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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(54)【発明の名称】眼用インプラント及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553684
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 AU2021050179
(87)【国際公開番号】W WO2021174298
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】2020900649
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522353381
【氏名又は名称】ウェスタン シドニー ローカル ヘルス ディストリクト
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ボートン、フィリップ
(57)【要約】
眼内液を患者内の過剰な眼内液の部位から離れる方向に搬送するための眼用インプラント(10)であって、インプラント(10)が、過剰な眼内液の部位から離れて位置付けられた排液部位と流体連通可能な出口(24)を各々が有する1つ以上の排液チャネル(20)を含む本体(12)と、本体(12)と流体連通可能な細長い管状部材(30)であって、部材(30)が、入口(38)を提供する第1の端部部分(32)、端部(40)を提供する第2の端部部分(34)、及び入口(38)と端部(40)との間に延在する管腔を有する、管状部材(30)と、を含み、入口(38)が、眼内液が入口(38)を通過して管腔を通って端部(40)に向かって流れることができるように、過剰な眼内液の部位と流体連通可能であり、第2の端部部分(34)が、眼内液が第2の端部部分(34)から出口(24)の各々へ流れることを可能にするために、各々が1つ以上の排液チャネル(20)のうちのそれぞれの1つと流体連通可能な1つ以上の開口(42)を含む、眼用インプラント(10)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内液を患者内の過剰な眼内液の部位から離れる方向に搬送するための眼用インプラントであって、前記インプラントが、
過剰な眼内液の前記部位から離れて位置付けられた排液部位と流体連通可能な出口を各々が有する1つ以上の排液チャネルを含む本体と、
前記本体と流体連通可能な細長い管状部材であって、前記部材が、入口を提供する第1の端部部分、端部を提供する第2の端部部分、及び前記入口と前記端部との間に延在する管腔を有する、細長い管状部材と、を含み、
前記入口が、前記眼内液が前記入口を通過して前記管腔を通って前記端部に向かって流れることができるように、過剰な眼内液の前記部位と流体連通可能であり、
前記第2の端部部分が、前記眼内液が前記第2の端部部分から前記出口の各々へ流れることを可能にするために、各々が前記1つ以上の排液チャネルのそれぞれのうちの1つと流体連通可能な1つ以上の開口を含む、インプラント。
【請求項2】
前記本体が、細長い管状要素の形態の複数の排液チャネルを含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記要素の各々が、アレイを形成するために互いに平行に配置されている、請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記第2の端部部分が、前記本体内に少なくとも部分的に位置付けられ、前記アレイを横切る方向に延在する、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記第2の端部部分が、前記チャネルの各々を横切って延在する、請求項2~4のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項6】
前記細長い管状部材が、改造された医療用排液カテーテルの形態である、請求項1~3のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項7】
前記本体が、改造された多管式医療用ドレーンの形態である、請求項1~6のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項8】
眼用インプラントの案内付きアセンブリのためのデバイスであって、前記インプラントが、本体と細長い管状部材とを有し、前記本体が、アレイを形成するために互いに平行に配置された複数の細長い開放端部管状要素を含み、前記部材が、第1の端部部分と第2の端部部分とを含み、前記デバイスが、
前記本体を位置付けるための基部と、
前記基部に対する前記本体の動きを制限するために、前記基部の周囲において前記基部から延在する第1の側壁及び第2の側壁であって、前記第1及び第2の側壁が、互いに対して横切る方向に配置されている、第1及び第2の側壁と、を含み、
前記第1の側壁は、穿孔デバイスが、前記本体の前記管状要素の各々を穿孔して、前記アレイを横切って延在する通路を形成し、それにより、前記第2の端部部分が前記通路を通過し得るように通過することを可能にする開口を含み、
前記第2の側壁が、複数の開き口を含み、前記複数の開き口は、前記穿孔デバイスが、前記開き口を通過し、前記開放端部を通過して、前記第2の端部部分を横切る方向に穿孔し得るように、前記管状要素の各々の前記開放端部のうちのそれぞれの1つと整列されている、デバイス。
【請求項9】
前記第1の側壁が、前記開口の外側端部部分に配置された第1の切り欠き部分を含み、前記第2の側壁が、各々が前記開き口の各々の外側端部部分にそれぞれ配置された複数の第2の切り欠き部分を含み、前記第1及び第2の切り欠き部分が、少なくとも、前記穿孔デバイスの通過を容易にする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
少なくとも、前記デバイスの取り扱いを容易にするために、前記基部と一体的に形成された支持部分を更に含む、請求項8又は請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記支持部分が、前記第1の側壁と略整列された輪郭付きグリップ部分を含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記開口が、前記第1の側壁を通って延在する第1のチャネルであり、前記開き口の各々が、前記第2の側壁を通って延在する第2のチャネルである、請求項8~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
眼内液を患者内の過剰な眼内液の部位から離れる方向に搬送するように構成された眼用インプラントの案内付きアセンブリの方法であって、前記方法が、
請求項8~12のいずれか一項に記載のデバイスを提供することと、
多管式医療用ドレーンを提供することであって、前記ドレーンが、アレイを形成するために互いに平行に配置された複数の細長い管状要素を有し、前記要素の各々が、前記要素の各端部に形成された出口を有する、提供することと、
前記ドレーンが前記デバイスの前記基部上に位置付け可能となるために前記ドレーンのサイズを決定することと、
前記ドレーンを前記基部上に位置付けし、前記出口の各々が前記デバイスの前記開き口のうちのそれぞれ1つと整列されるように前記ドレーンを配置することと、
前記アレイを横切って延在する前記ドレーンを通る通路を形成するために前記デバイスの前記開口を通して前記ドレーンを穿孔することと、
入口を提供する第1の端部部分、端部を提供する第2の端部部分、及び前記入口と前記端部との間に延在する管腔を有する医療用カテーテルを提供することと、
前記ドレーンの前記通路を通して前記第2の端部部分を位置付けることと、
前記管腔に複数の開口を形成するために前記開口の各々を通して前記第2の端部部分を穿孔することであって、前記開き口の各々が、前記出口のそれぞれのうちの1つと流体連通可能な、穿孔することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼用インプラントに関し、特に、緑内障の治療についての眼シャントに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
緑内障は、一般に眼内圧(IOP)と呼ばれる眼内の圧力の調節が不十分であることによって特徴付けられた眼の疾患である。生理学的に正常なレベルを超えるIOPにおける増加は、罹患した眼における不可逆的な損傷及び失明をもたらし得る。
【0003】
既知の眼用インプラントは、典型的には、IOPを生理学的に正常なレベルに低下させようと試みるために、房水と呼ばれる眼内の液体を過剰な液体の部位から離れる方向にそらすか又はシャントすることによって、緑内障の病理を改善することを目的としている。
【0004】
これらの既知の眼用インプラントの多くは、IOPの適切な調整を提供しないか、又は比較的高いコスト及び低いアクセス性などの他の潜在的欠点を有する。
【0005】
目的
本発明の目的は、上記の欠点のうちの1つ以上を実質的に克服するか、又は少なくとも改善することである。
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、眼内液を患者内の過剰な眼内液の部位から離れる方向に搬送するための眼用インプラントであって、インプラントが、
過剰な眼内液の部位から離れて位置付けられた排液部位と流体連通可能な出口を各々が有する1つ以上の排液チャネルを含む本体と、
本体と流体連通可能な細長い管状部材であって、部材が、入口を提供する第1の端部部分、端部を提供する第2の端部部分、及び入口と端部との間に延在する管腔を有する、細長い管状部材と、を含み、
入口が、眼内液が入口を通過して管腔を通って端部に向かって流れることができるように、過剰な眼内液の部位と流体連通可能であり、
第2の端部部分が、眼内液が第2の端部部分から出口の各々へ流れることを可能にするために、各々が1つ以上の排液チャネルのうちのそれぞれの1つと流体連通可能な1つ以上の開口を含む、インプラント、が開示されている。
【0007】
好ましくは、本体は、細長い管状要素の形態の複数の排液チャネルを含む。
【0008】
好ましくは、要素の各々は、アレイを形成するために互いに平行に配置されている。
【0009】
好ましくは、第2の端部部分は、本体内に少なくとも部分的に位置付けられ、アレイを横切る方向に延在する。
【0010】
好ましくは、第2の端部部分は、チャネルの各々を横切って延在する。
【0011】
好ましくは、細長い管状部材は、改造された医療用排液カテーテルの形態である。
【0012】
好ましくは、本体は、改造された多管式医療用ドレーンの形態である。
【0013】
本明細書ではまた、眼用インプラントの案内付きアセンブリのためのデバイスであって、インプラントが、本体と細長い管状部材とを有し、本体が、アレイを形成するために互いに平行に配置された複数の細長い開放端部管状要素を含み、部材が、第1の端部部分と第2の端部部分とを含み、デバイスが、
本体を位置付けるための基部と、
基部に対する本体の動きを制限するために、基部の周囲において基部から延在する第1及び第2の側壁であって、第1及び第2の側壁が、互いに対して横切る方向に配置されている、第1及び第2の側壁と、を含み、
第1の側壁は、穿孔デバイスが、本体の管状要素の各々を穿孔して、アレイを横切って延在する通路を形成し、それにより、第2の端部部分が通路を通過し得るように、通過することを可能にするための開口を含み、
第2の側壁が、複数の開き口を含み、複数の開き口は、穿孔デバイスが、開き口を通過し、開放端部を通過して、第2の端部部分を横切る方向に穿孔し得るように、管状要素の各々の開放端部のうちのそれぞれの1つと整列されている、デバイス、が開示されている。
【0014】
好ましくは、第1の側壁は、開口の外側端部部分に配置された第1の切り欠き部分を含み、第2の側壁は、各々が開き口の各々の外側端部部分にそれぞれ配置された複数の第2の切り欠き部分を含み、第1及び第2の切り欠き部分が、少なくとも、穿孔デバイスの通過を容易にする。
【0015】
好ましくは、デバイスは、少なくとも、デバイスの取り扱いを容易にするために、基部と一体的に形成された支持部分を更に含む。
【0016】
好ましくは、支持部分は、第1の側壁と略整列された輪郭付きグリップ部分を含む。
【0017】
好ましくは、開口は、第1の側壁を通って延在する第1のチャネルであり、開き口の各々は、第2の側壁を通って延在する第2のチャネルである。
【0018】
本明細書では更に、眼内液を患者内の過剰な眼内液の部位から離れる方向に搬送するように構成された眼用インプラントの案内付きアセンブリの方法であって、方法が、
眼用インプラントの案内付きアセンブリのためのデバイスを提供することであって、デバイスが、
基部と、
基部の周囲において基部から延在する第1及び第2の側壁であって、第1及び第2の側壁が、互いに対して横切る方向に配置されている、第1及び第2の側壁と、を含み、
第1の側壁が、開口を含み、
第2の側壁が、複数の開き口を含む、デバイスを提供することと、
多管式医療用ドレーンを提供することであって、ドレーンが、アレイを形成するために互いに平行に配置された複数の細長い管状要素を有し、要素の各々が、要素の各端部に形成された出口を有する、多管式医療用ドレーンを提供することと、
ドレーンがデバイスの基部上に位置付け可能となるためにドレーンのサイズを決定することと、
ドレーンを基部上に位置付けし、出口の各々が開き口のうちのそれぞれ1つと整列されるようにドレーンを配置することと、
アレイを横切って延在するドレーンを通る通路を形成するために開口を通してドレーンを穿孔することと、
入口を提供する第1の端部部分、端部を提供する第2の端部部分、及び入口と端部との間に延在する管腔を有する医療用カテーテルを提供することと
ドレーンの通路を通して第2の端部部分を位置付けることと、
第2の端部部分において複数の開口を形成するために開口の各々を通して第2の端部部分を穿孔することであって、開き口の各々が、出口のうちのそれぞれの1つと流体連通可能な、第2の端部部分を穿孔することと、を含む、方法、が開示されている。
【0019】
ここで、本開示の例示的な実施形態は、添付の記載及び図面を参照して、実施例としてのみ記載される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一実施形態による眼用インプラントの概略正面図である。
図2図1の眼用インプラントの概略側面図である。
図3図1の眼用インプラントの案内付きアセンブリについての本開示の実施形態によるデバイスの斜視図である。
図4図1の眼用インプラントの案内付きアセンブリについての本開示の別の実施形態によるデバイスの斜視図である。
図5図1の眼用インプラントの案内付きアセンブリについての本開示の更に別の実施形態によるデバイスの斜視図である。
図6図3図4、又は図5のデバイスを使用する図1の眼用インプラントの案内付きアセンブリの方法に関連付けられたステップを概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面の図1及び2を参照すると、眼内液を患者内の過剰な眼内液の部位から離れる方向に搬送するための眼用インプラント又はシャント10が概略的に図示されている。図示された実施形態において、シャント10は、房水を眼の前房から離れる方向に搬送するように構成されている。シャント10は、眼内圧(IOP)を生理学的に正常なレベルに向けて低下するように構成されることによって、緑内障の治療において使用され得る。
【0022】
シャント10は、本体12を含む。図示された実施形態において、本体12は、概ね矩形の構成であり、一対の長手方向に対向する近位側部分14及び遠位側部分16と、各々が近位側部分14と遠位側部分16との間を横切る方向に延在する一対の対向する横側部分18とを有する。本体12は、約20mmの長手(length)寸法、約15mmの高さ寸法、及び約2mmの幅寸法を有する。ただし、本体12の形状及び寸法は、変更され得ることを理解されたい。例えば、本体12は、円形、正方形、六角形、又は他の多角形の構成であり得る。
【0023】
本体12は、細長い管状要素20の形態の複数の排液チャネルを含む。各管状要素20は、本体12の横側部分18を形成する一対の対向する開放端部部分22を有する。出口24(図2)は、過剰な眼内液の部位、すなわち前房から離れて位置付けられたシュレムチャネルなどの排液部位と流体連通するために、各端部部分22で提供されている。各要素20の長手(length)26は、それぞれの端部部分22間に延在し、眼内液又は房水が流れ得る、出口24間に延在する管腔を提供する。図示された実施形態において、長手26及び出口24の各々は、約2mmの外径を有する。要素20の各々は、好ましくは、医療グレードのシリコンなど、比較的良好な柔軟性、弾性、及び生体適合性を提供する材料で形成される。
【0024】
各管状要素20は、管状要素20の平行アレイを形成するために、その長手方向側で隣接する管状要素20と接合されている。アレイは、要素20に対して近位側部分14と遠位側部分16との間を横切る方向に延在する対称軸28を有する。アレイの外側の長手方向部分に配置されている、それらの要素20は、近位側部分14及び遠位側部分16を形成する。このようにして、管状要素20の配置は、本体12の略起伏のある又は波形外形を提供する。
【0025】
1つ以上の実施形態において、本体12は、世界中の臨床現場(病院など)において容易に利用可能な標準的多管医療組織ドレーン(腹部排液チューブなど)を改造することによって便利に形成され得る。
【0026】
シャント10は、本体12と流体連通可能な細長い管状部材30を更に含む。部材30は、入口38を提供する第1の端部部分32、遠位端部40を提供する第2の端部部分34、及び入口38と端部40との間に延在する長手36を有する。長手36は、眼内液又は房水が流れ得る管腔を提供する。第1の端部部分32、長手36、及び第2の端部部分34は、好ましくは、約0.5mm~0.9mmの範囲における、より好ましくは、0.7mmの外径を有する。部材30は、好ましくは、本体12と同じ材料で形成され得、又は他の適切な材料で形成され得る。
【0027】
入口38は、眼内液が入口38を通過して、長手36の管腔を通って端部40に向かって流れることができるように、過剰な眼内液の部位(すなわち、前房)と流体連通可能である。
【0028】
図示された実施形態において、第2の端部部分34は、要素20の各々を通る軸28に沿って形成された通路又はトンネルを通って延在する。第2の端部部分34の遠位端部40は、遠位側部分16を形成する要素20において終端する。ただし、第2の端部部分34は、要素20の完全に上に配置されるか、軸28に対してオフセットされ得ることが想定され得る。
【0029】
第2の端部部分34は、長手36の管腔に複数の開口42(図2)を提供するために貫通されている。各開口42は、眼内液が第2の端部部分34の長手36の管腔から長手26の管腔の各々に、出口24に向かって流れることを可能にするために、複数の要素20の長手26の管腔のうちのそれぞれ1つと流体連通可能である。開口42の各々は、第2の端部部分34の直径よりも小さい直径を有することを理解されたい。
【0030】
1つ以上の実施形態において、部材30は、世界中の臨床現場(病院など)において容易に利用可能な標準的な医療用排液カテーテルを改造することによって便利に形成され得る。カテーテルのサイズ(すなわち、標準寸法)は、用途の適合性に応じて選択され得る。好ましい実施形態において、カテーテルのサイズは、約6ml/分のシャント排液速度を提供するために24Gである。
【0031】
本体12は、患者の眼へのシャント10の縫合を容易にするために、1つ以上のアイレット(図示せず)を含み得る。
【0032】
本体12の波形外形は、IOPに応じて眼内液で要素20の各々を連続的に充填することを容易にする。したがって、シャント10は、IOPが比較的高い場合にシャント10を通る流体の流れが増加し、それによって排液速度が増加するように、部品を動かすことなく弁効果を提供し得る。逆に、IOPが比較的低い場合、シャント10を通る流体の流れは、減少し、それによって排液速度が減少する。
【0033】
更に、波形管状要素20は、必要に応じて、術後の炎症を軽減し、追加の瘢痕組織形成を最小限に抑えるか、又は追加のIOP低下効果を有するために、徐放性薬物製剤(例えば、ペレット又はゲル)で充填される能力を有する。管状要素20の開放端部部分22の構成の長所によって、要素20が必要に応じて後日再充填されることができることを意味する。
【0034】
図3を参照すると、シャント10の案内付きアセンブリのためのデバイス又は治具50が概略的に図示されている。
【0035】
治具50は、概ね矩形の構成であり、かつ略平坦な受容表面54を有する基部52を含む。第1の軸56は、表面54に対して垂直に延在する。側壁58は、表面54を部分的に取り囲むために、基部52の周囲の周りで軸56に平行な方向に基部52から上向きに延在する。側壁58の各々は、好ましくは、本体12の幅よりも大きい、表面54から測定された高さを有する。側壁58は、第1の対向する側壁の対58a、及び第2の対向する側壁の対58bにおいて配置されている。第1の対向する側壁の対58aは、第2の対向する側壁の対58bに対して垂直に配置されている。
【0036】
治具50は、第2の軸60及び第3の軸62を有し、第3の軸62が、第2の軸60に対して垂直である。軸60、62の各々は、対向する側壁58のそれぞれの対の間で第1の軸56に対して垂直に延在する。すなわち、第2の軸60は、第1の対向する側壁の対58aの間に延在し、第3の軸62は、第2の対向する側壁の対58bの間に延在する。
【0037】
治具50は、軸60と平行な方向における第1の対58aの側壁58のうちの一方を通って延在する穴64を含む。図示された実施形態において、穴64は、軸60と整列され、第2の対向する側壁の対58bの間の中央に置かれる。穴64は、管状部材30の直径以上の直径を有する。円筒形突出部63は、穴64と同心円状に側壁58上に形成され、側壁58から離れる方向に横切る方向に延在している。以下に記載されるように、突出部63及び穴64は、本体12の要素20の各々を横切る通路を形成するために、穿孔デバイス(針など)についてガイドとして機能するように構成されている。
【0038】
治具50は、軸62と平行な方向における第2の対58bの側壁58の各々を通って延在する複数の開き口66を更に含む。図示された実施形態において、開き口66の各々は、第2の対58bの側壁58に沿って等間隔に配置されている。開き口66の数は、好ましくは、要素20の数に対応する。ただし、治具50は、要素20の数よりも多くの数の開き口66を有し得ることを理解されたい。開き口66の各々は、開口42の直径以上の直径を有する。第2の対58bの側壁58のうちの一方を通って延在する開き口66の各々は、第2の対58bの他方の側壁58を通って延在するそれぞれの開き口66と整列されている。以下に記載されるように、開き口66の各々は、開口42の各々を形成するために第2の端部部分34の貫通について横方向ガイドとして機能するように構成されている。
【0039】
治具50は更に、側壁58の各々を部分的に通って表面54まで切り込まれ、軸60、62に対して斜めに配置された複数の直線溝68を含む。溝68の配置及び形状は、変更され得ることを理解されたい。以下に記載されるように、溝68は、本体12のメス切除についてガイドとして機能するように構成されている。
【0040】
支持基部(図示せず)は、治具50の取り扱いを補助するために、治具50と一体的に形成され得る。
【0041】
治具50は、一般に利用可能な3D印刷熱可塑性プラスチック(ポリ乳酸(PLA)及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)など)、並びにコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアを使用する3次元(3D)印刷のプロセスによって製造され得る。治具50は、以下に記載されるように、シャント10の迅速な手術中の案内付きアセンブリを容易にするために、容易に3D印刷及び滅菌され得ることを理解されたい。治具50のCADモデルは、発展途上国と容易に共有され得、他の埋め込み型デバイスと比較して、インプラントの包装、輸送、保管、及び物流に関連するコストを最小限に抑え得る。
【0042】
図4を参照すると、シャント10の案内付きアセンブリのためのデバイス又は治具150が概略的に図示されている。治具150は、治具50と同様の基本構造である。治具50の特徴と同等である治具150の特徴は、治具50の特徴と同じ参照符号に100ずつ増加されたて提供されている。
【0043】
治具150は、概ね矩形の構成であり、かつ略平坦な受容表面154を有する基部152を含む。第1の軸156は、表面154に対して垂直に延在する。側壁158は、表面154を部分的に取り囲むために、基部152の周囲の周りで軸156に平行な方向に基部152から上向きに延在する。側壁158の各々は、好ましくは、本体12の幅よりも大きい、表面154から測定された高さを有する。側壁158は、第1の対向する側壁の対158a、及び第2の対向する側壁の対158bにおいて配置されている。第1の対向する側壁の対158aは、第2の対向する側壁の対158bに対して垂直に配置されている。
【0044】
治具150は、第2の軸160及び第3の軸162を有し、第3の軸162が、第2の軸160に対して垂直である。軸160、162の各々は、対向する側壁158のそれぞれの対の間で第1の軸156に対して垂直に延在する。すなわち、第2の軸160は、第1の対向する側壁の対158aの間に延在し、第3の軸162は、第2の対向する側壁の対158bの間に延在する。
【0045】
治具150は、軸160と平行な方向における第1の対158aの側壁158のうちのそれぞれ1つを通って延在する一対の対向する穴164を含む。図示された実施形態において、穴164は、軸160と整列され、第2の対向する側壁の対158bの間の中央に置かれる。穴164は、管状部材30の直径以上の幅寸法を有する。穴164は、好ましくは、本体12の中間にある表面154から測定された深さに位置付けられている。くさび形の切り欠き165は、穴164の各々を通して管状部材30を案内することを容易にするために、側壁158aの各々において穴164の各々の外部又は外側端部に形成されている。以下に記載されるように、穴164は、本体12の要素20の各々を横切る通路を形成するために、穿孔デバイス(針など)についてガイドとして機能するように構成されている。
【0046】
治具150は、軸162と平行な方向における第2の対158bの側壁158の各々を通って延在する複数の開き口166を更に含む。図示された実施形態において、開き口166の各々は、第2の対158bの側壁158に沿って等間隔に配置されている。開き口166の数は、好ましくは、要素20の数に対応する。ただし、治具150は、要素20の数よりも多くの数の開き口166を有し得ることを理解されたい。開き口166の各々は、開口42の直径以上の幅寸法を有する。開き口166は、好ましくは、本体12の中間にある表面154から測定された深さに位置付けられている。更なるくさび形の切り欠き167は、開き口166の各々を通して穿孔デバイスを案内することを容易にするために、側壁158bの各々において開き口166の各々のそれぞれの外部又は外側端部に形成されている。第2の対158bの側壁158のうちの一方を通って延在する開き口166の各々は、第2の対158bの他方の側壁158を通って延在するそれぞれの開き口166と整列されている。以下に記載されるように、開き口166の各々は、開口42の各々を形成するために第2の端部部分34の貫通について横方向ガイドとして機能するように構成されている。
【0047】
治具150は更に、側壁158の各々を部分的に通って表面154まで又は表面154を通り過ぎて切り込まれ、軸160、162に対して斜めに配置された複数の直線溝168aを含む。更なる直線溝168b、168cが、側壁158a、158bのそれぞれの対を横切って形成され、それぞれ軸160、162に対して平行に、表面154まで又は表面154を通り過ぎて延在する。溝168a、168b、168cの配置及び形状は、変更され得ることを理解されたい。以下に記載されるように、溝168a、168b、168cは、本体12のメス切除についてガイドとして機能するように構成されている。
【0048】
治具150は、基部152と一体的に形成された、より具体的には、側壁158bの各々と一体的に形成された支持部分170を更に含む。各支持部分170は、それぞれの側壁158bから離れる方向に軸162と略平行な方向において延在する。各支持部分170は、治具150の取り扱いを容易にするために、側壁158aと概ね整列された一対の輪郭付きグリップ部分172を含む。強化部174は、支持部分170に剛性を提供するために、一対のグリップ部分172の間に延在する。強化部174はまた、治具150の取り扱いを更に容易にするために、クランプ表面として使用され得る。
【0049】
治具150は、一般的に利用可能な3D印刷熱可塑性プラスチック(ポリ乳酸(PLA)及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)など)及びコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアを使用する3次元(3D)印刷のプロセスによって製造され得る。治具150は、以下に記載されるように、シャント10の迅速な手術中の案内付きアセンブリを容易にするために、容易に3D印刷及び滅菌され得ることを理解されたい。治具150のCADモデルは、発展途上国と容易に共有され得、他の埋め込み型デバイスと比較して、インプラントの包装、輸送、保管、及び物流に関連するコストを最小限に抑え得る。
【0050】
図5を参照すると、シャント10の案内付きアセンブリのためのデバイス又は治具250が概略的に図示されている。治具250は、穴164及び開き口166の構成を除いて、治具150と同一の構成である。治具250において、穴164及び開き口166は、それぞれ一対の側壁158a、158bを通って直線的に延在する第1及び第2のチャネル264、266によって置き換えられている。チャネル264の各々は、管状部材30の直径以上の幅寸法を有する。チャネル266の各々は、開口42の直径以上の幅寸法を有する。チャネル264、266は、好ましくは、本体12の中間にある表面154から測定された深さまで延在する。
【0051】
したがって、治具150と同一である治具250の残りの特徴は、更には記載されず、図5において同一の参照番号が提供されている。
【0052】
チャネル264、266の構成は、治具150と比較されたときに、治具250の利便性、3Dプリントの再現性、及び大量生産の容易さを改善し得ることを理解されたい。
【0053】
ここで、治具50を使用するシャント10の案内付きアセンブリの方法は、図6におけるフローチャートを参照して記載される。
【0054】
治具50は、ステップ101で提供されている。次いで、ステップ103で、標準的な多管式医療用組織排液チューブ(腹部組織ドレーンなど)は、側壁58によって横方向に支持されながら、チューブが表面54に適合することを可能にするためにサイズ決定される。次いで、ステップ105で、チューブは、表面54上に位置付けられ、チューブの出口の各々が第2の対58bの側壁58の開き口66のうちのそれぞれの一方と整列されるように配置される。
【0055】
ステップ107で、針又は他の適切な穿孔デバイスは、突出部63及び穴64を通って挿入され、軸64と平行な方向においてチューブを穿孔し、チューブのアレイを通る通路又はトンネルを形成する。このようにして、シャント10の本体12は、形成されている。
【0056】
ステップ109で、針は、取り外され、所定の標準寸法のカニューレ(又は他の適切なシリコンチューブ)が、突出部63及び穴64を通して挿入され、チューブアレイの通路内に、すなわち本体12を通して部分的に位置付けられる。代替的には、カニューレは、針がチューブを穿孔し、続いて、通路内にカニューレを部分的に残して針がチューブから引き抜かれる場合に、針の操作端部で提供されることによって、ステップ107で、通路内に導入され得ることを理解されたい。
【0057】
ステップ111で、更なる針又は他の適切な穿孔デバイスは、開き口66のそれぞれを通して、及びチューブの出口を通して、カニューレを横切る方向に穿孔して、開口42の各々を作成するために連続的に挿入されている。このようにして、部材30は、形成されている。通路を形成するために使用される針は、更なる針が開口42の各々を形成するために使用されている間、本体12内に保持され得ることを理解されたい。
【0058】
次いで、シャント10の本体12は、任意のステップ113で、本体12を回転楕円体形状に容易に一致させるか、又はシャント10の有効剛性を低減するために不要なチューブ材料を除去するために、本体12のガイド付きメス切除について溝68を利用することよって切り詰められ得る。これは、浸食についてシャント10の縁部外形を低減するのに少なくとも役立ち得る。治療薬は、ペーストとして、又は薬剤の段階的な局所放出を可能にする遮断剤(例えば、医療グレードのカルボメチルセルロース又はワセリン)を使用して封入された液体として、平行チューブアレイの要素20の各々に挿入(及び定期的に補充)され得る。臨床医は、患者固有の必要性に応じて投与量を定義し得る。
【0059】
次いで、組み立てられたシャント10は、治具50から取り外され、続いて従来の方法を使用して患者に移植され得る。
【0060】
上で記載された治具50を使用したシャント10の案内付きアセンブリの方法は、治具50の代わりに治具150、250を使用して、実質的に同様の方法で行割れ得ることを理解されたい。治具150、250のくさび形の切り抜き165、167は、ステップ107、109、及び111の間に、針又は他の適切な穿刺デバイス及びカニューレの案内された進入を容易にし得ることを理解されたい。治具150、250のグリップ部分172及び強化部174は、ステップ107、109、111、及び113の間に、治具150、250の取り扱いを更に容易し得る。
【0061】
本開示の別の態様において、治具50、150、250は、部材30の周りに急速硬化生体適合性エラストマー樹脂シャーシ(図示せず)を成形するために使用され得る。これは、平行チューブアレイを置き換えるか、又はチューブアレイを回転楕円体の輪郭に設定することで増強することができる。これは、シャントの移動を緩和し得る。平行チューブアレイを患者の眼に適合する回転楕円体の輪郭に適合させるため、及び/又は外科的移植及び確実な固定を支援するために使用される第2の治具が存在し得る。治具の設計は、所与の展開位置について患者の眼の解剖学的構造の直径及び/又は形状に適合するように診療所で調整され得る。エラストマー樹脂は、液体シリコン樹脂(白金触媒液体シリコンゴム)、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性樹脂、ポリカプロラクトン、又は他の低デュロメーター硬度(ショア硬度20A~55D)の急速硬化生体適合性エラストマーから構成され得る。使用されるポリマー材料は、生体安定性又は部分的に生体吸収性若しくは部分的に溶解可能であり得る。
【0062】
本開示の更なる態様において、上で記載されたシャーシは、IOP変化の調節を助けるために使用されることができる複数(典型的には1~4個)のリザーバを含み得、例えば、緑内障の管理を助ける生物活性治療薬、又は抗生物質若しくは抗菌剤、抗閉塞剤、又はシャント内の流量を推測するために使用されることができる生体適合性薬剤を貯蔵して徐々に放出するために使用され得る。リザーバは、眼科医によって定期的に補充され得る。更なる反復において、専用のアプリケータは、検眼医が溶出リザーバを緑内障薬などで再充填するによって使用され得る。
【0063】
本開示の更なる態様において、シャーシ及びシャントチューブは両方とも、急速硬化生体適合性エラストマー樹脂(例えば、白金触媒液体シリコンゴム)を使用する3D印刷プロセスを使用して鋳型にされる。鋳型にされたシャントは、チューブの長手に沿ってバルブを形成するために、シャントの一部において管腔断面における変化を含み得る。このバルブは、形状において円筒形又は回転楕円体であり得る。バルブ形状因子は、患者の眼の強膜の下でバルブによって引き起こされる膨らみのプロファイルを監視することによって、IOPがリアルタイムで推測され得るように、シャント液体の活性圧力がバルブのサイズに影響を与えることを可能にする。
【0064】
上で記載されたシャント10及び治具50、150、250は、容易に利用可能な臨床消耗品を利用して、緑内障の治療について比較的低コストで、効果的で、堅牢で、安全な介入を提供し得ることを理解されたい。
【0065】
当業者であれば、本明細書の開示の範囲から逸脱することなく、記載されたシャント及び/又は治具に対する様々な変更がなされ得ることが理解されよう。
【0066】
参考リスト
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】