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特表2023-516897腸から組織を分離するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】腸から組織を分離するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A22C 17/00 20060101AFI20230414BHJP
   A22B 5/00 20060101ALI20230414BHJP
   A22C 17/14 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
A22C17/00
A22B5/00
A22C17/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022547911
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2021052589
(87)【国際公開番号】W WO2021156327
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】2024837
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522312115
【氏名又は名称】ファン・ヘッセン・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ヨーゼフ・エス・デ・ヴィンテル
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・マルセル・デー・デ・ヴィンテル
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・ヨハンネス・アントニウス・トーマス・スミッツ
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011EA05
(57)【要約】
本発明は、動物、特に豚、羊又は牛から摘出された臓器群から腸を分離するための組織分離装置であって、腸が、接続組織を介して臓器群の残り部分に接続されている、組織分離装置に関する。組織分離装置は、腸に接触するように構成されている少なくとも1つの案内面を有している案内装置と、腸の近傍の接続組織を分離するように構成されている組織切断装置とを備えている。案内装置が、接続組織を収容するように構成された間隙を形成するように互いに対して移動可能とされる第1の案内部材及び第2の案内部材とを備えている。間隙が、可変の幅を有している。組織切断装置が、間隙において動作するように構成されており、組織分離装置が、弾性部材による力を第1の案内部材及び第2の案内部材のうち少なくとも1つの部材に作用させるように構成されている弾性部材を備えており、弾性部材による力が、第1の案内部材及び第2の案内部材を互いに対して向かうように駆動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物、特に豚、羊又は牛から摘出された臓器群から腸を分離するための組織分離装置であって、前記腸が、組織を介して前記臓器群の残り部分に接続されている、前記組織分離装置であって、
前記腸に接触するように構成されている少なくとも1つの案内面を有している案内装置と、
前記腸の近傍の前記組織を分離するように構成されている組織切断装置と、
を備えている前記組織分離装置において、
前記案内装置が、前記組織を収容するように構成された間隙を形成するように互いに対して移動可能とされる第1の案内部材及び第2の案内部材とを備えており、前記間隙が、可変の幅を有しており、
前記組織切断装置が、前記間隙において動作するように構成されており、
前記組織分離装置が、弾性部材による力を前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材のうち少なくとも1つの部材に作用させるように構成されている弾性部材を備えており、前記弾性部材による力が、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材を互いに対して向かうように駆動することを特徴とする組織分離装置。
【請求項2】
前記第1の案内部材と前記第2の案内部材とが、前記間隙の幅を変化させるために、互いに対して回転可能とされることを特徴とする請求項1に記載の組織分離装置。
【請求項3】
前記第1の案内部材が、前記組織切断装置に対して固定されており、
前記第2の案内部材が、前記組織切断装置に対して移動可能とされることを特徴とする請求項1又は2に記載の組織分離装置。
【請求項4】
前記第2の案内部材が、案内部材回転軸の周りに回転可能されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項5】
前記弾性部材が、前記第2の案内部材が前記第1の案内部材に向かうように付勢することによって前記間隙の幅を最小にするために、前記第2の案内部材に力を作用させるように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の組織分離装置。
【請求項6】
前記弾性部材が作用させる前記弾性部材による力が、調整可能とされることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項7】
前記弾性部材が、バネであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項8】
前記バネが作用させる弾性部材による力が、前記バネのプリテンションを変化させることによって調節されることを特徴とする請求項7に記載の組織分離装置。
【請求項9】
前記第1の案内部材と前記第2の案内部材とによって形成された前記間隙が、テーパ状の組織入口領域を備えていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項10】
前記第1の案内部材と前記第2の案内部材とがそれぞれ、前記間隙の前記組織入口領域に丸められた端部分を備えていることを特徴とする請求項9に記載の組織分離装置。
【請求項11】
前記第1の案内部材が、第1の案内面を備えており、
前記第2の案内部材が、第2の案内面を備えており、
前記第1の案内面と前記第2の案内面とが、前記腸に少なくとも部分的に接触するように構成されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項12】
前記第1の案内部材が、前記第2の案内部材の第2の面に面している第1の面を備えており、
前記第1の面と前記第2の面とが共に、前記間隙を形成していることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項13】
前記組織分離装置が、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材の互いに向かう移動を制限するためのストッパ部材を備えていることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項14】
前記組織分離装置が、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材の互いから離隔する移動を制限するためのストッパ部材を備えていることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項15】
前記組織切断装置が、回転駆動する切断部材を備えていることを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項16】
前記切断部材が、周囲切断縁部を有しているサークルナイフを備えていることを特徴とする請求項15に記載の組織分離装置。
【請求項17】
前記周囲切断縁部が、平坦であることを特徴とする請求項16に記載の組織分離装置。
【請求項18】
前記周囲切断縁部の一部分が、前記間隙を横断して延在していることを特徴とする請求項16又は17に記載の組織分離装置。
【請求項19】
前記切断部材が、前記案内装置の前記案内面に対して20°~60°の角度で、特に約45°の角度で延在している平面内に延在していることを特徴とする請求項15~18のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項20】
前記組織分離装置が、前記組織切断装置に流体を供給するように構成されている流体供給ダクトを備えていることを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項21】
前記切断部材が、電気モータによって駆動されることを特徴とする請求項15~20のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項22】
前記電気モータが、前記切断部材に直接接続されていることを特徴とする請求項21に記載の組織分離装置。
【請求項23】
動物、特に豚、羊又は牛から摘出された臓器群から腸を分離するための方法であって、前記腸が、組織を介して前記臓器群の残り部分に接続されている、前記方法において、
前記腸の長手方向において案内装置に対して前記腸を移動させるステップと、
前記組織を前記案内装置の間隙に案内するステップであって、前記案内装置が、前記間隙を形成している第1の案内部材及び第2の案内部材を備えており、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材が、前記間隙の幅を変化させるために互いに対して向かうように又は互いから離隔するように移動可能とされ、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材が、弾性部材による力によって、互いに向かうように弾性的に強制され、前記案内装置の少なくとも1つの案内面が、前記腸に接触している、前記ステップと、
前記組織が、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材のうち少なくとも一方の案内部材に力を作用させるステップであって、前記間隙の幅が、前記弾性部材による力と前記組織が作用させる力との相互作用によって決定される、前記ステップと、
前記間隙において前記腸の近傍の前記組織を分離するステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項24】
前記第1の案内部材が、組織分離装置に堅固に取り付けられており、
前記第2の案内部材が、前記組織分離装置に移動可能に取り付けられており、
前記弾性部材による力が、前記第2の案内部材に作用する弾性部材によって発生することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の臓器群及び組織から腸を摘出する分野に関する。より具体的には、本発明は、腸の摘出プロセスにおいて、動物の腸から組織を分離するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動物の腸、特に胃と大腸とを接続する小腸は、適切に処理された場合には、有益で十分に評価される天然物である。例えば、ソーセージのケーシング、容器、又は皮として、及び他の目的のために利用可能であるからである。特に豚、羊、又は牛の腸が当て嵌まる。
【0003】
動物の屠殺プロセスにおいて、動物の体腔から臓器群が取り除かれる。次に、臓器及び組織が、さらに処理すべき臓器から分離される。
【0004】
これら分離ステップのうち一のステップにおいて、腸及び例えば胃や組織のような少なくとも1つの他の臓器を備える群の少なくとも一部分が、臓器群の残り部分又は臓器の一部分から腸を分離するために、腸分離ステーションに運ばれる。臓器群又は臓器群の一部分が、例えばコンベアのような機械式輸送装置のサポートから吊り下げられる。例えば無端コンベアのようなコンベアは、臓器群又は臓器群の一部分をそれぞれ運搬する一連のサポートを備えている。サポートを連続的に又は間欠的に移動させることによって、一の臓器群又は臓器群の一部分が腸分離ステーションに同時に提供される。腸分離ステーションは、いわゆる腸を処理するためのガットルーム(gut room)の一部分である。
【0005】
従来、分離ステーションでは、作業員が手作業で腸を分離していた。作業員は、ハンドルと当該ハンドルに接続された片刃、例えばカミソリ刃とを備えたナイフを手で保持していた。ナイフと腸とは、臓器群又は臓器群の一部分に接続された状態を維持して、互いに対して移動されるので、ナイフは、腸の外面の近傍で、腸の長手方向に沿って密接した状態で移動する。
【0006】
腸の分離プロセスにおいて、腸は、腸に向かって又は腸から延在する血管が埋め込まれた変形可能な脂肪組織から分離される必要がある。このような血管は、“ヒゲ”(whiskers)と呼称される。腸の摘出において、腸を損傷させることなく、脂肪組織を可能な限り除去するために、且つ、可能な限り短尺のヒゲを有する腸を獲得するために、可能な限り腸の近くで分離又は切断を確実に行なう必要がある。
【0007】
ナイフを取り扱う人すなわち作業員は、この作業を行うために、実際に比較的長い時間がかかる教育及び経験を必要とする。
【0008】
ナイフを保持している作業者の手のために必要とされる作業姿勢は、極めて不自然であり且つ心地良いものではなく、作業者の手、腕及び関連する身体部位に症状を引き起こす場合がある。
【0009】
特許文献1は、動物から摘出された腸から脂肪組織を分離するための腸分離装置を開示している。腸分離装置は、間隙を形成する案内装置を、当該間隙で動作する組織切断装置と共に備えている。腸に接続されている脂肪組織は、間隙に収容され、案内装置によって伸長される。組織切断装置は、最小長さのヒゲを残しつつ、腸から脂肪組織を切断する。
【0010】
案内装置は、2つの案内部材又は2つのフィンガーを備えており、案内部材同士の距離は、作業員によって手動制御装置を介して制御される。手動制御装置は、バネ部材が発生させる付勢力によって、完全開放開始位置に向かって付勢される。手動制御装置を互いに向かって移動させることによって、案内部材が互いに接近するように移動される。作業員は、手動操作によって手動制御装置を付勢力に抗して互いに対して向かうように押し込むことによって、案内部材同士の距離を制御する。利用時に、作業員は、装置と処理すべき腸との相互作用が発生させる装置からの触覚フィードバックに基づいて、完全開放開始位置に対応する距離から所望の距離に至るまで、案内部材同士の距離を減少させる。これにより、作業員は、わずかに異なる大きさの腸を処理することができるが、摘出された腸の品質が作業員に依存することになると共に、作業員の手が疲労するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】オランダ国特許第2015948号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
作業員に対する依存を低減すると共に作業員の負荷を低減することができる、組織分離装置及び腸から組織を分離するための方法を提供することが望ましい。作業員に対する依存を低減することによって、熟練度の低い作業員者であっても高品質で一貫した成果を生み出すことができる一方、作業員の負荷を低減することによって、作業の迅速化、製品の損失に繋がるミスの減少、及び/又は休憩の間の作業間隔の長時間化が可能となる。作業員に対する依存を低減するには、組織分離装置を自動化システムに組み込むことも必要とされる場合があり、この場合には、組織分離装置は、例えばロボットアームのような機械的処理装置に接続される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これら懸案事項のうち1つ以上の懸案事項を解決するために、本発明の第1の実施態様は、動物、特に豚、羊又は牛から摘出された臓器群から腸を分離するための組織分離装置であって、腸が、接続組織を介して臓器群の残り部分に接続されている、組織分離装置であって、
腸に接触するように構成されている少なくとも1つの案内面を有している案内装置と、
腸の近傍の接続組織を分離するように構成されている組織切断装置と、
を備えている組織分離装置において、
案内装置が、接続組織を収容するように構成された間隙を形成するように互いに対して移動可能とされる第1の案内部材及び第2の案内部材とを備えており、間隙が、可変の幅を有しており、
組織切断装置が、間隙において動作するように構成されており、
組織分離装置が、弾性部材による力を第1の案内部材及び第2の案内部材のうち少なくとも1つの部材に作用させるように構成されている弾性部材を備えており、弾性部材による力が、第1の案内部材及び第2の案内部材を互いに対して向かうように駆動することを特徴とする組織分離装置を提供する。
【0014】
間隙は、第1の案内部材が第2の案内部材から離隔配置されている場合に、開放されている(開放される)。さらに、腸分離装置は、第1の案内部材が第2の案内部材に当接しているか、又は第2の案内部材に対して実質的に当接している場合に、第1の案内部材と第2の案内部材との間に最小限の距離を残しつつ、間隙を閉鎖するか、又は実質的に閉鎖することができる。
【0015】
利用時に、腸は、組織切断装置が動作する間隙の内部に位置する組織分離位置に向かって組織を間隙の内部に移動させるために、腸分離装置に沿って移動される。間隙において、第1の案内部材及び第2の案内部材と組織との間に発生する摩擦によって、組織が、分離位置の近傍で引っ張られ、確実且つ容易に分離される。
【0016】
間隙の幅を変化させることによって、実際の間隙の幅は、組織分離位置に向かって感激に沿って移動する組織の実際の厚さに至るまで調整可能である。厚さ方向は、間隙の幅方向に延在している。組織の厚さは、一の動物の一の腸から他の動物の他の腸に至るまで変化するのみならず、組織が腸に沿って様々な位置で様々な厚さを有している一の腸を処理する場合にも変化する。間隙の幅は、組織及び弾性部材が少なくとも1つの案内部材に作用させる力の相互作用によって決定される。弾性部材は、案内部材同士を強制的に互いに向かわせることによって間隙の幅を小さくしようとする力を発生させる、例えば捩じりバネのようなバネとされる。弾性部材が作用させる力は、調節可能とされる。弾性部材がバネである場合には、弾性部材が作用させる力は、バネのプリテンションを変更することによって調節される。
【0017】
第1の案内部材及び第2の案内部材が互いに対して相対的に移動可能であることによって、分離位置に到達するまでの移動に際して組織が通過する間隙の幅が変化するので、組織は、詰まることなく分離位置に到達することができる。このような詰まりは、組織の一部分(some parts)が通過するには狭すぎる一定の幅を有する間隙において発生し、これにより組織は、分離位置に到達することができない。また、間隙の幅が変化可能であることによって、間隙において摩擦が過度に低くなるか又は零になることもなく、組織と第1の案内部材及び第2の案内部材との間に十分な摩擦を発生させつつ、組織は分離位置に到達することができる。組織の少なくとも一部分の厚さより広い一定の幅を有する間隙では、過度に低い摩擦が発生する場合がある。
【0018】
特許文献1に開示される装置とは対照的に、弾性部材は、互いから離隔させるのではなく、互いに向かうように案内部材を付勢する。その結果として、利用時の間隙の幅は、作業員の押し込み作用(squeezing action)ではなく、弾性部材による力と腸が単独で作用させる力との相互作用によって決定される。間隙の幅が作業員に依存しない量よって決定可能とされるので、作業員の役割が軽減され、一定の結果が確保される。従って、作業員に対する依存性、特に作業員の手及び腕の筋力に対する依存性が低減される。
【0019】
組織分離装置の一の実施例では、第1の案内部材と第2の案内部材は、間隙の幅を変化させるために互いに対して相対的に回転可能とされるので、案内部材の確実な位置決めが可能となる。組織分離装置のさらなる実施例では、第1の案内部材は組織切断装置に対して固定されており、第2の案内部材は組織切断装置に対して移動可能とされるので、特に第1の案内部材の比較的簡単な構造を実現することができる。組織分離装置のさらにさらなる実施例では、第2の案内部材は、案内部材回転軸の周りに回転可能とされる。組織分離装置のさらにさらなる実施例では、弾性部材は、第2の案内部材が第1の案内部材に向かって付勢されるように、第2の案内部材に力を及ぼすように構成されている。
【0020】
組織分離装置の一の実施例では、第1の案内部材と第2の案内部材とによって形成される間隙は、テーパ状の組織入口領域を備えている。組織分離装置のさらなる実施例では、第1の案内部材及び第2の案内部材はそれぞれ、間隙の組織入口領域に丸められた端部分を備えている。
【0021】
テーパ状の組織入口領域、すなわち組織を間隙に侵入させるための領域におけるテーパ状部分が、組織の移動の結果として当該組織が揺れ動く場合であっても、組織の捕捉を容易にすると共に、間隙の内部に向かう組織の滑らかな移動を促進する。第1の案内部材及び第2の案内部材を丸められた端部分を有するように構成することによっても、同様の効果を得ることができる。
【0022】
組織分離装置の一の実施例では、第1の案内部材が、第1の案内面を備えており、第2の案内部材が、第2の案内面を備えており、第1の案内面と第2の案内面とが、腸に少なくとも部分的に接触するように構成されている。
【0023】
第1の案内面と第2の案内面とが、腸を損傷させることなく、腸から短い距離のところで確実に組織が腸から分離されるように、組織分離装置によって得られる組織の分離位置と腸面との間に所定の距離を提供する機能を有している。第1の案内面と第2の案内面とは、異なる間隙の幅であっても、確実に自身の機能を提供する。
【0024】
組織分離装置の一の実施例では、第1の案内部材が、第2の案内部材の第2の面に面している第1の面を備えており、第1の面と第2の面とが共に、間隙を形成している。
【0025】
第1の面と第2の面とは、略平坦な面とされる。平坦な面は、利用の際に、第1の面と第2の面との間で組織を案内しない場合には、互いに対して略平行に延在しており、又は、利用の際に、第1の平面と第2の平面との間で組織を案内する場合には、間隙を通過する組織の移動方向に対して直角な方向で見ると互いに対して最大で20°の角度で延在している。従って、第1の面及び第2の面のうち少なくとも一部分が、腸分離装置の利用の際に、摩擦力を発生させるために組織と接触しているので、組織分離装置による組織の最適な分離に貢献することができる。
【0026】
組織分離装置の一の実施例では、組織分離装置が、第1の案内部材及び第2の案内部材の互いに向かう移動を制限するためのストッパ部材を備えている。付加的に又は代替的に、組織分離装置が、第1の案内部材と第2の案内部材との互いから離隔する移動を制限するためのストッパ部材を備えている。このようなストッパ部材は、案内部材同士の相対的な移動の範囲を制限し、最小間隙幅及び/又は最大間隙幅を設定する。これにより、幅が過度に小さい間隙の場合に組織が間隙に詰まることに起因して、組織及び/又は腸が損傷することが防止される。
【0027】
組織分離装置の一の実施例では、前記組織分離装置が、回転駆動する切断部材を備えている。
【0028】
動物から採取した臓器群から腸を分離する装置を利用する場合には、幾本かの20メートルの腸を約10秒未満で処理する必要がある。連続稼働運転を想定した場合には、腸の分離装置の利用が8時間に達すると、組織分離装置の切断長さは57kmより長くなる。回転駆動式切断縁部を設けることによって、例えば剃刀のような固定式切断部材を利用する場合とは対照的に、組織分離装置は、比較的長い作動時間を達成することができる。
【0029】
組織分離装置のさらなる実施例では、切断部材が、周囲切断縁部、特に平坦な(すなわち鋸歯を有しない)切断縁部を有しているサークルナイフを備えているが、このような切断縁部に限定される訳ではない。
【0030】
特に、長い動作時間、低摩耗性、容易な交換等の観点から、このようなサークルナイフは、高い性能を有している必要がある。
【0031】
組織分離装置のさらにさらなる実施例では、切断縁部の一部分が、間隙を横断して延在している。これにより、腸の近傍において組織を切断し、ひげの長さを最小にすることができる。
【0032】
組織分離装置のさらにさらなる実施例では、切断部材が、案内装置の案内面に対して20°~60°の角度で、特に約45°の角度で延在している平面内に延在している。
【0033】
回転可能な切断部材の平面を案内装置の案内面に対して斜めに位置付けることは、分離工程において、腸から分離された組織が腸から発散することを意味する。それによって、腸は、ガイド装置のガイド面(複数可)に密着するように引き寄せられ、腸の表面と組織内の実際の分離位置との間に一定の小さな距離を得る。これにより、ウィスカの長さを一定かつ小さくすることができます。
【0034】
組織分離装置の一の実施例では、組織分離装置が、組織切断装置に流体を供給するように構成されている流体供給ダクトを備えている。
【0035】
組織切断装置への流体の、特に温度が20℃~60℃、特に40℃の温水の供給は、組織切断装置に対して、組織切断装置から組織の残留物を除去する洗浄効果を有している。水が比較的高温であるので、組織の残留物が固体化し組織切断装置に固着することが防止され、ひいては組織切断装置の機能が保全される。さらに、水は、組織の通過を良好にする潤滑効果及び組織切断装置の切断作用を提供するために、間隙の領域の少なくとも一部分に、特に組織切断装置が組織に作用する間隙の領域に供給される。また、流体は、流体の有効性を高める潤滑剤、洗浄剤、又は殺菌剤の添加物を備えている場合がある。流体は、切断縁部を駆動するためのモータ又はドライブトレインを冷却するために利用される場合もある。流体は、流体の冷却効果を改善するための添加物を備えている場合がある。代替的には、組織分離装置は、冷却流体の供給を別に備えている。このような流体は、添加物や例えば空気のような気体を含むか否かに関わらず、例えば水のような液体とされる。気体が利用される場合には、当該気体は、モータ又はドライブトレインが加圧環境下で動作するように、大気圧より高い圧力で供給される。これにより、流体がモータ又はドライブトレインに到達する可能性が低くなる。
【0036】
組織分離装置の一の実施例では、切断部材が、電気モータによって駆動される。電気モータは、組織分離装置に組み込まれており、切断部材に直接接続されている。これにより、切断部材への力の伝達が効率的になり、ドライブトレインの複雑さが低減される。さらに、駆動ケーブル、加圧型液圧配管、及び加圧型空気配管を組織分離装置に接続させる必要が無くなるので、組織分離装置及び組織分離装置に接続される配管の重量及び複雑さが低減され、組織分離装置に接続される配管の剛性も低減される。代替的には、モータが外部に配置されている。従って、切断部材は、切断部材に接続された内部タービンを駆動するために、駆動ケーブルを利用することによって、又は空気、水、若しくは他の流体を利用することによって駆動される。
【0037】
本発明の別の独立した実施態様は、動物、特に豚、羊又は牛から摘出された臓器群から腸を分離するための方法であって、腸が、接続組織を介して臓器群の残り部分に接続されている、方法において、
腸の長手方向において案内装置に対して腸を移動させるステップと、
接続組織を案内装置の間隙に案内するステップであって、案内装置が、間隙を形成している第1の案内部材及び第2の案内部材を備えており、第1の案内部材及び第2の案内部材が、間隙の幅を変化させるために互いに対して向かうように又は互いから離隔するように移動可能とされ、第1の案内部材及び第2の案内部材が、弾性部材による力によって、互いに向かうように弾性的に強制され、案内装置の少なくとも1つの案内面が、腸に接触している、ステップと、
接続組織が、第1の案内部材及び第2の案内部材のうち少なくとも一方の案内部材に力を作用させるステップであって、間隙の幅が、弾性部材による力と接続組織が作用させる力との相互作用によって決定される、ステップと、
間隙において腸の近傍の接続組織を分離するステップと、
を備えていることを特徴とする方法を提供する。
【0038】
当該方法のさらなる実施例では、第1の案内部材が、組織分離装置に堅固に取り付けられており、第2の案内部材が、組織分離装置に移動可能に取り付けられており、弾性部材による力が、第2の案内部材に作用する弾性部材によって発生する。
【0039】
本発明のこれら実施態様及び他の実施態様は、以下の詳細な説明を参照し、同様の参照符号が同様の部品を示す添付図面と関連させて考察することによって、より容易に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明における組織分離装置の一実施例を表わす透視図である。
図2図1に表わす組織分離装置の上面図である。
図3】第1の案内部材と第2の案内部材との間に形成された間隙が閉じられた状態の、本発明における組織分離装置の一部分の底面図である。
図4A】第1の案内部材と第2の案内部材との間に形成された間隙が閉じられた状態の、本発明における組織分離装置の一部分の上面図である。
図4B】間隙が開いた状態の、図4Aに表わす組織分離装置の一部分の上面図である。
図5】本発明における組織分離装置の一の実施例の背面図である。
図6】腸を組織から分離するために組織分離装置を利用する方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面は、本発明における組織分離装置1を表わす。組織分離装置1は、組織5(図6参照)を組織切断装置8に案内するように構成されている案内装置6を備えている。組織切断装置8は、組織5を腸2から分離するように構成されている。これにより、腸2は、腸2が組織5を介して付着している臓器群3から分離される。腸は、任意の動物、特に豚、羊、牛の腸とされる。
【0042】
案内装置は、第1の案内部材9と第2の案内部材10とを備えており、第1案内部材9と第2案内部材10との間には、可変の幅を有する間隙11が設けられている。間隙11の幅は、第1の案内部材9と第2の案内部材10との相対的な移動に起因して変化する。このような移動は、具体的にはバネである弾性部材12によって制御される。弾性部材12は、第1の案内部材9及び第2の案内部材10を互いに対して向かうように駆動させようとする力を作用させる。組織5は、案内装置6によって、間隙11を通じて組織切断装置8に案内される。案内装置6は、組織5が第1の案内部材9と第2の案内部材10との間にスムーズに入るように、第1の案内部材9及び第2の案内部材10の丸められた端部分15を具備するテーパ状の組織入口領域14を備えている。
【0043】
組織分離装置1は、流体供給ダクト25から回転駆動式切断部材22に流体を輸送するように構成されている内部流体チャネル110を備えている。当該流体は、組織分離装置1の利用の際に回転駆動式切断部材22を洗浄、潤滑、及び/又は殺菌する。
【0044】
図2は、組織分離装置1の上面図である。組織切断装置8は、回転駆動式切断部材22、より具体的にはサークルナイフ23である。サークルナイフ23は、電気モータによって駆動される。当該電気モータは、ケーブル101の3本の電源線102を介して給電される3相の電気モータである場合がある。電気モータは、回転駆動式切断部材22に直接結合されている場合がある。電気モータは、電気制御線103を介して制御される。電源線102を通じて電動モータに送られる電力は、電気制御線103を介して制御され、例えばオン/オフ制御される。回転駆動式切断部材22は、案内装置6の案内面16,17に対して20°~60°の角度で、特に約45°で延在する平面内において延在している。
【0045】
図3図4Bは、間隙11が閉じた状態(図3及び図4A参照)の組織分離装置1の詳細な上面図と、間隙11が開いた状態(図4B参照)の組織分離装置1の詳細な上面図である。図示の実施例では、第2の案内部材10が、案内部材回転軸10Aの周りに回転可能とされ、バネ107によって第1の案内部材9に向かうように付勢されている。 “1”~“8”と記された所定のプリテンション設定を有するバネプリテンション調整器108によってバネ107のプリテンションを変更することによって、バネ107が第2の案内部材10に作用させる力は調節可能とされる。バネ107の代替として別のタイプの弾性部材12が利用される場合には、他の調節手段が設けられる場合がある。異なる動物の腸2及び接続組織5の特性は、例えば異なる種の間において又は種内の異なる族の間において異なる場合がある。従って、弾性部材が作用させる力を調整することによって、組織分離装置1は、異なるタイプの腸、例えば異なる種の動物又は同一の種の異なる族からの腸に利用可能となるように調整される。
【0046】
図3図4A、及び図4Bの比較から理解されるように、間隙11を開いた際における第1の案内部材9に対する第2の案内部材10の回転に起因して、間隙11の第1の側面18及び第2の側面19それぞれが、互いに対して所定の角度で延在している。これにより、間隙11は、サークルナイフ23の周囲縁部24に向かって狭くなるテーパ形状を有している。当該角度は間隙の幅と共に大きくなる。すなわち、間隙の幅が拡大されるに従って、当該角度も大きくなる。
【0047】
組織分離装置1は、第1の案内部材9及び第2の案内部材10が互いから離隔する移動範囲を制限することによって、間隙11の開く程度を限定するためのストッパ部材20を備えている。図示の実施例では、ストッパ部材20は、第2の案内部材10の移動を制限する。これにより、サークルナイフ23の周囲縁部24に対する組織分離装置1の利用者又は他の身体の一部の接触の可能性が皆無又は極めて低くなるように、間隙11の幅の上限が設定される。これに伴って、利用者が負傷する危険性を減少させることができる。
【0048】
また、組織分離装置1は、第1の案内部材9及び第2の案内部材10が互いに向かう移動を制限するための別のストッパ部材を備えている場合がある。図示の実施例では、第1の案内部材9及び第2の案内部材10が互いに接触するので、第1の案内部材9及び第2の案内部材10が互いに向かう移動を制限するための別のストッパ部材は不要である。
【0049】
図4Bに表わすように、周囲切断縁部24が、部分的に間隙11を横断して延在しているので、サークルナイフ23の切断動作は間隙内で実施される。サークルナイフ23は、平坦な周囲切断縁部24を有している。
【0050】
図5は、組織分離装置1の背面図である。図5は、電気ケーブル101の3本の電源線102に対する接続と2本の電気制御線103に対する接続とを、流体供給ダクト25と共に表わす。本発明における代替的な実施例では、例えば電気モータが単相ACモータ、又は例えばブラシレスDCモータのようなDCモータである場合に、より多数の又はより少数の電源線及び電気制御線が利用される。
【0051】
図6は、動物、特に豚、羊又は牛の腸2から組織5を分離するための方法を表わす。腸2は、組織5を介して、テーブル又は他の支持構造体に才知された臓器群3に接続されている。また、臓器群3は、フック、レール、又は他の懸架装置、場合によっては搬送可能な懸架装置によって吊り下げられている。
【0052】
腸2は、腸2に付着した組織5が案内装置6の間隙11に案内されるように、腸2の長手方向において案内装置6に対して移動される。案内装置は、本開示の他の箇所で説明されるような組織分離装置1の一部分である。案内装置6に対する腸3の長手方向移動は、腸2を引っ張ることによって実現される。
【0053】
案内装置6の少なくとも1つの案内面16,17は、腸2に接触している。間隙11は、第1の案内部材9と第2の案内部材10とによって形成されており、第1の案内部材9と第2の案内部材10とは、間隙11の幅を変化させるために、互いに対して向かうように、及び互いから離隔するように移動可能とされる。第1の案内部材9と第2の案内部材10とは、互い対して向かうように弾性的に付勢されている。組織5は、第1の案内部材9及び第2の案内部材10のうち少なくとも一方の案内部材に力を作用させる。従って、間隙11の幅は、弾性部材による力と、第1の案内部材9及び第2の案内部材10のうち少なくとも一方の案内部材に対する組織5の力との相互作用によって決定される。間隙では、組織5が腸2の近傍において腸2から分離されるので、腸2には組織5がほとんど残らず、ひげの長さが最小にすることができる。図示の実施例では、第1の案内部材9は組織分離装置1に固定状態で取り付けられており、第2の案内部材10は組織分離装置1に移動可能に取り付けられている。第2の案内部材10に作用する弾力部材力は、弾性部材12によって発生する。
【0054】
以上、動物、特に豚、羊又は牛から摘出された臓器群から腸を分離するための組織分離装置であって、腸が組織を介して臓器群の残り部分と接続されている、組織分離装置について詳述した。組織分離装置は、腸に接触するように構成されている少なくとも1つの案内面を具備する案内装置と、腸の近傍の組織を分離するように構成されている組織切断装置とを備えている。さらに、案内装置は、組織を収容するように構成されている間隙を形成するために互いに対して移動可能とされる第1の案内部材及び第2の案内部材を備えている。間隙の幅は可変とされる。組織切断装置は、間隙内で動作するように構成されており、組織分離装置は、第1の案内部材及び第2の案内部材のうち少なくとも一方の案内部材に力を作用させるように構成されている弾性部材を備えており、弾性部材による力は、第1の案内部材及び第2の案内部材を互いに向かうように強制的に駆動する。
【0055】
仕様に従って、本発明の詳細な実施例は、本明細書にて説明されている。しかしながら、開示された実施例は本発明の単なる例示であり、本発明は様々な形態で具体化することができることに留意すべきである。従って、本明細書に開示された特定の構造及び機能の詳細は、限定的に解釈されるべきではなく、単なる特許請求の範囲の根拠として、又は実質的に任意の適切な具体的構造で本発明を様々に利用可能であることを当業者に示唆するための代表的な根拠として解釈されるものである。さらに、本明細書で使用される用語及び語句は、限定的な意味を意図する訳ではなく、むしろ本発明を理解可能な説明を提供することを意図するものである。
【0056】
本明細書で使用される「1つの」(“a”/“an”)との用語は、1つ又は2つ以上として定義されている。本明細書で使用される「複数の」(plurality)との用語は、2つ又は3つ以上として定義されている。本明細書で使用される「別の」(another)との用語は、少なくとも2番目以降として定義されている。本明細書で使用される「含む」(including)及び/又は「有する」(having)との用語は、「備える」(comprising)(すなわち、他の要素又はステップを排除しない広義の用語)として定義されている。特許請求の範囲における任意の参照符号は、特許請求の範囲又は本発明の技術的範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0057】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組合せが優位に利用することができないことを示す訳ではない。
【0058】
本明細書で使用される「結合されている」(coupled)との用語は、直接に限られず且つ機械的に限られず、「接続されている」(connected)として定義されている。
【符号の説明】
【0059】
1 組織分離装置
2 腸
3 臓器群
5 組織
6 案内装置
8 組織切断装置
9 第1の案内部材
10 第2の案内部材
10A 案内部材回転軸
11 間隙
12 弾性部材
14 組織入口領域
15 (第1の案内部材9及び第2の案内部材10の)丸められた端部分
16 (案内装置6の)案内面
17 (案内装置6の)案内面
18 (間隙11の)第1の側面
19 (間隙11の)第2の側面
20 ストッパ部材
22 回転駆動式切断部材
23 サークルナイフ
24 (サークルナイフ23の)周囲縁部24
25 流体供給ダクト
101 電気ケーブル
102 電源線
103 電気制御線
107 バネ
108 バネプリテンション調整器
110 内部流体チャネル
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物、特に豚、羊又は牛から摘出された臓器群から腸を分離するための組織分離装置であって、前記腸が、接続組織を介して前記臓器群の残り部分に接続されている、前記組織分離装置であって、
前記腸に接触するように構成されている少なくとも1つの案内面を有している案内装置と、
前記腸の近傍の前記接続組織を分離するように構成されている組織切断装置と、
を備えている前記組織分離装置において、
前記案内装置が、前記接続組織を収容するように構成された間隙を形成するように互いに対して移動可能とされる第1の案内部材及び第2の案内部材とを備えており、前記間隙が、可変の幅を有しており、
前記組織切断装置が、前記間隙において動作するように構成されており、
前記組織分離装置が、弾性部材による力を前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材のうち少なくとも1つの部材に作用させるように構成されている弾性部材を備えており、前記弾性部材による力が、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材を互いに対して向かうように駆動することを特徴とする組織分離装置。
【請求項2】
前記第1の案内部材と前記第2の案内部材とが、前記間隙の幅を変化させるために、互いに対して回転可能とされることを特徴とする請求項1に記載の組織分離装置。
【請求項3】
前記第1の案内部材が、前記組織切断装置に対して固定されており、
前記第2の案内部材が、前記組織切断装置に対して移動可能とされることを特徴とする請求項1又は2に記載の組織分離装置。
【請求項4】
前記第2の案内部材が、案内部材回転軸の周りに回転可能されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項5】
前記弾性部材が、前記第2の案内部材が前記第1の案内部材に向かうように付勢することによって前記間隙の幅を最小にするために、前記第2の案内部材に力を作用させるように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の組織分離装置。
【請求項6】
前記弾性部材が作用させる前記弾性部材による力が、調整可能とされることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項7】
前記弾性部材が、バネであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項8】
前記バネが作用させる弾性部材による力が、前記バネのプリテンションを変化させることによって調節されることを特徴とする請求項7に記載の組織分離装置。
【請求項9】
前記第1の案内部材と前記第2の案内部材とによって形成された前記間隙が、テーパ状の組織入口領域を備えていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項10】
前記第1の案内部材と前記第2の案内部材とがそれぞれ、前記間隙の前記組織入口領域に丸められた端部分を備えていることを特徴とする請求項9に記載の組織分離装置。
【請求項11】
前記第1の案内部材が、第1の案内面を備えており、
前記第2の案内部材が、第2の案内面を備えており、
前記第1の案内面と前記第2の案内面とが、前記腸に少なくとも部分的に接触するように構成されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項12】
前記第1の案内部材が、前記第2の案内部材の第2の面に面している第1の面を備えており、
前記第1の面と前記第2の面とが共に、前記間隙を形成していることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項13】
前記組織分離装置が、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材の互いに向かう移動を制限するためのストッパ部材を備えていることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項14】
前記組織分離装置が、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材の互いから離隔する移動を制限するためのストッパ部材を備えていることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項15】
前記組織切断装置が、回転駆動する切断部材を備えていることを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項16】
前記切断部材が、周囲切断縁部を有しているサークルナイフを備えていることを特徴とする請求項15に記載の組織分離装置。
【請求項17】
前記周囲切断縁部が、平坦であることを特徴とする請求項16に記載の組織分離装置。
【請求項18】
前記周囲切断縁部の一部分が、前記間隙を横断して延在していることを特徴とする請求項16又は17に記載の組織分離装置。
【請求項19】
前記切断部材が、前記案内装置の前記案内面に対して20°~60°の角度で、特に約45°の角度で延在している平面内に延在していることを特徴とする請求項15~18のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項20】
前記組織分離装置が、前記組織切断装置に流体を供給するように構成されている流体供給ダクトを備えていることを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項21】
前記切断部材が、電気モータによって駆動されることを特徴とする請求項15~20のいずれか一項に記載の組織分離装置。
【請求項22】
前記電気モータが、前記切断部材に直接接続されていることを特徴とする請求項21に記載の組織分離装置。
【請求項23】
動物、特に豚、羊又は牛から摘出された臓器群から腸を分離するための方法であって、前記腸が、接続組織を介して前記臓器群の残り部分に接続されている、前記方法において、
前記腸の長手方向において案内装置に対して前記腸を移動させるステップと、
前記接続組織を前記案内装置の間隙に案内するステップであって、前記案内装置が、前記間隙を形成している第1の案内部材及び第2の案内部材を備えており、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材が、前記間隙の幅を変化させるために互いに対して向かうように又は互いから離隔するように移動可能とされ、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材が、弾性部材による力によって、互いに向かうように弾性的に強制され、前記案内装置の少なくとも1つの案内面が、前記腸に接触している、前記ステップと、
前記接続組織が、前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材のうち少なくとも一方の案内部材に力を作用させるステップであって、前記間隙の幅が、前記弾性部材による力と前記接続組織が作用させる力との相互作用によって決定される、前記ステップと、
前記間隙において前記腸の近傍の前記接続組織を分離するステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項24】
前記第1の案内部材が、組織分離装置に堅固に取り付けられており、
前記第2の案内部材が、前記組織分離装置に移動可能に取り付けられており、
前記弾性部材による力が、前記第2の案内部材に作用する弾性部材によって発生することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【国際調査報告】