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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】甘味料組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20230414BHJP
   A23G 9/34 20060101ALI20230414BHJP
   A23L 27/30 20160101ALI20230414BHJP
【FI】
A23L27/00 E
A23L27/00 F
A23G9/34
A23L27/30 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022547894
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2021052856
(87)【国際公開番号】W WO2021156471
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】2050126-8
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522311990
【氏名又は名称】ベイン ソリューションズ アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】BAYN SOLUTIONS AB
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】エドストレーム,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】アイドー,ロジャー
【テーマコード(参考)】
4B014
4B047
【Fターム(参考)】
4B014GB18
4B014GG07
4B014GG08
4B014GK03
4B014GL10
4B014GL11
4B014GP01
4B014GP23
4B014GY03
4B014GY04
4B047LB09
4B047LE06
4B047LG21
4B047LG24
4B047LG25
4B047LG26
4B047LG28
4B047LG32
4B047LP02
4B047LP07
4B047LP09
(57)【要約】
粒子を含む甘味料組成物が提供され、該粒子は、高甘味度甘味料、非蔗糖バルク甘味料、および低消化性炭水化物ポリマーを含む。
【代表図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含む組成物であって、
前記粒子は、高甘味度甘味料、非蔗糖バルク甘味料、および低消化性炭水化物ポリマーを含み、
前記非蔗糖バルク甘味料は85重量%から90重量%の量で存在し、前記低消化性炭水化物ポリマーは9重量%から13重量%の量で存在し、前記高甘味度甘味料は0.01重量%から1重量%の量で存在する、
ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、
前記非蔗糖バルク甘味料が86重量%から90重量%の量で存在する、
ことを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組成物であって、
前記粒子の少なくとも99%が500μmより小さく、前記粒子の最大20%が100μmより小さい、
ことを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物であって、
前記低消化性糖質ポリマーがデキストリンである、
ことを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物であって、
前記粒子が、0.01重量%から1重量%の高甘味度甘味料、および9重量%から13重量%の低消化性炭水化物ポリマーからなり、残りは非蔗糖バルク甘味料である、
ことを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の組成物であって、
前記低消化性炭水化物ポリマーがデキストリンである、
ことを特徴とする組成物。
【請求項7】
高甘味度甘味料、非蔗糖バルク甘味料、および低消化性炭水化物ポリマーを含む粒子であって、
前記非蔗糖バルク甘味料は85重量%から90重量%の量で存在し、前記低消化性炭水化物ポリマーは9重量%から13重量%の量で存在し、前記高甘味度甘味料は0.01重量%から1重量%の量で存在する、
ことを特徴とする粒子。
【請求項8】
請求項7に記載の粒子であって、
前記低消化性糖質ポリマーがデキストリンである、
ことを特徴とする粒子。
【請求項9】
請求項7または8に記載の粒子であって、
前記非蔗糖バルク甘味料が86重量%から90重量%の量で存在する、
ことを特徴とする粒子。
【請求項10】
甘味料組成物の製造方法であって、以下のステップを含む方法。
a)高甘味度甘味料を水と混合して、低消化性糖質ポリマーまたは非蔗糖バルク甘味料を含まない水-高甘味度甘味料混合物を取得し、および、
b)非蔗糖バルク甘味料を低消化性炭水化物ポリマーと混合して、粉末を形成し、次いで、
c)前記ステップa)からの混合物を前記ステップb)からの粉末と混合し、および、
d)前記混合物を乾燥させて、前記高甘味度甘味料、前記消化性炭水化物ポリマー、および前記非蔗糖バルク甘味料に粒子を形成させる。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記ステップc)およびd)が、流動層乾燥機を用いる、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10または11のいずれか1項に記載の方法で得られる組成物。
【請求項13】
請求項10または11のいずれか1項に記載の方法で得られる粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、甘味料組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蔗糖(スクロース)は、食品産業において最も一般的に使用されている甘味料である。ほとんどの食品に含まれる糖分が高いため、カロリーが低く、血糖値が低い蔗糖代替物の開発が進められてきた。しかし、蔗糖代替物は一般に、ボディ(コク)、口当たり、食感といった蔗糖の特定の特性をうまく模倣していない。さらに、そのような蔗糖代替物は、食品製造における投与や取り扱いが困難であることが多い。
【0003】
WO2011/017140は、90%のキシリトールと9.32%のユニデックス(Unidex)のブレンド(凝集粒子ではない)からなる組成物(組成物1B)についての情報を提供している。しかしながら、WO2011/017140は、組成物1Bが有用ではない(「油っぽい、塊状、貧弱」)ことも明確に開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様では、粒子を含む組成物が提供され、該粒子は、高甘味度甘味料、非蔗糖バルク甘味料、および低消化性炭水化物ポリマーを含む。
【0006】
この甘味料組成物には、多くの利点がある。
【0007】
組成物の粒径を従来の蔗糖と同様にすることができるため、現在のレシピ、手順、装置の適応を簡素化することができる。
【0008】
本発明の甘味料組成物は、菓子類やアイスクリームなどの各種甘味製品の製造に使用することができる。本発明の甘味料組成物は、蔗糖を置き換えるために使用することができる。蔗糖は、既に確立された製造工程において、1:1の割合でこの甘味組成物に置き換えることができる。
【0009】
均質な粒径と、組成物があらかじめ混合および凝集されていることから、バルクでの吐出が容易で、粘結(ケーキング)を防ぐことができる。粒子が均一なサイズと密度であるため、フェージング、すなわちある化合物の粒子サイズが小さく、したがって大きなサイズの粒子と混合したときに均質に分布しないこと、を回避することができる。 製品中の高甘味度甘味料(HIS)の分布は、最終製品の均一な甘味を保証する均質なものとなる。
【0010】
低消化性炭水化物ポリマー(LDC)は、組成物にバルク(嵩)を与え、また、よりゆっくりと消化されるため、低カロリー製品、グルコース反応の低減、満腹感の増加、虫歯の低減をもたらす。しかしながら、デキストリン(下記参照)のようなLDCは密度が低く、「ふわふわ」しており、均質に混合するのが難しく、混合物は一般的に均質な状態で留まらない。したがって、LDCは一般的に機械で使用することが困難である。本発明の組成物は、機械での取り扱いがはるかに容易である。
【0011】
したがって、非蔗糖バルク甘味料と高甘味度甘味料を低消化性炭水化物ポリマーに結合させることで、多くの利点が得られる。
【0012】
好ましくは、粒子の少なくとも99%が500μmより小さく、粒子の最大20%が100μmより小さい。これにより、機械で使用しやすく、蔗糖を容易に置き換えることができる粒径が提供される。
【0013】
一実施形態では、組成物は、0.01重量%~1重量%の高甘味度甘味料、75重量%~92重量%の非蔗糖バルク甘味料、および5重量%~22重量%の低消化性炭水化物ポリマーを含んでいる。
【0014】
好ましい実施形態では、非蔗糖バルク甘味料は85重量%~90重量%の量で存在し、低消化性炭水化物ポリマーは9重量%~13重量%の量で存在し、高甘味度甘味料は0.01重量%~1重量%の量で存在している。
【0015】
いくつかの理由から、このような製品に含まれる繊維(LDC)の量をできるだけ少なくすることが有効である。繊維製品は高価になりがちである。
【0016】
さらに、本発明者らは、繊維を様々な食品製造方法で使用すると、繊維が糖に分解される傾向があり、その結果、繊維から糖質部位が放出されることを見いだした。その結果、最終製品中の糖質含量が意図したよりも高くなる。このため、最終製品に含まれる糖質の量を推定することが困難となる。そこで、食物繊維の量をできるだけ少なくすることが有効である。
【0017】
一実施形態では、非蔗糖バルク甘味料は、86重量%~90重量%の量で存在する。
【0018】
好ましい実施形態では、低消化性炭水化物ポリマーはデキストリンである。非蔗糖バルク甘味料は、例えば、マルチトールまたはエリスリトールであってもよく、低消化性炭水化物ポリマーは、好ましくはデキストリンであってもよい。
【0019】
粒子は、0.01%から1%の高甘味度甘味料、5重量%から22重量%の低消化性炭水化物ポリマーで構成され、残り(バランス)は低消化性炭水化物ポリマーであってよい。
【0020】
粒子は、0.01%から1%の高甘味度甘味料、9重量%から13重量%の低消化性炭水化物ポリマーから構成され、残りは非蔗糖バルク甘味料であってもよい。ここでも、低消化性炭水化物ポリマーは、好ましくはデキストリンである。
【0021】
本発明の第2の態様では、高甘味度甘味料、非蔗糖バルク甘味料、および低消化性炭水化物ポリマーを含む粒子が提供される。好ましい実施形態では、粒子中に、非蔗糖バルク甘味料は85重量%から90重量%の量で存在し、低消化性炭水化物ポリマーは9重量%~13重量%の量で存在し、高甘味度甘味料は0.01重量%~1重量%の量で存在する。
【0022】
一実施形態では、非蔗糖バルク甘味料は、86重量%~90重量%の量で存在する。
【0023】
第3の態様では、以下のステップを含む、甘味料組成物の製造方法が提供される。
a)高甘味度甘味料と水とを混合するステップと、
b)非蔗糖バルク甘味料(例えば非蔗糖バルク甘味料を含む粒子)と低消化性炭水化物ポリマー(例えば低消化性炭水化物ポリマーを含む粒子)を混合して、粉末を形成し、次いで、
c)ステップa)からの混合物をステップb)からの粉末と混合し、
d)前記混合物を乾燥させて、高甘味度甘味料、消化性炭水化物ポリマー、および非蔗糖バルク甘味料で粒子を形成する。
【0024】
水-高甘味度甘味料混合物は、低消化性炭水化物ポリマーまたは非蔗糖バルク甘味料を含有しないことが好ましい。流動層乾燥は、粒子および組成物を製造する好ましい方法である。
【0025】
第4の態様では、本発明の第3の態様による方法を用いて得ることができる組成物が提供される。
【0026】
第5の態様では、本発明の第3の態様による方法で得ることができる粒子が提供される。
【0027】
また、レシピ中の蔗糖を1:1の割合で本発明組成物に置き換える工程を含む、甘味製品の製造方法が提供される。
【0028】
添付の図面は、本明細書の一部を構成し、本発明の好ましい実施形態を模式的に示すとともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、方法のフローチャートである。
図2図2は、流動層乾燥機の模式図である。
図3図3は、電子顕微鏡写真である。
図4図4は、電子顕微鏡写真である。
図5図5は、電子顕微鏡写真である。
図6図6は、電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書では、%は重量で表記する。
【0031】
ここでいう粒径(particle size)とは、カットオフの異なる複数のふるいを用いて測定した粒径のことで、例えばRetsch社製のふるい(www.retsch.com)などが挙げられる。原料は、開口の大きいふるいによるふるい分けから開始して、開口の小さいふるいによるふるい分けに進む。各ふるいの中の原料の残りを加重し、各画分の重量パーセントを決定する。ふるいのカットオフは、100μm、200μm、300μm、400μm、500μmが好適である。
【0032】
組成物は、高甘味度甘味料、非蔗糖バルク甘味料、および低消化性炭水化物ポリマーを凝集した形態からなる粒子を含んでいる。
【0033】
この組成物は、高甘味度甘味料(HIS)を含んでいる。高甘味度甘味料(または高力価甘味料)は、蔗糖の数百から数千倍の甘味を有する。多くの異なる有用な高甘味度甘味料が存在する。組成物中のHISは、好ましくは、食品での使用が承認されているHISである。有用なHISとしては、ステビア甘味料(ステビア配糖体)、アスパルテーム、アセスルファム-K、タウマチン、サッカリン、スクラロースおよびネオテーム、またはこれらの混合物などが挙げられる。レバウジオシドAおよびレバウジオシドMは、好ましいステビア甘味料である。レバウジオシドAは、蔗糖の約200~300倍の甘さである。他の有用なHISには、ステビオビサイド、レバウジオサイドB、C、D、E、FおよびMならびにダルコサイド、ならびにモンクフルーツから抽出された高甘味度甘味料が含まれる。
【0034】
最終製品中のHISの濃度は、0.01%~1.5%、より好ましくは0.01%~1%、さらに好ましくは0.02%~0.5%、特に0.02%~0.2%、最も好ましい0.02%~0.08%であってよい。濃度は、HISの甘味度、使用する非蔗糖バルク甘味料の濃度や甘さに応じて選択される。
【0035】
本組成物は、非蔗糖バルク甘味料を含む。非蔗糖バルク甘味料は、好ましくは、体内以で、不完全に消化され、および/または吸収されにくい。非蔗糖バルク甘味料は、好ましくは低カロリー値、好ましくは4kcal/gである蔗糖のカロリー値より低いカロリー値を有する。カロリー値は、例えば、3kcal/g未満であってもよく、より好ましくは2.5kcal/g未満である。マルチトールは、2.1kcal/gのカロリー価を有する。
【0036】
非蔗糖バルク甘味料は、蔗糖の物理的バルクと甘味の両方を代替することができる成分であってよい。また、最終製品が消費される際に適切な口当たりを実現するために、テクスチャーも提供する。
【0037】
適切な非蔗糖バルク甘味料の例には、アルロース、ポリオール、タガトース、トレハロースおよびイソマルチュロースが含まれ、ここでポリオールが好適である。ポリオールは、好ましくは、糖アルコールである。糖アルコールは、一般に、糖の水素化によって得られる。
【0038】
好適な糖アルコールとしては、マルチトール、ソルビトール、イソマルト、エリスリトール、ラクチトール、マンニトール、キシリトール、またはこれらの混合物が挙げられ、ここで、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、イソマルト、キシリトールが好適である。ポリオールは、蔗糖の半分の甘さから約同等の甘さまで、甘さに差がある。したがって、蔗糖に対する相対的な甘さは、0.5から1であってよい。
【0039】
また、アルロースは非蔗糖バルク甘味料として好ましい。
【0040】
組成物中の非蔗糖バルク甘味料の濃度は、50~95%、より好ましくは70~92%、特に85%~91%、または85~90%、更に好ましくは86%(または86.5%)~89%であってよい。
【0041】
組成物は、低消化性炭水化物ポリマー(LDC)を含む。LDCは、典型的には、繊維又は繊維状成分である。これらは、1,6-グリコシド結合またはβ2->1結合を有するグルコースまたはフルクトース鎖を含むかまたはそれらからなるモノマー単位で構成されるポリマーである。ポリマーは、重合度が3から60の間の分岐または直鎖であってもよい。LDC、特にデキストリン、の平均分子量は、1000ダルトンから10000ダルトン、より好ましくは3000ダルトンから6000ダルトン、より好ましくは4000ダルトンから5000ダルトンであってよい。LDCは、少なくともある程度、消化中の分解に対する耐性があることが好ましい。
【0042】
有用なLDCの例としては、ポリデキストロース、イヌリン、オリゴフルクトースおよびデキストリン、またはこれらの混合物が挙げられる。デキストリンは、中性の味を有し、広範囲のpH値で安定であるため、好適なLDCである。
【0043】
組成物中の低消化性炭水化物ポリマー、例えばデキストリン、の濃度は、5~22%、より好ましくは9~14%、特に9~13%、更に好ましくは10%~13%、最も好ましくは11%~13%であってよい。また、低消化性炭水化物ポリマーの濃度は、5%~8%であってもよい。
【0044】
一実施形態では、組成物は、50%~95%、より好ましくは75%~92%、特に85~90%のマルチトールと、5~22%、より好ましくは9~14%、特に9~13%のデキストリンと高甘味度甘味料とを含んでいる。
【0045】
組成物は、さらに、他の適切な、食品適合性のある成分を含んでいてもよい。そのようなエージェントの例は、香料、甘味増強剤、および風味改良剤である。そのような成分の例は、酵母エキスおよび酸化防止剤である。このような成分は、通常、1%未満で存在する。組成物はまた、乳化剤、安定剤、またはハイドロコロイドを含んでよい。任意の適切な濃度を使用することができるが、好ましくは、0.1~3%の濃度である。
【0046】
一実施形態では、組成物は、5~22%、より好ましくは9~14%、特に9~13%、さらに好ましくは10~13%、最も好ましくは11~13%の、好適にはデキストリンであるLDC、0.01%~1%のHIS、および任意に、最大3%の甘味増強剤、風味調整剤、乳化剤、安定剤またはハイドロコロイドからなり、残りは非蔗糖バルク甘味料である。組成物は、好ましくは、平均して、この組成物を有する粒子からなる。
【0047】
また、組成物は、微量の不純物を含んでいてもよい。
【0048】
低消化性炭水化物ポリマーと非蔗糖バルク甘味料の合計濃度は、少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%であってよい。
【0049】
組成物の甘味は、選択されたHISおよび選択された非蔗糖バルク甘味料の量を選択することによって調整することができる。最終的な甘味は、蔗糖の甘味に近いか同一であってよい。甘味は、当技術分野で知られているように、人間のパネル(集団)を使用して決定することができる。
【0050】
組成物は、好ましくは、粉末の形態である。組成物は、好ましくは乾燥している。組成物の水分は、好ましくは2%未満である。また、水分は、好ましくは1%未満であり、より好ましくは0.2~0.5%である。
【0051】
組成物および様々な成分は、好ましくは、食用および/または人間の消費に適した、または少なくとも許容できるものである。本組成物は、蔗糖代替物として使用することができる。本発明の1つの態様において、レシピおよび/または手順中の蔗糖は、同量の本組成物で置き換えられる。これは、蔗糖を含むレシピの容易な適応を提供する。本組成物は、焼き菓子、菓子、アイスクリームなどの様々な固形食品において甘味料として使用することができる。また、アイスクリーム、ヨーグルト、チーズカード、プリンなどの乳製品を甘くするために使用してもよい。また、ジャムやチョコレートスプレッドを甘くするために使用してもよい。一実施形態では、組成物は、飲料でない製品を甘くするために使用される。好ましい実施形態では、組成物は、アイスクリームにおいて甘味料として使用される。
【0052】
組成物は、好ましくは、高甘味度甘味料、非蔗糖バルク甘味料、および低消化性炭水化物ポリマーを含む粒子から構成される。したがって、組成物の粒子は、好ましくは、非蔗糖バルク甘味料、LDC、およびHISを1つの同じ粒子で構成する凝集体である。例えば、高甘味度甘味料は、低消化性糖質ポリマーの粒子と非蔗糖バルク甘味料の粒子とを互いに結合させ、より大きな粒子を形成してもよい。
【0053】
または、低消化性糖質ポリマー粒子は、非蔗糖バルク甘味料および高甘味度甘味料で部分的または全体的に被覆されてもよい。非蔗糖バルク甘味料は、LDCの粒子に部分的に浸透してよい。
【0054】
一実施形態では、低消化性炭水化物ポリマーおよび非蔗糖バルク甘味料を含む別個の粒子があり、それらの一方または両方が高甘味度甘味料で被覆されているかまたは部分的に被覆されている。高甘味度甘味料は、低消化性炭水化物ポリマーの粒子および/または非蔗糖バルク甘味料の粒子を部分的または全体的に被覆するか、あるいは付着していてもよい。
【0055】
粒子における結合または被覆は、共有結合またはファンデルワールス(van der Waals)結合のような任意のタイプの適切な化学的または物理的結合を媒介とすることができる。
【0056】
粒径は、好ましくは蔗糖の粒径と同程度である。粒径の上限は1000μmであってよく、99%または100%以上の粒子が1000μmより小さく、より好ましくは500μmより小さくてよい。好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上の粒子が、100μmより大きい。粒径は、出発原料である非蔗糖バルク甘味料とLDCの粒径を適切に選択することで調整することができる。
【0057】
この組成物は、好ましくは、非蔗糖バルク甘味料とLDCの粒子とを混合し、高甘味度甘味料を含む水溶液に、高甘味度甘味料がLDCおよび非蔗糖バルク甘味料粒子に結合するように、および好ましくは非蔗糖バルク甘味料粒子とLDC粒子とが互いに結合して凝集体を形成するように、露出させる(exposing)ことを含む方法によって得られる。
【0058】
水中の高甘味度甘味料の濃度は、5~30%、特に高甘味度甘味料がステビア甘味料である場合、特に20~25%であってよい。結合は、非蔗糖バルク甘味料またはLDC粒子が水に溶解しない条件下で生じてもよい。結合の条件は、HISの所望の最終濃度を得るために、例えば、最終粒子に所望の量のHISを適用するために選択され、これは、順に、選択されたHISの甘さに依存する。
【0059】
本方法は、乾燥工程を含んでよい。流動層乾燥が使用される場合、追加の乾燥ステップは必要ない。本方法は、例えば粉砕によって、粒子を適切な粒径に破壊するステップを含んでもよい。これは、結合および乾燥の後に実施することができる。流動層乾燥機が使用される場合、これは一般的に不要である。
【0060】
図1を参照して、ステップ100で、高甘味度甘味料が水に溶解される。したがって好ましくは、高甘味度甘味料と水とを含み、非蔗糖バルク甘味料またはLDCを含まない混合物が得られる。混合物は、高甘味度甘味料と水とから構成されていてもよい。別途、粉末状のLDCを粉末状の非蔗糖バルク甘味料と混合する。
【0061】
ステップ101において、高甘味度甘味料は、非蔗糖バルク甘味料およびLDCの粒子の混合物に結合させられる。好ましくは粒子が振動または撹拌され、好ましくはまた加熱されている間、好ましくは、水-HIS混合物は、非蔗糖バルク甘味料およびLDCの粒子上に噴霧される。得られた混合物は、ステップ102で乾燥される。ステップ101および102は、後述する流動層乾燥機を用いて実施することができる。したがって、ステップ101および102は、1つの連続プロセスで実施され得る。
【0062】
スプレーノズル、振動・撹拌装置、加熱装置を備え、材料が好ましくは一端から他端まで流れるような容器であれば、どのような容器でも使用可能である。適切な温度は、流動層乾燥(下記)に使用される温度である。有用な技術としては、流動層乾燥、噴霧乾燥、湿式造粒などがある。最終製品は、好ましくは、自由に流動する均質な粉末である。
【0063】
好ましい方法では、ステップ101および102で流動層乾燥が使用される。流動層チャンバ乾燥機の一例を図2に示す。非蔗糖バルク甘味料およびLDSの混合物は流動化され、HISを含む水溶液が噴霧される。図2の流動層乾燥機チャンバは、バルク甘味料/LDC粒子を保持する流動層に水-HIS混合物を噴霧するためのノズルを備える。流動層は、下方から噴射される熱風によって維持される。HIS/水が噴霧されると、流動層内で粒子が形成される。流動層乾燥機は、最終的な粒径の調整にも使用されてよい。小さすぎる粒子は再循環される。流動層乾燥機は、大きすぎる粒子を除去するためのふるいを備えてもよい。流動層乾燥機は、チャンバ内に振動を与えてもよい。好適な流動層乾燥機は、VIBRO-FLUIDIZER(登録商標)Fluid Bed(GEA Group Aktiengesellschaft、F.H. SCHULE Muhlenbau GmbH)である。
【0064】
流動層乾燥機を使用する場合、チャンバ内の好ましい温度は80℃~120℃であり、より好ましくは90℃~100℃、最も好ましくは90℃~95℃である。熱風源の温度は、より高くてもよい。非蔗糖バルク甘味料およびLDSは、周囲温度で流動層乾燥機に入ることができる。
【0065】
本発明は、特定の例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、その説明は、一般に、発明概念を説明することのみを意図しており、本発明の範囲を限定するものとして受け取られるべきでない。本発明は、一般に、特許請求の範囲によって定義される。
【0066】
(実施例1)
ステビアグルコシド・レバウディオサイドA(純度97%)を水と混合し,ステビアを22.8%含む溶液を得た。マルチトール粉末(粒径200μm)とデキストリン粉末を混合し、流動層乾燥機に供給した。チャンバ内の空気温度は90~95℃。乾燥時間は約2分。バッチサイズは400kg。
【0067】
最終的な組成は以下の通りであった。
マルチトール(87.15%)
デキストリン(12.73%)
ステビオール配糖体(0.12%)
その結果、自由流動性の均質な粉末を得ることができた。
【0068】
(実施例2)
組成物の粒径は、ふるいを用いて測定した。最終的な粒径分布は以下の通りであった。
>400μm 7%
300μ~400μm 11%
200μm~300μm 42%
100μm~200μm 30%
<100μm 10%
【0069】
90%の粒子が100μmより大きかった。すべての粒子は500μmより小さかった。
【0070】
(実施例3)
マルチトールとデキストリンの混合物および最終製品について、電子顕微鏡検査を実施した。図4(最終結果)と図3(LDCおよび非蔗糖バルク甘味料の出発物質混合物)を比較すると、被覆と凝集が起こり、より均質な粒径を示していることが分かる。図5(出発材料)と図6(最終結果)を比較すると、被覆と凝集が起こっていることが分かる。
【0071】
(実施例4)
この組成物を様々な側面から試験した。この組成物はスクロースのような挙動を示した。それは自由流動性の粉末であり、機械で使用するのが容易であった。この組成物は粉塵を発生させず、他の成分と混合しやすく、水に自由に溶けた。甘味は蔗糖の場合とほぼ同じであった。この組成物をアイスクリーム用組成物の甘味付けに使用したところ、良好な結果が得られた。この組成物は、蔗糖と同じ口当たりを有していた。
【0072】
(実施例5)
リテッセ ウルトラバルキング (54.45%)
エリスリトール (45.37%)
ナビアレブM80 (0.18%)
【0073】
粒子は、本質的に実施例1と同様に形成された。
【0074】
実施例5の組成物を、様々な側面から試験した。この組成物は、蔗糖のような挙動を示した。それは自由流動性の粉末であり、機械で使用するのが容易であった。この組成物は、粉塵を発生させず、他の成分と混合しやすく、水に自由に溶けた。甘味は蔗糖の場合とほぼ同じであった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子からなる組成物であって、
前記粒子は、それぞれ、高甘味度甘味料、非蔗糖バルク甘味料、および低消化性炭水化物ポリマーを含み、
前記粒子は1つの同じ粒子における前記成分の凝集体であり、
前記非蔗糖バルク甘味料は85重量%から90重量%の量で存在し、前記低消化性炭水化物ポリマーは9重量%から13重量%の量で存在し、前記高甘味度甘味料は0.01重量%から1重量%の量で存在
前記非蔗糖バルク甘味料がポリオールであり、前記低消化性炭水化物ポリマーがポリデキストロース、イヌリン、オリゴフルクトースおよびデキストリンからなる群から選択される、
ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、
前記非蔗糖バルク甘味料が86重量%から90重量%の量で存在する、
ことを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組成物であって、
前記粒子の少なくとも99%が500μmより小さく、前記粒子の最大20%が100μmより小さい、
ことを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の組成物であって、
前記粒子が、0.01重量%から1重量%の高甘味度甘味料、および9重量%から13重量%の低消化性炭水化物ポリマーからなり、残りは非蔗糖バルク甘味料である、
ことを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項に記載の組成物であって、
前記低消化性炭水化物ポリマーがデキストリンである、
ことを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の甘味料組成物の製造方法であって、以下のステップを含む方法。
a)高甘味度甘味料を水と混合して、5%から30%の高甘味度甘味料を含み、低消化性糖質ポリマーまたは非蔗糖バルク甘味料を含まない水-高甘味度甘味料混合物を取得し、および、
b)非蔗糖バルク甘味料を低消化性炭水化物ポリマーと混合して、粉末を形成し、ここで前記非蔗糖バルク甘味料はポリオールであり、次いで、
c)前記ステップa)からの混合物を前記ステップb)からの粉末と混合し、および、
d)前記混合物を乾燥させて、前記高甘味度甘味料、前記消化性炭水化物ポリマー、および前記非蔗糖バルク甘味料に粒子を形成させる。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、
前記ステップc)およびd)が、流動層乾燥機を用いる、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記流動層乾燥機がチャンバを有し、前記チャンバ内の温度が80℃から120℃である、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
アイスクリームにおける甘味料としての請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【国際調査報告】