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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】電磁パルス防護用遮蔽材
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20230413BHJP
   E04B 1/92 20060101ALI20230413BHJP
   H01Q 17/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
H05K9/00 N
E04B1/92
H01Q17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553582
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 US2021020957
(87)【国際公開番号】W WO2021178726
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/985,138
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522351734
【氏名又は名称】サドラー、ローレンス アール
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】サドラー、ローレンス アール
【テーマコード(参考)】
2E001
5E321
5J020
【Fターム(参考)】
2E001DH01
2E001FA04
2E001GA12
2E001GA42
2E001HB02
2E001HB04
2E001HB05
2E001HC01
2E001HD11
5E321AA42
5E321AA44
5E321BB21
5E321BB41
5E321CC16
5E321GG05
5J020EA02
5J020EA10
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 電磁パルス(「EMP」)を遮蔽する装置、システム、および方法を開示する。エンクロージャ(100)は、空間を包囲するための電磁パルス(EMP)遮蔽材(102)からなる複数の薄板と、前記薄板の隙間を埋めるための電磁パルス(EMP)遮蔽連結部(104、110)とを含む。電磁パルス(EMP)遮蔽材(102)からなる薄板は、鉄系金属(304)および非鉄金属(302)の交互層の第1のセット(308)と、同様の交互層の第2のセット(310)と、前記交互層の第1のセット(308)と前記交互層の第2のセット(310)との間に配置された非導電性層(306)とを含む。電磁パルス(EMP)遮蔽連結部(104、110)は、少なくとも1つの鉄系金属層(804)と、少なくとも1つの非鉄金属層(802)と、前記電磁パルス(EMP)遮蔽材(102)からなる複数の薄板に接合される接合材(814)とを含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁パルス(EMP)を遮蔽する装置であって、
鉄系金属および非鉄金属の交互層の第1のセットと、
鉄系金属および非鉄金属の交互層の第2のセットと、
前記交互層の第1のセットと前記交互層の第2のセットとの間に配置された非導電性層と
を有する、装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、前記交互層の第1のセットおよび前記交互層の第2のセットのうち少なくとも1つは、2つの鉄系金属と、2つの非鉄金属とを有するものである、装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、前記交互層の第1のセットおよび前記交互層の第2のセットの双方は、それぞれ2つの鉄系金属と、2つの非鉄金属とを有するものである、装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、前記非導電性層は空隙であり、当該装置は、さらに、
前記交互層の第1のセットを支持する第1の基板と、
前記交互層の第2のセットを支持する第2の基板と
を有するものである、装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、前記非導電性層は、前記交互層の第1のセットおよび前記交互層の第2のセットに接合された内部基板である、装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、前記鉄系金属は鋼板である、装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置において、前記鋼板は亜鉛めっきされているものである、装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置において、前記非鉄金属はアルミ箔である、装置。
【請求項9】
請求項1記載の装置において、前記非鉄金属はアルミニウム薄板である、装置。
【請求項10】
請求項1記載の装置において、前記鉄系金属および前記非鉄金属のうちの1若しくはそれ以上は有孔金属である、装置。
【請求項11】
請求項1記載の装置において、前記交互層の第1のセットおよび前記交互層の第2のセットは、前記鉄系金属が前記非導電性層に接触するように配置されているものである、装置。
【請求項12】
請求項1記載の装置において、さらに、
前記交互層の第1のセットおよび前記交互層の第2のセットのうちの1つに接合された外部基板を有するものである、装置。
【請求項13】
請求項1記載の装置において、前記交互層の第1のセットおよび前記交互層の第2のセットの縁部は、腐食防止のためにエポキシ樹脂でシールされているものである、装置。
【請求項14】
電磁パルス(EMP)を遮蔽するエンクロージャであって、
空間を包囲するために配置された、構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板であって、前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる薄板の各々は、
鉄系金属および非鉄金属の交互層の第1のセットと、
鉄系金属および非鉄金属の交互層の第2のセットと、
前記交互層の第1のセットと前記交互層の第2のセットとの間に配置された非導電性層と、
前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板間の隙間を埋めるための1若しくはそれ以上の遮蔽連結部であって、当該1若しくはそれ以上の遮蔽連結部の各々は、少なくとも1つの鉄系金属層と、少なくとも1つの非鉄金属層と、前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板に接合される接合材とを有するものである、前記1若しくはそれ以上の遮蔽連結部と、
を有するものである、前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板
を有する、エンクロージャ。
【請求項15】
請求項14記載のエンクロージャにおいて、前記1若しくはそれ以上の遮蔽連結部のうちの少なくとも1つは、同一平面上にある、前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板間の隙間が埋めるための平坦連結部である、エンクロージャ。
【請求項16】
請求項14記載のエンクロージャにおいて、前記1若しくはそれ以上の遮蔽連結部のうちの少なくとも1つは、前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板間の隅部を埋めるための角度を成す連結部である、エンクロージャ。
【請求項17】
請求項14記載のエンクロージャにおいて、前記鉄系金属は亜鉛めっき鋼板である、エンクロージャ。
【請求項18】
請求項14記載のエンクロージャにおいて、前記非鉄金属はアルミ箔である、エンクロージャ。
【請求項19】
請求項14記載のエンクロージャにおいて、前記非導電性層は、前記交互層の第1のセットおよび前記交互層の第2のセットに接合された内部基板である、エンクロージャ。
【請求項20】
方法であって、
構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板を提供する工程であって、当該構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる薄板の各々は、
鉄系金属および非鉄金属の交互層の第1のセットと、
鉄系金属および非鉄金属の交互層の第2のセットと、
前記交互層の第1のセットと前記交互層の第2のセットとの間に配置された非導電性層と、
を有するものである、前記複数の薄板を提供する工程と、
1若しくはそれ以上の遮蔽連結部を提供する工程であって、当該1若しくはそれ以上の遮蔽連結部の各々は、少なくとも1つの鉄系金属層と、少なくとも1つの非鉄金属層と、前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板に接合される接合材とを有するものである、前記1若しくはそれ以上の遮蔽連結部を提供する工程と、
空間を包囲するように前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板を配置する工程と、
前記1若しくはそれ以上の遮蔽連結部を前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板に連結して、当該複数の薄板間の隙間を埋める工程と
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月4日付でローレンス サドラーを出願人して提出された、「Magna Shield」と題する米国特許仮出願第62/985,138号に対して利益を主張するものであり、当該米国特許仮出願は、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電磁パルスに対する防護に関し、具体的には、電磁パルス防護用遮蔽材(shielding materials for electromagnetic pulse protection)に関する。
【背景技術】
【0003】
ファラデーケージなど、装置またはコンポーネントを電場、磁場、および/または電磁場から遮蔽するための様々な遮蔽手段が存在する。しかしながら、そのような様々な遮蔽手段では、電磁パルスなどのより高エネルギー事象に対して十分な防護を提供できない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
電磁パルス(「EMP::electromagnetic pulse」)を遮蔽する装置を開示する。1実施形態において、装置は、鉄系金属および非鉄金属の交互層の第1のセットと、鉄系金属および非鉄金属の交互層の第2のセットと、前記交互層の第1のセットと前記交互層の第2のセットとの間に配置された非導電性層とを含む。
【0005】
電磁パルス(EMP)を遮蔽するエンクロージャ(enclosure)を開示する。1実施形態において、間を包囲するために配置された構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板と、前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板間の隙間を埋めるための1若しくはそれ以上の遮蔽連結部とを含む。前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板各々は、鉄系金属および非鉄金属の交互層の第1のセットと、鉄系金属および非鉄金属の交互層の第2のセットと、前記交互層の第1のセットと前記交互層の第2のセットとの間に配置された非導電性層とを含むことができる。前記1若しくはそれ以上の遮蔽連結部の各々は、少なくとも1つの鉄系金属層と、少なくとも1つの非鉄金属層と、前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板に接合される接合材とを含むことができる。
【0006】
構造的電磁パルス(EMP)を遮蔽するための方法を開示する。1実施形態において、方法は、構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板を提供する工程を含む。構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる薄板の各々は、鉄系金属および非鉄金属の交互層の第1のセットと、鉄系金属および非鉄金属の交互層の第2のセットと、前記交互層の第1のセットと前記交互層の第2のセットとの間に配置された非導電性層とを含む。さらなる実施形態において、方法は、1若しくはそれ以上の遮蔽連結部を提供する工程を含む。前記1若しくはそれ以上の遮蔽連結部の各々は、少なくとも1つの鉄系金属層と、少なくとも1つの非鉄金属層と、前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板に接合される接合材とを含むことができる。1実施形態において、空間を包囲するように前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板を配置する工程を含む。さらなる実施形態において、方法は、前記1若しくはそれ以上の遮蔽連結部を前記構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる複数の薄板に連結して、当該複数の薄板間の隙間を埋める工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
上記で簡潔に本発明を説明したが、本発明の利点の理解を容易にするために、添付の図面において図示する特定の実施形態を参照してより具体的に本発明を説明する。これらの図面は、単に本発明の典型的な実施形態を記載するものであり、本発明の範囲を限定するものではないという理解を前提とし、添付の図面を用いて本発明をより具体的かつ詳細に記載および説明する。
図1図1は、電磁パルス(EMP)を遮蔽するエンクロージャの1実施形態の斜視図を示す。
図2図2は、図1のエンクロージャの平面図をさらに示す。
図3図3は、電磁パルス(EMP)遮蔽材の1実施形態の側面図を示す。
図4図4は、電磁パルス(EMP)遮蔽材の別の1実施形態の側面図を示す。
図5図5は、電磁パルス(EMP)遮蔽材の別の1実施形態の側面図を示す。
図6図6は、電磁パルス(EMP)遮蔽材の別の1実施形態の側面図を示す。
図7図7は、電磁パルス(EMP)遮蔽材の別の1実施形態の側面図を示す。
図8図8は、電磁パルス(EMP)遮蔽連結部の1実施形態の側面図を示す。
図9図9は、電磁パルス(EMP)遮蔽連結部の別の1実施形態の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書全体において、「1実施形態(one embodiment)」、「1つの実施形態(an embodiment)」、またはその類義語に言及する場合、当該実施形態に関連して記載される特定の機能、構造または特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体において、「1実施形態」、「1つの実施形態」という語句、またはその類義語が用いられる場合、これらは全て同一の実施形態を指すが、明記しない限り「1若しくはそれ以上の実施形態であるが全ての実施形態ではない」ことを意味する(ただし、必ずしもそのような意味でなくともよい。)。「含む(including)」、「有する(comprising)」、「備える/有する(having)」という用語、またはこれらの類義語は、明記しない限り「~を含むがそれに限定されない」ことを意味する。リストに列挙されている項目は、明記しない限り任意の、または全ての項目が相互排他的、および/または相互包括的であることを示唆するものではない。また、「a」「an」、「the」という用語は、明記しない限り「1若しくはそれ以上」も指す。
【0009】
さらに、本明細書に記載される、本発明の機能、構造または特徴は、1若しくはそれ以上の実施形態において、任意の適切な態様で組み合わせることができる。以下の説明には、本発明の実施形態が十分理解されるように、数多くの具体的な詳細を含む。しかしながら、当業者であれば、1若しくはそれ以上の具体的な詳細がなくとも本発明を実施できること、若しくはその他の方法、構成要素、材料などを用いて本発明を実施できることを認識すると考えられる。他の例では、本発明の観点が不明瞭となるのを避けるために、周知の構造、材料、または動作については、図示されていないか、若しくは詳細に記載されていない。
【0010】
本明細書に含まれるフロー図は、通常、論理フロー図として示される。そのため、示された順序および工程は通常、提示する方法の1実施形態を表す。図示する方法の1若しくはそれ以上の工程、または当該方法の一部と、その機能、論理、または効果の点で均等なその他の工程または方法を想到することが可能である。追加的に、使用される形式および符号は、方法の論理工程を説明するために提供されているものであり、方法の範囲を限定するものでないことが理解される。フロー図において、様々な種類の矢印および線が使用されるが、これらは、対応する方法の範囲を限定するものでないことが理解される。実際、いくつかの矢印またはその他の接続部は、方法の論理工程のみを示すために利用される場合がある。例えば、1つの矢印は、図示される方法において列挙された工程間の不特定な待機期間または監視機関を示す場合がある。さらに、特定の方法が起こる順序は、図示されている、対応する工程の順序に厳密に沿っている場合と沿っていない場合がある。
【0011】
本明細書においては、「および/または」という接続詞を含む、列挙(リスト)された記載事項は、当該記載事項における任意の単一項目、または複数の項目の組み合わせを含む。例えば、A、B、および/またはCの記載事項は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ、AおよびCの組み合わせ、またはA、B、およびCの組み合わせを含む。本明細書においては、「1若しくはそれ以上の」という用語を使用する列挙(リスト)された記載事項は、当該記載事項における任意の単一項目、または複数の項目の組み合わせを含む。例えば、1若しくはそれ以上のA、B、およびCは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ、AおよびCの組み合わせ、またはA、B、およびCの組み合わせを含む。本明細書においては、「~のうちの1つ」という用語を使用する列挙(リスト)された記載事項は、当該記載事項における任意の単一項目のうち、1の項目かつ当該項目のみを含む。例えば、「A、B、およびCのうちの1つ」は、Aのみ、Bのみ、Cのみを含み、A、B、およびCの組み合わせを除外する。本明細書においては、「A、B、およびCからなる群から選択された項目」は、A、B、またはCのうち、1の項目かつ当該項目のみを含み、A、B、およびCの組み合わせを除外する。本明細書においては、「A、B、およびC、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された項目」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ、AおよびCの組み合わせ、またはA、B、およびCの組み合わせを含む。
【0012】
図1および図2は、電磁パルス(「EMP」)を遮蔽するエンクロージャ100を示す。図1は斜視図を示し、図2は、壁の構成要素が見えるように屋根の構成要素を除去した平面図を示す。
【0013】
電磁パルス(EMP)は、太陽フレアなどの自然現象によって発生する他、悪意のある行為者によって生成される可能性がある。例えば、高高度での核爆発によって高高度電磁パルス(「HEMP」)が発生する可能性がある。いずれの場合も、高エネルギーの電磁パルス(EMP)によって、発電機器または切換装置、通信機器、コンピュータ機器などの重要な電気機器および/または電子機器に損傷を与える恐れがある。様々な実施形態において、電磁パルス(EMP)を遮蔽するエンクロージャ100は、このような機器を当該エンクロージャ100の内部において電磁パルス(EMP)から防護するために有用である。さらに、電磁パルス(EMP)一部は、物理研究など、悪意のない目的のために人工的に生成される。エンクロージャ100は、電磁パルス(EMP)発生器を電磁パルス(EMP)に対して高感度な機器から分離するために有用である。さらに別の実施形態では、電磁パルス(EMP)を遮蔽するエンクロージャ100は、静磁場、静電場、および電波、マイクロ波、X線などの電磁波からの効果的な遮蔽を提供することができる。
【0014】
様々な実施形態において、電磁パルス(EMP)を遮蔽するエンクロージャ100は、空間を包囲するように配置された、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる複数の薄板を含む。さらに別の実施形態では、エンクロージャ100は、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板の間の隙間を埋めるための、1若しくはそれ以上の電磁パルス(EMP)遮蔽連結部104、110を含む。様々な実施形態において、電磁パルス(EMP)遮蔽材102および電磁パルス(EMP)遮蔽連結部104、110は、機器をエンクロージャ100の内部において電磁パルスから防護することができる。電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板および電磁パルス(EMP)遮蔽連結部104、110の構成について後続の図面を参照して以下詳細に説明する。
【0015】
いくつかの実施形態において、エンクロージャ100は、変電所などの、(例えば、耐久性または長期持続性のある)恒久的な建物であってもよい。いくつかの実施形態では、エンクロージャ100は、移動式建物または現地組み立て式建物であってもよい。例えば、エンクロージャ100は、機密情報隔離施設(SCIF:sensitive compartmented information facility)であってもよく、機密情報隔離施設(SCIF)は、その内部にある電子データおよび通信機器を有害な電磁パルス(EMP)から防護し、機密情報隔離施設(SCIF)の内部で生成された電磁信号の当該施設の外部での検出を防止する。移動式機密情報隔離施設(SCIF)は、トラックまたはトレーラー上のエンクロージャ100、または現地組み立て式建物であってもよく、この場合、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板および電磁パルス(EMP)遮蔽連結部104、110は、現地に搬送され、迅速に組み立てられる。
【0016】
エンクロージャ100を形成するために、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板が空間を包囲するように配置される。図示する実施形態では、エンクロージャ100の内部空間は、4つの壁部および屋根を形成する、遮蔽材102からなる薄板によって完全に包囲される。(いくつかの実施形態では、エンクロージャの床部もまた電磁パルス(EMP)遮蔽材によって形成されてもよい。)完全に包囲された空間には、電磁パルス(EMP)遮蔽材で覆われたドア106を介してアクセスすることができる。電気ケーブル、換気ダクトなどの設備をエンクロージャの内部に提供するために、1若しくはそれ以上の開口部108が(例えば、移動式または現地組み立て式エンクロージャ100の壁部、恒久的なエンクロージャ100の床部など)に設けられる。いくつかの実施形態では、このような開口部は、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなるより小型のパネルによって取り囲んでもよい。
【0017】
別の実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板は、空間を部分的に取り囲む、若しくは包囲するように配置されてもよく、このように空間が部分的に包囲されている場合でも、電磁パルス(EMP)遮蔽材102によって「包囲されている」といい、また、この部分的に包囲された構造体を「エンクロージャ」という。例えば、いくつかの実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる3つの薄板は、3つの壁部を備えるとともに屋根を備えない略C形状のブースを形成するように配置されてもよく、このような形態は、(例えば、ブースが配置されている部屋の内部にある、障害の原因となる機器と、ブースの内部にある、障害に対して高感度な機器との間に)所望の遮蔽度を提供するのに十分である。このような、完全に包囲されていないブースの場合でも、「エンクロージャ」という。
【0018】
電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板は、様々なサイズの実質的に平面のパネルであってもよい。例えば、エンクロージャ100が建物である1実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板は、4'x 8'、4'x 10'、および/または4'x 12'のサイズの、乾式壁、または配向性ストランドボード(OSB)外装材からなる薄板と同等なサイズに製造することができる。別の例として、コンピュータを防護するためにエンクロージャ100が使用される1実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板は、コンピュータの筐体の前部、上部、および側部のサイズと同等のサイズに製造することができる。いくつかの実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなるより小型の薄板をより大型の薄板から切断してもよい。追加的に、いくつかの実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材102を成形若しくはプレス加工して、薄板ではなく3次元構造体を形成してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、エンクロージャ100は、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板に加えて支持構造を含むことができる。例えば、エンクロージャ100の壁部に使用される、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる垂直薄板を(例えば、建築用接着剤で接着することで)コンクリート、石造壁、木製または金属製の縦枠などの支持構造に取り付けることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、(以下説明するように、)電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板は、内部基板、および/または1若しくはそれ以上の外部基板を含んでもよく、当該基板により十分な剛性が提供されるため、その結果、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板は、電磁パルス(EMP)遮蔽連結部104によって連結することが可能となり、当該薄板を別の壁部に取り付けることなく自立型エンクロージャ100として形成することができる。このような基板を含む電磁パルス(EMP)遮蔽材102を「構造的」電磁パルス(EMP)遮蔽材102という。いくつかの実施形態では、構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材(sheets of structural EMP shielding material)102からなる薄板は、自立型構造体を形成するために有用であるが、構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材102の全重量が加わることなく、既存の構造に追加することができる非構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材102と比べると重量がかなり重い。
【0020】
電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板が空間を包囲するために配置される際に、薄板間の隙間により、電磁パルス(EMP)およびその他の電磁波が減衰/遮蔽される代わりに伝達される恐れがある。例えば、同一の壁部において互いに同一平面上にある2つの隣接した薄板の縁部の間に隙間が存在する可能性があり、また、隣接した壁部の薄板間の隅部に隙間が存在する可能性がある。したがって、様々な実施形態において、薄板間の隙間を埋める(および遮蔽する)ために、電磁パルス(EMP)遮蔽連結部104、110が電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板に連結される。図示する実施形態では、平坦連結部104により、同一平面上にある、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板間の隙間が埋められている(例えば、2つの薄板が同一の壁部にあり、角度を成す連結部により隅部の隙間が埋められる)。図2の平面図を参照すると、図示する実施形態におけるエンクロージャ100は、薄板間の隙間を内側および外側の両側から埋めるための電磁パルス(EMP)遮蔽連結部104、110を含む。別の実施形態において、エンクロージャ100は、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板間の隙間の両側に配置される代わりに、一方の側に配置された電磁パルス(EMP)遮蔽連結部104、110を含んでもよい。
【0021】
電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板および電磁パルス(EMP)遮蔽連結部104、110の構成について後続の図面を参照して以下詳細に説明する。本図面における様々な材料および構成要素の厚さは、所定の材料とその他の材料および構成要素との関係を明確に示すため、原寸に比例したものではない。例えば、図2において、構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板は、幅4フィート、高さ8フィート、厚さ約5/8インチ~3/4インチであるが、薄板102の厚さは、平面図において薄板102間の隙間が明確に分かるように、幅に対して実質的により大きく示されている。また、電磁パルス(EMP)遮蔽連結部104、110は、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板よりも薄肉であるが、平面図において明確に分かるように、太線で示されている。同様に、図3~9において、電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板および電磁パルス(EMP)遮蔽連結部104、110を形成する材料層は、各層の相対的厚さを正確に示すことを意図したものではなく、むしろ、所定の層を形成する材料および各層の配置構成をより明確に示すために、極薄層についても厚さをより大きく示している場合がある。
【0022】
図3は、電磁パルス(EMP)遮蔽材300の1実施形態の側面図である。図示する実施形態における遮蔽材300は、図1を参照して上記で説明した電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板を形成することができる。図示した実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材300は、鉄系金属304および非鉄金属302の交互層の第1のセット308と、鉄系金属304および非鉄金属302の交互層の第2のセット310と、交互層の第1のセット308と交互層の第2のセット310との間に配置された非導電性層306とを含む。
【0023】
様々な実施形態において、鉄系金属304は任意の強磁性金属を指す。鉄系金属304は導電性であり、真空の透磁率(μ)よりも実質的に大きい透磁率(μ)を有する。例えば、鉄系金属304の相対透磁率(μ/μ)は、40よりも大きく、百から数百の範囲、千から数千の範囲、またはそれ以上であってもよい。様々な実施形態において、非鉄金属302は強磁性金属ではない金属である。非鉄金属302は導電性であり、相対透磁率(μ/μ)は約1である。
【0024】
様々な実施形態において、鉄系金属および非鉄金属の交互層の「セット」308、310は、少なくとも1つの鉄系金属304の層と少なくとも1つの非鉄金属302の層とを含む。したがって、図示する実施形態では、鉄系金属および非鉄金属の交互層の各セット308、310はそれぞれ、1つの鉄系金属304の層と、1つの非鉄金属302の層とを含む。別の実施形態では、鉄系金属および非鉄金属の交互層のセット308、310は、鉄系金属304および非鉄金属302が交互に積層された、2層を超える層を含んでいてもよい。例えば、鉄系金属および非鉄金属の交互層のセット308、310は、4層、6層、8層、(例えば、非鉄金属302の層よりも鉄系金属304の層の数が1つ多い)奇数の層などを含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、鉄系金属304は、冷延鋼板または亜鉛めっき鋼板などの鋼板である。亜鉛めっき鋼板を使用する場合重量が増加するが、防食性能が提供される。いくつかの実施形態において、鉄系金属304は、18ゲージの亜鉛めっき鋼板、20ゲージの亜鉛めっき鋼板、22ゲージの亜鉛めっき鋼板、または、12~28ゲージの範囲の厚さを有するその他の亜鉛めっき鋼板または亜鉛めっきされていない鋼板であってもよい。これより厚い鉄系金属304を使用する場合重量が増加するが、電磁パルス(EMP)の遮蔽効果が改善される。高度の遮蔽が必要ない場合、若しくは(例えば、コンクリート製の壁など)その他の材料によりある程度の遮蔽が提供される場合は、遮蔽効果を低減してもエンクロージャ100において好適である場合もある。
【0026】
いくつかの実施形態において、非鉄金属302は導電性であるが、アルミニウムまたは銅などの非強磁性金属である。いくつかの実施形態において、非鉄金属302は、18~28ゲージの範囲の厚さを有するアルミニウム薄板であってもよい。いくつかの実施形態において、非鉄金属302は、アルミ箔、銅箔などであってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、鉄系金属304および/または非鉄金属302は、金属メッシュ、金属スクリーン、スロットまたは孔部を有する板金などの有孔金属であってもよい。有孔金属を使用することにより、無孔金属を使用する電磁パルス(EMP)遮蔽材300と比べて電磁パルス(EMP)遮蔽材300の重量を減少させることができる。
【0028】
様々な実施形態において、非導電性層306は、木材、発泡板、繊維板、乾式壁、繊維強化プラスチックなどの任意の非導電性材料であってもよい。非導電性層306のための固体材料は、鉄系金属304および非鉄金属302の交互層の第1および第2のセット308、310の間のスペーサーとして、および/または第1および第2のセット308、310を支持する基板として機能する。交互層の第1のセット308と交互層の第2のセット310との間に配置される非導電性層306または基板を内部基板という。いくつかの実施形態において、内部基板および/または以下説明する外部基板は、弾道および電磁パルス(EMP)に対する防護を提供するように、KEVLAR(登録商標)などのアラミド繊維材料を含んでもよい。
【0029】
しかしながら、別の実施形態では、非導電性層306は空隙であってもよい。例えば、鉄系金属および非鉄金属の交互層の第1および第2のセット308、310は、小型非導電性スペーサーブロックまたはスペーサー支柱によって連結されてもよく、若しくは第1および第2のセット308、310の間に空隙を残すようにして、2つの異なる基板によって独立的に支持されてもよい。いくつかの実施形態では、非導電性層306の厚さは、約1/8インチ~約1/2インチの範囲にある。
【0030】
特定の実施形態では、交互層の第1のセット308および交互層の第2のセット310の双方は、鉄系金属304が非導電性層306と接触するように配置される。様々な実施形態において、鉄系金属および非鉄金属の交互層の第1のセット308は、鉄系金属304が外側に面する奇数の層、非鉄金属302が外側に面する奇数の層、または鉄系金属304が一方の側に面し、非鉄金属302が反対側に面する偶数の層を含むことができる。本出願人は、実験により、交互層の第1および第2のセット308、310の鉄系金属304の少なくとも一面を露出させ、交互層の第1および第2のセット308、310の鉄系金属304の面を非導電性層306に向かって若しくは非導電性層306に接触させて配置することにより、非鉄金属302の面を非導電性層306に向かって若しくは非導電性層306に接触させて配置する場合よりも、より良好な遮蔽が提供されることを発見した。しかしながら、いくつかの実施形態では、非鉄金属302の面を非導電性層306に接触させる別の構成により十分効果的な遮蔽が提供される。
【0031】
電磁パルス(EMP)遮蔽材300を作製するにあたって、非鉄金属302、鉄系金属304、および非導電性材料306の層が提供され、上述したように、非導電性材料306が鉄系金属および非鉄金属の交互層のセット308、310の間に配置されるように接合される。当業者であれば、様々な接着剤が層同士を接合するのに好適であることを認識すると考えられる。いくつかの実施形態では、腐食および/または層間剥離を防止するため、交互層の第1のセット308、および交互層の第2のセット310の縁部(および/または作製された、電磁パルス(EMP)遮蔽材300からなる薄板の縁部)は、エポキシ樹脂またはその他の防水材料でシールされる。いくつかの実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材300からなる薄板の面にも防水加工を施す、若しくはTYVEK(登録商標)バリア材などの防水加工材料を電磁パルス(EMP)遮蔽材300の外側に接合することにより防水加工を施すことができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、追加の層を設けることにより、電磁パルス(EMP)遮蔽材300の遮蔽効果および/または構造的剛性を改善することができる。後続の図面を参照して、異なるまたは追加の層を有する電磁パルス(EMP)遮蔽材300の様々な実施形態を説明する。
【0033】
図4は、別の実施形態である電磁パルス(EMP)遮蔽材400の側面図を示す。図示する実施形態における電磁パルス(EMP)遮蔽材400は、図1を参照して上記で説明した電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板を形成することができる。図示する実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材400は、鉄系金属404および非鉄金属402の交互層の第1および第2のセット408、410と、非導電性層406とを含むが、各層は、図3を参照して上記で説明したものと実質的に同じである。
【0034】
図3に示す電磁パルス(EMP)遮蔽材300の1実施形態は、交互層の各セット308、310に1つの鉄系金属層と、1つの非鉄金属層とを有するが、電磁パルス(EMP)遮蔽材の別のいくつかの実施形態は、少なくとも1つの交互層のセットが2つの鉄系金属層と、2つの非鉄金属層とを有する、交互層の類似セットを含む。例えば、図示する実施形態では、交互層の第2のセット410は、2つの鉄系金属層404と2つの非鉄金属層402とが互いに積層された層を含む。図示する実施形態では、交互層の第1のセット408は、図3と同様に、1つの鉄系金属404の層と、1つの非鉄金属402の層とを含む。
【0035】
図5は、別の実施形態である電磁パルス(EMP)遮蔽材500の側面図を示す。図示する実施形態における電磁パルス(EMP)遮蔽材500は、図1を参照して上記で説明した電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板を形成することができる。図示する実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材500は、鉄系金属504と非鉄金属502との交互層の第1および第2のセット508、510と、非導電性層506とを含むが、各層は、図3、4を参照して上記で説明したものと実質的に同じである。
【0036】
図4に示す電磁パルス(EMP)遮蔽材400の1実施形態は、交互層の第2のセット410のみに2つの鉄系金属層404および2つの非鉄金属層402の交互層を含むが、電磁パルス(EMP)遮蔽材の別のいくつかの実施形態は、交互層の第1のセットおよび交互層の第2のセットの双方が2つの鉄系金属層と、2つの非鉄金属層とを有する、交互層の類似セットを含む。例えば、図示する実施形態では、第1および第2のセット508、510の双方は、2つの鉄系金属層504と2つの非鉄金属502とが交互に積層された層を含む。
【0037】
図6は、別の実施形態である電磁パルス(EMP)遮蔽材600の側面図を示す。図示する実施形態における電磁パルス(EMP)遮蔽材600は、図1を参照して上記で説明した電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板を形成することができる。図示する実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材600は、鉄系金属604および非鉄金属602の交互層の第1および第2のセット608、610と、非導電性層606とを含むが、各層は、図3~5を参照して上記で説明したものと実質的に同じである。さらに、図示する実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材600は、外部基板612を含む。
【0038】
様々な実施形態において、外部基板612は、電磁パルス(EMP)遮蔽材600に剛性を提供する、若しくは磁パルス(EMP)遮蔽材600の剛性を強化するために電磁パルス(EMP)遮蔽材600の外側に接合された材料である。いくつかの実施形態において、非導電性層606のための内部基板と外部基板612とを有する電磁パルス(EMP)遮蔽材600は、電磁パルス(EMP)遮蔽材の他の実施形態と比べてより剛性が高く、構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材としての使用により好適である。いくつかの実施形態では、外部基板612は、木材、配向性ストランドボード(OSB)、繊維板、構造絶縁外装材(例えば、ペンシルベニア州のOX Engineered Products, LLCから入手可能な構造絶縁体)などの非導電性材料であってもよい。図6では、外部基板を電磁パルス(EMP)遮蔽材600の一方の側に示しているが、いくつかの実施形態では、遮蔽材600の両側に外部基板を含む。したがって、外部基板612は、交互層のセット608、610の一方または両方に接合することが可能である。
【0039】
図7は、別の実施形態である電磁パルス(EMP)遮蔽材700の側面図を示す。図示する実施形態における電磁パルス(EMP)遮蔽材700は、図1を参照して上記で説明した電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板を形成することができる。図示する実施形態では、電磁パルス(EMP)遮蔽材700は、鉄系金属704および非鉄金属702の交互層の第1および第2のセット708、710と、非導電性層706と、2つの外部基板712とを含むが、各層は、図3~6を参照して上記で説明したものと実質的に同じである。
【0040】
図示する実施形態では、非導電性層706は空隙である。さらに本実施形態では、外部基板712の一方は、交互層の第1のセット708に接合され、外部基板712のもう一方は、交互層の第2のセット710に接合されている。したがって、交互層の各セット708、710は個別の外部基板712によって支持されている。いくつかの実施形態では、1つの交互層と1つの基板とを含むパネルの半分(例えば、図7の上半分と下半分)は別々に移送され、空隙の反対側において組み立てられて、スペーサーを使用して各パネルの半分の間の距離が維持される。
【0041】
図8および図9は、2つの電磁パルス(EMP)遮蔽連結部800、900の実施形態を示す。図8に示す電磁パルス(EMP)遮蔽連結部800は、図1を参照して上記で説明した、同一平面上にある、構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板の間の隙間を埋めるための平坦連結部104である。図9に示す電磁パルス(EMP)遮蔽連結部900は、図1を参照して上記で説明した、構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材102からなる薄板の隅部を埋めるための角度を成す連結部110である。図示する実施形態では、各電磁パルス(EMP)遮蔽連結部800、900は、少なくとも1つの鉄系金属804、904の層と、少なくとも1つの非鉄金属802、902の層と、構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる薄板に接合される接合材814、914とを含む。
【0042】
鉄系金属804、904および非鉄金属802、902は、上記で電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる薄板に関して説明したものと実質的に同じであってもよい。いくつかの実施形態では、角度を成す連結部900ための鉄系金属904は、乾式壁の隅部用の亜鉛めっき鋼見切縁材(galvanized steel corner bead)であってもよい。接合材814、914は、ビニール製帯状接着剤、両面アクリル接着剤、粘着剤などであってもよい。図示する実施形態では、平坦連結部800は、同一平面上にある、構造的電磁パルス(EMP)遮蔽材からなる薄板の間の隙間のいずれの側においても兼用でき、また、角度を成す連結部900は、隅部の外側に使用するために、角度を成す部分の凹部側に接着剤を含む。別の実施形態では、角度を成す連結部900は、隅部の内側に使用するために、逆順序の層を有し、角度を成す部分の凸部側に接着剤を含む。
【0043】
本発明は、その要旨または必須の特徴から逸脱することなく、その他の特定の形態で具現化することが可能である。記載された実施形態は、全ての観点において例示のみを提供するものであり、限定的ではないと見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、上記記載によってではなく添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等物が意図するものおよび当該均等物の範囲内にある変更は、特許請求の範囲内に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】