IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特表2023-516912金属-配位子錯体触媒のヘテロ原子架橋前駆体の非極低温合成
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】金属-配位子錯体触媒のヘテロ原子架橋前駆体の非極低温合成
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/08 20060101AFI20230414BHJP
   C07F 7/12 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
C07F7/08 Q
C07F7/12 E CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550211
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 US2021017386
(87)【国際公開番号】W WO2021173345
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/980,655
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ドー、ヒエン キュー.
(72)【発明者】
【氏名】フォンテーヌ、フィリップ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】クラソフスキー、アルカジー エル.
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー、リアム
(72)【発明者】
【氏名】オガワ、ケリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】レシニェフスキ、ダニエル ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、ラッセル ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4H049
【Fターム(参考)】
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ14
4H049VR24
4H049VS49
4H049VT03
4H049VU33
4H049VW01
4H049VW02
4H049VW39
(57)【要約】

実施形態は、金属-配位子錯体触媒前駆体、(L)(L)X(R)(R)、並びに式QX(R)(R)の化合物からそれを生成するための方法を対象とする。L及びLは、独立して、-R-Z又は-R-Zである。R及びRは、水素原子、(C~C40)ヒドロカルビルから独立して選択され、任意選択で、R及びRは、結合されて、環内に水素原子を除いて3~50個の原子を有する環を形成する。Xは、Si、Ge、Sn、又はPbである。それぞれのQは、独立して、Ar-Y-R-又はAr-Y-R-である。R及びRは、-(CR -から独立して選択され、mは、1又は2であり、それぞれのRは、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、及び-Hからなる群から独立して選択される。Y及びYは、独立して、S、Se、又はTeである。Ar及びArは、独立して、(C~C50)アリールである。Ar-Y-R-及びAr-Y-R-は、同一ではない。それぞれのZは、Cl、Br、及びIから独立して選択される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(3):
【化1】
(式中、
及びRは、水素原子、(C~C40)ヒドロカルビルから独立して選択され、任意選択で、R及びRは、結合されて、環内に水素原子を除いて3~50個の原子を有する前記環を形成し、
Xは、Si、Ge、Sn、又はPbであり、
それぞれのQは、独立して、Ar-Y-R-又はAr-Y-R-であり、
及びRは、-(CR -から独立して選択され、mは、1又は2であり、それぞれのRは、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、及び-Hからなる群から独立して選択され、
及びYは、独立して、S、Se、又はTeであり、
Ar及びArは、独立して、(C~C50)アリールであり、
Ar-Y-R-及びAr-Y-R-は、同一ではない)による化合物。
【請求項2】
及びYは、Seである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びYは、Sである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
及びRは、-CH-である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
及びRは、-CHCH-である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Ar及びArは、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、及び4-メチルフェニルからなる群から独立して選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Ar及びArは、フェニルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Xは、Siである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
及びRは、独立して、(C~C12)アルキルである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
それぞれのQは、Ar-Y-R-であり、同一である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
それぞれのQは、Ar-Y-R-であり、Rは、-CH-であり、Yは、Sであり、Arは、4-メチルフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式(3)による化合物からヘテロ原子架橋前駆体を得るための方法であって、前記方法は、
90℃~150℃において、少なくとも1つのハロゲン化アルキル、アルカリ金属ハロゲン化物、及び式(3):
【化2】
(式中、
及びRは、水素原子、(C~C40)ヒドロカルビルから独立して選択され、任意選択で、R及びRは、結合されて、環内に水素原子を除いて3~50個の原子を有する前記環を形成し、
Xは、Si、Ge、Sn、又はPbであり、
それぞれのQは、独立して、Ar-Y-R-又はAr-Y-R-であり、
及びRは、-(CR -から独立して選択され、mは、1又は2であり、それぞれのRは、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、又は-Hから独立して選択され、
及びYは、独立して、S、Se、又はTeであり、
Ar及びArは、独立して、(C~C50)アリールであり、
Ar-Y-R-及びAr-Y-R-は、同一ではない)による化合物を反応させて、式(1):
【化3】
(式中、
、R、及びXは、式(3)において定義されるとおりであり、
及びLは、独立して、-R-Z又は-R-Zであり、R及びRは、式(3)において定義されるとおりであり、それぞれのZは、Cl、Br、及びIから独立して選択される)を有するヘテロ原子架橋前駆体を得ることを含む、方法。
【請求項13】
式(3)の前記化合物を調製することを更に含み、式(3)の前記化合物を調製することは、
0℃~5℃において、式(2)
【化4】
(式中、
X、R、及びRは、式(3)において定義されるとおりであり、
及びZは、Cl、Br、I、及びトリフレートから独立して選択される)を有する化合物を、
式Q-Li(式中、Qは、式(3)において定義されるように、Ar-Y-R-である)を有する単一のリチウム化合物又は式Q-Li(式中、Qは、式(3)において定義されるように、Ar-Y-R-である)を有する第1のリチウム化合物及び式Q-Li(式中、Qは、式(3)において定義されるように、Ar-Y-R-である)を有する第2のリチウム化合物と反応させて、式(3)の前記化合物を得ることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式(2)を有する前記化合物を、少なくとも前記リチウム化合物と反応させることは、式(2)を有する前記化合物を、式Q-Liを有する前記単一のリチウム化合物と反応させることを含み、それによって、式(1)を有する前記ヘテロ原子架橋前駆体のL及びLの両方は、-R-Zであり、同一である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
すべての発生におけるRは、-CH-である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
すべての発生におけるRは、-CHCH-である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
式(2)のZ及びZは、Clであり、
すべての発生におけるYは、Sであり、
すべての発生におけるRは、-CH-であり、
すべての発生におけるArは、4-メチルフェニルである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
式(2)を有する前記化合物を、少なくとも1つの前記リチウム化合物と反応させることは、式(2)を有する前記化合物を、式Ar-Y-R-Liを有する化合物及び式Ar-Y-R-Liを有する化合物と反応させることを含み、それによって、式(1)を有する前記ヘテロ原子架橋のL及びLは、同一ではない、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
式(2)のZ及びZは、Clである、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
すべての発生におけるY及びYは、Sである、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
Ar及びArは、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、及び4-メチルフェニルからなる群から独立して選択される、請求項12~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
すべての発生におけるAr及びArは、フェニルである、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
Xは、Si又はGeである、請求項12~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
及びRは、独立して、(C~C12)アルキルである、請求項12~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
0℃~25℃において、アルキルリチウム化合物を、式Ar-Y-R-Hを有する化合物と反応させて、前記単一のリチウム化合物Q-Liを得ることによって、前記単一のリチウム化合物Q-Liを調製すること、又は
0℃~25℃において、アルキルリチウム化合物を、式Ar-Y-R-Hを有する化合物と反応させて、前記第1のリチウム化合物Q-Liを得ること、及び
0℃~25℃において、アルキルリチウム化合物を、式Ar-Y-R-Hを有する化合物と反応させて、前記第1のリチウム化合物Q-Liを得ることのうちの少なくとも1つを行うことによって、前記第1のリチウム化合物Q-Li、前記第2のリチウム化合物Q-Li、若しくはその両方を調製すること、のいずれかを更に含む、請求項12~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つのハロゲン化アルキルは、HR-h、HR-h、又はこれらの組み合わせを含み、R及びRは、式(1)及び(3)において定義されるとおりであり、hは、Cl、Br、又はIから選択されるハロゲンであり、
前記アルカリ金属ハロゲン化物は、Z-Liを含み、Zは、式(1)において定義されるとおりである、請求項12~25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年2月24日に出願された米国特許仮出願第62/980,655号に対する優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示の実施形態は、全般的にはオレフィン重合触媒系及びプロセスに関し、特にオレフィン重合のための金属-配位子錯体触媒系の前駆体及び前駆体を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エチレン系ポリマー及び/又はプロピレン系ポリマーなどのオレフィン系ポリマーは、様々な触媒系を介して生成される。オレフィン系ポリマーの重合プロセスにおいて使用されるそのような触媒系の選択は、そのようなオレフィン系ポリマーの特徴及び特性に寄与する重要な要素である。
【0004】
エチレン系ポリマー及びプロピレン系ポリマーは、多種多様な物品のために製造される。エチレン系ポリマー重合プロセスは、様々な樹脂を異なる用途での使用に好適なものとする異なる物理的特性を有する多種多様な結果として生じるポリエチレン樹脂を生成するためにいくつかの点で変えることができる。
【0005】
化学産業は、オレフィン重合反応条件(例えば、温度)下で、コモノマーとエチレンとの間の改善された選択性を有する、金属-配位子錯体を含む触媒系の開発に努めている。触媒系は、新たな物質の組成物(例えば、新たなポリオレフィン組成物)を提供するか、反応収率を改善するか、代替的な基質選択性を提供(例えば、ポリオレフィンコポリマーの製造におけるモノマー及びコモノマーに対する新たな相対的選択性を提供)するか、プロセスの安全性を改善するか、又はそれらの組み合わせである、重合反応を行うことが可能であると考えられる。
【0006】
例示的なタイプの金属-配位子錯体であるヘテロ原子架橋型ビス(ビフェニルフェノキシ)触媒系は、複数の生産プラットフォームの商業プラントにおいて有望であることが示されている。しかしながら、ヘテロ原子架橋の現在の合成は、極低温条件、例えば-78℃の反応温度を必要とし、大規模生産にかなりのコストをもたらす。
【発明の概要】
【0007】
非極低温条件下において高収率でヘテロ原子架橋を調製するための実用的かつ費用効果的な方法に対して、継続的なニーズが存在している。態様によると、QX(R)(R)の化合物が、提供される。R及びRは、水素原子、(C~C40)ヒドロカルビルから独立して選択され、任意選択で、R及びRは、結合されて、環内に水素原子を除いて3~50個の原子を有する環を形成する。Xは、Si、Ge、Sn、又はPbである。それぞれのQは、独立して、Ar-Y-R-又はAr-Y-R-である。R及びRは、-(CR -から独立して選択され、mは、1又は2であり、それぞれのRは、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、及び-Hからなる群から独立して選択され、Y及びYは、独立して、S、Se、又はTeである。Ar及びArは、独立して、(C~C50)アリールである。Ar-Y-R-及びAr-Y-R-は、同一ではない。
【0008】
第12の態様によると、ヘテロ原子架橋前駆体、(L)(L)X(R)(R)を得るための方法は、90℃~150℃の温度において、少なくとも1つのハロゲン化アルキル、金属ハロゲン化物、及び式QX(R)(R)の化合物(式中、X、Q、R、及びRは、上記に定義されるとおりである)を反応させて、ヘテロ原子架橋前駆体を得ることを含む。L及びLは、独立して、-R-Z又は-R-Zであり、それぞれのZは、Cl、Br、及びIから独立して選択される。
【0009】
記載される実施形態の更なる特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載されている。記載される実施形態の更なる特徴及び利点は、部分的に、その説明から当業者に容易に明らかとなるか、又は以下の詳細な説明並びに図面及び特許請求の範囲を含む、記載される実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
触媒系の分野において、プロ触媒又は触媒分子内のヘテロ原子架橋の例は、一般に、式(A):
【0011】
【化1】
【0012】
などの構造を有する二価部分として記載され得る。式(A)において、R及びRは、水素原子及び(C~C40)ヒドロカルビルから独立して選択される。任意選択で、破線によって示されるように、R及びRは、結合されて、環内に水素原子を除き3~50個の原子を有する環を形成し得る。式(A)において、Xは、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、又は鉛(Pb)であり得る。式(A)において、R及びRは、-(CR -から独立して選択され、式中、mは、1又は2であり、それぞれのRは、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、又は-Hから独立して選択される。R及びRにおけるすべてのRが、-Hである場合、例えば、R及びRは、メチレン又はエタン-1,2-ジイルであり得る。式(A)において、R及びRから延びている波線は、プロ触媒又は触媒分子の主部分へのヘテロ原子架橋の結合を表す。
【0013】
ヘテロ原子架橋型プロ触媒を調製するための小規模及び大規模合成経路において、ヘテロ原子架橋は、1つ以上の工程でプロ触媒又は触媒分子に組み込まれ得る。工程は、プロ触媒又は触媒の中間化合物をヘテロ原子架橋前駆体と反応させることを含み得る。ヘテロ原子架橋前駆体の例示的なクラスには、式(1):
【0014】
【化2】
【0015】
によって定義されるものなどの化合物が含まれる。式(1)において、Xは、Si、Ge、Sn、及びPbから選択される。R及びRは、水素原子及び(C~C40)ヒドロカルビルから独立して選択される。任意選択で、R及びRは、結合されて、環内に水素原子を除き3~50個の原子を有する環を形成する。
【0016】
式(1)の化合物における基L及びLは、互いに同一であってもよく、その場合、化合物は、L及びLに関して対称である。あるいは、L及びLの2つの基は、互いに異なってもよく、その場合、化合物は、L及びLに関して不斉である。L及びLの2つの部分に関して対称又は不斉のいずれかである式(1)の化合物は、対称化合物においては、基L及びLが、同一の基Z-R-であり、一方で不斉化合物においては、Lが、Z-R-であり、Lが、Z-R-であり、Z-R-及びZ-R-が、同一ではなく、Zが、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)から選択されるという点で、区別することが可能であり得る。R及びRは、-(CR -から独立して選択され、mは、1又は2であり、それぞれのRは、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、及び-Hから独立して選択される。
【0017】
したがって、基L及びLに関して、式(1)の化合物は、以下のように、式(1A)の対称化合物及び式(1B)の不斉化合物を含み、両方の式におけるすべての可変の基は、式(1)のように定義され、単一の構造において複数回の発生を有するすべての可変の基は、すべての発生において同一である。
【0018】
【化3】
【0019】
いくつかの事例において、ヘテロ原子架橋前駆体の合成は、それ自体が、課題を呈し得るか、又は費用削減若しくは高い効率性などの改善を必要とし得る。任意の化学合成と同様に、そのような改善は、代替的な合成戦略の実装を通じて実現され得る。代替的な合成戦略は、異なる出発材料又は中間体を通じて合成を実施することを含み得る。
【0020】
したがって、本開示の実施形態は、前述のような式(1)を有するものなど、ヘテロ原子架橋前駆体を調製、提供、又は合成するための中間体として機能することを含み得る用途を有する化合物を含む。本開示の更なる実施形態は、ヘテロ原子架橋前駆体を調製するための合成方法を含む。合成方法は、調製中の反応工程における中間化合物を組み込む。
【0021】
ヘテロ原子架橋前駆体のための中間化合物の特定の実施形態を、ここで説明する。本開示の中間化合物は、異なる形態で実施されてもよく、本開示に記載される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、実施形態は、本開示が、徹底的かつ完全であり、主題の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
【0022】
実施形態による中間化合物は、式(3):
【0023】
【化4】
【0024】
による化合物を含む。式(3)において、R及びRは、水素原子、(C~C40)ヒドロカルビルから独立して選択され、任意選択で、R及びRは、結合されて、環内に水素原子を除き3~50個の原子を有する環を形成し、Xは、Si、Ge、Sn、又はPbであり、それぞれのQは、独立して、Ar-Y-R-又はAr-Y-R-である。式(3)におけるQの様々な構成要素のうち、R及びRは、-(CR -から独立して選択され、mは、1又は2であり、それぞれのRは、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、及び-Hからなる群から独立して選択される。Y及びYは、独立して、S、Se、又はTeである。Ar及びArは、独立して、(C~C50)アリールである。
【0025】
式(3)の化合物における2つの基Qは、互いに同一であってもよく、その場合、化合物は、Qに関して対称である。あるいは、2つの基Qは、互いに異なってもよく、その場合、化合物は、Qに関して不斉である。2つの部分Qに関して対称又は不斉のいずれかである式(3)の化合物は、対称化合物において、両方の基Qが、同一の基Ar-Y-R-であり、一方で不斉化合物において、一方のQが、Ar-Y-R-であり、他方のQが、Ar-Y-R-であり、Ar-Y-R-及びAr-Y-R-が、同一ではないという点において、区別可能であり得る。したがって、基Qに関して、式(3)の化合物は、以下のように、式(3A)の対称化合物及び式(3B)の不斉化合物を含み、両方の式におけるすべての可変の基は、式(3)において定義されるとおりであり、単一の構造において複数回の発生を有するすべての可変の基は、すべての発生において同一である。
【0026】
【化5】
【0027】
続けてより詳細に説明されるように、式(1)のヘテロ原子架橋前駆体は、式(2)の化合物を、式(3)の中間化合物に変換することによって調製され得る。この点に関して、式(3)の中間化合物は、式(3A)及び(3B)の化合物を含むことを理解されたい。中間化合物から、脱離基-Y-Ar及び/又は-Y-Arは、金属ハロゲン化物からのZと置き換えられて、式(1)のヘテロ原子架橋前駆体が得られる。式(2)の化合物は、以下のとおりである。
【0028】
【化6】
【0029】
式(2)において、X、R、及びRは、式(1)及び(3)に関して前述されており、Z及びZは、Cl、Br、I、及びトリフレートから独立して選択される。
【0030】
1つ以上の実施形態において、R及びRは、独立して、水素原子、又は(C~C20)アルキル、(C~C20)シクロアルキル、若しくは(C~C20)アリールから選択される(C~C40)ヒドロカルビルであり得る。いくつかの実施形態において、R及びRは、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、1-ペンチル、1-ヘキシル、1-ヘプチル、1-ノニル、及び1-デシルから選択される。様々な実施形態において、R及びRは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、及びシクロデシルから選択される。
【0031】
一般的な略語を以下に列挙する。
【0032】
、R、R、R、X、Y、Y、Z、Z、Z、Ar、Ar、及びm:上記に定義されるとおり;Me:メチル;Et:エチル;Ph:フェニル;Bn:ベンジル;i-Pr:イソ-プロピル;t-Bu:tert-ブチル;t-Oct:tert-オクチル(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル);Tf:トリフルオロメタンスルホネート;THF:テトラヒドロフラン;EtO:ジエチルエーテル;CHCl:ジクロロメタン;C:重水素化ベンゼン又はベンゼン-d6;CDCl:重水素化クロロホルム;BHT:ブチル化ヒドロキシトルエン;TCB:1,2,4-トリクロロベンゼン;MgSO:硫酸マグネシウム;n-BuLi:ブチルリチウム;HfCl:塩化ハフニウム(IV);HfBn:ハフニウム(IV)テトラベンジル;ZrCl:塩化ジルコニウム(IV);ZrBn:ジルコニウム(IV)テトラベンジル;ZrBnCl(OEt):ジルコニウム(IV)ジベンジルジクロリドモノ-ジエチルエーテラート;HfBnCl(OEt):ハフニウム(IV)ジベンジルジクロリドモノ-ジエチルエーテラート;N:窒素ガス;PhMe:トルエン;PPR:並列圧力反応器;MAO:メチルアルミノキサン;MMAO:改変メチルアルミノキサン;TEA:トリエチルアミン;GC:ガスクロマトグラフィー;LC:液体クロマトグラフィー;NMR:核磁気共鳴;MS:質量分析;mmol:ミリモル;M:モル溶液;mM:ミリモル溶液;mL又はml:ミリリットル;min又はmins:分;h又はhrs:時間;d:日数;RT:室温。
【0033】
「独立して選択される」という用語は、R、R、R、及びRなどの置換基が、同一であっても異なってもよいこと(例えば、R、R、R、及びRが、すべて、置換アルキルであってもよく、又はR及びRが、環式アルキルであってもよく、R及びRが、置換アルキルであってもよいなど)を示すように、本明細書で使用される。置換基と関連付けられた化学名は、化学名の化学構造に対応するものとして当該技術分野において認識されている化学構造を伝えることを意図している。したがって、化学名は、当業者に既知の構造的定義を補足及び例示することを意図しており、排除することを意図するものではない。
【0034】
ある特定の炭素原子含有化学基を記載するために使用される場合、「(C~C)」の形態を有する括弧付きの表現は、化学基の非置換形態が、x及びyを含むx個の炭素原子~y個の炭素原子を有することを意味する。例えば、(C~C40)ヒドロカルビルは、その非置換形態において1~40個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態及び一般構造において、ある特定の化学基は、Rなどの1つ以上の置換基によって置換され得る。括弧付きの「(C~C)」を使用して定義される化学基のR置換バージョンは、任意の基Rの同一性に応じて、y個を超える炭素原子を含有し得る。例えば、「Rがフェニル(-C)である、厳密に1つの基Rで置換された(C~C40)アルキル」は、7~46個の炭素原子を含み得る。したがって、一般に、括弧付きの「(C~C)」を使用して定義される化学基が、1つ以上の炭素原子含有置換基Rによって置換される場合、化学基の炭素原子の最小及び最大総数は、xとyとの両方に、すべての炭素原子含有置換基R由来の炭素原子の総数を加えることによって、決定される。
【0035】
いくつかの実施形態において、式(1)のヘテロ原子架橋前駆体の化学基(すなわち、R、Arなど)のそれぞれは、R置換基を有さず、非置換であり得る。他の実施形態において、式(1)のヘテロ原子架橋前駆体の化学基のうちの少なくとも1つは、独立して、1つ又は2つ以上のRを含み得る。いくつかの実施形態において、式(1)のヘテロ原子架橋前駆体の化学基におけるRの総数は、20個を超えない。他の実施形態において、式(1)のヘテロ原子架橋前駆体の化学基におけるRの総数は、10個を超えない。例えば、それぞれのR1~4及びArが、2つのRで置換された場合、Arは、Rの総数が10個を超えない実施形態において、Rで置換されていなくてもよい。別の実施形態において、式(1)のヘテロ原子架橋前駆体の化学基におけるRの総数は、5個のRを超えない場合がある。2つ又は3つ以上のRが、式(1)のヘテロ原子架橋前駆体の同じ化学基に結合している場合、それぞれのRは、独立して、同じか又は異なる炭素原子又はヘテロ原子に結合しており、化学基の過置換を含み得る。
【0036】
「置換」という用語は、対応する非置換化合物又は官能基の炭素原子又はヘテロ原子に結合した少なくとも1つの水素原子(-H)が、置換基(例えば、R)によって置換されることを意味する。「過置換」という用語は、対応する非置換化合物又は官能基の炭素原子又はヘテロ原子に結合したすべての水素原子(-H)が、置換基(例えば、R)によって置換されることを意味する。「多置換」という用語は、対応する非置換化合物又は官能基の炭素原子又はヘテロ原子に結合した少なくとも2個、しかしながらすべてよりは少ない水素原子が、置換基(例えば、R)によって置換されることを意味する。
【0037】
「-H」という用語は、別の原子に共有結合した水素又は水素ラジカルを意味する。「水素」及び「-H」は、互換可能であり、明記されていない限り、同一の意味を有する。
【0038】
「(C~C40)ヒドロカルビル」という用語は、1~40個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルを意味し、そこで、それぞれの炭化水素ラジカルは、芳香族又は非芳香族、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖、環式(3個以上の炭素原子を有し、単環式及び多環式、縮合及び非縮合の多環式を含み、二環式を含む)又は非環式であり、1つ以上のRによって置換されているか、又は非置換である。
【0039】
本開示において、(C~C40)ヒドロカルビルは、非置換又は置換(C~C40)アルキル、(C~C40)シクロアルキル、(C~C20)シクロアルキル-(C~C20)アルキレン、(C~C40)アリール、又は(C~C20)アリール-(C~C20)アルキレン(ベンジル(-CH-C)など)であり得る。
【0040】
「(C~C40)アルキル」という用語は、非置換であるか、又は1つ以上のRで置換された、1~40個の炭素原子を有する飽和直鎖又は分岐鎖炭化水素ラジカルを意味する。非置換(C~C40)アルキルの例は、非置換(C~C20)アルキル、非置換(C~C10)アルキル,非置換(C~C10)アルキル、非置換(C~C)アルキル、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、1-ペンチル、1-ヘキシル、1-ヘプチル、1-ノニル、及び1-デシルである。置換(C~C40)アルキルの例は、置換(C~C20)アルキル、置換(C~C12)アルキル、置換(C~C10)アルキル、トリフルオロメチル、及び[C45]アルキルである。「[C45]アルキル」(角括弧付き)という用語は、置換基を含めてラジカル中に最大45個の炭素原子が存在することを意味し、例えば、それぞれ、(C~C)アルキルである1つのRによって置換された(C27~C40)アルキルである。それぞれの(C~C)アルキルは、例えば、メチル、トリフルオロメチル、エチル、1-プロピル、1-メチルエチル、又は1,1-ジメチルエチルであり得る。
【0041】
「(C~C50)アリール」という用語は、6~50個の炭素原子を有し、そのうちの少なくとも6~14個の炭素原子が芳香環炭素原子である、非置換であるか、又は(1つ以上のRによって)置換された、単環式、二環式、又は三環式芳香族炭化水素ラジカルを意味する。単環式芳香族炭化水素ラジカルは、1つの芳香環を含み、二環式芳香族炭化水素ラジカルは、2つの環を有し、三環式芳香族炭化水素ラジカルは、3つの環を有する。二環式又は三環式芳香族炭化水素ラジカルが存在する場合、そのラジカルの環のうちの少なくとも1つは、芳香族である。芳香族ラジカルの他の1つ又は複数の環は、独立して、縮合又は非縮合及び芳香族又は非芳香族であり得る。非置換(C~C50)アリールの例としては、非置換(C~C20)アリール、非置換(C~C18)アリール、2-(C~C)アルキル-フェニル、フェニル、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、インダセニル、ヘキサヒドロインダセニル、インデニル、ジヒドロインデニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、及びフェナントレンが挙げられる。置換(C~C40)アリールの例としては、置換(C~C20)アリール、置換(C~C18)アリール、2,4-ビス([C20]アルキル)-フェニル、ポリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、及びフルオレン-9-オン-1-イルが挙げられる。
【0042】
「(C~C40)シクロアルキル」という用語は、非置換であるか、又は1つ以上のRで置換された、3~40個の炭素原子を有する飽和環式炭化水素ラジカルを意味する。他のシクロアルキル基(例えば、(C~C)シクロアルキル)は、x~y個の炭素原子を有し、非置換であるか、又は1つ以上のRによって置換されているかのいずれかとして、同様の様式で定義される。非置換(C~C40)シクロアルキルの例は、非置換(C~C20)シクロアルキル、非置換(C~C10)シクロアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、及びシクロデシルである。置換(C~C40)シクロアルキルの例は、置換(C~C20)シクロアルキル、置換(C~C10)シクロアルキル、シクロペンタノン-2-イル、及び1-フルオロシクロヘキシルである。
【0043】
「(C~C40)アルキレン」という用語は、非置換であるか、又は1つ以上のRによって置換された、1~40個の炭素原子を有する飽和直鎖又は分岐鎖ジラジカル(すなわち、ラジカルが、環原子上にはない)を意味する。非置換(C~C40)アルキレンの例は、非置換-CHCH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-CHHCH、及び-(CH(H)(CH)を含む、非置換(C~C20)アルキレンであり、式中、「C」は、水素原子が除去されて、二級又は三級アルキルラジカルを形成している炭素原子を表す。置換(C~C40)アルキレンの例は、置換(C~C20)アルキレン、-CF-、-C(O)-、及び-(CH14C(CH(CH-(すなわち、6,6-ジメチル置換ノルマル-1,20-エイコシレン)である。前述のように、2つのRは、一緒になって、(C~C18)アルキレンを形成し得るため、置換(C~C50)アルキレンの例としては、1,2-ビス(メチレン)シクロペンタン、1,2-ビス(メチレン)シクロヘキサン、2,3-ビス(メチレン)-7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、及び2,3-ビス(メチレン)ビシクロ[2.2.2]オクタンも挙げられる。
【0044】
「(C~C40)シクロアルキレン」という用語は、非置換であるか、又は1つ以上のRによって置換された、3~40個の炭素原子を有する環式ジラジカル(すなわち、ラジカルが、環原子上にある)を意味する。
【0045】
「ヘテロ原子」という用語は、水素又は炭素以外の原子を指す。1個又は2個以上のヘテロ原子を含有する基の例としては、O、S、S(O)、S(O)、Si(R、P(R)、N(R)、-N=C(R、-Ge(R-、又は-Si(R)-が挙げられ、それぞれのR及びそれぞれのRは、非置換(C~C18)ヒドロカルビル又は-Hであり、それぞれのRは、非置換(C~C18)ヒドロカルビルである。「ヘテロ炭化水素」という用語は、炭化水素の1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられている分子又は分子骨格を指す。「C~C40ヘテロヒドロカルビル」という用語は、1~40個の炭素原子を有するヘテロ炭化水素ラジカルを意味する。(C~C40)ヘテロヒドロカルビルのヘテロ炭化水素は、1個以上のヘテロ原子を有する。ヘテロヒドロカルビルのラジカルは、炭素原子上又はヘテロ原子上に存在してもよい。それぞれの(C~C40)ヘテロヒドロカルビルは、非置換であるか、又は(1つ以上のRによって)置換された、芳香族又は非芳香族、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖、環式(単環式及び多環式、縮合及び非縮合多環式を含む)又は非環式であってもよい。
【0046】
(C~C40)ヘテロヒドロカルビルは、非置換であるか、又は置換されていてもよい。(C~C40)ヘテロヒドロカルビルの非限定的な例としては、(C~C40)ヘテロアルキル、(C~C40)ヒドロカルビル-O-、(C~C40)ヒドロカルビル-S-、(C~C40)ヒドロカルビル-S(O)-、(C~C40)ヒドロカルビル-S(O)-、(C~C40)ヒドロカルビル-Si(R-、(C~C40)ヒドロカルビル-N(R)-、(C~C40)ヒドロカルビル-P(R)-、(C~C40)ヘテロシクロアルキル、(C~C19)ヘテロシクロアルキル-(C~C20)アルキレン、(C~C20)シクロアルキル-(C~C19)ヘテロアルキレン、(C~C19)ヘテロシクロアルキル-(C~C20)ヘテロアルキレン、(C~C40)ヘテロアリール、(C~C19)ヘテロアリール-(C~C20)アルキレン、(C~C20)アリール-(C~C19)ヘテロアルキレン、又は(C~C19)ヘテロアリール-(C~C20)ヘテロアルキレンが挙げられ得る。
【0047】
「(C~C40)ヘテロアリール」という用語は、非置換であるか、又は(1つ以上のRによって)置換された、合計4~40個の炭素原子及び1~10個のヘテロ原子を有する単環式、二環式、又は三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルを意味する。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、1つのヘテロ芳香環を含み、二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、2つの環を有し、三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、3つの環を有する。二環式又は三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルが存在する場合、ラジカルにおける環のうちの少なくとも1つは、ヘテロ芳香族である。ヘテロ芳香族ラジカルの他の1つ又は複数の環は、独立して、縮合又は非縮合及び芳香族又は非芳香族であってもよい。他のヘテロアリール基(例えば、(C~C12)ヘテロアリールなどの(C~C)ヘテロアリール全般)は、x~y個の炭素原子(4~12個の炭素原子など)を有し、かつ非置換であるか、又は1個若しくは2個以上のRで置換されているものとして、同様の様式で定義される。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、5員環又は6員環である。5員環単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、5マイナスh個の炭素原子を有し、hは、ヘテロ原子の数であり、1、2、又は3であり得、それぞれのヘテロ原子は、O、S、N、又はPであり得る。
【0048】
5員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピロール-1-イル、ピロール-2-イル、フラン-3-イル、チオフェン-2-イル、ピラゾール-1-イル、イソオキサゾール-2-イル、イソチアゾール-5-イル、イミダゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、チアゾール-2-イル、1,2,4-トリアゾール-1-イル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、1,3,4-チアジアゾール-2-イル、テトラゾール-1-イル、テトラゾール-2-イル、及びテトラゾール-5-イルが挙げられる。6員環単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、6マイナスh個の炭素原子を有し、hは、ヘテロ原子の数であり、1又は2であり得、ヘテロ原子は、N又はPであり得る。
【0049】
6員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピリジン-2-イル、ピリミジン-2-イル、及びピラジン-2-イルが挙げられる。二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、縮合5,6-又は6,6-環系であり得る。縮合5,6-環系二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例は、インドール-1-イル、及びベンズイミダゾール-1-イルである。縮合6,6-環系二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例は、キノリン-2-イル、及びイソキノリン-1-イルである。三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、縮合5,6,5-、5,6,6-、6,5,6-、又は6,6,6-環系であり得る。縮合5,6,5-環系の例は、1,7-ジヒドロピロロ[3,2-f]インドール-1-イルである。縮合5,6,6-環系の例は、1H-ベンゾ[f]インドール-1-イルである。縮合6,5,6-環系の例は、9H-カルバゾール-9-イルである。縮合6,5,6-環系の例は、9H-カルバゾール-9-イルである。縮合6,6,6-環系の例は、アクリジン-9-イルである。
【0050】
(C~C40)ヘテロアルキルという用語は、1~40個の炭素原子及び1個以上のヘテロ原子を含有する飽和直鎖又は分岐鎖ラジカルを意味する。「(C~C40)ヘテロ-アルキレン」という用語は、1~40個の炭素原子、及び1個若しくは2個以上のヘテロ原子を含有する飽和直鎖又は分岐鎖ジラジカルを意味する。ヘテロアルキル又はヘテロアルキレンのヘテロ原子には、Si(R、Ge(R、Si(R、Ge(R、P(R、P(R)、N(R、N(R)、N、O、OR、S、SR、S(O)、及びS(O)が含まれ得、ヘテロアルキル及びヘテロアルキレン基のそれぞれは、非置換であるか、又は1つ以上のRによって置換されている。
【0051】
非置換(C~C40)ヘテロシクロアルキルの例としては、非置換(C~C20)ヘテロシクロアルキル、非置換(C~C10)ヘテロシクロアルキル、アジリジン-1-イル、オキセタン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、ピロリジン-1-イル、テトラヒドロチオフェン-S,S-ジオキシド-2-イル、モルホリン-4-イル、1,4-ジオキサン-2-イル、ヘキサヒドロアゼピン-4-イル、3-オキサ-シクロオクチル、5-チオ-シクロノニル、及び2-アザ-シクロデシルが挙げられる。
【0052】
「ハロゲン原子」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、又はヨウ素原子(I)のラジカルを意味する。「ハロゲン化物」という用語は、フッ化物(F)、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、又はヨウ化物(I)といったハロゲン原子のアニオン形態を意味する。
【0053】
「飽和」という用語は、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、並びに(ヘテロ原子含有基における)炭素-窒素、炭素-リン、及び炭素-ケイ素二重結合を欠くことを意味する。飽和化学基が1つ以上の置換基Rによって置換されている場合、1つ以上の二重結合及び/又は三重結合が、任意選択で、置換基R中に存在していてもよい。「不飽和」という用語は、1つ以上の炭素-炭素二重結合若しくは炭素-炭素三重結合、又は(ヘテロ原子含有基における)1つ以上の炭素-窒素二重結合、炭素-リン二重結合、若しくは炭素-ケイ素二重結合を含有し、置換基R(存在する場合)、又は芳香環若しくはヘテロ芳香環(存在する場合)中に存在し得る二重結合を含まないことを意味する。
【0054】
実施形態において、式(1)のヘテロ原子架橋前駆体は、例えば、反応スキーム1又は反応スキーム2に従って生成され得る。反応スキーム1は、式(3A)による対称ヘテロ原子架橋前駆体の調製について記載している。反応スキーム2は、式(3B)による不斉ヘテロ原子架橋前駆体の調製について記載している。反応スキーム1及び2は、例示目的のみのために本明細書で提供され、本明細書に記載される任意の他の実施形態を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0055】
【化7】
【0056】
反応スキーム1と一致して、提示されるように、又は対称ヘテロ原子架橋前駆体の調製のために修飾され得るように、式(3)による化合物からヘテロ原子架橋前駆体を得るための方法は、90℃~150℃において、少なくとも1つのハロゲン化アルキル、アルカリ金属ハロゲン化物M-Z、及び式(3)による化合物(前述のように、式(3A)又は(3B)による化合物を含む)を反応させることを含む。反応は、前述のように、式(1)を有するヘテロ原子架橋前駆体をもたらす。実施形態において、少なくとも1つのハロゲン化アルキルは、HR-h、HR-h、又はこれらの組み合わせを含み、式中、R及びRは、式(1)及び(3)において定義されるとおりであり、hは、Cl、Br、又はIから選択されるハロゲン化物である。任意の疑いを排除するために、スキーム1のハロゲン化アルキルは、化合物(1B)、(3)、及び(4)に存在するものと同じRを含んでもよいが、必ずしも含まなくてもよい。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムから選択されるアルカリ金属であり得る。実施形態において、Mは、リチウムである。Zは、式(1)において定義されるとおりである。
【0057】
実施形態において、アルキルリチウムを、式(4)の化合物及び式(4’)の化合物と反応させて、それぞれ、式(5)の化合物及び式(5’)の化合物を得ることができる。
【0058】
アルキルリチウムは、特に限定されず、例えば、限定されないが、メチルリチウム、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、イソブチルリチウム、t-ブチルリチウム、1,8-オクチルジリチウム、1,7,18-オクタデシルトリリチウム、デシルリチウム、フェニルリチウム、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。
【0059】
任意選択で、アルキルリチウムと式(4)の化合物及び式(4’)の化合物との反応は、溶媒の存在下において実施され得る。実施形態において、溶媒は、極性非プロトン性溶媒であり得る。本明細書において利用することができる好適な極性非プロトン性溶媒としては、例えば、グリコールエーテル、環式エーテル、それらの組み合わせなどが挙げられる。例示的な極性非プロトン性溶媒としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,3-ジメトキシプロパン、1,2-ジメトキシプロパン、それらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
実施形態において、アルキルリチウムと式(4)の化合物及び式(4’)の化合物との反応は、0℃~25℃、例えば、1℃~24℃、2℃~23℃、3℃~22℃、4℃~21℃、5℃~20℃、6℃~19℃、7℃~18℃、8℃~17℃、9℃~16℃、10℃~15℃、11℃~14℃、又は更には12℃~13℃の温度で、浴中に浸漬した反応フラスコ内で行われ得る。すなわち、浴は、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、又はそれらの任意の画分の温度であり得る。反応浴の温度は、上記に列挙された温度のうちのいずれかから、上記に列挙された温度のうちのいずれかまでで形成される範囲内で変動し得ることに留意されたい。
【0061】
実施形態において、アルキルリチウム、式(4)の化合物、及び式(4’)の化合物は、0.5時間~5時間、1時間~4時間、又は更には2時間~3時間反応させることができる。すなわち、この反応は、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、又はそれらの任意の画分の過程にわたって行われ得る。
【0062】
式(3)による化合物からヘテロ原子架橋前駆体を得るための方法は、式(3)の化合物を調製することを更に含み得る。例示的な実施形態において、式(5)の化合物及び式(5’)の化合物を、式(2)の化合物と反応させて、式(3)の化合物を得ることができる。例示的な実施形態において、式(3)の化合物を調製することは、0℃~5℃において、式(2)を有する化合物を、前述のように、式Q-Liを有する単一のリチウム化合物(式中、Qは、式(3)において定義されるように、Ar-Y-R-である)又は式Q-Liを有する第1のリチウム化合物(式中、Qは、式(3)において定義されるように、Ar-Y-R-である)及び式Q-Liを有する第2のリチウム化合物(式中、Qは、式(3)において定義されるように、Ar-Y-R-である)と反応させて、式(3)の化合物を得ることを含み得る。式(2)の化合物は、有機化学の当業者に利用可能な任意の好適な合成技術によって調製され得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、式(2)を有する化合物を、少なくとも1つのリチウム化合物と反応させることは、式(2)を有する化合物を、式Q-Liを有する単一のリチウム化合物と反応させることを含み、それによって、式(1)を有するヘテロ原子架橋前駆体のL及びLの両方が、-R-Zであり、同一である。そのような実施形態は、式(1A)による対称ヘテロ原子架橋前駆体の合成に適用可能である。例示的な実施形態において、式(1)及び(3)におけるすべての発生におけるRは、-CH-であり得るか、又は式(1)及び(3)におけるすべての発生におけるRは、-CHCH-であり得る。1つの例示的な実施形態において、式(1A)、(2)、及び(3A)に関して、式(2)のZ及びZは、Clであり得、すべての発生におけるYは、Sであり得、すべての発生におけるRは、-CH-であり得、すべての発生におけるArは、4-メチルフェニルであり得る。
【0064】
更なる実施形態において、式(2)を有する化合物を、少なくとも1つのリチウム化合物と反応させることは、式(2)を有する化合物を、式Ar-Y-R-Liを有する化合物(化合物(5))及び式Ar-Y-R-Liを有する化合物(化合物(5’))と反応させることを含み、それによって、式(1)を有するヘテロ原子架橋のL及びLが、同一ではない。そのような実施形態は、式(1B)による不斉ヘテロ原子架橋前駆体の合成に適用可能である。
【0065】
いくつかの実施形態において、式(3)による化合物からヘテロ原子架橋前駆体を得るための方法は、単一のリチウム化合物Q-Liを調製すること、又は第1のリチウム化合物Q-Li、第2のリチウム化合物Q-Li、若しくはその両方を調製することのいずれかを更に含み得る。式(1A)の対称化合物の調製において、1つのみのリチウム化合物Q-Liが、式(2)の化合物の式(3)又は(3A)の化合物への変換のために必要とされる。したがって、単一のリチウム化合物Q-Liを調製することは、0℃~25℃において、アルキルリチウム化合物を、式Ar-Y-R-Hを有する化合物(化合物(4))と反応させて、単一のリチウム化合物Q-Liを得ることを含み得る。式(1B)の不斉化合物の調製においては、しかしながら、2つのリチウム化合物Q-Li及びQ-Liが必要であり得、ここで、Q及びQは、同一ではない。実施形態において、リチウム化合物Q-Li及びQ-Liのうちの一方又は両方は、以下のうちの少なくとも1つを実行することによって調製され得る:0℃~25℃において、アルキルリチウム化合物を、式Ar-Y-R-Hを有する化合物(化合物(4))と反応させて、第1のリチウム化合物Q-Liを得ること、並びに0℃~25℃において、アルキルリチウム化合物を、式Ar-Y-R-Hを有する化合物(化合物(4’))と反応させて、第1のリチウム化合物Q-Liを得ること。
【0066】
任意選択で、式(2)を有する化合物を、少なくとも1つのリチウム化合物と反応させて、式(3)の化合物を得ることは、溶媒の存在下において実施され得る。実施形態において、溶媒は、極性非プロトン性溶媒であり得る。本明細書において利用することができる好適な極性非プロトン性溶媒としては、例えば、グリコールエーテル、環式エーテル、それらの組み合わせなどが挙げられる。例示的な極性非プロトン性溶媒としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,3-ジメトキシプロパン、1,2-ジメトキシプロパン、それらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。実施形態において、アルキルリチウムと式(4)の化合物及び式(4’)の化合物との反応に使用されるものと同じ溶媒が、式(5)及び式(5’)の化合物と式(2)の化合物とのこの反応に使用され得る。
【0067】
実施形態において、式(5)及び式(5’)の化合物と式(2)の化合物との反応は、0℃~5℃、1℃~4℃、又は更には2℃~3℃の温度において、浴中に浸漬された反応フラスコ内で行われ得る。すなわち、浴は、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、又はそれらの任意の画分の温度であり得る。反応浴の温度は、上記に列挙された温度のうちのいずれかから、上記に列挙された温度のうちのいずれかまでで形成される範囲内で変動し得ることに留意されたい。
【0068】
実施形態において、式(5)及び式(5’)の化合物と式(2)の化合物との反応は、急速に起こり得る。例えば、反応は、0.5~5分、1分~4分、又は更には2分~3分以内に完了され得る。すなわち、試薬は、0.5分、1分、1.5分、2分、2.5分、3分、3.5分、4分、4.5分、5分、又はそれらの任意の画分にわたって反応させることができる。
【0069】
実施形態において、式(3)の化合物を、ハロゲン化アルキル及びアルキル金属ハロゲン化物(M-Z)と反応させて、式(1)のヘテロ原子架橋前駆体並びに式(4)及び式(4’)の化合物を得ることができる。式(4)及び式(4’)の化合物を、再利用して、それぞれ、式(5)及び式(5’)の化合物を得ることができる。
【0070】
任意選択で、この反応は、溶媒の存在下において行われ得る。実施形態において、溶媒は、極性非プロトン性溶媒であり得る。本明細書において利用することができる好適な極性非プロトン性溶媒としては、例えば、エーテル、アミド、スルホン、ホスホラミド、それらの組み合わせなどが挙げられる。例示的な極性非プロトン性溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン、ジオキサン、アセトニトリル、エチレングリコールジメチルエーテル、1,3-ジメトキシプロパン、1,2-ジメトキシプロパン、テトラメチレンスルホン、ヘキサメチルホスホラミド、それらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
実施形態において、式(3)の化合物とハロゲン化アルキル及びハロゲン化リチウムとの反応は、90℃~150℃、95℃~145℃、100℃~140℃、105℃~135℃、110℃~130℃、又は更には115℃~125℃の温度において、浴中に浸漬された反応フラスコ内で行われ得る。すなわち、浴は、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、又はそれらの任意の画分の温度であり得る。反応浴の温度は、上記に列挙された温度のうちのいずれかから形成される範囲内で変動し得ることに留意されたい。実施形態において、反応は、115℃~140℃又は120℃~140℃の範囲の温度を有する浴中で行われ得る。
【0072】
実施形態において、式(3)の化合物、ハロゲン化アルキル、及びハロゲン化リチウムは、5時間~20時間、6時間~19時間、7時間~18時間、8時間~17時間、9時間~16時間、10時間~15時間、11時間~14時間、又は更には12時間~13時間反応させることができる。すなわち、この反応は、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、又はそれらの任意の画分の過程にわたって行われ得る。
【0073】
ハロゲン化アルキルは、H-(CR -hから選択され得、hは、ハロゲンラジカルであり、R及びmは、R及びRに関して上記で定義されているとおりである。実施形態において、ハロゲン化アルキルは、式(3)の化合物とハロゲン化アルキル及びハロゲン化リチウムとの反応が、副生成物として式(4)及び式(4’)の化合物を生成するように、HR-h及びHR-hであり得るが、必ずしもそうでなくてもよい。
【0074】
金属ハロゲン化物は、LiCl、LiBr、及びLiIから選択され得、式(1)の化合物におけるZの供給源である。
【0075】
例示的な実施形態において、式(3)による化合物からヘテロ原子架橋前駆体を得るための方法は、前述の合成経路を含み得、そこで、式(2)のZ及びZは、Clである。
【0076】
例示的な実施形態において、式(3)による化合物からヘテロ原子架橋前駆体を得るための方法は、前述の合成経路を含み得、そこで、すべての発生におけるY及びYは、Sである。
【0077】
例示的な実施形態において、式(3)による化合物からヘテロ原子架橋前駆体を得るための方法は、前述の合成経路を含み得、そこで、Ar及びArは、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、及び4-メチルフェニルからなる群から独立して選択される。
【0078】
例示的な実施形態において、式(3)による化合物からヘテロ原子架橋前駆体を得るための方法は、前述の合成経路を含み得、そこで、すべての発生におけるAr及びArは、フェニルである。
【0079】
例示的な実施形態において、式(3)による化合物からヘテロ原子架橋前駆体を得るための方法は、前述の合成経路を含み得、そこで、Xは、Si又はGeである。
【0080】
例示的な実施形態において、式(3)による化合物からヘテロ原子架橋前駆体を得るための方法は、前述の合成経路を含み得、そこで、R及びRは、独立して、(C~C12)アルキルである。
【0081】
ポリオレフィン合成のための触媒
本明細書において前述されたヘテロ原子架橋前駆体は、オレフィン、主としてエチレン及びプロピレンの重合において使用され得る金属-配位子錯体触媒を調製するために利用され得る。金属-配位子錯体は、例えば、国際公開第2018/022975号において見出される例示的な合成手順に従って、ヘテロ原子架橋前駆体から調製され得、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
本開示の1つ以上の特徴は、以下の実施例を考慮して例示される。
【実施例
【0083】
実施例1:ジ-イソプロピル(ビス(p-トリルチオ)メチル)シランの調製
【0084】
【化8】
【0085】
500mLのフラスコに、4-(メチルチオ)トルエン(24.5mL、183mmol)及び200mLのTHFを充填した。フラスコを、不活性雰囲気下において0℃に冷却し、n-BuLi(67.2mL、175mmol、2.1当量)を、迅速に滴下添加した。淡黄色の溶液を、この温度で1時間撹拌し、次いで、室温まで2時間ゆっくりと温めた。反応混合物を、再度0℃に冷却し、THF(50mL)中のiPrSiClの溶液を、0℃で滴下添加した。1分後に、MeOH(10mL)を添加して、反応を停止させた。得られた混合物を、エーテル(50mL)で希釈し、ブラインで洗浄した。有機層を、MgSOで乾燥させ、シリカゲルの短いパッドを通して濾過し、減圧下で濃縮して、黄色の油を得た(約37g、100%を超える収率)。残留(4-メチルチオ)トルエン及びTHFを、粗混合物において特定した。任意選択で、これらの不純物を、分留によって除去してもよい。
【0086】
H NMR(400MHz,CDCl)δ1.16(d,J=8Hz,12H),1.24(m,2H),2.31(s,6H),2.35(s,4H),7.09(d,J=8Hz,4H),7.22(d,J=8Hz,4H)。13C{H}NMR(100MHz,CDCl)δ11.4,13.2,18.1,20.9,126.8,129.5,134.8,136.5。
【0087】
実施例2:ビス(ヨードメチル)ジイソプロピルシランの調製
【0088】
【化9】
【0089】
不活性雰囲気グローブボックスにおいて、300mLのParr容器に、粗ジイソプロピル(ビス(p-トリルチオ)メチル)シラン(7.80g、20.1mmol)、ヨードメタン(30.0mL、481mmol、24当量)、ヨウ化リチウム(2.69g、20.1mmol)、及びDMF(20mL)を充填した。容器をグローブボックス内で密封し、一晩、120℃に加熱した。氷浴を使用して容器を室温に冷却し、反応の進行を調べるためにサンプルを採取した。完了すると、容器の内容物を、250mLの丸底フラスコに注ぎ入れ、容器を、20mLのCHClですすいだ。溶媒を、回転蒸発によって除去して、暗色の残渣を得、これを、100mLのヘキサンに溶解し、3×200mLの水で洗浄した。有機層を単離し、MgSOで乾燥させた後、混合物を濾過し、溶媒を回転蒸発によって除去して、濃橙色の残渣(10.3g、NMR積分に基づいて88%の収率、83%のGC純度)を得た。この残渣の真空蒸留により、(4-メチルチオ)トルエンを除去して、粗生成物を得た。
【0090】
H NMR(400MHz,CDCl)δ1.13(d,J=8Hz,12H),1.32(m,2H),2.18(s,4H)。13C{H}NMR(100MHz,CDCl)δ-19.8(-SiCHI),11.7,18.1。
【0091】
実施例3:例示的なヘテロ原子架橋型金属-配位子錯体触媒の調製
【0092】
【化10】
【0093】
250mLの丸底フラスコに、ビス(ヨードメチル)ジイソプロピルシラン(7.923g、20.0mmol)、2-ブロモ-4-フルオロフェノール(11.459g、60.0mmol)、KCO(11.056g、80.0mmol)、及びアセトン(50mL)を添加した。反応混合物を、12時間、60℃まで加熱し、次いで、室温に冷却した。反応混合物を、シリカゲルの短いプラグを通して濾過し、エーテルですすいだ。次いで、溶媒を除去した。残渣を、エーテル/ヘキサン(0/100から溶出過程で30/70の勾配)を使用したカラムクロマトグラフィーによって精製した。7.428gのビス((2-ブロモ-4-フルオロフェノキシ)メチル)ジイソプロピルシラン(化合物(6))を、無色の油として得た(71%の収率)。
【0094】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.29-7.24(m,2H),6.98(dd,J=6.4,1.7Hz,4H),3.92(s,4H),1.44-1.32(m,2H),1.20(d,J=7.4Hz,12H)。19F NMR(376MHz,CDCl3)δ-122.63(s,2F)。
【0095】
【化11】
【0096】
40mLのバイアルに、ビス((2-ブロモ-4-フルオロフェノキシ)メチル)ジイソプロピルシラン(化合物(6)、1.045g、2.0mmol)、化合物(7)(4.164g、6.0mmol)、NaCO(1.484g、14.0mmol)、及び脱気したTHF(12mL)を、すべてグローブボックスにおいて、添加した。バイアルに蓋をし、グローブボックスから取り出し、水(5mL)を添加した。適切な脱気を確実にするために、撹拌溶液を、窒素で5分間パージした。THF(3mL)中のPd(dba)(0.046g、0.08mmol)及びtBuP(0.032g、0.16mmol)の予備混合溶液(グローブボックス内で調製)を、次いで、一度に添加した。反応物を、次いで、70℃で18時間加熱した。室温に冷却した後、有機層を、100mLの丸底フラスコに移し、バイアルをTHF(4mL)ですすぎ、次いで、100mLの丸底フラスコに添加した。MeOH(15mL)及び濃HCl(1.0mL)を添加し、得られた溶液を、2時間還流した(80~90℃)。反応混合物を、溶媒の部分蒸発によって濃縮した。水(50mL)を添加し、生成物を、エーテル(80mL×2)で抽出した。合わせた有機層を、MgSOで乾燥させ、シリカゲルの短いパッドを通して濾過した。溶媒を除去した後、残渣を、エーテル/エタノールでの結晶化によって精製して、2.42gの生成物(化合物(8))を白色の粉末として得た(91%の収率)。
【0097】
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.25(brs,4H),7.39(d,J=8.5Hz,4H),7.33(d,J=2.5Hz,2H),7.13(d,J=2.4Hz,2H),6.97(brs,4H),6.77(dd,J=8.7,3.1Hz,2H),6.30-6.17(m,2H),5.43-5.26(m,2H),5.22(s,2H),3.43-3.06(m,4H),1.66(s,4H),1.48(s,36H),1.29(s,12H),0.83-0.69(m,32H)。19F NMR(376MHz,CDCl)δ-124.11(s,2F)。13C NMR(100MHz,CDCl)δ157.8,155.5,153.0,147.8,142.8,142.7,139.9,128.9,127.2,126.7,124.0,123.6,123.2,117.62(d,J=23.2Hz),116.0,115.20(d,J=22.8Hz),111.3(d,J=8.8Hz),109.5,56.8,55.8,38.1,34.8,32.4,32.1,31.9,31.6,18.1,9.6。
【0098】
【化12】
【0099】
グローブボックス内で、炉で乾燥させた攪拌棒付きの100mLのボトルに、無水トルエン(60mL)中に懸濁させたHfCl(0.641g、2.0mmol)を添加した。ボトルを-30℃の冷凍庫で1時間保持し、次いで、冷凍庫から取り出した。反応混合物を、激しく撹拌し、MeMgBr溶液(エーテル中3M、2.8mL、8.4mmol)を添加した。13分後に、配位子粉末(化合物(8))を、固体として添加した。撹拌を、室温で一晩継続した。溶媒を真空下で除去して、濃灰色の固体を得た。固体を、無水ヘキサン(90mL)で抽出し、次いで、濾過した。濾液を、約5~10mLまで濃縮し、次いで、冷凍庫で一晩保持した。上部の透明な溶液をデカントし、白色の固体を真空下で乾燥させて、2.53gの生成物(化合物(9))を得た(82%の収率)。
【0100】
H NMR(400MHz,C)δ8.64-8.60(m,2H),8.42-8.38(m,2H),7.67-7.47(m,8H),7.45-7.39(m,2H),7.26(d,J=2.5Hz,2H),7.07(dd,J=8.9,3.1Hz,3H),6.84-6.75(m,2H),5.27-5.19(m,2H),4.35(d,J=14.1Hz,2H),3.29(d,J=14.1Hz,2H),1.57(d,J=3.5Hz,4H),1.47(s,18H),1.34-1.19(m,30H),0.80(s,18H),0.58-0.48(m,12H),0.35-0.24(m,2H),-1.08(s,6H)。19F NMR(376MHz,CDCl)δ-116.40(m,2F)。
【0101】
態様
一態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、QX(R)(R)の化合物が、提供される。R及びRは、水素原子、(C~C40)ヒドロカルビルから独立して選択され、任意選択で、R及びRは、結合されて、環内に水素原子を除いて3~50個の原子を有する環を形成する。Xは、Si、Ge、Sn、又はPbである。それぞれのQは、独立して、Ar-Y-R-又はAr-Y-R-である。R及びRは、-(CR -から独立して選択され、mは、1又は2であり、それぞれのRは、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、及び-Hからなる群から独立して選択され、Y及びYは、独立して、S、Se、又はTeである。Ar及びArは、独立して、(C~C50)アリールである。Ar-Y-R-及びAr-Y-R-は、同一ではない。
【0102】
第2の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、Y及びYは、Seである。
【0103】
第3の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、Y及びYは、Sである。
【0104】
第4の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、R及びRは、-CH-である。
【0105】
第5の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、R及びRは、-CHCH-である。
【0106】
第6の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、Ar及びArは、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、及び4-メチルフェニルからなる群から独立して選択される。
【0107】
第7の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、Ar及びArは、フェニルである。
【0108】
第8の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、Xは、Siである。
【0109】
第9の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、R及びRは、独立して、(C~C12)アルキルである。
【0110】
第10の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、それぞれのQは、Ar-Y-R-であり、同一である。
【0111】
第11の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、それぞれのQは、Ar-Y-R-であり、Rは、-CH-であり、Yは、Sであり、Arは、4-メチルフェニルである。
【0112】
第12の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、ヘテロ原子架橋前駆体、(L)(L)X(R)(R)を得るための方法は、90℃~150℃において、少なくとも1つのハロゲン化アルキル、金属ハロゲン化物、及び式QX(R)(R)の化合物(式中、X、Q、R、及びRは、上記に定義されるとおりである)を反応させて、ヘテロ原子架橋前駆体を得ることを含む。L及びLは、独立して、-R-Z又は-R-Zであり、それぞれのZは、Cl、Br、及びIから独立して選択される。
【0113】
第13の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、本方法は、0℃~5℃において、式(Z)(Z)X(R)(R)の化合物を、式Q-Li(式中、Qは、上記に定義されるように、Ar-Y-R-である)を有する単一のリチウム化合物、又は式Q-Li(式中、Qは、上記に定義されるように、Ar-Y-R-である)を有する第1のリチウム化合物及び式Q-Li(式中、Qは、上記に定義されるように、Ar-Y-R-である)を有する第2のリチウム化合物のいずれかと反応させて、式QX(R)(R)の化合物を得ることによって、式QX(R)(R)の化合物を調製することを更に含む。Z及びZは、Cl、Br、I、及びトリフレートから独立して選択される。
【0114】
第14の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、式(Z)(Z)X(R)(R)を有する化合物を、少なくともリチウム化合物と反応させることは、式(Z)(Z)X(R)(R)を有する化合物を、式Q-Liを有する単一のリチウム化合物と反応させ、それによって、式(L)(L)X(R)(R)を有するヘテロ原子架橋前駆体のL及びLの両方が、-R-Zであり、同一であることを含む。
【0115】
第15の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、すべての発生におけるRは、本方法において、-CH-である。
【0116】
第16の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、すべての発生におけるRは、本方法において、-CHCH-である。
【0117】
第17の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、Z及びZは、Clであり、すべての発生におけるYは、Sであり、すべての発生におけるRは、-CH-であり、すべての発生におけるArは、4-メチルフェニルである。
【0118】
第18の態様によると、式(Z)(Z)X(R)(R)を有する化合物を、少なくとも1つのリチウム化合物と反応させることは、式(Z)(Z)X(R)(R)を有する化合物を、式Ar-Y-R-Liを有する化合物及び式Ar-Y-R-Liを有する化合物と反応させ、それによって、式(L)(L)X(R)(R)を有するヘテロ原子架橋のL及びLが、同一ではないことを含む。
【0119】
第19の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、Z及びZは、本方法において、Clである。
【0120】
第20の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、すべての発生におけるY及びYは、本方法において、Sである。
【0121】
第21の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、Ar及びArは、本方法において、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、及び4-メチルフェニルからなる群から独立して選択される。
【0122】
第22の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、すべての発生におけるAr及びArは、本方法において、フェニルである。
【0123】
第23の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、Xは、本方法において、Si又はGeである。
【0124】
第24の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、R及びRは、本方法において、独立して、(C~C12)アルキルである。
【0125】
第25の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、本方法は、0℃~25℃において、アルキルリチウム化合物を、式Ar-Y-R-Hを有する化合物と反応させて、単一のリチウム化合物Q-Liを得ることによって、単一のリチウム化合物Q-Liを調製すること、又は0℃~25℃において、アルキルリチウム化合物を、式Ar-Y-R-Hを有する化合物と反応させて、第1のリチウム化合物Q-Liを得ること、及び0℃~25℃において、アルキルリチウム化合物を、式Ar-Y-R-Hを有する化合物と反応させて、第1のリチウム化合物Q-Liを得ることのうちの少なくとも1つを行うことによって、第1のリチウム化合物Q-Li、第2のリチウム化合物Q-Li、若しくはその両方を調製すること、のいずれかを更に含む。
【0126】
第26の態様によると、単独で、又は任意の他の態様と組み合わせて、少なくとも1つのハロゲン化アルキルは、HR-h、HR-h、又はこれらの組み合わせを含み、hは、Cl、Br、又はIから選択されるハロゲンであり、金属ハロゲン化物は、Z-Liを含む。
【0127】
特許請求の範囲に記載の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な修正を加えることができることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、そのような変更及び変形が添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に入る限り、記載した実施形態の変更及び変形を包含することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(3):
【化1】
(式中、
及びRは、水素原子、(C~C40)ヒドロカルビルから独立して選択され、任意選択で、R及びRは、結合されて、環内に水素原子を除いて3~50個の原子を有する前記環を形成し、
Xは、Si、Ge、Sn、又はPbであり、
それぞれのQは、独立して、Ar-Y-R-又はAr-Y-R-であり、
及びRは、-(CR -から独立して選択され、mは、1又は2であり、それぞれのRは、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、及び-Hからなる群から独立して選択され、
及びYは、独立して、S、Se、又はTeであり、
Ar及びArは、独立して、(C~C50)アリールであり、
Ar-Y-R-及びAr-Y-R-は、同一ではない)による化合物。
【請求項2】
及びYは、Seであるか、又はY及びYは、Sである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びRは、-CH-であるか、又はR及びRは、-CHCH-である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Ar及びArは、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、及び4-メチルフェニルからなる群から独立して選択される、請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
Xは、Siである、請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
及びRは、独立して、(C~C12)アルキルである、請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
それぞれのQは、Ar-Y-R-であり、それぞれのQは、同一である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
それぞれのQは、Ar-Y-R-であり、Rは、-CH-であり、Yは、Sであり、Arは、4-メチルフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
式(3)による化合物からヘテロ原子架橋前駆体を得るための方法であって、前記方法は、
90℃~150℃において、少なくとも1つのハロゲン化アルキル、アルカリ金属ハロゲン化物、及び式(3):
【化2】
(式中、
及びRは、水素原子、(C~C40)ヒドロカルビルから独立して選択され、任意選択で、R及びRは、結合されて、環内に水素原子を除いて3~50個の原子を有する前記環を形成し、
Xは、Si、Ge、Sn、又はPbであり、
それぞれのQは、独立して、Ar-Y-R-又はAr-Y-R-であり、
及びRは、-(CR -から独立して選択され、mは、1又は2であり、それぞれのRは、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、又は-Hから独立して選択され、
及びYは、独立して、S、Se、又はTeであり、
Ar及びArは、独立して、(C~C50)アリールであり、
Ar-Y-R-及びAr-Y-R-は、同一ではない)による化合物を反応させて、式(1):
【化3】
(式中、
、R、及びXは、式(3)において定義されるとおりであり、
及びLは、独立して、-R-Z又は-R-Zであり、R及びRは、式(3)において定義されるとおりであり、それぞれのZは、Cl、Br、及びIから独立して選択される)を有するヘテロ原子架橋前駆体を得ることを含む、方法。
【請求項10】
式(3)の前記化合物を調製することを更に含み、式(3)の前記化合物を調製することは、
0℃~5℃において、式(2)
【化4】
(式中、
X、R、及びRは、式(3)において定義されるとおりであり、
及びZは、Cl、Br、I、及びトリフレートから独立して選択される)を有する化合物を、
式Q-Li(式中、Qは、式(3)において定義されるように、Ar-Y-R-である)を有する単一のリチウム化合物又は式Q-Li(式中、Qは、式(3)において定義されるように、Ar-Y-R-である)を有する第1のリチウム化合物及び式Q-Li(式中、Qは、式(3)において定義されるように、Ar-Y-R-である)を有する第2のリチウム化合物と反応させて、式(3)の前記化合物を得ることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(2)を有する前記化合物を、少なくとも前記リチウム化合物と反応させることは、式(2)を有する前記化合物を、式Q-Liを有する前記単一のリチウム化合物と反応させることを含み、それによって、式(1)を有する前記ヘテロ原子架橋前駆体のL及びLの両方は、-R-Zであり、同一である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(2)のZ及びZは、Clであり、
すべての発生におけるYは、Sであり、
すべての発生におけるRは、-CH-であり、
すべての発生におけるArは、4-メチルフェニルである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
式(2)を有する前記化合物を、少なくとも1つの前記リチウム化合物と反応させることは、式(2)を有する前記化合物を、式Ar-Y-R-Liを有する化合物及び式Ar-Y-R-Liを有する化合物と反応させることを含み、それによって、式(1)を有する前記ヘテロ原子架橋のL及びLは、同一ではない、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
0℃~25℃において、アルキルリチウム化合物を、式Ar-Y-R-Hを有する化合物と反応させて、前記単一のリチウム化合物Q-Liを得ることによって、前記単一のリチウム化合物Q-Liを調製すること、又は
0℃~25℃において、アルキルリチウム化合物を、式Ar-Y-R-Hを有する化合物と反応させて、前記第1のリチウム化合物Q-Liを得ること、及び
0℃~25℃において、アルキルリチウム化合物を、式Ar-Y-R-Hを有する化合物と反応させて、前記第1のリチウム化合物Q-Liを得ることのうちの少なくとも1つを行うことによって、前記第1のリチウム化合物Q-Li、前記第2のリチウム化合物Q-Li、若しくはその両方を調製すること、のいずれかを更に含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのハロゲン化アルキルは、HR-h、HR-h、又はこれらの組み合わせを含み、R及びRは、式(1)及び(3)において定義されるとおりであり、hは、Cl、Br、又はIから選択されるハロゲンであり、
前記アルカリ金属ハロゲン化物は、Z-Liを含み、Zは、式(1)において定義されるとおりである、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。

【国際調査報告】