の状態において、最大断面寸法(例えば、外径)の増加を有する。いくつかの態様において、デバイス(またはポリマー材料)は、第1の構成(例えば、脱水状態のような平衡含水率の状態よりも小さい含水率)における最大断面寸法(例えば、外径)と比較して、20%以下、18%以下、16%以下、14%以下、12%以下、10%以下、8%以下、6%以下、4%以下、2%以下、1%以下、または0.5%以下の平衡含水率の状態における最大断面寸法(例えば。外径)の増加を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.1%以上20%以下、0.1%以上10%以下)。他の範囲も可能である。
【0066】
いくつかの実施形態では、デバイス(またはボディ部分)は、円筒管または角管(または他の非円形のデバイスまたはボディ部分)の内径等の最大内側断面寸法である特定の内径(例えば、デバイスが中空コアを含む実施形態では)を有する。デバイス(またはボディ部分)が複数のルーメンを含む実施形態では、内径は、最大内側断面寸法(すなわち、最大のルーメンの最大内側断面寸法)を意味する。いくつかの実施形態では、デバイス(またはボディ部分)は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態よりも小さい含水率)における内径と比較して、0.1%以上、0.5%以上、1%以上、2%以上、4%以上、6%以上、8%以上、10%以上、12%以上、14%以上、16%以上、または18%以上の平衡含水率の状態における内径の増加を有する。いくつかの態様において、デバイス(またはボディ部分)は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)における内径と比較して、20%以下、18%以下、16%以下、14%以下、12%以下、10%以下、8%以下、6%以下、4%以下、2%以下、1%以下、または0.5%以下の平衡含水率の状態における内径の増加を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.1%以上、20%以下)。また、他の範囲も可能である。
【0067】
いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)が第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率より低い含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)に膨潤するとき、デバイス(またはボディ部分)は内径および/または外径の増加よりも全長の増加が大きい割合を有する。例えば、いくつかの実施形態では、全長が1~20%(例えば、5~15%)増加する一方で、内径および/または外径が0.1~19%(例えば、1~10%)増加し得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)が第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)へ膨潤するときの内径および/または外径の増加率に対する全長の増加率の比率は、1.1以上、1.5以上、2以上、5以上、7以上、または10以上である。いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)が第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)に膨潤するときの内径および/または外径の増加率に対する全長の増加率の比率は、20以下、15以下、10以下、5以下、2以下である。これらの範囲の組合せも可能である(例えば、1.1~20)。
【0069】
いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)が第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)から膨潤するとき、デバイス(またはボディ部分)は、全長よりも内径および/または外径においてより大きな割合の増加を有する。非限定的な例として、
図2において、デバイス320は、第1の構成(例えば、脱水状態のような平衡含水率の状態より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)-デバイス340に膨潤した。いくつかの実施形態に従い、
図2において、デバイス320の外径302および内径301は、それぞれデバイス340の外径305および内径304に増加し、一方、全長300は全長303に増加した。いくつかの実施形態に従って、
図2において、デバイス320が平衡含水率の状態-デバイス340まで膨潤したときに、内径301および外径302は全長300の増加よりも大きな割合で増加した。いくつかの実施形態では、内径および/または外径は1~20%(例えば、5~15%)増加する一方、全長は0.1~19%(例えば、1~10%)増加し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)が第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)へ膨潤するときの全長の増加率に対する内径および/または外径の増加率の比は、1.1以上、1.5以上、2以上、5以上、7以上、または10以上である。いくつかの実施形態では、デバイス(またはポリマー材料)が第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)へ膨潤するときの全長の増加率に対する内径および/または外径の増加率の比は、20以下、10以下、5以下、または2以下である。これらの範囲の組合せも可能である(例えば、1.1~20)。
【0071】
いくつかの実施形態では、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)(またはボディ部分(例えば、
図1A~1Bのボディ部分20))は、望ましい機械特性を有するポリマー材料を含む。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態よりも小さい含水率)(例えば、含水率5質量%未満)においてヤング弾性率が、100MPa以上、250MPa以上、500MPa以上、600MPa以上、750MPa以上、800MPa以上、900MPa以上、1000MPa以上、1250MPa以上、1500MPa以上、1750MPa以上、2000MPa以上、2500MPa以上、3000MPa以上、3500MPa以上、または4000MPa以上である。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率状態)(例えば、含水率5質量%以下)におけるヤング弾性率が、5000MPa以下、4000MPa以下、3500MPa以下、3000MPa以下、2500MPa以下、2000MPa以下、1750MPa以下。1500MPa以下、1250MPa以下、1000MPa以下、900MPa以下、800MPa以下、750MPa以下、600MPa以下、500MPa以下、または250MPa以下である。また、上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、100MPa以上、5000MPa以下等)。他の範囲も可能である。
【0072】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、300MPa以下、250MPa以下、200MPa以下、150MPa以下、100MPa以下、75MPa以下、50MPa以下、25MPa以下、20MPa以下、または10MPa以下の平衡含水率の状態でのヤング弾性率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、5MPa以上、10MPa以上、20MPa以上、25MPa以上、50MPa以上、75MPa以上、100MPa以上、150MPa以上、200MPa以上、または250MPa以上の平衡含水率の状態でのヤング弾性率を有する。また、上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、300MPa以下、5MPa以上等)。また、他の範囲も可能である。
【0073】
いくつかの実施形態において、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)(またはボディ部分(例えば、
図1A~1Bのボディ部分20))は、浸透圧剤(または浸透物質;osmotic agent)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、浸透圧剤は、デバイスの形成中に(例えば、プレポリマーに)添加され得る。いくつかの実施形態では、浸透圧剤は、第1の構成(例えば、脱水状態)および/または第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)におけるデバイスの総重量に対して、ポリマー材料中(例えば、ポリマー材料の形成後)に、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.4質量%以上、0.6質量%以上、0.8質量%以上、1質量%以上、1.2質量%以上、1.4質量%以上、1.6質量%以上、または1.8質量%以上の量で存在する。いくつかの態様において、浸透圧剤は、第1の構成(例えば、脱水状態)および/または第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)におけるデバイスの総重量に対して、2質量%以下、1.8質量%以下、1.6質量%以下、1.4質量%以下、1.2質量%以下または等しい量で、1.2質量%以下、1質量%以下、0.8質量%以下、0.6質量%以下、0.4質量%以下、0.2質量%以下、または0.01質量%以下の量で、ポリマー材料中(例えば、ポリマー材料の形成後)に存在してもよい。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.05質量%より大きく、2質量%以下である)。他の範囲も可能である。
【0074】
適切な浸透圧剤の非限定的な例は、リン酸塩、ホウ酸塩、塩化ナトリウム、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、金属酸化物、二酸化セレン、三酸化セレン、亜セレン酸(selenium acid)、セレン酸(selenous acid)、硝酸塩、ケイ酸塩およびボタン酸塩(または植物酸;botanic acid)が挙げられる。
【0075】
いくつかの実施形態において、(例えば、ポリマー材料を含む、またはポリマー材料で形成された)組成物および/または第1の水溶性ポリマーは、以下でより詳細に説明するように、共有結合による架橋を含まない。しかしながら、他の実施形態では、組成物および/または第1の水溶性ポリマーは、物理的架橋(例えば、相互貫入ネットワーク、鎖の絡み合い、および/または共有結合、イオン結合、および/または水素結合等の1つ以上の結合)を含む。特定の実施形態の組では、ポリマー材料、第1の水溶性ポリマーの重合材料、および/または第2の水溶性ポリマーを形成するために共有結合性の架橋剤を使用しない。
【0076】
第1の水溶性ポリマーは、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)(またはボディ部分(例えば、
図1A~1Bのボディ部分20))中に任意の適切な量で存在し得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の水溶性ポリマーは、デバイスおよび/またはボディ部分中に、平衡含水率の状態において、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、または90質量%以上で存在し得る。いくつかの実施形態では、第1の水溶性ポリマーは、デバイスおよび/またはボディ部分中に、平衡含水率の状態において、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、または25質量%以下の量で存在する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、20質量%以上、95質量%以下)。他の範囲も可能である。
【0077】
いくつかの実施形態では、第1の水溶性ポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコール、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メタクリルスルホベタイン)、ポリ(アクリルスルホベタイン)、ポリ(メタクリルカルボキシベタイン)、ポリ(アクリルカルボキシベタイン)、ポビドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)、ポリオキサゾリン、ポリホスフェート、ポリホスファゼン、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレングリコール、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(2-ヒドロキシメチルメタクリレート)、およびこれらの組み合わせからなる群を含み、またはから選択される。例示的な一連の実施形態において、第1の水溶性ポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)である。
【0078】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、第1の水溶性ポリマーと別の(例えば、第3の)水溶性ポリマーとを含む混合物を含む。いくつかの実施形態において、第3の水溶性ポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコール、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メタクリルスルホベタイン)、ポリ(アクリルスルホベタイン)、ポリ(メタクリルカルボキシベタイン)。ポリ(アクリルカルボキシベタイン)、ポビドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)、ポリオキサゾリン、ポリホスフェート、ポリホスファゼン、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレングリコール、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(2-ヒドロキシメチルメタクリル酸)およびそれらの組合せからなる群を含み、またはから選択される。第1および他の(例えば、第3の)水溶性ポリマーは、異なる化学組成を有していてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、デバイスにおける第1の水溶性ポリマーと別の(例えば、第3の)水溶性ポリマーの総重量は、平衡含水率の状態で、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、35質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、60質量%以上。65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、または99質量%以上である。いくつかの実施形態において、第1の水溶性ポリマーと別の(例えば、第3の)水溶性ポリマーは、平衡含水率の状態で、100質量%以下、90質量%以下、98質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下の量でデバイスに含まれる。65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、または25質量%以下である。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、20質量%以上、100質量%以下)。また、他の範囲も可能である。
【0080】
いくつかの実施形態では、デバイス中に存在する第1の水溶性ポリマーと第3の水溶性ポリマーとの比は、100:0以下、99:1以下、95:5以下、90:10以下、80:20以下、70:30以下、60:40以下、または55:45以下である。いくつかの実施形態では、デバイス中に存在する第1の水溶性ポリマーと第3の水溶性ポリマーとの比は、50:50以上、60:40以上、70:30以上、80:20以上、90:10以上、95:5以上、または99:1以上である。上記の範囲の組合せも可能である(例えば、100:0以下、50:50以上)。他の範囲も可能である。
【0081】
上記および本明細書で説明したように、いくつかの実施形態では、デバイス(例えば、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)は、ボディ部分(例えば、ポリマー材料から形成されたまたはポリマー材料を含むボディ部分20)の複数の孔(例えば、複数の孔30)の少なくとも一部内に配置された第2の水溶性ポリマー(例えば、第2の水溶性ポリマー40)を含む。いくつかの実施形態において、第2の水溶性ポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコール、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メタクリルスルホベタイン)、ポリ(アクリルスルホベタイン)、ポリ(メタクリルカルボキシベタイン)、ポリ(アクリルカルボキシベタイン)、ポビドンポリアクリルアミド、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)、ポリオキサゾリン、ポリフォスフェートポリホスファゼン、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレングリコール、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(2-ヒドロキシメチルメタクリレート)およびこれらの組み合わせからなる群を含み、またはから選択される。いくつかの実施形態では、第2の水溶性ポリマーは、ポリ(アクリル酸)である。第2の水溶性ポリマーは、第1の(例えば、任意に第3の)水溶性ポリマーの化学組成とは異なる化学組成を有していてもよい。
【0082】
第2の水溶性ポリマー(例えば、第2の水溶性ポリマー40)は、任意の適切な量でデバイスに存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第2の水溶性ポリマーは、平衡含水率の状態で、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、2.0質量%以上、3.0質量%以上、4.0質量%、5.0質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上または90質量%以上の量で、デバイス内に存在する。いくつかの実施形態では、第2の水溶性ポリマー40は、平衡含水率の状態で、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5.0質量%、4.0質量%以下、3.0質量%以下、2.0質量%以下、1.0質量%以下、0.5質量%以下、0.2質量%以下、または0.1質量%以下の量でデバイス中に存在する。いくつかの実施形態では、0質量%の第2の水溶性ポリマーが存在する。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.05質量%より大きく、95質量%以下)。また、他の範囲も可能である。
【0083】
いくつかの実施形態では、水溶性ポリマー(例えば、第1の水溶性ポリマー、第2の水溶性ポリマー、第3の水溶性ポリマー)は、特定の分子量を有する。いくつかの実施形態において、水溶性高分子の分子量(例えば、それぞれ、独立して、第1の水溶性ポリマー、第2の水溶性ポリマー、または第3の水溶性ポリマー)は、40kDa以上、50kDa以上、75kDa以上、100kDa以上、125kDa以上、150kDa以上、175kDa以上、200kDa以上、250kDa以上、300kDa以上、350kDa以上、400kDa以上、450kDa以上、500kDa以上、600kDa以上、700kDa以上、800kDa以上。900kDa以上、1000kDa以上、1500kDa以上、2000kDa以上、3000kDa以上、または4000kDa以上であってよい。いくつかの実施形態では、水溶性高分子の分子量(例えば、それぞれ、独立して、第1の水溶性ポリマー、第2の水溶性ポリマー、または第3の水溶性ポリマー)は、5000kDa以下、4000kDa以下、3000kDa以下、2000kDa以下、1500kDa以下、1000kDa以下、900kDa以下、800kDa以下、700kDa以下、600kDa以下、500kDa以下、450kDa以下、400kDa以下、350kDa以下、300kDa以下、250kDa以下、200kDa以下、175kDa以下、150kDa以下、125kDa以下、100kDa以下、75kDa以下、または50kDa以下であってよい。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、40kDa以上、5000kDa以下の分子量)。他の範囲も可能である。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているデバイス(例えば。
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)は、カテーテル、バルーン、シャント、創傷ドレーン、注入ポート、薬物送達デバイス、チューブ、避妊デバイス、女性用衛生デバイス、内視鏡、グラフト、ペースメーカー、植込み型除細動器、心臓再同期デバイス、心血管装置リード、心室補助装置、気管内チューブ、気管切開チューブ、植込み型センサ、人工呼吸器ポンプ、および眼科デバイス等の医療デバイスである、またはそれらと共に使用するようになっている。いくつかの実施形態では、カテーテルは、中心静脈カテーテル、末梢中心カテーテル、正中線カテーテル、末梢カテーテル、トンネル型カテーテル、透析アクセスカテーテル、導尿カテーテル、神経カテーテル、経皮経管血管形成カテーテルおよび/または腹膜カテーテルからなる群から選択される。他の好適な用途は、以下で、より詳細に説明される。
【0085】
これらの材料は、潤滑性および生体適合性のある表面を有する強靭な高強度材料として製造することができる。本明細書では、特に高いヤング率および引張強度を有するナノ多孔質固体およびマイクロ多孔質固体が説明される。ナノポーラス材料は、直径100nmまでの相互接続された孔を含む固体である。ハイドロゲルの製造プロセスも記載されている。親水性ポリマーは、親水性固体が得られるように、これらの様々な多孔性固体を作るために使用され得る。ナノ多孔質またはマイクロ多孔質固体の含水率は高く、例えば、EWCで50%質量とすることができる。ヒドロゲルの含水率は、より高くてもよく、例えば、原則的に90%質量までである。多孔質固体材料は、その表面への生体成分の吸着および/または付着が著しく低減された医療用カテーテルやインプラント等の様々なデバイスの製造に使用することができる。
【0086】
これらまたは他の多孔質材料は、固体の孔にバルク的に(またはバルク、または内部に、または大部分に;bulk)組み込まれた(または取り込まれた;incorporated)ポリマー(またはポリマーが組み込まれたバルク)を含むように加工(または処理;processed)されてもよい。材料の実施形態は、材料の孔に取り込まれた(または封入された、または補足された、または内包された;entrap)水溶性ポリマーを含む多孔質材料である。この方法で取り込まれたポリマーは、孔内に存在し、水和および脱水を繰り返しても孔内に留まることが観察されている。取り込まれたポリマーは、傷つきにくく、事実上永久的な表面を提供し、組み込まれたポリマーは、材料の外表面を越えて望ましい特性を提供する。水性媒体中では、この方法で取り込まれた親水性ポリマーが水和して表面を越えて広がり、生体適合性と潤滑性を向上させる。
【0087】
材料を製造するためのプロセスは、国際特許出願公開番号WO2018/237166およびWO2017/112878に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。材料を製造するためのプロセスは、高アスペクト比を有するデバイスが作製され得るような押出成形を含み得る。材料を製造するためのプロセスの実施形態は、少なくとも1つの水溶性ポリマーと、溶媒とを含む混合物を、架橋されたマトリックスをもたらす溶媒除去環境において混合物を形成するポリマー溶液の融点以上の温度に加熱し、架橋されたマトリックスがマイクロポーラスまたはナノポーラスの固体材料となるまで溶媒を除去し続けることを含む。架橋は、混合物を冷却しながら、および/または溶媒除去環境下で行うことができる。さらなるポリマーを材料の孔に組み込んでもよい。
【0088】
本明細書で開示されるのは、高強度の多孔質固体を作るための、押出成形を含む成形(または形成;forming)プロセスである。多孔質固体を作るためのプロセスおよびパラメータに関するガイダンス(または手引き;guidance)が、多孔質固体と同様に開示される。多孔質固体にポリマーをバルク的に組み込むためのガイダンスが開示されている。多孔質固体は、良好な特性を有し、バルクに組み込まれたポリマーをさらに含むことにより、さらなる改良がもたらされることが開示される。
【0089】
ここに、高強度材料の押出成形を提供する新しいプロセスが開示される。このプロセスのいくつかの実施形態は、材料が押出される際に親水性ポリマー-溶媒混合物から溶媒を除去すること、低温で押出すること、溶媒除去環境中に押出すること、および押出後に一定期間溶媒をさらに除去することの1つ以上を提供するものである。さらに、アニーリング段階および/またはさらなるポリマーのためのバルク組み込み段階もまた、含まれ得る。
【0090】
図1D~1Fは、多孔質固体材料を製造するための装置の一実施形態を描いている。描かれているようなデバイス100は、少なくとも1つのシリンジ104を受け入れるためのシリンジポンプ102、シリンジを加熱するためのオプションの加熱ジャケット(図示せず)、ダイヘッド106、加熱要素108および加熱用の電力ケーブル109を含み、ダイヘッド106に必要に応じて加熱を提供(
図1Dに詳細に示さず)し、コアチューブ112用の分注スプール110、コアチューブ用の取り込みスプール114およびモータ(図示せず)、押出材料117用の浴(またはバス;bath)116であって、浴116内の熱交換パイプ120を含む熱交換器118として描かれた、浴が冷却または加熱のための温度制御を有する。ダイヘッド106は、ダイヘッド106を通過するコアチューブ110を受け入れる。シリンジからダイヘッド106へのフィードライン122は、デバイス100へのフィードを提供する。この実施形態に係るシステムは、計量ステーション、シリンジに充填する溶液を加熱および混合するためのジャケット付きベッセル、および浴116から取り出したチューブをさらに乾燥させるための溶媒除去環境をさらに含んでもよい。システムは、所望により、チューブまたは他の押出製品を熱でアニールするための加熱ステーションも有してよい。PTFEだけでなく、ワイヤー、空気、ガス、非溶媒液体または他の材料から作製されたコアチューブがコアに使用されてもよい。
【0091】
使用時には、例として、ポリマーをジャケット付きベッセル内で適切な溶媒中で加熱し、シリンジ104に入れる。1つ以上のポリマーが存在してもよく、放射線不透過性剤または他の添加剤が加えられてもよい。1つ以上のシリンジを、同じ混合物または異なる混合物と共に使用してもよい。ポリマーのシリンジは、所定の温度、例えば80~95℃以下に加熱され、押し出し前に脱気される。シリンジ104は、押出中に温度を維持するためにラップヒーターを備えたシリンジポンプ102に取り付けられる。コア112は、ダイヘッド106、例えば、押出浴116に供給される加熱されたアウトドウイング(out-dwelling)ダイヘッドを通してループされ、次いで、モータによって駆動される取り込みスプール114に取り付けられる。浴の温度は、チラー等の熱交換器118を用いて制御される;押出材料は、-30℃~75℃の範囲の温度で押出されてもよく、他の温度を用いてもよく、0℃は押出のための一般に有用な温度設定である。当業者は、明示された境界の間の全ての範囲および値が企図され、例えば、次のいずれかが上限または下限として利用可能であることを直ちに理解するであろう:-30、-25、-20、-15、-10、-5、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75℃。取り込み(例えば、プラー)スプール114のモータ速度を制御して、コア112の周りの外径ゲージサイズを調整することができる。ダイサイズ、材料供給速度、チューブコア直径、およびプラー速度を調整することは、例えば、カテーテルが製造される実施形態において、最終チューブゲージを調整する役割を果たす。ポリマー供給速度は、例えば、本実施形態におけるシリンジポンプ102の制御によって、調整可能である。コネクタ122は、1つ以上のシリンジをダイヘッド106に結合する。ポリマー溶液を制御可能に供給するための多くのポンプおよび他の道具が知られている。代替の供給プロセスが利用可能であるが、本装置および方法は、延伸プロセスに適合させることができる。
【0092】
いくつかの実施形態において、組成物(例えば、プレポリマー組成物)は、ポリマー材料の形成の前に(例えば、押出しのために)提供されてもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、水溶液を含む。水溶液は、0.01M以上、8M以下の濃度の浸透圧剤を含むことができ、水溶液は、0質量%以上、50質量%以下(例えば、40質量%以下)の量の放射線不透過性剤を含むことができる。組成物は、40kDa以上、5000kDa以下の分子量を有し、10質量%以上、50質量%以下の量で溶液中に存在する水溶性ポリマーをさらに含むことができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、組成物は、押出し時に膨潤性ポリマー材料を形成する。
【0094】
いくつかの実施形態において、浸透圧剤は、0.01M以上、0.1M以上、0.5M以上、1M以上、2M以上、3M以上、4M以上、5M以上、または6M以上の濃度で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、浸透圧剤は、8M以下、6M以下、4M以下、2M以下、1M以下、0.5M以下、または0.1M以下の濃度で溶液中に存在する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.01M以上8M以下)。浸透圧剤は、本明細書においてより詳細に説明される。
【0095】
いくつかの実施形態では、放射線不透過性剤は、0質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、または45質量%以上の量で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、放射線不透過性剤は、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、または5質量%以下の量において溶液中に存在する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0質量%以上、50質量%以下)。また、他の範囲も可能である。放射線不透過性剤は、以下で、より詳細に説明される。
【0096】
いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、10質量%以上、13質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、または45質量%以上の量で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、または13質量%以下の量で溶液中に存在する。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、10質量%以上、50質量%以下)。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、13質量%より大きいかまたはそれに等しい量で、溶液中に存在する。
【0097】
いくつかの実施形態では、上記のように、生物学的活性剤は、デバイス内の層として形成されたバルクポリマー材料中に存在する。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、第1の表面および第2の表面を含み、第1の表面および/または第2の表面は、コーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、第1の表面および/または第2の表面は、ポリマー、第2の生物学的活性剤(ポリマー材料中に存在する生物学的活性剤と同じまたは異なる)、またはそれらの組み合わせで被覆される。いくつかの実施形態では、デバイスは、ボディ部分において2つ以上のポリマー材料の層を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー材料の各層は、同じものを含んでいてもよく、異なるものを含んでいてもよく、または生物学的活性剤を含まないものを含んでいてもよい。 例示的な実施形態では、デバイスのボディ部分は、第1の生物学的活性剤を含む第1のポリマー材料層と、第1のポリマー材料層上に配置され、第2の生物学的活性剤を含む第2のポリマー材料層とを含む。他の層の組み合わせも可能である。
【0098】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、(ボディ部分の)ポリマー材料および/または第1の水溶性高分子内に実質的に均質に分散される。例えば、いくつかの実施形態では、生物学的活性剤の量は、ボディ部分および/または第1の水溶性ポリマー中の生物学的活性剤の平均量と比較して、ボディ部分および/または第1の水溶性ポリマーの断面積にわたる所定の任意のセクション(例えば、
図1Aのセクション52、セクション54)において50%を超えて変化しない。
【0099】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、ポリマー材料内に非均質に(すなわち、ポリマー材料の1つ以上の表面上に)分布している。例えば、いくつかの実施形態では、生物学的活性剤の量は、ボディ部分および/または第1の水溶性ポリマー中の生物学的活性剤の平均量と比較して、ボディ部分および/または第1の水溶性ポリマーの断面にわたる所定の任意セクション(例えば、
図1Aのセクション52、セクション54)において50%を超えて変化する。
【0100】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、ボディ部分(またはボディ部分のポリマー材料)および/または第1の水溶性ポリマー内に、0.1%以上、1%以上、2%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、または98%以上の、ボディ部分(またはポリマー材料)および/または第1の水溶性ポリマー中の生物学的活性剤の平均充填(または担持;loading)量の範囲内で分布している。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、ボディ部分(またはボディ部分のポリマー材料)および/または第1の水溶性ポリマー内に、99%以下、98%以下、95%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、または2%以下の、ボディ部分(またはポリマー材料)および/または第1の水溶性高分子における生物学的活性剤の平均充填量の範囲内で分布している。上記の範囲の組み合わせが可能である(例えば、99%以下および0.1%以上、50%以下および1%以上)。また、他の範囲も可能である。
【0101】
生理活性物質の充填量は、ボディ部分(またはポリマー材料)内の位置で、ボディ部分を切り出した後、抽出および液体クロマトグラフィーにより決定することができる。一例として、ボディ部分から形成された物品(例えば、
図1Aの物品10)は、その中心軸を通る断面寸法に沿って切断され、平坦化されてもよい。平坦化されたボディ部分の3つ以上のセクション(例えば、上部セクション、中央セクション、および下部セクション)は、ボディ部分の長さおよび/または幅にわたってスライスされてよく、生物学的活性剤は、各セクションから抽出される。各セクションに存在する生物学的活性剤の量は、液体クロマトグラフィーによって決定されてもよい。測定されたセクション間のばらつきの最高量(平均充填と比較して)が、成形品または装置のばらつきを構成する。例えば、生物学的活性剤が、上部セクションから平均充填の5%、中間セクションで平均充填の15%、および下部セクションで平均充填の10%の分散レベルでボディ部分内に分布する場合、ボディ部分を含む成形品/装置は、平均充填の15%の分散を有することになる。このような物品/装置は、ボディ部分(またはポリマー材料)の生物学的活性剤の平均荷重の15%以下の範囲内に、ボディ部分(またはボディ部分のポリマー材料)内に分布する生物学的活性剤を有すると言え、生物学的活性剤はボディ部分内に実質的に均質に分散していると考えられるであろう。対照的に、そして例示にすぎないが、ボディ部分の外部表面上に堆積された生物学的活性剤のコーティングを含む物品(例えば、コーティングされたカテーテル)であって、ボディ部分のバルクポリマー材料中に生物学的活性剤が存在しないものは、平均充填の15%以下の範囲内に、ボディ部分内に分散した生物学的活性剤を有するとは考えられず、第1セクション(例えば、コーティングを含む上部セクション)における充填量は、ボディ部分(またはポリマー材料)中の生物学的活性剤の平均充填から15%以上変化する。このように、当業者であれば、本明細書の教示に基づいて、生物学的活性剤のコーティングを含む物品または装置であって、ボディ部分のバルクポリマー材料中に生物学的活性剤が存在しないものは、(ボディ部分の)ポリマー材料内に実質的に均質に(例えば、平均充填量の50%以内)分布する生物学的活性剤を有さないことを理解するであろう。
【0102】
1つ以上のポリマー材料の層がデバイス内に存在する実施形態では、ポリマー材料の各層は、上記の範囲のうちの1つ以上で各ポリマー材料全体に均質または非均質に分布した生物学的活性剤を含んでいてもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤の量は、ボディ部分の少なくとも2、4、6、8、10、20、または30の任意のセクションにおいて、50%を超えて(または上述のパーセントの任意の組み合わせ)変化しない。いくつかの実施形態では、任意のセクションは、ボディ部分を形成するポリマー材料の長さおよび/または幅にわたってランダムに選択される。
【0104】
1つ以上の生物学的活性剤が存在する場合(例えば、ボディ部分の大部分を形成するポリマー材料中に存在する第1および第2の生物学的活性剤)、各生物学的活性剤は独立して、上記の範囲のうちの1つまたはそれ以上でポリマー材料内に分布していてもよいことを理解されたい。
【0105】
好適な生物学的活性剤は、以下でより詳細に説明され、例えば、医薬剤(例えば、薬剤)、カルシウム塩(例えば、塩化カルシウム)、鉄塩(例えば、硫酸第一鉄)、デンプン、変性シリカ、セルロース、等が含まれる。本明細書で使用される「生物学的活性剤」という用語は、一般に、対象に投与されたときに、対象の身体の少なくとも一部に生理的に有意な影響を及ぼす薬剤を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物およびデバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)は、複数の孔を有するボディ部分を含む。ボディ部分は、第1の水溶性ポリマーを含むポリマー材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ボディ部分は、第1の水溶性ポリマーと同じまたは異なる、第2の水溶性ポリマーをさらに含む。例えば、いくつかの実施形態において、第1の水溶性ポリマーと同じまたは異なる第2の水溶性ポリマーは、複数の孔の少なくとも一部内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、第2の水溶性ポリマーは、第1の水溶性ポリマーのバルク内に位置付けられえる。いくつかの実施形態では、第2の水溶性ポリマーは、第1の水溶性ポリマーのバルク内に実質的に均質に分散している。いくつかの実施形態では、第2の水溶性ポリマーは、第1の水溶性ポリマーのバルク内に実質的に非均質に分散している。以下の実施形態は、一般に、複数の孔内に位置付けられた第2の水溶性ポリマーを含むデバイスに言及するが、当業者であれば、本明細書の教示に基づいて、第2の水溶性ポリマーが必ずしも存在する必要はないことを理解するであろう。理論に拘束されることを望まないが、いくつかの実施形態において、ボディ部分または第1の水溶性ポリマーの複数の孔の少なくとも一部内に位置付けられた第2の水溶性ポリマーの存在は、孔内に位置付けられた第2の水溶性ポリマーのないデバイス(他の全ての要因が等しい)と比較して、デバイス(例えば、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)の血栓性を低減しおよび/または潤滑性を増大させることができる。例示的な一連の実施形態では、第1の水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールである。別の例示的な一連の実施形態では、第2の水溶性ポリマーは、ポリアクリル酸である。本明細書に記載されるように、他の水溶性ポリマーもまた可能である。
【0106】
いくつかの実施形態において、第1の水溶性ポリマーおよび第2の水溶性ポリマーが両方とも同じモノマーのポリマーであるが、異なるモノマーの数および/または分子量等の他の特性を有する場合、第2の水溶性ポリマーは、第1の水溶性ポリマーと同じと見なしてもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)および組成物は、対象に投与される。いくつかの実施形態では、デバイスは、経口、直腸、膣、鼻腔、静脈内、皮下、または尿道から投与されてもよい。場合によっては、デバイスは、対象の空洞、硬膜外腔、静脈、動脈、開口部、外部開口部、および/または膿瘍に投与されてもよい。開口部の非限定的な例としては、傷が挙げられる。傷の非限定的な例は、皮膚を介した静脈アクセス用に作成される(例えば、挿入部位として作成される)傷のオリフィス(または開口部、または口、または穴;orifice)を含む。
【0108】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、組成物、デバイス、および本明細書に記載されるデバイスは、複数の孔を有する第1の水溶性ポリマーを含むポリマー材料を含む、または複数の孔を有する第1の水溶性ポリマーを含むポリマー材料から形成されている。例えば、
図1Bに示されるように、デバイス12は、第1の水溶性ポリマーを含みおよび複数の孔30を有するポリマー材料を含む、または、第1の水溶性ポリマーを含みおよび複数の孔30を有するポリマー材料から形成されるボディ部分20を含む。いくつかの実施形態では、第2の水溶性ポリマー40は、複数の孔の少なくとも一部(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.99%)内に配置される。いくつかの実施形態では、第2の水溶性ポリマー40は、複数の孔の100%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、または10%以下(例えば、複数の孔の少なくとも10%および100%以下)以内に配置される。上記範囲の組合せも可能である。
【0109】
いくつかの実施形態において、第2の水溶性ポリマーは、第1の水溶性ポリマーのバルク内(例えば、第1の水溶性ポリマーの孔および/または間隙内)に配置される(例えば、分散される)。いくつかの実施形態では、
図1Cに示されるように、第2の水溶性ポリマー40は、ボディ部分20の表面の少なくとも一部の部分にコーティング45として存在してもよい。
図1Cは、第2の水溶性ポリマーが、第1の水溶性ポリマー上および第1の水溶性ポリマーの孔内のコーティングとして示されているが、いくつかの実施形態では、コーティング45のみが存在し、孔30は第2の水溶性ポリマー40で実質的に満たされていないことが理解されるべきである。他の構成も可能である。
【0110】
いくつかの実施形態において、デバイスおよび/または本明細書に記載されるデバイスは、中空であってもよい(例えば、中空のコアを有する)。例えば、デバイス10および/またはデバイス12は、中空であってもよい(例えば、中空のコア25を含む)。しかしながら、
図1A~1Cは、中空コアを有するように描かれているが、当業者であれば、このような中空コアが存在しなくてもよいことを本明細書の教示に基づいて理解することができる。すなわち、いくつかの場合、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)のコア25は、中空コア25を有さないバルク材料(例えば、固体コア)であってもよい。
【0111】
上述したように、いくつかの実施形態では、1つ以上の生物学的活性剤が、ボディ部分20および/または複数の孔30(
図1B~1C)内に分散されてもよい。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、治療薬である。本明細書で使用される場合、用語「治療薬」または「薬剤」とも呼ばれるものは、疾患、障害、または他の臨床的に認められる状態を治療、軽減、遅延、改善および/または予防するために、または予防目的で対象に投与され、いくつかの実施形態では、疾患、障害、または状態を治療、軽減、遅延、改善および/または予防するために対象の身体に対して臨床的に有意な影響を有する薬剤を意味する。治療薬には、限定されないが、米国薬局方(USP)に記載されている薬剤、GoodmanおよびGilmanのThe Pharmacological Basis of Therapeutics,10th Ed, McGraw Hill, 2001;Katzung,B. (ed.) Basic and Clinical Pharmacology, McGraw-Hill/Appleton & Lange; 8th edition (September 21, 2000);Physician’s Desk Reference (Thomson Publishing),および/またはThe Merck Manual of Diagnosis and Therapy, 17th ed. (1999) またはその発行に続く18th ed (2006), Mark H. Beers and Robert Berkow (eds), Merck Publishing Group、動物の場合にはThe Merck Veterinary Manual, 9th ed.,Kahn, C.A. (ed.), Merck Publishing Group, 2005.に掲載されている薬が挙げられる。いくつかの実施形態では、治療薬は、米国食品医薬品局(F.D.A.)が発行する「Approved Drug Products with Therapeutic Equivalence and Evaluations」(「オレンジブック」)から選択され得る。場合によっては、治療薬は、適切な政府機関または規制団体により、ヒトまたは動物への使用について安全および有効であると既に判断されたものであり得る。例えば、ヒトへの使用が承認された薬剤は、参照することにより本明細書に組み込まれる連邦規則集第21編第330.5条、第331条から第361条、および第440条から第460条に基づいてFDAによりリストアップされており、動物用薬剤は、参照することにより本明細書に組み込まれる連邦規則集第21編第500条から第589条に基づいてFDAによりリストアップされている。リストアップされた全ての薬物は、本発明に従って使用するために許容されると考えられる。いくつかの実施形態では、治療薬は、低分子である。例示的な薬剤の種類は、限定されないが、鎮痛剤、抗痛剤、抗炎症剤、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗精神病剤、神経保護剤、抗増殖剤、例えば、抗癌剤(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル等のタキサン系薬剤;シスプラチン、ドキソルビシン、メトトレキサート等)、抗ヒスタミン薬、抗菌薬、抗癌剤等。)、抗ヒスタミン薬、抗偏頭痛薬、ホルモン、プロスタグランジン、抗菌薬(抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬を含む)、抗ムスカリン薬、抗不安薬、静菌薬、免疫抑制薬、鎮静薬、催眠薬、抗精神薬、気管支拡張薬、抗喘息薬、循環器系薬剤、麻酔薬、抗凝固剤、酵素阻害剤、ステロイド剤、ステロイドまたは非ステロイド性抗炎症剤、コルチコステロイド、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸薬、筋弛緩剤、栄養剤、ビタミン、副交感神経作動薬、興奮剤、鎮痛剤および抗ナルコレプティック剤等を含む。栄養補助食品も組み込むことができる。これらは、ビタミン類、カルシウムやビオチン等のサプリメント、または植物抽出物や植物ホルモン等の天然成分であってもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、抗炎症剤である。適切な抗炎症剤の非限定的な例としては、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、デキサメタゾン、デソキシメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルニソリド、フルチカゾン、イコメタゾン、ロフレポニド、トリアムシノロンアセトニド、フルオコルチンブチル、ヒドロコルチゾンアセポネート、ヒドロコルチゾンブテプレート、ヒドロキシコルチゾン17ブチレート、プレドニカーベイト、6-メチルプレドニソロンアセポネート、モメタゾンフロエート、エラスタン、プロスタグランジン、ロイコトリエン、およびブラジキニン拮抗薬を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、麻酔剤である。好適な麻酔薬の非限定的な例としては、ブピバカイン、リドカイン、プロカイン、およびテトラカインを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、抗血小板剤である。 適切な抗血小板剤の非限定的な例としては、クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロル、チクロピジン、シロスタゾール、ボラパキサー、アブシキシマブ、エプチフィバティド、チロフィバン、ジピリダモール、およびテルトロバンが挙げられる。
【0115】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、鎮痛剤である。適切な鎮痛剤の非限定的な例としては、パクリタキセル、クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロル、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン(および他のNSAIDs)、ワルファリン、ヘパリン、アピキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバン、およびスタチン類を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、抗悪性腫瘍剤である。適切な抗悪性腫瘍剤の非限定的な例としては、パクリタキセル、オキサリプラチン、フルオロウラシル(5-FU)、ドセタキセル、メトトレキサート、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、エトポシド、ノバイオシン、メルバロンおよびアクラルビシンが挙げられる。
【0117】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、防腐剤である。適切な防腐剤の非限定的な例としては、クロルヘキシジン、アレキシジン、ヨウ素、ポビドン、オクテニジン、ポリビグアニド、セトリミド、ビフェニロール、クロロフェン、トリクロサン、銅、銀,ナノ銀、金、セレン、ガリウム、タウロリジン、シクロタウロリジン、N-クロロタウリン、アルコール、ラウロイルアルギニンエチル、ミリスラミドプロピルジメチルアミン(MAPD)、およびオレアミドプロピルジメチルアミン(OAPD)を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、抗菌剤である。適切な抗菌剤の非限定的な例としては、ペニシリン:ベンジルペニシリン(例えば、ペニシリンG-ナトリウム、クレミゾールペニシリン、ベンザチンペニシリンG);フェノキシペニシリン(例えば、ペニシリンV、プロピシリン);アミノベンジルペニシリン(例えば、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン)、アシルアミンペニシリン(例えば、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アパルシリン)、カルボキシペニシリン(例えば、カルベニシリン、チカルシリン、テモシリン)、イソキサゾリルペニシリン(例えば、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン)、アミジンペニシリン(例えば、メシリンナム)、セファロスポリン、例えば:セファゾリン(例えば、セファゾリン、セファゼドン);セフロキシム(例えば、セルフォキシム、セファマンドール、セフォティアム);セフォキシチン(例えば、セフォキシチン、セフォテタン、ラタムキセフ、フロモキセフ);セフォタキシム(例えば、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフチゾキシム、セフメノキシム);セフタジジム(例えば、セフタジジム、セフピロメ、セフピメ);セファレキシン(例えば、セファレキシン、セファクロール、セファドロキシル、セフラジン、ロラカルベッフ、セフプロジール);セフィキシム(例えば、セフィキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフロキシムアキセチル、セフェタメットピボキシル、セフォチアムヘキセチル)、カルバペネム系薬;イミペネム;シラスタチン;メロペネム;ビアペネムモノバクタム;ジラーゼ阻害剤:シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、ペフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、クリナフロキサシン、シタフロキサシン、ゲミフロキサシン、バロフロキサシン、トロバフロキサシン、モキシフロキサシン、リファンピシン、シタフロキサシン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、スルホンアミド、およびアミノグリコシド。およびそれらの組み合わせを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、凝固剤である。適切な凝固剤の非限定的な例としては、セルロース、酸化セルロース、トラネキサム酸、アプロチニン、イプシロン-アミノカプロン酸、アミノメチル安息香酸、フィブリノーゲン、およびカルシウム塩が挙げられる。
【0120】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、生物学的実体(または生物学的存在;biologic entity)である。適切な生物学的実体の非限定的な例としては、ペプチドおよびペプチドオリゴマーを含む。インスリン、副腎皮質刺激ホルモン、カルシトニン、オキシトシン、バソプレシン、オクトレオチド、リュープロレリン、エキセナチド、カーフィルゾミブ、ボルテゾミブ、リキシレナチド、ボクロスポリン、ダプトマイシン、グラチラマー、リンドープピムート、デュラグルチド、トレバナニブ、ルテチウム、ロミプロスチム、リラグルチド、ペギネサチド、ゾプタレリン、テサモレリン、ルシナクタント、パシレオチド、リナクロチド、テドゥグルチド、アルビグルチド、デュラグルチド、アフメラノチド、エテルカルセチド、プレカナチド、チェックポイント阻害剤:PD-1、CTLA-4、PD-L1;免疫細胞治療薬:腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、キメラ抗原受容体(CAR)、チサゲンレクロイセル、アクシカブタゲンシロロイセル;抗体治療薬:トラスツズマブ、リツキシマブ、オクタムマブ、アレムツズマブ、アドトラスツズマブ・エムタンシン、ブレンツキシマブ・ベドチン、ブリナトマブ;治療用ワクチン:シプレウセルT、タリモジェン・ラヘルプベック;および免疫調節剤:サイトカイン、バシルスカルメートゲラン(BCG)、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、イミキモッド。
【0121】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、天然および/または合成カンナビノイドまたはその誘導体を含む。
【0122】
1つ以上の生物学的活性剤(例えば、ボディ部分のバルクを形成するポリマー材料中に存在する第1の生物学的活性剤、またはボディ部分の孔中に存在する第2の生物学的活性剤)が存在する場合、各生物学的活性剤は独立して上記の活性剤のうちの1つであってもよいことが理解されるべきである。
【0123】
生物学的活性剤(例えば、第1、第2の生物学的活性剤)は、ボディ部分および/またはポリマー材料内に分布し、任意の適切な量でデバイス内に存在してもよい。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)のデバイスにおいて、デバイスの総重量に対して約0.01質量%~約50質量%の範囲の量でデバイスのボディ部分またはポリマー材料内に存在する。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率)のデバイスにおいて、デバイスの総重量に対して、デバイスのボディ部分において、少なくとも約0.01質量%、少なくとも約0.05質量%、少なくとも約0.1質量%、少なくとも約0.5質量%、少なくとも約1質量%、少なくとも約2質量%、少なくとも約3質量%、少なくとも約5質量%、少なくとも約10質量%、少なくとも約20質量%、少なくとも約30質量%、少なくとも約40質量%で存在する。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、約50質量%以下、約40質量%以下、約30質量%以下、約20質量%以下、約10質量%以下、約5質量%以下、約3質量%以下、約2質量%以下、約1質量%以下、約0.5質量%以下、約0.1質量%以下、または約0.05質量%以下の量でデバイスのボディ部分またはポリマー材料中に存在する。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、約0.01質量%以上約50質量%以下)。他の範囲も可能である。1つ以上の生物学的活性剤が存在する場合(例えば、ボディ部分のバルクを形成するポリマー材料中に存在する第1の生物学的活性剤、またはボディ部分の孔中に存在する第2の生物学的活性剤)、各生物学的活性剤は独立して上記の1つ以上の範囲内の量で存在し得ることを理解されたい。
【0124】
本明細書に記載される装置、カテーテル、キット、および方法は、任意の適切な対象に投与され得る。本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒトまたは動物等の個々の生物を指す。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳類(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、または非ヒト哺乳類)、脊椎動物、実験動物、家畜動物、農業動物、またはコンパニオンアニマルである。対象の非限定的な例としては、ヒト、非ヒト霊長類、牛、馬、豚、羊、ヤギ、犬、猫、またはマウス、ラット、ハムスター等のげっ歯類、鳥、魚、もしくはモルモットが挙げられる。一般に、本発明は、ヒトへの使用に向けられる。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、デバイスの投与に際して、健康上の利益を示すことができる。
【0125】
有利には、本明細書に記載のデバイスは、特定の他のデバイス(例えば、生物学的活性剤のコーティングのみを含む特定のデバイス)と比較して、生物学的活性剤等の活性剤の高濃度(重量パーセント)をデバイスに組み込むことを可能にし得る。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、第1の水溶性ポリマーおよび/または第2の水溶性ポリマーと会合(または関連;associated with)している。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、第1の水溶性ポリマーおよび/または第2の水溶性ポリマー内に分散される。加えて、または代替的に、本明細書に記載のデバイスは、特定の他のデバイス(例えば、生物学的活性剤のコーティングのみを含む特定のデバイス)と比較して、1つ以上の生物学的活性剤の拡張放出を可能にし得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、任意の適切な手段によってデバイスのボディ部分から放出され得る。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、ボディ部分(例えば、ボディ部分のポリマー材料)から拡散することによって放出される。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、ボディ部分の少なくとも一部の分解(例えば、生分解、酵素分解、ボディ部分を形成するポリマー材料、またはボディ部分の孔内のポリマー材料の加水分解)により放出される。いくつかの実施形態では、活性物質は、特定の速度でデバイスから放出される。当業者であれば、放出速度は、いくつかの実施形態において、血液等の生理的流体等、デバイスが曝露される媒体中の生物学的活性剤の溶解度に依存し得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、放出速度は、デバイス(例えば、デバイスのボディ部分)内の、架橋密度、空隙率、孔径分布、孔の相互連結性(例えば、迷路度)、結晶化度、および/または生物学的活性剤含有層の数に依存してもよい。
【0127】
いくつかの実施形態では、デバイスは、バースト(または破裂、または突発;burst)放出および制御放出の組み合わせを使用して1つ以上の生物学的活性剤を放出するようになり得る。例示的な例では、生物学的に活性な薬剤は、上記の量、平均速度、および/または時間のいずれかにおいて、第1のバースト放出に続いて制御された放出によって放出されてもよい。別の例示的な例では、第1の生物学的活性剤は、バースト放出によって放出されてもよく、第2の生物学的活性剤は、上記のような特定の平均速度で放出されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の生物学的活性剤および第2の生物学的活性剤は、実質的に同時に放出を開始してもよい。いくつかの実施形態では、第1の生物学的活性剤および第2の生物学的活性剤は、異なる時間に放出されてもよい。
【0128】
生物学的活性剤は、少なくとも約24時間の時間にわたって実質的に一定の平均速度(例えば、実質的に0次の平均放出速度)で放出されてもよい。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、少なくとも約24時間の時間の一次放出速度(例えば、生物学的活性剤の放出速度は、生物学的活性剤の濃度に概ね比例する)で放出される。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー材料および/またはデバイスを形成する方法は、第1の水溶性ポリマーと、上記のような浸透圧剤(例えば、塩)とを含む混合物を提供することを含む。いくつかの実施形態では、混合物は押出される。いくつかの実施形態では、押出された混合物は、芯材に押出され、芯材に配置されたポリマー材料を形成する。いくつかの実施形態において、形成されたポリマー材料は、ポリマー材料の非溶媒に曝される。いくつかの実施形態では、第1の水溶性ポリマーとは異なる第2の水溶性ポリマー、および任意に浸透圧剤を含む溶液が、ポリマー材料に導入される。いくつかの実施形態では、ポリマー材料(例えば、溶液を浸透圧剤に導入した後)は加熱される。いくつかの実施形態では、溶液は、ポリマー材料に対して流される。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、乾燥されてもよい。
【0130】
例示的な一連の実施形態において、本明細書に記載のポリマー材料および/またはデバイスを形成する方法は、第1の水溶性ポリマーと浸透圧剤(例えば、塩)とを含む混合物を提供することを含み、第1の水溶性ポリマーは、混合物の総重量に対し、混合物中に10質量%以上(例えば、13質量%以上、または13質量%以上50質量%以下)で存在し、以下のステップを実行する:混合物を大気圧において65℃以上(例えば、65℃以上100℃以下)の温度で押し出し、芯材に配置されたポリマー材料(例えば、固体棒または気体)を形成すること、ポリマー材料を28℃以下(例えば、28℃以下、-20℃以上)の温度で15分以上(例えば、1時間以上、240時間以下)ポリマー材料の非溶媒にさらすこと、ポリマー材料に、生物学的活性剤および/または第1の水溶性ポリマーとは異なる第2の水溶性ポリマー、および/または浸透圧剤(例えば、塩)を導入すること、ポリマー材料および溶液を25℃以上(例えば、30℃以上、または30℃以上65℃以下)の温度に加熱すること、例えば、1時間以上(例えば、1時間以上48時間以下または3時間以上48時間以下)、ポリマー材料に隣接する溶液を流すこと、およびポリマー材料を乾燥させること、を実行することを含む。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、ポリマー材料の生物学的活性剤の平均充填の50%以下の範囲内で、ポリマー材料内に実質的に均質に分布している。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、ポリマー材料内に非均質に(すなわち、ポリマー材料の1つ以上の表面上に)分布している。
【0131】
いくつかの実施形態では、第2の水溶性ポリマーは、本明細書に記載されるように、第1の水溶性ポリマーの少なくとも1つの孔(または複数の孔)内に配置される。
【0132】
いくつかの実施形態では、非溶媒は、アルコールを含む。いくつかの実施形態では、非溶媒は、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸塩、プロピオン酸、エーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、アセトニトリル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール空気、真空またはそれらの組合せである。他の非溶媒も可能である(例えば、水に対する溶解度は高いが、水溶性ポリマーに対する溶解度は、水への溶解度と比較して低い溶媒)。
【0133】
いくつかの実施形態では、芯材は、空気、水、非溶媒液体、固体、または気体であってもよい。場合によっては、芯材は、コア材料上にポリマー材料が形成された後に除去されてもよい。芯材は、場合によっては、物理的に除去され、および/または溶解されてもよい。
【0134】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるポリマー材料および/またはデバイスは、保湿剤(または湿潤剤;humectant)に曝露されてもよく、および/または保湿剤を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、デバイス10は、
図1Gに例示的に示されるように、保湿剤70を含む。いくつかの実施形態では、保湿剤の少なくとも一部は、ポリマー材料および/またはデバイス(例えば、ボディ部分)の表面(例えば、内腔(ルーメン)および/または外腔表面)に配置される。例えば、いくつかの実施形態では、保湿剤70の一部は、デバイス10の表面に配置される。いくつかの実施形態では、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、または全ての保湿剤が、ポリマー材料および/またはデバイス(例えば、ボディ部分)の表面に配置される。いくつかの実施形態では、100%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下の保湿剤が、ポリマー材料および/またはデバイス(例えば、ボディ部分)の表面に配置される。これらの範囲の組合せも可能である(例えば、40~100%)。
【0135】
いくつかの実施形態では、保湿剤の少なくとも一部は、ポリマー材料および/またはデバイス(例えば、ボディ部分)の内部にある。いくつかの実施形態では、保湿剤の少なくとも一部は、ポリマー材料および/またはデバイス(例えば、ボディ部分)の内部にある。例えば、いくつかの実施形態では、保湿剤70の一部は、デバイス10の内部にある(例えば、デバイスのバルクに吸収されている)。いくつかの実施形態では、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、または保湿剤の全てが、ポリマー材料および/またはデバイス(例えば、ボディ部分)の内部に存在する。いくつかの実施形態では、100%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下の保湿剤が、ポリマー材料および/または装置(例えば、ボディ部分)の内部に存在する。これらの範囲の組合せも可能である(例えば、30~100%)。
【0136】
いくつかの実施形態では、保湿剤は、非イオン性界面活性剤(すなわち、非荷電親水性頭部および疎水性尾部を有する界面活性剤)または双性イオン(または両性イオン;zwitterionic)性界面活性剤(すなわち、純非荷電親水性頭部および疎水性尾部を有する界面活性剤)である。いくつかの実施形態では、保湿剤は、糖アルコール、ポロキサマー、トリアセチン、α-ヒドロキシ酸、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、スレイトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、フチトール、イジトール、イノシトール、ボレイトール、マリトール、ラクチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトール、ポリグリシトールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、保湿剤は、ビタミンE等の油を含む。いくつかの実施形態では、保湿剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および/またはホスホコリン等の塩を含む。
【0137】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリマー材料および/またはデバイスは、0.1質量%以上の保湿剤、0.5質量%以上の保湿剤、1質量%以上の保湿剤、5質量%以上の保湿剤、10質量%以上の保湿剤、または20質量%以上の保湿剤にさらされ、および/またはこれらを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー材料および/またはデバイスは、30質量%以下の保湿剤、25質量%以下の保湿剤、20質量%以下の保湿剤、15質量%以下の保湿剤、10質量%以下の保湿剤、5質量%以下の保湿剤、または1質量%以下の保湿剤に曝露されるか、およびこれらを含む。これらの範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.1~30質量%の保湿剤または1~10質量%の保湿剤)。多孔質固体(例えば、
図1D~1Fの装置によって製造される)は、アニールされてもよい。さらに、事前のアニーリングを伴うかまたは伴わない多孔質固体は、ポリマーが組み込まれたバルクをさらに含むように処理されてもよい。
図3Aにおいて、多孔質固体マトリックス212を含む材料210は、脱溶媒和(または脱溶媒;desolvate)され、再溶媒和する溶媒中にあるポリマーを含む混合物にさらされ、混合物中で再溶媒和され、ポリマーが組み込まれたバルク214を有する材料212を形成する。マトリックス212の断面(
図3B)は、マトリックス212の孔が充填されている最外部ゾーン216、孔内のポリマーの密度が低く、充填が少なく、および/または孔の占有が少ない中間ゾーン218、およびポリマーが浸透していない内部ゾーン220を明らかにする。マトリックスは、水溶性ポリマーがマトリックス中に移動できるように、混合物に曝露された際に脱溶媒和されることを条件として、混合物に曝露する前に溶媒和および/または脱溶媒和されることができる。
【0138】
いくつかの実施形態において、デバイスおよび/またはポリマー材料を湿潤化する方法は、保湿剤(例えば、グリセロールまたはポロキサマー)を含む溶液中に押出セグメントを置く(または配置;place)ことを含む。いくつかの実施形態において、溶液は、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、または25質量%以上の保湿剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、または5質量%以下の保湿剤を含む。これらの範囲の組合せも可能である(例えば、1~35質量%)。いくつかの実施形態では、溶液は、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、PBSを含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、押出セグメントは、一定期間、溶液中に置かれる。いくつかの実施形態において、その期間は、1時間以上、2時間以上、または3時間以上である。いくつかの実施形態では、期間は、4時間以下、3時間以下、または2時間以下である。これらの範囲の組合せも可能である(例えば、3時間、または1~4時間)。
【0140】
いくつかの実施形態において、溶液は、押出セグメントの溶液への曝露の間、ある温度で維持される。いくつかの実施形態において、温度は、20℃以上、30℃以上、37℃以上、40℃以上、50℃以上、または60℃以上である。 いくつかの実施形態では、温度は、70℃以下、60℃以下、55℃以下、50℃以下、40℃以下、37℃以下、または30℃以下である。これらの範囲の組合せも可能である(例えば、20~70℃、37~55℃、または45℃)。
【0141】
いくつかの実施形態において、押出セグメントを溶液から除去した後、押出セグメントを(例えば、対流式オーブンにおいて)乾燥させることができる。いくつかの実施形態において、押出セグメントは、ある温度で乾燥される。いくつかの実施形態では、温度は、20℃以上、30℃以上、または40℃以上である。いくつかの実施形態では、温度は、50℃以下、40℃以下、または30℃以下である。これらの範囲の組合せも可能である(例えば、30℃、または20~50℃)。いくつかの実施形態において、押出セグメントは、ある期間乾燥される。いくつかの実施形態において、その期間は、1時間以上、2時間以上、または3時間以上であってよい。いくつかの実施形態では、時間の期間は、4時間以下、3時間以下、または2時間以下であってよい。これらの範囲の組合せも可能である(例えば、3時間、または1~4時間)。
【0142】
生物学的活性剤は、任意の適切な方法を用いて、本明細書に記載されるデバイスおよび/またはデバイスに組み入れられ得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の水溶性ポリマーは、水と混合されてもよい(例えば、水に対する水溶性ポリマーの0.1~99.9、1~99、5~95、10~90、20~80、30~70、33~67、37~63、40~60、42~58、45~55、47~53、50~50の質量比の溶液配合法(または調合、またはコンパウンド;compounding)を介して混合する)。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、溶液配合の前に、水に懸濁または可溶化されてもよい。生物学的活性剤は、水溶性ポリマーおよび水を含む溶液に配合されるとき、場合によっては、微粉化、凝集、および/または未処理であってよい。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、本明細書に記載されるように溶液を加熱する前に、水溶性ポリマーおよび水と混合されてもよい。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、本明細書に記載されるようなポリマーのバルク組み込み後の冷却時に温度を下げながら添加されてもよい。
【0143】
いくつかの実施形態において、第3の水溶性ポリマーの架橋は、微粉化の前に、UV架橋、化学架橋(例えば、グルタルアルデヒド、ビス(ヒドロキシエチル)スルホン、マレイン酸等)、および/または放射線架橋(例えば、ガンマ)により達成可能である。いくつかの実施形態では、従来のカプセル化方法を使用して、50ミクロン未満に微粉化してもよく、および/または微粒子またはナノ粒子からの制御された放出を拡張するために、例えば、in situ水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンまたは空洞成形を通して、使用してもよい。
【0144】
いくつかの実施形態において、生物学的活性剤を含む粒子は、完全重合ポリマー、架橋剤または開始剤を有するプレポリマー、モノマーおよび開始剤、または自己重合する2つ以上のモノマー、またはそれらの組み合わせを用いてin situで製造することができる。
【0145】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、デバイスのボディ部分(例えば、
図1B~1C)の複数の孔の中に存在してもよい。いくつかのそのような実施形態では、生物学的活性剤は、例えば、水和および/またはデバイスの膨潤/伸長時に放出されてもよい。複数の孔への生物学的活性剤の組み込みは、任意の適切な方法を使用してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、第2の水溶性ポリマーおよび生物学的活性剤が複数の孔内に配置されるように、本明細書に記載の第2の水溶性ポリマーと混合されてもよい。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、複数の孔に吸着/吸収されてもよい。
【0146】
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、デバイス(例えば、
図1A~1Cの中空コア25)のチャネルを介してボディ部分に可溶化され注入(または満たされ、または染み込ませ;infuse)されてもよい。そのようなデバイスは、遅延放出(例えば、長期放出)および/または再充填可能なデバイスとして有用であり得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーを有する生物学的活性剤は、非薬剤バルクポリマー(例えば、PVA)を含む外層および内層の間の中心層として共押出される。例示的な実施形態では、生物学的活性剤はバルクポリマーと適合し、剥離することなく良好に接着する。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤層は、結合性ポリマーがそれらの表面層に吸着および吸収されることを可能にする表面から離れた位置にある。
【0148】
バルク組み込みポリマーを含む多孔質固体を製造するためのプロセスの例示的なフローチャートが、
図4Aに提示されている。このプロセスでは、放射線不透過性(RO)剤が押し出し工程に含まれる。加熱された親水性ポリマー溶液は、押し出された多孔質固体の孔にバルク的に組み込まれるポリマーを指す。
【0149】
バルク的に組み込まれたポリマーおよび生物学的活性剤を含む多孔質固体を製造するためのプロセスの別の例示的なフローチャートが、
図4Bに示されている。このプロセスでは、後処理は、スチールマンドレル上で押出物を乾燥させた後、押出工程に含まれる。
【0150】
本開示を読む当業者は、押出成形または他の成形技術について知られていることに照らしてその原理を適応させ、本明細書に記載されるのと同じ最終製品を達成する代替のプロセスおよび装置を作ることができるであろう。このプロセスのスケールアップした実施形態は、例えば、マルチゾーンスクリュー押出機での使用に適合させることができ、溶剤混合物は、適切な注入器またはホッパーを介して提供され、ゾーン(または区域、または領域;zone)は、低温押出を提供するように制御される。シリンジポンプのような機能は、適切に計量制御された液体または固体ポリマー供給システムによって置き換えることができる。
【0151】
Fukumoriら(2013)、Open J. Organic Polymer Materials 3:110-116は、試験したサンプルにおいて少なくとも約3サイクルを必要とする約5MP以上のヤング率181MPaのポリ(ビニルアルコール)(PVA)材料を作る凍結融解工程を報告した。これらのゲルの製造過程では、複数回の凍結融解サイクルが必要であった。得られた材料は乾燥状態で試験されたため、EWCで測定された強度と比較することはできない。Fukumoriらは、凍結融解の回数が増えるにつれて材料中の結晶含有量が増加することを報告し、材料の強度は、凍結融解サイクルが進むにつれて大きな結晶が形成され、大きな結晶が優れた架橋を形成して材料のTgを増加させたことに起因するとしている。このような工程を経ると、その性質上、乾燥した材料になる。さらに、後述するように、凍結融解プロセスは、マクロ孔を生成する。
【0152】
いくつかの実施形態において、本明細書におけるプロセスは、凍結融解プロセスを含まない、および/または凍結プロセスを含まない、および/または融解プロセスを含まないものである。さらにプロセスは、共有結合性架橋剤の非存在下でも、ほとんどまたは全く膨潤しない、例えば、EWCで0~100%質量の膨潤を有する固体多孔質材料を作るために使用することができる。当業者は、明示的に述べられた境界の間のすべての範囲および値、例えば、0、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、95、100%質量%、膨潤は%膨潤=100×(EWCでの総重量-乾燥重量)/乾燥重量として測定され、乾燥重量は水を含まない材料の重量とすること、が企図されることを直ちに理解するであろう.
【0153】
いくつかの実施形態では、押出サンプルは、サンプルの長さ(押出方向)に沿って水平な鎖の配向および整列(または配列、またはアライメント;alignment)を有する。押出成形プロセスによって生成される高分子鎖配向。理論に束縛されることを望まないが、いくつかの実施形態において、サンプルの長さに沿ったこの水平な鎖の配向および整列は、サンプルが膨潤したときに長さの増加割合よりも大きな割合で増加する内径および/または外径に寄与すると考えられている。
【0154】
様々なタイプのダイが使用されてもよく、例えば、縦方向、角度方向、横方向および螺旋方向の押出ヘッド、並びに単一のポリマーを押出すために使用される単一ポリマー押出ヘッドおよび複数のポリマー層または他の層の同時押出のために使用される多層押出ヘッドが使用され得る。また、循環式だけでなく、連続式のヘッドも使用することができる。様々な材料が、層に、または層として組み込まれてもよい:例えば、補強材料、繊維、ワイヤー、編組(または組ひも;braid)材料、編組ワイヤー、編組プラスチック繊維、等。同様に、そのような材料は除外されてもよい。さらに、多孔質固体は、特定の特性、例えば、ヤング率、引張強度、固形分、ポリマー組成、多孔質構造、または溶媒含有量が既知であり、したがって、様々な他の材料を除いて測定可能なもので作られてもよい。したがって、実施形態は、様々な他の組み込まれた材料に関係なく、材料の特性の観点から説明される、本明細書に開示された材料を含む。例えば、ナノ多孔質固体は、材料がさらなる強度に寄与する補強ワイヤーを有する場合でも、既知の特定のヤング率を有する。
【0155】
コアは、押し出しダイとともに使用され得る。コアは、空気、水、液体、固体、非溶媒、または気体であってもよい。本開示を読む当業者は、これらの様々な種類のコアを使用する様々な押出プロセスが使用され得ることを理解するであろう。ポリテトラフルオロエチレンチューブ(PTFE)で作られたコアが有用である。いくつかの実施形態では、コアはワイヤーである。
【0156】
マルチルーメンチューブは、そのプロファイルを通る複数のチャンネルを有する。これらの押出成形品は、デバイスの設計に合わせてカスタム設計することができる。マルチルーメンチューブは、可変の外径(OD)、多数のカスタム内径(ID)、およびさまざまな壁厚を有する。チューブは、円形、楕円形、三角形、四角形、半円形、三日月形等、さまざまな形状で利用可能である。これらのルーメンは、ガイドワイヤー、液体、気体、ワイヤー等、さまざまな用途に使用できるマルチルーメンチューブのルーメンの数は、ODの大きさによってのみ制限される。いくつかの実施形態では、ODは0.5インチと大きく、IDは0.002インチと小さく、ウェブおよび壁の厚さは0.002インチと薄くすることができる。タイトな公差を+/-.0005インチまで維持することが可能である。当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値が企図されていることを直ちに理解する。例えば、ODおよび/またはIDの上限または下限として、以下のいずれかが利用可能である:0.002、0.003、0.004、0.007、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、および0.5インチ。公差は、例えば0.0005~0.1インチであってよい。当業者であれば、明示的な境界線間のすべての範囲と値が想定されることを直ちに理解されるであろう。例えば、次のいずれかが上限または下限として利用可能である:0.0005、0.001、0.002、0.003、0.006、0.01、0.02、0.03、0.06、0.8、0.9、1インチ。
【0157】
編組強化チューブは、さまざまな構成で作ることができる。例えば、0.001インチの小さな丸いまたは平らな、片端または両端のワイヤーを使用して編組することが可能である。ステンレス、ベリリウム銅、銀、モノフィラメントポリマー等、さまざまな材料を使用して編組強化チューブを作ることができる。また、ナイロンやポリウレタン等の熱可塑性基材の上に、1インチあたり様々なPICで巻き付けることができる。カテーテルシャフトの利点は、高いトルク性能と耐キンク性である。また、編組工程でいくつかの要素を変更することにより、要求性能に合わせたチューブの特性を得ることができる。編組の完成後、編組を包み込み、滑らかに仕上げるために、編組チューブの上に二次押出し加工を施すことがある。編組強化チューブの場合、0.007インチまでの薄肉化が可能である。
【0158】
多孔質体、微多孔質体、ナノ多孔質体
多孔質固体とは、本明細書では、広い意味で使用されており、オープンスペース(または空間;open space)を含む固相を有する材料を指す用語であり、真の多孔質材料や、オープンマトリックス構造を有するハイドロゲルを説明するために使用される。多孔率に関連するいくつかの用語は、科学文献において幾分緩やかに使用されており、本明細書において一定の定義を提供することが有用であるようなものである。ナノ多孔質材料またはナノ多孔質固体という用語は、本明細書では、特に、直径約100nmまでの孔サイズを有する相互接続された孔で作られた固体を指すために使用される。直径という用語は、これらの技術分野において慣用的であるように、広く、任意の形状の孔を包含する。マイクロポーラス固体またはマイクロポーラス材料という用語は、本明細書において同様に、特に、約10μmまでの直径の孔サイズを有する相互接続された孔で作られた固体を指すために使用される。これらのナノまたはマイクロ多孔質材料は、相互接続された多孔質構造によって特徴付けられる。
【0159】
当業者がヒドロゲルスポンジと呼ぶこともあるヒドロゲルも、空隙を介して充填された連続的で強固なネットワーク材料を有する真の多孔質材料であり、空隙は孔である。しかしながら、多くのヒドロゲルに見られるオープンマトリックス構造は、真の多孔質構造ではなく、一般に、拡散性または他の特性を特徴付ける際に、それらを多孔質材料と呼ぶこと、または孔の類推を用いることは便利であるが、かかるヒドロゲルは、それらの用語がここで用いられるようなナノ多孔性またはマイクロ多孔性固体ではない。オープンマトリックス型ヒドロゲルのストランド間の空間、およびマトリックスのストランドは、相互に接続された孔ではない。ヒドロゲルは、架橋され、溶媒に不溶であり、有意な機械的強度を有するので、本明細書およびこれらの技術分野において一般的に固体として言及することが便利であるが、真の固体でなくても固体様の性質を有する架橋ゲルである。ヒドロゲルは、高含水率、例えば、EWCで25%質量またはそれ以上を有することができる。ヒドロゲル技術分野の当業者は、正味分子量の切断を特徴付けるために、または開口ヒドロゲルマトリックスのストランド間の間隔を指すために、多孔性という用語を用いることがあるが、この場合、ヒドロゲルは真の多孔性構造を有さず、これらの用語が本明細書で用いられるようなナノ多孔性またはミクロ多孔性材料ではない。本明細書で使用するナノポーラス物質およびマイクロポーラス物質の定義は、マイクロポーラス物質が2nm未満の孔径を有し、マクロポーラス物質が50nmを超える孔径を有し、メソポーラスのカテゴリーがその中間にあると説明する、時に従う慣習とも対照的である。
【0160】
本発明の材料の製造方法として、押出成形にはいくつかの利点がある。押出成形は、ポリマーを平行に配向させ、高い引張強度をもたらすことが確認されている。押出して延伸することで、ポリマー分子はチューブやファイバーの方向に整列するようになる。分子間の強い分子間力により、ランダムな配向に戻ろうとする傾向が抑制される。また、射出成形等の成形加工に比べ、高いアスペクト比の材料やデバイスを作ることができる。さらに、押出成形では、壁の厚み、ルーメンの配置等を制御することができるため、寸法を良好に制御することができる。溶媒中に溶融点以上の高濃度のポリマーを使用することは、押出成形を可能にするために有効であった。同様のポリマーを用いて高強度材料を作ろうとする他の者による試みは、押出成形を可能にせず、効率が悪く、実際のエンドユーザー製品の製造にしばしば適さない他の技術を用いたことは重要である。
【0161】
例えば、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)は、特に従来から使用されているPVA医療材料と比較して優れた特性を有するナノ多孔性材料を作るために本明細書で使用された。実際、PVAは医療機器業界で広く使用されており、生体適合性の実績がある。PVAは直鎖状分子であり、生体適合性バイオマテリアルとしての歴史が長い。PVAのハイドロゲルやメンブレンは、コンタクトレンズ、人工膵臓、血液透析、合成硝子体等のバイオメディカル用途や、軟骨や半月板の組織を置換する移植用医療材料として開発されてきた。他のハイドロゲルに比べ、生体適合性が高く、タンパク質の吸着性が低いため、細胞接着性が低いことから、これらの用途に魅力的な材料である。
【0162】
また、PVAの特性を生物医学的な目的のために改善しようとする試みもなされている。例えば、凍結/解凍プロセスで実験した人もいる。そして、「塩析」ゲル化等のPVAからのハイドロゲル形成技術は、異なる分子量と濃度を用いて有用なポリマーハイドロゲルを形成することが示されている。Flory相互作用の操作も、椎間板を修復するための注射可能なin situ形成ゲルとしてのPVAの使用のために、2つの溶液の組み合わせによるPVAゲルの形成において研究されてきた(US7,845,670,US8,637,063,US7,619,009を参照されたい)。一般に、強靭なPVA材料を製造するための先行プロセスは、US8,541,484で研究されている。放射線や化学的架橋剤を使用せずに行う方法も、US6,231,605に示されているように、以前から研究されていた。このような他者によるPVA関連の研究は、いずれも本明細書に記載される発明にはつながっていない。これらの他の材料のいくつかは、引張強度に関して有用であったが、それにもかかわらず、本質的にマクロポーラスであった。
【0163】
対照的に、本明細書のプロセスは、真の多孔質構造および生体適合性と機械的特性との予想外の良好な組み合わせのような他の有用な特性を有する高強度材料を提供する。多孔質固体材料の実施形態は、材料に対して孔サイズ、引張強度、ヤング率、固体濃度、架橋タイプおよび程度、内部整列、親水性、および組成から独立して選択される構造特徴の組み合わせを有し、さらに、任意で、成形形状、ルーメン、複数のルーメン、ルーメンが同心状に配置されたチューブ、または厚さの許容範囲、または特定の医療デバイスに対して所望のアスペクト比を有するエンドユーザーの装置または中間材料:これらの各々はさらにここで詳述される。
【0164】
実施形態は、100nm以下、または10~100nmの範囲内の孔直径を有するナノ多孔質材料を含む;当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値が企図され、例えば、次のいずれかが上限または下限として利用できることを直ちに理解するであろう:1、2、3、4、5、10、20、50、60、70、80、90、100nm。
【0165】
実施形態は、EWCで測定した少なくとも約50MPaまたは1~300MPaの破断時引張強度を有するナノ多孔質材料または微多孔質材料を含む。当業者は、明示された境界の間の全ての範囲および値が企図され、例えば、次のいずれかが上限または下限として利用可能であることを直ちに理解するであろう:10、20、30、40、50、60、70、100、200、300MPa。
【0166】
実施形態は、EWCで測定された少なくとも約1MPaまたは1~200MPaのヤング率強度を有するナノ多孔質材料またはマイクロ多孔質材料を含む。当業者は、明示された境界の間の全ての範囲および値が企図され、例えば、以下のいずれかが上限または下限として利用可能であることを直ちに理解するであろう:5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200MPa。
【0167】
実施形態は、EWCで測定した少なくとも約100%または50~1500%の破断伸度を有するナノ多孔質材料または微多孔質材料またはヒドロゲルを含む。当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値が企図され、例えば、以下のいずれかが上限または下限として利用可能であることを直ちに理解するであろう:50、60、70、80、90、100、200、300、400、450、または500%(例えば、50%より大きいかまたは50%に等しい)。
【0168】
実施形態は、少なくとも20%の固形分またはEWCで測定した20~90%質量の固形分を有するナノ多孔質材料またはマイクロ多孔質材料またはヒドロゲルを含む;当業者は、明示的に記載した境界の間のすべての範囲および値が企図され、例えば、次のいずれかが上限または下限として利用できることを直ちに理解するであろう:5、10、25、30、35、40、45、50,55、60、65、70、80,90%の質量パーセントの固形分。固形分率は、EWCでの総重量を乾燥重量と比較して測定する。
【0169】
引張強さ、弾性率、および伸びの値は、本開示によって導かれる範囲内の組み合わせで、種々さまざまな物を作ってもよい。
【0170】
実施形態は、物理的架橋または共有結合架橋またはそれらの組み合わせを有するナノ多孔質材料または微多孔質材料またはヒドロゲルを含む。物理的架橋は非共有結合であり、例えば、物理的架橋はイオン結合、水素結合、静電結合、ファンデルワールス力、または疎水性パッキングである。材料は、共有結合性架橋、共有結合性架橋剤およびその化学生成物を含まないようにすることができる。重合の技術分野で知られているように、共有結合の架橋を作成するために処理中に化学物質を添加することができる。あるいは、プロセスおよび材料は、これを使用しないものであってもよい。
【0171】
実施形態は、高分子構造の内部整列を有するナノ多孔質材料またはマイクロ多孔質材料またはヒドロゲルを含む。整列は、押出方向に沿って、すなわち、チューブの場合は長手方向に取られた断面のSEM画像を用いて視覚化することができる。ここでいう整列とは、大部分が水平な鎖の配向であり、試料の長さ方向(押出し方向)に沿ったものである。
【0172】
実施形態は、親水性の表面および/または材料を有するナノ多孔質材料またはマイクロ多孔質材料またはハイドロゲルを含む。水溶性の高分子で作製された材料は、親水性である。水溶性ポリマーは、20℃において少なくとも1g/100mlの濃度で水に溶解するポリマーである。水溶性高分子は親水性である。表面上の水滴に対する接触角が90度以下(接触角は水滴内部を通る角度と定義される)である場合、表面は親水性である。実施形態は、接触角が90~0度の親水性表面を含む;当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値が企図されることを直ちに理解するであろうし、例えば、次のいずれかが上限または下限として利用できる:90度、80度、70度、60度、50度、40度、30度、20度、10度、5度、2度、0度。材料のマトリックスは、マトリックスが親水性であり、表面上の溶媒の液滴が90度未満である場合、溶媒に対して親水性である。
【0173】
プロセスおよび/または生体材料に使用するための材料は、ポリマーを含んでもよい。親水性ポリマーは有用であり、例えば、一つ以上のポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリオキサゾリン、ポリリン酸塩、ポリホスファゼン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリプロピレングリコール、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、多糖類、スルホン化親水性ポリマー(例えば、スルホン化ポリフェニレンオキシド、Nafion(登録商標)、スルホベタインメタクリレート)、およびヨウ素を付加した変形種(例えば、PVA-I、PVP-I)、またはさらなるペンダント基を有する変形種、これらのコポリマー、およびこれらの組み合わせから選択され得る。2つ以上の親水性ポリマーを相互に混合して、ナノ多孔質材料を形成してもよい。ポリマーの分子量は、バイオマテリアルの特性に影響を与えることがある。分子量が高いと、強度が増し、孔径が小さくなり、タンパク質吸着が減少する傾向がある。したがって、実施形態は、40kDa~5000kDaの分子量を有するポリマーまたは親水性ポリマーを含む;当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値が企図され、例えば、以下のいずれかが上限または下限として利用できることを直ちに理解するであろう:40k、50k、100k、125k、150k、250k、400k、500k、600k、750k、800、900k、100万、150万、250万、300万の分子量。
【0174】
PEGという用語は、分子量やポリマーがヒドロキシルで終端されているか否かにかかわらず、すべてのポリエチレンオキシドを指す。同様に、PVA、PVP、およびPAAという用語は、末端化学部位またはMW範囲に関して制限なく使用される。本明細書に記載されるポリマーへの言及は、線状ポリマー、分岐ポリマー、非誘導体ポリマー、および誘導体ポリマーを含むポリマーの全ての形態を含む。分岐ポリマーは、線状骨格と少なくとも1つの分岐とを有し、したがって、星型、ブラシ、櫛、およびそれらの組み合わせを包含する用語である。誘導体ポリマーは、繰り返し単位と、総称して誘導体化部位と呼ばれる1つ以上の置換基またはペンダント基を含む骨格を有する。置換基とは、ある原子を別の原子に置き換えることである。ペンダント基は、ポリマーに付加した化学的部分であり、ポリマー繰り返し単位と同じ部分であってもよいし、異なる部分であってもよい。したがって、ポリマーとは、高度に誘導体化されたポリマーを包含し、およびポリマーの総重量と比較したそのような部分の総MWとして計算される、誘導体化部分が0.01~20%質量以下のポリマーをも包含する。当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値が企図され、例えば、以下のいずれかが上限または下限として利用できることを直ちに理解するであろう:0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20%質量。
【0175】
多孔質固体は、モノリシック材料として、別の材料、デバイス、または表面上の層として、複数の層として、またはナノ多孔質材料またはナノ多孔質材料を含む材料の1つまたは複数の層として形成されてもよい。したがって、例えば、複数の層を押し出し、層は、ナノ多孔質材料、マイクロ多孔質材料、ヒドロゲル、単一ポリマー材料、2つ以上のポリマーを有する材料、および非ナノ多孔質材料のうちの1つ以上を形成するように独立して選択されることが可能である。
【0176】
また、材料の製造工程は、ダイを通過するポリマー混合物中のポリマー濃度等、材料特性に影響を与えることがある。開始PVAまたは他の親水性ポリマー濃度は、例えば、水中で5~70%重量-体積(質量%)の範囲であってよく;一般に、約10~30%(質量%)が好ましい;当業者は、明示的に述べられた境界の間のすべての範囲および値が企図されており、例えば、次のいずれかが上限または下限として利用できることをすぐに理解するであろう:5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70%。
【0177】
本明細書に規定されるプロセスは、ポリマーが架橋し、真のナノポーラス材料になるように処理される前の時点で切り捨てられるか、またはナノポーラス構造を回避するように他の方法で適合され得る。一般に、そのような材料は、強度および靭性が低く、固形分が少ない。このような材料は、親水性ポリマーが比較的低い固形分量で使用される場合、一般にハイドロゲルである。したがって、このような材料、さらにはハイドロゲルは、本明細書で企図されており、ナノ多孔質材料と比較して、幾分特性が劣るが、それでも、同じポリマーを使用する従来のプロセスおよび材料より優れている材料を製造することができる。同様に、一般論として、微多孔質固体は、ナノ多孔質材料の特性に近づく特性を有し、ヒドロゲルの特性より優れた強度を有するであろう。
【0178】
当業者は、材料の孔径分布の定量化を一般的に実践している。ナノ多孔質、微多孔質、および微多孔質材料が本明細書に開示され、そのような材料の孔径の制御が実証される。したがって、実施形態は、孔径の特定の量または分布を有する材料を含む。これらは、表面で、断面試料における表面からの深さで、または材料のバルクについて測定することができる。例えば、表面における、表面からの深さ、またはバルクにおける材料の孔径は、1nm~20μmの範囲内、または特定の値以上または特定の値以下に入る孔径の50~100%の割合を有することができる;当業者は、明示的に述べられた境界の間のすべての範囲および値、例えば、10、20、30、40、50、60、65、70、75、80、90、95、98、99、99.9または100%、および1、10、20、30、40、50、100、200、400、500、1000、2000、3000、5000、10000、15000、または20000nmの間であることが企図されることを直ちに理解するであろう。深さに対する定量化の例は、例えば、少なくとも、または1~5000μmの範囲の深さである;当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値が1、2、3、4、5、10、20、50、100、250、500、750、1000、2000、3000、4000、または5000μmであることが企図されることを直ちに理解するであろう。例えば、表面は、一定の直径を超えない孔を一定の割合で有していてもよいし、深さまたは深さ範囲は、一定の直径を超えない孔を一定の割合で有していてもよい。
【0179】
実施形態は、水溶性高分子と溶媒とを含む混合物を高分子の融点以上の温度に加熱し、混合物を押し出し、溶媒を除去しながら混合物を冷却し、および/または架橋しながら混合物を冷却することを含むポリマー材料の製造工程を含む。複数のポリマーが溶媒中に存在する場合、他の添加剤の有無にかかわらず、溶媒中の結合ポリマーの融点は、例えば、混合物が加熱され、それが曇った外観から顕著に半透明な外観になるにつれて観察することにより、当業者が容易に決定することが可能である。さらに、混合物を使用する形成プロセスの後、またはその一部として、冷却が行われる間に、混合物から溶媒の一部または全部を除去することができる。実施形態は、60分未満(または1、2、5、または10分未満)で溶媒の少なくとも50%質量を除去することを含む。実施形態は、60分未満(または1、2、5、10、または30分未満)で溶媒の少なくとも90%質量(または少なくとも70%質量または少なくとも80%質量)除去することを含む。
【0180】
多孔質固体へのポリマーのバルク組み込み
多孔質マトリックスを脱溶媒する際に、多孔質材料は、溶媒和ポリマーを含む混合物(バルク組み込みポリマー用)に晒して、孔内に引き込むことができる。混合物の溶媒はマトリックスと親和性があり、マトリックスが溶媒を吸い込むと引き込まれる。バルクを組み込んだポリマーとの混合物の溶媒は、脱溶媒したマトリックスに吸い込まれるように、マトリックスに対して親和性を持つように選ぶことができるが、マトリックスの溶媒と同じである必要はない。一般に、混合物中の親水性溶媒は、少なくとも部分的に脱溶媒され、親水性溶媒を含む親水性多孔質マトリックスに吸着され、当業者は、バルク組み込みの目標が意図される場合に適切な条件を作り出すために必要に応じて種々の溶媒を調節することが可能である。
【0181】
親水性溶媒とは、20℃において、水と自由に混和する溶媒、または水と自由に混和する混合物中の濃度で存在する溶媒である。
【0182】
脱溶媒和とは、マトリックスが溶媒を含まないこと、例えば完全に乾燥していること、またはマトリックスが含む溶媒に対するマトリックスのEWC以下であることを意味する。マトリックス中の溶媒が水でない場合、EWCは溶媒中の測定値に基づいて材料について計算することができ、すなわち、EWCという用語は適切な文脈で水でない溶媒に使用することができる。例えば、親水性マトリックスは、アルコールの水溶液に溶媒和されるかもしれないし、その溶媒に対するEWCを有するであろう実施形態は、1~100の多孔質固体の脱溶媒量を含み、当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値が企図される、例えば、1、5、10、15、20、33、40、50、60、70、80、90、95、99、100%質量は、除去できる溶媒の総重量を意味する、ことを直ちに理解するであろう。
【0183】
特定の理論に縛られることなく、多孔質材料を脱溶媒和(水が多孔質材料の溶媒である場合には脱水)し、溶液中のポリマーにさらすことで、ポリマーが孔に引き込まれるように多孔質材料を再溶解させることができると考えられている。ポリマーはその後、孔を画定するマトリックス材料と物理的な結合を形成し、少なくとも部分的に孔を埋めることによって、およびマトリックスとの物理的な結合によって、実用上は、材料のバルクに永久的に組み込まれることになる。代替的に、または追加的に、ポリマーは、特に材料が水または生理学的溶液中で使用されるべき場合、ポリマーが材料の孔に恒久的に組み込まれるように、孔の開口直径を超える直径を提示させる流体力学的半径を有する。一般に、バルクに組み込まれたポリマーが、多孔質固体の孔を濡らすポリマーに溶媒和される場合、ポリマーは、溶媒和される際にマトリックスの孔に引き込まれることが可能である。親水性の多孔質マトリックスがマトリックスのEWC以下である場合、ポリマーの溶媒がマトリックス材料に適合している、例えば、材料の孔を濡らすので、バルク組み込み用ポリマーを含む混合物が引き込まれる。例えば、親水性の溶媒は、通常、親水性のマトリックスの孔を濡らすことになる。
【0184】
非共有結合によって結合されたポリマーの多孔質マトリックスを含む材料は、これらの材料が、ナノ多孔質、マイクロ多孔質、または他の特徴的な孔サイズの選択を含む、孔サイズおよび材料特性に対する高度な制御で作られ得るので、好ましい実施態様である。マトリックスは、孔を画定する物理的に架橋された水溶性高分子を含んでいてもよい。これらの水溶性ポリマーの固形分濃度は、マトリックスの平衡含水率(EWC)において、マトリックスの少なくとも33%質量であってよいが、他の濃度も使用されてもよい。
【0185】
したがって、多孔質材料にポリマーを組み込むプロセスの実施形態は、マトリックスを形成するために互いに架橋された1つ以上の水溶性ポリマー(本明細書ではマトリックスポリマーとも呼ばれる)を含む多孔質で親水性のマトリックスを有する材料を提供することを含む。マトリックスを有する材料は、溶媒に溶かされた1つ以上のポリマー(バルク組み込みポリマーとも呼ばれ、好ましくはポリマーが水溶性であり、混合物はコンディショニング(または調整用;conditioning)混合物またはバルク組み込み混合物とも呼ばれる)を含む混合物に曝露され、マトリックスは混合物に曝露される前にEWC以下であって溶媒に対して親和性である。バルク組み込みポリマーを有する混合物に曝露される前の材料は、脱溶媒和される。
【0186】
いくつかの実施形態では、バルク組み込みプロセスは、孔が充填される外側ゾーン、孔の大部分が充填されるかまたは大部分が充填される中間ゾーン、およびポリマーの浸透がほとんどまたは全くない内側ゾーンを作る。バルク組み込みは、表面の孔を改質するだけでなく、表面の下、例えば、少なくとも、または1~5000μmの範囲の孔を改質する;当業者は、明示的に記載した境界の間のすべての範囲および値、例えば、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、75、100、250、500、750、1000、2000、3000、4000、または5000μmであるが企図されることを直ちに理解するであろう。ポリマーを有する孔の割合は、既に述べたようにアッセイされ、例えば、孔の100%充填を有する第1のゾーン、50%充填の第2のゾーン、0%充填の第3のゾーンのように、パーセントのカットオフによって浸透度を等級分けしてもよい。
【0187】
バルク組み込みプロセスは、好ましくは、水溶性ポリマーから作製される多孔性マトリックスを用いて行われ、ポリマー中に疎水性ドメインがなくてもよく、例えば、PVAのみで作製マトリックスであってもよい。ポリマーは、物理的な架橋でマトリックスを形成してもよい。したがって、実施形態は、疎水性ドメインを含まない、または疎水性ドメインを含まない水溶性ポリマーを用いて作られたマトリックスを含む材料を含む。しかしながら、それによって形成されるマトリックスを破壊することなく、物理的架橋を有する水溶性ポリマーを用いて親水性マトリックスを作る場合、いくつかの疎水性ドメインは許容され得る。本発明の実施形態は、多孔質マトリックスを形成するポリマーの疎水性含有量が0、1、2、3、4、5、7、8、9、10、11、12、または15%質量であることを含む。
【0188】
本質的に水溶性ポリマーからなる多孔質マトリックスとは、マトリックスを形成するために架橋するポリマーの含有量が3%質量までであることを意味する。塩のようなRO剤は、マトリックスを形成するために架橋する高分子ではない。本質的に物理的に架橋したポリマーからなる多孔質マトリックスとは、ポリマー間に共有結合を作る薬剤を含まないか、またはポリマーの約6%(ポリマー数を指す)を超えないように少量のそのような薬剤で互いに架橋されているマトリックスを指し、例えば、ポリマー数と二官能性架橋剤の化学量論比が少なくとも100:3であるようなものである。同様に共有結合を本質的に含まないマトリックスは、(数で)約6%以下のポリマーが共有結合的に架橋されていない状態で架橋されたポリマーを用いて作られる。マトリックス中の共有結合の数は、同様に、100:3~100:100の化学量論的比、例えば、数で3、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、または100のいずれかに対する100の比に制限されてもよい。例えば、フリーラジカル重合によって作られたヒドロゲルは、典型的には、共有結合によって互いに結合したポリマーの100%を有し、これは、ポリマー:共有結合の100:100の化学量論的比である。
【0189】
他で述べたように、多孔質固体は、制御された孔直径の範囲で作ることができ、特定の直径より大きい孔を有さないマトリックスを提供するようにしてもよい。直径は、適切な文脈で、例えば、蒸留水中のEWCで測定されてもよい。したがって、実施形態は、1~5000μmより大きい孔を有しない多孔質マトリックスに内包されたポリマーを含む;当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値、例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、50、100、200、250、300、400、500、750、1000、2000、3000、4000、または5000μmが企図されることをすぐに理解するであろう。
【0190】
多孔質固体は、本明細書の他の箇所に記載されるように存在する他の材料、例えば、マトリックスに追加されるがマトリックスの一部ではない放射線不透過性(RO)剤を有することができる。RO剤は、典型的には、マトリックスの強度を提供する架橋にほとんど寄与しない。同様に、他の材料は、マトリックスの一部でなくてもマトリックス中に存在することができ、例えば、ワイヤーおよび補強材である。物理的架橋で作られたマトリックスは、直径を有する孔を規定する材料で作ることができるマトリックスの1つのタイプであり、例えば、一般的にフリーラジカル重合を用いてまたは溶液中にあるモノマー/ポリマーの反応によって形成されるように、互いに離れていてメッシュネットワーク構造で接続されているポリマー鎖を有するヒドロゲルと対照的であることが理解され得る。このようなメッシュネットワークは、一般に、ポリマーインビーイングプロセスを用いた共有結合なしに、その孔にポリマーを安定的に組み込むことは期待できないであろう。多孔質材料は、本明細書に詳細に記載されており、これらは、本明細書の開示によって導かれるように、バルクに組み込まれたポリマーと共に使用するために自由に選択することができる。多孔質材料は、本明細書に記載されるようなバルク特性を有するものを選択してもよい。
【0191】
バルク組み込みポリマーは、多孔質固体について本明細書の他の場所に記載されているポリマーであってもよい。例としては、水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリルアミドポリオキサゾリン、ポリリン酸塩、ポリホスファゼン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリプロピレングリコール、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、多糖類、スルホン化親水性ポリマー(例えば、スルホン化ポリフェニレンオキシド、Nafion(登録商標)、スルホベタインメタクリレート)、およびヨウ素を加えたバリエーション(例えば、PVA-I、PVP-I)、またはさらなるペンダント基を有するバリエーション、同じもののコポリマー、および同じものの組み合わせであってもよい混合物は、PVAとPEGのような異なる化学組成のポリマーを意味する1つ以上のポリマーを含んでいてもよい。ポリマーとは、1種または2種以上のポリマーを意味する。
【0192】
多孔質マトリックス用またはバルク組み込み用の水溶性ポリマーの溶解度は、例えば、20℃の水中で少なくとも1、2、5、または10g/100mlとして選択されてもよい。ポリマーは、直鎖状または分枝状であるように選択されてもよい。実施形態は、例えば、40k~5000kダルトンの分子量を有するポリマーまたは親水性ポリマーを含む;当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値が企図され、例えば、以下のいずれかが上限または下限として利用できることを直ちに理解するであろう:40k、50k、100k、125k、150k、250k、400k、500k、600k、750k、800、900k、100万、150万、250万、300万の分子量を有するポリマー。ポリマーの分子量は、多孔質固体で利用できる孔の大きさを考慮して選択することができる。ナノポーラスまたはマイクロポーラス材料が好ましい。
【0193】
バルク組み込みポリマーは、多孔質マトリックスを形成するポリマーと同じであること、マトリックスを構成するポリマーの少なくとも1つと同じであること、または異なることを選択してもよい。
【0194】
混合物中のバルク組み込みポリマー濃度は、プロセスの開始時の混合物を参照して、ポリマーが溶液になる任意の濃度であってよく、溶液になっていないポリマー、または他の非溶解材料は、孔に入る定めにないことに留意されたい。いくつかの実施形態において、濃度は1~50%質量である;当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値、例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、33、35、40、50%質量であることが企図されることを直ちに理解するであろう。
【0195】
混合物のための溶媒は、ポリマーを溶媒和するために、そして多孔質固体によって吸収される溶媒を提供するために、適切に選択される。親水性マトリックスには、一般に親水性溶媒が好ましい。溶媒は、水、有機、または水性であってもよく、または同じもの、例えば、有機溶媒を含まないものであってもよい。いくつかの実施形態では、水の濃度は0~99、例えば、0、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、95、または99質量%である。
【0196】
コンディショニング混合物の温度は、多孔質固体マトリックスの溶融温度を超えないようにする。 温度範囲は、例えば、10~100℃、例えば、10、20、30、37、40、50、60、70、80、または90℃であってよい。
【0197】
曝露時間は、好ましくは、多孔質固体が混合物中でEWCに到達するのに必要なある期間(またはある時間分、またはある時間の間;Duration of time)である。ある期間は、いくつかの実施形態において、2、4、6、8、10、12、16、20、24、および48時間を含み得る。攪拌および温度は、例えば、EWCの達成を加速するため、または混合物の粘度を制御するために、曝露時間に影響を与えるように操作されてもよい。塩および/または浸透圧含有量は、例えば、溶解度、粘度、および/またはEWCのために、有用なように調整されてもよい。
【0198】
実施例は、コンディショニング混合物の塩濃度に関するガイダンスを提供する。塩濃度の例は、0.1~2%質量である。一般に、より小さな原子半径を有する単電荷カチオンは、多孔性固体の深さへのより大きな浸透を有し、一方、より大きなカチオンは浸透を減少させる。塩の例としては、単一カチオン、二価カチオン、または他のカチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、銅、四級アンモニウム(NR4
+、ここでRは水素、アルキル、またはアリール基)、マグネシウム、カルシウム、銅、鉄、または亜鉛の塩を有するものである。一般に、混合物には、緩衝剤を用いた生理的なpHが有用であった。pHは、マトリックスへの浸透を増加または減少させるために調整されてもよく、溶媒は緩衝塩を含んでもよいし、省略してもよい。pHの例は、4~10、例えば、4、5、6、7、8、9、または10である。
【0199】
水溶性ポリマーと溶媒を指すコンディショニング混合物の粘度は、pH(pHが高くなると粘度が高くなる)、ポリマー濃度および/または分子量、およびポリマー分岐によって影響を受け、これらのいずれかが増加すると、一般により高い粘度をもたらす。一般に、粘度が高くなると、多孔質固体へのバルク組み込みポリマーの浸透が減少する。実施形態は、多孔質マトリックスの孔内に組み込まれた水溶性ポリマーを含む多孔質材料である。マトリックスは、マトリックスを形成し、孔を画定するために互いに架橋された物理的に架橋された水溶性ポリマーを含んでいてもよい。マトリックスは、本明細書に開示されるような特徴、例えば、ポリマー含量、ポリマーの重量パーセント、強度、ヤング率、被覆の程度、孔サイズ等を有していてもよい。
【0200】
多孔質マトリックス中の水溶性ポリマーの表面被覆は、全部であってもよい。SEM条件下で、下地の表面の孔が見えない完全な被覆は、EWCでの被覆を示す。被覆の程度は、100%未満、例えば、50~100%であってもよい;当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値、例えば、50、60、70、80、90、95、98、99、99.9、または100%が企図されることを直ちに理解するであろう。
【0201】
バルクの組み込みは、多孔質固体の物理的特性を低下させることができる。実施形態は、したがって、水溶性ポリマーで調整されていない同じ材料と比較して、水溶性ポリマーで調整された結果として1~20%少ないヤング率および/または引張強度を有する多孔質固体、例えば、本明細書に開示されるようなものを含む;当業者は、明示的に述べられた境界線の間の全ての範囲および値、例えば、1、2、3、4、5、7、9、10、12、15または20%が企図されているとすぐに理解するであろう。水溶性ポリマーを安定に組み込むためのテストは、以下の通りである。体温条件下で生理的に代表的な液体(すなわちPBS)に試験デバイスを浸し、試験デバイスをポンプのヘッドに直接置いた循環蠕動ループで、10-12mL/秒の流速で150rpm、24時間、0.1225cm3*s-1*cm-2の体積フラックスレート(または流束、または流量;flax rate)で50万回の機械的試料圧縮を近似する。試験により25%もの損失が明らかになったが、他の試験基準を用いてもよく、例えば、0~50%質量の損失、例えば、1、5、10、15、20、25、30、40、50%質量の損失であってもよい。または他の試験を提起してもよく、例えば、過剰なPBSへの1~52週間の静的曝露で0~5%質量の損失、例えば1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、または52週間の損失が挙げられる。
【0202】
製品
ナノ多孔質材料、微多孔質材料、およびヒドロゲルを含む本明細書に記載の材料を参照して、所望のアスペクト比、例えば少なくとも3:1を有する、エンドユーザーまたは中間製品、または材料を含む製品を製造してもよい。アスペクト比は、デバイスが長さを増加させ、幅を減少させるにつれて増加する。当業者は、明示された境界の間のすべての範囲および値が企図され、例えば、以下のいずれかが上限または下限として利用可能であることを直ちに理解するであろう:3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、50:1、100:1、1000:1。高いアスペクト比は、特定のデバイス、例えば、多くの種類のカテーテルにとって非常に有利である。原理的には、細いチューブは、長さに関して制限なく連続的に押し出すことができる。そのようなデバイスには、例えば、チューブ、ロッド、シリンダ、および正方形、多角形、または円形のプロファイルを有する断面が含まれる。2つ以上のルーメンが、そのいずれかに設けられていてもよい。デバイスは、単一の材料、本質的に単一の材料、または既に説明した様々な層を含む複数の材料、または補強材料、繊維、ワイヤー、編組材料、編組ワイヤー、編組プラスチック繊維で作られてもよい。
【0203】
特に、押出工程は、ルーメンの同心配置を提供する。同心とは、ルーメンが中心から外れていることを意味する偏心と対照的である。複数のルーメンの場合、ルーメンは対称的に配置されてもよい:対称性は、不十分な制御プロセスの結果であるルーメンの偏心配置とは対照的である。実施形態には、偏心せずに配置されたルーメン、またはデバイスの長手方向軸と同心である1つのルーメンを有する少なくとも3:1のアスペクト比を有する前述のデバイスが含まれる。
【0204】
ナノ多孔質材料、マイクロ多孔質材料、および強靭なヒドロゲル等の多孔質固体は、カテーテルまたは医療用繊維を作るために使用されてもよい。これらは、バルクが組み込まれたポリマーで作られてもよく、同じものについて説明された様々な特徴を有していてもよい。カテーテルの例としては、中心静脈、末梢挿入中心、正中線、末梢、トンネル型、透析アクセス、血液透析、血管アクセスポート、腹膜透析、尿路、神経、腹膜、大動脈内バルーンポンプ、診断、介入、薬剤送達等)、シャント、創傷ドレーン(心室、心室腹膜、腰腹膜を含む外部)、注入口等が挙げられる。多孔質固体は、完全埋め込み型および経皮的に埋め込まれた、永久的または一時的なものを含む埋め込み型デバイスを作るために使用されてもよい。多孔質固体材料は、血液接触デバイスまたは体液に接触するデバイス(生体外および/または生体内デバイスを含み、血液接触インプラントを含む)を作製するために使用されてもよい。そのようなデバイスの例には、薬物送達デバイス(例えばインスリンポンプ)、チューブ、避妊具、女性用衛生器具、内視鏡、グラフト(小径<6mmを含む)、ペースメーカー、植込み型心臓除細動器、心臓再同期装置、心臓血管装置リード、心室補助装置、カテーテル(人工内耳、気管内チューブ、気管切開チューブ、薬物送達ポートおよびチューブを含む)、埋め込み型センサー(血管内、経皮、頭蓋内)、人工呼吸器ポンプ、および薬物送達システム等の眼科機器等を含むことができる。カテーテルは、他のデバイスと協働するためのファスナー、例えばルアーファスナーまたは継手を有する管状ナノ多孔質材料を含むことができる。放射線不透過性剤を材料、繊維、またはデバイスに添加してもよい。放射線不透過性剤という用語は、材料に放射線不透過性を付加するために医療機器産業で一般的に使用される薬剤を指し、例えば、硫酸バリウム、ビスマス、またはタングステンが挙げられる。RO剤は、例えば、全固体重量に対して5~50%質量、例えば、5、10、20、30、40、または50%で組み込まれることができる。
【0205】
多孔質固体材料を用いた医療用繊維には、縫合糸、糸、医療用織物、組紐、メッシュ、編物または織物メッシュ、不織布、およびこれらを用いたデバイス等の用途が含まれる。繊維は、強度が高く、しなやかである。材料は、疲労および摩耗に対して耐性があるように、これらの繊維を用いて製造されてもよい。
【0206】
例示的な実施形態では、方法は、対象の外面(または外部、または外側;external)オリフィスに、ボディ部分を含むデバイスを投与することを含み、ボディ部分は、水溶性ポリマーを含むポリマー材料と、ポリマー材料に関連する生物学的活性剤と、を含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、3:1以上のアスペクト比を有する。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、ポリマー材料内に実質的に均質に分布している。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、ポリマー材料内に非均質に(すなわち、ポリマー材料の1つまたは複数の表面上に)分布している。いくつかの実施形態において、デバイス(例えば、
図1Aのデバイス10、
図1Bのデバイス12、
図1Cのデバイス14)の投与は、シースイントロデューサーの使用を含まない。ポリマー材料は、実質的に非血栓性であり、ポリマー材料は、第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態未満の含水率)において5質量%未満および0.1質量%以上の含水率を有し、ポリマー材料は、第1の構成から5質量%以上および50質量%以下の量で膨潤可能に構成されている(例えば、脱水状態のような平衡含水率の状態より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)まで、60分以下(例えば、10分以下、5分以下、1分以下、または10秒以下)で膨潤するように構成されている。
【0207】
処置の方法
いくつかの態様において、対象を治療する方法が記載される。いくつかの実施形態では、方法は、対象のオリフィスに、本明細書に記載のデバイス(例えば、本明細書に記載のデバイスの任意の実施形態またはそれらの組合せ)を投与することを含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に記載されるように、ポリマー材料を膨潤させることを含む。例えば、いくつかの実施形態において、本方法は、デバイスおよび/またはポリマー材料を、例えば、第1の構成から(例えば、脱水状態のような平衡含水率の状態より小さい含水率)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)へと、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、10質量%以上15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、または45質量%以上の量で膨潤させることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、デバイスおよび/またはポリマー材料を、例えば第1の構成(例えば、脱水状態等の平衡含水率の状態より小さい含水率状態)から第2の構成(例えば、平衡含水率の状態)へと50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、または10質量%以下の量で膨潤させることを含む。これらの範囲の組み合わせも可能である(例えば、5質量%より大きく、40質量%以下)。
【0209】
いくつかの実施形態において、本方法は、ポリマー材料を平衡含水率の状態まで膨潤させることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、ある期間にわたって、ポリマー材料を平衡含水率の状態まで膨潤させることを含む。いくつかの実施形態では、ある期間は、60分以下(例えば、10分以下、5分以下、1分以下、30秒以下、または10秒以下)である。
【0210】
いくつかの実施形態において、本方法は、所定の温度でポリマー材料を膨潤させることを含む。いくつかの実施形態では、温度は、4℃以上、10℃以上、16℃以上、20℃以上、25℃以上、または30℃以上である。いくつかの実施形態では、温度は、40℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、16℃以下、または10℃以下である。これらの範囲の組合せも可能である(例えば、20℃~40℃)。
【0211】
いくつかの実施形態において、本方法は、内径および/または外径が長さの増加率(本明細書に記載)よりも大きな割合で増加するように、ポリマー材料を膨潤させることを含む。例えば、いくつかの実施形態において、本方法は、内径および/または外径が1~20%増加する一方で、長さが0.1~19%増加するように、ポリマー材料を膨潤させることを含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、膨潤は投与後に起こる。いくつかの実施形態では、対象のオリフィスへの投与後のポリマー材料の膨潤は、そのオリフィスの開口部を閉鎖(または閉じる;close)する。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマー材料の膨潤は、ポリマー材料が挿入されるオリフィスの大きさ以上の寸法へのサイズ増加をもたらす。いくつかの実施形態では、オリフィスは傷(または傷口、または創傷、または外傷;wound)である。いくつかの実施形態において、ポリマー材料の膨潤は、止血を引き起こす。例えば、いくつかの実施形態では、対象(例えば、ヒト)は、最大断面直径がAであり、出血しているオリフィス(例えば、創傷)を有してよく、Aよりも小さい最大外断面直径を有する本明細書に記載のデバイスは、オリフィスに投与されてよい。いくつかの実施形態では、デバイスの最大外断面直径は、その後、オリフィスが閉じられるように、A以上の寸法に膨潤してもよい。いくつかの実施形態において、これは、止血をもたらし得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、膨潤は投与の前に起こる。いくつかの実施形態では、膨潤は、ある期間、デバイスを再水和することを含む。いくつかの実施形態では、ある期間は、60分以下(例えば、10分以下、5分以下、1分以下、または10秒以下)である。いくつかの実施形態では、デバイスを再水和させることは、再水和媒体を使用することを含む。いくつかの実施形態では、再水和媒体は、水、乳酸リンゲル液(LRS)、ブドウ糖(D5W)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡食塩液(HBSS)、および/または等張塩溶液からなる。
【0214】
さらなる定義
医学的に許容されるという用語は、汚染物質を含まないように高度に精製され、無毒である材料を指す。生体材料または医療機器の文脈で使用される、本質的に構成される、という用語は、他の材料または成分を3%質量以上含まず、前記3%が意図された医療用途にデバイスを不適当にしない材料またはデバイスを意味する。平衡含水率(EWC)とは、材料の湿潤重量が一定となり、材料が劣化する(または分解、またはデグレードdegrade)前の含水率を指す言葉である。一般に、固形分の多い材料は、24~48時間で平衡含水率になることが確認されている。EWCの測定には、特に指定がない限り、蒸留水を使用する。
【0215】
w/vという用語は、g/Lおよびmg/mLのような体積あたりの重量を意味する。生体材料および生体医学材料という用語は、本明細書において互換的に用いられ、例えば、インプラント、カテーテル、血液接触材料、組織接触材料、診断アッセイ、医療キット、組織サンプル処理、または他の医療目的等の生体医学技術における用途に向けた生体医学的に許容可能な材料を包含する。さらに、バイオメディカル用途に適した材料であるが、これに限定されるものではなく、汎用的な材料として作成することも可能である。生理食塩水とは、37℃におけるpHが7~7.4、ヒトの生理的浸透圧を有するリン酸緩衝液のことである。
【0216】
分子量(MW)とは、g/molの単位で測定されたものである。ポリマーのMWは、特に断らない限り、重量平均MWを指す。ポリマーが多孔性固体の一部である場合、用語MWは、それが架橋される前のポリマーを指す。架橋間の距離が指定されている場合は、特に断らない限り、架橋間の重量平均MWを意味する。kは千、Mは百万、Gは億を表し、50kMWは5万MWを意味する。また、ダルトンもMWの単位であり、同様にポリマーに使用する場合は重量平均を意味する。
【0217】
本明細書で言及された出版物、ジャーナルデバイス、特許および特許出願は、すべての目的のために本明細書に組み込まれ、矛盾が生じた場合には明細書が支配的である。本明細書に記載された実施形態の特徴は、操作可能なプロセスまたは製品を作る必要性によって導かれるように、混合および適合されることができる。
【0218】
本明細書で使用される場合、用語「治療薬」または「薬剤」とも呼ばれるものは、疾患、障害、または他の臨床的に認識される状態を治療するために、または予防目的のために対象に投与され、疾患、障害、または状態を治療および/または予防するために対象の体内で臨床的に有意な効果を有する薬剤を意味する。
【0219】
本明細書で使用されるように、ある成分が別の成分に「隣接する」と称される場合、その成分に直接隣接する(例えば、接触する)ことができ、または1つ以上の介在成分も存在することができる。他の部材に「直接隣接する」部材とは、介在する部材が存在しないことを意味する。
【0220】
「対象」は、哺乳類(例えば、ヒト)のような任意の動物を指す。対象の非限定的な例としては、ヒト、非ヒト霊長類、牛、馬、豚、羊、ヤギ、犬、猫、またはマウス、ラット、ハムスター、鳥、魚、もしくはモルモット等のげっ歯類が挙げられる。一般に、本発明は、ヒトへの使用に向けられる。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、自己復元(またはセルフライティング;self-righting)デバイスの投与に際して、健康上の利点を示すことができる。
【0221】
本明細書で使用される場合、「流体」は、その通常の意味、すなわち、液体または気体を与えられる。流体は、定義された形状を維持することができず、観察可能な時間枠の間に流れて、それが入れられた容器を満たすことになる。したがって、流体は、流動を許容する任意の適切な粘度を有していてもよい。2つ以上の流体が存在する場合、各流体は、当業者によって本質的に任意の流体(液体、気体等)の中から独立して選択されてもよい。
【0222】
実施例
以下の実施例は、本発明のいくつかの態様を含む本明細書に記載されるいくつかの実施形態を例示することを意図しているが、本発明の全範囲を例示するものではない。
【0223】
実施例1:カテーテルを含む包装物品
以下は、本明細書に記載されるいくつかの実施形態による、例示的な包装物品を説明する。
【0224】
第1の構成は、タイベックカテーテルキットの外側に、保湿剤(水和補助剤)としてのグリセロールと、ホイルパウチ(13インチx19インチホイルパウチ、Stephen Gould Associates、Shannon Packaging Inc、PFP400によって製造)を組み込んだものである。ホイルパウチは、保存期間中、カテーテルのために相対湿度が最小になる環境を作り出す。ホイルは、場合によっては、カテーテルから変動する外部環境への水分輸送を最小限に抑え、カテーテルの水和を容易くし、したがって一般に、カテーテルが所定の時間内にその意図する寸法まで水和することができることを保証する。
【0225】
あるサンプルでは、適切な相対湿度の達成をさらに支援するために、ホイルパウチ内に湿度チップ(HUMIDIChip、Anderson Product、AN-1071)を含む包装が行われた。機能試験により、例えば、滅菌後24時間タイベックパウチ内でカテーテルをリコンディショニング(または再調整;reconditioning)することにより、水和の必要条件を満たすことができることが判明した。リコンディショニングステップは、タイベックパウチ付きのカテーテルを湿度チップと一緒にホイル包装内に入れることで行われる。湿度チップはリコンディショニング期間後に廃棄され、その後、カテーテルはホイルに再封入され、エンドユーザーに届けられる最終包装の準備に入る。最終包装からチップを取り除くことで、包装からチップが無菌野に落下する潜在的なリスクを排除することができる。したがって、リコンディショニングステップは、場合によっては、製造プロセスの一部として、最終製品の一部ではなく、組み込むことができる。
【0226】
例示的なホイルパウチおよび湿度チップを、それぞれ
図6および
図7に示す。
【0227】
実施例2:含水率
以下の実施例は、様々な包装条件下での例示的な物品の含水率を示すものである。
【0228】
図8は、パウチ/湿度制御(例えば、チップ)の関数(または働き、作用;function)としての含水率を示すプロットである。含水率試験方法は、サンプルの含水率を重量的に測定するために、ハロゲンランプ熱源を有する自動水分分析器を使用した。データによると、製品をリコンディショニングすることで、カテーテル内の含水率が長期的に維持されることがわかった。また、密閉された環境で湿度チップに長時間さらされると、平衡含水率が増加することがデータからわかった。
【0229】
実施例3:包装物品の構成
以下の実施例は、本明細書に記載される包装物品の例示的な構成を示すものである。
【0230】
1)タイベックヘッダー部分を有するホイルパウチ内で製品を滅菌する。これは、一般に、エチレンオキサイド(EtO)滅菌剤が(タイベックを通して)パウチに出入りし、その後ホイルを密封しタイベック部分を切り離すことを可能にするものである。タイベックパウチの中にホイルパウチを入れるのではなく、単一の外装を顧客に提供する。
【0231】
2)水和状態で、ホイルパウチに入れた製品を滅菌することで、準備時間を省け、すぐにカテーテルを挿入することができる。EO法、放射線法(E-beam、Gamma等)等の滅菌方法を用いることができる。
【0232】
実施例4:含水率を維持するためのポリマー材料の包装
以下の例は、本明細書に記載されるいくつかの実施形態による、ポリマー材料および/またはデバイスを包装する例示的な方法を示すものである。
【0233】
多孔質タイベックパウチにおけるデバイスの包装は、エチレンオキシド(EtO)ガスによる滅菌に有用であり得る。EtO滅菌プロセスは、一般に、適切に機能するために湿度および加圧/真空サイクルを使用する。試験中に、デバイスの水和レベルが滅菌サイクルによって影響を受ける可能性があり、したがってデバイスの水和時間に影響を与えることが判明した。さらに、追加の試験により、保管温度と湿度サイクルも水和レベルに影響を及ぼし、デバイスの水和時間に影響を及ぼす可能性があることが判明した。包装内の一貫した水和レベルを維持する方法が望ましい。
【0234】
この例では、カテーテルデバイスはタイベックパウチに包装され、EtOによって滅菌される。滅菌後、タイベックパウチは、湿度チップを含む第2の非滅菌の水不透過性パウチに包装される。湿度チップはパウチ内に水を放出し、カテーテルを再加湿する。湿度チップは、既製品(例えば、AnPro Humidichip)またはセルロースまたはスポンジ状の材料に:滅菌水、通常生理食塩水、または他の水性媒体を吸収させて成るカスタム(または特注;custom)デバイスとすることができる。湿度制御部材(すなわちチップ)は、アルコール、次亜塩素酸ナトリウム、ヨウ素、過酸化物、またはフェノール等の抗成長剤または静菌剤も含むことができる。この例示的な方法の模式的な流れ図を
図9に示す。
【0235】
実施例5:カテーテルおよび関連する部材のトレイおよびキットアセンブリへの包装
以下の例は、本明細書に記載されるいくつかの実施形態による、カテーテルデバイスをトレイおよびキットアセンブリに包装する例示的な方法を示すものである。
【0236】
この例では、カテーテルデバイスを、白色HIPS材料(
図10に示す)を含むトレイ(10.75インチ×8.90インチ×1.38インチ)の中に包装した。カテーテルはまずカテーテルフープに挿入され、その後、カテーテルと周辺部品がトレイに入れられた。トレイはPETを含む透明な蓋(9.42インチx7.57インチx0.93インチ)を有していた。カテーテルフープ(外径0.150インチ×内径0.100インチ×30.0インチ)はポリエチレンまたは低密度ポリエチレン(LDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)の混合物を含んでいた。ポリプロピレンを含む0.145インチIDのチャネルを有する2チャネルカテーテルクリップも、カテーテルデバイスをトレイに包装する工程で使用された。
【0237】
実施例6:トレイおよびキットのタイベックパウチ中への包装
以下の例は、本明細書に記載されるいくつかの実施形態に従って、トレイおよびキットアセンブリ(
図10に示されるような)を容器(タイベックパウチ)に包装する例示的な方法を示すものである。
【0238】
この例では、トレイおよびキット(例えば、
図10のトレイおよびキット)は、タイベックパウチのような容器にさらに包装され、適切に封入された。封入されたタイベックパウチは、その後、段ボール等のシッパー(または荷送体;shipper)に梱包された。梱包されたシッパーは、次いで、PCSにおいて、有効な(または認可された、または検証された;validated)サイクルを用いて滅菌された。
図10は、透明なポリ/タイベックと3面シェブロンシールを含む密封タイベックパウチ(18.0インチx12.0インチ)に梱包されたトレイとキットの写真である。容器(例えば、タイベックパウチ)は、本明細書の他の箇所に記載される様々な寸法のいずれかを有することができることに留意されたい。
【0239】
実施例7:ホイルパウチへの滅菌製品の包装
以下の実施例は、本明細書に記載されるいくつかの実施形態による、ホイルパウチ等の容器に滅菌製品を包装する例示的な方法を実証している。
【0240】
滅菌製品がAVIで受け取られ、その後、滅菌製品は、湿度チップとともに(
図12に示すように)ホイルパウチ等の容器に挿入された。滅菌製品が24時間コンディションされ、その後、ホイルパウチを開封し、湿度チップを廃棄した。その後、調整された滅菌製品を新しいホイルパウチに挿入し、適切に封入した。滅菌製品の一例を
図11に示すが、これは、カテーテルデバイスを構成するトレイとキットアセンブリを含むタイベックパウチの写真を示すものである。ホイルパウチは、様々な適切な寸法のいずれかを有することができる。例えば、
図12に示すように、ホイルパウチは、19.0インチ×13.0インチの寸法、4ミルの厚さを有し、PET/ホイル/ポリバリアフィルムを含んでいた。
湿度チップは、2インチ×2インチの寸法を有し、加湿チップRHスタビライザー(Humidichip RH Stabilizer)を含んでいた。
【0241】
実施例8:タイベックヘッダー付き容器
以下の例は、いくつかの実施形態による、ヘッダー部分を含む例示的な包装容器を示す。
【0242】
カテーテルデバイスは、ヘッダー部(例えば、タイベックヘッダー)を有するホイル材料(例えば、ホイルパウチ)を含む容器に封入されてもよい。次いで、パウチは、ヘッダー部分のすぐ上の位置で滅菌され、封入されてもよい。その後、ヘッダー部分を容器から切断し、封入された容器を完成品の箱に挿入してもよい。例えば、
図13Aに示すように、容器は、タイベック/ポリヘッダーを有するホイルパウチを含み、9.5インチ×9.0インチの寸法を有していた。容器は、任意の適切な寸法を有してよく、それほど限定されないことに留意されたい。例えば、
図13Bは、2つの容器の写真を示し、ここで、容器の各々は、18インチx8.125インチの寸法を有し、タイベックヘッダー(5.125インチx8.125インチ)およびホイルパウチ(13.375インチx8.125インチ)を含んでいる。20Pt C1S SBS 白ペーパーボード(White Paperboard)等、任意の適切な完成品ボックスを使用することができる。
【0243】
実施例9:IRキットに使用する容器
以下の例は、いくつかの実施形態による、IRキットで使用するための容器の例示的な設計を示すも。
【0244】
IRキットは、最初に、付属品を含むタイベックパウチ(
図14A)を、カテーテルデバイスを含むホイルパウチ(
図14B)に置くことによって組み立てられ、その後、2つのパウチは折り畳まれてカートンの中に入れられ得る。パウチは、IRの使用に適した任意の寸法を有することができる。例えば、
図14Aは、IRキットで使用されるタイベックパウチ(6.5インチ×9インチ)およびホイルパウチ(8.125インチ×9インチ)を示している。カートンは、任意の適切なサイズを有することができる。例えば、
図14Aに示すパウチは、8.25インチ×9.25インチ×1.25インチの寸法を有するカートンの中に入れてもよい。各カートン(封入されたパウチを有する)は、任意の適切な重量(例えば、IRキットのための約121g等)を有してよい。カートンは、その後、任意の適切な寸法を有するオーバーシッパーに入れてもよい。例えば、8.25インチx9.25インチx6.25インチの寸法を有するオーバーシッパーは、8.25インチx9.25インチx1.25インチの寸法を有する5つの同一のカートンを収めるために使用することができる。
【0245】
実施例10:看護用キットで使用するための容器
以下の例は、いくつかの実施形態による、看護キットに使用するための容器の例示的な設計を示す。
【0246】
容器中に配置されたカテーテルデバイスを含むホイル材料(例えば、ホイルパウチ)を含む容器は、看護キットにおいて使用され得る。例えば、図において15A-15Bでは、看護キットでの使用に適した任意の適切な寸法(例えば、8.125インチ×13インチ)を有するホイルパウチが、カテーテルデバイスを収容するために使用されてもよい。ホイルパウチは、その後オーバーシッパーに入れられ得る看護トレイ(3インチ×7インチ×13インチ)に入れてもよい。各看護トレイおよびそれに封入された内容物は、使用に適した任意の適切な重量(例えば、約456g)を有していてもよい。任意の適切な数の看護トレイ(例えば、約5トレイ)が、オーバーシッパーに詰め込まれ得る。
【0247】
実施例11:マックスバリアキットに使用するための容器
以下の例は、いくつかの実施形態による、マックスバリアキットで使用するための容器の例示的な設計を実証している。
【0248】
容器中に配置されたカテーテルデバイスを含むホイル材料(例えば、ホイルパウチ)を含む容器は、マックスバリアキットにおいて使用され得る。例えば、図において15A-15Bでは、マックスバリアキットで使用するのに適した寸法(例えば、8.125インチ×13インチ)を有するホイルパウチが、カテーテルデバイスを収容するために使用されてもよい。ホイルパウチは、看護トレイ(3インチ×7インチ×13インチ)に入れられ、その後、オーバーシッパーに入れられてもよい。各マックスバリアトレイおよび封入された内容物は、使用に適した任意の適切な重量(例えば、約1031g)を有していてもよい。任意の適切な数のマックスバリアトレイ(例えば、約5個のトレイ)が、オーバーシッパーに包装されてもよい。
【0249】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書で説明および図示されてきたが、当業者であれば、本明細書に記載された機能を実行しおよび/または結果および/または1以上の利点を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想到し、そのような変形および/または修正の各々は、本発明の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載された全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が用いられる/用いられる特定の用途または応用に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を、日常的な実験以上のことを用いずに認識するか、または確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は例示としてのみ提示され、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、本発明は、具体的に説明および請求されたものとは異なる方法で実施され得ることが理解されるであろう。本発明は、本明細書に記載された個々の特徴、システム、デバイス、材料、キット、および/または方法に向けられている。さらに、そのような特徴、システム、装置、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせは、本発明の範囲内に含まれる。
【0250】
本明細書および特許請求の範囲で使用される不定デバイス“a”および“an”は、明確に反対の指示がない限り、“少なくとも1つ”を意味すると理解されるべきである。
【0251】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるフレーズ「および/または」は、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には接続的に存在し、他の場合には接続的に存在する要素を意味するものと理解されたい。他の要素は、「および/または」節によって具体的に特定された要素以外に、明確に反対の指示がない限り、具体的に特定された要素に関連するかまたは関連しないかにかかわらず、任意に存在することができる。したがって、非限定的な例として、「含む」等のオープンエンドの言語と組み合わせて使用される場合の「Aおよび/またはB」への言及は、ある実施形態では、BなしのA(任意にB以外の要素を含む);別の実施形態では、AなしのB(任意にA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AおよびB両方(任意に他の要素を含む);等を指すことができる。
【0252】
本明細書および特許請求の範囲で使用されているように、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は、包括的であること、すなわち、要素の数またはリストの少なくとも1つを含むが、1つ以上も含み、任意に、追加のリストにない項目も含むと解釈されるものとする。「一つのみ」または「正確には1つのみ」のような、または特許請求の範囲で使用される場合は「から成る」等、反対に明確に示されている用語のみが、要素の数またはリストのまさに1つの要素を含むことを意味することになる。一般に、本明細書で使用される用語「または」は、「どちらか」、「どちらかのみ」、「どちらかのみ」、または「正確に一つ」等の排他性の用語に先行される場合にのみ、排他的選択肢(すなわち「どちらか一方であって両方ではない」)を示すものと解釈されるものとする。特許請求の範囲において使用される場合、「から本質的になる(Consisting essentially of)」は、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0253】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに言及する「少なくとも1つ」という語句は、要素のリスト内の任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解すべきであるが、必ずしも要素のリスト内に特にリストされた各々および全ての要素の少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものでもない。この定義はまた、フレーズ「少なくとも1つ」が参照する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、任意に存在することができることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、等価的に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または、等価的に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない(および、任意選択的にB以外の要素を含む)少なくとも1つの、任意選択的に複数の、Aを指すことができる。別の実施形態では、Aが存在しない(および任意にA以外の要素を含む)、任意に1つ以上のBを含む少なくとも1つ;さらに別の実施形態では、任意に1つ以上のA、および任意に1つ以上のBを含む(および任意に他の要素を含む)少なくとも1つ;等を指すことがある。
【0254】
特許請求の範囲において、上記明細書と同様に、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「実施する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」等のすべての移行句は、オープンエンドである、すなわち、含むことを意味するがこれに限定されないことを意味すると理解されるものとする。移行句「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」のみは、米国特許庁の「特許審査手続マニュアル」第211.03条に規定されるように、それぞれ閉じたまたは半閉じた遷移語句でなければならない。
【0255】
本明細書で使用される、例えば、1つ以上の装置、構造、力、場、流れ、方向/軌道、および/またはそれらのサブ部材、および/またはそれらの組み合わせ、および/またはその用語による特徴付けに従順な上記に記載されていない他の有形または無形の要素の形状、向き、配置、および/またはそれらの間の幾何学的関係に関するあらゆる用語は、この用語によって定義される。特に定義または示さない限り、このような用語の数学的定義への絶対的な適合を要求するのではなく、むしろ、このような主題に最も関連の深い当業者によって理解されるであろう、このように特徴付けられた主題について可能な範囲で、この用語の数学的定義への適合を示すと理解されるものとする。形状、配向、および/または幾何学的関係に関連する用語の例としては、以下を説明する用語が挙げられるが、これらに限定されない:形状-丸、四角、菱形、円/丸、長方形/長方形、三角/三角、円筒/円柱、楕円/楕円、(n)多角形/(n)多角形等;角度の方向-垂直、直交、平行、縦、横、平行等;輪郭および/または軌跡-輪郭、軌跡、または軌跡、または幾何学的な方向等(例、垂直方向と直交する、直交しない等)。輪郭および/または軌跡-平面/平面、共平面、半球、半球、直線/直線、双曲線、物線、平面、曲線、直線、弧状、正弦波、接線/接線等;方向-北、南、東、西等。表面および/またはバルク材料の特性および/または空間/時間分解能および/または分布-例えば、滑らか、反射性、透明、クリア、不透明、剛性、不浸透性、均一(ly)、不活性、非湿潤、不溶性、安定、不変、一定、均質等;ならびに関連技術に精通している人に明らかであろう多くの他のものがある。一例として、本明細書で「正方形」であると説明されるであろう製作デバイスは、かかるデバイスが、完全に平面または直線であり、正確に90度の角度で交差する面または側面を有する必要はなく(実際、かかるAデバイスは数学的抽象概念としてのみ存在し得る)、むしろ、かかるデバイスの形状は、当業者に理解されるであろう、または特に記載した製作技術について典型的に達成可能および実現可能な範囲で数学的に定義したように「正方形」を近似するものと解釈されるべきである。別の例として、本明細書で「整列」していると説明される2つ以上の製造されたデバイスは、そのようなデバイスが完全に整列している面または側面を有する必要はなく(実際、そのようなデバイスは数学的抽象概念としてのみ存在し得る)、むしろ、このように、当業者が解されるように、そのようなデバイスの配置は、当業者または具体的に説明されるように、言及された製造技術に対して典型的に達成可能および達成可能であろうと考えられる程度に数学的に定義される「整列」を近似していると解されるべきである。
【国際調査報告】