(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】抗菌耐性弁を有する無針アクセス・コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/26 20060101AFI20230414BHJP
【FI】
A61M39/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022547861
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 US2021016668
(87)【国際公開番号】W WO2021158824
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オダ、トッド
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】サレハ、アリ
(72)【発明者】
【氏名】フラウスト、トマス
(72)【発明者】
【氏名】シェヴゴア、シッダース ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラオ、アルチャナー ナガラジャ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066JJ03
4C066JJ05
4C066QQ15
(57)【要約】
抗菌剤を含む弁が無針アクセス・コネクタとともに使用され得る。弁は、抗菌コーティングを含むインサートを有することができ、及び/又は、弁は、抗菌配合物を収容する、一連のトンネル又は溝又はパターン化表面等の物理的な機構を有することができ、及び/又は、弁は、抗菌剤を含む材料から作製され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌剤を有する弁を有する無針アクセス・コネクタ。
【請求項2】
前記弁の上面がシリコーン・エラストマーを有する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項3】
前記弁は、多孔質上面を有し、且つ前記弁の前記多孔質上面の近くにインサートを含み、前記インサートは、前記抗菌剤を含む抗菌コーティングをその上に有する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項4】
前記インサートは、前記弁の前記多孔質上面の近くに、平坦な上面を有する、請求項3に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項5】
前記インサートは、複数のポケット又は割れ目を含む上面を有し、前記抗菌コーティングは、前記ポケット又は前記割れ目内に含まれる、請求項3に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項6】
前記インサートは、剛体であり、且つ硬質ポリマー材料を有する、請求項3に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項7】
前記弁は、前記弁の前記上面内に一連のトンネル又はボアを有し、前記トンネル及び/又は前記ボアは、前記抗菌剤を含む抗菌配合物を収容する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項8】
前記弁は、前記抗菌剤を含む抗菌配合物を収容する一連の溝又はテクスチャパターンを有する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項9】
前記弁は、前記弁の親水性表面上に、前記抗菌剤を含む抗菌コーティングを有する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項10】
前記弁は、前記抗菌剤を含む材料で作られている、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項11】
前記弁材料は、シリコーン・エラストマー、フルオロポリマー及び前記抗菌剤を有する、請求項10に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項12】
前記弁材料は、前記弁の上面に抗菌配合物を注入することにより、前記抗菌剤を含む、請求項10に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項13】
前記抗菌配合物は徐放性抗菌配合物である、請求項12に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項14】
前記徐放性抗菌配合物は、生分解性ポリマー、メッシュ形成ポリマー、温度/pH感受性ポリマー、又はそれらの組み合わせを有する、請求項13に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項15】
前記抗菌剤は、シアノアクリレートから形成されたコーティング中に含まれている、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項16】
前記抗菌剤は、クロルヘキシジン塩を有する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項17】
前記抗菌剤は、前記弁上のコーティング中に含まれ、また前記抗菌剤は、前記コーティングを形成するのに使用される配合物の100重量部に比して約0.5~約50重量部を有する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項18】
抗菌剤を有する弁を有する無針アクセス・コネクタであって、前記弁は、前記無針アクセス・コネクタのうち唯一の抗菌剤を含む構成要素である、無針アクセス・コネクタ。
【請求項19】
前記弁の上面のみが前記抗菌剤を含む、請求項18に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項20】
前記抗菌剤は、シアノアクリレートから形成されたコーティング中に含まれている、請求項18に記載の無針アクセス・コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、無針コネクタに関し、詳細には、抗菌耐性弁(antimicrobial resistant valve)を有する無針コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
患者に点滴されることを意図された医療用流体(例えば、生理食塩水又は液体医薬)の供給源を接続及び分離するために、無針アクセス・コネクタ(NAC:needleless access connectors)が医療産業全体を通して広く使用されている。かかるコネクタはIVカテーテルとともに一般に使用され、IVカテーテルは、「静脈(IV:intravenous)セット」と一般に呼ばれる可撓性チューブ及び取付具を有する装備を介して、例えばIVバッグなどの流体源に接続される。
【0003】
NACへの接続時にアクセス・ハブ及びポート/弁から患者の血管系に細菌及び他の微生物が入り込む可能性がある。各アクセス・ハブ(又はポート/弁又は接続部)は、カテーテル関連血流感染(CRBSI:catheter related bloodstream infection)を移す何らかのリスクと関連付けられ、これは犠牲の大きい致命的な可能性があるものとなりかねない。
【0004】
カテーテル関連血流感染(CRBSI)事例を減らすために、また、コネクタが正しく使用及び保守されることを確実にするために、実践基準が進展してきており、これには消毒及び洗浄手技が含まれる。例えば、2016年輸液看護師基準(INS:Infusion Nurses Standard)ガイドラインでは、無針コネクタは、各アクセス前にアルコール、ヨードチンキ又はグルコン酸クロルヘキシジン/アルコール配合物を用いて常に徹底的に消毒されるべきであることを奨励している。
【0005】
無針コネクタの消毒は根本的に、表面に生息し得るとともに、前述したCRBSI事象を含む多様なカテーテル関連合併症を引き起こす可能性があり得る細菌の低減に役立つことを意図している。看護師は一般に、70%IPAアルコール・パッドを用いて、「ハブをこすり洗うこと」として知られていることを行うことによってこの消毒作業を完了する。しかしながら、この実践に対するコンプライアンス及びその効果は厳格とは思われない。さらに、細菌の増殖可能性に起因する感染を減らすために、医療従事者は、NACコネクタを頻回に、例えば少なくとも毎週変える傾向がある。しかしながら、細菌感染の可能性を減らすとともに無針アクセス・コネクタの耐用寿命を延ばす継続的必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
主題の技術の態様(aspect)は、細菌増殖に抗することができる弁を有する無針アクセス・コネクタに関し、詳細には、抗菌耐性弁を有するアクセス・ポートを有する無針アクセス・コネクタに関する。
【0007】
いくつかの態様において、NAC弁は、頭部と、頭部から遠位に延びる本体部とを有し、頭部が上面を有しており、弁の様々な表面上に又は弁内に抗菌剤が配置される。他の態様において、抗菌剤を有する弁内にインサートが含まれる。さらなる態様において、弁は、無針アクセス・コネクタのうち抗菌剤を含む唯一の構成要素である。
【0008】
実施例は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を個別に又は組み合わせて含む。例えば、弁は、その上面を含め、シリコーン・エラストマーを有することができる。いくつかの実施例において、弁は多孔質上面を有することができ、弁の多孔質上面近くにインサートを含み、インサートは、インサート上に、抗菌剤を含む抗菌コーティングを有する。さらに、インサートは、平坦であるとともに弁の多孔質上面近くにある上面を有することができる。他の実施例において、弁は、弁の上面内に一連のトンネル又はボアを有することができ、トンネル及び/又はボアは、抗菌剤を含む抗菌配合物(antimicrobial formulation)を収容する。代替的に又は付加的に、弁は、抗菌剤を含む抗菌配合物を収容する一連の溝又はテクスチャパターンを有することができる。さらに、弁は、例えば抗菌剤を含む材料を有することができ、弁は、シリコーン・エラストマー、フルオロポリマー及び抗菌剤を有することができる。なおもさらなる実施例において、弁材料は、弁の上面に抗菌配合物を注入することによって抗菌剤を含むことができる。なおも他の実施例において、抗菌配合物は、徐放性抗菌配合物とすることができ、生分解性ポリマー、メッシュ形成ポリマー、温度/pH感受性ポリマー、又はそれらの組み合わせ又は硬化型接着成分のようなポリマー形成成分を含むことができる。抗菌剤は、弁上又は弁内のコーティング中に含まれ得、抗菌剤は、コーティングを形成するのに使用される配合物の100重量部に比して約0.5~約50重量部を有することができる。
【0009】
主題の技術のさらなる利点は、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになり、主題の技術の特定の態様のみが単に例として示されるとともに説明される。理解されるように、主題の技術は、他の異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべて主題の技術の範囲から逸脱することなく、様々な他の点で変更可能である。したがって、図面及び説明は、本質的に例示とみなされるべきであり、限定とみなされるべきではない。
【0010】
さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれるとともにその一部を構成する添付の図面は、開示された実施例を示し、説明とともに、開示された実施例の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】一例の無用アクセス・コネクタの図であり、未組立形態における無用アクセス・コネクタの構成要素を示す3次元図である。
【
図1B】一例の無用アクセス・コネクタの図であり、閉状態を示す、組み立てられた無用アクセス・コネクタの破断図である。
【
図1C】一例の無用アクセス・コネクタの図であり、開状態を示す、組み立てられた無用アクセス・コネクタの破断図である。
【
図2A】無用アクセス・コネクタに対する一例の弁の図であり、弁の多孔質上面近くにインサートを有する、NACに対する弁を示す図である。
【
図2B】無用アクセス・コネクタに対する一例の弁の図であり、ポケット又は割れ目を含む上面を有するインサートを示す図である。
【
図3】無用アクセス・コネクタに対する一例の弁を示す図であり、弁の上面に、抗菌コーティング又は配合物を収容することができる物理的な機構を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記に記載されている詳細な説明は、主題の技術の様々な構成を記載しており、主題の技術が実践され得る唯一の構成を表すことを意図されていない。詳細な説明は、主題の技術の完全な理解を提供するための特定の詳細を含む。したがって、寸法は、非限定的な例として特定の態様に関して提供される。しかしながら、主題の技術はこれらの特定の詳細なしに実践され得ることが当業者には明らかであろう。いくつかの場合において、よく知られている構造体及び構成要素は、主題の技術の概念を曖昧にすることを回避するために、ブロック図の形態で示されている。
【0013】
本開示は、主題の技術の例を含み、添付の特許請求の範囲を限定しないことを理解されたい。ここで、主題の技術の様々な態様が、特定の、ただし非限定的な例に従って開示される。本開示に記載される様々な実施例は、異なる方式及び変形例において、所望の用途又は実施に従って実施され得る。
【0014】
主題の技術の態様は、弁、例えば、抗菌剤を有する、シリコーン・エラストマーから作製される弁を有する、無針アクセス・コネクタ(NAC)に関する。本開示のいくつかの態様において、弁は、インサート上に抗菌剤を含む抗菌コーティングを有するインサート、及び/又は、抗菌剤を含む抗菌配合物を収容する、一連のトンネル又は溝又はパターン化表面等の物理的な機構を有し、及び/又は、弁は、抗菌剤を含む材料から作製される。
【0015】
好都合には、排他的ではないが、弁は、無針アクセス・コネクタのうち抗菌剤を含む唯一の構成要素である。無針アクセス・コネクタのうち抗菌剤を含む唯一の構成要素である弁を有する無針アクセス・コネクタは、コネクタを通る医療用流体の流れとともに利用可能な抗生物質量を減らすことができ、したがって、NAC等を用いての患者への抗生物質投入を減らすことができる。抗生物質投入を減らすことは、2つ以上のNACを用いて患者に流体を送達する場合に特に好都合である。さらに、徐放性抗菌コーティングを含む弁は好都合には、NACの耐用年数を延ばすことにより、所与の時間期間にわたるNACの頻回交換の必要性を減らすことができる。
【0016】
弁を用いる一例の無針アクセス・コネクタが
図1A~
図1Cに示されている。
図1Aは、未組立形態における無用アクセス・コネクタ100の構成要素を示す3次元図である。
図1B及び
図1Cは、閉状態及び開状態をそれぞれ示す、組み立てられた無用アクセス・コネクタ100の破断図である。この例に関して図示のように、無針アクセス・コネクタ100はハウジング102を含み、ハウジング102は、アクセス・ポート114を画定する近位端104と、ハウジング102の出口ポート116を画定する遠位端106とを有する。本明細書に言及されるように、近位とは、ハウジング102の上部アクセス・ポート114側の向きを指し、遠位とは、上部アクセス・ポート114の反対側の、ハウジング102のベース部106又は下部側の向きを指す。
【0017】
ハウジング102は、近位端104と遠位端106との間に少なくとも部分的に延在する内部キャビティ140を含む。無針アクセス・コネクタ100はまた、ハウジング102の内部キャビティ140内に配置された圧縮可能な弁200を含む。圧縮可能な弁200は、頭部220と、頭部220から遠位に延びる圧縮可能な本体部230とを含む。この例に関して、圧縮可能な弁は、頭部にノッチ構成を有して示されているが、それらノッチは、本開示の様々な態様を実践するのに必要とされる。
【0018】
アクセス・ポート114は、別の装置(例えば、流体移送アセンブリ)に連結する係合機構101を含むことができる。例えば、係合機構101は、内面ねじ山又は外面ねじ山、デテント、バヨネット式ロック要素等のような協働する機械要素、及び、摩擦係合のためのテーパ状ルアー面のような他の面構成を含むことができる。いくつかの実施例において、入口ポート114は、ルアー・ロックねじ切り101と嵌合する雌型ルアーを画定することができる。いくつかの実施例において、出口ポート116は、別の装置に連結するか又は相互接続チューブに連結する係合機構を含むことができる。例えば、出口ポート116は、医療装置器具相互接続用の雄型ルアー・テーパ取付具及びルアー・ロックねじ切り103を有することができる。しかしながら、出口ポート116の係合機構は、他の協働する機械要素を含んでもよい。動作時、例えば、無針コネクタを介して入口ポート112から出口ポート108にかけて、流体経路が確立され得る。
【0019】
動作時、無針コネクタの圧縮可能な弁200は、圧縮可能な弁200の上面204に軸方向力が加えられると圧縮(compress)及び圧潰(collapse)することができ、弁は、軸方向力が取り除かれると拡張及び再位置合わせされ得る。したがって、弁の上面204に軸方向力(F)が加えられると、弁(200)は、ハウジング102の内部キャビティ130内で圧縮することでアクセス・ポート114から出口ポート116への流体経路を可能にする。
図1Cに示された例のように、(
図1Cに示されているような)中空部材を有する雄型ルアー取付具160は、雌型取付具101を介してアクセス・ポート114に接続され得る。雄型ルアー160の挿入により弁200が内部キャビティ130内に下方へ圧潰して、弁200の頭部220との間のシールを破断するとともにアクセス・ポート114から出口ポート116への流体流れ経路109を開く。
図1Cは、雌型ルアー101内への雄型ルアー160の挿入後の圧壊位置における圧潰可能な弁200を示す。雄型ルアー160は、例えばIVバッグから流体を送達し、この流体は、内部キャビティ130を通って弁要素200の周りに流れ、雄型ルアー取付具103内のチャネルに流入し、カテーテル又は雌型ルアーに流れ込む。
【0020】
ハウジング102は、ポリカーボネート(PC:Polycarbonate)、ポリウレタン(PU:Polyurethane)、ポリ塩化ビニル(PVC:Polyvinyl Chloride)、スチレン・ブタジエン・ゴム(SBR:Styrene-Butadiene Rubber)、ポリアクリル酸若しくはアクリル酸塩、又はこれらの組み合わせ等の、1つ又は複数の硬質(rigid)ポリマー材料を有することができる。頭部220と上面204とを含む弁200は、シリコーン・エラストマー等の弾性不活性材料を有することができ、そのため、弁は、ハウジング102内で圧潰可能であり、薬用流体と逆方向に相互作用することを阻止する。
【0021】
NACの現在の設計が細菌侵入を阻止するように堅牢であるのに対し、アクセス・ポートは、医療器具に接続されていない場合、一般的に環境に晒されているため、特に懸念がある。しかしながら、特に、弁の面側及びアクセス・ポート側とも呼ばれる弁の上面に抗菌剤を有する弁を有するNACにより、細菌形成又は増殖が最小限に抑えられるか又は排除され得、これらの条件は、例えば一週間以上使用の間、延長時間期間にわたって維持され得る。したがって、本開示の一態様において、NACは、弁、例えば、弁上又は弁内に徐放性抗菌コーティング又は配合物による等の抗菌剤を含む、シリコーン・エラストマーを有する弁を有する。
【0022】
本開示の一態様において、抗菌コーティングを有するインサートは、NACの弁内に含まれる。インサートは、弁の上面近くに含まれ得る。インサートを有する弁を用いる一例の無針アクセス・コネクタが
図2Aと
図2Bに示されている。かかる実施例において、弁300が、弁300の頭部320のその上面304(例えば多孔質上面)に孔を含んでおり、そのため、抗菌剤がインサートから弁を通って弁の外面に滲出することができる。さらに、多孔質上面は、医療用流体液等の液体がインサートに入ることも可能にし、流体又は他の流体を殺菌し、抗菌剤液、例えばクロルヘキシジン塩がインサートから滲出するとともに微生物を根絶することを可能にすることができる。
【0023】
いくつかの実施例において、インサートは、平坦な上部(
図2Aに352として示されている)を有するとともに、この平坦な上部がNAC弁の頭部の多孔質上面(例えば、304)と略平行であるように配置され得る。さらに又は代替的に、インサートは、配置される抗菌コーティング用のリザーバとして働くことができるポケット又は割れ目(crevice)を含むことができる。
図2Bは、抗菌コーティング又は配合物をポケット又は割れ目内に収容する、ポケット又は割れ目(364)を含む上面を有する一例のインサート360を示す。この例に関して、インサート360は、弁の頭部320内に含まれ、弁の上部は、多孔質上面(図示せず)を含む。インサートのポケット又は割れ目は好都合には、ポケット又は割れ目内及び/又はその周りにオーバー・モールドされた弁材料を把持することにより弁内の適所にインサートを保つことを容易にすることができる。
【0024】
本開示の特定の実施例において、インサートは、剛体(rigid)とすることができ、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレン・ブタジエン・ゴム(SBR)、ポリアクリル酸若しくはアクリル酸塩、又はこれらの組み合わせ等の、1つ又は複数の硬質ポリマー材料を有することができる。剛体インサートは、弁の上部分におけるかかるインサートが、弁の上面を、より剛性にするとともに、アクセス・ポートに接続される器具、例えばシリンジの周りに順応しにくくすることにより、NACを通って送られる流体のための一貫した又はより広い流れ経路を容易にすることができるという利点を有する。
【0025】
本開示の別の態様において、NACの弁は、抗菌剤を含む抗菌配合物を収容する、一連のトンネル又は溝又はパターン化表面等の物理的な機構を有することができる。例えば、
図3に示されているように、NACの弁400は、弁の上面(404)内に一連のトンネル又はボア(450)を有することができ、これらトンネル又はボアは、かかる機構を有する弁を成形することによって作製され得る。これらトンネル及び/又はボアは、抗菌剤、例えば、接着剤が配合されたクロルヘキシジン塩を含む、抗菌配合物を、充填するか又は他の方法によって収容することができる。
【0026】
本開示の別の態様において、NACの弁は、その表面上に一連の溝を有することができる。溝は、弁の頭部における上面及び/又は弁の本体面上にあるものとすることができる。かかる溝は、弁のマイクロ・パターン及び/又はテクスチャ表面として形成され得る。かかる溝/マイクロ・パターンは部品内に成形され得る。溝は次いで、抗菌剤、例えば、接着剤が配合されたクロルヘキシジン塩を含む、抗菌配合物で充填され得、その結果、抗菌剤を含む抗菌配合物を収容する一連の溝又はテクスチャパターンを有する弁が得られる。物理的な機構内又は機構上に抗菌コーティングを有する弁が流体液と接触すると、コーティング中に含まれた水溶性抗菌剤が弁から放出されることで、接触している流体及び周囲の表面に抗菌特性を与えることができる。
【0027】
本開示の別の態様において、NACの弁は、1つ又は複数の親水性表面と、1つ又は複数の親水性表面上に、抗菌剤を含む抗菌コーティングと、を有することができる。
【0028】
上述したように、NACの弁は、頭部と本体部とを含むことができる。かかる弁は一般的に、シリコーン・エラストマー等の不活性材料から作製される。しかしながら、そのような材料に徐放性抗菌コーティングを接着させることは、相対的不活性及び弁に必要とされる可撓性に起因して難関である。かかる弁とともに抗菌剤をより良好に含むために、弁の表面を改質することができる。
【0029】
したがって、本開示の一態様において、弁の表面は、表面を未処理表面よりも親水性があるものにするように処理される。そのような処理は、例えば、イソプロピル・アルコール(IPA:isopropyl alcohol)等のアルコールで処理することを含むことができる。表面はまた、弁の表面を酸素プラズマ、アルゴン又はそれらの双方で処理することによってより親水性にされ得る。表面は、弁の表面にプライマーを塗布し、その後、抗菌コーティング、例えば接着抗菌配合物(UV硬化型シリコーン接着剤:CHA/CHGを有するウレタン・アクリレート硬化型接着配合物)を塗布することによって、より親水性にされ得る。そのようなプライマーは、例えばHenkel社及びLoctite社等の会社から入手することができる。
【0030】
NACの弁に抗菌剤を含めることを容易にする別のやり方は、抗菌コーティングのより良好な接着のために弁表面を粗くすることである。さらに、表面は、表面を改質するために、抗菌剤、例えばCHAのイオン化衝突を受けることができる。
【0031】
本開示の別の態様において、NACの弁は、抗菌剤を弁材料の一部として含むことができる。好ましくは、抗菌剤は、弁材料内におよそ均一に拡散される。これを達成する1つのやり方は、弁材料、例えばシリコーン・エラストマーを、抗菌剤と混合することである。他のポリマー化合物を弁材料及び抗菌剤と混合することもできる。そのようなポリマー成分は例えば、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Polytetrafluoroethylene)であるフルオロポリマー等の不活性材料、ポリビニルピロリドン(PVP:Polyvinylpyrrolidone)等の親水性ポリマーを含む。親水性ポリマーは、例えばそのような材料が流体液と接触すると表面に広がることができるという利点を有することができ、親水性ポリマーは、表面に広がる傾向を有しており、次いで、抗菌剤を溶出することができる。
【0032】
抗菌剤を弁材料の一部として含める別のやり方は、親水性表面を有する弁を形成するために親水性鎖を有する別のシリコーン材料とシリコーン・エラストマーを混合することである。
【0033】
抗菌剤を弁材料の一部として含める別のやり方は、抗菌剤を含む溶液に弁を浸すことによって弁を膨張させるとともに抗菌剤を弁材料中に得させることである。例えば、シリコーン・エラストマーから構成される弁を、クロルヘキシジン塩等の抗菌剤の溶液中に浸漬させることができる。弁が溶液中で膨張し、抗菌剤の一部が弁材料に浸み込むことが可能となる。
【0034】
抗菌剤をNAC弁内に含める別のやり方は、皮下注射針の使用によって等、弁の上面又はポート面に抗菌配合物を注入することである。針が弁の上面に挿入されると、クロルヘキシジン/接着剤の混合物が注入される。この混合物は、針が抜かれても注入され続け、針によって残された空隙を満たす。
【0035】
NACの弁内に、又は、本開示の抗菌コーティングを調製する配合物とともに含まれ得る、有用な抗菌剤は例えば、アルデヒド、アニリド、ビグアニド、銀元素又はその化合物、ビス・フェノール、及び第4級アンモニウム化合物等又はそれらの組み合わせを含む。特に、本開示の適した抗菌剤は例えば、トリクロサン、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG:chlorhexidine gluconate)、酢酸クロルヘキシジン(CHA:chlorhexidine acetate)、ホスファニル酸クロルヘキシジン等のクロルヘキシジン塩、銀塩、クロルヘキシジン/スルファジアジン銀を含む。
【0036】
本開示の有用な抗菌コーティング又は配合物は、1つ又は複数のポリマーを有する1つ又は複数の抗菌剤を含む。代替的に、或いは、1つ又は複数の抗菌剤及びポリマーとの組み合わせにおいて、配合物は、成分、例えばUV硬化型モノマー及び/又はオリゴマーを形成するポリマーを含むことができる。いくつかの実施例において、形成される抗菌コーティング又は配合物のポリマー成分は、抗菌剤を経時に放出することができるようなものであり、例えば、抗菌剤を、少なくとも7日間、14日間、21日間等にわたるような経時に放出することができる徐放性コーティング又は配合物である。形成されるコーティングのポリマーの分子量は、抗菌剤の放出率を制御するように調整され得る。
【0037】
本開示の抗菌コーティングを調製する配合物中に含まれ得る有用なポリマーは例えば、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA:Poly Lactic-Co-Glycolic Acid))、ポリカプロラクトン(PCL:Polycaprolactone)、ポリグリコライド(PGL:Polyglycolide)、ポリ乳酸(PLA:Polylactic Acid)、ポリ-3-ヒドロキシ酪酸(PBH:Poly-3-Hydroxybutyrate)、ポリサッカライド、ポリエチレン・グリコール(PEG:Polyethylene Glycol)、ポリエチレンオキシド(PEO:Polyethylene Glycol)のような生分解性ポリマー、セルロース・アセテートのようなメッシュ形成ポリマー、ヒアルロン酸、ポリ(イソプロピルアクリルアミド)(NIPPam:(N-Isopropylacrylamide)等のような温度/pH感受性ポリマー、又はそれらのコポリマー及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0038】
本開示の徐放性抗菌コーティングを調製する配合物中に含まれ得る有用なポリマー形成成分は例えば、シアノアクリレートのような湿気硬化型又は温度硬化型接着成分、ウレタン・アクリレート硬化型接着剤のようなUV硬化型接着剤を含む。硬化型接着成分は、1つ又は複数の抗菌剤を配合され得る。UV硬化型配合物は、アクリレート型官能基を有するウレタン又はポリエステル型オリゴマー、アクリレート型モノマー、及び抗菌剤と、任意選択的な光開始剤、レオロジー改質剤、及び添加剤との組み合わせを含むことができる。抗菌剤は好ましくは、コーティング・マトリックス全体中に均一に分布される。
【0039】
多種多様なUV硬化型オリゴマーが本開示の配合物とともに使用され得る。例えば、オリゴマーは、アクリレート化脂肪族ウレタン、アクリレート化芳香族ウレタン、アクリレート化ポリエステル、不飽和ポリエステル、アクリレート化ポリエーテル、アクリレート化アクリル等、又は上記の組み合わせとすることができる。アクリレート化官能基は、一官能性、二官能性、三官能性、四官能性、五官能性、又は六官能性であることができる。
【0040】
オリゴマーの場合と同様に、多種多様なモノマーが本開示の配合物とともに使用され得る。そのようなモノマーは例えば、2-エチル・ヘキシル・アクリレート、イソオクチル・アクリレート、イソボルニルアクリレート、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジエチレン・グリコール・ジアクリレート、トリエチレン・グリコール・ジアクリレート、ペンタエリトリトール・テトラ・アクリレート、ペンタ・エリトリトール・トリ・アクリレート、ジメトキシ・フェニル・アセトフェノン・ヘキシル・メチル・アクリレート、ジメトキシ・フェニル・アセトフェノン・ヘキシル・メチル・アクリレート、メタクリル酸1,6ヘキサンジオール等、又はそれらの組み合わせを含む。
【0041】
UV硬化を容易にするために、UV硬化型配合物は、十分且つ適合性のある光開始剤を含むことができる。そのような光開始剤は、1)ベンゾイン・エーテル、アセトフェノン、ベンゾイル・オキシム、及びアシル・ホスフィン酸化物のような、単分子開裂型、並びに、2)ミヒラーのケトン、チオキサントン、アントロギオノン、ベンゾフェノン、メチル・ジエタノール・アミン、2-N-ブトキシエチル1-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート等のような水素引き抜き型、又はそれらの組み合わせとすることができる。UV硬化型配合物は、例えば紫外線光によって迅速に硬化され得、硬化は、配合物及び硬化条件に応じて数秒又は数分で達成され得る。本開示の徐放性コーティングは概して、数分内で有効となる。
【0042】
抗菌剤は、本開示の配合物中に、コーティングを形成するのに使用される配合物の100重量部に比して約0.5~約50重量部の量で、例えば、約1~約20重量部等、配合物の約0.5~約30重量部の量で含まれ得る。
【0043】
塗布され得るいくつかの特定の配合物は例えば、NAC弁の表面に塗布され得る約8wt%のCHAを有するウレタン・アクリレート接着剤又はシアノアクリレート接着剤を含む。さらに、NACの弁の表面に、Henkel社及びLoctite社等の会社から入手可能な、シリコーン弁についてのプライマーのようなプライマーを供し、その後、8%のCHAを含む配合物を塗布するとともに配合物を硬化させて、徐放性抗菌コーティングを弁に形成することができる。シリコーン弁は、プラズマ処理によってより親水性/湿潤可能なものにされ得るか、又は、弁は、アクリレート・ウレタン接着配合物がシリコーン弁にコーティングされ得るようにエッチングされ得る。
【0044】
本開示の徐放性コーティングを調製する配合物は、溶媒の有無にかかわらず抗菌剤をポリマーと混合してスラリー又は溶液を形成することによって調製され得る。抗菌剤をポリマーと混合することの代替として、又はその組み合わせにおいて、抗菌剤は、徐放性コーティングを調製する配合物を調製するために、ポリマー形成成分と混合され得る。配合物は次いで、配合物を表面にスプレー・コーティングし、ディップ・コーティングし、及び/又はすり込むことによって、上面に塗布され得る。例えば、本開示の特定の態様による徐放性抗菌コーティングを調製する硬化型配合物は、ポリマー形成成分、例えばシアノアクリレートを、約8wt%の抗菌剤、例えばCHA(CHAは、配合物中にCHAの均一な分布を形成するように混合することができるよう、微細なメッシュ/細孔径に粉砕され得る)の微粉と併せて、スラリーをつくることによって調製され得る。スラリーは次いで、NACの弁に塗布され得る。
【0045】
開示されているプロセスの方法におけるブロックの任意の特定の順序又は階層は、例示的なアプローチの例示であることが理解される。設計又は実施の優先度に基づいて、ステップ、プロセスにおけるブロックの特定の順序又は階層は、配置換えされてもよいこと、又は、示されたブロックがすべて実施されてもよいことが理解される。いくつかの実施態様において、ブロックのいずれも同時に実施されてもよい。
【0046】
本開示は、当業者がいずれも本明細書に記載された様々な態様を実践することを可能にするために提供される。本開示は、主題の技術の様々な例を提供しており、主題の技術は、これらの例に限定されない。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書において定義される包括的な原理は他の態様に適用され得る。
【0047】
単数形の要素への言及は、具体的にそのように述べられていない限り、「1つ及びただ1つ」を意味するのではなく、「1つ又は複数」を意味することを意図されている。具体的にそうでないことが述べられていない限り、「いくつか」という用語は、1つ又は複数を指す。男性形の代名詞(例えば、彼の)は、女性及び中性(例えば、彼女の及びその)を含み、その逆もまた同様である。見出し及び小見出しがある場合、それらは単に便宜上使用されているにすぎず、本発明を限定しない。
【0048】
「例示的な」という語は、本明細書において「例又は例示として役立つ」ことを意味するのに用いられる。本明細書において「例示的な」として記載される態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されない。一態様では、本明細書に記載された様々な代替の構成及び動作は、少なくとも等価であるとみなされてもよい。
【0049】
本明細書において使用されているように、一連の事項に続く「~の少なくとも1つ」という語句は、それら事項の任意のものを分離するための用語「又は」を伴う場合、列挙されたものの各事項ではなく、全体として列挙されたものを修飾する。「~の少なくとも1つ」という語句は、少なくとも1つの事項を選択する必要はなく、むしろ、この語句は、事項の任意の1つの少なくとも1つ、及び/又は事項の任意の組み合わせの少なくとも1つ、及び/又は事項のそれぞれの少なくとも1つを含む意味を許容する。例として、「A、B、又はCの少なくとも1つ」という語句は、Aのみ、Bのみ、又はCのみ、或いは、A、B、及びCの任意の組み合わせを指すことができる。
【0050】
「態様」等の語句は、そのような態様が主題の技術に不可欠であることも、そのような態様が主題の技術のすべての構成に当てはまることも示唆しない。態様に関する開示は、すべての構成或いは1つ又は複数の構成に当てはまり得る。態様は、1つ又は複数の例を提供し得る。態様等の語句は、1つ又は複数の態様を指すことがあり、その逆もまた同様である。「実施例」等の語句は、そのような実施例が主題の技術に不可欠であることも、そのような実施例が主題の技術のすべての構成に当てはまることも示唆しない。実施例に関する開示は、すべての実施例或いは1つ又は複数の実施例に当てはまり得る。実施例は、1つ又は複数の例を提供し得る。実施例等の語句は、1つ又は複数の実施例を指すことがあり、その逆もまた同様である。「構成」等の語句は、そのような構成が主題の技術に不可欠であることも、そのような構成が主題の技術のすべての構成に当てはまることも示唆しない。構成に関する開示は、すべての構成、或いは1つ又は複数の構成に当てはまり得る。構成は、1つ又は複数の例を提供し得る。構成等の語句は、1つ又は複数の構成を指すことがあり、その逆もまた同様である。
【0051】
一態様では、別段の記載がない限り、本明細書に記載されるすべての測定値、値、評点、位置、大きさ、寸法、及び他の仕様は、以下に続く特許請求の範囲におけるものを含め、概略的なものであり、正確ではない。一態様では、それらは、それらが関連する機能及びそれらが属する技術分野の慣例に矛盾しない、合理的な範囲を有することを意図される。
【0052】
開示されているステップ、動作又はプロセスの特定の順序又は階層は、例示的なアプローチの例示であることが理解される。設計の優先度に基づいて、ステップ、動作又はプロセスの特定の順序又は階層は、配置換えされてもよいことが理解される。ステップ、動作、又はプロセスのうちのいくつかは、同時に実施されてもよい。ステップ、動作、又はプロセスのうちのいくつか又はすべては、ユーザの介入なく、自動的に実施され得る。添付の方法の請求項がある場合、それらは様々なステップ、動作、又はプロセスの要素をサンプル順序で提示しており、提示されている特定の順序又は階層に限定されることを意味していない。
【0053】
当業者に知られているか又は後で知られることになる、本開示の全体を通して記載される様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的な均等物は、明確に参照により本明細書に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることを意図されている。さらに、本明細書に開示されているいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に供されることを意図されていない。請求項のいかなる要素も、その要素が、「~ための手段(means for)」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、又は、方法の請求項の場合において、その要素が、「~ためのステップ(step for)」という語句を使用して記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されるべきではない。そのうえ、「含む(include)」、「有する(have)」等の用語が使用される限りにおいて、そのような用語は、「有する(comprise)」が請求項の中の移行句として用いられる場合に解釈されるように、「有する(comprise)」という用語と同様にして包括的であることが意図されている。
【0054】
本開示の発明の名称、背景技術、発明の概要、図面の簡単な説明及び要約書は、これによって本開示に組み込まれ、本開示の限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な例として提供される。本開示は、これらが請求項の範囲又は意味を限定するように使用されないという理解のもとで提出される。さらに、詳細な説明において、説明は例示的な例を提供しており、また、本開示をストリーミングする目的で様々な実施例において様々な特徴がともにグループ化されていることが分かる。本開示の方法は、特許請求されている主題が各請求項の中で明示的に記載されているよりも多くの特徴を要するという意図を示すものとして解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲が示すように、本発明の主題は、単一の開示されている構成又は動作のすべての特徴よりも少ない特徴にある。添付の特許請求の範囲は、これにより、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別々に特許請求されている主題としてそれ自体に基づいている。
【0055】
特許請求の範囲は、本明細書に記載される態様に限定されることを意図されるのではなく、特許請求の範囲の文言に矛盾しない完全な範囲を与えられるべきであり、すべての法的均等物を包含するものとする。しかしながら、請求項のいずれも、米国特許法第101条、第102条、又は第103条の要件を満たさない主題を包含することは意図されておらず、また、そのように解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌剤を有する弁を有する無針アクセス・コネクタ
であって、前記弁は、多孔質上面を有し、前記弁は、前記多孔質上面に軸方向力が加えられたときに圧縮及び圧潰することができ、且つ前記軸線方向力が取り除かれたときに拡張及び再位置合わせされることができ、また前記弁は、前記弁の前記多孔質上面の近くの前記弁内にインサートを含み、前記インサートは、前記抗菌剤を含む抗菌コーティングをその上に有し、それにより前記抗菌剤は、前記インサートから前記弁を通って前記弁の外面に滲出することができる、無針アクセス・コネクタ。
【請求項2】
前記弁の
前記上面がシリコーン・エラストマーを有する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項3】
前記インサートは、前記弁の前記多孔質上面の近くに、平坦な上面を有する、請求項
1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項4】
前記インサートは、複数のポケット又は割れ目を含む上面を有し、前記抗菌コーティングは、前記ポケット又は前記割れ目内に含まれる、請求項
1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項5】
前記インサートは、剛体であり、且つ硬質ポリマー材料を有する、請求項
1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項6】
前記弁は、前記弁の前記上面内に一連のトンネル又はボアを有し、前記トンネル及び/又は前記ボアは、前記抗菌剤を含む抗菌配合物を収容する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項7】
前記弁は、前記抗菌剤を含む抗菌配合物を収容する一連の溝又はテクスチャパターンを有する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項8】
前記弁は、前記弁の親水性表面上に、前記抗菌剤を含む抗菌コーティングを有する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項9】
前記弁は、前記抗菌剤を含む材料で作られている、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項10】
前記弁材料は、シリコーン・エラストマー、フルオロポリマー及び前記抗菌剤を有する、請求項
9に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項11】
前記弁材料は、前記弁の上面に抗菌配合物を注入することにより、前記抗菌剤を含む、請求項
9に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項12】
前記抗菌配合物は徐放性抗菌配合物である、請求項
11に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項13】
前記徐放性抗菌配合物は、生分解性ポリマー、メッシュ形成ポリマー、温度/pH感受性ポリマー、又はそれらの組み合わせを有する、請求項
12に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項14】
前記抗菌剤は、シアノアクリレートから形成されたコーティング中に含まれている、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項15】
前記抗菌剤は、クロルヘキシジン塩を有する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項16】
前記抗菌剤は、前記弁上のコーティング中に含まれ、また前記抗菌剤は、前記コーティングを形成するのに使用される配合物の100重量部に比して約0.5~約50重量部を有する、請求項1に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項17】
抗菌剤を有する弁を有する無針アクセス・コネクタであって、前記弁は、前記無針アクセス・コネクタのうち
前記抗菌剤を含む
唯一の構成要素であ
り、また前記弁は、上面に軸方向力が加えられたときに圧縮及び圧潰することができ、且つ前記軸線方向力が取り除かれたときに拡張及び再位置合わせされることができる、無針アクセス・コネクタ。
【請求項18】
前記弁の上面のみが前記抗菌剤を含む、請求項
17に記載の無針アクセス・コネクタ。
【請求項19】
前記抗菌剤は、シアノアクリレートから形成されたコーティング中に含まれている、請求項
17に記載の無針アクセス・コネクタ。
【国際調査報告】