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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】AC-DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20230414BHJP
【FI】
H02M7/12 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552430
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(85)【翻訳文提出日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 US2020042896
(87)【国際公開番号】W WO2021183172
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】62/987,045
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518393506
【氏名又は名称】インテレソル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テレフス,マーク
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA01
5H006CA02
5H006CA07
5H006CB08
5H006CC02
5H006CC08
5H006DC05
(57)【要約】
AC-DC変換システムについて説明する。変換システムは、制御されたパルス電力を蓄積素子に提供するために使用される電子スイッチおよび制御回路からなり、蓄積素子はあらかじめ選択された電圧または手動もしくは自動選択可能な電圧のいずれかで負荷に電力を提供する一方で、スイッチの両端の電圧降下が最小限に抑えられ、スイッチ自体を通して消費される電力を低減し、それによって効率を大幅に増加させ、熱損失を低減することを確実にする。1つの最小バージョンにおけるAC-DCコンバータは、1対のN-MOSFETトランジスタ、分圧器、蓄積素子、および1対のダイオードからなる。この設計は、シリコン上に完全に集積することができる最小限の構成要素で高効率を可能にする。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流(AC)電源(101)からのエネルギーを直流(DC)で出力ノード(1005)の電子負荷(107)に対して供給するAC-DC変換システムであって、
a.負荷(107)の両端に接続された分圧器(501、502)、
b.入力(1001)および出力(1002)を有する第1スイッチ(504)であって、前記入力(1001)を介して前記分圧器に接続された、第1スイッチ(504)、
c.入力(1003)と出力(1004)とを有する第2スイッチ(505)であって、前記入力(1003)は、電流制限抵抗(801)を介して前記第1スイッチ(504)の前記出力(1002)に対して接続されている、第2スイッチ(505)、
d.前記第2スイッチ(505)の前記出力(1004)に対してダイオード(304)を介して接続された蓄積キャパシタ(103)、
e.ツェナー電圧を有するツェナーダイオード(802)であって、前記第2スイッチ(505)の前記入力(1003)と前記出力(1004)との間に接続され、前記ツェナーダイオード(802)に並列に接続されたシャントコンデンサ(803)を有し、それによって、前記第2スイッチ(505)の前記入力(1003)と前記出力(1004)との間の電圧を前記ツェナーダイオード(802)のツェナー電圧にクランプする、ツェナーダイオード(802)、
f.蓄積キャパシタ(103)に対して接続された電子負荷(107)、
を備えるAC-DC変換システム。
【請求項2】
前記AC-DC変換システムはさらに、前記蓄積キャパシタ(103)と前記電子負荷(107)との間に配置された直列電圧レギュレータ回路をさらに備え、
前記直列電圧レギュレータ回路は、前記負荷(107)に対して接続された特性閾値電圧(V)を有するパストランジスタ(106)と、前記パストランジスタの両端に接続されたバイアス抵抗(104)と、前記負荷への出力電圧がV-Vに維持されるように前記バイアス抵抗に接続されたツェナー電圧(Vz)を有するツェナーダイオードとを備える、
請求項1記載のAC-DC変換システム。
【請求項3】
前記AC-DC変換システムはさらに、前記電子スイッチと前記エネルギー蓄積素子との間に配置され、前記第2半導体スイッチを流れる電流を制限する、電流制限電子回路を備え、
前記電流制限回路は、前記第2スイッチの出力と前記負荷(107)に対して接続された検知抵抗(201)と、前記負荷と前記第2スイッチの入力との間に接続されたバイポーラトランジスタ(202)とを有する、
請求項1に記載のAC-DC変換システム。
【請求項4】
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、両方ともN-MOSFETである、請求項1記載のAC-DC変換システム。
【請求項5】
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、両方ともバイポーラトランジスタである、請求項1記載のAC-DC変換システム。
【請求項6】
全ての半導体デバイスが単一の集積回路チップ上に製造される、請求項1記載のAC-DC変換システム。
【請求項7】
全ての半導体デバイスが単一の集積回路チップ上に製造される、請求項3記載のAC-DC変換システム。
【請求項8】
前記分圧器はさらに、前記第1スイッチへの入力電圧が手動で調整されるように構成されたポテンショメータ(1401)を有する、請求項1記載のAC-DC変換システム。
【請求項9】
前記分圧器はさらに、前記分圧器の抵抗器の代わりに接続された制御MOSFET(1501)と、前記制御MOSFET(1501)の入力に対して印加される外部DC制御電圧とを有し、それによって、前記第1スイッチの前記入力に対して印加される電圧を変化させ、前記蓄積キャパシタに蓄積される電圧を変化させる、
請求項1記載のAC-DC変換システム。
【請求項10】
全ての半導体デバイスが単一の集積回路チップ上に製造される、請求項9記載のAC-DC変換システム。
【請求項11】
前記蓄積キャパシタと前記電子負荷との間に絶縁変圧器をさらに有する、請求項1記載のAC-DC変換システム。
【請求項12】
前記AC-DC変換システムはさらに、 アイソレータを通って前記分圧器に至る前記負荷からの検知ラインを有し、それによって前記負荷からのフィードバック制御を提供する、請求項1記載のAC-DC変換システム。
【請求項13】
前記蓄積キャパシタと前記電子負荷との間に絶縁変圧器をさらに有する、請求項3記載のAC-DC変換システム。
【請求項14】
前記AC-DC変換システムはさらに、前記負荷からアイソレータを通って前記分圧器に至る検知ラインを有し、それによって前記負荷からのフィードバック制御を提供する、請求項3記載のAC-DC変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2020年3月9日出願の米国仮出願第62/987045号、発明の名称「Zero Voltage Switching AC Direct Power Regulator and Discriminator」の優先権を主張する。両出願は共通の発明者を含み、現在係属中である。
<連邦支援調査または開発に関する記述>
該当なし。
<技術分野>
本発明は、AC主電源から低電圧DC電流を非常に高い効率で提供するための電力管理システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主交流電源(主電源)から直流電力を供給するための従来の手段は、降圧変圧器、ダイオード整流器、および電解コンデンサと抵抗器とを備えるフィルタを含むアナログ回路を介するものであった。出力電圧は主に変圧器の巻数比に依存し、回路は適度に効率的であった。しかしながら、低周波変圧器を実装するために必要とされる磁気構造のサイズおよび重量は、小型機器におけるこのアプローチを使用することを必要としない。
【0003】
変圧器を使用しない後者のアプローチはAC主電源の直接整流を含み、この整流された波形は、直列接続またはシャント接続のいずれかにおいて、アクティブ固体デバイスを備える電圧調整回路に対して直接印加される。シャントレギュレータ構成は、可変抵抗デバイスを介して整流された主電源出力を横切る電流経路を提供することによって機能し、それによって、電流を負荷から迂回させる。シャントレギュレータの最も単純な実施形態においては、ツェナーダイオードがこのシャントレッグと直列の抵抗を有する負荷とシャント接続される。ツェナー電圧を超える整流器出力電圧は抵抗器の両端間で降下し、その結果、過剰な電力が熱として消散する。したがって、このレギュレータ構成は非常に非効率的である。ツェナー電流はツェナー効果による調整を維持するために負荷電流よりも大きくなければならないので、このレギュレータ回路の効率は整流された供給電圧のrms値に対する出力電圧の比よりもはるかに小さい。
【0004】
改善されたアプローチは、バイポーラまたは電界効果トランジスタなどの直列接続された固体デバイスを使用して、ツェナー電圧基準をバッファリングする。アクティブデバイスはソースフォロワまたはエミッタフォロワ構成で接続され、負荷はソースまたはエミッタに接続され、ツェナー基準はゲートまたはベースに接続される。ツェナー電流はシャント構成におけるよりもはるかに小さくすることができ、したがって、総電流は、大部分が、負荷に供給される電流である。したがって、この回路の効率は一般に、出力電圧に対する入力電圧の比よりも良くない。
【0005】
この回路機能のさらなる改良は、スイッチモード電源と呼ばれる。当技術分野で知られている多数のそのような設計があるが、共通しているのは、入力整流器、高速動作して蓄積素子(インダクタまたはキャパシタ)を電源内外に切り替えるスイッチング素子、である。入力と出力の絶縁が必要な場合、絶縁と出力電圧調整の両方のために、高速変圧器を導入することができる。RCフィルタは、出力におけるリップルを低減するために備えられる。スイッチモード電源は、初期の線形システムの電力損失メカニズムが大幅に排除されるので、効率が向上するという利点を有する。しかしながら、絶縁が必要とされる場合、変圧器損失は、効率の低下をもたらす可能性がある。また、高速スイッチングはかなりのRFノイズの発生源であり、表皮効果のために導体に大きな損失をもたらす。理論的に高い効率は特別に設計されたシステムにおいて得ることができ、かつ得られている。95%という高い効率が報告されているが、実際の効率は、より典型的には低コストの絶縁システムにおいて60%~70%である。
【0006】
これまでに知られているすべてのシステムの欠点は、それらを容易に統合できないことである。制限された特殊な用途を除いて、現在のAC-DCコンバータの設計は、他のシステム機能を有するチップ上に統合することができない。個々の回路素子において消費される電力は、集積化のシステムオンチップレベルには大きすぎる。必要とされる変圧器のタイプのような構成要素は、シリコン上へ集積するために利用することはできない。
【0007】
ユビキタスエレクトロニクスデバイスおよびサブシステムは、典型的には3.3ボルトまたは5ボルトで動作する。120または240ボルトのAC主電源をこれらの低動作電圧に変換するという要件は、これまで利用可能であった電力変換器の効率に負担をかける。リニア電源とスイッチ電源の両方で、入力電圧と出力電圧の差が大きいほど、非効率性が高くなる。多数の低電力低電圧消費者デバイスに対して電力を供給するための高効率で低電圧の電源が必要とされている。電子部品は、「スマート」カーや「スマート」ホームにおいて普及している。常時オンのセンサおよびネットワークをサポートすることができる小型で効率的な電源が必要とされている。新築および改築の両方を含む、ますます多くの家庭、工場、およびオフィスビルが、電力のすべての使用を制御して効率を高めるために電子センサを組み込んでいる。住宅、工場、およびオフィスビルに存在する電力グリッドの新設および改築の両方を支援するための、低電圧、統合、高効率電源が必要とされている。電源は、そのようなデバイスが局所的な電力を供給するために使用されるプラグおよびコンセントの範囲内に物理的に適合することを可能にするために、センサおよび制御電子機器に対して統合可能でなければならない。家庭、オフィス、および工場の壁および電力グリッドの範囲内での熱放散を回避するための高効率が必要とされている。99~100%の範囲の効率を有する電力変換器が必要とされている。デバイスの外部に嵩張るボックスとして存在するのではなく、広範囲のデバイス内に適合することができるコンパクトな電力変換器が必要とされている。集積化可能な電力変換器が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
AC-DC電力変換システムについて説明する。本システムおよび関連デバイスは、家庭用センサおよびネットワーキング、スマートカーなどに使用される典型的なシリコンベースの電子デバイスを駆動するために使用される低電圧へのアクセスを提供する、非常に効率的でコンパクトで統合された低コスト設計の必要性に対処する。1実施形態において、システムは、直列電圧レギュレータ回路の入力を整流AC主電源から切り離して直列レギュレータ内で消費される電力を低減するために使用される効率的な電子スイッチを含む。効率を最適化するために、開いたスイッチの両端間の電圧は、スイッチが閉じられると最小化され、シャントエネルギー蓄積素子にエネルギーが蓄積される。整流されたAC主波形が閾値を超えると、電子スイッチが開かれる。スイッチが開いている間、エネルギーは、レギュレータ回路を介してエネルギー蓄積素子によって負荷に供給される。このようにして、レギュレータ回路の利点が取り付けられた負荷回路に対してもたらされ、一方、レギュレータ回路内で消費される電力は従来技術と比較して大幅に低減される。別の実施形態において、整流器が排除され、スイッチがAC主波形の1つの半サイクルと同期される。
【0009】
コンパレータは、電子スイッチを制御するために使用される。1実施形態において、コンパレータは演算増幅器および基準電圧源から構成される。別実施形態において、コンパレータはMOS電界効果トランジスタから構成される。1実施形態において、MOS電界効果トランジスタは分圧器を介して制御される。別実施形態において、分圧器は基準電圧源と置き換えられる。他実施形態において、基準電圧は調整可能である。
【0010】
特定の実施例は、本発明の概念を例示的な用途に限定することを意図するものではない。本発明の他の態様および利点は、添付の図面および詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来技術のAC-DCコンバータの概略図である。
図2】電流制限を有する従来技術のAC-DCコンバータの概略図である。
図3A】改良された回路における機能を示す概略図である。
図3B】全波整流器なしの図3Aの回路を示す概略図である
図4】改良型AC-DCコンバータを示す概略図である。
図5】MOS電界効果トランジスタを用いた図4の改善された回路の実施形態の概略図である。
図6図5の簡略化されたバージョンの概略図である。
図7図6のMOSFETスイッチの回路シミュレーションプログラムによるドレイン-ソース間電圧およびドレイン電流波形を示している。
図8】MOS電界効果トランジスタを使用するゼロ電圧スイッチング回路の実施形態の概略図である。
図9】回路シミュレーションプログラムによって生成された図8のMOSFETスイッチのドレイン-ソース間電圧およびドレイン電流波形を示す。
図10】MOS電界効果トランジスタを使用するゼロ電圧スイッチング回路の代替実施形態の概略図である。
図11A】回路シミュレーションプログラムによって生成された、回路起動中の図10のMOSFETスイッチのAC主電圧波形およびドレイン電流波形を示す。
図11B】回路シミュレーションプログラムによって生成された、定常状態における図10のMOSFETスイッチのドレイン-ソース間電圧およびドレイン電流波形を示す。
図12】出力電流制限および出力電圧の負帰還安定化を含む図8のゼロ電圧スイッチング回路の好ましい実施形態の概略図である。
図13】出力電流制限、出力電圧調整、および出力電圧の負帰還安定化を含む、図10のゼロ電圧スイッチング回路の好ましい実施形態の概略図である。
図14図13のゼロ電圧スイッチング回路の概略図であり、出力電圧は手動で調整可能である。
図15】出力電圧が電子的に調整可能な図13のゼロ電圧スイッチング回路の概略図である。
図16】ゼロ電圧スイッチング回路の第3実施形態のブロック図である。
図17図16の実施形態の概略図である。
図18】電源からの負荷の絶縁を含むAC-DCコンバータの従来技術を示す。
図19】電源からの負荷の絶縁を含む、本発明のAC-DCコンバータの実施形態を示す。
図20】電源からの負荷の絶縁を含み、負荷からAC-DCコンバータへのフィードバック制御をさらに含む、本発明のAC-DCコンバータの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、従来技術のAC-DCコンバータ回路の概略図を示す。単相AC主波形101は正弦波であり、ダイオードブリッジ102によって全波整流され、得られる時変DC電圧波形は、コンデンサ103(典型的には電解コンデンサ)によって平滑化される。なお、このコンデンサ103を充電する制御はない。整流された線間電圧はこのコンデンサに印加されるので、大きな静電容量値を有し整流されたAC主波形のピーク値よりも大きい定格電圧を有するコンデンサが必要とされる。平滑化された電圧波形は、直列レギュレータ回路の入力に対して印加される。直列レギュレータ回路は、バイアス抵抗104、特性ツェナー電圧Vを有するツェナーダイオード105、パストランジスタ106、を有する。パストランジスタ106は、ここでは特性しきい値電圧Vを有するエンハンスメントモードMOS電界効果トランジスタ(MOSFET)として表される。レギュレータ出力は、負荷107に対して印加される。
【0013】
動作中、パストランジスタ106は、そのドレイン-ソース電圧を動的に調整して、負荷電圧をV-Vに保つ。言い換えると、パストランジスタ106は、ツェナー電圧Vをバッファリングするソースフォロワ回路を形成する。全負荷電流がパストランジスタ106を通過するので、ツェナーバイアス電流が無視できると仮定すると、このレギュレータ回路の効率は単に、供給電圧のrms値に対する負荷電圧の比である。したがって、望ましい負荷圧を名目3.3V、供給電圧を120Vrmsとすると、効率は3%未満となる。さらに、負荷がわずか数十ミリアンペアの電流しか必要としない場合、パストランジスタ106は、熱として数ワットの電力を連続的に消費しなければならない。この量の熱拡散は、典型的には、小型で密閉された機器における許容できない温度上昇をもたらす。
【0014】
図1の回路のさらなる制約は、パストランジスタ106を損傷する可能性のある出力電流過渡電流に対する保護を提供しないことである。そのような過渡現象は、動作または試験中の出力端子の偶発的な短絡の結果として、または容量性負荷インピーダンス構成要素の結果として生じ得る。図2は、出力電流を制限しそれによってパストランジスタ106を保護するための追加の構成要素を含む、従来技術のAC-DCコンバータの概略図を示す。図2において、小さい抵抗値を有する電流感知抵抗器201が負荷と直列に配置され、電流制限バイポーラトランジスタ202がパストランジスタ106のゲートと負荷との間に接続され、保護電流制限回路を形成する。ここで、抵抗器201の両端間の電圧降下が約0.7V(シリコンバイポーラトランジスタの場合)を超える場合、トランジスタ202は導通し始め、パストランジスタ106上のゲート-ソースバイアスを低減し、それによって出力電流を低減する。しかしながら、この改善された回路の効率は、図1に示される回路の効率と比較して本質的に変化しない。
【0015】
これらの従来技術の直列レギュレータ回路の効率を改善するために、パストランジスタにおいて消費される電力は、著しく低減されなければならない。本発明の1実施形態において、パストランジスタが必要とされないとき、整流された供給電圧から切り離される。図3Aは、AC主電源101、ダイオードブリッジ102、およびフィルタコンデンサ103を含むが、ダイオードブリッジ102出力とフィルタコンデンサ103との間に挿入された追加回路を有する、改良された整流回路の概略図を示す。ダイオードブリッジ102出力における波形は、従来型のAC主電源がrms値120Vである場合、従来0Vから約170Vのピークまで変動する単純な全波整流正弦波形である。ただし、以下で説明する方法は、影響を受ける成分の数値仕様が適切に調整されることを前提として、任意の周期的電力波形に対して適用されることに留意されたい。さらに、電力波形は、以下で説明する基準電圧よりも小さい場合、DCオフセットを含むことができる。
【0016】
追加回路は、ダイオードブリッジ102出力に接続された反転入力と、非反転入力に接続された電圧基準301とを有するコンパレータ回路302を含み、コンパレータ302は、ダイオードブリッジ出力電圧が基準電圧Vを超える場合、ダイオードブリッジ出力を後続回路から切断する(スイッチ303を開く)直列スイッチ303を制御する。一方、基準電圧Vがダイオードブリッジアウトプット電圧を超えると、スイッチ303は閉じられ、コンデンサ103は直列ダイオード304を介して充電される。ダイオード304は、ダイオードブリッジ出力電圧が低下したときに、コンデンサ103がスイッチ303を通って再放電しないようにする。ダイオード304とコンデンサ103との組み合わせは、後続のレギュレータ回路および負荷305に供給するためにAC主サイクルの各半分にエネルギーを蓄積する「ピーク検出器」回路を形成する。他の従来技術の例とは異なり、コンデンサ103の両端間の電圧は、後続のレギュレータ回路および負荷305のエネルギー要件を満たすのに十分な大きさであればよい。シリーズレギュレータへの入力電圧は、AC主電源の実効値と比較して大幅に低下する。「ピーク検出器」回路の動作は、AC主電源の電圧がVよりも大きいままである限り、AC主電源のピーク電圧の変動にかかわらず、コンデンサ103に蓄積されるピーク電圧が必ずVであることを保証する。スイッチング回路のこの実施形態は、電圧レギュレータ回路自体として動作する。スイッチ303の動作はごくわずかなエネルギーを使用するので、図3Aに示される改善されたAC-DCコンバータ回路全体の効率は図1および2の従来技術の回路で見られるよりもはるかに大きい。さらなる利点は、動作温度上昇の著しい低減である。コンパレータ302は周知のアナログ回路素子であるが、他のアナログまたはデジタル回路を使用して、スイッチ303を動作させるのに必要な所望の閾値処理機能を達成することができる。
【0017】
1実施形態において、基準電圧VRは固定される。別実施形態において、基準電圧を変更することができる。別実施形態において、基準電圧は選択可能である。1実施形態において、図3Aの回路は負荷に接続され、回路のレギュレータ機能は負荷に供給される電圧を制御するために使用される。別実施形態において、追加のレギュレータが図3Aの回路および負荷と直列に使用される。
【0018】
上述のように、この回路の動作は、全波整流AC主波形の利用可能性に依存しない。実際、素子301~305の仕様がAC主電源波形の負の変動に対処するのに十分であると仮定すると、ダイオードブリッジ102をなくすことができ、スイッチングおよび調整構成要素をAC主電源に対して直接接続することができ、その結果、図3Bに示される実施形態が得られる。ピーク検出器ダイオード304はまた、スイッチ303が閉じられるとき、AC主電源の負の半サイクルの間、負荷を通る逆電流を遮断することに留意されたい。図3Aに示されるものに対するこの実施形態の唯一の欠点は、負荷に利用可能な総最大電力が半分になることである。
【0019】
図4は、直列レギュレータ103、104、105、106および負荷107に相互接続された改良型整流回路の概略図を示し、以下に説明する新しい整流回路における設計変数間の関係を確立するための有用な基礎を提供する。コンパレータへの電圧は、抵抗器401、402の分圧回路網を介する。コンパレータ301~304は、既に説明した通りである。出力電圧の調整を維持するために、コンデンサ103の両端の電圧はツェナー105電圧Vを超えなければならない。しかしながら、コンデンサ103は、負荷107に対して供給される公称的に一定の電流に起因して、AC主電源の半周期にわたって時間的に線形に放電する。したがって、キャパシタ103は最初に、最高電圧Vpeak=V+Iload*tMAINS/(2*C103)まで充電されなければならない。tMAINSは、交流主電源波形の周期である。これは、VpeakとVとの間の差分の関数として、キャパシタ103の値を与える。より高い値のVpeakは、パストランジスタ106においてより高い電力損失をもたらし、これは、キャパシタ103の最大限の実用的な値とトレードオフとなる。レギュレータの効率は、負荷に対して供給される電力を、回路で消費される総電力で割った比であり、2*(V-V)/(V+Vpeak)で与えられる。Vpeakの最低値はVであるので、最善の効率は1-V /Vである。
【0020】
図5は改良された整流器回路の概略図を示す。スイッチ303はエンハンスメントモードMOSFET505を使用して実装され、コンパレータ回路は、しきい値電圧VT1および負荷レジスタ503によって特徴付けられるエンハンスメントモードMOSFET504を使用して、単一のコモンソースアンプ段として実現される。したがって、抵抗器501および502を備える分圧回路網のアウトプットがMOSFET504のしきい値電圧VT1を超えると、MOSFETスイッチ505のゲートはグランドに引き上げられ、それによってスイッチ505を開く。分圧回路網501、502の出力がVT1よりも小さいとき、MOSFET505のゲートはそのドレインに接続され、それによって、スイッチを閉じる。しかしながら、MOSFET505は理想的なスイッチではなく、その導通状態にある間にかなりの電力損失を経る可能性があり、その結果、MOSFETを使用して実現される回路の効率は図4に示される理想的なケースで得られるものほど大きくはない。MOSFET505のドレインおよびゲート電圧がソース101の正の半周期で増大することにつれて、ゲート電圧がMOSFET505の閾値電圧VT2を超えMOSFET505のソース電圧がゲート電圧の閾値電圧VT2内に上昇するとき、ドレイン電流Id(t)がドレインからソースへ流れる、という事実によって効率の問題が生じる。ドレイン電流は、MOSFET505がMOSFET504によってオフにされるときに停止する。したがって、充電電流過渡中のMOSFET505のドレイン-ソース電圧も、ほぼその閾値電圧VT2,であり、これは、通常、電力FETについては約4~6ボルトである。その結果、充電電流過渡中にMOSFET505内で消費される瞬間的な電力は単純にId(t)*VT2であり、これは、同じ電流過渡によって負荷に供給される電力と比較して、かなりのものである。
【0021】
さらに、その製造プロセスの結果として、パワーMOSFETは典型的には、MOSFET505に関連する寄生ソース-ドレインダイオード506と、MOSFET504に関連する寄生ソース-ドレインダイオード507とを含む。ダイオード506はMOSFET505が「オフ」であるときにコンデンサ103が放電することを可能にし得るが、直列トラックアンドホールドダイオード304はこの疑似放電経路をブロックすることに留意されたい。寄生ダイオード506および507の存在は、後続の図において仮定される。1実施形態において、図5の構成要素のすべてが、単一の半導体チップ上に製造される。別実施形態において、コンデンサ103を除いて、図5の構成要素のすべてが、単一の半導体チップ上に製造される。
【0022】
図6は、以下に説明する好ましい実施形態の高効率回路の効率を比較するための基礎を提供する回路シミュレーションのための図5の改善された整流回路の簡略化されたバージョンの概略図である。簡単にするために、電圧調整回路は省略され、負荷は抵抗器107によって表される。
【0023】
60HzのAC主電源周波数を仮定した図6の回路のSPICEシミュレーションの結果を図7に示す。図7は、AC主電源101の1サイクルにわたるスイッチMOSFET505のドレイン-ソース電圧701、Vds、およびドレイン電流702、Idの波形を示す。ほぼVT2の大きさを有するステップ部分703、すなわちMOSFET505のしきい値電圧は、Vds波形701上で、ドレイン電流過渡電流と一致することに留意されたい。効率は、負荷107に対して供給される平均電力の比:(Id*Vload)を、AC主電源によってスイッチング回路に対して供給される平均電力(Id*VAC)で割ったものであり、68%である。AC主電源によって供給される電力の30%が、スイッチMOSFET505において消費される。
【0024】
このVT2「オーバーヘッド」を克服するために、図8の高能率回路は、MOSFET505のゲートとソースとの間に接続されたコンデンサ803によって分路された電流制限抵抗801およびツェナーダイオード802を含む。ソース101の負の半サイクルの間、電流は接地から、MOSFET504のボディダイオード507を通り、追加された構成要素801~803を通り、MOSFET505のボディダイオード506を通って101に戻るように流れ、その結果、ダイオード802のツェナー電圧Vがコンデンサ803に蓄積される。この蓄積された電位は、そのソースに対して505のゲート上に正のバイアスを印加することに留意されたい。これはVと等しく、VT2よりも大きい場合がある。したがって、MOSFET505が101の正の半周期のスタート時にオンに戻るとき、そのドレイン-ソース間電圧はMOSFET505の固有チャンネル抵抗rdsによってのみ制限されるVT2よりもはるかに小さくなり、これは典型的には1Ωよりもはるかに小さい。この「ゼロ電圧」スイッチング回路のSPICEシミュレーションの結果を図9に示す。再び、AC主電源の1サイクルにわたるMOSFET505のドレイン-ソース電圧901、Vds、およびドレイン電流902、Idの波形を示す。Vds波形は、ドレイン電流過渡現象903の間、ほぼゼロであることに留意されたい。この回路の効率は89%であり、AC主電源によって供給される電力の2%未満がMOSFET505において消費される。
【0025】
AC主電源の負の半サイクルにおけるダイオード802のツェナー電圧へのコンデンサ803のプリチャージはMOSFET505のためのゲートバイアスを提供するので、抵抗器503はもはやそれを提供する必要がない。図10に示されるゼロ電圧スイッチング回路の別実施形態は、MOSFET504のドレイン回路内の負荷抵抗器(図8の項目503)を除去し、これはまた、MOSFET505を通るキャパシタ803のための寄生放電経路を提供し、図8の回路内のドレイン電流過渡の持続時間を制限する。さらに、バイアス抵抗器501は、AC主電源101から切断され、ダイオード304、負荷抵抗器107、およびキャパシタ103の接合部においてDC出力ノードに対して直接接続される。したがって、MOSFET504は導通し、DC出力ノード電圧が抵抗器501および502によって確立された閾値およびMOSFET504の閾値電圧に達すると、スイッチMOSFET505をオフにする。この回路のSPICEシミュレーションの結果を図11Aおよび図11Bに示す。図11Aは、回路起動時におけるAC主電源101の3つの初期サイクル1100、VacおよびMOSFET505のドレイン電流1102、Idを示し、ドレイン電流過渡現象1102がAC主電源1100の第1負の半サイクルの後に定常状態に達することを示す。図11Bは、定常状態におけるAC主電源の1サイクルにわたるMOSFET505のドレイン-ソース電圧1101、Vds、およびドレイン電流1102、Idの波形を再び示す。より大きいドレイン電流過渡持続時間1103のために、負荷に送達される総電力は25%増加する。このゼロ電圧スイッチング回路の効率は90%まで増加し、交流主電源によって供給される電力の1%未満がMOSFET505において消費される。
【0026】
図10は、直流出力ノード1005とMOSFET504のゲート1001との間に接続されたバイアス抵抗器501を含む、図8のゼロ電圧スイッチング回路の第1実施形態1000を示す。
【0027】
第1実施形態は、交流(AC)電源(101)から出力ノード(1005)における電子負荷(107)に対して直流(DC)のエネルギーを供給するためのAC-DC変換システム(1000)であり、以下を備える:
a.負荷(107)の両端に接続された分圧器(501、502)、
b.入力(1001)および出力(1002)を有する第1スイッチ(504)であって、その入力(1001)を介して分圧器に対して接続されている、第1スイッチ(504)、
c.入力(1003)および出力(1004)を有する第2スイッチ(505)であって、その入力(1003)が第1スイッチ(504)の出力(1002)に対して接続される、第2スイッチ(505)、
d.第2スイッチ(505)の出力(1004)に対してダイオード(304)を介して接続された蓄積キャパシタ(103)、
e.f.ツェナー電圧を有するツェナーダイオード(802)であって、第2スイッチ(505)の入力(1003)と出力(1004)との間に接続され、それによって、第2スイッチ(505)の入力(1003)と出力(1004)との間の電圧をツェナーダイオード(802)のツェナー電圧にクランプする、ツェナーダイオード(802)、
g.蓄積キャパシタ(103)に対して接続される電子負荷(107)。
【0028】
第1実施形態において、図10に示すように、スイッチ504、505はN-MOSFETトランジスタである。図10と機能的に同等であるが図示されていない別実施形態において、スイッチ504、505はバイポーラトランジスタである。
【0029】
図12に示される別実施形態において、AC-DCコンバータは、MOSFETスイッチ505の出力1004とダイオード304の入力との間に配置された過電流保護回路を含む。保護回路は非常に小さい値を有する直列抵抗器201とバイポーラトランジスタ202とからなり、ベース端子はスイッチ出力1004に接続され、エミッタ端子はダイオード304の入力に接続され、コレクタはMOSFETスイッチ505の入力1003に接続される。
【0030】
図13に示されるさらなる実施形態において、AC-DCコンバータは、新たなDC出力端子1301において前方出力端子1005と負荷107との間に配置された素子104、105、106を有する調整回路を含む。
【0031】
図14は、出力端子1005における出力電圧が手動で調整可能であるMOSFETを使用するゼロ電圧スイッチング回路の実施形態の概略図である。図12の抵抗器502は、MOSFET504のゲート1001に対して印加される電圧波形を変更しそれによってコンデンサ103に蓄積される電圧を変更するように手動で調整することができるポテンショメータ1401と置き換えられる。
【0032】
図15は、出力1005におけるAC-DCコンバータの出力電圧が電子的に調整可能であるMOSFETを使用するゼロ電圧スイッチング回路の実施形態の概略図である。追加の制御MOSFET1501が図12の抵抗器502の代わりに接続され、外部直流制御電圧VがMOSFET1501のゲートに対して印加され、それによって、MOSFET504のゲート1001に対して印加される電圧を変化させ、キャパシタ103に蓄積される電圧を変化させる。
【0033】
別実施形態において、AC-DCコンバータ1600は全体として、図16に示される要素と、これらの要素によって示される方法とから構成される。回路素子の非限定的な具体例が図17に示されている。図16を参照すると、AC電源1601は突入保護素子1602に対して接続されている。1実施形態において、突入素子はライン上の抵抗要素およびAC電源の中性点から構成される。より高い電力および効率が必要とされる別実施形態において、突入保護素子は、始動時に高い抵抗を提供し、定常状態動作時に抵抗素子を回路から切り換えるスイッチ素子を含む。突入保護の後、サンプリング要素1603を使用して、制御目的のために、AC源1601波形のスケーリングされた複製が形成される。1実施形態において、サンプリング要素1603は分圧器ネットワークへ構成された抵抗器を含む。1実施形態は図5に示して説明した分圧器である。別実施形態において、サンプリング要素は図4に示されるような基準電圧源およびコンパレータを含む。別実施形態において、サンプリング要素1603は図14に示されるように手動で調整することができる。別実施形態において、サンプリング要素は図15に示されるように電子的に調整することができる。サンプリングされた電圧がスイッチドライバ要素1604への入力として使用される。好ましい実施形態において、スイッチドライバ要素1604は蓄積素子1606からフィードバック電圧信号1609を受信し、電圧信号に基づいて、制御スイッチおよびクランプ要素1605内のスイッチング要素のゲートに印加される電圧を制御し、それによって、制御スイッチ1605を開閉して、蓄積素子1606および最終的には負荷1608に対して電力を供給する。フィードバック1609が除去される1実施形態において、AC-DCコンバータはフィードフォワードコンバータであり、蓄積素子1606の充電はフォワード側1603、1604、および1605から制御される。フィードバック制御1609の追加は、フィードフォワード制御とフィードバック制御の両方のための手段を提供する。1実施形態において、フィードフォワードおよびフィードバック制御のバランスは、電圧サンプリング要素1603およびフィードバックライン1609内の構成要素の選択によって決定される。1実施形態において、フィードフォワードおよびフィードバック制御のバランスは、サンプリング要素1603およびフィードバック1609内の抵抗要素によって決定される。別実施形態において、フィードフォワードおよびフィードバック制御を調整できるように可変要素が使用される。好ましい実施形態において、スイッチドライバ1604は分圧器およびスイッチから構成される。スイッチドライバ1604によって制御されるスイッチ、電流制限、およびクランプ要素1605は、固定最大電流でパルス電力を蓄積素子1606に供給する。好ましい実施形態において、スイッチ、電流制限およびクランプ要素1605は、N-MOSFET、電流感知抵抗およびバイポーラピーク電流制限トランジスタ、ならびにACソース1601の負の半サイクルでピークゲート-ソース電圧をクランプするソース-ゲート接続ツェナーダイオードを備え、それによって、この回路のゼロ電圧スイッチング特徴を提供する。あらかじめ選択されたピーク電流パルスからなるスイッチおよびクランプ要素からの電力は、蓄積素子1606に対して供給される。1実施形態において、エネルギー蓄積素子およびダイオードとして使用されるコンデンサからなる蓄積素子1606上の電圧は、分圧回路を介してスイッチドライバ1604に対してフィードバックされ(1609)、それによって、コンデンサ上の一定の電荷を維持する。蓄積素子からの出力は、電圧レギュレータ1607を介して負荷1608に対して供給される。別実施形態において、AC-DCコンバータはガルバニック絶縁要素1610をさらに含む。別実施形態において、AC-DCコンバータは負荷1608からのフィードバックを可能にする要素1611をさらに含む。好ましい実施形態において、フィードバック回路1611はまた、制御要素1604と負荷1608との間のガルバニック絶縁を含む。
【0034】
図17は、ゼロ電圧スイッチングAC-DCコンバータの好ましい実施形態を示す。回路の個々の構成要素は、図5図15に既に記載されている回路の構成要素と同じように機能する。要素1701~1708は、それぞれ図16の要素1601~1608に対応する。AC電源1701は、抵抗器R1およびR2のこの好ましい実施形態に含まれる突入保護回路1702に対して接続される。別実施形態(図示せず)において、突入保護素子はスイッチを備え、これにより、電流が始動時に抵抗器R1およびR2を通って流れ、一旦定常状態動作に達すると抵抗器を迂回する。別実施形態において、突入制御はインダクタを使用する;すなわち、素子R1およびR2はインダクタL1およびL2と置き換えられる。突入保護からの出力は、スイッチ、電流制限およびクランプ回路1705のスイッチQ2に進むとともに、電圧サンプリング要素1703に進む。電圧サンプリング素子1703は、蓄積キャパシタC1からの電圧をサンプリングする抵抗R3、R4から構成される。R3、R4の値は、スイッチドライバ要素1704内のスイッチQ1のゲートへの電圧がスイッチQ1をオンおよびオフにし、それによって同期してスイッチQ2をオフおよびオンにし、それによってスイッチQ2から電荷蓄積要素C1への事前選択されたタイミング出力パルスを提供するように選択される。抵抗器R4はコンデンサC1の電荷に関するフィードバック経路を提供し、したがって、電圧サンプリング回路1703への出力電圧、したがって、制御回路1704への出力電圧を提供する。スイッチ、電流制限およびクランプ要素1705は、スイッチQ2、電流検出抵抗器R10およびバイポーラトランジスタQ4、ツェナーダイオードD1、コンデンサC3および抵抗器R7から構成される。スイッチQ2は、スイッチドライバ回路1704によって制御される。スイッチQ2のピーク出力電流は、電流検出抵抗R10の選択された値に基づいて、あらかじめ選択された最大値に制限される。コンデンサC3は、ACソース1701の負の半サイクルでダイオードD1のツェナー電圧に充電され、充電電流過渡中にQ2のドレイン-ソース電圧を最小にするゲート-ソースバイアスをQ2に供給する。スイッチQ2からのこのパルス出力は、電圧レギュレータ1706に接続され、電圧レギュレータ1706は、電圧サンプリング1703およびスイッチドライバ1704へのR4のフィードバックを介して、蓄積キャパシタC1を一定の電荷に保持する。制御要素スイッチQ1、したがって供給スイッチQ2は、AC入力1701と同期して、開かれるか、または閉じられるかのいずれかで作動される。AC-DCコンバータは、入ってくるACソースの周波数でパルス変調を有する低電圧出力を提供する。スイッチは、Q1およびQ2の閾値内の、交流電源のゼロクロス近くにある電圧で、開かれるか、または閉じられるかのいずれかで作動される。次いで、出力は電圧レギュレータ1707に進み、次いで、負荷1708に進む。電圧レギュレータ1707は、スイッチQ3、ツェナーダイオードD3、抵抗R9、コンデンサC2を含む。回路構成要素D3、Q3、R9は、それぞれ図1の回路要素105、104、106について既に説明したものと同等に電圧レギュレータとして機能する。コンデンサC2は蓄電容量を提供して、AC-DCコンバータから負荷1708への出力をバッファし、それによって平滑化する。
【0035】
図16および17の好ましい実施形態におけるAC-DCコンバータは、突入保護1602、電圧サンプリング1603、スイッチドライバ1604、スイッチおよびクランプ1605、蓄積素子1606、および電圧レギュレータ1607の要素から構成される。電圧サンプリング1603における構成要素の選択は、スイッチドライバ1604のタイミングを決定する。スイッチおよびクランプ内の要素の選択は、出力パルスのピーク電圧および電流を決定する。電力出力は、ピーク電流とパルスタイミングの両方を選択することによって制御される。電圧サンプリングを介した蓄積素子からのフィードバックは、パルスタイミングを選択するために使用される。AC-DCコンバータは、ACソースと同期して動作する。
【0036】
図16および図17の好ましい実施形態は一般に、電源1601に接続された分圧器1603と、分圧器への入力を介して接続された第1スイッチ1604と、第1スイッチの出力に入力が接続された第2スイッチ1605と、第2スイッチの出力にダイオードを介して接続された蓄電器C1と、蓄電器と分圧器との間に接続された感知抵抗器1609とを含み、これにより、ゼロ電圧スイッチングAC-DC抽出変換システムのフィードバック制御を提供し、第2スイッチの入出力間に接続されたツェナーダイオードD1と、蓄電器C1に接続された電子負荷装置1608とを含む。スイッチ1604、1605は、任意の電子的に作動されるスイッチであってもよい。1実施形態において、スイッチはN-MOSFETである。別実施形態においてスイッチはバイポーラトランジスタであり、別実施形態においてスイッチは微小電気機械スイッチである。
【0037】
図18は、負荷からのAC電源1808のガルバニック絶縁を含む従来技術のAC-DCコンバータシステムを示す。典型的な従来技術のAC-DCコンバータは、フィルタリング(1803)される接地(1809)DCソースを提供する全波整流1802、コントローラ1804を有し、コントローラ1804は通常、スイッチ1805を使用して変圧器1806を介して出力を制御し、それによってDC電圧を負荷1808に提供するパルスコントローラである。ダイオード1807は、負荷から変圧器1806を通って戻る電流の流れを防止する。典型的には、変圧器はまた、負荷1808によって必要とされる電圧を制御するための降圧変圧器としても作用する。変圧器1806のハイサイドは、AC電源1801の整流電圧で動作することに留意されたい。変圧器はガルバニック絶縁を提供するが、それによって変圧器に接続された高電圧はこの高電圧で動作することができる変圧器を必要とする。
【0038】
対照的に、本発明の電源は、図19の第1実施形態に示される。AC電源1901は、絶縁デバイス1904を介して、さらにAC-DCコンバータ1902を介して負荷1905に接続される。AC-DCコンバータ1902上の接地1906は、負荷1905上の接地1907と必ずしも同じレベルではない。好ましい実施形態において、AC-DCコンバータ1902は図12および図13に記載されている通りである。AC-DCコンバータ1902は、絶縁デバイス1904が最大でクランプされた電圧を得るように、蓄積キャパシタ(図13のC1)に対して供給される出力電圧のクランプを含む。図16および図19の好ましい実施形態および比較において、絶縁デバイスはブロック要素1607とブロック要素1608との間に配置される。
【0039】
図20に示される別の実施形態は、負荷1905からAC-DCコンバータ1902へのフィードバックをさらに含む。フィードバックは、アイソレータ2001を通過し絶縁された検知ライン2003を通過する検知ライン2002を通って、AC-DCコンバータに対して提供される。1実施形態において、検知ライン2003のうちの一方は接地され、他方は図17に示される検知ラインがコンデンサC1から抵抗器R8を介して給電するのと同様に、電圧サンプリング回路1303に給電する。1実施形態において、アイソレータ2001は図に示されるような光アイソレータである。別実施形態(図示せず)において、光アイソレータの代わりに、アイソレータとして変圧器が使用される。
【0040】
図16、17、19、および20は、シリコン上に完全に集積することができるAC-DCコンバータを示す。図に示される構成要素のすべてが、完全に機能するデバイスに必要とされるわけではない。1実施形態において、AC-DCコンバータは、AC電源1701に接続されてサンプリングし、第1スイッチトランジスタQ1のベースにさらに接続された分圧器(1703)からなる。分圧器内の抵抗器の値はQ1によって見られる電圧を制御し、それによって、Q1のフィードフォワード制御、したがってAC-DCコンバータの出力を提供する。Q1のドレインは次に、パルス電流を蓄積素子C1に対して供給する第2スイッチトランジスタQ2のベースに対して接続される。ダイオードD2は、スイッチQ2を介したコンデンサC1の放電を防止する。検知ラインは、蓄積素子C1から抵抗R8を介して分圧器1703に接続され、蓄積コンデンサC1の完全放電を防止するためのフィードバック制御を提供する。Q2のゲートとソースとの間に接続されたツェナーダイオードD1は、Q2によって見られるゲート-ソース間電圧をダイオードD1のツェナー電圧にクランプし、そのバイアス電圧はコンデンサC3に蓄積される。交流線に直列のインダクタまたは低抵抗巻線抵抗器R1は、Q2によって見られる過渡電流をフィルタリングし、電流を制限する。したがって、完全に機能するAC-DCコンバータは、分圧器、2つのスイッチ、蓄積デバイス、ツェナーダイオード、通常のダイオード、およびインダクタから構成され、スイッチはN-MOSFETであり、蓄積デバイスはコンデンサである。別実施形態において、AC-DCコンバータは突入制御1702をさらに含む。1実施形態において、突入制御はAC電源のラインおよびニュートラルに直列に接続された抵抗器からなる。別実施形態において、AC-DCコンバータは電圧レギュレータをさらに備える。1実施形態において、電圧レギュレータは蓄積素子C1からの出力ラインに接続されたスイッチQ3からなる。スイッチは、コンデンサC2からベースに接続されたツェナーダイオードD3を介して制御される。電圧レギュレータの出力は、負荷1708に接続される。別実施形態において、AC-DCコンバータはガルバニック絶縁をさらに含み、ガルバニック絶縁は電圧レギュレータの出力に接続された絶縁変圧器である。別実施形態において、電圧レギュレータはなく、絶縁変圧器は蓄積キャパシタC2と負荷1708との間に接続される。別実施形態は、負荷から分圧器1703へのフィードバックをさらに含む。負荷からのフィードバックは、第2絶縁デバイス2001を介して分圧器1703に対して供給される。
【0041】
<要約>
本願は、AC-DC変換システムについて説明する。変換システムは、制御されたパルス電力を蓄積素子に提供するために使用される電子スイッチおよび制御回路からなり、蓄積素子はあらかじめ選択された電圧または手動もしくは自動選択可能な電圧のいずれかで負荷に電力を提供する一方で、スイッチの両端の電圧降下が最小限に抑えられ、スイッチ自体を通して消費される電力を低減し、それによって効率を大幅に増加させ、熱損失を低減することを確実にする。1つの最小バージョンにおけるAC-DCコンバータは、1対のN-MOSFETトランジスタ、分圧器、蓄積素子、および1対のダイオードからなる。この設計は、シリコン上に完全に集積することができる最小限の構成要素で高効率を可能にする。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】