(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)及び抗体チェックポイント阻害剤による副腎皮質がん腫の処置
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4745 20060101AFI20230414BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230414BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230414BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230414BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20230414BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20230414BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230414BHJP
A61P 5/46 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K39/395 T
A61K31/337
A61K33/24
A61K45/00
A61P5/46
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022546570
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2021015124
(87)【国際公開番号】W WO2021154750
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】503345477
【氏名又は名称】コーセプト セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリーンシュタイン、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】グラウアー、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シェパード、ステイシー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZC412
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086BC43
4C086CB05
4C086EA17
4C086HA12
4C086HA28
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
副腎皮質がん腫を有し且つコルチゾール過剰を有する対象を処置するための方法及び組成物が開示される。本方法は、患者における、ACC腫瘍量の減少、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤増加、並びにACC腫瘍内への好中球の浸潤減少、及びその他の処置効果を奏する。本方法は、グルココルチコイド受容体モジュレーター(GRM)(選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)であってもよい)及び抗体チェックポイント阻害剤を投与することを含む。ある実施形態において、GRM(例えば、SGRM)は経口投与される。GRMは、縮合アザデカリン構造;ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン構造;又はオクタヒドロ縮合アザデカリン構造を含む非ステロイド系化合物でありうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
副腎皮質がん腫の腫瘍を有し且つコルチゾール過剰を有する対象を処置する方法、ここで前記方法は、
a)副腎皮質腫瘍を有し、且つ、b)グルココルチコイド過剰である患者を特定すること;
1)選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)及び2)抗体チェックポイント阻害剤を投与することを含む、組み合わせ処置を前記特定された患者に施すこと;
それによって、抗体チェックポイント阻害剤単独による処置で達成されたであろうよりも良好な処置アウトカムを前記特定された患者から達成すること、
を含み、
前記処置アウトカムは、前記患者における、a)ACC腫瘍量の減少、b)T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、c)前記ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤の増加、並びに、d)前記ACC腫瘍内への好中球の浸潤の減少、から選択される。
【請求項2】
前記抗体チェックポイント阻害剤が、PD-1に対して有効な抗体、CTLA-4に対して有効な抗体、PD-L1に対して有効な抗体、及びPD-L2に対して有効な抗体から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記チェックポイント阻害剤がPD-L2に対して有効な抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
タキサン類、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、小胞体ストレス誘導剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される化学療法剤を投与することをさらに含む、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記化学療法剤がタキサンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記化学療法剤が、nab-パクリタキセル、5-フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン、シスプラチン、及びカペシタビンからなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記SGRMが、下記式を有するヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法:
【化1】
式中、
R
1は、5~6個の環員を有し、且つ、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1aから選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1aはそれぞれ独立して水素、C
1-6アルキル、ハロゲン、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、CN、N-オキシド、C
3-8シクロアルキル、及びC
3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環、及びヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル環及びヘテロアリール環は、5~6個の環員、及びそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有し;
R
2はそれぞれ独立して水素、C
1-6アルキル、ハロゲン、C
1 6ハロアルキル、C
1 6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、C
1-6アルキル-C
1-6アルコキシ、CN、OH、NR
2aR
2b、C(O)R
2a、C(O)OR
2a、C(O)NR
2aR
2b、SR
2a、S(O)R
2a、S(O)
2R
2a、C
3-8シクロアルキル、及びC
3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル基は1~4個のR
2c基で置換されていてもよく;
あるいは、同じ炭素に結合した2個のR
2基が組み合わされてオキソ基(=O)を形成しており;
あるいは、2個のR
2基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、ここで前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2d基で置換されていてもよく;
R
2a及びR
2bはそれぞれ独立して水素及びC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
2cはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、CN、及びNR
2aR
2bからなる群より選択され;
R
2dはそれぞれ独立して水素及びC
1-6アルキルからなる群より選択され、あるいは、同じ環原子に結合した2個のR
2d基が組み合わされて(=O)を形成しており;
R
3はそれぞれ1~4個のR
3a基で置換されていてもよいフェニル及びピリジルからなる群より選択され;
R
3aはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、及びC
1-6ハロアルキルからなる群より選択され;
下付き文字nは0~3の整数である。
【請求項11】
ヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリンを含む前記化合物が、下記式を有するレラコリラントである、請求項10に記載の方法
【化2】
【請求項12】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記SGRMが下記式を有する縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法:
【化3】
式中、
L
1及びL
2は独立して結合及び非置換アルキレンから選択される要素であり;
R
1は非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-OR
1A、NR
1CR
1D、-C(O)NR
1CR
1D、及び-C(O)OR
1Aから選択される要素であり、ここでR
1Aは水素、非置換アルキル、及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり;
R
1C及びR
1Dは、独立して非置換アルキル及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり、互いに結合してそれらが結合している窒素と共に非置換の環を形成していてもよく、前記環は追加の環窒素を含んでいてもよく;
R
2は下記式を有し:
【化4】
式中、
R
2Gは水素、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-CN、及び-CF
3から選択される要素であり;
Jはフェニルであり;
tは0~5の整数であり;
Xは-S(O
2)-であり;
R
5は1~5個のR
5A基で置換されていてもよいフェニルであり、
R
5Aは水素、ハロゲン、-OR
5A1、S(O
2)NR
5A2R
5A3、-CN、及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A1は水素及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A2及びR
5A3は独立して水素及び非置換アルキルから選択される要素である。
【請求項17】
前記縮合アザデカリン化合物が、CORT108297としても知られる(R)-(4a-エトキシメチル-1-(4-フルオロフェニル)-6-(4-トリフルオロメチル-ベンゼンスルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H,1,2,6-トリアザ-シクロペンタ[b]ナフタレンであり、下記式を有するものである、請求項16に記載の方法
【化5】
【請求項18】
前記SGRMがCORT108297であり、前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記SGRMがCORT108297であり、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記SGRMがCORT108297であり、前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記SGRMがCORT108297であり、前記チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記SGRMが下記式を有するオクタヒドロ縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法:
【化6】
式中、
R
1は、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1aから選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1aはそれぞれ独立して水素、C
1-6アルキル、ハロゲン、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、N-オキシド、及びC
3-8シクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するアリール環及びヘテロアリール環からなる群より選択され;
R
2はそれぞれ独立して、水素、C
1-6アルキル、ハロゲン、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、C
1-6アルキル-C
1-6アルコキシ、CN、OH、NR
2aR
2b、C(O)R
2a、C(O)OR
2a、C(O)NR
2aR
2b、SR
2a、S(O)R
2a、S(O)
2R
2a、C
3-8シクロアルキル、並びにそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子を有するC
3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
あるいは、隣接し合う環原子上の2個のR
2基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2c基で置換されていてもよく;
R
2a、R
2b、及びR
2cはそれぞれ独立して水素及びC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
3aはそれぞれ独立してハロゲンであり;
下付き文字nは0~3の整数である。
【請求項23】
前記オクタヒドロ縮合アザデカリンSGRMが、CORT125281としても知られる((4aR,8aS)-1-(4-フルオロフェニル)-6-((2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8,8a,9-オクタヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メタノンであり、下記構造を有するものである、請求項22に記載の方法
【化7】
【請求項24】
前記SGRMがCORT125281であり、前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記SGRMがCORT125281であり、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記SGRMがCORT125281であり、前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記SGRMがCORT125281であり、前記チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)化合物と、PD-1、CTLA-4、PDL-1、又はPDL-2に対して有効な抗体チェックポイント阻害剤とを含む、副腎皮質がん腫を処置するための医薬組成物。
【請求項29】
前記SGRMがヘテロアリールケトン縮合アザデカリンSGRM、縮合アザデカリンSGRM、及びオクタヒドロ縮合アザデカリンSGRMから選択される化合物である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項28又は請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項28又は請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項28又は請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、請求項28又は請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記SGRMがヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン化合物(R)-(1-(4-フルオロフェニル)-6-((4-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(チアゾール-2-イル)メタノン(「CORT122928」と称される)であり、下記構造を有するものである、請求項1、請求項2~請求項9のいずれか一項に記載の方法、又は請求項28若しくは請求項29に記載の医薬組成物
【化8】
【請求項35】
前記SGRMが化合物(R)-(1-(4-フルオロフェニル)-6-((4-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1-H-ピラゾロP,4-g)イソキノリン-4a-イル)(ピリジン-2-イル)メタノン(「CORT113176」と称される)であり、下記構造を有するものである、請求項1、請求項2~請求項9のいずれか一項に記載の方法、又は請求項28若しくは請求項29に記載の医薬組成物
【化9】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
副腎はグルココルチコイド(GC)であるコルチゾールの天然の供給源である。コルチゾールは、脳下垂体によって分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に応答して、副腎によって産生及び分泌される。コルチゾール値は1日を通じて変動し、血液(例えば、血清、血漿、又は全血)中の値を測定することができ、また、朝(典型的に、コルチゾール値が最も高くなるとき)を測定することもできる。また、コルチゾール値は、尿中の値(例えば、サンプリング実施時刻の影響が少ないコルチゾール測定を行うことができる、24時間尿中コルチゾール測定)、唾液中(例えば、典型的にコルチゾール値が最も低くなるときの、深夜唾液中コルチゾール)、及び他の体液中(例えば、涙及び汗)を測定することもできる。コルチゾールはデキサメタゾン抑制試験後に測定されてもよく、この場合コルチゾールは、外部から投与されたデキサメタゾンなどのグルココルチコイド類に対する視床下部-下垂体-副腎系の応答の指標となる。
【背景技術】
【0002】
「コルチゾール過剰(cortisol excess)」又は「過剰なコルチゾール(excess cortisol)」などのグルココルチコイド(GC)活性上昇は、正確な定量化が困難である一方で、複数のがん型の病態生理に関連付けられてきた。副腎皮質がん腫(ACC)患者のおよそ半数が、全身性GC過剰(GC+)という、明白な臨床的・生化学的エビデンスを示し、GC活性の相関評価を行う独特の試験症例を呈する。GCのこの広範な免疫抑制効果は、腫瘍免疫応答及び免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の効力を制限しうる。
【0003】
副腎皮質がん腫(ACC)では、抗体チェックポイント阻害剤の効力が制限される。ACC患者のおよそ半数が、全身性のコルチゾール過剰(GC+)を呈する。コルチゾール過剰はクッシング症候群などの障害を引き起こす。加えて、コルチゾールは免疫抑制効果を有する。免疫抑制は、チェックポイント阻害剤に対する応答の不十分さと関連している。ACCにおけるコルチゾールの特定の免疫抑制効果は知られていない。すなわち、GC+ACCにおけるSGRMの免疫効果は知られていない。
【0004】
ACC患者に対する抗体チェックポイント阻害剤処置の効果を増強することを含む、ACCに対するより効果的な処置を提供することが、当該技術分野では求められている。
【発明の概要】
【0005】
副腎皮質がん腫(ACC)のマルチオミクス解析によって、グルココルチコイド(GC)活性の分子的帰結(molecular consequences)が特定され、グルココルチコイド過剰である副腎皮質がん腫(GC+ACC)においてグルココルチコイド受容体(GR)のアンタゴニストであるレラコリラントを免疫チェックポイント阻害剤(ICI)と組み合わせる合理性が評価された。出願人は、ACC腫瘍の遺伝子転写及びGC過剰(例えば、コルチゾール過剰)に関する公表データの解析を行った。
【0006】
処置方法には、コルチゾール過剰を有する副腎皮質がん腫(ACC)患者に、選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)と抗体チェックポイント阻害剤とを投与することが含まれる。患者はコルチゾール過剰を有するものであり、これはコルチゾール値が正常範囲を超えている、例えば、正常コルチゾール上限値を上回る、ものである。ある実施形態においては、患者のコルチゾール値が正常コルチゾール値の約1.5倍以上、又は正常コルチゾール値の約2倍以上である場合に、コルチゾール過剰と特定される。ある実施形態においては、不規則な上昇が患者の日周コルチゾールリズムで確認された場合に、コルチゾール過剰と特定される。
【0007】
コルチゾール過剰の影響としては、例えば、腫瘍における免疫応答、及び腫瘍に対する免疫応答に対してのコルチゾール作用の増大(例えば、腫瘍、リンパ節などにおける免疫抑制)を挙げることができる。ある実施形態において、SGRMを抗体チェックポイント阻害剤と併用して投与することは、コルチゾール過剰を有するACC患者におけるコルチゾール過剰の影響を低減又は逆転させるのに有効である可能性があり、当該患者におけるACC腫瘍量(tumor load)を減少させるのに有効である可能性がある。ある実施形態において、SGRMを抗体チェックポイント阻害剤と併用して投与することは、コルチゾール過剰を有するACC患者におけるコルチゾール過剰の影響を低減又は逆転させるのに有効である可能性があり、当該患者におけるT細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路を回復させるのに有効である可能性がある。ある実施形態において、SGRMを抗体チェックポイント阻害剤と併用して投与することは、コルチゾール過剰を有するACC患者におけるコルチゾール過剰の影響を低減又は逆転させるのに有効である可能性があり、当該患者におけるACC腫瘍内へのT細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞の浸潤を増加させるのに有効である可能性がある。ある実施形態において、SGRMを抗体チェックポイント阻害剤と併用して投与することは、コルチゾール過剰を有するACC患者におけるコルチゾール過剰の影響を低減又は逆転させるのに有効である可能性があり、当該患者におけるACC腫瘍内への好中球の浸潤を減少させるのに有効である可能性がある。
【0008】
いくつかの場合において、前記GRM(例えば、SGRM)は、縮合アザデカリン構造を含む非ステロイド性化合物であり、ここで前記縮合アザデカリン構造は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,928,237号及び米国特許第8,461,172号に記載及び開示されている通りである。
【0009】
いくつかの場合において、前記GRM(例えば、SGRM)は、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン構造を含む非ステロイド性化合物であり、ここで前記ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン構造は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,859,774号に記載及び開示されている通りである。
【0010】
いくつかの場合において、前記GRM(例えば、SGRM)は、オクタヒドロ縮合アザデカリン構造を含む非ステロイド性化合物であり、ここで前記オクタヒドロ縮合アザデカリン構造は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,047,082号に記載及び開示されている通りである。
【0011】
いくつかの場合において、前記GRM(例えば、SGRM、例えば、非ステロイド性SGRM)は、経口投与される。
【0012】
本方法は、改善された副腎皮質がん腫(ACC)処置法を提供する。本明細書で開示される方法は、ACC患者に対して治療効果を奏すると考えられ、そのような治療効果としては、例えば、患者における、ACC腫瘍量の減少、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤増加、並びにACC腫瘍内への好中球の浸潤減少、並びにその他の治療効果が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、GC+ACC症例での転写経路における差異を示している(「GC+」はGC過剰を示すACC患者を表す)。発現低下はGC+ACC症例において減少している経路を指し、発現上昇はGC+ACCにおいて増加している経路を指す。
【0014】
【
図2】
図2は、ACC腫瘍における、特定の免疫細胞種の存在量を示している。GC+症例においては、リンパ球の存在量は少なく(左)、間葉系幹細胞及び好中球の存在量が多かった(右)。
【0015】
【
図3A】ホルモン状態によるACC腫瘍の分類。行なわれた4つの比較の中で、GC過剰の有無(GC+/-)は、ACCにおける有意差のある遺伝子の最大数と関連していた(ここで「GC-」はGC過剰を示さないACC患者を表す)。
【0016】
【
図3B】GC過剰の転写への効果。858個の遺伝子の発現が、GC過剰により有意に影響を受けていることが分かった。GC+症例で発現量が高くなった遺伝子(GC-と比較して、P≦.05、且つ2倍超の発現量変化)は右側に示されている。GC+症例で発現量が少なくなった遺伝子は左側に示されている。
【0017】
【
図4】プロモーターメチル化に対するGCの作用。GC+腫瘍では、低メチル化状態の遺伝子(P≦0.05、Δβ<-0.2)の方が、高メチル化状態の遺伝子(P≦0.05、Δβ>0.2)よりも有意に多かった。β値は、ある遺伝子におけるメチル化の割合を表す。
【0018】
【
図5】2つのKEGG経路に関する正規化された遺伝子発現の教師なしクラスタリング。示されている経路には、T細胞受容体シグナル伝達経路と、ナチュラルキラー細胞媒介性細胞毒性経路とが含まれる。上2つの列は各腫瘍のGC及び一般的ホルモンのステータス(黒:GC+/H+、白:GC-/H-)を示しており、青/赤の色合い(グレースケールで示されている)は各腫瘍の正規化された遺伝子発現を示しており、青の暗みが増すほど低発現であることに相当する。遺伝子発現についてクラスタリングを行った場合、GC+症例は図の右側に現れ、多くの遺伝子が低発現を示す。(「H+」はホルモンが存在することを表し、「H-」はホルモンが存在しないことを表す)
【0019】
【
図6】
図5に示された2つのKEGG経路に関する正規化された遺伝子発現の教師ありクラスタリング。GC+症例(右側に密集)では、低遺伝子発現がこれらの経路で優勢である(暗い青)。
【0020】
【
図7】GC+ACCにおける腫瘍遺伝子変異量の上昇。GC+症例では、GC-に比べてより多くのミスセンス変異とナンセンス変異が観察された。
【0021】
【
図8】様々な腫瘍型及びACCサブセットのGR活性スコア。ACCは、他の腫瘍と比較して、高いGR駆動型遺伝子活性を示し、ホルモンステータスは無関係であった(挿入図を参照)。
【0022】
【
図9】ランダムフォレストを用いたGC+ACC症例とGC-ACC症例とを区別する遺伝子シグネチャーの導出。NLRP1とZNF683(ハイライトで示す)を、重要なシグネチャー成分として特定した。閾値0.0028を上回るシグネチャー遺伝子のみが示されている(ここで、「a.u.」は、各遺伝子の重要度の人工的な単位(artificial unit)を表す)。
【0023】
【
図10A】TCGA腫瘍へのACC遺伝子シグネチャーの適用。ACC腫瘍から得られたデータは共に左端のボックスで示されていることに留意されたい(ラベル「ACC」の上にバーによって示されている)。GC過剰を示さないACC患者からのデータ点(GC-)と、GC過剰を示す患者からのデータ点(GC+)が、対応するボックスの上部に標識された矢印によって別々に示されている。ぶどう膜黒色腫(UVM)と皮膚黒色腫(SKCM)が、GC+ACCに似た腫瘍の頻度が最も高いと予測されている。
【0024】
【
図10B】GC+ACCに類似した腫瘍症例の頻度予測。ぶどう膜黒色腫(UVM)と皮膚黒色腫(SKCM)が、GC+ACCに似た腫瘍の頻度が最も高いと予測されている。
【0025】
【
図11A】インビトロにおける、単離されたヒトNK細胞に対するIL-2、コルチゾール、及び/又はレラコリラントによる刺激の効果。レラコリラントの添加は、IL-2に応答したナチュラルキラー(NK)細胞の活性化を有意に向上させた。
【0026】
【
図11B】インビトロにおける、単離されたヒトNK細胞に対するIL-2、コルチゾール、及び/又はレラコリラントによる刺激の効果。レラコリラントの添加は、IL-2に応答したNK細胞の増殖を有意に向上させた。
【0027】
【
図12】
図12A.単離されたヒトNK細胞のサイトカイン分泌及び遺伝子発現に対するIL-2、コルチゾール、及び/又はレラコリラントによる刺激の効果。レラコリラントの添加は、コルチゾール単独で処理されたNK細胞と比較して、インターフェロンγ(IFNγ)の分泌を向上させた。
図12B.単離されたヒトNK細胞のサイトカイン分泌及び遺伝子発現に対するIL-2、コルチゾール、及び/又はレラコリラントによる刺激の効果。レラコリラントの添加は、コルチゾール単独で処理されたNK細胞と比較して、腫瘍壊死因子(TNFα)の分泌を向上させた。
図12C.単離されたヒトNK細胞のサイトカイン分泌及び遺伝子発現に対するIL-2、コルチゾール、及び/又はレラコリラントによる刺激の効果。レラコリラントの添加は、コルチゾール単独で処理されたNK細胞と比較して、グランザイムAの分泌を向上させた。
【0028】
【
図12D】
図12D.単離されたヒトNK細胞の遺伝子発現に対するIL-2、コルチゾール、及び/又はレラコリラントによる刺激の効果。LAG3及びIL2RA(インターロイキン2(IL2)受容体をコード)を含む他の重要なNK活性制御因子の他に、IFNG(IFNγをコード)の転写も、レラコリラントによって向上している。
【0029】
【
図13A】
図13A.インビトロにおいて、グルココルチコイドはヒトNK細胞による腫瘍細胞死滅を抑制する。説明文に記載された処理条件下での、種々のエフェクター細胞:腫瘍細胞比におけるK562細胞死滅。これはレラコリラントによって相殺されている。
【0030】
【
図13B】
図13B.インビトロにおいて、グルココルチコイドはヒトNK細胞による腫瘍細胞死滅を抑制する。5:1のエフェクター細胞:腫瘍細胞比で、コルチゾール存在下での腫瘍細胞死滅における顕著な減少が、レラコリラントによって相殺されている。
【発明を実施するための形態】
【0031】
A.導入
出願人は、副腎皮質がん腫(ACC)腫瘍遺伝子の転写を分析した。データをスクリーニングして、グルココルチコイド(GC)過剰 (例えば、過剰コルチゾール) を有する ACC患者及びそうでないACC患者における該遺伝子転写を同定した。出願人は、コルチゾール過剰が副腎皮質がん腫(ACC)における858個の遺伝子の発現を変化させることを見出した。具体的には、ナチュラルキラー細胞(NK)媒介性細胞毒性、T
H17細胞分化、T細胞受容体シグナル伝達、T
H1/2分化、および抗原プロセシングと提示に関与する遺伝子が、コルチゾール過剰のACC患者においてはダウンレギュレートされていた(GC+;
図1)。
図1および本明細書の他の箇所にはさらなる相違点も示されている。
【0032】
出願人はまた、特定の免疫細胞の存在が、コルチゾール過剰の有るACC腫瘍と無いACC腫瘍において異なることを見出した。ナイーブおよびメモリーCD4+細胞、CD8+細胞、CD8+セントラルメモリー細胞、およびナチュラルキラーT細胞(NKT)は、GC+症例では少なかった(
図2を参照)。対照的に、腫瘍関連好中球(TAN)は、GC+のACC患者で多かった。
【0033】
抗体チェックポイント阻害剤に対する患者の臨床反応は、免疫系に依存する。具体的には、T細胞の機能と抗原提示は、抗体チェックポイント阻害剤の臨床効果にとって重要である。さらに、免疫細胞の腫瘍への浸潤は、抗体チェックポイント阻害剤の臨床効果と関連する。T細胞数が少ない、または好中球浸潤が多い腫瘍は、抗体チェックポイント阻害剤に対する反応が悪い傾向がある。
【0034】
出願人は、SGRMの投与に伴って抗体チェックポイント阻害剤を投与すること(SGRMの投与は、コルチゾール過剰のACC患者におけるコルチゾール過剰の影響を低減または逆転させるのに有効である)が、抗体チェックポイント阻害剤投与に対するACC患者の反応を改善し、以ってコルチゾール過剰のACC患者の治療を改善することを開示する。実施形態では、抗体チェックポイント阻害剤と組み合わせたSGRMの投与は、コルチゾール過剰のACC患者におけるコルチゾール過剰の影響を低減または逆転させるのに有効であり、患者のACC腫瘍量を低減するのに有効であり得る。
【0035】
出願人はさらに、本明細書において、SGRMの投与に伴って抗体チェックポイント阻害剤を投与することを開示し、ここでSGRMの投与は、患者(その患者のACC腫瘍を含む)におけるT細胞およびNK細胞シグナル伝達経路を回復するのに有効である。T細胞およびNK細胞シグナル伝達経路のそのような回復は、抗体チェックポイント阻害剤の投与に対する患者の応答を改善し、したがってコルチゾール過剰のACC患者の治療を改善しうる。実施形態では、患者(その患者のACC腫瘍を含む)のT細胞およびNK細胞シグナル伝達経路を回復するのに有効なSGRMの投与は、患者のACC腫瘍量を低減するのに有効であり得る。
【0036】
出願人はさらに、SGRMの投与に伴って抗体チェックポイント阻害剤を投与することを本明細書において開示し、ここでSGRMの投与は、患者のACC腫瘍へのT細胞およびNK細胞の浸潤を増加させるのに有効である。このようなT細胞および NK細胞浸潤の増加は、抗体チェックポイント阻害剤の投与に対する患者の反応を改善し、コルチゾール過剰のACC患者の治療を改善しうる。実施形態では、患者のACC腫瘍へのT細胞およびNK細胞の浸潤を増加させるのに有効なSGRMの投与は、患者のACC腫瘍量を減少させるのに有効であり得る。
【0037】
出願人はさらに、SGRMの投与に伴って抗体チェックポイント阻害剤を投与することを本明細書において開示し、ここでSGRMの投与は、患者のACC腫瘍への好中球浸潤を減少させるのに有効である。このような好中球浸潤の減少は、抗体チェックポイント阻害剤の投与に対する患者の応答を改善し、したがってコルチゾール過剰のACC患者の治療を改善しうる。実施形態では、患者のACC腫瘍への好中球浸潤を減少させるのに効果的なSGRMの投与は、患者のACC腫瘍量を減少させるのに効果的であり得る。
【0038】
B.定義
「約」という用語は、所定値に関して用いられている場合、当該所定値の±10%を包含する範囲を示す。
【0039】
がんに関する情報は、がんゲノムアトラス(The Cancer Genome Atlas:TGCA)などに存在する。TGCAには、国立がん研究所のウェブサイト(www.cancer.gov)を介して、「about-nci/organization/ccg/research/structural-genomics/tcga」ページでアクセスできる。各種がんを指して、以下の略語が本明細書で使用される:
【0040】
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「腫瘍」及び用語「がん」は、互換可能に使用され、両方とも、過剰な細胞分裂から生じる異常な組織成長をいう。周囲の組織に侵入及び/又は転移し得る腫瘍は「悪性」と称される。転移しない腫瘍は「良性」と称される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「副腎皮質がん腫」という用語と頭字語「ACC」は、副腎腺がん腫(adrenocarcinoma)を指して、同義的に用いられる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「ナチュラルキラー細胞」という用語と、「NK細胞」、「NKT細胞」などの略語は、これらの複数形も含め、当該技術分野で公知の通りに、免疫系の細胞障害性リンパ球を指して用いられる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「T細胞」という用語は、当該技術分野において公知の通りに、免疫応答で重要な役割を果たす胸腺由来のリンパ球を指して用いられる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「好中球」という用語は、当該技術分野において公知の通りに、哺乳類において、最も豊富な白血球種を指して用いられ、また、好中球は最も豊富な顆粒球種である。好中球(neutrophil)は「好中球(neutrocyte)」と言われる場合もある。
【0046】
本明細書で使用される場合、「浸潤」という用語は、ある組織への、別の組織に由来する細胞(T細胞、NK細胞、好中球など)による侵入及び占拠を指して用いられる。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「患者」は、疾患又は状態のための医療を受けている、受ける予定である、又は受けていたヒトをいう。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「投与する」、「投与すること」、「投与される」又は「投与」は、化合物又は組成物(例えば、本明細書において記載されているもの)を被験体又は患者に付与することをいう。例えば、化合物又は組成物は、患者に経口投与され得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「投与する」、「投与すること」、「投与される」又は「投与」は、化合物又は組成物(例えば、本明細書において記載されているもの)を被験体又は患者に付与することをいう。投与は、経口投与によるものであってよい(すなわち、被験体は、口腔を介して、丸薬、カプセル、液剤として、又は口腔を介しての投与に好適な他の形態で前記化合物又は組成物を受容する。経口投与は、頬側であってよい(前記化合物又は組成物は、口腔内で、例えば、舌下で保持されて、そこで吸収される)。投与は、注射によるもの、すなわち、前記化合物又は組成物を、針、マイクロ針、圧力注射器、或いは、皮膚を穿刺する又は前記化合物若しくは組成物に被験体の皮膚を強制的に通過させる手段を介して送達することによるものであってよい。注射は、静脈内(すなわち、静脈中に);動脈内(すなわち、動脈中に);腹腔内(すなわち、腹膜中に);筋肉内(すなわち、筋肉中に);又は他の注射経路でありうる。投与経路はまた、直腸、膣内、経皮、肺を介して(例えば、吸入による)、皮下(例えば、前記化合物又は組成物を含有する埋没物から皮膚内への吸収による)、又は他の経路によるものを含みうる。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「副腎皮質刺激ホルモン」(ACTH)は、副腎皮質を刺激して、細胞がグルコースを合成すること、タンパク質を異化すること、遊離脂肪酸を動員すること及びアレルギー反応における炎症を阻害することを助けるグルココルチコイドホルモンを分泌する脳下垂体前葉によって産生及び分泌されるペプチドホルモンをいう。1つのかかるグルココルチコイドホルモンは、コルチゾールであり、炭水化物、脂肪、及びタンパク質代謝を調節する。健康な哺乳動物において、ACTH分泌は、厳重に調節される。ACTH分泌は、視床下部によって放出されるコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)によって正に調節される。ACTH分泌は、コルチゾール及び他のグルココルチコイドによって負に調節される。
【0051】
ACTH、コルチゾール、又は他の分析対象の文脈において、用語「レベルを測定する」は、例えば、被験体から得られたサンプル中のコルチゾール、ACTH又は他の分析対象の量、レベル、又は濃度を求める、検出する、又は定量することをいう。前記サンプルは、例えば、患者から得られた、血液サンプル、唾液サンプル、尿サンプル、又は他のサンプルでありうる。レベルは、サンプルの画分から測定されうる。例えば、レベル(例えば、ACTH又はコルチゾール)は、血液サンプルの血漿画分において測定されてよく;血液サンプルの血清画分において測定されてよく;実施形態において、全血において測定されてよく; 唾液において測定されてよく;尿において測定されてよく;又はその他の体液において測定されてもよい。
【0052】
用語「コルチゾール」は、副腎の束状帯によって産生される天然のグルココルチコイドホルモン(ヒドロコルチゾンとしても知られる)をいう。コルチゾールは、以下の構造を有する。
【0053】
【0054】
用語「全コルチゾール」は、コルチゾール結合性グロブリン(CBG又はトランスコルチン)に結合しているコルチゾール、及び遊離コルチゾール(CBGに結合していないコルチゾール)をいう。用語「遊離コルチゾール」は、コルチゾール結合性グロブリン(CBG又はトランスコルチン)に結合していないコルチゾールをいう。本明細書で使用される場合、用語「コルチゾール」は、全コルチゾール、遊離コルチゾール、及び/又はCBGの結合したコルチゾールをいう。
【0055】
コルチゾール値は、血液中(例えば、血清中又は血漿中)、尿中、唾液中、及び他の体液中で測定されうる。尿中遊離コルチゾール(UFC、24時間の間に排出された尿中コルチゾールの尺度)は、一般的なコルチゾール値測定法であり、丸1日分の試料を要することで、1日の間のコルチゾール変動をカバーする。血漿コルチゾール(血液試料が採取された時点のコルチゾール値の尺度)は、デキサメタゾン抑制試験(グルココルチコイド値の急増に対する患者の応答を検査する)に用いられる場合が多い。また、コルチゾール値は当該技術分野において公知の方法に従って血清試料中で測定することもできる。唾液中コルチゾールが測定される場合もある。コルチゾール値の数値は測定法間で異なり、すなわち、血中コルチゾール値(例えば、血清レベル又は血漿レベル)は、血液試料が採取された時点のコルチゾールをサンプリングしており、唾液中コルチゾール値(唾液試料が採取された時点のコルチゾールをサンプリング)とは数値的に異なり、尿中遊離コルチゾール値(24時間の間のコルチゾール値を表す)とは数値的に異なるものである。
【0056】
コルチゾール値は、種々の方法を用いて試料中で(例えば、血清、血漿、唾液、尿、又は任意の他の生体液のコルチゾール値)測定することができ、その方法としては、競合イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ(MA)、免疫蛍光定量酵素アッセイ、及びELISAなどのイムノアッセイ;競合タンパク結合アッセイ;液体クロマトグラフィー(例えば、HPLC);並びに、高速液体クロマトグラフィー/三連四重極質量分析(LC-MS/MS)などの質量分析が挙げられるが、これらに限定はされない。好ましい実施形態では、コルチゾール値はLC-MS/MSを用いて測定され、例えばクエスト・ダイアグノスティクス社(Quest Diagnostics)(シコーカス、ニュージャージー州、07094)によって行われる。
【0057】
「正常値」という用語は、複数の健常対象から得られた試料の測定により求められた分析物の平均値をいう。比較のためには、同じ種類の測定(例えば、血漿又は血清;唾液;又は尿)を比較対象にする必要がある。
【0058】
「正常コルチゾール値」という用語は、複数の健常対象から得られた試料(例えば、血清試料)の測定により求められるコルチゾールの平均値をいう。例えば、Putignanoら(European Journal of Endocrinology、145巻:pp165~171(2001年))の報告によると、健常女性における正常血漿コルチゾールは、午前8時(朝)では約420ナノモル/リットル(nmol/l)であり;午後5時(夕方)では約250nmol/lであり;午後0時(12 PM)(深夜)では約90nmol/lであった。これらの女性から得られた唾液中コルチゾール測定値は、午前8時(朝)では約14nmol/l;午後5時(夕方)では約7nmol/l;午後0時(PM 12)(深夜)では約5nmol/lであった。これらの健常女性において測定された尿中遊離コルチゾール値は、24時間当たり約130nmol(nmol/24時間)であった。デキサメタゾン抑制試験(DST)後の血漿コルチゾール値が約24nmol/lであり、DST後の唾液中コルチゾール値が約4nmol/lであることによって示されるように、コルチゾール値はDSTによって抑制される。
【0059】
出願人は、ACC腫瘍を有する患者のコルチゾール値を測定することで、患者がコルチゾール過剰を有しているかどうかを判定することによる、SGRMと抗体チェックポイント阻害剤との併用処置が有効であろう患者の同定が可能となることを見出した。
【0060】
本明細書で使用される場合、「コルチゾール過剰」という用語は、測定法に関わらず、健常対象において測定されたコルチゾール値(ここで、健常対象のコルチゾール値は、患者のコルチゾールが測定された方法と同じ方法によって測定される)の約1.5倍を超える、又は約2倍を超える、コルチゾール値をいう。例えば、Putignanoらの朝の血漿コルチゾール値を用いれば、患者が約630nmol/l以上、又は約840nmol/l以上の朝の血漿コルチゾール値を有する場合には、コルチゾール過剰と判定されよう。Putignanoらの朝の唾液中コルチゾール値を用いれば、患者が約21nmol/l以上、又は約28nmol/l以上の朝の唾液中コルチゾール値を有する場合には、コルチゾール過剰と判定されよう。Putignanoらの24時間尿中遊離コルチゾール値を用いれば、患者が約195nmol/24時間以上、又は約260nmol/24時間以上の24時間尿中コルチゾール値を有する場合には、コルチゾール過剰と判定されよう。
【0061】
ある実施形態において、コルチゾール過剰を有する患者を特定するために、複合基準が用いられる場合がある。例えば、患者がコルチゾール過剰を呈しているかどうかを判定するために、2つ以上、又は全て、又は下記の基準が用いられる場合がある:
1. 尿中遊離コルチゾール(UFC)が正常値上限(ULN)を超える
2. 2晩に亘って深夜唾液中コルチゾール(LNSC)がULNを超える
3. デキサメタゾン抑制試験(DST)でコルチゾール値が1.8μg/dLを超える
4. 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が10ピコグラム/ミリリットル(pg/mL)未満である
【0062】
「標準対照」とは、本明細書で使用される場合、試験試料中に存在する分析物(例えば、ACTH又はコルチゾール)の相対量の指標を与える比較基準とするための、本発明の用途に適した所定量の分析物(ACTH又はコルチゾールなど)を含む試料をいう。標準対照としてはたらく試料は、後に発症する低カリウム血症又はいかなる関連の障害若しくは合併症も有さない、あるいは、そのリスクが高くない、且つ、同じGRM処置を受けた、平均的な個体から、規定の時刻(例えば、午前8時)に採取された、規定の試料種(例えば、血漿、血清、唾液、又は尿)を代表する、ACTH又はコルチゾールなどの分析物の平均含有量を提供する。本明細書で使用される場合、「血液試料」は、従来の用途に応じて当該技術分野で公知の方法によって分析物レベルを測定するために、適宜、全血試料、血清試料、血漿試料、又は血液細胞試料とすることができる。同様に、特定の分析物の「血中レベル」は、全血中、血清中、血漿中、又は血液細胞内の、分析物のレベルでありうる。例えば、カリウム、ACTH、又はコルチゾールの血中レベルは、試験対象の対象から採取された血清試料又は血漿試料中のそれぞれの分析物のレベルでありうる。
【0063】
「平均」という用語は、GRM処置を受ける前の、低カリウム血症も、いかなる関連の疾患や障害も有しておらず、且つそれを発症するリスクも高くない、個体(特に、ヒト対象)を記述する文脈で用いられる場合、GRM処置を受けていない個体から採取された試料中に存在する分析物(ACTH又はコルチゾールなど)のレベル又は含量などの、低カリウム血症とも、いかなる関連の疾患とも状態とも診断されておらず、且つそれにかかりにくい無作為に抽出された個体対象群に存在する、当該分析物の平均含量又は平均レベルを表し、そのためGRM処置前の特定の分析物の「平均正常値」又は「標準対照値」として機能しうる、ある特定の特徴を指す。この抽出群は、個体間で評価された目的の分析物(例えば、ACTH又はコルチゾール)の平均値(すなわち、レベル又は含量)が、GRM処置を受けた際の、障害又は関連疾患のリスクが知られていない非低カリウム血症個体からなる母集団に存在する当該分析物の対応するレベル又は含量を、かなり正確に反映するように、十分な数の個体を含む(例えば、200以上又は500以上を少なくとも含む)べきである。場合によっては、抽出個体群は、通常、同じ性別を有し、同様の年齢であり(例えば、互いに5歳差又は10歳差以内)、類似の民族的背景及び医学的背景を有する。分析物に応じて、およそ同じ時刻(例えば、午前6時、午前8時、午後0時(12 PM)、午後4時、又は午後6時)にこれらの個体から採取された試料から、平均値又は標準対照値の確認を行う必要がある場合がある。特定の分析物の平均又は標準対照値は、分析物を定量測定するのに利用された具体的なアッセイ又はアッセイ形式(具体的な試薬を含む)によっても変動する場合があるため、実験法又はアッセイ製作者の情報によって利用可能とされうる。
【0064】
「グルココルチコステロイド」(「GC」)又は「グルココルチコイド」という用語は、グルココルチコイド受容体に結合するステロイドホルモンを指す。グルココルチコステロイド類は、典型的には、21個の炭素原子を有し、A環にα,β-不飽和ケトンを有し、α-ケトール基がD環に結合していることを特徴とする。グルココルチコステロイド類は、C-11、C-17、及びC-19における酸素化又は水酸化の程度が異なる。Rawn、「Biosynthesis and Transport of Membrane Lipids and Formation of Cholesterol Derivatives」、Biochemistry、Daisyら(編)、1989年、p567を参照されたい。コルチゾールはグルココルチコステロイドである。
【0065】
I型グルココルチコイド受容体(GR I)としても知られている鉱質コルチコイド受容体(MR)は、ヒトにおいてはアルドステロンによって活性化される。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「グルココルチコイド受容体」(「GR」)は、コルチゾール及び/又はコルチゾール類縁体、例えば、デキサメタゾンに特異的に結合する細胞内受容体のファミリーである、II型GRをいう(例えば、Turner & Muller,J.Mol.Endocrinol.October 1,2005 35 283-292を参照されたい)。前記グルココルチコイド受容体は、コルチゾール受容体とも称される。前記用語は、GRのアイソフォーム、組み換え型GR及び変異型GRも含む。
【0067】
用語「グルココルチコイド受容体調節剤」(GRM)は、GRへのGC結合を調節する、又はアゴニストへのGRの結合に関連する任意の生物学的応答を調節する任意の化合物をいう。例えば、デキサメタゾンなどの、アゴニストとして作用するGRMは、HepG2細胞(ヒト肝臓の肝細胞がん細胞株;ECACC、UK)におけるチロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)の活性を増加させる。ミフェプリストンなどの、アンタゴニストとして作用するGRMは、HepG2細胞におけるチロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)の活性を減少させる。TAT活性は、A.Ali et al.,J.Med.Chem.,2004,47,2441-2452による文献に概説されているように測定され得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「選択的グルココルチコイド受容体調節剤」(SGRM)は、GRへのGC結合を調節する、又はアゴニストへのGRの結合に関連する任意の生物学的応答を調節する、任意の組成物又は化合物をいう。「選択的であること(selective)」によって、前記薬物は、プロゲステロン受容体(PR)、鉱質コルチコイド受容体(MR)又はアンドロゲン受容体(AR)などの他の核受容体よりもむしろGRに優先的に結合する。かかる選択的グルココルチコイド受容体調節剤は、MR、AR、若しくはPR、MR及びPRの両方、MR及びARの両方、AR及びPRの両方、又はMR、AR、及びPRへのその親和性よりも10倍大きい(Kd値の1/10)親和性で、GRに結合することが好ましい。より好ましい実施形態において、前記選択的グルココルチコイド受容体調節剤は、MR、AR、若しくはPR;MR及びPRの両方;MR及びARの両方;AR及びPRの両方;又はMR、AR、及びPRへのその親和性よりも100倍大きい(Kd値の1/100)親和性で、GRに結合する。別の実施形態において、前記選択的グルココルチコイド受容体調節剤は、MR、AR、若しくはPR;MR及びPRの両方;MR及びARの両方;AR及びPRの両方;又はMR、AR、及びPRへのその親和性よりも1000倍大きい(Kd値の1/1000)親和性で、GRに結合する。レラコリラントは、SGRMである。
【0069】
「グルココルチコイド受容体アンタゴニスト」(GRA)は、GRへのGC結合を阻害する、又はアゴニストへのGRの結合に関連する任意の生物学的応答を阻害する任意の化合物をいう。したがって、GRアンタゴニストは、化合物がデキサメタゾンの効果を阻害する能力を測定することによって同定され得る。TAT活性は、A.Ali et al.,J.Med.Chem.,2004,47,2441-2452による文献に概説されているように測定され得る。アンタゴニストは、10マイクロモル未満のIC50(最大半量の阻害濃度)を有する化合物である。その全内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,859,774号の実施例1を参照されたい。
【0070】
本明細書で使用される場合、用語「選択的グルココルチコイド受容体アンタゴニスト」(SGRA)は、GRへのGC結合を阻害する、又はアゴニストへのGRの結合に関連する任意の生物学的応答を調節する任意の組成物又は化合物をいう(阻害は、前記化合物の非存在下で前記応答に関して決定される)。「選択的であること(selective)」によって、前記薬物は、プロゲステロン受容体(PR)、鉱質コルチコイド受容体(MR)又はアンドロゲン受容体(AR)などの他の核受容体よりもむしろGRに優先的に結合する。前記選択的グルココルチコイド受容体アンタゴニストは、MR、AR、若しくはPR;MR及びPRの両方:MR及びARの両方;AR及びPRの両方;又はMR、AR、及びPRへのその親和性よりも10倍大きい(Kd値の1/10)親和性で、GRに結合することが好ましい。より好ましい実施形態において、前記選択的グルココルチコイド受容体アンタゴニストは、MR、AR、若しくはPR;MR及びPRの両方;MR及びARの両方;AR及びPRの両方;又はMR、AR、及びPRへのその親和性よりも100倍大きい(Kd値の1/100)親和性で、GRに結合する。別の実施形態において、前記選択的グルココルチコイド受容体アンタゴニストは、MR、AR、若しくはPR;MR及びPRの両方;MR及びARの両方;AR及びPRの両方;又はMR、AR、及びPRへのその親和性よりも1000倍大きい(Kd値の1/1000)親和性で、GRに結合する。レラコリラント(CORT125134)は、SGRAである。
【0071】
本明細書で使用される場合、「グルココルチコイド受容体モジュレーターによる処置の適応がない」という表現は、脂肪肝を除く、グルココルチコイド受容体アンタゴニストで効果的に処置可能であると医学界で認識されているいかなる状態にもかかっていない患者を指す。当該技術分野において公知であり、且つ、グルココルチコイド受容体アンタゴニストで効果的に処置可能と医学界で認められている状態としては、インターフェロンα療法に伴う精神病、精神病性大うつ病、認知症、ストレス障害、自己免疫疾患、神経損傷、及びクッシング症候群が挙げられる。
【0072】
「免疫応答」という用語は、侵入病原体、病原体に感染した細胞若しくは組織、がん性細胞、又は、自己免疫若しくは病的炎症の場合は、正常なヒト細胞若しくはヒト組織に対しての、選択的なダメージ、選択的な破壊、又は人体からの排除をもたらす、リンパ球、抗原提示細胞、食細胞、顆粒球、及び上記細胞又は肝臓によって産生される可溶性高分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)などの作用をいう。
【0073】
本明細書で使用される場合、「チェックポイント阻害剤感受性がん」という用語は、チェックポイント阻害剤に応答性のがんを指す。そのような腫瘍を有する患者に1種又は複数種のチェックポイント阻害剤を投与すると、患者における、ACC腫瘍量の減少、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤増加、並びにACC腫瘍内への好中球の浸潤減少、又は、がん改善に関連した他の所望の有益な臨床アウトカムを引き起こしうる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「有効量」又は「治療量」という用語は、処置中の疾患の少なくとも1つの症状を処置、除去、又は軽減するのに有効な薬物の量を指す。場合によっては、「治療有効量」又は「有効量」は、検出可能な治療効果又は阻害効果を示すのに有用な、機能的薬剤又は医薬組成物の量を指していることがある。この効果は、当該技術分野において公知の任意のアッセイ法で検出できる。有効量は、抗腫瘍反応を引き起こすのに有効な量とすることができる。有効量は、レシピエント対象において、治療上有益な反応(例えば、抗腫瘍免疫反応、体液性免疫反応、及び/又は細胞性免疫反応)を引き起こし、例えば標的細胞を成長阻害又は死滅させるのに有効な量とすることができる。本開示の目的において、SGRM又は抗体チェックポイント阻害剤(及び、所望により化学療法剤)の有効量は、患者における、ACC腫瘍量の減少、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤増加、並びにACC腫瘍内への好中球の浸潤減少、又は、がん改善に関連した他の所望の有益な臨床アウトカム、を引き起こすであろう量である。
【0075】
本明細書で使用される場合、「増強するのに有効な量」という表現は、処置対象である疾患の少なくとも1つの症状を処置、除去、又は軽減する際、別の治療薬の活性を強めるのに有効な薬物の量をいう。例えば、抗体チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与されるSGRMの有効量は、当該抗体チェックポイント阻害剤に対する治療反応を向上させるSGRMの量である。別の薬剤の活性を増強するために用いられる薬剤は、それ自体は、疾患症状の処置、除去、又は軽減に効果があるものでも効果がないものでもよい。場合によっては、この増強剤は効果を持たず、その相乗効果は、治療剤単独による処置と比較した場合の、2剤の併用による処置から得られる症状緩和度の増加によって示すことができる。場合によっては、増強剤はそれ自体が症状を処置する際に効果的なものであり、その増強効果は、増強剤と治療剤との間の相乗効果によって示すことができる。本開示の目的において、SGRMは、がんを処置する際に、チェックポイント阻害剤の活性を増強する増強剤として働くものであり、単独投与された場合に当該がんの処置において有効であるかどうかは無関係である。いくつかの実施形態では、10%~1000%の増強効果を達成できる。いくつかの実施形態では、SGRMは、腫瘍をチェックポイント阻害剤に対して感受性にさせる量、すなわち、患者における、ACC腫瘍量の減少、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤増加、並びにACC腫瘍内への好中球の浸潤減少、又は、当該腫瘍を当該SGRMの非存在下で抗体チェックポイント阻害剤で処置した場合には現れない他の関連の臨床的利益を示す量で、投与される。
【0076】
本明細書で使用される場合、「併用療法」という用語は、疾患を処置するために対象に少なくとも2種類の医薬品を投与することをいう。これら2種類の薬剤は、同時に投与されてもよいし、あるいは、処置期間の全体又は一部の間に任意の順番で順次に投与されてもよい。これら2種類の薬剤は、同じ投与計画に従って投与されてもよいし、あるいは、異なる投与計画に従って投与されてもよい。場合によっては、一方の薬剤は予定された計画に従って投与され、他方の薬剤は間欠的に投与される。場合によっては、両方の薬剤が間欠的に投与される。いくつかの実施形態では、一方の医薬品、例えばSGRM、は毎日投与され、他方の医薬品、例えば抗体チェックポイント阻害剤、は2日毎、3日毎、若しくは4日毎に、又は毎週若しくは隔週で投与される。
【0077】
本明細書で使用される場合、「同時投与する」という用語は、2つの組成物を、同時に、又は、互いに短時間以内に、例えば、互いに約0.5時間以内、約1時間以内、約2時間以内、約4時間以内、約6時間以内、約8時間以内、約10時間以内、約12時間以内、約16時間以内、約20時間以内、若しくは約24時間以内に、投与することをいう。
【0078】
本明細書で使用される場合、「チェックポイントタンパク質」という用語は、ある特定の種類の細胞、例えばT細胞及びある特定の腫瘍細胞の表面上に存在し、チェックポイントシグナル伝達経路を誘導して免疫応答の抑制をもたらすことができる、タンパク質を指す。一般に知られているチェックポイントタンパク質としては、CTLA4、PD-1、PD-L1、LAG3、B7-H3、B7-H4、TIM3、CD160、CD244、VISTA、TIGIT、及びBTLA(Pardoll、2012年、Nature Reviews Cancer、12巻:pp252~264;Baksh、2015年、Semin Oncol.、2015年6月;42巻(3号):pp363~77)が挙げられる。これらの中でも、CTLA4、PD-1、及びPD-L1は最もよく研究されており、これらのタンパク質を標的とした処置は、他のチェックポイントタンパク質を標的とした処置よりも、臨床段階が進んでいる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「PD-1」という用語は、免疫グロブリンスーパーファミリーの細胞表面膜タンパク質である、プログラム細胞死タンパク質1(別名CD279)を指す。PD-1は、B細胞、T細胞、及びNK細胞によって発現される。PD-1の主な役割は、感染に反応した炎症中に末梢組織におけるT細胞の活性を制限すること、及び自己免疫を制限すること、である。PD-1の発現は活性化型のT細胞上で誘導され、PD-1の内因性リガンドのうちの1つに対するPD-1の結合は、刺激性キナーゼを阻害することによりT細胞活性化を阻害するように働く。また、PD-1はTCR「ストップシグナル」を阻害する働きもする。PD-1はTreg細胞(制御性T細胞)上で高発現され、リガンドの存在下でTreg細胞の増殖を増加させる場合がある(Pardoll、2012年、Nature Reviews Cancer、12巻:pp252~264)。
【0080】
本明細書で使用される場合、「PD-L1」という用語は、PD-1のリガンドである、プログラム細胞死1リガンド1(別名CD274及びB7-H1)を指す。PD-L1は、活性型のT細胞、B細胞、骨髄性細胞、マクロファージ、及び腫瘍細胞上に存在する。PD-1には、PD-L1及びPD-L2という2種類の内因性リガンドがあるが、抗腫瘍療法では抗PD-L1に焦点が当てられてきた。PD-1とPD-L1との複合体は、CD8+T細胞の増殖を阻害し、免疫応答を低減させる(Topalianら、2012年、N.Engl J.Med.、366巻:pp2443~54;Brahmerら、2012年、N.Engl J.Med.、366巻:pp2455~65)。
【0081】
本明細書で使用される場合、「CTLA4」という用語は、T細胞上だけに発現する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(別名CD152)を指す。CTLA4は、T細胞の活性化を阻害する働きをしており、ヘルパーT細胞の活性を抑制し、制御性T細胞の免疫抑制活性を増強することが報告されている。CTL4-Aの正確な作用機序は未だ研究中であるが、CTL4-Aは、抗原提示細胞上のCD80及びCD86への結合においてCD28と競合しそれよりも優ることによって、T細胞の活性化を阻害し、さらに、T細胞に阻害シグナルを活発に送達することが示唆されている(Pardoll、2012年、Nature Reviews Cancer、12巻:pp252~264)。
【0082】
本明細書で使用される場合、「チェックポイント阻害剤」という用語は、1又は複数のチェックポイントタンパク質によって誘導される免疫抑制経路をブロックする、抗体及び小分子を含む、任意の分子を指す。がんなどの障害を処置するためにチェックポイント阻害剤を利用する治療法は、免疫系チェックポイント阻害剤療法と称される場合があり、「ICI」という頭字語は免疫系チェックポイント阻害剤を指す。ある実施形態において、ICI療法は、抗体チェックポイント阻害剤を利用し、かかる療法を必要とする患者に抗体チェックポイント阻害剤を投与することを含み、上記療法はGRM、SGRM、GRA、又はSGRAを抗体チェックポイント阻害剤と組み合わせることを含む併用療法であり得る。ある実施形態において、ICI療法は、小分子チェックポイント阻害剤を利用し、かかる療法を必要とする患者に小分子チェックポイント阻害剤を投与することを含み、上記療法はGRM、SGRM、GRA、又はSGRAと小分子チェックポイント阻害剤との併用を含む併用療法であり得る。
【0083】
本明細書で使用される場合、「抗体チェックポイント阻害剤」という用語は、1又は複数のチェックポイントタンパク質によって誘導される免疫抑制経路をブロックする抗体を指す。がんなどの障害を処置するためにチェックポイント阻害剤を利用する治療法は、例えば、抗体チェックポイント阻害剤療法と称される場合がある。ある実施形態において、抗体チェックポイント阻害剤療法は、かかる療法を必要とする患者に抗体チェックポイント阻害剤を投与することを含み、上記療法はGRM、SGRM、GRA、又はSGRAと、抗体チェックポイント阻害剤との併用を含む併用療法であり得る。
【0084】
本明細書で使用される場合、「チェックポイントタンパク質に対して有効な抗体」という用語は、チェックポイントタンパク質に結合し、当該チェックポイントタンパク質の免疫応答抑制における機能をアンタゴナイズすることができる抗体を指す。例えば、PD-1に対する抗体は、PD-1に結合し、PD-1とPD-L1との間の相互作用のブロックなどを通じて、PD-1の免疫応答に対する阻害機能をブロックすることができる抗体を指す。場合によっては、2種類のチェックポイントタンパク質に対する抗体、すなわち、2種類のチェックポイントタンパク質に結合し、それらの機能を阻害する能力を有する抗体であることがある。「チェックポイントタンパク質に対して有効な抗体」は「抗体チェックポイント阻害剤」である。
【0085】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、完全長の抗体だけでなく、抗体の「抗原結合性部分」も包含する。「抗原結合性部分」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原(例えば、PD-1)に特異的に結合する能力を保持した1又は複数の抗体断片をいう。抗体の「抗原結合性部分」という用語に包含される結合性断片の例としては、(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン、及びCH1ドメインからなる一価断片である、Fab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により架橋された2つのFab断片を含んでなる二価断片である、F(ab’)2断片;(iii)VHドメイン及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一腕部のVLドメイン及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Wardら、(1989年)、Nature、341巻:pp544~546);並びに、(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、Fv断片の2つのドメインであるVLとVHとは、別々の遺伝子にコードされているが、組換え法を用いて、VL領域及びVH領域が対となって一価の分子を形成している単一タンパク質鎖となることを可能にする合成リンカーにより、連結できる(一本鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Birdら(1988年)Science、242巻:pp423~426;及びHustonら(1988年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85巻:pp5879~5883;及びOsbournら、1998年、Nature Biotechnology、16巻:p778を参照)。このような一本鎖抗体も、抗体の「抗原結合性部分」という用語に包含されることが意図される。完全IgG分子又は他のアイソタイプをコードする発現ベクターを作製するために、特定のscFvの任意のVH配列及びVL配列を、ヒト免疫グロブリン定常領域のcDNA配列又はゲノム配列に連結することができる。VH及びVIは、タンパク質化学技術又は組換えDNA技術のいずれかを用いたFab又はFvなどの免疫グロブリン断片の作製にも用いることができる。ダイアボディなどの、他の形態の一本鎖抗体も企図される。ダイアボディとは、二価の二重特異性抗体であって、VHドメイン及びVLドメインが1本鎖ポリペプチド上に発現されているが、使用しているリンカーが短過ぎて、同一鎖上の当該2ドメイン間の対合ができないために、各ドメインが別の鎖の各相補的ドメインと対合することとなり、2つの抗原結合部位が形成されている、抗体である(例えば、Holliger,P.ら(1993年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90巻:pp6444~6448;Poljak,R.J.ら(1994年)Structure、2巻:pp1121~1123を参照)。
【0086】
抗体は、ポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗体;異種抗体、同種抗体、若しくは同系抗体;又は、その改変型、例えばヒト型化抗体、キメラ抗体などである場合がある。本発明の抗体は、1又は複数のチェックポイントタンパク質に特異的又はかなり特異的に結合するものである。「モノクローナル抗体」という用語は、抗原の特定のエピトープと免疫反応することが可能な1種のみの抗原結合部位を含有する抗体分子集団を指し、それに対して、「ポリクローナル抗体」及び「ポリクローナル抗体組成物」という用語は、特定の抗原と相互作用可能な複数種の抗原結合部位を含有する抗体分子集団を指す。モノクローナル抗体組成物は通常、それが免疫反応する特定の抗原に対して単一の結合親和性を示す。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「組成物」は、特定の量での上記の化合物、これらの互変異性型、これらの誘導体、これらの類縁体、これらの立体異性体、これらの多形、これらの重水素化種、これらの医薬的に許容可能な塩、エステル、エーテル、代謝産物、異性体の混合物、これらの医薬的に許容可能な溶媒和物及び医薬的に許容可能な組成物などの特定の成分、並びに、前記特定の成分の特定の量での組み合わせから直接又は間接的に得られる任意の生成物を含む生成物を包含することが意図される。医薬組成物に関係するかかる用語は、活性成分(複数可)、及び、担体を構成する不活性成分(複数可)を含む生成物、並びに、直接又は間接的に、前記成分のいずれか2以上の組み合わせ、複合若しくは凝集を結果として生じさせる、或いは、前記成分の1又は複数の解離から、又は前記成分の1又は複数の他のタイプの反応若しくは相互作用から生じる任意の生成物を包含することが意図される。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物及びこれらの医薬的に許容可能な担体を混ぜ合わせることによって作製される任意の組成物を包含することが意図される。
【0088】
いくつかの実施形態において、用語「から本質的になる」は、製剤における組成物において、その活性成分が示されている活性成分のみであり、しかし、前記製剤の安定化、保存などのために他の化合物が含まれていてよいが、前記示されている活性成分の治療効果に直接関与しないことをいう。いくつかの実施形態において、用語「から本質的になる」は、組成物が、前記活性成分、及び前記活性成分の放出を容易にする構成要素を含有していることをいうことができる。例えば、前記組成物は、被験体に前記活性成分の徐放を経時的に付与する1又は複数の構成要素を含有し得る。いくつかの実施形態において、用語「からなる」は、組成物が、前記活性成分及び医薬的に許容可能な担体又は賦形剤を含有することをいう。
【0089】
本明細書で使用される場合、「化合物」という用語は、固有の特定可能な化学構造の分子的成分を表すために用いられる。分子的成分(「化合物」)は、他の分子と結び付いていない遊離種形態で存在している場合がある。化合物は、他の分子と結び付いて、ただしその化学的同一性を保持したまま、より大きな集合体の一部として存在している場合もある。溶媒和物は、化学構造が規定された分子的成分(「化合物」)が溶媒分子と結び付いたものであるが、これは上記の結合形態の一例である。水和物は、結び付いた溶媒が水である溶媒和物である。「化合物」と言う場合、遊離形態で存在しているか結合形態で存在しているかは問わず、(構造が示された)分子的成分それ自体を指す。
【0090】
置換基は、左から右に書かれているこれらの従来の化学式によって特定される場合、構造を右から左に書くことから生じ得る化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、-CH2O-は、-OCH2-と等価である。
【0091】
置換基は、左から右に書かれているこれらの従来の化学式によって特定される場合、構造を右から左に書くことから生じ得る化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、-CH2O-は、-OCH2-と等価である。
【0092】
「アルキル」は、示されている炭素原子数を有する直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族ラジカルをいう。アルキルは、C1-2、C1-3、C1-4、C1-5、C1-6、C1-7、C1-8、C1-9、C1-10、C2-3、C2-4、C2-5、C2-6、C3-4、C3-5、C3-6、C4-5、C4-6、及びC5-6などの任意の数の炭素を含み得る。例えば、C1-6アルキルとして、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、及びヘキシルが挙げられる。
【0093】
「アルコキシ」は、アルキル基を付着点に接続する酸素原子を有する当該アルキル基:アルキル-O-をいう。前記アルキル基に関して、アルコキシ基は、C1-6などの任意の好適な数の炭素原子を有し得る。アルコキシ基として、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ-プロポキシ、ブトキシ、2-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが挙げられる。
【0094】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素をいう。
【0095】
「ハロアルキル」は、水素原子の一部又は全てがハロゲン原子によって置き換えられている、上記に定義されているアルキルをいう。前記アルキル基に関して、ハロアルキル基は、トリフルオロメチル、フルオロメチルなど、C1-6などの任意の好適な数の炭素原子を有し得る。
【0096】
用語「パーフルオロ」は、全ての水素がフッ素によって置き換えられている化合物又はラジカルを定義するのに使用され得る。例えば、パーフルオロメタンには、1,1,1-トリフルオロメチルが含まれる。
【0097】
「ハロアルコキシ」は、水素原子の一部又は全てがハロゲン原子によって置き換えられているアルコキシ基をいう。前記アルキル基に関して、ハロアルコキシ基は、C1-6などの任意の好適な数の炭素原子を有し得る。前記アルコキシ基は、1、2、3、又はこれを超えるハロゲンによって置換されていてよい。全ての水素が、ハロゲンによって、例えばフッ素で置き換えられているとき、化合物は、過置換、例えば、過フッ素化されている。ハロアルコキシとして、限定されないが、トリフルオロメトキシ、2,2,2,-トリフルオロエトキシ、及びパーフルオロエトキシが挙げられる。
【0098】
「シクロアルキル」は、3~12環原子、又は示されている数の原子を含有する飽和又は部分不飽和単環式、縮合二環式、又は架橋多環式の環アセンブリをいう。シクロアルキルは、C3-6、C4-6、C5-6、C3-8、C4-8、C5-8、C6-8、C3-9、C3-10、C3-11、及びC3-12などの任意の数の炭素を有し得る。飽和単環式シクロアルキル環として、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロオクチルが挙げられる。飽和二環式及び多環式シクロアルキル環として、例えば、ノルボルナン、[2.2.2]ビシクロオクタン、デカヒドロナフタレン、及びアダマンタンが挙げられる。シクロアルキル基は、その環に1又は複数の二重又は三重結合を有する、部分不飽和であってもよい。部分不飽和である代表的なシクロアルキル基として、限定されないが、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン(1,3-及び1,4-異性体)、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン(1,3-、1,4-及び1,5-異性体)、ノルボルネン、及びノルボルナジエンが挙げられる。シクロアルキルが飽和単環式C3-8シクロアルキルであるとき、例示的な基として、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキルが飽和単環式C3-6シクロアルキルであるとき、例示的な基として、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0099】
「ヘテロシクロアルキル」は、3~12環員並びにN、O、及びSの1~4個のヘテロ原子を有する飽和環系をいう。限定されないが、B、Al、Si、及びPも含めたさらなるヘテロ原子も有用であり得る。前記ヘテロ原子はまた、酸化され得、例えば、限定されないが、-S(O)-及び-S(O)2-であり得る。ヘテロシクロアルキル基は、3~6、4~6、5~6、3~8、4~8、5~8、6~8、3~9、3~10、3~11、又は3~12環員などの任意の数の環原子を含み得る。前記ヘテロシクロアルキル基は、1、2、3、若しくは4、又は1~2、1~3、1~4、2~3、2~4、若しくは3~4などの任意の好適な数のヘテロ原子を含み得る。前記ヘテロシクロアルキル基は、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペラジン、アゼパン、アゾカン、キヌクリジン、ピラゾリン、イミダゾリジン、ピペラジン(1,2-、1,3-及び1,4-異性体)、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オキサン(テトラヒドロピラン)、オキセパン、チイラン、チエタン、チオラン(テトラヒドロチオフェン)、チアン(テトラヒドロチオピラン)、オキサゾリジン、イソオキサリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、ジオキソラン、ジチオラン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキサン、又はジチアンなどの基を含み得る。前記ヘテロシクロアルキル基はまた、芳香族又は非芳香族環系と縮合して、限定されないが、インドリンを含めた構成員を形成していてもよい。
【0100】
ヘテロシクロアルキルが3~8環員及び1~3個のヘテロ原子を含むとき、代表的な構成員として、限定されないが、ピロリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、オキサン、テトラヒドロチオフェン、チアン、ピラゾリン、イミダゾリジン、ピペラジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキサン及びジチアンが挙げられる。ヘテロシクロアルキルは、5~6環員及び1~2個のヘテロ原子を有する環を形成していてもよく、代表的な構成員として、限定されないが、ピロリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピラゾリン、イミダゾリジン、ピペラジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、及びモルホリンが挙げられる。
【0101】
「アリール」は、任意の好適な環原子数及び任意の好適な環数を有する芳香族環系をいう。アリール基は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16環原子、並びに6~10、6~12、又は6~14環員などの、任意の好適な数の環原子を含み得る。アリール基は、単環式であっても、縮合して二環式基又は三環式基を形成していても、結合によって連結してビアリール基を形成していてもよい。代表的なアリール基として、フェニル、ナフチル及びビフェニルが挙げられる。他のアリール基として、メチレン連結基を有するベンジルが挙げられる。いつくかのアリール基は、フェニル、ナフチル、又はビフェニルなどの6~12環員を有する。他のアリール基は、フェニル又はナフチルなどの6~10環員を有する。いつくかの他のアリール基は、フェニルなどの6環員を有する。アリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0102】
「ヘテロアリール」は、5~16環原子を含有する単環式、縮合二環式、又は三環式の芳香族環アセンブリをいい、当該環原子のうちの1~5個がN、O、又はSなどのヘテロ原子である。限定されないが、B、Al、Si、及びPを含めたさらなるヘテロ原子も有用であり得る。前記ヘテロ原子はまた、酸化され得、例えば、限定されないが、N-オキシド、-S(O)-及び-S(O)2-であり得る。ヘテロアリール基は、3~6、4~6、5~6、3~8、4~8、5~8、6~8、3~9、3~10、3~11、又は3~12環員などの任意の数の環原子を含み得る。前記ヘテロアリール基は、1、2、3、4、若しくは5;又は1~2、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4、2~5、3~4、又は3~5などの任意の好適な数のヘテロ原子を含み得る。ヘテロアリール基は、5~8環員及び1~4個のヘテロ原子、又は5~8環員及び1~3個のヘテロ原子、又は5~6環員及び1~4個のヘテロ原子、又は5~6環員及び1~3個のヘテロ原子を有し得る。前記ヘテロアリール基は、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-、及び1,3,5-異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、及びイソオキサゾールなどの基を含み得る。前記ヘテロアリール基はまた、フェニル環などの芳香族環系と縮合して、構成員、限定されないが、インドール及びイソインドールなどのベンゾピロール、キノリン及びイソキノリンなどのベンゾピリジン、ベンゾピラジン(キノキサリン)、ベンゾピリミジン(キナゾリン)、フタラジン及びシンノリンなどのベンゾピリダジン、ベンゾチオフェン、並びにベンゾフランを形成することもできる。他のヘテロアリール基は、ビピリジンなどの、結合によって連結されたヘテロアリール環を含む。ヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0103】
前記ヘテロアリール基は、その環の任意の位置を介して連結され得る。例えば、ピロールとして、1-、2-、及び3-ピロールが挙げられ;ピリジンとして、2-、3-及び4-ピリジンが挙げられ;イミダゾールとして、1-、2-、4-及び5-イミダゾールが挙げられ;ピラゾールとして、1-、3-、4-及び5-ピラゾールが挙げられ;トリアゾールとして、1-、4-及び5-トリアゾールが挙げられ;テトラゾールとして、1-及び5-テトラゾールが挙げられ;ピリミジンとして、2-、4-、5-及び6-ピリミジンが挙げられ;ピリダジンとして、3-及び4-ピリダジンが挙げられ;1,2,3-トリアジンとして、4-及び5-トリアジンが挙げられ;1,2,4-トリアジンとして、3-、5-及び6-トリアジンが挙げられ;1,3,5-トリアジンとして、2-トリアジンが挙げられ;チオフェンとして、2-及び3-チオフェンが挙げられ;フランとして、2-及び3-フランが挙げられ;チアゾールとして、2-、4-及び5-チアゾールが挙げられ;イソチアゾールとして、3-、4-及び5-イソチアゾールが挙げられ;オキサゾールとして、2-、4-及び5-オキサゾールが挙げられ;イソオキサゾールとして、3-、4-及び5-イソオキサゾールが挙げられ;インドールとして、1-、2-及び3-インドールが挙げられ;イソインドールとして、1-及び2-イソインドールが挙げられ;キノリンとして、2-、3-及び4-キノリンが挙げられ;イソキノリンとして、1-、3-及び4-イソキノリンが挙げられ;キナゾリンとして、2-及び4-キノアゾリンが挙げられ;シンノリンとして、3-及び4-シンノリンが挙げられ;ベンゾチオフェンとして、2-及び3-ベンゾチオフェンが挙げられ;ベンゾフランとして、2-及び3-ベンゾフランが挙げられる。
【0104】
いくつかのヘテロアリール基として、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-及び1,3,5-異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、ベンゾチオフェン、及びベンゾフランなどの、5~10環員、及びN、O、又はSを含む1~3個の環原子を有するものが挙げられる。他のヘテロアリール基として、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-及び1,3,5-異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、及びイソオキサゾールなどの、5~8環員、及び1~3個のヘテロ原子を有するものが挙げられる。いくつかの他のヘテロアリール基として、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン及びビピリジンなどの、9~12環員、及び1~3個のヘテロ原子を有するものが挙げられる。さらに他のヘテロアリール基として、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、及びイソオキサゾールなどの、5~6環員、及びN、O又はSを含む1~2個の環ヘテロ原子を有するものが挙げられる。
【0105】
いくつかのヘテロアリール基は、5~10環員、及び窒素ヘテロ原子のみを含み、例えば、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-及び1,3,5-異性体)、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、及びシンノリンが挙げられる。他のヘテロアリール基は、5~10環員、及び酸素ヘテロ原子のみを含み、例えば、フラン及びベンゾフランが挙げられる。いくつかの他のヘテロアリール基は、5~10環員、及び硫黄ヘテロ原子のみを含み、例えば、チオフェン及びベンゾチオフェンが挙げられる。さらに他のヘテロアリール基は、5~10環員、及び少なくとも2個のヘテロ原子を含み、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-及び1,3,5-異性体)、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、及びシンノリンが挙げられる。
【0106】
「ヘテロ原子」は、O、S、又はNをいう。
【0107】
「塩」は、本発明の方法において使用される化合物の酸又は塩基の塩をいう。医薬的に許容可能な塩の例示的な例は、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)塩、及び第4級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)塩である。前記医薬的に許容可能な塩は非毒性であることが理解される。好適な医薬的に許容可能な塩についてのさらなる情報は、参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985に見出され得る。
【0108】
「異性体」は、同じ化学式を有するが構造的に識別可能である化合物をいう。
【0109】
「互変異性体」は、平衡で存在し且つ一方の形態から他方に容易に変換される2以上の構造異性体のうちの1つをいう。
【0110】
本発明の化合物の記載は、当業者に公知の化学結合の原理によって制限される。したがって、基が、多数の置換基のうちの1又は複数によって置換されていてよいとき、かかる置換は、化学結合の原理と適合するように、且つ、本質的には不安定ではない且つ/又は、周囲条件-例えば、水性、中性、若しくは生理的条件-下で不安定になり易いことが当業者に公知であろう化合物を生成するように選択される。
【0111】
非ステロイド性化合物としては、縮合アザデカリン骨格を有するSGRM、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格を有するSGRM、オクタヒドロ縮合アザデカリン骨格を有するSGRMが挙げられる。縮合アザデカリン骨格を有するグルココルチコイド受容体モジュレーターとしては例えば、米国特許第7,928,237号及び米国特許第8,461,172号に記載されているものが挙げられる。ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格を有するグルココルチコイド受容体モジュレーターとしては例えば、米国特許第8,859,774号に記載されているものが挙げられる。オクタヒドロ縮合アザデカリン骨格を有するグルココルチコイド受容体モジュレーターとしては例えば、米国特許第10,047,082号に記載されているものが挙げられる。
【0112】
「医薬的に許容可能な添加物(excipient)」及び「医薬的に許容可能な担体」は、被験体への活性剤の投与及び被験体による吸収を補助する物質をいい、患者に大幅な有害毒性効果を引き起こすことなく本発明の組成物に含まれ得る。本明細書で使用される場合、これらの用語は、薬剤投与と適合するありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、抗酸化剤、等張及び吸収遅延剤などを含むことが意図される。医薬的に許容可能な添加物の非限定例として、水、NaCl、生理食塩水、乳酸加リンゲル液、通常のスクロース、通常のグルコース、バインダー、フィラー、崩壊剤、カプセル化剤、可塑剤、潤沢剤、コーティング、甘味料、香味料及び顔料などが挙げられる。当業者は、他の医薬的添加物が本発明において有用であることを認識するであろう。医薬的に活性な物質のためのかかる媒体及び薬剤の使用は、当該分野において周知である。任意の従来の媒体又は剤がかかる活性化合物と適合しない限りを除いて、前記の組成物におけるこれらの使用が企図される。追加の活性化合物が前記組成物に組み込まれてもよい。当業者は、他の医薬的添加物が本発明において有用であることを認識するであろう。
【0113】
SGRM処置及び抗体チェックポイント阻害剤処置の併用処置によりコルチゾール過剰を有する患者におけるACC腫瘍を処置する方法が、本明細書で開示される。ある実施形態において、上記がんはチェックポイント阻害剤感受性がんである。ある実施形態において、上記チェックポイント阻害剤感受性がんはGR+がんでもある。
【0114】
がんの診断
本方法は副腎皮質がん腫(ACC)患者の処置に向けられる。がんは、異常細胞の制御されない成長及び/又は広がりによって特徴付けられる。典型的には生検がなされ、当該生検からの細胞又は組織を、疑わしい状態を確認するために顕微鏡下で検査する。いくつかの場合において、診断を検証するために、細胞のタンパク質、DNA、及びRNAにおいて、さらなる試験が実施される必要がある。
【0115】
チェックポイント阻害剤感受性がんの同定
本発明のいくつかの実施形態において、方法は、少なくとも1のチェックポイント阻害剤感受性がんを有する患者を処置するのに使用される。チェックポイント阻害剤感受性がんは、チェックポイント阻害剤に応答性であるものであり、すなわち、1又は複数のチェックポイント阻害剤の投与は、ACC腫瘍量を低減し得、又は、がん改良に関係する有益な若しくは所望の臨床結果を達成することができる。例えば、前記のチェックポイント阻害剤の投与は、がん細胞数の低減;腫瘍サイズの低減;周辺器官へのがん細胞浸潤の阻害(すなわち、ある程度まで遅くすること、及び/若しくは停止すること);腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度まで遅くすること、及び/若しくは停止すること);腫瘍成長のある程度までの阻害;並びに/又は障害に関連する症状の1又は複数のある程度までの緩和;腫瘍のサイズの縮小;疾患から生じる症状の減少;疾患に罹患しているものの生活の質の向上;疾患を処置するために必要とされる他の医薬の用量の減少;疾患の進行の遅延;並びに/又は患者の生存の延長、のうちの1又は複数を引き起こし得る。
【0116】
チェックポイント阻害剤感受性腫瘍は、それぞれチェックポイントタンパク質のPD-1やCTLA-4に結合する、PD-L1やB7などのリガンドを高発現している場合が多い。これらが相互作用することで、腫瘍細胞に対する免疫応答が抑制される。ACCの他に、チェックポイント阻害剤感受性腫瘍の非限定例としては、肺がん、肝臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、結腸がん、乳がん、神経膠腫、腎がん腫、胃がん、食道がん、口腔扁平上皮がん、頭頸部がん、黒色腫、肉腫、腎細胞腫瘍、肝細胞腫瘍、グリア芽腫、神経内分泌腫瘍、膀胱がん、膵がん、胆嚢がん、胃がん、前立腺がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、及び中皮腫が挙げられる。
【0117】
(チェックポイント阻害剤)
本明細書に開示されている方法は、少なくとも1のSGRMを少なくとも1のチェックポイント阻害剤と組み合わせて使用して、がんを処置する。いくつかの実施形態において、前記チェックポイント阻害剤は、少なくとも1のチェックポイントタンパク質に対する抗体(「CIA」)である。いくつかの実施形態において、前記チェックポイント阻害剤は、1又は複数のチェックポイントタンパク質によって誘発される免疫抑制経路を遮断する小分子の非タンパク質化合物(「CIC」)である。
【0118】
チェックポイント阻害剤抗体(「CIA」、「抗体チェックポイント阻害剤」とも)
ある実施形態において、前記のがんを処置する方法は、SGRMをチェックポイント阻害剤抗体と組み合わせて投与することを含む。かかる抗体は、前記チェックポイントタンパク質の免疫抑制活性を遮断し得る。多数のかかる抗体、例えば、PD-1、CTLA4、及びPD-L1に対する抗体が、がんを処置するのに有効であることが既に示されている。
【0119】
抗PD-1抗体は、黒色腫、非小細胞肺がん、膀胱がん、前立腺がん、大腸がん、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん、白血病、リンパ腫及び腎細胞がんの処置に使用されている。例示的な抗PD-1抗体として、ラムブロリズマブ(MK-3475、MERCK)、ニボルマブ(BMS-936558、BRISTOL-MYERS SQUIBB)、AMP-224(MERCK)、及びピジリズマブ(CT-011、CURETECH LTD.)が挙げられる。
【0120】
抗CTLA4抗体は、黒色腫、前立腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がんの処置の臨床試験において使用されている。抗CTL4Aの顕著な特徴は、初回処置後、最長で6ヶ月の遅延期間を生理的応答に必要とする、抗腫瘍効果のキネティクスである。いくつかの場合において、腫瘍は、縮小が見られる前に、処置開始後にサイズが実際に増加する場合がある(Pardoll,2012,Nature Reviews Cancer 12:252-264)。例示的な抗CTLA4CIAとして、イピリムマブ(Bristol-Myers Squibb)及びトレメリムマブ(PFIZER)が挙げられる。
【0121】
例えば、LAG-3(リンパ球活性化遺伝子3)、B7-H3(B7ホモログ3タンパク質)、B7-H4(B7ホモログ4タンパク質)、TIM-3(T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン3)、CD160、CD244、VISTA(T細胞活性化のVドメインIg抑制因子)、TIGIT(T細胞免疫グロブリン及びITIMドメイン)、及びBTLA(B細胞及びT細胞リンパ球減衰因子)などの、他のチェックポイントタンパク質に対するCIAも、がんを処置するために本明細書で開示されるSGRMと組み合わせて用いてもよい。例えば、LAG-3を阻害する抗体としては、IMP321/エフチラギモドα(Eftilagimod alpha)(イムテップ社(Immutep))、レラトリマブ(Relatlimab)(BMS-986016、ブリストルマイヤーズスクイブ社(Bristol Myers Squibb)(BMS))、LAG525(ノバルティス社(Novartis))、及びMK-4280(メルク社(Merck))が挙げられる。B7-H3を阻害する抗体としては、エノブリツズマブ(Enoblituzumab)/MGA271(マクロジェニクス社(MacroGenics))、MGD009e(マクロジェニクス社)、131I-8H9/オンブルタマブ(omburtamab)(Y-mAbs)、及び124I-8H9/オンブルタマブ(Y-mAbs)が挙げられる。TIM-3を阻害する抗体としては、LY3321367(別名LY332;イーライリリー・アンド・カンパニー社(Eli Lilly and Company))、TSR-022(テサロ社(Tesaro))、MBG453(ノバルティス社)、Sym023(シムフォゲン社(Symphogen))、INCAGN2390(インサイト社(Incyte))、BMS-986258(BMS社)、RO7121661(ロシュ社(Roche))、及びSHR-1702(ハンルイ医薬社(Jiangsu HengRui))が挙げられ、例えばLY3321367は、PD-L1チェックポイント阻害剤と併用される場合を含めて、早期臨床試験において有望であった。VISTAを阻害する抗体としては、JNJ-61610588(ジョンソン・エンド・ジョンソン社(Johnson & Johnson))及びCA-170d(キュリス社(Curis))が挙げられる。TIGITを阻害する抗体としては、MK-7684(メルク社)、チラゴルマブ(Tiragolumab)/MTIG7192A/RG-6058(ジェネンテック社(Genentech))、エチギリマブ(Etigilimab)/OMP-313M32(オンコメッド社(OncoMed))、BMS-986207(BMS社)、AB-154(アーカス・バイオサイエンシズ社(Arcus Biosciences))、及びASP-8374(ポテンザ社)が挙げられる。
【0122】
本開示において使用されるCIAは、特に、標的チェックポイントタンパク質、例えば、PD-1及びCTLA4が、異なるシグナル伝達経路を介して免疫応答を抑制するときには、異なるCIAの組み合わせであり得る。前記チェックポイントタンパク質のいずれかに対する複数のCIAの組み合わせ又は両方のチェックポイントタンパク質に対するものである単独のCIAは、免疫応答の向上を提供し得る。
【0123】
(CIAの生成)
CIAは、当該分野において周知の方法を使用して発現させることができる。例えば、Kohler and Milstein,Nature 256:495(1975)、及びColigan et al.(eds.),CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY,VOL.1,pages 2.5.1-2.6.7(John Wiley & Sons 1991)を参照されたい。モノクローナル抗体は、マウスに、抗原、例えば、チェックポイントタンパク質又はそのエピトープを含む組成物を注射し、脾臓を取り除いてBリンパ球を得、Bリンパ球を骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを産生させ、当該ハイブリドーマをクローニングし、前記抗原への抗体を産生する陽性クローンを選択し、前記抗原への抗体を産生する前記クローンを培養し、ハイブリドーマ培養物から前記抗体を単離することによって得ることができる。
【0124】
産生されたモノクローナル抗体は、様々な確立された技術によってハイブリドーマ培養物から単離及び精製されうる。かかる単離技術として、タンパク質-Aセファロースとの親和性クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、及びイオン交換クロマトグラフィが挙げられる。例えば、Coligan at pages 2.7.1-2.7.12 and pages 2.9.1-2.9.3を参照されたい。METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,VOL.10,pages 79-104(The Humana Press,Inc.1992)におけるBaines et al.,「Purification of Immunoglobulin G(IgG)」も参照されたい。チェックポイントタンパク質への抗体の初期の育成後、前記抗体は、シーケンシングされ、その後、組み換え技術によって調製されうる。マウス抗体及び抗体断片のヒト化及びキメラ化は、当業者に周知されている。例えば、Leung et al.Hybridoma 13:469(1994);米国特許出願公開公報20140099254A1号を参照されたい。
【0125】
ヒト抗体は、チェックポイントタンパク質を使用する抗原投与に応答する特異的なヒト抗体を産生するように遺伝子操作されているトランスジェニックマウスを使用して産生されうる。Green et al.,Nature Genet.7:13(1994),Lonberg et al.,Nature 368:856(1994)を参照されたい。チェックポイントタンパク質に対するヒト抗体はまた、遺伝子又は染色体トランスフェクション法、ファージディスプレイ技術、又はインビトロ活性化B細胞によって構築されうる。例えば、McCafferty et al.,1990,Nature 348:552-553;米国特許第5,567,610号及び同第5,229,275号を参照されたい。
【0126】
(CIAの修飾)
CIAはまた、既存のCIAに対して保存的修飾を導入することによっても産生されうる。例えば、修飾CIAは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、並びに/又は上記で産生した抗体の相手(counterparts)に相同するFc領域を含み得る。本明細書に開示されている方法に使用されうる修飾CIAは、チェックポイントシグナル伝達経路を遮断することができる所望の機能的特性を保持しなければならない。
【0127】
CIAはまた、タンパク質修飾部位を改変することによっても産生されうる。例えば、抗体のグリコシル化の部位は、グリコシル化を欠失した抗体を産生するように改変され得、かかる修飾CIAは、抗原への抗体の親和性を典型的は増加させる。抗体はまた、1又は複数のPEG基が当該抗体に付着するようになる条件下でポリエチレングリコール(PEG)と反応することによってPEG化されてもよい。PEG化は、抗体の生物学的半減期を増加させ得る。かかる修飾を有する抗体はまた、チェックポイント経路を遮断する所望の機能的特性を保持している限り、本明細書に開示されている選択的GRモジュレーターと併用されてもよい。
【0128】
iii.候補チェックポイント阻害剤の機能的特性の評価
候補、すなわち、上記で開示されているように、チェックポイントタンパク質、チェックポイントタンパク質のエピトープ、又はコンビナトリアルライブラリーからの試験化合物を含む抗原によって動物に免疫付与することによって生じた抗体が、抗体チェックポイント阻害剤であるかをアセスメントするために、多数の周知のアッセイが使用されうる。非限定的な例のアッセイとして、結合アッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA))、蛍光活性化細胞分類(FACS)分析、細胞ベースのアッセイ、及びインビボアッセイが挙げられる。
【0129】
(結合アッセイ)
ある実施形態において、前記アッセイは、直接結合アッセイである。前記チェックポイントタンパク質は、前記チェックポイントタンパク質及び前記候補の結合が、複合体における標識チェックポイントタンパク質を検出することによって測定されうるように、放射性同位体又は酵素標識とカップリングされうる。例えば、チェックポイントタンパク質は、125I、35S、14C、又は3Hにより、直接的又は間接的のいずれかで標識され得、かかる放射性同位体は、放射性放出の直接計数によって又はシンチレーション計数によって検出される。候補がこれらの同種のチェックポイントタンパク質に結合する能力を決定することは、例えば、直接結合を測定することによって達成されうる。代替的には、チェックポイントタンパク質分子は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、又はルシフェラーゼによって酵素標識され得、標的チェックポイントタンパク質への前記候補の結合は、適切な基質を産物に変換することによって決定される。
【0130】
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)は、CIA候補のその標的チェックポイントタンパク質への結合特異性を評価するのに一般的に使用される。典型的なアッセイにおいては、マイクロタイタープレートを、5μg/mlのチェックポイントタンパク質によって37℃で一晩コーティングすることによって、チェックポイントタンパク質によってコーティングする。候補CIAを含む血清サンプルは、PBS、5%血清、0.5% Tween-20において希釈され、ウエルにおいて室温で1時間インキュベートされ、続いて、同じ希釈剤において、抗ヒトIgG Fc及びIgG F(ab’)-西洋ワサビペルオキシダーゼが添加される。室温で1時間後、酵素活性をABTS基質(Sigma,St.Louis Mo.)の添加によってアセスメントし、30分後、415~490nmにおいて読み取る。
【0131】
前記候補の結合キネティクス(例えば、結合親和性)もまた、Biacore分析(Biacore AB,Uppsala,Sweden)などの、当該分野において公知の標準アッセイによってアセスメントすることができる。ある例示的なアッセイにおいては、精製された組み換え型ヒトチェックポイントタンパク質を、標準のアミンカップリング化学及びBiacoreによって提供されるキットを使用して、第1級アミンを介してCM5チップ(カルボキシメチルデキストランコーティングされたチップ)に共有結合する。結合は、50μl/分の流量において267nMの濃度でHBS EP緩衝液(Biacore ABによって提供される)中に前記候補を流動させることによって測定する。チェックポイントタンパク質-候補会合キネティクスを3分間追跡し、解離キネティクスを7分間追跡する。会合及び解離曲線を、BIA評価ソフトウェア(Biacore AB)を使用して1:1ラングミュア結合モデルに適合させる。結合定数の見積もりにおいて結合力の影響を最小にするために、会合及び解離期に相当するデータの初期セグメントのみを適合に使用する。相互作用のKD、Kon及びKoff値を測定することができる。好ましいチェックポイント阻害剤は、1×10-7M以下のKdを有するこれらの標的チェックポイントタンパク質に結合しうる。
【0132】
リガンドへの結合を介して免疫応答を遮断するチェックポイントタンパク質について、さらなる結合アッセイを用いて、前記候補が前記チェックポイントタンパク質への前記リガンドの結合を遮断する能力を、試験することができる。ある例示的なアッセイにおいては、フローサイトメトリーを使用して、トランスフェクトされたCHO細胞において発現されるチェックポイントタンパク質(例えば、PD-1)へのリガンド(例えば、PD-L1)の結合の遮断を試験する。種々の濃度の前記候補を、前記チェックポイントタンパク質を発現する細胞の懸濁液に添加して、4℃で30分間インキュベートする。非結合阻害剤を洗い流し、FITC標識リガンドタンパク質をチューブに添加し、4℃で30分間インキュベートする。FACS分析を、FACScanフローサイトメーター(Becton Dickinson,San Jose,Calif.)を使用して実施する。前記細胞の染色の平均蛍光強度(MFI)は、前記チェックポイントタンパク質に結合するリガンドの量を示す。前記候補を添加したサンプルにおける低減されたMFIは、前記候補が、前記標的チェックポイントタンパク質への前記リガンドの結合の遮断において有効であることを示している。
【0133】
例えば、PCT公報WO2015034820に記載されているホモジニアス時間分解蛍光(HTRF)結合アッセイもまた、チェックポイントタンパク質-リガンド相互作用を遮断する前記候補の能力をアッセイするのに使用されうる。ある実施形態において、上記の方法において使用されるCICは、PD-1/PD-L1ホモジニアス時間分解蛍光(HTRF)結合アッセイによって測定されるIC50値が10pM以下、例えば、0.01~10pM、好ましくは、1pM以下、例えば、0.01~1pMで、PD-1/PD-L1相互作用を阻害し得る。
【0134】
(細胞ベースのアッセイ)
別の実施形態において、候補がチェックポイント阻害剤であるかを評価するアッセイは、細胞ベースのアッセイである。米国特許第8,008,449号に記載されている混合リンパ球反応(MLR)アッセイは、T細胞増殖、IL-2及び/又はIFN-γの産生を測定するのに常套的に使用される。1つの例示的なアッセイにおいて、ヒトT細胞は、ヒトCD4+T細胞富化カラム(R&D systems)を使用してPBMCから精製される。候補は、異なる濃度で多数のT細胞培養物に添加される。前記細胞は、37℃で5日間培養され、100μlの培地をサイトカイン測定用の各培養物から採取する。IFN-ガンマ及び他のサイトカインのレベルを、OptEIA ELISAキット(BD Biosciences)を使用して測定する。前記細胞を3H-チミジンで標識し、さらに18時間培養し、細胞増殖について分析する。前記候補を含む培養物が、対照と比較して、T細胞増殖の増加、IL-2及び/又はIFN-ガンマの産生の増加を示すことを示している結果は、前記候補が、T細胞免疫応答の、チェックポイントタンパク質の阻害において効果的であることを示す。
【0135】
(インビボアッセイ)
別の実施形態において、候補がチェックポイント阻害剤であるかを評価するのに使用されるアッセイは、インビボアッセイである。1つの例示的なアッセイにおいて、6~8週齢の雌性AJマウス(Harlan Laboratories)を体重によって6群にランダム化する。0日目において、これらのマウスの右脇腹に、200μlのDMEM培地に溶解させた2×106のSA1/N線維肉腫細胞を皮下移植する。これらのマウスを、PBSビヒクル、又は所定の投薬量での前記候補によって処置する。これらの動物に、1、4、8及び11日目において、前記候補又はビヒクルを含有するおよそ200μlのPBSを腹腔内注射によって投薬する。これらのマウスを腫瘍成長について週2回およそ6週間モニタリングする。電子キャリパーを使用して、上記の腫瘍を三次元的に(高さ×幅×長さ)測定し、腫瘍体積を算出する。前記腫瘍が腫瘍終点(1500mm3)に到達するか又は前記マウスが15%を超える体重減少を示すときにマウスを安楽死させる。対照と比較して候補処置群においてより遅い腫瘍成長を示す、又は、腫瘍終点体積(1500mm3)に到達する平均時間がより長いことを示す結果は、前記候補ががん成長の阻害において活性を有することを示す。
【0136】
(グルココルチコイド受容体モジュレーター(GRM))
一般に、グルココルチコイド過剰である患者における副腎皮質がん腫(ACC)の処置は、有効量の、縮合アザデカリン構造、ヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン構造、又はオクタヒドロ(octahdro)縮合アザデカリン構造を有する選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)と、抗体チェックポイント阻害剤とを投与することで達成することができる。ある実施形態において、抗体チェックポイント阻害剤は、PD-1抗原、CTLA-4抗原、PD-L1抗原、又はPD-L2抗原のうちの1又は複数を発現する細胞及び腫瘍に対して有効である。ある実施形態では、がん化学療法剤が投与されてもよい。がん化学療法剤は、例えば、タキサン類、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、小胞体ストレス誘導剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、及びこれらの組み合わせから選択することができる。
【0137】
選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)化合物としては、ヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン構造(ヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン骨格と称される場合もある)を含む化合物が挙げられる。ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン構造を含む例示的なSGRM化合物としては、米国特許第8,859,774号;同第9,273,047号;同第9,707,223号;及び同第9,956,216号に記載されているものが挙げられる。本明細書で開示される全ての特許、特許公報、及び特許出願は、それらの全体が参照によって本明細書に援用される。
【0138】
場合によっては、GRM骨格は縮合アザデカリンである。場合によっては、縮合アザデカリン骨格を有するGRMはSGRMであり、GRAであってもSGRAであってもよい。場合によっては、縮合アザデカリンは下記式を有する化合物、又はその塩若しくは異性体である。
【0139】
【0140】
式中、
L1及びL2は独立して結合及び非置換アルキレンから選択される要素であり;
R1は非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-OR1A、NR1CR1D、-C(O)NR1CR1D、及び-C(O)OR1Aから選択される要素であり、ここでR1Aは水素、非置換アルキル、及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり;
R1C及びR1Dは、独立して非置換アルキル及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり、所望により、互いに結合してそれらが結合している窒素と共に非置換の環を形成しており、ここで前記環は所望により追加の環窒素を含み;
R2は下記式を有し:
【0141】
【0142】
式中、
R2Gは水素、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-CN、及び-CF3から選択される要素であり;
Jはフェニルであり;
tは0~5の整数であり;
Xは-S(O2)-であり;
R5は1~5個のR5A基で所望により置換されたフェニルであり、
R5Aは水素、ハロゲン、-OR5A1、S(O2)NR5A2R5A3、-CN、及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R5A1は水素及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R5A2及びR5A3は独立して水素及び非置換アルキルから選択される要素である。
かかる化合物の例としては、米国特許第7,928,237号及び米国特許第8,461,172号に開示された化合物が挙げられ、上記特許は共に、それらの全体が参照によって本明細書に援用される。
【0143】
ある実施形態において、縮合アザデカリンSGRMは、CORT108297、すなわち、(R)-(4a-エトキシメチル-1-(4-フルオロフェニル)-6-(4-トリフルオロメチル-ベンゼンスルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H,1,2,6-トリアザ-シクロペンタ[b]ナフタレンであり、下記構造を有する。
【0144】
【0145】
場合によっては、GRM骨格は、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン又はオクタヒドロ縮合アザデカリンである。場合によっては、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン骨格又はオクタヒドロ縮合アザデカリン骨格を有するGRMはSGRMであり、GRAであってもSGRAであってもよい。
【0146】
ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン構造を含む例示的なGRMとしては、米国特許第8,859,774号に開示されているものが挙げられ、これらは開示の通りに作製でき、上記米国特許はその全体が本明細書に援用される。このような例示的なGRMはSGRMであってもよい。場合によっては、ヘテロアリールケトン縮合アザデカリン構造を含むGRMは、下記の構造を有するもの、又はその塩若しくは異性体である。
【0147】
【0148】
式中、
R1は、5~6個の環員を有し、且つ、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有し、所望によりそれぞれ独立してR1aから選択される1~4個の基で置換された、ヘテロアリール環であり;
R1aはそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、CN、N-オキシド、C3-8シクロアルキル、及びC3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環、及びヘテロアリール環からなる群より選択され、前記ヘテロシクロアルキル環及びヘテロアリール環は5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有し;
R2はそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6アルキル-C1-6アルコキシ、-CN、-OH、-NR2aR2b、-C(O)R2a、-C(O)OR2a、-C(O)NR2aR2b、-SR2a、-S(O)R2a、-S(O)2R2a、C3-8シクロアルキル、及びC3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され、上記ヘテロシクロアルキル基は1~4個のR2c基で所望により置換されており;
あるいは、同じ炭素に結合した2個のR2基が組み合わされてオキソ基(=O)を形成しており;
あるいは、2個のR2基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、ここで前記ヘテロシクロアルキル環は所望により1~3個のR2d基で置換されており;
R2a及びR2bはそれぞれ独立して水素及びC1-6アルキルからなる群より選択され;
R2cはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、-CN、及び-NR2aR2bからなる群より選択され;
R2dはそれぞれ独立して水素及びC1-6アルキルからなる群より選択され、あるいは、同じ環原子に結合した2個のR2d基が組み合わされて(=O)を形成しており;
R3はそれぞれ1~4個のR3a基で所望により置換されているフェニル及びピリジルからなる群より選択され;
R3aはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、及びC1-6ハロアルキルからなる群より選択され;
下付き文字nは0~3の整数である。
【0149】
場合によっては、ヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリンGRMは、レラコリラント(CORT125134)、すなわち、(R)-(1-(4-フルオロフェニル)-6-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メタノンであり、下記の構造を有する。
【0150】
【0151】
ある実施形態において、ヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリンSGRMは、化合物(R)-(1-(4-フルオロフェニル)-6-((4-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1-H-ピラゾロP,4-g]イソキノリン-4a-イル)(ピリジン-2-イル)メタノン(「CORT113176」と称される)であり、下記の構造を有する。
【0152】
【0153】
オクタヒドロ縮合アザデカリン構造を含む例示的なGRMとしては、米国特許第10,047,082号に開示された化合物が挙げられ、上記米国特許はその全体が参照によって本明細書に援用される。ある実施形態において、オクタヒドロ縮合アザデカリンGRMは下記式を有するもの、又はその塩若しくは異性体である。
【0154】
【0155】
式中、
R1は、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有し、所望により、それぞれ独立してR1aから選択される1~4個の基で置換されている、ヘテロアリール環であり;
R1aはそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、N-オキシド、及びC3-8シクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するアリール環及びヘテロアリール環からなる群より選択され;
R2はそれぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6アルキル-C1-6アルコキシ、CN、OH、NR2aR2b、C(O)R2a、C(O)OR2a、C(O)NR2aR2b、SR2a、S(O)R2a、S(O)2R2a、C3-8シクロアルキル、並びにそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子を有するC3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
あるいは、隣接し合う環原子上の2個のR2基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有し、所望により1~3個のR2c基で置換されている、ヘテロシクロアルキル環を形成しており;
R2a、R2b、及びR2cはそれぞれ独立して水素及びC1-6アルキルからなる群より選択され;
R3aはそれぞれ独立してハロゲンであり;
下付き文字nは0~3の整数である。
【0156】
場合によっては、オクタヒドロ縮合アザデカリンGRMは、CORT125281、すなわち、((4aR,8aS)-1-(4-フルオロフェニル)-6-((2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8,8a,9-オクタヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メタノンであり、下記の構造を有する。
【0157】
【0158】
(選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)の確認)
試験化合物がSGRMであるかどうかを判定するため、当該化合物をまず、GRに結合してGRを介した活性を阻害するその能力を測定し、当該化合物がグルココルチコイド受容体モジュレーターかどうかを判定するアッセイに供する。グルココルチコイド受容体モジュレーターであることが確認された場合、この化合物を次に、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、アンドロゲン受容体、又は鉱質コルチコイド受容体などのGR以外のタンパク質と比較した場合に、当該化合物がGRに特異的に結合できるかどうかを判定するための選択性試験に供する。ある実施形態では、SGRMは、GR以外のタンパク質に対するよりも、かなり高い親和性、例えば、少なくとも10倍高い親和性で、GRに結合する。SGRMは、GR以外のタンパク質に対する結合力と比較して、GRに対する結合力が、100倍、1000倍、又はそれ以上の選択性を示す場合がある。
【0159】
結合性
試験化合物のグルココルチコイド受容体に対する結合性は、種々のアッセイを用いて測定することができ、例えば、試験化合物の、グルココルチコイド受容体に結合するための、デキサメタゾンなどのグルココルチコイド受容体リガンドとの競合性について、スクリーニングを行うことにより、測定することができる。このような競合的結合アッセイを実行するための方法がいくつか存在することは、当業者が認識するところである。いくつかの実施形態では、グルココルチコイド受容体を、標識されたグルココルチコイド受容体リガンドと共に前インキュベートし、その後、試験化合物と接触させる。このタイプの競合的結合アッセイは、結合置換アッセイと称される場合もある。グルココルチコイド受容体に結合した標識リガンドの量の減少は、試験化合物がグルココルチコイド受容体に結合していることを示す。場合によっては、標識リガンドは蛍光標識された化合物(例えば、蛍光標識されたステロイド又はステロイド類似体)である。あるいは、標識された試験化合物を用いて、試験化合物のグルココルチコイド受容体への結合性を直接測定することができる。この後者のタイプのアッセイは直接結合アッセイと呼ばれる。
【0160】
直接結合アッセイも競合的結合アッセイも、様々なフォーマットで用いることができる。これらのフォーマットは、イムノアッセイ及び受容体結合アッセイで用いられるフォーマットと類似したものでありうる。競合的結合アッセイ及び直接結合アッセイを含む、結合アッセイの種々のフォーマットの説明については、それぞれ参照によって本明細書に援用される、Basic and Clinical Immunology、第7版(D.Stites及びA.Terr(編))、1991年;Enzyme Immunoassay、E.T.Maggio(編)、CRCプレス社(CRC Press)、ボカラトン、フロリダ州(1980年);及び「Practice and Theory of Enzyme Immunoassays」、P.Tijssen、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology、エルゼビア・サイエンス・パブリッシャー社(Elsevier Science Publishers B.V.)、アムステルダム(1985年)を参照されたい。
【0161】
例えば、固相競合的結合アッセイでは、試料化合物を、固体表面に結合した結合剤上の特異的結合部位において、標識された分析物と競合させることができる。このタイプのフォーマットでは、標識された分析物をグルココルチコイド受容体リガンドとすることができ、結合剤を固相に結合したグルココルチコイド受容体とすることができる。あるいは、標識された分析物を標識されたグルココルチコイド受容体とすることができ、結合剤を固相グルココルチコイド受容体リガンドとすることができる。捕捉剤に結合した標識分析物の濃度は、結合アッセイにおける試験化合物の競合能に反比例する。
【0162】
あるいは、競合的結合アッセイは液相で実施されてもよく、結合した標識タンパク質を未結合の標識タンパク質から分離するために、当該技術分野において公知の種々の技術のいずれをも用いることができる。例えば、結合リガンドと過剰な結合リガンドとを区別する、又は結合試験化合物と過剰な未結合試験化合物とを区別するための方法が、いくつか開発されている。これらの方法では、結合型複合体の、ショ糖勾配遠心分離法、ゲル電気泳動法、又はゲル等電点電気泳動法による同定;受容体-リガンド複合体の、硫酸プロタミンによる沈殿又はヒドロキシルアパタイト上の吸着;及び、未結合の化合物又はリガンドの、デキストラン被膜炭(DCC)上の吸着又は固定化抗体への結合による除去が行われる。分離後、結合型のリガンド又は試験化合物の量が求められる。
【0163】
あるいは、分離工程を必要としない均一結合アッセイを行ってもよい。例えば、グルココルチコイド受容体上の標識は、当該グルココルチコイド受容体がそのリガンド又は試験化合物に結合することによって変化する場合がある。標識グルココルチコイド受容体におけるこの変化により、標識が発するシグナルが減少又は増加することとなるため、結合アッセイの最後に標識を測定することで、結合状態のグルココルチコイド受容体の検出又は定量化が可能となる。種々様々な標識を使用できる。成分は、いくつかの方法のうちいずれによって標識してもよい。有用な放射性標識としては、3H、125I、35S、14C、又は32Pを組み入れるものが挙げられる。有用な非放射性標識としては、フルオロフォア、化学発光物質、リン光物質、電気化学発光物質などを組み入れるものが挙げられる。蛍光物質は、蛍光異方性測定法及び/又は蛍光偏光法などの、タンパク質構造におけるシフトを検出するために用いられる分析法において特に有用である。標識の選択は、必要な感度、化合物との結合のし易さ、安定性の要件、及び利用可能な計測手段に基づく。使用できる種々の標識系又はシグナル生成系の概説については、その全体が全ての目的において参照によって本明細書に援用される米国特許第4,391,904号を参照されたい。標識は、当該技術分野において周知の方法に従って、アッセイの所望の成分に直接的又は間接的に結合できる。場合によっては、試験化合物を、GRに対し既知の親和性を有する蛍光標識リガンド(例えば、ステロイド又はステロイド類似体)の存在下でGRと接触させ、標識リガンドの蛍光偏光を測定することにより、結合型及び遊離型の標識リガンドの量を推定する。
【0164】
HepG2チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)アッセイ
GRに対し所望の結合親和性を示した化合物を、GRを介した活性を阻害する際のその活性について試験する。典型的には、これらの化合物を、デキサメタゾンによるチロシンアミノトランスフェラーゼ活性の誘導を阻害する試験化合物の能力を評価する、チロシンアミノトランスフェラーゼアッセイ(TATアッセイ)に供する。実施例1を参照されたい。本明細書で開示される方法に好適なGRモジュレーターは、IC50(50%阻害濃度)が10マイクロモル未満である。以下に記載されるものを含むがこれらに限定はされない、他のアッセイを用いて、化合物のGR調節活性を確認することもできる。
【0165】
細胞ベースアッセイ
グルココルチコイド受容体を含む細胞全体又は細胞画分を用いる細胞ベースアッセイを用いて、試験化合物の結合力やグルココルチコイド受容体の活性の調節力を測定することもできる。本発明の方法において使用できる例示的な細胞型としては、例えば、白血球(好中球、単球、マクロファージ、好酸球、好塩基球、マスト細胞、並びにT細胞及びB細胞などのリンパ球など)、白血病細胞、バーキットリンパ腫細胞、腫瘍細胞(マウス乳腺腫瘍ウイルス細胞を含む)、内皮細胞、線維芽細胞、心細胞、筋細胞、乳腺腫瘍細胞、卵巣がん腫(ovarian cancer carcinomas)、子宮頸がん、グリア芽腫、肝細胞、腎細胞、及び神経細胞を含む任意の哺乳類細胞、並びに、酵母を含む真菌細胞が挙げられる。細胞は、初代細胞、又は腫瘍細胞若しくは他の種類の不死細胞株とすることができる。当然ながら、グルココルチコイド受容体は、内在型のグルココルチコイド受容体を発現しない細胞で発現させることができる。
【0166】
場合によっては、タンパク質融合体のほかに、グルココルチコイド受容体の断片も、スクリーニングに用いることができる。結合においてグルココルチコイド受容体リガンドと競合する分子が望まれる場合、使用されるGR断片はリガンド(例えば、デキサメタゾン)と結合可能な断片である。あるいは、任意のGR断片を、グルココルチコイド受容体と結合する分子を特定するための標的として用いることができる。グルココルチコイド受容体断片としては、グルココルチコイド受容体の、例えば、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個のアミノ酸からなる任意の断片から、1つを除いた全てのアミノ酸を含むタンパク質に至るまで、挙げることができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、グルココルチコイド受容体の活性化によりトリガーされるシグナル伝達の減少が、グルココルチコイド受容体モジュレーターを確認するために利用される。グルココルチコイド受容体のシグナル伝達活性は多くの方法で測定することができる。例えば、下流の分子現象をモニターすることで、シグナル伝達活性を測定することができる。下流の現象としては、グルココルチコイド受容体の刺激の結果として起こる活性又は発現が挙げられる。未変化細胞における転写活性化及び拮抗作用の機能評価において有用な例示的な下流の現象として、いくつかのグルココルチコイド応答エレメント(GRE)依存的遺伝子(PEPCK、チロシンアミノトランスフェラーゼ、アロマターゼ)の発現上昇が挙げられる。加えて、GR活性化を起こしやすい特定の細胞型、例えば、グルココルチコイドによってダウンレギュレートされる骨芽細胞におけるオステオカルシン発現;グルココルチコイドを介したPEPCK及びグルコース-6-リン酸(G-6-Pase)の発現上昇を示す初代肝細胞などを用いてもよい。また、周知のGRE制御配列(例えば、レポーター遺伝子コンストラクトの上流にトランスフェクトされたマウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター(MMTV))を用いたトランスフェクト細胞株においても、GREを介した遺伝子発現が示されている。有用なレポーター遺伝子コンストラクトの例としては、ルシフェラーゼ(luc)、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)が挙げられる。転写抑制の機能評価は、単球又はヒト皮膚線維芽細胞などの細胞株において行うことができる。有用な機能アッセイとしては、トランスフェクト細胞株における、IL-1β刺激によるIL-6発現を測定するもの;コラゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ-2、及び種々のケモカイン類(MCP-1、ランテス)の発現低下を測定するもの;LPS刺激によるサイトカイン放出(例えば、TNFα)を測定するもの;又はNFkB転写因子若しくはAP-1転写因子により制御される遺伝子の発現を測定するものが挙げられる。
【0168】
ホールセルアッセイ(whole-cell assays)で試験された化合物を、細胞毒性アッセイにおいても試験する場合がある。細胞毒性アッセイを用いて、検知された効果がどの程度までグルココルチコイド受容体結合以外の細胞作用によるものであるかを求める。例示的な実施形態では、細胞毒性アッセイは、常時活性型の細胞を試験化合物と接触させることを含む。いかなる細胞活性の減少も細胞毒性効果を示すものである。
【0169】
3)追加的アッセイ
本発明の方法で使用される組成物の確認に用いることができる、多くのアッセイのさらなる例示として、グルココルチコイド活性に基づいたインビボアッセイがある。例えば、推定上のGRモジュレーター(putative GR modulator)の、グルココルチコイドにより刺激される細胞におけるDNAへの3H-チミジンの取り込みを阻害する能力を評価するアッセイを用いることができる。あるいは、推定上のGRモジュレーターを、肝細胞腫組織培養物GRへの結合において、3H-デキサメタゾンと競合させることもできる(例えば、Choiら、Steroids、57巻:pp313~318、1992年を参照)。別の例としては、推定上のGRモジュレーターの、3H-デキサメタゾン-GR複合体の核結合をブロックする能力を利用することができる(Alexandrovaら、J.Steroid Biochem.Mol.Biol、41巻:pp723~725、1992年)。推定上のGRモジュレーターのさらなる確認のために、受容体結合カイネティクスによってグルココルチコイドアゴニストとモジュレーターとを区別できるカイネティクスアッセイを用いることもできる(Jones、Biochem J.、204巻:pp721~729、1982年に記載)。
【0170】
別の例示的な例では、抗グルココルチコイド活性を確認するために、Daune、Molec.Pharm.、13巻:pp948~955、1977年;及び米国特許第4,386,085号に記載のアッセイを用いることができる。簡潔に説明すると、副腎を摘出したラットの胸腺細胞を、デキサメタゾンと試験化合物(推定上のGRモジュレーター)を様々な濃度で含有する栄養培地中でインキュベートする。3H-ウリジンを細胞培養物に添加し、さらにインキュベートし、ポリヌクレオチドへの放射標識の取り込み具合を測定する。グルココルチコイドアゴニストは取り込まれる3H-ウリジンの量を減少させる。すなわち、GRモジュレーターはこの作用に対抗するものである。
【0171】
iii.選択性
次に、上記で選抜されたGRモジュレーターを選択性アッセイに供し、SGRMであるかどうかを判定する。通常、選択性アッセイは、グルココルチコイド受容体と結合する化合物を、グルココルチコイド受容体以外のタンパク質に対する結合の程度について、インビトロで試験することを含む。選択性アッセイはインビトロで実行してもよいし、あるいは上記のように細胞ベースの系で実行してもよい。結合性の試験は、抗体、受容体、酵素などを含む、任意の適切なグルココルチコイド受容体以外のタンパク質に対して行うことができる。例示的な実施形態では、グルココルチコイド受容体以外の結合性タンパク質は、細胞表面受容体又は核内受容体である。別の例示的な実施形態では、グルココルチコイド受容体以外のタンパク質は、ステロイド受容体であり、例えば、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、アンドロゲン受容体、又は鉱質コルチコイド受容体などである。
【0172】
GRに対するアンタゴニストの選択性を、MRと比較して、当業者に公知の種々のアッセイを用いて測定することができる。例えば、MRと比較して、GRへのアンタゴニストの結合能を測定することにより、特異的なアンタゴニストを確認することができる(例えば、米国特許第5,606,021号;同第5,696,127号;同第5,215,916号;同第5,071,773号を参照)。このような分析は、直接結合アッセイを用いて、又は既知リガンドの存在下での精製GR若しくは精製MRに対する競合的結合を評価することによって、行うことができる。例示的なアッセイでは、高レベルでグルココルチコイド受容体又は鉱質コルチコイド受容体を安定発現する細胞(例えば、米国特許第5,606,021号を参照)を、精製された受容体の供給源として用いる。次いで、上記受容体に対する上記リガンドの親和性を直接測定する。次いで、MRと比較して、GRに対し少なくとも10倍、100倍、しばしば1000倍、より高い親和性を示すGRモジュレーターを、本発明の方法で使用するために選抜する。
【0173】
選択性アッセイは、MRを介した活性は阻害しないが、GRを介した活性を阻害する能力の定量を含んでもよい。このようなGR特異的モジュレーターを確認する1つの方法は、アンタゴニストの、レポーター構築物の活性化を妨げる能力を、トランスフェクションアッセイを用いて評価することである(例えば、Bocquelら、J.Steroid Biochem Molec.Biol.、45巻:pp205~215、1993年;米国特許第5,606,021号、同第5,929,058号を参照)。例示的なトランスフェクションアッセイでは、上記受容体をコードする発現プラスミドと、受容体特異的な調節エレメントに連結されたレポーター遺伝子を含むレポータープラスミドとを、好適な受容体陰性宿主細胞に同時トランスフェクト(cotransfect)する。トランスフェクト宿主細胞を次に、上記レポータープラスミドのホルモン応答性プロモーター/エンハンサーエレメントを活性化できる、コルチゾール又はその類似体などのホルモンの存在下及び非存在下で培養する。次に、このトランスフェクション及び培養後の宿主細胞を、レポーター遺伝子配列の産生の誘導(すなわち、存在)についてモニターする。最後に、アンタゴニストの存在下及び非存在下でレポーター遺伝子の活性を求めることにより、ホルモン受容体タンパク質(発現プラスミド上の受容体DNA配列にコードされ、トランスフェクションされ培養された宿主細胞において産生された)の発現及び/又はステロイド結合能を測定する。受容体GR及びMRの既知のアンタゴニストとの比較において、化合物のアンタゴニスト活性を求めてもよい(例えば、米国特許第5,696,127号を参照)。次いで、効力を、参照アンタゴニスト化合物に対しての、それぞれの化合物で確認されたパーセント最大反応として、報告する。MR、PR、又はARと比較して、GRに対して、少なくとも100倍、しばしば1000倍又はそれ以上の活性を示すGRモジュレーターが、本明細書で開示される方法で使用するために選抜される。
【0174】
(医薬組成物及び投与)
i.製剤
いくつかの実施形態では、本発明は、医薬的に許容可能な医薬品添加物とSGRMとを含む医薬組成物、及び、医薬的に許容可能な医薬品添加物とCIC又はCIAとを含む医薬組成物を提供する。
【0175】
本明細書において開示されるSGRM、CIC、又はCIAのいずれも、医薬的に許容可能な担体と一緒に製剤化することができる。このような組成物は、本発明の抗体、又は免疫複合体若しくは二重特異性分子のうちの1種又は組み合わせ(例えば、異なる2種以上)を含んでいてもよい。例えば、本発明の医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合する、又は、相補的な活性を有する、抗体(又は免疫複合体若しくは二重特異性分子)の組み合わせを含むことができる。
【0176】
ある実施形態において、本発明は、コルチゾール過剰を有するACC患者を処置するための医薬組成物であって、医薬的に許容可能な医薬品添加物とGRMとを含む、医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、医薬的に許容可能な医薬品添加物とSGRMとを含む。好ましい実施形態では、前記医薬組成物は、医薬的に許容可能な医薬品添加物と非ステロイド系(nonsterodial)SGRMとを含む。
【0177】
GRM及びSGRM(本明細書で使用される場合、GRM及びSGRMは、非ステロイド性GRM及び非ステロイド性SGRMを含む)は、多種多様な経口、非経口及び局所剤形で調製及び投与され得る。経口調製物が好ましい。経口調製物として、患者による摂取に好適な錠剤、丸薬、粉末、糖衣錠、カプセル、液体、ロゼンジ、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などが挙げられる。GRM及びSGRMはまた、注射、すなわち、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内、又は腹腔内投与されうる。また、GRM及びSGRMは、吸入、例えば、鼻腔内投与され得る。さらに、GRM及びSGRMは、経皮投与され得る。したがって、本発明はまた、医薬的に許容可能な担体又は添加剤及びGRM又はSGRMを含む医薬組成物も提供する。
【0178】
GRM及びSGRMから医薬組成物を調製するために、医薬的に許容可能な担体は、固体又は液体のいずれであってもよい。固体形態の調製物として、粉末、錠剤、丸薬、カプセル、カシェー(cachets)、座薬、及び分散性顆粒が挙げられる。固体担体は、希釈剤、香味剤、バインダー、保存料、錠剤崩壊剤、又はカプセル化材としても作用しうる1又は複数の物質でありうる。製剤及び投与についての技術に関する詳細は、科学文献及び特許文献においてよく記載されており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co,Easton PA(「Remington’s))の最新版を参照されたい。
【0179】
粉末において、前記担体は、微粉化された活性構成要素、GRM又はSGRMとの混合物中にある、微粉化された固体である。錠剤において、前記の活性構成要素は、好適な割合で所要の結合特性を有する前記担体と混合されて、所望の形状及びサイズに圧縮される。
【0180】
前記粉末及び錠剤は、5%~又は10%~70%の前記の活性な化合物を好ましくは含有する。好適な担体は、炭素マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどである。用語「調製物」は、カプセルとなる担体としてのカプセル化材と一緒になった前記活性化合物の製剤であって、他の担体を伴う又は伴わない活性構成要素が担体に包囲されることによって、一緒になっている、前記製剤を含むことが意図される。同様に、カシェー及びロゼンジが含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸薬、カシェー、及びロゼンジは、経口投与に好適な固体剤形として使用されうる。
【0181】
好適な固体添加剤は、炭水化物又はタンパク質フィラーであり、限定されないが、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖;トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ、又は他の植物に由来するデンプン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース;並びに、アラビア及びトラガカントを含むガム;並びに、ゼラチン及びコラーゲンなどのタンパク質が挙げられる。所望により、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、又は、アルギン酸ナトリウムなどのその塩など、崩壊剤又は可溶化剤が添加されてもよい。
【0182】
糖衣錠コアは、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに好適な有機溶媒又は溶媒混合物を含有していてもよい濃縮された糖溶液などの好適なコーティングを備える。前記錠剤又は糖衣錠コーティングには、製品の同定のために又は活性化合物の量(すなわち、投薬量)を特徴付けるために、染料又は顔料が添加されてよい。本発明の医薬調製物はまた、例えば、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル、並びに、ゼラチン及びコーティング、例えば、グリセロール又はソルビトールからなる軟質密封カプセルを用いて経口使用されてもよい。プッシュフィットカプセルは、ラクトース又はデンプンなどのフィラー又はバインダー、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤沢剤、及び、所望により、安定剤と混合されたGRモジュレーターを含有しうる。軟質カプセルにおいて、かかるGRモジュレーター化合物は、脂肪酸油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体中に、安定剤を用いて又は用いずに溶解又は懸濁されていてよい。
【0183】
液体形態調製物として、溶液、懸濁液、及びエマルジョン、例えば、水又は水/プロピレングリコール溶液が挙げられる。非経口注射のためには、液体調製物が、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液中で製剤化され得る。
【0184】
経口使用に好適な水溶液は、前記の活性構成要素を水に溶解すること、並びに、好適な着色料、香味料、安定剤、及び増粘剤を所望により添加することによって調製されうる。経口使用に好適な水性懸濁液は、微粉化された活性構成要素を、天然又は合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガムなどの粘性材料、並びに、天然に存在するリン脂質(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)などの分散又は湿潤剤と共に水に分散させることによって作製され得る。前記水性懸濁液は、p-ヒドロキシ安息香酸エチル又はn-プロピルなどの1又は複数の保存料、1又は複数の着色剤、1又は複数の香味剤、及びスクロース、アスパルテーム又はサッカリンなどの1又は複数の甘味剤を含有することもできる。製剤の浸透圧は調整されうる。
【0185】
使用の少し前に経口投与用の液体形態調製物に変換されることが意図される固体形態の調製物も含まれる。かかる液体形態は、溶液、懸濁液、及びエマルジョンを含む。これらの調製物は、前記の活性構成要素に加えて、着色料、香味料、安定剤、緩衝液、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有しうる。
【0186】
油懸濁液は、SGRMを、落花生油、オリーブ油、ゴマ油若しくはココナッツ油などの植物油、又は、液体パラフィンなどの鉱物油;或いはこれらの混合物に懸濁することによって製剤化されうる。前記油懸濁液は、蜜蝋、硬質パラフィン又はセチルアルコールなどの増粘剤を含有しうる。口当たりの良い経口調製物を提供するために、グリセロール、ソルビトール又はスクロースなどの甘味剤を添加してもよい。これらの製剤は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存されてもよい。注射可能な油ビヒクルの例として、Minto,J.Pharmacol.Exp.Ther.281:93-102,1997を参照されたい。本発明の医薬製剤は、水中油エマルジョンの形態であってもよい。前記油相は、植物油若しくは鉱物油、又はこれらの混合物でありうる。好適な乳化剤として、アカシアガム及びトラガカントガムなどの天然に存在するガム、大豆レシチンなどの天然に存在するリン脂質、モノオレイン酸ソルビタンなどの脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来するエステル又は部分エステル、並びに、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの、これらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられる。前記エマルジョンは、シロップ及びエリキシルの製剤におけるように、甘味剤及び香味剤を含有することもできる。かかる製剤は、鎮痛剤、保存料、又は着色剤を含有していてもよい。
【0187】
GRM及びSGRMは、アプリケータースティック、溶液、懸濁液、エマルジョン、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、ペイント、粉末、及びエアロゾルとして製剤化されて、経皮によって、局所経路によって送達されうる。
【0188】
GRM及びSGRMはまた、体内に徐放するマイクロスフェアとして送達されてもよい。例えば、マイクロスフェアは、皮下に徐放する薬物含有マイクロスフェアの皮内注射を介して(Rao,J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623-645,1995を参照されたい;生分解可能及び注射可能なゲル製剤として(例えば、Gao Pharm.Res.12:857-863,1995を参照されたい);又は経口投与用マイクロスフェアとして(例えば、Eyles,J.Pharm.Pharmacol.49:669-674,1997を参照されたい)投与されうる。経皮経路及び皮内経路は、いずれも、数週間又は数ヶ月間にわたるコンスタントな送達を可能にする。
【0189】
本発明の医薬製剤は、塩として提供され得、限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含めた多くの酸と共に形成されうる。塩は、対応する遊離塩形態である水性又は他のプロトン性溶媒により可溶性である傾向がある。他の場合において、前記調製物は、4.5~5.5のpH範囲内において1mM~50mMヒスチジン、0.1%~2%スクロース、2%~7%マンニトール中の凍結乾燥粉末であってよく、使用の前に緩衝液と合わされる。
【0190】
別の実施形態において、本発明の製剤は、細胞膜と融合する又は取り込まれるリポソームの使用によって、すなわち、エンドサイトーシスを結果として生じさせる細胞の表面膜タンパク質受容体に結合する、前記リポソームに付着した又はオリゴヌクレオチドに直接付着したリガンドを用いることによって、送達され得る。リポソームを使用することによって、リポソーム表面が標的細胞に特異的なリガンドを担っている又は他の場合には特定の器官を優先的に対象とする場合には特に、前記標的細胞へのGRモジュレーターのインビボでの送達に焦点を合わせることができる。(例えば、Al-Muhammed,J.Microencapsul.13:293-306,1996;Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698-708,1995;Ostro,Am.J.Hosp.Pharm.46:1576-1587,1989を参照されたい)。
【0191】
前記医薬調製物は、好ましくは単位剤形である。かかる形態において、前記調製物は、適切な量の前記活性構成要素、GRM又はSGRMを含有する単位用量に細分される。前記単位剤形は、パッケージングされた錠剤、カプセル、及びバイアル又はアンプル内の粉末などの、別々の量の調製物を含有しているパッケージングされた調製物であってもよい。また、前記単位剤形は、カプセル、錠剤、カシェー、若しくはロゼンジ自体であり得、又は、パッケージングされた形態での、適切な数のこれらのいずれかであり得る。
【0192】
単位用量調製物における活性構成要素の量は、0.1mg~10000mg、より典型的には1.0mg~6000mg、最も典型的には50mg~500mgで変動又は調整され得る。好適な投薬量としては、特定の用途及び前記活性構成要素の有効性に応じて、約1mg、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、又は2000mgが挙げられる。組成物は、所望により、他の適合する治療剤を含有することもできる。
【0193】
前記医薬調製物は、好ましくは単位剤形である。かかる形態において、前記調製物は、適切な量の本発明の化合物及び組成物を含有する単位用量に細分される。前記単位剤形は、パッケージングされた錠剤、カプセル、及びバイアル又はアンプル中の粉末などの、別々の量の調製物を含有するパッケージングされた調製物でありうる。また、前記単位剤形は、カプセル、錠剤、カシェー、若しくはロゼンジ自体であり得、又は、パッケージングされた形態の、適切な数のこれらのいずれかでありうる。
【0194】
SGRMを含め、GRMは、経口投与することができる。例えば、前記GRMは、本明細書において記載されているように丸薬、カプセル、又は液体製剤として投与され得る。代替的には、GRMは、非経口投与を介して提供されうる。例えば、前記GRMは、(例えば、注射又は点滴によって)静脈内投与されうる。本明細書において記載されている化合物、及びその医薬組成物又は製剤のさらなる投与方法は、本明細書において記載されている。
【0195】
いくつかの実施形態において、前記GRMは、1回用量で投与される。他の実施形態において、前記GRMは、1を超える用量、例えば、2回用量、3回用量、4回用量、5回用量、6回用量、7回用量、又はこれを超える用量で投与される。いくつかの場合において、前記用量は、等価の量のものである。他の場合において、前記用量は、異なる量のものである。前記用量は、投与の持続期間にわたって増加し得又は次第に減少し得る。前記の量は、例えば、GRMの特性及び患者の特徴にしたがって変動する。
【0196】
任意の好適なGRM投与量を、本明細書に開示される方法で用いることができる。投与されるGRMの投与量は、少なくとも、例えば、1日当たり100ミリグラム(mg)程度、約150mg/日、約200mg/日、約250mg/日、約300mg/日、約350mg/日、約400mg/日、約450mg/日、約500mg/日、約550mg/日、約600mg/日、約650mg/日、約700mg/日、約750mg/日、約800mg/日、約850mg/日、約900mg/日、約950mg/日、約1000mg/日、又はそれ以上とすることができる。
【0197】
場合によっては、GRM(例えば、非ステロイド系SGRMなどのSGRM)の有効量は、少なくとも1種の化学療法剤と共に投与された場合で、1~30mg/kg/日の一日量である。いくつかの実施形態では、GRMの一日量は、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、25、又は30mg/kg/日である。場合によっては、GRMは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、少なくとも12週間、少なくとも13週間、少なくとも14週間、少なくとも15週間、少なくとも16週間、少なくとも17週間、少なくとも18週間、少なくとも19週間、少なくとも20週間、少なくとも25週間、少なくとも30週間、少なくとも35週間、少なくとも40週間、少なくとも45週間、少なくとも50週間、少なくとも55週間、少なくとも60週間、少なくとも65週間、少なくとも70週間、少なくとも75週間、又は少なくとも80週間投与される。
【0198】
ある実施形態において、GRMは経口投与される。いくつかの実施形態では、GRMは少なくとも1回の投与で投与される。言い換えれば、GRMは、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、又はそれ以上の投与回数で投与され得る。ある実施形態において、GRMは、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、又はそれ以上の投与回数で経口投与される。
【0199】
患者には、GRMが、少なくとも1回用量で、1又は複数の用量で、例えば、2~48時間の期間にわたって投与され得る。いくつかの実施形態において、前記GRMは、単回用量で投与される。他の実施形態において、前記GRMは、1を超える用量、例えば、2回用量、3回用量、4回用量、5回用量、又はこれを超える用量で、2~48時間の期間、例えば、2時間の期間、3時間の期間、4時間の期間、5時間の期間、6時間の期間、7時間の期間、8時間の期間、9時間の期間、10時間の期間、11時間の期間、12時間の期間、14時間の期間、16時間の期間、18時間の期間、20時間の期間、22時間の期間、24時間の期間、26時間の期間、28時間の期間、30時間の期間、32時間の期間、34時間の期間、36時間の期間、38時間の期間、40時間の期間、42時間の期間、44時間の期間、46時間の期間又は48時間の期間にわたって投与される。いくつかの実施形態において、前記GRMは、2~48時間、2~36時間、2~24時間、2~12時間、2~8時間、8~12時間、8~24時間、8~36時間、8~48時間、9~36時間、9~24時間、9~20時間、9~12時間、12~48時間、12~36時間、12~24時間、18~48時間、18~36時間、18~24時間、24~36時間、24~48時間、36~48時間、又は42~48時間にわたって投与される。
【0200】
単回又は複数回用量の製剤を、患者によって必要とされ且つ許容される投薬量及び頻度に応じて投与することができる。前記製剤は、疾患状態を有効に処置するのに充分な量の活性剤を提供しうる。そのため、ある実施形態において、GRMの経口投与のための前記医薬製剤の1日量は、1日当たり・キログラム体重当たり約0.01~約150mg(mg/kg/日)である。いくつかの実施形態において、前記1日量は、約1.0~100mg/kg/日、5~50mg/kg/日、10~30mg/kg/日、及び10~20mg/kg/日である。特に、かかる薬物が、経口投与とは対照的に、脳脊髄液(CSF)空間などの解剖学的に隔離された部位に、血液流内に、体腔内に又は器官の内腔内に投与されるときには、より低い投薬量が使用されうる。局所投与においては実質的により高い投薬量が使用されうる。非経口投与可能な製剤を調製するための実際の方法は、当業者に公知又は明らかであり、Remingtonのもの(上記)のような公開物に、より詳細に記載されている。Nieman,「Receptor Mediated Antisteroid Action,」における、Agarwal,et al.,eds.,De Gruyter,New York(1987)も参照されたい。
【0201】
過剰コルチゾールを有する患者のACCを処置するためのGRM又はSGRMによる処置の持続期間は、対象における状態の重篤度及びGRM又はSGRMへの前記対象の応答によって変動し得る。いくつかの実施形態において、GRM及びSGRMは、約1週~104週間(2年間)、より典型的には約6週間~80週間、最も典型的には約9~60週間の期間で投与され得る。好適な投与期間として、5~9週間、5~16週間、9~16週間、16~24週間、16~32週間、24~32週間、24~48週間、32~48週間、32~52週間、48~52週間、48~64週間、52~64週間、52~72週間、64~72週間、64~80週間、72~80週間、72~88週間、80~88週間、80~96週間、88~96週間、及び96~104週間も挙げられる。好適な投与期間として、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、24、25、30、32、35、40、45、48、50、52、55、60、64、65、68、70、72、75、80、85、88、90、95、96、100、及び104週間も挙げられる。概して、GRM又はSGRMの投与は、所望の臨床的に有意な低減又は改善が観察されるまで継続されるべきである。本発明による前記GRM又はSGRMによる処置は、2年間又はさらにこれを超えて持続されうる。
【0202】
いくつかの実施形態において、GRM又はSGRMの投与は、連続的ではなく、1又は複数の期間の間、停止され、続いて、投与が1又は複数の期間の間、再開してもよい。投与が停止する好適な期間として、5~9週間、5~16週間、9~16週間、16~24週間、16~32週間、24~32週間、24~48週間、32~48週間、32~52週間、48~52週間、48~64週間、52~64週間、52~72週間、64~72週間、64~80週間、72~80週間、72~88週間、80~88週間、80~96週間、88~96週間、及び96~100週間が挙げられる。投与が停止する好適な期間として、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、24、25、30、32、35、40、45、48、50、52、55、60、64、65、68、70、72、75、80、85、88、90、95、96、及び100週間も挙げられる。
【0203】
投薬レジメンは、当該分野において周知の薬物動態パラメーター、すなわち、吸収速度、バイオアベイラビリティ、代謝、クリアランスなども考慮する(例えば、Hidalgo-Aragones(1996) J.Steroid Biochem.Mol.Biol.58:611-617;Groning(1996) Pharmazie 51:337-341;Fotherby(1996) Contraception 54:59-69;Johnson(1995) J.Pharm.Sci.84:1144-1146;Rohatagi(1995) Pharmazie 50:610-613;Brophy(1983) Eur.J.Clin.Pharmacol.24:103-108を参照されたい;最近のRemingtonのもの、上記)。臨床医は、最先端の技術によって、個々の患者それぞれの投薬レジメン、GRモジュレーター及び処置される疾患又は状態を決定することができる。
【0204】
SGRMは、グルココルチコイド受容体を調節する際に有用であることが知られている他の活性剤、又は単独では有効でない場合があるが上記の活性剤の効能に寄与し得る補助剤と併用され得る。本明細書に開示される新規な方法はSGRMを抗体チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与することを含む。
【0205】
いくつかの実施形態において、共投与(co-administration)は、1つの活性剤、GRM又はSGRMを、第2の活性剤の0.5、1、2、4、6、8、10、12、16、20、又は24時間以内に投与することを含む。共投与は、2つの活性剤を、同時に、およそ同時に(例えば、互いの約1、5、10、15、20、若しくは30分以内)、又は逐次的に任意の順序で投与することを含む。いくつかの実施形態において、共投与は、共製剤化、すなわち、両方の活性剤を含む単一の医薬組成物を調製することによって達成されうる。他の実施形態において、前記活性剤は、別個に製剤化され得る。別の実施形態において、前記活性剤及び/又は補助剤は、互いに連結していても共役していてもよい。
【0206】
SGRMを含む医薬組成物を許容可能な担体において製剤化した後、これを適切な容器に投入し、指定の状態の処置のためにラベルを付すことができる。GRM又はSGRMの投与について、かかるラベルには、例えば、投与の量、頻度及び方法に関する指示が含まれうる。
【0207】
本発明の医薬組成物は、塩として提供され得、限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含む多くの酸と共に形成されうる。塩は、対応する遊離塩形態である水性又は他のプロトン性溶媒により可溶性である傾向がある。他の場合において、前記調製物は、4.5~5.5のpH範囲内において1mM~50mMヒスチジン、0.1%~2%スクロース、2%~7%マンニトール中の凍結乾燥粉末であってよく、使用の前に緩衝液と合わされる。
【0208】
別の実施形態において、本発明の組成物は、静脈内(IV)投与又は内腔内若しくは器官の内腔内への投与などの非経口投与に有用である。投与のための製剤は、医薬的に許容可能な担体に溶解された本発明の組成物の溶液を一般的に含みうる。用いられ得る許容可能なビヒクル及び溶媒には、水及びリンガー液、等張塩化ナトリウムがある。加えて、滅菌固定油が、溶媒又は懸濁媒体として慣例的に用いられ得る。この目的で、合成モノグリセリド又は合成ジグリセリドを含む任意の無菌性の固定油が用いられ得る。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能なものの調製物において同様に使用されうる。これらの溶液は、滅菌されており、望ましくない物質を概して含まない。これらの製剤は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌されてよい。当該製剤は、pH調整剤及び緩衝剤などのおおよその生理的条件に必要とされる医薬的に許容可能な補助物質、毒性調整剤、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含有し得る。これらの製剤における本発明の組成物の濃度は広範に変動し得、選択される特定の投与形態及び患者の要求にしたがって、主に体液体積、粘度、体重などを基準にして選択される。IV投与では、前記製剤は、滅菌された注射可能な水性又は油性懸濁液などの滅菌された注射可能な調製物でありうる。この懸濁液は、これらの好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して公知の技術にしたがって製剤化されうる。前記の滅菌された注射可能な調製物はまた、1,3-ブタンジオールの溶液などの、非毒性の、非経口で許容可能な希釈剤又は溶媒中の滅菌された注射可能な溶液又は懸濁液であってもよい。
【0209】
ii.投薬
投与に好適な医薬組成物としては、有効成分、例えば、チェックポイント阻害剤及びSGRMが、使用目的を達成するのに有効な量で含有されている、組成物が挙げられる。投与計画は最適な所望の反応(例えば、処置反応)が得られるように調整する。例えば、単回ボーラス投与を行ってもよいし、いくつかの分割量を長期に亘って投与してもよいし、あるいは、投与量を処置状況の緊急性に比例して減少又は増加させてもよい。投与を容易にし、投与量を均一にするために、非経口用組成物を単位用量形態に製剤化することが特に有利である。単位用量形態とは、本明細書で使用される場合、処置対象に対する単位投与量として好適な物理的に別個の単位を指し;各単位は、所望の処置効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を、必要な医薬担体と共に含有する。本発明の単位用量形態の規格は、(a)活性化合物の固有の特徴及び達成すべき特定の処置効果、並びに、(b)個人における感受性を処理するための、かかる活性化合物の配合の、当該技術分野における固有の制限、によって規定され、且つこれらに直接依存するものである。
【0210】
本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の投与量レベルは、特定の患者、組成、及び投与様式において、当該患者に対し毒性とならないように、所望の処置反応を達成するのに有効な有効成分の量が得られるように、変更してもよい。投与量レベルの選択は、種々の要因に依存することとなり、例えば、使用された本発明の特定の組成物、又はそのエステル、塩、若しくはアミドの活性、上記組成物の薬物動態、投与経路、投与時期、使用されている特定の化合物の排泄速度、処置期間、使用された特定の組成物と組み合わせて使用された他の薬剤、化合物、及び/又は材料、処置対象の患者の年齢、性別、体重、状態、全体的な健康、及び既往歴、並びに医学分野で周知の同様の要因が挙げられる。
【0211】
本発明の医薬組成物は単位用量形態であることが好ましい。そのような形態では、製剤は、適切な量の有効成分、GRM(例えば、SGRM)、又は抗体チェックポイント阻害剤を含有する単位用量に小分けされる。この単位用量形態は、パッケージ化された製剤とすることができ、パッケージは個別量の製剤を含有し、例えば、バイアル又はアンプル内にパッケージ化された錠剤、カプセル剤、及び散剤などである。また、単位用量形態は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、又は菓子錠剤そのものとすることもできるし、あるいは、これらのいずれかを適切な数だけパッケージ化した形態とすることもできる。
【0212】
チェックポイント阻害剤又はGRM(例えば、SGRM)の投与計画では、当該技術分野において周知の薬物動態学的パラメーター、すなわち、吸収速度、生物学的利用能、代謝、クリアランスなども考慮される(例えば、Hidalgo-Aragones(1996年)、J.Steroid Biochem.Mol.Biol.、58巻:pp611~617;Groning(1996年)、Pharmazie、51巻:pp337~341;Fotherby(1996年)、Contraception、54巻:pp59~69;Johnson(1995年)、J.Pharm.Sci.、84巻:pp1144~1146;Rohatagi(1995年)、Pharmazie、50巻:pp610~613;Brophy(1983年)、Eur.J.Clin.Pharmacol.、24巻:pp103~108;上記の最新版のRemington’sを参照されたい)。現在の技術水準では、臨床医は、処置される疾患又は状態に基づいて、個々の患者、SGRM、及びチェックポイント阻害剤ごとに、投与計画を決定することができる。
【0213】
単位用量製剤中の有効成分の量は、0.1mg~6000mgの範囲で変更又は調整することができ、より典型的なものとしては1.0mg~3000mg、最も典型的なものとしては10mg~300mgの範囲で変更又は調整することができる。また、好適な投与量として、特定の用途や有効成分の効力に応じて、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、又は約2000mgが挙げられる。組成物には、必要であれば、他の適合性の処置薬を含有させることもできる。患者が必要とし耐容性を示すような投与量及び頻度に基づいて、組成物の単回投与又は複数回投与を行うことができる。
【0214】
抗体チェックポイント阻害剤を含有する組成物は、単独又はGRM(例えば、SGRM)と組み合わせて投与された場合に、がんを効果的に処置するのに十分な量の有効成分、すなわち抗体チェックポイント阻害剤を与えるものであるべきであり、例えば、ACC腫瘍量を減少させたり、がんの改善に関連した他の有益又は所望の臨床結果を達成できる量である。すなわち、投与計画は多様になり得るが、標準的な方法を用いてルーチンに決定できる。場合によっては、医薬組成物はCICを含み、当該有効成分を約1~2,000mg、好ましくは約10~約1000mg、最も好ましくは約250~500mgの一日量で投与することが適切であり得る。この一日量は、1日に1回~4回の投薬で投与することができる。他の投与スケジュールとしては、週1回の投与、及び2日周期で1回の投与がある。
【0215】
場合によっては、医薬組成物はCIAを含有しており、投与量(有効成分の投与量)は、ホスト体重の約0.0001~100mg/kgの範囲を取り、より通常の範囲としては、0.01~20mg/kgの範囲を取る。例えば、投与量は、0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重、10mg/kg体重であったり、0.1~20mg/kgの範囲内であり得る。例示的な処置計画(regime)は、1日1回、週1回、週2回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、月1回、3か月毎に1回、又は3~6か月毎に1回の投与を必要とする。場合によっては、処置は、1つ目の期間は上記投与計画のうちの1つに従い、2つ目の期間は上記投与計画のうちの別のものに従って、CIAを投与することを含む。場合によっては、一定の期間の処置の中断の後、同じ又は異なる投与計画が再開される。例えば、患者が、CIA投与計画を、2週間実施し、1週間中断し、また2週間実施するなどが挙げられる。本発明の好ましいCIA投与計画としては、静脈内投与による、0.1mg/kg体重、0.3mg/kg体重、2mg/kg体重、3mg/kg体重、又は10mg/kgが挙げられ、当該抗体は下記投与スケジュールのうちの1つを用いて与えられる:(i)4週間毎を6回投与後、3か月毎;(ii)3週間毎;(iii)3mg/kg体重を1回、その後1mg/kg体重を3週間毎。
【0216】
いくつかの方法では、結合特異性が異なる2種以上のCIAが同時に投与され、その場合、各抗体の投与量は上述の範囲内に含まれる。CIAは通常、複数回投与される。各単回投与間の間隔は、例えば、週毎、月毎、3か月毎、又は年毎であり得る。患者における標的抗原に対する抗体の血中レベルを測定することで、上述のように、間隔を不規則にすることもできる。いくつかの方法では、約1~1000μg/ml、いくつかの方法では約25~300μg/mlの血漿抗体濃度を達成するように、投与量を調整する。
【0217】
併用療法で用いられるGRM(例えば、SGRM)を含有する組成物は、がんを処置する際にチェックポイント阻害剤の活性を効果的に増強するのに十分な量の活性薬剤を与えるものであるべきであり、例えば、処置量の抗体チェックポイント阻害剤と組み合わされた場合に、GRM(例えば、SGRM)を伴わない同じ処置量のチェックポイント阻害剤の投与と比較して、患者における、ACC腫瘍量を減少させることができる、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路を回復することができる、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤を増加させることができる、ACC腫瘍内への好中球の浸潤を減少させることができる、あるいは、関連するがん症状をより大きく緩和できる、又は、より有益若しくは望ましい臨床結果を達成できる量である。場合によっては、上記組成物は、ACC腫瘍をチェックポイント阻害剤に対して感受性にする量、すなわち、当該腫瘍をチェックポイント阻害剤単独で処置した場合には現れない、腫瘍量の減少又は他の関連の臨床的利益を示す量の、GRM(例えば、SGRM)を与えるものである。このことから、投与経路及び処置されるがんの種類に応じて投与計画は多様になり得るが、標準的な方法を用いてルーチンに決定できる。いくつかの実施形態では、GRM(例えば、SGRM)は、月1回、月2回、月3回、1週間おき、週1回、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、一日おき、1日1回、1日2回、1日3回、又はそれ以上の頻度で投与される。
【0218】
場合によっては、GRM(例えば、SGRM)を含有する医薬組成物の一日経口投与量を、本明細書で開示される方法に用いることができ、1日当たり約1~約2000mg(mg/日)の範囲をとる。いくつかの実施形態では、上記一日量は約10~1000mg/日、50~500mg/日、100~300mg/日である。特に上記薬剤が、経口投与とは異なって、脳脊髄液(CSF)腔などの解剖学的に隔離された場所に、血流中に、体腔内に、又は臓器の内腔内に投与される場合、より少ない用量を用いることもできる。局所投与で用いる投与量はかなり高くすることができる。非経口投与用組成物を調製するための実際の方法は、公知であったり、当業者には明らかなものであり、上記Remington’sなどの刊行物により詳細に説明されている。また、Nieman、「Receptor Mediated Antisteroid Action」、Agarwalら(編)、デ・グロイター社(De Gruyter)、ニューヨーク(1987年)も参照されたい。いくつかの実施形態では、SGRMはCORT125281である。いくつかの実施形態では、SGRMはCORT125134である。
【0219】
本発明のGRM(例えば、SGRM)又は抗体チェックポイント阻害剤を含む医薬組成物は、許容できる担体に含ませて製剤化した後、適切な容器に入れて、指定の状態の処置用にラベルすることができる。GRM(例えば、SGRM)又はチェックポイント阻害剤の投与の場合、このようなラベルには、例えば、投与の量、頻度、及び方法に関する指示が含まれるであろう。
【0220】
併用療法
本明細書で開示される方法は、あるACC腫瘍量を示す対象にGRM(例えば、SGRM)及び抗体チェックポイント阻害剤の両方を投与する併用療法を含み、上記ACC腫瘍量は、場合によっては、抗体チェックポイント阻害剤感受性がんが存在することによるものである。いくつかの実施形態では、上記併用療法は、処置期間の全体又は一部の間に任意の順番で順次に、抗体チェックポイント阻害剤及びSGRMの投与を含む。あるACC腫瘍量を示す対象にGRM(例えば、SGRM)及び抗体チェックポイント阻害剤の両方を投与することを含む併用療法は、患者における、ACC腫瘍量を減少させる、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路を回復する、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤を増加させる、ACC腫瘍内への好中球の浸潤を減少させる、並びに、患者に対して他の処置効果を奏するのに有効であると考えられている。
【0221】
場合によっては、GRM(例えば、SGRM)及びチェックポイント阻害剤は、同じ投与計画に従って、あるいは異なる投与計画に従って投与される。場合によっては、GRM(例えば、SGRM)は予定された投与計画に従って投与され、チェックポイント阻害剤は間欠的に投与される。場合によっては、チェックポイント阻害剤は予定された投与計画に従って投与され、GRM(例えば、SGRM)は間欠的に投与される。場合によっては、GRM(例えば、SGRM)及びチェックポイント阻害剤の両方が間欠的に投与される。いくつかの実施形態では、GRM(例えば、SGRM)は毎日投与され、チェックポイント阻害剤、例えば抗体チェックポイント阻害剤は、毎週又は隔週で投与される。
【0222】
場合によっては、GRM(例えば、SGRM)及びチェックポイント阻害剤は、順次又は同時に、月1回若しくは2回、月3回、隔週、週1回、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、隔日、1日1回、1日2回、1日3回、又はそれ以上の頻度で、約1日間~約1週間、約2週間~約4週間、約1か月間~約2か月間、約2か月間~約4か月間、約4か月間~約6か月間、約6か月間~約8か月間、約8か月間~約1年間、約1年間~約2年間、若しくは約2年間~約4年間の範囲の期間、又はそれ以上の期間に亘って継続的に、投与される。
【0223】
いくつかの実施形態では、併用療法は、GRM(例えば、SGRM)及び抗体チェックポイント阻害剤を同時投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗体チェックポイント阻害剤及びGRM(例えば、SGRM)の同時投与は、上記2剤を同時又はおよそ同時に(例えば、互いに約1分以内、約5分以内、約10分以内、約15分以内、約20分以内、又は約30分以内)投与することを含む。
【0224】
コルチゾール過剰を有するACC患者を処置するために、GRM又はSGRMと抗体チェックポイント阻害剤との種々の組み合わせを用いることができる。そのような処置は、患者における、ACC腫瘍量を減少させる、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路を回復する、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤を増加させる、ACC腫瘍内への好中球の浸潤を減少させる、並びに、患者に対して他の治療効果を奏するのに有効でありうる。「併用療法」又は「併用して」とは、治療薬同士が、同時に投与されなければならない、且つ/又は、一緒に送達されるように製剤化されなければならないことを意味することを意図するものではないが、これらの送達法も本明細書に記載の範囲に含まれる。GRM又はSGRMと抗体チェックポイント阻害剤とは、同じ投与計画に従って投与することもできるし、あるいは異なる投与計画に従って投与することもできる。いくつかの実施形態では、GRM又はSGRMと抗体チェックポイント阻害剤とは、処置期間の全体又は一部の間に任意の順番で順次に投与される。いくつかの実施形態では、GRM又はSGRMと抗体チェックポイント阻害剤とは、同時又はおよそ同時に(例えば、互いに約1分以内、約5分以内、約10分以内、約15分以内、約20分以内、又は約30分以内)投与される。例えばGRM又はSGRMと抗体チェックポイント阻害剤との投与による、併用療法の非限定例は以下の通りである。ここでGRM又はSGRMは「A」であり、化学治療計画(chemo therapy regime)の一部として与えられる抗体チェックポイント阻害剤が「B」はある。
【0225】
A/B/AB/A/BB/B/AA/A/BA/B/BB/A/AA/B/B/B B/A/B/B
【0226】
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A
【0227】
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
【0228】
患者への治療化合物又は剤の投与は、もし治療の毒性があればそれを考慮した上で、かかる化合物の投与の一般的なプロトコルにしたがう。記載されている治療と組み合わせて外科的介入が適用されてもよい。
【0229】
本方法は、手術、放射線、標的療法、免疫療法、成長因子阻害剤の使用、又は抗血管新生因子などの、他の処置手段と組み合わされうる。
【0230】
期間
患者における、腫瘍量を減少させる、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路を回復する、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤を増加させる、ACC腫瘍内への好中球の浸潤を減少させる、並びに、患者に対して他の治療効果を奏するための、GRM(例えば、SGRM)及び抗体チェックポイント阻害剤による処置期間は、対象における上記状態の重症度及び対象の併用療法に対する応答によって異なりうる。いくつかの実施形態では、GRM(例えば、SGRM)及び/又はチェックポイント阻害剤は、約1週間~104週間(2年間)の期間、より典型的なものとしては約6週間~80週間の期間、最も典型的なものとしては約9週間~60週間の期間、投与される場合がある。好適な投与期間としては、5~9週間、5~16週間、9~16週間、16~24週間、16~32週間、24~32週間、24~48週間、32~48週間、32~52週間、48~52週間、48~64週間、52~64週間、52~72週間、64~72週間、64~80週間、72~80週間、72~88週間、80~88週間、80~96週間、88~96週間、及び96~104週間が挙げられる。好適な投与期間としては、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、24週間、25週間、30週間、32週間、35週間、40週間、45週間、48週間、50週間、52週間、55週間、60週間、64週間、65週間、68週間、70週間、72週間、75週間、80週間、85週間、88週間、90週間、95週間、96週間、100週間、及び104週間も挙げられる。通常、SGRM及び/又は抗体チェックポイント阻害剤の投与は、所望の臨床的利益が確認されるまで継続されるべきであり、かかる利益の維持又はさらなる増強などのために、かかる利益が確認された後も継続されてよい。本発明におけるGRM(例えば、SGRM)及び抗体チェックポイント阻害剤による処置は、2年もの間、さらにはそれよりも長く、続いてもよい。いくつかの実施形態では、GRM(例えば、SGRM)投与の期間は、チェックポイント阻害剤の投与期間と同じである。いくつかの実施形態では、SGRM投与の期間は、チェックポイント阻害剤の投与期間よりも短いか、あるいは長い。
【0231】
いくつかの実施形態では、GRM(例えば、SGRM)又は抗体チェックポイント阻害剤の投与は、連続的ではなく、1又は複数の休薬期間と、その後に1又は複数の投与再開期間を置くことができる。好適な休薬期間としては、5~9週間、5~16週間、9~16週間、16~24週間、16~32週間、24~32週間、24~48週間、32~48週間、32~52週間、48~52週間、48~64週間、52~64週間、52~72週間、64~72週間、64~80週間、72~80週間、72~88週間、80~88週間、80~96週間、88~96週間、及び96~100週間が挙げられる。好適な休薬期間として、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、24週間、25週間、30週間、32週間、35週間、40週間、45週間、48週間、50週間、52週間、55週間、60週間、64週間、65週間、68週間、70週間、72週間、75週間、80週間、85週間、88週間、90週間、95週間、96週間、及び100週間が挙げられる。
【0232】
(腫瘍量の減少を含む、コルチゾール過剰患者のACCの処置における改善の評価)
本明細書で開示される併用療法は、コルチゾール過剰を有し、ACC腫瘍を有する患者を処置するのに有効であると考えられており;ある実施形態において、かかる処置は、患者における、腫瘍量を減少させる、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路を回復する、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤を増加させる、ACC腫瘍内への好中球の浸潤を減少させる、並びに、患者に対して他の治療効果を奏するのに有効であり得る。これらの反応を測定するための方法は、がん治療分野の当業者に周知である。例えば、腫瘍量を測定するための方法は、http://ctep.cancer.gov/protocolDevelopment/docs/recist_guideline.pdfで入手できる、固形腫瘍における反応評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)(「RECIST」)基準に記載されている。
【0233】
あるアプローチでは、腫瘍量の測定は、腫瘍特異的な遺伝子マーカーの発現を定量することにより行われる。このアプローチは、転移性腫瘍や測定が容易ではない腫瘍(例えば、骨髄がん)に対して特に有用である。腫瘍特異的遺伝子マーカーとは、がん細胞に固有である、又は、非がん細胞よりもがん細胞においていっそう豊富である、タンパク質などの分子である。例えば、国際公開第2006104474号を参照されたい。腫瘍特異的遺伝子マーカーの非限定例としては、肝臓がんのα-フェトプロテイン(AFP)、多発性骨髄腫のβ-2-ミクログロブリン(B2M);絨毛がん及び胚細胞性腫瘍のβ-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG);膵がん、胆嚢がん、胆管がん、及び胃がんのCA19-9;卵巣がんのCA-125及びHE4;結腸直腸がんのがん胎児性抗原(CEA);神経内分泌腫瘍のクロモグラニンA(CgA);膀胱がんのフィブリン/フィブリノーゲン;前立腺がんの前立腺特異的抗原(PSA);甲状腺がんのチログロブリンが挙げられる。http://www.cancer.gov/about-cancer/diagnosis-staging/diagnosis/tumor-markers-fact-sheetを参照されたい。
【0234】
腫瘍特異的遺伝子マーカーの発現レベルを測定する方法は周知である。いくつかの実施形態では、遺伝子マーカーのmRNAが血液試料又は腫瘍組織から単離され、リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が行われることで、遺伝子マーカーの発現が定量化される。いくつかの実施形態では、ウェスタンブロット又は免疫組織化学分析が行われることで、腫瘍特異的遺伝子マーカーのタンパク質発現が評価される。典型的には、腫瘍特異的遺伝子マーカーのレベルは、本発明の併用療法の長期に亘って採取された複数の試料において測定され、レベルの減少は腫瘍量の減少と相関する。
【0235】
別のアプローチでは、本明細書で開示される併用療法による腫瘍量の減少は、腫瘍サイズの減少又は身体中のがん量の減少によって示される。腫瘍サイズの測定は、典型的には、イメージングをベースとした方法で達成される。例えば、コンピュータ断層撮影(CT)は、既存の病変の成長、又は新規の病変若しくは腫瘍転移の発生を特定することにより、腫瘍の縮小又は成長についてだけでなく、疾患の進行についても、正確且つ信頼できる解剖学的情報を提供することができる。患者における、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤の増加、並びにACC腫瘍における好中球の浸潤の減少は、画像ベースの方法やその他の適切な手段によって測定されうる。
【0236】
別のアプローチにおいて、患者における、腫瘍量の減少、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤の増加、並びにACC腫瘍における好中球の浸潤の減少は、機能イメージング技術及び代謝イメージング技術によって評価されうる。これらの技術では、灌流、酸素化、及び代謝における変化を観察することにより、治療応答をより早期に評価することができる。例えば、18F-FDG PETでは、放射標識グルコース類似体分子を用いて、組織代謝の評価を行う。腫瘍では通常、グルコース取り込み量が上昇しており、腫瘍組織代謝の減少に対応する値の変化は腫瘍量の減少を示す。同様のイメージング技術が、Kangら、Korean J.Radiol.、(2012年)、13巻(4号)、pp371~390で開示されている。
【0237】
本明細書で開示される併用療法を受ける患者は、腫瘍量減少の程度にばらつきを示す場合があり、また、患者における、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤の増加、並びにACC腫瘍における好中球の浸潤の減少にばらつきを示す場合がある。場合によっては、患者は「疾患所見なし(NED)」とも称される完全奏効(CR)を示す可能性がある。CRは、全ての検出可能な腫瘍が消失したことが、検査、診察、及びスキャンによって示されたことを意味する。場合によっては、本明細書で開示される併用療法を受けている患者は、総腫瘍体積の少なくとも50%の減少にほぼ相当する部分奏効(PR)を示す可能性があるが、まだいくらかの残存病変の所見が残っている。場合によっては、深部部分奏効における残存病変は、実際には死んだ腫瘍や瘢痕である場合があるため、PR患者と分類された少数の患者は、実際にはCR患者である場合がある。また、処置中に縮小を示す多くの患者は、処置の継続によりさらなる縮小を示し、CRを達成する場合がある。場合によっては、併用療法を受けている患者は、小奏効(minor response)(MR)を示す可能性があり、これはおおよそ、総腫瘍体積の25%を超えるがPRとなる50%には満たない小さな縮小量を意味する。場合によっては、併用療法を受けている患者は、安定病態(SD)を示す可能性があり、SDは、腫瘍がほぼ同じサイズに留まるが、小さな成長量(典型的には20%未満又は25%未満)、又は、小さな縮小量(小奏効が起こる限りの、PR未満の全て。その場合は、SDは典型的には25%未満(less 25%)と定義される)のいずれかを示す可能性があることを意味する。
【0238】
ACC腫瘍量の減少、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤増加、並びにACC腫瘍内への好中球の浸潤減少に加えて、併用療法から得られる所望の有益な結果又は所望の臨床結果には、例えば、末梢器官内へのがん細胞の浸潤を減少させる(すなわち、ある程度遅らせる、且つ/又は止める);腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度遅らせる、且つ/又は止める);奏功率(RR)を増加させる;効果持続期間を延長する;当該がんに関連した症状のうちの1又は複数をある程度軽減する;当該疾患を処置するのに必要な他の治療薬の投与量を減少させる;当該疾患の進行を遅らせる;並びに/又は、患者の生存を延長する、及び/若しくは生活の質を改善することも含まれる場合がある。これらの効果を評価するための方法は、周知であり、且つ/又は、上記のhttp://cancerguide.org/endpoints.html and RECIST guidelinesなどに開示されている。
【実施例】
【0239】
以下の例は、例示としてのみ提供されるものであり、限定するものではない。当業者は、本質的に同様の結果を生じるように変化又は変更され得る様々な重要でないパラメーターを容易に理解するであろう。
【0240】
(実施例1.HepG2チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)アッセイ)
以下のプロトコルは、HepG2細胞(ヒト肝臓の肝細胞がん細胞株;ECACC、UK)においてデキサメタゾンによるTATの誘導を測定するアッセイを記載する。HepG2細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清;2mM L-グルタミン及び1%(v/v)NEAAを補充したMEME培地において37℃、5%/95%(v/v)CO2/空気において培養する。前記HepG2細胞を、次いで、カウントし、フェノールレッドを含まないRPMI1640、10%(v/v)チャコールストリップFBS、2mM L-グルタミンにおいて0.125×106細胞/mlの密度を生じるように調整し、200μlにおいて25,000細胞/ウエルで96ウエルの滅菌組織培養マイクロタイタープレートに播種し、37℃、5%CO2において24時間インキュベートする。
【0241】
次いで、成長培地を除去し、アッセイ培地{フェノールレッドを含まないRPMI1640、2mM L-グルタミン+10μMフォルスコリン}と置き換える。次いで、試験化合物を、100nMデキサメタゾンのチャレンジに対してスクリーニングする。次いで、化合物を、10mMストックから100%(v/v)ジメチルスルホキシドで連続半対数希釈する。次いで、8点半対数希釈曲線を作成し、続いて、アッセイ培地内で1:100希釈して、10×の最終アッセイの化合物濃度を与え、これにより、結果として、0.1%(v/v)ジメチルスルホキシド中10~0.003μMの範囲内である最終アッセイの化合物濃度を生じさせる。
【0242】
試験化合物をマイクロタイタープレートにおいて37℃、5/95(v/v)CO2/空気において30分間プレインキュベートした後、100nMデキサメタゾンを添加し、次いで、その後20時間で、最適なTAT誘導を可能にする。
【0243】
次いで、HepG2細胞を、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含有する30μlの細胞溶解緩衝液によって4℃で15分間溶解する。次いで、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中5.4mMチロシンナトリウム塩、10.8mMアルファケトグルタレート及び0.06mMピリドキサール5’ホスフェートを含有する155μlの基質混合物を添加することができる。37℃で2時間のインキュベーション後、15μlの10M水酸化カリウム水溶液の添加によって反応を終了させることができ、プレートを37℃でさらに30分間インキュベートしうる。TAT活性生成物はλ340nmにおける吸光度によって測定することができる。
【0244】
IC50値は、(100nMデキサメタゾンTAT刺激に対して正規化した)%阻害を化合物濃度に対してプロットすること、及びこのデータを4パラメーターロジスティク方程式にフィッティングすることによって算出することができる。IC50値は、アンタゴニストがデキサメタゾンに関する競合阻害剤であると仮定して、Cheng-Prusoff式を使用してKi(平衡解離定数)に変換することができる。
【0245】
(実施例2:コルチゾール過剰を有するACC腫瘍患者における遺伝子発現)
方法:別々の 副腎切除術(n=71)から得られたGC状態、mRNA発現、DNA変異、及びDNAメチル化の各データは、がんゲノムアトラス(TCGA)(URL、about-nci/organization/ccg/research/srtuctural-genomics/tcgaの「cancer.gov」からアクセス可能)からアクセスした。免疫細胞種の存在量を解析するため、xCellを上記mRNAデータに適用した。ランダムフォレストを用いて、遺伝子シグネチャーを抽出した(Aran、Dvir、Zicheng Hu、及びAtul J. Butte.、「xCell: digitally portraying the tissue cellular heterogeneity landscape.」、Genome biology、18巻、1号(2017年):p220)。cBioPortal(cbioportal.orgからアクセス可能)から遺伝子解析を行ってもよい。
【0246】
結果:858種の遺伝子の発現が、GC-ACC症例とGC+ACC症例との間で顕著に異なっていた。KEGGパスウェイ解析では、GC+症例において、ステロイド合成及び分泌に関与する7経路の遺伝子発現が高くなっていることが示された。19経路は発現が低下していることが示され、これらの大部分は、ナチュラルキラー細胞、T細胞、及び免疫活性に関連するものであった。ステロイド合成経路では低メチル化が主に観察された。GC+症例では、腫瘍浸潤性CD4+メモリーT細胞(P=.003)、CD8+メモリーT細胞(P<.001)、及びNKT細胞(P=.014)は枯渇していたが、一方、腫瘍関連好中球は富化されていた(P<.001)。GC+症例では、腫瘍遺伝子変異量(TMB)が高くなっていることが確認された(P=.029)。
【0247】
GC+ACC腫瘍は、全身性コルチゾール過剰を有さないACC腫瘍と比較して、免疫プロセスにおいて特定の差異を示した。具体的には、ナチュラルキラー(NK)媒介性細胞毒性に関与する遺伝子、T
H17細胞分化に関与する遺伝子、T細胞受容体シグナル伝達に関与する遺伝子、T
H1/2分化に関与する遺伝子、並びに抗原プロセシング及び抗原提示に関与する遺伝子が、GC+ACC腫瘍では発現低下していた(
図1)。
【0248】
さらに、特定の免疫細胞の有無が、コルチゾール過剰を有するACC腫瘍とコルチゾール過剰を有さないACC腫瘍とでは異なっていた。CD4+ナイーブT細胞、CD4+メモリーT細胞、CD8+T細胞、CD8+セントラルメモリーT細胞、並びにナチュラルキラーT細胞(NKT)は、GC+症例の方が少なかった(
図2)。対照的に、腫瘍関連好中球(TAN)はGC+ACCの方が多かった。
【0249】
免疫細胞及び免疫関連転写物の存在量はGC+ACCの方が少なかった。GC+腫瘍の方がTMBが多いのは、ネオアンチゲン耐性の増加に関連している可能性がある。これらの知見は、GR拮抗作用が、内因性GCの免疫抑制効果を逆転させることで、GC活性が上昇したACC又はその他の悪性腫瘍における腫瘍免疫応答を促進し得ることを示唆している。
【0250】
結論:
抗体チェックポイント阻害剤に対する臨床応答は免疫系に依存している。具体的には、T細胞の機能及び抗原提示が、抗体チェックポイント阻害剤の臨床効果に重要となる。さらに、免疫細胞の浸潤が、抗体チェックポイント阻害剤の臨床効果と関連している。T細胞の浸潤が少ない、又は好中球の浸潤が多い腫瘍は、抗体チェックポイント阻害剤に対する反応が乏しい傾向にある。すなわち、GRM(例えば、SGRM)を用いてGC+の作用を逆転させることで、抗体チェックポイント阻害剤に対する反応が改善する可能性がある。以上のことから、SGRMなどのGRMと、抗体チェックポイント阻害剤との併用投与は、コルチゾール過剰を有するACC患者における、腫瘍量を減少させ、T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路を回復させ、ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤を増加させ、ACC腫瘍内への好中球の浸潤を減少させるのに有効であると考えられる。
【0251】
(実施例3:コルチゾール過剰を有するACC腫瘍患者における遺伝子発現)
方法:別々の副腎切除術(n=71)から得られた、GC状態(臨床徴候及び臨床症状又は生化学的所見に基づいた)、mRNA発現、DNA変異、及びDNAメチル化のデータは、TCGA(www.cancer.gov/tcga)からアクセスした。2つの肉腫様症例を解析から除外した。394,036種のメチル化プローブを解析し、BMIQ(beta-mixture quantile normalization)を用いてデータを正規化した。免疫細胞種の存在量を解析するため、xCellを上記mRNAデータに適用した(Aranら、Genome Biol.18巻(1号):p220(2017年))。各腫瘍症例を、既公開のGR活性のシグネチャー(Westら、24巻(14号):pp3433~3446(2018年))を用いてスコアリングした。ランダムフォレストを用いて、GC+腫瘍を予測する遺伝子シグネチャーを抽出した。シグネチャー遺伝子は、データの80%を含むランダムなサブセットに関するランダムフォレストをブートストラップし、平均ブートストラップ遺伝子重要度を閾値と比較することにより、特定した。閾値は、シグナルの不足をシミュレートするために、真のGC+/-ラベルの代わりにランダム化されたラベルを予測したランダムフォレストに、同じ手順を適用することにより算出した。遺伝子重要度の99.9分位値を閾値として選択した。
【0252】
結果:腫瘍のグルココルチコイドステータスを用いて、副腎皮質がん腫を分類した(
図3A)。TCGAのmRNAデータを用いて、一般的なホルモンやGCステータスに有意な相違があった遺伝子群(2倍超の変化であり、且つ調整済みPが0.05以下である)を特定した。GC過剰の有無(GC+/-)が、最大数の遺伝子に影響を与えることが特定された(858種の遺伝子、
図3Aの比較1、
図3Bに図示)。任意のホルモンの有無(H+/-)の判定では、439種の遺伝子(比較2)に有意差があった。(H+はホルモンが存在することを表し、H-はホルモンが存在しないことを表す(例えば、GCなし、アンドロゲンなし、エストロゲンなし、プロゲステロンなしなどが検出された)。)H-腫瘍と、GC以外のホルモンのみを発現している腫瘍(NGC+、比較3)との間に、有意差はなかった。NGC+とGC+とを比較したところ、185種の遺伝子に有意差があることが明らかとなった(比較4)。京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)による経路解析では、GC+症例において、いくつかのステロイド合成経路の遺伝子発現が高くなっており、多数の免疫に関連した経路の発現が低くなっていることが確認された(
図1)。
【0253】
上記の実施例2で述べた通り、
図2は、ACC腫瘍における、特定の免疫細胞種の存在量を示している。GC+症例においては、リンパ球の存在量が少なく(左)、間葉系幹細胞及び好中球の存在量が多かった(右)。GC+ACC腫瘍では、リンパ球の存在量が少なく、骨髄系幹細胞及び間葉系幹細胞の存在量が多く、腫瘍遺伝子変異量が多い。xCell解析において、GC-(
図2、左)と比較して、GC+症例では、T細胞(P<.005)及びナチュラルキラーT細胞(NKT細胞、P=.014)の存在量が少ないことが示された。一方、間葉系幹細胞及び好中球は、GC+症例の方が存在量が多かった(P<.001、
図2、右)。腫瘍遺伝子変異量も、GC+症例の方が大きいことが確認された(P=.029、
図7)。
【0254】
図3Bに示されているように、858種の遺伝子の発現が、GC過剰による有意な影響を受けることが分かった。GC+症例で発現量が高かった遺伝子(GC-と比較して、P≦.05、且つ2倍超の発現量変化)が、右上に示されている。GC+症例で発現量が少なかった遺伝子は左上に示されている。
【0255】
GC過剰は、ステロイド合成遺伝子の低メチル化と関連している(
図4)。GC+ACC症例では、多数の遺伝子が有意な低メチル化状態であり(
図4、左上)、一方、高メチル化状態の遺伝子はわずかであった(
図4、右上)。GC+腫瘍では、有意に低メチル化状態である遺伝子(P≦0.05、Δβ<-0.2)の方が、高メチル化状態の遺伝子(P≦0.05、Δβ>0.2)よりも多かった(
図4)。β値は、ある遺伝子におけるメチル化の割合を表す。メチル化の差異は、ステロイド産生経路の発現上昇を説明するものであり得るが、免疫経路の発現低下を説明するものではない。低メチル化状態の遺伝子は主に、GC+ACCで発現上昇される、アルドステロン、GC、及び胆汁の合成/分泌経路と関連したものであった(
図1)。対照的に、mRNA解析で遺伝子発現の発現低下が確認された免疫経路は、低メチル化状態のセットにおいても高メチル化状態のセットにおいても濃縮されていなかった。
【0256】
図5及び
図6に示されているように、免疫遺伝子の抑制はGCの生産と関連している。T細胞受容体シグナル伝達KEGG経路及びナチュラルキラー細胞媒介性細胞毒性KEGG経路に関する、正規化された遺伝子発現の教師なしクラスタリングによって、GC+症例の方が遺伝子発現が低いことが示された(
図5)。逆に、GC+とGC-とを別々にクラスタリングした場合、GC+症例はこれら2つの免疫関連経路の発現がより低くなる傾向を示す(
図6)。
【0257】
図5は、2つのKEGG経路に関する正規化された遺伝子発現の教師なしクラスタリングを示している。示されている経路には、T細胞受容体シグナル伝達経路と、ナチュラルキラー細胞媒介性細胞毒性経路とが含まれる。上2つの列は各腫瘍のGC及び一般的ホルモンのステータス(黒:GC+/H+、白:GC-/H-)を示しており、青/赤の色合い(グレースケールで示されている)は各腫瘍の正規化された遺伝子発現を示しており、青の暗みが増すほど低発現であることに相当する。遺伝子発現によってクラスタリングを行った場合、GC+症例は図の右側に現れ、多くの遺伝子が低発現を示す。
【0258】
図6.
図5に示された2つのKEGG経路に関する正規化された遺伝子発現の教師ありクラスタリング。GC+症例(右側に密集)では、低遺伝子発現がこれらの経路で優勢である(暗い青)。
【0259】
図7.GC+ACCにおける腫瘍遺伝子変異量の上昇。GC+症例では、GC-症例に比べてより多くのミスセンス変異とナンセンス変異が確認された。(症例とは個々の患者の腫瘍である。「症例毎の変異」とは1つの腫瘍で特定された変異の総数。)
【0260】
図8.様々な腫瘍型及びACCサブセットのGR活性スコア。ACCは、他の腫瘍と比較して、高いGR駆動型遺伝子活性を示し、ホルモンステータスは無関係であった(挿入図を参照)。GR活性はACCで高く、ホルモンステータスとは無関係である。74種のGR活性化関連遺伝子から決定された、既公開のGR駆動型遺伝子シグネチャー(Westら、24巻(14号):pp3433~3446(2018年))を用いて腫瘍スコアリングを行ったところ、GR活性が、がんゲノムアトラス(TCGA;
図8)における他の腫瘍型と比べて、ACCにおいて高いことが確認された。ホルモンステータスやGCステータスが異なるACC症例同士の間では差はなかった(
図8の挿入図)。
【0261】
図9.遺伝子シグネチャーはGC+様腫瘍症例を予測可能である。
図9は、ランダムフォレスト分析を用いた、GC+ACC症例とGC-ACC症例とを区別する遺伝子シグネチャーの導出結果を示している。NLRP1及びZNF683(ハイライト表示)を、重要なシグネチャー成分として特定した。閾値0.0028を上回るシグネチャー遺伝子のみが示されている。ROC AUC=0.87±0.09でGC+ACC症例とGC-ACC症例とを区別するモデルを、ランダムフォレスト法を用いて導出した(
図9)。インフラマソームのセンサー成分(NLRP1)と、IL-15によるNK活性化の介在物質(ZNF683)を、このシグネチャーの重要部として特定した(
図9の挿入図)。
【0262】
次に、
図10A及び
図10Bに示されているように、上記遺伝子シグネチャーをTCGAにおける他の腫瘍型に適用したところ、GC+様の転写プロフィールを有する腫瘍型が特定された。
図10Aは、TCGA腫瘍へのACC遺伝子シグネチャーの適用を示している。ACCにおけるGC+症例とGC-症例の既知の分布に基づいて、GC+腫瘍とGC-腫瘍とを区別するためのカットオフスコア0.75を導いた(
図10Aの横線)。このスコアによれば、ぶどう膜黒色腫(UVM)と皮膚黒色腫(SKCM)は、GC+ACCに類似した症例の頻度が最も多い可能性がある(
図10B)。
図10Bは、GC+ACCに類似した腫瘍症例の頻度予測を示している。ぶどう膜黒色腫(UVM)と皮膚黒色腫(SKCM)が、GC+ACCに似た腫瘍の頻度が最も高いと予測されている。
【0263】
ACCにおいて、グルココルチコイド過剰(GC+)は、他のホルモンよりもはるかに多くの遺伝子に影響を与える。GC+ACCでは、ステロイド合成遺伝子の発現が上昇しており、免疫関連遺伝子は抑制されていた。正常な副腎細胞はステロイド合成遺伝子を発現するが、免疫抑制遺伝子は発現しない。GC+症例においてステロイド合成遺伝子は低メチル化状態であったが、GC+症例とGC-症例との間に免疫遺伝子のメチル化の差異は確認されなかった。さらに、GC-症例と比べて、GC+症例では、浸潤している免疫細胞(T細胞及びNKT細胞)が少ないことが分かり、免疫作用が転写における変化ではなく免疫細胞浸潤における変化によるものであることが示唆された。腫瘍遺伝子変異量はGC+ACC症例の方が高かったが、この原因は、GC+症例において確認された、非自己抗原寛容性がより高いことと関連している可能性がある、免疫抑制や免疫細胞排除である可能性がある。既公開のGR活性スコアはGC+症例とGC-症例との間で差異がなかったが、これは、全身GCレベルに関係なく、GC濃度が副腎において局所的に高いことに起因している可能性がある。一方、ACC腫瘍内への免疫浸潤は、上昇したGC活性にリンパ節が暴露されることにより、負の影響を受ける場合がある。新規に導出された遺伝子シグネチャーによって、ぶどう膜黒色腫及び皮膚黒色腫において、GC+様腫瘍の頻度が最も高いことが予想される。GC+ACCにおいて免疫細胞及び免疫関連転写物の存在量が減少していることが確認されたが、これは、GCが免疫系チェックポイント阻害剤(ICI)療法に対する応答を限定し得る機構に関する手がかりになる。GR拮抗作用により免疫関連転写物や免疫細胞浸潤が増加するため、GC活性が上昇しているGC+ACCなどの悪性腫瘍では腫瘍免疫応答が促進されるのかもしれない。
【0264】
実施例4.インビトロにおけるナチュラルキラー細胞機能に対するコルチゾール及びレラコリラントの作用
GC+ACCとGC-ACCとの間でナチュラルキラー(NK)細胞における差異が顕著であることを考慮して、ヒトNK細胞に対するコルチゾールの作用をインビトロで評価した。コルチゾールは、NK細胞の活性化、増殖、及び直接的な腫瘍細胞の死滅を抑制した(レラコリラントはそれらを回復した)。GC+ACCではNK細胞などの免疫細胞の存在量が減少しており、このことは、GCがICI療法に対する応答を限定し得る機構に関する手がかりとなる。GR拮抗作用により腫瘍におけるNK細胞などの免疫細胞の存在量と機能が増大するため、GC活性が上昇しているGC+ACCなどの悪性腫瘍では腫瘍免疫応答が促進されるのかもしれない。この仮説はレラコリラント+ICIの第1相臨床試験で検証されるであろう。
【0265】
インビトロにおけるNK細胞の機能に対するコルチゾール及びレラコリラントの作用
GC+症例においてNK関連遺伝子の抑制が顕著であることを考慮して、ヒトNK細胞のGR調節の直接的な影響を評価した。NK細胞を健常ドナーから単離し、IL-2で刺激した。活性化(CD25+CD69+細胞の存在量)は、刺激によって増加し、コルチゾールによって抑制され、レラコリラントによって回復した(マンホイットニーp=0.0039)(
図11A)。NK細胞の増殖も、刺激によって増加し、コルチゾールによって抑制され、レラコリラントによって回復した(マンホイットニーp=0.0099)(
図11B)。サイトカイン分泌(転写物及び分泌タンパク質の両方)も、刺激によって増加し、コルチゾールによって抑制され、レラコリラントによって回復した(
図12A~
図12D)。有意に刺激によって誘導され、コルチゾールによって抑制され、レラコリラントによって回復した遺伝子には、IL2受容体及び活性化因子LAG3を含む、重要なNK活性化遺伝子が含まれた(
図12D)。これらのデータは、観察されていたACC腫瘍におけるNK細胞集団に対するGCの効果を、実験的に確認するものである。
【0266】
活性化、増殖、及びサイトカイン分泌は全て、コルチゾールとレラコリラントを介したNK細胞における機能的変化を示すものである。この機能的変化が標的細胞死滅にも影響を与えるかどうかを確認するため、NK細胞をK562腫瘍細胞と一緒にインキュベートした。種々のNK細胞:腫瘍細胞比において、コルチゾールは腫瘍細胞死滅を抑制し、レラコリラントはそれを回復した(
図13A)。レラコリラントを5:1比でNK細胞に添加した場合、NK細胞の腫瘍死滅は顕著に向上した(マンホイットニーp=0.004)(
図13B)。以上のことから、インビトロにおいて、グルココルチコイドはヒトNK細胞による腫瘍細胞死滅を抑制する。
【0267】
コルチゾールは、強力な転写制御因子であり、免疫細胞機能のメディエーターである。コルチゾールの日内変動と超日周期変動によって、単一のコルチゾール評価の解釈可能性が制限されることから、全身性コルチゾール活性の作用を評価するのは困難である。ACCのマルチオミクスデータからは、豊富なマルチオミクスデータがコルチゾール過剰の臨床評価と対になった独特のシナリオが得られる。ACCの理解を深め、さらに、他の腫瘍型におけるコルチゾール活性の考えられる潜在的症状に関する知見を集めるために、この誇張されたコルチゾール生理について調べた。
【0268】
GC過剰を示すACC症例とGC過剰を示さないACC症例との間で、858種の遺伝子における有意差が確認された。任意のステロイドホルモン有りの場合と無しの場合の比較などの他の比較では、有意に異なる遺伝子はほとんどなかった。ステロイド合成に関与する遺伝子は、当然ながら、GC過剰を示す症例において高発現であった。ステロイド合成遺伝子に、プロモーターの低メチル化が認められた。一方で、GC+症例において免疫遺伝子の発現が減少したのは、GC+腫瘍内への免疫細胞の浸潤が不十分であった結果であろう。GR活性の評価(既公開の遺伝子シグネチャーを介した評価;Westら、Clin Cancer Res、2018年、24巻(14号):pp3433~3446参照)では、腫瘍内のGR活性は、GC過剰を示すACC症例でもGC過剰を示さないACC症例でも、同程度であると示唆されていた。これは、全身コルチゾール値とは無関係に、副腎でコルチゾール値が高いことにより引き起こされている可能性がある。すなわち、免疫浸潤における差異は、全身の一次リンパ器官及び二次リンパ器官に対する作用を含む、全身性のGC作用によるものである可能性がある。高GCはネオアンチゲンに対する寛容性を増加させ得ることから、リンパ系器官に対するGCの作用は、GC+ACC症例において確認されたTMBの増加にも関連している可能性がある。
【0269】
GC+症例とGC-症例との比較を利用して、これら2つの症例を区別可能な遺伝子シグネチャーを見出した。この遺伝子シグネチャーは、腫瘍生検や腫瘍切除からGC過剰を診断しようという今後の取り組みにおいて、有用である可能性があった。このシグネチャーについてACC以外の腫瘍をスコアリングしたところ、ぶどう膜黒色腫と皮膚黒色腫が、GC+ACCの転写シグネチャーに似た症例を最も多く(とはいえまだ希少ではあるが)示した。これは、皮膚において局所的にコルチゾールが産生されるという以前の報告を支持するものである(Vekulicら、and Tissue Injury.、J Biological Chemistry、2011年、286巻(12合)、pp10265~10275参照)。このような腫瘍は、ACCの外側でGR拮抗作用の免疫効果の評価を行うための、合理的な選択肢となるだろう。
【0270】
GC+ACCのマルチオミクスデータにおいて、NK細胞の抑制は際立っていた。GC+症例ではNK活性化遺伝子が顕著に低発現であり、NK活性化遺伝子のZNF683は、GC+症例をGC-症例から区別する際に特に重要な遺伝子であった。ヒトNK細胞、コルチゾール、及びGRモジュレーターであるレラコリラントを用いた機能的研究では、GRがNK機能の重要な制御因子であることが確認された。コルチゾールは、NKの増殖、活性化の細胞表面マーカーの発現上昇、腫瘍細胞死滅、IFNγ分泌、及びIFNγ転写を抑制した。コルチゾールはまた、他のエフェクターサイトカインの分泌と、IL-2受容体(il2ra)の発現も抑制した。これらの知見は、GC+ACCで確認されたNK活性化遺伝子における減少を確証するものである。共に抗腫瘍免疫応答を改善することを目的とした実験用作動薬の標的であるLAG3(CD223、lag3)及び4-1BB(CD137、tnfrsf9)の発現を、コルチゾールは抑制し、レラコリラントは促進した。刺激されたNK細胞において、リンパ球を誘引するケモカインであるケモカインリガンド3様1(ccl3l1)の発現も、コルチゾールによって抑制されたが、これも、GC+ACCへのT細胞浸潤の減少を説明するものであるかもしれない。GC+ACCにおいて免疫関連転写物の存在量が減少していることが確認されたが、これは、ICI療法に対する応答を限定し得る機構に関する手がかりになる。
【0271】
副腎がんは、患者が腫瘍管理とホルモン管理の両方の困難に直面する、重大な疾患である。コルチゾール過剰を有するACC患者は、副腎起源、下垂体起源、又は異所性起源の全身性コルチゾール過剰を有する状態である、クッシング症候群に罹患する。クッシング症候群はそれ自体が、これらの患者における血管系の事象、心血管系の事象、あるいは感染を介して死に繋がる可能性がある(Yaneva M.ら、European J Endocrinology、2013年、169巻、pp621~627参照)。GRモジュレーターであるKorylm(商標)(ミフェプリストン)はコルチゾール過剰の症状の処置用に承認されている。これらのデータは、一歩先まで踏み込んで、レラコリラントによる選択的なGR調節が、全身コルチゾールによって引き起こされた免疫抑制を軽減し得ることを示唆している。すなわち、選択的なGR拮抗作用により、免疫チェックポイント阻害剤やより実験的なNKを標的とした薬剤などの他の免疫モジュレーターの抗腫瘍活性を促進し、且つ、危険性のあるコルチゾール過剰後遺症を低減することができるかもしれない。この仮説は、GC過剰を示すACC患者における、目下の第I相試験又はレラコリラント+ペンブロリズマブで、直接検討を行っているところである。
【0272】
GC過剰のNK細胞に対する影響は特に際立っており、直接的に、インビトロにおいてNK細胞に対するコルチゾール作用を評価したところ、強力且つ広範な抑制活性が確認された。さらに、レラコリラントは、コルチゾールの効果を逆転させ、NK細胞の活性化、増殖、及び標的細胞死滅を回復させることができた。これらのことから、レラコリラントなどのGRモジュレーターと、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)との併用投与による、コルチゾール過剰を有する副腎皮質がん腫患者(GC+ACC)の処置は、ICI単独による処置と比較して、効果的且つ改善された処置を与えるものと考えられる。
【0273】
この明細書において列挙されている全ての特許、特許公報、公報、及び特許出願は、あたかもそれぞれ個々の公報又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的に且つ個々に示されているかのように、全体がここで参照により本明細書に組み込まれる。加えて、上記の発明は、理解の明瞭さの目的で例示及び例によっていくぶん詳しく記載されているが、添付の請求項の精神又は範囲から逸脱することなくある特定の変更及び修飾がなされうることが、本発明の教示に照らして、当業者に容易に明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
副腎皮質がん腫の腫瘍を有し且つコルチゾール過剰を有する対象を処置する方法、ここで前記方法は、
a)副腎皮質腫瘍を有し、且つ、b)グルココルチコイド過剰である患者を特定すること;
1)選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)及び2)抗体チェックポイント阻害剤を投与することを含む、組み合わせ処置を前記特定された患者に施すこと;
それによって、抗体チェックポイント阻害剤単独による処置で達成されたであろうよりも良好な処置アウトカムを前記特定された患者から達成すること、
を含み、
前記処置アウトカムは、前記患者における、a)ACC腫瘍量の減少、b)T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、c)前記ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤の増加、並びに、d)前記ACC腫瘍内への好中球の浸潤の減少、から選択される。
【請求項2】
前記抗体チェックポイント阻害剤が、PD-1に対して有効な抗体、CTLA-4に対して有効な抗体、PD-L1に対して有効な抗体、及びPD-L2に対して有効な抗体から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記チェックポイント阻害剤がPD-L2に対して有効な抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
タキサン類、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、小胞体ストレス誘導剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される化学療法剤を投与することをさらに含む、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記化学療法剤がタキサンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記化学療法剤が、nab-パクリタキセル、5-フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン、シスプラチン、及びカペシタビンからなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記SGRMが、下記式を有するヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法:
【化1】
式中、
R
1は、5~6個の環員を有し、且つ、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1aから選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1aはそれぞれ独立して水素、C
1-6アルキル、ハロゲン、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、CN、N-オキシド、C
3-8シクロアルキル、及びC
3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環、及びヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル環及びヘテロアリール環は、5~6個の環員、及びそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有し;
R
2はそれぞれ独立して水素、C
1-6アルキル、ハロゲン、C
1 6ハロアルキル、C
1 6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、C
1-6アルキル-C
1-6アルコキシ、CN、OH、NR
2aR
2b、C(O)R
2a、C(O)OR
2a、C(O)NR
2aR
2b、SR
2a、S(O)R
2a、S(O)
2R
2a、C
3-8シクロアルキル、及びC
3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル基は1~4個のR
2c基で置換されていてもよく;
あるいは、同じ炭素に結合した2個のR
2基が組み合わされてオキソ基(=O)を形成しており;
あるいは、2個のR
2基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、ここで前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2d基で置換されていてもよく;
R
2a及びR
2bはそれぞれ独立して水素及びC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
2cはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、CN、及びNR
2aR
2bからなる群より選択され;
R
2dはそれぞれ独立して水素及びC
1-6アルキルからなる群より選択され、あるいは、同じ環原子に結合した2個のR
2d基が組み合わされて(=O)を形成しており;
R
3はそれぞれ1~4個のR
3a基で置換されていてもよいフェニル及びピリジルからなる群より選択され;
R
3aはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、及びC
1-6ハロアルキルからなる群より選択され;
下付き文字nは0~3の整数である。
【請求項11】
ヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリンを含む前記化合物が、下記式を有するレラコリラントである、請求項10に記載の方法
。
【化2】
【請求項12】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記SGRMが下記式を有する縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法:
【化3】
式中、
L
1及びL
2は独立して結合及び非置換アルキレンから選択される要素であり;
R
1は非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-OR
1A、NR
1CR
1D、-C(O)NR
1CR
1D、及び-C(O)OR
1Aから選択される要素であり、ここでR
1Aは水素、非置換アルキル、及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり;
R
1C及びR
1Dは、独立して非置換アルキル及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり、互いに結合してそれらが結合している窒素と共に非置換の環を形成していてもよく、前記環は追加の環窒素を含んでいてもよく;
R
2は下記式を有し:
【化4】
式中、
R
2Gは水素、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-CN、及び-CF
3から選択される要素であり;
Jはフェニルであり;
tは0~5の整数であり;
Xは-S(O
2)-であり;
R
5は1~5個のR
5A基で置換されていてもよいフェニルであり、
R
5Aは水素、ハロゲン、-OR
5A1、S(O
2)NR
5A2R
5A3、-CN、及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A1は水素及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A2及びR
5A3は独立して水素及び非置換アルキルから選択される要素である。
【請求項17】
前記縮合アザデカリン化合物が、CORT108297としても知られる(R)-(4a-エトキシメチル-1-(4-フルオロフェニル)-6-(4-トリフルオロメチル-ベンゼンスルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H,1,2,6-トリアザ-シクロペンタ[b]ナフタレンであり、下記式を有するものである、請求項16に記載の方法
。
【化5】
【請求項18】
前記SGRMがCORT108297であり、前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記SGRMがCORT108297であり、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記SGRMがCORT108297であり、前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記SGRMがCORT108297であり、前記チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記SGRMが下記式を有するオクタヒドロ縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法:
【化6】
式中、
R
1は、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1aから選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1aはそれぞれ独立して水素、C
1-6アルキル、ハロゲン、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、N-オキシド、及びC
3-8シクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するアリール環及びヘテロアリール環からなる群より選択され;
R
2はそれぞれ独立して、水素、C
1-6アルキル、ハロゲン、C
1-6ハロアルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、C
1-6アルキル-C
1-6アルコキシ、CN、OH、NR
2aR
2b、C(O)R
2a、C(O)OR
2a、C(O)NR
2aR
2b、SR
2a、S(O)R
2a、S(O)
2R
2a、C
3-8シクロアルキル、並びにそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子を有するC
3-8ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
あるいは、隣接し合う環原子上の2個のR
2基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2c基で置換されていてもよく;
R
2a、R
2b、及びR
2cはそれぞれ独立して水素及びC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
3aはそれぞれ独立してハロゲンであり;
下付き文字nは0~3の整数である。
【請求項23】
前記オクタヒドロ縮合アザデカリンSGRMが、CORT125281としても知られる((4aR,8aS)-1-(4-フルオロフェニル)-6-((2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8,8a,9-オクタヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メタノンであり、下記構造を有するものである、請求項22に記載の方法
。
【化7】
【請求項24】
前記SGRMがCORT125281であり、前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記SGRMがCORT125281であり、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記SGRMがCORT125281であり、前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記SGRMがCORT125281であり、前記チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)化合物と、PD-1、CTLA-4、PDL-1、又はPDL-2に対して有効な抗体チェックポイント阻害剤とを含む、副腎皮質がん腫を処置するための医薬組成物。
【請求項29】
前記SGRMがヘテロアリールケトン縮合アザデカリンSGRM、縮合アザデカリンSGRM、及びオクタヒドロ縮合アザデカリンSGRMから選択される化合物である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項28又は請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項28又は請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項28又は請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、請求項28又は請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記SGRMがヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン化合物(R)-(1-(4-フルオロフェニル)-6-((4-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(チアゾール-2-イル)メタノン(「CORT122928」と称される)であり、下記構造を有するものである、請求項1、請求項2~請求項9のいずれか一項に記載の方法、又は請求項28若しくは請求項29に記載の医薬組成物
。
【化8】
【請求項35】
前記SGRMが化合物(R)-(1-(4-フルオロフェニル)-6-((4-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1-H-ピラゾロP,4-g)イソキノリン-4a-イル)(ピリジン-2-イル)メタノン(「CORT113176」と称される)であり、下記構造を有するものである、請求項1、請求項2~請求項9のいずれか一項に記載の方法、又は請求項28若しくは請求項29に記載の医薬組成物
。
【化9】
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
副腎皮質がん腫
(ACC)を有し且つコルチゾール過剰を有する対象
においてACCを処置する
ための、選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)と抗体チェックポイント阻害剤との組み合わせ医薬、
ここで前記
処置は、
a)副腎皮質
がん腫を有し、且つ、b)グルココルチコイド過剰である患者を特定すること;
前記選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)及び前記抗体チェックポイント阻害剤を前記特定された患者に
投与すること;
それによって、抗体チェックポイント阻害剤単独による処置で達成されたであろうよりも良好な処置アウトカムを前記特定された患者から達成すること、
を含み、
前記処置アウトカムは、前記患者における、a)ACC腫瘍量の減少、b)T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、c
)ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤の増加、並びに、d
)ACC腫瘍内への好中球の浸潤の減少、から選択され
、
前記SGRMは、
下記式(1)で表される構造を有するヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体であるか、
下記式(2)で表される構造を有する縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体であるか、又は
下記式(4)で表される構造を有するオクタヒドロ縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体である:
【化1】
式(1)中、
R
1
は、5~6個の環員を有し、且つ、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1a
から選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1a
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、CN、N-オキシド、C
3-8
シクロアルキル、及びC
3-8
ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環、及びヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル環及びヘテロアリール環は、5~6個の環員、及びそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有し;
R
2
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1 6
ハロアルキル、C
1 6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、C
1-6
アルキル-C
1-6
アルコキシ、CN、OH、NR
2a
R
2b
、C(O)R
2a
、C(O)OR
2a
、C(O)NR
2a
R
2b
、SR
2a
、S(O)R
2a
、S(O)
2
R
2a
、C
3-8
シクロアルキル、及びC
3-8
ヘテロシクロアルキル基からなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル基は1~4個のR
2c
基で置換されていてもよく;
あるいは、同じ炭素に結合した2個のR
2
基が組み合わされてオキソ基(=O)を形成しており;
あるいは、2個のR
2
基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、ここで前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2d
基で置換されていてもよく;
R
2a
及びR
2b
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され;
R
2c
はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、CN、及びNR
2a
R
2b
からなる群より選択され;
R
2d
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され、あるいは、同じ環原子に結合した2個のR
2d
基が組み合わされて(=O)を形成しており;
R
3
はそれぞれ1~4個のR
3a
基で置換されていてもよいフェニル及びピリジルからなる群より選択され;
R
3a
はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、及びC
1-6
ハロアルキルからなる群より選択され;
下付き文字nは0~3の整数である;
【化2】
式(2)中、
L
1
及びL
2
は独立して結合及び非置換アルキレンから選択される要素であり;
R
1
は非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-OR
1A
、NR
1C
R
1D
、-C(O)NR
1C
R
1D
、及び-C(O)OR
1A
から選択される要素であり、ここでR
1A
は水素、非置換アルキル、及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり;
R
1C
及びR
1D
は、独立して非置換アルキル及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり、互いに結合してそれらが結合している窒素と共に非置換の環を形成していてもよく、前記環は追加の環窒素を含んでいてもよく;
R
2
は下記式(3)を有し:
【化3】
式(3)中、
R
2G
は水素、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-CN、及び-CF
3
から選択される要素であり;
Jはフェニルであり;
tは0~5の整数であり;
Xは-S(O
2
)-であり;
R
5
は1~5個のR
5A
基で置換されていてもよいフェニルであり、
R
5A
は水素、ハロゲン、-OR
5A1
、S(O
2
)NR
5A2
R
5A3
、-CN、及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A1
は水素及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A2
及びR
5A3
は独立して水素及び非置換アルキルから選択される要素である。
【化4】
式(4)中、
R
1
は、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1a
から選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1a
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、N-オキシド、及びC
3-8
シクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するアリール環及びヘテロアリール環からなる群より選択され;
R
2
はそれぞれ独立して、水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、C
1-6
アルキル-C
1-6
アルコキシ、CN、OH、NR
2a
R
2b
、C(O)R
2a
、C(O)OR
2a
、C(O)NR
2a
R
2b
、SR
2a
、S(O)R
2a
、S(O)
2
R
2a
、C
3-8
シクロアルキル、並びにそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子を有するC
3-8
ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
あるいは、隣接し合う環原子上の2個のR
2
基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2c
基で置換されていてもよく;
R
2a
、R
2b
、及びR
2c
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され;
R
3a
はそれぞれ独立してハロゲンであり;
下付き文字nは0~3の整数である。
【請求項2】
副腎皮質がん腫(ACC)を有し且つコルチゾール過剰を有する対象においてACCを処置するための、選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)を含む医薬、
ここで前記処置は、
a)副腎皮質がん腫を有し、且つ、b)グルココルチコイド過剰である、患者を特定すること;
前記選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)と抗体チェックポイント阻害剤とを前記特定された患者に投与すること;
それによって、抗体チェックポイント阻害剤単独による処置で達成されたであろうよりも良好な処置アウトカムを前記特定された患者から達成すること、
を含み、
前記処置アウトカムは、前記患者における、a)ACC腫瘍量の減少、b)T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、c)ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤の増加、並びに、d)ACC腫瘍内への好中球の浸潤の減少、から選択され、
前記SGRMは、
下記式(1)で表される構造を有するヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体であるか、
下記式(2)で表される構造を有する縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体であるか、又は
下記式(4)で表される構造を有するオクタヒドロ縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体である:
【化5】
式(1)中、
R
1
は、5~6個の環員を有し、且つ、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1a
から選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1a
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、CN、N-オキシド、C
3-8
シクロアルキル、及びC
3-8
ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環、及びヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル環及びヘテロアリール環は、5~6個の環員、及びそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有し;
R
2
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1 6
ハロアルキル、C
1 6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、C
1-6
アルキル-C
1-6
アルコキシ、CN、OH、NR
2a
R
2b
、C(O)R
2a
、C(O)OR
2a
、C(O)NR
2a
R
2b
、SR
2a
、S(O)R
2a
、S(O)
2
R
2a
、C
3-8
シクロアルキル、及びC
3-8
ヘテロシクロアルキル基からなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル基は1~4個のR
2c
基で置換されていてもよく;
あるいは、同じ炭素に結合した2個のR
2
基が組み合わされてオキソ基(=O)を形成しており;
あるいは、2個のR
2
基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、ここで前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2d
基で置換されていてもよく;
R
2a
及びR
2b
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され;
R
2c
はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、CN、及びNR
2a
R
2b
からなる群より選択され;
R
2d
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され、あるいは、同じ環原子に結合した2個のR
2d
基が組み合わされて(=O)を形成しており;
R
3
はそれぞれ1~4個のR
3a
基で置換されていてもよいフェニル及びピリジルからなる群より選択され;
R
3a
はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、及びC
1-6
ハロアルキルからなる群より選択され;
下付き文字nは0~3の整数である;
【化6】
式(2)中、
L
1
及びL
2
は独立して結合及び非置換アルキレンから選択される要素であり;
R
1
は非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-OR
1A
、NR
1C
R
1D
、-C(O)NR
1C
R
1D
、及び-C(O)OR
1A
から選択される要素であり、ここでR
1A
は水素、非置換アルキル、及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり;
R
1C
及びR
1D
は、独立して非置換アルキル及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり、互いに結合してそれらが結合している窒素と共に非置換の環を形成していてもよく、前記環は追加の環窒素を含んでいてもよく;
R
2
は下記式(3)を有し:
【化7】
式(3)中、
R
2G
は水素、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-CN、及び-CF
3
から選択される要素であり;
Jはフェニルであり;
tは0~5の整数であり;
Xは-S(O
2
)-であり;
R
5
は1~5個のR
5A
基で置換されていてもよいフェニルであり、
R
5A
は水素、ハロゲン、-OR
5A1
、S(O
2
)NR
5A2
R
5A3
、-CN、及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A1
は水素及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A2
及びR
5A3
は独立して水素及び非置換アルキルから選択される要素である。
【化8】
式(4)中、
R
1
は、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1a
から選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1a
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、N-オキシド、及びC
3-8
シクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するアリール環及びヘテロアリール環からなる群より選択され;
R
2
はそれぞれ独立して、水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、C
1-6
アルキル-C
1-6
アルコキシ、CN、OH、NR
2a
R
2b
、C(O)R
2a
、C(O)OR
2a
、C(O)NR
2a
R
2b
、SR
2a
、S(O)R
2a
、S(O)
2
R
2a
、C
3-8
シクロアルキル、並びにそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子を有するC
3-8
ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
あるいは、隣接し合う環原子上の2個のR
2
基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2c
基で置換されていてもよく;
R
2a
、R
2b
、及びR
2c
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され;
R
3a
はそれぞれ独立してハロゲンであり;
下付き文字nは0~3の整数である。
【請求項3】
副腎皮質がん腫(ACC)を有し且つコルチゾール過剰を有する対象においてACCを処置するための、抗体チェックポイント阻害剤を含む医薬、
ここで前記処置は、
a)副腎皮質がん腫を有し、且つ、b)グルココルチコイド過剰である患者を特定すること;
前記抗体チェックポイント阻害剤と選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)とを前記特定された患者に投与すること;
それによって、抗体チェックポイント阻害剤単独による処置で達成されたであろうよりも良好な処置アウトカムを前記特定された患者から達成すること、
を含み、
前記処置アウトカムは、前記患者における、a)ACC腫瘍量の減少、b)T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、c)ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤の増加、並びに、d)ACC腫瘍内への好中球の浸潤の減少、から選択され、
前記SGRMは、
下記式(1)で表される構造を有するヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体であるか、
下記式(2)で表される構造を有する縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体であるか、又は
下記式(4)で表される構造を有するオクタヒドロ縮合アザデカリン化合物、又はその塩若しくは異性体である:
【化9】
式(1)中、
R
1
は、5~6個の環員を有し、且つ、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1a
から選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1a
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、CN、N-オキシド、C
3-8
シクロアルキル、及びC
3-8
ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環、及びヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル環及びヘテロアリール環は、5~6個の環員、及びそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有し;
R
2
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1 6
ハロアルキル、C
1 6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、C
1-6
アルキル-C
1-6
アルコキシ、CN、OH、NR
2a
R
2b
、C(O)R
2a
、C(O)OR
2a
、C(O)NR
2a
R
2b
、SR
2a
、S(O)R
2a
、S(O)
2
R
2a
、C
3-8
シクロアルキル、及びC
3-8
ヘテロシクロアルキル基からなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル基は1~4個のR
2c
基で置換されていてもよく;
あるいは、同じ炭素に結合した2個のR
2
基が組み合わされてオキソ基(=O)を形成しており;
あるいは、2個のR
2
基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、ここで前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2d
基で置換されていてもよく;
R
2a
及びR
2b
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され;
R
2c
はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、CN、及びNR
2a
R
2b
からなる群より選択され;
R
2d
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され、あるいは、同じ環原子に結合した2個のR
2d
基が組み合わされて(=O)を形成しており;
R
3
はそれぞれ1~4個のR
3a
基で置換されていてもよいフェニル及びピリジルからなる群より選択され;
R
3a
はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、及びC
1-6
ハロアルキルからなる群より選択され;
下付き文字nは0~3の整数である;
【化10】
式(2)中、
L
1
及びL
2
は独立して結合及び非置換アルキレンから選択される要素であり;
R
1
は非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-OR
1A
、NR
1C
R
1D
、-C(O)NR
1C
R
1D
、及び-C(O)OR
1A
から選択される要素であり、ここでR
1A
は水素、非置換アルキル、及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり;
R
1C
及びR
1D
は、独立して非置換アルキル及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり、互いに結合してそれらが結合している窒素と共に非置換の環を形成していてもよく、前記環は追加の環窒素を含んでいてもよく;
R
2
は下記式(3)を有し:
【化11】
式(3)中、
R
2G
は水素、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-CN、及び-CF
3
から選択される要素であり;
Jはフェニルであり;
tは0~5の整数であり;
Xは-S(O
2
)-であり;
R
5
は1~5個のR
5A
基で置換されていてもよいフェニルであり、
R
5A
は水素、ハロゲン、-OR
5A1
、S(O
2
)NR
5A2
R
5A3
、-CN、及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A1
は水素及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A2
及びR
5A3
は独立して水素及び非置換アルキルから選択される要素である。
【化12】
式(4)中、
R
1
は、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1a
から選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1a
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、N-オキシド、及びC
3-8
シクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するアリール環及びヘテロアリール環からなる群より選択され;
R
2
はそれぞれ独立して、水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、C
1-6
アルキル-C
1-6
アルコキシ、CN、OH、NR
2a
R
2b
、C(O)R
2a
、C(O)OR
2a
、C(O)NR
2a
R
2b
、SR
2a
、S(O)R
2a
、S(O)
2
R
2a
、C
3-8
シクロアルキル、並びにそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子を有するC
3-8
ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
あるいは、隣接し合う環原子上の2個のR
2
基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2c
基で置換されていてもよく;
R
2a
、R
2b
、及びR
2c
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され;
R
3a
はそれぞれ独立してハロゲンであり;
下付き文字nは0~3の整数である。
【請求項4】
前記抗体チェックポイント阻害剤が、PD-1に対して有効な抗体、CTLA-4に対して有効な抗体、PD-L1に対して有効な抗体、及びPD-L2に対して有効な抗体から選択される、請求項1
~請求項3のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項5】
前記
抗体チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項
1~請求項3のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項6】
前記
抗体チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項
1~請求項3のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項7】
前記
抗体チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項
1~請求項3のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項8】
前記
抗体チェックポイント阻害剤がPD-L2に対して有効な抗体である、請求項
1~請求項3のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項9】
タキサン類、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、小胞体ストレス誘導剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される化学療法剤を投与することをさらに含む、請求項1~請求項
8のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項10】
前記化学療法剤がタキサンである、請求項
9に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項11】
前記化学療法剤が、nab-パクリタキセル、5-フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン、シスプラチン、及びカペシタビンからなる群より選択される、請求項
9に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項12】
前記SGRMが、
前記式
(1)を有するヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン化合物、その塩、又は異性体である、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項13】
前記ヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリ
ン化合物が、下記式を有するレラコリラントである、請求項
12に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【化13】
【請求項14】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項15】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項16】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項17】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項18】
前記SGRMが
前記式
(2)を有する縮合アザデカリン化合物、その塩又は異性体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項19】
前記縮合アザデカリン化合物が、CORT108297としても知られる(R)-(4a-エトキシメチル-1-(4-フルオロフェニル)-6-(4-トリフルオロメチル-ベンゼンスルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H,1,2,6-トリアザ-シクロペンタ[b]ナフタレンであり、下記式を有するものである、請求項
18に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【化14】
【請求項20】
前記SGRMがCORT108297であり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項21】
前記SGRMがCORT108297であり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項22】
前記SGRMがCORT108297であり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項23】
前記SGRMがCORT108297であり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項24】
前記SGRMが
前記式
(4)を有するオクタヒドロ縮合アザデカリン化合物、その塩又は異性体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項25】
前記オクタヒドロ縮合アザデカリン
化合物が、CORT125281としても知られる((4aR,8aS)-1-(4-フルオロフェニル)-6-((2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8,8a,9-オクタヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メタノンであり、下記構造を有するものである、請求項
24に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【化15】
【請求項26】
前記SGRMがCORT125281であり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項27】
前記SGRMがCORT125281であり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項28】
前記SGRMがCORT125281であり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項29】
前記SGRMがCORT125281であり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、請求項1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬又は組み合わせ医薬。
【請求項30】
選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM
)と、PD-1、CTLA-4、PDL-1、又はPDL-2に対して有効な抗体チェックポイント阻害剤とを含
み、
前記SGRMは、
下記式(1)で表される構造を有するヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン化合物、その塩、若しくは異性体であるか、
下記式(2)で表される構造を有する縮合アザデカリン化合物、その塩又は異性体であるか、又は
下記式(4)で表される構造を有するオクタヒドロ縮合アザデカリン化合物、その塩又は異性体
である、副腎皮質がん腫を処置するための医薬組成物
:
【化16】
式(1)中、
R
1
は、5~6個の環員を有し、且つ、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1a
から選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1a
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、CN、N-オキシド、C
3-8
シクロアルキル、及びC
3-8
ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環、及びヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル環及びヘテロアリール環は、5~6個の環員、及びそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有し;
R
2
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1 6
ハロアルキル、C
1 6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、C
1-6
アルキル-C
1-6
アルコキシ、CN、OH、NR
2a
R
2b
、C(O)R
2a
、C(O)OR
2a
、C(O)NR
2a
R
2b
、SR
2a
、S(O)R
2a
、S(O)
2
R
2a
、C
3-8
シクロアルキル、及びC
3-8
ヘテロシクロアルキル基からなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル基は1~4個のR
2c
基で置換されていてもよく;
あるいは、同じ炭素に結合した2個のR
2
基が組み合わされてオキソ基(=O)を形成しており;
あるいは、2個のR
2
基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、ここで前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2d
基で置換されていてもよく;
R
2a
及びR
2b
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され;
R
2c
はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、CN、及びNR
2a
R
2b
からなる群より選択され;
R
2d
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され、あるいは、同じ環原子に結合した2個のR
2d
基が組み合わされて(=O)を形成しており;
R
3
はそれぞれ1~4個のR
3a
基で置換されていてもよいフェニル及びピリジルからなる群より選択され;
R
3a
はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、及びC
1-6
ハロアルキルからなる群より選択され;
下付き文字nは0~3の整数である;
【化17】
式(2)中、
L
1
及びL
2
は独立して結合及び非置換アルキレンから選択される要素であり;
R
1
は非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-OR
1A
、NR
1C
R
1D
、-C(O)NR
1C
R
1D
、及び-C(O)OR
1A
から選択される要素であり、ここでR
1A
は水素、非置換アルキル、及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり;
R
1C
及びR
1D
は、独立して非置換アルキル及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり、互いに結合してそれらが結合している窒素と共に非置換の環を形成していてもよく、前記環は追加の環窒素を含んでいてもよく;
R
2
は下記式(3)を有し:
【化18】
式(3)中、
R
2G
は水素、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-CN、及び-CF
3
から選択される要素であり;
Jはフェニルであり;
tは0~5の整数であり;
Xは-S(O
2
)-であり;
R
5
は1~5個のR
5A
基で置換されていてもよいフェニルであり、
R
5A
は水素、ハロゲン、-OR
5A1
、S(O
2
)NR
5A2
R
5A3
、-CN、及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A1
は水素及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A2
及びR
5A3
は独立して水素及び非置換アルキルから選択される要素である。
【化19】
式(4)中、
R
1
は、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1a
から選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1a
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、N-オキシド、及びC
3-8
シクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するアリール環及びヘテロアリール環からなる群より選択され;
R
2
はそれぞれ独立して、水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、C
1-6
アルキル-C
1-6
アルコキシ、CN、OH、NR
2a
R
2b
、C(O)R
2a
、C(O)OR
2a
、C(O)NR
2a
R
2b
、SR
2a
、S(O)R
2a
、S(O)
2
R
2a
、C
3-8
シクロアルキル、並びにそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子を有するC
3-8
ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
あるいは、隣接し合う環原子上の2個のR
2
基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2c
基で置換されていてもよく;
R
2a
、R
2b
、及びR
2c
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され;
R
3a
はそれぞれ独立してハロゲンであり;
下付き文字nは0~3の整数である。
【請求項31】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、請求項
30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、請求項
30に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、請求項
30に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記SGRMがレラコリラントであり、前記
抗体チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、請求項
30に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記SGRMがヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン化合物(R)-(1-(4-フルオロフェニル)-6-((4-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(チアゾール-2-イル)メタノン(「CORT122928」と称される)であり、下記構造を有するものである、請求項
1~請求項
11のいずれか一項に記載の
医薬若しくは組み合わせ医薬、又は請求項
30に記載の医薬組成物。
【化20】
【請求項36】
前記SGRMが化合物(R)-(1-(4-フルオロフェニル)-6-((4-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1-H-ピラゾロP,4-g)イソキノリン-4a-イル)(ピリジン-2-イル)メタノン(「CORT113176」と称される)であり、下記構造を有するものである、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の
医薬若しくは組み合わせ医薬、又は請求項
29若しくは請求項
30に記載の医薬組成物。
【化21】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0273
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0273】
この明細書において列挙されている全ての特許、特許公報、公報、及び特許出願は、あたかもそれぞれ個々の公報又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的に且つ個々に示されているかのように、全体がここで参照により本明細書に組み込まれる。加えて、上記の発明は、理解の明瞭さの目的で例示及び例によっていくぶん詳しく記載されているが、添付の請求項の精神又は範囲から逸脱することなくある特定の変更及び修飾がなされうることが、本発明の教示に照らして、当業者に容易に明らかであろう。
本発明の例示的な態様を以下に記載する。
<1> 副腎皮質がん腫の腫瘍を有し且つコルチゾール過剰を有する対象を処置する方法、ここで前記方法は、
a)副腎皮質腫瘍を有し、且つ、b)グルココルチコイド過剰である患者を特定すること;
1)選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)及び2)抗体チェックポイント阻害剤を投与することを含む、組み合わせ処置を前記特定された患者に施すこと;
それによって、抗体チェックポイント阻害剤単独による処置で達成されたであろうよりも良好な処置アウトカムを前記特定された患者から達成すること、
を含み、
前記処置アウトカムは、前記患者における、a)ACC腫瘍量の減少、b)T細胞シグナル伝達経路及びナチュラルキラー(NK)細胞シグナル伝達経路の回復、c)前記ACC腫瘍内へのT細胞及びNK細胞の浸潤の増加、並びに、d)前記ACC腫瘍内への好中球の浸潤の減少、から選択される。
<2> 前記抗体チェックポイント阻害剤が、PD-1に対して有効な抗体、CTLA-4に対して有効な抗体、PD-L1に対して有効な抗体、及びPD-L2に対して有効な抗体から選択される、<1>に記載の方法。
<3> 前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、<2>に記載の方法。
<4> 前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、<2>に記載の方法。
<5> 前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、<2>に記載の方法。
<6> 前記チェックポイント阻害剤がPD-L2に対して有効な抗体である、<2>に記載の方法。
<7> タキサン類、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、小胞体ストレス誘導剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される化学療法剤を投与することをさらに含む、<1>~<6>のいずれか一つに記載の方法。
<8> 前記化学療法剤がタキサンである、<7>に記載の方法。
<9> 前記化学療法剤が、nab-パクリタキセル、5-フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン、シスプラチン、及びカペシタビンからなる群より選択される、<8>に記載の方法。
<10> 前記SGRMが、下記式を有するヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン化合物、その塩、又は異性体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法:
【化10】
式中、
R
1
は、5~6個の環員を有し、且つ、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1a
から選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1a
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、CN、N-オキシド、C
3-8
シクロアルキル、及びC
3-8
ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール環、及びヘテロアリール環からなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル環及びヘテロアリール環は、5~6個の環員、及びそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有し;
R
2
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1 6
ハロアルキル、C
1 6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、C
1-6
アルキル-C
1-6
アルコキシ、CN、OH、NR
2a
R
2b
、C(O)R
2a
、C(O)OR
2a
、C(O)NR
2a
R
2b
、SR
2a
、S(O)R
2a
、S(O)
2
R
2a
、C
3-8
シクロアルキル、及びC
3-8
ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され、ここで前記ヘテロシクロアルキル基は1~4個のR
2c
基で置換されていてもよく;
あるいは、同じ炭素に結合した2個のR
2
基が組み合わされてオキソ基(=O)を形成しており;
あるいは、2個のR
2
基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、ここで前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2d
基で置換されていてもよく;
R
2a
及びR
2b
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され;
R
2c
はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、CN、及びNR
2a
R
2b
からなる群より選択され;
R
2d
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され、あるいは、同じ環原子に結合した2個のR
2d
基が組み合わされて(=O)を形成しており;
R
3
はそれぞれ1~4個のR
3a
基で置換されていてもよいフェニル及びピリジルからなる群より選択され;
R
3a
はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、及びC
1-6
ハロアルキルからなる群より選択され;
下付き文字nは0~3の整数である。
<11> ヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリンを含む前記化合物が、下記式を有するレラコリラントである、<10>に記載の方法。
【化11】
<12> 前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<13> 前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<14> 前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<15> 前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<16> 前記SGRMが下記式を有する縮合アザデカリン化合物、その塩又は異性体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法:
【化12】
式中、
L
1
及びL
2
は独立して結合及び非置換アルキレンから選択される要素であり;
R
1
は非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-OR
1A
、NR
1C
R
1D
、-C(O)NR
1C
R
1D
、及び-C(O)OR
1A
から選択される要素であり、ここでR
1A
は水素、非置換アルキル、及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり;
R
1C
及びR
1D
は、独立して非置換アルキル及び非置換ヘテロアルキルから選択される要素であり、互いに結合してそれらが結合している窒素と共に非置換の環を形成していてもよく、前記環は追加の環窒素を含んでいてもよく;
R
2
は下記式を有し:
【化13】
式中、
R
2G
は水素、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、-CN、及び-CF
3
から選択される要素であり;
Jはフェニルであり;
tは0~5の整数であり;
Xは-S(O
2
)-であり;
R
5
は1~5個のR
5A
基で置換されていてもよいフェニルであり、
R
5A
は水素、ハロゲン、-OR
5A1
、S(O
2
)NR
5A2
R
5A3
、-CN、及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A1
は水素及び非置換アルキルから選択される要素であり、
R
5A2
及びR
5A3
は独立して水素及び非置換アルキルから選択される要素である。
<17> 前記縮合アザデカリン化合物が、CORT108297としても知られる(R)-(4a-エトキシメチル-1-(4-フルオロフェニル)-6-(4-トリフルオロメチル-ベンゼンスルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H,1,2,6-トリアザ-シクロペンタ[b]ナフタレンであり、下記式を有するものである、<16>に記載の方法。
【化14】
<18> 前記SGRMがCORT108297であり、前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<19> 前記SGRMがCORT108297であり、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<20> 前記SGRMがCORT108297であり、前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<21> 前記SGRMがCORT108297であり、前記チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<22> 前記SGRMが下記式を有するオクタヒドロ縮合アザデカリン化合物、その塩又は異性体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法:
【化15】
式中、
R
1
は、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するヘテロアリール環であり、前記ヘテロアリール環はそれぞれ独立してR
1a
から選択される1~4個の基で置換されていてもよく;
R
1a
はそれぞれ独立して水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、N-オキシド、及びC
3-8
シクロアルキルからなる群より選択され;
環Jは、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子と、を有するアリール環及びヘテロアリール環からなる群より選択され;
R
2
はそれぞれ独立して、水素、C
1-6
アルキル、ハロゲン、C
1-6
ハロアルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
ハロアルコキシ、C
1-6
アルキル-C
1-6
アルコキシ、CN、OH、NR
2a
R
2b
、C(O)R
2a
、C(O)OR
2a
、C(O)NR
2a
R
2b
、SR
2a
、S(O)R
2a
、S(O)
2
R
2a
、C
3-8
シクロアルキル、並びにそれぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子を有するC
3-8
ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
あるいは、隣接し合う環原子上の2個のR
2
基が組み合わされて、5~6個の環員と、それぞれ独立してN、O、及びSからなる群より選択される1~3個のヘテロ原子とを有する、ヘテロシクロアルキル環を形成しており、前記ヘテロシクロアルキル環は1~3個のR
2c
基で置換されていてもよく;
R
2a
、R
2b
、及びR
2c
はそれぞれ独立して水素及びC
1-6
アルキルからなる群より選択され;
R
3a
はそれぞれ独立してハロゲンであり;
下付き文字nは0~3の整数である。
<23> 前記オクタヒドロ縮合アザデカリンSGRMが、CORT125281としても知られる((4aR,8aS)-1-(4-フルオロフェニル)-6-((2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8,8a,9-オクタヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)メタノンであり、下記構造を有するものである、<22>に記載の方法。
【化16】
<24> 前記SGRMがCORT125281であり、前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<25> 前記SGRMがCORT125281であり、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<26> 前記SGRMがCORT125281であり、前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<27> 前記SGRMがCORT125281であり、前記チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、<1>~<9>のいずれか一つに記載の方法。
<28> 選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SGRM)化合物と、PD-1、CTLA-4、PDL-1、又はPDL-2に対して有効な抗体チェックポイント阻害剤とを含む、副腎皮質がん腫を処置するための医薬組成物。
<29> 前記SGRMがヘテロアリールケトン縮合アザデカリンSGRM、縮合アザデカリンSGRM、及びオクタヒドロ縮合アザデカリンSGRMから選択される化合物である、<28>に記載の医薬組成物。
<30> 前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPD-1に対して有効な抗体である、<28>又は<29>に記載の医薬組成物。
<31> 前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がCTLA-4に対して有効な抗体である、<28>又は<29>に記載の医薬組成物。
<32> 前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPD-L1に対して有効な抗体である、<28>又は<29>に記載の医薬組成物。
<33> 前記SGRMがレラコリラントであり、前記チェックポイント阻害剤がPDL-2に対して有効な抗体である、<28>又は<29>に記載の医薬組成物。
<34> 前記SGRMがヘテロアリール-ケトン縮合アザデカリン化合物(R)-(1-(4-フルオロフェニル)-6-((4-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-g]イソキノリン-4a-イル)(チアゾール-2-イル)メタノン(「CORT122928」と称される)であり、下記構造を有するものである、<1>、<2>~<9>のいずれか一つに記載の方法、又は<28>若しくは<29>に記載の医薬組成物。
【化17】
<35> 前記SGRMが化合物(R)-(1-(4-フルオロフェニル)-6-((4-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1-H-ピラゾロP,4-g)イソキノリン-4a-イル)(ピリジン-2-イル)メタノン(「CORT113176」と称される)であり、下記構造を有するものである、<1>、<2>~<9>のいずれか一つに記載の方法、又は<28>若しくは<29>に記載の医薬組成物。
【化18】
【国際調査報告】