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特表2023-516954遺伝子サンプリングにおける統計的バイアスの軽減
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】遺伝子サンプリングにおける統計的バイアスの軽減
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20230414BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230414BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230414BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230414BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230414BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230414BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230414BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALN20230414BHJP
   C12N 15/10 20060101ALN20230414BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20230414BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
A61K45/00
A61P37/04
A61P35/00
A61P43/00 111
C12Q1/6844 Z
C12N15/10 100Z
C12N15/09 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551635
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 US2021019982
(87)【国際公開番号】W WO2021174052
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/982,677
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/093,015
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】517192663
【氏名又は名称】ファウンデーション・メディシン・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アルバッカー, リー アラン
(72)【発明者】
【氏名】モンテシオン, ミーガン キャサリーン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4C084
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB11
4B029BB20
4B029CC01
4B029FA15
4B029GA08
4B029GB06
4B029GB10
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ08
4B063QQ28
4B063QQ42
4B063QQ62
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR42
4B063QR62
4B063QR66
4B063QR77
4B063QS03
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA05
4C084NA06
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC411
4C084ZC412
(57)【要約】
ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子又は別の多型ヒト遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することなど、例えば、多型アレルの配列決定(例えば、NGSによる)において有用であり得る方法、システム、及び記憶媒体が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法及びシステムは、観察されたアレル頻度及びアレルの1つ以上のベイト分子に対する観察された結合傾向を取得することと、次いで、最適化モデルを適用して、これらの結合傾向を考慮した調整されたアレル頻度を決定し、それによって、アレル頻度の決定に関する異なるアレル:ベイト結合傾向に根ざした任意の潜在的なバイアスを調整及び/又は最小化することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出する方法であって、
個体由来の試料から得られた複数の核酸を提供することであって、前記複数の核酸が、HLA遺伝子をコードする核酸を含む、提供することと、
任意選択的に、前記複数の核酸からの1つ以上の核酸に、1つ以上のアダプターをライゲーションすることと、
前記複数の核酸から核酸を増幅することと、
前記HLA遺伝子に対応する複数の核酸を捕捉することであって、前記HLA遺伝子に対応する前記複数の核酸が、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって前記増幅された核酸から捕捉される、捕捉することと、
シーケンサーによって、前記捕捉された核酸を配列決定して、前記HLA遺伝子に対応する複数の配列リードを取得することと、
1つ以上のプロセッサによって、前記複数の配列リードのうちの1つ以上に関連する1つ以上の値をモデルに適合させることと、
前記モデルに基づいて、前記HLA遺伝子のLOH及び前記HLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向を検出することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記HLA遺伝子のLOH及び前記HLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向が、
a)HLAアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、前記HLA遺伝子に対応する前記複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応する、取得することと、
b)前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、取得することと、
c)目的関数を適用して、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)最適化モデルを適用して、前記目的関数を最小化することと、
e)前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)前記HLAアレルの前記調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、によって検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、前記個体に、有効量の、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を投与することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を推奨することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)を検出すること、又はその知識を獲得することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記HLA遺伝子のLOH及び高TMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、前記個体に、有効量の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を投与することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記HLA遺伝子のLOH及び高TMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、前記個体に、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療を推奨することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記HLA遺伝子が、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(1)の前に、前記試料から前記複数の核酸を抽出することを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記試料が、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記試料が、非腫瘍細胞を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記試料が、腫瘍セルフリーDNA(cfDNA)を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記試料が、流体、細胞、又は組織を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記試料が、血液又は血漿を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記試料が、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記個体からの前記試料が、核酸試料である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記核酸試料が、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記TMBが、配列決定されたゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される、請求項5~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
各反応が、多型遺伝子の異なるアレルに結合するベイト分子に対応し、各反応が、対応するアレル画分の捕捉をもたらし、
複数の化学反応が、反応の第1のサブセット及び反応の第2のサブセットからなり、前記第1及び第2のサブセットが、共通の反応を共有せず、前記第1及び第2のサブセットが、各々、少なくとも1つの化学反応を含むように、前記複数の化学反応を特定することと、
各化学反応の結合傾向及び各捕捉されたアレルのアレル画分をまとめて関連付ける複数の方程式を特定することと、
前記複数の化学反応の前記第1のサブセットの相対的な結合傾向を経験的に特定することと、
総誤差を最小化することによって、前記第2のサブセットの前記相対的な結合傾向を特定することと、を含む、方法。
【請求項21】
前記総誤差を最小化することが、相対的な結合傾向の中央値が1に等しいという制約を受ける、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
1つの相対的な結合傾向が、1に等しく設定される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記総誤差を最小化することが、最小二乗手順を実行することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
ハイブリッド捕捉プロセスを実行して、患者のDNA試料における生のアレル頻度を測定することと、
相対的な結合傾向の前記第1及び第2のサブセットを使用して、前記測定された生のアレル頻度をスケーリングし、それによって、サンプリングバイアスを軽減することと、を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記多型遺伝子が、ヒト白血球抗原遺伝子を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記多型遺伝子が、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記患者が、ヘテロ接合性の喪失を経験したかどうかを判断することを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のコンピュータプログラム命令を記憶するように構成されたメモリと、を備え、前記1つ以上のコンピュータプログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行された場合、
各反応が、多型遺伝子の異なるアレルに結合するベイト分子に対応し、各反応が、対応するアレル画分の捕捉をもたらし、
複数の化学反応が、反応の第1のサブセット及び反応の第2のサブセットからなり、前記第1及び第2のサブセットが、共通の反応を共有せず、前記第1及び第2のサブセットが、各々、少なくとも1つの化学反応を含むように、前記複数の化学反応を特定することと、
各化学反応の結合傾向及び各捕捉されたアレルのアレル画分をまとめて関連付ける複数の方程式を特定することと、
前記複数の化学反応の前記第1のサブセットの経験的に特定された相対的な結合傾向を受信することと、
総誤差を最小化することによって、前記第2のサブセットの前記相対的な結合傾向を特定することと、を行うように構成される、システム。
【請求項29】
前記総誤差を最小化することが、相対的な結合傾向の中央値が1に等しいという制約を受ける、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
1つの相対的な結合傾向が、1に等しく設定される、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記総誤差を最小化することが、最小二乗手順を実行することを含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
前記1つ以上のコンピュータプログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行された場合、
前記1つ以上のプロセッサで、患者のDNA試料における測定された生のアレル頻度を受信することであって、前記測定された生のアレル頻度が、ハイブリッド捕捉プロセスを実行することによって測定された、受信することと、
前記1つ以上のプロセッサで、相対的な結合傾向の前記第1及び第2のサブセットを使用して、前記測定された生のアレル頻度をスケーリングし、それによって、サンプリングバイアスを軽減することと、を行うように更に構成される、請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
前記多型遺伝子が、ヒト白血球抗原遺伝子を含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項34】
前記多型遺伝子が、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である、請求項28に記載のシステム。
【請求項35】
前記方法が、前記1つ以上のプロセッサで、前記患者がヘテロ接合性の喪失を経験したかどうかを判断することを更に含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項36】
アレル頻度を決定するための方法であって、
a)1つ以上のプロセッサで、遺伝子のアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、前記観察されたアレル頻度が、前記遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出された前記アレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
b)1つ以上のプロセッサで、前記アレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、前記アレルの前記相対的な結合傾向は、前記遺伝子の1つ以上の他のアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記アレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
c)前記1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、前記アレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)前記1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、前記目的関数を最小化することと、
e)前記1つ以上のプロセッサによって、前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記アレルの調整されたアレル頻度を決定することと、を含む、方法。
【請求項37】
前記最適化モデルが、最小二乗最適化モデルである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記最適化モデルが、1つ以上の制約を受ける、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ以上の制約が、前記遺伝子の複数のアレルについての相対的な結合傾向の中央値が1に等しいことを必要とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記観察されたアレル頻度が、参照値と比較して、前記複数の配列リード間で検出された前記アレルの少なくとも一部をコードする核酸の相対頻度に対応する、請求項36~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記参照値が、配列リードの総数である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記参照値が、参照遺伝子に対応する配列リードの数である、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記遺伝子が、主要組織適合性(MHC)クラスI分子をコードするヒト白血球抗原(HLA)遺伝子である、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記遺伝子が、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記調整されたアレル頻度を決定した後、前記調整されたアレル頻度に少なくとも部分的に基づいて、前記遺伝子がヘテロ接合性の喪失(LOH)を受けたと判断することを更に含む、請求項36~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記複数の配列リードが、前記ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された核酸に対して次世代配列決定(NGS)、全エキソーム配列決定、又はメチル化配列決定を実行することによって得られた、請求項36~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記観察されたアレル頻度を受信する前に、前記複数の配列リードを取得するために、複数のポリヌクレオチドを、次世代配列決定(NGS)、全エキソーム配列決定、又はメチル化配列決定によって配列決定することを更に含み、前記複数のポリヌクレオチドが、前記アレルの少なくとも一部をコードする核酸を含む、請求項36~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記複数のポリヌクレオチドを配列決定する前に、
ハイブリダイゼーションに好適な条件下で、ポリヌクレオチドの混合物を前記ベイト分子と接触させることであって、前記混合物が、前記ベイト分子とハイブリダイズすることができる複数のポリヌクレオチドを含む、接触させることと、
前記ベイト分子とハイブリダイズした複数のポリヌクレオチドを単離することであって、前記ベイト分子とハイブリダイズした前記単離された複数のポリヌクレオチドが配列決定される、単離することと、を更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ポリヌクレオチドの混合物を前記ベイト分子と接触させる前に、
個体から試料を取得することであって、前記試料が腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む、取得することと、
前記試料から前記ポリヌクレオチドの混合物を抽出することであって、前記ポリヌクレオチドの混合物が前記腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸からのものである、抽出することと、を更に含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記試料が、非腫瘍細胞を更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記試料が、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記試料が、腫瘍セルフリーDNA(cfDNA)を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
(1)1つ以上のプロセッサで、遺伝子の2つ以上のアレルの各々について観察されたアレル頻度を受信することであって、前記観察されたアレル頻度が、前記遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたそれぞれのアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
(2)1つ以上のプロセッサで、2つ以上のアレルの各々の前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、前記2つ以上のアレルの第2のアレルが、前記2つ以上のアレルの第1のアレルよりも、前記ベイト分子に対して低い相対的な結合傾向を有する、受信することと、
(3)前記1つ以上のプロセッサによって、第2のベイト分子を特定することであって、前記2つ以上のアレルの前記第2のアレルが、第1のベイト分子よりも第2のベイト分子に対して高い相対的な結合傾向を有する、特定することと、を更に含む、請求項36~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記第2のベイト分子が、前記2つ以上のアレルの前記第2のアレルの少なくとも一部に相補的な配列を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行される1つ以上のプログラムを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記1つ以上のプログラムが、前記1つ以上のプロセッサによって実行された場合、請求項36~46、53、及び54のいずれか一項に記載の方法を前記デバイスに実行させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項56】
ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出するための方法であって、
g)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
h)1つ以上のプロセッサで、前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
i)前記1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
j)前記1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、前記目的関数を最小化することと、
k)前記1つ以上のプロセッサによって、前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
l)前記1つ以上のプロセッサによって、前記HLAアレルの前記調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、を含む、方法。
【請求項57】
前記HLA遺伝子が、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記複数の配列リードが、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む試料から得られた核酸を配列決定することによって得られた、請求項56又は57に記載の方法。
【請求項59】
前記試料が、非腫瘍細胞を更に含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記試料が、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記試料が、腫瘍セルフリーDNA(cfDNA)を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記試料が、流体、細胞、又は組織を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記試料が、血液又は血漿を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記試料が、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記試料が、核酸試料である、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記核酸試料が、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療から恩恵を受ける可能性のある、がんを有する個体を特定する方法であって、前記個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することを含み、前記HLA遺伝子のLOHが、請求項36~66のいずれか一項に記載の方法に従って検出される、方法。
【請求項68】
がんを有する個体のための療法を選択する方法であって、前記個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することを含み、前記HLA遺伝子のLOHは、請求項36~66のいずれか一項に記載の方法に従って検出される、方法。
【請求項69】
がんを有する個体の1つ以上の治療選択肢を特定する方法であって、
(a)前記個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することであって、前記HLA遺伝子のLOHが、請求項36~66のいずれか一項に記載の方法に従って検出される、獲得することと、
(b)前記知識に少なくとも部分的に基づいて、前記個体に対して特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することと、を含む、方法。
【請求項70】
前記試料における前記HLA遺伝子のLOHは、前記個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す、請求項67~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記1つ以上の治療選択肢が、ICIを含む治療を含まない、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
がんを有する個体のための治療を選択する方法であって、がんを有する個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、前記HLA遺伝子のLOHが、請求項36~66のいずれか一項に記載の方法に従って検出され、前記知識の前記獲得に応答して、(i)前記個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療を受けない候補として分類され、(ii)前記個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療に応答する可能性が高くないと特定され、かつ/又は(iii)前記個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を受ける候補として分類される、方法。
【請求項73】
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)で治療されたがんを有する個体の生存期間を予測する方法であって、前記個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、前記HLA遺伝子のLOHが、請求項36~66のいずれか一項に記載の方法に従って検出され、前記知識の前記獲得に応答して、がんが前記HLA遺伝子のLOHを示さない前記ICIで治療された個体の生存期間と比較して、前記ICIによる治療後、前記個体がより短い生存期間を有すると予測される、方法。
【請求項74】
がんを有する個体を監視する方法であって、前記個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、前記HLA遺伝子のLOHが、請求項36~66のいずれか一項に記載の方法に従って検出され、前記知識の前記獲得に応答して、がんが前記HLA遺伝子のLOHを示さない個体と比較して、前記個体が増加した再発のリスクを有すると予測される、方法。
【請求項75】
がんを有する個体を評価する方法であって、前記個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、前記HLA遺伝子のLOHが、請求項36~66のいずれか一項に記載の方法に従って検出され、前記HLA遺伝子のLOHにより、がんが前記HLA遺伝子のLOHを示さない個体と比較して、前記個体が増加した再発のリスクを有すると特定される、方法。
【請求項76】
がんを有する個体をスクリーニングする方法であって、前記個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、前記HLA遺伝子のLOHが、請求項36~66のいずれか一項に記載の方法に従って検出され、前記知識の前記獲得に応答して、がんが前記HLA遺伝子のLOHを示さない個体と比較して、前記個体が増加した再発のリスクを有すると予測される、方法。
【請求項77】
前記HLA遺伝子のLOHが、
1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
1つ以上のプロセッサで、前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定する目的関数を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記目的関数を最小化するように構成された最適化モデルを決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記HLAアレルの前記調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、によって決定される、請求項67~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、
(1)個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することであって、前記HLA遺伝子のLOHが、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信すること、
b)1つ以上のプロセッサで、前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、受信すること、
c)前記1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定すること、
d)前記1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、前記目的関数を最小化すること、
e)前記1つ以上のプロセッサによって、前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定すること、並びに
f)前記1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断すること、によって検出される、検出することと、
(2)前記HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、前記個体に、有効量の、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を投与することと、を含む、方法。
【請求項79】
がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、
(1)個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如を検出することであって、前記HLA遺伝子のLOHの欠如が、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信すること、
b)1つ以上のプロセッサで、前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、受信すること、
c)前記1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定すること、
d)前記1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、前記目的関数を最小化すること、
e)前記1つ以上のプロセッサによって、前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定すること、並びに
f)前記1つ以上のプロセッサによって、前記HLAアレルの前記調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも大きい場合、LOHが発生しなかったと判断すること、によって検出される、検出することと、
(2)前記HLA遺伝子のLOHの欠如の検出に少なくとも部分的に基づいて、前記個体に、有効量の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を投与することと、を含む、方法。
【請求項80】
前記ICIが、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、又はCTLA-4阻害剤を含む、請求項67~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記方法が、前記個体から得られた試料における腫瘍変異負荷(TMB)を検出することを更に含む、請求項67~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記個体から得られた試料における腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することを更に含む、請求項67~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記治療又は前記1つ以上の治療選択肢が、第2の治療剤を更に含む、請求項67~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記試料における前記HLA遺伝子のLOH及び高TMBは、前記個体が免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す、請求項67~69及び72~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記1つ以上の治療選択肢が、ICIを含む治療を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記HLA遺伝子のLOH及び高TMBが、前記個体から得られた同じ試料において検出される、請求項81~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記HLA遺伝子のLOH及び高TMBが、前記個体から得られた異なる試料において検出される、請求項81~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
がんを有する個体のための治療を選択する方法であって、(a)がんを有する個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の消失(LOH)の知識を獲得することであって、前記HLA遺伝子のLOHが、請求項36~66のいずれか一項に記載の方法に従って検出される、獲得することと、(b)がんを有する前記個体からの試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することと、を含み、(a)及び(b)における前記知識の前記獲得に応答して、(i)前記個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療を受ける候補として分類され、(ii)前記個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療に応答する可能性が高いと特定され、かつ/又は(iii)前記個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療を受ける候補として分類される、方法。
【請求項89】
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)で治療されたがんを有する個体の生存期間を予測する方法であって、(a)前記個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することであって、前記HLA遺伝子のLOHが、請求項36~66のいずれか一項に記載の方法に従って検出される、獲得することと、(b)前記個体からの試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することと、を含み、(a)及び(b)における前記知識の前記獲得に応答して、がんが高TMBを伴わずにHLA遺伝子のLOHを有する、前記ICIで治療された個体の生存期間と比較して、前記ICIによる治療後、前記個体がより長い生存期間を有すると予測される、方法。
【請求項90】
がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、
(1)個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することであって、前記HLA遺伝子のLOHが、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信すること、
b)1つ以上のプロセッサで、前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、受信すること、
c)前記1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定すること、
d)前記1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、前記目的関数を最小化すること、
e)前記1つ以上のプロセッサによって、前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定すること、並びに
f)前記1つ以上のプロセッサによって、前記HLAアレルの前記調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断すること、によって検出される、検出することと、
(2)前記個体から得られた試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)を検出することと、
(3)前記HLA遺伝子のLOH及び高TMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、前記個体に、有効量の、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療を投与することと、を含む、方法。
【請求項91】
1つ以上のプロセッサを使用して、
各反応が、多型遺伝子の異なるアレルに結合するベイト分子に対応し、各反応が、対応するアレル画分の捕捉をもたらし、
複数の化学反応が、反応の第1のサブセット及び反応の第2のサブセットからなり、前記第1及び第2のサブセットが、共通の反応を共有せず、前記第1及び第2のサブセットが、各々、少なくとも1つの化学反応を含むように、前記複数の化学反応を特定することと、
前記1つ以上のプロセッサを使用して、各化学反応の結合傾向及び各捕捉されたアレルのアレル画分をまとめて関連付ける複数の方程式を特定することと、
前記1つ以上のプロセッサで、前記複数の化学反応の前記第1のサブセットの経験的に特定された相対的な結合傾向を受信することと、
前記1つ以上のプロセッサを使用して、総誤差を最小化することによって、前記第2のサブセットの前記相対的な結合傾向を特定することと、を含む方法を実行するための1つ以上のコンピュータプロセッサによって実行可能な1つ以上のプログラムを含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項92】
前記総誤差を最小化することが、相対的な結合傾向の中央値が1に等しいという制約を受ける、請求項91に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項93】
1つの相対的な結合傾向が、1に等しく設定される、請求項91に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項94】
前記総誤差を最小化することが、最小二乗手順を実行することを含む、請求項91に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項95】
前記方法が、
前記1つ以上のプロセッサで、患者のDNA試料における測定された生のアレル頻度を受信することであって、前記測定された生のアレル頻度が、ハイブリッド捕捉プロセスを実行することによって測定された、受信することと、
前記1つ以上のプロセッサで、相対的な結合傾向の前記第1及び第2のサブセットを使用して、前記測定された生のアレル頻度をスケーリングし、それによって、サンプリングバイアスを軽減することと、を更に含む、請求項91に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項96】
前記多型遺伝子が、ヒト白血球抗原遺伝子を含む、請求項91に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項97】
前記多型遺伝子が、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である、請求項91に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項98】
前記方法が、前記1つ以上のプロセッサで、前記患者がヘテロ接合性の喪失を経験したかどうかを判断することを更に含む、請求項95に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項99】
個体におけるがんを治療する又はその進行を遅らせる方法で使用するための免疫チェックポイント阻害剤(ICI)であって、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如が、前記個体から得られた試料において、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
b)1つ以上のプロセッサで、前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
c)前記1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)前記1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、前記目的関数を最小化することと、
e)前記1つ以上のプロセッサによって、前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)前記1つ以上のプロセッサによって、前記HLAアレルの前記調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも大きい場合、LOHが発生しなかったと判断することと、によって検出されている、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)。
【請求項100】
個体におけるがんを治療する又はその進行を遅らせる方法で使用するための免疫チェックポイント阻害剤(ICI)であって、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)及び高い腫瘍変異負荷(TMB)が、前記個体から得られた試料において、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
b)1つ以上のプロセッサで、前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
c)前記1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)前記1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、前記目的関数を最小化することと、
e)前記1つ以上のプロセッサによって、前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)前記1つ以上のプロセッサによって、前記HLAアレルの前記調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、
g)前記個体から得られた試料における高TMBの知識を獲得又は検出することと、によって検出されている、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)。
【請求項101】
個体におけるがんを治療する又はその進行を遅らせるための薬剤の製造で使用するための免疫チェックポイント阻害剤(ICI)であって、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)及び高い腫瘍変異負荷(TMB)が、前記個体から得られた試料において、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
b)1つ以上のプロセッサで、前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
c)前記1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)前記1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、前記目的関数を最小化することと、
e)前記1つ以上のプロセッサによって、前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)前記1つ以上のプロセッサによって、前記HLAアレルの前記調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、
g)前記個体から得られた試料における高TMBの知識を獲得又は検出することと、によって検出されている、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)。
【請求項102】
個体におけるがんを治療する又はその進行を遅らせるための薬剤の製造で使用するための免疫チェックポイント阻害剤(ICI)であって、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如が、前記個体から得られた試料において、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
b)1つ以上のプロセッサで、前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
c)前記1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)前記1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、前記目的関数を最小化することと、
e)前記1つ以上のプロセッサによって、前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)前記1つ以上のプロセッサによって、前記HLAアレルの前記調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも大きい場合、LOHが発生しなかったと判断することと、によって検出されている、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)。
【請求項103】
システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のコンピュータプログラム命令を記憶するように構成されたメモリと、を備え、前記1つ以上のコンピュータプログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行された場合、
各反応が、多型遺伝子の異なるアレルに結合するベイト分子に対応し、各反応が、対応するアレル画分の捕捉をもたらし、
複数の化学反応が、反応の第1のサブセット及び反応の第2のサブセットからなり、前記第1及び第2のサブセットが、共通の反応を共有せず、前記第1及び第2のサブセットが、各々、少なくとも1つの化学反応を含むように、前記複数の化学反応を特定することと、
各化学反応の結合傾向及び各捕捉されたアレルのアレル画分をまとめて関連付ける複数の方程式を特定することと、
前記複数の化学反応の前記第1のサブセットの経験的に特定された相対的な結合傾向を受信することと、
総誤差を最小化することによって、前記第2のサブセットの前記相対的な結合傾向を特定することと、を行うように構成される、システム。
【請求項104】
前記総誤差を最小化することが、相対的な結合傾向の中央値が1に等しいという制約を受ける、請求項103に記載のシステム。
【請求項105】
1つの相対的な結合傾向が、1に等しく設定される、請求項103に記載のシステム。
【請求項106】
前記総誤差を最小化することが、最小二乗手順を実行することを含む、請求項103に記載のシステム。
【請求項107】
前記1つ以上のコンピュータプログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行された場合、
患者のDNA試料における測定された生のアレル頻度を受信することであって、前記測定された生のアレル頻度が、ハイブリッド捕捉プロセスを実行することによって測定された、受信することと、
相対的な結合傾向の前記第1及び第2のサブセットを使用して、前記測定された生のアレル頻度をスケーリングし、それによって、サンプリングバイアスを軽減することと、を行うように更に構成される、請求項103に記載のシステム。
【請求項108】
前記多型遺伝子が、ヒト白血球抗原遺伝子を含む、請求項103に記載のシステム。
【請求項109】
前記多型遺伝子が、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である、請求項103に記載のシステム。
【請求項110】
前記1つ以上のコンピュータプログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行された場合、前記患者がヘテロ接合性の喪失を経験したかどうかを判断するように更に構成される、請求項107に記載のシステム。
【請求項111】
1つ以上のプロセッサを使用して、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
前記1つ以上のプロセッサを使用して、前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
前記1つ以上のプロセッサを使用して、目的関数を実行して、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
前記1つ以上のプロセッサを使用して、最適化モデルを実行して、前記目的関数を最小化することと、
前記1つ以上のプロセッサを使用して、前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサを使用して、前記HLAアレルの前記調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、を含む方法を実行するための1つ以上のコンピュータプロセッサによって実行可能な1つ以上のプログラムを含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項112】
前記HLA遺伝子が、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である、請求項111に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項113】
前記複数の配列リードが、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む試料から得られた核酸を配列決定することによって得られた、請求項111又は112に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項114】
前記試料が、非腫瘍細胞を更に含む、請求項113に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項115】
前記試料が、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである、請求項113に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項116】
前記試料が、腫瘍セルフリーDNA(cfDNA)を含む、請求項113に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項117】
前記試料が、流体、細胞、又は組織を含む、請求項113に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項118】
前記試料が、血液又は血漿を含む、請求項117に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項119】
前記試料が、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む、請求項113に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項120】
前記試料が、核酸試料である、請求項113に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項121】
前記核酸試料が、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む、請求項120に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項122】
前記方法が、
前記1つ以上のプロセッサを使用して、複数の配列リードから腫瘍変異負荷(TMB)を決定することを更に含み、前記複数の配列リードが、ゲノムの少なくとも一部の核酸を配列決定することによって得られた、請求項111~121のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項123】
前記TMBが、配列決定されたゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される、請求項122に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項124】
システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のコンピュータプログラム命令を記憶するように構成されたメモリと、を備え、前記1つ以上のコンピュータプログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行された場合、
HLAアレルについて観察されたアレル頻度を決定することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出された前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、前記複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された前記遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、決定することと、
前記HLAアレルの前記ベイト分子に対する相対的な結合傾向を決定することであって、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、前記HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸が前記ベイト分子に結合する傾向に対応する、決定することと、
目的関数を実行して、前記HLAアレルの前記相対的な結合傾向と前記観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
最適化モデルを実行して、前記目的関数を最小化することと、
前記最適化モデル及び前記観察されたアレル頻度に基づいて、前記HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
前記HLAアレルの前記調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、を行うように構成される、システム。
【請求項125】
前記HLA遺伝子が、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である、請求項124に記載のシステム。
【請求項126】
前記複数の配列リードが、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む試料から得られた核酸を配列決定することによって得られた、請求項124又は125に記載のシステム。
【請求項127】
前記試料が、非腫瘍細胞を更に含む、請求項126に記載のシステム。
【請求項128】
前記試料が、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである、請求項126に記載のシステム。
【請求項129】
前記試料が、腫瘍セルフリーDNA(cfDNA)を含む、請求項126に記載のシステム。
【請求項130】
前記試料が、体液、細胞、又は組織を含む、請求項126に記載のシステム。
【請求項131】
前記試料が、血液又は血漿を含む、請求項130に記載のシステム。
【請求項132】
前記試料が、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む、請求項126に記載のシステム。
【請求項133】
前記試料が、核酸試料である、請求項126に記載のシステム。
【請求項134】
前記核酸試料が、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む、請求項133に記載のシステム。
【請求項135】
前記1つ以上のコンピュータプログラム命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行された場合、
前記1つ以上のプロセッサを使用して、複数の配列リードから腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得するか、又はそれを検出するように更に構成され、前記複数の配列リードが、ゲノムの少なくとも一部の核酸を配列決定することによって得られた、請求項124~134のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項136】
前記TMBが、配列決定されたゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される、請求項135に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年2月27日に出願された米国仮出願第62/982,677号、及び2020年10月16日に出願された同第63/093,015号の利益を主張し、それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本出願は、ハイブリッド捕捉(hybrid capture)プロセスを使用するゲノム検査におけるサンプリングバイアスの軽減に関する。
【背景技術】
【0003】
ゲノム検査には、特定の治療に反応する可能性が高い患者を特定できる可能性がある。一部のゲノム検査アプローチでは、ハイブリッド捕捉ステップを使用して、例えば、特定の目的の遺伝子座での配列リードを濃縮する(Frampton,G.M.et al.(2013)Nat.Biotechnol.31:1023-1031)。ただし、ハイブリッド捕捉が多型アレルに適用される場合、特定の捕捉プローブへのアレル結合の違いにより、サンプリングにバイアスが導入される可能性がある。正確なゲノムプロファイリングには、特定の多型に関係なく、バイアスのない配列決定及びアレル頻度の計数が必要である。
【0004】
ゲノム検査が適用されている領域の1つは、がん治療のための個別化されたゲノム情報を決定することである。多型性が高いアレルは、正確で包括的なゲノム情報を取得する上で課題となる場合がある。例えば、一部の腫瘍は、HLA-Iアレルの喪失(ヘテロ接合性の喪失又はLOHと呼ばれる)によって特徴付けられる。腫瘍が特定の遺伝的位置でLOHを経験したかどうかは、特に、その遺伝的位置が重要な生物学的機能(例えば、人の免疫系又は他の機能)に関連している場合、重要な臨床的事実である可能性がある。例えば、1つ以上のHLA-IアレルでのLOHにより、免疫系に提示されるネオ抗原が少なくなり、腫瘍の免疫回避につながる可能性がある。更に、様々な遺伝子座は、コピー喪失LOH(すなわち、1つのアレルの喪失)によって、又はコピー中立LOH(すなわち、一方のアレルが失われるが、もう一方が複製され、コピー数の正味の変化がない場合)によって修飾される場合がある。
【0005】
免疫療法は、進行がん患者に対する現在の治療に革命をもたらした。がんに対する免疫応答を提供又は刺激するもの(例えば、細胞ベースの療法)もあれば、患者自身のT細胞媒介性免疫応答を再活性化すると考えられているもの(免疫チェックポイント阻害剤又はICIなど)もある[Reck,M.,et al.N Engl J Med 375,1823-1833(2016)、Hellmann,M.D.,et al.N Engl J Med 378,2093-2104(2018)、Nghiem,P.T.,et al.N Engl J Med 374,2542-2552(2016)、Robert,C.,et al.N Engl J Med 372,2521-2532(2015)、Le,D.T.,et al.N Engl J Med 372,2509-2520(2015)]。適応免疫系は、CD8+T細胞を介して、ヒト白血球抗原クラスI(HLA-I)にコードされた主要組織適合複合体クラスI(MHC-I)タンパク質上に提示される腫瘍特異的変異ペプチド(ネオ抗原)の提示を介して腫瘍細胞を認識する。[Mok,T.S.K.,et al.Lancet 393,1819-1830(2019)、Schumacher,T.N.& Schreiber,R.D.Science 348,69-74(2015)、Turajlic,S.,et al.Lancet Oncol 18,1009-1021(2017)]。この観点から、腫瘍変異負荷(TMB)が増加した腫瘍は、提示に利用可能な潜在的なネオ抗原の数がより多いため、ICIを介した免疫刺激によって標的になりやすいことが直感的に思われるが[Hellmann,M.D.,et al.N Engl J Med 378,2093-2104(2018)、Le,D.T.,et al.N Engl J Med 372,2509-2520(2015)、Rizvi,N.A.,et al.Science 348,124-128(2015)]、これは常に当てはまるとは限らない。例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)に焦点を当てた治験では、TMBは、患者の生存を十分に予測することができなかった。しかしながら、HLA遺伝子型決定を使用してネオ抗原提示の相対的な効率を予測し、この情報をTMBとともに使用してチェックポイント応答を予測する取り組みは、将来性を示している(Goodman AM,et al.Genome Med.2020;12(1):45、Shim JH,et al.Ann Oncol.2020;31(7):902-11)。
ICI治療などの免疫療法に対する応答は、患者間で異なることがわかっている。各患者が、それらの特定の腫瘍に対して効果的である可能性が最も高い治療を受けられるようにするために、バイアスのない多型アレルの配列及び頻度を取得する(例えば、免疫療法に対する応答性を予測し、潜在的に最も効果的な治療のために患者を迅速に層別化する)更なる方法及びシステムが必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Frampton,G.M.et al.(2013)Nat.Biotechnol.31:1023-1031
【非特許文献2】Reck,M.,et al.N Engl J Med 375,1823-1833(2016)
【非特許文献3】Hellmann,M.D.,et al.N Engl J Med 378,2093-2104(2018)
【非特許文献4】Nghiem,P.T.,et al.N Engl J Med 374,2542-2552(2016)
【非特許文献5】Robert,C.,et al.N Engl J Med 372,2521-2532(2015)
【非特許文献6】Le,D.T.,et al.N Engl J Med 372,2509-2520(2015)
【非特許文献7】Mok,T.S.K.,et al.Lancet 393,1819-1830(2019)
【非特許文献8】Schumacher,T.N.& Schreiber,R.D.Science 348,69-74(2015)
【非特許文献9】Turajlic,S.,et al.Lancet Oncol 18,1009-1021(2017)
【非特許文献10】Rizvi,N.A.,et al.Science 348,124-128(2015)
【非特許文献11】Goodman AM,et al.Genome Med.2020;12(1):45
【非特許文献12】Shim JH,et al.Ann Oncol.2020;31(7):902-11)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本明細書において、ハイブリッド捕捉によって導入されるサンプリングバイアスを軽減するための方法及びシステムが提供される。これらの方法及びシステムは、例えば、配列決定のためのポリヌクレオチドのハイブリッド゛捕捉に起因する、多型アレルに関連するゲノムデータを取得するときに導入される可能性のあるバイアスを考慮し、軽減する。
【0008】
例えば、個別化された治療アプローチに重要なヒトゲノムの多型性が高い遺伝子座の1つは、HLA-I遺伝子座である。HLA-I遺伝子座でLOHを使用して潜在的な免疫療法患者を層別化すると、ICIなどの免疫再活性化治療に応答する可能性が最も高い患者を特定することができる可能性がある。本明細書で実証されるように、HLA-Iの体細胞性喪失は、ICI治療NSCLCにおける患者生存の負の予測因子であることが示されており、これは、高TMBの影響を鈍らせる。59の疾患群にわたる83,000を超える患者試料における体細胞性HLA-I LOHのランドスケープも決定され、17%の汎がん罹患率、並びに高TMBを有する腫瘍及びPD-L1発現によって表される炎症性腫瘍の有意な濃縮が見出された。TMBとHLA-I LOHを組み合わせると、炎症性がんにおいてICIの恩恵を受ける可能性が最も高い患者をよりよく選択することができ、個別化されたがんワクチンの設計に対して意義がある。LOH事象に関与することが知られている他の遺伝子座も本明細書に記載される。
【0009】
本明細書に記載される方法は、各反応が多型遺伝子の異なるアレルに結合するベイト分子に対応し、各反応が対応するアレル画分の捕捉をもたらし、複数の化学反応が反応の第1のサブセット及び反応の第2のサブセットからなり、第1及び第2のサブセットが共通の反応を共有せず、第1及び第2のサブセットが各々少なくとも1つの化学反応を含むように、複数の化学反応を特定することと、各化学反応の結合傾向及び各捕捉されたアレルのアレル画分をまとめて関連付ける複数の方程式を特定することと、複数の化学反応の第1のサブセットの相対的な結合傾向を経験的に特定することと、総誤差を最小化することによって第2のサブセットの相対的な結合傾向を特定することと、を含む。
【0010】
一部の実施形態では、総誤差を最小化することは、相対的な結合傾向の中央値が1に等しいという制約を受ける。
【0011】
一部の実施形態では、1つの相対的な結合傾向が1に等しく設定される。
【0012】
一部の実施形態では、総誤差を最小化することは、最小二乗手順を実行することを含む。
【0013】
一部の実施形態では、方法は、ハイブリッド捕捉プロセスを実行して、患者のDNA試料中の生のアレル頻度を測定することと、相対的な結合傾向の第1及び第2のサブセットを使用して、測定された生のアレル頻度をスケーリングし、それによって、サンプリングバイアスを軽減することと、を更に含む。
【0014】
一部の実施形態では、多型遺伝子は、ヒト白血球抗原遺伝子を含む。一部の実施形態では、多型遺伝子は、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である。
【0015】
一部の実施形態では、方法は、患者がヘテロ接合性の喪失を経験したかどうかを判断することを更に含む。
【0016】
また、本明細書に記載されるシステムは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のコンピュータプログラム命令を記憶するように構成されたメモリと、を含み、1つ以上のコンピュータプログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、各反応が多型遺伝子の異なるアレルに結合するベイト分子に対応し、各反応が対応するアレル画分の捕捉をもたらし、複数の化学反応が反応の第1のサブセット及び反応の第2のサブセットからなり、第1及び第2のサブセットが共通の反応を共有せず、第1及び第2のサブセットが各々少なくとも1つの化学反応を含むように、複数の化学反応を特定し、各化学反応の結合傾向及び各捕捉されたアレルのアレル画分をまとめて関連付ける複数の方程式を特定し、複数の化学反応の第1のサブセットの経験的に特定された相対的な結合傾向を受信し、総誤差を最小化することによって第2のサブセットの相対的な結合傾向を特定するように構成される。
【0017】
システムの一部の実施形態では、総誤差を最小化することは、相対的な結合傾向の中央値が1に等しいという制約を受ける。
【0018】
システムの一部の実施形態では、1つの相対的な結合傾向が1に等しく設定される。
【0019】
システムの一部の実施形態では、総誤差を最小化することは、最小二乗手順を実行することを含む。
【0020】
システムの一部の実施形態では、方法は、1つ以上のプロセッサで、患者のDNA試料における測定された生のアレル頻度を受信することであって、測定された生のアレル頻度がハイブリッド捕捉プロセスを実行することによって測定された、受信することと、1つ以上のプロセッサで、相対的な結合傾向の第1及び第2のサブセットを使用して、測定された生のアレル頻度をスケーリングし、それによって、サンプリングバイアスを軽減することと、を更に含む。
【0021】
システムの一部の実施形態では、多型遺伝子は、ヒト白血球抗原遺伝子を含む。システムの一部の実施形態では、多型遺伝子は、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である。
【0022】
システムの一部の実施形態では、方法は、1つ以上のプロセッサで、患者がヘテロ接合性の喪失を経験したかどうかを判断することを更に含む。
【0023】
本開示の特定の態様は、アレル頻度を決定するための方法に関する。一部の実施形態では、方法は、a)1つ以上のプロセッサで、遺伝子のアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、b)1つ以上のプロセッサで、アレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、アレルの相対的な結合傾向が、遺伝子の1つ以上の他のアレルの一部をコードする核酸の存在下、アレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、アレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、アレルの調整されたアレル頻度を決定することと、を含む。
【0024】
一部の実施形態では、最適化モデルは、最小二乗最適化モデルである。一部の実施形態では、最適化モデルは、1つ以上の制約を受ける。一部の実施形態では、1つ以上の制約は、遺伝子の複数のアレルについての相対的な結合傾向の中央値が1に等しいことを必要とする。一部の実施形態では、観察されたアレル頻度は、参照値と比較して、複数の配列リード間で検出されたアレルの少なくとも一部をコードする核酸の相対的な頻度に対応する。一部の実施形態では、参照値は、配列リードの総数である。一部の実施形態では、参照値は、参照遺伝子に対応する配列リードの数である。
【0025】
本明細書に記載の実施形態のいずれかによる一部の実施形態では、遺伝子は、主要組織適合性(MHC)クラスI分子をコードするヒト白血球抗原(HLA)遺伝子である。一部の実施形態では、遺伝子は、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である。一部の実施形態では、方法は、調整されたアレル頻度を決定した後、調整されたアレル頻度に少なくとも部分的に基づいて、遺伝子がヘテロ接合性の喪失(LOH)を受けたと判断することを更に含む。一部の実施形態では、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された核酸に対して、次世代配列決定(NGS)、全エキソーム配列決定、又はメチル化配列決定を実行することによって、複数の配列リードが得られた。一部の実施形態では、方法は、観察されたアレル頻度を取得する前に、複数の配列リードを取得するために、複数のポリヌクレオチドを、次世代配列決定(NGS)、全エキソーム配列決定、又はメチル化配列決定によって配列決定することを更に含み、複数のポリヌクレオチドが、アレルの少なくとも一部をコードする核酸を含む。一部の実施形態では、方法は、複数のポリヌクレオチドを配列決定する前に、ハイブリダイゼーションに好適な条件下で、ポリヌクレオチドの混合物をベイト分子と接触させることであって、混合物がベイト分子とハイブリダイズすることができる複数のポリヌクレオチドを含む、接触させることと、ベイト分子とハイブリダイズした複数のポリヌクレオチドを単離することであって、単離された複数のポリヌクレオチドが配列決定される、単離することと、を更に含む。一部の実施形態では、方法は、ポリヌクレオチドの混合物をベイト分子と接触させる前に、個体から試料を取得することであって、試料が、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む、取得することと、試料からポリヌクレオチドの混合物を抽出することであって、ポリヌクレオチドの混合物が、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸からのものである、抽出することと、を更に含む。一部の実施形態では、試料は、非腫瘍細胞を更に含む。一部の実施形態では、試料は、流体、細胞、又は組織を含む。一部の実施形態では、試料は、血液又は血漿を含む。一部の実施形態では、試料は、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む。一部の実施形態では、個体からの試料は、核酸試料である。一部の実施形態では、核酸試料は、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む。一部の実施形態では、方法は、遺伝子の2つ以上のアレルの各々について観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたそれぞれのアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、取得することと、2つ以上のアレルの各々のベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、2つ以上のアレルの第2のアレルが、2つ以上のアレルの第1のアレルよりも、ベイト分子に対して低い相対的な結合傾向を有する、取得することと、第2のベイト分子を特定することであって、2つ以上のアレルの第2のアレルが、第1のベイト分子よりも第2のベイト分子に対して高い相対的な結合傾向を有する、特定することと、を更に含む。一部の実施形態では、第2のベイト分子は、2つ以上のアレルの第2のアレルの少なくとも一部に相補的な配列を含む。
【0026】
更に一部の他の態様では、ベイト分子を選択する方法が本明細書に提供され、遺伝子の2つ以上のアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたそれぞれのアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、第1のベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、取得することと、遺伝子の2つ以上のアレルについて、第1のベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、2つ以上のアレルの第2のアレルが、2つ以上のアレルの第1のアレルよりも、第1のベイト分子に対して低い相対的な結合傾向を有する、取得することと、第2のベイト分子の配列を特定又は選択することであって、2つ以上のアレルの第2のアレルが、第1のベイト分子よりも第2のベイト分子に対して高い相対的な結合傾向を有する、配列を特定又は選択することと、を含む。一部の実施形態では、第2のベイト分子は、遺伝子の2つ以上のアレルの第2のアレルの少なくとも一部に相補的な配列を含む。一部の実施形態では、第2のベイト分子は、遺伝子の2つ以上のアレルの第2及び第3のアレルの配列に少なくとも部分的に基づく配列を含み、第2及び第3のアレルが、第1のアレルよりも低い第1のベイト分子に対する相対的な結合傾向を有する。
【0027】
更に一部の他の態様では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が本明細書に提供される。一部の実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行される1つ以上のプログラムを含み、1つ以上のプログラムが、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法をデバイスに実行させる命令を含む。
【0028】
更に一部の他の態様では、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出するための方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、を含む。一部の実施形態では、HLA遺伝子は、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である。一部の実施形態では、複数の配列リードは、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む試料から得られた核酸を配列決定することによって得られた。一部の実施形態では、試料は、非腫瘍細胞を更に含む。
【0029】
更に一部の他の態様では、がんを有する個体を同定する方法が本明細書に提供され、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)は、特定の種類の疾患を有する個体が特定の治療に応答する傾向を示す。一部の実施形態では、方法は、個体からの試料におけるHLA遺伝子のLOHを検出することを含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、試料におけるHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す。一部の実施形態では、試料におけるHLA遺伝子のLOHの欠如を検出することは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料における腫瘍変異負荷(TMB)を検出することを更に含む。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することを更に含む。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及び高TMBは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及び低TMB、又は高TMBを伴わないHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す。
【0030】
更に一部の他の態様では、がんを有する個体のための療法を選択する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することを含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、試料におけるHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す。一部の実施形態では、試料におけるHLA遺伝子のLOHの欠如を検出することは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料における腫瘍変異負荷(TMB)を検出することを更に含む。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することを更に含む。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及び高TMBは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及び低TMB、又は高TMBを伴わないHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す。
【0031】
更に一部の他の態様では、がんを有する個体のための1つ以上の治療選択肢を特定する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、(a)個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することであって、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される、獲得することと、(b)当該知識に少なくとも部分的に基づいて、個体に対して特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することと、を含む。一部の実施形態では、試料におけるHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す。一部の実施形態では、1つ以上の治療選択肢は、ICIを含む治療を含まない。一部の実施形態では、方法は、(a)個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如の知識を獲得することであって、HLA遺伝子のLOHの欠如が、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される、獲得することと、(b)当該知識に少なくとも部分的に基づいて、個体に対して特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することと、を含む。一部の実施形態では、試料中のHLA遺伝子のLOHの欠如は、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料における腫瘍変異負荷(TMB)を検出することを更に含む。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及び高TMBは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及び低TMB、又は高TMBを伴わないHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す。一部の実施形態では、方法は、個体からの試料における高TMBの知識を獲得することを更に含み、1つ以上の治療選択肢が、ICIを含む治療を含む。
【0032】
更に一部の他の態様では、がんを有する個体のための治療を選択する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、がんを有する個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、当該知識の獲得に応答して、(i)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療を受けない候補として分類され、(ii)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療に応答する可能性が高くないと特定され、かつ/又は(iii)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を受ける候補として分類される。一部の実施形態では、方法は、がんを有する個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHの欠如が、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、当該知識の獲得に応答して、(i)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療を受ける候補として分類され、かつ/又は(ii)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療に応答する可能性が高いと特定される。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のLOHの知識を獲得することと、個体から得られた試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することと、を含む。一部の実施形態では、当該知識の獲得に応答して、(i)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療を受ける候補として分類され、かつ/又は(ii)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療に応答する可能性が高いと特定される。
【0033】
更に一部の他の態様では、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)で治療されたがんを有する個体の生存期間を予測する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、当該知識の獲得に応答して、がんがHLA遺伝子のLOHを示さないICIで治療された個体の生存期間と比較して、ICIによる治療後、個体がより短い生存期間を有すると予測される。一部の実施形態では、方法は、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHの欠如が、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、当該知識の獲得に応答して、がんがHLA遺伝子のLOHを示さないICIで治療された個体の生存期間と比較して、ICIによる治療後、個体がより長い生存期間を有すると予測される。一部の実施形態では、方法は、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することと、個体から得られた試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することと、を含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、当該知識の獲得に応答して、がんが高TMBを伴わずにHLA遺伝子のLOHを有する、ICIで治療された個体の生存期間と比較して、ICIによる治療後、個体がより長い生存期間を有すると予測される。
【0034】
更に一部の他の態様では、がんを有する個体を監視する方法が本明細書に提供され、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出され、当該知識の獲得に応答して、がんがHLA遺伝子のLOHを示さない個体と比較して、個体が増加した再発のリスクを有すると予測される。
【0035】
更に一部の他の態様では、がんを有する個体をスクリーニングする方法が本明細書に提供され、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出され、当該知識の獲得に応答して、がんがHLA遺伝子のLOHを示さない個体と比較して、個体が増加した再発のリスクを有すると予測される。
【0036】
更に一部の他の態様では、がんを有する個体を評価する方法が本明細書に提供され、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出され、HLA遺伝子のLOHにより、がんがHLA遺伝子のLOHを示さない個体と比較して、個体が増加した再発のリスクを有すると特定される。
【0037】
本明細書に記載の実施形態のいずれかによる一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOHは、a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、c)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定する目的関数を実行することと、d)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を最小化するように構成された最適化モデルを実行することと、e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、f)HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、によって判断される。
【0038】
更に一部の他の態様では、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、(1)個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することであって、HLA遺伝子のLOHは、a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信すること、b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信すること、c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定すること、d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化すること、e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定すること、並びにf)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断すること、によって検出される、HLA遺伝子のLOHを検出することと、(2)HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を投与することと、を含む。一部の実施形態では、方法は、(1)個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如を検出することであって、HLA遺伝子のLOHの欠如は、a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信すること、b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信すること、c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定すること、d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化すること、e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定すること、並びに(f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも大きい場合、LOHが発生しなかったと判断すること、によって検出される、HLA遺伝子のLOHを検出することと、(2)HLA遺伝子のLOHの欠如の検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を投与することと、を含む。一部の実施形態では、方法は、(1)個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することであって、HLA遺伝子のLOHは、a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉されたHLA遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信すること、b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信すること、c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定すること、d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化すること、e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定すること、f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断すること、g)個体から得られた試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得又は検出すること、によって検出される、HLA遺伝子のLOHを検出することと、(3)HLA遺伝子のLOH及び高TMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療を投与することと、を含む。
【0039】
更に一部の他の態様では、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅らせる方法で使用するための免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が本明細書に提供され、個体から得られた試料において、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)が、a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、(f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも大きい場合、LOHが発生しなかったと判断することと、によって検出されている。
【0040】
更に一部の他の態様では、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅らせるための薬剤の製造で使用するための免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が本明細書に提供され、個体から得られた試料において、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)が、a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、(f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも大きい場合、LOHが発生しなかったと判断することと、によって検出されている。
【0041】
更に一部の他の態様では、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅らせるための薬剤の製造で使用するための免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が本明細書に提供され、個体から得られた試料において、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)及び高い腫瘍変異負荷(TMB)が、a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、(f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも大きい場合、LOHが発生したと判断することと、(g)個体から得られた試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)を検出することと、によって検出されている。
【0042】
更に一部の他の態様では、1つ以上のプロセッサを使用して、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、1つ以上のプロセッサを使用して、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、1つ以上のプロセッサを使用して、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、1つ以上のプロセッサを使用して、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、1つ以上のプロセッサを使用して、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、1つ以上のプロセッサを使用して、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、を含む方法を実行するための1つ以上のコンピュータプロセッサによって実行可能な1つ以上のプログラムを含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が、本明細書に提供される。更に一部の他の態様では、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のコンピュータプログラム命令を記憶するように構成されたメモリと、を備えるシステムが本明細書に提供され、1つ以上のコンピュータプログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を決定することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、決定することと、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を決定することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、決定することと、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、を行うように構成される。一部の実施形態では、HLA遺伝子は、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である。一部の実施形態では、複数の配列リードは、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む試料から得られた核酸を配列決定することによって得られた。一部の実施形態では、試料は、非腫瘍細胞を更に含む。一部の実施形態では、試料は、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである。一部の実施形態では、試料は、腫瘍のセルフリーDNA(cfDNA)を含む。一部の実施形態では、試料は、流体、細胞、又は組織を含む。一部の実施形態では、試料は、血液又は血漿を含む。一部の実施形態では、試料は、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む。一部の実施形態では、試料は、核酸試料である。一部の実施形態では、核酸試料は、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む。一部の実施形態では、方法は、1つ以上のプロセッサを使用して、複数の配列リードから腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得するか、又はそれを検出することを更に含み、複数の配列リードは、ゲノムの少なくとも一部の核酸を配列決定することによって得られた。一部の実施形態では、TMBは、配列決定されたゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される。
【0043】
更に一部の他の態様では、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出するための方法が本明細書に提供され、(1)個体由来の試料から得られた複数の核酸を提供することであって、複数の核酸が、HLA遺伝子をコードする核酸を含む、提供することと、(2)任意選択的に、複数の核酸からの1つ以上の核酸に1つ以上のアダプターをライゲーションすることと、(3)複数の核酸から核酸を増幅することと、(4)HLA遺伝子に対応する複数の核酸を捕捉することであって、HLA遺伝子に対応する複数の核酸が、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって増幅された核酸から捕捉される、捕捉することと、(5)シーケンサーによって、捕捉された核酸を配列決定して、HLA遺伝子に対応する複数の配列リードを取得することと、1つ以上のプロセッサによって、複数の配列リードのうちの1つ以上に関連する1つ以上の値をモデルに適合させることと、(6)モデルに基づいて、HLA遺伝子のLOH及びHLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向を検出することと、を含む。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及びHLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向は、a)HLAアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応する、取得することと、b)HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、取得することと、c)目的関数を適用して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)最適化モデルを適用して、目的関数を最小化することと、e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、f)HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、によって検出される。一部の実施形態では、方法は、HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を投与することを更に含む。一部の実施形態では、方法は、HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を推奨することを更に含む。一部の実施形態では、方法は、試料(又は個体から得られた第2の試料)における高い腫瘍変異負荷(TMB)を検出すること、又はその知識を獲得することを更に含む。一部の実施形態では、方法は、HLA遺伝子のLOH及び高TMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を投与することを更に含む。一部の実施形態では、方法は、HLA遺伝子のLOH及び高TMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療を推奨することを更に含む。一部の実施形態では、HLA遺伝子は、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である。一部の実施形態では、方法は、(1)の前に、試料から複数の核酸を抽出することを更に含む。一部の実施形態では、試料は、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む。一部の実施形態では、試料は、非腫瘍細胞を更に含む。一部の実施形態では、試料は、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである。一部の実施形態では、試料は、腫瘍のセルフリーDNA(cfDNA)を含む。一部の実施形態では、試料は、流体、細胞、又は組織を含む。一部の実施形態では、試料は、血液又は血漿を含む。一部の実施形態では、試料は、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む。一部の実施形態では、試料は、核酸試料である。一部の実施形態では、核酸試料は、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む。一部の実施形態では、TMBは、配列決定されたゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される。
【0044】
本明細書に記載の実施形態のいずれかによる一部の実施形態では、ICIは、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、又はCTLA-4阻害剤を含む。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料における腫瘍変異負荷(TMB)を検出することを更に含む。一部の実施形態では、試料におけるHLA遺伝子のLOH及び高TMBにより、個体が、ICIを含む治療から恩恵を受ける可能性がある個体として特定される。一部の実施形態では、試料におけるHLA遺伝子のLOH及び高TMBに少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が投与される。一部の実施形態では、高TMBは、10変異/Mb以上又は13変異/Mb以上のTMBを指す。一部の実施形態では、HLA遺伝子は、HLA-I遺伝子である。
【0045】
本明細書に記載の様々な実施形態の特性の1つ、いくつか、又は全てを組み合わせて、本発明の他の実施形態を形成することができることを理解されたい。本発明のこれら及び他の態様は、当業者に明らかになるであろう。本発明のこれら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明によって更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】ハイブリッド捕捉プロセスの模式図である。
図2】バイアス除去プロセスの結果を示す。
図3A】一部の実施形態による例示的なデバイスを示す。
図3B】一部の実施形態による例示的なシステムを示す。
図4A】HLA-I検出の特性及び方法を示す。図4Aは、体細胞性HLA-I LOH、PD-L1発現、及び他の発がんプロセスとの関連における腫瘍変異負荷(TMB)の模式図である(Hegde,P.S.and Chen,D.S.(2020)Immunity 52:17-35から引用)。図4Bは、免疫応答に対するHLA-I LOHの関係を示す。HLA-I LOHは、ネオ抗原を介してTMBに関連し、回避メカニズムとしてPD-L1に関連している(McGranahan,N.et al.(2017)Cell 171:1259-1271を参照)。図4Cは、混合腫瘍-正常次世代配列決定の結果からのHLA-I遺伝子座のヘテロ接合性の体細胞性喪失並びに生殖細胞性ホモ接合性の検出に使用される計算パイプラインの概略図である。図4Dは、ベイト効果によるHLA-I LOHの検出についての方法論的考察を示し、BAFにおけるベイト/標的配列分散効果(上)及び配列決定を説明するモデル化されたBAF(下)を含む。
図4B】同上。
図4C】同上。
図4D】同上。
図4E】HLAベイト効率に対するハイブリダイゼーションの効果を示す。図4Eは、ハイブリッド捕捉がどのように異なる効率でHLA標的配列をプルダウンすることができるかの例を提供する。示されているのは、HLA-A*31:01及びHLA-A*11:01アレルを含む試料のハイブリッド捕捉結合親和性バイアスを調整する前(上;中央値AF=0.3)及び後(下;中央値AF=0.5)のHLA-A*31:01アレルのアレル頻度(AF)である。図4Fは、HLA-Aの各既知の2桁表示ハプロタイプの代表的な配列のデンドログラムを示す。ハプロタイプをクラスター化するために、全てのペアワイズ配列距離のマトリックスを使用した。左側のハプロタイプのk親和性定数は全て1以上であったが、右側の配列のk定数は全て1未満であった。図4Gは、HLA-Aの各既知の2桁表示ハプロタイプの代表的な配列のデンドログラムを示す。ハプロタイプをクラスター化するために、全てのペアワイズ配列距離のマトリックスを使用した。左側のハプロタイプのk親和性定数は全て1以上であったが、右側の配列のk定数は0.7より大きいか、0.7~0.9であった。左軸のドットは、様々なHLAアレルの捕捉に使用された特定のベイト分子の配列を表す。
図4F】同上。
図4G】同上。
図5A】臨床ゲノムデータベース(CGDB)における既知のゲノム関連の生存確率を示す。図5Aは、高い(≧10変異/Mb)及び低い(<10変異/Mb)腫瘍変異負荷(TMB)についての生存曲線を示す。高TMBは、生存期間と正の関連があった(HR=0.76、P=0.007)。図5Bは、STK11又はKEAP1の喪失についての生存曲線を示す。STK11又はKEAP1の喪失は、第二選択チェックポイント阻害剤単独療法で治療された非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)コホート(N=652)の以前の分析で、生存と負の関連があった(HR=1.3、P=0.009)。
図5B】同上。
図6A】体細胞性HLA-I LOH及びTMBが独立しており、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)で治療されたNSCLCにおける患者の生存を有意に予測することを示す。図6Aは、HLA-I LOHの証拠を有する(右、n=2,769)及びHLA-I LOHの証拠を有しない(左、n=10,471)非扁平上皮NSCLC試料における試料属性(ゲノムドライバー変化を含む)の濃縮を示す。高TMB:≧10変異/Mb;PD-L1陽性:≧1%腫瘍割合スコア。Fisherの正確検定によって実施された統計及び非常に有意な(P<0.01)関連のみがラベルされている。図6Bは、HLA-I LOH状態によって層別化された、第二選択ICI単独療法の開始からの非扁平上皮NSCLC患者の全生存期間を示す。HLA-Iインタクト(n=180)の全生存期間の中央値(mOS)は11.3か月[8.2~15.3]で、HLA-I LOH(n=60)は8.0か月[5.2~13.1]であった。HLA-IインタクトのHR=0.68[0.49~0.95]、P=0.02。図6Cは、CGDBにおける生検タイミングの効果の欠如を示す。図6Dは、HLA-I LOH及びTMB状態によって階層化された、第二選択ICI単剤療法の開始からの非扁平上皮NSCLC患者の全生存期間を示す(高TMB:≧10変異/Mb、低TMB:<10変異/Mb)。高TMB、HLA-Iインタクト(n=82)mOS 14.09ヶ月[9.0~21.1]。高TMB、HLA-I LOH(n=31)mOS 10.87ヶ月[6.60~20.0]。低TMB、HLA-Iインタクト(n=98)mOS 9.59ヶ月[6.18~14.8]。低TMB、HLA-I LOH(n=29)mOS 4.83ヶ月[2.86~12.6]。高TMBのHR=0.74[0.54~0.99]、P=0.046。HLA-IインタクトのHR=0.65[0.47~0.91]、P=0.013。ICIで治療されたNSCLCにおける患者生存の独立した有意な予測因子としての体細胞性HLA-I LOH及びTMB。
図6B】同上。
図6C】同上。
図6D】同上。
図7A】ICIで治療されたNSCLC患者の生存期間に対するHLA-I生殖細胞接合性の影響を示す。図7Aは、生殖細胞固有のHLA-Iアレルの数によって層別化された、第二選択ICI単剤療法の開始からの全ての非扁平上皮NSCLC患者の全生存期間を示す。mOSは、生殖細胞性HLA-Iアレル数に関係なく、両方のコホートで同じであった(生殖細胞性HLA-Iアレル数=6(n=182):mOS 10.8[7.49~14.0];生殖細胞性HLA-Iアレル数<6:mOS 10.8[4.80~18.3];P=0.6)。図7Bは、生殖細胞固有のHLA-Iアレルの数によって層別化された、第二選択ICI単剤療法の開始からの体細胞性HLA-I LOHの証拠のない非扁平上皮NSCLC患者の全生存期間を示す。生殖細胞性HLA-Iアレル数が6(n=141)の患者のmOSは11.9か月[8.84~15.90]で、生殖細胞性アレル数が6未満(n=39)の患者のmOSは7.1か月[3.68~19.20]、P=0.9]であった。ICIで治療されたNSCLCにおける患者の生存期間に対するHLA-I生殖細胞接合性。
図7B】同上。
図7C】第二選択ICI単剤療法の開始からの実際の臨床ゲノムコホートにおける非扁平上皮NSCLC患者の全生存期間を示す。図7Cは、最も統計的に有意なTMB(変異/Mb)及びHLA-I状態の組み合わせによって層別化された全生存期間を示す。いずれかのTMB、HLA-Iインタクト、又はTMB≧13、HLA-I LOH(n=203)であった患者のmOSは12.2か月であった[9.1~15.3]。TMB<13、HLA-I LOH(n=37)の患者のmOSは6.0か月であった[2.9~8.9]。いずれかのTMB、HLA-IインタクトのHR。TMB≧13、HLA-I LOH=0.45[0.31~0.66]、P=0.00004。図7Dは、複数のTMB閾値(1~20変異/Mb)にわたるHLA-I LOH及びTMB状態によって層別化された全生存期間を示す。各閾値について、高TMB≧TMB閾値及び低TMB<TMB閾値。ハザード比は、各TMB閾値でTMBに対して制御された多変量Cox比例ハザードモデルから導出される。
図7D】同上。
図8A】体細胞性HLA-I LOHの汎がんランドスケープを示す。図8Aは、83,664の固有の患者試料における59の異なる固形腫瘍タイプにわたるHLA-I LOHの有病率を示す。表2に、各腫瘍タイプ内の患者数がまとめられている。図8Bは、高頻度(≧3%)のマイクロサテライト不安定性を有する腫瘍タイプにおけるマイクロサテライト不安定(MSI-H)試料と比較した、マイクロサテライト安定(MSS)試料におけるHLA-I LOHの有病率を示す。試料数(MSS、MSI):小腸(n=420、n=21)、胃(n=1100、n=49)、大腸(n=9787、n=332)、子宮内膜(n=1883、n=330)、子宮(n=385、n=20)。Fisherの正確検定によって実施された統計。図8Cは、乳がん分子サブタイプ内のHLA-I LOHの有病率を示す。全乳房(n=9686)、HER+(n=281)、ER+/HER2-(n=731)、トリプルネガティブ(n=631)。カイ二乗検定によって実施された統計。図8Dは、PD-L1陰性(<1%腫瘍割合スコア、n=9920)試料(上)と比較した、PD-L1陽性(≧1%の腫瘍割合スコア、n=3271)試料におけるHLA-I LOHの有病率を示す。Fisherの正確検定によって実施された統計。図8Dはまた、各腫瘍タイプ内のHLA-I LOHの有病率とPD-L1陽性の有病率との間の関連を示す(下)。関連付けは、線形回帰で適合した。図8Eは、低TMB(<10変異/Mb、n=70263)試料と比較した、高TMB(≧10変異/Mb、n=13393)試料におけるHLA-I LOHの有病率を示す(上)。Fisherの正確検定によって実施された統計。図8Eはまた、各腫瘍タイプ内のHLA-I LOHの有病率と高TMB試料の有病率との間の関連を示す(下)。関連付けは、回帰モデル(LOESS回帰、二次回帰など)で適合した。高頻度マイクロサテライト不安定性を有する腫瘍タイプ(小腸、胃、大腸、子宮内膜、及び子宮)について、MSS試料及びMSI-H試料は、図8D及び8Eの下のグラフに別々に表されている。有意な(P<0.05)関連は、アスタリスクでラベルされている。図8Fは、HLA-I LOHとTMB及びPD-L1との関連を示す。
図8B】同上。
図8C】同上。
図8D】同上。
図8E】同上。
図8F】同上。
図9A】PD-L1陽性率が低く、低TMBを有する腫瘍タイプにおけるDAXX機能喪失変異とHLA-I LOHとの関連を示す。図9Aは、HLA-I LOHを有する(右、n=97)及びHLA-I LOHの証拠を有しない(左、n=157)膵島細胞試料における試料属性(ゲノムドライバー変化を含む)の濃縮を示す。図9Bは、HLA-I LOHの証拠を有する(右、n=62)及びHLA-I LOHの証拠を有しない(左、n=110)非副腎皮質がん試料における試料属性(ゲノムドライバー変化を含む)の濃縮を示す。Fisherの正確検定によって実施された統計及び有意な(P<0.05)関連のみがラベルされている。
図9B】同上。
図10A】腫瘍抗原提示を伴う試料における体細胞性HLA-I LOHと免疫回避を関連付ける結果を示す。図10Aは、NetMHC panによって実施された再発性ドライバー変異のネオ抗原予測を示す。予測されたネオ抗原は、遺伝子:タンパク質効果として列挙され、ヘテロ接合性の喪失事象中に予測された提示アレルが失われた回数又は保持された回数の割合が示されている。>5事象に関与するネオ抗原のみが含まれている。統計は二項検定によって実施され、有意性はP<0.05として決定される。図10Bは、既知のオンコウイルス関連を有する腫瘍タイプにおけるHLA-I LOHの有病率を示す。HPV:ヒトパピローマウイルス、EBV:エプスタイン・バーウイルス、HBV:B型肝炎ウイルス。試料数(ウイルス陽性、ウイルス陰性):頭頸部扁平上皮がん(SqCC)(n=363、n=771)、子宮頸部(n=141、n=121)、胃(n=189、n=1018)、鼻咽頭(n=50、n=38)、肝細胞(n=64、n=506)。Fisherの正確検定によって実施された統計及び有意な(P<0.05)関連は、アスタリスクでラベルされている。体細胞性HLA-I LOHは、腫瘍抗原提示を伴う試料における免疫回避の潜在的なメカニズムである
図10B】同上。
図11A】体細胞性HLA-I LOHを伴う試料におけるゲノム変化の濃縮を示す。図11Aは、HLA-I LOHの証拠を有する(「HLA-I LOHが濃縮された試料」)及びHLA-I LOHの証拠を有しない(「HLA-Iインタクトが濃縮された試料」)腫瘍型におけるゲノム変化の濃縮を示す。高TMB試料(≧10変異/Mb)、PD-L1陽性(≧1%腫瘍比率スコア)、APOBEC変異シグネチャ、タバコ変異シグネチャ、及びUV変異シグネチャの有病率における全体的な上位四分位の腫瘍タイプが示されている。少なくとも6つの異なる腫瘍タイプにおける濃縮された遺伝子のみが含まれている。図11Bは、HLA-I LOH状態によって層別化された、選択されたゲノム変異を有する試料における腫瘍タイプの濃縮を示す。図11A及び11Bに示されている統計は、Fisherの正確検定によって実施され、有意な(P<0.05)関連のみが示されている。
図11B】同上。
図12】一部の実施形態による、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の消失(LOH)を検出するための例示的なプロセスのブロック図を示す。
図13】一部の実施形態による、ベイト分子に対する多型遺伝子の異なるアレルの相対的な結合傾向を特定するための例示的なプロセスのブロック図を示す。
図14】一部の実施形態による、アレル頻度を決定するための例示的なプロセスのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
対象(例えば、ヒト又は他の動物)が1つ以上の遺伝子においてヘテロ接合性の喪失(「LOH」)を経験したかどうかを評価することは、多くの場合、重要な臨床目標である。対象の特定の遺伝子のLOHを決定する1つの方法は、ハイブリッド捕捉プロセスを使用することである。本明細書で使用される場合、LOHは、コピー喪失LOH及び/又はコピー中立LOHを指すことができる。
【0048】
図1は、従来技術のハイブリッド捕捉プロセスを示す。この及び他のハイブリッド捕捉プロセスについての更なる詳細は、米国特許第9,340,830号に見出すことができる(その全体が、参照により本明細書に援用される)。
【0049】
対象からのDNA断片104の集団が調製され、そのいくつかは、対象のゲノム102内の目的の遺伝子100に対応する。対象が目的の遺伝子100でヘテロ接合性である場合、DNA断片104の集団は、異なるアレル(各親から1つ)をほぼ等量で含む。一方、対象がLOHを受けた場合、親のアレルの1つは、オンターゲット断片104aの集団が存在しないか、又はそれが著しく減少する。
【0050】
したがって、ハイブリッド捕捉アプローチと一致して、目的の遺伝子100に対応するベイト分子106の集団が、対象のDNA断片104の集団に導入される。ベイト分子106は、「オンターゲット」断片104a(すなわち、目的の遺伝子100に由来するDNA断片104)と結合する。逆に、ベイト分子106は、「オフターゲット」断片104bと結合しない。
【0051】
このような結合が発生するように十分な時間を与えた後、断片/ベイトハイブリッドが捕捉され、残りの断片は破棄される。次いで、捕捉されたハイブリッドを配列決定して、どのアレルが存在するか、及びそれらの相対頻度を決定する。アレル頻度が十分に等しい場合、患者はヘテロ接合性であると判断することができる。1つのアレル頻度が十分に低い場合、患者は目的の遺伝子100においてLOHを受けたと判断することができる。
【0052】
この比較的簡単なプロセスは、いくつかの要因によって複雑になる可能性がある。第一に、患者試料は、混合された性質のものであり得る。例えば、試料が腫瘍生検から得られたものである場合、試料には、患者からの正常で健常な細胞と、腫瘍由来のがん細胞の両方が含まれている可能性がある。第二に、一部のがん細胞は、異数性を示す場合があり、がん細胞が、典型的な重複染色体数よりも多い又は少ない数を有している。これらの要因の一方又は両方が存在する場合、ヘテロ接合性の対象又はLOHを経験した対象のいずれかの予想アレル頻度が変化する可能性がある。
【0053】
これらの要因が存在しても、LOHを評価する技術が開発されてきた。1つのアプローチは、腫瘍の純度(すなわち、試料に含まれる腫瘍細胞と健常細胞の割合)及び腫瘍の倍数性(すなわち、腫瘍細胞が有する重複染色体の数)を含む追加のパラメーターを、上記のものと同様の数学的計算に導入することである。このアプローチの例は、例えば、McGranahan et al.,Allele-Specific HLA Loss and Immune Escape in Lung Cancer Evolution(Cell,2017 Nov 30;171(6):1259-1271.e11)に記載されている(その全体が、参照により本明細書に援用される)。
【0054】
しかしながら、そこに開示された技術は、特に多型性の程度が大きい対象遺伝子100について、測定されたアレル頻度の評価をゆがめる可能性のある統計的バイアスを依然として生じやすい。
【0055】
そのような遺伝子ファミリーの1つは、ヒト白血球抗原(「HLA」)遺伝子である。これらの遺伝子は、ヒトの免疫系の調節に部分的に関与している。これらの機能は、ヒトゲノム102内のいくつかの部位にわたって広がっているが、ある特定の部位でさえ、最大数千の可能なアレルが存在する可能性がある。
【0056】
したがって、上記のハイブリッド捕捉プロセスでは、特定のベイト分子106は、最も可能性の高いアレルとの完全な相補性を享受することはない。更に、異なるアレルは、互いに競合して、同じベイト分子と結合する可能性がある。次に、これらの現象は、オンターゲット断片104aがベイト分子106に首尾よく結合する傾向に(時には深刻に)影響を及ぼし得る。これにより、その特定のアレルが捕捉プロセスによってアンダーサンプリング又はオーバーサンプリングされるため、測定されたアレル頻度が人為的に高くなるか又は低くなり、場合によっては、対象がLOHを経験したかどうかを誤って判断することになる。
【0057】
このサンプリングエラーを軽減する1つのアプローチは、特定のベイト分子に対する様々なアレルの相対的な結合傾向を経験的に決定することである。例えば、対象のDNA断片104の試料が、2つの異なるアレルからのオンターゲット断片104aを等しい割合で真に含んでいた場合、特定のベイト分子106を使用するハイブリッド捕捉プロセスからどのような実際のアレル頻度が生じるかを経験的に決定することができる。結合傾向は、少なくとも部分的にアレル間の競合によるものであるため、この決定は、アレルごとにではなく、アレルペアごとに行うことができる。それらの相対的な結合傾向が既知である場合、それらのアレルとベイト分子との後続のハイブリッド捕捉プロセスのサンプリングバイアスは、観察されたアレル頻度をスケーリングすることによって修正することができる。例えば、目的関数を適用して、所与のアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することができる。
【0058】
しかし、HLAのような多型性の高い遺伝子の場合、全ての相対的な結合傾向を決定するにはアレルペアが多すぎるため、このアプローチは実用的ではない可能性がある。ただし、相対的な結合傾向のサブセットのみが既知である場合、以下の技術が役立つ可能性がある。
【0059】
以下では、目的の遺伝子100が、n個の可能なアレルを有する多型遺伝子であると仮定する。ベイト分子に対するアレルi及びjの相対的な結合傾向は、次の式によって与えられる。
【数1】
式中、k及びkは、それぞれアレルi及びjの相対的な結合傾向であり、AF及びAFは、それぞれアレルi及びjの対応するアレル頻度を表す。
【0060】
AF及びAFは、それらの対応するアレルの相互作用によって部分的に決定されるため、これらの数値は、他のアレルが存在する場合にのみ、アレルi及びjのアレル頻度を表すと理解されるべきであることに注意されたい。言い換えれば、i、j、及びkが異なる場合、アレルj及びkの存在下でAFが異なる可能性がある。一部の実装形態では、上記の式の対数をとってこれらの方程式を線形化すると便利であり、次の式が得られる。
log(k)-log(k)=log(AF)-log(AF
【0061】
nアレルの場合、合計n(n-1)ペアのアレルが存在する。したがって、観察されたアレル頻度に関してアレルの相対的な結合傾向を表す、上記の形式のn(n-1)線形方程式の系を得ることができる。アレルの全ての可能なペアについて経験的なアレル頻度のデータが利用可能である場合、この系は簡単な方法で解決することができる。
【0062】
ただし、可能なペアのサブセットのみで経験的なアレル頻度のデータが利用可能である場合でも、誤差最小化アプローチによって有用な推定を行うことができる。上記の連立方程式は、Ax=bの形式で表すことができる。式中、Aは、n(n-1)行n列のマトリックスで、2つの行が等しくないように、1列の1項及び別の列の-1項を除いて、各行の全てのエントリは0である。ベクトルxは、成分logkをi番目の位置に有する列ベクトルであり、bは、log(AF)-log(AF)の形式の各成分を有する列ベクトルであり、n及びmの値は、対応する行のAの非ゼロ項の位置に対応する。一部の実装形態では、マトリックスの行を、ある位置(例えば、列m)で、非ゼロ項のみが1に等しいように変更することができる。これは、任意にベイト分子のアレルmに対する相対的な結合傾向を1に等しく設定し、それによって、他の相対的な結合傾向が測定されるスケールを設定することに等しい。
【0063】
全てのk項及び/又はAF項が既知というわけではない場合、次の式
【数2】
で誤差項Ei,jを定義し、未知のk項及び/又はAF項を選択して総誤差(又はその数学関数;例えば、絶対値、2乗値など)を最小化することによって、実際の推定値を得ることができる。一部の実装形態では、この最小化は、他の制約(例えば、全てのk項の中央値が1に等しいという要件)に従って実行される場合がある。一部の実装形態では、誤差は、最小二乗最適化を実行することで最小化されるが、他の最適化の方法も好適である。
【0064】
前段落に従って経験的に決定又は計算されたk項により、それらを使用して、ハイブリッド捕捉プロセスから生の測定されたアレル頻度を再スケーリングし、それによって、上記の要因の結果として存在したサンプリングバイアスを軽減することができる。
【0065】
本開示の特定の態様は、アレル頻度を決定するための方法に関する。一部の実施形態では、方法は、a)遺伝子のアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、取得することと、b)アレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、アレルの相対的な結合傾向が、遺伝子の1つ以上の他のアレルの一部をコードする核酸の存在下、アレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、取得することと、c)目的関数を適用して、アレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)最適化モデルを適用して、目的関数を最小化することと、e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、アレルの調整されたアレル頻度を決定することと、を含む。
【0066】
最適化モデリング
最適化とは、解(これは取得可能な最良の解、好ましい解、又は制約の範囲内で特定の利点を提供する解であり得る)に向けて取り組む、又は継続的に改善する、又は精密化する、又は目的の最高点若しくは最大値(又は最低点若しくは最小値)を探索する、又はペナルティ関数若しくはコスト関数を減少させるように処理するなどの方法及びプロセスを指す。最適化モデリングでは、その目的は、多くの場合、モデル誤差(モデルの残差としても知られている;残差とは、観察値とモデルによって提供される適合値との間の差である)を最小化することである。
【0067】
一般に、最適化モデルは、3つの主な成分を有する:a)最適化する必要がある関数である目的関数(例えば、モデルのパラメーター推定の誤差を最小化する)、b)変数の集合(最適化問題の解は、目的関数がその最適値に到達する変数の値のセットである)、及びc)変数の値を制限する制約の集合。様々な最適化モデルが当該技術分野で既知であり、本開示の方法で使用することができる。当業者は、特定の必要性及び基準に従って使用するために好適な最適化モデルを確認することができるであろう。当該技術分野における最適化モデルの例としては、最小二乗回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、二次回帰モデル、LOESS回帰モデル、ベイズリッジ回帰モデル、LASSO回帰モデル、エラスティックネット回帰モデル、決定木モデル、勾配ブースティング木モデル、ニューラルネットワークモデル、及びサポートベクターマシンモデルが挙げられる。最適化モデリングに関する詳細な説明は、Yang,X.(2008).Introduction to mathematical optimization.From Linear Programming to Metaheuristics、Allaire,G.,& Allaire,G.(2007).Numerical analysis and optimization: an introduction to mathematical modelling and numerical simulation.Oxford university press、Pedregal,P.(2006).Introduction to optimization(Vol.46).Springer Science & Business Media、Chong,E.K.,& Zak,S.H.(2004).An introduction to optimization.John Wiley & Sonsなどに見出すことができる。
【0068】
アレル頻度
一部の実施形態では、最適化モデルは、アレル頻度をモデル変数として含む。アレル頻度は、アレルの集団におけるゲノム遺伝子座でのアレル(すなわち、ヌクレオチド配列のバリアント)の頻度であり、分数又はパーセンテージとして表現される。アレルの集団が1人の個々の対象のアレルの集団を指す場合、アレルの頻度は、個々の対象の所与のゲノム遺伝子座における全てのアレルの総配列数に対するアレルの配列数の比率として計算できる。この意味で、アレル頻度は、ゲノム遺伝子座での個体のアレル組成を表し、そこから接合性(例えば、ホモ接合性又はヘテロ接合性)を推測することができる。例えば、ヒトなどの二倍体の個々の対象の場合:
1)アレルのアレル頻度の値が0であるか、0に合理的に近い(例えば、統計的信頼区間内)場合、個々の対象は、このアレルについてホモ接合性ヌル(null)(ヌル接合性としても知られている)であるとみなされる。
2)アレルのアレル頻度の値が0.5であるか、又は0.5に合理的に近い(例えば、統計的信頼区間内)場合、個々の対象は、このアレルについてヘテロ接合性であるとみなされる。並びに、
3)アレルのアレル頻度の値が1であるか、又は1に合理的に近い(例えば、統計的信頼区間内)場合、個々の対象は、このアレルについてホモ接合性であるとみなされる。
【0069】
一部の実施形態では、アレル頻度は、観察されたアレル頻度であり、参照値と比較して、複数の配列リード間で検出されたアレルの少なくとも一部をコードする核酸の相対的な頻度に対応する。一部の実施形態では、参照値は、配列リードの総数である。一部の実施形態では、参照値は、配列リードの数であり、参照遺伝子に対応するか、又はその関数、例えば、100万マップリード当たりのリード数(RPM)又は100万マップリード当たりのカウント数(CPM)に対応する。
【0070】
一部の実施形態では、アレル頻度は、相対的な結合傾向として表現することができる。ハイブリッド捕捉ベースの配列決定プロセスでは、相対的な結合傾向は、1つ以上の他のアレルの存在下で、1つのアレルがベイト分子に結合する可能性に対応する。したがって、一部の実施形態では、最適化モデルは、1つのアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレルのアレル頻度との間の差を測定する目的関数に適用される。
【0071】
例として、図2は、様々なHLA-Aアレルについてのそのようなスケーリングの結果を示す。左側の棒グラフは、横軸に示された他の様々なHLA-Aアレルの存在下での、HLA-A*31:01アレルのヘテロ接合対象からの生のアレル頻度を示す。アレル頻度の中央値は0.38であり、示された他のアレルの存在下で、典型的に、HLA-A*31:01がアンダーサンプリングされることを示す。バイアスを修正した後、右側のグラフは、アレル頻度の中央値が0.5であることを示し、これは、ヘテロ接合試料の集団とより一致している。
【0072】
図4Dは、個体集団におけるヒト白血球抗原クラスI(HLA-I)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を決定する際に使用するための調整されたアレル頻度の効果を示す。X軸は、集団内の各個体のBアレル頻度(BAF)を示す。ここで、Bアレルは非参照アレル又はマイナーアレルを指す。Y軸は、母集団におけるBAFの試料数を示す。図4Dは、本開示の方法を使用してアレル頻度を調整した後、アレル頻度の中央値が約0.32(上のパネル)から約0.5(下のパネル)に調整されることを示し、個体集団のほとんどが、HLA-I遺伝子についてヘテロ接合性であることを示す。
【0073】
図4Gに示されるように、特定のアレル(又はその断片)は、特定のベイト分子に対して、ある範囲の相対的な結合傾向を有し得る。遺伝子の完全な多型変異を表す配列の捕捉を改善するために、1つ以上の追加のベイト分子、特に、元のベイト分子に対する相対的な結合傾向が低く、アレルに対する結合傾向が改善された分子を選択したい場合がある。
【0074】
したがって、一部の実施形態では、本開示の方法は、遺伝子の2つ以上のアレルについて観察されたアレル頻度を取得すること、特定のベイト分子に対する遺伝子の2つ以上のアレルの相対的な結合傾向を取得すること、及び/又は第2のベイト分子の配列を同定若しくは選択すること、を含み得る。一部の実施形態では、第1のベイト分子に対する相対的な結合傾向がより低い遺伝子の1つ以上のアレルは、第1のベイト分子よりも第2のベイト分子に対してより高い結合傾向を有し得る。例えば、第2のベイト分子は、遺伝子の低結合性アレルのうちの1つの少なくとも一部に相補的な配列、又は遺伝子の1つ以上の低結合性アレルの配列との相補性若しくは結合に基づいて、配列(例えば、コンセンサス配列)に相補的な配列を含むことができる。これにより、例えば、より包括的に、又はバイアスを抑えて(例えば、ハイブリッド捕捉に基づいて)遺伝子の多様性をサンプリングするために、多型遺伝子の低結合性アレルの配列に基づくベイト選択が可能になる。
【0075】
最小二乗最適化
一部の実施形態では、最適化モデルは、最小二乗最適化モデルである。最小二乗最適化モデルは、回帰最適化モデルであり、目的関数は、最適化されるパラメーター(例えば、最小化される変数残差/誤差)の二次関数(例えば、平方和関数)である。一部の実施形態では、アレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定する目的関数を最小化するために、本開示の方法において、最小二乗最適化モデルが使用される。一部の実施形態では、最適化モデルは、二次回帰である。一部の実施形態では、最適化モデルは、LOESS回帰である。
【0076】
一部の実施形態では、最適化モデルを使用して、目的の変数(例えば、アレル頻度)を修正又は調整することができる。一部の実施形態では、最適化モデル及び観察されたアレルのアレル頻度を使用して、アレルの調整されたアレル頻度を決定する。調整されたアレル頻度は、下流の操作(例えば、アレルについて個々の対象の接合状態を推測すること)で更に使用することができる。
【0077】
最小二乗最適化の更なる詳細は、例えば、Wolberg,J.(2006).Data analysis using the method of least squares: extracting the most information from experiments.Springer Science & Business Media、Borowiak,D.(2001).Linear models,least squares and alternatives、Bjorck,Å.(1996).Numerical methods for least squares problems.Society for Industrial and Applied Mathematics、Luenberger,D.G.(1997)“Least-Squares Estimation”.Optimization by Vector Space Methods.New York:John Wiley & Sons.pp.78-102などに見出すことができる。
【0078】
モデルの制約
一部の実施形態では、最適化モデルは、1つ以上の制約を受ける。制約は、最適化モデルの変数の可能な値を制限する。一部の実施形態では、0つ以上の制約は、遺伝子の複数のアレルについての相対的な結合傾向の中央値が1に等しいことを必要とする。一部の実施形態では、0.5つ以上の制約は、遺伝子の複数のアレルについての相対的な結合傾向の中央値が1に等しいことを必要とする。一部の実施形態では、1つ以上の制約は、遺伝子の複数のアレルについての相対的な結合傾向の中央値が1に等しいことを必要とする。
【0079】
配列決定
一部の実施形態では、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された核酸に対して配列決定を行うことによって、複数の配列リードが得られた。一部の実施形態では、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された核酸に対して全エキソーム配列決定を行うことによって、複数の配列リードが得られた。一部の実施形態では、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された核酸に対して、次世代配列決定(NGS)、全エキソーム配列決定、又はメチル化配列決定を実行することによって、複数の配列リードが得られた。
【0080】
一部の実施形態では、方法は、観察されたアレル頻度を取得する前に、複数の配列リードを取得するために、複数のポリヌクレオチドを、次世代配列決定(NGS)によって配列決定することを更に含み、複数のポリヌクレオチドが、アレルの少なくとも一部をコードする核酸を含む。NGS法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Metzker,M.(2010)Nature Biotechnology Reviews 11:31-46.に記載されている。次世代配列決定のためのプラットフォームには、例えば、Roche/454のGenome Sequencer(GS)FLX System、Illumina/SolexaのGenome Analyzer(GA)、IlluminaのHiSeq 2500、HiSeq 3000、HiSeq 4000、及びNovaSeq 6000配列決定システム、Life/APGのSupport Oligonucleotide Ligation Detection(SOLiD)システム、PolonatorのG.007システム、Helicos BioSciencesのHeliScope Gene配列決定システム、並びにPacific BiosciencesのPacBio RSシステムが含まれる。NGS技術には、鋳型調製、配列決定及び撮像、データ解析などの1つ以上のステップが含まれる。鋳型の調製方法には、核酸(例えば、ゲノムDNA)をより小さなサイズにランダムに分解し、配列決定鋳型(例えば、断片鋳型又はメイトペア鋳型)を生成するなどのステップが含まれ得る。空間的に分離された鋳型は、固体表面又は支持体に付着又は固定化され得、大量の配列決定反応を同時に実行することができる。NGS反応に使用され得る鋳型の種類には、例えば、単一DNA分子に由来するクローン増幅鋳型、及び単一DNA分子鋳型が含まれる。NGSのための例示的な配列決定及び撮像ステップとしては、例えば、サイクリック可逆終結(CRT)、ライゲーションによる配列決定(SBL)、単一分子付加(パイロ配列決定)、及びリアルタイム配列決定が挙げられる。NGSリードを生成した後、それらを、既知の参照配列に整列させるか、デノボでアセンブリすることができる。例えば、試料(例:腫瘍試料)における一塩基多型及び構造バリアントなどの遺伝的バリエーションの特定は、NGSリードを参照配列(例:野生型配列)に整列させることによって達成することができる。NGSの配列整列の方法は、例えば、Trapnell C.and Salzberg S.L.Nature Biotech.,2009,27:455-457.デノボアセンブリの例は、Warren R.et al.,Bioinformatics,2007,23:500-501、Butler J.et al.,Genome Res.,2008,18:810-820、及びZerbino D.R.and Birney E.,Genome Res.,2008,18:821-829.に記載されている。配列の整列又はアセンブリは、1つ以上のNGSプラットフォームからのリードデータを使用して実行することができる(例えば、Roche/454及びIllumina/Solexaのリードデータを混合する)。
【0081】
一部の実施形態では、方法は、観察されたアレル頻度を取得する前に、複数の配列リードを取得するために、全エキソーム配列決定によって複数のポリヌクレオチドを配列決定することを更に含み、複数のポリヌクレオチドは、アレルの少なくとも一部をコードする核酸を含む。
【0082】
一部の実施形態では、方法は、複数のポリヌクレオチドを配列決定する前に、ハイブリダイゼーションに好適な条件下で、ポリヌクレオチドの混合物をベイト分子と接触させることであって、混合物が、ベイト分子とハイブリダイズすることができる複数のポリヌクレオチドを含む、接触させることと、ベイト分子とハイブリダイズした複数のポリヌクレオチドを単離することであって、ベイト分子とハイブリダイズした単離された複数のポリヌクレオチドが、NGSによって配列決定される、単離することと、を更に含む。図1は、そのようなハイブリッド捕捉プロセスを示す。この及び他のハイブリッド捕捉プロセスについての更なる詳細は、米国特許第9,340,830号に見出すことができる(その全体が、参照により本明細書に援用される)。一部の実施形態では、方法は、ポリヌクレオチドの混合物をベイト分子と接触させる前に、個体から試料を取得することであって、試料が、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む、取得することと、試料からポリヌクレオチドの混合物を抽出することであって、ポリヌクレオチドの混合物が、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸からのものである、抽出することと、を更に含む。一部の実施形態では、試料は、非腫瘍細胞を更に含む。
【0083】
一部の実施形態では、方法は、複数の配列リードを得るために、複数のポリヌクレオチドをメチル化配列決定にかけることを含む。一部の実施形態では、複数のポリヌクレオチドは、アレルの少なくとも一部をコードする核酸を含む。
【0084】
一部の実施形態では、核酸は、例えば、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む試料から得られる。例えば、試料は、腫瘍細胞、循環腫瘍細胞、腫瘍核酸(例えば、腫瘍循環腫瘍DNA、cfDNA、若しくはcfRNA)、腫瘍生検の一部若しくは全部、体液、細胞、組織、mRNA、ゲノムDNA、RNA、セルフリーDNA、及び/又はセルフリーRNAを含むことができる。一部の実施形態では、試料は、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである。一部の実施形態では、試料は、非腫瘍細胞及び/又は非腫瘍核酸を更に含む。一部の実施形態では、流体は、血液、血清、血漿、唾液、精液、脳脊髄液、羊水、腹水、間質液などを含む。
【0085】
一部の実施形態では、試料は、生体組織又は生体液であるか、又はそれを含む。試料は、保存剤、抗凝固剤、緩衝剤、固定剤、栄養素、抗生物質などの自然界で組織と天然に混合されない化合物を含むことができる。一実施形態では、試料は、凍結試料として、又はホルムアルデヒド若しくはパラホルムアルデヒド固定パラフィン包埋(FFPE)組織調製物として保存される。例えば、試料は、マトリックス(例えば、FFPEブロック又は凍結試料)に包埋することができる。別の実施形態では、試料は、血液又は血液成分試料である。更に別の実施形態では、試料は、骨髄穿刺試料である。別の実施形態では、試料は、セルフリーDNA(cfDNA)を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、cfDNAは、アポトーシス細胞又は壊死細胞からのDNAであると考えられる。典型的には、cfDNAは、タンパク質(例えば、ヒストン)に結合し、ヌクレアーゼから保護される。cfDNAは、例えば、非侵襲的出生前検査(NIPT)、臓器移植、心筋症、微生物叢、及びがんのバイオマーカーとして使用することができる。別の実施形態では、試料は循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、ctDNAは、腫瘍細胞と非腫瘍細胞に由来するものを区別することができる遺伝的又はエピジェネティックな変化(例えば、体細胞変化又はメチル化シグネチャ)を有するcfDNAである。別の実施形態では、試料は循環腫瘍細胞(CTC)を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、CTCは、原発性又は転移性腫瘍から循環に放出された細胞であると考えられている。一部の実施形態では、CTCアポトーシスは、血液/リンパ液中のctDNAの供給源である。
【0086】
一部の実施形態では、生物学的試料は、骨髄、血液、血液細胞、腹水、組織若しくは細針生検試料、細胞含有体液、遊離浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、管洗浄液若しくは気管支肺胞洗浄液などの洗液若しくは洗浄液、吸引液、掻き取り、骨髄検体、組織生検検体、外科検体、糞便、他の体液、分泌物、及び/若しくは排泄物、並びに/又はそれからの細胞などであるか、又はそれを含む場合がある。一部の実施形態では、生物学的試料は、個体から得られた細胞であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、得られた細胞は、試料が得られた個体由来の細胞であるか、又はそれを含む。
【0087】
図12は、一部の実施形態による、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出するための例示的なプロセス1200を示す。プロセス1200は、例えば、ソフトウェアプログラムを実装する1つ以上の電子デバイスを使用して実行される。一部の実施例では、プロセス1200は、クライアント-サーバシステムを使用して実行され、プロセス1200のブロックは、サーバとクライアントデバイスとの間で、任意の方法で分割される。他の実施例では、プロセス1200のブロックは、サーバと複数のクライアントデバイスとの間で分割される。したがって、プロセス1200の一部は、クライアント-サーバシステムの特定のデバイスによって実行されるものとして本明細書に記載されているが、プロセス1200はそのように限定されないことを理解されたい。他の実施例では、プロセス1200は、クライアントデバイスのみ、又は複数のクライアントデバイスのみを使用して実行される。プロセス1200では、いくつかのブロックが、任意選択的に結合され、いくつかのブロックの順序が、任意選択的に変更され、いくつかのブロックが、任意選択的に省略される。一部の実施例では、プロセス1200と組み合わせて追加のステップを実行することができる。したがって、図示されている(及び以下でより詳細に説明されている)操作は、本質的に例示的なものであり、したがって、限定するものとみなされるべきではない。
【0088】
ブロック1202で、個体由来の試料から得られた複数の核酸が提供され、複数の核酸が、HLA遺伝子をコードする核酸を含む。任意選択的に、ブロック1204で、1つ以上のアダプターが、複数の核酸からの1つ以上の核酸にライゲーションされる。ブロック1206で、複数の核酸から核酸が増幅される。ブロック1208で、HLA遺伝子に対応する複数の核酸が、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって、増幅された核酸から捕捉される。ブロック1210で、例示的なシーケンサーは、捕捉された核酸を配列決定して、HLA遺伝子に対応する複数の配列リードを取得する。ブロック1212で、例示的なシステム(例えば、1つ以上の電子デバイス)は、複数の配列リードのうちの1つ以上に関連する1つ以上の値をモデルに適合させる。ブロック1214で、システムは、モデルに基づいて、HLA遺伝子のLOH及びHLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向を検出する。
【0089】
図13は、一部の実施形態による、ベイト分子に対する多型遺伝子の異なるアレルの相対的な結合傾向を特定するための例示的なプロセス1300を示す。プロセス1300は、例えば、ソフトウェアプログラムを実装する1つ以上の電子デバイスを使用して実行される。一部の実施例では、プロセス1300は、クライアント-サーバシステムを使用して実行され、プロセス1300のブロックは、サーバとクライアントデバイスとの間で、任意の方法で分割される。他の実施例では、プロセス1300のブロックは、サーバと複数のクライアントデバイスとの間で分割される。したがって、プロセス1300の一部は、クライアント-サーバシステムの特定のデバイスによって実行されるものとして本明細書に記載されているが、プロセス1300はそのように限定されないことを理解されたい。他の実施例では、プロセス1300は、クライアントデバイスのみ、又は複数のクライアントデバイスのみを使用して実行される。プロセス1300では、いくつかのブロックが、任意選択的に結合され、いくつかのブロックの順序が、任意選択的に変更され、いくつかのブロックが、任意選択的に省略される。一部の実施例では、プロセス1300と組み合わせて追加のステップを実行することができる。したがって、図示されている(及び以下でより詳細に説明されている)操作は、本質的に例示的なものであり、したがって、限定するものとみなされるべきではない。
【0090】
ブロック1302で、例示的なシステム(例えば、1つ以上の電子デバイス)は、例えば、各反応が多型遺伝子の異なるアレルに結合するベイト分子に対応し、かつ各反応が対応するアレル画分の捕捉をもたらすように、複数の化学反応を特定する。複数の化学反応は、反応の第1のサブセット及び反応の第2のサブセットからなり、第1及び第2のサブセットが、共通の反応を共有せず、第1及び第2のサブセットが、各々、少なくとも1つの化学反応を含む。ブロック1304で、システムは、各化学反応の結合傾向及び各捕捉されたアレルのアレル画分をまとめて関連付ける複数の方程式を特定する。ブロック1306で、システムは、複数の化学反応の第1のサブセットの相対的な結合傾向を経験的に特定する。ブロック1308で、システムは、総誤差を最小化することによって、第2のサブセットの相対的な結合傾向を特定する。
【0091】
図14は、一部の実施形態による、アレル頻度を決定するための例示的なプロセス1400を示す。一部の実施形態では、例えば、LOHを検出するために、1つ以上のHLAアレルのアレル頻度が決定される。プロセス1400は、例えば、ソフトウェアプログラムを実装する1つ以上の電子デバイスを使用して実行される。一部の実施例では、プロセス1400は、クライアント-サーバシステムを使用して実行され、プロセス1400のブロックは、サーバとクライアントデバイスとの間で、任意の方法で分割される。他の実施例では、プロセス1400のブロックは、サーバと複数のクライアントデバイスとの間で分割される。したがって、プロセス1400の一部は、クライアント-サーバシステムの特定のデバイスによって実行されるものとして本明細書に記載されているが、プロセス1300はそのように限定されないことを理解されたい。他の実施例では、プロセス1400は、クライアントデバイスのみ、又は複数のクライアントデバイスのみを使用して実行される。プロセス1400では、いくつかのブロックが、任意選択的に結合され、いくつかのブロックの順序が、任意選択的に変更され、いくつかのブロックが、任意選択的に省略される。一部の実施例では、プロセス1400と組み合わせて追加のステップを実行することができる。したがって、図示されている(及び以下でより詳細に説明されている)操作は、本質的に例示的なものであり、したがって、限定するものとみなされるべきではない。
【0092】
ブロック1402で、例示的なシステム(例えば、1つ以上の電子デバイス)は、遺伝子のアレルについて観察されたアレル頻度を受信する。一部の実施形態では、観察されたアレル頻度は、遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードは、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた。一部の実施形態では、遺伝子は、ヒトHLA遺伝子であり、アレルは、ヒトHLAアレルである(例えば、本明細書に記載のとおり)。ブロック1404で、システムは、ベイト分子に対するアレルの相対的な結合傾向を受信する。一部の実施形態では、アレルの相対的な結合傾向は、遺伝子の1つ以上の他のアレルの部分をコードする核酸の存在下、アレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する。ブロック1406で、システムは、目的関数を実行して、アレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定する。ブロック1408で、システムは、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化する。ブロック1410で、システムは、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、アレルの調整されたアレル頻度を決定する。
【0093】
ソフトウェア及びデバイス
一部の他の態様では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が本明細書に提供される。一部の実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行される1つ以上のプログラムを含み、1つ以上のプログラムが、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法をデバイスに実行させる命令を含む。
【0094】
図3Aは、一実施形態による計算デバイスの例を示す。デバイス300は、ネットワークに接続されたホストコンピュータであり得る。デバイス300は、クライアントコンピュータ又はサーバであり得る。図3Aに示されるように、デバイス300は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ、又はハンドヘルド計算デバイス(携帯電子デバイス、例えば、電話又はタブレット)などの任意の好適なタイプのマイクロプロセッサベースのデバイスであり得る。デバイスは、例えば、プロセッサ310、入力デバイス320、出力デバイス330、ストレージ340、及び通信デバイス360のうちの1つ以上を含むことができる。入力デバイス320及び出力デバイス330は、一般に、上記のものに対応することができ、コンピュータと接続可能であるか又は統合することができる。
【0095】
入力デバイス320は、タッチスクリーン、キーボード若しくはキーパッド、マウス、又は音声認識デバイスなどの入力を提供する任意の好適なデバイスであり得る。出力デバイス330は、タッチスクリーン、触覚デバイス、又はスピーカなど、出力を提供する任意の好適なデバイスであり得る。
【0096】
ストレージ340は、ストレージ(例えば、RAM、キャッシュ、ハードドライブ、又はリムーバブルストレージディスクを含む電気、磁気、又は光学メモリ)を提供する任意の好適なデバイスであり得る。通信デバイス360は、ネットワークインターフェースチップ又はデバイスなどの、ネットワークを介して信号を送受信することができる任意の好適なデバイスを含むことができる。コンピュータの構成要素は、例えば、有線メディア(例えば、物理バス、イーサネット、若しくは任意の他の有線転送技術)を介して、又は無線(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、又は任意の他の無線技術)で、任意の好適な様式で接続することができる。
【0097】
HLAモジュール350は、ストレージ340に実行可能な命令として格納され、プロセッサ310によって実行されることができ、例えば、本開示の機能を具現化するプロセスを含むことができる(例えば、上記のデバイスに具現化される)。
【0098】
HLAモジュール350はまた、命令実行システム、装置、若しくはデバイス(例えば、上記のもの)によって、又はそれらと接続して使用するための任意の非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶及び/又は転送することができ、命令実行システム、装置、若しくはデバイスからの、ソフトウェアに関連付けられた命令をフェッチし、命令を実行することができる。本開示の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、ストレージ340などの任意の媒体であり得、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらと接続して使用するためのプロセスを含む若しくは記憶することができる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、単一の機能ユニットとして動作するハードドライブ、フラッシュドライブ、及び配信モジュールなどのメモリユニットを挙げることができる。また、本明細書に記載の様々なプロセスは、上記の実施形態及び技法に従って動作するように構成されたモジュールとして具現化され得る。更に、プロセスは別個に示され、かつ/又は説明され得るが、当業者は、上記のプロセスが他のプロセス内のルーチン又はモジュールであり得ることを理解するであろう。
【0099】
HLAモジュール350はまた、命令実行システム、装置、若しくはデバイス(例えば、上記のもの)によって、又はそれらと接続して使用するための任意の伝送媒体内に伝播することができ、命令実行システム、装置、若しくはデバイスからの、ソフトウェアに関連付けられた命令をフェッチし、命令を実行することができる。本開示の文脈において、伝送媒体は、任意の媒体であり得、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらと接続して使用するための伝送プログラミングを通信、伝達、又は伝送することができる。伝送可読媒体には、電子、磁気、光学、電磁気、若しくは赤外線の有線又は無線伝播媒体が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0100】
デバイス300は、ネットワーク(例えば、図3Bに示されるネットワーク、及び/又は下記のネットワーク404)に接続することができ、これは、任意の好適なタイプの相互接続された通信システムであり得る。ネットワークは、任意の好適な通信プロトコルを実装することができ、任意の好適なセキュリティプロトコルによって保護され得る。ネットワークは、無線ネットワーク接続(T1又はT3回線)、ケーブルネットワーク、DSL、又は電話回線などの、ネットワーク信号の送受信を実装し得る任意の好適な構成のネットワークリンクを含むことができる。
【0101】
デバイス300は、ネットワーク上で動作するのに好適な任意のオペレーティングシステムを実装することができる。HLAモジュール350は、C、C++、Java、又はPythonなどの任意の好適なプログラミング言語で書くことができる。様々な実施形態では、本開示の機能を具現化するアプリケーションソフトウェアは、異なる構成で(例えば、クライアント/サーバ構成で、又はウェブベースのアプリケーション若しくはウェブサービスとしてのウェブブラウザを介して)展開することができる。
【0102】
図3Bは、一実施形態による計算システムの例を示す。システム400では、デバイス300(例えば、上記及び図3Aに示されるもの)は、ネットワーク404に接続され、ネットワーク404はまた、デバイス406に接続される。一部の実施形態では、デバイス406は、シーケンサーである。例示的なシーケンサーには、限定されないが、Roche/454のGenome Sequencer(GS)FLX System、Illumina/SolexaのGenome Analyzer(GA)、IlluminaのHiSeq 2500、HiSeq 3000、HiSeq 4000、及びNovaSeq 6000配列決定システム、Life/APGのSupport Oligonucleotide Ligation Detection(SOLiD)システム、PolonatorのG.007システム、Helicos BioSciencesのHeliScope Gene配列決定システム、又はPacific BiosciencesのPacBio RSシステムが含まれる。デバイス300及び406は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、又はインターネットなどのネットワーク404を介して、好適な通信インターフェースを使用して通信することができる。一部の実施形態では、ネットワーク404は、例えば、インターネット、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、クラウドネットワーク、有線ネットワーク、又は無線ネットワークであり得る。デバイス300及び406は、イーサネット、IEEE802.11bワイヤレスなどのワイヤレス又は有線通信を介して、部分的又は全体的に通信することができる。更に、デバイス300及び406は、例えば、好適な通信インターフェースを使用して、モバイル/セルラーネットワークなどの第2のネットワークを介して通信することができる。デバイス300と406との間の通信は、メールサーバ、モバイルサーバ、メディアサーバ、電話サーバなどの様々なサーバを更に含むか、それらと通信することができる。一部の実施形態では、デバイス300及び406は、(ネットワーク404を介した通信の代わりに、又はそれに加えて)、例えば、イーサネット、IEEE802.11b無線などの無線又は有線通信を介して、直接通信することができる。
【0103】
デバイス300及び406の1つ又は全ては、一般に、本明細書に記載の様々な実施例に従って、ネットワーク404を介して情報を提供及び/又は受信するために、ロジック(例えば、httpウェブサーバロジック)を含むか、あるいはローカル若しくはリモートデータベース又はデータ及びコンテンツの他のソースからアクセスされるデータをフォーマットするようにプログラムされる。
【0104】
ヒト白血球抗原(HLA)及びヘテロ接合性の喪失(LOH)
本明細書に記載の実施形態のいずれかによる一部の実施形態では、遺伝子は、主要組織適合性(MHC)クラスI分子をコードするヒト白血球抗原(HLA)遺伝子である。一部の実施形態では、方法は、調整されたアレル頻度を決定した後、調整されたアレル頻度に少なくとも部分的に基づいて、遺伝子がヘテロ接合性の喪失(LOH)を受けたと判断することを更に含む。他の実施形態では、遺伝子は、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である。
【0105】
更に一部の他の態様では、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出するための方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、a)HLAアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、取得することと、b)HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、取得することと、c)目的関数を適用して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)最適化モデルを適用して、目的関数を最小化することと、e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、f)HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、を含む。一部の実施形態では、HLA遺伝子は、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である。一部の実施形態では、複数の配列リードは、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む試料から得られた核酸を配列決定することによって得られた。一部の実施形態では、試料は、非腫瘍細胞を更に含む。一部の実施形態では、方法は、目的の多型遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出するためのものである。一部の実施形態では、方法は、a)目的の遺伝子のアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、取得することと、b)アレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、アレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のアレルの一部をコードする核酸の存在下、アレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、取得することと、c)目的関数を適用して、アレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、d)最適化モデルを適用して、目的関数を最小化することと、e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、アレルの調整されたアレル頻度を決定することと、f)アレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、を含む。一部の実施形態では、多型遺伝子は、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である。
【0106】
更に一部の他の態様では、本開示の方法のいずれかは、例えば、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む本開示の試料におけるTMBを測定することを更に含む。一部の実施形態では、方法は、例えば、本開示の試料における、LOHを決定することと、TMBを評価することと、を含む。本明細書で実証されるように、HLA LOH及び高TMB(及び、任意選択的に、インタクトのHLA遺伝子)は、例えば、高TMBを有しないHLA LOHと比較した場合、全生存期間の増加、より高い生存確率の増加、及び/又はICI療法に対して応答する可能性の増加を予測することができる。一部の実施形態では、高TMBは、10変異/Mb以上又は13変異/Mb以上のTMBを指す。一部の実施形態では、TMBは、複数の配列リード、例えば、ゲノムの少なくとも一部(例えば、濃縮試料又は非濃縮試料由来)の核酸を配列決定することによって得られる複数の配列リードから得られる。一部の実施形態では、TMBは、配列決定されたゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される。
【0107】
一部の実施形態では、本開示の方法のいずれかは、HLA遺伝子のLOHの知識を獲得することと(例えば、個体から得られた試料において)、TMBの知識を獲得することと(例えば、個体から得られた試料において)、を含む。一部の実施形態では、本開示の方法のいずれかは、HLA遺伝子のLOHを検出することと(例えば、個体から得られた試料において)、TMBの知識を獲得することと(例えば、個体から得られた試料において)、を含む。一部の実施形態では、本開示の方法のいずれかは、HLA遺伝子のLOHの知識を獲得することと(例えば、個体から得られた試料において)、TMBを検出又は決定することと(例えば、個体から得られた試料において)、を含む。一部の実施形態では、本開示の方法のいずれかは、HLA遺伝子のLOHを検出することと(例えば、個体から得られた試料において)、TMBを検出又は決定することと(例えば、個体から得られた試料において)、を含む。一部の実施形態では、LOH及びTMBを検出/決定するために使用される試料は同じである。一部の実施形態では、LOH及びTMBを検出/決定するために使用される試料は異なる。
【0108】
治療及び療法
更に一部の他の態様では、がんを有する個体を同定する方法が本明細書に提供され、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)は、特定の種類の疾患を有する個体が特定の治療に応答する傾向を示す。一部の実施形態では、方法は、個体からの試料におけるHLA遺伝子のLOHを検出することを含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、試料におけるHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す。一部の実施形態では、試料におけるHLA遺伝子のLOHの欠如を検出することは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料における腫瘍変異負荷(TMB)を検出することを更に含む。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することを更に含む。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及び高TMBは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及び低TMB、又は高TMBを伴わないHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す。
【0109】
更に一部の他の態様では、がんを有する個体のための療法を選択する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することを含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、試料におけるHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す。一部の実施形態では、試料におけるHLA遺伝子のLOHの欠如を検出することは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料における腫瘍変異負荷(TMB)を検出することを更に含む。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することを更に含む。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及び高TMBは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及び低TMB、又は高TMBを伴わないHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す。
【0110】
更に一部の他の態様では、がんを有する個体のための1つ以上の治療選択肢を特定する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、(a)個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することであって、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される、獲得することと、(b)当該知識に少なくとも部分的に基づいて、個体に対して特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することと、を含む。一部の実施形態では、試料におけるHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す。一部の実施形態では、1つ以上の治療選択肢は、ICIを含む治療を含まない。一部の実施形態では、方法は、(a)個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如の知識を獲得することであって、HLA遺伝子のLOHの欠如が、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される、獲得することと、(b)当該知識に少なくとも部分的に基づいて、個体に対して特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することと、を含む。一部の実施形態では、試料中のHLA遺伝子のLOHの欠如は、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料における腫瘍変異負荷(TMB)を検出することを更に含む。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及び高TMBは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す。一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOH及び低TMB、又は高TMBを伴わないHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す。一部の実施形態では、方法は、個体からの試料における高TMBの知識を獲得することを更に含み、1つ以上の治療選択肢が、ICIを含む治療を含む。
【0111】
更に一部の他の態様では、がんを有する個体のための治療を選択する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、がんを有する個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、当該知識の獲得に応答して、(i)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療を受けない候補として分類され、(ii)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療に応答する可能性が高くないと特定され、かつ/又は(iii)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を受ける候補として分類される。一部の実施形態では、方法は、がんを有する個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHの欠如が、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、当該知識の獲得に応答して、(i)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療を受ける候補として分類され、かつ/又は(ii)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療に応答する可能性が高いと特定される。一部の実施形態では、方法は、個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のLOHの知識を獲得することと、個体から得られた試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することと、を含む。一部の実施形態では、当該知識の獲得に応答して、(i)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療を受ける候補として分類され、かつ/又は(ii)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療に応答する可能性が高いと特定される。
【0112】
更に一部の他の態様では、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)で治療されたがんを有する個体の生存期間を予測する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、当該知識の獲得に応答して、がんがHLA遺伝子のLOHを示さないICIで治療された個体の生存期間と比較して、ICIによる治療後、個体がより短い生存期間を有すると予測される。一部の実施形態では、方法は、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHの欠如が、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、当該知識の獲得に応答して、がんがHLA遺伝子のLOHを示さないICIで治療された個体の生存期間と比較して、ICIによる治療後、個体がより長い生存期間を有すると予測される。一部の実施形態では、方法は、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することと、個体から得られた試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することと、を含み、HLA遺伝子のLOHが、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる方法に従って検出される。一部の実施形態では、当該知識の獲得に応答して、がんが高TMBを伴わずにHLA遺伝子のLOHを有する、ICIで治療された個体の生存期間と比較して、ICIによる治療後、個体がより長い生存期間を有すると予測される。
【0113】
本明細書に記載の実施形態のいずれかによる一部の実施形態では、HLA遺伝子のLOHは、a)HLAアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、取得することと、b)HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、取得することと、c)HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定する目的関数を決定することと、d)目的関数を最小化するように構成された最適化モデルを決定することと、e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、f)HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、によって決定される。
【0114】
更に一部の他の態様では、がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、(1)個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することであって、HLA遺伝子のLOHは、a)HLAアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、取得すること、b)HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、取得すること、c)目的関数を適用して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定すること、d)最適化モデルを適用して、目的関数を最小化すること、e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定すること、並びにf)HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断すること、によって検出される、HLA遺伝子のLOHを検出することと、(2)HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を投与することと、を含む。一部の実施形態では、方法は、(1)個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如を検出することであって、HLA遺伝子のLOHの欠如は、a)HLAアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、取得すること、b)HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向が、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、取得すること、c)取得目的関数を適用して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定すること、d)最適化モデルを適用して、目的関数を最小化すること、e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定すること、並びに(f)HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも大きい場合、LOHが発生しなかったと判断すること、によって検出される、HLA遺伝子のLOHを検出することと、(2)HLA遺伝子のLOHの欠如の検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を投与することと、を含む。
【0115】
本開示の特定の態様は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)に関する。当該技術分野で既知のように、チェックポイント阻害剤は、少なくとも1つの免疫チェックポイントタンパク質を標的として、免疫応答の調節を変化させる。免疫チェックポイントタンパク質には、例えば、CTLA4、PD-L1、PD-1、PD-L2、VISTA、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、2B4、ICOS、HVEM、CEACAM、LAIR1、CD80、CD86、CD276、VTCN1、MHCクラスI、MHCクラスII、GALS、アデノシン、TGFR、CSF1R、MICA/B、アルギナーゼ、CD160、gp49B、PIR-B、KIRファミリー受容体、TIM-1、TIM-3、TIM-4、LAG-3、BTLA、SIRPα(CD47)、CD48、2B4(CD244)、B7.1、B7.2、ILT-2、ILT-4、TIGIT、LAG-3、BTLA、IDO、OX40、及びA2aRが含まれる。一部の実施形態では、免疫チェックポイントの調節に関与する分子には、以下が含まれるが、これらに限定されない:PD-1(CD279)、PD-L1(B7-H1、CD274)、PD-L2(B7-CD、CD273)、CTLA-4(CD152)、HVEM、BTLA(CD272)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、LAG-3(CD223)、TIM-3(HAVCR2)、CEACAM、CEACAM-1、CEACAM-3、CEACAM-5、GAL9、VISTA(PD-1H)、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、TGFRβ、A2AR、GITR(CD357)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD276(B7-H3)、VTCNI(B7-H4)、MHCクラスI、MHCクラスII、GALS、アデノシン、TGFR、B7-H1、OX40(CD134)、CD94(KLRD1)、CD137(4-1BB)、CD137L(4-1BBL)、CD40、IDO、CSF1R、CD40L、CD47、CD70(CD27L)、CD226、HHLA2、ICOS(CD278)、ICOSL(CD275)、LIGHT(TNFSF14、CD258)、NKG2a、NKG2d、OX40L(CD134L)、PVR(NECL5、CD155)、SIRPa、MICA/B、及び/又はアルギナーゼ。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤(すなわち、チェックポイント阻害剤)は、例えば、T細胞活性化及び/又は抗がん免疫応答を増強するために、免疫細胞機能を負に調節するチェックポイントタンパク質の活性を減少させる。他の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、例えば、T細胞活性化及び/又は抗がん免疫応答を増強するために、免疫細胞機能を正に調節するチェックポイントタンパク質の活性を増加させる。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗体である。チェックポイント阻害剤の例としては、限定されないが、PD-1軸結合アンタゴニスト、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A))、共抑制分子に対するアンタゴニスト(例えば、CTLA4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA4抗体)、TIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)、若しくはLAG-3アンタゴニスト(例えば、抗LAG-3抗体))、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、小分子、組換え形態のリガンド若しくは受容体、又は抗体(例えば、ヒト抗体)などの薬物を含む(例えば、国際特許公開第2015/016718号、Pardoll,Nat Rev Cancer,12(4):252-64,2012を参照;両方とも参照により本明細書に援用される)。一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質又はその類似体の既知の阻害剤を使用することができ、特に、キメラ化、ヒト化、又はヒト形態の抗体を使用することができる。
【0116】
本明細書に記載の実施形態のいずれかによる一部の実施形態では、ICIは、PD-1アンタゴニスト/阻害剤又はPD-L1アンタゴニスト/阻害剤を含む。
【0117】
一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-L1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、又はPD-L2結合アンタゴニスト)である。PD-1(プログラム死1)は、当該技術分野では「プログラム細胞死1」、「PDCD1」、「CD279」、及び「SLEB2」とも称される。例示的なヒトPD-1は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q15116に示されている。PD-L1(プログラム死リガンド1)は、当該技術分野では「プログラム細胞死1リガンド1」、「PDCD1LG1」、「CD274」、「B7-H」、及び「PDL1」とも称される。例示的なヒトPD-L1は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NZQ7.1に示されている。PD-L2(プログラム死リガンド2)は、当該技術分野では「プログラム細胞死1リガンド2」、「PDCD1LG2」、「CD273」、「B7-DC」、「Btdc」、及び「PDL2」とも称される。例示的なヒトPD-L2は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9BQ51に示されている。場合によっては、PD-1、PD-L1、及びPD-L2は、ヒトのPD-1、PD-L1、及びPD-L2である。
【0118】
場合によっては、PD-1結合アンタゴニスト/阻害剤は、PD-1のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の実施形態では、PD-1リガンド結合パートナーは、PD-L1及び/又はPD-L2である。別の例では、PD-L1結合アンタゴニスト/阻害剤は、PD-L1のその結合リガンドへの結合を阻害する分子である。特定の実施形態では、PD-L1結合パートナーは、PD-1及び/又はB7-1である。別の例では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の実施形態では、PD-L2結合リガンドパートナーは、PD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、又はオリゴペプチドであり得る。一部の実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、又は毒素である。
【0119】
場合によっては、PD-1結合アンタゴニストは、例えば、下記の抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体)である。場合によっては、抗PD-1抗体は、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペムブロリズマブ、Keytruda(登録商標))、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、MGA-012、JNJ-63723283、BI754091、又はBGB-108である。他の実施例では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPD-L1又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシンである)。場合によっては、PD-1結合アンタゴニストは、AMP-224である。抗PD-1抗体の他の例としては、MEDI-0680(AMP-514;AstraZeneca)、PDR001(CAS登録番号1859072-53-9;Novartis)、REGN2810(LIBTAYO(登録商標)又はセミプリマブ-rwlc;Regeneron)、BGB-108(BeiGene)、BGB-A317(BeiGene)、BI754091、JS-001(Shanghai Junshi)、STI-A1110(Sorrento)、INCSHR-1210(Incyte)、PF-06801591(Pfizer)、TSR-042(ANB011としても知られている;Tesaro/AnaptysBio)、AM0001(ARMO Biosciences)、ENUM244C8(Enumeral Biomedical Holdings)、又はENUM388D4(Enumeral Biomedical Holdings)が挙げられる。一部の実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、チスレリズマブ(BGB-A317)、BGB-108、STI-A1110、AM0001、BI754091、シンチリマブ(IBI308)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、トリパリマブ(JS-001)を、カムレリズマブ(SHR-1210、INCSHR-1210、HR-301210)、MEDI-0680(AMP-514)、MGA-012(INCMGA0012)、ニボルマブ(BMS-936558、MDX1106、ONO-4538)、スパルタリズマブ(PDR00l)、ペムブロリズマブ(MK-3475、SCH900475、Keytruda(登録商標))、PF-06801591、セミプリマブ(REGN-2810、REGEN2810)、ドスタルリマブ(TSR-042、ANB011)、FITC-YT-16(PD-1結合ペプチド)、APL-501若しくはCBT-501若しくはゲノリムズマブ(GB-226)、AB-122、AK105、AMG404、BCD-100、F520、HLX10、HX008、JTX-4014、LZM009、Sym021、PSB205、AMP-224(PD-1を標的とする融合タンパク質)、CX-188(PD-1プロボディ)、AGEN-2034、GLS-010、ブジガリマブ(ABBV-181)、AK-103、BAT-1306、CS-1003、AM-0001、TILT-123、BH-2922、BH-2941、BH-2950、ENUM-244C8、ENUM-388D4、HAB-21、H EISCOI11-003、IKT-202、MCLA-134、MT-17000、PEGMP-7、PRS-332、RXI-762、STI-1110、VXM-10、XmAb-23104、AK-112、HLX-20、SSI-361、AT-16201、SNA-01、AB122、PD1-PIK、PF-06936308、RG-7769、CABPD-1Abs、AK-123、MEDI-3387、MEDI-5771、4H1128Z-E27、REMD-288、SG-001、BY-24.3、CB-201、IBI-319、ONCR-177、Max-1、CS-4100、JBI-426、CCC-0701、若しくはCCX-4503、又はそれらの誘導体を含む。
【0120】
一部の実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-1を阻害する小分子である。一部の実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1を阻害する小分子である。一部の実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1及びVISTA又はPD-L1及びTIM3を阻害する小分子である。一部の実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、CA-170(AUPM-170としても知られている)である。一部の実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1(例えば、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NZQ7.1に示されるヒトPD-L1)又はそのバリアントに結合することができる。一部の実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、又は毒素である。
【0121】
場合によっては、PD-L1結合アンタゴニストは、例えば、下記の抗PD-L1抗体である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、PD-L1とPD-1との間の結合、及び/又はPD-L1とB7-1との間の結合を阻害することができる。場合によっては、抗PD-L1抗体は、モノクローナル抗体である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、又は(Fab’)2断片から選択される抗体断片である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、ヒト化抗体である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、ヒト抗体である。場合によっては、抗PD-L1抗体は、YW243.55.S70、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、又はMSB0010718C(アベルマブ)から選択される。一部の実施形態では、PD-L1軸結合アンタゴニストは、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ(イミフィンジ)、BGB-A333、SHR-1316(HTI-1088)、CK-301、BMS-936559、エンバフォリマブ(KN035、ASC22)、CS1001、MDX-1105(BMS-936559)、LY3300054、STI-A1014、FAZ053、CX-072、INCB086550、GNS-1480、CA-170、CK-301、M-7824、HTI-1088(HTI-131、SHR-1316)、MSB-2311、AK-106、AVA-004、BBI-801、CA-327、CBA-0710、CBT-502、FPT-155、IKT-201、IKT-703、10-103、JS-003、KD-033、KY-1003、MCLA-145、MT-5050、SNA-02、BCD-135、APL-502(CBT-402又はTQB2450)、IMC-001、KD-045、INBRX-105、KN-046、IMC-2102、IMC-2101、KD-005、IMM-2502、89Zr-CX-072、89Zr-DFO-6E11、KY-1055、MEDI-1109、MT-5594、SL-279252、DSP-106、Gensci-047、REMD-290、N-809、PRS-344、FS-222、GEN-1046、BH-29xx、若しくはFS-118、又はその誘導体を含む。
【0122】
一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA4のアンタゴニスト/阻害剤である。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA4の小分子アンタゴニストである。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CTLA4抗体である。CTLA4は、免疫チェックポイント分子のCD28-B7免疫グロブリンスーパーファミリーの一部であり、T細胞の活性化(特に、CD28依存性T細胞応答)を負に調節するように作用する。CTLA4は、CD80(B7-1)及びCD86(B7-2)などのCD28と共通のリガンドへの結合に対して競合し、CD28よりも高い親和性でこれらのリガンドに結合する。CTLA4活性の遮断は(例えば、抗CTLA4抗体を使用して)、CD28媒介性共刺激(T細胞の活性化/プライミングの増加につながる)を増強し、T細胞の発生に影響し、かつ/又はTreg(例えば、腫瘍内Treg)を枯渇させると考えられている。一部の実施形態では、CTLA4アンタゴニストは、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、又は毒素である。一部の実施形態では、CTLA-4阻害剤は、イピリムマブ(IBI310、BMS-734016、MDX010、MDX-CTLA4、MEDI4736)、トレメリムマブ(CP-675、CP-675、206)、APL-509、AGEN1884、CS1002、AGEN1181、アバタセプト(Orencia、BMS-188667、RG2077)、BCD-145、ONC-392、ADU-1604、REGN4659、ADG116、KN044、KN046、又はその誘導体を含む。
【0123】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体又は抗体断片は、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペムブロリズマブ、Keytruda(登録商標))、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、MGA-012、JNJ-63723283、BI754091、BGB-108、BGB-A317、JS-001、STI-A1110、INCSHR-1210、PF-06801591、TSR-042、AM0001、ENUM244C8、又はENUM388D4である。一部の実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1イムノアドヘシンである。一部の実施形態では、抗PD-1イムノアドヘシンは、AMP-224である。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体又は抗体断片は、YW243.55.S70、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、MSB0010718C(アベルマブ)、LY3300054、STI-A1014、KN035、FAZ053、又はCX-072である。
【0124】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、LAG-3阻害剤(例えば、抗体、抗体コンジュゲート、又はその抗原結合断片)を含む。一部の実施形態では、LAG-3阻害剤は、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、又は毒素を含む。一部の実施形態では、LAG-3阻害剤は、小分子を含む。一部の実施形態では、LAG-3阻害剤は、LAG-3結合剤を含む。一部の実施形態では、LAG-3阻害剤は、抗体、抗体コンジュゲート、又はその抗原結合断片を含む。一部の実施形態では、LAG-3阻害剤は、エフチラギモドα(IMP321、IMP-321、EDDP-202、EOC-202)、レラトリマブ(BMS-986016)、GSK2831781(IMP-731)、LAG525(IMP701)、TSR-033、EVIP321(可溶性LAG-3タンパク質)、BI754111、IMP761、REGN3767、MK-4280、MGD-013、XmAb22841、INCAGN-2385、ENUM-006、AVA-017、AM-0003、iOnctura抗LAG-3抗体、Arcus Biosciences LAG-3抗体、Sym022、その誘導体、又は前述のいずれかと競合する抗体を含む。
【0125】
一部の実施形態では、抗がん療法は、免疫調節分子又はサイトカインを含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、免疫調節分子又はサイトカインを個体に投与することを含む。免疫調節プロファイルは、効率的な免疫応答を誘発し、対象の免疫のバランスをとるために必要である。好適な免疫調節サイトカインの例としては、インターフェロン(例えば、IFNα、IFNβ、及びIFNγ)、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、及びIL-20)、腫瘍壊死因子(例えば、TNFα及びTNFβ)、エリスロポエチン(EPO)、FLT-3リガンド、gIp10、TCA-3、MCP-1、MIF、MIP-1α、MIP-1β、RANTES、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、又は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、並びにそれらの機能的断片が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ケモカイン受容体(すなわち、CXC、CC、C、又はCX3Cケモカイン受容体)に結合する任意の免疫調節性ケモカインを、本開示との関連で使用することができる。ケモカインの例としては、MIP-3α(Lax)、MIP-3β、Hcc-1、MPIF-1、MPIF-2、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MCP-5、エオタキシン、Tarc、Elc、I309、IL-8、GCP-2 Groα、Gro-β、Nap-2、Ena-78、Ip-10、MIG、I-Tac、SDF-1、又はBCA-1(Blc)、並びにそれらの機能的断片が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、免疫調節分子は、本明細書に提供される治療のいずれかに含まれる。
【0126】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、一価及び/又は単一特異性である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、多価及び/又は多特異性である。
【0127】
一部の実施形態では、方法は、第2の治療剤を投与することを含む。一部の実施形態では、第2の薬剤は、ICI以外の薬剤(例えば、下記のとおり)又は第2のICI(例えば、上記のとおり)である。
【0128】
一部の実施形態では、方法は、ICI以外の薬剤を投与することを含む。一部の実施形態では、薬剤は、化学療法剤、抗ホルモン剤、代謝拮抗化学療法剤、キナーゼ阻害剤、ペプチド、遺伝子療法、ワクチン、白金ベースの化学療法剤、免疫療法、又は抗体を含む。
【0129】
一部の実施形態では、抗がん療法は、化学療法を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、化学療法を個体に施すことを含む。化学療法剤の例としては、アルキル化剤(例えば、チオテパ及びシクロホスファミド)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン)、アジリジン(例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ)、エチレンイミン及びメチルアメラミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロールメラミンを含む)、アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン)、カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む)、ブリオスタチン、カリスタチン、CC-1065(アドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む)、クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8)、ドラスタチン、デュオカルマイシン(合成類似体KW-2189及びCB1-TM1を含む)、エリュテロビン、パンクラチスタチン、サルコディクチン、スポンジスタチン、ナイトロジェンマスタード(例えば、クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、及びウラシルマスタード)、ニトロソウレア(カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン)、抗生物質(例えば、エンジイン抗生物質(カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンガンマll及びカリケアマイシンオメガllなど)、ダイネミシン(例えば、ダイネミシンAを含む)、ビスフォスフォネート(例えば、クロドロネート)、エスペラミシン、並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノドキソルビシン、シアノモルホリノドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン(例えば、マイトマイシンC)、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、及びゾルビシン))、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU))、葉酸類似体(例えば、デノプテリン、プテロプテリン、トリメトレキサート)、プリン類似体(例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン)、ピリミジン類似体(例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、及びフロクスウリジン)、アンドロゲン(例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、及びテストラクトン)、抗副腎剤(例えば、ミトタン及びトリロスタン)、葉酸補充剤(例えば、葉酸)、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、エニルウラシル、アムサクリン、ベストラブシル、ビサントレン、エダトラキサート、デフォアミン、デメコルシン、ジアジコン、エルホルミチン、酢酸エリプチニウム、エポチロン、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシ尿素、レンチナン、ロニダイニン、マイタンシノイド(例えば、マイタンシン及びアンサマイトシン)、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダンモール、ニトラエリン、ペントスタチン、フェナメット、ピラルビシン、ロソキサントロン、ポドフィリン酸、2-エチルヒドラジド、プロカルバジン、PSK多糖複合体、ラゾキサン、リゾキシン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、トリアジコン、2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン、トリコテセン(特に、T-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA、及びアンギジン)、ウレタン、ビンデシン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガシトシン、アラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド、タキソイド(例えば、パクリタキセル及びドセタキセルゲムシタビン)、6-チオグアニン、メルカプトプリン、白金配位錯体(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチン)、ビンブラスチン、白金、エトポシド(VP-16)、イホスファミド、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ノバントロン、テニポシド、エダトレキサート、ダウノマイシン、アミノプテリン、ゼローダ、イバンドロネート、イリノテカン(例えば、CPT-l l)、トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000、ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)、レチノイド(例えば、レチノイン酸)、カペシタビン、カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランスプラチナム、並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体が挙げられる。
【0130】
本開示の抗がん療法と組み合わせることができる化学療法薬のいくつかの非限定的な例は、カルボプラチン(Paraplatin)、シスプラチン(Platinol、Platinol-AQ)、シクロホスファミド(Cytoxan、Neosar)、ドセタキセル(Taxotere)、ドキソルビシン(Adriamycin)、エルロチニブ(Tarceva)、エトポシド(VePesid)、フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン(Gemzar)、メシル酸イマチニブ(Gleevec)、イリノテカン(Camptosar)、メトトレキサート(Folex、Mexate、Amethopterin)、パクリタキセル(Taxol、Abraxane)、ソラフィニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、トポテカン(Hycamtin)、ビンクリスチン(Oncovin、Vincasar PFS)、及びビンブラスチン(Velban)である。
【0131】
一部の実施形態では、抗がん療法は、キナーゼ阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、キナーゼ阻害剤を個体に投与することを含む。キナーゼ阻害剤の例としては、1つ以上の受容体チロシンキナーゼ(例えば、BCR-ABL、B-Raf、EGFR、HER-2/ErbB2、IGF-IR、PDGFR-a、PDGFR-β、cKit、Flt-4、Flt3、FGFR1、FGFR3、FGFR4、CSF1R、c-Met、RON、c-Ret、若しくはALK)を標的とするもの、1つ以上の細胞質チロシンキナーゼ(例えば、c-SRC、c-YES、Abl、若しくはJAK-2)を標的とするもの、1つ以上のセリン/スレオニンキナーゼ(例えば、ATM、Aurora A及びB、CDK、mTOR、PKCi、PLK、b-Raf、S6K、若しくはSTK11/LKB1)を標的とするもの、又は1つ以上の脂質キナーゼ(例えば、PI3K若しくはSKI)を標的とするものが挙げられる。小分子キナーゼ阻害剤には、PHA-739358、ニロチニブ、ダサチニブ、PD166326、NSC743411、ラパチニブ(GW-572016)、カネルチニブ(CI-1033)、セマキシニブ(SU5416)、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、スーテント(SU11248)、ソラフェニブ(BAY43-9006)、又はレフルノミド(SU101)が含まれる。チロシンキナーゼ阻害剤の追加の非限定的な例としては、イマチニブ(Gleevec/Glivec)及びゲフィチニブ(Iressa)が挙げられる。
【0132】
一部の実施形態では、抗がん療法は、抗血管新生剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、抗血管新生剤を個体に投与することを含む。血管新生阻害剤は、腫瘍が生存するために必要な血管の広範な増殖(血管新生)を防ぐ。本開示の方法で使用され得る血管新生媒介分子又は血管新生阻害剤の非限定的な例としては、可溶性VEGF(例えば、VEGFアイソフォーム(例えば、VEGF121及びVEGF165)、VEGF受容体(例えば、VEGFR1、VEGFR2)、及び共受容体(例えば、ニューロピリン-1及びニューロピリン-2))、NRP-1、アンジオポエチン2、TSP-1及びTSP-2、アンジオスタチン及び関連分子、エンドスタチン、バソスタチン、カルレティキュリン、血小板因子-4、TIMP及びCDAI、Meth-1及びMeth-2、IFNα、IFN-β及びIFN-γ、CXCL10、IL-4、IL-12、及びIL-18、プロトロンビン(クリングルドメイン-2)、アンチトロンビンIII断片、プロラクチン、VEGI、SPARC、オステオポンチン、マスピン、カンスタチン、プロリフェリン関連タンパク質、レスチン、及び薬物(例えば、ベバシズマブ、イトラコナゾール、カルボキシアミドトリアゾール、TNP-470、CM101、IFN-a、血小板因子-4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、血管新生抑制ステロイド、及びヘパリン)、軟骨由来血管新生抑制因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、2-メトキシエストラジオール、テコガラン、テトラチオモリブデート、サリドマイド、トロンボスポンジン、プロラクチナνβ3阻害剤、リノミド、又はタスキニモドが挙げられる。一部の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る既知の治療薬候補としては、天然に存在する血管新生阻害剤が挙げられ、アンギオスタチン、エンドスタチン、又は血小板因子-4が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る治療薬候補には、TNP-470、サリドマイド、及びインターロイキン-12などの内皮細胞の増殖の特異的阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。本開示の方法に従って使用され得る更に他の抗血管新生剤としては、血管新生分子を中和するものが挙げられ、線維芽細胞増殖因子に対する抗体、血管内皮増殖因子に対する抗体、血小板由来増殖因子に対する抗体、あるいはEGF、VEGF、若しくはPDGFの受容体の抗体又は他のタイプの阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る抗血管新生剤には、スラミン及びその類似体、並びにテコガランが含まれるが、これらに限定されない。他の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る抗血管新生剤としては、限定されないが、血管新生因子の受容体を中和する薬剤、又は血管基底膜及び細胞外マトリックスを妨害する薬剤が挙げられ、限定されないが、メタロプロテアーゼ阻害剤及び血管新生抑制ステロイドが含まれる。本開示の方法に従って使用され得る抗血管新生化合物の別の群には、インテグリンαvβ3に対する抗体などの抗接着分子が含まれるが、これらに限定されない。本開示の方法に従って使用され得る更に他の抗血管新生化合物又は組成物には、キナーゼ阻害剤、サリドマイド、イトラコナゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CM101、IFN-α、IL-12、SU5416、トロンボスポンジン、軟骨由来血管新生抑制因子、2-メトキシエストラジオール、テトラチオモリブデート、トロンボスポンジン、プロラクチン、及びリノミドが含まれる。1つの特定の実施形態では、本開示の方法に従って使用され得る抗血管新生化合物は、Avastin(登録商標)/ベバシズマブ(Genentech)などのVEGFに対する抗体である。
【0133】
一部の実施形態では、抗がん療法は、抗DNA修復療法を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、抗DNA修復療法を個体に施すことを含む。一部の実施形態では、抗DNA修復療法は、PARP阻害剤(例えば、タラゾパリブ、ルカパリブ、オラパリブ)、RAD51阻害剤(例えば、RI-1)、又はDNA損傷応答キナーゼの阻害剤(例えば、CHCK1(例えば、AZD7762)、ATM(例えば、KU-55933、KU-60019、NU7026、若しくはVE-821)、及びATR(例えば、NU7026))である。
【0134】
一部の実施形態では、抗がん療法は、放射線増感剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、放射線増感剤を方法は、個体に投与することを含む。例示的な放射線増感剤には、低酸素放射線増感剤(例えば、ミソニダゾール、メトロニダゾール)、及び低酸素腫瘍組織への酸素の拡散を増加させるのに役立つ化合物であるトランス-クロセチン酸ナトリウムが含まれる。放射線増感剤はまた、相同組換え(HR)及び非相同末端結合(NHEJ)及び直接修復機構を含む、塩基除去修復(BER)、ヌクレオチド除去修復(NER)、ミスマッチ修復(MMR)を妨害するDNA損傷応答阻害剤であり得る。一本鎖切断(SSB)修復メカニズムには、BER、NER、又はMMR経路が含まれるが、二本鎖切断(DSB)修復メカニズムは、HR及びNHEJ経路で構成される。放射線は、修復されなければ致命的なDNA切断を引き起こす。SSBは、インタクトのDNA鎖を鋳型として使用して、BER、NER、及びMMRメカニズムの組み合わせを介して修復される。SSB修復の主な経路はBERであり、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)と呼ばれる関連酵素のファミリーを利用する。したがって、放射線増感剤は、PARP阻害剤などのDNA損傷応答阻害剤を含むことができる。
【0135】
一部の実施形態では、抗がん療法は、抗炎症剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、抗炎症剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、抗炎症剤は、炎症又は炎症性シグナル伝達経路からのシグナル伝達を遮断、阻害、又は低減する薬剤である。一部の実施形態では、抗炎症剤は、以下のいずれかの1つ以上の活性を阻害又は低減する:IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-18、IL-23、インターフェロン(IFN)(例えば、IFNα、IFNβ、IFNγ、IFN-γ)誘導因子(IGIF)、形質転換増殖因子-β(TGF-β)、形質転換増殖因子-α(TGF-α)、腫瘍壊死因子(例えば、TNF-α、TNF-β、TNF-RI、TNF-RII)、CD23、CD30、CD40L、EGF、G-CSF、GDNF、PDGF-BB、RANTES/CCL5、IKK、NF-κB、TLR2、TLR3、TLR4、TL5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR8、TLR9、及び/又はそれらの同族受容体。一部の実施形態では、抗炎症剤は、IL-1又はIL-1受容体アンタゴニスト、例えば、アナキンラ(Kineret(登録商標))、リロナセプト、若しくはカナキヌマブである。一部の実施形態では、抗炎症剤は、IL-6又はIL-6受容体アンタゴニスト、例えば、抗IL-6抗体又は抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、オロキズマブ、クラザキズマブ、サリルマブ、シルクマブ、シルツキシマブ、又はALX-0061など)である。一部の実施形態では、抗炎症剤は、TNF-αアンタゴニスト、例えば、抗TNFα抗体(インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、ゴリムマブ(Simponi(登録商標))、アダリムマブ(Humira(登録商標))、セルトリズマブペゴル(Cimzia(登録商標))、又はエタネルセプトなど)である。一部の実施形態では、抗炎症剤は、コルチコステロイドである。コルチコステロイドの例としては、コルチゾン(ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンリン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾンコハク酸ナトリウム、Ala-Cort(登録商標)、Hydrocort Acetate(登録商標)、ヒドロコルトンリン酸塩Lanacort(登録商標)、Solu-Cortef(登録商標))、デカドロン(デキサメタゾン、デキサメタゾン酢酸塩、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、Dexasone(登録商標)、Diodex(登録商標)、Hexadrol(登録商標)、Maxidex(登録商標))、メチルプレドニゾロン(6-メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン酢酸塩、メチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウム、Duralone(登録商標)、Medralone(登録商標)、Medrol(登録商標)、M-Prednisol(登録商標)、Solu-Medrol(登録商標))、プレドニゾロン(Delta-Cortef(登録商標)、ORAPRED(登録商標)、Pediapred(登録商標)、Prezone(登録商標))、及びプレドニゾン(Deltasone(登録商標)、Liquid Pred(登録商標)、Meticorten(登録商標)、Orasone(登録商標))、及びビスフォスフォネート(例えば、パミドロネート(Aredia(登録商標))、及びゾレドロン酸(Zometac(登録商標)))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
一部の実施形態では、抗がん療法は、抗ホルモン剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、抗ホルモン剤を個体に投与することを含む。抗ホルモン剤は、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する薬剤である。抗ホルモン剤の例としては、抗エストロゲン剤及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)が含まれ、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)、トレミフェン、アロマターゼ阻害剤(副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害する)(例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGACE(登録商標)メゲストロール酢酸塩、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール))、抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、ゴセレリン)、トロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド(特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子(例えば、PKC-α、Raf、H-Ras、及び上皮増殖因子受容体(EGF-R)など)の発現を阻害するオリゴヌクレオチド)、遺伝子療法ワクチンなどのワクチン(例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン)、PROLEUKIN(登録商標)rIL-2、LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤、ABARELIX(登録商標)rmRH、並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体が挙げられる。
【0137】
一部の実施形態では、抗がん療法は、代謝拮抗化学療法剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、代謝拮抗化学療法剤を個体に投与することを含む。代謝拮抗化学療法剤は、代謝産物に構造的に類似しているが、体内で生産的に使用することができない薬剤である。多くの代謝拮抗化学療法剤は、RNA又はDNAの生成を妨げる。代謝拮抗化学療法剤の例としては、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン(XELODA(商標))、6-メルカプトプリン、メトトレキセート、6-チオグアニン、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、アラビノシルシトシン、ARA-C、シタラビン(CYTOSAR-U(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-DOMED)、アゾシトシン、デオキシシトシン、ピリドミデン、フルダラビン(FLUDARA(登録商標))、クラドラビン、及び2-デオキシ-D-グルコースが挙げられる。一部の実施形態では、代謝拮抗化学療法剤は、ゲムシタビンである。ゲムシタビン塩酸塩は、Eli Lillyから商標GEMZAR(登録商標)で販売されている。
【0138】
一部の実施形態では、抗がん療法は、白金ベースの化学療法剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、白金ベースの化学療法剤を個体に投与することを含む。白金ベースの化学療法剤は、分子の不可欠な部分として白金を含む有機化合物を含む化学療法剤である。一部の実施形態では、化学療法剤は、白金剤である。一部のかかる実施形態では、白金剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、又はサトラプラチンから選択される。
【0139】
一部の実施形態では、抗がん療法は、熱ショックタンパク質(HSP)阻害剤、MYC阻害剤、HDAC阻害剤、免疫療法、ネオ抗原、ワクチン、又は細胞療法を含む。一部の実施形態では、抗がん療法は、化学療法薬、VEGF阻害剤、インテグリンβ3阻害剤、スタチン、EGFR阻害剤、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤、MAPK阻害剤、又はCDK4/6阻害剤のうちの1つ以上を含む。
【0140】
一部の実施形態では、抗がん療法は、キナーゼ阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、キナーゼ阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ、ロルラチニブ、ブリグチニブ、エンサルチニブ(X-396)、レポトレクチニブ(TPX-005)、エントレクチニブ(RXDX-101)、AZD3463、CEP-37440、ベリザチニブ(TSR-011)、ASP3026、KRCA-0008、TQ-B3139、TPX-0131、又はTAE684(NVP-TAE684)である。本明細書に提供される方法のいずれかに従って使用され得るALKキナーゼ阻害剤の更なる例は、WO2005016894の実施例3~39に記載される(参照により本明細書に援用される)。
【0141】
一部の実施形態では、抗がん療法は、熱ショックタンパク質(HSP)阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、HSP阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、HSP阻害剤は、KNK423などの汎HSP阻害剤である。一部の実施形態では、HSP阻害剤は、cmHsp70.1、ケルセチン、VER155008、又は17-AADなどのHSP70阻害剤である。一部の実施形態では、HSP阻害剤は、HSP90阻害剤である。一部の実施形態では、HSP90阻害剤は、17-AAD、Debio0932、ガネテスピブ(STA-9090)、レタスピマイシン塩酸塩(レタスピマイシン、IPI-504)、AUY922、アルベスピマイシン(KOS-1022、17-DMAG)、タネスピマイシン(KOS-953、17-AAG)、DS2248、又はAT13387(オナレスピブ)である。一部の実施形態では、HSP阻害剤は、アパトルセン(OGX-427)などのHSP27阻害剤である。
【0142】
一部の実施形態では、抗がん療法は、MYC阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、MYC阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、MYC阻害剤は、MYCi361(NUCC-0196361)、MYCi975(NUCC-0200975)、Omomyc(ドミナントネガティブペプチド)、ZINC16293153(Min9)、10058-F4、JKY-2-169、7594-0035、又はMYC/MAX二量体化及び/若しくはMYC/MAX/DNA複合体形成の阻害剤である。
【0143】
一部の実施形態では、抗がん療法は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、HDAC阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、HDAC阻害剤は、ベリノスタット(PXD101、ベレオダック(登録商標))、SAHA(ボリノスタット、スベロイルアニリドヒドロキサミン、Zolinza(登録商標))、パノビノスタット(LBH589、LAQ-824)、ACY1215(Rocilinostat)、キシノスタット(JNJ-26481585)、アベキシノスタット(PCI-24781)、プラシノスタット(SB939)、ギビノスタット(ITF2357)、レスミノスタット(4SC-201)、トリコスタチンA(TSA)、MS-275(エチノスタット)、ロミデプシン(デプシペプチド、FK228)、MGCD0103(モセチノスタット)、BML-210、CAY10603、バルプロ酸、MC1568、CUDC-907、CI-994(タセジナリン)、Pivanex(AN-9)、AR-42、チダミド(CS055、HBI-8000)、CUDC-101、CHR-3996、MPT0E028、BRD8430、MRLB-223、アピシジン、RGFP966、BG45、PCI-34051、C149(NCC149)、TMP269、Cpd2、T247、T326、LMK235、C1A、HPOB、ネクスツラスタットA、Befexamac、CBHA、フェニル酪酸、MC1568、SNDX275、スクリプタイド、Merck60、PX089344、PX105684、PX117735、PX117792、PX117245、PX105844、Li et al.,Cold Spring Harb Perspect Med(2016)6(10):a026831に記載されている化合物12、又はPX117445である。
【0144】
一部の実施形態では、抗がん療法は、VEGF阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、VEGF阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、VEGF阻害剤は、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、BMS-690514、ラムシルマブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ゴルバチニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、レバンチニブ、アキシチニブ、セジラニブ、チボザニブ、ルシタニブ、セマキサニブ、ニンデンタニブ、レゴラフィニブ、又はアフリベルセプトである。
【0145】
一部の実施形態では、抗がん療法は、インテグリンβ3阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、インテグリンβ3阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、インテグリンβ3阻害剤は、抗avb3(クローンLM609)、シレンギチド(EMD121974、NSC、707544)、siRNA、GLPG0187、MK-0429、CNTO95、TN-161、エタラシズマブ(MEDI-522)、インテツムマブ(CNTO95)(抗αVサブユニット抗体)、アビツズマブ(EMD525797/DI17E6)(抗αVサブユニット抗体)、JSM6427、SJ749、BCH-15046、SCH221153、又はSC56631である。一部の実施形態では、抗がん療法は、αIIbβ3インテグリン阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、αIIbβ3インテグリン阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、αIIbβ3インテグリン阻害剤は、アブシキシマブ、エプチフィバチド(Integrilin(登録商標))、又はチロフィバン(Aggrastat(登録商標))である。
【0146】
一部の実施形態では、抗がん療法は、スタチン又はスタチンベースの薬剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、スタチン又はスタチンベースの薬剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、スタチン又はスタチンベースの薬剤は、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、又はセリバスタチンである。
【0147】
一部の実施形態では、抗がん療法は、mTOR阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、mTOR阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、mTOR阻害剤は、テムシロリムス(CCI-779)、KU-006379、PP242、トリン1、トリン2、ICSN3250、ラパリンク-1、CC-223、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス(RAD001)、ダクトシリブ(NVP-BEZ235)、GSK2126458、WAY-001、WAY-600、WYE-687、WYE-354、SF1126、XL765、INK128(MLN012)、AZD8055、OSI027、AZD2014、又はAP-23573である。
【0148】
一部の実施形態では、抗がん療法は、PI3K阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、PI3K阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、PI3K阻害剤は、GSK2636771、ブパルリシブ(BKM120)、AZD8186、コパンリシブ(BAY80-6946)、LY294002、PX-866、TGX115、TGX126、BEZ235、SF1126、イデラリシブ(GS-1101、CAL-101)、ピクチリシブ(GDC-094)、GDC0032、IPI145、INK1117(MLN1117)、SAR260301、KIN-193(AZD6482)、デュベリシブ、GS-9820、GSK2636771、GDC-0980、AMG319、パゾバニブ、又はアルペリシブ(BYL719、Piqray)である。
【0149】
一部の実施形態では、抗がん療法は、MAPK阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、MAPK阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、MAPK阻害剤は、SB203580、SKF-86002、BIRB-796、SC-409、RJW-67657、BIRB-796、VX-745、RO3201195、SB-242235、又はMW181である。
【0150】
一部の実施形態では、抗がん療法は、CDK4/6阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、CDK4/6阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、リボシクリブ(Kisqali(登録商標)、LEE011)、パルボシクリブ(PD0332991、Ibrance(登録商標))、又はアベマシクリブ(LY2835219)である。
【0151】
一部の実施形態では、抗がん療法は、EGFR阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、EGFR阻害剤を個体に投与することを含む。一部の実施形態では、EGFR阻害剤は、セツキシマブ、パニツムマブ、ラパチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、ダコミチニブ、イコチニブ、オシメルチニブ(AZD9291)、アファタニブ、オルムチニブ、EGF816(ナザルチニブ)、アビチニブ(AC0010)、ロシレチニブ(CO-1686)、BMS-690514、YH5448、PF-06747775、ASP8273、PF299804、AP26113、又はエルロチニブ。一部の実施形態では、EGFR阻害剤は、ゲフィチニブ又はセツキシマブである。
【0152】
一部の実施形態では、抗がん療法は、がんワクチン、細胞ベースの療法、T細胞受容体(TCR)ベースの療法、アジュバント免疫療法、サイトカイン免疫療法、及び腫瘍溶解性ウイルス療法などのがん免疫療法を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、別の抗がん療法と組み合わせて、がんワクチン、細胞ベースの療法、T細胞受容体(TCR)ベースの療法、アジュバント免疫療法、サイトカイン免疫療法、及び腫瘍溶解性ウイルス療法などのがん免疫療法を個体に施すことを含む。一部の実施形態では、がん免疫療法は、小分子、核酸、ポリペプチド、炭水化物、毒素、細胞ベースの薬剤、又は細胞結合剤を含む。がん免疫療法の例は、本明細書により詳細に記載されているが、限定することを意図するものではない。一部の実施形態では、がん免疫療法は、免疫系の1つ以上の側面を活性化して、ネオ抗原(例えば、本開示のがんによって発現されるネオ抗原)を発現する細胞(例えば、腫瘍細胞)を攻撃する。本開示のがん免疫療法は、医学的判断の対象となる、単剤療法としての使用、又は任意の組み合わせ若しくは数の2つ以上を含む組み合わせアプローチでの使用が企図される。がん免疫療法のいずれも(任意選択的に、単独療法として、又は本明細書に記載の別のがん免疫療法又は他の治療剤と組み合わせて)、本明細書に記載の方法のいずれにも使用することができる。
【0153】
一部の実施形態では、がん免疫療法は、がんワクチンを含む。がんに対する免疫応答を促進するための異なるアプローチを用いた様々ながんワクチンが試験されている(例えば、Emens L A,Expert Opin Emerg Drugs 13(2):295-308(2008)及びUS2019/0367613を参照されたい)。アプローチは、腫瘍に対するB細胞、T細胞、又は専門的な抗原提示細胞の応答を増強するように設計されてきた。がんワクチンの例示的なタイプとしては、DNAベースのワクチン、RNAベースのワクチン、ウイルス形質導入ワクチン、ペプチドベースのワクチン、樹状細胞ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、全腫瘍細胞ワクチン、腫瘍抗原ワクチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、がんワクチンは、予防的又は治療的であり得る。一部の実施形態では、がんワクチンは、ペプチドベースのワクチン、核酸ベースのワクチン、抗体ベースのワクチン、又は細胞ベースのワクチンとして製剤化される。例えば、ワクチン組成物には、カチオン性脂質製剤中の裸のcDNA、リポペプチド(例えば、Vitiello,A.et ah,J.Clin.Invest.95:341,1995)、例えば、ポリ(DL-ラクチド-コ-グリコリド)(「PLG」)マイクロスフェアに封入された裸のcDNA若しくはペプチド(例えば、Eldridge,et ah,Molec.Immunol.28:287-294,1991、Alonso et al,Vaccine 12:299- 306,1994、Jones et al,Vaccine 13:675-681,1995を参照)、免疫刺激複合体(ISCOM)中に含まれるペプチド組成物(例えば、Takahashi et al,Nature 344:873-875,1990、Hu et al,Clin.Exp.Immunol.113:235-243,1998)、又は多重抗原ペプチドシステム(MAP)(例えば、Tam,J.P.,Proc.Natl Acad.Sci.U.S.A.85:5409-5413,1988、Tam,J.P.,J.Immunol.Methods 196:17-32,1996を参照)が含まれ得る。一部の実施形態では、がんワクチンは、ペプチドベースのワクチン又は核酸ベースのワクチン(核酸がポリペプチドをコードする)として製剤化される。一部の実施形態では、がんワクチンは、抗体ベースのワクチンとして製剤化される。一部の実施形態では、がんワクチンは、細胞ベースのワクチンとして製剤化される。一部の実施形態では、がんワクチンは、ペプチドがんワクチンであり、一部の実施形態では個別化ペプチドワクチンである。一部の実施形態では、がんワクチンは、多価長鎖ペプチド、複数ペプチド、ペプチド混合物、ハイブリッドペプチド、又はペプチドパルス樹状細胞ワクチンである(例えば、Yamada et al,Cancer Sci,104:14-21),2013を参照されたい)。一部の実施形態では、かかるがんワクチンは、抗がん応答を増強する。
【0154】
一部の実施形態では、がんワクチンは、ネオ抗原(例えば、本開示のがんによって発現されるネオ抗原)をコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、がんワクチンは、ネオ抗原をコードするDNA又はRNAを含む。一部の実施形態では、がんワクチンは、ネオ抗原をコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、がんワクチンは、抗原提示及び/又は免疫応答を促進する1つ以上の追加の抗原、ネオ抗原、又は他の配列を更に含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、リポソーム又はリポプレックスなどの1つ以上の追加の薬剤と複合体を形成する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、抗原提示細胞(APC)によって取り込まれて翻訳され、次いで、APC細胞表面上のMHCクラスIを介してネオ抗原を提示する。
【0155】
一部の実施形態では、がんワクチンは、sipuleucel-T(Provenge(登録商標)、Dendreon/Valeant Pharmaceuticals)(無症候性又は最小限の症候性転移性去勢抵抗性(ホルモン抵抗性)前立腺がんの治療に承認されている)及びtalimogene laherparepvec(Imlygic(登録商標)、BioVex/Amgen、以前はT-VECとして知られていた)(黒色腫における切除不能な皮膚、皮下、及びリンパ節病変の治療に承認された遺伝子改変腫瘍溶解性ウイルス療法である)から選択される。一部の実施形態では、がんワクチンは、pexastimogene devacirepvec(PexaVec/JX-594、SillaJen/旧Jennerex Biotherapeutics)(肝細胞がん(NCT02562755)及び黒色腫(NCT00429312)に対してGM-CSFを発現するように操作されたチミジンキナーゼ-(TK-)欠損ワクシニアウイルスである)、pelareorep(Reolysin(登録商標)、Oncolytics Biotech)(大腸がん(NCT01622543)、前立腺がん(NCT01619813)、頭頸部扁平上皮がん(NCT01166542)、膵臓腺がん(NCT00998322)、及び非小細胞肺がん(NSCLC)(NCT00861627)を含む多くのがんにおいてRASが活性化されていない細胞では複製しない呼吸器腸内オーファンウイルス(レオウイルス)のバリアントである)、enadenotucirev(NG-348、PsiOxus、以前はColoAdlとして知られていた)(卵巣がん(NCT02028117)、転移性若しくは進行性上皮腫瘍(例えば、大腸がん、膀胱がん、頭頸部扁平上皮がん、及び唾液腺がん(NCT02636036))において完全長CD80及びT細胞受容体CD3タンパク質に特異的な抗体断片を発現するように操作されたアデノウイルスである)、ONCOS-102(Targovax/旧Oncos)(黒色腫(NCT03003676)、及び腹膜疾患、大腸がん、若しくは卵巣がん(NCT02963831)においてGM-CSFを発現するように設計されたアデノウイルスである)、GL-ONC1(GLV-1h68/GLV-1h153、Genelux GmbH)(腹膜がん腫症(NCT01443260)、卵管がん、卵巣がん(NCT02759588)で研究されたそれぞれβ-ガラクトシダーゼ(β-gal)/β-グルコロニダーゼ若しくはβ-gal/ヒトナトリウムヨウ素共輸送体(hNIS)を発現するように操作されたワクシニアウイルスである)、又はCG0070(Cold Genesys)(膀胱がん(NCT02365818)においてGM-CSFを発現するように設計されたアデノウイルスである)、抗gp100、STINGVAX、GVAX、DCVaxL、及びDNX-2401などの腫瘍溶解性ウイルス療法から選択される。一部の実施形態では、がんワクチンは、JX-929(SillaJen/以前のJennerex Biotherapeutics)(プロドラッグ5-フルオロシトシンを細胞傷害性薬物5-フルオロウラシルに変換することができるシトシンデアミナーゼを発現するように設計されたTK欠損及びワクシニア増殖因子欠損ワクシニアウイルスである)、TGO1及びTG02(Targovax/旧Oncos)(治療が困難なRAS変異を標的とするペプチドベースの免疫療法剤である)、TILT-123(TILT Biotherapeutics)(Ad5/3-E2F-δ24-hTNFα-IRES-hIL20と称される改変アデノウイルスである)、VSV-GP(ViraTherapeutics)(抗原特異的なCD8T細胞応答を引き起こすように設計された抗原を発現するように更に操作することができる、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)の糖タンパク質(GP)を発現するように操作された水疱性口内炎ウイルス(VSV)である)から選択される。一部の実施形態では、がんワクチンは、ベクターベースの腫瘍抗原ワクチンを含む。ベクターベースの腫瘍抗原ワクチンは、抗腫瘍免疫応答を刺激するための抗原の安定した供給を提供する方法として使用することができる。一部の実施形態では、腫瘍抗原をコードするベクターを個体に注射し(おそらく、炎症促進剤又はGM-CSFなどの他の誘引剤物質とともに)、インビボで細胞に取り込まれて特定の抗原を生成し、次いで、所望の免疫応答を誘発する。一部の実施形態では、ベクターを使用して一度に複数の腫瘍抗原を送達して、免疫応答を増加させることができる。更に、組換えウイルス、細菌、又は酵母ベクターは、それ自体免疫応答を引き起こす可能性があり、これが全体的な免疫応答を強化する可能性もある。
【0156】
一部の実施形態では、がんワクチンは、DNAベースのワクチンを含む。一部の実施形態では、DNAベースのワクチンを用いて、抗腫瘍応答を刺激することができる。抗原タンパク質をコードするDNAを直接注入して防御免疫応答を誘発する能力は、多数の実験系で実証されている。抗原タンパク質をコードするDNAを直接注入して防御免疫応答を誘発することによるワクチン接種は、多くの場合、細胞性応答と体液性応答の両方を引き起こす。更に、様々な抗原をコードするDNAに対する再現性のある免疫応答がマウスで報告されており、これは本質的に動物の生涯にわたって持続する(例えば、Yankauckas et al.(1993)DNA Cell Biol.,12:771-776を参照されたい)。一部の実施形態では、遺伝子発現に必要な調節エレメントに作動可能に連結されたタンパク質をコードする配列を含むプラスミド(又は他のベクター)DNAが、個体(例えば、ヒト患者、非ヒト哺乳動物など)に投与される。一部の実施形態では、個体の細胞が、投与されたDNAを取り込み、コード配列が発現される。一部の実施形態では、そのように産生された抗原は、免疫応答の対象となる標的になる。
【0157】
一部の実施形態では、がんワクチンは、RNAベースのワクチンを含む。一部の実施形態では、RNAベースのワクチンを用いて、抗腫瘍応答を刺激することができる。一部の実施形態では、RNAベースのワクチンは、自己複製RNA分子を含む。一部の実施形態では、自己複製RNA分子は、アルファウイルス由来のRNAレプリコンであり得る。自己複製RNA(又は「SAM」)分子は、当該技術分野で周知であり、例えば、アルファウイルスに由来する複製要素を使用し、構造ウイルスタンパク質を、目的のタンパク質をコードするヌクレオチド配列で置き換えることによって生成することができる。自己複製RNA分子は、典型的には、細胞への送達後に直接翻訳され得る+鎖分子であり、この翻訳により、送達されたRNAからアンチセンス転写物とセンス転写物の両方を生成するRNA依存性RNAポリメラーゼが提供される。したがって、送達されたRNAは、複数の娘RNAの生産つながる。これらの娘RNA、並びに同一鎖上の(collinear)サブゲノム転写物は、それ自体翻訳されて、コードされたポリペプチドのインサイツ発現を提供するか、又は転写されて、送達されたRNAと同じセンス鎖の更なる転写物(翻訳されて抗原のインサイツ発現を提供する)を提供することができる。
【0158】
一部の実施形態では、がん免疫療法は、細胞ベースの療法を含む。一部の実施形態では、がん免疫療法は、T細胞ベースの療法を含む。一部の実施形態では、がん免疫療法は、養子療法(例えば、養子T細胞ベースの療法)を含む。一部の実施形態では、T細胞は、レシピエントに対して自己又は同種である。一部の実施形態では、T細胞は、CD8+T細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、CD4+T細胞である。養子免疫療法とは、がん又は感染症を治療するための治療的アプローチを指し、細胞ががん細胞に対して直接的又は間接的な特異的免疫を媒介する(すなわち、それに対する免疫応答を開始する)ことを目的として、免疫細胞が宿主に投与される。一部の実施形態では、免疫応答は、腫瘍細胞及び/又は転移細胞の成長及び/又は増殖の阻害をもたらし、関連する実施形態では、腫瘍細胞の死及び/又は再吸収をもたらす。免疫細胞は、異なる生物/宿主に由来し得るか(外因性免疫細胞)、又は対象生物から得られた細胞であり得る(自己免疫細胞)。一部の実施形態では、免疫細胞(例えば、自己又は同種T細胞(例えば、制御性T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、又はγδT細胞)、NK細胞、インバリアントNK細胞、又はNKT細胞)は、操作されたTCR及び/又はキメラ抗原受容体(CAR)などの抗原受容体を発現するように遺伝子操作され得る。例えば、宿主細胞(例えば、自己又は同種T細胞)は、がん抗原に対する抗原特異性を有するT細胞受容体(TCR)を発現するように改変される。一部の実施形態では、NK細胞は、TCRを発現するように操作される。NK細胞は、CARを発現するように更に操作され得る。異なる抗原などに対する複数のCAR及び/又はTCRを、T細胞又はNK細胞などの単一の細胞型に加えることができる。一部の実施形態では、細胞は、1つ以上の抗原受容体をコードする遺伝子工学を介して導入された1つ以上の核酸/発現構築物/ベクター、及びかかる核酸の遺伝子操作された産物を含む。一部の実施形態では、核酸は、異種である。すなわち、別の生物又は細胞から得られたものなど、細胞又は細胞から得られる試料には通常存在せず、例えば、操作される細胞及び/又はそのような細胞が由来する生物には通常見出されない。一部の実施形態では、核酸は、天然には見出されない核酸(例えば、キメラ)など、天然には存在しない。一部の実施形態では、免疫細胞の集団は、療法を必要とする対象、又は免疫細胞の活性の低下に関連する疾患に罹患している対象から得ることができる。したがって、細胞は、療法を必要とする対象にとって自己由来である。一部の実施形態では、ドナー(例えば、組織適合性が一致したドナー)から免疫細胞の集団を得ることができる。一部の実施形態では、免疫細胞集団は、当該対象又はドナーにおいて免疫細胞が存在する末梢血、臍帯血、骨髄、脾臓、又は任意の他の臓器/組織から採取することができる。一部の実施形態では、免疫細胞は、対象及び/又はドナーのプール(例えば、プールされた臍帯血)から単離することができる。一部の実施形態では、免疫細胞の集団が対象とは異なるドナーから得られる場合、得られた細胞が対象に導入され得るという点で対象適合性である限り、ドナーは同種であり得る。一部の実施形態では、同種ドナー細胞は、ヒト白血球抗原(HLA)適合性であってもなくてもよい。一部の実施形態では、対象適合性にするために、同種細胞を処理して免疫原性を低下させることができる。
【0159】
一部の実施形態では、細胞ベースの治療は、T細胞ベースの療法を含み、自己細胞、例えば、腫瘍浸潤リンパ球(TIL);自己DC、リンパ球、人工抗原提示細胞(APC)若しくはT細胞リガンド及び活性化抗体でコーティングされたビーズ、又は標的細胞膜を捕捉することによって単離された細胞を使用してエクスビボで活性化されたT細胞;抗宿主腫瘍T細胞受容体(TCR)を自然に発現する同種細胞;並びに腫瘍反応性TCR若しくはキメラTCR分子(「Tボディ」として知られ、抗体様腫瘍認識能を示す)を発現するように遺伝的に再プログラム若しくは「リダイレクト」された非腫瘍特異的自己又は同種細胞などを含む。機能的な抗腫瘍エフェクター細胞の単離、誘導、操作又は改変、活性化、及び増殖のためのいくつかのアプローチが過去20年間に記載されており、本明細書に提供される方法のいずれかに従って使用することができる。一部の実施形態では、T細胞は、血液、骨髄、リンパ、臍帯、又はリンパ器官に由来する。一部の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、対象から直接単離された細胞及び/又は対象から単離されて凍結された細胞などの初代細胞である。一部の実施形態では、細胞は、機能、活性化状態、成熟度、分化の潜在能力、増殖能、再循環能、局在化能、及び/若しくは持続能、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の器官若しくは区画における存在、マーカー若しくはサイトカイン分泌プロファイル、並びに/又は分化の程度によって定義されるものなど、T細胞又は他の細胞型(例えば、全T細胞集団、CD4細胞、CD8細胞、及びその亜集団)のうちの1つ以上のサブセットを含む。一部の実施形態では、細胞は、同種及び/又は自己であり得る。既製の技術などの一部の実施形態では、細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)などの幹細胞など、多能性(pluripotent)及び/又は多能性(multipotent)である。
【0160】
一部の実施形態では、T細胞ベースの療法は、キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞ベースの療法を含む。このアプローチには、CARの操作が含まれる。CARは、目的の抗原に特異的に結合し、T細胞活性化のための1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。CARは、次いで、操作されたT細胞(CAR-T)の表面に発現され、患者に投与され、抗原を発現するがん細胞に対するT細胞特異的な免疫応答をもたらす。
【0161】
一部の実施形態では、T細胞ベースの療法は、組換えT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞を含む。このアプローチには、目的の抗原に特異的に結合するTCRの特定が含まれる。次いで、これを使用して、操作されたT細胞の表面の内在性又は天然のTCRを置き換える。これを患者に投与すると、抗原を発現しているがん細胞に対して、T細胞特異的な免疫応答がもたらされる。
【0162】
一部の実施形態では、T細胞ベースの療法は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。例えば、TILは、本開示の腫瘍又はがんから単離することができ、次いで、単離し、インビトロで増殖させることができる。これらのTILの一部又は全部は、本開示の腫瘍又はがんによって発現される抗原を特異的に認識することができる。一部の実施形態では、TILは、インビトロで単離された後、1つ以上のネオ抗原(例えば、1つのネオ抗原)に曝露される。次いで、TILが患者に投与される(任意選択的に、1つ以上のサイトカイン又は他の免疫刺激物質と組み合わせて)。
【0163】
一部の実施形態では、細胞ベースの療法は、ナチュラルキラー(NK)細胞ベースの療法を含む。ナチュラルキラー(NK)細胞は、様々な腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、並びに骨髄及び胸腺の一部の正常細胞に対して自発的な細胞傷害性を有するリンパ球の亜集団である。NK細胞は、形質転換細胞及びウイルス感染細胞に対する初期の自然免疫応答の重要なエフェクターである。NK細胞は、ヒトのCD16、CD56、CD8などの特定の表面マーカーによって検出することができる。NK細胞は、T細胞抗原受容体、汎TマーカーCD3、又は表面免疫グロブリンB細胞受容体を発現しない。一部の実施形態では、NK細胞は、当該技術分野で周知の方法によって、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、未刺激白血球除去産物(PBSC)、ヒト胚性幹細胞(hESC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、骨髄、又は臍帯血から得られる。
【0164】
一部の実施形態では、細胞ベースの治療は、樹状細胞(DC)ベースの療法(例えば、樹状細胞ワクチン)を含む。一部の実施形態では、DCワクチンは、患者又はドナーから採取される、特異的T細胞免疫を誘導することができる抗原提示細胞を含む。一部の実施形態では、次いで、DCワクチンをインビトロでペプチド抗原に曝露することができ、そのためのT細胞が患者において生成される。一部の実施形態では、抗原が負荷された樹状細胞は、次いで、患者に注射して戻される。一部の実施形態では、必要に応じて、免疫化を複数回繰り返すことができる。樹状細胞を、採取、増殖、及び投与する方法は、当該技術分野で既知である(例えば、WO2019/178081を参照されたい)。樹状細胞ワクチン(例えば、APC8015及びPROVENGE(登録商標)としても知られているSipuleucel-T)は、患者の免疫系に1つ以上のがん特異的抗原を提示するAPCとして機能する樹状細胞の投与を伴うワクチンである。一部の実施形態では、樹状細胞は、レシピエントにとって自己又は同種である。
【0165】
一部の実施形態では、がん免疫療法は、TCRベースの療法を含む。一部の実施形態では、がん免疫療法は、本開示のがんによって発現される抗原に特異的に結合する1つ以上のTCR又はTCRベースの治療薬の投与を含む。一部の実施形態では、TCRベースの治療薬は、T細胞表面タンパク質又は受容体に特異的に結合する抗体若しくは抗体断片(例えば、抗CD3抗体若しくは抗体断片)などの、免疫細胞(例えば、T細胞)に結合する部分を更に含み得る。
【0166】
一部の実施形態では、免疫療法は、アジュバント免疫療法を含む。アジュバント免疫療法は、自然免疫系の構成要素を活性化する1つ以上の薬剤、例えば、TLR7経路を標的とするHILTONOL(登録商標)(イミキモド)の使用を含む。
【0167】
一部の実施形態では、免疫療法は、サイトカイン免疫療法を含む。サイトカイン免疫療法は、免疫系の構成要素を活性化する1つ以上のサイトカインの使用を含む。例としては、アルデスロイキン(PROLEUKIN(登録商標)、インターロイキン-2)、インターフェロンα-2a(ROFERON(登録商標)-A)、インターフェロンα-2b(INTRON(登録商標)-A)、及びPEGインターフェロンα-2b(PEGINTRON(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
一部の実施形態では、免疫療法は、腫瘍溶解性ウイルス療法を含む。腫瘍溶解性ウイルス療法では、遺伝子改変ウイルスを使用してがん細胞で複製し、それを殺傷して、免疫応答を刺激する抗原を放出する。一部の実施形態では、腫瘍抗原を発現する複製可能な腫瘍溶解性ウイルスは、任意の天然に存在する(例えば、「フィールドソース」からの)又は改変された複製可能な腫瘍溶解性ウイルスを含む。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍抗原を発現することに加えて、がん細胞に対するウイルスの選択性を高めるために改変され得る。一部の実施形態では、複製能力のある腫瘍溶解性ウイルスには、ミオウイルス科、サイフォウイルス科、ポドウイルス科、テシウイルス科、コルチコウイルス科、プラズマウイルス科、リポスリクスウイルス科、フセロウイルス科、ポキシイリダ科、イリドウイルス科、フィコドナウイルス科、バキュロウイルス科、ヘルペスウイルス科、アドノウイルス科、パポバウイルス科、ポリドナウイルス科、イノウイルス科、ミクロウイルス科、ジェミニウイルス科、サーコウイルス科、パルボウイルス科、ヘパドナウイルス科、レトロウイルス科、サイトウイルス科、レオウイルス科、ビルナウイルス科、パラミクソウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、オルソミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、アレナウイルス科、レビウイルス科、ピコルナウイルス科、セキウイルス科、コモウイルス科、ポティウイルス科、カリシウイルス科、アストロウイルス科、ノダウイルス科、テトラウイルス科、トンブスウイルス科、コロナウイルス科、グラビウイルス科、トガウイルス科、及びバルナウイルス科のメンバーである腫瘍溶解性ウイルスが含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、複製能力のある腫瘍崩壊ウイルスには、アデノウイルス、レトロウイルス、レオウイルス、ラブドウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、ポリオーマウイルス、ワクシニアウイルス(VacV)、単純ヘルペスウイルス、ピコルナウイルス、コクサッキーウイルス、及びパルボウイルスが含まれる。一部の実施形態では、腫瘍抗原を発現する複製性の腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、ウイルスのがん選択性を高めるために、1つ以上の機能的な遺伝子を欠くように操作され得る。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、チミジンキナーゼ(TK)活性を欠くように操作される。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、ワクシニアウイルス増殖因子(VGF)を欠くように操作され得る。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、VGF及びTK活性の両方を欠くように操作され得る。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、E3L、K3L、B18R、又はB8Rなどの宿主インターフェロン(IFN)応答の回避に関与する1つ以上の遺伝子を欠くように操作され得る。一部の実施形態では、複製性の腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Western Reserve株、Copenhagen株、Lister株、又はWyeth株であり、機能的なTK遺伝子を欠いている。一部の実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、機能的なB18R及び/又はB8R遺伝子を欠くWestern Reserve株、Copenhagen株、Lister株、又はWyeth株である。一部の実施形態では、腫瘍抗原を発現する複製性の腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、例えば、腫瘍内、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、頭蓋内、皮下、又は鼻腔内投与を介して、対象に、局所的又は全身的に投与され得る。
【0169】
以下の例示的な実施形態は、本発明の一部の態様を代表するものである:
実施形態1.ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出する方法であって、
個体由来の試料から得られた複数の核酸を提供することであって、複数の核酸が、HLA遺伝子をコードする核酸を含む、提供することと、
任意選択的に、複数の核酸からの1つ以上の核酸に、1つ以上のアダプターをライゲーションすることと、
複数の核酸から核酸を増幅することと、
HLA遺伝子に対応する複数の核酸を捕捉することであって、HLA遺伝子に対応する複数の核酸が、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって増幅された核酸から捕捉される、捕捉することと、
シーケンサーによって、捕捉された核酸を配列決定して、HLA遺伝子に対応する複数の配列リードを取得することと、
1つ以上のプロセッサによって、複数の配列リードのうちの1つ以上に関連する1つ以上の値をモデルに適合させることと、
モデルに基づいて、HLA遺伝子のLOH及びHLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向を検出することと、を含む、方法。
実施形態2.HLA遺伝子のLOH及びHLA遺伝子のHLAアレルについての相対的な結合傾向が、
a)HLAアレルについて観察されたアレル頻度を取得することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応する、取得することと、
b)HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を取得することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、取得することと、
c)目的関数を適用して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)最適化モデルを適用して、目的関数を最小化することと、
e)最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、によって検出される、実施形態1に記載の方法。
実施形態3.HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を投与することを更に含む、実施形態1又は2に記載の方法。
実施形態4.HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を推奨することを更に含む、実施形態1又は2に記載の方法。
実施形態5.試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)を検出すること、又はその知識を獲得することを更に含む、実施形態1又は2に記載の方法。
実施形態6.HLA遺伝子のLOH及び高TMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を投与することを更に含む、実施形態5に記載の方法。
実施形態7.HLA遺伝子のLOH及び高TMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療を推奨することを更に含む、実施形態5に記載の方法。
実施形態8.HLA遺伝子が、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態9.(1)の前に、試料から複数の核酸を抽出することを更に含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
実施形態10.試料が、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11.試料が、非腫瘍細胞を更に含む、実施形態10に記載の方法。
実施形態12.試料が、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである、実施形態10に記載の方法。
実施形態13.試料が、腫瘍セルフリーDNA(cfDNA)を含む、実施形態10に記載の方法。
実施形態14.試料が、流体、細胞、又は組織を含む、実施形態10に記載の方法。
実施形態15.試料が、血液又は血漿を含む、実施形態14に記載の方法。
実施形態16.試料が、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む、実施形態10に記載の方法。
実施形態17.個体からの試料が、核酸試料である、実施形態16に記載の方法。
実施形態18.核酸試料が、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む、実施形態17に記載の方法。
実施形態19.TMBが、配列決定されたゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される、実施形態5~18のいずれか1つに記載の方法。
実施形態20.
各反応が、多型遺伝子の異なるアレルに結合するベイト分子に対応し、各反応が、対応するアレル画分の捕捉をもたらし、
複数の化学反応が、反応の第1のサブセット及び反応の第2のサブセットからなり、第1及び第2のサブセットが、共通の反応を共有せず、第1及び第2のサブセットが、各々、少なくとも1つの化学反応を含むように、複数の化学反応を特定することと、
各化学反応の結合傾向及び各捕捉されたアレルのアレル画分をまとめて関連付ける複数の方程式を特定することと、
複数の化学反応の第1のサブセットの相対的な結合傾向を経験的に特定することと、
総誤差を最小化することによって、第2のサブセットの相対的な結合傾向を特定することと、を含む、方法。
実施形態21.総誤差を最小化することが、相対的な結合傾向の中央値が1に等しいという制約を受ける、実施形態20に記載の方法。
実施形態22.1つの相対的な結合傾向が、1に等しく設定される、実施形態20に記載の方法。
実施形態23.総誤差を最小化することが、最小二乗手順を実行することを含む、実施形態20に記載の方法。
実施形態24.
ハイブリッド捕捉プロセスを実行して、患者のDNA試料における生のアレル頻度を測定することと、
相対的な結合傾向の第1及び第2のサブセットを使用して、測定された生のアレル頻度をスケーリングし、それによって、サンプリングバイアスを軽減することと、を更に含む、実施形態20に記載の方法。
実施形態25.多型遺伝子が、ヒト白血球抗原遺伝子を含む、実施形態20に記載の方法。
実施形態26.多型遺伝子が、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である、実施形態20に記載の方法。
実施形態27.患者が、ヘテロ接合性の喪失を経験したかどうかを判断することを更に含む、実施形態24に記載の方法。
実施形態28.システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のコンピュータプログラム命令を記憶するように構成されたメモリと、を備え、1つ以上のコンピュータプログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、
各反応が、多型遺伝子の異なるアレルに結合するベイト分子に対応し、各反応が、対応するアレル画分の捕捉をもたらし、
複数の化学反応が、反応の第1のサブセット及び反応の第2のサブセットからなり、第1及び第2のサブセットが、共通の反応を共有せず、第1及び第2のサブセットが、各々、少なくとも1つの化学反応を含むように、複数の化学反応を特定することと、
各化学反応の結合傾向及び各捕捉されたアレルのアレル画分をまとめて関連付ける複数の方程式を特定することと、
複数の化学反応の第1のサブセットの経験的に特定された相対的な結合傾向を受信することと、
総誤差を最小化することによって、第2のサブセットの相対的な結合傾向を特定することと、を行うように構成される、システム。
実施形態29.総誤差を最小化することが、相対的な結合傾向の中央値が1に等しいという制約を受ける、実施形態28に記載のシステム。
実施形態30.1つの相対的な結合傾向が、1に等しく設定される、実施形態28に記載のシステム。
実施形態31.総誤差を最小化することが、最小二乗手順を実行することを含む、実施形態28に記載のシステム。
実施形態32.1つ以上のコンピュータプログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、
1つ以上のプロセッサで、患者のDNA試料における測定された生のアレル頻度を受信することであって、測定された生のアレル頻度が、ハイブリッド捕捉プロセスを実行することによって測定された、受信することと、
1つ以上のプロセッサで、相対的な結合傾向の第1及び第2のサブセットを使用して、測定された生のアレル頻度をスケーリングし、それによって、サンプリングバイアスを軽減することと、を行うように更に構成される、実施形態28に記載のシステム。
実施形態33.多型遺伝子が、ヒト白血球抗原遺伝子を含む、実施形態28に記載のシステム。
実施形態34.多型遺伝子が、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である、実施形態28に記載のシステム。
実施形態35.方法が、1つ以上のプロセッサで、患者がヘテロ接合性の喪失を経験したかどうかを判断することを更に含む、実施形態32に記載のシステム。
実施形態36.アレル頻度を決定するための方法であって、
a)1つ以上のプロセッサで、遺伝子のアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
b)1つ以上のプロセッサで、アレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、アレルの相対的な結合傾向は、遺伝子の1つ以上の他のアレルの一部をコードする核酸の存在下、アレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、アレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、
e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、アレルの調整されたアレル頻度を決定することと、を含む、方法。
実施形態37.最適化モデルが、最小二乗最適化モデルである、実施形態36に記載の方法。
実施形態38.最適化モデルが、1つ以上の制約を受ける、実施形態36又は37に記載の方法。
実施形態39.1つ以上の制約が、遺伝子の複数のアレルについての相対的な結合傾向の中央値が1に等しいことを必要とする、実施形態38に記載の方法。
実施形態40.観察されたアレル頻度が、参照値と比較して、複数の配列リード間で検出されたアレルの少なくとも一部をコードする核酸の相対頻度に対応する、実施形態36~39のいずれか1つに記載の方法。
実施形態41.参照値が、配列リードの総数である、実施形態40に記載の方法。
実施形態42.参照値が、参照遺伝子に対応する配列リードの数である、実施形態40に記載の方法。
実施形態43.遺伝子が、主要組織適合性(MHC)クラスI分子をコードするヒト白血球抗原(HLA)遺伝子である、実施形態36~42のいずれか1つに記載の方法。
実施形態44.遺伝子が、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である、実施形態36~42のいずれか1つに記載の方法。
実施形態45.調整されたアレル頻度を決定した後、調整されたアレル頻度に少なくとも部分的に基づいて、遺伝子がヘテロ接合性の喪失(LOH)を受けたと判断することを更に含む、実施形態36~44のいずれか1つに記載の方法。
実施形態46.複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された核酸に対して次世代配列決定(NGS)、全エキソーム配列決定、又はメチル化配列決定を実行することによって得られた、実施形態36~45のいずれか1つに記載の方法。
実施形態47.観察されたアレル頻度を受信する前に、複数の配列リードを取得するために、複数のポリヌクレオチドを、次世代配列決定(NGS)、全エキソーム配列決定、又はメチル化配列決定によって配列決定することを更に含み、複数のポリヌクレオチドが、アレルの少なくとも一部をコードする核酸を含む、実施形態36~46のいずれか1つに記載の方法。
実施形態48.複数のポリヌクレオチドを配列決定する前に、
ハイブリダイゼーションに好適な条件下で、ポリヌクレオチドの混合物をベイト分子と接触させることであって、混合物が、ベイト分子とハイブリダイズすることができる複数のポリヌクレオチドを含む、接触させることと、
ベイト分子とハイブリダイズした複数のポリヌクレオチドを単離することであって、ベイト分子とハイブリダイズした単離された複数のポリヌクレオチドが配列決定される、単離することと、を更に含む、実施形態47に記載の方法。
実施形態49.ポリヌクレオチドの混合物をベイト分子と接触させる前に、
個体から試料を取得することであって、試料が腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む、取得することと、
試料からポリヌクレオチドの混合物を抽出することであって、ポリヌクレオチドの混合物が腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸からのものである、抽出することと、を更に含む、実施形態48に記載の方法。
実施形態50.試料が、非腫瘍細胞を更に含む、実施形態49に記載の方法。
実施形態51.試料が、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである、実施形態49に記載の方法。
実施形態52.試料が、腫瘍セルフリーDNA(cfDNA)を含む、実施形態49に記載の方法。
実施形態53.
(1)1つ以上のプロセッサで、遺伝子の2つ以上のアレルの各々について観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたそれぞれのアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
(2)1つ以上のプロセッサで、2つ以上のアレルの各々のベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、2つ以上のアレルの第2のアレルが、2つ以上のアレルの第1のアレルよりも、ベイト分子に対して低い相対的な結合傾向を有する、受信することと、
(3)1つ以上のプロセッサによって、第2のベイト分子を特定することであって、2つ以上のアレルの第2のアレルが、第1のベイト分子よりも第2のベイト分子に対して高い相対的な結合傾向を有する、特定することと、を更に含む、実施形態36~52のいずれか1つに記載の方法。
実施形態54.第2のベイト分子が、2つ以上のアレルの第2のアレルの少なくとも一部に相補的な配列を含む、実施形態53に記載の方法。
実施形態55.デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行される1つ以上のプログラムを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、1つ以上のプログラムが、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、実施形態36~46、53、及び54のいずれか1つに記載の方法をデバイスに実行させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態56.ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出するための方法であって、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、
e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、を含む、方法。
実施形態57.HLA遺伝子が、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である、実施形態56に記載の方法。
実施形態58.複数の配列リードが、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む試料から得られた核酸を配列決定することによって得られた、実施形態56又は57に記載の方法。
実施形態59.試料が、非腫瘍細胞を更に含む、実施形態58に記載の方法。
実施形態60.試料が、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである、実施形態58に記載の方法。
実施形態61.試料が、腫瘍セルフリーDNA(cfDNA)を含む、実施形態58に記載の方法。
実施形態62.試料が、流体、細胞、又は組織を含む、実施形態58に記載の方法。
実施形態63.試料が、血液又は血漿を含む、実施形態62に記載の方法。
実施形態64.試料が、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む、実施形態58に記載の方法。
実施形態65.試料が、核酸試料である、実施形態58に記載の方法。
実施形態66.核酸試料が、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む、実施形態65に記載の方法。
実施形態67.免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療から恩恵を受ける可能性のある、がんを有する個体を特定する方法であって、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することを含み、HLA遺伝子のLOHが、実施形態36~66のいずれか1つに記載の方法に従って検出される、方法。
実施形態68.がんを有する個体のための療法を選択する方法であって、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することを含み、HLA遺伝子のLOHが、実施形態36~66のいずれか1つに記載の方法に従って検出される、方法。
実施形態69.がんを有する個体の1つ以上の治療選択肢を特定する方法であって、
(a)個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することであって、HLA遺伝子のLOHが、実施形態36~66のいずれか1つに記載の方法に従って検出される、獲得することと、
(b)当該知識に少なくとも部分的に基づいて、個体に対して特定された1つ以上の治療選択肢を含むレポートを生成することと、を含む、方法。
実施形態70.試料におけるHLA遺伝子のLOHは、個体がICIを含む治療から恩恵を受ける可能性が高くないことを示す、実施形態67~69のいずれか1つに記載の方法。
実施形態71.1つ以上の治療選択肢が、ICIを含む治療を含まない、実施形態70に記載の方法。
実施形態72.がんを有する個体のための治療を選択する方法であって、がんを有する個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHが、実施形態36~66のいずれか1つに記載の方法に従って検出され、当該知識の獲得に応答して、(i)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療を受けない候補として分類され、(ii)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療に応答する可能性が高くないと特定され、かつ/又は(iii)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を受ける候補として分類される、方法。
実施形態73.免疫チェックポイント阻害剤(ICI)で治療されたがんを有する個体の生存期間を予測する方法であって、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHが、実施形態36~66のいずれか1つに記載の方法に従って検出され、当該知識の獲得に応答して、がんがHLA遺伝子のLOHを示さないICIで治療された個体の生存期間と比較して、ICIによる治療後、個体がより短い生存期間を有すると予測される、方法。
実施形態74.がんを有する個体を監視する方法であって、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHが、実施形態36~66のいずれか1つに記載の方法に従って検出され、当該知識の獲得に応答して、がんがHLA遺伝子のLOHを示さない個体と比較して、個体が増加した再発のリスクを有すると予測される、方法。
実施形態75.がんを有する個体を評価する方法であって、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHが、実施形態36~66のいずれか1つに記載の方法に従って検出され、HLA遺伝子のLOHにより、がんがHLA遺伝子のLOHを示さない個体と比較して、個体が増加した再発のリスクを有すると特定される、方法。
実施形態76.がんを有する個体をスクリーニングする方法であって、個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することを含み、HLA遺伝子のLOHが、実施形態36~66のいずれか1つに記載の方法に従って検出され、当該知識の獲得に応答して、がんがHLA遺伝子のLOHを示さない個体と比較して、個体が増加した再発のリスクを有すると予測される、方法。
実施形態77.HLA遺伝子のLOHが、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
c)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定する目的関数を決定することと、
d)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を最小化するように構成された最適化モデルを決定することと、
e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、によって決定される、実施形態67~76のいずれか1つに記載の方法。
実施形態78.がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、
(1)個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することであって、HLA遺伝子のLOHが、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信すること、
b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信すること、
c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定すること、
d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化すること、
e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定すること、並びに
f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断すること、によって検出される、検出することと、
(2)HLA遺伝子のLOHの検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)以外の治療を投与することと、を含む、方法。
実施形態79.がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、
(1)個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如を検出することであって、HLA遺伝子のLOHの欠如が、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信すること、
b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信すること、
c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定すること、
d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化すること、
e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定すること、並びに
f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも大きい場合、LOHが発生しなかったと判断すること、によって検出される、検出することと、
(2)HLA遺伝子のLOHの欠如の検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を投与することと、を含む、方法。
実施形態80.ICIが、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、又はCTLA-4阻害剤を含む、実施形態67~79のいずれか1つに記載の方法。
実施形態81.個体から得られた試料における腫瘍変異負荷(TMB)を検出することを更に含む、実施形態67~80のいずれか1つに記載の方法。
実施形態82.個体から得られた試料における腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することを更に含む、実施形態67~80のいずれか1つに記載の方法。
実施形態83.治療又は1つ以上の治療選択肢が、第2の治療剤を更に含む、実施形態67~82のいずれか1つに記載の方法。
実施形態84.試料におけるHLA遺伝子のLOH及び高TMBは、個体が免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療から恩恵を受ける可能性が高いことを示す、実施形態67~69及び72~83のいずれか1つに記載の方法。
実施形態85.1つ以上の治療選択肢が、ICIを含む治療を含む、実施形態84に記載の方法。
実施形態86.HLA遺伝子のLOH及び高TMBが、個体から得られた同じ試料において検出される、実施形態81~85のいずれか1つに記載の方法。
実施形態87.HLA遺伝子のLOH及び高TMBが、個体から得られた異なる試料において検出される、実施形態81~85のいずれか1つに記載の方法。
実施形態88.がんを有する個体のための治療を選択する方法であって、(a)がんを有する個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の消失(LOH)の知識を獲得することであって、HLA遺伝子のLOHが、実施形態36~66のいずれか1つに記載の方法に従って検出される、獲得することと、(b)がんを有する個体からの試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することと、を含み、(a)及び(b)における当該知識の獲得に応答して、(i)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療を受ける候補として分類され、(ii)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療に応答する可能性が高いと特定され、かつ/又は(iii)個体が、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療を受ける候補として分類される、方法。
実施形態89.免疫チェックポイント阻害剤(ICI)で治療されたがんを有する個体の生存期間を予測する方法であって、(a)個体からの試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の知識を獲得することであって、HLA遺伝子のLOHが、実施形態36~66のいずれか1つに記載の方法に従って検出される、獲得することと、(b)個体からの試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得することと、を含み、(a)及び(b)における当該知識の獲得に応答して、がんが高TMBを伴わずにHLA遺伝子のLOHを有する、ICIで治療された個体の生存期間と比較して、ICIによる治療後、個体がより長い生存期間を有すると予測される、方法。
実施形態90.がんを治療する方法又はがんの進行を遅らせる方法であって、
(1)個体から得られた試料におけるヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)を検出することであって、HLA遺伝子のLOHが、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信すること、
b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信すること、
c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定すること、
d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化すること、
e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定すること、並びに
f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断すること、によって検出される、検出することと、
(2)個体から得られた試料における高い腫瘍変異負荷(TMB)を検出することと、
(3)HLA遺伝子のLOH及び高TMBの検出に少なくとも部分的に基づいて、個体に、有効量の、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む治療を投与することと、を含む、方法。
実施形態91.
1つ以上のプロセッサを使用して、
各反応が、多型遺伝子の異なるアレルに結合するベイト分子に対応し、各反応が、対応するアレル画分の捕捉をもたらし、
複数の化学反応が、反応の第1のサブセット及び反応の第2のサブセットからなり、第1及び第2のサブセットが、共通の反応を共有せず、第1及び第2のサブセットが、各々、少なくとも1つの化学反応を含むように、複数の化学反応を特定することと、
1つ以上のプロセッサを使用して、各化学反応の結合傾向及び各捕捉されたアレルのアレル画分をまとめて関連付ける複数の方程式を特定することと、
1つ以上のプロセッサで、複数の化学反応の第1のサブセットの経験的に特定された相対的な結合傾向を受信することと、
1つ以上のプロセッサを使用して、総誤差を最小化することによって、第2のサブセットの相対的な結合傾向を特定することと、を含む方法を実行するための1つ以上のコンピュータプロセッサによって実行可能な1つ以上のプログラムを含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態92.総誤差を最小化することが、相対的な結合傾向の中央値が1に等しいという制約を受ける、実施形態91に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態93.1つの相対的な結合傾向が、1に等しく設定される、実施形態91に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態94.総誤差を最小化することが、最小二乗手順を実行することを含む、実施形態91に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態95.方法が、
1つ以上のプロセッサで、患者のDNA試料における測定された生のアレル頻度を受信することであって、測定された生のアレル頻度が、ハイブリッド捕捉プロセスを実行することによって測定された、受信することと、
1つ以上のプロセッサで、相対的な結合傾向の第1及び第2のサブセットを使用して、測定された生のアレル頻度をスケーリングし、それによって、サンプリングバイアスを軽減することと、を更に含む、実施形態91に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態96.多型遺伝子が、ヒト白血球抗原遺伝子を含む、実施形態91に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態97.多型遺伝子が、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である、実施形態91に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態98.方法が、1つ以上のプロセッサで、患者がヘテロ接合性の喪失を経験したかどうかを判断することを更に含む、実施形態95に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態99.個体におけるがんを治療する又はその進行を遅らせる方法で使用するための免疫チェックポイント阻害剤(ICI)であって、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如が、個体から得られた試料において、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、
e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも大きい場合、LOHが発生しなかったと判断することと、によって検出されている、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)。
実施形態100.個体におけるがんを治療する又はその進行を遅らせる方法で使用するための免疫チェックポイント阻害剤(ICI)であって、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)及び高い腫瘍変異負荷(TMB)が、個体から得られた試料において、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、
e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、
g)個体から得られた試料における高TMBの知識を獲得又は検出することと、によって検出されている、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)。
実施形態101.個体におけるがんを治療する又はその進行を遅らせるための薬剤の製造で使用するための免疫チェックポイント阻害剤(ICI)であって、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)及び高い腫瘍変異負荷(TMB)が、個体から得られた試料において、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、
e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、
g)個体から得られた試料における高TMBの知識を獲得又は検出することと、によって検出されている、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)。
実施形態102.個体におけるがんを治療する又はその進行を遅らせるための薬剤の製造で使用するための免疫チェックポイント阻害剤(ICI)であって、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のヘテロ接合性の喪失(LOH)の欠如が、個体から得られた試料において、
a)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
b)1つ以上のプロセッサで、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
c)1つ以上のプロセッサによって、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
d)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、
e)1つ以上のプロセッサによって、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
f)1つ以上のプロセッサによって、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも大きい場合、LOHが発生しなかったと判断することと、によって検出されている、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)。
実施形態103.システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のコンピュータプログラム命令を記憶するように構成されたメモリと、を備え、1つ以上のコンピュータプログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、
各反応が、多型遺伝子の異なるアレルに結合するベイト分子に対応し、各反応が、対応するアレル画分の捕捉をもたらし、
複数の化学反応が、反応の第1のサブセット及び反応の第2のサブセットからなり、第1及び第2のサブセットが、共通の反応を共有せず、第1及び第2のサブセットが、各々、少なくとも1つの化学反応を含むように、複数の化学反応を特定することと、
各化学反応の結合傾向及び各捕捉されたアレルのアレル画分をまとめて関連付ける複数の方程式を特定することと、
複数の化学反応の第1のサブセットの経験的に特定された相対的な結合傾向を受信することと、
総誤差を最小化することによって、第2のサブセットの相対的な結合傾向を特定することと、を行うように構成される、システム。
実施形態104.総誤差を最小化することが、相対的な結合傾向の中央値が1に等しいという制約を受ける、実施形態103に記載のシステム。
実施形態105.1つの相対的な結合傾向が、1に等しく設定される、実施形態103に記載のシステム。
実施形態106.総誤差を最小化することが、最小二乗手順を実行することを含む、実施形態103に記載のシステム。
実施形態107.1つ以上のコンピュータプログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、
患者のDNA試料における測定された生のアレル頻度を受信することであって、測定された生のアレル頻度が、ハイブリッド捕捉プロセスを実行することによって測定された、受信することと、
相対的な結合傾向の第1及び第2のサブセットを使用して、測定された生のアレル頻度をスケーリングし、それによって、サンプリングバイアスを軽減することと、を行うように更に構成される、実施形態103に記載のシステム。
実施形態108.多型遺伝子が、ヒト白血球抗原遺伝子を含む、実施形態103に記載のシステム。
実施形態109.多型遺伝子が、ST7/RAY1、ARH1/NOEY2、TSLC1、RB、PTEN、SMAD2、SMAD4、DCC、TP53、ATM、miR-15a、miR-16-1、NAT2、BRCA1、BRCA2、hOGG1、CDH1、IGF2、CDKN1C/P57、MEN1、PRKAR1A、H19、KRAS、BAP1、PTCH1、SMO、SUFU、NOTCH1、PPP6C、LATS1、CASP8、PTPN14、ARID1A、FBXW7、M6P/IGF2R、IFN-α、嗅覚受容体遺伝子、CBFA2T3、DUTT1、FHIT、APC、P16、FCMD、TSC2、miR-34、c-MPL、RUNX3、DIRAS3、NRAS、miR-9、FAM50B、PLAGL1、ER、FLT3、ZDBF2、GPR1、c-KIT、NAP1L5、GRB10、EGFR、PEG10、BRAF、MEST、JAK2、DAPK1、LIT1、WT1、NF-1、PR、c-CBL、DLK1、AKT1、SNURF、シトクロムP450遺伝子(CYP)、ZNF587、SOCS1、TIMP2、RUNX1、AR、CEBPA、C19MC、EMP3、ZNF331、CDKN2A、PEG3、NNAT、GNAS、又はGATA5である、実施形態103に記載のシステム。
実施形態110.1つ以上のコンピュータプログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、患者がヘテロ接合性の喪失を経験したかどうかを判断するように更に構成される、実施形態107に記載のシステム。
実施形態111.
1つ以上のプロセッサを使用して、HLAアレルについて観察されたアレル頻度を受信することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、受信することと、
1つ以上のプロセッサを使用して、HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を受信することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、受信することと、
1つ以上のプロセッサを使用して、目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
1つ以上のプロセッサを使用して、最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、
1つ以上のプロセッサを使用して、最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
1つ以上のプロセッサを使用して、HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、を含む方法を実行するための1つ以上のコンピュータプロセッサによって実行可能な1つ以上のプログラムを含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態112.HLA遺伝子が、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である、実施形態111に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態113.複数の配列リードが、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む試料から得られた核酸を配列決定することによって得られた、実施形態111又は112に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態114.試料が、非腫瘍細胞を更に含む、実施形態113に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態115.試料が、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである、実施形態113に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態116.試料が、腫瘍セルフリーDNA(cfDNA)を含む、実施形態113に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態117.試料が、流体、細胞、又は組織を含む、実施形態113に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態118.試料が、血液又は血漿を含む、実施形態117に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態119.試料が、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む、実施形態113に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態120.試料が、核酸試料である、実施形態113に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態121.核酸試料が、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む、実施形態120に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態122.方法が、
1つ以上のプロセッサを使用して、複数の配列リードから腫瘍変異負荷(TMB)を決定することを更に含み、複数の配列リードが、ゲノムの少なくとも一部の核酸を配列決定することによって得られた、実施形態111~121のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態123.TMBが、配列決定されたゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される、実施形態122に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施形態124.システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のコンピュータプログラム命令を記憶するように構成されたメモリと、を備え、1つ以上のコンピュータプログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、
HLAアレルについて観察されたアレル頻度を決定することであって、観察されたアレル頻度が、HLA遺伝子に対応する複数の配列リード間で検出されたHLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸の頻度に対応し、複数の配列リードが、ベイト分子とのハイブリダイゼーションによって捕捉された遺伝子又はその一部をコードする核酸を配列決定することによって得られた、決定することと、
HLAアレルのベイト分子に対する相対的な結合傾向を決定することであって、HLAアレルの相対的な結合傾向は、1つ以上の他のHLAアレルの一部をコードする核酸の存在下、HLAアレルの少なくとも一部をコードする核酸がベイト分子に結合する傾向に対応する、決定することと、
目的関数を実行して、HLAアレルの相対的な結合傾向と観察されたアレル頻度との間の差を測定することと、
最適化モデルを実行して、目的関数を最小化することと、
最適化モデル及び観察されたアレル頻度に基づいて、HLAアレルの調整されたアレル頻度を決定することと、
HLAアレルの調整されたアレル頻度が所定の閾値よりも小さい場合、LOHが発生したと判断することと、を行うように構成される、システム。
実施形態125.HLA遺伝子が、ヒトHLA-A、HLA-B、又はHLA-C遺伝子である、実施形態124に記載のシステム。
実施形態126.複数の配列リードが、腫瘍細胞及び/又は腫瘍核酸を含む試料から得られた核酸を配列決定することによって得られた、実施形態124又は125に記載のシステム。
実施形態127.試料が、非腫瘍細胞を更に含む、実施形態126に記載のシステム。
実施形態128.試料が、腫瘍生検又は腫瘍標本からのものである、実施形態126に記載のシステム。
実施形態129.試料が、腫瘍セルフリーDNA(cfDNA)を含む、実施形態126に記載のシステム。
実施形態130.試料が、体液、細胞、又は組織を含む、実施形態126に記載のシステム。
実施形態131.試料が、血液又は血漿を含む、実施形態130に記載のシステム。
実施形態132.試料が、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞を含む、実施形態126に記載のシステム。
実施形態133.試料が、核酸試料である、実施形態126に記載のシステム。
実施形態134.核酸試料が、mRNA、ゲノムDNA、循環腫瘍DNA、セルフリーDNA、又はセルフリーRNAを含む、実施形態133に記載のシステム。
実施形態135.1つ以上のコンピュータプログラム命令が、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、
1つ以上のプロセッサを使用して、複数の配列リードから腫瘍変異負荷(TMB)の知識を獲得するか、又はそれを検出するように更に構成され、複数の配列リードが、ゲノムの少なくとも一部の核酸を配列決定することによって得られた、実施形態124~134のいずれか1つに記載のシステム。
実施形態136.TMBが、配列決定されたゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数に基づいて決定される、実施形態135に記載のシステム。
【0170】
本明細書に記載の本発明の方法ステップは、異なる意味が明示的に提供されるか、又は文脈から明らかでない限り、1つ又は複数の他の当事者又は事業体にステップを実行させる任意の好適な方法を含むことを意図している。そのような当事者又は事業体は、他の当事者又は事業体の指示又は管理下にある必要はなく、特定の管轄区域内に位置する必要はない。したがって、例えば、「第1の数を第2の数に足す」という記述又は列挙は、1つ以上の当事者又は事業体に2つの数を一緒に加えさせることを含む。例えば、人Xが人Yと対等な取引を行って、2つの数を足し、人Yが実際に2つの数を足した場合、人X及び人Yの両者は、人Yが、実際に数を足したという事実によって、人Xが、人Yに数を加えさせたという事実によって、示されたステップを実行する。更に、人Xが米国内に位置し、人Yが米国外に位置する場合、方法は、人Xがステップを実行させることに関与することによって米国において実行される。
【0171】
本明細書で説明される様々な実施形態の説明で使用される用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的としており、限定することを意図していない。説明される様々な実施形態及び添付の特許請求の範囲の説明で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される「及び/ま又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のあらゆる可能な組み合わせを指し、包含することも理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む(comprises)」、及び/又は「含む(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は成分の存在を明示するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことが更に理解されるであろう。
【0172】
本明細書で参照される全ての刊行物、特許、及び特許出願の開示は、各々、参照によりその全体が本明細書に援用される。参照により援用される参考文献が本開示と矛盾する限り、本開示が優先するものとする。
【実施例
【0173】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。しかしながら、それらは本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書に記載された例及び実施形態は、例示のみを目的としており、それに照らして様々な修正又は変更が当業者に提案され、本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれることが理解される。
【0174】
実施例1:体細胞性HLAクラスI喪失は、がん免疫回避の広範なメカニズムであり、チェックポイント阻害剤応答のバイオマーカーとしての腫瘍変異負荷の使用を改善する
この実施例では、体細胞性HLA-I LOHからICI治療非小細胞肺がん(NSCLC)の患者の生存を予測するために設計された実験の結果について説明する。この例では、がんのタイプ全体にわたって、腫瘍変異負荷(TMB)が高い腫瘍におけるHLA-I LOHの罹患率を決定するための実験についても説明する。
【0175】
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は、進行がん患者に対して現在の治療に革命をもたらし、患者自身のT細胞を介した免疫応答を活性化すると考えられている[1-5]。CD8 T細胞は、ヒト白血球抗原クラスI(HLA-I)がコードする主要組織適合複合体クラスI(MHC-I)タンパク質上の腫瘍特異的変異ペプチド(ネオ抗原)の提示を介して腫瘍細胞を認識する[6-8]。この仮説は、腫瘍変異負荷(TMB)が高い疾患におけるICIの有効性と、チェックポイント阻害剤応答のバイオマーカーとしてのTMBの潜在的な汎がん有用性によって裏付けられている。しかし、非小細胞肺がん(NSCLC)のみに焦点を当てた試験では、TMBは、患者の生存を十分に予測することができない[2,5,9]。しかしながら、HLA遺伝子型決定を使用してネオ抗原提示の相対的な効率を予測し、この情報をTMBとともに使用してチェックポイント応答を予測する取り組みは、将来性を示している(Goodman AM,et al.Genome Med.2020;12(1):45、Shim JH,et al.Ann Oncol.2020;31(7):902-11)。
【0176】
図4Aで予測されるように、HLA-Iの喪失は、免疫細胞に提示されるネオ抗原の減少をもたらし、免疫回避をもたらす可能性がある。HLA-I LOHと免疫応答との関係は、図4Bに更に示されている。HLA-I LOHは、ネオ抗原を介してTMBに関連し、回避メカニズムとしてPD-L1に関連している。この実施例では、HLA-Iの体細胞性喪失は、ICIで治療されたNSCLCにおける患者の生存の負の予測因子であることが示されており、これは高TMBの影響を鈍らせる。59の疾患群にわたる83,000を超える患者試料における体細胞性HLA-I LOHのランドスケープも決定され、17%の汎がん罹患率、並びに高TMBを有する腫瘍及びPD-L1発現によって表される炎症性腫瘍の有意な濃縮が見出された。TMBとHLA-I LOHを組み合わせると、炎症性がんにおいてICIの恩恵を受ける可能性が最も高い患者をよりよく選択することができ、個別化されたがんワクチンの設計に対して意義がある。
【0177】
材料及び方法
ゲノムプロファイリング
以前に記載されているように、ゲノムデータは、83,664人の患者の日常的な臨床ケアの一環として、米国臨床検査室改善修正法(CLIA)認定、米国病理医協会(CAP)認定、ニューヨーク州承認の研究室で、標的化網羅的ゲノムプロファイリングアッセイを使用して収集した[20]。DNAを抽出し、315遺伝子の全てのコーディングエクソンと、がんにおいて頻繁に再編成される28のイントロンのハイブリッド捕捉を実行した。ライブラリを、カバレッジ深度の中央値が500×を超えるまで配列決定した。以前に記載されているように、短いバリアント変化(塩基置換、挿入、及び削除)、コピー数の変化(増幅及びホモ接合型欠失)、並びに遺伝子再編成を含むゲノムの変化の分析を実行した[20、21]。TMBは、配列決定されたゲノムの1メガベース当たりの非ドライバー体細胞性コード変異の数として定義した[22]。変異シグネチャは、サイレント変化及び非コーディング変化を含む、20以上の非ドライバー体細胞性ミスセンス変異を有する試料で決定した。シグネチャは、Zehirら[23]によって以前に記載されているように、ヒトのがんにおける変異プロセスのCOSMICシグネチャを使用して割り当てた。試料が変異プロセスに40%以上適合する場合、陽性状態が決定された。ウイルスDNAの検出は、ヒト参照ゲノム(hg19)にマッピングされていないままの配列リードのVelvet[24]によるデノボアセンブリによって実行した。構築されたコンティグを、BLASTn(BLAST+v2.6.0[25])によって、300万を超えるウイルスヌクレオチド配列のNCBIデータベースに競合的にマッピングされ、BLAST配列と97%以上の同一性を有する長さが80ヌクレオチド以上のコンティグによって陽性のウイルス状態が決定された。
【0178】
組織学
PD-L1の状態は、市販の抗体クローン22C3(Dako/Agilent、Santa Clara,CA,USA)又はSP142(Ventana、Tuscon,AZ,USA)を使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片で行われた免疫組織化学によって決定された。病理学者は、発現を有する腫瘍細胞の割合(0%~100%)及び発現の強度(0、1+、2+)を決定した。PD-L1発現は、1+以上の強度で染色される腫瘍細胞のパーセンテージを有する連続変数として報告された。また、各試料のPD-L1発現は、陰性(<1%腫瘍細胞)又は陽性(≧1%腫瘍細胞)としてまとめられた。病理検査室は、米国臨床検査室改善修正法(CLIA’88)の要件に従って、また米国病理医協会(CAP)のチェックリストの要件及びガイダンスに従って、このアッセイの性能特性を確立した。エストロゲン受容体(ER)及びプロゲステロン受容体(PR)の状態は、病理学レポートから手動で抽出されたか、ERでは97%の精度、PRでは94%の精度で検証された自動機械読み取りアルゴリズムによって抽出された。HER2(ERBB2)の陽性判定には、次世代配列決定(NGS)によるゲノム増幅状態が使用された[20]。
【0179】
HLAのヘテロ接合性の喪失の決定及びネオ抗原の予測
HLA-Iの接合性は、混合腫瘍正常試料(20~95%腫瘍)の次世代配列決定の結果からの接合性予測のためのSunら[21]によって以前に記載されている計算方法であるSGZ(体細胞・生殖細胞接合性)アルゴリズムを使用して決定された。簡潔に、SGZは、腫瘍の純度、腫瘍の倍数性、マイナーアレル頻度、及び各ゲノムセグメントの局所コピー数を考慮することによって、接合性をモデル化する。各HLA-I遺伝子(HLA-A、-B、及び-C)のマイナーアレル頻度は、個別に計算した。配列決定結果のHLA-I遺伝子型決定は、OptiType[26]v1.3.1によって4桁の解像度で実行した。各試料の生殖細胞性アレルと一致するHLA参照配列は、IPD-IMGT/HLAデータベースから取得した[27]。生殖細胞性ヘテロ接合アレルのみがLOHについて評価され、3つの遺伝子座全てで生殖細胞性ホモ接合アレルであると特定された試料は、この研究では使用しなかった。
【0180】
ヒト参照ゲノム(hg19、6p21-22)のHLA領域に整列された配列決定リード、並びにマッピングされていない全てのリードは、Samtools[28]v1.5を使用して抽出した。Picard v1.56を使用して、全てのPCR及び光学的複製を削除した。リードは、BWA[28] v0.7.17を使用して、各試料に固有のHLA参照配列に競合的に再整列させた。Samtools v1.5は、一意に整列されたリードのみを保持し、ペアになっていない全てのメイトを削除するために使用した。BLAST+v2.6.0を使用して、各生殖細胞性ヘテロ接合相同アレル間で局所整列を実行した。BTOP機能を使用して、各相同アレル間の不一致位置を特定した。
【0181】
Samtools v1.5を使用して、各ミスマッチ位置に整列した全ての一意のリードを収集し、各アレルのアレル頻度を、1つの相同なアレルに一意に整列したリードの数を、両方の相同なアレルに一意に整列したリードの総数で割って計算した。目的の領域を単離するために、ベイト配列決定法を使用した。HLA-I遺伝子座については、相同なHLA対が一貫したアレル頻度(AF)の偏り(skew)を有することが観察された(図4E)。HLAタイプによるベイト効率に対するハイブリダイゼーションの影響を説明するために、観察されたAF(obsAF)を、AF及びベイトのHLAタイプの結合定数の関数としてモデル化した。
【数3】
ここで、obsAFi,jは、ペアi,jにおけるHLAタイプiの観察されたアレル頻度である。kは、HLAタイプiの結合定数である。AFi,jはペアi,jの試料におけるHLAタイプiのアレル頻度である。備考:AFi,j=1-AFj,i
【0182】
結合定数に適合させるために、アレルバランスを仮定した(AFi,j=1-AFj,i)。ほとんどの試料がLOH下にないことを考えると、全ての試料のアレル頻度の中央値は、相同なHLAタイプの同じペアで使用した。代表的なAFを提供するために、50個の試料が必要であるという制約も追加した。したがって、
【数4】
【0183】
これらの式を組み合わせると、次のようになる。
【数5】
【0184】
各HLAタイプの最適なk値を決定するために、最小二乗適合を使用した。
【数6】
【0185】
k値が決定されると、観察されたアレル頻度から入力アレル頻度を決定することができる。
【数7】
【0186】
結合定数(k値)がHLA-Aの配列多様性にどのようにマッピングされるかを評価した。HLA-Aの2桁配列のデンドログラムは、2つの主要な分岐を示し、一方の分岐は、k値が>1を有し、他方の分岐は、k値が<1を有し、配列主導のハイブリダイゼーション効果が、MAFの偏りの根底にある原因であるという仮説を支持した(図4F)。ベイト分子の配列は、図4Gに示されるデンドログラムに示されている。ベイト配列から最も分岐したHLAハプロタイプは、ベイト配列により密接に関連するハプロタイプよりも結合が悪い。
【0187】
このモデルを使用して、試料中の真のアレル頻度を表す調整されたマイナーアレル頻度を、観察されたマイナーアレル頻度から計算した。次いで、調整されたマイナーアレル頻度を、上記のSGZアルゴリズムで使用した。HLA-I LOHを有すると特定された遺伝子座において、より低いアレル頻度を有するアレルを、LOH下のアレルであると決定した。
【0188】
ネオ抗原の予測
エンド・ツー・エンドプロセッシング及びMHC-I結合予測は、MHC pan-4.0及びIEDB APIを使用して、全ての野生型及び変異ペプチドについて計算された[14]。APIは、プロテアソーム切断スコア、TAP輸送スコア、MHC-I結合親和性、並びにHLA対ペプチドの特異的な様式でこれらの前述の値を組み合わせた総スコアを生成する。少なくとも-0.8の総スコア及び最大で500nMのMHC-I結合親和性を使用して、各ペプチドを所与の試料中のバインダー又は非バインダーとして二分した。バインダーを特定したとき、バインダー変異ペプチドをそれらの野生型対応物に対してフィルタリングした。
【0189】
臨床コホート及び生存分析
遡及的臨床分析では、網羅的ゲノムプロファイリングを受けたデータベース内の患者の電子健康記録(EHR)データを含む、実際の臨床ゲノムデータセット(2019年6月30日までに収集されたデータ)を利用した[11]。EHRからの匿名化された患者レベルの臨床データには、構造化データ(例えば、処方された治療、受けた治療、治療開始日)に加えて、事前に指定された標準化された方針及び手順に従った、熟練した医療記録抄録者による受診証明書からの技術を利用したチャート抽出を介して収集された非構造化データ(喫煙状態、組織学など)が含まれた。匿名化された患者レベルのゲノムデータには、網羅的ゲノムプロファイリングによって報告された標本(例えば、腫瘍の変異負荷、病理学的腫瘍純度)及びゲノムデータ(例えば、変化した遺伝子、変化タイプ)が含まれていた。
【0190】
臨床分析に含まれる患者は、非扁平上皮NSCLCと診断され、EGFR及びALKの変化は陰性であった。ニボルマブ、ペムブロリズマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブなど、様々な第二選択ICI単剤療法を受けていた。研究された主要な臨床エンドポイントは、第二選択ICIレジメンの開始から死亡又は経過観察の喪失までの全生存期間であった。生存分析では、左切断を説明するために、それらの配列決定レポート日か2011年1月1日以降にFlatironネットワークへの2回目の訪問日(どちらもコホートに含めるための要件である)のうちのいずれか遅いほう以降にのみ、患者は死亡のリスクがあるとみなされた。Kaplan-Meier分析では、ログランク検定を使用して群を比較した。このコホートにおける生存期間の転帰の有意性は、多変量解析で人種/民族、第二選択ICI開始時の年齢、受けた第一選択療法、及び医療行為のタイプで調整した場合、影響を受けなかった。分析は、Rソフトウェアバージョン3.6.0(R Foundation for Statistical Computing)で実行した。
【0191】
患者の同意及びデータの入手可能性
インフォームドコンセントの免除及びHIPAA認可の免除を含むこの研究の承認は、Western Institutional Review Board(プロトコルNo.20152817)から得られた。患者は生の配列決定データの公開に同意していなかった。
【0192】
結果
アレル特異的なHLA-I LOHのランドスケープを評価するために、HLA-I遺伝子座(HLA-A、-B、及び-C)でのヘテロ接合性の喪失(LOH)並びに生殖細胞性ホモ接合性を検出することができる組織生検の腫瘍のみの次世代配列決定用のパイプラインを開発した。図4Cに、このパイプラインの概要を示す。図4Dに、HLA-I LOHを検出するための追加の方法論的考察を示す。
【0193】
図5A及び5Bに、臨床ゲノムデータベースにおける既知のゲノム関連の生存確率の効果を示す。図5Aに示されるように、高TMBは、生存期間と正の相関がある(HR=0.76、P=0.007)。しかしながら、図5Bに示されるように、STK11又はKEAP1の喪失は、生存期間と負の関連があることが見出された(HR=1.3、P=0.009)。
【0194】
以前の報告[10]と一致して、図6Aに示されるように、少なくとも1つのHLA-Iアレルの体細胞性LOHとして分類されるHLA-I LOHを伴う非扁平上皮NSCLCが、高TMB(1メガベース当たり変異[変異/Mb]が10以上)、PD-L1+(≧1%の腫瘍割合スコア)、喫煙シグネチャ及びAPOBEC変異シグネチャ、腫瘍転移、並びにTP53の変化を有する試料で濃縮されていた。ICI治療に対するHLA-I LOHの影響を調査するために、実際の臨床ゲノムデータセット[11]を使用して、2014年7月から2019年2月までに第二選択ICI単剤療法を受けた、EGFR及びALK野生型非扁平上皮NSCLCを有する240人の患者のコホートを分析した。表1は、実際の臨床ゲノムコホートにおける患者の特徴をまとめたものである。
【表1】
【0195】
FDAの承認が同時に得られたPD-L1の状態に関係なく、患者が治療されたと考えられるため、第二選択ICIで治療された(ICIナイーブ)コホートを選択した[12]。第二選択ICIの開始時、このコホートの全生存期間の中央値(mOS)は10.8か月であり、25%がHLA-I LOHを示し、59%が女性であり、年齢の中央値は68歳であった。生検のタイミングを含めて、HLA-I LOHによってコホートを層別化した場合、人口統計学的変数に有意差はなかった(P>0.05)。体細胞性HLA-I LOHによる層別化では、HLA-Iインタクト群と比較して、HLA-I LOH群の生存期間が有意に減少したことが示された(mOS喪失:8ヶ月[5.2~13.1];mOSインタクト:11.3ヶ月[8.2~15.3];HLA-IインタクトのHR=0.68[0.49~0.95];P=0.02)。図6Bは、この分析の結果を示す。比較すると、支援無作為化対照臨床試験では、ICIで治療された全ての第二選択非扁平上皮NSCLC患者のmOSは12.2か月であり、対照群のドセタキセルを受けた患者は9.4か月のmOSを示した[13]。図6Cに示されるように、CGBDでは生検タイミングの影響は観察されなかった。
【0196】
患者は、10変異/MbカットオフのTMBによって更に層別化された。図6Dに、この分析の結果を示す。TMB及びHLA-I LOHは、多変量Cox回帰モデルにおける生存期間の独立した有意な予測因子であった(HLA-Iインタクト HR=0.65[0.47~0.91]、P=0.01;高TMB HR=0.74[0.54~0.99]、P=0.05)。高TMB、HLA-Iインタクト群のmOSは14.09か月[9.0~21.1]であったが、低TMB、HLA-I喪失群のmOSは4.83か月[2.86~12.6]であった。生殖細胞性接合性の影響は見られず、図7Aに示されるように、コホート全体(6アレルHR=1.0[0.73~1.47]、P=0.8)、又は図7Bに示されるように、HLA-Iインタクト群内(6アレルHR=0.91[0.60~1.38]、P=0.7)のいずれかに対して、6対6未満の固有の生殖細胞性HLA-Iアレルによって層別化した場合、生存期間の差は観察されなかった。組み合わせのバイオマーカーがHLA-I LOH単独又はTMB単独よりも優れた性能を発揮することができるかどうかを評価するために、試料がHLA-Iインタクト又はHLA-I LOHであるかどうかに応じて、異なるTMBhi閾値を設定することによって、コホートを2つの群に層別化した。全てのHLA-Iインタクト試料とHLA-I LOHについて13変異/Mb以上のTMBを組み合わせた場合、組み合わせ高群の240人中203人の患者で、最も有意な差が観察された(図7C、HR=0.45[0.31~0.66]、P=0.00004)。TMB単独を使用して同程度の数のバイオマーカー陽性患者(200/240)の予測因子を作成しても、生存期間は有意に層別化されない(図7D、TMB≧3変異/Mb、P>0.05)。全体として、これらのデータは、HLA-I LOHをTMBと組み合わせると、免疫チェックポイント阻害剤の恩恵を受ける可能性が最も高い患者及び最も低い患者を特定することができることを示している。
【0197】
83,664人の固有の患者試料を含む59の異なる腫瘍タイプの評価を行った。これは主に進行性疾患を有する患者の腫瘍からのものである。表2は、この分析の結果をまとめたものである。
【表2-1】
【表2-2】
【0198】
全体として、HLA-I LOHは、17%の固形腫瘍試料で検出され、85%のHLA-I LOH事象でHLA-I遺伝子座全体のLOHが関与していた。図8Aに示されるように、有病率は、腫瘍タイプ全体で大きく異なった(2%~42%)。HLA-I LOHの割合が最も高いものは、扁平上皮がん(SqCC)(30%)であり、続いて、非SqCCがん(16%)、神経内分泌腫瘍(11%)、肉腫(11%)、及び非SqCC皮膚がん(6%)であった。図8Bに示されるように、疾患は、マイクロサテライト不安定性(MSI)状態によって更にサブセットに分けられ、HLA-I LOHは、高MSIサブセット及び安定(MSS)サブセットで同様であったか、又はMSS腫瘍で増加したことがわかり、子宮内膜がんでは有意に達した(P=0.02)。図8Cに示されるように、ホルモン受容体の状態及びHER2増幅によって乳がんをサブセットに分けても、サブセット間で有意差は見られなかった(P=0.3)。
【0199】
HLA-IとPD-L1及びTMBとの関係も調べた。図8Dに示されるように、PD-L1試料の16%と比較して、HLA-I LOHの有意に高い有病率が、PD-L1試料(25%)で見出された(P<0.0001)。図8Eに示されるように、HLA-I LOHは、高TMBとも有意に関連していた(高TMB:21%、低TMB:16%;P<0.0001)。図8Dにも示されるように、PD-L1及びHLA-I LOHの罹患率は、線形に相関していた(P=0.0001)。しかしながら、図8Eに示されるように、TMBは、より複雑な関係を示し、最も低いTMB(例えば、神経内分泌腫瘍)及び最も高いTMB(例えば、皮膚黒色腫)を有する疾患は、HLA-I LOHの低い有病率を示し、一方、その間の腫瘍は、HLA-I LOHの高い有病率を示した。HLA-I LOHとTMB及びPD-L1との関連も図8Fに示されている。TMB及びPD-L1の関連性に関する2つの注目すべき例外は、膵島細胞腫瘍及び副腎皮質がんであり、かなりのHLA-I LOHにもかかわらず(36%~38%)、どちらも高TMB(5%~10%)及びPD-L1(3%~7%)の割合が低かった。図9A及び9Bに示されるように、両方の疾患において、HLA-I LOHは、HLA-Bから約2Mb離れて位置する腫瘍抑制因子であるDAXXにおける機能喪失変異と関連していた(両方ともP<0.01)。これらの結果は、膵島細胞腫瘍及び副腎皮質がんにおけるHLA-I LOHが、近くの腫瘍抑制遺伝子のLOHによって駆動されるパッセンジャー事象であることを示唆している。全体として、HLA-I LOHは、PD-L1との線形の関連を示し、高TMBとの複雑な関係を示した。
【0200】
TMBとHLA-I LOHとの間の複雑な関係を考えて、腫瘍抗原とHLA-I LOHとの間の連鎖を更に評価した。ネオ抗原ドライバー変異は、変異が発がんを促進するだけでなく、免疫応答も誘発するという点で、ネオ抗原の固有のサブセットを示す。NetMHC pan[14]を使用して、再発性ドライバーネオ抗原を予測し、HLA-I LOHの症例を、提示アレルが失われたか又は維持されたかについて評価した。図10Aに示されるように、提示アレルは、98%(125/127)の予測されたドライバーネオ抗原でより頻繁に失われ、62%(77/125)が統計的に有意であった(P<0.05)。全体として、評価された任意のHLA-I LOH事象で保持されたアレルで有意に頻繁に提示された再発性ドライバーネオ抗原はなかった。ウイルス感染はまた、発がん及び免疫系による認識を促進する可能性がある[15]。図10Bは、ウイルス感染サブセットにおけるHLA-I LOHの有病率を示す。ヒトパピローマウイルス[16]及びエプスタイン・バーウイルス[17]などのウイルス感染が細胞固有の発がん性形質転換を媒介する腫瘍タイプでは、HLA-I LOHの有病率は、ウイルス感染サブセット(HPV頭頸部SqCC:P=0.002、HPV子宮頸部:P=0.002、EBV胃:P=0.01、EBV鼻咽頭:P=0.1)で増加した。対照的に、慢性感染後に肝炎及び肝硬変を介して細胞形質転換を誘発するB型肝炎ウイルス[18]は、肝細胞がんにおいてHLA-I LOHと関連していなかった(HBV肝細胞:P=1.0)。これらのデータは、HLA-I LOHが、腫瘍がネオ抗原の提示を無効にする潜在的なメカニズムであることを示している。
【0201】
最後に、全ての腫瘍タイプにわたって、HLA-I LOHの有無で、試料間の頻繁なゲノム変化、変異シグネチャ、PD-L1染色、及びTMB状態の濃縮パターンを調査した。図11Aは、この分析の結果を示す。図11Bに示されるように、HLA-I LOHを有する腫瘍は、15の腫瘍タイプの多様な範囲にわたって高TMBが濃縮されていた(P<0.05)(高TMBは、その疾患内の中央値を上回ると定義された)。PD-L1はまた、HLA-I LOHとほぼ同時であったが、おそらくPD-L1情報を有するサブセットのみに起因して、4つの疾患のみにおいて統計的有意性に達した(図11B)。TP53(14の腫瘍タイプにわたってHLA-I LOHと一様に関連していた)、CDKN2A(16の疾患でHLA-I LOHと有意に関連していた)、及びPIK3CA(5つの腫瘍タイプでHLA-I LOHと有意に関連しており、そのうち3つは扁平上皮がんであった)など、いくつかの遺伝子がHLA-I LOHと頻繁に関連していた(図11B)。図11Aに示されるように、神経膠腫はこれらの傾向の多くに関する注目すべき例外であり、HLA-I LOHと高TMB並びにCDKN2A変化との間に相互排他性が観察された。
【0202】
これらのデータから、3つの主な結論を出すことができる。1つ目は、HLA-I LOHが機構的にネオ抗原の提示に関連しているということである。しかしながら、免疫回避メカニズムとしてのHLA-I LOHの利用は、「ゴルディロックス」パターンに従う。それによって、ネオ抗原がほとんどない腫瘍はHLA-Iを失う必要がなく、ネオ抗原の数が多い腫瘍は、HLA-I LOH後もネオ抗原を提示する。しかし、中程度の数のネオ抗原を持つ腫瘍は、HLA-I LOHによるネオ抗原の提示をうまく無効にすることができる。これらのデータから得られた2つ目の結論は、HLA-I LOHは、免疫回避メカニズムとして進化的にPD-L1発現とつながっており、HLA-I LOHとPD-L1との間には明らかな線形の関連があるということである。そして最後に、そのHLA-I LOHは、腫瘍によるネオ抗原提示のより良い理解に基づいて、チェックポイント阻害剤応答のバイオマーカーとしてTMBを改善する可能性を有する。
【0203】
非炎症性腫瘍では、HLA-I LOHの罹患率は低い。したがって、これらの腫瘍の高TMBは、チェックポイント阻害剤に対して優れた応答を有する患者において、実際に濃縮されている可能性がある。これは、高TMBの非炎症性がんを表す患者においてペムブロリズマブの有効性を調査する汎腫瘍試験で見られた単剤療法ICIへの応答を説明することができる[19]。対照的に、高TMBは、NSCLCの第III相治験における全生存期間の予測因子ではなかった。この例では、高TMB、HLA-I LOHコホートが、低TMB、HLA-Iインタクトのコホートと同様の全生存期間を有し、HLA-I LOHがNSCLCにおける高TMBの影響を鈍らせたことを示唆している。この知見は、HLA-I LOHとTMBを組み合わせることで、NSCLCにおける患者の層別化が改善されることを示唆している。更に、腫瘍による抗原提示は、ネオ抗原ワクチンなどの治療法を設計するための重要な考慮事項になるであろう。HLA-I LOHの評価は、かかる治療法に適し得る患者を特定する上で重要な役割を果たす可能性がある。
【0204】
本発明の特定の実施形態が示され、説明されてきたが、当業者には、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更及び修正がなされ得ることが明らかであろう。以下の特許請求の範囲は、その範囲内にあり得る全ての変更及び修正を含むことを意図しており、法律で許容される最も広い意味で解釈されるべきである。
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【国際調査報告】