(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】血管石灰化部位を破壊するための変換効率を増大し、光ファイバ送達システムを保護するためのレーザパルス整形
(51)【国際特許分類】
A61B 18/26 20060101AFI20230414BHJP
【FI】
A61B18/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552339
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 US2021020937
(87)【国際公開番号】W WO2021183367
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(71)【出願人】
【識別番号】521549268
【氏名又は名称】ボルト メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッシミーニ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マクゴワン、ロジャー、
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、ハイピン
(72)【発明者】
【氏名】クック、クリストファー、エイ.
【テーマコード(参考)】
4C026
【Fターム(参考)】
4C026AA04
4C026BB02
4C026BB07
4C026DD03
4C026FF17
4C026FF21
4C026HH15
(57)【要約】
カテーテルシステム(100)は、電源(124)、コントローラ(123)、及び導光体(122)を含む。電源(124)は、複数のエネルギーパルス(242B、342B)を生成する。コントローラ(123)は、複数のエネルギーパルス(242B、342A~B)が協働して合成パルス形状を有する合成エネルギーパルス(348A~B、448A~C、548A~F)を生成するように、電源(124)を制御する。導光体(122)は、合成エネルギーパルス(348A~B、448A~C、548A~F)を受け取る。導光体(122)は、導光体(122)から離れる方向に光エネルギーを放射して、導光体(122)から離れてプラズマパルス(246A~B、346A~B)を生成する。電源(124)はレーザとすることができ、導光体(122)は光ファイバとすることができる。エネルギーパルス(242B、342A~B)のそれぞれはパルス幅を有し、エネルギーパルス(242B、342A~B)は、合成エネルギーパルス(348A~B、448A~C、548A~F)が、どのエネルギーパルス(242B、342A~B)のパルス幅よりも長いパルス幅を有するように、互いに加算される。少なくとも2つのエネルギーパルス(242B、342A~B)は、互いに同じ波長、又は異なる波長を有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管壁又は心臓弁内の、又はそれに隣接する治療部位を治療するためのカテーテルシステムであって、
複数のエネルギーパルスを生成する電源と、
前記複数のエネルギーパルスが協働して、合成パルス形状を有する合成エネルギーパルスを生成するように、前記電源を制御するコントローラと、
前記合成エネルギーパルスを受け取る導光体であって、前記導光体から離れる方向に光エネルギーを放射して、前記導光体から離れるプラズマパルスを生成する導光体と、
を備えるカテーテルシステム。
【請求項2】
前記電源がレーザである、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記導光体が光ファイバである、請求項1又は2に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記導光体の遠位端を取り囲む、膨張可能なバルーンを更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記複数のエネルギーパルスのそれぞれが、サブミリ波帯パルスである、請求項1から4のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記エネルギーパルスのそれぞれがパルス幅を有し、どの前記エネルギーパルスの前記パルス幅よりも長いパルス幅を前記合成エネルギーパルスが有するように、互いに加算される、請求項1から5のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記複数のエネルギーパルスの少なくとも2つが、互いに同じ波長を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記複数のエネルギーパルスの少なくとも1つが、他のエネルギーパルスとは異なる波長を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記複数のエネルギーパルスの少なくとも2つが、互いに同じパルス幅を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記複数のエネルギーパルスの少なくとも2つが、互いに異なるパルス幅を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記複数のエネルギーパルスの少なくとも2つが、互いに同じ光エネルギーを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
前記複数のエネルギーパルスの少なくとも2つが、互いに異なる光エネルギーを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
前記複数のエネルギーパルスが組み合わさって、前記導光体の前記遠位端から離れて1つの連続したプラズマパルスを生成する、請求項1から12のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
前記合成エネルギーパルスが、経時的に増加するパルス振幅を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
前記合成エネルギーパルスが、経時的に減少するパルス振幅を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項16】
前記合成エネルギーパルスが、時間tのパルス幅を有し、前記合成エネルギーパルスが、時間t/2より後に発生する時間的ピークを有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項17】
前記合成エネルギーパルスが、時間tのパルス幅を有し、前記合成エネルギーパルスが、時間t/2より前に発生する時間的ピークを有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項18】
前記合成エネルギーパルスが、時間tのパルス幅を有し、前記合成エネルギーパルスが、おおよそ時間t/2で発生する時間的ピークを有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項19】
前記合成エネルギーパルスが、経時的に実質的に一定のままである時間的ピークを有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項20】
前記合成エネルギーパルスが、前記導光体の前記遠位端から離れて複数のプラズマパルスを生成する、請求項1から19のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項21】
前記複数のプラズマパルスが、互いに異なる時間に生成される、請求項20に記載のカテーテルシステム。
【請求項22】
前記合成エネルギーパルスが、互いに実質的に同様の2つの時間的ピークを含む、請求項20から21のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項23】
前記合成エネルギーパルスが、互いに異なる2つの時間的ピークを含む、請求項20から21のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項24】
前記合成エネルギーパルスが、総じて経時的に増加するパルス振幅を有する、請求項20から23のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項25】
前記合成エネルギーパルスが、総じて経時的に減少するパルス振幅を有する、請求項20から24のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項26】
前記合成エネルギーパルスが、時間tのパルス幅を有し、前記合成エネルギーパルスが、時間t/2より後に発生する時間的ピークを有する、請求項20から25のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項27】
合成エネルギーパルスが、時間tのパルス幅を有し、前記合成エネルギーパルスが、時間t/2より前に発生する時間的ピークを有する、請求項20から26のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項28】
前記合成エネルギーパルスが、時間tのパルス幅を有し、前記合成エネルギーパルスが、おおよそ時間t/2で発生する時間的ピークを有する、請求項20から27のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項29】
前記合成エネルギーパルスが、経時的に実質的に一定のままである時間的ピークを有する、請求項20から28のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項30】
前記導光体が遠位端を有し、前記カテーテルシステムが、前記導光体の遠位端に初期気泡を生成するように構成される、請求項1から29のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項31】
前記合成エネルギーパルスが、前記導光体の遠位端に前記初期気泡を生成するように構成される、請求項30に記載のカテーテルシステム。
【請求項32】
前記初期気泡が、電気分解によって生成される、請求項30から31のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項33】
前記初期気泡が、抵抗発熱体を使用することによって生成される、請求項30から32のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項34】
前記初期気泡が、前記導光体の前記遠位端付近に送達される流体を用いて生成される、請求項30から33のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項35】
前記コントローラが、前記初期気泡の生成開始に対する、前記合成エネルギーパルスのタイミングを制御する、請求項30から34のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項36】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約1ns経過後、約100ms迄に生成される、請求項35に記載のカテーテルシステム。
【請求項37】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約100ns経過後、約1ms迄に生成される、請求項35に記載のカテーテルシステム。
【請求項38】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約1μs経過後、約10ms迄に生成される、請求項35に記載のカテーテルシステム。
【請求項39】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約5μs経過後、約500μs迄に生成される、請求項35に記載のカテーテルシステム。
【請求項40】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約50μsで生成される、請求項35に記載のカテーテルシステム。
【請求項41】
前記電源が、(i)シード光源、及び(ii)増幅器を含み、前記シード光源が低電力シードパルスを放射し、前記増幅器が前記シード光源と光学的に通信し、前記増幅器が前記シードパルスの電力を増加させてエネルギーパルスを生成する、請求項1から40及び44から48のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項42】
前記電源が、(i)複数のシード光源、及び(ii)複数の増幅器を含み、前記シード光源のそれぞれが、低電力シードパルスを放射し、前記複数の増幅器のそれぞれが、前記シード光源の1つと光学的に通信し、それぞれが、前記低電力シードパルスの1つを受け取り、前記増幅器のそれぞれによって受け取られた前記シードパルスの電力を増加させ、前記複数の増幅器が、前記複数のエネルギーパルスを生成する、請求項1から40及び44から48のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項43】
前記電源が、(i)複数のシード光源、及び(ii)増幅器を含み、前記シード光源のそれぞれが低電力シードパルスを放射し、前記増幅器が前記シード光源のそれぞれと光学的に通信し、前記低電力シードパルスを受け取り、前記増幅器が、前記増幅器によって受け取られた前記シードパルスのそれぞれの電力を増加させ、前記増幅器が、前記複数のエネルギーパルスを生成する、請求項1から40及び44から48のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項44】
前記導光体の遠位端に近接して配置された、疎水性材料を更に含む、請求項1から43のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項45】
前記導光体の遠位端に配置された、疎水性材料を更に含む、請求項1から43のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項46】
前記導光体の遠位端に近接して配置された、ナノ表面を更に含む、請求項1から45のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項47】
前記導光体の遠位端に配置された、ナノ表面を更に含む、請求項1から45のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項48】
前記ナノ表面がテクスチャ加工されている、請求項46から47のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項49】
血管壁内の、又は血管壁に隣接する治療部位を治療する方法であって、
電源を用いて複数のエネルギーパルスを生成するステップと、
前記複数のエネルギーパルスが協働して、導光体に送られる合成エネルギーパルスを生成するように、コントローラで前記電源を制御するステップであって、前記合成エネルギーパルスが合成パルス形状を有するステップと、
前記導光体に送られる前記合成エネルギーパルスによって、前記導光体から放射される光エネルギーを生成するステップと、
前記導光体から離れる前記光エネルギーからプラズマパルスを生成するステップと、
を含む方法。
【請求項50】
前記電源がレーザである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記導光体が光ファイバである、請求項49から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記導光体の遠位端を、膨張可能なバルーンで取り囲むステップを更に含む、請求項49から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記複数のエネルギーパルスのそれぞれが、サブミリ波帯パルスである、請求項49から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記制御するステップが、前記複数のエネルギーパルスのどのパルス幅よりも長いパルス幅を、前記合成パルス形状が有するように、前記複数のエネルギーパルスを互いに加算するステップを含む、請求項49から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記エネルギーパルスの少なくとも2つが、互いに同じ波長を有する、請求項49から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記エネルギーパルスの少なくとも1つが、他のエネルギーパルスとは異なる波長を有する、請求項49から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記エネルギーパルスの少なくとも2つが、互いに同じパルス幅を有する、請求項49から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記エネルギーパルスの少なくとも2つが、互いに異なるパルス幅を有する、請求項49から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記エネルギーパルスの少なくとも2つが、互いに同じ光エネルギーを有する、請求項49から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記エネルギーパルスの少なくとも2つが、互いに異なる光エネルギーを有する、請求項49から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記制御するステップが、前記複数のエネルギーパルスを組み合わせて前記合成エネルギーパルスを生成し、前記導光体の遠位端に近接して、1つの連続したプラズマパルスを生成することを含む、請求項49から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記合成エネルギーパルスが、経時的に増加するパルス振幅を有する、請求項49から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記合成エネルギーパルスが、経時的に減少するパルス振幅を有する、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記合成エネルギーパルスが、時間tのパルス幅を有し、前記合成エネルギーパルスが、時間t/2より後に発生する時間的ピークを有する、請求項61から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記合成エネルギーパルスが、時間tのパルス幅を有し、前記合成エネルギーパルスが、時間t/2より前に発生する時間的ピークを有する、請求項61から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記合成エネルギーパルスが、時間tのパルス幅を有し、前記合成エネルギーパルスが、おおよそ時間t/2で発生する時間的ピークを有する、請求項61から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記合成エネルギーパルスが、経時的に実質的に一定のままである時間的ピークを有する、請求項61に記載の方法。
【請求項68】
前記制御するステップが、前記導光体の遠位端に近接して複数のプラズマパルスを生成することを含む、請求項49から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記制御するステップが、互いに異なる時間に前記複数のプラズマパルスを生成することを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記合成エネルギーパルスが、少なくとも2つの実質的に同様の時間的ピークを有する、請求項49から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記合成エネルギーパルスが、少なくとも2つの異なる時間的ピークを有する、請求項49から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記合成エネルギーパルスが、総じて経時的に増加するパルス振幅を有する、請求項49から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記合成エネルギーパルスが、総じて経時的に減少するパルス振幅を有する、請求項49から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記合成エネルギーパルスが、時間tのパルス幅を有し、前記合成エネルギーパルスが、時間t/2より後に発生する時間的ピークを有する、請求項49から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記合成エネルギーパルスが、時間tのパルス幅を有し、前記合成エネルギーパルスが、時間t/2より前に発生する時間的ピークを有する、請求項68から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記合成エネルギーパルスが、時間tのパルス幅を有し、前記合成エネルギーパルスが、おおよそ時間t/2で発生する時間的ピークを有する、請求項68から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記合成エネルギーパルスが、経時的に実質的に一定のままである時間的ピークを有する、請求項68から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記導光体の遠位端に初期気泡を生成するステップを更に含む、請求項49から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記初期気泡を生成するステップが、前記初期気泡を生成するように前記合成エネルギーパルスを構成することを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記初期気泡を生成するステップが、電気分解によって達成される、請求項78から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記初期気泡を生成するステップが、抵抗発熱体を使用して達成される、請求項78から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記初期気泡を生成するステップが、前記導光体の遠位端付近に流体を送達することによって達成される、請求項78から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記制御するステップが、前記初期気泡の生成開始に対する、前記合成エネルギーパルスのタイミングを制御することを含む、請求項78から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約1ns経過後、約100ms迄に生成される、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約10ns経過後、約10ms迄に生成される、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約100ns経過後、約1ms迄に生成される、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約500ns経過後、約100ms迄に生成される、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約1μs経過後、約10ms迄に生成される、請求項83に記載の方法。
【請求項89】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約1μs経過後、約1ms迄に生成される、請求項83に記載の方法。
【請求項90】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約5μs経過後、約500μs迄に生成される、請求項83に記載の方法。
【請求項91】
前記合成エネルギーパルスが、前記初期気泡の生成開始から、約50μsで生成される、請求項83に記載の方法。
【請求項92】
前記導光体の遠位端に近接して、疎水性材料を配置するステップを更に含む、請求項49から91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記導光体の遠位端に、疎水性材料を配置するステップを更に含む、請求項49から91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記導光体の遠位端に近接して、ナノ表面を配置するステップを更に含む、請求項49から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記導光体の遠位端に、ナノ表面を配置するステップを更に含む、請求項49から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記ナノ表面がテクスチャ加工されている、請求項94から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
電源を用いて複数のエネルギーパルスを生成する前記ステップが、(i)シード光源、及び(ii)増幅器を含み、前記シード光源が低電力シードパルスを放射し、前記増幅器が前記シード光源と光学的に通信し、前記増幅器が前記シードパルスの前記電力を増加させて、エネルギーパルスを生成する、請求項49から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
電源を用いて複数のエネルギーパルスを生成する前記ステップが、(i)複数のシード光源、及び(ii)複数の増幅器を含み、前記シード光源のそれぞれが、低電力シードパルスを放射し、前記複数の増幅器のそれぞれが、前記シード光源の1つと光学的に通信し、それぞれが、前記低電力シードパルスの1つを受け取り、前記増幅器のそれぞれによって受け取られた前記シードパルスの前記電力を増加させ、前記複数の増幅器が、前記複数のエネルギーパルスを生成する、請求項49から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
電源を用いて複数のエネルギーパルスを生成する前記ステップが、(i)複数のシード光源、及び(ii)増幅器を含み、前記シード光源のそれぞれが低電力シードパルスを放射し、前記増幅器が前記シード光源のそれぞれと光学的に通信し、前記低電力シードパルスを受け取り、前記増幅器が、前記増幅器によって受け取られた前記シードパルスのそれぞれの前記電力を増加させ、前記増幅器が前記複数のエネルギーパルスを生成する、請求項49から96のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月9日に出願された米国仮出願第62987060号、及び2021年3月3日に出願された米国特許出願第17190921号の優先権を主張する。許される限り、米国仮出願第62987060号及び米国特許出願第17190921号の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
体内の血管内及び血管に隣接する血管病変は、心筋梗塞、塞栓症、深部静脈血栓症、脳卒中といった、主要な有害事象のリスク増加に関連し得る。重度の血管病変は治療が困難であり、臨床環境において医師が開存性を達成することが困難な場合がある。
【0003】
血管病変は、いくつか例を挙げると、薬物療法、バルーン血管形成術、アテローム切除術、ステント留置術、血管グラフトバイパス術などの医療処置を使用して治療することができる。そのような医療処置は、必ずしも理想的であるとは限らず、又は病変に対処するためにその後の治療を必要とする場合がある。
【0004】
水溶液の光絶縁破壊によるプラズマ生成は、一般的に、それが治療用気泡及び/又は治療用圧力波に変換される短時間において、かなりのエネルギー量を必要とする。エネルギーが十分に高く、パルス持続時間が短い場合、プラズマ生成のための光エネルギーの送達に使用される、導光体の遠位端を損傷する可能性がある。光エネルギーの(プラズマ)圧力波への変換効率及び気泡成長を高める手段により、光学的送達システムに必要な電力処理要件が低減される。したがって、導光体を損傷する可能性を最小限に抑えつつ、同等の治療に必要な入力エネルギーが少なくなる。
【0005】
血管内砕石術用カテーテルの1方法として、水溶液を光絶縁破壊する場合のように、小径導光体の遠位端付近でプラズマ生成を行うことには、非排他的な例として、近接したプラズマ生成及び/又は圧力波、高いプラズマ温度、並びに気泡の圧壊から生じるジェット水流による、自己損傷の可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、血管壁を有する血管内に配置するための、カテーテルシステムに関する。このカテーテルシステムは、血管壁内の、又は血管壁に隣接する治療部位を治療するために、使用することができる。様々な実施形態では、このカテーテルシステムは、電源、コントローラ、及び導光体を含む。電源は、複数のエネルギーパルスを生成する。コントローラは、複数のエネルギーパルスが協働して、合成パルス形状を有する合成エネルギーパルスを生成するように、電源を制御する。導光体は、合成エネルギーパルスを受け取る。この導光体は、導光体から離れる方向に光エネルギーを放射して、導光体から離れるプラズマパルスを生成する。
【0007】
いくつかの実施形態では、この電源はレーザである。
【0008】
更に、特定の実施形態では、この導光体は光ファイバである。
【0009】
いくつかの実施形態では、カテーテルシステムは、導光体の遠位端を取り囲む、膨張可能なバルーンを更に含む。
【0010】
更に、特定の実施形態では、複数のエネルギーパルスはそれぞれ、サブミリ波帯パルスである。
【0011】
更に、いくつかの実施形態では、それぞれのエネルギーパルスはパルス幅を有し、各エネルギーパルスは、合成エネルギーパルスがどのエネルギーパルスのパルス幅よりも長いパルス幅を有するように、互いに加算される。
【0012】
特定の実施形態では、複数のエネルギーパルスの少なくとも2つは、互いに同じ波長を有する。
【0013】
更に、又はその代わりに、いくつかの実施形態では、複数のエネルギーパルスの少なくとも1つは、他のエネルギーパルスとは異なる波長を有する。
【0014】
特定の実施形態では、複数のエネルギーパルスの少なくとも2つは、互いに同じパルス幅を有する。
【0015】
更に、いくつかの実施形態では、複数のエネルギーパルスの少なくとも2つは、互いに異なるパルス幅を有する。
【0016】
更に、特定の実施形態では、複数のエネルギーパルスの少なくとも2つは、互いに同じ光エネルギーを有する。
【0017】
更に、又はその代わりに、いくつかの実施形態では、複数のエネルギーパルスの少なくとも2つは、互いに異なる光エネルギーを有する。
【0018】
様々な実施形態では、複数のエネルギーパルスは組み合わさって、導光体の遠位端から離れる1つの連続したプラズマパルスを生成する。
【0019】
更に、特定の実施形態では、合成エネルギーパルスは、経時的に増加するパルス振幅を有する。
【0020】
更に、いくつかの実施形態では、合成エネルギーパルスは、経時的に減少するパルス振幅を有する。
【0021】
特定の実施形態では、合成エネルギーパルスは、時間tのパルス幅を有し、合成エネルギーパルスは、時間t/2より後に発生する時間的ピークを有する。
【0022】
あるいは、他の実施形態では、合成エネルギーパルスは時間tのパルス幅を有し、合成エネルギーパルスは、時間t/2より前に発生する時間的ピークを有する。
【0023】
更にその代わりに、更なる他の実施形態では、合成エネルギーパルスは、時間tのパルス幅を有し、合成エネルギーパルスは、おおよそ時間t/2で発生する時間的ピークを有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、合成エネルギーパルスは、経時的に実質的に一定のままである時間的ピークを有する。
【0025】
更に、特定の実施形態では、合成エネルギーパルスは、導光体の遠位端から離れて複数のプラズマパルスを生成する。いくつかのそのような実施形態では、複数のプラズマパルスは、互いに異なる時間に生成される。
【0026】
更に、いくつかの実施形態では、合成エネルギーパルスは、互いに実質的に同様の2つの時間的ピークを含む。更に、又はその代わりに、特定の実施形態では、合成エネルギーパルスは、互いに異なる2つの時間的ピークを含む。
【0027】
更に、特定の実施形態では、合成エネルギーパルスは、総じて経時的に増加するパルス振幅を有する。他の実施形態では、合成エネルギーパルスは、総じて経時的に減少するパルス振幅を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、合成エネルギーパルスは、時間tのパルス幅を有し、合成エネルギーパルスは、時間t/2より後に発生する時間的ピークを有する。あるいは、他の実施形態では、合成エネルギーパルスは時間tのパルス幅を有し、合成エネルギーパルスは、時間t/2より前に発生する時間的ピークを有する。更にその代わりに、更なる他の実施形態では、合成エネルギーパルスは、時間tのパルス幅を有し、合成エネルギーパルスは、おおよそ時間t/2で発生する時間的ピークを有する。更に、いくつかのそのような実施形態では、合成エネルギーパルスは、経時的に実質的に一定のままである時間的ピークを有する。
【0029】
更に、特定の実施形態では、導光体は遠位端を有し、カテーテルシステムは、導光体の遠位端に初期気泡を生成するように構成される。いくつかのそのような実施形態では、合成エネルギーパルスは、導光体の遠位端に初期気泡を生成するように構成される。そのような一実施形態では、初期気泡は電気分解によって生成される。別のそのような実施形態において、初期気泡は、抵抗発熱体を使用することによって生成される。更に別のそのような実施形態では、初期気泡は、導光体の遠位端付近に送達される、流体を用いて生成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、コントローラは、初期気泡の生成開始に対する、合成エネルギーパルスのタイミングを制御することができる。例えば、特定のそのような実施形態では、合成エネルギーパルスは、初期気泡の生成開始から、約1ns経過後、約100ms迄に生成される。他のそのような実施形態では、合成エネルギーパルスは、初期気泡の生成開始から、約100ns経過後、約1ms迄に生成される。更に他のそのような実施形態では、合成エネルギーパルスは、初期気泡の生成開始から、約1μs経過後、約10ms迄に生成される。更に他のそのような実施形態では、合成エネルギーパルスは、初期気泡の生成開始から、約5μs経過後、約500μs迄に生成される。更に他のそのような実施形態では、合成エネルギーパルスは、初期気泡の生成開始から、約50μsで生成される。
【0031】
特定の実施形態では、電源は、(i)シード光源、及び(ii)増幅器を含み、シード光源は低電力シードパルスを放射し、増幅器はシード光源と光学的に通信して、シードパルスの電力を増加させてエネルギーパルスを生成する。
【0032】
更に、いくつかの実施形態では、電源は、(i)複数のシード光源、及び(ii)複数の増幅器を含み、それぞれのシード光源が低電力シードパルスを放射し、複数の増幅器のそれぞれがシード光源のうちの1つと光学的に通信して、それぞれが低電力シードパルスのうちの1つを受け取り、各増幅器はそれぞれの増幅器によって受け取られたシードパルスの電力を増加させ、複数の増幅器は複数のエネルギーパルスを生成する。
【0033】
更に、特定の実施形態では、電源は、(i)複数のシード光源、及び(ii)増幅器を含み、シード光源はそれぞれ低電力シードパルスを放射し、増幅器はシード光源のそれぞれと光学的に通信して、低電力出力シードパルスを受け取り、増幅器は増幅器によって受け取られたシードパルスのそれぞれの電力を増加させ、増幅器は複数のエネルギーパルスを生成する。
【0034】
様々な実施形態では、カテーテルシステムは、導光体の遠位端に近接して配置された、疎水性材料を更に含む。
【0035】
特定の実施形態では、カテーテルシステムは、導光体の遠位端に配置された、疎水性材料を更に含む。
【0036】
更に、いくつかの実施形態では、カテーテルシステムは、導光体の遠位端に近接して配置された、ナノ表面を更に含む。
【0037】
更に、特定の実施形態では、カテーテルシステムは、導光体の遠位端に配置された、ナノ表面を更に含む。
【0038】
更に、いくつかの実施形態では、このナノ表面はテクスチャ加工されている。
【0039】
特定の用途では、本発明は、血管壁内の、又は血管壁に隣接する治療部位を治療する方法を更に対象とする。この方法は、電源によって複数のエネルギーパルスを生成するステップと、複数のエネルギーパルスが協働して、導光体に送られる合成エネルギーパルスを生成するように、コントローラで電源を制御するステップであって、合成エネルギーパルスが合成パルス形状を有するステップと、導光体に送られた合成エネルギーパルスによって、導光体から放射される光エネルギーを生成するステップと、導光体から離れる光エネルギーからプラズマパルスを生成するステップを含む。
【0040】
この要約は、本出願の教示のいくつかの概要であり、本主題の排他的又は網羅的な提示となることを意図するものではない。更なる詳細は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲において見出される。他の態様は、以下の詳細な説明を解釈及び理解し、その一部を構成する図面を確認することで当業者には明らかであり、それらはそれぞれ、限定的な意味で解釈されるべきではない。本明細書の範囲は、添付の特許請求の範囲、及びそれらの法的同等物によって定義される。
【0041】
本発明それ自体と同様に、本発明の新規な特徴は、その構造及びその動作の両方に関して、添付の説明と併せて、添付の図面から最もよく理解されるであろう。ここでは、同様の参照符号は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本明細書の様々な実施形態による、本発明の特徴を有するカテーテルシステムの概略断面図である。
【
図2A】プラズマパルスを生成するために導光体に送られる、複数の重なり合うエネルギーパルスを生成するカテーテルシステムの一部の、第1の実施形態を示す簡略概略図である。
【
図2B】プラズマパルスを生成するために導光体に送られる、複数の重なり合わないエネルギーパルスを生成するカテーテルシステムの一部の、別の実施形態を示す簡略概略図である。
【
図3A】複数のプラズマパルスを生成するために導光体に送られる、複数の重なり合うエネルギーパルスを生成するカテーテルシステムの一部の、一実施形態を示す簡略概略図である。
【
図3B】プラズマパルスを生成するために導光体に送られる、複数の重なり合わないエネルギーパルスを生成するカテーテルシステムの一部の、別の実施形態を示す簡略概略図である。
【
図4A】合成パルス形状を有する、合成エネルギーパルスの一実施形態を示す、簡略化したグラフである。
【
図4B】別の合成パルス形状を有する、合成エネルギーパルスの別の実施形態を示す、簡略化したグラフである。
【
図4C】別の合成パルス形状を有する、合成エネルギーパルスの更に別の実施形態を示す、簡略化したグラフである。
【
図5A】別の合成パルス形状を有する、合成エネルギーパルスの一実施形態を示す、簡略化したグラフである。
【
図5B】別の合成パルス形状を有する、合成エネルギーパルスの別の実施形態を示す、簡略化したグラフである。
【
図5C】別の合成パルス形状を有する、合成エネルギーパルスの更に別の実施形態を示す、簡略化したグラフである。
【
図5D】別の合成パルス形状を有する、合成エネルギーパルスのまた更に別の実施形態を示す、簡略化したグラフである。
【
図5E】別の合成パルス形状を有する、合成エネルギーパルスの別の実施形態を示す、簡略化したグラフである。
【
図5F】別の合成パルス形状を有する、合成エネルギーパルスの別の実施形態を示す、簡略化したグラフである。
【
図6A】初期気泡を生成するカテーテルシステムの一部の、一実施形態を示す簡略概略図である。
【
図6B】初期気泡を生成するカテーテルシステムの一部の、別の実施形態を示す、簡略概略図である。
【
図6C】初期気泡を生成するカテーテルシステムの一部の、更に別の実施形態を示す、簡略概略図である。
【
図6D】初期気泡を生成するカテーテルシステムの一部の、また更に別の実施形態を示す、簡略概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
各実施形態には、様々な修正及び代替形態が可能であるが、その詳細は、実施例及び図面として示されており、詳細に説明される。しかしながら、本明細書の範囲は、記載された特定の態様に限定されないことを理解されたい。むしろ、本明細書の範囲は、本明細書の趣旨及び範囲内にある修正、同等物、及び代替物を対象として含むことを意図するものである。
【0044】
血管病変を治療することで、罹患した被験体における主要な有害事象、又は死亡を減少させることができる。本明細書で言及される場合、主要な有害事象とは、(本明細書では「治療部位」と呼ばれることもある)血管病変の存在に起因して、体内のどこにでも起こり得る有害事象である。主要な有害事象には、主要有害心臓事象、末梢血管系又は中心血管系における主要有害事象、脳における主要有害事象、筋肉組織における主要有害事象、又は内臓のいずれかにおける主要有害事象が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用される場合、治療部位には、典型的には血管及び/又は心臓弁に見られる、石灰化血管病変又は線維性血管病変(以下、単に「病変」又は「治療部位」と呼ばれることもある)などの血管病変が含まれ得る。プラズマを形成することで、圧力波を引き起こすことができ、1つ又はそれ以上の気泡の急速な形成を始動することができる。この気泡は、最大サイズまで急速に膨張し、次いで、圧壊時に圧力波を発射することもできるキャビテーション事象を経て、消散することができる。プラズマ誘起気泡を急速に膨張させることで、バルーン流体内に1つ以上の圧力波を生成し、それによって治療部位に圧力波を与えることができる。圧力波は、非圧縮性のバルーン流体を介して治療部位に機械的エネルギーを伝達して、病変に破砕力を与えることができる。何らかの特定の理論に束縛されることを望むものではないが、病変と接触しているか、又は病変に近接して配置されている膨張可能なバルーンの、バルーン壁上のバルーン流体運動量の急速な変化が病変部に伝達されて、病変部の破砕を引き起こすと考えられている。
【0046】
当業者は、本発明の以下の詳細な説明が例示にすぎず、限定することを何ら意図しないものであると理解するであろう。本開示の恩恵を受けるそのような当業者は、本発明の他の実施形態を容易に想起するであろう。更に、誘導電流プラズマを生成することを含むが、これに限定されない、病変部にエネルギーを送達する他の方法を利用することができる。ここで、添付の図面に示す本発明の実施態様を詳細に参照する。
【0047】
明確にするために、本明細書に記載された実施態様の通常の特徴が、すべて示され説明されているわけではない。当然のことながら、そのような実際の実施態様の開発では、アプリケーション関連及びビジネス関連の制約を遵守することなど、開発者の固有の目標を達成するために、実施態様に固有の多数の決定を行わなければならず、これらの固有の目標は実施態様ごとに、及び開発者ごとに異なることが理解されよう。更に、そのような開発努力は複雑で時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の恩恵を受ける当業者にとってはエンジニアリングの通常の仕事であることが理解される。
【0048】
本明細書で使用される場合、「血管内病変」、「血管病変」及び「治療部位」という用語は、特に明記しない限り互換的に使用される。したがって、血管内病変及び/又は血管病変は、本明細書では単に「病変」と呼ばれることがあり、血管又は心臓弁の、又はそれらに近接する病変部を含み得る。
【0049】
本明細書のカテーテルシステムは、本明細書に具体的に示され、かつ/又は記載されたもの以外の、多くの異なる形態、及び/又は構成を含み得ることが理解される。ここで
図1を参照すると、本明細書の様々な実施形態による、カテーテルシステムの概略断面図が示されている。カテーテルシステム100は、血管及び/又は心臓弁の血管壁内の、又は隣接する治療部位に、破砕を引き起こすための圧力を付与するのに適している。
図1に示す実施形態では、カテーテルシステム100は、カテーテル102、1つ又はそれ以上の導光体122、コントローラ123、電源124、マニホールド136、及び流体ポンプ138のうちの、1つ又はそれ以上を含むことができる。
【0050】
カテーテル102は、膨張可能なバルーン104(本明細書では「バルーン」と呼ばれることもある)を含む。カテーテル102は、血管108内の、又はそれに隣接する治療部位106に進行するように構成される。治療部位106には、例えば、石灰化血管病変などの治療部位が含まれ得る。更に、又はその代わりに、治療部位106には、線維性血管病変などの血管病変が含まれ得る。
【0051】
カテーテル102には、バルーン104、カテーテルシャフト110、及びガイドワイヤ112を含むことができる。バルーンは、カテーテルシャフト110に結合することができる。バルーンには、バルーン近位端104P及びバルーン遠位端104Dを含むことができる。カテーテルシャフト110は、シャフト近位端114とシャフト遠位端116との間に延在することができる。カテーテルシャフト110には、ガイドワイヤ112にわたって進行するように構成された、ガイドワイヤルーメン118を含むことができる。カテーテルシャフト110はまた、膨張ルーメン(図示せず)を含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテル102は、遠位端開口部120を有することができ、ガイドワイヤ112を収容し、バルーン104が治療部位106に、又はそれに近接して配置されるように、ガイドワイヤにわたって、かつ/又はガイドワイヤに沿って移動させることができる。
【0052】
カテーテル102のカテーテルシャフト110は、電源124と光学的に通信する、1つ又はそれ以上の導光体122を取り囲むことができる(明確にするために1つの導光体122のみが
図1に示されている)。導光体122は、カテーテルシャフト110に沿って、かつ/又はカテーテルシャフト内に少なくとも部分的に、かつバルーン104内に少なくとも部分的に配置することができる。様々な実施形態では、導光体122は光ファイバとすることができ、電源124はレーザとすることができる。電源124は、導光体122と光学的に通信することができる。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト110は、第2の導光体、第3の導光体など、複数の導光体を取り囲むことができる。
【0053】
バルーン104には、バルーン壁130を含むことができる。バルーン104は、患者の血管系を通ってカテーテルシャフト102の少なくとも一部を前進させるのに適した折畳み構成から、カテーテル102を治療部位106に関する位置に固定するのに適した、膨張構成に展開することができる。
【0054】
コントローラ123は、本明細書でより詳細に示されるように、電源が、(例えば、
図2A~
図3Bに示す)1つ又はそれ以上のエネルギーパルス242A、242B、342A、342Bを生成することができるように、電源124を制御することができる。コントローラ123はまた、カテーテル102の動作を制御するために、他の関連機能を実行することができる。
【0055】
カテーテルシステム100の電源124は、導光体122によって受け取られる、1つ又はそれ以上のサブミリ波帯エネルギーパルスを提供するように構成することができる。本明細書でより詳細に示されるように、様々な実施形態では、導光体122によって受け取られる、合成パルス形状を有する合成エネルギーパルス(
図1には図示せず)を生成するために、各エネルギーパルスを合成又は協働させることができる。導光体122は、合成エネルギーパルスによって生成される光エネルギーのための導管として機能する。特定の実施形態では、電源124には、1つ又はそれ以上のシード光源126、及び1つ又はそれ以上の増幅器128を含むことができる。各増幅器128は、シード光源126の少なくとも1つと光学的に通信することができる。シード光源126はそれぞれ、低電力シードパルスを放射することができる。増幅器128は、シードパルスの電力を増大させてエネルギーパルスを生成することができる。一実施形態では、電源は、1つのシード光源126、及び1つの増幅器128を含むことができる。あるいは、電源124は、複数のシード光源126、及び1つの増幅器128を含むことができる。更にその代わりに、電源124は、複数のシード光源126、及び複数の増幅器128を含むことができる。
【0056】
合成エネルギーパルスによって生成された光エネルギーは、導光体122によってバルーン104内の位置に送達される。光エネルギーは、バルーン104内のバルーン流体132で発生する、プラズマパルス134の形態でのプラズマ形成を引き起こす。プラズマパルス134は、急速な気泡形成を引き起こし、治療部位106に圧力波を付与する。例示的なプラズマパルス134を
図1に示す。バルーン流体132は、液体又は気体であり得る。本明細書でより詳細に示されるように、プラズマ誘起気泡134は、導光体を損傷する可能性が低減されるように、意図的に導光体122からある程度離れて形成される。
【0057】
様々な実施形態では、サブミリ波帯の光パルスは、少なくとも約1ヘルツ(Hz)~約5000Hzまでの周波数で、治療部位106の付近に送達することができる。いくつかの実施形態では、サブミリ波帯の光パルスは、少なくとも30Hz~1000Hzの周波数で、治療部位106の付近に送達することができる。他の実施形態では、サブミリ波帯の光パルスは、少なくとも10Hz~100Hzの周波数で、治療部位106の付近に送達することができる。更に他の実施形態では、サブミリ波帯の光パルスは、少なくとも1Hz~30Hzの周波数で、治療部位106の付近に送達することができる。いくつかの実施形態では、サブミリ波帯の光パルスは、1Hz、2Hz、3Hz、4Hz、5Hz、6Hz、7Hz、8Hz、又は9Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、70Hz、80Hz、90Hz、100Hz、200Hz、300Hz、400Hz、500Hz、600Hz、700Hz、800Hz、900Hz、1000Hz、1250Hz、1500Hz、1750Hz、2000Hz、2250Hz、2500Hz、2750Hz、3000Hz、3250Hz、3500Hz、3750Hz、4000Hz、4250Hz、4500Hz、4750Hz、又は5000Hz以上であり得る周波数で、若しくは、前述のいずれかの範囲内の量であり得る周波数で、治療部位106の付近に送達することができる。あるいは、サブミリ波帯の光パルスは、5000Hz超であり得る周波数で、治療部位106の付近に送達送達することができる。
【0058】
本明細書のカテーテルシステム100は、近位部114で電源124と、遠位部116でバルーン104内のバルーン流体132と光学的に通信する、任意の数の導光体122を含むことができることが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書のカテーテルシステム100は、1個~5個の導光体122を含むことができる。他の実施形態では、本明細書のカテーテルシステム100は、5個~15個の導光体を含むことができる。更に他の実施形態では、本明細書のカテーテルシステム100は、10個~30個の導光体を含むことができる。本明細書のカテーテルシステム100は、1個~30個の導光体を含むことができる。本明細書のカテーテルシステム100は、範囲内に含まれ得る任意の数の導光体を含むことができ、範囲の下限が範囲の上限よりも小さい値である限り、前述の数のいずれもが、範囲の下限又は上限となり得ることが理解される。いくつかの実施形態では、本明細書のカテーテルシステム100は、30個を超える導光体を含むことができる。
【0059】
マニホールド136は、シャフト近位端114に、又はそれに近接して配置することができる。マニホールド136は、導光体122などの、1つ又はそれ以上の導光体、ガイドワイヤ112、及び/又は膨張導管140を受け入れることができる、1つ又はそれ以上の近位端開口部を含むことができる。カテーテルシステム100はまた、必要に応じてバルーン流体132を用いてバルーン104を膨張させ、かつ/又はバルーン104を収縮させるように構成された、流体ポンプ138を含むことができる。
【0060】
本明細書に図示され説明されるすべての実施形態と同様に、明確にし、理解を容易にするために、図面から様々な構造を省略することがある。更に、図面は、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく省略することができる、特定の構造を含む場合がある。
【0061】
図2Aは、複数の重なり合うエネルギーパルス242Aを生成する、カテーテルシステム200Aの一部の、第1の実施形態を示す簡略概略図である。この実施形態では、重なり合うエネルギーパルス242Aは組み合わさって導光体222Aに送られて、初期気泡244A、及びプラズマパルス246Aを生成する。プラズマパルス246Aは、圧力波(図示せず)を生成し、次いで、治療部位106(
図1に示す)、又はその付近の石灰化病変を破壊する。複数のエネルギーパルス242Aを構成して組み合わせることにより、(例えば、
図3Aに示す)合成エネルギーパルス348Aが生成される。以下により詳細に示すように、この実施形態及び他の実施形態では、合成エネルギーパルス348Aは、特定の初期気泡244A及び/又はプラズマパルス246Aを実現するように個別に調整する、又は他の方法で調整することができる。
【0062】
一実施形態、及び以下の実施形態では、各エネルギーパルス242Aは、形状、振幅及び/又はパルス幅(持続時間)が実質的に同様であり得る。あるいは、形状、振幅、及び/又は持続時間であるパルス幅の1つ又はそれ以上は、エネルギーパルス242Aごとに異なっていてもよい。この設計により、合成エネルギーパルスは、所望の特性を有する1つ又はそれ以上のプラズマパルス246Aを生成するのに有利な方法で、個別に調整することができる。
【0063】
図2Bは、別個の離間した複数のエネルギーパルス242Bを生成するカテーテルシステム200Bの一部の、第1の実施形態を示す簡略概略図である。この実施形態では、離間したエネルギーパルス242Bは、導光体222Bに送られて初期気泡244B、及び/又はプラズマパルス246Bを生成する。プラズマパルス246Bは、圧力波(図示せず)を生成し、次いで、治療部位106(
図1に示す)、又はその付近の石灰化病変を破壊する。複数のエネルギーパルス242Bを構成して使用することにより、(例えば、
図3Bに示す)合成エネルギーパルス348Bが生成される。以下により詳細に示すように、この実施形態及び他の実施形態では、合成エネルギーパルス348Bは、特定の初期気泡244B及び/又はプラズマパルス246Bを実現するように個別に調整する、又は他の方法で調整することができる。
【0064】
図3Aは、複数の重なり合うエネルギーパルス342Aを生成して、合成エネルギーパルス348Aを生成するカテーテルシステム300Aの一部の、一実施形態を示す簡略概略図である。合成エネルギーパルス348Aは、導光体322Aに送られ、1つ又はそれ以上のプラズマパルス346Aを生成することができる。この実施形態では、各プラズマパルス346Aは、互いに比較的近接して、かつ/又は互いに時間的に近接して発生し得る。
図3Aに示す実施形態では、プラズマパルス346Aは実質的に連続的に発生し、例えば、プラズマパルス346Aはかなり短い周期で連続するパルスであり、単一のプラズマパルス346Aのどれよりも長い持続時間を有する、1つの連続したプラズマパルス346Aを基本的に生成する。プラズマパルス346Aは、圧力波(図示せず)を生成し、次いで、治療部位106(
図1に示す)、又はその付近の石灰化病変を破壊することができる。
【0065】
一実施形態、及び以下の実施形態では、各エネルギーパルス342Aは、形状、振幅及び/又はパルス幅(持続時間)が実質的に同様であり得る。あるいは、形状、振幅、及び/又は持続時間であるパルス幅の1つ又はそれ以上は、エネルギーパルス342Aごとに異なっていてもよい。
【0066】
図3Bは、別個の離間した複数のエネルギーパルス342Bを生成して、合成エネルギーパルス348Bを生成する、カテーテルシステム300Bの一部の、一実施形態を示す簡略概略図である。合成エネルギーパルス348Bは、導光体322Bに送られ、1つ又はそれ以上のプラズマパルス346Bを生成することができる。この実施形態では、プラズマパルス346Bは、互いの間により大きい距離を有し、かつ/又は各プラズマパルス346Bの間により大きな時間を有することができる。プラズマパルス346Bは、圧力波(図示せず)を生成し、次いで、(
図1に示す)治療部位106又はその付近の石灰化病変を破壊することができる。
【0067】
図4Aは、持続時間tのパルス幅を有する合成エネルギーパルス448Aの一実施形態を示す、簡略化したグラフである。この実施形態では、合成エネルギーパルス448Aは、本明細書でより詳細に説明するように、(例えば、
図2A~
図2B、及び
図3A~
図3Bに示す)複数のエネルギーパルスを組み合わせることによって形成されたものである。
図4Aに示す実施形態では、合成エネルギーパルス448Aは、時間t/2より後に発生する時間的ピーク450A(最大振幅)を有する。更に、この実施形態では、合成エネルギーパルス448Aは、発生時には比較的低いエネルギーを有し、プラズマパルス(
図4Aには図示せず)に先立ち、初期プラズマをもたらす。この実施形態では、合成エネルギーパルス448Aは、パルスの終わりに向かってより大きなエネルギーを有し、最終的にプラズマパルスを生成する。
【0068】
図4Bは、持続時間tのパルス幅を有する合成エネルギーパルス448Bの一実施形態を示す、簡略化したグラフである。この実施形態では、合成エネルギーパルス448Bは、本明細書でより詳細に説明するように、(例えば、
図2A~
図2B、及び
図3A~
図3Bに示す)複数のエネルギーパルスを組み合わせることによって形成されたものである。
図4Bに示す実施形態では、合成エネルギーパルス448Bは、時間t/2より前に発生する時間的ピーク450B(最大振幅)を有し、プラズマパルス(
図4Bには図示せず)をもたらす。更に、この実施形態では、合成エネルギーパルス448Bは、時間的ピーク450Bの後に比較的高い持続エネルギーを維持し、時間的ピーク450Bの後に比較的エネルギーが高く応答の長いプラズマパルスを供給することができる。
【0069】
図4Cは、持続時間tのパルス幅を有する合成エネルギーパルス448Cの一実施形態を示す、簡略化したグラフである。この実施形態では、合成エネルギーパルス448Cは、本明細書でより詳細に説明するように、(例えば、
図2A~
図2B、及び
図3A~
図3Bに示す)複数のエネルギーパルスを組み合わせることによって形成されたものである。
図4Cに示す実施形態では、合成エネルギーパルス448Cは、時間t/2より前に発生する時間的ピーク450C(最大振幅)を有し、プラズマパルス(
図4Cには図示せず)をもたらす。更に、この実施形態では、合成エネルギーパルス448Cは、時間的ピーク450Cの後に比較的低い持続エネルギーを維持し、時間的ピーク450Cの後に比較的エネルギーが低く応答の長いプラズマパルスを供給することができる。
【0070】
図5A~
図5Fは、本明細書で提供される装置及び方法を使用して生成することができる、いくつかの代表的な合成エネルギーパルスの、非排他的な実施形態を示す。これらの実施形態は、すべてのあり得る合成エネルギーパルスを示すことを意図しているわけではなく、そうすることはとてもできないと理解される。むしろ、
図5A~
図5Fは、本明細書に開示された装置及び方法を使用して、任意の合成エネルギーパルス形状が実現可能であることを説明するために示されている。
【0071】
図5Aは、1つの合成パルス形状を有する合成エネルギーパルス548Aの一実施形態を示す、簡略化したグラフである。この実施形態では、合成エネルギーパルス548Aは、第1の時間的ピーク550AF、及び第2の時間的ピーク550ASなどの、2つ(又はそれ以上)の離間した時間的ピークを含む。更に、一実施形態では、合成エネルギーパルス548Aは、第1のパルス552AF及び第2のパルス552ASを含む、2つ(又はそれ以上)の別個の離間したパルスを有することができ、それぞれが互いに異なるパルス形状を有するが、そのパルス形状は代替的に、互いに実質的に類似している、又は同一であり得ることが理解される。
【0072】
図5Bは、1つの合成パルス形状を有する合成エネルギーパルス548Bの一実施形態を示す、簡略化したグラフである。この実施形態では、合成エネルギーパルス548Bは、第1の時間的ピーク550BF、及び第2の時間的ピーク550BSなどの、2つ(又はそれ以上)の離間した時間的ピークを含む。更に、一実施形態では、合成エネルギーパルス548Bは、第1のパルス552BF及び第2のパルス552BSを含む、2つ(又はそれ以上)の別個の離間したパルスを有することができ、それぞれが互いに異なるパルス形状を有するが、そのパルス形状は代替的に、互いに実質的に類似している、又は同一であり得ることが理解される。
【0073】
図5Cは、1つの合成パルス形状を有する合成エネルギーパルス548Cの一実施形態を示す、簡略化したグラフである。この実施形態では、合成エネルギーパルス548Cは、第1の時間的ピーク550CF、及び第2の時間的ピーク550CSなどの、2つ(又はそれ以上)の離間した時間的ピークを含む。更に、一実施形態では、合成エネルギーパルス548Cは、第1のパルス552CF及び第2のパルス552CSを含む、2つ(又はそれ以上)の別個の離間したパルスを有することができ、それぞれが互いに異なるパルス形状を有するが、そのパルス形状は代替的に、互いに実質的に類似している、又は同一であり得ることが理解される。
【0074】
図5Dは、1つの合成パルス形状を有する合成エネルギーパルス548Dの一実施形態を示す、簡略化したグラフである。この実施形態では、合成エネルギーパルス548Dは、第1の時間的ピーク550DF及び第2の時間的ピーク550DSなどの、2つ(又はそれ以上)の離間した時間的ピークを含む。更に、一実施形態では、合成エネルギーパルス548Dは、第1のパルス552DF及び第2のパルス552DSを含む、2つ(又はそれ以上)の別個の離間したパルスを有することができ、それぞれが互いに異なるパルス形状を有するが、そのパルス形状は代替的に、互いに実質的に類似している、又は同一であり得ることが理解される。
【0075】
図5Eは、1つの合成パルス形状を有する合成エネルギーパルス548Eの一実施形態を示す、簡略化したグラフである。この実施形態では、合成エネルギーパルス548Eは、第1の時間的ピーク550EF、第2の時間的ピーク550ES、及び第3の時間的ピーク550ETなどの、3つ(又はそれ以上)の離間した時間的ピークを含む。更に、一実施形態では、合成エネルギーパルス548Eは、第1のパルス552EF、第2のパルス552ES、及び第3のパルス552ETを含む、3つ(又はそれ以上)の別個の離間したパルスを有することができ、その結果、パルス552EF、552ESのうちの少なくとも2つは、互いに異なるパルス形状を有するが、そのパルス形状は代替的に、すべて実質的に類似している、又は同一であってもよく、又は更に代替的には、すべて互いに異なっていてもよいことが理解される。
【0076】
図5Fは、1つの合成パルス形状を有する合成エネルギーパルス548Fの一実施形態を示す、簡略化したグラフである。この実施形態では、合成エネルギーパルス548Fは、第1の時間的ピーク550FF、及び第2の時間的ピーク550FSなどの、2つ(又はそれ以上)の離間した時間的ピークを含む。更に、一実施形態では、合成エネルギーパルス548Fは、第1のパルス552FF及び第2のパルス552FSを含む、2つ(又はそれ以上)の別個の離間したパルスを有することができ、それぞれが互いに異なるパルス形状を有するが、そのパルス形状は代替的に、互いに実質的に類似している、又は同一であり得ることが理解される。
【0077】
図6Aは、初期気泡644Aを生成するカテーテルシステム600Aの一部の、一実施形態を示す簡略概略図である。この実施形態では、カテーテルシステム600Aは、カテーテルシャフト610A、導光体622A、及び初期気泡生成器654Aを含む。初期気泡生成器654Aは、初期気泡644Aを発生させて、導光体622Aと最終的に生成されるプラズマパルス(
図6Aには図示せず)との間に、ギャップを設ける。そのような一実施形態では、初期気泡生成器654Aは、抵抗発熱体を含むことができる。その代わりに、又は加えて、初期気泡生成器654Aは、導光体622Cの遠位端660A又はその付近での初期気泡644Aの生成を励起又は促進する、1対(又はそれ以上)の電解用電極又は任意の他の材料を含むことができる。これらの設計により、プラズマパルスが導光体622Aで、又は導光体622A上で直ちに発生せず、代わりに導光体622Aから離れて発生するため、導光体622Aの損傷が抑制される。
【0078】
図6Bは、初期気泡644Bを生成するカテーテルシステム600Bの一部の、別の実施形態を示す簡略概略図である。この実施形態では、カテーテルシステム600Bは、カテーテルシャフト610B、導光体622B、及び初期気泡生成器654Bを含む。初期気泡生成器654Bは、初期気泡644Bを生成して、導光体622Bと最終的に生成されるプラズマパルス(
図6Bには図示せず)との間に、ギャップを設ける。そのような一実施形態では、初期気泡生成器654Bは、流体ポート656、及び流体ポート656と流体連通する流体ライン658を含むことができる。この実施形態では、流体(1つの非排他的な実施形態では、空気など)を、流体ライン658を介して流体ポート656に送達することができ、これにより初期気泡644Bを生成することができる。この設計により、プラズマパルスが遠位端660Bで、又は導光体622B上のどこかで直ちに発生せず、代わりに導光体622Bから離れて発生するため、導光体622Bの損傷が抑制される。
【0079】
図6Cは、初期気泡644Cを生成するカテーテルシステム600Cの一部の、更に別の実施形態を示す簡略概略図である。この実施形態では、カテーテルシステム600Cは、カテーテルシャフト610C、導光体622C、及び初期気泡生成器654Cを含む。初期気泡生成器654Cは初期気泡644Cを生成して、導光体622Cと最終的に生成されるプラズマパルス(
図6Cには図示せず)との間に、ギャップを設ける。そのような一実施形態では、初期気泡生成器654Cは、疎水性コーティングを含むことができる。この実施形態では、疎水性力によって初期気泡を自己形成するために、表面張力が作り出される。その代わりに、又は加えて、初期気泡生成器654Cには、導光体622Cの遠位端660C、又はその付近での初期気泡の生成を励起又は促進する、ナノテクスチャ加工された表面、あるいは、任意の他の表面又は材料を含むことができる。この実施形態では、初期気泡生成器654Cは、カテーテルシャフト610C上に配置される。しかしながら、初期気泡生成器654Cは、カテーテルシステム600C内の別の構造に、又はその上に配置し得ることが認められる。この設計により、プラズマパルスが導光体622Cで、又は導光体622C上で直ちに発生するのではなく、導光体622Cから離れて発生するため、導光体622Cの損傷が抑制される。
【0080】
図6Dは、初期気泡644Dを生成するカテーテルシステム600Dの一部の、更に別の実施形態を示す簡略概略図である。この実施形態では、カテーテルシステム600Dは、カテーテルシャフト610D、導光体622D、及び初期気泡生成器654Dを含む。初期気泡生成器654Dは、初期気泡644Dを生成して、導光体622Dと最終的に生成されるプラズマパルス(
図6Dには図示せず)との間に、ギャップを設ける。そのような一実施形態では、初期気泡生成器654Dは、疎水性コーティングを含むことができる。その代わりに、又は加えて、初期気泡生成器654Dは、又は導光体622Dの遠位端660D、又はその付近での初期気泡の発生を励起又は促進する、ナノテクスチャ加工された表面、あるいは、任意の他の表面又は材料を含むことができる。この実施形態では、初期気泡生成器654Dは、導光体622D上に配置される。しかしながら、初期気泡生成器654Dは、カテーテルシステム600D内の別の構造に、又はその上に配置し得ることが認められる。この設計により、プラズマパルスが導光体622Dで、又は導光体622D上で直ちに発生するのではなく、導光体622Dから離れて発生するため、導光体622Dの損傷が抑制される。
【0081】
バルーン流体
本明細書での使用に適した例示的なバルーン流体には、水、生理食塩水、造影媒体、フルオロカーボン、パーフルオロカーボン、二酸化炭素といったガスなどの、1つ又はそれ以上が含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に図示及び/又は記載されるバルーン流体は、本明細書の他の箇所で論じられる、基礎的な膨張流体として使用することができる。いくつかの実施形態では、バルーン膨張流体は、50:50の体積比の、生理食塩水と造影媒体の混合物を含む。いくつかの実施形態では、バルーン流体は、25:75の体積比の、生理食塩水と造影媒体との混合物を含む。いくつかの実施形態では、バルーン流体は、75:25の体積比の、生理食塩水と造影媒体との混合物を含む。本明細書での使用に適したバルーン流体は、その中の圧力波の移動速度を操作するために、組成、粘度などに基づいて調整することができる。本明細書での使用に適したバルーン流体は、生体適合性のものである。バルーン流体の体積は、選択された電源、及び使用されるバルーン流体の種類によって、調整することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書の造影媒体に使用される造影剤には、イオン性又は非イオン性ヨウ素造影剤などのヨウ素造影剤を含むことができるが、これらに限定されない。イオン性ヨウ素造影剤のいくつかの非限定的な例としては、ジアトリゾ酸、メトリゾ酸、イオタラム酸、及びイオキサグル酸が挙げられる。非イオン性ヨウ素造影剤のいくつかの非限定的な例としては、イオパミドール、イオヘキソール、イオキシラン、イオプロミド、イオジキサノール、及びイオベルソールが挙げられる。他の実施形態では、非ヨウ素造影剤を使用することができる。適切な非ヨウ素含性有造影剤には、ガドリニウム(III)造影剤を含むことができる。適切なフルオロカーボン及びパーフルオロカーボン剤には、パーフルオロカーボンであるドデカフルオロペンタン(DDFP、C5F12)などの薬剤を含むことができるが、これに限定されない。
【0083】
本明細書に図示及び/又は記載されるバルーン流体には、紫外線(例えば、少なくとも10ナノメートル(nm)~400nm)、可視領域(例えば、少なくとも400nm~780nm)、及び近赤外領域(例えば、少なくとも780nm~2.5μm)の電磁スペクトル、又は少なくとも10nm~2.5マイクロメートル(μm)の電磁スペクトルである遠赤外領域の光を選択的に吸収することができる、吸収剤を含むものがあり得る。適切な吸収剤には、少なくとも10nm~2.5μmのスペクトルに沿って、吸収極大を有するものを含むことができる。様々な実施形態では、吸収剤は、カテーテルシステムで使用されるレーザの、発光極大と一致する吸収極大を有するものであり得る。非限定的な例として、本明細書に記載の様々なレーザには、ネオジム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Nd:YAG、発光極大=1064nm)レーザ、ホルミウム:YAG(Ho:YAG、発光極大=2.1μm)レーザ、又はエルビウム:YAG(Er:YAG、発光極大=2.94μm)を含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される吸収剤は水溶性であり得る。他の実施形態では、本明細書で使用される吸収剤は非水溶性である。いくつかの実施形態では、本明細書のバルーン流体に使用される吸収剤は、電源のピーク放射に対応するように調整することができる。少なくとも10ナノメートル~1ミリメートルの発光波長を有する様々な電源は、本明細書の他の箇所で論じられる。
【0084】
いくつかの実施形態では、バルーン流体を導入することで、折畳み構成から第1の膨張構成への、及び第1の膨張構成から第2の更なる膨張構成への、バルーンの膨張が引き起こされる。更に、又はその代わりに、形状記憶材料、又は他の手段を使用して、バルーンの膨張を達成することができる。
【0085】
導光体
本明細書に図示及び/又は記載される導光体には、光ファイバ又は可撓性の光導体を含むことができる。本明細書に図示及び/又は記載される導光体は、薄型及び可撓性にすることができ、光信号の強度をほとんど損失することなく送信することができる。本明細書に図示及び/又は記載される導光体は、その周囲をクラッドに囲まれたコアを含むことができる。いくつかの実施形態では、このコアは、円筒形のコア、又は部分円筒形のコアにすることができる。導光体のコア及びクラッドは、1つ又はそれ以上の種類のガラス、シリカ、又は1つ又はそれ以上のポリマーを含むが、これらに限定されない、1つ又はそれ以上の材料から形成することができる。導光体には、ポリマーなどの保護コーティングを含んでもよいこのコアの屈折率は、クラッドの屈折率よりも大きいことが理解される。
【0086】
各導光体は、その長さに沿って、少なくとも1つの光学窓を有する遠位部に、光を導くことができる。導光体は、電源を含む光ネットワークの一部として、光路を作り出すことができる。光ネットワーク内の光路により、光がネットワークのある部分から別の部分に移動することが可能となる。光ファイバ又は可撓性の光導体はどちらも、本明細書の光ネットワーク内に光路を提供することができる。
【0087】
本明細書に図示及び/又は記載される導光体は、本明細書に図示及び/又は記載されるカテーテルのカテーテルシャフトを中心にして、多くの構成をとることができる。いくつかの実施形態では、導光体は、カテーテルのカテーテルシャフトの長手方向軸に平行に伸ばすことができる。いくつかの実施形態では、導光体は、カテーテルのカテーテルシャフトの長手方向軸を中心に、渦巻き状又は螺旋状に配置することができる。いくつかの実施形態では、導光体は、カテーテルシャフトに物理的に結合することができる。他の実施形態では、導光体は、カテーテルシャフトの外径の長さに沿って配置することができる。更に他の実施形態では、本明細書の導光体は、カテーテルシャフト内の、1つ又はそれ以上の導光体ルーメンに配置することができる。カテーテルシャフト及び導光体ルーメンの様々な構成について、以下に説明する。
【0088】
方向転換機構と集束機構
本明細書での使用に適した方向転換機構は、反射要素、屈折要素、及び光ファイバ拡散器を含む。いくつかの実施形態では、方向転換機構は反射要素とすることができる。いくつかの実施形態では、方向転換機構は屈折要素とすることができる。いくつかの実施形態では、方向転換機構は、光ファイバ拡散器とすることができる。
【0089】
光ファイバ拡散器は、導光体内からの光を導光体の側面で出射するように導くことができる。本明細書に記載の光ファイバ拡散器は、いくつかの方法で作り出すことができる。いくつかの実施形態では、光ファイバ拡散器は、CO2レーザで導光体の遠位部の表面を微細加工することによって、作り出すことができる。いくつかの実施形態では、導光体の遠位部に溶融シリカコーティングを施すことができる。他の実施形態では、光ファイバ拡散器は、導光体の遠位部上で、ガラス、ポリマー、又は金属コーティングから形成することができる。他の実施形態では、光ファイバ拡散器は、導光体の遠位部上で、ファイバ・ブラッグ・グレーティングによって形成することができる。いくつかの実施形態では、光ファイバ拡散器には、導光体の機械加工された部分、導光体のレーザ機械加工された部分、ファイバ・ブラッグ・グレーティング、融着接続、少なくとも1つの内部ミラーを形成する融着接続、及び2つ又はそれ以上の拡散領域の接合を含むことができる。
【0090】
光ファイバ拡散器に適した材料には、これらに限定されるものではないが、導光体コア又は導光体クラッド、磨りガラス、銀被覆ガラス、金被覆ガラス、二酸化チタン、及び対象の光波長を散乱し、著しく吸収しない、他の材料を含むことができる。導光体、光学部品、又は光学材料に均一な拡散器を作り出すために使用できる一方法は、少なくとも50ナノメートル~5マイクロメートル程度のサイズの、散乱中心を利用することである。この散乱中心は、約200ナノメートルのサイズの分布を有し得る。
【0091】
本明細書の導光体の先端から離れるように光を集束させるのに適した方向転換機構及び集束機構には、これらに限定されないが、凸面、屈折率分布型(GRIN)レンズ、及びミラー・フォーカス・レンズを有するものを含むことができる。
【0092】
電源
本明細書での使用に適した電源には、レーザ及びランプを含む、様々なタイプの電源を含むことができる。適切なレーザには、サブミリ波の時間スケールの、短パルスレーザを含むことができる。いくつかの実施形態では、電源には、ナノ秒(ns)の時間スケールのレーザを含むことができる。このレーザには、ピコ秒(ps)、フェムト秒(fs)、及びマイクロ秒(us)の時間スケールの、短パルスレーザも含むことができる。本明細書に図示及び/又は記載される、カテーテルのバルーン流体中のプラズマを達成するために使用することができる、レーザ波長、パルス幅、及びエネルギーレベルの、多くの組み合わせがあることが理解される。様々な実施形態では、このパルス幅には、少なくとも10ns~200nsを含む範囲内のものがあり得る。いくつかの実施形態では、このパルス幅には、少なくとも20ns~100nsを含む範囲内のものがあり得る。他の実施形態では、このパルス幅は、少なくとも1ns~5000nsを含む範範囲内のものがあり得る。
【0093】
例示的なナノ秒レーザには、約10ナノメートル~1ミリメートルの波長にわたる、UV~IRスペクトル内のものを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書のカテーテルシステムでの使用に適した電源には、少なくとも750nm~2000nmの波長の光を生成可能なものを含むことができる。いくつかの実施形態では、この電源には、少なくとも700nm~3000nmの波長の光を生成可能なものを含むことができる。いくつかの実施形態では、この電源には、少なくとも100nm~10マイクロメートル(μm)の波長の光を生成可能なものを含むことができる。ナノ秒レーザには、最大200kHzの繰返し率を有するものを含むことができる。いくつかの実施形態では、このレーザには、Qスイッチ式のツリウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Tm:YAG)レーザを含むことができる。いくつかの実施形態では、レーザは、ネオジム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Nd:YAG、ホルミウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Ho:YAG)、エルビウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Er:YAG)、エキシマレーザ、ヘリウムネオンレーザ、二酸化炭素レーザ、並びにドープされ、パルス化されたファイバレーザを含むことができる。
【0094】
圧力波
本明細書に図示及び/又は記載されるカテーテルは、少なくとも1メガパスカル(MPa)~100MPaの範囲の最大圧力を有する、圧力波を生成することができる。特定のカテーテルによって生成される最大圧力は、電源、吸収材料、気泡膨張、伝搬媒質、バルーン材料、及び他の要因に依存する。いくつかの実施形態では、本明細書に図示及び/又は記載されるカテーテルは、少なくとも2MPa~50MPaの範囲の最大圧力を有する、圧力波を生成することができる。他の実施形態では、本明細書に図示及び/又は記載されるカテーテルは、少なくとも2MPa~30MPaの範囲の最大圧力を有する、圧力波を生成することができる。更に他の実施形態では、本明細書に図示及び/又は記載されるカテーテルは、少なくとも15MPa~25MPaの範囲の最大圧力を有する、圧力波を生成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に図示及び/又は記載されるカテーテルは、1MPa、2MPa、3MPa、4MPa、5MPa、6MPa、7MPa、8MPa、9MPa、10MPa、11MPa、12MPa、13MPa、14MPa、15MPa、16MPa、17MPa、18MPa、19MPa、20MPa、21MPa、22MPa、23MPa、24MPa、又は25MPa、26MPa、27MPa、28MPa、29MPa、30MPa、31MPa、32MPa、33MPa、34MPa、35MPa、36MPa、37MPa、38MPa、39MPa、40MPa、41MPa、42MPa、43MPa、44MPa、45MPa、46MPa、47MPa、48MPa、49MPa、50MPaの圧力以上のピーク圧力を有する、圧力波を生成することができる。本明細書に図示及び/又は記載されるカテーテルは、ある範囲内に含まれ得る作用圧力又は最大圧力を有する圧力波を生成することができ、範囲の下限が範囲の上限よりも小さい値である限り、前述の数のいずれもが、範囲の下限又は上限となり得ることが理解される。
【0095】
治療処置は、疲労方法又はブルートフォース方法によって作用することができる。疲労方法の場合、作用圧力は、少なくとも約0.5MPa~2MPa、又は約1MPaである。ブルートフォース方法の場合、作用圧力は、少なくとも約20MPa~30MPa、又は約25MPaである。これら2つの範囲の両端間にある圧力は、疲労方法とブルートフォース方法との組合せを使用して、治療部位に作用することができる。
【0096】
本明細書に記載の圧力波は、治療部位に配置されたカテーテルの長手方向軸から放射状に延びる、少なくとも0.1ミリメートル(mm)~25mmの範囲内の距離から、治療部位に付与することができる。いくつかの実施形態では、圧力波は、治療部位に配置されたカテーテルの長手方向軸から放射状に延びる、少なくとも10mm~20mmの範囲内の距離から、治療部位に付与することができる。他の実施形態では、圧力波は、治療部位に配置されたカテーテルの長手方向軸から放射状に延びる、少なくとも1mm~10mmの範囲内の距離から、治療部位に付与することができる。更に他の実施形態では、圧力波は、治療部位に配置されたカテーテルの長手方向軸から放射状に延びる、少なくとも1.5mm~4mmの範囲内の距離から、治療部位に付与することができる。いくつかの実施形態では、圧力波は、0.1mm~10mmの距離で、少なくとも2MPa~30MPaの範囲で、治療部位に付与することができる。いくつかの実施形態では、圧力波は、0.1mm~10mmの距離で、少なくとも2MPa~25MPaの範囲で、治療部位に付与することができる。いくつかの実施形態では、圧力波は、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mmの距離以上であり得る距離から、あるいは、前述のいずれかの量の範囲内である距離から、治療部位に付与することができる。
【0097】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容及び/又は文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。「又は」という用語は、その内容又は文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、「及び/又は」を含む、その一般に使用される意味であることにも留意されたい。
【0098】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「構成された」という語句は、特定の仕事を実行するか、又は特定の構成を採用するように構築又は構成された、システム、装置、又は他の構造を説明するものであることにも留意されたい。「構成された」という語句は、配置され構成された、構築され配置された、構築された、製造され配置された、といった他の同様の語句と、互換的に使用することができる。
【0099】
本明細書で使用される場合、端点による数値範囲の記述は、その範囲内に包含されるすべての数を含むものとする(例えば、2~8は、2、2.1、2.8、5.3、7、8などを含む)。
【0100】
図示及び説明された図は、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、それらは参照及び理解を容易にするため、並びに構造の相対的な位置付けのために、示されていることが認められる。
【0101】
本明細書で使用される見出しは、米国特許法施行規則1.77の示唆との整合性のため、又は編成上の目印を示すために提供される。これらの見出しは、本開示から生じるあらゆる特許請求の範囲に記載された本発明を、限定する、又は特徴付けるものと見なされるべきではない。一例として、「背景技術」における技術の説明は、その技術が、本開示におけるあらゆる発明に対する先行技術であることを認めるものではない。「発明の概要」又は「要約」も、公表された特許請求の範囲に記載される、本発明を特徴付けるものと見なされるべきではない。
【0102】
本明細書に記載の実施形態は、網羅的であること意図するものではなく、又は、それに続く詳細な説明に開示される厳密な形態に、本発明を限定することを意図するものではない。むしろ、各実施形態は、当業者がその原理及び実践を正当に評価し、かつ理解することができるように、選択され、説明される。したがって、各態様は、様々な特定の好ましい実施形態及び技術を参照して説明されている。しかしながら、本明細書の趣旨及び範囲内に留まりながら、多くの変形及び修正を行えることを理解されたい。
【0103】
カテーテルシステムの多くの異なる実施形態を本明細書で図示及び説明してきたが、本発明の意図を満たす限り、任意のある実施形態の1つ又はそれ以上の特徴を、1つ又はそれ以上の他の実施形態の、1つ又はそれ以上の特徴と組み合わせることができることを理解されたい。
【0104】
カテーテルシステムの、多くの例示的な態様及び実施形態を上述したが、当業者は、それらの何らかの修正、置換、追加、及び部分的組合せを認識するであろう。したがって、以下に添付する特許請求の範囲、及び以下に紹介する特許請求の範囲は、それらの真の精神及び範囲内にある、すべてのそのような修正、置換、追加、及び部分的組合せを含むと解釈されることが意図されており、本明細書に示される構成又は設計の詳細を限定することは意図されていない。
【国際調査報告】